(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-07
(54)【発明の名称】空気圧ポンプ用の低圧始動装置
(51)【国際特許分類】
F04B 43/073 20060101AFI20220228BHJP
F04B 43/02 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
F04B43/073
F04B43/02 D
F04B43/02 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021540402
(86)(22)【出願日】2020-01-20
(85)【翻訳文提出日】2021-09-10
(86)【国際出願番号】 IB2020050409
(87)【国際公開番号】W WO2020152565
(87)【国際公開日】2020-07-30
(32)【優先日】2019-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512297631
【氏名又は名称】サモア インダストリアル, エセ.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス-モラティエル アルヴァレス, アルベルト
【テーマコード(参考)】
3H077
【Fターム(参考)】
3H077AA12
3H077CC02
3H077CC09
3H077CC17
3H077DD13
3H077EE15
3H077FF12
3H077FF14
(57)【要約】
本発明は、空気制御用の枢動式一方向型制御弁を有する空気圧ポンプのための低圧始動装置に関する。この低圧始動装置は、始動中に、限界動作位置の一方において前記一方向型制御弁の弁体の枢動要素の軸部を押す可変張力ばねによって駆動される引込み可能なプッシュピストンからなる低圧始動システムによって特徴付けられる。また、この低圧始動装置は、引込み可能なピストンと、シールガスケットと、ばねと、ばね止めとを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気制御用の枢動式一方向型制御弁を有する空気圧ポンプのための低圧始動装置であって、
始動中に、限界動作位置の一方において前記一方向型制御弁の弁体の枢動要素の軸部を押す可変張力ばねによって駆動される引込み可能なプッシュピストンからなるとともに、始動圧力を自動的に変化させることができる電子式圧力制御システムによって駆動される低圧始動システムによって特徴付けられ、
引込み可能なピストン(3.1)と、
シールガスケット(3.4)と、
ばね(3.2)と、
ばね止め(3.3)と
を備え、
前記ばね止めは、所望の最低始動圧力に達するまで始動位置に前記枢動式制御弁を保持し、前記最低始動圧力に達したならば、前記低圧始動装置は、前記ばねの圧力に抗して後方に引っ張られ、エアモータが停止された時に前記エアモータの圧力が解放されるまで、その位置に保持され、前記エアモータが停止された時点でその初期位置に戻る、空気制御用の枢動式一方向型制御弁を有する空気圧ポンプのための低圧始動装置。
【請求項2】
圧縮空気以外の作動流体であり、空気圧式のダブルダイヤフラムポンプ又はピストンポンプのような空気圧式装置を駆動するために同様に適した作動流体を有することができることを特徴とする、請求項1に記載の空気制御用の枢動式一方向型制御弁を有する空気圧ポンプのための低圧始動装置。
【請求項3】
前記ばね(3.2)がエラストマーとされることができ、該エラストマーの弾性特性によって前記引込み可能なピストンが動作されることを特徴とする、請求項1に記載の空気制御用の枢動式一方向型制御弁を有する空気圧ポンプのための低圧始動装置。
【請求項4】
前記引込み可能なピストンが、前記ばね(3.2)に代る空気又は加圧作動流体によって動作され得ることを特徴とする、請求項1に記載の空気制御用の枢動式一方向型制御弁を有する空気圧ポンプのための低圧始動装置。
【請求項5】
入口ドラム部及び出口ドラム部が設けられた前記枢動式弁が、交互に駆動されるようにポンプチャンバに圧縮空気を供給し、前記入口ドラム及び出口ドラムが交換可能であることを特徴とする、請求項1に記載の空気制御用の枢動式一方向型制御弁を有する空気圧ポンプのための低圧始動装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の主題の説明】
【0001】
