(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-07
(54)【発明の名称】経皮的弁インプラント用のアンカーとロック
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20220228BHJP
A61B 17/00 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
A61F2/24
A61B17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021540140
(86)(22)【出願日】2020-01-13
(85)【翻訳文提出日】2021-08-04
(86)【国際出願番号】 IB2020050228
(87)【国際公開番号】W WO2020148629
(87)【国際公開日】2020-07-23
(32)【優先日】2019-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521301770
【氏名又は名称】ヴァルフィックス メディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086461
【氏名又は名称】齋藤 和則
(72)【発明者】
【氏名】ヴァール、エリー
(72)【発明者】
【氏名】ヤコビィ、エラド
(72)【発明者】
【氏名】ザルツマン、ダン
【テーマコード(参考)】
4C097
4C160
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097CC01
4C097CC08
4C097MM09
4C097SB10
4C160BB05
4C160CC26
(57)【要約】
装置は、スレッド(58)と; そしてスレッドに結合される組織アンカー(60)を有する。組織アンカーは、1つまたは複数の付属肢(62)を画定するように形作られた近位部分(60p)と;遠位部分(60d)と;そして近位部分を遠位部分に結合する複数のストリップ(84)と;を備える。組織アンカーは、半径方向に拡張する付属肢によって被験者の組織(42)にスレッドを固定するように構成され、ストリップは、組織アンカーから半径方向の拘束力を取り除くと、組織の遠位側にそれぞれのループを形成するように半径方向に拡張する。他の実施形態も記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スレッドと; そして
前記スレッドに結合される組織アンカーであって、
前記組織アンカーは:
1つまたは複数の付属肢を画定するように形作られた近位部分と;
遠位部分と;そして
前記近位部分を前記遠位部分に結合する複数のストリップと;
を備える、組織アンカーと;
を有する装置であって、
前記組織アンカーは、半径方向に拡張する前記付属肢によって被験者の組織に前記スレッドを固定するように構成され、前記ストリップは、前記アンカーから半径方向の拘束力を取り除くと、前記組織の遠位側にそれぞれのループを形成するように半径方向に拡張する、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ストリップは拡張するように構成され、前記ループは円形に配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記付属肢がそれぞれの尖った突起を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記スレッドが少なくとも部分的に前記組織アンカーを通過する、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記スレッドが前記組織アンカーに対し遠位側に結び目を有することに起因して前記組織アンカーが前記スレッドに結合されている、ことを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記組織アンカーは、前記スレッドが前記組織アンカーの前記遠位部分の内壁に取り付けられていることに起因して前記スレッドに結合されている、ことを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記ストリップが2~8個のストリップからなる、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ストリップのそれぞれについて、前記ストリップの近位端と前記ストリップの遠位端との間の円周角が少なくとも5度である、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記円周角が10度~30度の間である、ことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記組織アンカーの前記近位部分は、前記付属肢の下のそれぞれの溝を画定するように成形されることに起因して、前記付属肢を画定するように成形される、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記拘束力を除去する以前には、前記付属肢が前記組織アンカーの他の部分よりも半径方向で遠くに延在しない、ことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記付属肢の拡張に続いて、各前記付属肢と前記組織アンカーの近位部分の長手方向軸との間の角度が5度~60度の間である、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
被験者の組織にスレッドを固定するための方法であって:
管内で半径方向に拘束され、前記スレッドに結合されている組織アンカーを前記組織に送達するステップと;
前記管が前記組織を貫通するようにさせるステップと;そして
前記管が前記組織を貫通した後、前記組織アンカーを前記管から押し出し、前記組織アンカーの近位部分にある1つまたは複数の付属肢が半径方向に拡張し、そして前記組織アンカーの近位部分を前記組織アンカーの遠位部分に結合する複数のストリップが径方向に拡張して、前記組織の遠位側にそれぞれのループを形成するステップと;
を有することを特徴とする方法。
【請求項14】
前記組織アンカーを前記管から押す前記ステップは、前記付属肢が前記組織の近位側で拡張するように、前記組織アンカーを前記管から押すステップを有する、ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記組織アンカーを前記管から押す前記ステップは、前記付属肢が前記組織内で拡張するように前記組織アンカーを前記管から押すステップを有する、ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記スレッドが少なくとも部分的に前記組織アンカーを通過する、ことを特徴とする請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記スレッドが前記組織アンカーに対して遠位に結び目を有することにより、前記組織アンカーが前記スレッドに結合される、ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
体内インプラントを貫通するスレッドの上で前記体内インプラントを固定するように構成される装置であって、前記装置は:
前記スレッド上で前記インプラントに前進するように構成され、そして少なくとも1つの回転可能要素を有するロック本体であって、前記回転可能要素の回転時に前記インプラントの近位で前記スレッドを把持するように構成されるロック本体と;そして
前記ロック本体と係合することによって前記回転可能要素の回転の逆転を抑制するように構成された回転維持要素と;
を有する、
ことを特徴とする装置。
【請求項19】
前記ロック本体は、ギザギザの表面を含み、前記ロック本体は、前記スレッドを前記ギザギザの表面で把持するように構成される、ことを特徴とする請求項18に記載の装置。全結果のリストを読み込めません
【請求項20】
前記回転可能要素がギザギザの表面を有する、ことを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記ロック本体は、ブロックをさらに含み、前記ロック本体は、前記回転可能要素と前記ブロックとの間の前記スレッドを把持するように構成される、ことを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項22】
前記ブロックは窪みを画定するように形作られ、ここで、前記回転可能要素は、当該回転可能要素の回転時に前記窪みに適合するように構成された突起を画定するように形作られ、そして前記ロック本体は、前記突起と前記窪みとの間の前記スレッドを把持するように構成される、ことを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記少なくとも1つの回転可能要素は、一対の対向する回転可能要素を含み、前記ロック本体は、前記一対の対向する回転可能要素の間の前記スレッドを把持するように構成される、ことを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項24】
前記回転維持要素は、前記ロック本体の上に適合することによって前記回転可能要素を回転させ、そして前記回転の逆転を抑制するように構成されたリングを備える、ことを特徴とする請求項18-23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記ロック本体は、1つまたは複数のノッチを画定するように成形され、前記リングは、前記ノッチに適合するように構成されたそれぞれのタブを画定するように成形される、ことを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記リングは、前記回転可能要素の上に適合することによって前記回転可能要素を回転させるように構成される、ことを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記リングを前記回転可能要素に押し込むように構成された中空の外側長手方向要素と;そして
前記リングを前記回転可能要素に押し込む前に、前記スレッドが内側長手方向要素を通過し、そして前記内側長手方向要素が前記外側長手方向要素を通過する間に、前記ロック本体を前記スレッド上で前進させるように構成された中空の内側長手方向要素と;
をさらに有する、ことを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記内側長手方向要素は、開口を画定するように形作られ、そして前記リングは、前記ロック本体が前記スレッドの上を前進する間に前記開口の中に適合するように構成されたタブ、を画定するように形作られていることを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記内側長手方向要素は、前記リングを前記回転可能要素に押し込んだ後に前記スレッドを切断するように構成された鋭い遠位端部を備える、ことを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項30】
前記ロック本体は、前記回転可能要素の隣に配置されたシャフトをさらに有し、前記リングは、当該リングが前記回転可能要素を押すように前記シャフト上に取り付けられることによって前記回転可能要素を回転させるように構成される、ことを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項31】
前記シャフトは、傾斜したスロットを画定するように形作られ、
前記ロック本体はさらに:
前記回転可能要素に結合され、前記スロットを通過する第1のピンと;
ブロックと;そして
前記回転可能要素および前記ブロックを通過する第2のピンであって、前記回転可能要素は、前記第2のピンに対して回転するように構成される、第2のピンと;
を有し、
ここで前記スロットによって拘束される前記第1のピンの動きにより、前記リングは、前記回転可能要素を回転させることによって、前記ブロックが前記シャフトに向かって引っ張られるようにさせるように構成され、それにより前記ロック本体が前記ブロックと前記シャフトとの間で前記スレッドを把持する、
ことを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記シャフトは、開口を画定するように形作られ、前記リングは、前記開口の中に適合するように構成されたタブを画定するように成形される、ことを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記リングを前記シャフトに押し付けるように構成された中空の内側長手方向要素と;そして
前記スレッドが前記内側長手方向要素を通過し、そして前記内側長手方向要素が外側長手方向要素を通過する間に、前記ロック本体を前記スレッド上で前進させるように構成された中空の外側長手方向要素と;
をさらに有する、ことを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項34】
前記外側長手方向要素は、前記ロック本体を前記スレッド上で前進させながら前記ロック本体を保持するように構成される、ことを特徴とする請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記外側長手方向要素は:
外側管と;そして
開口を画定するように形作られ、前記外側管の遠位端に結合され、そして前記外側管から延びる付属肢と;
を有し、
前記ブロックは突起を画定するように形作られ、そして
前記外側長手方向要素は、前記突起が前記開口を貫通することに起因して前記ブロック本体を保持するように構成される、
ことを特徴とする請求項33に記載の装置。
【請求項36】
