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特表2022-517271モノアシルグリセリド油およびモノアシルグリセリド油を含有する食品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-07
(54)【発明の名称】モノアシルグリセリド油およびモノアシルグリセリド油を含有する食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23D 9/013 20060101AFI20220228BHJP
   A23D 9/02 20060101ALI20220228BHJP
   A23L 33/115 20160101ALI20220228BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20220228BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20220228BHJP
   A61K 31/22 20060101ALN20220228BHJP
   A61P 1/16 20060101ALN20220228BHJP
   A61P 1/18 20060101ALN20220228BHJP
【FI】
A23D9/013
A23D9/02
A23L33/115
A23L2/00 F
A23L2/52
A23L5/00 A
A23L5/00 L
A61K31/22
A61P1/16
A61P1/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541037
(86)(22)【出願日】2020-01-17
(85)【翻訳文提出日】2021-09-06
(86)【国際出願番号】 US2020014182
(87)【国際公開番号】W WO2020150661
(87)【国際公開日】2020-07-23
(31)【優先権主張番号】62/794,412
(32)【優先日】2019-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/833,558
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520126147
【氏名又は名称】グリコスバイオ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モンティチェロ,ダニエル,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】バスマン,ワーナー,ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4B018
4B026
4B035
4B117
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018MD10
4B018MD14
4B018MD15
4B018MD17
4B018MD23
4B018MD26
4B018MD90
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4B018MF12
4B018MF14
4B026DC05
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4C206DB07
4C206DB09
4C206DB18
4C206DB46
4C206DB47
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA66
4C206ZA75
(57)【要約】
高いモノアシルグリセリド(MAG)含有量を有する加工油を製品および食品に組み込むための組成物および方法が提供される。特に、高MAG含有量の加工油を生成するための方法が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノアシルグリセロール(MAG)、ジアシルグリセロール(DAG)、および遊離脂肪酸(FFA)を含む加工油であって、MAGが、前記加工油の総重量の約30重量%~約90重量%を構成し、DAGが、前記加工油の総重量の約10重量%~約30重量%を構成し、FFAが、前記加工油の総重量の約5重量%~約60重量%を構成し、前記加工油に天然に存在する非油成分をさらに含み、前記加工油が、実質的にモノクロロプロパンジオール(MCPD)を含まない、加工油。
【請求項2】
トリアシルグリセロール(TAG)をさらに含み、前記TAGが、前記加工油の総重量の5重量%以下を構成する、請求項1に記載の加工油。
【請求項3】
前記非油成分が、抗酸化剤を含む、請求項1または2に記載の加工油。
【請求項4】
前記抗酸化剤が、トコフェロールである、請求項3に記載の加工油。
【請求項5】
前記非油成分が、ビタミンを含む、請求項1または2に記載の加工油。
【請求項6】
前記非油成分が、セラミドリン酸、モノガラクトシルジアシグリセロール、ホスファチジルメタノール、シトステリルエステル、カンプエステロールエステル、スフィンゴ脂質、ホスファチジルグリセロール、ワックスエステル、およびスフィンゴミエリンのうちの1つ以上を含む、請求項1または2に記載の加工油。
【請求項7】
前記加工油が、ベニバナ油、ブドウ油、マリアアザミ(Silybum marianum)油、大麻油、ヒマワリ油、コムギ胚芽油、カボチャ種子油、ゴマ油、米糠油、アーモンド油、ナタネ油、ピーナッツ油、オリーブ油、およびココナッツ油からなる群から選択される油源に由来する、請求項1~6のいずれか一項に記載の加工油。
【請求項8】
前記加工油が、ベニバナ油、ブドウ油、マリアアザミ油、大麻油、ヒマワリ油、コムギ胚芽油、カボチャ種子油、ゴマ油、米糠油、アーモンド油、ナタネ油、ピーナッツ油、オリーブ油、およびココナッツ油からなる群のうちの2つ以上の組み合わせに由来する、請求項1~6のいずれか一項に記載の加工油。
【請求項9】
前記加工油が、藻類または魚類に由来する、請求項1~6のいずれか一項に記載の加工油。
【請求項10】
前記加工油が、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸を含む脂肪酸含有量を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の加工油。
【請求項11】
前記オレイン酸の量が、前記加工油の総脂肪酸含有量の10重量%~約75重量%である、請求項10に記載の加工油。
【請求項12】
前記オレイン酸含有量の約50%~約99%が、sn-1位でエステル化されている、請求項11に記載の加工油。
【請求項13】
前記リノール酸の量が、前記加工油の総脂肪酸含有量の1.5重量%~約90重量%である、請求項10に記載の加工油。
【請求項14】
前記リノレン酸の量が、前記加工油の総脂肪酸含有量の0.01重量%~約2重量%である、請求項10に記載の加工油。
【請求項15】
加工油であって、以下のプロセス:
出発油を、緩衝液および第1の酵素と混合して、第1の反応混合物を生成することであって、前記出発油が、トリアシルグリセロール(TAG)およびモノクロロプロパンジオール(MCPD)を含み、前記TAGが、前記出発油の総重量に基づいて50重量%超の量であり、前記MCPDが、約1.00mg/kg~約12.00mg/kgのMCPDの量で存在し、前記出発油が、モノアシルグリセロール(MAG)を含まないか、または前記出発油の総重量に基づいて5重量%未満の量で存在し、前記第1の酵素が、前記TAGを遊離脂肪酸(FFA)に加水分解することができる、第1の反応混合物を生成すること、
前記第1の反応混合物を、前記第1の酵素が前記TAGを第1の期間加水分解するのに十分な条件下で反応させて、水相およびFFAを含む第1の脂質反応生成物を生成すること、
前記第1の脂質反応生成物中の前記第1の酵素を、不活性化すること、
前記第1の脂質反応生成物を、前記水相から除去することによって回収すること、
前記第1の脂質反応生成物を、食品グレードのグリセロールおよびFFAをエステル化することができる第2の酵素と混合して、第2の反応混合物を形成すること、
前記第2の反応混合物を、第2の期間反応させて、脂質油相およびグリセロール相を含む第2の脂質反応生成物を生成すること、
前記第2の脂質反応生成物中の前記第2の酵素を、不活性化すること、
前記反応生成物に塩を添加し、前記グリセロール相から前記脂質油相を分離すること、ならびに
前記脂質油相を回収することであって、前記脂質油相が、前記加工油であり、前記加工油が、MAG、ジアシルグリセロール(DAG)、および遊離脂肪酸(FFA)を含み、前記MAGが、前記加工油の総重量に基づいて約30重量%~約90重量%の量であり、前記DAGが、前記加工油の総重量の約10重量%~約30重量%を構成し、FFAが、前記加工油の総重量の約5重量%~約60重量%を構成し、前記加工油が、TAGを含まないか、または前記脂質油相の総重量に基づいて約0.1重量%~約5重量%のTAGを含み、前記脂質油相が、MCPDを実質的に含まない、脂質油相を回収すること、から作製される、加工油。
【請求項16】
前記出発油が、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸を含む脂肪酸含有量を有し、前記加工油中のオレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量が、前記出発油中のオレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量の10%以内である、請求項15に記載の加工油。
【請求項17】
前記出発油が、セラミドリン酸、モノガラクトシルジアシグリセロール、ホスファチジルメタノール、シトステリルエステル、カンプエステロールエステル、スフィンゴ脂質、ホスファチジルグリセロール、ワックスエステル、およびスフィンゴミエリンからなる群から選択される1つ以上の天然に存在する非油成分を含み、前記1つ以上の天然に存在する非油成分が、前記加工油中に維持される、請求項15または16に記載の加工油。
【請求項18】
食品であって、加工油、炭水化物源、およびタンパク質源を含み、1グラムあたり約1kcal~約5kcalのカロリー密度で、少なくとも25グラムの総重量を有し、前記加工油が、総カロリー含有量の約5%~約75%を構成し、前記加工油が、前記加工油の総重量に基づいて5重量%以下のトリアシルグリセロール(TAG)含有量を有し、前記加工油が、0.10mg/kg未満のモノクロロプロパンジオール(MCPD)を有し、前記加工油が、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸を含む脂肪酸含有量を有する、食品。
【請求項19】
前記加工油が、前記加工油の総重量に基づいて30重量%以上のモノアシルグリセロール(MAG)含有量を有する、請求項18に記載の食品。
【請求項20】
前記加工油が、前記加工油の総重量に基づいて約10重量%~約30重量%のジアシルグリセロール(DAG)含有量を有する、請求項18または19に記載の食品。
【請求項21】
前記加工油が、前記加工油の総重量に基づいて約5重量%~約60重量%の遊離脂肪酸(FFA)含有量を有する、請求項18~20のいずれか一項に記載の食品。
【請求項22】
前記加工油が、前記加工油中に天然に存在する非油成分を含み、前記非油成分が、セラミドリン酸、モノガラクトシルジアシグリセロール、ホスファチジルメタノール、サイトステリルエステル、カンプエステロールエステル、スフィンゴ脂質、ホスファチジルグリセロール、ワックスエステル、およびスフィンゴミエリンのうちの1つ以上を含む、請求項18~21のいずれか一項に記載の食品。
【請求項23】
前記オレイン酸の量が、前記加工油の総脂肪酸含有量の10重量%~約75重量%である、請求項18~22のいずれか一項に記載の食品。
【請求項24】
前記オレイン酸含有量の約50%~約99%が、sn-1位でエステル化されている、請求項18~23のいずれか一項に記載の食品。
【請求項25】
前記リノール酸の量が、前記加工油の総脂肪酸含有量の1.5重量%~約90重量%である、請求項18~24のいずれか一項に記載の食品。
【請求項26】
前記リノレン酸の量が、前記加工油の総脂肪酸含有量の0.01重量%~約2重量%である、請求項18~25のいずれか一項に記載の食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年1月18日に出願された米国仮出願第62/794,412号、および2019年4月12日に出願された米国仮出願第62/833,558号の優先権を主張し、これらの各々の全体は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
技術分野
本発明は、モノアシルグリセリド油およびモノアシルグリセリド油を含有する食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
膵臓による消化酵素の分泌における慢性的な欠乏は、膵外分泌不全(EPI)と呼ばれる。これらの消化酵素がなければ、EPIを患っている患者は、食物中の栄養素を適切に消化することができず、栄養不良および腹部障害を患っている可能性がある。EPIは、慢性膵炎および他のいくつかの慢性胃腸障害を有する個体において一般的である。EPIは、嚢胞性線維症を患っている患者にも現れる。膵酵素補充療法(PERT)により、EPIの効果を軽減することができ、個体は、食物を消費するたびに、酵素カプセルを服用する。従来、PERT治療は、ブタ膵臓から抽出された膵酵素を含む。
【0004】
脂質は、エネルギー密度の高い化合物であり、必須長鎖脂肪酸の供給源である。典型的には、高い割合のトリアシルグリセリド(TAG)を含む消費された脂質は、膵臓から分泌されるリパーゼで消化されて、遊離脂肪酸(FFA)とモノアシルグリセリド(MAG)になる。膵臓からのリパーゼの放出を遮断すると、トリアシルグリセリドを含有する脂肪および油の消化が非常に悪くなる。EPIを患っている患者の場合、これは、カロリー、必須脂肪酸、および脂溶性栄養素が未消化の脂質粒子に閉じ込められ、全身を素通りするため、著しい栄養不良につながる可能性がある。
【0005】
EPIを有する個人がPERTによる補充を必要とすることなく消費され得る代替の栄養源が、満たされていない臨床で必要とされている。
【0006】
MAGの形態の部分的に加水分解された脂肪および油は、PERTを必要とせず、EPIを有する個人によって容易に吸収される。MAG油ベースの製品は、カプセルベースの栄養補助食品としてクリニックで評価されている。しかしながら、その不味さを回避するために、カプセルが利用されている。MAG油の従来の供給源については、出発油を化学的または酵素的に処理してMAGを生成し、次いで溶媒で抽出し、蒸留して、出発油の他の成分からMAGを分画する。これらのMAG製品は、ごく微量の混入遊離脂肪酸(FFA)であるDAG(ジアシルグリセリド)およびTAGを含有し、実質的に他の化合物を含まない比較的純粋な製品として販売されている。したがって、MAG油の従来の供給源は、トコフェロールなどの油に見られる他の天然化合物を欠いていることが多い。
【0007】
非効率的または不全の消化器系を持つ個人が消費することができる、非常に高いエネルギーのカロリー密度を有する栄養製品が、臨床で必要とされている。膵臓の病理を有する個体(例えば、嚢胞性線維症、膵炎および膵臓癌の患者)に加えて、診断されているまたは診断されていない膵外分泌不全(EPI)の他の患者は、製品から利益を得るであろう。さらに、胆汁機能障害(胆汁うっ滞)を有する個人は、乳化に胆汁酸を必要としない「前消化(pre-digested)」脂肪から、利益を得ることができる。市場には高カロリーの「エナジーバー」とエナジードリンクがある。しかし、これらの製品は、製品中の脂肪を消化(加水分解)することができない個人には適していない。これまで、「PERTを用いない」使用に好適な液体(シェイク)および固体(バー)の形態に脂質を製剤化した者はいなかった。これらの製剤は、「完全栄養(Complete Nutrition)」源となり、個人の全てのカロリーおよび必須脂肪酸の要件を満たすことができる。液体栄養は、経腸栄養用製品の経口栄養補助食品(ONS)製品の形態であり得る。
【0008】
したがって、非効率的または不全の消化器系を有する個人によって消費され得る高カロリー密度食品が必要とされている。本出願は、TAGを実質的に含まない食用酵素修飾油(EMO)を製造する方法を記載する。
【0009】
モノクロロプロパンジオール(MCPD)およびグリシジルエステルは、食用油の精製中に形成される。これらの化合物はヒトに対して有毒であり、食品中で最小限に抑える必要がある。3-MCPDは、国際癌研究機関(IARC)によると、現在、ヒト発癌物質(グループ2B)の可能性があるとして分類されている。グリシドールは、IARCおよび米国国家毒性プログラムによって、ヒト(グループ2A)に、おそらく発癌性があるとして分類されている。現行の基準では、1日あたり2ug/kg体重未満の曝露が推奨されており、これは70kgの男性では140ug/日未満であり、5kg(約10lb)の乳児ではわずか10ug/日未満である。
【0010】
MCPD化合物は、最初、酸(HCl)加水分解タンパク質中に検出されたが、2008年に、精製植物油中でMCPDエステルの存在が発見された。その問題が広範囲に及んでいたことが分かった。多くの食用油は、外観、味、貯蔵性、安全性、および消費者受容に悪影響を及ぼす成分を除去するために処理されている。油中のモノアシルおよびジアシルグリセロール(MAGおよびDAG)は、脱臭プロセスにおいて、塩素イオンと反応して、3-モノクロロプロパンジオール(3-MCPD)エステルおよびグリシジルエステル(GE)を生成する可能性がある。
【0011】
以下の表1は、米国における食用油のサンプリングにおけるMCPD化合物のレベルを示す(Food Additives & Contaminants:Part A,2013 Vol.30,No.12,2081-2092より)。
【表1】
【0012】
乳幼児用調製粉乳の3-MCPDおよびグリシジルエステルの消費に対する米国乳幼児の推定曝露量が、最近報告された(J.Spungen et al.Food Additives&Contaminants:Part T A 2018,VOL.35,NO.6,1085-1092)。この分析では、乳幼児用調製粉乳の少量の便宜的試料中の3-MCPDおよびグリシジルエステルの濃度(それぞれ3-MCPDおよびグリシドール当量として)に関する米国FDAデータを使用して、0~6ヶ月齢の乳幼児による調製粉乳の消費からの曝露量を推定した。全ての調製粉乳の平均濃度に基づく3-MCPDおよびGEの曝露量は、それぞれ7~10および2μg/kg体重/日と推定された。個々のメーカーによって生産された調製粉乳を消費した場合の推定平均暴露量は、3-MCPDでは、1~14μg/kg体重/日であり、GEでは、1~3μg/kgであった。
【0013】
したがって、食用油中のこれらの化合物を低減および排除する方法が必要とされている。TAGおよびMCPDなどの混入物を実質的に含まない食用酵素修飾油(EMO)を製造するための本出願の方法は、故に、この必要性に対処する。
【0014】
植物油の中には、オレイン酸が豊富なものがある。これらの油は、健康上の利点が実証されている。その一部は、オレイン酸、およびオリーブ油、アーモンド油、キャノーラ(菜種)油などのこの脂肪酸が豊富な油に起因する可能性がある。トリオレインは、以下に例示するように、オレイン酸を非常に豊富に含むTAGである。トリオレインは、グリセロールの3つ全ての位置で、オレイン酸で100%エステル化されている。3つの位置は、「sn-1、sn-2およびsn-3」として定義される。Snは、「ステレオ番号」である。
【化1】
【0015】
これらの油の健康上の利点を考慮すると、EPIを患っている個人にこれらの油の健康上の利点を提供し、油の有益な成分をより利用可能にし得る組成物および方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0016】
本開示は、油源に由来する加工油を含む製品を対象とする。一実施形態では、加工油は、加工油の総重量の30重量%以上のMAG含有量、加工油の総重量の約10重量%~約30重量%のDAG含有量、および加工油の総重量の約5重量%~約60重量%のFFA含有量を含み、加工油は、TAGを含まないか、または加工油の総重量の5重量%以下であるTAG含有量を含み、加工油は、油源に由来し、かつ油源に天然に存在する非油成分を含み、そのため、非油成分が加工油に添加されない。
【0017】
一部の実施形態では、油源は、植物、動物、魚、またはそれらの混合物から選択される起源に由来する。一部の実施形態では、油源は、MCPD化合物を含む。これらの実施形態では、加工油は、MCPD化合物を実質的に含まない。
【0018】
一部の実施形態では、当該製品の非油成分は、抗酸化剤、ビタミン、およびそれらの混合物から選択される。
【0019】
一部の実施形態では、当該製品は、製品の総重量のうち1重量%超のMAGを含む。
【0020】
一部の実施形態では、当該製品は、製品の総重量のうち50重量%超のMAGを含む。
【0021】
本開示はまた、食品を対象とする。一実施形態では、食品は、約1kcal/g~約5kcal/gのカロリー密度を有する油を含み、約20%~約50%のカロリーが、当該油に由来する。
【0022】
一部の実施形態では、当該食品の油は、油源に由来する加工油であり、加工油は、加工油の総重量の30重量%以上のMAG含有量、加工油の総重量の約10重量%~約30重量%のDAG含有量、および加工油の総重量の約5重量%~約60重量%のFFA含有量を含み、加工油は、TAGを含まないか、または加工油の総重量の約5重量%以下であるTAG含有量を含み、加工油は、油源に由来し、かつ油源に天然に存在する非油成分を含み、そのため、非油成分が加工油に添加されない。
【0023】
一部の実施形態では、当該食品の油源は、植物、動物、または魚から選択される起源に由来する。
【0024】
一部の実施形態では、当該食品の非油成分は、抗酸化剤、ビタミン、およびそれらの混合物から選択される。
【0025】
一部の実施形態では、当該食品は、製品の総重量のうち1重量%超のMAGを含む。
