(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-08
(54)【発明の名称】製剤及び層
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20220228BHJP
H01L 51/05 20060101ALI20220228BHJP
H01L 51/30 20060101ALI20220228BHJP
H01L 21/312 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
H01L29/78 619A
H01L29/28 100A
H01L29/28 280
H01L21/312 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539375
(86)(22)【出願日】2020-01-07
(85)【翻訳文提出日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 CN2020070696
(87)【国際公開番号】W WO2020143624
(87)【国際公開日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】201910013583.4
(32)【優先日】2019-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515019331
【氏名又は名称】ニュードライブ リミテッド
【住所又は居所原語表記】Cavendish House, 11 Broad Walk, Buxton, SK17 6JR, United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェン、リンルン
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ゼ
(72)【発明者】
【氏名】ラジーヴ、キロン・プラバ
(72)【発明者】
【氏名】パンディヤ、シャシ・ウルヴィシュ
(72)【発明者】
【氏名】サイモン・ドミニク・オジェ
【テーマコード(参考)】
5F058
5F110
【Fターム(参考)】
5F058AB05
5F058AB07
5F058AB10
5F058AC02
5F058AC10
5F058AF01
5F058AF04
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5F058AH01
5F110AA16
5F110CC05
5F110DD01
5F110DD02
5F110DD12
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5F110HK02
5F110HK06
5F110HK33
5F110HM04
5F110NN03
5F110NN27
5F110NN33
5F110QQ06
(57)【要約】
本発明は有機層を含む有機電子(OE)デバイス上に不活性化層を蒸着するための流動可能な製剤を開示し、前記有機層は有機半導体(OSC)層及び有機ゲート絶縁体(OGI)層から選ばれたものであり、前記製剤は不活性化材料及び溶剤を含み、前記溶剤は乳酸エステル及び/又はその誘導体を含む。本発明はOEデバイスの製造方法及びOEデバイスを更に開示する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機層を含む有機電子(OE)デバイス上に不活性化層を蒸着するための流動可能な製剤であって、
前記有機層は有機半導体(OSC)層及び有機ゲート絶縁体(OGI)層から選ばれたものであり、前記製剤は不活性化材料及び溶剤を含み、
前記溶剤は乳酸エステル及び/又はその誘導体を含む、有機層を含む有機電子(OE)デバイス上に不活性化層を蒸着するための流動可能な製剤。
【請求項2】
前記誘導体は、乳酸エチルのハンセン溶解度パラメータの6MPa
1/2内のハンセン溶解度パラメータを有する、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記不活性化材料は架橋可能な組成物を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
前記架橋可能な組成物は、単量体前駆体、オリゴマー前駆体及び/又は重合体前駆体を含む、請求項3に記載の製剤。
【請求項5】
前記単量体前駆体、オリゴマー前駆体及び/又は重合体前駆体はエポキシ基を含む、請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
前記不活性化材料は架橋剤、光酸発生剤、硬化剤及び抗酸化剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項5に記載の製剤。
【請求項7】
前記単量体前駆体、オリゴマー前駆体及び/又は重合体前駆体は、(アルキル)アクリレート繰り返し単位を含む、請求項4~6のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項8】
前記単量体前駆体、オリゴマー前駆体及び/又は重合体前駆体は、チオール-エン又はチオール(アルキル)アクリレート反応により架橋可能である、請求項4~6のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項9】
前記単量体前駆体、オリゴマー前駆体及び/又は重合体前駆体は、熱アジド/アルキン環状付加反応により架橋可能である、請求項4~6のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項10】
前記架橋可能な組成物はポリイミドを含む、請求項3~6のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項11】
前記架橋可能な組成物はシクロオレフィン系重合体を含む、請求項3~6のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項12】
前記架橋可能な組成物は置換されたポリ(ビニルフェノール)誘導体を含む、請求項3~6のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項13】
架橋剤、光酸発生剤、硬化剤、抗酸化剤、界面活性剤及びフィラーのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項14】
更に助溶剤を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項15】
有機層を含む有機電子(OE)デバイスを製造する方法であって、
前記有機層は有機半導体(OSC)層及び有機ゲート絶縁体(OGI)層から選ばれたものであり、前記方法は、
前記有機層の少なくとも一部に請求項1~14のいずれか1項に記載の製剤を蒸着して、前記溶剤を除去することにより、前記有機層の少なくとも一部に不活性化層を提供することを含む、有機層を含む有機電子(OE)デバイスを製造する方法。
【請求項16】
有機電子(OE)デバイスであって、
有機層と、直接に前記有機層上に位置する不活性化層とを含み、前記有機層は有機半導体(OSC)層及び有機ゲート絶縁体(OGI)層から選ばれたものであり、且つ前記不活性化層は請求項1~14のいずれか1項に記載の製剤で製造されたものである、有機電子(OE)デバイス。
【請求項17】
前記有機電子(OE)デバイスは有機電界効果トランジスタ(OFET)デバイスから選ばれたものであり、ソース電極とドレイン電極のうちの一方は他方を完全に取り囲むことではない、請求項16に記載の有機電子(OE)デバイス。
【請求項18】
ゲート金属とソース電極及びドレイン電極とは、5マイクロメートルより小さくオーバーラップしている、請求項16に記載の有機電子(OE)デバイス。
【請求項19】
請求項16~18のいずれか1項に記載の有機電子(OE)デバイスを備える製品。
【請求項20】
光パターン化材料と溶剤を含む流動可能な製剤であって、
前記溶剤は乳酸エステル及び/又はその誘導体を含む、光パターン化材料と溶剤を含む流動可能な製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、層例えば不活性化層及び/又は光パターン化層を提供するための、有機電子デバイスを製造するための製剤、このような製剤で有機電子デバイスを製造する方法、及びこのような製剤により提供される層を含む有機電子デバイスに関するが、それらに限らない。
【背景技術】
【0002】
有機電子(OE)デバイスは、例えば表示デバイスのためのバックシート又は論理回路における有機電界効果トランジスタ(OFET)及び有機光起電力(OPV)デバイスを含む。通常のトップゲート型OFETはソース電極及びドレイン電極、有機半導体(OSC)材料で製造された半導体層、誘電材料(誘電体又はゲート誘電体とも称される)例えば有機ゲート絶縁体(OGI)で製造されたゲート絶縁体層、ゲート電極、及び常にOGI層の頂部に位置する不活性化層を含み、それによりOSC層及びOGI層を環境影響及び/又は後続のデバイス製造ステップによる損傷から保護する。類似的に、通常のボトムゲート型OFETはゲート電極、誘電材料例えば有機ゲート絶縁体(OGI)で製造されたゲート絶縁体層、ソース電極及びドレイン電極、有機半導体(OSC)材料で製造された半導体層、及び常にOSC層の頂部に位置する不活性化層を含み、それによりOSC層及びOGI層を環境影響及び/又は後続のデバイス製造ステップによる損傷から保護する。例えば、トップゲート型OFET及びボトムゲート型OFETにおいて、不活性化層は層間誘電体として使用されてもよく、金属トレースを短絡せずに、これらのOEデバイスの異なる層上の回路に配線することができる。
【0003】
これらのOEデバイスの通常の製造技術は、例えば熱蒸発、化学又は物理気相成長、溶液コーティング又は印刷及びフォトリソグラフィを含むプロセスに基づくものである。溶液で加工できる不活性化層は最適なものであり、OFETにとってなおさらである。溶液で加工できる不活性化材料(SPPM)は、製造期間に溶液に基づく蒸着方法、例えばスピンコート又はより大きな面積の印刷方法を使用することが許容され、該方法はフレキソ印刷、凹版印刷及びスロットダイコーティング(slot-die coating)を含む。不活性化材料が下層に付着されることは、このような溶液に基づく不活性化材料への主な一般要件である可能性がある。また、溶液に基づく不活性化材料に使用される溶剤の直交性、特に有機層例えばOSC層及び/又はOGI層との直交性を必要とする。一般的に、溶剤の直交性は化学的直交性であると理解されてもよい。例えば、直交溶剤は、以前に提供する層上にその中に溶解及び/又は分散する材料層を提供することに用いられる場合、該溶剤が以前に提供する層に不利な影響を与えることがない溶剤である。従って、直交溶剤は適切な(相容化とも称される)溶剤として見なされてもよく、その理由はそれらが有機層例えばOSC層及び/又はOGI層に不利な影響を与えることがないためである。それと逆に、非直交(不適切又は非相容化とも称される)溶剤は溶解、損傷、破壊され、又は以前に提供する層の長期安定性に影響する可能性がある。ところが、直交溶剤は有機層例えばOSC層及び/又はOGI層と相容化できるが、不活性化材料のその中での溶解及び/又は分散に問題がある可能性がある。
