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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-08
(54)【発明の名称】手術器具のセキュリティ装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20220301BHJP
【FI】
A61B17/072
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021537139
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(85)【翻訳文提出日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 CN2019126973
(87)【国際公開番号】W WO2020135253
(87)【国際公開日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】201811589772.8
(32)【優先日】2018-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519151356
【氏名又は名称】エジスルグ メディカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Ezisurg Medical CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Rm 103 , Bldg 2 , No.1690 Cailun Rd ., Pilot Free Trade Zone, Shanghai, China
(71)【出願人】
【識別番号】520229699
【氏名又は名称】エジスルグ (スーチョウ) メディカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EZISURG (SUZHOU) MEDICAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Bldg. 16, No. 8 Jinfeng Rd. Suzhou New District, Suzhou, Jiangsu 215163, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】特許業務法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ガン
(72)【発明者】
【氏名】ニエ、ホンリン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC22
4C160CC32
(57)【要約】
実行手段、中間コネクタ、及び制御手段(100)を含み、制御手段(100)はハウジング(101、102)と、ハウジング(101、102)内に配置又は部分的に配置される駆動機構と、セキュリティ機構と、回復機構とを含み、セキュリティ機構は、セキュリティトリガー(104)、ステープリング抑制ブロック(109)、及びオフセット構造(110)を含むセキュリティ機構付き手術器具(1)を提供する。このような手術器具は、器具の自動回復機構に故障が生じた場合、器具のステープリングや回復ができないという問題を解決し、患者を保護し、また構造がシンプルであり、コストが低い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実行手段、中間コネクタ、及び制御手段を含み、
前記実行手段、中間コネクタ、制御手段は順次接続され、
前記制御手段は、ハウジング、ハウジング内に配置又は部分的に配置された駆動機構、セキュリティ機構を含む手術器具であって、
前記セキュリティ機構は、セキュリティトリガー、ステープリング抑制ブロック、及びオフセット構造を含む、ことを特徴とする手術器具。
【請求項2】
前記駆動機構は、ステープリングトリガーと、ステープリングトリガーに配置された駆動歯及びラックとを含み、
前記オフセット構造はステープリング抑制ブロックが前記ラックから離れるようにし、前記セキュリティ機構がオンにされていない場合、前記ステープリング抑制ブロックは前記駆動歯と前記ラックとの嵌合を制限する、ことを特徴とする請求項1に記載の手術器具。
【請求項3】
前記ラックは第1組の歯と第2組の歯を含み、
前記オフセット構造はステープリング抑制ブロックが前記ラックの第2組の歯から離れるようにし、前記セキュリティ機構がオンにされていない場合、前記ステープリング抑制ブロックは前記駆動歯と前記第2組の歯との嵌合を制限する、ことを特徴とする請求項2に記載の手術器具。
【請求項4】
