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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-07
(54)【発明の名称】発光ダイヤモンド
(51)【国際特許分類】
   B01J 3/06 20060101AFI20220228BHJP
   C04B 35/52 20060101ALI20220228BHJP
   C01B 32/28 20170101ALI20220228BHJP
【FI】
B01J3/06 R
B01J3/06 S
C04B35/52
C01B32/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541278
(86)(22)【出願日】2020-01-15
(85)【翻訳文提出日】2021-08-03
(86)【国際出願番号】 US2020013664
(87)【国際公開番号】W WO2020150341
(87)【国際公開日】2020-07-23
(31)【優先権主張番号】62/793,032
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502210208
【氏名又は名称】シュルンベルジェ テクノロジー ビー ブイ
【氏名又は名称原語表記】Schlumberger Technology B.V.
【住所又は居所原語表記】Parkstraat 83-89,2514 JG The Hague,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】ベルナップ ジェイ ダニエル
【テーマコード(参考)】
4G146
【Fターム(参考)】
4G146AA04
4G146AA15
4G146AB04
4G146AD40
4G146BA50
4G146BB03
4G146BB05
4G146BB06
4G146BC11
4G146BC24
4G146BC27
4G146BC33B
4G146BC34B
4G146CB09
4G146DA07
(57)【要約】
発光ダイヤモンドは、触媒ありまたはなしで一定量のダイヤモンド結晶粒を高圧/高温条件に供して結晶粒に塑性変形を受けさせてダイヤモンド結晶粒中に窒素空孔欠陥を生成することによって作られ、得られるダイヤモンド材料は発光活性/強度が高くなる。固化ダイヤモンド材料をさらに処理して発光活性/強度をさらに高くしてもよく、当該処理は、固化ダイヤモンド材料をダイヤモンド粒子に粉砕すること、真空中での熱処理、及び熱風処理を含み得るが、当該粉砕プロセスは発光活性/強度をさらに高くする。得られた発光ダイヤモンド粒子は、従来の発光ナノダイヤモンドの発光強度より高いレベルの発光強度を呈し、生物学的用途に使用するために官能化され得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイヤモンドを作る方法であって、
一定量の前駆体ダイヤモンド結晶粒を高圧/高温条件に供して前記結晶粒に塑性変形を受けさせて前記ダイヤモンド結晶粒中に窒素空孔欠陥を生成すること
を含み、得られたダイヤモンド結晶粒が、前記前駆体ダイヤモンド結晶粒の発光強度より高いレベルの発光強度を呈する、
前記方法。
【請求項2】
前記高圧/高温条件に供される前記一定量のダイヤモンド結晶粒が、ダイヤモンド焼結用触媒を実質的に含有しない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記供することの後に、前記得られたダイヤモンド結晶粒を処理して前記発光強度のレベルをさらに高くすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記供することの後に、前記ダイヤモンド結晶粒のサイズを減少させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記減少させることの後に、前記ダイヤモンド結晶粒が約1000nm未満のサイズの平均直径を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記供することの前に、一定量の触媒材料を前記一定量のダイヤモンド結晶粒に加える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記供することの後に、一定量の前記ダイヤモンド結晶粒が半焼結状態になっている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記供することの後に、前記得られたダイヤモンド結晶粒が、前記前駆体ダイヤモンド結晶粒の発光強度よりも少なくとも2桁高い発光強度のレベルを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記処理することの後に、前記得られたダイヤモンド結晶粒が、前記前駆体ダイヤモンド結晶粒の発光強度よりも少なくとも3桁高い発光強度のレベルを有する、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
発光ダイヤモンドを作る方法であって、
一定量の前駆体ダイヤモンド結晶粒を触媒材料の存在下で高圧/高温条件に供して多結晶ダイヤモンド物体を形成すること、及び
前記多結晶ダイヤモンド物体を処理して発光強度のレベルを前記多結晶ダイヤモンド物体のそれよりも高くすること
を含む、前記方法。
【請求項11】
前記多結晶ダイヤモンド物体または前記多結晶小片を、そこから前記触媒材料を除去するためのプロセスに供することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記焼結ダイヤモンド物体を、約10~1,000nmの平均直径を有するダイヤモンド小片に粉砕することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記供することの間、低減された量の触媒材料が使用され、前記多結晶ダイヤモンド物体が半焼結されている、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記供することの後及び前記処理することの前に、前記多結晶ダイヤモンド物体が、前記一定量の前駆体ダイヤモンド結晶粒の発光強度より、少なくとも2桁高いレベルの発光強度を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記処理することの後に、前記多結晶ダイヤモンド物体が、前記処理することの前の前記多結晶ダイヤモンド物体量の発光強度より、10パーセント高いレベルの発光強度を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
発光ダイヤモンドを作る方法であって、
一定量の前駆体ダイヤモンド結晶粒を炭酸塩触媒材料の存在下で高圧/高温条件に供して多結晶ダイヤモンド物体を形成する工程、及び