【0004】
図1A及び
図1Bには、通常の溶液で加工できる不活性化材料を使用してOEデバイス、特にトップゲート型OFETを製造する方法を模式的に示す。一般的に、当業者が理解されるように、このような製造方法は実際にフォトリソグラフィ処理により実現されてもよい。
【0005】
S101において、基板110を提供する。基板110は例えばガラス、金属、重合体又は集積回路(IC)を含んでもよい。基板110は基板110の表面に設置される選択可能なバッファ層を含んでもよい。バッファ層は更に平坦化層と称されてもよく、架橋可能な重合体により提供されるものであり、該架橋可能な重合体は、基板表面の欠陥を平滑化することにより表面均等性及び/又は均一性を改善することができ、且つその上でOEデバイスを製造する化学不活性表面を提供することができる。
【0006】
S102において、例えば、スパッタリング及びフォトリソグラフィ(マスク1を使用する)によって基板110の表面にソース電極及びドレイン電極120を提供する。ソース電極及びドレイン電極120は一般的に金属、例えば銀又は金又はそれらの合金、又は非金属である。ソース電極及びドレイン電極120の仕事関数、例えば本分野における既知のものを調整するように、ソース電極及びドレイン電極120はメルカプタン溶液で処理されてもよい。このような方式によって、電荷をオーバーラップするOSC層に注入することが改善される。過量のメルカプタン溶液は洗い落とされることができ、且つメルカプタンはソース電極及びドレイン電極120のみに結合される。
【0007】
S103において、例えば、スピンコート又は印刷によって、まずソース電極及びドレイン電極120上、並びに基板110の露出表面上にOSC層130を提供する。OSC層130は一般的に30nmの厚さを有する。その後、例えばスピンコート又は印刷によってOSC層130上にOGI層140を提供する。OGI層140は一般的に300nmの厚さを有する。例えば、銀又は金又はそれらの合金の金属層150はその後、例えば蒸発によってOGI層140上に蒸着される。フォトレジスト(図示せず)はその後、(例えば、フォトリソグラフィによって)金属層150上にパターン化され、且つウェットエッチングによって、パターン化されたフォトレジストにより露出した金属層150の一部を除去する。パターン化された金属層150はゲート、例えば薄膜トランジスタ(TFT)ゲートを提供する。パターン化された金属層150は更に耐反応性イオンエッチング(RIE)(ドライエッチングとも称され、例えばO2及び/又はArを使用する)された硬質マスク(マスク2)を提供し、それによりその下のOGI層140、OSC層130並びにソース電極及びドレイン電極120をマスキングする。その後、RIEはOGI層140及びOSC層130のパターン化された金属層150によりマスキングされていない部分を除去する。このような方式によって、基板110においてパターン化された金属層150、OGI層140、OSC層130並びにソース電極及びドレイン電極120を含む積層100を提供する。理解されるように、積層100は一般的に多層構造を説明し、且つ、これにより、より多い又はより少ない及び/又は異なる層を含んでもよい。例えば、積層100はOEデバイスを製造する中間段階にあるこれらの層を含んでもよい。例えば、積層100は完了したOEデバイスのすべての層を含んでもよい。即ち、各層を追加及び/又は除去することにより、積層100に含まれる各層は製造期間において変化してもよい。これにより、OGI層140の側面141及びOSC層130の側面131は例えばRIEにより露出する可能性があり、且つ不適切な溶剤から不利な影響を受ける可能性がある。また、例えば、基板110とOSC層130との間、OSC層130とOGI層140との間及び/又はOGI層140と金属層150との間に層間界面が露出する可能性もある。OGI層140及び/又はOSC層130の他の表面を追加的及び/又は代替的に露出させる可能性がある。
【0008】
S104において、例えば、例えばポリビニルアルコール(PVA)及び重クロム酸アンモニウム(ADC)の水溶液である水溶性重合体製剤を含む第1製剤でコーティングして、その後、水溶性重合体(即ち、PVA+ADC)をUV架橋し、積層100及び基板110の露出表面に通常の第1不活性化層180を提供する。第1不活性化層180は一般的に100nmの厚さを有する。水は一般的に直交溶剤として見なされ、少なくともOGI層140及び/又はOSC層130と十分に相容化する。ところが、架橋PVAを使用して提供する第1不活性化層180は後続の製造ステップに適合しない可能性があり、及び/又は製造されたOEデバイスに環境、化学的及び/又は物理的保護を提供することに適合しない可能性がある。従って、以下のように、別に第2不活性化層190を必要とする。
【0009】
S105において、第1不活性化層180上にポジ型フォトレジストマスク181(マスク3)を提供する。
【0010】
S106において、RIEによってポジ型フォトレジストマスク181を用いて、第1不活性化層180からパターン化された金属層150まで貫通する第1孔185(貫通孔とも称される)を形成し、それにより金属層150の少なくとも一部の表面を露出させる。
【0011】
S107において、残ったフォトレジストマスク181を除去する。
【0012】
S108において、第2不活性化層190を、第1不活性化層180及び積層の露出部分、例えば第1不活性化層180を貫通して形成した孔から露出するパターン化された金属層150に設置する。例えば、第2製剤例えば他の架橋可能な重合体(例えば、MicroChem Corp.,Westborough,MA(USA)から得られたSU-8)の溶液でコーティングして、該重合体を架橋することにより、第2不活性化層190を提供する。SU-8は有機溶剤例えばシクロペンタノン、γ-ブチロラクトン(GBL)又はプロピレングリコールモノエチルエーテル酢酸エステル(PGMEA)に溶解されるビスフェノールAフェノールホルムアルデヒドエポキシ樹脂を含む。SU-8は更に多くとも10wt%の光酸発生剤、例えば混合したトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートを含んでもよい。第2不活性化層190は一般的に300nmの厚さを有し、且つOEデバイスに主不活性化層を提供することができる。これにより、架橋重合体を含む第2不活性化層190は架橋PVAを含む第1不活性化層180を覆う。第2不活性化層190は製造されたOEデバイスに環境、化学的及び/又は物理的保護を提供するために必要なロバスト性を提供する。
【0013】
第2製剤に使用される有機溶剤は一般的に非直交溶剤であり、積層100の有機層例えばOGI層140及び/又はOSC層130と相容化しない。ところが、ロバストな架橋可能な重合体は、例えばSU-8において、直交溶剤例えば第1製剤に使用される水に溶解及び/又は分散しない可能性があり、且つ、これにより、これらの非直交溶剤例えばシクロペンタノン、GBL又はPGMEAにおいてロバストな架橋可能な重合体を提供しなければならない。従って、第1不活性化層180は保護層として使用され、積層100の有機層例えばOGI層140及び/又はOSC層130を第2製剤に含まれる非直交溶剤の影響から保護する。
【0014】
第1不活性化層180を貫通して形成した第1孔に位置合わせされる第2孔195又は貫通孔はその後、第2不活性化層190を貫通してパターン化された金属層150に形成され、それにより金属層150の表面の少なくとも一部を露出させ、ステップS105~S107において第1不活性化層180について説明されるとおりである。他のポジ型フォトレジストマスク(図示せず)(マスク4)を第2不活性化層190上に設置し、且つRIEによってそれを貫通する孔又は貫通孔を形成する。その後、残ったフォトレジストマスクを除去する。
【0015】
S109において、例えば、スパッタリング、マスキング(マスク5)及びエッチングによって、第2孔を介してパターン化された金属層150に金属ゲート相互接続170を提供する。
【0016】
このような方式によって、第1不活性化層180及び第2不活性化層190を含む二重不活性化層を有するOEデバイスを提供することができる。
【0017】
ところが、第1不活性化層180及び第2不活性化層190を含むこのような二重不活性化層を提供することは、OEデバイスの製造複雑性及び/又はコストを増加させる。また、水溶性重合体例えばPVAは吸湿性を有し、且つ第1不活性化層180中の水例えば吸収する水分は、OEデバイスの長期安定性にとって不利になる可能性がある。また、OEデバイスのこのような通常の製造方法に基づいて、5つのマスク(マスク1~マスク5)を必要とする。
【0018】
従って、OEデバイスの製造の改善、例えば不活性化層及び/又は光パターン化層を提供する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
以下は本明細書において詳しく説明した主題の概説である。本概説は本願の保護範囲を制限するためのものではない。
【0020】
本願は、例えば、直接に有機層例えばOSC層及び/又はOGI層及び/又はこれらの層のうちの1つ又は複数を含む積層上に提供することのできる、不活性化層及び/又は光パターン化層を提供するための、有機電子デバイスを製造するための製剤、及び他のものを提供する。本願は更に、このような製剤を使用する、より低い複雑性及び/又はコストを有する有機電子デバイスの製造方法を提供する。本願は更に、このような製剤の提供する層を含む有機電子デバイスを提供し、前記有機電子デバイスは改善された長期安定性を有する。
【0021】
本願の第1態様は有機層を含む有機電子(OE)デバイスに不活性化層を蒸着するための流動可能な製剤を提供し、有機層は有機半導体(OSC)層及び有機ゲート絶縁体(OGI)層から選ばれたものであり、製剤は不活性化材料及び溶剤を含み、
溶剤は乳酸エステル及び/又はその誘導体を含む。
【0022】
本願の第2態様は有機層を含む有機電子(OE)デバイスを製造する方法を提供し、有機層は有機半導体(OSC)層及び有機ゲート絶縁体(OGI)層から選ばれたものであり、該方法は、有機層の少なくとも一部に第1態様に係る製剤を蒸着して溶剤を除去することにより、有機層の少なくとも一部に不活性化層を提供することを含む。
【0023】
本願の第3態様は有機電子(OE)デバイスを提供し、前記有機電子デバイスは有機層と、直接に有機層上に位置する不活性化層とを含み、有機層は有機半導体(OSC)層及び有機ゲート絶縁体(OGI)層から選ばれたものであり、且つ不活性化層は第1態様に係る架橋可能な組成物の架橋生成物を含む。
【0024】
本願の第4態様は第2態様に基づいて製造した有機電子(OE)デバイス及び/又は第3態様に係るOEデバイスを含む製品を提供する。
【0025】
本願の第5態様は光パターン化材料及び溶剤を含む流動可能な製剤を提供し、
溶剤は乳酸エステル及び/又はその誘導体を含む。
【0026】
本願の第6態様は乳酸エステル及び/又はその誘導体を含む溶剤の、有機層を含む有機電子(OE)デバイスを製造する方法における用途を提供し、有機層は有機半導体(OSC)層及び有機ゲート絶縁体(OGI)層から選ばれたものである。