自動回復機構を含み、
前記自動回復機構はラック制限スライダを含み、
前記ステープリングトリガーが操作されると、前記ラックは前記ラック制限スライダを前進駆動し、ラック制限スライダが前記オフセット構造による力に抗して移動するまでステープリング抑制ブロックを押すと、前記ステープリング抑制ブロックは前記駆動歯と前記第2組の歯との嵌合を制限する、ことを特徴とする請求項3に記載の手術器具。
【請求項5】
前記セキュリティトリガーが操作されると、前記ステープリング抑制ブロックが前記第2組の歯から離れるようにし、前記駆動歯と前記第2組の歯との嵌合に対する制限が解除される、ことを特徴とする請求項3に記載の手術器具。
【請求項6】
前記セキュリティトリガーが操作されると、前記ラック制限スライダは前記ステープリング抑制ブロックから離脱し、前記ステープリング抑制ブロックはオフセット構造の作用によって前記第2組の歯から離れ、前記駆動歯と前記第2組の歯との嵌合に対する制限が解除される、ことを特徴とする請求項4に記載の手術器具。
【請求項7】
前記ステープリング抑制ブロックは遮断構造を含み、
前記ステープリング抑制ブロックが前記ラック第2組の歯に接近する場合、前記遮断構造は前記ステープリング抑制ブロックに追従して移動し、前記ラックの第2組の歯を遮断し、前記ステープリング抑制ブロックが前記第2組の歯から離れる場合、前記遮断構造は前記第2組の歯に対する遮断を解除する、ことを特徴とする請求項3に記載の手術器具。
【請求項8】
前記遮断構造はシート状、塊状、長尺状である、ことを特徴とする請求項7に記載の手術器具。
【請求項9】
前記ステープリング抑制ブロックは1つの軸を中心に回転している、ことを特徴とする請求項1に記載の手術器具。
【請求項10】
前記ステープリング抑制ブロックは特定のガイドレールに沿って直線又は曲線運動を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の手術器具。
【請求項11】
前記オフセット構造は弾性部材である、ことを特徴とする請求項1に記載の手術器具。
【請求項12】
前記オフセット構造は弾性シート、引張りばね、圧縮ばね、ねじりばねのうちの1種である、ことを特徴とする請求項11に記載の手術器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術用器具に関し、具体的には、外科用ステープラーのセキュリティ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
外科用ステープラーの作用原理は、2つの対応するジョー(通常、ステープルアンビルユニット及びステーブルカートリッジユニットと呼ばれる)を閉合することで組織を挟持した後、ステープラーのステーブルカートリッジ内の金属縫合ステープルを押し出して成形し、組織を縫合するのである。これらのうち、縫合された組織を切断するカッターも装着されたステープラーがある。
【0003】
上記機能を有するステープラーは実行手段、中間コネクタ、及び制御手段を含む。実行手段は、ステープルアンビルユニット、ステーブルカートリッジユニット、及び駆動ユニットから構成される。ステープルアンビルユニットはステープル成形面を含み、ステープル成形面には、金属縫合ステープル成形用のステープルチャンネルが複数列含まれている。ステーブルカートリッジユニットは、一般には、ステーブルカートリッジ、縫合ステープル、ステープルプッシュブロック、ステープルプッシュスライダ、及びステーブルカートリッジベースを含み、ステーブルカートリッジの上面が組織接触面であり、ステーブルカートリッジはステーブルカートリッジベース内に取り付けられる。ステープルアンビルユニットは、近位端がステーブルカートリッジユニットの近位端に可動に接続され、開放状態と閉鎖状態との間で切り替えることが可能である。一般的には、ステープルアンビルユニット及びステーブルカートリッジベースはそれぞれ、駆動ユニットが通過するための縦溝を含む。駆動ユニットが上記縦溝を介して実行手段の遠位端へ移動するときに、ステープルアンビルユニット及びステーブルカートリッジユニットは開放状態から閉鎖状態に切り替わり、ステープルプッシュスライダ及びステープルプッシュブロックは縫合ステープルを突き出して、ステープルアンビルユニットのステープル成形面のステープルチャンネルにおいて成形するようにする。一般的には、駆動ユニットは、組織が縫合ステープルで縫合された後、複数列のステープル糸の間で組織を切断するためのカッターをさらに含む。制御手段は、器具を手動で制御して操作するものであり、一般には、固定ハンドルと、固定ハンドルに対向して可動に接続されたステープリングトリガーと、ステープリングトリガー動作を実行手段に伝達する駆動機構と、手動回復ユニットとを含む。駆動機構は駆動ユニットに接続され、ステープリングトリガー動作を、実行手段の閉合、ステープリングや開放などの動作に変換する。実行手段のステーブルカートリッジユニット及びステープルアンビルユニットが閉鎖状態である場合、手動回復ユニットが操作されると、ステーブルカートリッジユニット及びステープルアンビルユニットは開放状態に回復させられる。中間コネクタは制御手段の遠位端に可動に接続されるとともに、実行手段の近位端に接続され、ステープリングトリガー動作を実行手段に伝達するための接続チャネルとなる。