前記付属肢が管状である、ことを特徴とする請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記リングは、前記ブロックが前記シャフトに向かって引っ張られるようにさせ、それにより前記突起が前記開口から引き出されることにより、前記ロック本体を前記外側長手方向要素から解放するように構成される、ことを特徴とする請求項35に記載の装置。
【請求項38】
前記内側長手方向要素は:
内側管と;そして
側面開口部を画定するように形作られ、前記内側管の遠位端に結合され、そして前記内側管の遠位端を超えて延在するリング押込付属肢と;
を有し、
前記内側長手方向要素は、前記リング押込付属肢が前記リングに接触し、前記スレッドが前記側面開口部を介して前記内側管を通過する間に、前記リングを前記シャフトに押し付けるように構成される、ことを特徴とする請求項33に記載の装置。
【請求項39】
前記リング押込付属肢が、前記リングを前記シャフトに押し込んだ後に前記スレッドを切断するように構成された、鋭い端部を備える、ことを特徴とする請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記回転維持要素がばねを有する、ことを特徴とする請求項18~23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項41】
前記ばねが、前記回転可能要素の周りに巻かれ、前記回転可能要素を回転させ、前記回転可能要素を押すことによって回転の逆転を抑制する、ように構成されたコイルを有する、ことを特徴とする請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記少なくとも1つの回転可能要素は、一対の対向する回転可能要素を含み、前記対は、そのそれぞれの近位端の間でスレッドを把持するように構成される、ことを特徴とする請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記ロック本体が前記インプラントまで前進している間、および前記スレッドが内側長手方向要素を通過している間、前記対のそれぞれの近位端の間に介在するように構成された遠位端、を有する中空の内側長手方向要素と;そして
前記内側長手方向要素が外側長手方向要素を通過する間、そして前記内側長手方向要素の遠位端が前記対のそれぞれの近位端の間から引き出されている間、前記ロック本体に反力を加えるように構成された中空の外側長手方向要素と;
をさらに有し、
前記コイルが前記対を一緒に押すことにより前記対は互いに向かって回転する、
ことを特徴とする請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記外側長手方向要素は、前記対の回転に続いて前記スレッドを切断するように構成された鋭い遠位端部を有する、ことを特徴とする請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記回転可能要素のそれぞれの近位端は、それぞれのノッチを画定するように形作られ、前記内側長手方向要素の遠位端は、前記ノッチの中に適合するように構成される、ことを特徴とする請求項43に記載の装置。
【請求項46】
前記回転可能要素は、開口を画定するように形作られ、そして前記ばねは、前記回転可能要素の回転に続いて前記開口に跳ねて入り、それにより回転の逆転を抑制するように構成されたワイヤを有する、ことを特徴とする請求項40に記載の装置。
【請求項47】
前記スレッドが内側長手方向要素を通過する間に前記ロック本体から引き抜くことによって前記回転可能要素を回転させるように構成された中空の内側長手方向要素と;そして
前記内側長手方向要素が外側長手方向要素を通過する間に、そして前記内側長手方向要素がロック本体から引き抜かれている間に、前記ロック本体に反力を加えるように構成された中空の外側長手方向要素と;
をさらに有する、ことを特徴とする請求項46に記載の装置。
【請求項48】
前記内側長手方向要素の遠位端は、遠位端開口を画定するように形作られ、そして
前記回転可能要素は、ロック本体がインプラントまで前進している間、前記遠位端開口の内側に適合するように構成された突起を画定するように形作られている、
ことを特徴とする請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記内側長手方向要素は、側面開口を画定するように成形され、前記内側長手方向要素は、前記スレッドが前記側面開口を介して前記内側長手方向要素を通過する間、前記ロック本体を前記インプラントに前進させるように構成される、ことを特徴とする請求項47に記載の装置。
【請求項50】
前記内側長手方向要素は、前記側面開口を少なくとも部分的に取り囲み、そして前記内側長手方向要素の引き抜き時に前記スレッドを切断するように構成される、鋭い端部を有する、
ことを特徴とする請求項49に記載の装置。
【請求項51】
体内インプラントを通過するスレッドの上に前記体内インプラントを固定する方法であって:
少なくとも1つの回転可能要素を有するロック本体を、前記スレッド上で前記インプラントに前進させるステップと;そして
前記ロック本体を前記インプラントに前進させた後、前記ロック本体が前記インプラントの近位で前記スレッドを把持するように前記回転可能要素を回転させるステップと;
を有することを特徴とする方法。
【請求項52】
前記回転可能要素を回転させるステップは、前記ロック本体上にリングを取り付けるステップによって前記回転可能要素を回転させるステップを有する、ことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記ロック本体上に前記リングを取り付ける前記ステップは、前記回転可能要素の上に前記リングを取り付けるステップを有する、ことを特徴とする請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記回転可能要素の上にリングを取り付けるステップは、中空の外側長手方向要素を使用して、前記回転可能要素上にリングを押し付けることによって、前記回転可能要素の上にリングを取り付けるステップを含み、前記ロック本体を前記インプラントに前進させるステップは、前記スレッドが前記内側長手方向要素を通過し、そして前記内側長手方向要素が前記外側長手方向要素を通過する間、中空の内側長手方向要素を使用して前記ロック本体を前記インプラントに前進させるステップを有する、ことを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記リングを前記回転可能要素に押し付けた後、前記内側長手方向要素の鋭い遠位端部で前記スレッドを切断するステップをさらに有する、ことを特徴とする請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記ロック本体上に前記リングを取り付けるステップは、前記回転可能要素の隣に配置されたシャフトに前記リングを取り付け、それにより前記リングが前記回転可能要素を押すステップを有する、ことを特徴とする請求項52に記載の方法。
【請求項57】
前記シャフトは、傾斜したスロットを画定するように形作られ、前記ロック本体はさらに:
前記回転可能要素に結合され、スロットを通過する第1のピンと;
ブロックと;および、
前記回転可能要素および前記ブロックを通過する第2のピンであって、前記回転可能要素が当該第2のピンに対して回転するように構成されている、第2のピンと;
を有し、そして
前記回転可能要素を回転させるステップは、前記回転可能要素を回転させ、前記第1のピンの動きが前記スロットによって拘束されることに起因して、前記ブロックが前記シャフトに向かって引っ張られ、それにより前記ロック本体が前記ブロックと前記シャフトとの間に前記スレッドを把持するステップを有する、
ことを特徴とする請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記シャフトに前記リングを取り付けるステップは、中空の内側長手方向要素を使用して、前記リングを前記シャフトに押し付けるステップを含み、
前記スレッド上でロック本体を前進させるステップは、前記中空の外側長手方向要素を使用して、前記スレッドが前記内側長手方向要素を通過し、そして前記内側長手方向要素が前記外側長手方向要素を通過する間に、前記スレッドの上で前記ロック本体を前進させるステップを有する、ことを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記外側長手方向要素を使用して、前記ロック本体をスレッド上で前進させながら前記ロック本体を保持するステップをさらに有する、ことを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記外側長手方向要素は:
外側管;および
開口を画定するように形作られ、前記外側管の遠位端に結合され、そして当該外側管の遠位端から延在する付属肢と;
を有し、
前記ブロックは突起を画定するように形作られ、そして
前記ロック本体を保持するステップは、前記突起が前記開口を貫通することに起因して前記ロック本体を保持するステップを有する、ことを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記回転可能要素を回転させるステップは、前記回転可能要素を回転させ、前記突起が前記開口から引っ張られることによって前記ロック本体が前記外側長手方向要素から解放されるステップを有する、ことを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記内側長手方向要素は:
内側管と;および
側面開口部を画定するように形作られ、前記内側管の遠位端に結合され、そして当該遠位端を超えて延在するリング押込付属肢と;
を有し、
前記リングを前記シャフトに押し付けるステップは、前記リング押込付属肢がリングに接触し、前記スレッドが前記側面開口を介して前記内側管を通過する間に、前記リングを前記シャフトに押し付けるステップを有する、ことを特徴とする請求項58~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記リングを前記シャフトに押し付けた後、前記リング押込付属肢の鋭い端部で前記スレッドを切断するステップをさらに有する、ことを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記回転可能要素を回転させるステップは、前記回転可能要素の周りに巻かれたコイルに対し前記回転可能要素を押させることによって回転可能要素を回転させるステップを有する、ことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項65】
前記少なくとも1つの回転可能要素が一対の対向する回転可能要素を含み、前記方法は、前記対を回転させ、それにより前記対がそのそれぞれの近位端の間で前記スレッドを把持するステップを有する、ことを特徴とする請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記ロック本体をインプラントに前進させるステップは、前記スレッドが中空の内側長手方向要素を通過する間に、そして前記内側長手方向要素の遠位端が前記対のそれぞれの近位端の間に介在する間に、前記ロック本体を前記インプラントに前進させるステップを有し、
前記回転可能要素を回転させるステップは、前記内側長手方向要素が通過する中空の外側長手方向要素を使用して前記ロック本体に反力を加えながら、前記対のそれぞれの近位端の間から前記内側長手方向要素の遠位端を引き抜き、前記コイルが前記対を一緒に押すことにより、前記対が互いに向かって回転することによって前記回転可能要素を回転させるステップを有する、ことを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記外側長手方向要素の鋭い遠位端部を使用して、前記対を回転させた後に前記スレッドを切断するステップをさらに有する、ことを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記回転可能要素は、開口を画定するように成形され、前記方法は、前記回転可能要素を回転させることによって、ワイヤを前記開口内に跳ね返らせ、それにより前記回転の反転を抑制するステップを有する、ことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項69】
前記回転可能要素を回転させるステップは、前記スレッドが中空の内側長手方向要素通過する間に、そして前記内側長手方向要素が中空の外側長手方向要素を通過する間に、前記外側長手方向要素を使用して前記ロック本体に反力を加えながら、前記内側長手方向要素を前記ロック本体から引き抜くことによって前記回転可能要素を回転させるステップを有する、ことを特徴とする請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記内側長手方向要素は、側面開口を画定するように成形され、前記ロック本体をインプラントに前進させるステップは、前記スレッドが前記側面開口を介して前記内側長手方向要素を通過する間に、前記ロック本体をインプラントに前進させるステップを有する、ことを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記側面開口を少なくとも部分的に取り囲む前記内側長手方向要素の鋭い端部を使用して、前記内側長手方向要素を引き抜く間に前記スレッドを切断するステップをさらに有する、ことを特徴とする請求項70に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に、医療機器の分野、詳細には、経皮的弁の修復および交換のための装置および方法に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年1月14日に出願された「経カテーテルリングおよび弁システム」と題された米国暫定特許出願62/791,912(特許文献1)の利益を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
一部の被験者では、インプラントを使用して心臓内の弁を修復または交換する場合がある。