【0027】
本願の他の特徴及び利点はその後の明細書において説明され、且つ、明細書から部分的に明らかになり、又は本願を実施することにより理解される。本願の目的及び他の利点は明細書、特許請求の範囲及び図面において特に指す構造により実現・取得されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本願をより良く理解し、本願の例示的な実施形態がどのように実践されるかを示すために、図面を参照しながら実施例によって説明する。
【0029】
【
図1A】
図1A及び
図1Bは、通常の溶液で加工できる不活性化材料を使用してOEデバイスを製造する方法を模式的に示す図である。
【
図1B】
図1A及び
図1Bは、通常の溶液で加工できる不活性化材料を使用してOEデバイスを製造する方法を模式的に示す図である。
【
図2A】
図2A~
図2Cは、乳酸エステル溶剤及び他の溶剤の2Dハンセン溶解度パラメータを模式的に示す図である。
【
図2B】
図2A~
図2Cは、乳酸エステル溶剤及び他の溶剤の2Dハンセン溶解度パラメータを模式的に示す図である。
【
図2C】
図2A~
図2Cは、乳酸エステル溶剤及び他の溶剤の2Dハンセン溶解度パラメータを模式的に示す図である。
【
図3A】
図3A及び
図3Bは、本願の各態様の実施形態に係るOEデバイスの製造方法を模式的に示す図である。
【
図3B】
図3A及び
図3Bは、本願の各態様の実施形態に係るOEデバイスの製造方法を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は本願の各態様の実施形態に係る他のOEデバイスの製造方法を模式的に示す図である。
【
図5A】
図5A~
図5Fは一連のトランジスタのソース電極-ドレイン電極設計を示す図である。これらは(
図5A)Corbino構造、(
図5B)C形、(
図5C)W形、(
図5D)線形、(
図5E)ソース電極及びドレイン電極の線形交差設計を含む。(
図5F)には、ソース電極及びドレイン電極に関わるゲート金属層を更に示す。選択された不活性化層溶剤が適切ではない場合、ゲート金属のエッジとOTFTの導電チャネルが非常に近いため、導電チャネルが溶剤の侵食に敏感である。実施例の電気学的結果に示すように、導電チャネル領域は本願の乳酸エステル溶剤から影響を受けることがない。
【
図5B】
図5A~
図5Fは一連のトランジスタのソース電極-ドレイン電極設計を示す図である。これらは(
図5A)Corbino構造、(
図5B)C形、(
図5C)W形、(
図5D)線形、(
図5E)ソース電極及びドレイン電極の線形交差設計を含む。(
図5F)には、ソース電極及びドレイン電極に関わるゲート金属層を更に示す。選択された不活性化層溶剤が適切ではない場合、ゲート金属のエッジとOTFTの導電チャネルが非常に近いため、導電チャネルが溶剤の侵食に敏感である。実施例の電気学的結果に示すように、導電チャネル領域は本願の乳酸エステル溶剤から影響を受けることがない。
【
図5C】
図5A~
図5Fは一連のトランジスタのソース電極-ドレイン電極設計を示す図である。これらは(
図5A)Corbino構造、(
図5B)C形、(
図5C)W形、(
図5D)線形、(
図5E)ソース電極及びドレイン電極の線形交差設計を含む。(
図5F)には、ソース電極及びドレイン電極に関わるゲート金属層を更に示す。選択された不活性化層溶剤が適切ではない場合、ゲート金属のエッジとOTFTの導電チャネルが非常に近いため、導電チャネルが溶剤の侵食に敏感である。実施例の電気学的結果に示すように、導電チャネル領域は本願の乳酸エステル溶剤から影響を受けることがない。
【
図5D】
図5A~
図5Fは一連のトランジスタのソース電極-ドレイン電極設計を示す図である。これらは(
図5A)Corbino構造、(
図5B)C形、(
図5C)W形、(
図5D)線形、(
図5E)ソース電極及びドレイン電極の線形交差設計を含む。(
図5F)には、ソース電極及びドレイン電極に関わるゲート金属層を更に示す。選択された不活性化層溶剤が適切ではない場合、ゲート金属のエッジとOTFTの導電チャネルが非常に近いため、導電チャネルが溶剤の侵食に敏感である。実施例の電気学的結果に示すように、導電チャネル領域は本願の乳酸エステル溶剤から影響を受けることがない。
【
図5E】
図5A~
図5Fは一連のトランジスタのソース電極-ドレイン電極設計を示す図である。これらは(
図5A)Corbino構造、(
図5B)C形、(
図5C)W形、(
図5D)線形、(
図5E)ソース電極及びドレイン電極の線形交差設計を含む。(
図5F)には、ソース電極及びドレイン電極に関わるゲート金属層を更に示す。選択された不活性化層溶剤が適切ではない場合、ゲート金属のエッジとOTFTの導電チャネルが非常に近いため、導電チャネルが溶剤の侵食に敏感である。実施例の電気学的結果に示すように、導電チャネル領域は本願の乳酸エステル溶剤から影響を受けることがない。
【
図5F】
図5A~
図5Fは一連のトランジスタのソース電極-ドレイン電極設計を示す図である。これらは(
図5A)Corbino構造、(
図5B)C形、(
図5C)W形、(
図5D)線形、(
図5E)ソース電極及びドレイン電極の線形交差設計を含む。(
図5F)には、ソース電極及びドレイン電極に関わるゲート金属層を更に示す。選択された不活性化層溶剤が適切ではない場合、ゲート金属のエッジとOTFTの導電チャネルが非常に近いため、導電チャネルが溶剤の侵食に敏感である。実施例の電気学的結果に示すように、導電チャネル領域は本願の乳酸エステル溶剤から影響を受けることがない。
【
図6A】
図6A及び
図6Bは、乳酸エチルの不活性化層が蒸着され、金属相互接続層が蒸着・パターン化された後、W/Lが9800/12(マイクロメートル)である線形OEデバイスの転送特性及び移動度曲線データをそれぞれ示す図である。転送曲線から高オン/オフ比及び0.3V/decadeまで低いサブ閾値振幅を見える。
【
図6B】
図6A及び
図6Bは、乳酸エチルの不活性化層が蒸着され、金属相互接続層が蒸着・パターン化された後、W/Lが9800/12(マイクロメートル)である線形OEデバイスの転送特性及び移動度曲線データをそれぞれ示す図である。転送曲線から高オン/オフ比及び0.3V/decadeまで低いサブ閾値振幅を見える。
【
図6C】
図6C及び
図6Dは、線形OEデバイスの伝送特性及び移動度曲線データをそれぞれ示す図であり、W/Lが200/12(マイクロメートル)であり、サブ閾値振幅が1V/decadeである。
【
図6D】
図6C及び
図6Dは、線形OEデバイスの伝送特性及び移動度曲線データをそれぞれ示す図であり、W/Lが200/12(マイクロメートル)であり、サブ閾値振幅が1V/decadeである。
【
図7A】
図7A及び
図7B(比較)は、Cyreneからの不活性化層が蒸着され、金属相互接続層が蒸着・パターン化された後、W/Lが200/12(マイクロメートル)である線形OEデバイスの転送特性及び移動度曲線データをそれぞれ示す図である。転送曲線から低オン/オフ比及び15V/decadeまで高いサブ閾値振幅を見える。
【
図7B】
図7A及び
図7B(比較)は、Cyreneからの不活性化層が蒸着され、金属相互接続層が蒸着・パターン化された後、W/Lが200/12(マイクロメートル)である線形OEデバイスの転送特性及び移動度曲線データをそれぞれ示す図である。転送曲線から低オン/オフ比及び15V/decadeまで高いサブ閾値振幅を見える。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本願の実施例を詳しく説明する。なお、衝突しない限り、本願の実施例及び実施例の特徴は任意に組み合わせられてもよい。
【0031】
本願に基づいて、以上に記載の製剤、方法及び有機電子(OE)デバイスを提供する。本願の他の特徴は下記説明から明らかになる。
【0032】
本明細書全体において、用語「含む(comprising)」又は「含む(comprises)」とは、指定された成分を含むが、他の成分が存在することを排除しないことを意味する。用語「基本的に〇〇からなる(consisting essentially of)」又は「基本的に〇〇からなる(consists essentially of)」とは、指定された成分を含むが、不純物として存在する材料、成分を提供するためのプロセスにより存在する不可欠な材料、及び本願の技術的効果を実現する以外の目的で追加する成分のほか、他の成分を含まないことを意味する。
【0033】
用語「〇〇からなる(consisting of)」又は「〇〇からなる(consists of)」とは、指定された成分を含むが、他の成分を含まないことを意味する。
【0034】
適切な場合、コンテクストによって、用語「含む(comprises)」又は「含む(comprising)」の使用は更に、「基本的に〇〇からなる(consists essentially of)」又は「基本的に〇〇からなる(consisting essentially of)」の意味を含むと見なしてもよく、且つ、更に、「〇〇からなる(consists of)」又は「〇〇からなる(consisting of)」の意味を含むと見なしてもよい。
【0035】
ここで説明される選択可能な特徴は適切な場合に独立して使用又は互いに組み合わせて使用されてもよく、且つ特に添付の特許請求の範囲において説明される組み合わせで使用されてもよい。適切な場合、ここで説明される本願の各態様又は例示的な実施形態の選択可能な特徴は本願のすべての他の態様又は例示的な実施形態にも適用される。即ち、当業者であれば理解されるように、本願の各態様又は例示的な実施形態の選択可能な特徴は異なる態様及び例示的な実施形態において交換可能であり、又は組み合わせられてもよい。
【0036】
以上のように、SPPMの開発は衝突する要件に挑戦されている。
【0037】
SPPM及び/又は製剤は有機層例えばOSC層及び/又はOGI層、並びにOEデバイス構造と相容化(即ち、直交)することが好ましい。ところが、有機層は有機溶剤に溶解することができ、且つ、これにより、これらの有機層がこれらの溶剤へ露出することを回避すべきである。また、層間接着、例えばオーバーラップするOSC層及び/又はOGI層間の接着は、OEデバイスの機能にとって重要である。異なる有機層例えばOSC層及び/又はOGI層は一般的に異なる表面エネルギーを有するため、特定層に溶解しない可能性のある溶剤は層間界面から浸透する可能性があり、それによりOEデバイスの機能を劣化又は破壊させる。
【0038】
また、SPPMは例えば、OEデバイスの製造期間において後続の製造ステップ例えばフォトリソグラフィに応用される材料及び条件に対する環境、物理的及び/又は化学的耐性を提供することが好ましい。一般的に、フォトリソグラフィは下層の化学及び/又は物理露光に関わる加工ステップ、即ち一般的に有機溶剤においてフォトレジスト樹脂を蒸着するステップ、UV露光ステップ、一般的にアルカリ現像型フォトレジストを使用するステップ、一般的に侵食性酸及び酸化還元反応により金属をエッチングするステップ、及び/又は、一般的に侵食性有機溶剤を使用してフォトレジストを除去するステップ、のうちの1つ又は複数を含む。
【0039】