前記多結晶ダイヤモンド物体を処理して発光強度のレベルを、前記処理する工程の前の前記多結晶ダイヤモンド物体よりも少なくとも10パーセント高くする工程
を含む、前記方法。
【請求項17】
前記処理することの後に、前記多結晶ダイヤモンドが、前記前駆体ダイヤモンド結晶粒の発光強度よりも少なくとも約2桁高い発光強度を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記処理することが、前記多結晶ダイヤモンド物体を約10~1,000nmの平均直径を有する小片に粉砕することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記供することの間、低減された量の前記炭酸塩触媒が使用され、その結果、前記多結晶ダイヤモンド物体が完全焼結されていない、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記処理することの後に、前記処理された多結晶ダイヤモンド物体小片を官能化することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この特許出願は、2019年1月16日に出願された「Luminescent Diamond」と題する米国仮特許出願第62/793,032号に基づく優先権及びその利益を主張するものであり、参照によりその全体を本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
レーザー誘起蛍光法は、観察のために生体分子を個々に探査することによって、生体系が分子レベルでどのように機能するのかをよりよく理解するために採用される既知の技術である。一例において、レーザー誘起蛍光法は、生体細胞またはそれに類似するもの中の単一の分子または粒子を撮像及び追跡するために適用されることがあり、例えば、臓器マッピング、細胞イメージングなどのための生体内生物学的センサに適用される。レーザー誘起蛍光法のために使用される物質の一種に発光ナノダイヤモンドがあるが、これは、最終用途に必要とされる所望の波長の範囲内の光源によって励起された時に光を発するように開発されたナノサイズのダイヤモンド粒子または結晶粒である。発光ナノダイヤモンドの存在は知られているが、そのような発光ナノダイヤモンドを作るために現在用いられている方法及び技術は高価でエネルギー及び時間を多く要するものであり、物質のコストに上乗せされるだけでなく所望の用途のためのその可用性が制限される。
【発明の概要】
【0003】
発光ダイヤモンド及びそれを作る方法は、本明細書に開示されているが、一定量の前駆体ダイヤモンド結晶粒を高圧/高温条件に供して結晶粒に塑性変形を受けさせてダイヤモンド結晶粒中に窒素空孔欠陥を生成することを含み、それによって、得られるダイヤモンド材料の発光の活性及び強度が前駆体ダイヤモンド結晶粒のそれに比べて高くなる。いくつかの実施形態では、固化ダイヤモンド材料は、前駆体ダイヤモンド粉末の発光強度よりも少なくとも約2桁高い発光強度を有し得る。いくつかの実施形態では、当該一定量のダイヤモンド結晶粒と共に触媒材料を含んでいてもよく、または含んでいなくてもよく、この場合、得られる固化ダイヤモンド材料は、力学的に結合した、もしくは半焼結されたダイヤモンド結晶粒の物体となることもあるし、または十分に焼結された多結晶物体となることもある。多結晶物体が生成されるいくつかの実施形態では、使用する触媒材料の量は、十分に焼結された多結晶物体を生成するのに有用な量よりも少なくてよい。いくつかの実施形態では、触媒材料は金属溶媒触媒であってもよく、または炭酸塩触媒であってもよく、炭酸塩触媒の使用は、コバルトPCD物体の発光強度とは異なるレベルの発光強度を有する炭酸塩PCD物体を生成する。この差異は、得られる発光ピークのスペクトル位置及び/または強度において明らかとなり得る。
【0004】
高圧/高温プロセスによって形成されたダイヤモンド材料を処理してダイヤモンド材料の発光強度のレベルをさらに高くしてもよい。いくつかの実施形態では、そのような処理は、ダイヤモンド材料をダイヤモンド粒子に粉砕することとは別個のもの、及びそれに先行するものであり得る。高圧/高温プロセスによって形成されたダイヤモンド材料は、粉砕またはサイズ変更プロセスに供されて所望の粒径を有するダイヤモンド粒子を形成する。いくつかの実施形態では、ダイヤモンド材料は、ナノメートルサイズのダイヤモンド粒子を有するようにサイズ変更され得る。サイズ低減の間、ダイヤモンド材料は、発光を生じさせる放射線源に曝露される表面積が増大し、それによって、得られる強度が高くなり、また、さらなる塑性変形を受ける場合もあり、結果として発光強度が固化ダイヤモンド材料に比べてさらに高くなる可能性がある。いくつかの実施形態では、サイズ変更されたダイヤモンド粒子は、高圧/高温プロセス中に形成されたダイヤモンド材料の発光強度より少なくとも約10パーセント高い発光強度を有する。いくつかの実施形態では、発光活性を高くするための別の方法は、事前にHPHT処理されたダイヤモンド材料に対するHPHTプロセス、例えば、空気中もしくは不活性雰囲気中での熱処理、酸素雰囲気中での熱処理、または制御された酸素分圧を伴う組合せを繰り返すことである。サイズ変更及び熱処理された発光ダイヤモンド粒子は、それを所望の最終用途に適合させるために官能化され得る。本明細書に記載の発光ダイヤモンドは、従来の発光ダイヤモンドに比べて同等の、またはより高いレベルの発光強度を呈し、そのような従来の発光ダイヤモンドに比べてより効率的な方法で作られる。
【0005】
この概要は、以下に詳細な説明の中でさらに記載される選抜された概念を導入するために提供されている。この概要は、特許請求された主題の肝要な、または必須な特徴を特定することを意図したものではなく、特許請求された主題の範囲を限定する上での助けとして用いることを意図したものでもない。
【0006】
本明細書に開示される発光ナノダイヤモンド及びそれを作る方法のこれら及び他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を参照することによってそれが、添付の図面と関連付けて勘案した場合によりよく理解されるにつれて、認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】種々の昇温に供されたときの本明細書に開示されるダイヤモンド粉末の発光強度及び波長情報を示すグラフである。
図2A】本明細書に開示されるコバルト触媒を含む多結晶ダイヤモンド材料の種々の粒径での発光強度及び波長情報を示すグラフである。
図2B】本明細書に開示される炭酸塩触媒を含む多結晶ダイヤモンド材料の種々の粒径での発光強度及び波長情報を示すグラフである。
図3】真空熱処理あり及びなしでの本明細書に開示される炭酸塩触媒を含む多結晶ダイヤモンド材料の発光強度及び波長情報を示すグラフである。
図4】ダイヤモンド粒子にサイズ変更され種々の温度で空気熱処理に供された、炭酸塩触媒を含む多結晶ダイヤモンド材料の発光強度及び波長情報を示すグラフである。