その開示が参照により本明細書に組み込まれる、Barらの米国特許第10,278,820号(特許文献2)は、管の組立体を含む装置を記載しており、管のそれぞれは、管腔を画定するように成形されている。この装置はさらに、複数の組織アンカーを含み、組織アンカーのそれぞれは、それぞれの1つの管内腔の内に配置され、管の組立体に結合された複数の歯を含む拡張可能な環状構造、および複数の制御装置を含む。環状構造に結合されたワイヤは、環状構造を操作することによって、管腔から組織アンカーを展開するために管を配置するように構成されている。
【0004】
その開示が参照により本明細書に組み込まれる、Barらの米国特許出願第10,463,486号(特許文献3)は、複数の可撓性管ガイドと;管の環状組立体であって、各管が管ガイドのそれぞれの1つ内にスライド可能に配置される、管の環状組立体と;それぞれが管のそれぞれによって担持される遠位端を含む複数のスレッドと;および管ガイドを半径方向外側に動かすことにより、管の組立体を折りたたまれた構成から被験者の組織の上に拡張するように構成された、管ガイドに結合された拡張可能な環状構造と;を有する装置を記載している。装置はさらに、管ガイドに結合され、管ガイドを屈曲させることによって、管から組織内へのスレッドの展開のために、組立体の拡張に続いて管を配置するように構成される、複数の制御ワイヤを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国暫定特許出願62/791,912
【特許文献2】米国特許第10,278,820号
【特許文献3】米国特許出願第10,463,486号
【発明の概要】
【0006】
本発明の幾つかの実施形態によれば、スレッドとスレッドに結合される組織アンカーを有する装置が提供される。組織アンカーは:1つまたは複数の付属肢を画定するように形作られた近位部分と;遠位部分と;そして近位部分を遠位部分に結合する複数のストリップと;を備える。組織アンカーは、半径方向に拡張する付属肢によって被験者の組織にスレッドを固定するように構成され、ストリップは、アンカーから半径方向の拘束力を取り除くと、組織の遠位側にそれぞれのループを形成するように半径方向に拡張する。
【0007】
幾つかの実施形態では、ストリップは拡張するように構成され、ループは円形に配置される。
幾つかの実施形態では、付属肢がそれぞれの尖った突起を有する。
幾つかの実施形態では、スレッドが少なくとも部分的に組織アンカーを通過する。
幾つかの実施形態では、スレッドが組織アンカーに対し遠位側に結び目を有することに起因して組織アンカーがスレッドに結合されている。
幾つかの実施形態では、組織アンカーは、スレッドが組織アンカーの遠位部分の内壁に取り付けられていることに起因してスレッドに結合されている。
幾つかの実施形態では、ストリップが2~8個のストリップからなる。
幾つかの実施形態では、ストリップのそれぞれについて、ストリップの近位端と ストリップの遠位端との間の円周角が少なくとも5度である。
幾つかの実施形態では、円周角が10度~30度の間である。
幾つかの実施形態では、組織アンカーの近位部分は、付属肢の下のそれぞれの溝を画定するように成形されることに起因して、付属肢を画定するように成形される。
幾つかの実施形態では、拘束力を除去する以前には、付属肢が組織アンカーの他の部分よりも半径方向で遠くに延在しない。
幾つかの実施形態では、付属肢の拡張に続いて、各付属肢と組織アンカーの近位部分の長手方向軸との間の角度が5度~60度の間である。
【0008】
本発明の幾つかの実施形態によれば、さらに被験者の組織にスレッドを固定するための方法が提供される。方法は、管内で半径方向に拘束され、スレッドに結合されている組織アンカーを組織に送達するステップと;管が組織を貫通するようにさせるステップと;そして管が組織を貫通した後、組織アンカーを管から押し出し、組織アンカーの近位部分にある1つまたは複数の付属肢が半径方向に拡張し、そして組織アンカーの近位部分を組織アンカーの遠位部分に結合する複数のストリップが径方向に拡張して、 組織の遠位側にそれぞれのループを形成するステップと;を有する。
【0009】
幾つかの実施形態では、組織アンカーを管から押す ステップは、付属肢が組織の近位側で拡張するように、組織アンカーを管から押すステップを有する。
幾つかの実施形態では、組織アンカーを管から押すステップは、付属肢が組織内で拡張するように組織アンカーを管から押すステップを有する。
幾つかの実施形態では、スレッドが少なくとも部分的に組織アンカーを通過する。
幾つかの実施形態では、スレッドが組織アンカーに対して遠位に結び目を有することにより、組織アンカーがスレッドに結合される。
【0010】
本発明の幾つかの実施形態によれば、さらに体内インプラントを貫通するスレッドの上で体内インプラントを固定するように構成される装置が提供される。装置は:スレッド上でインプラントに前進するように構成され、そして少なくとも1つの回転可能要素を有するロック本体であって、回転可能要素の回転時にインプラントの近位でスレッドを把持するように構成されるロック本体と;そしてロック本体と係合することによって回転可能要素の回転の逆転を抑制するように構成された回転維持要素と;を有する。
【0011】
幾つかの実施形態では、ロック本体は、ギザギザの表面を含み、ロック本体は、スレッドをギザギザの表面で把持するように構成される。
幾つかの実施形態では、回転可能要素がギザギザの表面を有する。
幾つかの実施形態では、ロック本体は、ブロックをさらに含み、ロック本体は、回転可能要素とブロックとの間のスレッドを把持するように構成される。
幾つかの実施形態では、ブロックは窪みを画定するように形作られ、ここで、回転可能要素は、当該回転可能要素の回転時に 窪みに適合するように構成された突起を画定するように形作られ、そしてロック本体は、突起と窪みとの間のスレッドを把持するように構成される。
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの回転可能要素は、一対の対向する回転可能要素を含み、ロック本体は、一対の対向する回転可能要素の間のスレッドを把持するように構成される。
幾つかの実施形態では、回転維持要素は、ロック本体の上に適合することによって 回転可能要素を回転させ、そして回転の逆転を抑制するように構成されたリングを備える。
幾つかの実施形態では、ロック本体は、1つまたは複数のノッチを画定するように成形され、リングは、ノッチに適合するように構成されたそれぞれのタブを画定するように成形される。
幾つかの実施形態では、リングは、回転可能要素の上に適合することによって 回転可能要素を回転させるように構成される。
【0012】
幾つかの実施形態では、装置は、リングを回転可能要素に押し込むように構成された中空の外側長手方向要素と;そしてリングを回転可能要素に押し込む前に、スレッドが内側長手方向要素を通過し、そして内側長手方向要素が外側長手方向要素を通過する間に、ロック本体をスレッド上で前進させるように構成された中空の内側長手方向要素と;をさらに有する。
幾つかの実施形態では、内側長手方向要素は、開口を画定するように形作られ、そして リングは、ロック本体がスレッドの上を前進する間に開口の中に適合するように構成されたタブ、を画定するように形作られている。
幾つかの実施形態では、内側長手方向要素は、リングを回転可能要素に押し込んだ後にスレッドを切断するように構成された鋭い遠位端部を備える。
幾つかの実施形態では、ロック本体は、回転可能要素の隣に配置されたシャフトをさらに有し、リングは、当該リングが回転可能要素を押すようにシャフト上に取り付けられることによって回転可能要素を回転させるように構成される。
【0013】
幾つかの実施形態では、シャフトは、傾斜したスロットを画定するように形作られ、ロック本体はさらに:回転可能要素に結合され、スロットを通過する第1のピンと;ブロックと;そして回転可能要素およびブロックを通過する第2のピンであって、回転可能要素は、第2のピンに対して回転するように構成される、第2のピンと;を有し、ここでスロットによって拘束される第1のピンの動きにより、リングは、回転可能要素を回転させることによって、ブロックがシャフトに向かって引っ張られるようにさせるように構成され、それによりロック本体がブロックとシャフトとの間でスレッドを把持する。
幾つかの実施形態では、シャフトは、開口を画定するように形作られ、リングは、開口の中に適合するように構成されたタブを画定するように成形される。
幾つかの実施形態では、装置は、リングをシャフトに押し付けるように構成された中空の内側長手方向要素と;そしてスレッドが内側長手方向要素を通過し、そして 内側長手方向要素が外側長手方向要素を通過する間に、ロック本体をスレッド上で前進させるように構成された中空の外側長手方向要素と;をさらに有する。
幾つかの実施形態では、外側長手方向要素は、ロック本体をスレッド上で前進させながらロック本体を保持するように構成される。
【0014】
幾つかの実施形態では、外側長手方向要素は:外側管と;そして開口を画定するように形作られ、外側管の遠位端に結合され、そして外側管から延びる付属肢と;を有し、ブロックは突起を画定するように形作られ、そして外側長手方向要素は、突起が開口を貫通することに起因してブロック本体を保持するように構成される。
幾つかの実施形態では、付属肢が管状である。
幾つかの実施形態では、リングは、ブロックがシャフトに向かって引っ張られるようにさせ、それにより突起が開口から引き出されることにより、ロック本体を外側長手方向要素から解放するように構成される。
幾つかの実施形態では、内側長手方向要素は:内側管と;そして側面開口部を画定するように形作られ、内側管の遠位端に結合され、そして内側管の遠位端を超えて延在するリング押込付属肢と;を有し、内側長手方向要素は、リング押込付属肢がリングに接触し、スレッドが側面開口部を介して内側管を通過する間に、リングをシャフトに押し付けるように構成される。
【0015】
幾つかの実施形態では、リング押込付属肢が、リングをシャフトに押し込んだ後に スレッドを切断するように構成された、鋭い端部を備える。
幾つかの実施形態では、回転維持要素がばねを有する。
幾つかの実施形態では、ばねが、回転可能要素の周りに巻かれ、回転可能要素を回転させ、回転可能要素を押すことによって回転の逆転を抑制する、ように構成されたコイルを有する。
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの回転可能要素は、一対の対向する回転可能要素を含み、対は、そのそれぞれの近位端の間でスレッドを把持するように構成される。
幾つかの実施形態では、ロック本体が インプラントまで前進している間、および スレッドが内側長手方向要素を通過している間、対のそれぞれの近位端の間に介在するように構成された遠位端、を有する中空の内側長手方向要素と;そして内側長手方向要素が外側長手方向要素を通過する間、そして内側長手方向要素の遠位端が対のそれぞれの近位端の間から引き出されている間、ロック本体に反力を加えるように構成された中空の外側長手方向要素と;をさらに有し、コイルが 対を一緒に押すことにより対は互いに向かって回転する。
【0016】
幾つかの実施形態では、外側長手方向要素は、対の回転に続いてスレッドを切断するように構成された鋭い遠位端部を有する。
幾つかの実施形態では、回転可能要素のそれぞれの近位端は、それぞれのノッチを画定するように形作られ、内側長手方向要素の遠位端は、ノッチの中に適合するように構成される。
幾つかの実施形態では、回転可能要素は、開口を画定するように形作られ、そしてばねは、回転可能要素の回転に続いて開口に跳ねて入り、それにより回転の逆転を抑制するように構成されたワイヤを有する。
幾つかの実施形態では、装置は、スレッドが内側長手方向要素を通過する間にロック本体から引き抜くことによって回転可能要素を回転させるように構成された中空の内側長手方向要素と;そして内側長手方向要素が外側長手方向要素を通過する間に、そして内側長手方向要素がロック本体から引き抜かれている間に、ロック本体に反力を加えるように構成された中空の外側長手方向要素と;をさらに有する。
【0017】
幾つかの実施形態では、内側長手方向要素の遠位端は、遠位端開口を画定するように形作られ、そして回転可能要素は、ロック本体がインプラントまで前進している間、 遠位端開口の内側に適合するように構成された突起を画定するように形作られている。
幾つかの実施形態では、内側長手方向要素は、側面開口を画定するように成形され、 内側長手方向要素は、スレッドが側面開口を介して内側長手方向要素を通過する間、ロック本体をインプラントに前進させるように構成される。
幾つかの実施形態では、内側長手方向要素は、側面開口を少なくとも部分的に取り囲み、そして内側長手方向要素の引き抜き時にスレッドを切断するように構成される、鋭い端部を有する。
【0018】
本発明の幾つかの実施形態によれば、さらに体内インプラントを通過するスレッドの上に体内インプラントを固定する方法が提供される。方法は、少なくとも1つの回転可能要素を有するロック本体を、スレッド上でインプラントに前進させるステップと;そしてロック本体をインプラントに前進させた後、ロック本体がインプラントの近位でスレッドを把持するように回転可能要素を回転させるステップと;を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明は以下の図面を参照した実施形態の詳細な説明により、より完全に理解されよう:
【
図1】本発明のいくつかの実施形態による、被験者の心臓の左心房内に展開されたスレッド展開装置の概略図である。
【
図2】本発明のいくつかの実施形態による、拡張状態のスレッド展開装置の概略図である。
【
図3-4】
図3は、本発明のいくつかの実施形態による、管および管ガイドを通る長手方向断面の概略図である。
図4は、本発明のいくつかの実施形態による、代替のスレッド展開装置の概略図である。
【
図5】本発明のいくつかの実施形態による、スレッド展開要素の概略図である。
【
図6A-D】本発明のいくつかの実施形態による、スレッド展開要素による組織へのスレッドの展開を集合的に示す図である。