従って、蒸着される不活性化材料は有機溶剤及び/又は水溶液に耐えることが好ましい。ところが、衝突する要件として、不活性化材料の蒸着は一般的に不活性化材料が有機溶剤又は水溶液に溶解及び/又は分散できることが好ましいように求められる。従って、これらの衝突する要件を満足するように、例えば、不活性化材料は蒸着後に架橋されることができる。
【0040】
蒸着される不活性化層は機械的柔軟性、良好な耐引っかき性、熱安定性、光学的透明性、均等性、ピンホール無し、他の層との良好な付着、水及び/又は酸素に対する良好なバリア性、非吸湿性及び良好な誘電破壊強度のうちの少なくとも1つを示すことが好ましい。
【0041】
製剤
本願の第1態様は有機層を含む有機電子(OE)デバイスに不活性化層を蒸着するための流動可能な製剤を提供し、有機層は有機半導体(OSC)層及び有機ゲート絶縁体(OGI)層から選ばれたものであり、製剤は不活性化材料及び溶剤を含み、
溶剤は乳酸エステル及び/又はその誘導体を含む。
【0042】
本願の一態様は不活性化材料及び溶剤を含む流動可能な製剤を提供し、
溶剤は乳酸エステル及び/又はその誘導体を含む。
【0043】
例えば、本願の第1態様に係る流動可能な製剤は他のデバイス例えば微小電気機械システム(MEM)、マイクロ流体デバイス及び/又は通常の(例えば、非有機薄膜トランジスタ(OTFT))電子デバイスにおいて層を提供することにも適する。
【0044】
本願の一態様に基づいて、光パターン化材料及び溶剤を含む流動可能な製剤を更に提供し、
溶剤は乳酸エステル及び/又はその誘導体を含む。
【0045】
このような方式によって、有機層を含む有機電子(OE)デバイスに直接光パターン化することを提供することができ、有機層は有機半導体(OSC)層及び有機ゲート絶縁体(OGI)層から選ばれたものである。このような方式によって、RIEエッチングを回避することができ、それにより例えばOEデバイスの製造コスト及び/又は複雑性を低減する。
【0046】
本願の一態様に基づいて、架橋可能な組成物及び溶剤を含む流動可能な製剤を更に提供し、
溶剤は乳酸エステル及び/又はその誘導体を含む。
【0047】
一般的に、直接にスピンコート及び/又は印刷すること及び/又はその後に他の溶剤を追加することに用いられる流動可能な製剤を提供することができる。一般的に、当業者が知るように、例えば、スピンコートに用いられる流動可能な製剤は1センチポアズ~10,000センチポアズ又はより高い範囲内の動的粘度又は絶対粘度を有してもよい。一実施例では、流動可能な製剤の動的粘度は1センチポアズ~10,000センチポアズ、好ましくは1センチポアズ~1000センチポアズ、より好ましくは1センチポアズ~20センチポアズの範囲内にある。流動可能な製剤の動的粘度は少なくとも流動可能な製剤における溶剤の量によって部分的に決定され、増加する量の溶剤は動的粘度を低減することができる。
【0048】
本願では、前記乳酸エステル及び/又はその誘導体はL-乳酸エステル及び/又はその誘導体、又はD-乳酸エステル及び/又はその誘導体、又はL-乳酸エステル及び/又はその誘導体とそのD-乳酸エステル及び/又はその誘導体との混合物、好ましくは、比率1:1のL-乳酸エステル及び/又はその誘導体とそのD-乳酸エステル及び/又はその誘導体との混合物(ラセミ混合物とも称される)を含む。
【0049】
発明者が決定したように、乳酸エステル及び/又はその誘導体は、例えば以上に第2不活性化層について説明したSU-8における通常の有機溶剤例えばシクロペンタノン、GBL又はPGMEAを代替することができる。
【0050】
驚きなのは、発明者が決定したように、乳酸エステル及び/又はその誘導体は直交溶剤であってもよく、前記通常の有機溶剤例えばシクロペンタノン、GBL又はPGMEAと異なる。
【0051】
即ち、発明者が決定したように、乳酸エステル及び/又はその誘導体は、その中に溶解及び/又は分散するロバストな架橋可能な重合体の溶液を含む溶剤として使用されてもよく、且つ例えば直接に有機層例えばOSC層及び/又はOGI層及び/又はこれらの層のうちの1つ又は複数を含む積層上にこれらの溶液を提供することができる。
【0052】
好ましくは、直接にOGI層上に製剤を提供することができ、OGI層は例えば積層の一部であってもよい。選択肢として、直接にOSC層上の保護層例えば含フッ素重合体保護層上に製剤を提供することが好ましい。一般的に、例えば前記ドライエッチングによるパターン化のために、このような保護層をOSC層上に設置する。
【0053】
このような方式によって、前記通常の二重不活性化層と比べて、単一の不活性化層のみを必要とする。即ち、第1製剤の提供する単一の不活性化層で通常提供する第1不活性化層及び第2不活性化層を代替する。
【0054】
このような方式によって、より少ないステップ及び材料を必要とするため、OEデバイスの製造複雑性及び/又はコストを低減することができる。また、水溶性重合体例えばPVAを使用することを回避するため、OEデバイスの長期安定性が改善される。
【0055】
一実施例では、溶剤は少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97.5%又は少なくとも99%の量の乳酸エステル及び/又はその誘導体を含み、乳酸エステル及び/又はその誘導体の量は製剤における溶剤の総量の重量パーセントである。
【0056】
一実施例では、溶剤は多くとも25%、多くとも30%、多くとも35%、多くとも40%、多くとも45%、多くとも50%、多くとも55%、多くとも60%、多くとも65%、多くとも70%、多くとも75%、多くとも80%、多くとも85%、多くとも90%、多くとも95%、多くとも97.5%、多くとも99%又は多くとも100%の量の乳酸エステル及び/又はその誘導体を含み、乳酸エステル及び/又はその誘導体の量は製剤における溶剤の総量の重量パーセントである。
【0057】
一実施例では、溶剤は乳酸エステル及び/又はその1種類以上の誘導体の混合物を含む。
【0058】
一実施例では、溶剤は助溶剤例えば有機溶剤及び/又は水性溶剤を含む。助溶剤の実例はシクロペンタノン、GBL及びPGMEA、プロピレンカーボネート、ジエチレングリコール、イソプロパノール(IPA)、2-プロピルアルコール及び/又はエチルアルコールを含んでもよい。一実施例では、溶剤は多くとも50%、多くとも45%、多くとも40%、多くとも35%、多くとも30%、多くとも25%、多くとも20%、多くとも15%、多くとも10%、多くとも5%、多くとも2.5%又は多くとも1%の量の助溶剤を含み、助溶剤の量は製剤における溶剤の総量の重量パーセントである。一実施例では、溶剤は少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%、少なくとも15%、少なくとも10%、少なくとも5%、少なくとも2.5%又は少なくとも1%の量の助溶剤を含み、助溶剤の量は製剤における溶剤の総量の重量パーセントである。
【0059】
一実施例では、溶剤は複数種類の助溶剤を含む。一実施例では、溶剤は多くとも50%、多くとも45%、多くとも40%、多くとも35%、多くとも30%、多くとも25%、多くとも20%、多くとも15%、多くとも10%、多くとも5%、多くとも2.5%又は多くとも1%の量の複数種類の助溶剤を含み、複数種類の助溶剤の量は製剤における溶剤の総量の重量パーセントである。一実施例では、溶剤は少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%、少なくとも15%、少なくとも10%、少なくとも5%、少なくとも2.5%又は少なくとも1%の量の複数種類の助溶剤を含み、複数種類の助溶剤の量は製剤における溶剤の総量の重量パーセントである。
【0060】
一実施例では、製剤は少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97.5%又は少なくとも99%の量の溶剤を含み、溶剤の量は製剤の重量パーセントである。
【0061】
一実施例では、製剤は多くとも25%、多くとも30%、多くとも35%、多くとも40%、多くとも45%、多くとも50%、多くとも55%、多くとも60%、多くとも65%、多くとも70%、多くとも75%、多くとも80%、多くとも85%、多くとも90%、多くとも95%、多くとも97.5%又は多くとも99%の量の溶剤を含み、溶剤の量は製剤の重量パーセントである。
【0062】
一実施例では、製剤は少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97.5%又は少なくとも99%の量の不活性化材料を含み、不活性化材料の量は製剤の重量パーセントである。
【0063】
一実施例では、製剤は多くとも80%、多くとも75%、多くとも70%、多くとも65%、多くとも60%、多くとも55%、多くとも50%、多くとも45%、多くとも40%、多くとも35%、多くとも30%、多くとも25%、多くとも20%、多くとも15%、多くとも10%、多くとも5%、多くとも2.5%又は多くとも1%の量の不活性化材料を含み、不活性化材料の量は製剤の重量パーセントである。
【0064】
ハンセン溶解度パラメータ
一般的に、ハンセン溶解度パラメータは溶剤の分散力δd、いかなる双極子δpにより発生する極性度、及び溶剤の水素結合能力δhに基づいて溶剤の極性を示すことに用いられてもよい。これにより、溶剤はハンセン空間に位置してもよく、前記ハンセン空間はδd、δp及びδhの三次元(3D)表現である。ハンセン空間内の2種類の溶剤が接近すればするほど、同じ溶解性能を示す可能性が高くなる。溶剤で表現するハンセン分散力δdは類似のものであってもよく、且つ、これにより、ハンセン溶解度パラメータを示しやすくするために、δpはδhに対して描かれてもよく、二次元(2D)図において異なるタイプの溶剤を示す。
【0065】
一実施例では、誘導体は乳酸エチルのハンセン溶解度パラメータの6MPa1/2内のハンセン溶解度パラメータを有する。一実施例では、誘導体は乳酸エチルのハンセン溶解度パラメータの3MPa1/2内のハンセン溶解度パラメータを有する。一実施例では、誘導体は乳酸エチルのハンセン溶解度パラメータの1.5MPa1/2内のハンセン溶解度パラメータを有する。
【0066】
表1には前記乳酸エチル及び通常の溶剤であるシクロペンタノン、GBL及びPGMEAを含む様々な溶剤のハンセン溶解度パラメータを詳しく示す。
【0067】
【0068】
乳酸エチル
ハンセン溶解度パラメータは、乳酸エステル及び/又はその誘導体が例えば前記SU-8における通常の有機溶剤例えばシクロペンタノン、GBL又はPGMEAを代替することができることを示すが、ハンセン溶解度パラメータは、これらの通常の溶剤が直交溶剤であってもよい指示を提供しない。
【0069】
驚きなのは、以上のように、発明者が決定したように、乳酸エステル及び/又はその誘導体は更に直交溶剤であってもよく、前記通常の有機溶剤例えばシクロペンタノン、GBL又はPGMEAと異なる。即ち、乳酸エステル及び/又はその誘導体はいずれも例えばSU-8における通常の有機溶剤例えばシクロペンタノン、GBL又はPGMEAを代替することができ、且つ直交溶剤であってもよく、通常の有機溶剤例えばシクロペンタノン、GBL又はPGMEAと異なる。
【0070】
図2A、
図2B及び