【0026】
一部の実施形態では、当該食品は、製品の総重量のうち50重量%超のMAGを含む。
【0027】
一部の実施形態では、当該食品は、約25グラム~約3000グラムの総重量を有する。
【0028】
一部の実施形態では、当該食品は、1グラムあたり約1kcal~約5kcalの総カロリー含有量を有する。
【0029】
一部の実施形態では、当該食品は、炭水化物源をさらに含み得る。
【0030】
一部の実施形態では、当該食品は、タンパク質源をさらに含み得る。
【0031】
一部の実施形態では、当該油は、食品の総カロリー含有量の5%~95%に寄与する。
【0032】
本開示はまた、モノアシルグリセロールが濃縮された油を作製するための方法を対象とする。一実施形態では、本方法は、トリアシルグリセロール(TAG)を含む出発油を、緩衝液、および当該TAGを遊離脂肪酸(FFA)に加水分解することができる第1の酵素と混合して、第1の反応混合物を生成することと、当該反応混合物を、当該第1の酵素が当該TAGを第1の期間加水分解するのに十分な条件下で反応させて、水相および脂質(遊離脂肪酸)の反応生成物を生成することと、当該反応生成物中の当該第1の酵素を不活性化することと、当該脂質反応生成物を回収することと、当該脂質反応生成物と、食品グレードのグリセロールと、FFAをエステル化することができる第2の酵素とを混合して、第2の反応混合物を形成することと、当該第2の反応混合物を第2の期間反応させて、反応生成物の脂質油相およびグリセロール相を生成することと、当該反応生成物中の当該第2の酵素を不活性化することと、当該反応に塩を添加し、当該脂質油相を当該グリセロール相から分離することと、当該脂質油相を回収することと、を含む。
【0033】
一部の実施形態では、当該出発油は、植物、動物、海洋生物、またはそれらの混合物に由来する油である。一部の実施形態では、出発油は、MCPD化合物を含み、脂質油相は、MCPD化合物を実質的に含まない。
【0034】
一部の実施形態では、当該第1の酵素は、リパーゼAYである。
【0035】
一部の実施形態では、当該第1の期間は、当該出発油中の少なくとも94%のTAGを加水分解するのに十分な期間である。
【0036】
一部の実施形態では、当該第1の期間は、約14時間~24時間である。
【0037】
一部の実施形態では、当該反応混合物を、当該第1の酵素が当該TAGを加水分解するのに十分な条件下で反応させる当該ステップは、約30℃~約35℃の温度で行われる。
【0038】
一部の実施形態では、トリアシルグリセロール(TAG)を含む出発油、緩衝液、および当該TAGを遊離脂肪酸(FFA)に加水分解することができる第1の酵素を混合し、当該反応混合物を、当該第1の酵素が当該TAGをFFAに加水分解するのに十分な条件下で反応させる当該ステップは、窒素雰囲気下で行われる。
【0039】
一部の実施形態では、当該第2の酵素は、リパーゼGである。
【0040】
一部の実施形態では、当該第2の期間は、約60%~95%の脂質油相中のMAGの濃縮をもたらすのに十分な期間である。
【0041】
一部の実施形態では、当該第2の期間は、約24時間~約72時間である。
【0042】
一部の実施形態では、当該第2の反応混合物を第2の期間反応させて、脂質油相およびグリセロール相を生成する当該ステップは、約17℃~23℃の温度で行われる。
【0043】
一部の実施形態では、本方法は、反応生成物から少なくとも一部の水を除去するのに十分な第3の期間真空を適用することによって、当該反応生成物を乾燥させることをさらに含む。
【0044】
一部の実施形態では、当該反応生成物を乾燥させる当該ステップは、20℃~30℃の温度で行われる。
【0045】
一部の実施形態では、当該乾燥ステップは、第2の期間全体にわたって適用される。
【0046】
一部の実施形態では、当該第2の酵素を不活性化する当該ステップは、当該反応生成物を加熱することによって行われる。
【0047】
一部の実施形態では、当該加熱は、少なくとも70℃の温度で少なくとも1時間行われる。
【0048】
一部の実施形態では、当該脂質油相を当該グリセロール相から分離する当該ステップは、当該反応生成物に塩化ナトリウムを添加することを含む。
【0049】
一部の実施形態では、塩化ナトリウムの最終濃度は、最大0.3重量パーセントの塩化ナトリウムを含む。
【0050】
一部の実施形態では、本方法は、当該脂質反応生成物と、食品グレードのグリセロールと、FFAおよびグリセロールをエステル化することができる第2の酵素とを混合する前に、当該脂質反応生成物上に窒素雰囲気を再構築することをさらに含む。
【0051】
一部の実施形態では、当該脂質反応生成物を回収する当該ステップを行う前に、少なくとも一部の当該水相を除去し、少なくとも一部の当該水相を約等量の水で置換し、第2の期間を待つ当該ステップを繰り返す。
【0052】
一部の実施形態では、本方法は、当該脂質油相を回収した後に、当該脂質油相にトコフェロールを添加することをさらに含む。
【0053】
一部の実施形態では、総脂肪酸含有量を有する加工油は、加工油組成物の総脂肪酸含有量の約5重量%~約75重量%に寄与する量のオレイン酸モノグリセリド(MOG)を含む。
【0054】
一部の実施形態では、加工油は、約0.01~約5の比率でオレイン酸およびリノール酸を含み、加工油の総重量に基づいて、50重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を有する。
【0055】
一部の実施形態では、加工油は、約1~約100の比率でオレイン酸およびリノレン酸を含み、加工油の総重量に基づいて、50重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を有する。
【0056】
一部の実施形態では、加工油は、オレイン酸およびリノール酸を含み、総脂肪酸含有量を有し、リノール酸は、加工油の総脂肪酸含有量のうち約10重量%~約90重量%の量で存在する。
【0057】
一部の実施形態では、加工油は、加工油が生成される前加工油の脂肪酸プロファイルと実質的に同じ脂肪酸プロファイルを有する。
【0058】
一部の実施形態では、加工油は、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸を含む脂肪酸プロファイルを有し、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量は、加工油が生成される前加工油中に、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量がそれぞれ約10%以内である。
【0059】
一部の実施形態では、加工油は、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸を含む脂肪酸プロファイルを有し、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量は、加工油が生成される前加工油中に、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量がそれぞれ約1%以内である。
【0060】
一部の実施形態では、グルコース恒常性を必要とする対象においてそれを促進する方法は、オレイン酸モノグリセリドを含む加工油を含む組成物を、対象に投与するステップを含み、少なくとも50重量%の当該オレイン酸モノグリセリドが、1-オレイルモノグリセリドである。
【0061】
一部の実施形態では、II型糖尿病の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法は、オレイン酸モノグリセリドを含む加工油を含む組成物を、対象に投与するステップを含み、少なくとも50重量%の当該オレイン酸モノグリセリドが、1-オレイルモノグリセリドである。
【0062】
一部の実施形態では、グルコース恒常性を必要とする対象においてそれを促進する方法は、本開示の加工油を含む組成物を、対象に投与するステップを含む。
【0063】
一部の実施形態では、糖尿病を治療する必要がある対象においてそれを治療するための方法は、本開示の加工油を含む組成物を、対象に投与するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】出発植物油、中間体FFA、および最終MAG油の成分のTLC分離を示す。
図2】出発植物油、中間体FFA、および最終MAG油の成分のTLC分離を示す。
図3】本開示の「Ensure Original Nutritional Shake」および酵素修飾油製品(「GBFS」)におけるFFA、MAG、DAG、およびTAGの分布を示す。
図4】酵素修飾油の製造プロセスのブロックフロー図を示す。
図5】即飲型(ready-to-drink)栄養ドリンクおよびGBFS加水分解豆類タンパク質におけるアミノ酸およびペプチドの分布を示す。
図6A】標準TAG(トリステリン)のNMRスペクトルを示す。
図6B】アーモンド油から産生される酵素修飾油のNMRスペクトルを示す。
図7】EMOベースの即飲型シェイクの摂取後の血清トリグリセリドの増加を示す。
図8】PERTによらないMAGベースのRTDSを摂取した後の、血清トリグリセリドの増加を示す。
図9】PERTによらないMAGベースのRTDS、またはPERTによる標準的な栄養補助食品を摂取した後の、患者の血清グルコースレベル(平均)を示す。
図10】PERTによらないベースのRTDS、またはPERTによる標準的な栄養補助食品を摂取した後の、患者の血清トリグリセリドレベル(平均)を示す。
図11】実施例13のキャノーラ油およびキャノーラEMO、ならびに2つの市販のモノグリセリドの試料中の特定の脂肪酸の割合を示す。
図12A】LC/MS/MS分析に基づく実施例14のキャノーラ油およびキャノーラEMO中の種々の化合物の量を示す。
図12B】LC/MS/MS分析に基づく実施例14のキャノーラ油およびキャノーラEMO中の種々の化合物の量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明のどちらも、例示的および説明的なものにすぎず、特許請求される本発明を限定するものではないことを理解されたい。本出願では、特に具体的に明記しない限り、単数形の使用は、複数形を含み、単語「a」または「an」は、「少なくとも1つ」を意味し、「または」の使用は、「および/または」を意味する。さらに、「含む(including)」という用語、ならびに「含む(includes)」および「含まれる(included)」などの他の形態の使用は、限定的ではない。また、「要素」または「構成要素」などの用語は、特に具体的に明記しない限り、1つの単位を含む要素または構成要素、および1つを超える単位を含む要素または構成要素の両方を包含する。
【0066】
本明細書で使用される節の見出しは、単に組織化する目的のためであり、記載される主題を限定するものとして解釈されるべきではない。特許、特許出願、記事、書籍、および論文を含むがこれらに限定されない、本出願で引用される全ての文書または文書の一部は、任意の目的で、それらの全体が参照により本明細書に明示的に援用される。援用される文献および類似の資料のうちの1つ以上が、本出願における用語の定義と矛盾する方法で用語を定義する場合、本出願が優先する。
【0067】
本発明の文脈における「濃縮された(enriched)」とは、出発物質よりも高い量を有することを意味する。例えば、MAGが濃縮された油は、濃縮プロセス前の開始MAG含有量よりも大きいMAG含有量を有する油であるか、または開始油が濃縮プロセス前に有していた割合よりも大きなMAGの割合を有する油である。濃縮プロセスは、TAGがMAGに変換され、それによって、MAGの含有量および割合が増加し、TAGの含有量または割合が減少することによってなされ得る。
【0068】
トリグリセリドとしても知られるトリアシルグリセロール(「TAG」)は、エステル結合を介してグリセロール分子に共有結合した3つの脂肪酸鎖からなるグリセリドである。TAGは、長鎖長または中鎖長を有するものとして分類されてもよい。長鎖TAGは、14個以上の炭素を有する脂肪酸を含有し、中鎖TAGは、6~12個の炭素を有する脂肪酸を含有する。長鎖TAGには、ω3脂肪酸およびω6脂肪酸が含まれ得る。中鎖TAGは、飽和脂肪酸を有するため、ω3脂肪酸またはω6脂肪酸を含まない。長鎖TAG(LCT)および中鎖トリグリセリド(MCT)は、エネルギー源としての役割を果たすことができる。
【0069】
ジアシルグリセロール(「DAG」)、別名ジグリセリドは、エステル結合を介してグリセロール分子に共有結合した2つの脂肪酸鎖からなるグリセリドである。
【0070】
モノアシルグリセロール(「MAG」)、別名モノグリセリドは、エステル結合を介してグリセロール分子に共有結合した1つの脂肪酸鎖からなるグリセリドである。
【0071】
本明細書で使用される場合、「加工油(processed oil)」という用語は、実質的にTAGを含まないか、または前修飾された油または前加工された油に対して減少した量のTAGを有する非天然油組成物を指す。
【0072】
本明細書で使用される場合、「酵素修飾油(enzyme-modified oil)」または「EMO」という用語は、例えば、本開示の酵素変換を使用して、TAGが酵素的にMAGに変換された加工油を指す。
【0073】
本明細書で使用される場合、「食品」という用語は、製造されたまたは非天然の食品を指す。本明細書で言及される食品は、全体として製造されたものであり、非天然であるが、天然成分の様々な組み合わせを含むことができ、当該組み合わせが自然界で発生しないか、または当該組み合わせが自然界に存在しても、それらが食品に使用される相対量で存在しないことを理解されたい。
【0074】
「患者」、「個体」、および「対象」という用語は、本明細書では互換的に使用され、治療される哺乳動物対象を指し、ヒト患者が好ましい。場合によっては、本発明の方法は、マウス、ラット、ハムスターを含むげっ歯類および霊長類を含むがこれらに限定されない、実験動物において、獣医学的応用において、および疾患の動物モデルの開発において、使用される。
【0075】
「治療」は、障害の発症を予防するか、または障害の病理もしくは症状を変化させることを意図して行われる介入である。したがって、「治療」は、治療的な処置および予防的(prophylacticまたはpreventative)措置の両方を指し得る。治療を必要とする者としては、既に障害を有する者、および障害が予防されるべき者が含まれる。腫瘍(例えば、癌)治療では、治療剤は、腫瘍細胞の病理を直接的に低減し得るか、または腫瘍細胞を、他の治療剤(例えば、放射線療法および/または化学療法)による治療に、より感受性にさせ得る。
【0076】
本明細書で使用される場合、「非油成分」は、MAG、DAG、TAG、FFAまたは脂質ではない油源に、天然に存在する成分である。
【0077】
一部の実施形態では、出発油としては、限定されないが、例として、植物由来の油(オリーブ油、アーモンド油、キャノーラ油、ココナッツ油、綿実油、ヤシ殻油、ヤシオレイン油、ヤシステアリン油、ピーナッツ油、アマニ油、ヒマワリ種子油、トウモロコシ油、ブドウ苗油、ヤシ油、ダイズ油など)、または動物由来の油(魚油、イワシ油、もしくはアンチョビ油、または藻油など)、あるいは上述の植物油および/または動物油のいずれかの混合物を含んでもよい。一態様では、出発油は、オリーブ油、ヒマワリ種子油、およびアマニ油のブレンドを含み、出発油の総重量の約50重量%~約80重量%がオリーブ油であり、出発油の総重量の約10重量%~約30重量%がヒマワリ種子油であり、出発油の総重量の約5重量%~約20重量%がアマニ油である。別の態様では、出発油の総重量の約50重量%~約80重量%がオリーブ油であり、出発油の総重量の約10重量%~約30重量%がアマニ油であり、出発油の総重量の約5重量%~約20重量%がヒマワリ種子油である。
【0078】
一部の実施形態では、出発油は、MCPD化合物を含む。MCPD化合物は、約0.30mg/kg~約12.0mg/kg、または約1.0mg/kg~約11.00mg/kg、または約2.00mg/kg~約10.50mg/kgの量であり得る。MCPD化合物を含む出発油の例としては、アーモンド、キャノーラ、ココナッツ、トウモロコシ、綿実、ブドウ種子、オリーブ、ヤシ、ヤシ殻、ヤシオレイン、ヤシステアリン、ピーナッツ、大豆、およびヒマワリが挙げられる。
【0079】
一部の実施形態では、MAGが濃縮された製品を作製するプロセスは、TAGを加水分解する第1のステップを含む。限定されないが、例として、TAGの加水分解は、リパーゼAY(Amano Enzymes,USA Elgin IL,USA)、またはsn-1、sn-2、およびsn-3位で切断する任意の非位置特異的リパーゼなどのリパーゼによって実施され得る。
【0080】
一部の実施形態では、TAGを加水分解する第1のステップは、約30℃~35℃の温度で実施され得る。限定されないが、例として、TAGを加水分解する第1のステップは、30℃~35℃、31℃~35℃、32℃~35℃、33℃~35℃、34℃~35℃、30℃~34℃、31℃~34℃、32℃~34℃、33℃~34℃、30℃~33℃、31℃~33℃、32℃~33℃、30℃~32℃、31℃~32℃、30℃~31℃、または30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、もしくは35℃の温度で実施され得る。
【0081】
一部の実施形態では、TAGを加水分解する第1のステップは、約14時間~24時間実施され得る。限定されないが、例として、TAGを加水分解する第1のステップは、14時間~20時間、14時間~16時間、18時間~24時間、22時間~24時間、18時間~20時間、または約14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、もしくは24時間実施され得る。
【0082】
一部の実施形態では、TAGを加水分解する第1のステップは、実質的に全てのTAGの加水分解をもたらす。限定されないが、例として、TAGを加水分解する第1のステップは、94%~100%、95%~100%、96%~100%、97%~100%、98%~100%、99%~100%、94%~99%、95%~99%、96%~99%、97%~99%、98%~99%、94%~98%、95%~98%、96%~98%、97%~98%、94%~97%、95%~97%、96%~97%、94%~96%、95%~96%、または94%~95%のTAG、または少なくとも94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%のTAGの加水分解をもたらす。
【0083】
一部の実施形態では、MAGが濃縮された生成物を作製するプロセスは、MAG油含有量を濃縮するために、グリセロールとのエステル化の第2のステップを含む。限定されないが、例として、このエステル化の第2のステップは、リパーゼ、例えば、リパーゼG(Amano Enzymes,USA Elgin IL,USA)、またはsn-1位でエステル化を触媒するが、(DAGおよびTAGを生成する)グリセロール上の第2または第3のエステルの形成を効果的に触媒しない任意の位置特異的リパーゼによって行われ得る。
【0084】
一部の実施形態では、MAG油含有量を濃縮するために、グリセロールとのエステル化の第2のステップは、生成物中のMAGを約70%~95%に濃縮することをもたらす。限定されないが、例として、MAG油含有量は、70%~95%、75%~95%、80%~95%、85%~95%、90%~95%、70%~90%、75%~90%、80%~90%、85%~90%、70%~85%、75%~85%、80%~85%、70%~80%、75%~80%、70%~75%、または70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%に濃縮され得る。
【0085】
一部の実施形態では、グリセロールとのエステル化の第2のステップは、約17℃~23℃の温度で実施され得る。限定されないが、例として、グリセロールとのエステル化は、17℃~23℃、18℃~23℃、19℃~23℃、20℃~23℃、21℃~23℃、22℃~23℃、17℃~22℃、18℃~22℃、19℃~22℃、20℃~22℃、21℃~22℃、17℃~21℃、18℃~21℃、19℃~21℃、20℃~21℃、17℃~20℃、18℃~20℃、19℃~20℃、17℃~19℃、18℃~19℃、17℃~18℃、または17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、もしくは23℃の温度で実施され得る。
【0086】
一部の実施形態では、グリセロールとのエステル化の第2のステップは、約24時間~72時間実施され得る。限定されないが、例として、グリセロールとのエステル化の第2のステップは、24時間~72時間、36時間~72時間、48時間~72時間、60時間~72時間、24時間~60時間、36時間~60時間、48時間~60時間、24時間~48時間、36時間~48時間、24時間~36時間、または24時間、30時間、36時間、42時間、48時間、54時間、60時間、66時間、もしくは72時間実施され得る。
【0087】
一部の実施形態では、MAGが濃縮された生成物を作製するプロセスは、リパーゼの不活性化および相分離の第3のステップを含む。
【0088】
上記の実施形態から得られる生成物は、加工油の総重量に基づいて40重量%以上のMAG含有量を有する加工油をもたらす。特定の態様では、MAG含有量は、加工油の総重量に基づいて約40重量%~約99重量%である。特定の態様では、MAG含有量は、加工油の総重量に基づいて約50重量%~約99重量%である。特定の態様では、MAG含有量は、加工油の総重量に基づいて約60重量%~約99重量%である。特定の態様では、MAG含有量は、加工油の総重量に基づいて約70重量%~約99重量%である。特定の態様では、MAG含有量は、加工油の総重量に基づいて約80重量%~約99重量%である。特定の態様では、MAG含有量は、加工油の総重量に基づいて約50重量%~約80重量%である。上記の態様のいずれかにおいて、TAG含有量は、加工油の総重量に基づいて5重量%以下である。上記の態様のいずれかにおいて、TAG含有量は、加工油の総重量に基づいて、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下である。