本発明は、可変張力ばねによって駆動されるピストンを備える低圧始動システムを用いる枢動式(揺動式とも称される)の一方向型の空気制御弁を含む空気圧ポンプ用の低圧始動装置に関する。なお、可変張力ばねは、いずれかの端部での動作位置の一方において、始動中に、一方向型弁の弁体の枢動要素の軸部に力を及ぼす。この始動装置は、ダブルダイヤフラムポンプ又は空気圧ピストンポンプの動作を制御するために用いられる。一方向型弁の本体は、入口ポート及び出口ポートを有する。枢動要素は、一方向型弁の内側に配置され、2つの限界位置間を自由に移動し、その2つの最終位置のいずれででも空気ポートを閉じるように適合された2つの面を有している。ダイヤフラムポンプ又はピストンポンプを制御するために枢動式の一方向型制御弁が作動すると、低圧始動システムはダブルダイヤフラムポンプ又はピストンポンプ自体の動作圧力によって引っ込められる。また、枢動式一方向型制御弁の動作には、枢動式一方向型制御弁自体の運動を逆転させるために、ダブルダイヤフラムポンプのダイヤフラムの限界位置を検出する空気圧パイロットセンサの使用が必要である。
【発明の適用分野】
【0002】
本発明は、空気圧ポンプ産業の分野において、炭化水素、塩素化炭化水素、酸、塩基及び工業プロセスで使用される他の化学製品のような、化学的に攻撃的であり又は取扱いが困難である懸濁液及び/又は粉末及び/又は流体における固体又は粒子を含む流体に適用され、及び/又は、そのような流体の移送に適用される。
【背景技術】
【0003】
市場には多くの空気圧式のダブルダイヤフラムポンプ又はピストンポンプがあり、これらのポンプは、通常動作のためにポンプの往復運動を制御するエアモータによって駆動される。
【0004】
エアモータは、様々な形態をとることができ、一般に、空気操作装置又はスライダから構成されるが、代わりに枢動式駆動手段を用いることもできる。本発明は、枢動式駆動要素を有する空気圧式装置を駆動するためのエアモータに適用される。これらの場合において、非常に低い圧力で制御される装置の始動を改善するために、本願で述べる低圧始動システムが用いられる。
【0005】
本願出願人は、低摩擦の枢動式一方向型スポイラ弁を備えた中心流れダブルダイヤフラムポンプについてのスペイン特許第20100000633号(PCT/ES2011/000162)を保有しているが、本発明は、上述の低圧ポンプの始動システムを実質的に改良したものである。可変張力ばねによって駆動されるピストンからなる低圧始動装置を組み込んだ枢動装置を備えた空気圧で動作されるモータであって、この装置が低圧で始動し、設定された通常動作圧力に達すると自動的に後退することを可能にするものは知られていない。
【発明の概要】
【0006】
本発明の説明では、以下の用語を使用し、かかる用語は当該分野において一般的に受け入れられている。各用語の意味は、その理解のために以下に示す。
・空気/圧縮空気=圧縮空気又はその他の作動流体
・流体=液体、懸濁粒子を含む液体、又は浮遊塵芥を含む空気である可能性のある、ポンプにより圧送される物質
・枢動弁=枢動式の一方向弁
・LSD=低圧始動システム
【0007】
本発明は、空気圧で駆動されるエアモータの特別な設計構造、すなわち、非常に低い圧力でも実行することを制御するポンプの始動を可能にするピストンスラスト式の装置の導入によって働く枢動弁を備えたエアモータの特別な設計構造からなる。
【0008】
低圧始動装置(3)は、以下の要素からなる。
・シールリングを有する主スラストピストン
・ばね
・ばね止め
【0009】
本装置は、空気圧式のダブルダイヤフラムポンプ又はピストンポンプを駆動するためエアモータチャンバ内に配置され、そこに枢動弁が収容されている。その機能は、ポンプの2つのチャンバに圧縮空気を分配して、その交互運動を生成することであり、本発明は、ピストン、シールリング、ばね、及びばね止めから構成される低圧始動装置であって、必要な最低始動圧力に達するまで、枢動弁を始動位置に保持するものを提供する。一旦この最低始動圧力に達すると、低圧始動システムはばね圧力に抗して引き戻され、エアモータが停止されることによりエアモータ圧力が解放されるまでチャンバ内の動作圧力によりこの位置に保持され、その時点でエアモータはその始動位置に戻る。
【0010】
プッシュピストンは、システムが加圧されていない場合でも、メインプッシュピストンの端部がその入口アームで枢動弁に衝突し、初期始動位置に保持されるように配置される。枢動弁の接触点は、エアモータの状態にかかわらず、ピストンばねによって加えられる力によって枢動弁がスタンバイ位置に保持されるようなものである。
【0011】
空気圧がモータ入口を通ってエアモータ内に入り、設定された始動圧力に達すると、空気圧は、LSDピストンに力を及ぼし、LSDピストンを後方に引っ張り、枢動弁にあった支持を取り除く。この時点で動作圧力に達し、枢動弁はLSDスラストピストンによって妨害されることなく動作を開始し、空気入口ポートを通して空気を交互に両チャンバに送る。
【0012】
装置の停止によって空気圧が失われると、エアモータの入口チャンバ内の圧力も減じ、LSDピストンはばね又はこの目的のために使用される任意の圧力システムによって自動的に押され、枢動弁を押してそれを始動スタンバイ位置に保持することによって初期位置に戻り、作動サイクルを再び開始することができる。
【0013】
本明細書の説明を補足し、本発明の特徴のより良い理解を助けるために、説明の一体的な部分として、以下の図を例示的で非限定的に示す図面を添付する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】排気位置にある引込み可能なプッシュピストンの断面図であり、その内部を概略的に示している。