図2Cには乳酸エステル及び他の常用の溶剤の2Dハンセン溶解度パラメータ図を模式的に示し、いくつかはSU8の不活性化に使用される。
【0071】
架橋可能な組成物
一実施例では、不活性化材料は架橋可能な組成物を含む。このような方式によって、不活性化材料は溶剤に溶解及び/又は分散でき、蒸着に使用され、その後、蒸着後に架橋され、不活性化材料は有機溶剤及び/又は水溶液に耐えることができる。従って、不活性化材料は前記衝突する要件のうちの少なくとも一部を満足することができる。
【0072】
一実施例では、不活性化材料は少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97.5%又は少なくとも99%の量の架橋可能な組成物を含み、架橋可能な組成物の量は不活性化材料の重量パーセントである。
【0073】
一実施例では、不活性化材料は多くとも50%、多くとも55%、多くとも60%、多くとも65%、多くとも70%、多くとも75%、多くとも80%、多くとも85%、多くとも90%、多くとも95%、多くとも97.5%、多くとも99%又は多くとも99.5%の量の架橋可能な組成物を含み、架橋可能な組成物の量は不活性化材料の重量パーセントである。
【0074】
一実施例では、架橋可能な組成物は単量体前駆体、オリゴマー前駆体及び/又は重合体前駆体を含む。単量体前駆体、オリゴマー前駆体及び/又は重合体前駆体を含む架橋可能な組成物の実例は、例えば架橋可能なエポキシ基を含む、架橋可能なエポキシ基及び/又は架橋可能なアクリレート又は(アルキル)アクリレート繰り返し単位を含むシロキサン-有機混成フレームの単量体前駆体、オリゴマー前駆体及び/又は重合体前駆体を含む。架橋開始の実例は、例えば、熱開始、光化学開始、ラジカル反応、チオール-エン又はチオール(アルキル)アクリレート反応、及び/又は熱アジド/アルキン環状付加反応(thermal azide alkyne cycloaddition reaction)を含む。
【0075】
一実施例では、単量体前駆体、オリゴマー前駆体及び/又は重合体前駆体はエポキシ基を含み、前記エポキシ基は架橋されるものであってもよい。
【0076】
不活性化層はエポキシ基を含む単量体前駆体、オリゴマー前駆体又は重合体前駆体を熱架橋又は光化学架橋することにより形成されてもよい。一般的に、不活性化製剤は表面にコーティングされてもよく、且つその後、熱架橋又は光化学架橋条件を経験する。エポキシ基を含む適切なオリゴマー前駆体の実例は、Hexionから得られる商業製品EPONTM SU-8樹脂(EPIKOTETM 157とも称される)である。EPONTM樹脂SU-8は、約8つの平均エポキシ基官能価を有する重合体固体エポキシフェノールホルムアルデヒドワニス樹脂である。
【0077】
適切な単量体前駆体、オリゴマー前駆体又は重合体前駆体は更に、エポキシ基を有するシロキサン-有機混成フレームを含んでもよい。
【0078】
表2には市販されるエポキシシロキサン単量体前駆体及びオリゴマー前駆体の実例を詳しく示し、Polyset Inc(Mechanicville,NY,USA)から得られる製品PC-1000、PC-1035、PC-2000、PC-2004、PC-2011、PC-2021及びPC-2026を含む。他のエポキシシロキサン単量体前駆体及びオリゴマー前駆体は既知のものである。
【0079】
【0080】
J Appl Polymer Sci 2013,39968,1~7において、エポキシシロキサン前駆体で製造された架橋材料の実例を説明する。
【0081】
一実施例では、製剤は架橋剤、光酸発生剤、硬化剤、抗酸化剤、界面活性剤及びフィラーのうちの少なくとも1つを含む。
【0082】
例えば、エポキシ単量体、オリゴマー又は重合体を含む架橋可能な組成物は、更に架橋試薬及び/又は触媒を含んでもよい。使用される化学反応は架橋不溶性層を提供し、熱駆動又は光化学駆動であってもよい。ACS Applied Materials Interfaces 2009,1,7,1585において、エポキシ基で置換された重合体の薄膜前駆体の熱駆動架橋反応の実例を説明する。該実例では、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MeTHPA)は熱硬化剤として使用され、且つN,N-ジメチルベンジルアミン(BDMA)は熱硬化を促進する触媒として使用される。
【0083】
例えば、エポキシ基で官能化された前駆体を含む薄膜の光化学駆動架橋に対して、不活性化製剤は光酸発生剤(PAG)を含んでもよい。一般的に、PAGは可視光又は紫外線放射に露出され、一般的に紫外線放射時に活性酸触媒を生成する試薬である。本分野において、多くの異なるタイプのPAGが知られる。適切なPAGは、BASF(ドイツ)から購入され得る
シリーズの材料を含む。PAG試薬は本質的にイオン又は非イオンであってもよく、且つ異なるPAGにおいて、化学的構造は異なるUV波長において操作されるように設計されてもよい。PAGは購入可能なものであり、I線(365nm)及びg/h線(405nm、436nm)のUV波長において操作されることに用いられ、PAGはマイクロエレクトロニクス製造プロセスにおいて幅広く使用されている。
【0084】
架橋可能な組成物は、例えば前記エポキシ単量体、オリゴマー又は重合体を含み、更に硬化剤(硬化試薬又は硬化剤とも称される)を含んでもよく、前記硬化剤は得られた架橋不活性化層の硬化時間及び/又は機械的性質を調整することに用いられてもよい。適切な硬化剤の実例は、Toagosei(日本)から得られるARONシリーズのトリメチレンオキシド硬化剤を含む。
【0085】
架橋可能な組成物は、例えば前記エポキシ単量体、オリゴマー又は重合体を含み、更に抗酸化剤を含んでもよい。抗酸化剤は架橋できる又は架橋する膜の変色(黄化)、例えばPAG又はその化学副生成物の副反応を抑制することに用いられてもよい。US 2013/225711 A1において適切な抗酸化剤の実例を説明する。
【0086】
一実施例では、単量体前駆体、オリゴマー前駆体及び/又は重合体前駆体は、(アルキル)アクリレート繰り返し単位、例えばアクリレート又はメチルアクリレート繰り返し単位を含む。
【0087】
本明細書における(アルキル)アクリレートと総称されるアクリレート又はメチルアクリレート繰り返し単位を含む架橋可能な単量体、オリゴマー又は重合体は、架橋不活性化層の形成にとって非常に有用である可能性がある。複数種類の(アルキル)アクリレート薄膜塗膜前駆体は、例えばArkema(フランス)が生産したSARTOMERブランドにおいて購入され得る。架橋薄膜塗膜に異なる性能を提供するように、本分野では(アルキル)アクリレート前駆体は異なる比率で選択・調製できることが知られる。
【0088】
架橋薄膜塗膜例えば不活性化層を生産する(アルキル)アクリレート前駆体は単官能、二官能又は多官能であってもよく、且つ他の非(アルキル)アクリレート反応性官能基で任意に置換されてもよく、それにより選択可能な化学方法で更に架橋されることが許容され、選択可能な化学方法は(アルキル)アクリレート基を重合するための化学方法と異なる。WO 2013/119717 A1において説明される他の非(アルキル)アクリレート反応性官能基の実例は、エポキシ基又はシンナミリンデン基である。
【0089】
架橋可能な組成物に適用される架橋可能な(アルキル)アクリレート前駆体自体は、本質的に低重合又は重合であってもよい。このような材料の実例はSIRIUS-501、Osaka Organic Chemical Industry Ltd(日本)により生産された木の枝状アクリレートである。
【0090】
熱又は光化学架橋可能な膜例えば不活性化層に適用される(アルキル)アクリレート前駆体は、部分的又は完全にフッ化される側鎖で任意に置換されてもよい。これらの前駆体により製造された重合体を含んで、このような側鎖置換基を有する薄膜は、効果的に変化する性能、例えば耐化学性、疎水性又は表面エネルギーを有してもよい。
【0091】
表3にはMerck KGaA(ドイツ)の子会社Sigma Aldrichから購入され得る一連のフッ化される(アルキル)アクリレート前駆体を詳しく示す。他のフッ化される(アルキル)アクリレート前駆体は既知のものである。
【0092】
【0093】
適切な単量体前駆体、オリゴマー前駆体又は重合体前駆体は、更に(アルキル)アクリレート基を有するシロキサン-有機混成フレームを含んでもよい。J Sol Gel Sci Technol 2012,61,2,321においてこのような混成前駆体の実例を説明する。
【0094】
単量体前駆体、オリゴマー前駆体又は重合体(アルキル)アクリレート前駆体を含む架橋可能な組成物は、ラジカル反応により架橋されてもよい。架橋可能な膜を形成するための架橋可能な組成物は、別にラジカル開始剤を含んでもよい。一般的に、ラジカル開始剤は、熱又は光化学条件において開始される。熱開始又は光化学開始に適用されるラジカル開始剤の多くの実例は本分野で既知のものである。
【0095】
表4にはMerck KGaA(ドイツ)の子会社Sigma Aldrichから購入され得るラジカル熱開始剤を詳しく示す。
【0096】
【0097】
表5にはMerck KGaA(ドイツ)の子会社Sigma Aldrichから購入され得るラジカル光開始剤を詳しく示す。
【0098】
【0099】
エポキシ基を重合するためのPAGと類似的に、様々な光化学ラジカル開始剤は利用可能であり、光化学架橋プロセスがi線(365nm)及びg/h線(405nm、436nm)を含む異なる波長において操作されることが許容される。
【0100】
いくつかのタイプの市販されている光化学ラジカル開始剤はII型開始剤と称される。これらの光開始剤は一般的に共開始剤と称される他の試薬が存在することを必要とする。II型システムに使用される共開始剤の常用の実例はアルコール又はアミンである。
【0101】
一実施例では、単量体前駆体、オリゴマー前駆体及び/又は重合体前駆体は、例えばチオール-エン又はチオール(アルキル)アクリレート反応により架橋可能であり、以下に記載される。
【0102】
架橋薄膜例えば不活性化層の製造に適用される他のタイプの有用な化学反応は、チオール-エン反応である。チオールエン反応は、不飽和二重結合とチオール(-SH)基を有する独立した前駆体の反応を含む。不飽和二重結合は(アルキル)アクリレートであってもよく、このような場合、該プロセスはメルカプタン-(アルキル)アクリレート反応と説明されてもよい。チオール-エン又はメルカプタン-(アルキル)アクリレート反応は一般的にラジカル反応であり、熱又は光化学により開始されてもよく、例えば上記の(アルキル)アクリレート前駆体のみを使用する重合プロセスの通りである。
【0103】
架橋薄膜塗膜例えば不活性化層を製造するためのチオール-エン又はメルカプタン-(アルキル)アクリレート反応の有用な性質は、反応プロセスの大気からの酸素への抑制に敏感ではなく、架橋プロセスが不活性ガスブランケットではなく、空気で行われることが許容されることである。
【0104】
チオール-エン又はメルカプタン-(アルキル)アクリレート反応を使用する熱架橋プロセス又は光化学架橋プロセスに適用される前駆体は、本質的に単量体、オリゴマー又は重合体であってもよい。Chem Mater 2013,25,4806において、チオール-エン反応を使用して架橋膜を提供する実例を説明し、該架橋膜は有機電子デバイスの絶縁層として使用されることに適する。