【0089】
上記の実施形態から得られる生成物は、一般に、MCPD化合物を実質的に含まない加工油が得られるが、出発油が0.30mg/kg超のMCPD化合物を有し、場合によっては、約1.0mg/kg~約12.00mg/kgを有する場合もある。より具体的には、上記の方法から得られる加工油は、100mg/kg未満のMCPDを含み、標準的なアッセイによって検出されないレベルも含まれる。本明細書で使用される場合、本発明の加工油中のMCPDレベルの量に関して「実質的に含まない」という用語は、以下の実施例11に記載されるアッセイの検出限界未満であるレベルを意味する。
【0090】
上記の実施形態から得られた生成物は、MAG、具体的には、1-MAG(sn-1位でエステル化されたMAG)が濃縮された加工油が得られる。オレイン酸含有量を有する出発油から作製された加工油の場合、これは、1-オレイルモノアシルグリセリド(1-OG)の生成をもたらす。本開示の製造プロセスの実施形態は、sn-2オレイン酸TAGでさえ、1-OGに効率的に変換され得ることが見出されている。例えば、トリオレインから開始する、本開示の製造プロセスの実施形態は、単一のトリオレイン分子から3つの1-OG分子を得ることができるが、一方、膵臓リパーゼによるトリオレインの消化では、リバーゼは、遊離脂肪酸としてsn-1およびsn-3位のオレイン酸部分が遊離されるため、モノアシルグリセロールの形態では(具体的には、1-OGではなく2-モノアシルグリセロール(2-OG)として)全オレイン酸の3分の1しか得ることができない。したがって、本開示の製造方法によって生成される加工油は、通常の消化プロセスと比較して、最大3倍の1-OG含有量を得ることができる。以下の反応概略図は、本開示のプロセスによる、トリオレインの2-OGおよび2つの遊離オレイン酸分子への変換(プロセスA-通常の消化)、ならびにトリオレインの3分子の1-OGへの変換(プロセスB)を示す。
【化2】
【0091】
また、本開示の製造プロセス実施形態は、加工油中の出発油の脂肪酸プロファイルが保存され得ることも見出されている。以下の表2に、様々な出発油の代表的な脂肪酸プロファイルを示し、総脂肪酸メチルエステル(FAME)の割合を提供する。Nd-決定されず。SAF-ベニバナ、GRP-ブドウ、SIL-マリアアザミ(Silynum marianum)、HMP-アサ、SFL-ヒマワリ、WHG-コムギ胚芽、PMS-カボチャ種子、SES-ゴマ、RB-米糠、ALM-アーモンド、RPS-ナタネ(キャノーラ)、PNT-ピーナッツ、OL-オリーブ、COC-ココナッツ、の油。表2はまた、各油のオレイン酸/リノール酸の比率およびオレイン酸/リノレン酸の比率を提供する。
【表2】
【0092】
特に、リノール酸(ω3脂肪酸)およびリノレン酸(ω6脂肪酸)は、ヒトにとって必須であることが知られ、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサンエン酸(DHA)を含む、より長鎖で、より不飽和の脂肪酸(さもなければ長鎖多価不飽和脂肪酸(LC-PUFA)として知られている)の生成に使用され得る。
【0093】
一部の実施形態では、製品は、本開示の加工油を含む。一部の実施形態では、加工油自体が、単体製品である。
【0094】
一部の実施形態では、加工油は、加工油の総重量の30重量%以上のMAG含有量を含む。限定されないが、例として、加工油は、加工油の総重量の約30%~95%、40%~95%、50%~95%、60%~95%、70%~95%、80%~95%、90%~95%、30%~90%、40%~90%、50%~90%、60%~90%、70%~90%、80%~90%、30%~80%、40%~80%、50%~80%、60%~80%、70%~80%、30%~70%、40%~70%、50%~70%、60%~70%、30%~60%、40%~60%、50%~60%、30%~50%、40%~50%、または約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%のMAG含有量を含む。
【0095】
MAG含有量に関する上記の実施形態を含む一部の実施形態では、加工油は、加工油の総重量の5重量%以上のDAG含有量を含む。限定されないが、例として、加工油は、加工油の総重量の約5重量%~66重量%、10重量%~66重量%、20重量%~66重量%、30重量%~66重量%、40重量%~66重量%、50~66重量%、5重量%~50重量%、10重量%~50重量%、20重量%~50重量%、30重量%~50重量%、40重量%~50重量%、5重量%~40重量%、10重量%~40重量%、20重量%~40重量%、30重量%~40重量%、5重量%~30重量%、10重量%~30重量%、20重量%~30重量%、5重量%~20重量%、10重量%~20重量%、5重量%~10重量%、、または約5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、もしくは66重量%のMAG含有量を含む。
【0096】
MAGおよび/またはDAG含有量に関する上記の実施形態を含む一部の実施形態では、加工油は、加工油の総重量の5重量%以上のFFA含有量を含む。限定されないが、例として、加工油は、加工油の総重量の約5重量%~66重量%、10重量%~66重量%、20重量%~66重量%、30重量%~66重量%、40重量%~66重量%、50~66重量%、5重量%~50重量%、10重量%~50重量%、20重量%~50重量%、30重量%~50重量%、40重量%~50重量%、5重量%~40重量%、10重量%~40重量%、20重量%~40重量%、30重量%~40重量%、5重量%~30重量%、10重量%~30重量%、20重量%~30重量%、5重量%~20重量%、10重量%~20重量%、5重量%~15重量%、10重量%~15重量%、5重量%~10重量%、、または約5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、もしくは66重量%のMAG含有量を含む。
【0097】
MAG、DAGおよび/またはFFA含有量に関する上記の実施形態を含む一部の実施形態では、加工油はTAGを含まないか、または加工油の総重量の5重量%以下のTAG含有量を含む。限定されないが、例として、加工油は、加工油の総重量の約0重量%~5重量%、1重量%~5重量%、2重量%~5重量%、3重量%~5重量%、4重量%~5重量%、0重量%~4重量%、1重量%~4重量%、2%~4重量%、3重量%~4重量%、0重量%~3重量%、1重量%~3重量%、2重量%~3重量%、0重量%~2重量%、1重量%~2重量%、0重量%~1重量%、または0重量%、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、もしくは5重量%であるTAG含有量を含む。さらなる例として、限定されないが、TAG含有量は、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満であり得る。
【0098】
一部の実施形態では、加工油は、加工油の総重量の約30重量%~80重量%のMAG、加工油の総重量の約10重量%~約30重量%のDAG、加工油の総重量の約0重量%~約5重量%のTAG、および加工油の総重量の約5重量%~約60重量%のFFAを含む。
【0099】
本明細書の実施形態のいずれかにおいて、加工油は、油源に由来し、かつ油源に天然に存在する非油成分を含み、それ故、非油成分が加工油に添加されない。限定されないが、例として、かかる非油性成分は、トコフェロール(α-トコフェロール、β-トコフェロール、δ-トコフェロール、γ-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、またはγ-トコトリエノールを含む)、ならびに他のビタミン(ビタミンKおよび構造的に類似する2-メチル-1,4-ナフトキノン(3-)誘導体など)などの抗酸化剤を含み得る。一部の実施形態では、抗酸化剤は、天然(例えば、混合されたトコフェロールまたはアスコルビン酸)および合成(例えば、ブチル化ヒドロキシアニソールまたはブチル化ヒドロキシトルエン)抗酸化剤から選択される。非油成分のさらなる例としては、セラミドリン酸、モノガラクトシルジアシグリセロール、ホスファチジルメタノール、シトステリルエステル、カンプエステロールエステル、スフィンゴ脂質、ホスファチジルグリセロール、ワックスエステル、およびスフィンゴミエリンが挙げられる。
【0100】
本明細書の実施形態のいずれかにおいて、加工油は、オレイン酸モノグリセリド(MOG)を含み、総脂肪酸含有量を有する。MOGは、加工油の総脂肪酸含有量の約5重量%~約75重量%を寄与することができる。一部の実施形態では、例として、限定されないが、MOGは、加工油の総脂肪酸含有量の約10重量%~約75重量%、約20重量%~約75重量%、約30重量%~約75重量%、約40重量%~約75重量%、約50重量%~約75重量%、または約60重量%~約75重量%を寄与することができる。一部の実施形態では、加工油は、加工油の総脂肪酸含有量の約5重量%および約75重量%の量のオレイン酸を含む。一部の実施形態では、一例として、限定されないが、オレイン酸は、加工油の総脂肪酸含有量の約10重量%~約75重量%、約20重量%~約75重量%、約30重量%~約75重量%、約40重量%~約75重量%、約50重量%~約75重量%、または約60重量%~約75重量%を寄与することができる。
【0101】
本明細書の実施形態のいずれかにおいて、加工油は、MOGを含み、MOGは、MOGの総量のうち少なくとも50重量%の1-オレイルモノグリセリド(1-OG)を含む。限定されないが、例として、加工油は、MOGの総量のうち少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の1-OGを含み得る。
【0102】
本明細書の実施形態のいずれかにおいて、加工油は、加工油の総脂肪酸含有量のうち約10重量%~約75重量%の量のオレイン酸を含む。限定されないが、例として、オレイン酸は、加工油の総脂肪酸含有量のうち約10重量%~約75重量%、約20重量%~約75重量%、約30重量%~約75重量%、約40重量%~約75重量%、約50重量%~約75重量%、約60重量%~約75重量%、約10重量%~約20重量%、約10重量%~約30重量%、約10重量%~約40重量%、約10重量%~約50重量%、または約10重量%~約60重量%の量で存在し得る。本明細書の実施形態のいずれかにおいて、オレイン酸は、sn-1位でエステル化される。限定されないが、例として、加工油は、オレイン酸の総量のうち少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の、sn-1位置でエステル化されたオレイン酸を含み得る。
【0103】
本明細書の実施形態のいずれかにおいて、加工油は、加工油の総脂肪酸含有量のうち約1.5重量%~約90重量%の量のリノール酸を含む。限定されないが、例として、リノール酸は、加工油の総脂肪酸含有量のうち約10重量%~約90重量%、約20重量%~約90重量%、約30重量%~約90重量%、約40重量%~約90重量%、約50重量%~約90重量%、約60重量%~約90重量%、約70重量%~約90重量%、約80重量%~約90重量%、約10重量%~約25重量%、約10重量%~約20重量%の量で存在し得る。一部の実施形態では、加工油は、オレイン酸およびリノール酸を含み、オレイン酸:リノール酸の比率は、約0.01~5である。限定されないが、例として、オレイン酸:リノール酸の比率は、約1~約5、約1~約4、約1~約3、約1~約2、約1.5~約5、約1.5~約4、約1.5~約3、約1.5~約2、約2~約5、約2~約4、約2~約3、約2.5~約5、約2.5~約4.5、約2.5~約4、約2.5~約3.5、約2.5~約3、約3~約5、または約3~約4であり得る。
【0104】
本明細書の実施形態のいずれかにおいて、加工油は、加工油の総脂肪酸含有量の約0.01重量%~約2重量%の量のリノレン酸を含む。限定されないが、例として、リノレン酸は、加工油の総脂肪酸含有量のうち約0.1~約2重量%、約0.5~約2重量%、約1%~約2重量%、または約1.5重量%~約2重量%の量で存在し得る。一部の実施形態では、加工油は、オレイン酸およびリノレン酸を含み、オレイン酸とリノレン酸の比率は、約1~約100である。限定されないが、例として、オレイン酸:リノレン酸の比率は、約10~約100、約20~約100、約30~約100、約40~約100、約50~約100、約60~約100、約70~約100、約10~約90、約10~約80、約10~約70、約10~約60、約10~約50、約10~約40、約10~約30、または約10~約20であり得る。特許請求の範囲における脂肪酸への言及は、遊離脂肪酸のみに限定されるものとして理解されるべきではなく、グリセリド形態の脂肪酸を指し得ることを理解されたい。本開示の加工油では、脂肪酸は、主にMAG形態であり、前加工油では、主にTAG形態である。特定の場合によっては、より小さな程度の脂肪酸は、遊離型またはDAG型であってもよい。加工油では、遊離脂肪酸は、典型的には、10%未満である。
【0105】
本明細書の実施形態のいずれかにおいて、加工油は、加工油が生成される前加工油の脂肪酸プロファイルと実質的に同じである脂肪酸プロファイルを有する。限定されないが、例として、加工油の脂肪酸プロファイルは、脂肪酸プロファイルの各成分について、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%以内であり得る。一部の実施形態では、脂肪酸プロファイルは、オレイン酸、リノール酸、およびリノール酸を含む。しかしながら、脂肪酸の任意の組み合わせが、脂肪酸プロファイルを形成し得る。限定されないが、例として、脂肪酸プロファイルは、表2に列挙される脂肪酸、ならびにEPAおよびDHAの任意の組み合わせを含み得る。
【0106】
本明細書の実施形態のいずれかにおいて、加工油は、油が生成される前加工油中のTAG分子の数と比較して、3倍量のMAG分子を含む。例えば、モルベースで、加工油中のMAGの形態のオレイン酸の量は、前加工油中のTAG中のオレイン酸の量の最大3倍であり得る。限定されないが、例として、加工油中のMAG形態のオレイン酸の量は、前加工油中のTAG形態のオレイン酸の量の1.1、1.25、1.5、1.75、2.0、2.25、2.5、2.75または3倍であり得る。例えば、前加工油中のTAGの形態の各オレイン酸部分は、オレイン酸MAGに変換され得、その結果、トリオレインのように、最大3つのオレイン酸部分が、3つのオレイン酸MAGに変換される。一部の実施形態では、加工油中のMAGの量は、加工油が生成される前加工油中のTAGの量の3倍である。例えば、生成されたMAGの数は、前加工油中のTAGの数の約3倍に相当する。一部の実施形態では、加工油は、オレイン酸モノグリセリド形態のオレイン酸を、加工油が生成される前加工油中のオレイン酸の量とほぼ同じ量で含む。
【0107】
一部の実施形態では、製品または食品は、少なくとも1%のMAGを含み得る。限定されないが、例として、食品は、製品または食品の少なくとも1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%もしくはそれ以上、またはその間の任意の範囲もしくは量のMAGを含み得る。さらなる例として、限定されないが、製品または食品は、製品または食品の総重量の5重量%~15重量%のMAGを含み得る。
【0108】
一部の実施形態では、製品または食品は、製品または食品の総重量の少なくとも3重量%の本明細書の実施形態のいずれかの加工油を含み得る。限定されないが、例として、食品は、製品または食品の本明細書の実施形態のいずれかの加工油の少なくとも3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%またはそれ以上、およびその間の任意の範囲または量を含み得る。
【0109】
一部の実施形態では、食品は、炭水化物源をさらに含んでもよい。限定されないが、例として、かかる炭水化物源は、果物およびアガベシロップなどの炭水化物源に由来する、グルコースおよびフルクトースなどの単糖を含み得る。他の炭水化物源としては、他の植物ベースの液糖、デンプン、および糖アルコールが挙げられる。
【0110】
一部の実施形態では、食品は、タンパク質源をさらに含んでもよい。特定の態様では、タンパク質源は、加水分解され得るか、または部分的に加水分解され得る。限定されないが、例として、かかるタンパク質源は、乳タンパク質(カゼインおよび乳清)、ならびに大豆、米および米糠、レンズ豆、ヒヨコマメ、落花生、アーモンド、スピルリナ(藻類)、キノア、マイコプロテイン、チア種子およびアサ種子からのタンパク質を含む他の植物タンパク質を含み得る。加水分解タンパク質は、大幅に加水分解されてもよく、豆類タンパク質は、1~10アミノ酸長のペプチドが濃縮されている。一部の実施形態では、タンパク質は、商業的に部分的に加水分解されたタンパク質およびペプタメンおよびクルーシャルなどの他の乳清ベースの加水分解産物と比較して、1~10アミノ酸長のペプチドが約25%~75%濃縮される。限定されないが、例として、タンパク質は、1~10アミノ酸長のペプチドに、少なくとも25%~75%、35%~75%、45%~75%、55%~75%、65%~75%、25%~65%、35%~65%、45%~65%、55%~65%、25%~55%、35%~55%、45%~55%、25%~45%、35%~45%、25%~35%、または25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%濃縮される。
【0111】
一部の実施形態では、食品は、液体、半固体または固体であり得る。限定されないが、例として、半固体は、プディング、ムース、ポップス、またはアイスクリームのような製品を含み得る。限定されないが、例として、液体は、シェイクまたは他のドリンクであり得る。限定されないが、例として、固体は、バーまたは他の固体食品であり得る。
【0112】
一部の実施形態では、製品または食品は、粘度調整剤をさらに含む。粘度調整剤は、例として、キサンタンガムまたはアカシアガムであり得るが、これらに限定されない。一部の実施形態では、製品または食品は、例として、限定されないが、アラビアガム、ヒマワリレシチンおよびキサンタンガムなどの構造または安定性を向上させる成分をさらに含み得る。一部の実施形態では、製品または食品は、例として、限定されないが、オリゴ糖などの繊維源をさらに含む。一部の実施形態では、製品または食品は、限定されないが、例として、安息香酸ナトリウムまたはソルビン酸カリウムなどの食品防腐剤をさらに含み得る。
【0113】
一部の実施形態では、製品または食品は、フレーバー(flavor)、マスカー(masker)、またはブロッカー(blocker)をさらに含む。例として、限定されないが、フレーバーは、チョコレート、バニラ、イチゴ、または他のフレーバーを含み得る。
【0114】
一部の実施形態では、食品は、少なくとも25グラムの総重量を有する。限定されないが、例として、食品は、少なくとも25、50、100、250、500、1000、1500、2000、2500、3000グラム、またはそれ以上の重量を有することができる。一部の実施形態では、食品は、約25グラム~約3000グラムの総重量を有する。限定されないが、例として、食品は、25グラム~3000グラム、25グラム~2500グラム、25グラム~2000グラム、25~1000グラム、25グラム~500グラム、50グラム~3000グラム、50グラム~2500グラム、50グラム~2000グラム、50グラム~1500グラム、50グラム~1000グラム、50グラム~500グラム、100グラム~3000グラム、100グラム~2500グラム、100グラム~2000グラム、100グラム~1500グラム、100グラム~1000グラム、100グラム~500グラム、250グラム~3000グラム、250グラム~2500グラム、250グラム~2000グラム、250グラム~1500グラム、250グラム~1000グラム、250グラム~500グラム、500グラム~3000グラム、500グラム~2500グラム、500グラム~2000グラム、500グラム~1500グラム、500グラム~1000グラム、1000グラム~3000グラム、1000グラム~2500グラム、1000グラム~2000グラム、1000グラム~1500グラム、1500グラム~3000グラム、1500グラム~3000グラム、2000グラム~3000グラム、2000グラム~2500グラム、25グラム~250グラム、50グラム~250グラム、100グラム~250グラム、25グラム~100グラム、50グラム~100グラム、25グラム~50グラムの重量、または25グラム、50グラム、100グラム、150グラム、200グラム、250グラム、300グラム、350グラム、400グラム、450グラム、500グラム、1000グラム、1500グラム、2000グラム、2500グラム、もしくは3000グラム以下の総重量を有し得る。
【0115】
一部の実施形態では、食品は、約200kcal~1000kcalの総カロリー含有量を有する。限定されないが、例として、食品は、約200kcal~1000kcal、400kcal~1000kcal、600kcal~1000kcal、800kcal~1000kcal、200kcal~800kcal、400kcal~800kcal、600kcal~800kcal、200kcal~600kcal、400kcal~600kcal、200kcal~400kcal、または200kcal、300kcal、400kcal、500kcal、600kcal、700kcal、800kcal、900kcal、もしくは1000kcal以下のカロリー含有量を有し得る。
【0116】