図5】本明細書に記載の発光ダイヤモンドを作るための加工工程を示すブロック図である。
図6】本明細書に開示される発光ダイヤモンド材料の発光強度及び波長情報を従来の発光ダイヤモンドと比較して示すグラフである。
図7】従来の発光ナノダイヤモンドと対比したときの、焼結状態の本明細書に開示される発光ダイヤモンド材料の相対発光強度を示すグラフである。
図8】焼結状態の本明細書に開示される発光ダイヤモンド材料の相対発光強度を、加工圧力の関数として及び高圧/高温プロセスに供されていないダイヤモンド粉末と関連付けて示す、グラフである。
図9】従来の発光ナノダイヤモンドと対比したときの、圧砕状態の本明細書に開示される発光ダイヤモンド材料の相対発光強度を示すグラフである。
図10】従来の発光ナノダイヤモンドと比較したときの、焼結状態及び圧砕状態の両方の本明細書に開示される発光ダイヤモンド材料の相対発光強度を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される発光ダイヤモンド(例えば光ルミネセンスダイヤモンド)及びそれを作る方法は、製造効率及び製造量を大きくする方法で操作され、それによって、上に簡潔に述べた生物学的用途を含むがこれに限定されない最終用途のための物質の入手し易さ及び利用し易さを改善する。さらに、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される原理に従って調製された発光ダイヤモンドは、従来の発光ダイヤモンドに比べて同程度またはより高いレベルの発光強度を呈し、それによって、そのような材料の潜在的な最終用途の範囲を拡張する機会を提供する。明確にするために記すが、いくつかの実施形態では、始めに既存のダイヤモンド結晶粒を固化させ圧密して、焼結された、または力学的に結合し半焼結された発光活性な物体または小塊を形成することによって、本明細書に開示される発光ダイヤモンドが形成される。そのような条件において固化した材料のことを本明細書では発光ダイヤモンドという。その後の手順の間に発光ダイヤモンドは、特定の最終用途に必要とされる大きさに細かくされ、いくつかの実施形態では、得られるダイヤモンド粒子または結晶粒の大きさがナノスケールとなる。場合によって、サイズ低減された発光ダイヤモンドは、ナノサイズ粒子のみであることもあるし、またはナノサイズ粒子と粗いダイヤモンド粒子との混和物を含むこともある。本明細書中で使用される「ナノダイヤモンド」という用語は、ナノサイズのダイヤモンド粒子を含む、つまり約1~1000nmの平均粒径を有する発光ダイヤモンドを指すものと理解される。
【0009】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される発光ダイヤモンドは、天然及び/または合成ダイヤモンド結晶粒の形態であり得る一定量の前駆体ダイヤモンド結晶粒を混ぜ合わせること、ならびに当該一定量のダイヤモンド結晶粒をダイヤモンド結晶粒の固化のための従来使用されている缶または容器に入れることによって、形成され得る。一例においてダイヤモンド結晶粒は、約1~1000μm、約1~100μm、及び約10~50μmの平均結晶粒径を有し得る。他の実施形態では、始めのダイヤモンド結晶粒または粉末の大きさはサブミクロンまたは上記のナノダイヤモンドの範囲に及び得る。いくつかの実施形態では、従来のダイヤモンド粉末の力学的圧砕かデトネーションプロセスかのどちらかによって形成されたナノサイズ粉末が、類似した方法で使用され得る。従来のダイヤモンド粉末は合成由来か天然由来かのどちらかであり得るが、一般的には合成ダイヤモンド粉末の方が、近隣の空孔と一緒にダイヤモンドを発光活性にする固有の窒素含有量がより高い。一例において出発ダイヤモンド材料は、窒素不純物の固有の量が、1b型と呼称されるダイヤモンドにみられるそれと一致していること、具体的には窒素が約50ppm以上であることが望ましい。衝撃合成法によって合成されたナノ粉末も同様に、一般的により高い固有の窒素含有量を有する。いくつかの実施形態では、多結晶ダイヤモンドを作るための従来のプレス設備を使用して容器及びその内容物を高圧/高温(HPHT)固化プロセスに供する。いくつかの実施形態では、一定量のダイヤモンド結晶粒を缶または容器の中に入れ、缶または容器を、封止してもよく、または封止しなくてもよく、そしてHPHTプレス機内に配置し、所望の焼結圧力及び温度の条件に供する。いくつかの実施形態では、HPHTプロセス温度は約1300~2200℃の範囲であり得、プロセス圧力は約5.0GPa~約10GPaであり得る。いくつかの実施形態では、一定量のダイヤモンド結晶粒はいかなる触媒材料も実質的に含有せず、その結果、HPHTプロセスから得られるダイヤモンド材料は、十分に焼結されているのではなく、摩擦接触、低温溶着、ダイヤモンド自己拡散などによって力学的に結合し合ったダイヤモンド結晶粒を含む半焼結小塊または物体の形態となっている。十分に焼結されていない、つまり、半焼結され、結合し合ったダイヤモンド結晶粒のネットワークを特徴としていないダイヤモンド材料を従来の金属溶媒触媒を利用して製造することの特徴は、焼結多結晶ダイヤモンド物体と対比したときのその相対透明度が改善され得、透明度によってそこからの発光放射の強度が向上し得るということである。半焼結物体の有孔領域に形成される黒鉛も存在する場合があるが、これは発光の強度を低下させることがある。そのような場合には、製造プロセスの一部として黒鉛材料を部分的または完全に除去することが望ましい。
【0010】
HPHTプロセス中に、前駆体ダイヤモンド結晶粒の量の少なくとも一部が塑性変形を受けることが発見された。いくつかの実施形態では、HPHT固化プロセスの程度は、ダイヤモンド結晶粒に十分な塑性変形を引き起こしてダイヤモンド結晶粒中にダイヤモンド結晶粒を発光活性にする働きをする窒素空孔(N-V、またはN-V-N)欠陥を作り出すようなものである。HPHT中のダイヤモンド粒子の塑性変形は、変形機構、例えば結晶学的転位運動が活発になるにつれて空孔を作り出すと考えられるが、この空孔が今度は窒素不純物と結合して、所望の発光活性を作り出す窒素空孔(N-V、またはN-V-N)欠陥を形成する。いくつかの実施形態では、これは、金属または非金属触媒、例えばそれぞれコバルト及び炭酸マグネシウムと共に多結晶ダイヤモンドの従来の焼結を行っている間に起こる。他の実施形態では、HPHTプロセスから得られるダイヤモンド結晶粒は、多くのN-VまたはN-V-N欠陥、及び溶媒触媒で結合した多結晶ダイヤモンドに比べて弱いダイヤモンド-ダイヤモンド結合を有して、大きく塑性変形していることがある。例えば、いくつかの実施形態では、HPHTプロセス中にダイヤモンド結晶粒が、十分に焼結された物体になることなく発光活性を生じさせるそのような塑性変形を受け、それによって、ダイヤモンド結晶粒を圧砕プロセスなどでサイズ変更する下流プロセスを、結合ダイヤモンド結晶粒の力学的分裂しか必要としないようなより簡単で所要エネルギーがより少ないものにすることが望まれる。