【0004】
多くのデザインでは、駆動機構は複数組の歯を有するラックを含み、これらのうち、第1組の歯は実行手段のジョーを制御して閉合させ、第2組の歯はステープラーの縫合ステープルの成形及び組織切断を制御する。また、ステープラーは、一般にはセキュリティ装置を備え、正常にステープリングするには、ステープリングトリガーが操作されて実行手段のジョーを閉合させた後、セキュリティ装置を操作する必要があり、そうしないと、ステープリングが実施できない。セキュリティ装置は、医者が確認していないことに起因する誤操作によりステープラーが間違ってステープリングすることを回避できる。
【0005】
CN103767751Bは、片手操作可能な手術器具を開示している。セキュリティ装置をオンにさせていない状態では、自動回復機構によってステーブルカートリッジユニット及びステープルアンビルユニットを開放状態に回復させ、自動回復機構は弾性エネルギー貯蔵ユニットを含み、エネルギー貯蔵ユニットは一般には各種のばねである。
【0006】
上記自動回復機構は駆動ユニットと分離可能に嵌合する歯をさらに含む。
【0007】
特定の場合(たとえばジョーで挟まれた組織の厚さが多すぎる)、駆動ユニットとステーブルカートリッジユニット及びステープルアンビルユニットとの摩擦力が、前記自動回復機構に貯蔵されたエネルギーよりも大きくなり、前記ジョーは開放できなくなり、前記ステープリングトリガー機構が再度操作されると、ステープリングトリガー機構の駆動歯が歯駆動ユニットを備えた第2組の歯に嵌め込まれてしまい、この場合、ステープリングトリガー機構はセミステープリング状態であり、ステープリングセキュリティ機構を操作しても、自動回復機構の嵌合歯と駆動ユニットが離脱できず、その結果、ステープリングトリガー機構はステープリングを持続できず、また、自動回復機構は回復ができず、手術に不便さをもたらす。深刻な場合、この問題を解決するために追加の干渉手段が必要になる。
【発明の概要】
【0008】
従来技術に存在する、自動回復機構が回復できないなどの技術的課題を解決するために、本発明は、外科用ステープラーのセキュリティ機構を提供し、外科用ステープラーは、実行手段、中間コネクタ、及び制御手段を含み、前記実行手段、中間コネクタ、制御手段は順次接続され、前記制御手段は、ハウジング、ハウジング内に配置又は部分的に配置された駆動機構、セキュリティ機構、及び回復機構を含み、
前記セキュリティ機構は、セキュリティトリガー、ステープリング抑制ブロック、及びオフセット構造を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記駆動機構は、ステープリングトリガーと、ステープリングトリガーに配置された駆動歯及びラックとを含み、前記オフセット構造はステープリング抑制ブロックが前記ラックから離れるようにし、前記セキュリティ機構がオンにされていない場合、前記ステープリング抑制ブロックは前記駆動歯と前記ラックとの嵌合を制限する。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記ラックは少なくとも2組の歯を含み、前記オフセット構造はステープリング抑制ブロックが前記ラックの第2組の歯から離れるようにし、前記セキュリティ機構がオンにされていない場合、前記ステープリング抑制ブロックは前記駆動歯と前記第2組の歯との嵌合を制限する。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記手術器具は、自動回復機構を含み、
前記自動回復機構はラック制限スライダを含み、前記ステープリングトリガーが操作されると、前記ラックは前記ラック制限スライダを前進駆動し、ラック制限スライダが前記オフセット構造による力に抗して移動するまでステープリング抑制ブロックを押すと、前記ステープリング抑制ブロックは前記駆動歯と前記第2組の歯との嵌合を制限する。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記セキュリティトリガーが操作されると、前記ステープリング抑制ブロックが前記第2組の歯から離れるようにし、前記駆動歯と前記第2組の歯との嵌合に対する制限が解除される。