【
図2】圧縮位置にあるプッシュピストンの断面図である。
【
図3】枢動弁及びLSDを有するエアモータの内部を概略的に示す図であり、LSDのプッシュピストンが排気位置にある状態を示している。
【
図4】枢動弁及びLSDを有するエアモータの内部を概略的に示す図であり、LSDのプッシュピストンが圧縮位置にある状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
空気圧ポンプの低圧始動装置は、エアモータ入口(1)を通してエアモータに供給される空気圧を用いて、以下のポンプ構成要素の相互作用によって動作する。この圧力は、枢動弁(2)と、LSD(3)の引込み可能なプッシュピストン(3.1)に作用する。圧力が設定された最小の始動値に達すると、ピストンは圧縮空気の作用により後方に引き込まれ(
図2)、自由に動く枢動弁(2)から分離する。ばね(3.2)は圧縮され、エアモータ内の圧力がアクティブでなくなったときに力を放出するように付勢される。
【0016】
エアモータが駆動中であるとき、圧縮空気は、空気入口ポート(6)を交互に通過し、制御用のダイヤフラムポンプ又はピストンポンプの内部を通過した後、エアモータ出口(8)の方向に交互に空気出口ポート(7)を通ってエアモータから流出する。
【0017】
装置の停止によって空気圧が除去されると、エアモータの入口チャンバ内の圧力は減じられ、LSDのピストンは、ばね又はこの目的のために使用される任意の圧力システムによって自動的に押されて初期位置に戻り、枢動弁を押して動作サイクルで再び開始できるように枢動弁を始動スタンバイ位置に保持する。
【手続補正書】
【提出日】2021-09-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の説明では、以下の用語を使用し、かかる用語は当該分野において一般的に受け入れられている。各用語の意味は、その理解のために以下に示す。
・空気/圧縮空気=圧縮空気又はその他の作動流体
・流体=液体、懸濁粒子を含む液体、又は浮遊塵芥を含む空気である可能性のある、ポンプにより圧送される物質
・枢動弁=交換可能な入口ドラム及び出口ドラムを有する枢動式の一方向弁
・LSD=低圧始動システム
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
低圧始動装置(3)は、以下の要素からなる。
・シールリングを有する主スラストピストン(3.4)
・ばね(エラストマーでもよい)
・ばね止め(3.3)
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本装置は、空気圧式のダブルダイヤフラムポンプ又はピストンポンプを駆動するためエアモータチャンバ内に配置され、そこに枢動弁が収容されている。その機能は、ポンプの2つのチャンバに圧縮空気を分配して、その交互運動を生成することであり、本発明は、ピストン、シールリング(3.4)、ばね及びばね止め(3.3)から構成される低圧始動装置であって、必要な最低始動圧力に達するまで、枢動弁を始動位置に保持するものを提供する。一旦この最低始動圧力に達すると、低圧始動システムはばね圧力に抗して引き戻され、エアモータが停止されることによりエアモータ圧力が解放されるまでチャンバ内の動作圧力によりこの位置に保持され、その時点でエアモータはその始動位置に戻る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
空気圧ポンプの低圧始動装置は、エアモータ入口(1)を通してエアモータに供給される空気圧を用いて、以下のポンプ構成要素の相互作用によって動作する。この圧力は、枢動弁(2)と、LSD(3)の引込み可能なプッシュピストン(3.1)に作用する。圧力が設定された最小の始動値に達すると、ピストンは圧縮空気の作用により後方に引き込まれ(
図2)、自由に動く枢動弁(2)から分離する。ばね(3.2)は圧縮され、エアモータ内の圧力がアクティブでなくなったときに力を放出するように付勢される。
引込み可能なピストは、ばね(3.2)に代る空気又は加圧作動流体によって動作されることもできる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
装置の停止によって空気圧が除去されると、エアモータの入口チャンバ内の圧力は減じられ、LSDのピストンは、ばね又はこの目的のために使用される任意の圧力システムによって自動的に押されて初期位置に戻り、枢動弁を押して動作サイクルで再び開始できるように枢動弁を始動スタンバイ位置に保持する。
圧縮空気以外の作動流体であり、空気圧式のダブルダイヤフラムポンプ又はピストンポンプのような空気圧式装置を駆動するために同様に適した作動流体を、この弁は有することができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】