【0011】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される発光ダイヤモンドは、触媒材料の存在下で一定量のダイヤモンド前駆体結晶粒をHPHTプロセスに供することによって同様の方法で形成され得る。そのような実施形態では、使用する触媒材料の種類は、多結晶ダイヤモンド(PCD)を形成するためのCo、Fe、Ni、炭酸塩、Si及びその組合せを含むがこれらに限定されない群から選択され得る。いくつかの実施形態では、コバルトPCDのためのHPHT加工条件は約1300~1500℃の温度及び約5.0~7.5GPaの圧力の範囲内にあり得る。加えて、コバルトPCDは、典型的には、600~700℃の温度で真空中で熱処理される。使用する触媒材料の量は、使用する触媒の種類、望ましい発光の量、及び詳しい最終用途などの因子に応じて様々であり得るし、そうなりがちである。生物学的最終用途では、生分解性の理由から発光ダイヤモンド中の金属材料の存在は望まれない及び/または許容されないことがあり、その場合は非金属触媒を使用するのが望ましい可能性がある。いくつかの実施形態では、非金属触媒の使用は、金属溶媒触媒を使用して形成されたPCDと比較した場合に相対的に高い透明度または低減された不透明度を有するPCD物体をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される発光ダイヤモンドを作るのに有用な非金属触媒は、炭酸塩触媒、例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどを含み、結果として炭酸塩PCD(CPCD)が形成する。例としての実施形態において、そのような炭酸塩触媒の量は、完全焼結炭酸塩PCD物体を形成するのに十分な量、例えば、炭酸塩触媒とダイヤモンド結晶粒との総重量を基準として約5重量パーセント以下であり得る。炭酸塩PCDは本質的にコバルトPCDに比べてより明るい/より透明であると見受けられるが、これは、より高いレベルの発光放射及び強度に寄与していると考えられる。いくつかの実施形態では、炭酸塩PCDのHPHT加工は、約1700~3000℃の温度及び約7.0GPa超の圧力で行われ得る。加えて、炭酸塩PCDは不活性または真空環境中で約500~1300℃の温度に熱処理され得る。上記の実施形態に関して、HPHT加工はダイヤモンド結晶粒における塑性変形を生じさせ、その結果、前駆体ダイヤモンド結晶粒と比較して発光活性/強度のレベルの上昇をもたらすN-VまたはN-V-N欠陥が作り出される。HPHT中に形成されるいくつかの空孔は、塑性変形プロセス中に窒素と結合しないことがあり、熱処理中に窒素の近隣の部位に移動することがあり、結果としてさらなるN-VまたはN-V-N部位が作り出される。炭酸塩PCDに関する加工の温度及び圧力条件が高いほど、より高い度合いの塑性変形がダイヤモンド結晶粒に生じ得、それゆえ、より高い発光活性が生まれ得る。より高い熱処理温度を用いることはまた、さらなるN-VまたはN-V-N欠陥、したがってより高い発光活性にも寄与し得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、使用する触媒材料の量は、完全焼結PCD物体を形成するのに有用な量よりも少ないこと、例えば、(ダイヤモンド層またはPCD物体の総重量に対して)触媒を約5重量パーセント未満とすることが望ましい場合がある。そのような実施形態では、以下によりよく説明されるように、PCD物体をナノサイズのダイヤモンド小片または結晶粒へとサイズ変更する下流プロセスを簡単にする目的のために、結晶間結合ダイヤモンドと遊離ダイヤモンド結晶粒との両方を含む部分焼結または半焼結PCD物体を製造することが望ましい場合がある。本明細書に開示される方法で作られたPCDは従来の発光ナノダイヤモンドの発光強度より高い発光強度のレベルをもたらすことが発見され、このため、たとえ十分に焼結されたダイヤモンド物体を生成しなくともHPHT加工中にPCDをいくらか有する生成物を生成することで、発光強度の所望の上昇がもたらされ得ると同時に、サイズ変更の下流プロセスも、十分に焼結されたPCD物体を必然的に含むものよりも比較的簡単かつ所要エネルギーが少ないものになり得る。かくして、触媒材料の量を調節することによって、所望の発光強度の上昇と、同時に下流のサイズ変更プロセスが簡単になることとを両方とももたらす所望の焼結度合いを有したダイヤモンド材料が得られ得る。
【0013】
図1は、水圧およそ13.5ksiの圧力(7.3~7.7GPaのセル圧力)及び1500~2300℃の一続きの種々の温度に供された触媒材料なしのダイヤモンド結晶粒に及ぼすHPHT温度の影響を示す、発光強度対波長のグラフ100である。具体的には、グラフは、1500℃でのHPHTプロセスに供されたダイヤモンド結晶粒102、1750℃でのHPHTプロセスに供されたダイヤモンド結晶粒104、2000℃でのHPHTプロセスに供されたダイヤモンド結晶粒106、2175℃でのHPHTプロセスに供されたダイヤモンド結晶粒108、及び2300℃でのHPHTプロセスに供されたダイヤモンド結晶粒110の発光特性を示す。上記の各HPHTプロセスに供されたダイヤモンド結晶粒はおよそ10μmの平均粒径を有していた。ダイヤモンド中のN-V中心が、約675nmにピークの中心を有する赤色発光を作り出すこと、及びダイヤモンド中のN-V-N中心が、約525nmにピークの中心を有する緑色発光を作り出すことは、よく知られている。この試験では、HPHT温度のみに依存してN-V及びN-V-N発光の両方を同じダイヤモンド材料において生み出せることが実証された。図1に示される発光特性は、ダイヤモンド結晶粒例を分光器で集められた489nmのレーザー照射に供することによってもたらされた。これらの試験では、1750、2000、2175及び2300℃のHPHT温度条件が様々な強度のN-V-N発光を生じさせた一方、1500℃のHPHT温度条件だけがN-V発光を生じさせたことが示された。
【0014】
図2A及び図2Bは、488nmのレーザー光源によるN-V及びN-V-N発光強度に及ぼす粒径の影響を示すグラフ200及び220である。図2Aは、およそ11ksi(6.5~6.9GPa)及び1450℃の条件で焼結されPCD材料の総重量を基準としておよそ10重量パーセントのコバルト含有量を有する、剪断機用途のためのコバルト触媒を使用した従来の多結晶ダイヤモンド(PCD)材料からの発光強度を示す。PCD材料は、およそ17μmの平均粒径を有するダイヤモンド結晶粒から形成された。およそ1mmの大きさを有するペレットの形態202、およそ80μmの平均粒径を有する圧砕PCD粒子の形態204、及びおよそ5μmの平均粒径を有する圧砕PCD粒子の形態206でPCD材料を試験した。この試験は、PCD材料がPCD材料粒径の減少を伴って発光強度の上昇を呈したことを実証した。
【0015】