【
図7】本発明のいくつかの実施形態による、代替のスレッド展開要素の概略図である。
【
図8A-D】本発明のいくつかの実施形態による、スレッド展開要素による組織へのスレッドの展開を集合的に示す図である。
【
図9】本発明のいくつかの実施形態による、僧帽弁輪へのインプラントの送達の概略図である。
【
図10-11】
図10は、本発明のいくつかの実施形態による、管内に保持された組織アンカーの概略図である。
図11は本発明のいくつかの実施形態による、拘束された状態の組織アンカーの概略図である。
【
図12-13】
図12は、本発明のいくつかの実施形態による、拡張状態の組織アンカーの概略図である。
図13は本発明のいくつかの実施形態による、被験者の組織にスレッドを固定する組織アンカーの概略図である。
【
図14-15B】
図14は、本発明のいくつかの実施形態による、ロックの概略図である。
図15A-Bは、本発明の異なるそれぞれの実施形態による、
図14のロックを通る長手方向断面の概略図である。
【
図16A-18】
図16Aは、本発明のいくつかの実施形態による、インプラント上でロックを固定するためのロック装置の概略図である。
図16Bは、本発明のいくつかの実施形態による、
図16Aのロック装置の一部を通る長手方向断面の概略図である。
図17は、本発明のいくつかの実施形態による、スレッドの上のロック本体の前進の概略図である。
図18は、本発明のいくつかの実施形態による、ロック本体の上へのリングの押し込みの概略図である。
【
図19-20B】
図19は、本発明のいくつかの実施形態による、ロックの概略図である。
図20Aは、本発明のいくつかの実施形態による、インプラント上でロックを固定するためのロック装置の概略図である。
図20Bは、本発明のいくつかの実施形態による、
図20Aのロック装置の一部を通る長手方向断面の概略図である。
【
図21-22】
図21は、本発明のいくつかの実施形態による、スレッドの上のロック本体の前進の概略図である。
図22は、本発明のいくつかの実施形態による、ロック本体の上へのリングの押し込みの概略図である。
【
図23-24】
図23は、本発明のいくつかの実施形態による、ロックの概略図である。
図24は、本発明のいくつかの実施形態による、インプラント上でロックを固定するためのロック装置の概略図である。
【
図25-26】
図25は、本発明のいくつかの実施形態による、スレッドの上のロックの前進の概略図である。
図26は、本発明のいくつかの実施形態による、ロックの固定を示す概略図である。
【
図27-28B】
図27は、本発明のいくつかの実施形態による、ロックの概略図である。
図28Aは、本発明のいくつかの実施形態による、インプラント上でロックを固定するためのロック装置の概略図である。
図28Bは、本発明のいくつかの実施形態による、
図28Aのロック装置の一部を通る長手方向の断面を示す。
【
図29】本発明のいくつかの実施形態による、スレッドの上のロックの前進を示す概略図である。そして
【
図30】本発明のいくつかの実施形態による、ロックの固定を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(概要)
本発明の実施形態は、弁輪形成術弁および他のインプラントを経皮的のインプラントするための装置および方法を提供する。
【0021】
本発明の実施形態では、1つまたは複数のスレッドは、被験者の僧帽弁輪など、被験者の体内の移植部位に配置される。続いて、弁輪形成術弁などのインプラントが、スレッドを越えてインプラント部位に進められる(または「送達される」)。次に、それぞれのロックがスレッドを越えてインプラントまで進められ、インプラントに対して近位にロックされる。ロックを固定すると、ロックがスレッドをつかみ、インプラントを所定の位置に固定する。インプラントの固定に続いて、スレッドはロック対して近位で切断される。
【0022】
いくつかの実施形態では、スレッドに結合されたそれぞれの組織アンカーは、スレッドの展開中に移植部位の組織で拡張され、それにより組織アンカーがスレッドを組織に固定する。本明細書に記載の1つの特定のタイプの組織アンカーは、形状記憶材料でできており、管の近位部分の付属肢と共に、管の近位部分を管の遠位部分に結合する複数のストリップを有する。組織アンカーが展開すると、ストリップは放射状に拡張して組織の遠位側にそれぞれのループを形成し、そして付属肢は組織内または組織の近位側に放射状に拡張する。有利なことに、ループは、組織アンカー(したがってスレッド)が組織から近位に移動するのを抑制し、同時に組織に加えられる応力を分散させ、一方、付属肢は、組織アンカー(したがってスレッド)が組織から遠位に移動するのを妨げる。
【0023】
他の実施形態では、スレッドは組織を通過してループ状になっており、組織アンカーは必要とされない。
【0024】
本発明の実施形態はまた、様々なタイプのロックを含む。ロックのそれぞれは、少なくとも1つの回転可能要素を含み、回転可能要素の回転時にスレッドを把持するように構成される。例えば、回転可能要素が回転すると、回転可能要素は、スレッドをロックの別の部分に押し付けることができる。各ロックは、回転可能要素をその回転位置に維持するように構成された回転維持要素をさらに含み、したがって、スレッドの把持を維持する。例えば、ロックは、回転可能要素またはロックの別の部分に適合することによって、回転可能要素が後方に回転するのを防止するリングを含み得る。
【0025】
(スレッドの展開とインプラントの送達)
本発明のいくつかの実施形態による、被験者の心臓24の左心房22内に展開されたスレッド展開装置20の概略図である
図1が最初に参照される。
【0026】
スレッド展開装置20を左心房22に送達するために、シース26は、最初に、例えば、大腿静脈および下大静脈を介して、または頸静脈および上大静脈を介して、心臓24に経皮的に挿入される。続いて、当技術分野で知られている技術を使用して、シース26を心房中隔経由で左心房に入れる。シース26は、通常、ガイドワイヤ上で、透視ガイダンスの下で、および/または超音波(例えば、経胸壁心エコー検査(TTE)または経食道心エコー検査(TEE))、磁気共鳴画像法(MRI)またはコンピュータ断層撮影(CT)などの他の適切な画像診断法のガイダンスの下で進められる。
【0027】
シースが左心房に送達された後、スレッド展開装置20はシース26から遠位に前進する。いくつかの実施形態では、カテーテル28が最初にシースから前進し、次にスレッド展開装置20がカテーテル28を通過して押し出され、カテーテルの遠位端から出現する。
【0028】
いくつかの実施形態では、
図1に示されるように、シース26は、シース26の遠位開口部が僧帽弁に面するように、左心房内で屈曲される。カテーテル28も同様に屈曲される。続いて、スレッド展開装置20は、カテーテル28の遠位開口部から僧帽弁に向かって押し出される。あるいは、シース26が左心房内で屈曲される実施形態では、カテーテル28は必要とされない場合があり、スレッド展開装置20は、シース26によって保持され、シース26から押し出され得る。
【0029】
他の実施形態では、シース26は左心房内で屈曲されていない。むしろ、カテーテル28は、シースから前進した後に屈曲し、それによりカテーテルの開口部が僧帽弁に面する。次に、スレッド展開装置20がカテーテルから前進する。
【0030】
最初に、スレッド展開装置20は折りたたまれた、または「捲縮された」状態にある。いくつかの実施形態では、最初にスレッド展開装置20の遠位端を覆う保持チップ30は、装置をこの折りたたまれた状態に保持する。スレッド展開装置20のシース26からの遠位前進に続いて、保持チップ30は、保持チップからシース26の長さを貫通して被験者の外部にまで通るプッシュワイヤを使用して、装置の遠位端から押し出される。次に、スレッド展開装置20は、心房内で拡張(または「開く」)ことができる。保持チップ30の除去に加えて、
図2を参照して以下でさらに説明するように、スライダ32を使用して装置を開くことができる。スライダ32を使用する代わりに、被覆シースをスレッド展開装置20の上から引っ込めることができる。
【0031】
スレッド展開装置20は、複数の可撓性管ガイド35とともに、管34の環状組立体(または「集合体」)を備える。管34のそれぞれは、それぞれの管ガイド35内にスライド可能に配置され、それにより管ガイドが管の動きを誘導する。通常、各管ガイドは円筒形である。
【0032】
スレッド展開装置20は、管ガイドに結合された拡張可能な環状構造36をさらに備える。いくつかの実施形態では、環状構造36は、適切な形状記憶材料、例えば、ニチノールから製造される。保持チップ30の押し出し、および/またはスライダ32の適切な動きは、環状構造36がその所定の「記憶された」形状に向かって半径方向外向きに拡張するように、環状構造36を拡張することを可能にする。他の実施形態では、環状構造36は、ステンレス鋼、ポリマー管、および/または他の任意の適切な金属、ポリマー、またはそれらの組み合わせなどの非形状記憶材料から製造される。そのような実施形態では、保持チップ30の押し出し、および/またはスライダ32の適切な動きは、環状構造36がその捲縮状態から跳ね上がることを可能にする。いずれにせよ、環状構造が拡張すると、環状構造は、管ガイド35を半径方向外向きに動かすことによって、被験者の組織42上で管の組立体を拡張する。
【0033】
複数のスレッド(図示せず)が管34から被験者の外部に貫通する。被験者内の環状構造(したがって、管の環状組立体)の拡張に続いて、管は、その後の管から組織42へのスレッドの展開のために、組織42上に配置および/または配向される。例えば、管は、その後のスレッドの僧帽弁輪への展開のために、僧帽弁輪の上方に(すなわち、僧帽弁輪の上面で、左心房の内側に)配置され得る。
【0034】
一般に、スレッド展開装置20は、4~20本の管など、任意の適切な数の管を含むことができる。管34は、任意の適切な金属またはプラスチック材料から製造することができる。典型的には、管は、スレッド展開装置20の送達、展開、およびその後の使用を通して、管34の近位端が被験者の外側に配置されるように、シース26の全長を貫通する。典型的には、スレッド展開装置20は、装置の中央長手軸44の周りで回転可能である。
【0035】
典型的には、スレッド展開装置20は、典型的には環状構造の近位端(または「上部」)で環状構造に結合された複数の長手方向ワイヤ38を備える。
図2を参照して以下でさらに説明するように、長手方向ワイヤ38は、スレッド展開装置20の半径の調整を容易にし、したがって、管からのスレッドの展開のための管34の位置決めを容易にし、および/またはスレッドの展開の後の装置の捲縮を容易にし得る。いくつかの実施形態では、長手方向ワイヤ38をさらに使用して、環状構造36を操作することができ、したがって、管の位置決めを容易にすることができる。例えば、環状構造に押し付け力を加えることにより、長手方向ワイヤ38は、環状構造36(したがって、管も)を軸方向に、すなわち、中央長手軸44に平行な方向に、移動させることができ、それによりそれぞれの管を弁輪に接触させる。
【0036】
典型的には、スレッド展開装置20は、それぞれの管ガイド35の遠位部分に結合された複数の制御ワイヤ40をさらに備える。制御ワイヤ40は、管ガイドを屈曲させ、したがって、後続のスレッドの展開のために管を配置および/または配向するように構成される。例えば、Baretらの米国特許10,463,486(特許文献3)の
図12A-Dを参照して説明したように、スレッドの展開位置を半径方向内側に(すなわち、中心長手軸44に向かって)移動させるために、関連する管を半径方向内側に曲げることができる。逆に、スレッド展開位置を半径方向外側に移動させるために、関連する管を半径方向外側に曲げることができる。
【0037】
任意の特定の管34の必要な位置決めおよび/または配向に続いて、管は、管が含まれる管ガイドを介して押され、それにより管は組織に侵入する。続いて、スレッドは、管から展開される、即ち、スレッドは、
図3を参照して以下でさらに説明するように、管内または管の外面から組織を貫通する。(スレッドは、管を引っ込めることによって、および/またはスレッドが結合されている組織アンカーを管の外面から押すことによって、管の外面から通過することができる。)
【0038】
図1は、特に左心房内へのスレッド展開装置20の展開を示しているが、スレッド展開装置20は、被験者の体内の他の適切な場所に同様に展開され得ることに留意されたい。例えば、スレッド展開装置20は、三尖弁輪へのスレッドの送達を容易にするために、被験者の右心房内に配置され得る。
【0039】
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、拡張状態のスレッド展開装置20の概略図である
図2を参照する。
【0040】
最初に、
図2の挿入部分を参照する。これは、管ガイド35を部分的に通過する管34と、管ガイドの遠位端から通過するスレッド58とを示している。
【0041】
図1を参照して前述したように、管ガイド35は可撓性である。例えば、管ガイド35は、複数の円周溝54を画定するように形作られ得る。例えば、各溝54は、管ガイド35の円周の少なくとも50%、例えば、少なくとも65%にわたって延在し、それによりガイド35は、溝によって、複数の半接続セグメント56に分割される。そのような実施形態では、管ガイド35は、半接続セグメント56が互いに対して旋回することができるという点で、溝54によって可撓性である。あるいは、管ガイド35は、管ガイドが作られる材料に起因して、および/または任意の適切な製造プロセスに起因して可撓性であり得る。一般に、管ガイド35は、ニチノールなどの任意の適切なプラスチックまたは金属材料から製造することができる。
【0042】
図1を参照して上で説明したように、管ガイド35は、管の通過を案内し、したがって、管からのスレッド58の展開を容易にする。いくつかの実施形態では、スレッド58が展開される前に、スレッド58の遠位端は、