一部の実施形態では、食品中の約20%~75%のカロリーは、油または脂肪に由来する。一態様では、油または脂肪は、本明細書の実施形態のいずれかの加工油である。さらに別の態様では、加工油は、加工油の総重量の30重量%以上のMAG含有量を有する。他の態様では、加工油は、加工油の総重量の約40重量%~約99重量%のMAG含有量を有する。さらに別の態様では、加工油は、加工油の総重量の5重量%未満のTAG含有量を有する。限定されないが、例として、食品のカロリーの20%~50%、30%~50%、40%~50%、20%~40%、30%~40%、20%~30%、20%~75%、30%~75%、40%~75%、50%~75%、60%~75%、70%~75%、20%~70%、30%~70%、40%~70%、50%~70%、60%~70%、20%~60%、30%~60%、40%~60%、50%~60%、または約20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、もしくは75%が、上に記載の任意の加工油に由来する。
【0117】
食品に関する上記の実施形態のいずれかにおいて、食品のカロリーの約20%~50%が、炭水化物源に由来する。限定されないが、例として、食品のカロリーの20%~50%、30%~50%、40%~50%、20%~40%、30%~40%、20%~30%、または約20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、もしくは50%が、炭水化物源に由来する。
【0118】
食品に関する上記の実施形態のいずれかにおいて、食品のカロリーの約10%~50%が、タンパク質源に由来する。限定されないが、例として、食品のカロリーの10%~50%、20%~50%、30%~50%、40%~50%、10%~40%、20%~40%、30%~40%、10%~30%、20%~30%、10%~20%、または約10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、もしくは50%が、タンパク質源に由来する。
【0119】
食品の上に開示された実施形態は組み合わせ得ることを理解されたい。
【0120】
一部の実施形態では、本開示の食品は、本開示の加工油を含む。
【0121】
一部の実施形態では、EMOベースの製品は、機能不全の消化器系を有する個体、限定されないが、例として、EPIを患っている個体、または食物とともにPERTを利用する個体によって消費される。一部の実施形態では、EMOベースの製品は、脂質の血清トリグリセリドへのより速い変換またはより完全な変換を所望する個体によって消費される。したがって、機能不全の消化器系を有するヒトまたは動物の対象に食事を与えるための方法が提供される。本方法は、当該患者に、上記の実施形態のいずれかに記載の食品、またはかかる実施形態の組み合わせを投与することを含む。一態様では、ヒトまたは動物の対象は、EPIを患っている。他の態様では、ヒトまたは動物の対象は、嚢胞性線維症、膵炎、膵癌、または胆汁うっ滞を患っている。
【0122】
一部の実施形態では、グルコース恒常性を必要とする対象において、それを促進するための方法が提供され、本開示の加工油を含む組成物を、対象に投与することを含む。一部の実施形態では、対象は、グルコースの恒常性に影響を与える状態を患っている。一部の実施形態では、その状態は、インスリン抵抗性または糖尿病である。一部の実施形態では、その状態は、II型糖尿病である。
【0123】
一部の実施形態では、糖尿病の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法が提供され、本開示の加工油を含む組成物を、対象に投与することを含む。一部の実施形態では、糖尿病は、II型糖尿病である。
【実施例
【0124】
実施例1:TAGが豊富な出発油と比較して、MAGが濃縮された生成物を作製するプロセス。
TAGが豊富な出発油と比較して、MAGが濃縮された生成物を作製する方法には、3つの重要なステップが含まれる。(1)穏和な酵素触媒反応:トリグリセリド(TAG)を順次加水分解して、天然油を、FFA、MAG、DAG、および低残留TAGの特定の組み合わせに変換する、(2)グリセロールとのエステル化:主に多量のMAGを生成し、低濃度のFFAを残す、および(3)修飾脂質生成物の単離:これは、遠心分離の助けの有無にかかわらず、相分離によって達成される。
【0125】
ステップ1.トリアシルグリセロールの酵素変換
緩衝液の調製。クエン酸ナトリウム溶液(100mM、pH5.8)を、撹拌タンク反応器中で調製した。11.1Lの脱イオン(DI)水を混合容器に入れ、撹拌器を200RPMに設定し、0.213kgのクエン酸(無水)を添加した。粉末を溶解させた後、pHを、水酸化ナトリウム溶液(約0.121kg)でpH=5.8に調整した。その後の酵素調製のために、220mLを除去した。
【0126】
酵素溶液の調製。別の250mLのボトル内で、酵素溶液を穏やかに撹拌しながら調製した。200mLのクエン酸緩衝液を混合容器に入れた。10gのAMANOリパーゼAYを添加し、酵素が溶解するまでボトルを振盪した。
【0127】
トリグリセリド油混合物の変換。3種の植物油、オリーブ油、アマニ油およびヒマワリ種子油を容器に加え、合計10kgの植物油混合物を得た。真空を適用して圧力を約20mmHgに下げ、材料を脱気した(特に、任意の溶存酸素から)。撹拌を200RPMに設定し、混合物を33℃に加熱し、約15分間撹拌して、任意の溶存ガスを除去した。次いで、真空を、窒素ガス雰囲気に置換した。混合物を十分に分散させたら、220mLの緩衝液中の酵素調製物を添加した。撹拌を継続し、TLC分析に基づいてFFAへの変換が完了するまで、24時間反応を監視した。
【0128】
反応器温度を70℃に上げ、撹拌を再開して、1時間酵素を不活性化した。
【0129】
撹拌を停止し、約60分間、相を分離した。
【0130】
界面の残留タンパク質を確実に除去するために、少量の油相とともに水相(下相)を除去した。
【0131】
ステップ2.グリセロールとのエステル化。典型的には、FFAをグリセロールで再エステル化すると、MAG、DAGおよびTAGの混合物が生成される。温度を著しく低下させ(25℃未満)、反応中に形成される水を(蒸発により)除去することにより、生成物中のMAGの割合が、高度に濃縮され得ることを見出した(少なくとも60%であるが、95%まで高くなる)。これは予想外であった。
【0132】
この反応では、ステップ1からの反応生成物(約10L)を、約30℃に冷却し、300RPMで撹拌した。10kgの食品グレードのグリセロールを脂質混合物に添加し、温度を約30℃で維持した。混合物を撹拌して、油およびグリセロールの分散液を生成した。真空を適用して、反応混合物を乾燥させた。まず、真空(25mmHg、Torr)を適用し、所定の位置のレシーバーで、水を回収した。残留水の蒸発が止まったら、水(50mL)に溶解した20gのAmanoリパーゼGを、反応器に添加した。温度を23℃に下げ、油ダイアフラムポンプとコールドトラップを使用して、真空を5mmHgに変えて、水を回収した。この混合物を、真空下、300RPMで、23℃で72時間撹拌し、この時点で真空を破り、混合物を窒素ガスで覆った。TLCを用いて、72時間後に混合物を分析して、図1に示されるように、MAGへの変換を評価した。
【0133】
ステップ3.リパーゼの不活性化と相分離。反応が完了した後、混合物を(窒素ガス被覆下で)70℃に1時間加熱することによって、リパーゼを不活性化した。この時点で、MAG油とグリセロールは十分に混合されており、従来の重力法または遠心法で分離するのが非常に困難である。かなりの実験を行った後、撹拌下、0.3重量%の塩(NaCl)を反応混合物に添加することによって、脂質が過剰のグリセロールから分離され得ることを見出した。次いで、生成混合物を、約60℃に冷却し、約1時間、撹拌せずに放置した。
【0134】
脂質油相は、残りのより重いグリセロール相から分離された。グリセロール相を除去した。これは、一部の塩、残留水、および溶解した不活性化酵素(目視可能な界面に含まれる)を含む。グリセロール相は、膜濾過後に再使用することができ、リサイクル用に保管する必要がある。トコフェロール(ビタミンE)を添加して、200ppm(0.02重量%)の濃度の生成物油を得た。加水分解した油(約10kg)は、すぐに使用することができ、窒素被覆下で保管することができる。
【0135】
生成物の保存。最終的な加水分解産物を、貯蔵および輸送のために窒素ガスのオーバーレイを有する食品グレードの容器に移した。
【0136】
実施例2:実施例1で産生された油の特徴付け
反応生成物および全体的なプロセスは、薄層クロマトグラフィーおよびガスクロマトグラフィーを使用して評価することができる。
【0137】
薄層クロマトグラフィー試験。油試料の成分を、TLCプレート(Analtech Uniplate Silica Gel GHL、無機結合剤を含む、20×20cm、250μm)を使用して分離した。溶媒はヘキサン:ジエチルエーテル:酢酸(70:30:1)溶液であった。典型的な試料サイズは、3μLであった。溶媒フロントがプレートの上部付近(約1cm)に移動した後、プレートをTLCタンクから取り出し、溶媒をドラフト内で蒸発させた。成分を、TLCタンク中で、ヨウ素蒸気(室温で)で可視化し、相対強度を比色イメージング(Amersham 600 Imager)によって推定した。タンク内で15分後、プレートを取り出して撮影した。30~60分後、スポットの強度が低下した。
【0138】
物理的特性の決定を行って、生成物の一貫性、色、含水量、脂肪および油(混和性)を確立した。
【0139】
図1は、実施例1に記載されるように、出発TAGが豊富な油と比較して、MAGが濃縮された生成物を作製するプロセスにおけるステップ1~3の最終結果を示す。図2は、オリーブ油中に最初に存在したトコフェロールが、実施例1に記載されるステップ後も保存されていることを示す。図2では、トコフェロールのスポットは、3つのレーン全てでTAGスポットの上を追跡していることが見られる。
【0140】
脂肪酸プロファイル試験-ガスクロマトグラフィー。脂質成分には、C10:0カプリン酸、C12:0ラウリン酸、C14:0ミリスチン酸、C16:0パルミチン酸、C18:0ステアリン酸、C18:1オレイン酸、C18:2リノール酸、およびC18:3αリノレン酸が含まれ、脂肪酸メチルエステルとして誘導体化した後に分析し、標準と比較した。誘導体化のために、試料(500μl)を、2mlの三フッ化ホウ素溶液(メタノール中12%)、20μlのジメトキシプロパン、および100μlのトリデカン酸内部標準溶液(10mg/ml)を含む5mlの反応チューブに添加した。反応チューブをボルテックスし、60℃のヒートブロック内で30分間インキュベートした。
【0141】
反応チューブをヒートブロックから取り出し、15分間冷却した。次いで、蒸留水を1ml添加して反応をクエンチし、続いてヘキサンを1ml添加した。反応チューブを60秒間ボルテックスし、相を3分間分離した。上部(疎水性)の相を、約50mgの硫酸ナトリウム(無水)を含む1.5mlのチューブに移した。60秒間ボルテックスした後、1.5mlチューブを遠心分離し、約500μlの清澄化した乾燥疎水性相をガスクロマトグラフィーの試料バイアルに移した。
【0142】
試料を、炎イオン化検出器を有するAgilent 7890AガスクロマトグラフおよびAgilent Openlab CDS Chemstationソフトウェアを使用して解析した。GCカラム:Omegawax 100(15m×0.1mm×0.1um)カラム。結果を、内部標準参照により重量%に変換した。
【0143】
図3は、本開示のEnsureおよびGBFSの製品におけるFFA、MAG、DAG、およびTAGの分布を示す。薄層クロマトグラフィーによって決定された油中のFFA、MAG、DAGおよびTAGの%。
【0144】
実施例3:TAGが豊富な出発油と比較して、MAGが濃縮された生成物を作製するプロセスの別の例。
以下の手順を、図4のブロックフロー図によって示す。
【0145】
植物油をDI水中のクエン酸および水酸化ナトリウム(苛性)に添加し、33℃+/-2℃に加熱した。低真空を適用して、脱気して酸素を除去した。リパーゼAYを添加した。混合物の加水分解を、窒素被覆下、33℃+/-2℃の温度で14~24時間行った。
【0146】
リパーゼを、70℃+/-2℃の温度で1時間不活性化した。不活性化された酵素を含む水相を排出した。グリセロールを添加した。次いで、反応物を22℃+/-2℃に冷却した。次いで、リパーゼGを添加し、適度な真空下で水を蒸発させた。
【0147】
再エステル化を、高真空下(約720mmHg)、20℃+/-2℃の温度で72時間行った。リパーゼGを、70℃+/-2℃で1時間不活性化し、反応物に塩を添加した。
【0148】
酵素不活性化および相分離を、窒素被覆下、70℃+/-2℃で1時間行った。不活性化酵素、グリセロール、および塩を含む水相を排出した。反応を、60℃+/-2℃に冷却した。抗酸化剤を添加した。最終生成物を、窒素下、4℃+/-2℃で保存した。
【0149】
実施例4:MAGおよび加水分解タンパク質を組み込んだ即飲型(Ready-to-Drink)製剤
本開示の生成物は、これらの生成物に典型的に見られる従来の界面活性剤および安定化剤に加えて、脂肪源、タンパク質源、炭水化物源、ビタミン源および繊維源を含む従来の「ミルクシェイク」製剤として製造された。個々のサービングは、250mlであった。成分表示に表示される成分は、以下の通りである。水、有機アガベシロップ、加水分解豆類タンパク質、加水分解油ブレンド、アラビアゴム、ヒマワリレシチン、キサンタンガム、オリゴ糖、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、インスタントコーヒー、天然有機バニラ風味、ビタミンC、ビタミンEコハク酸、ビタミンAパルミチン酸、ナイアシンアミド、D-パントチン酸カルシウム、ピロドキシン塩酸、チアミン塩酸、リボフラビン、ビタミンD3、葉酸、シアノコバラミン、ビタミンK2。
【0150】
炭水化物は、果実およびアガベシロップから単糖(グルコースおよびフルクトース)として供給された。
【0151】
製品中のタンパク質は、部分的に加水分解された豆類タンパク質(PURIS Pea Protein 870H,World Food Processing LLC,Turtle Lake,WI 54889)であった。
【0152】
本発明者らはまた、腸壁の横断輸送用に、より生物学的に利用可能なサイズ範囲のペプチドを含む大幅に加水分解された豆類タンパク質(EHP)を生成した。EHPは、さらなる酵素加水分解によって生成された。例えば、部分的に加水分解された豆類タンパク質(上に記載のPuris Pea Protein 870H)タンパク質を、100mMのリン酸緩衝液中に25mg/mlの濃度に溶解した。酵素を添加し、反応物を50°で一晩インキュベートした。3つの異なる市販のGRAS酵素を評価した。アルカラーゼ、サーモアーゼ、フレーバーザイム。
【0153】
タンパク質試料中のペプチドの平均サイズおよび分布を、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して評価した。試料を、100mMのリン酸緩衝液(pH6.8)に25mg/mlの濃度に溶解し、Phenomenex Yarra 3umのSEC-2000カラム(100mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)で溶出し、室温で0.8mL/分の流速)を使用して、UV検出器(214nm)を備えたShimadzu HPLC上で分析した。試料を分子量標準(Phenomenex SEC標準部分ALO-3042)と比較した。サイズは、既知の分子量標準から生成された検量線を使用して推定した。未加水分解豆類タンパク質の平均サイズは、約200アミノ酸であった。Puris Pea 870H部分加水分解物の平均サイズは、34個のアミノ酸であり、かなりの量が2~40個のアミノ酸範囲にあり、他の(乳清ベースの)タンパク質加水分解産物と同様であった。
【0154】
図5は、上に記載のGBFS加水分解豆類タンパク質と比較した、即飲型(ready-to-drink)飲料栄養ドリンク(E.Phillips et al.,2005 Peptide-Based Formulas:the Nutraceuticals of Enteral Feeding?EPCN October:40-45で報告されている通り)におけるアミノ酸およびペプチドの分布を示す。図5は、製品Peptamen、Perative、Crucial、Pivot、および本開示のGBFS(X軸)における、アミノ酸サイズ(Y軸)(1アミノ酸、2~4アミノ酸、9~10アミノ酸、10~40アミノ酸、または40超アミノ酸)の割合を示す。GBFS EHPの平均サイズは、3~4アミノ酸、主に1~7アミノ酸である。
【0155】
脂肪は、再構成脂質MAGの形態で提供され、多価不飽和脂肪酸(PUFA)、ω6PUFA、およびω3PUFAのエネルギーおよび他の利点を提供するために、オリーブ油(70%)、ヒマワリ油(21%)およびアマニ油(9%)のブレンドから製造された。ω6とω3の比率は、約4:1である。
【0156】
アラビアガム、ヒマワリレシチン、キサンタンガムは、ドリンクの構造と安定性を提供するために使用される、一般的なGRAS食品成分である。オリゴ糖は、非消化性繊維を提供する。ソルビン酸カリウムおよび安息香酸ナトリウムは、一般的な食品防腐剤である。インスタントコーヒーとバニラが、フレーバーを提供する。
【0157】
脂溶性ビタミンおよび水溶性ビタミンを含むビタミンパッケージが含まれた。
【0158】
プロトタイプ製品の栄養表示を、表3に示す。表3では、**1日の摂取量の割合(DV%)は、2,000カロリーの食事に基づいている。†1日の摂取量(DV)が設定されていない。
【表3】
【0159】
官能検査。植物油ブレンドから生成されたFFAは、味覚パネルによって、不味いことが見出された。驚くべきことに、このブレンドから生成されたMAG油は、口あたりがよく、元のトリグリセリド油の味と質感が類似していた。MAG油を上に記載のRTDS製品に製剤化した場合、そのフレーバーは許容され、インタクトな(未消化の)脂質およびタンパク質を有する類似の市販製品と区別することができなかった。
【0160】
実施例5:複数バッチのEMOの生産
EMOを製造するための実施例1に記載されるプロセスのタイミングを評価し、MAGが70%超、MAG+FFAが85%超、TAGが5%以下の含有量である油を生成した。
【0161】
表4は、オリーブ油/アマニ油/ヒマワリ油のブレンドから生成された酵素修飾EMO中のMAGおよびFFAの濃度を示すTLCプレートのスキャンを示す(7:2:1の比率)。これらの実験では、ステップ2を84時間に延長して、TAGの形成を回避するためのタイミングおよび温度の上限を確立した。
【表4】
【0162】
この反応は、TLC分析により実質的にリアルタイムで監視することができ、ステップ2の間の任意の時点で停止して、所望の量のMAG、DAG、TAG、およびFFAを得ることができる。ステップ2の反応時間の72時間は、実用的かつ生産的な停止点であることが分かり、実施例6に例示されている。
【0163】
実施例6:NMR分析によるTAG不含酵素修飾アーモンド油の評価。
TAG不含EMOは、アーモンド油を使用して生成した。反応条件は、実施例1に記載される通りであった。ステップ2は72時間であり、TAGの生成を最小限に抑えた。
【0164】
図6A~6Bは、アーモンド油から生成されたEMOの13C-NMR分析を示す。図6Aは、標準TAG(トリステリン)に関連する13C-NMRシグナル、および62.173ppmおよび68.921ppmの特徴的なピークを示す。図6Bは、EMOの13C-NMRシグナルを示す。識別可能なTAGシグナルがないことを示している。実際のシグナルの積分値は、MAG:DAG間のアシルグリセロールの分布が、88%:12%であることを示す。試料を、600MHzプロトンおよび150MHz炭素で動作するJEOLモデルECA600II NMR分光計で分析した。試料を5mmチューブに作製し、周囲温度で、CDCl3でロックして実行した。
【0165】
実施例7:EMOベースの即飲型シェイクの臨床試験
試験は、EPIを有する患者が、酵素補助薬を服用せずに、本発明者らが製造するTAG不含油で製造された食品を消費し、なおかつ血清中の脂質を吸収し、TAGを生成し得ることを示すために設計された。
【0166】
臨床試験は、膵酵素補充療法カプセル(「PERT」)と同時に使用される標準的な栄養補助食品と比較して、血中脂質レベル、安全性、耐容性、および口あたりについて、EMOベースの即飲型シェイク(RTDS)を評価する、単一施設無作為化二重盲検クロスオーバー試験であった。
【0167】
治験の選択基準には、以下が含まれた:
1.署名され、日付が記載されたインフォームドコンセントフォームの提供。
2.全ての治験手順を順守する意思および治験期間中の利用可能性が表明されている。
3.男性または女性で、12歳以上。
4.CFの診断。
5.現在、市販の膵酵素製品による治療を3ヶ月以上受けている。
6.登録から1月以内に急性呼吸器疾患の証拠がない臨床的に安定した状態。
7.安定した体重(定義として、登録から3ヶ月以内に5%以上減量していないこと)。
8.出産可能な女性は、試験を通じて、および試験薬の最終投与直後の30日間、医学的に許容される避妊法を使用し続けることに同意する必要がある。医学的に許容される避妊法としては、両側卵管結紮または避妊インプラント、避妊注射剤(Depo-Provera(商標))、子宮内避妊具、もしくは過去3ヶ月以内に服用した経口避妊薬のいずれか(対象が研究中に使用し続けることに同意する場合)、あるいは別の避妊制御方法、または以下のうちのいずれか2つの組み合わせからなる二重障壁法の使用が含まれる:ペッサリー、子宮頸部キャップ、コンドーム、または殺精子剤。
9.経口薬および経口液体栄養補助食品を服用する能力、および治験介入を遵守する意思。
10.治験期間中、ライフスタイルに関する考慮事項(セクション5.3を参照)を遵守することへの同意。
【0168】
治験の除外基準には、以下が含まれた:
1.心血管、呼吸器(基礎疾患を除く)、泌尿生殖器、胃腸/肝臓(基礎疾患を除く)、血液学的/免疫学的、頭部、耳、目、鼻、喉、皮膚科学的/結合組織、筋骨格、代謝/栄養学的(基礎疾患を除く)、内分泌(管理下にある糖尿病を除く)、神経学的/精神医学的、アレルギー(牛乳、ナッツ、または大豆に対する)、最近の大手術、または他の関連疾患(病歴、身体検査および/もしくは臨床検査で明らかになったもの)の証拠で、研究への参加または研究の完了が制限され得るもの。
2.過去1年間の急性腹症の病歴。
3.線維化性結腸疾患の病歴。