図2Bは、13.5ksi(7.3~7.7GPa)及び2200℃で焼結されCPDC材料の総重量を基準としておよそ8重量パーセントの炭酸マグネシウム含有量を有するマグネシウム多結晶ダイヤモンド(CPCD)材料からの発光強度を示す。CPCD材料は、およそ2μmの平均粒径を有するダイヤモンド結晶粒から形成された。CPCD材料を、上に述べたPCD材料と同じ大きさの形態で試験した。具体的には、およそ1mmの大きさを有するペレットの形態222、およそ80μmの平均粒径を有する圧砕CPCD粒子の形態224、及びおよそ5μmの平均粒径を有する圧砕CPCD粒子の形態226でCPCD材料を試験した。どちらの場合にも(図2A及び図2B)、各々のPCD及びCPCD材料の発光強度が粒径の減少とともに高くなることが観察された。いくつかの実施形態では、発光強度の上昇は主として、低減された粒径に起因してより大きな表面積がレーザー励起源に曝露された結果である可能性がある。非圧砕ペレット材料と比較することによって、強度上昇はどちらの例においても約4倍に高くなったことが示された。よりいっそう細かい大きさに圧砕することで、発光強度のさらなる上昇が可能であると予測される。
【0016】
図3は、(図2Bに関して上に記載されおよそ2μmの平均粒径を有する)CPCD材料を真空条件下でおよそ1100℃の条件で熱処理することが発光強度に及ぼす影響を示すグラフ300である。熱処理に供されなかったCPCDの試料の発光強度は302として示される一方、上記熱処理に供されたCPCDの試料の発光強度は304として示される。図示されているように、熱処理試料の発光強度304は非熱処理試料302に対して2.2倍高くなった。いくつかの実施形態では、この発光強度の上昇は、熱処理プロセスの間の拡散性の窒素移動に起因するさらなるN-V-N中心の形成の結果である可能性がある。比較的低い温度で、例えばHPHT圧を高くする必要がない熱処理だけで緑色波長における発光強度の上昇を達成する能力は予想外であった。図3はまた、本明細書に開示されるHPHTプロセスを経ていない原料ダイヤモンド粉末306と比較したときの発光強度の相対的上昇も示している。
【0017】
図4は、酸化的条件下でのCPCD材料の熱処理の影響を示すグラフ400である。ベースラインCPCD材料は、水圧およそ13.5ksi(セル圧力7.3~7.7GPa)及びおよそ2200℃のHPHT条件で形成され、CPDC材料の総重量を基準としておよそ8重量パーセントの炭酸マグネシウム含有量を有していた。CPCD材料は、およそ2μmの平均粒径を有するダイヤモンド結晶粒から形成された。CPCD材料をおよそ5μmに圧砕し、真空条件下で1100℃で熱処理した。およそ650、675及び700℃の温度でどれも同じおよそ120分の曝露時間にわたって空気中で酸化的熱処理を実施した。グラフ400は、酸化的熱処理に供されていない試料402、650℃に供された試料404、675℃に供された試料406、及び700℃に供された試料408の発光強度を示す。発光強度の(未処理試料に比べて)約10倍の全体的向上が観察されるといった具合に、発光強度は処理温度の上昇とともに漸進的に高くなることが示された。熱処理には、暗灰色から白色に近い状態へと変化する材料の漸進的な白化を伴っていた。これは、ダイヤモンド表面において表面化学が酸素末端結合の状態に変化したことによるものと考えられる。
【0018】
図5は、発光ダイヤモンドを作るために用いられ得る加工を示すブロック図500である。一例では、プロセスは、示されている2つ以上の工程を含む系列で行われ得る。第1プロセス502では、発光ダイヤモンドを作るのに有用な材料を混ぜ合わせ、触媒材料の使用を含んでいてもいなくてもよい先に述べた方法で集合体にするが、それは、集合体にした、または混ぜ合わせた材料をHPHTプロセスに供することを含むものであり、それは十分に焼結されたダイヤモンド圧縮物の形成をもたらすものであってもなくてもよい。いくつかの実施形態では、第1プロセス502は、得られるダイヤモンド材料の中に、上に述べたような窒素(N-Vまたは/及びN-V-N)欠陥を形成するための空孔を作り出す。第2の任意選択のプロセス504では、第1プロセス502から生成したダイヤモンド材料を真空条件下で熱処理プロセスに供する。上に述べたとおり、図3に示される発光強度結果に関して、いくつかの実施形態では、第1工程502の後のダイヤモンド材料をそのような熱処理に供することは、窒素欠陥(すなわちN-V-N)数を増加させることによってダイヤモンド材料の発光強度をさらに高くする(例えば、非熱処理ダイヤモンド材料の1.5~2.2倍)。第3の任意選択のプロセス506では、1つ目のプロセス502または2つ目のプロセス504からのダイヤモンド材料の大きさを、上に述べたような圧砕または他のサイズ変更技術によって細かくする。この第3工程中に形成されるダイヤモンド粒子の厳密な大きさは、発光ダイヤモンド材料の詳しい最終用途によって決まり得る。発光ダイヤモンド材料の種々のダイヤモンド粒径を上に開示した。この第3プロセス506の間にダイヤモンド材料は粉末に変換される。いくつかの実施形態では、ダイヤモンド材料の大きさを細かくすることで、得られる粉末の表面積の増加に起因してダイヤモンド材料の発光強度が3~4倍高くなる。第4の任意選択のプロセス508では、1つ目のプロセス502、2つ目のプロセス504または3つ目のプロセス506からのダイヤモンド材料を空気熱処理、例えば図4)に示す発光強度結果に関して上に述べたような酸化的熱処理に供する。いくつかの実施形態では、空気熱処理はダイヤモンド材料の表面を白化させるが、これは、酸素末端ダイヤモンド結合の形成によるものと考えられる。上に述べたとおり、図4に示される発光強度結果に関して、いくつかの実施形態では、ダイヤモンド材料をこの第4プロセス508に供することで発光強度が約10倍高くなる。上に記したとおり、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される発光ダイヤモンド材料は、これらのプロセスの1つ以上に従って形成され得、いくつかの実施形態では、特定の最終用途に必要とされる発光強度の度合いによってはこれらのプロセスの全てを順次用いて形成され得る。
【0019】
図6は、図5に示されるプロセスを全て用いて作られた発光ダイヤモンド材料の発光強度を示すグラフである。ダイヤモンド材料は、13.5ksi及び2,200℃でのHPHTプロセスによって形成されたCPCDであり、このCPCDはCPCDの総重量を基準としておよそ8重量パーセントの炭酸マグネシウムを含んでいた。CPCD材料は、およそ2μmの平均粒径を有するダイヤモンド結晶粒から形成された。得られたCPCDをおよそ1100℃の温度でおよそ60分の期間にわたって真空熱処理に供した(2つ目の工程)。得られた熱処理CPCDを、-170メッシュの篩によるより粗い粒子の除去と併せて平均ダイヤモンド粒径がおよそ5μmになるように大きさを細かくした、または圧砕した。その後、得られたダイヤモンド粒子をおよそ700℃の温度で120分間、空気熱処理に供した。得られた材料の発光強度を602としてグラフに示し、グラフ中に604として示される平均粒径約1μmの市販の発光ナノダイヤモンド材料の発光強度と比較する。グラフ600から、本明細書に開示される発光ダイヤモンドの発光結果が市販の発光ナノダイヤモンド材料と同程度(15%の範囲内)であることが分かる。本明細書に開示される発光ダイヤモンド材料は、5μmの、つまり市販の発光ナノダイヤモンド材料の平均粒径よりも5倍大きい平均粒径を有した状態で試験されたので、粒径のさらなる低減によって等価またはより良好なN-V-N強度が達成され得ることが予測される。熱処理工程に関するさらなる最適化/改変は同様に発光強度をさらに高めると予測される。