図3を参照して以下でさらに説明されるように、管34の内側に運ばれる。そのような実施形態では、スレッド58は、管ガイド35の遠位端を通過し、次に、管ガイド35および管34の外側に沿って被験者の外部まで延在する。あるいは、スレッド58は、管ガイドの遠位端を通過する代わりに、管の壁の開口、および/または管ガイドの壁の開口を通過しうる。さらに別の代替として、スレッド58は、管34の内側から被験者の外側まで延在しうる。
【0043】
他の実施形態では、スレッド58が展開される前に、スレッド58の遠位端は、管34の外面に運ばれる。しかしながら、説明を容易にするために、本説明の残りの部分では、概して、スレッドの遠位端が
図2に示されるように、管34内に担持されていることを想定している。
【0044】
典型的には、管ガイドのそれぞれは、少なくとも1つの制御ワイヤ40に結合される。いくつかの実施形態では、
図2に示されるように、制御ワイヤ40のそれぞれは、ループ状遠位端46を備え、それは、それぞれ1つの管ガイドに結合されている。一般的にループ状遠位端46は径方向に向いており、管および管ガイドに近いループ状遠位端の外側アーム48が第1の半径に配置され、管および管ガイドから遠いループ状遠位端の内側アーム50が第1の半径よりも小さい第2の半径に配置される。(この文脈では、「半径」は中央長手軸44からの距離を意味する。)
【0045】
(外側アーム48および内側アーム50はまた、ループ状遠位端46だけではなく、制御ワイヤ全体に属すると言うことができることに留意されたい。したがって、例えば、外側アーム48および内側アームは、外側アーム48および内側アーム50は、ループ状の遠位端46から被験者の外部まで延在すると言うことができる。)
【0046】
いくつかの実施形態では、制御ワイヤ40は、管ガイドに直接結合されている。他の実施形態では、制御ワイヤは、管ガイドに間接的に結合され、例えば、制御ワイヤは、環状構造36に結合され、環状構造36は、次に、管ガイドに結合される。特許請求の範囲を含む本出願の文脈において、「結合された」という用語は、その範囲に、直接結合または間接結合のいずれかを含み得ることに留意されたい。
【0047】
通常、制御ワイヤがループ状になっている実施形態では、各管ガイドは、制御ワイヤの他の近位端に対して、取り付けられた制御ワイヤの一方の近位端を動かすことによって曲げられる。例えば、内側アーム50の近位端50pは、外側アーム48の近位端48pが所定の位置に保持されているか、または自由にスライドできるようにしながら、引っ張られるかまたは押されてもよい。あるいは、近位端40pが所定の位置に保持されているか、または自由にスライドできるようにしながら、近位端48pを引っ張るかまたは押してもよい。管ガイドの屈曲は、Barらに対する米国特許10,463,486(特許文献3)の
図12A-Dを参照して説明したように、管の位置決めを容易にする。
【0048】
他の実施形態では、制御ワイヤはループ状ではなく、むしろ、長手方向ワイヤ38と同様に長手方向である。典型的には、そのような実施形態では、各管は2つの制御ワイヤに結合され、2つの制御ワイヤのうちの1つは他の制御ワイヤよりもより大きな半径に配置される。
(そのような実施形態では、外側制御ワイヤは外側アーム48に類似しており、したがって「外側制御アーム」と呼ばれることがあり、一方、内側制御ワイヤは内側アーム50に類似しており、したがって「内部制御アーム」と呼ばれうる。)2本の制御ワイヤは管ガイド上の共通な1点で結合されうる。あるいは、外側の制御ワイヤは、内側の制御ワイヤよりもわずかに近位の位置で結合されうる。例えば、2つの制御ワイヤは、互いに0.5~10mmの距離で、管に属する2つの異なる半接続セグメント56にそれぞれ結合され得る。
【0049】
さらに他の実施形態では、単一の長手方向制御ワイヤが、管ガイドのそれぞれに結合されている。そのような実施形態では、各管ガイドは、管ガイドを貫通する取り付けられた制御ワイヤを管に対して動かすことによって曲げることができる。
【0050】
図1を参照して前述したように、スライダ32を使用して、管34の組立体と環状構造36の両方を拡張(つまり開く)および捲縮(つまり閉じる)することができる。通常、スライダ32は制御ワイヤ40によって形成される「トラック」に沿ってスライドする。例えば、スライダ32は、制御ワイヤの内側アーム50および外側アーム48の両方に沿ってスライドすることができる。スライダがこのトラックの最も遠位の位置(またはその近く)にあるとき、管の組立体と環状構造は捲縮位置に保持される。したがって、装置を捲縮するために、スライダ32は、スライダが管組立体および環状構造に捲縮力を及ぼすように、制御ワイヤに沿って遠位方向にスライドさせることができる。スライダの遠位スライドに続いて、カテーテル28および/またはシース26は、長手方向ワイヤ38に沿って遠位方向にスライドされ得、したがって、装置をさらに捲縮することができる。最後に、カテーテル28および/またはシース26を装置の上を通過させることができる。逆に、装置を拡張するために、スライダ32は、制御ワイヤに沿って近位方向にスライドされ得、それにより環状構造、したがって管の組立体も拡張可能にする。
【0051】
通常、各内側アームは、対応する外側アームがスライダを通過する半径よりも小さい半径でスライダを通過する。例えば、スライダ32は、制御ワイヤのそれぞれの外側アームが通過する第1の円筒67aと、第1の円筒から遠位に配置され、制御ワイヤのそれぞれの内側アームが通過する、第1の円筒67aよりも狭い(すなわち、より小さい半径を有する)第2の円筒67bとを含み得る。この構成は、スライダ32が他の方法で可能であるよりもより遠位の位置にスライドすることができるという点で、装置の捲縮を容易にする。
【0052】
典型的には、環状構造36は、交互の上部頂点と下部底点を有する三角波形状のリングを含み、下部底点のそれぞれは、それぞれ1つの管ガイドに結合されている。そのような実施形態では、長手方向ワイヤ38は、典型的には、環状構造の上部頂点に結合されている。上記のように、長手方向ワイヤ38は、スレッド展開装置20の半径の調整を容易にし、半径は、長手方向ワイヤに沿ってカテーテル28(および/またはシース26)をスライドさせることによって調整することができる。この調整は、管からのスレッドの展開のための管34の位置決め、および/またはスレッドの展開後の装置の捲縮を容易にし得る。
【0053】
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、管34および管ガイド35を通る長手方向断面の概略図である
図3を参照する。
【0054】
典型的には、複数の拡張可能な組織アンカー60は、それぞれ、管34内に配置される。さらに、複数のアンカー押出要素62が、それぞれ、管内で、組織アンカー60に対して近位に配置される。
【0055】
いくつかの実施形態では、
図3に示されるように、各スレッド58の遠位端は、それぞれの組織アンカー60に結び付けられる。そのような実施形態では、
図3に示されるように、スレッド58は、管のそして管ガイドの遠位端を通過し、そして管34に沿って被験者の外側まで延在する;あるいは、スレッドが管を通過することもある。他の実施形態では、スレッドは、スレッドが組織アンカーを通過し、組織アンカーの遠位で結ばれる(結び目の直径が組織アンカーの直径よりも大きい)ことによって組織アンカーに結合される。そのような実施形態では、典型的には、スレッドは、例えば、
図10(以下に説明される)に示されるように、アンカー押出要素62を貫通することによって、管を貫通する。
【0056】
特定のスレッドを展開するために、スレッドを担持する管が組織を貫通し、その結果、スレッドも組織を貫通する。(管34は、被験者の外部まで延在することができ、その場合、管は直接押されてもよい;あるいは、管の近位に配置され、被験者の外部まで延びる別個の管押出要素を使用して管を押し出してもよい。)続いて、アンカー押出要素62を使用して組織アンカー60が管から押し出される。管から出ると、組織アンカー60は、例えば、
図9および
図13に示されるように、組織の遠位側で拡張する。続いて、管およびアンカー押出要素は、管ガイド35内に引き戻される。
【0057】
組織アンカー60の展開に続いて、引っ張り力がスレッド58に連続的に加えられて、例えば、
図14-30を参照して以下に説明するように、インプラントが所定の位置にロックされるまで組織アンカー60を所定の位置に保持することができる。代替的または追加的に、組織アンカーは、1つまたは複数の付属肢を含み得、これは、例えば、
図13を参照して以下に記載されるように、組織と係合することによって組織アンカーを所定の位置に保持することを容易にする。
【0058】
いくつかの実施形態では、
図3に示すように、各管34は、尖った遠位端64を含む。そのような実施形態では、管34は、あるいは「針」と呼ばれ、管ガイド35は「針ガイド」と呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、管34は、遠位端64を含む針に遠位で結合されている。特許請求の範囲を含む本出願の文脈において、そのような針は、管の延長と見なされ得る。
【0059】
図1を参照して上で説明したように、管34は、左心房内の僧帽弁輪の上面に配置することができる。いくつかの実施形態では、組織アンカー60を展開するために、管34は、僧房弁輪を通って左心室に通され、それにより組織アンカー60が僧房弁のリーフレットの下の左心室内で拡張する。他の実施形態では、管は、左心房内の僧房弁のリーフレットの上方の組織から出現する。いくつかの実施形態では、尖った遠位端64は半径方向内側に湾曲しており、それにより管は弁輪の半径方向内側に面する面を通って弁輪から出る。そのような実施形態では、組織アンカーは、
図9に示されるように、弁輪の半径方向内側の面に沿って展開され得る(特許請求の範囲を含む本出願の文脈において、「遠位側」という用語は、移植部位の組織に関して使用される場合、弁輪の半径方向内側に面する面を含み得る。)
【0060】
いくつかの実施形態では、すべての管が適切に配置および/または配向された後にのみ、管が組織を貫通する。他の実施形態では、管の少なくとも1つは、すべての管が適切に配置および/または配向される前に組織を貫通し得、その結果、他の管のその後の配置は、第1の管をその意図された貫通部位から移動させない。例えば、(i)管の位置決めおよび/または配向するステップ、(ii)管に僧帽弁輪を貫通させるステップ、(iii)管から組織アンカーを通過させるステップ、および(iv)管および組織アンカー押出要素を引っ込めるステップ、のシーケンスは、一度に1つの管で管ごとに実行できる。あるいは、例えば、各管を配置および/または配向した後、管が、弁輪の組織を貫通することができるが、組織アンカーは、他の管の少なくともいくつかが組織を貫通するまで、管から通過しないことができる。
【0061】
各管は、対応する管ガイドおよび/またはスレッドの展開を容易にする上記の他の要素のいずれかとともに、「スレッド展開要素」と呼ばれることがあり、その結果、装置20は、スレッド展開要素の環状組立体と呼ばれる。
【0062】
次に、本発明のいくつかの実施形態による、代替のスレッド展開装置20aの概略図である
図4を参照する。
【0063】
一般に、スレッド展開装置20aは、例えば、拡張可能な環状構造36が、スレッドの展開の前に組織上で管34の組立体を拡張する態様、および管が配置および/または方向付けされる態様について、スレッド展開装置20と類似している。しかしながら、スレッド展開装置20aは、管34の構成、およびスレッドが展開される態様に関して、スレッド展開装置20とは異なる。
【0064】
詳細には、スレッド展開装置20aでは、各管34は、管ガイド35の近くに配置された弧状遠位部分66を備える。例えば、遠位部分66は、第1の管端部68aおよび第2の管端部68bを有する遠位に向いた三日月を画定するように形作られる。一般に、弧状遠位部分66は、管34のより近位の部分よりも柔軟性が低い。例えば、弧状の遠位部分66は剛性であり得る。(いくつかの実施形態では、弧状の遠位部分のすぐ近位にある管34の部分もまた剛性であり得る。)
【0065】
図5および7を参照して以下でさらに説明するように、少なくとも1つの弧状針が弧状遠位部分66内に配置される。弧状針のそれぞれは、スレッド展開装置20の場合と同様に、それぞれのスレッド58(
図4には示されていない)の遠位端に結合され、そのスレッドは管34に沿って、または管34内を通って被験者の外側まで延在する。以下でさらに説明するように、弧状の針は、弧状遠位部分66から弧状に組織を貫通することによって、僧房弁輪の組織を貫通してスレッドを輪で結ぶように構成される。組織を輪で結ぶスレッドのおかげで、組織アンカーを配置する必要がない場合がある。
【0066】
通常、第1の管端部68aと第2の管端部68bは尖っている。(したがって、スレッド展開装置20の場合のように、管34は「針」と呼ばれ得、管ガイド35は「針ガイド」と呼ばれ得る。)そのような実施形態では、スレッドの展開を容易にするために、第1の管端部68aおよび第2の管端部68bは、弧状の針が通過する前に、弧状の遠位部分66から組織を通って弁輪の組織を貫通し得る。
【0067】
各管は、そこに含まれる弧状の針および/またはスレッドの展開を容易にする以下に説明する他の要素のいずれかとともに、「スレッド展開要素」と呼ばれることがあり、それによりスレッド展開装置20aは、スレッド展開要素の環状組立体と呼ばれることがある。これに関して、本発明のいくつかの実施形態による、スレッド展開要素65の概略図である
図5を参照する。(
図5は、弧状遠位部分66の近位にある管34、または管ガイド35の部分を示していない。)
【0068】
図5に示される特定の実施形態では、尖った遠位端70dを有する単一の弧状針70が、弧状遠位部分66内に配置される。スレッド58は、弧状針70の近位端70pに結合される。スレッド展開要素65は1つまたは複数(例えば、正確に2つ)の遠位シャフト72を備え、遠位シャフトは弧状針70と接触する管に結合される。