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記セキュリティトリガーが操作されると、前記ラック制限スライダは前記ステープリング抑制ブロックから離脱し、前記ステープリング抑制ブロックはオフセット構造の作用によって前記第2組の歯から離れ、前記駆動歯と前記第2組の歯との嵌合に対する制限が解除される。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記ステープリング抑制ブロックは遮断構造を含み、前記ステープリング抑制ブロックが前記ラック第2組の歯に接近する場合、前記遮断構造は前記ステープリング抑制ブロックに追従して移動し、前記ラックの第2組の歯を遮断し、前記ステープリング抑制ブロックが前記第2組の歯から離れる場合、前記遮断構造は前記第2組の歯に対する遮断を解除する。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記遮断構造はシート状、塊状、長尺状である。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記ステープリング抑制ブロックは1つの軸を中心に回転している。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記ステープリング抑制ブロックは特定のガイドレールに沿って直線又は曲線運動を行う。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記オフセット構造は弾性部材である。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記オフセット構造は弾性シート、引張りばね、圧縮ばね、ねじりばねのうちの1種である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の外科用ステープラーのセキュリティ機構を用いることによって、器具の自動回復機構に故障が生じることにより器具のステープリング及び回復ができないという問題を解決できる。器具のセキュリティ装置がオンにされていない場合、駆動歯がラックの第2組の歯に嵌め込めず、ステープリングすることができず、このようにして、患者を保護する。また、本発明の外科用ステープラーは、構造がシンプルであり、コストが低い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図面は本発明をさらに理解するために提供するものであり、明細書の一部を構成し、本発明の具体的な実施形態とともに本発明を解釈し、本発明を制限するものではない。
図1】本発明の一実施例に係る外科用ステープラーの元の状態での内部部品の状態図である。
図2図1の外科用ステープラーの制御手段の上面図である。
図3】内部部品の元の状態を示す図2の制御手段の部分断面図である。
図4】本発明の一実施例に係る外科用ステープラーのステープリングトリガーが操作された後の内部部品の状態図である。
図5】本発明の一実施例に係る外科用ステープラーのセキュリティ機構がオンにされていない場合の内部部品の状態図である。
図6】本発明の一実施例に係る外科用ステープラーのセキュリティ機構がオンにされた後の内部部品の状態図である。
図7】本発明の一実施例に係るステープリング抑制ブロック及び弾性シートである。
図8】本発明の一実施例に係るラック制限スライダである。
図9】本発明の一実施例に係るラックである。
図10】本発明の一実施例に係る左側ハウジング及びステープリング抑制ブロック、弾性シートの組み立て関係である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、特定実施形態にて本発明をさらに説明するが、図面は例示的な説明に過ぎず、実物図ではなく模式図であり、本発明を制限するものとして理解できず、本発明の特定実施形態をよりよく説明するために、図面には一部の部品が省略、拡大又は縮小され、実際の製品のサイズではなく、当業者にとっては、図面における公知の一部の構造及びそれについての説明が省略可能であることが理解できることであり、当業者が本発明の特定実施形態に基づいて、創造的な努力を必要とせずに得る他のすべての特定実施形態は、本発明の特許範囲に属する。
【0023】
図1~10は、本発明の一実施例に係るステープラー又はこの構成要素の模式図を示す。
【0024】
具体的には、本実施例では、図1、4~6に示すように、本発明の外科用ステープラー1は、制御手段100、中間コネクタ、及び実行手段を含む(これらのうち、中間コネクタ及び実行手段は従来の外科用ステープラーの一般的な構造形態であるため、具体的には示されていない)。制御手段100、中間コネクタ、及び実行手段の3つは順次接続される。実行手段は、ステープルアンビルユニット、ステーブルカートリッジユニット、及び駆動ユニットを含み、ステープルアンビルユニット及びステーブルカートリッジユニットは、開放と閉鎖の状態の間で移動可能なジョーを構成し、駆動ユニットはジョーを開放・閉合制御し、ステーブルカートリッジ内に置かれた吻合ステープルを押し出し、ステープルアンビルの組織接触面で成形させる。