【0020】
図7は、(x軸に沿って)約804~908nmの光波長の間で測定された、100nmの平均直径を有する従来の発光ナノダイヤモンド粉末702のN-VまたはN-V-N中心に関連する波長よりも長い波長での相対発光強度を、上記の方法で各々形成された十分に焼結された炭酸塩PCD104及び十分に焼結されたコバルトPCD104のそれと比較して示すグラフ700であり、ここで、炭酸塩PCD及びコバルトPCDは、十分に焼結された物体の形態である。この例においてコバルトPCDは、およそ17μmの平均粒径を有するダイヤモンド結晶粒から形成され、およそ11ksi(6.5~6.9GPa)の圧力及びおよそ1450℃の温度に供された。得られたコバルトPCDはコバルトPCDの総重量を基準としておよそ10重量パーセントのコバルト含有量を有していた。この例において炭酸塩PCDは、およそ2μmの平均粒径を有するダイヤモンド結晶粒から形成され、およそ13.5ksi(7.3~7.7GPa)の圧力及びおよそ2200℃の温度に供された。得られた炭酸塩PCDは、炭酸塩PCDの総重量を基準としておよそ8重量パーセントの炭酸マグネシウム含有量を有していた。より長い波長での発光は生物学的発光用途において興味深い、というのも、それは、感光性の有機材料、生組織などに与える損傷が少ないものであるより低いエネルギーの照射源の使用を可能にするからである。このデータは、分光器Process InstrumentsモデルPI-100を使用しておよそ785nmの波長で作動しているレーザーに各ダイヤモンド材料を供すること、及びダイヤモンド材料からの発光をモニタリングすることによって収集した。グラフ700は、各ダイヤモンド材料についてのランダムな位置での5~15個のスキャンの平均を示す。示されているように、炭酸塩PCD704のおよそ908nmの波長で測定された発光強度は、従来の発光ナノダイヤモンド粉末702のそれよりも約30パーセント高く、本明細書に開示される炭酸塩PCDの形態の発光ダイヤモンド材料によって発せられる発光強度のレベルの上昇を実証している。コバルトPCD704についておよそ908nmの波長で測定された発光強度は、従来の発光ナノダイヤモンド粉末702のそれよりも約8パーセント高い。図7中のデータを生み出すために使用された炭酸塩PCDは、焼結形態、すなわち焼結物体の形態であり、より小さな粒子またはナノサイズ粒子もしくは結晶粒へのサイズ低減が未だなされていない。上記のとおり、焼結PCD物体をより小さな粒径の例えばナノサイズのダイヤモンド粒子または結晶粒に粉砕するプロセスはダイヤモンド材料をさらなる塑性変形に供し得るが、これは、得られるダイヤモンド粒子の発光活性/強度をさらにいっそう高めるように働く。
【0021】
図8は、HPHTプロセスに供されていない前駆体ダイヤモンド粉末810と比較したときのコバルトPCD802、804及び806の形態の発光ダイヤモンド材料の種々の例の相対発光強度をどれも(x軸に沿って)約810~915nmの光波長範囲内で種々のHPHT加工圧の関数として示すグラフ800である。各例においてコバルトPCDは、得られるコバルトPCDの総重量を基準としておよそ10重量パーセントのコバルトを使用しておよそ17μmの平均粒径を有するダイヤモンド結晶粒または粉末から形成された。HPHTプロセスに供されていないダイヤモンド粉末810は大して発光活性または発光強度を示さない。コバルト触媒を使用して形成された焼結PCDの形態の発光ダイヤモンド、すなわちコバルトPCDは、加圧加工条件が802の10.2ksi及び1450℃、804の12.0ksi及び1450℃、ならびに806の13.5ksi及び1450℃、と漸進的に高くなるにつれて発光強度のレベルの上昇を示し、ダイヤモンド結晶粒における塑性変形のレベルの上昇がより大きな発光活性及びより高い発光強度を生むことが示唆される。10.2、12.0及び13.5ksiの圧力レベルは、HPHT装置を運転するために用いられる水圧に相当する。水圧からセル圧への変換は近似的には下記:10.2ksi=内部セル圧6.0~6.4GPa、12ksi=内部セル圧6.9~7.3GPa、及び13.5GPa=内部セル圧7.3~7.7GPaのとおりであり、範囲は温度と使用される特有のセルデザイン/材料との両方に依存する。このデータは、コバルトPCDの形態の本明細書に開示される発光ダイヤモンドが、HPHTプロセスに供されていない前駆体ダイヤモンド結晶粒よりも少なくとも2桁、場合によっては少なくとも3桁高い発光強度を呈することを示している。図7に示されるデータについて上に記したとおり、測定されるPCD試料は、未だ所望の粒径、例えばナノサイズのダイヤモンド粒子または結晶粒に粉砕されていない十分に焼結された物体の形態である。上に記載したように、いくつかの実施形態では、粒径を低減するプロセスは、1)発光条件下でのレーザー照射への曝露のためのより広いダイヤモンド表面積を作り出し、また、2)ダイヤモンド材料をさらにいっそう塑性変形に供することもでき、これらの機序は両方とも、得られるダイヤモンド粒子材料の発光活性及び発光強度をさらに高めるように働き得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、ダイヤモンド前駆体材料を上に述べたHPHT固化条件/加工に供した後、得られたダイヤモンド材料を、発光活性及び発光強度をさらに高くする目的のためのさらなる処理(複数可)に供する。例えば、そのような追加の処理(複数可)は、固化ダイヤモンド材料を1つ以上のさらなるHPHTプロセスに供すること、及び/または固化ダイヤモンド材料を、ダイヤモンド結晶粒にさらなる塑性変形を受けさせる他の処理技術/プロセスに曝露することを含み得る。さらなるHPHT加工はサイズ低減の前または後に行われ得る。HPHTプロセスからのダイヤモンド材料に、発光活性を増大させるように働くさらなる塑性変形を受けさせるように作用するそのような他の技術がどれも本開示の趣旨及び範囲の中に含まれること、及び限定はしないが結晶粒の破砕及び/または塑性変形を誘発すると予測されるダイヤモンド材料と別の物、物質または材料との力学的衝突を含み得ることは、理解されるべきである。HPHT中に形成された空孔が窒素不純物の近隣の位置に移動するのを容易にするためにHPHTダイヤモンド材料を高温に供して、さらなる窒素(N-V及び/またはN-V-N)欠陥を形成してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるHPHTダイヤモンド材料を、イオン衝突及び/または焼鈍、またはさらなるN-V及び/またはN-V-N欠陥、中心または部位をダイヤモンド材料中に作り出すのに有用な他の従来の手段によって処理してもよい。