図6A~Dに示されるように、遠位シャフト72は、回転することによって、弧状針70が組織42を貫通するように構成される。典型的には、遠位シャフト72は、1つまたは複数の近位シャフト74を回転させることによって回転する。例えば、1つまたは複数のベルト76は、集合して、遠位シャフト72を互いに、そして近位シャフト74に機械的に結合して、遠位シャフト72が近位シャフトの回転に応答して回転するようにすることができる。(シャフトが管の遠位部分66に比較的近い場合でも、弧状針70と接触していない任意のシャフトは、本明細書では「近位シャフト」と呼ばれることに留意されたい。)
【0069】
ここで本発明のいくつかの実施形態による、スレッド展開要素65によるスレッド58の組織42への展開を集合的に示す
図6A~Dを参照する。
【0070】
図6Aは、管34の弧状遠位部分66による組織42への侵入を示す図である。
図6Bに示されるように、組織への侵入に続いて、遠位シャフト72は、(近位シャフト74の回転を介して)回転され、それにより弧状針70は、弧状の遠位部分66から組織42を弧状に貫通する。(弧状針の動きは、「回転」としても説明され得る。)弧状針が組織を貫通するとき、弧状針の近位端に結合されるスレッド58も組織を貫通する。通常、弧状針は、弧状針全体が(i)一方の管端部を通過して組織に入り、(ii)組織を貫通し(iii)もう一方の管端部を通過するように回転する。例えば、針は360度の完全な回転を受けるかもしれない。
【0071】
図6Cは、針70の回転に続くスレッド展開要素65の構成を示す。この構成では、スレッド58は、一方の管端部から他方の管端部を通って組織を弧状に貫通し、次に、弧状遠位部分66内の開口部から被験者の外側へ貫通する。(明確にするために、
図6Cでは、スレッド58の経路が強調されている。)
【0072】
図6Dに示されるように、針の回転に続いて、管34が管ガイドを通して引っ込められ、弧状遠位部分66が組織から引き抜かれる。スレッド展開要素の引き抜きに続いて、スレッド58は組織42を貫通してループし、その結果、被験者の身体からのスレッド展開装置20aの引き抜きに続いて、スレッドの2つの異なるセグメント(第1のセグメント63aおよび第2のセグメント63b)が組織から被験者の外部まで貫通する。
【0073】
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、代替のスレッド展開要素51の概略図である
図7を参照する。(
図5と同様に、
図7は管34または管ガイド35の全体を示していない。)
【0074】
スレッド展開要素51は、スレッド展開装置20a(
図4)と共に、スレッド展開要素65に対し代替的にまたは追加的に使用され得る。スレッド展開要素51は、少なくともいくつかの点でスレッド展開要素65に類似している。例えば、スレッド展開要素51において、管34は、管端部68aおよび68bを含む弧状の遠位部分66を含む。スレッド展開要素51はまた、少なくともいくつかの点でスレッド展開要素65とは異なる。例えば、単一の弧状針の代わりに、スレッド展開要素51は、第1の弧状針70aおよび第2の弧状針70bを含む一対の弧状針を有する。典型的には、第1の弧状針70aは、第1の尖った遠位端59aおよび第1の針本体61aを含み、これらは互いに可逆的に結合されている。同様に、第2の弧状針70bは、第2の尖った遠位端59bおよび第2の針本体61bを含み、これらは互いに可逆的に結合されている。第1のスレッド58aは、第1の尖った遠位端59aに結合され、第2のスレッド58bは、第2の尖った遠位端59bに結合される。
【0075】
図8A~Dを参照して以下でさらに説明するように、第1の弧状針70aおよび第2の弧状針70bは、それぞれ、第1の管端部68aおよび第2の管端部68bから、互いに向かって、組織42を弧状に通過することによって、第1のスレッド58aおよび第2のスレッド58bを展開する。2つの弧状の針が組織内で互いに衝突すると、第1の尖った遠位端59aおよび第2の尖った遠位端59bが互いに結合し、その結果、第1のスレッド58aが第2のスレッド58bに結合される。したがって、2つのスレッドは、
図6Dに示されるスレッド58のループと同様に、組織を貫通してループする単一のスレッドになる。
【0076】
典型的には、弧状針のそれぞれの近位端は、ヒンジ制御棒53によって制御され得るヒンジ55に結合される。典型的には、
図7に示されるように、ヒンジ55はV字形であり、それぞれの弧状針の近位端はヒンジのそれぞれの端部に結合され、ヒンジ制御棒53の遠位端がヒンジの内側に配置される。ばね(または「クランプ」)57は、ヒンジに閉鎖力を加え、その結果、ヒンジ制御棒53の遠位端が比較的近位の位置にあるとき(
図7のように)、ヒンジはほぼ閉じられる。逆に、ヒンジ制御棒53がヒンジに対してより遠位の位置に押されると、ヒンジが開かれ、弧状針が弧状遠位部分66から、被験者の組織を貫通する。
【0077】
第1の尖った遠位端59aおよび第2の尖った遠位端59bは、任意の適切な方法で互いに結合するように構成され得る。例えば、
図7に示されるように、第1の尖った遠位端59aは、雄の接続先端を画定するように成形され得、第2の尖った遠位端59bは、第1の尖った遠位端59aを適切に受け入れるように構成された雌の接続先端を画定するように成形され得る。ヒンジ制御棒53によってヒンジ55に十分な力が加えられると、第1の尖った遠位端59aが第2の尖った遠位端59bに押し込まれる。
【0078】
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、スレッド展開要素51による組織42へのスレッド58aおよび58bの展開を集合的に示す
図8A~Dを参照する。まず、
図8Aに示すように、第1の管端部68aおよび第2の管端部68bが組織42を貫通する。次に、
図8Bの下向き矢印によって示されるように、ヒンジ制御棒がヒンジに押し付けられる。それによりヒンジが開き、弧状の針が組織を通過する。ヒンジが十分に開かれると、第1の尖った遠位端59aは、第2の尖った遠位端59bに結合する。続いて、
図8Cの上向き矢印によって示されるように、ヒンジ制御棒が引き抜かれ(すなわち、近位に移動され)、ヒンジ55がばね57によって閉じられる。ヒンジが閉じると、ヒンジは、針本体と針のそれぞれの遠位端との間の結合力を超える力を第1の針本体61aおよび第2の針本体61bに加える。その結果、針本体は針のそれぞれの遠位端から切り離される。最後に、
図8Dに示されるように、スレッド展開要素51が引き抜かれる。
【0079】
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、僧帽弁輪75へのインプラント71の送達の概略図である
図9を参照する。
【0080】
スレッド58の展開に続いて、スレッド展開装置は捲縮され、カテーテル28および/またはシース26(
図1)に挿入され、次いで被験者から引き抜かれる。続いて、インプラント71は、スレッドを越えて僧帽弁輪75に送達され得る。
図9に示されるように、インプラント71は、弁輪形成術リングを含み得る。あるいは、例えば、インプラントは、置換弁を含み得る。
【0081】
最初に、インプラント71は、スレッドの近位端をインプラントのそれぞれの開口部に通すことによって、スレッドに搭載される。(スレッドが展開される前であっても、インプラントはスレッドに搭載され得ることに留意されたい。)スレッド展開装置20a(
図4)について上で説明したように、組織を通ってループする単一のスレッドは、2つの別個のスレッドとして機能し得る。ループの各セグメント(または「アーム」)は、インプラントの異なるそれぞれの開口部を通過しうる。
【0082】
次に、それぞれの遠位ヘッド79を含む複数の中空押し棒73を、インプラントの近位のスレッドに装填することができる。次に、押し棒73は、シース26を介してインプラントをスレッドに沿って弁輪に押し込むことができる。押し棒73は、典型的には可撓性であり、その結果、押し棒は、被験者の体内で任意の数の曲がりに従うことができることに留意されたい。同様に、本明細書に記載されるように、スレッドに沿って様々な要素(例えば、ロック)を前進させるために使用される様々な他のロッド、管、および他の装置は、典型的には柔軟である。
【0083】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の引込スレッド69がインプラント71の周りにループしている。医師が、インプラントが不適切に配置された(すなわち、スレッドが不適切に配置された)ことを確認した場合、インプラント71を別のインプラントと交換する(例えば、インプラント71のサイズまたは形状が不適切であるため)、またはインプラントをまったく実行しないことを決定した場合、引き込みスレッド69はインプラント71を引っ込めるために使用することができる。その後、インプラントを実行しない場合でも被験者に侵襲的に処置する行う必要がない場合があり;むしろ、組織アンカー60が安全であるならば、単にスレッド58を切断することで十分であり得る。
【0084】
各スレッドは、ポリマー、金属(例えば、ニチノール)、および/または他の任意の適切な材料を含み得ることに留意されたい。スレッドが金属である実施形態では、スレッドは、あるいは「ワイヤ」と呼ばれることがある。
【0085】
(組織アンカー)
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、管34内に保持された組織アンカー60の概略図である
図10が参照される。本発明のいくつかの実施形態による、拘束状態の組織アンカー60の概略図である
図11、および本発明のいくつかの実施形態による拡張状態の組織アンカー60の概略図である
図12をさらに参照する。(
図12は、組織アンカーの等角図とその遠位端からの組織アンカーの図の両方を示している。)
【0086】
いくつかの実施形態では、組織アンカー60は、近位部分60p、遠位部分60d、および近位部分60pを遠位部分60dに結合する複数の(例えば、2~8の間の)ストリップ84を含む。典型的には、近位部分60pは、1つまたは複数(例えば、2つ)の付属肢(または「アーム」)82を画定するように形作られ、これらは、その近位端で近位部分60pの残りの部分に結合される。付属肢82は、例えば、それぞれのプロング83またはループを含み得る。
【0087】
通常、組織アンカー60は少なくとも部分的に中空であり、スレッドは少なくとも部分的に組織アンカーを通過する。組織アンカーをスレッドに結合するために(すなわち、スレッドが組織アンカーから滑るのを防ぐために)、スレッドを組織アンカーの遠位に結び付けることができる。あるいは、スレッド(例えば、スレッドの遠位端)は、例えば、接着剤の塗布または溶接によって、組織アンカーの遠位部分の内壁に取り付けられ得る。(この取り付けを容易にするために、遠位部分60dは、側面開口77を画定するように形作られ得る。)さらに別の代替として、スレッドは、組織アンカーの近位部分の遠位に結び付けられるか、またはその内壁に取り付けられ得る。(通常、ポリマーのスレッドは結び目があり、一方金属のスレッドは組織アンカーの内壁に取り付けられる。)
【0088】
いくつかの実施形態では、アンカー押出要素62は中空シャフトからなり、スレッド58はシャフトを貫通している。他の実施形態では、アンカー押出要素は中実のシャフトからなり、スレッドはシャフトに沿って管を通る。
【0089】
管34内に保持されている間、組織アンカー60は、
図10-11に示されるように、管によって組織アンカーに加えられる半径方向拘束力により拘束された状態にある。通常、組織アンカーが拘束されている間、組織アンカーの直径D0は0.3mm~2mmの間である。代替的または追加的に、組織アンカーの長さL0は5mm~50mmの間であり得る。
【0090】
典型的には、組織アンカーの近位部分は、付属肢の下にそれぞれの溝88を画定するように成形されることにより、付属肢82を画定するように成形される。言い換えれば、典型的には、付属肢82は、組織アンカーの近位部分から切り取られる。したがって、有利には、拘束されている間、付属肢は、組織アンカーの他の部分よりも半径方向に延在してはならない。
【0091】
管34が、スレッド58が展開されるべき部位に到達すると、管は組織を貫通し、次いでアンカー押出要素62が組織アンカー60を管から押し出すために使用される。管によって加えられた半径方向拘束力が除去されると、組織アンカーは半径方向に拡張し、
図12に示す拡張状態をとる。詳細には、ストリップ84は半径方向に拡張してそれぞれのループを形成し、これらは通常円形に配置される。さらに、付属肢82は放射状に拡張する。典型的には、付属肢82の拡張に続いて、各付属肢と組織アンカーの近位部分の長手軸90との間の角度Θは5度~60度の間である。
【0092】
通常、組織アンカーが拘束されている場合でも、ストリップは長手軸90に平行ではない。むしろ、近位部分60pに接続されている各ストリップの近位端と、遠位部分60dに接続されているストリップの遠位端との間に円周方向の角変位がある。例えば、
図12に識別される特定のストリップ84aについて示されるように、ストリップの近位端と遠位端との間の円周角αは、少なくとも5度、例えば、10~30度などの5~200度であり得る。有利には、この角変位のおかげであるトリップの拡張に続く各ストリップによって画定される平面85は、少なくとも部分的に長手方向軸90に垂直であり、したがって、少なくとも部分的に組織の表面92に平行である(
図13)。したがって、ストリップは、組織に加えられた応力をより広い領域に分散しうる。
【0093】
通常、組織アンカー60は、ニチノールなどの形状記憶材料の管から製造される。ストリップ84は、管の中央部分にスリット86(例えば、らせん状のスリット)を切断することによって形成され、一方、付属肢82は、管の近位部分に溝88を切断することによって形成される。(スリット86および溝88は、レーザー切断され得るか、または他の適切な技術を使用して形成され得る。)スリット86および溝88の切断に続いて、組織アンカーは、その拡張された形状にヒートセットされる。
【0094】