【0105】
一実施例では、単量体前駆体、オリゴマー前駆体及び/又は重合体前駆体は、熱アジド/アルキン環状付加反応により架橋可能であり、例えば以下に記載される。
【0106】
Shengxia Li,Wei Tang,Weimin Zhang,Xiaojun Guo及びQing Zhang,Cross-linked Polymer-Blend Gate Dielectrics through Thermal Click Chemistry,Chem.Eur.J.2015,21,17762-17768DOI:10.1002/chem.201502825において、熱アジド/アルキン環状付加反応により架橋される実例を説明する。
【0107】
Sheng-Xia Li,Lin-Run Feng,Xiao-Jun Guo,Qing Zhang,Application of thermal azide-alkyne cycloaddition(TAAC)reaction as a low temperature cross-linking method in polymer gate dielectrics for organic field effect transistors,J.Mater.Chem.C,2014,DOI:10.1039/C4TC00116Hにおいて、熱アジド/アルキン環状付加反応により架橋される他の実例を説明する。
【0108】
一実施例では、架橋可能な組成物はポリイミドを含む。一般的に、ポリイミドはオリゴマー前駆体の実例である。
【0109】
ポリイミドは保護膜を形成するための有用な材料である。Handbook of Polymer Coatings for Electronics:Chemistry,Technology and Applications(第2版)第55~65ページにおいて、有用的にポリイミドの化学及び性能をまとめて述べる。ポリイミドの溶解性及び溶液加工性を改善するために努力しており、且つ溶剤に溶解できるポリイミドは本分野で既知のものである。
【0110】
本願に使用される適切なポリイミドは、可溶性ポリイミドオリゴマーである。可溶性ポリイミドオリゴマーは、更に主鎖ポリイミド官能基以外の適切な基で官能化されてもよく、熱架橋又は光化学架橋反応に使用される。ポリイミドオリゴマーは、その低い平均分子量により良好な溶剤溶解性を有し、且つ溶液加工方法で容易にコーティングされることができる。次に、更に官能化された架橋可能な基の性質に基づいて、得られた膜に熱架橋又は光化学架橋プロセスを経験させる。これにより、高度に不溶性の架橋膜が生成する。EP 2524947 A1において、ポリイミドオリゴマーにより生産された熱架橋膜の実例を説明する。
【0111】
一実施例では、架橋可能な組成物はシクロオレフィン系重合体を含む。一般的に、シクロオレフィン系重合体はオリゴマー前駆体又は重合体前駆体の実例である。
【0112】
有機電子デバイスの不活性化層に利用可能な他の材料は、シクロオレフィン系重合体である。非架橋膜を蒸着した後、更なる熱架橋又は光化学架橋が許容される化学置換基を有するシクロオレフィン系重合体は本分野で既知のものである。US 9082981及びWO 2013/120581において、架橋可能な側基を有する適切なシクロオレフィン系重合体の実例を説明する。
【0113】
一実施例では、架橋可能な組成物は置換されたポリ(ビニルフェノール)誘導体を含み、例えば以下に記載される。例えば、ポリ(ビニルフェノール)はフェノール基(例えば、いかなる他の置換基を有するアルキル基、アリール基、アラルキル基)において置換されてもよい。Chem Mater 2015,25,4806において可能な置換基タイプ(O-アリル)を示す。
【0114】
適切な置換されたポリ(ビニルフェノール)誘導体は架橋可能な組成物の架橋に適用される他の薄膜塗膜前駆体である。
【0115】
Chem Mater 2015,25,4806において、可溶性薄膜により組成物を形成することが説明され、ポリ(ビニルフェノール)のO-アリル誘導体及びペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)を含み、次にAIBNをラジカル開始剤として使用して、チオール-エン反応熱架橋薄膜により組成物を形成する。
【0116】
WO 2013/119717においてポリ(ビニルフェノール)の誘導体が説明され、不溶性膜例えば不活性化層を提供するように、光化学条件において架橋されることができる。
【0117】
一実施例では、塗膜性能、例えば表面湿潤、レベリング及び流動を改善するように、製剤は界面活性剤を含む。
【0118】
塗膜性能、例えば表面湿潤、レベリング及び流動を改善するように、本願の製剤は任意に界面活性剤、例えばフッ化される界面活性剤及び/又はシロキサン溶剤を含んでもよい。製剤における界面活性剤例えば含フッ素界面活性剤の量は重量部で、製剤の0%~5%の範囲、好ましくは製剤の0%~2%の範囲内にあってもよい。界面活性剤の量は重量部で、製剤の少なくとも0.001%、少なくとも0.01%又は少なくとも0.1%であってもよい。
【0119】
例示的な含フッ素界面活性剤はAGC Seimi Chemical Co.,Ltd.(日本)からSURFLONとして購入され得る。
【0120】
表6にはCytonix LLC,Maryland(米国)からFluorNとして購入され得る含フッ素界面活性剤を詳しく示す。
【0121】
【0122】
表7にはDIC Corporation,Tokyo(日本)からMEGAFACEとして購入され得る含フッ素界面活性剤を詳しく示す。好適な含フッ素界面活性剤は、MEGAFACE R-41、R-40、R-40-LM、R-43、F-556、F-557、F-554、F-559、RS-72-K、F-567、F-563、F-560、F-444、F-553、F-477、F-554、F-556、F-557、F-568、F-563及びF-560を含む。
【0123】
【0124】
本願の製剤は任意にシロキサン溶剤、特にシクロシロキサン溶剤を含んでもよい。シロキサン溶剤は製剤の湿潤性、レベリング性及び流動性を変化させることに用いられてもよい。適切なシロキサン溶剤添加剤の実例は、オクタメチルシクロテトラシロキサン(BP 175℃)、デカメチルシクロペンタシロキサン(BP 210℃)及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン(BP 245℃)を含む。組成物におけるシロキサン溶剤の担持量は重量部で、不活性化材料の0%~10%、好ましくは不活性化材料の0%~5%、より好ましくは不活性化材料の0%~2%である。
【0125】
製剤におけるシロキサン溶剤の量は重量部で、製剤の0%~10%の範囲、好ましくは不活性化材料の0%~5%の範囲、より好ましくは不活性化材料の0%~2%の範囲である。界面活性剤の量は重量部で、不活性化材料の少なくとも0.001%、少なくとも0.01%又は少なくとも0.1%であってもよい。
【0126】
一実施例では、架橋層の物理的性能及び/又は電気的性能を変化させるように、製剤はフィラーを含む。
【0127】
本願の適切な組成物は更に任意にフィラーを含んでもよい。フィラーは架橋薄膜塗膜の物理的性能及び/又は電気的性能、例えば誘電率、機械的強度又は誘電破壊強度を効果的に変化させることができる。適切なフィラーは無機ナノ粒子を含み、このような場合、得られた架橋膜は重合体ナノ複合材料として説明されてもよい。Materials 2009,2,1697-1733;doi:10.3390/ma2041697において、適切なフィラーの実例が説明される。これらの説明されるフィラーは無機フィラー、例えばBaTiO3、PMN-PT(65/35)、PbNb2O6、PLZT(7/60/40)、SiO2、Al2O3、Ta2O5、TiO2、SrTiO3、ZrO2、HfO2、HfSiO4、La2O3、Y2O3、α-LaAlO3、CaCu3Ti4O12及びLa1.8Sr0.2NiO4を含む。これらの無機フィラーは粒子例えば微粒子及び/又はナノ粒子として提供されてもよい。
【0128】
有機半導体(OSC)材料
有機半導体材料(OSC)層は、蒸発又は溶液加工され得る材料の単一成分又は多成分混合物を含む。OSC層は可溶性液体で加工されることが好ましく、且つ重合であってもよいが、半導体の非重合性多環式化合物、例えば半導体の非重合性有機多環式化合物を含むことが好ましく、OSC(小分子有機半導体とも称される)である。
【0129】
好ましくは、半導体の非重合性多環式化合物は10-1cm2/Vs以上、より好ましくは0.5cm2/Vs以上、ひいてはより好ましくは2cm2/Vs以上のキャリア移動度を有する。好ましくは、半導体の非重合性多環式化合物は100cm2/Vsより小さいキャリア移動度を有する。半導体の非重合性多環式化合物の電荷移動度は、ドロップキャスト膜又は熱蒸発単結晶膜の電界効果トランジスタを測定することにより決定されてもよい。
【0130】
いかなる適切な半導体の非重合性多環式化合物を使用してもよい。これらはp-型又はn-型OSC材料であってもよい。
【0131】
適切な半導体の非重合性多環式化合物の実施例はポリアセンを含む。WO2012/164282において適切なポリアセンが開示される。例えば、適切なポリアセンは化3に示される構造式を有してもよい。
【化3】
ここで、R
54、R
56、R
32及びR
34のそれぞれは水素であり、R
55及びR
33のそれぞれは-C≡C-SiR
35R
36R
37であり、R
35、R
36及びR
37のそれぞれは独立してC
1-C
4アルキル基、C
2-C
4アルケニル基及びC
3-C
6ナフテン基から選ばれたものであり、R
50、R
51、R
52、R
53、R
57、R
29、R
30及びR
31のそれぞれは独立して水素、C
1-C
4アルキル基、C
1-C
6アルコキシ基及びC
6-C
12アリールオキシ基から選ばれたものであり、又は、C
4-C
10飽和又は不飽和環を形成するように、各対のR
51及びR
52及び/又はR
29及びR
30は独立して架橋・ブリッジ接続されてもよく、該飽和又は不飽和環は酸素原子、硫黄原子又は式-N(R
49)-(ここで、R
49は水素原子、C
1-C
6アルキル基又はC
1-C
10パーフルオロアルキル基である)で示される基間隔であり、
kとIは独立して0又は1であり、kとIはいずれも1であり、又はkとIはいずれも0であることが好ましい。
【0132】
適切なのは、化3の化合物において、kとIはいずれも1であり、R55とR33は-C≡C-SiR35R36R37であり、ここで、R35、R36及びR37のそれぞれは独立してエチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基及びC3-C6ナフテン基から選ばれたものであり、R50、R51、R52、R53、R57、R29、R30及びR31のそれぞれは独立して水素、メチル基、エチル基及びメトキシ基から選ばれたものである。
【0133】