そのようなさらなる処理(複数可)は、高温環境または周囲温度環境で行われ得る。荷電窒素粒子、例えば窒素プラズマチャンバー内に収容されているものの使用は、NV0(非荷電窒素空孔)中心とNV-(負に帯電した窒素空孔)中心との特有の釣り合いをとる上で役立ち得る。そのような処理の性質及び程度は、詳しいダイヤモンド材料及び最終用途に応じて様々であることが理解され、単回処理、または類似しているかもしくは異なった一続き/一連の処理を含み得る。例えば、N-V中心は、局在化した磁場の強さを決定するための感知装置として非常に有用であることが分かっている。他の例では、N-V及びN-V-N中心の両方、ならびに赤外領域で活性なさらなる発光中心を活性にすることが有用であり得る。また、用いられるさらなる処理(複数可)の種類は、例えばHPHTプロセス中に触媒材料が存在しない場合に、HPHTプロセスから得られるダイヤモンド材料が、焼結されPCDの形態で存在しているものであるのか、それとも上に記したように半焼結されており力学的に結合したダイヤモンド結晶粒の形態で存在しているものであるのかによって決まり得る。そのようなさらなる処理(複数可)は、より多くのN-V及び/またはN-V-N欠陥または中心を作り出すことか、破砕プロセス中のさらなる表面積の作出によってこれらのN-V及び/またはN-V-N欠陥または中心をより多く露出させることかのどちらかによって発光強度を高めるものと考えられる。
【0023】
HPHTプロセスから得られる発光ダイヤモンドが金属PCD、例えばコバルトPCDの形態であるいくつかの実施形態では、焼結PCD物体を処理してそこから金属材料を完全または部分的に除去することが望ましい場合があるが、これは、溶出プロセスまたは当技術分野でPCDから金属触媒を除去して金属の存在が望ましくないか許容されないそのような用途、例えば生物学的用途における使用を可能にすることが知られている他のプロセスによって行われ得る。また、触媒材料をPCDから除去することは焼結物体の構造を弱くして圧砕及びサイズ低減することを簡単にする。炭酸塩触媒、例えば炭酸塩PCDを使用して形成される本明細書に記載の発光ダイヤモンドのいくつかの実施形態では、そのような金属不含PCDは金属を含んでおらず、それゆえ、生物学的最終用途において何ら触媒除去を必要とすることなく使用され得る。発光ダイヤモンド材料が金属触媒を十分になくしたものとなることを確実にするために磁気分離を用いることが役に立つことがある。炭酸塩PCDの形態で提供される発光ダイヤモンドのいくつかの実施形態では、(図7に示される)コバルトPCDよりも実質的に高い発光強度のレベルが得られるが、これは、炭酸塩PCDに採用されるHPHT焼結プロセスに用いる温度及び圧力のレベルがより高いこと、ならびに上に記したコバルトPCDと対比して炭酸塩PCDの相対透明度が高くなる及び不透明度が低くなることに起因している可能性がある。
【0024】
本明細書に開示される発光ダイヤモンドは、より小さな粒径のダイヤモンド粒子、例えばナノサイズ粒子を必要とする用途、例えば上に述べたような生物学的用途での使用を容易にするために、HPHT固化プロセスの後にサイズ変更され得る。したがって、HPHT加工によって発光ダイヤモンドを固化させた後、ダイヤモンド材料を壊してより小さな粒径のダイヤモンド小片または結晶粒にする目的のためにそれをサイズ低減処理に供する。いくつかの実施形態では、発光ダイヤモンドは処理されて大きさが約1nm~1mm、または約5nm~200μmなどの平均直径に低減され得る。有用な平均粒径範囲の例としては、5~100nm、100~200nm、200~1000nm,0.500~20μm、及び20~200μmが挙げられるが、これらに限定されない。他の例では、平均微粒子径を1μm以上にすることが有用であり得る。HPHT加工から得られたダイヤモンド材料の大きさを低減するために用いられる詳しいプロセスは、詳しい材料に応じて、例えば、ダイヤモンド材料が焼結PCDの形態であるか部分焼結PCDであるか力学的に結合したダイヤモンド結晶粒であるかに応じて、様々であり得るし、そうなりがちである。いくつかの実施形態では、ダイヤモンド材料は、高強度標的、例えば炭化タングステンなどから作られたものとの高速衝突によって、または別のダイヤモンド材料との衝突、例えば高速条件下での自己衝突によって圧砕され得る。いくつかの実施形態では、ダイヤモンド材料を生物学的用途に使用することになる場合、ダイヤモンド材料をナノサイズの小片または粒子に粉砕することが望ましい。ダイヤモンド材料を粉砕またはサイズ変更するプロセスは高温または周囲温度条件で行われ得るが、これが行われ得るのは、そのようなものがプロセスをより簡単にするのに役立つ場合、またはそのようなものがダイヤモンド材料にさらなる塑性変形を受けさせて発光活性及び発光強度をさらに高める場合である。コバルト包有物を有する発光ダイヤモンド粒子を、コバルト包有物を含有しない発光粒子から分離する目的のために、磁気的な、または他の力学的な技術による選別が用いられ得る。細胞構造のなかには、破片になったダイヤモンド結晶が作り出すような鋭い縁部によって傷付き易いものもあるので、最終用途によっては、得られる微粒子の形状が重要になる場合がある。これらの用途ではデトネーションナノダイヤモンドを出発物質として採用することが有益であり得る、というのも、これらの微粒子は本質的に球状の形をしているからである。いくつかの実施形態において、いくつかの条件の下では上記のような酸化的環境中で材料を処理することでダイヤモンド結晶の50%以上が除去されることが示されたが、これを採用して鋭い縁部を除去し微粒子の真球度を高めることができる。上に言及されるどの粉末サイズ変更においても、粒径の適正な定義は、
によって定義される等しい投影面積を有する等価な円の手法を採用することによって得ることができ、式中、DEQPCは、関心対象の粒子と同じ投影面積Aを有する円の直径である。
【0025】
上に手短に記したが、ダイヤモンド材料を粉砕して所望のダイヤモンド粒径、例えばナノサイズ粒子にするプロセスの間、ダイヤモンド材料はさらなる塑性変形または破砕を、例えばHPHTプロセス中に起こったそれ以上に受けて、得られるダイヤモンド材料の発光活性及び発光強度がさらに高くなる可能性がある。かくして、得られたサイズ変更ダイヤモンド粒子はHPHT加工後のダイヤモンド材料の発光強度より大きな発光強度のレベルを有する。さらに、上に述べたような中間処理がHPHT加工とサイズ変更との間に行われる場合、HPHT加工の間、後の固化状態のダイヤモンド材料と、粉砕またはサイズ変更プロセスの後のダイヤモンド粒子との間で発光活性/強度が2回上昇し得る。
【0026】