4.登録前の6ヶ月以内の末端腸閉塞症候群(DIOS)の病歴。
5.虫垂切除術以外の大腸に影響を及ぼす固形臓器移植または手術。
6.吸収能に著しく影響を及ぼした小腸手術(例:胃切除術または膵切除術)。
7.膵機能不全とは関係のない、慢性下痢疾患を含む炎症性腸疾患。
8.セリアック病またはクローン病。
9.1日のカロリー摂取量の50%以上の経腸チューブ栄養を受ける。
10.妊娠中または授乳中。
11.過去5年間に消化管が関与するあらゆる種類の悪性腫瘍。
12.パンクレアチンまたはパンクレアチンカプセルの不活性成分(賦形剤)に対する既知のアレルギー。
13.コンプライアンス違反または非協力の疑い。
14.治験開始前の30日以内の実験薬の摂取。
15.研究者の所見における、対象の治験への参加または治験を完了する能力を排除する精神障害または任意の他の適合性の欠如。
16.病歴におけるヒト免疫不全ウイルスの診断。
17.肺移植もしくは他の固形臓器移植、または記載された強制呼気量(FEV)が25%以下の記載。
18.治験1日目の少なくとも14日前~治験15日目を通して服用することができない、スタチン、フィブラート、ナイアシン、およびプロタンパク質転換酵素サブチリシン・ケキシン9型(PCSK9)阻害剤を含む脂質低下療法の使用。患者は、嚢胞性線維症の診断を有する12歳以上の男性または女性であった。また、患者は現在、市販の膵酵素製品による治療を3ヶ月以上受けており、登録後1ヶ月以内に急性呼吸器疾患の証拠がない臨床的に安定した状態にあった。
【0169】
患者は、一晩の絶食と標準化された夕食の後にクリニックを訪れた。アーム1(10人の患者)の患者は、PERTプラセボとともにRTDSが投与され、アーム2(10人の患者)の患者は、PERTによる標準的な栄養補助食品が投与された。6時間にわたる連続血液試料(0、1、2、3、4、5、6時間)を、RTDSまたは標準的な栄養補助食品の反復提供なしに、両方の研究アームの患者から得た。研究中に水を消費することはできた。
【0170】
患者は、一晩の絶食と標準化された夕方の食事の後、治療2(クロスオーバー治療)のためにクリニックに戻った。アーム1の患者は、PERTによる標準的な栄養補助食品が投与され、アーム2の患者は、PERTプラセボとともにRTDSが投与された。6時間にわたる連続血液試料(0、1、2、3、4、5、6時間)を、RTDSまたは標準的な栄養補助食品の反復提供なしに、両方の研究アームの患者から得た。
【0171】
標準的な栄養補助食品には、以下が含まれた:水、グルコースシロップ、砂糖、植物油(キャノーラ、高オレイン酸ヒマワリ、トウモロコシ)、乳タンパク質濃縮物、および2%未満の大豆タンパク質分離物、カゼイン酸カルシウム、カゼイン酸ナトリウム、アカシアゴム、フラクトオリゴ糖、イヌリン(チコリー由来)、大豆レシチン、塩、天然および人工香料、カラゲナンクエン酸カリウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、塩化マグネシウム、アスコルビン酸ナトリウム、重酒石酸コリン、DL-αトコフェリル酢酸、アスコルビン酸、塩化カリウム、硫酸第一鉄、硫酸亜鉛、ナイアシナミド、パントテン酸カルシウム、硫酸マンガン、硫酸銅、塩酸ピリドキシン、塩酸チアミン、βカロテン、パルミチン酸ビタミンA、リボフラビン、葉酸、塩化クロム、ビオチン、ヨウ化カリウム、フィトナジオン、亜セレン酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、ビタミンD3、ビタミンB12。
【0172】
RTDSには、以下が含まれた:水、有機デートシロップ、酵素修飾アーモンド油、酵素加水分解豆類タンパク質、可溶性トウモロコシ繊維、ココアパウダー、天然香料、塩、ビタミンC、ビタミンE(dl-α-トコフェリル酢酸塩)、ナイアシンアミド、パントテン酸(カルシウム-D-パントテン酸塩)、ビタミンB6(ピリドキシン塩酸塩)、ビタミンA(パルミチン酸レチニル)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB1(チアミン塩酸塩)、L-メチルフォレート、ビタミンK1、ビタミンD3(コレカルシフェロール)、ビオチン、ビタミンB12(シアノコバラミン)。
【0173】
栄養補助食品は、5.9重量%の脂肪、5.9重量%のタンパク質、および19重量%の炭水化物であり、RTDSは、7.4重量%の脂肪、4.7重量%のタンパク質、および9.8重量%の炭水化物であった。
【0174】
脂質の投与量は、0.5g/kg体重であった。標準栄養補助食品中の脂質は、キャノーラ油、高オレイン酸ヒマワリ油、およびトウモロコシ油由来のTAGのブレンドであった。介入用のドリンクでは、MAGは、アーモンド油から産生された。各患者の脂質の投与量は、十分に確立された「脂質負荷試験」に基づいており、これは、設計および範囲がよく知られているグルコース負荷試験と類似している。これらの試験に推奨される投与量は、0.5~1.0g/kgであり、20~30分間かけて投与される。試料は、試験の開始時に、1時毎に6時間、採取した。血清トリグリセリドのレベルは、標準的な実験方法を使用して測定した。
【0175】
本試験で使用したPERT投与量は、製造元が推奨する投与量ガイドライン(摂取された脂肪1グラムあたり2,500IUのリパーゼ活性)に従った。これは、研究のクロスオーバー段階で3~4カプセルに相当する。
【0176】
図7は、2人の患者におけるEMOベースの即飲型シェイクの摂取後の血清トリグリセリドの増加を示す。図7では、破線は、酵素修飾アーモンド油を体重1kgあたり0.5g受けた患者を表し、実線は、キャノーラ油、高オレイン酸ヒマワリ油、およびトウモロコシ油を体重1kgあたり0.5g受けた患者を表す。これらは、RTDSに組み込まれ、半時間かけて消費された。図7は、RTDS中の酵素修飾油が患者によって吸収され、血清トリグリセリドに変換されたことを示す。
【0177】
図8は、試験ドリンクの摂取後の別の患者における血清トリグリセリドの増加を示す。図8では、破線は、PERTによらないMAGベースのRTDSの摂取後の血清トリグリセリドを表し、実線は、PERTによる標準的なケアRTDSを表す。患者は、体重1kgあたり0.5gの酵素修飾アーモンド油、または体重1kgあたり0.5gのトウモロコシ油を受けた。これらは、RTDSに組み込まれ、半時間かけて消費された。
【0178】
この患者では、脂質の吸収および血清トリグリセリドへの変換は、PERTによらないMAGベースのRTDSの摂取後、PERTによるTAGベースの(標準的なケア)製品よりも有意に速かった。これは、患者が、EPIに加えて胆汁うっ滞(肝臓からの胆汁流の破綻)を患い、十分な酵素の欠如を患っているだけではないため、標準のケアドリンクにおけるキャノーラ油、高オレイン酸ヒマワリ油、トウモロコシ油を適切に乳化することができなかったことを示唆している。膵リパーゼが腸細胞に輸送されるMAGおよびFFAへの油の加水分解を必要とする表面積を生成するには、油が非常に小さな液滴へと乳化される必要がある。この活性には、肝臓由来の胆汁酸が必要である。ケアドリンクの標準におけるTAGは、小腸における最適なリパーゼ活性に必要なマイクロエマルジョンに乳化することができなかったため、血清トリグリセリドは、リパーゼ活性を必要としないMAG製剤ほど速くは増加しなかった。
【0179】
患者1人あたりの脂質の実際の投与量は、全ての症例で同じであった。体重0.5g/kg。
【0180】
治験における仮説上の65kgの患者の糖摂取量は、標準的な栄養補助食品およびRTDSに対して、以下の表5に示されている。対照ドリンク中の糖および炭水化物のほとんどは、デンプンまたはデンプンであり、容易にブドウ糖に変換される。治験ドリンクでは、仮説上の65kgの患者が消費するであろうドリンクの量は少なく(治験ドリンクは脂質の濃度が高い)、炭水化物は、より少ない量で、フルクトースとグルコースの50:50混合物として供給される。したがって、実際に消費されるグルコースは少ない。
【表5】
【0181】
図9は、6時間のサンプリング期間にわたる、治験におけるアーム1およびアーム2の各々からの8人の患者から平均した、血清グルコースの増加を示す。RTDSを消費した患者は、最大食後血清グルコースの顕著な減少を示し、標準栄養補助食品コホートを下回ったままであった。これらの結果は、2-オレイルモノグリセロールなどの少量の2-モノアシルグリセロールのみを生成すると予想されるPERTによる標準的な栄養補助食品と比較して、1-オレイルモノグリセロールなどの1-モノアシルグリセロールが多いEMOベースの栄養補助食品が、グルコース恒常性に良い影響を与えることができたことを示す。投与されるグルコースの量に基づいて、RTDSコホートに対してより高い血清グルコースレベルが予想され、示された効果は予想外である。
【0182】
図10は、6時間のサンプリング期間にわたる、治験におけるアーム1およびアーム2の各々からの8人の患者から平均した、血清トリグリセリドのレベルを示す。試験群および対照群の両方とも、同様のトリグリセリドレベルを示し、これは、患者が、PERTによる標準的な栄養補助食品またはPERTによらないRTDSのいずれかから、同じ量の脂質を吸収したことを示す。
【0183】
実施例8:高カロリー、PERT不含即飲型シェイク
高カロリーRTDSは、以下のように調製することができる:DI水(最終体積の約60%)を主混合容器に添加し、約60℃に加熱する。加水分解されたタンパク質を混合し、次いで、アガベシロップを添加する。ハンドミキサーを使用して、組み合わせる。別の容器で、温かい(60℃)EMOとレシチンを組み合わせる。レシチンが溶解したら、EMO/レシチンを水相に加え、混合する。追加の水を加えて、最終的な重量(体積)にする。剪断ブレンダーを用いて乳化する。非常に高いカロリーのRTDSを調製するには、より高いレベルの成分を追加する。
【0184】
飲料ベースの製造に続いて、様々なフレーバー、マスカー、およびブロッカーを添加して、チョコレート、バニラ、イチゴなどのユニークな製品を製造することができる。
【0185】
また、この方法は、飲料ベースのレシピを使用して、キサンタンガムおよびアカシアガムなどの粘度調整剤を添加することで、プディング、ムース、「ポップス」、およびアイスクリーム様製品などの半固体形態の高カロリー製品を生産するのに使用することもできる。
【0186】
表6に、高カロリー(1.5kcal/mL)のRTDSの主成分および栄養価を示す。
【表6】
【0187】
表7に、非常に高カロリー(2.5kcal/mL)のRDTSの主成分および栄養価を示す。
【表7】
【0188】
実施例9:高カロリー、PERT不含バー
高カロリーバーは、以下のように調製することができる。DI水(最終体積の約60%)を主混合容器に添加し、約60℃に加熱する。加水分解されたタンパク質を混合し、次いで、アガベシロップを添加する。別の容器で、ハンドミキサーを用いて、温かい(60℃)EMOとレシチンを組み合わせる。レシチンが溶解したら、EMO/レシチンを水相に加え、混合する。追加の水を加えて、最終的な重量(体積)にする。
【0189】
表8に、高カロリーのPERT不含バーの主成分および栄養価を示す。
【表8】
【0190】
バーベースの製造後、焼く前に、様々なフレーバー、マスカー、およびブロッカーを添加して、チョコレート、バニラなどのユニークな製品を製造することができる。
【0191】
実施例10:即飲型シェイクの製造
主混合容器にDI水を加え、約60℃+/-2℃に加熱する。水が60℃に達したら、ゆっくりと撹拌しながら糖シロップ(アガベシロップやデートシロップなど)を添加する。混合して溶液にする。個々の物質(ビタミン/ミネラル混合物および加水分解タンパク質)の乾燥重量を秤量し、別の容器で組み合わせる。乾燥成分をしっかり混ぜ合わせる。混ぜた乾燥成分を、ゆるやかな撹拌でスイープ撹拌しながら、主混合容器にゆっくりと直接添加する。EMOを別の容器で秤量する。EMOを60℃+/-2℃に加熱する。ヒマワリレシチンをゆっくりとEMOに加え、ヒマワリレシチンが完全に溶液に混合されるまで、(必要に応じて)適度な撹拌により、混ぜる。EMO/ヒマワリレシチン混合物を主混合容器にゆっくりと添加する。蒸留水を添加して総流体質量の95%まで体積を増加させ、温度を70℃+/-2℃に戻す。主混合容器にフレーバーと着色料をゆっくりと添加する。主混合容器に、安定剤(アカシアガムなど)をゆっくりと添加する。溶液を20分間混合する(粘度を上昇させるため)。溶液の温度を70℃+/-2℃に維持する。蒸留水を適量加えて、溶液を最終体積にする。材料を圧力降下(pressure drop)ホモジナイザー(複数可)に通して、安定なエマルジョンを生成する。材料を、低温殺菌または滅菌する。材料を、室温に冷却する。製品を、パッケージに充填する。
【0192】
実施例11:アーモンド油からのMCPDの除去
酵素修飾アーモンド油を、実施例6に記載されるように調製した。
【0193】
酵素修飾アーモンド油の試料を、以下に記載される標準的な方法を使用して分析するために、第三者の研究室(Eurofins Eurofins Scientific Inc.Nutrition Analysis Center 2200 Rittenhouse Street,Suite 150 Des Moines,IA 50321)に送付した。
【0194】
AOCS Official Method Cd 29b-13(Revised 2017)-2- and 3-MCPD Fatty Acid Esters and Glycidol Fatty Acid Esters in Edible Oils and Fats by Alkaline Transesterification and GC/MS。本方法は、食用油脂中の2-クロロプロパン-1,3-ジオール(2-MCPD)、3-クロロプロパン-1,2-ジオール(3-MCPD)およびグリシドールの脂肪酸エステルの決定に使用する。また、AOCS Official Methods Cd 29a-13 or Cd 29c-13も参照されたい。結合グリシドールは、アルカリ触媒アルコール分解によって切断される全てのグリシジル誘導体の合計である。結合グリシドールの含有量は、1キログラムあたりのミリグラム数(mg/kg)で報告される。結合2-MCPDは、アルカリ触媒アルコール分解によって切断される全ての2-MCPD誘導体の合計である。結合2-MCPDの含有量は、1キログラムあたりのミリグラム数(mg/kg)で報告される。結合3-MCPDは、アルカリ触媒アルコール分解によって切断される全ての3-MCPD誘導体の合計である。結合3-MCPDの含有量は、1キログラムあたりのミリグラム数(mg/kg)で報告される。本方法は、油脂中に結合形態または遊離形態で存在する2-MCPDおよび3-MCPDとともにグリシドールを並行して決定するための手順を記載する。この方法は、アルカリ触媒エステル切断、遊離したグリシドールのモノブロモプロパンジオール(MBPD)への変換、遊離ジオール(MCPDおよびMBPD)のフェニルボロン酸(PBA)による誘導体化に基づく。遊離MCPDおよびグリシドールは、油脂中に少量から無視できるほどの量でのみ存在しているが、有意な含有量は、結合した分析物の決定量と比例して増加するであろう。この方法は、固体および液体の脂肪および油に適用可能である。
【0195】
結果。出発油中の総2-MCPD(遊離および結合)および総3-MCPD(遊離および結合)は、それぞれ0.65mg/kgおよび1.17mg/kgであった。酵素修飾アーモンド油(実施例6)は、それぞれ0.10mg/kg未満の総2-MCPD(遊離および結合)および総3-MCPD(遊離および結合)を有し、MCPDを測定するアッセイの定量下限(0.10mg/kg)を下回った。したがって、出発アーモンド油および酵素修飾油中に検出された総MCPDの合計は、それぞれ1.82mg/kgおよび0.10mg/kg未満であった。
【0196】
したがって、本発明は、言及された目的および利点、ならびにそれらに固有の目的および利点を達成するために十分に適合されている。当業者によって多くの変更が行われ得るが、かかる変更は、添付の特許請求の範囲によって部分的に示されるように、本発明の趣旨に包含される。
【0197】
実施例12:出発油とMAG油の脂肪酸プロファイル
MCT、キャノーラおよびアーモンド油を、本開示の製造方法に従って処理した。以下の表9に示すように、各々の脂肪酸プロファイルを、出発油およびMAG油の両方で測定した。
【0198】
脂肪酸を、誘導体化後、脂肪酸メチルエステルとして分析し、標準と比較した。誘導体化のために、試料(500μl)を、2mlの三フッ化ホウ素溶液(メタノール中12%)、20μlのジメトキシプロパン、および100μlのトリデカン酸内部標準溶液(10mg/ml)を含む5mlの反応チューブに添加した。反応チューブをボルテックスし、60℃のヒートブロック内で30分間インキュベートした。反応チューブをヒートブロックから取り出し、15分間冷却した。次いで、蒸留水を1ml添加して反応をクエンチし、続いてヘキサンを1ml添加した。反応チューブを60秒間ボルテックスし、相を3分間分離した。上部(疎水性)の相を、約50mgの硫酸ナトリウム(無水)を含む1.5mlのチューブに移した。60秒間ボルテックスした後、1.5mlチューブを遠心分離し、約500μlの清澄化した乾燥疎水性相をガスクロマトグラフィーの試料バイアルに移した。試料を、炎イオン化検出器を有するAgilent 7890AガスクロマトグラフおよびAgilent Openlab CDS Chemstationソフトウェアを使用して解析した。GCカラム:Omegawax 100(15m×0.1mm×0.1um)カラム。結果を、内部標準参照により重量%に変換した。
【表9】
【0199】
示されるように、出発油およびMAG油の両方が、実質的に同じ脂肪酸プロファイルを含んだ。
【0200】
アーモンド油およびキャノーラ油を使用して別の実験を行い、表10のデータが得られ、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸について同じ結果を示している。
【表10】
【0201】
これらの結果は、本開示の製造プロセスにより、MAG油中の出発油の脂肪酸プロファイルが保存され得ることを実証する。この結果は、従来の「蒸留」油とは異なり、その脂肪酸プロファイルが、蒸留油の機能的な使用に基づいて、出発油と著しく異なる。
【0202】
これらの結果はまた、本開示の加工油を使用して、リノール酸およびリノレン酸を提供することによって、「完全栄養(complete nutrition)」を提供することができることを実証する。完全栄養製剤を提供するために、魚油および藻油などの高EPAおよび高DHAの油についても同様の結果が予想される。
【0203】
実施例13:EMOプロセスは、元の油に含まれる必須脂肪酸を保存する
キャノーラEMOは、実施例1に記載されるように製造した。脂肪酸は、実施例2に記載されるように測定した。図11に、脂肪酸の分析の結果を示す。キャノーラ油およびキャノーラ油から生成されるEMOは、脂肪酸プロファイルの完全性を維持し、必須脂肪酸であるリノール酸およびリノレン酸を含む。オリーブ油、ヒマワリ油、アーモンド油からのEMOでも同様の結果が得られた。市販の「モノステアリン」(Profood Products,Naperville,IL)は、ほとんどまたはまったく不飽和脂肪酸を含まず、「Capmul GMO50」(Abitec Corporation,Janesville,WI)は、主にモノ飽和脂肪酸、オレイン酸であり、リノール酸をほとんど含まず、実質的にリノレン酸またはゴンドイン酸(C20:1)の脂肪酸を含まない。
【0204】
実施例14:有益な化合物が保存されている
植物油には、多くの脂質、ステロイド、エステル、およびフェノール化合物が微量含まれており、油の味および健康上の利点に寄与している。これらの化合物の多くが、EMOプロセスで保存または濃縮される。これは、図12A~12Bに示される。キャノーラEMOは、実施例1に記載されるように調製した。脂質試料を、LC/MS/MS分析用に、3-ピコリルアミドで誘導体化した。簡潔には、150μLの標準(0.1~100μg/mL)および20μLの内部標準混合物を混合し、窒素下で乾燥させた。乾燥残渣に、200μLの塩化オキサリル(2M、ジクロロメタン中)を加え、混合物をヒートブロック上で、65℃で5分間インキュベートした後、窒素下で乾燥させた。残渣に150μLの3-ピコリルアミン(1%、アセトニトリル中、v/v)を添加し、3-ピコリルアミド(FA-PA)を形成した。混合物を室温で5分間インキュベートし、続いて窒素下で乾燥させて、誘導体化されたFAを得た。乾燥させたFA誘導体を、1000μLのエタノール中に溶解し、エタノールで10倍にさらに希釈した後、LC-MS分析を行った。LC-MS分析は、イオン化モード:ポジティブイオン化(総脂肪酸およびリピドミクス)およびネガティブイオン化(リピドミクス)であった。解析に使用したソフトウェア:Thermo Scientific Freestyle&LipidSearch.Orbitrap融合法:データ依存性取得MS(総脂肪酸)&MS。
【0205】
保存または増強された化合物としては、以下が挙げられる:グリコスフィンゴ脂質(例えば、セラミドリン酸)、グリセロ糖脂質(例えば、モノガラクトジアシルグリセロール)、ホスファチジルメタノール、ステロイド(例えば、シトステリルエステル)、中性脂質(例えば、カンプエステロールエステル)、スフィンゴ脂質、ホスファチジルグリセロール、ワックスエステル、およびスフィンゴミエリン。補酵素も増強されることが分かった。
【0206】
これらの化合物は、商業的(蒸留物)モノグリセリド製品では、保持されていない。
【0207】
第1の実施形態では、食品は、油を含み、約25kcal~約1,000kcalの総カロリー含有量を有し、総カロリー含有量の約5%~約75%が、当該油に由来し、当該油は、当該油の総重量に基づいて10重量%未満のトリアシルグリセリド(TAG)を含み、当該油は、実質的にモノクロロプロパンジオール(MCPD)を含まない。
【0208】
第1の実施形態の一態様では、油は、油の総重量に基づいて50重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0209】
第1の実施形態の別の態様では、油は、油の総重量に基づいて60重量%超のMAGを含む。