適切なのは、化3の化合物において、kとIはいずれも0であり、R55とR33は-C≡C-SiR35R36R37であり、ここで、R35、R36及びR37のそれぞれは独立してエチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基及びC3-C6ナフテン基から選ばれたものであり、R50、R53、R57及びR31は水素であり、R51とR52と並びにR29とR30とは1つ又は2つの窒素原子、1つ又は2つの硫黄原子又は1つ又は2つの酸素原子を含有する5-員複素環を形成し、複素環は任意に置換されてもよく、例えばC1-C6アルキル基及びハロゲンで置換される。
【0134】
特に好ましいポリアセン化合物は化4及び化5である。
【化4】
ここで、R
50、R
53、R
57及びR
31のそれぞれは独立して水素、C
1-C
6アルキル基及びC
1-C
6アルコキシ基から選ばれたものであり(好ましくは、R
50、R
53、R
57及びR
31のそれぞれは独立して水素、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基、より好ましくは、水素、メチル基、プロピル基及びメトキシ基から選ばれたものである)、
R
51、R
52、R
29及びR
30のそれぞれは独立して水素、C
1-C
6アルキル基及びC
1-C
6アルコキシ基から選ばれたものであり、又は、C
4-C
10飽和又は不飽和環を形成するように、各対のR
51及びR
52及び/又はR
29及びR
30は架橋・ブリッジ接続され、該飽和又は不飽和環は酸素原子、硫黄原子又は式-N(R
38)-(ここで、R
38は水素又はC
1-C
10アルキル基である)で示される基により隔てられてもよく、且つ、ポリアセン骨格の1つ以上の炭素原子は任意にN、P、As、O、S、Se及びTeから選ばれたヘテロ原子で置換されてもよく(好ましくは、R
51、R
52、R
29及びR
30のそれぞれは独立して水素、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基、より好ましくは、水素、メチル基、エチル基、プロピル基及びメトキシ基から選ばれたものである)、R
39、R
40及びR
41のそれぞれは独立してC
1-C
6アルキル基及びC
2-C
6アルケニル基から選ばれたものである(好ましくは、R
39、R
40及びR
41のそれぞれは独立してメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、1-プロペニル基及び2-プロペニル基、より好ましくは、エチル基、n-プロピル基及びイソプロピル基から選ばれたものである)。
【化5】
ここで、R
39、R
40及びR
41のそれぞれは独立してC
1-C
6アルキル基及びC
2-C
6アルケニル基から選ばれたものであり(好ましくは、R
39、R
40及びR
41のそれぞれは独立してメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、1-プロペニル基及び2-プロペニル基、より好ましくは、エチル基、n-プロピル基及びイソプロピル基から選ばれたものであり)、
R
42とR
43のそれぞれは独立して水素、ハロゲン、シアノ基、フッ化又は全フッ化されたいかなるC
1-C
20アルキル基、フッ化又は全フッ化されたC
1-C
20アルコキシ基、フッ化又は全フッ化されたC
6-C
30アリール基及びCO
2R
44から選ばれたものであり、R
44は水素、フッ化又は全フッ化されたC
1-C
20アルキル基、又はフッ化又は全フッ化されたC
6-C
30アリール基であり(好ましくは、R
42とR
43のそれぞれは独立してフッ化又は全フッ化されたC
1-C
8アルキル基、フッ化又は全フッ化されたC
1-C
8アルコキシ基及びC
6F
5から選ばれたものである)、
Y
1、Y
2、Y
3及びY
4のそれぞれは独立して-CH=、=CH-、O、S、Se又はNR
45から選ばれたものである(ここで、R
45は水素又はC
1-C
10アルキル基である)。
【0135】
他の好適な実施形態では、本願のポリアセン化合物は化6及び化7の化合物である。
【化6】
【化7】
ここで、R
39、R
40及びR
41のそれぞれは独立してメチル基、エチル基及びイソプロピル基から選ばれたものであり、
R
50、R
51、R
52、R
53、R
57、R
29、R
30及びR
31のそれぞれは独立してC
1-C
6アルキル基、C
1-C
6アルコキシ基及びC
6-C
20アリールオキシ基から選ばれたものである。好ましくは、R
50、R
51、R
52、R
53、R
57、R
29、R
30及びR
31のそれぞれは独立してメチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基から選ばれたものである。
【0136】
ポリアセン化合物は当業者が知るいかなる方法で合成されてもよい。好適な実施形態では、US 2003/01 16755 A、US 3,557,233、US 6,690,029、WO 2007/078993、WO 2008/128618及びOrganic Letters,2004,第6巻第10期第1609-1612ページにおいて開示される方法を用いてポリアセン化合物を合成することができる。
【0137】
好ましくは、ポリアセン化合物は10-1cm2/Vs以上、より好ましくは0.5cm2/Vs以上、ひいてはより好ましくは2cm2/Vs以上のキャリア移動度を有する。好ましくは、ポリアセン化合物は100cm2/Vsより小さいキャリア移動度を有する。ポリアセン電荷移動度は、ドロップキャスト膜又は熱蒸発単結晶膜の電界効果トランジスタを測定することにより決定されてもよい。
【0138】
例えば、適切なポリアセンは1,4,8,11-テトラメチル-6,13-ビス(トリエチルシリルエチニル)ペンタセン(TMTES)である。
【0139】
本願に使用される選択可能な半導体の非重合性多環式化合物は溶液加工又は蒸発により与えられる材料、即ち、ペンタセン、2,7-ジオクチル[1]ベンゾチエノ[3,2-b][1]ベンゾチオフェン(C8-BTBT)、2,9-ジデシルジナフト[2,3-b:2′,3′-f]チオフェン[3,2-b]チオフェン(C10-DNTT)、3,11-ジデシル-ジナフト[2,3-d:2′,3′-d′]ベンゾ[1,2-b:4,5-b′]ジチオフェン(C10-DNBDT)、8,17-ビス((トリイソプロピルシリル)エチニル)テトラセノ[2,1,12-qra]テトラセン(8,17-bis((triisopropylsilyl)ethynyl)tetraceno[2,1,12-qra]tetracene)(化8)、8,17-ビス((ジイソプロピル(オクチル)シリル)エチニル)テトラセノ[2,1,12-qra]テトラセン(化9)を含んでもよい。
【化8】
【化9】
【0140】
適切なn-型小分子は、ナフタレンジイミド(NTCDI)又はペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)、[6,6]-フェニル-C61-酪酸エステル([60]PCBM)及び[6,6]-フェニル-C71-酪酸メチル([70]PCBM)を含んでもよい。
【0141】
成膜及び均等性のために、OSC層は任意に重合接着剤材料を含んでもよい。WO2012160383又はWO2005055248から適切な接着剤材料を見つけることができ、WO2012160383において小分子半導体に結合される高k(誘電率>3.4)接着剤が開示され、WO2005055248において小分子半導体に結合される低k接着剤(1.1<k<3.3)が開示される。
【0142】
有機ゲート絶縁体(OGI)材料
適切なOGI材料は耐溶剤性にするように架橋され得る重合体、又は乳酸エステル及び/又はその誘導体に溶解しない重合体である。好適な重合体の実例は重量部で、30%以上のフッ素を有し、且つフッ化又は全フッ化された溶剤に溶解できる重合体を含む。好適な可溶性無定形含フッ素重合体の実例はCytop(Asahi)、Teflon AF(DuPont)、Hyflon AD(Solvay)、Fluoropel(Cytonix)を含む。フッ化されたOGI層の適切な溶剤は、Fluorinert(商品名)FC43又はフッ化水素エーテルNovec(3M)HFE7500又はHFE7700を含む。
【0143】
OGI材料は化学気相成長、例えばポリ-P-キシレン又は熱蒸発により気相成長することができるが、特に好ましくは溶液加工によりOGIを蒸着する。
【0144】
一実施例では、不活性化層は層間誘電体を提供し、OEデバイス上の金属層、例えば金属ゲート電極をソース電極及び/又はドレイン電極から遮蔽、例えば電気的に遮蔽するように配置される。
【0145】
乳酸エチル
疑問を回避するために、下記発明記述には乳酸エチルが明確に説明され、上記詳細な説明のとおりである。製剤、溶剤及び/又は不活性化材料はOEデバイス及び有機層とともに、該第1態様の説明のとおりであってもよい。
【0146】
一実施例では、溶剤は乳酸エステル及び/又はその誘導体を含む。
【0147】
一実施例では、溶剤は乳酸エステル及び/又はその誘導体を含み、且つ不活性化材料は架橋可能な組成物を含む。
【0148】
一実施例では、溶剤は乳酸エステル及び/又はその誘導体を含み、且つ架橋可能な組成物は単量体前駆体、オリゴマー前駆体及び/又は重合体前駆体を含む。
【0149】
一実施例では、溶剤は乳酸エステル及び/又はその誘導体を含み、且つ単量体前駆体、オリゴマー前駆体及び/又は重合体前駆体はエポキシ基を含む。
【0150】
一実施例では、溶剤は乳酸エステル及び/又はその誘導体を含み、且つ単量体前駆体、オリゴマー前駆体及び/又は重合体前駆体は、アクリレート又はメチルアクリレート繰り返し単位を含む。
【0151】
一実施例では、溶剤は乳酸エステル及び/又はその誘導体を含み、且つ単量体前駆体、オリゴマー前駆体及び/又は重合体前駆体は、チオール-エン又はメルカプト(アルキル)アクリレート反応により架橋可能である。
【0152】
一実施例では、溶剤は乳酸エステル及び/又はその誘導体を含み、且つ単量体前駆体、オリゴマー前駆体及び/又は重合体前駆体は、熱アジド/アルキン環状付加反応により架橋可能である。
【0153】
一実施例では、溶剤は乳酸エステル及び/又はその誘導体を含み、且つ架橋可能な組成物はポリイミドを含む。
【0154】
一実施例では、溶剤は乳酸エステル及び/又はその誘導体を含み、且つ架橋可能な組成物はシクロオレフィン系重合体を含む。
【0155】
一実施例では、溶剤は乳酸エステル及び/又はその誘導体を含み、且つ架橋可能な組成物は置換されたポリ(ビニルフェノール)誘導体を含む。
【0156】
一実施例では、溶剤は乳酸エステル及び/又はその誘導体を含み、且つ製剤は架橋剤、光酸発生剤、硬化剤、抗酸化剤、界面活性剤及びフィラーのうちの少なくとも1つを含む。
【0157】
一実施例では、溶剤は乳酸エステル及び/又はその誘導体及び助溶剤を含む。
【0158】
本願の第2態様は有機層を含む有機電子(OE)デバイスを製造する方法を提供し、有機層は有機半導体(OSC)層及び有機ゲート絶縁体(OGI)層から選ばれたものであり、該方法は、
第1態様に係る製剤を蒸着して溶剤、例えば少なくとも一部の溶剤、基本的にすべての溶剤及び/又はすべての溶剤を除去することにより、有機層の少なくとも一部に不活性化層を提供することを含む。
【0159】