図9は、炭酸塩PCDから形成されダイヤモンド粒子(ナノサイズ粒子をいくらか含み得る)にサイズ低減された本明細書に開示される発光ダイヤモンド902と、従来の発光ナノダイヤモンド904及びコバルトPCDナノダイヤモンド906(同じくダイヤモンド粒子にサイズ低減されたもの)の両方とを比較したときの発光強度の相対差を示すグラフ900である。この例では、コバルトPCDは、およそ17μmの平均粒径を有するダイヤモンド結晶粒から形成され、およそ11ksi(6.5~6.9GPa)の圧力及びおよそ1450℃の温度に供された。得られたコバルトPCDは、コバルトPCDの総重量を基準としておよそ10重量パーセントのコバルト含有量を有していた。この例では、炭酸塩PCDは、およそ10μmの平均粒径を有するダイヤモンド結晶粒から形成され、およそ13.5ksi(7.3~7.7GPa)の圧力及びおよそ2200℃の温度に供された。得られた炭酸塩PCDは、炭酸塩PCDの総重量を基準としておよそ6重量パーセントの炭酸マグネシウム含有量を有していた。
【0027】
図10は、従来の発光ナノダイヤモンド(これは100パーセントの相対発光強度で表される)に対して、焼結状態1002及び圧砕状態1004の両方の炭酸塩PCD、ならびに焼結状態1006及び圧砕状態1008の両方のコバルトPCDの発光強度の差を示したグラフ1000である。この例では、コバルトPCDは、およそ17μmの平均粒径を有するダイヤモンド結晶粒から形成され、およそ11ksiの圧力及びおよそ1450℃の温度に供された。得られたコバルトPCDは、コバルトPCDの総重量を基準としておよそ10重量パーセントのコバルト含有量を有していた。この例では、炭酸塩PCDは、およそ10μmの平均粒径を有するダイヤモンド結晶粒から形成され、およそ13.5ksi(7.3~7.7GPa)の圧力及びおよそ2200℃の温度に供された。得られた炭酸塩PCDは、炭酸塩PCDの総重量を基準としておよそ6重量パーセントの炭酸マグネシウム含有量を有していた。一例において、圧砕された炭酸塩PCDダイヤモンド材料の発光強度は、焼結された炭酸塩PCDダイヤモンド材料に比べて約50パーセント以上上昇し得、圧砕されたコバルトPCDダイヤモンドの発光強度は、焼結されたコバルトPCDダイヤモンドに比べて約4パーセント以上上昇し得る。図10を参照して、焼結された炭酸塩PCD1002は従来の発光ナノダイヤモンドよりも約30パーセント高い発光強度を有しており、圧砕された炭酸塩PCD1004は従来の発光ダイヤモンドよりも約100パーセント高い発光強度を有しており、焼結されたコバルトPCD1006は従来の発光ダイヤモンドの約7.9パーセントの発光強度を有しており、圧砕されたコバルトPCD1008は、従来の発光ダイヤモンドの約8.2パーセントの発光強度を有している。
【0028】
発光強度上昇の厳密な量が、発光ダイヤモンド材料の詳しい種類、粉砕のために用いられる技術またはプロセス、及び発光ダイヤモンド粒子の最終的な大きさ、採用される他のプロセス処理、例えば(図5に関して上に述べた)真空条件下での熱処理及び/または空気熱処理などの因子に応じて様々であり得ることは理解されるべきである。圧砕された炭酸塩発光ダイヤモンドは、従来の発光ナノダイヤモンドよりもはるかに高い発光強度を呈したことに加えて、908nmで測定したときその発光強度を従来の発光ナノダイヤモンドよりも長い持続期間にわたって維持した。例えば、圧砕された炭酸塩発光ダイヤモンドが10点スキャンで約0.97に近い限界発光強度値に達すると見受けられた一方、同じ数のスキャンで従来の発光ナノダイヤモンドは0.93未満であり、それでも発光強度の傾きは急速に低下した。
【0029】
本明細書に開示される発光ダイヤモンドを特定の下流用途、例えば生物学的用途に使用するためには、発光ダイヤモンド粒子、例えばナノダイヤモンドをさらに処理または官能化して材料をその意図した用途に適合させることが望まれ得る。本明細書に開示される発光ダイヤモンド材料を官能化するために用いられ得る処理の方法及び種類が、詳しい最終用途によって様々であることは理解される。しかしながら、官能化プロセスの一例は、ダイヤモンド表面を親水性にするためにダイヤモンド表面に沿った酸素末端化を伴うものであり得、様々な表面酸化手順によって確立され得る。そのような酸素末端化の官能化は、表面に=O、-OH、-COOH、または-C-O-C-基の混合物を形成することを含み得る。他の表面末端化には、水素末端化、ハロゲン化、二重結合を作り出すための熱焼鈍、及び還元によるOH末端化が含まれ得る。さらなる類の官能化は、処理されるダイヤモンドの表面に対する特定分子のグラフト化または結合を伴い得、当該処理は、そのような結合を促進することが示されている方法で行われるものであり、そのような分子は、種々の生体分子と速やかに反応するように選択される。さらなる類の官能化には、ダイヤモンド粒子と生体分子とを静電的(非共有結合的)または共有結合的に結び合わせる結合によって起こり得る生体標識付けが含まれ得る。これらは、本明細書に開示される発光ダイヤモンドが生物学的用途での使用のために官能化され得るほんの数例の方法であり、特定の生物学的用途のために発光ダイヤモンドを官能化するのに有用な他の既知の手法及び技術が本開示の範囲及び精神に含まれることは理解されるべきである。
【0030】
発光ダイヤモンドのほんの数例の実施形態を上に詳しく記載してきたが、当業者であれば、本発明から実質的に逸脱することなく実施形態の例における多くの改変形態が可能であることを容易に認識するであろう。例えば、本明細書に開示される発光ダイヤモンドを生物学的最終用途と関連付けて提示してきた。本明細書に開示される発光ダイヤモンドを、所望の改善されたレベルの発光強度が有用または有益となる生物学的なもの以外の最終用途に使用してもよいことは理解されるべきである。発光ダイヤモンドの他の潜在的用途としては、磁気センサ、高分解能サーモグラフィ、微細センサアレイ、偽造防止手段、鉄分濃度監視、膜電位測定、光捕捉、及びひずみ/圧力センサにおける使用法が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、本明細書に開示される発光ダイヤモンドを1つの特定の最終用途に限定することを意図しないことが理解される。
【0031】
したがって、発光ダイヤモンドの全てのそのような改変形態及び最終用途を、以下の特許請求の範囲に規定される本開示の範囲に含むことを意図する。特許請求の範囲において、ミーンズ・プラス・ファンクション条項は、列挙されている機能を実施するものとして本明細書中に記載されている構造体、及び構造的均等物のみならず等価な構造体も、包含することを意図する。したがって、釘及びねじは、釘が円筒状表面を採用して木製部品同士を固定するのに対してねじが螺旋状表面を採用しているという点で構造的均等物にはなり得ないが、木製部品を固定するという環境において釘及びねじは等価な構造体になり得る。請求項に「のための手段」という語が、関連する機能と一緒に明示的に使用されているものを除き、本明細書のどの請求項のいかなる限定のためにもミーンズ・プラス・ファンクション型の特許請求を行使しないのが、本出願人が明確に意図することである。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】