【0210】
第1の実施形態の別の態様では、油は、油の総重量に基づいて70重量%超のMAGを含む。
【0211】
第1の実施形態の別の態様では、油は、油の総重量に基づいて80重量%超のMAGを含む。
【0212】
第1の実施形態の別の態様では、油は、油の総重量に基づいて90重量%超のMAGを含む。
【0213】
第1の実施形態の別の態様、または第1の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、総カロリー含有量の約10%~約60%が、当該油に由来する。
【0214】
第1の実施形態の別の態様、または第1の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、総カロリー含有量の約20%~約50%が、当該油に由来する。
【0215】
第1の実施形態の別の態様、または第1の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、総カロリー含有量の約25%~約45%が、当該油に由来する。
【0216】
第1の実施形態の別の態様、または第1の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、総カロリー含有量の約30%~約40%が、当該油に由来する。
【0217】
第1の実施形態の別の態様、または第1の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、食品は、炭水化物源をさらに含む。
【0218】
第1の実施形態の別の態様、または第1の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、食品は、炭水化物源をさらに含み、炭水化物源は、果実またはアガベシロップを含む。
【0219】
第1の実施形態の別の態様、または第1の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、食品は、炭水化物源をさらに含み、炭水化物源は、単糖を含む。
【0220】
第1の実施形態の別の態様、または第1の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、食品は、炭水化物源をさらに含み、約20%~約50%のカロリーが、炭水化物源に由来する。
【0221】
第1の実施形態の別の態様、または第1の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、食品は、炭水化物源を含み、タンパク質源をさらに含む。
【0222】
第1の実施形態の別の態様、または第1の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、食品は、炭水化物源を含み、タンパク質源をさらに含み、約10%~約50%のカロリーが、タンパク質源に由来する。
【0223】
第1の実施形態の別の態様、または第1の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、食品は、炭水化物源を含み、タンパク質源をさらに含み、タンパク質源は、加水分解または部分的に加水分解されたタンパク質を含む。
【0224】
第1の実施形態の別の態様、または第1の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、食品は、炭水化物源を含み、タンパク質源をさらに含み、タンパク質源は、加水分解または部分的に加水分解されたタンパク質を含み、加水分解されたタンパク質は、加水分解された豆類タンパク質および乳清ベースの加水分解産物から選択される。
【0225】
第1の実施形態の別の態様、または第1の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、食品は、タンパク質源をさらに含む。
【0226】
第1の実施形態の別の態様、または第1の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、食品は、タンパク質源をさらに含み、約10%~約50%のカロリーが、タンパク質源に由来する。
【0227】
第1の実施形態の別の態様、または第1の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、食品は、タンパク質源をさらに含み、タンパク質源は、加水分解または部分的に加水分解されたタンパク質を含む。
【0228】
第1の実施形態の別の態様、または第1の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、食品は、タンパク質源をさらに含み、タンパク質源は、加水分解または部分的に加水分解されたタンパク質を含み、加水分解されたタンパク質は、加水分解された豆類タンパク質および乳清ベースの加水分解生成物から選択される。
【0229】
第1の実施形態の別の態様、または第1の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、油は、油源に由来する加工油である。
【0230】
第1の実施形態の別の態様、または第1の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、油は、油源に由来する加工油であり、加工油は、油源に由来し、かつ油源に天然に存在する非油成分を含み、故に、非油成分が加工油に添加されない。
【0231】
第1の実施形態の別の態様、または第1の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、油は、油源に由来する加工油であり、加工油は、油源に由来し、かつ油源に天然に存在する非油成分を含み、そのため、非油成分が加工油に添加されず、非油成分は、抗酸化剤、ビタミン、およびそれらの混合物から選択される。
【0232】
第1の実施形態の別の態様、または第1の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、油は、油源に由来する加工油であり、加工油は、油源に由来し、かつ油源に天然に存在する非油成分を含み、そのため、非油成分が加工油に添加されず、非油成分は、抗酸化剤、ビタミン、およびそれらの混合物から選択され、抗酸化剤は、トコフェロールである。
【0233】
第1の実施形態の別の態様、または第1の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、油は、油源に由来する加工油であり、加工油は、油源に由来し、かつ油源に天然に存在する非油成分を含み、そのため、非油成分が加工油に添加されず、非油成分が、抗酸化剤、ビタミン、およびそれらの混合物から選択され、抗酸化剤が、トコフェロールであり、当該トコフェロールが、α-トコフェロール、β-トコフェロール、δ-トコフェロール、γ-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、およびγ-トコトリエノールから選択される。
【0234】
第2の実施形態では、食品は、加工油、炭水化物源、およびタンパク質源を含み、1グラムあたり約1kcal~約5kcalのカロリー密度で、約25グラム~約500グラムの総重量を有し、加工油は、総カロリー含有量の約10%~約50%を含み、加工油は、加工油の総重量に基づいて40重量%以上のMAG含有量、および加工油の総重量に基づいて10重量%以下のTAG含有量を有し、加工油は、0.10mg/kg未満のMCPDを有する。
【0235】
第3の実施形態では、生成物は、油源に由来する加工油を含み、加工油は、加工油の総重量の40重量%以上のMAG含有量を含み、加工油は、TAGを含まないか、または加工油の総重量の10重量%以下のTAG含有量を含み、加工油は、油源に由来し、かつ油源に天然に存在する非油成分を含み、そのため、非油成分が加工油に添加されず、油源は、約1.00mg/kg~約12.00mg/kgのMCPDを含み、加工油は、0.100mg/kg未満のMCPDを含む。
【0236】
第3の実施形態の一態様では、当該油源は、植物、動物、藻類、または魚類から選択される起源に由来する。
【0237】
第3の実施形態の別の態様では、当該油源は、植物起源である。
【0238】
第3の実施形態の別の態様では、当該油源は、オリーブ油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、アーモンド油、ナタネ油、ヤシ油、ダイズ油、アマニ油、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0239】
第3の実施形態の別の態様、または第3の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、非油性成分は、抗酸化剤、ビタミン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0240】
第3の実施形態の別の態様、または第3の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、非油性成分は、抗酸化剤、ビタミン、およびそれらの混合物からなる群から選択され、抗酸化剤は、トコフェロールである。
【0241】
第3の実施形態の別の態様、または第3の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、非油成分は、抗酸化剤、ビタミン、およびそれらの混合物からなる群から選択され、抗酸化剤は、トコフェロールであり、トコフェロールは、α-トコフェロール、β-トコフェロール、δ-トコフェロール、γ-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、およびγ-トコトリエノールからなる群から選択される。
【0242】
第3の実施形態の別の態様、または第3の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、加工油の総重量に基づいて約50重量%~約95重量%のMAG含有量を含む。
【0243】
第3の実施形態の別の態様、または第3の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、加工油の総重量に基づいて約50重量%~約95重量%のMAG含有量を含み、加工油は、加工油の総重量に基づいて約5重量%~約0.5重量%のTAG含有量を含む。
【0244】
第3の実施形態の別の態様、または第3の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、加工油の総重量に基づいて約5重量%~約0.5重量%のTAG含有量を含む。
【0245】
第4の実施形態では、モノアシルグリセロールが濃縮された油の製造方法は、トリアシルグリセロール(TAG)および約1.00mg/kg~約12.00mg/kgのMCPDを含む出発油(TAGは、出発油の総重量に基づいて50重量%超の量である)を、緩衝液および当該TAGを遊離脂肪酸(FFA)に加水分解することができる第1の酵素と混合して、第1の反応混合物を生成することと、当該第1の反応混合物を、当該第1の酵素が当該TAGを第1の期間加水分解するのに十分な条件下で反応させて、水相およびFFAを含む第1の脂質反応生成物を生成することと、当該第1の脂質反応生成物中の当該第1の酵素を、不活性化することと、当該第1の脂質反応生成物を、水相からそれを除去することによって回収することと、当該第1の脂質反応生成物を、食品グレードのグリセロールおよびFFAをエステル化することができる第2の酵素と混合して、第2の反応混合物を形成することと、当該第2の反応混合物を、第2の期間反応させて、脂質油相およびグリセロール相を含む第2の脂質反応生成物を生成することと、当該第2の脂質反応生成物中の当該第2の酵素を、不活性化することと、反応生成物に塩を添加し、脂質油相を当該グリセロール相から分離することと、当該脂質油相を回収することであって、当該脂質油相が実質的にMCPDを含まない、脂質油相回収することと、を含む。
【0246】
第4の実施形態の一態様では、出発油は、植物、動物、または魚類の起源に由来する油である。
【0247】
第4の実施形態の別の態様では、出発油は、植物油または植物油の混合物である。
【0248】
第4の実施形態の別の態様では、出発油は、オリーブ油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、アーモンド油、ナタネ油、ヤシ油、ダイズ油、アマニ油、およびそれらの混合物からなる群から選択される植物油である。
【0249】
第4の実施形態の別の態様では、当該第1の酵素は、リパーゼである。
【0250】
第4の実施形態の別の態様では、当該第1の酵素は、リパーゼAYである。
【0251】
第4の実施形態の別の態様では、当該緩衝液は、クエン酸ナトリウム溶液である。
【0252】
第4の実施形態の別の態様では、当該第1の期間は、当該出発油中の少なくとも94%のTAGを加水分解するのに十分な期間である。
【0253】
第4の実施形態の別の態様では、当該第1の期間は、約14~約24時間である。
【0254】
第4の実施形態の別の態様では、当該反応混合物を、当該第1の酵素が当該TAGを加水分解するのに十分な条件下で反応させる当該ステップは、約30℃~約35℃の温度で行われる。
【0255】
第4の実施形態の別の態様では、トリアシルグリセロール(TAG)を含む出発油、緩衝液、および当該TAGを遊離脂肪酸(FFA)に加水分解することができる第1の酵素を混合し、当該反応混合物を、当該第1の酵素が当該TAGをFFAに加水分解するのに十分な条件下で反応させる当該ステップは、窒素雰囲気下で行われる。
【0256】
第4の実施形態の別の態様では、当該第2の酵素は、リパーゼである。
【0257】
第4の実施形態の別の態様では、当該第2の酵素は、リパーゼGである。
【0258】
第4の実施形態の別の態様では、当該第2の期間は、約60%~95%の脂質油相中のMAGの濃縮をもたらすのに十分な期間である。
【0259】
第4の実施形態の別の態様では、当該第2の期間は、約24時間~約72時間である。
【0260】
第4の実施形態の別の態様では、当該第2の反応混合物を第2の期間反応させて、脂質油相およびグリセロール相を生成させる当該ステップは、約17℃~23℃の温度で行われる。
【0261】
第4の実施形態の別の態様、または第4の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、本方法は、第2の脂質反応生成物から少なくとも一部の水を除去するのに十分な第3の期間真空を適用することによって、当該第2の脂質反応生成物を乾燥させることをさらに含む。
【0262】
第4の実施形態の別の態様、または第4の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、本方法は、第2の脂質反応生成物から少なくとも一部の水を除去するのに十分な第3の期間真空を適用することによって、当該第2の脂質反応生成物を乾燥させることをさらに含み、第2の脂質反応生成物を乾燥させる当該ステップは、20℃~30℃の温度で行われる。
【0263】
第4の実施形態の別の態様、または第4の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、本方法は、第2の脂質反応生成物から少なくとも一部の水を除去するのに十分な第3の期間真空を適用することによって、当該第2の脂質反応生成物を乾燥させることをさらに含み、当該乾燥ステップは、第2の期間全体にわたって適用される。
【0264】
第4の実施形態の別の態様、または第4の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該第2の酵素を不活性化する当該ステップは、当該第2の脂質反応生成物を加熱することによって行われる。
【0265】
第4の実施形態の別の態様、または第4の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該第2の酵素を不活性化する当該ステップは、当該第2の脂質反応生成物を加熱することによって行われ、当該加熱は、少なくとも70℃の温度で少なくとも1時間行われる。
【0266】
第4の実施形態の別の態様、または第4の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該脂質油相を当該グリセロール相から分離する当該ステップは、塩化ナトリウムを当該第2の脂質反応生成物に添加することを含む。
【0267】
第4の実施形態の別の態様、または第4の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該脂質油相を当該グリセロール相から分離する当該ステップは、当該第2の脂質反応生成物に塩化ナトリウムを添加することを含み、塩化ナトリウムの最終濃度は、最大0.3重量%の塩化ナトリウムを含む。
【0268】
第4の実施形態の別の態様、または第4の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、本方法は、当該第1の脂質反応生成物と食品グレードのグリセロールと、FFAおよびグリセロールをエステル化することができる第2の酵素とを混合する前に、当該第1の脂質反応生成物上に窒素雰囲気を再構築することをさらに含む。
【0269】
第4の実施形態の別の態様、または第4の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、本方法は、当該脂質油相を回収した後に、当該脂質油相にトコフェロールを添加することをさらに含む。
【0270】
第4の実施形態の別の態様、または第4の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、脂質油相は、脂質油相の総重量に基づいて約40重量%~約99重量%の量のMAGを含み、脂質油相は、TAGを含まないか、または脂質油相の総重量に基づいて約0.1重量%~約10重量%の量のTAGを含む。
【0271】
第5の実施形態では、加工油は、オレイン酸モノグリセリド(MOG)を含み、総脂肪酸含有量を有し、当該MOGは、加工油の総脂肪酸含有量の約5重量%~約75重量%を構成する。
【0272】
第5の実施形態の一態様では、加工油は、加工油の総重量に基づいて10重量%未満のトリアシルグリセリド(TAG)を含む。
【0273】
第5の実施形態の別の態様では、加工油は、加工油の総重量に基づいて50重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0274】
第5の実施形態の別の態様では、加工油は、加工油の総重量に基づいて60重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0275】
第5の実施形態の別の態様では、加工油は、加工油の総重量に基づいて70重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0276】
第5の実施形態の別の態様では、加工油は、加工油の総重量に基づいて80重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0277】
第5の実施形態の別の態様では、加工油は、加工油の総重量に基づいて90重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0278】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、油源に由来する加工油である。
【0279】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、油源に由来する加工油であり、加工油は、油源に由来し、かつ油源に天然に存在する非油成分を含み、そのため、非油成分が加工油に添加されない。
【0280】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、油源に由来する加工油であり、加工油は、油源に由来し、かつ油源に天然に存在する非油成分を含み、そのため、非油成分が加工油に添加されず、非油成分は、抗酸化剤、ビタミン、およびそれらの混合物から選択される。
【0281】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、油源に由来する加工油であり、加工油は、油源に由来し、かつ油源に天然に存在する非油成分を含み、そのため、非油成分が加工油に添加されず、非油成分は、抗酸化剤、ビタミン、およびそれらの混合物から選択され、抗酸化剤は、トコフェロールである。
【0282】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、油源に由来する加工油であり、加工油は、油源に由来し、かつ油源に天然に存在する非油成分を含み、そのため、非油成分が加工油に添加されず、非油成分は、抗酸化剤、ビタミン、およびそれらの混合物から選択され、抗酸化剤は、トコフェロールであり、当該トコフェロールは、α-トコフェロール、β-トコフェロール、δ-トコフェロール、γ-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、およびγ-トコトリエノールから選択される。
【0283】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、モノクロロプロパンジオール(MCPD)を実質的に含まない。
【0284】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、0.10mg/kg未満のモノクロロプロパンジオール(MCPD)を有する。
【0285】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該油源は、植物、動物、藻類、または魚類から選択される起源に由来する。
【0286】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該油源は、植物由来である。
【0287】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該油源は、ベニバナ油、ブドウ油、マリアアザミ油、大麻油、ヒマワリ油、コムギ胚芽油、カボチャ種子油、ゴマ油、米糠油、アーモンド油、ナタネ油、ピーナッツ油、オリーブ油、およびココナッツ油からなる群から選択される。