【0025】
図1~6に示すうように、制御手段100は、左側ハウジング101、右側ハウジング102、ステープリングトリガー103、セキュリティトリガー104、駆動歯105、ラック106、ラック制限スライダ107、引張りばね108、ステープリング抑制ブロック109、弾性シート110を含む。
【0026】
ステープリングトリガー103は、左側ハウジング101と右側ハウジング102の内部に部分的に配置され、固定回転軸を中心に回動可能である。ステープリングトリガー103には、可動回転軸を中心に回動可能な駆動歯105が取り付けられ、駆動歯105はラック106の第1組の歯1061又は第2組の歯1062と分離可能に嵌合する。
【0027】
図7、9~10に示すように、ステープリング抑制ブロック109には円状孔1091(図7)を有し、該円状孔1091は、左側ハウジング101に位置するカラム1011と嵌合し、カラム1011に沿って一定の角度で回転運動が可能である(図10)。弾性シート110は、-端がステープリング抑制ブロック109に作用し、他端が左側ハウジング101に作用し、弾性シート110は、ステープリング抑制ブロック109に位置する遮断構造1093をラック106の第2組の歯1062から離れる方向へ付勢することができる(図9)。
【0028】
別の実施例では、ステープリング抑制ブロック109は、ガイドレールに沿って、ラック106の第2組の歯1062から離れた方向に摺動することができ、弾性シート110は、ばね、ねじりばねや他の弾性部品としてもよく、左側ハウジング101、右側ハウジング102、又は他の部品に作用する。
【0029】
図8に示すように、ラック制限スライダ107は、ステープリング抑制ブロック109の傾斜面1092(図7図10)と互いに嵌合するボス1071を有する(図8)。
【0030】
本実施例の操作は具体的には以下のとおりである。図4に示すように、操作ステープリングトリガー103は一定の角度だけ回動し、ステープリングトリガー103上で回動可能な駆動歯105はラック106の第1組の歯1061と組み合わせて、ラック106を所定距離だけ前進させる。ラック106には、ラック制限スライダ107と離脱可能に接続されたボス1063を有し、ボス1063はラック制限スライド107に配置されたボス1072と作用し、ラック制限スライダ107を前進させる。ラック制限スライダ107は、側面のボス1071をもってステープリング抑制ブロック109の傾斜面1092と接触し、ステープリング抑制ブロック109が弾性シート110の弾性力に抗して回転するようにし、ステープリング抑制ブロック109が一定の角度回転すると、遮断構造1093はラック106の第2組の歯1062を遮断する。
【0031】
図5に示すように、ステープリングトリガー103が解放されると、駆動歯105はラック106の第1組の歯1061とは嵌合を解除する。駆動ユニットとステーブルカートリッジユニット及びステープルアンビルユニットとの摩擦力が、引張りばね108に貯蔵されたエネルギーよりも大きい場合、引張りばね108はラック制限スライダ107によってラック106を元の位置に引くことができず、前記ジョーが開放できなくなるときに、ステープリングトリガー103が再度操作されると、ステープリング抑制ブロック109の遮断構造1093によりラック106の第2組の歯1062が遮断されるため、駆動歯105はラック106の第2組の歯1062と嵌合できず、ラック106を前進させることができない。
【0032】
図6に示すように、セキュリティトリガー104が操作されると、ラック制限スライダ107はラック106と嵌合を解除して、元の位置に戻る。このとき、ラック制限スライダ107のボス1071はステープリング抑制ブロック109の傾斜面1092と接触しなくなり、ステープリング抑制ブロック109は弾性シート110の作用によって、遮断構造1093がラック106の第2組の歯1062から離れる。ステープリングトリガー103が再度操作されると、駆動歯105はラック106の第2組の歯1062と嵌合して、ラック106を前進させ、切断や縫合を行う。
【0033】
本発明の特定実施形態を例示して説明したが、当業者にとっては、本発明の原理及び主旨を逸脱することなく、これらの特定実施形態に対して、複数種の変化、修正、置換及び変形を行うことができ、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲及びその同等物により定められる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】