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、スレッド58を組織42に固定する組織アンカー60の概略図である
図13を参照する。
【0095】
スレッド58を固定するために、管34(
図10)が組織42を貫通する。続いて、組織アンカー60が管から部分的に押され、ストリップ84が組織42の遠位側(または「反対側」)すなわち、インプラント71が移植される近位側(または「近い側」)の反対側である組織の側で半径方向に拡張する。ストリップの拡張(拡張状態では、「ループ」と呼ばれることもある)により、組織アンカーとスレッドが組織から近位に移動するのが抑制される。
【0096】
次に、ストリップ84が組織の遠位表面92に対して引っ張られるように、スレッドが引っ張られる。スレッドが引っ張られている間、管は組織アンカーの近位部分の上から引き抜かれ、その結果、付属肢82も拡張する。組織の厚さに対する付属肢とストリップとの間の距離に応じて、付属肢は、組織内(
図13のように)または組織の近位側で、例えば、付属肢は、組織の近位表面94に接触する。いずれの場合も、拡張された付属肢が組織と噛み合うことにより、組織アンカーとスレッドが組織から遠位に移動するのが抑制される。
【0097】
通常、ストリップの拡張後、ストリップの直径D1は、組織アンカーの最大直径とも呼ばれ、4~30mmである。代替的または追加的に、組織アンカーの長さL1(ストリップの半径方向の拡張のために、長さL0(
図11)よりも短い)は、4~30mmの間であり得る。
【0098】
すべての組織アンカーの拡張に続いて、管は被験者から引き抜かれる。続いて、インプラント71は、
図9を参照して上記したように、スレッド上に送達される。次に、押し棒73(
図9)の引き抜きに続いて、それぞれのロック80(構造の詳細なしで
図13に概略的に示される)がスレッドを越えてインプラントまで進められる。ロック80の様々な実施形態を示す後続の図を参照して以下で詳細に説明するように、ロックは、インプラントの近位でスレッドを把持し、したがって、インプラントをスレッドの上に固定する。
【0099】
(ロック)
以下に説明する様々なロックのそれぞれは、スレッドの1つを越えてインプラントに前進するように構成されたロック本体を含み、ロック本体は、少なくとも1つの回転可能要素を含む。ロック本体は、回転可能要素の回転時にインプラントの近位でスレッドを把持するように構成される。各ロックは、回転可能要素の回転の逆転を抑制するように構成された、すなわち、回転可能要素をその回転した位置に維持し、したがってロック本体と係合することによりスレッドの把持を維持するように構成された回転維持要素をさらに含む。
【0100】
さらに詳細については、本発明のいくつかの実施形態による、ロック80aの概略図である
図14を最初に参照する。さらに、本発明の異なるそれぞれの実施形態による、ロック80aを通る長手方向断面の概略図である
図15A~Bを参照する。
【0101】
ロック80aは、「ワイヤ」または「ロッド」と呼ばれることもあるピン100と、回転可能要素102を通過するピンによってピン100に回転可能に結合された回転可能要素102とを含む、ロック本体96を備える。(回転可能要素102は、本明細書に記載の他の回転可能要素のそれぞれと共に、任意の適切な形状を有し得る。)典型的には、ロック本体は、要素102の各側に1つずつある2つのピンを支持する支持ブロック106をさらに備える。言い換えれば、典型的には、ピンは、一方の支持ブロック106から他方の支持ブロックへと回転可能要素102を貫通する。回転可能要素102は、回転可能要素がスレッドをロック本体の他の部分に押し付けるように、ロック本体96の別の部分に向かって回転することによって、スレッド58上でインプラントを固定するように構成される。
【0102】
例えば、ロック本体は、回転しないブロック104を備えることができ、回転可能要素は、回転可能要素がブロックに向かって回転すると、スレッドをブロック104に押し付けることができる。(ブロック104は、本明細書に記載の他のブロックのそれぞれと共に、任意の適切な形状を有し得る。)あるいは、ブロック104の代わりに、ロック本体は、別の対向する回転可能要素を含み得、対向する回転可能要素の対は、互いに向かって回転し、それらの間のスレッドをつかむ。
【0103】
ロック80aは、回転可能要素を回転させ、回転可能要素に適合することによって回転の逆転を抑制するように構成されたリング98をさらに備える。(
図14に示すように、リングは、ロック本体全体に適合することにより、回転可能要素に適合することができる。)いくつかの実施形態では、回転しないブロック104は、1つまたは複数のノッチ108を画定するように形作られ、リング98は、ノッチ108の中に適合するように構成されたそれぞれのタブ110を画定するように形作られる。有利には、タブ110をノッチに適合させることにより、リングがロック本体から滑り落ちるのを防ぐ。
【0104】
いくつかの実施形態では、
図15Aに示されるように、回転可能要素および/または回転しないブロック104はギザギザの表面116を含み、ロック本体はギザギザの表面116でスレッドを把持するように構成される。
図15Bに示されるように、ブロック104は、くぼみ114を画定するように成形され得、回転可能要素102は、回転可能要素の回転時にくぼみ114に適合するように構成された相補的突起112を画定するように成形され得、ロック本体は、スレッドを把持するように構成され得る。有利には、ギザギザの表面、および/または突起によってくぼみに押し込まれるスレッドの部分の湾曲は、ロック本体を介してスレッドがすべることによって発生する摩擦を増加させ、それによりそのような滑りを防止する。
【0105】
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、インプラント上にロック80aを固定するためのロック装置118aの概略図である
図16Aを参照する。さらに本発明のいくつかの実施形態による、装置118aの一部を通る長手方向断面の概略図である
図16Bを参照する。
【0106】
装置118aは、リング98を回転可能要素102に押し付けることによってロック80aを固定するように構成された外側長手方向要素120を備える。典型的には、外側長手方向要素120は、リングと同じ内径および/または外径を持ち、それにより遠位管120dの遠位面がリングの近位面に接触することができる、遠位管120d、または任意の他の適切な形状の構造を含む。典型的には、外側長手方向要素は、遠位管120dに結合された、より狭くより近位の近位管120pをさらに含む。
【0107】
典型的には、装置118aは、スレッドが内側長手方向要素122を通過し、内側長手方向要素が外側長手方向要素を通過する間に、ロック本体96をスレッド上で前進させるように構成された内側長手方向要素122をさらに備える。
【0108】
さらに詳細については、本発明のいくつかの実施形態による、スレッド上でのロック本体の前進の概略図である
図17、および本発明のいくつかの実施形態による、ロック本体へのリングの押し込みの概略図である
図18をさらに参照する。
【0109】
通常、リングとロック本体は、スレッド上で一緒に進められる。例えば、リングは、回転可能要素の遠位部分をスレッドに押し付けることなく、ピン100が配置されているロック本体の近位部分をリングが覆うように、ロック本体96に部分的に装填することができる。続いて、外側長手方向要素および内側長手方向要素は、リングおよびロック本体の両方が被験者の外部からインプラントまで前進するように、回転可能要素102と回転しないブロック104との間を通過するスレッド上で前進することができる。(リングがロック本体に部分的に搭載されることにより、外側長手方向要素は、リングを押すことによってロック本体を前進させることができ、および/または内側長手方向要素は、ロック本体を押すことによってリングを前進させることができる。)続いて、ロックがインプラントに接触することに応答して、外側長手方向要素を使用してリングをロック本体上にさらに押し、インプラントがロック本体に反力を提供し、それにより回転可能要素の回転を強制することができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、内側長手方向要素122は、開口124(またはノッチ)を画定するように形作られ、タブ110の1つは、ロック本体がスレッド上を前進する間、開口124に適合するように構成される。有利なことに、開口124は、リングがロック本体から滑り落ちるのを防止することによって、リングとロック本体を一緒に前進させるのを容易にする。
【0111】
例えば、リングは、リングの近位タブ110pが開口124の中に適合し、リングの遠位タブ110dが、最も近位のノッチ108などのノッチ108の1つに適合するように、ロック本体に荷重をかけることができる。続いて、外側長手方向要素によってリングに加えられる押し力は、近位タブ110pを開口124から押し出し、次に、近位タブ110pが最も近位のノッチ108などのノッチ108の1つにカチッとはまるまで、リングをロック本体上に押すことができる。
【0112】
通常、そのような実施形態では、内側長手方向要素は、遠位管122d、またはリング98の内径と同じ外径を有し、開口124を画定するように成形された他の任意の適切な形状の構造を含み、それによりそのタブ110pは、開口部に適合し得る。典型的には、内側長手方向要素は、遠位管122dに接合されている、より狭い近位管122pをさらに含む。
【0113】
典型的には、内側長手方向要素122は、回転可能要素102へのリングの押し込みに続いてスレッド58を切断するように構成された鋭い遠位端部126を備える。例えば、ロックの固定に続いて、装置118aはロックからわずかに引き抜かれ得る。続いて、内側長手方向要素は、端部126がスレッドを切断するように、外側長手方向要素から押し出され得る。続いて、装置118aおよびスレッド58の近位部分を被験者から取り除くことができる。
【0114】
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、別のロック80bの概略図である
図19を参照する。
【0115】
ロック80bは、いくつかの点でロック80a(
図14)に似ている。例えば、ロック80bはまた、少なくとも1つの回転可能要素を含むロック本体96を含む。特定の例として、ロック80bは、ブロック103、ブロック103の一方の側に配置された第1の回転可能要素102a、およびブロックの反対側に配置された第2の回転可能要素102b、ブロックおよび2つの回転可能要素を通過するピン100を含みうる。さらに、ロック80aと同様に、ロック80bは、ロック本体に適合することによって回転可能要素を回転させるように構成されたリング98を備える。
【0116】
しかし、ロック80bもロック80aとは異なる。例えば、ロック80bにおいて、ロック本体は、少なくとも1つの回転可能要素の隣に配置されたシャフト130(例えば、ブロック103の反対側の第1の回転可能要素102aと第2の回転可能要素102bとの間)を含み、リング98は、シャフト130上に適合することによって回転可能要素を回転させるように構成され、それによりリングが回転可能要素を押す。さらに、ロック本体は、別のピン128を備える。これらの特徴に関するさらなる詳細は、ロック80bの他の特徴とともに、後続の図を参照して以下に説明される。
【0117】
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、インプラント上にロック80bを固定するためのロック装置118bの概略図である
図20Aが参照される。本発明のいくつかの実施形態による、装置118bの一部を通る長手方向断面の概略図である
図20Bも参照される。(明確にするために、回転可能要素102aは、
図20Bにおいて透明に描かれている。)
【0118】
装置118bは、リングをシャフト130上に押し付けるように構成された中空の内側長手方向要素132を備える。例えば、内側長手方向要素132は、内側管138と、側面開口部142を画定するように形作られたリング押込付属肢140とを含み得る。そのような実施形態では、内側長手方向要素は、リング押し込み付属肢140がリングに接触し、スレッドが側面開口部142を介して内側管を通過する間、リングをシャフトに押し付けることができる。(いくつかの実施形態では、リング押込属肢は、複数の遠位突出脚144を有するリングを含み、その間に側面開口部142が配置される。)あるいは、内側管138自体は、側面開口部142を画定するように形成され、それにより内側管がリングに接触し、スレッドが側面の開口部を通過する間、内側管がリングをシャフトに押し付けうる。
【0119】
装置118bは、スレッドが(上記のように)内側長手方向要素を通過し、内側長手方向要素が外側長手方向要素134を通過する間に、ロック本体をスレッド58上で前進させるように構成された中空外側長手方向要素134をさらに備える。外側長手方向要素134は、ロック本体に接触する外側管136を備え、それにより外側管136がロック本体を直接押すことができる。あるいは、外側長手方向要素は、外側管136に加えて、例えば、外側管136よりも幅の広い別の管を含み、外側管の遠位端に結合され、そこから延びる付属肢146を含み得る。外側長手方向要素は、付属肢146がロック本体に接触することにより、ロック本体を押す。
【0120】
通常、外側長手方向要素134は、ロック本体をスレッド上で前進させながらロック本体を保持するように構成される。例えば、付属肢146(または外側管自体)は、開口148を画定するように成形され得、ブロック103は、突起150を画定するように成形され得、そして外側長手方向要素は、突起150が開口148を貫通することにより、ロック本体を保持し得る。
【0121】
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、スレッド上でのロック本体の前進の概略図である
図21、および本発明のいくつかの実施形態による、ロック本体へのリングの押し込みの概略図である
図22を参照する。(