【0288】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油は、加工油の総重量に基づいて約50重量%~約95重量%のMAG含有量を含む。
【0289】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油は、加工油の総重量に基づいて約5重量%~約0.5重量%のTAG含有量を含む。
【0290】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油中のMOGは、MOGの総量の少なくとも50重量%の1-オレイルモノグリセリドを含む。
【0291】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油中のMOGは、MOGの総量のうち少なくとも60重量%の1-オレイルモノグリセリドを含む。
【0292】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油中のMOGは、MOGの総量のうち少なくとも70重量%の1-オレイルモノグリセリドを含む。
【0293】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油中のMOGは、MOGの総量のうち少なくとも80重量%の1-オレイルモノグリセリドを含む。
【0294】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、リノール酸をさらに含み、当該リノール酸は、加工油の総脂肪酸含有量の約1.5重量%~約90重量%の量で、当該加工油中に存在する。
【0295】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、リノール酸をさらに含み、当該リノール酸は、加工油の総脂肪酸含有量の約10重量%~約90重量%の量で、当該加工油中に存在する。
【0296】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、リノール酸をさらに含み、当該リノール酸は、加工油の総脂肪酸含有量の約20重量%~約90重量%の量で、当該加工油中に存在する。
【0297】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、リノール酸をさらに含み、当該リノール酸は、加工油の総脂肪酸含有量の約10重量%~約25重量%の量で、当該加工油中に存在する。
【0298】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、リノレン酸をさらに含み、当該リノレン酸は、加工油の総脂肪酸含有量の約0.01重量%~約2重量%の量で、当該加工油中に存在する。
【0299】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油中のオレイン酸とリノール酸の量の比率が、約0.01~約5である。
【0300】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油中のオレイン酸とリノール酸の量の比率が、約1~約4である。
【0301】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油中のオレイン酸とリノール酸の量の比率が、約3~約4である。
【0302】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油中のオレイン酸とリノレン酸の量の比率が、約1~約100である。
【0303】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油中のオレイン酸とリノレン酸の量の比率が、約10~100である。
【0304】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油中のオレイン酸とリノレン酸の量の比率が、約10~30である。
【0305】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油は、加工油が生成される前加工油の脂肪酸プロファイルと実質的に同じ脂肪酸プロファイルを有する。
【0306】
前述の態様の一態様では、当該脂肪酸プロファイルは、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸を含む。
【0307】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油中のオレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量は、加工油が生成される前加工油中のオレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量のそれぞれ約10%以内である。
【0308】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油中のオレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量は、加工油が生成される前加工油中のオレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量のそれぞれ約1%以内である。
【0309】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油が、加工油が生成される前加工油中のTAGの量と比較して、3倍の量のMAGを含む。
【0310】
第5の実施形態の別の態様、または第5の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、オレイン酸モノグリセリドの形態のオレイン酸を、加工油が生成される前加工油中のオレイン酸の量とほぼ同じ量で含む。
【0311】
第6の実施形態では、加工油は、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸を含む脂肪酸プロファイルを有し、加工油中のオレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量は、加工油が生成される前加工油中のオレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量のそれぞれ約10%以内であり、加工油は、加工油の総重量に基づいて50重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0312】
第7の実施形態では、加工油は、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸を含む脂肪酸プロファイルを有し、加工油中のオレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量は、加工油が生成される前加工油中のオレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量のそれぞれ約1%以内であり、加工油は、加工油の総重量に基づいて50重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0313】
第8の実施形態では、加工油は、オレイン酸およびリノール酸を含み、加工油中のオレイン酸とリノール酸の比率は、約0.01~約5であり、加工油は、加工油の総重量に基づいて50重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0314】
第8の実施形態の一態様では、加工油中のオレイン酸とリノール酸の比率は、約1~約4である。
【0315】
第8の実施形態の別の態様では、加工油中のオレイン酸とリノール酸の比率は、約3~約4である。
【0316】
第8の実施形態の別の態様、または第8の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、リノール酸をさらに含み、加工油中のオレイン酸とリノレン酸の比率は、約1~約100である。
【0317】
第8の実施形態の別の態様、または第8の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、リノール酸をさらに含み、加工油中のオレイン酸とリノレン酸の比率は、約10~約100である。
【0318】
第8の実施形態の別の態様、または第8の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、リノール酸をさらに含み、加工油中のオレイン酸とリノレン酸の比率は、約10~約30である。
【0319】
第9の実施形態では、加工油は、オレイン酸およびリノレン酸を含み、加工油中のオレイン酸とリノレン酸の比率は、約1~約100であり、加工油は、加工油の総重量に基づいて50重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0320】
第10の実施形態では、加工油は、オレイン酸およびリノレン酸を含み、加工油中のオレイン酸とリノレン酸の比率は、約10~約100であり、加工油は、加工油の総重量に基づいて50重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0321】
第11の実施形態では、加工油は、オレイン酸およびリノレン酸を含み、加工油中のオレイン酸とリノレン酸の比率は、約10~約30であり、加工油は、加工油の総重量に基づいて50重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0322】
第9、第10、または第11の実施形態の一態様では、加工油は、リノール酸をさらに含み、加工油中のオレイン酸とリノール酸の比率は、約0.01~約5である。
【0323】
第9、第10、または第11の実施形態の一態様では、加工油は、リノール酸をさらに含み、加工油中のオレイン酸とリノール酸の比率は、約1~約4である。
【0324】
第9、第10、または第11の実施形態の一態様では、加工油は、リノール酸をさらに含み、加工油中のオレイン酸とリノール酸の比率は、約3~約4である。
【0325】
第8、第9、第10、または第11の実施形態の態様、および第8、第9、第10、または第11の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、少なくとも一部の当該オレイン酸は、オレイン酸モノグリセリド(MOG)の形態で存在する。
【0326】
第8、第9、第10、または第11の実施形態の態様、および第8、第9、第10、または第11の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、少なくとも一部の当該オレイン酸は、オレイン酸モノグリセリド(MOG)の形態で存在し、MOGの総量のうち少なくとも50重量%が1-オレイルモノグリセリドである。
【0327】
第8、第9、第10、または第11の実施形態の態様、および第8、第9、第10、または第11の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、少なくとも一部の当該オレイン酸が、オレイン酸モノグリセリド(MOG)の形態で存在し、MOGの総量のうち少なくとも60重量%が1-オレイルモノグリセリドである。
【0328】
第8、第9、第10、または第11の実施形態の態様、および第8、第9、第10、または第11の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、少なくとも一部の当該オレイン酸が、オレイン酸モノグリセリド(MOG)の形態で存在し、MOGの総量のうち少なくとも70重量%が1-オレイルモノグリセリドである。
【0329】
第8、第9、第10、または第11の実施形態の態様、および第8、第9、第10、または第11の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、少なくとも一部の当該オレイン酸は、オレイン酸モノグリセリド(MOG)の形態で存在し、MOGの総量のうち少なくとも80重量%が1-オレイルモノグリセリドである。
【0330】
第8、第9、第10、または第11の実施形態の態様、および第8、第9、第10、または第11の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、加工油の総重量に基づいて10重量%未満のトリアシルグリセリド(TAG)を含む。
【0331】
第8、第9、第10、または第11の実施形態の態様、および第8、第9、第10、または第11の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、加工油の総重量に基づいて50重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0332】
第8、第9、第10、または第11の実施形態の態様、および第8、第9、第10、または第11の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、加工油の総重量に基づいて60重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0333】
第8、第9、第10、または第11の実施形態の態様、および第8、第9、第10、または第11の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、加工油の総重量に基づいて70重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0334】
第8、第9、第10、または第11の実施形態の態様、および第8、第9、第10、または第11の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、加工油の総重量に基づいて80重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0335】
第8、第9、第10、または第11の実施形態の態様、および第8、第9、第10、または第11の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、加工油の総重量に基づいて90重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0336】
第8、第9、第10、または第11の実施形態の態様、および第8、第9、第10、または第11の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、油源に由来する。
【0337】
前述の態様の一態様では、加工油は、油源に由来し、かつ油源に天然に存在する非油成分を含み、そのため、非油成分が加工油に添加されない。
【0338】
前述の態様の一態様では、非油性成分は、抗酸化剤、ビタミン、およびそれらの混合物から選択される。
【0339】
前述の態様の一態様では、当該抗酸化剤は、トコフェロールである。
【0340】
前述の態様の一態様では、当該トコフェロールは、α-トコフェロール、β-トコフェロール、δ-トコフェロール、γ-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、およびγ-トコトリエノールから選択される。
【0341】
第8、第9、第10、または第11の実施形態の態様、および第8、第9、第10、または第11の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、モノクロロプロパンジオール(MCPD)を実質的に含まない。
【0342】
第8、第9、第10、または第11の実施形態の態様、および第8、第9、第10、または第11の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、0.10mg/kg未満のモノクロロプロパンジオール(MCPD)を有する。
【0343】
第8、第9、第10、または第11の実施形態の態様、および第8、第9、第10、または第11の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、油源は、植物、動物、藻類、または魚類から選択される起源に由来する。
【0344】
前述の態様の一態様では、当該油源は、植物由来である。
【0345】
前述の態様の一態様では、当該油源は、ベニバナ油、ブドウ油、マリアアザミ油、大麻油、ヒマワリ油、コムギ胚芽油、カボチャ種子油、ゴマ油、米糠油、アーモンド油、ナタネ油、ピーナッツ油、オリーブ油、およびココナッツ油からなる群から選択される。
【0346】
第8、第9、第10、または第11の実施形態の態様、および第8、第9、第10、または第11の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油は、加工油の総重量に基づいて約50重量%~約95重量%のMAG含有量を含む。
【0347】
第8、第9、第10、または第11の実施形態の態様、および第8、第9、第10、または第11の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油は、加工油の総重量に基づいて約5重量%~約0.5重量%のTAG含有量を含む。
【0348】
第8、第9、第10、または第11の実施形態の態様、および第8、第9、第10、または第11の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油は、加工油が生成される前加工油の脂肪酸プロファイルと実質的に同じ脂肪酸プロファイルを有する。
【0349】
前述の態様の一態様では、当該脂肪酸プロファイルは、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸を含む。
【0350】
第8、第9、第10、または第11の実施形態の態様、および第8、第9、第10、または第11の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油中のオレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量は、加工油が生成される前加工油中のオレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量のそれぞれ約10%以内である。
【0351】
第8、第9、第10、または第11の実施形態の態様、および第8、第9、第10、または第11の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油中のオレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量は、加工油が生成される前加工油中のオレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量のそれぞれ約1%以内である。
【0352】
第8、第9、第10、または第11の実施形態の態様、および第8、第9、第10、または第11の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、加工油が生成される前加工油中のTAGの量と比較して、3倍の量のMAGを含む。
【0353】
第8、第9、第10、または第11の実施形態の態様、および第8、第9、第10、または第11の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、オレイン酸モノグリセリドの形態のオレイン酸を、加工油が生成される前加工油中のオレイン酸の量とほぼ同じ量で含む。
【0354】
第12の実施形態では、加工油は、オレイン酸およびリノール酸を含み、総脂肪酸含量を有し、当該リノール酸は、加工油の総脂肪酸含量の約10重量%~約90重量%の量で存在し、加工油は、加工油の総重量に基づいて50重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0355】
第12の実施形態の一態様では、当該リノール酸は、加工油の総脂肪酸含有量の約20重量%~約90重量%の量で存在する。
【0356】
第12の実施形態の別の態様では、当該リノール酸は、加工油の総脂肪酸含有量の約10重量%~約25重量%の量で存在する。
【0357】
第12の実施形態の態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、リノレン酸をさらに含み、当該リノレン酸は、加工油の総脂肪酸含有量のうち約0.01重量%~約2重量%の量で存在する。
【0358】
第12の実施形態の態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油中のオレイン酸とリノール酸の比率は、約0.01~約5である。
【0359】
第12の実施形態の態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油中のオレイン酸とリノール酸の比率は、約1~約4である。
【0360】
第12の実施形態の態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油中のオレイン酸とリノール酸の比率は、約3~約4である。
【0361】
第12の実施形態の態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかの態様では、加工油中のオレイン酸とリノレン酸の比率は、約1~約100である。
【0362】
第12の実施形態の態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかの態様では、加工油中のオレイン酸とリノレン酸の比率は、約10~約100である。
【0363】
第12の実施形態の態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかの態様では、加工油中のオレイン酸とリノレン酸の比率は、約10~約30である。
【0364】
第12の実施形態の態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該オレイン酸の少なくとも一部が、オレイン酸モノグリセリド(MOG)の形態で存在する。
【0365】
第12の実施形態の態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油中のMOGは、MOGの総量のうち少なくとも50重量%の1-オレイルモノグリセリドを含む。
【0366】
第12の実施形態の態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油中のMOGは、MOGの総量のうち少なくとも60重量%の1-オレイルモノグリセリドを含む。
【0367】
第12の実施形態の態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油中のMOGは、MOGの総量のうち少なくとも70重量%の1-オレイルモノグリセリドを含む。
【0368】
第12の実施形態の態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油中のMOGは、MOGの総量のうち少なくとも80重量%の1-オレイルモノグリセリドを含む。
【0369】
第12の実施形態の態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、加工油の総重量に基づいて10重量%未満のトリアシルグリセリド(TAG)を含む。
【0370】
第12の実施形態の態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、加工油の総重量に基づいて50重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0371】
第12の実施形態の態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、加工油の総重量に基づいて60重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0372】
第12の実施形態の態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、加工油の総重量に基づいて70重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0373】
第12の実施形態の態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、加工油の総重量に基づいて80重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0374】
第12の実施形態の態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、加工油の総重量に基づいて90重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0375】
第12の実施形態の態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、油源に由来する加工油である。
【0376】
前述の態様の一態様では、加工油は、油源に由来し、かつ油源に天然に存在する非油成分を含み、そのため、非油成分が加工油に添加されない。
【0377】
前述の態様の一態様では、非油性成分は、抗酸化剤、ビタミン、およびそれらの混合物から選択される。
【0378】
前述の態様の一態様では、当該抗酸化剤は、トコフェロールである。
【0379】
前述の態様の一態様では、当該トコフェロールは、α-トコフェロール、β-トコフェロール、δ-トコフェロール、γ-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、およびγ-トコトリエノールから選択される。
【0380】
第12の実施形態の態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、モノクロロプロパンジオール(MCPD)を実質的に含まない。
【0381】
第12の実施形態の一態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、0.10mg/kg未満のモノクロロプロパンジオール(MCPD)を有する。
【0382】
第12の実施形態の態様、または第12の実施形態の上記の態様のいずれかにおいて、当該油源は、植物、動物、藻類、または魚類から選択される起源に由来する。
【0383】
前述の態様の一態様では、油源は植物由来である。
【0384】
前述の態様の一態様では、当該油源は、ベニバナ油、ブドウ油、マリアアザミ油、大麻油、ヒマワリ油、コムギ胚芽油、カボチャ種子油、ゴマ油、米糠油、アーモンド油、ナタネ油、ピーナッツ油、オリーブ油、およびココナッツ油からなる群から選択される。
【0385】
第12の実施形態の態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油は、加工油の総重量に基づいて約50重量%~約95重量%のMAG含有量を含む。
【0386】
第12の実施形態の態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油は、加工油の総重量に基づいて約5重量%~約0.5重量%のTAG含有量を含む。
【0387】
第12の実施形態の態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油は、加工油が生成される前加工油の脂肪酸プロファイルと実質的に同じ脂肪酸プロファイルを有する。
【0388】
前述の態様の一態様では、当該脂肪酸プロファイルは、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸を含む。
【0389】
第12の実施形態の一態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油中のオレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量は、加工油が生成される前加工油中のオレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量のそれぞれ約10%以内である。
【0390】
第12の実施形態の一態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油中のオレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量は、加工油が生成される前加工油中のオレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量のそれぞれ約1%以内である。
【0391】
第12の実施形態の態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、加工油が生成される前加工油中のTAGの量と比較して、ほぼ同じ量のMAGを含む。
【0392】
第12の実施形態の一態様、または第12の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、オレイン酸モノグリセリドの形態のオレイン酸を、加工油が生成される前加工油中のオレイン酸の量とほぼ同じ量で含む。
【0393】
第13の実施形態では、加工油は、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸を含む脂肪酸プロファイルを有し、加工油中のオレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量は、加工油が生成される前加工油中のオレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量のそれぞれ約10%以内であり、加工油は、加工油の総重量に基づいて50重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0394】
第14の実施形態では、加工油は、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸を含む脂肪酸プロファイルを有し、加工油中のオレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量は、加工油が生成される前加工油中のオレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸の量のそれぞれ約1%以内であり、加工油は、加工油の総重量に基づいて50重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0395】
第15の実施形態では、グルコース恒常性を必要とする対象においてそれを促進する方法は、加工油を含む組成物を、当該対象に投与することを含む。
【0396】
第16の実施形態では、II型糖尿病の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法は、加工油を含む組成物を、当該対象に投与することを含む。
【0397】
第17の実施形態では、グルコース恒常性を必要とする対象においてそれを促進する方法は、オレイン酸モノグリセリド(MOG)を含む加工油を含む組成物を、当該対象に投与することを含み、少なくとも50重量%の当該MOGは、1-オレイルモノグリセリドである。
【0398】
第18の実施形態では、糖尿病の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法は、オレイン酸モノグリセリド(MOG)を含む加工油を含む組成物を、当該対象に投与することを含み、少なくとも50重量%の当該MOGは、1-オレイルモノグリセリドである。
【0399】
第17または第18の実施形態の一態様では、少なくとも60重量%の当該MOGは、1-オレイルモノグリセリドである。
【0400】
第17または第18の実施形態の別の態様では、少なくとも70重量%の当該MOGは、1-オレイルモノグリセリドである。
【0401】
第17または第18の実施形態の別の態様では、少なくとも80重量%の当該MOGは、1-オレイルモノグリセリドである。
【0402】
第15、第16、第17、もしくは第18の実施形態の態様、または第17もしくは第18の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油は、第5~第14の実施形態のいずれか1つ、およびその前述の態様のいずれかに従う加工油である。
【0403】
第15、第16、第17、もしくは第18の実施形態、または第15、第16、第17、もしくは第18の実施形態の前述の態様のいずれかの態様では、組成物は、第1、第2、もしくは第3の実施形態のいずれかの食品の加工油、およびその前述の態様のいずれかを含む食品である。
【0404】
第15もしくは第17の実施形態の一態様、または第15もしくは第17の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該対象は、グルコース恒常性に影響を及ぼす状態を患っている。
【0405】
先行する態様の一態様では、状態は、インスリン抵抗性またはII型糖尿病である。
【0406】
第5、第6、もしくは第7の実施形態の態様、または第5、第6、もしくは第7の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該MOGは、加工油の総脂肪酸含有量の約10重量%~約75重量%に寄与する。
【0407】
第5、第6、もしくは第7の実施形態の態様、または第5、第6、もしくは第7の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該MOGは、加工油の総脂肪酸含有量の約20重量%~約75重量%に寄与する。
【0408】
第5、第6、もしくは第7の実施形態の態様、または第5、第6、もしくは第7の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該MOGは、加工油の総脂肪酸含有量の約30重量%~約75重量%に寄与する。
【0409】
第5、第6、もしくは第7の実施形態の態様、または第5、第6、もしくは第7の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該MOGは、加工油の総脂肪酸含有量の約40重量%~約75重量%に寄与する。
【0410】
第5、第6、もしくは第7の実施形態の態様、または第5、第6、もしくは第7の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該MOGは、加工油の総脂肪酸含有量の約50重量%~約75重量%に寄与する。
【0411】
第5、第6、もしくは第7の実施形態の態様、または第5、第6、もしくは第7の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該MOGは、加工油の総脂肪酸含有量の約60重量%~約75重量%に寄与する。
【0412】
第8、第9、第10、第11、第12、第13、もしくは第14の実施形態の態様、または第8、第9、第10、第11、第12、第13、もしくは第14の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油は、加工油の脂肪酸含有量の5重量%~約75重量%に寄与する量のオレイン酸モノグリセリド(MOG)を含む。
【0413】
第8、第9、第10、第11、第12、第13、もしくは第14の実施形態の態様、または第8、第9、第10、第11、第12、第13、もしくは第14の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油は、加工油の総脂肪酸含有量の約10重量%~約75重量%に寄与する量のオレイン酸モノグリセリド(MOG)を含む。
【0414】
第8、第9、第10、第11、第12、第13、もしくは第14の実施形態の態様、または第8、第9、第10、第11、第12、第13、もしくは第14の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油は、加工油の総脂肪酸含有量の約20重量%~約75重量%に寄与する量のオレイン酸モノグリセリド(MOG)を含む。
【0415】
第8、第9、第10、第11、第12、第13、もしくは第14の実施形態の態様、または第8、第9、第10、第11、第12、第13、もしくは第14の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油は、加工油の総脂肪酸含有量の約30重量%~約75重量%に寄与する量のオレイン酸モノグリセリド(MOG)を含む。
【0416】
第8、第9、第10、第11、第12、第13、もしくは第14の実施形態の態様、または第8、第9、第10、第11、第12、第13、もしくは第14の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油は、加工油の総脂肪酸含有量の約40重量%~約75重量%に寄与する量のオレイン酸モノグリセリド(MOG)を含む。
【0417】
第8、第9、第10、第11、第12、第13、もしくは第14の実施形態の態様、または第8、第9、第10、第11、第12、第13、もしくは第14の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油は、加工油の総脂肪酸含有量の約50重量%~約75重量%に寄与する量のオレイン酸モノグリセリド(MOG)を含む。
【0418】
第8、第9、第10、第11、第12、第13、もしくは第14の実施形態の態様、または第8、第9、第10、第11、第12、第13、もしくは第14の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、当該加工油は、加工油の総脂肪酸含有量の約60重量%~約75重量%に寄与する量のオレイン酸モノグリセリド(MOG)を含む。
【0419】
第19の実施形態では、加工油は、脂肪酸プロファイルを有し、加工油の脂肪酸プロファイルが、加工油が生成される前加工油と実質的に同じであり、加工油が、加工油の総重量に基づいて50重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含む。
【0420】
第20の実施形態では、食品は、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、もしくは第14の実施形態のいずれかの加工油、または第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、もしくは第14の実施形態の前述の態様のいずれかを含む。
【0421】
第21の実施形態では、加工油は、加工油の総重量に基づいて50重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含み、総脂肪酸含有量を有する。
【0422】
第22の実施形態では、加工油は、加工油の総重量に基づいて60重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含み、総脂肪酸含有量を有する。
【0423】
第23の実施形態では、加工油は、加工油の総重量に基づいて70重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含み、総脂肪酸含有量を有する。
【0424】
第24の実施形態では、加工油は、加工油の総重量に基づいて80重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含み、総脂肪酸含有量を有する。
【0425】
第25の実施形態では、加工油は、加工油の総重量に基づいて90重量%超のモノアシルグリセリド(MAG)を含み、総脂肪酸含有量を有する。
【0426】
第21、第22、第23、第24、または第25の実施形態の一態様では、加工油は、加工油の総脂肪酸含有量の約5重量%~約75重量%の量のオレイン酸をさらに含む。
【0427】
第21、第22、第23、第24、または第25の実施形態の別の態様では、加工油は、加工油の総脂肪酸含量の約10重量%~約75重量%の量のオレイン酸をさらに含む。
【0428】
第21、第22、第23、第24、または第25の実施形態の別の態様では、加工油は、加工油の総脂肪酸含有量の約20重量%~約75重量%の量のオレイン酸をさらに含む。
【0429】
第21、第22、第23、第24、または第25の実施形態の別の態様では、加工油は、加工油の総脂肪酸含有量の約30重量%~約75重量%の量のオレイン酸をさらに含む。
【0430】
第21、第22、第23、第24、または第25の実施形態の別の態様では、加工油は、加工油の総脂肪酸含有量の約40重量%~約75重量%の量のオレイン酸をさらに含む。
【0431】
第21、第22、第23、第24、または第25の実施形態の別の態様では、加工油は、加工油の総脂肪酸含有量の約50重量%~約75重量%の量のオレイン酸をさらに含む。
【0432】
第21、第22、第23、第24、または第25の実施形態の別の態様では、加工油は、加工油の総脂肪酸含有量の約60重量%~約75重量%の量のオレイン酸をさらに含む。
【0433】
第21、第22、第23、第24、もしくは第25の実施形態の態様、または第21、第22、第23、第24、もしくは第25の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、加工油の総脂肪酸含有量の約1.5重量%~約90重量%の量のリノール酸をさらに含む。
【0434】
第21、第22、第23、第24、もしくは第25の実施形態の態様、または第21、第22、第23、第24、もしくは第25の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、加工油の総脂肪酸含有量の約10重量%~約25重量%の量のリノール酸をさらに含む。
【0435】
第21、第22、第23、第24、もしくは第25の実施形態の態様、または第21、第22、第23、第24、もしくは第25の実施形態の前述の態様のいずれかにおいて、加工油は、加工油の総脂肪酸含有量の約0.1重量%~約2重量%の量のリノレン酸をさらに含む。
【0436】
第21、第22、第23、第24、または第25の実施形態の別の態様では、加工油は、オレイン酸およびリノール酸をさらに含み、オレイン酸とリノール酸の比率は、約0.01~5である。
【0437】
第21、第22、第23、第24、または第25の実施形態の別の態様では、加工油は、オレイン酸およびリノール酸をさらに含み、オレイン酸とリノール酸の比率は、約1~4である。
【0438】
第21、第22、第23、第24、または第25の実施形態の別の態様では、加工油は、オレイン酸およびリノール酸をさらに含み、オレイン酸とリノール酸の比率は、約3~4である。
【0439】
第21、第22、第23、第24、または第25の実施形態の別の態様では、加工油は、オレイン酸およびリノレン酸をさらに含み、オレイン酸とリノレン酸の比率は、約1~100である。
【0440】
第21、第22、第23、第24、または第25の実施形態の別の態様では、加工油は、オレイン酸およびリノレン酸をさらに含み、オレイン酸とリノレン酸の比率は、約10~100である。
【0441】
第21、第22、第23、第24、または第25の実施形態の別の態様では、加工油は、オレイン酸およびリノレン酸をさらに含み、オレイン酸とリノレン酸の比率は、約10~30である。
【0442】
本開示の特定の実施形態の前述の説明は、例示および説明のために提示されている。例示的な実施形態は、本開示の原理およびその実用的な用途を最もよく説明するために、それによって、当業者が対象を最もよく利用することができるようにするために、選択および記載され、様々な変更を伴う様々な実施形態は、企図された特定の使用に好適である。本開示内の様々な実施形態の異なる特徴および開示は、本開示の範囲内で組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
【国際調査報告】