図21~22は、装置118bおよびロック本体96を通る長手方向の断面を示しており、回転可能要素102aは示されていない。)
【0122】
シャフト130は、傾斜スロット152を画定するように形作られ、傾斜スロット152は、少なくともその近位部分156に沿って、ブロック103から離れて傾斜する。回転可能要素102aおよび102bに結合されるピン128は、スロット152を通過する。
図19を参照すると、回転可能要素の回転軸を画定するピン100は、ブロック103および2つの回転可能要素を貫通する。典型的には、シャフト130は、開口154(またはノッチ)を画定するように形作られ、タブ110は、開口154に適合するように構成される。いくつかの実施形態では、シャフト130および/またはブロック103は、ギザギザの表面116を備える。代替的または追加的に、シャフトおよびブロックは、相補的な突起および窪みを画定するように成形され得る。
【0123】
通常、ロック本体とリング98は、スレッド58上で一緒に前進する。最初に、リング98は、タブ110が開口154の近位にあるように、シャフト130に部分的に搭載される。続いて、内側長手方向要素132および外側長手方向要素134は、ロックがインプラント71に接触するまで、ブロック103とシャフト130との間を通過するスレッド58を固定する。(リングがシャフトに部分的に搭載されることにより、外側長手方向要素は、ロック本体を押すことによってリングを前進させることができる。および/または内側長手方向要素は、リングを押すことによってロック本体を前進させることができる。)ロックがインプラントまで前進する間、回転可能要素は、それらの静止(非回転)位置にあり、それによりピン128がスロット152の近位端またはその近くに配置される。
【0124】
ロックがインプラントに接触することに応答して、内側長手方向要素132を使用して、リング98をシャフトにさらに押し込み、一方、インプラントは、押し込みに対抗する力を提供する。この押し込みが実行されると、リングが回転可能要素を押し、回転可能要素を回転させる。ピン128の動きがスロット152によって制約されることによって(および2つのピン間の距離が固定されることによって)、リングは、回転可能要素を回転させることによって、ブロック103をシャフトに向かって引っ張るようにし、ロック本体は、ブロックとシャフトの間のスレッドをつかむ。さらに、回転可能要素は、ブロックを引っ張ることによって、突起150を開口148から引っ張ることができ、その結果、ロック本体が外側長手方向要素から解放される。
【0125】
タブ110が開口154の中にスナップして入ると、リングはシャフト上でロックされ、したがって、回転可能要素の回転位置を維持し、したがって、スレッドの把持を維持する。ロックの固定をさらに容易にするために、スロットの遠位部分158は、ピン128がスロットを通って近位に移動するのが抑制されるように、ブロックに向かって傾斜し得る。
【0126】
ロックの固定に続いて、外側長手方向要素と内側長手方向要素が引き抜かれる。典型的には、内側管138またはリング押込付属肢140は、リングをシャフトに押し付けた後にスレッドを切断するように構成された鋭い端部160を備える。したがって、スレッドをぴんと張った状態で引っ張りながら内側管を押すことにより、スレッドを切ることができる。
【0127】
図21~22の上記の説明はまた、ロック本体が、2つの回転可能要素ではなく、単一の回転可能要素(
図21~22において回転可能要素102bによって表される)を含む実施形態にも適用される。
【0128】
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、別のロック80cの概略図である
図23が参照される。
【0129】
ロック80aおよび80bと同様に、ロック80cは、少なくとも1つの回転可能要素を含むロック本体96を備える。さらに、ロック80aおよび80bの場合のように、ロック本体は、回転可能要素の回転時にインプラントの近位でスレッド58を把持するように構成される。
【0130】
例えば、ロック本体は、回転可能要素の回転時に回転可能要素のそれぞれの近位端の間のスレッドを把持するように構成された一対の対向する回転可能要素を含み得る。対は、第1のピン100aに対して回転するように構成された第1の回転可能要素102aと、第2のピン100bに対して回転するように構成された第2の回転可能要素102bとを含み得る。回転可能要素の一方または両方は、ギザギザの表面116を含み得、その結果、回転可能要素は、ギザギザの表面でスレッドを把持するように構成される。代替的または追加的に、対は、相補的な突出および陥凹を画定するように成形され得る。
【0131】
ロック80cは、ロック80aおよび80bとは少なくとも、ロック80cにおいて回転維持要素が、回転可能要素の周りに巻かれたコイル164を含むばね162を備える点で異なる。コイル164は、回転可能要素を一緒に押すことによって、回転可能要素を回転させ、回転の逆転を抑制するように構成される。いくつかの実施形態では、コイルが回転可能要素から滑り落ちるのを防ぐために、回転可能要素の少なくとも1つは、隆起面166を画定するように形作られ、コイル164は、隆起面の隆起の間を通過する。ロック80cのロックに関するさらなる詳細は、後続の図を参照して以下に説明される。
【0132】
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、インプラント上にロック80cを固定するためのロック装置118cの概略図である
図24が参照される。(明確にするために、装置118cの一部が断面図で示されている。)本発明のいくつかの実施形態による、スレッド上でのロックの前進の概略図である
図25、および本発明のいくつかの実施形態による、ロックの固定の概略図である
図26をさらに参照する。
【0133】
装置118cは、より広い遠位外側管172に結合されたより狭い近位外側管170と、中空の内側長手方向要素174とを含み得る中空の外側長手方向要素168とを備える。内側長手方向要素174は、ロック本体がインプラントまで前進している間に、回転可能要素のそれぞれの近位端の間に介在するように構成された遠位端180を備える。この介在により、スレッドは、ロック本体によって把持されることなく、回転可能要素間を通過する(および内側長手方向要素を通過する)ことができる。いくつかの実施形態では、この介在を容易にするために、回転可能要素のそれぞれの近位端は、それぞれのノッチ182を画定するように形作られ、遠位端180は、ノッチ182の中に適合するように構成される。
【0134】
いくつかの実施形態では、内側長手方向要素174は、内側管176および、内側管176の遠位端に結合されてそこから延びる管状付属肢などの付属肢178を含み、付属肢178は遠位端180を備える。あるいは、内側管176自体が遠位端180を含み得る。
【0135】
ロック本体をインプラントまで前進させるために、内側長手方向要素および/または外側長手方向要素を使用して、スレッド58が内側長手方向要素を通過し、内側長手方向要素が外側長手方向要素を通過する間にロック本体を押すことができる。ロック本体の前進中、コイルは、遠位端180の介在により、回転可能要素によって外側に引き伸ばされる。
【0136】
図26に示すように、ロック本体の前進に続いて、ロック本体がインプラントに接触することに応答して、内側長手方向要素の遠位端は、一対の回転可能要素の間から引き抜かれ、一方、外側長手方向要素は、ロック本体に反力を加える。内側長手方向要素の引き抜きにより、コイルはその伸ばされた状態から内側に跳ね上がり、したがって、回転可能要素の対を互いに対して押し、対が互いに対して回転し、したがってそれらの間のスレッドを把持する。
【0137】
ロックの固定に続いて、装置118cが引き抜かれる。いくつかの実施形態では、外側長手方向要素は、回転可能要素の回転に続いてスレッドを切断するように構成された鋭い遠位端部184を備える。
【0138】
いくつかの実施形態では、ロック本体は、単一の回転可能要素および対向する(回転不可能な)ブロックを含む。そのような実施形態では、コイルは、回転可能要素とブロックの周りにコイル状に巻かれ、その結果、コイルは、スレッドを回転可能要素とブロックとの間に把持させる。回転可能要素および/またはブロックは、ギザギザの表面を含み得る。代替的または追加的に、これらの要素は、相補的な突起および窪みを画定するように成形され得る。
【0139】
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、別のロック80dの概略図である
図27を参照する。
【0140】
ロック80cと同様に、ロック80dは、回転可能要素102の回転位置を維持するように構成されたばね162を備える。しかし、ロック80dでは、回転可能要素は、開口186を画定するように形作られ、ばね162は、回転可能要素の回転に続いて開口186に跳ねて入るように構成されたワイヤ188を備え、それにより回転の逆転を抑制する。
【0141】
例えば、ロック80dにおいて、ロック本体96は、第1のパネル190a、第2のパネル190b、および第1のパネル190aと第2のパネル190bとの間に配置されたブロック192とを含み得る。以下に説明する
図31~32に示すように、ワイヤ188は、第2のパネル190bに沿って、第2のパネル190bを通り、回転可能要素102を通り、第1のパネル190aを通り、最後に、第1のパネル190aの溝194(または開口)を通ることができ、それによりワイヤの端が回転可能要素に到達する。ワイヤ188に対して(すなわち、ワイヤによって画定される回転軸に対して)回転可能要素が回転すると、回転可能要素は、スレッドをブロック192に押し付け、ワイヤ188は、開口186に跳ねて入る。全結果のリストを読み込めません
【0142】
さらに詳細について、本発明のいくつかの実施形態による、インプラント上でロックを固定するためのロック装置118dの概略図である
図28A、および本発明のいくつかの実施形態による、装置118dの一部を通る長手方向断面図である
図28Bを参照する。(
図28Bでは、回転可能要素102が露出するように、第1のパネル190aは示されていない。)本発明のいくつかの実施形態による、スレッド58上でのロックの前進の概略図である
図29、および本発明のいくつかの実施形態による、ロックの固定の概略図である
図30も参照する。(
図29~30のそれぞれの右側部分は、図の左側部分の側面から見たロック本体を示しており、ブロック192は、回転可能要素102を露出させるために隠されている。)
【0143】
装置118dは、例えば、外側管を含む、外側長手方向要素196を備える。装置118dは、例えば、内側管を含む、内側長手方向要素198をさらに含む。ロック本体をインプラントまで前進させるために、外側長手方向要素196および/または内側長手方向要素198を使用して、スレッド58が内側長手方向要素を通過し、内側長手方向要素が外側長手方向要素を通過する間にロック本体を押すことができる。
【0144】
通常、内側長手方向要素の遠位端は、開口202(またはノッチ)を画定するように形作られ、回転可能要素102は、開口202の内側に適合するように構成された突起204を画定するように形作られる。ロック本体はインプラントまで前進し、突起204は開口202の内側にあり、スレッド58は、ロック本体によって把持されることなく、回転可能要素とブロック192との間を走る。また、ロック本体の前進中に、ワイヤ188は、その静止状態から変形し、ワイヤ188の端部208は、回転可能要素102によってロック本体から押しのけられる。
【0145】
図30に示されるように、ロック本体がインプラントに接触することに応答して、内側長手方向要素198がロック本体から引き抜かれ、一方、外側長手方向要素196は、ロック本体に反力を加える。内側長手方向要素の引き抜きは、突起204を開口202から外し、回転可能要素を回転させて、回転可能要素の表面206がスレッドをブロック192に押し付ける(表面206はギザギザになり得る、および/または表面206およびブロック192は相補的な突起と凹部を画定するように形作られうる。)回転可能要素の回転はまた、開口部186をワイヤの端部208と整列させ、その結果、ワイヤは開口部に跳ね返り、したがって回転可能要素をその回転位置に固定する。
【0146】
典型的には、内側長手方向要素198は、側面開口200を画定するように形作られ、内側長手方向要素は、スレッドが側面開口200を介して内側長手方向要素を通過する間、ロック本体をインプラントに前進させるように構成される。外側長手要素はまた、側面開口210を画定するように形作られ、それによりスレッドがロック本体、側面開口210、側面開口200、および内側長手方向要素を通過する。そのような実施形態では、内側長手方向要素は、少なくとも部分的に側面開口200を取り囲み、内側長手方向要素の引き抜き時にスレッドを切断するように構成された鋭い端部212を含み得る。
【0147】
いくつかの実施形態では、インプラントが複数のロックを必要とする場合、ロックはインプラントに送達され、順番にロックされる。例えば、同じロック装置を使用して、各ロックを送達および固定する。他の実施形態では、ロックは同時に送達され、異なるそれぞれのロック装置を使用して固定される。例えば、複数のロック80aは、異なるそれぞれのロック装置118aを使用して送達および固定され得る。そのような実施形態では、ロッド73(
図9)を押す代わりに、ロッキング装置を使用して、インプラントを送達することもできる。すなわち、インプラントをスレッドに装填し、ロックをインプラントの近位のスレッドに装填し、次に、ロック装置が、ロックとともにインプラントをインプラント部位に前進させることができる。
【0148】
本発明は、本明細書で特に示され、説明されたものに限定されないことが当業者によって理解されるであろう。本発明の範囲はむしろ、上記の様々な特徴の組み合わせおよびサブ組合せの両方、ならびに前述の説明を読んだときに当業者に想起される先行技術にはないその変形および修正を含む。
【国際調査報告】