一実施例では、該方法は基板を提供することを含む。基板は例えばガラス、金属、重合体又はICを含んでもよい。基板は基板の表面に設置される選択可能なバッファ層(亜層とも称される)を含んでもよい。バッファ層は更に分極層と称されてもよく、架橋可能な重合体により提供され、前記架橋可能な重合体は、基板表面の欠陥を平滑化することにより表面均等性及び/又は均一性を改善することができ、且つその上でOEデバイスを製造する化学不活性表面を提供することができる。バッファ層は例えばSU-8、架橋アクリレート重合体又は多環式オレフィン系重合体を含んでもよい。選択肢として、基板は例えばポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)を含んでもよく、バッファ層がない場合に前記基板を加工することができる。
【0160】
一実施例では、該方法は、例えば、スパッタリング及びフォトリソグラフィにより基板の表面にソース電極及び/又はドレイン電極を提供することを含む。ソース電極及びドレイン電極は一般的に金属、例えば銀又は金又はそれらの合金、又は非金属である。ソース電極及びドレイン電極は互いに対して様々な潜在的な幾何形状で構築されてもよい。1つの構築方式はCorbino構造であり、ソース電極がドレイン電極を囲んでおり、もう1つの構築方式はC形又はW形である。又は、電極は線形であってもよい。可能な配置例は
図5A~
図5Fに示される。一例では、電極は非Corbino配置で配置され、その理由は例えば表示パネル画素の小さな領域において空間を更に節約するためである。例えば表示パネル画素の電子回路において電極がよりコンパクトに配置されるため、非corbino電極は好適なものである。ソース電極及びドレイン電極の仕事関数を調整するように、ソース電極及びドレイン電極はメルカプタン溶液で処理されてもよい。このような方式によって、電荷をオーバーラップするOSC層に注入することが改善される。過量のメルカプタン溶液は洗い落とされることができ、且つメルカプタンはソース電極及びドレイン電極のみに結合される。
【0161】
一実施例では、該方法は、例えば、スピンコート又は印刷によりソース電極及びドレイン電極上、並びに基板の露出表面上にOSC層を提供することを含む。OSC層は一般的に30nmの厚さを有する。一実施例では、該方法は、例えば、スピンコート又は印刷によりOSC層上にOGI層を提供することを含む。OGI層は一般的に300nmの厚さを有する。金属層、例えば銀又は金又はそれらの合金はその後、例えば蒸発によりOGI層上に蒸着されることができる。フォトレジストはその後、金属層上に(例えば、フォトリソグラフィにより)パターン化されることができ、且つウェットエッチングによりパターン化されたフォトレジストを貫通して露出する一部の金属層を除去することができる。パターン化された金属層はゲート、例えば薄膜トランジスタ(TFT)ゲートを提供することができる。ゲートの幾何形状はソース電極及びドレイン電極の幾何形状によって定義され、ゲート寸法の幅はトランジスタチャネルの幅と同じであり、ゲートの長さはトランジスタチャネルの長さと同じであるとともに、いずれもチャネルの各端のオーバーラップ値を加える。オーバーラップ範囲は0~50マイクロメートル、好ましくは0~10マイクロメートル、より好ましくは0~2マイクロメートル、最も好ましくは0~0.5マイクロメートルである。パターン化された金属層は、耐反応性イオンエッチング(RIE)(ドライエッチングとも称され、例えばO2及び/又はArを使用する)された硬質マスクを提供することができ、それによりその下のOGI層、OSC層並びにソース電極及びドレイン電極をマスキングする。その後、RIEはOGI層及びOSC層のパターン化されていない金属層によりマスキングされる部分を除去することができる。このような方式によって、基板においてパターン化された金属層、OGI層、OSC層並びにソース電極及びドレイン電極を含む積層を提供することができる。理解されるように、積層は一般的に多層構造を説明し、且つ、これにより、より多い又はより少ない及び/又は異なる層を含んでもよい。例えば、積層はOEデバイスを製造する中間段階にあるこれらの層を含んでもよい。例えば、積層は完了したOEデバイスのすべての層を含んでもよい。即ち、積層に含まれる各層は製造期間において層を追加及び/又は除去することにより変化してもよい。従って、OGI層の側面及びOSC層の側面は、例えばRIEにより露出する可能性があり、且つ不適切な溶剤から不利な影響を受けることができる。また、例えば、基板とOSC層との間、OSC層とOGI層との間及び/又はOGI層と金属層との間に層間界面を露出させる可能性もある。以上のように、これらの層間界面は溶剤浸透を経験する可能性があり、それにより不適切な溶剤は他の攻撃担体を提供する。OGI層及び/又はOSC層の他の表面を追加的及び/又は代替的に露出させる可能性がある。
【0162】
一実施例では、該方法は、例えば、本願の例示的な実施形態に係る製剤でコーティングすることにより、積層及び基板の露出表面に不活性化層を提供することを含む。
【0163】
一実施例では、該方法は、不活性化層上にポジ型フォトレジストマスクを提供することを含む。
【0164】
一実施例では、該方法は、ポジ型フォトレジストマスクを貫通するRIEにより不活性化層からパターン化された金属層まで貫通する第1孔又は貫通孔を形成することにより、金属層の少なくとも一部の表面を露出させることを含む。
【0165】
一実施例では、該方法は、残ったフォトレジストマスクを除去することを含む。
【0166】
一実施例では、該方法は、例えば、スパッタリング、マスキング及びエッチングにより、第1孔からパターン化された金属層まで貫通する金属ゲート相互接続を提供することを含む。
【0167】
本願の第3態様は有機電子(OE)デバイスを提供し、前記有機電子(OE)デバイスは有機層と、直接にその上に位置する不活性化層とを含み、有機層は有機半導体(OSC)層及び有機ゲート絶縁体(OGI)層から選ばれたものであり、且つ不活性化層は第1態様に係る架橋可能な組成物の架橋生成物を含む。
【0168】
一実施例では、OEデバイスは有機電界効果トランジスタ(OFET)、例えばボトムゲート型OFET又は、好ましくはトップゲート型OFETからなる群から選ばれたものであり、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機発光ダイオード(OLED)、有機光起電力(OPV)デバイス及び有機光電検出器(OPD)を含むように配置される。
【0169】
一実施例では、有機電界効果トランジスタ(OFET)デバイスは、好ましくは、ソース電極又はドレイン電極のうちの一方は他方を完全に取り囲んでおらず、より好ましくは、ゲート金属とソース電極及びドレイン電極とのオーバーラップは5マイクロメートルより小さい。
【0170】
本願の第4態様は第2態様に基づいて製造した有機電子(OE)デバイス及び/又は第3態様に係るOEデバイスを含む製品を提供する。
【0171】
一実施例では、製品は、集積回路(IC)、無線周波数識別(RFID)タグ、RFIDタグを含むセキュリティマーク又はセキュリティデバイス、フラットパネルディスプレイ(FPD)、FPDバックシート、FPDバックライト、電子撮影装置、電子撮影記録装置、有機記憶装置、センサー、バイオセンサー及びバイオチップからなる群から選ばれたものである。
【0172】
本願の第5態様は流動可能な製剤を提供し、前記流動可能な製剤は光パターン化材料及び溶剤を含み、溶剤は乳酸エステル及び/又はその誘導体を含む。
【0173】
溶剤は第1態様に記載されるとおりであってもよい。光パターン化材料は第1態様において説明した不活性化材料に類似してもよい。
【0174】
本願の第6態様は乳酸エステル及び/又はその誘導体を含む溶剤の、有機層を含む有機電子(OE)デバイスの製造方法における用途を提供し、有機層は有機半導体(OSC)層及び有機ゲート絶縁体(OGI)層から選ばれたものである。
【0175】
溶剤は第1態様に記載されるとおりであってもよい。製造方法は第2態様に記載されるとおりであってもよい。
【0176】
図3A及び
図3Bには本願の各態様の実施形態に係るOEデバイス、特にトップゲート型OFETの製造方法を模式的に示す。一般的に、当業者が知るように、このような製造方法は実際にフォトリソグラフィ加工により実現されてもよい。
【0177】
図1A及び
図1Bを参照して説明した製造方法とは逆に、本願の例示的な実施形態に係る製剤を使用することにより、従来技術における方法の少なくとも1つのステップを省略する。このような方式によって、OEデバイスの製造複雑性及び/又はコストを低減することができる。また、吸湿可能な水溶性重合体、例えばPVAを回避し、それにより本願の例示的な実施形態に基づいて製造したOEデバイスの長期安定性を向上させる。また、使用される製剤は「グリーン」溶剤を含み、それにより製剤の環境状況を改善する。
【0178】
S301において、上記S101に記載されるように、基板310を提供する。基板310は例えばガラス、金属、重合体又はICを含んでもよい。基板310は基板310の表面に設置される選択可能なバッファ層(亜層とも称される)を含んでもよい。バッファ層は更に平坦化層と称されてもよく、架橋可能な重合体により提供され、基板表面の欠陥を平滑化することにより表面均等性及び/又は均一性を改善することができ、且つその上でOEデバイスを製造する化学不活性表面を提供することができる。バッファ層は例えば架橋アクリレート重合体又は多環式オレフィン系重合体を含んでもよい。選択肢として、基板310は例えばポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)を含んでもよく、バッファ層がない場合に前記基板を加工することができる。
【0179】
S302において、上記S102に記載されるように、例えば、スパッタリング及びフォトリソグラフィにより(マスク1を使用する)基板310の表面にソース電極及びドレイン電極320を提供する。ソース電極及びドレイン電極320は一般的に金属、例えば銀又は金又はそれらの合金、又は非金属である。ソース電極及びドレイン電極320の仕事関数を調整するように、ソース電極及びドレイン電極320はメルカプタン溶液で処理されてもよい。このような方式によって、電荷をオーバーラップするOSC層に注入することが改善される。過量のメルカプタン溶液は洗い落とされることができ、且つメルカプタンはソース電極及びドレイン電極320のみに結合される。
【0180】
S303において、上記S103に記載されるように、まず、例えば、スピンコート又は印刷によってソース電極及びドレイン電極320の上、並びに基板310の露出表面上にOSC層330を提供する。OSC層330は一般的に30nmの厚さを有する。その後、例えば、スピンコート又は印刷によってOSC層330上にOGI層340を提供する。OGI層340は一般的に300nmの厚さを有する。金属層350、例えば銀又は金又はそれらの合金はその後、例えば蒸発によりOGI層340上に蒸着される。フォトレジスト(図示せず)はその後、金属層350上に(例えば、フォトリソグラフィにより)パターン化され、且つウェットエッチングによりパターン化されたフォトレジストを貫通して露出する一部の金属層350を除去する。パターン化された金属層350はゲート、例えば薄膜トランジスタ(TFT)ゲートを提供する。パターン化された金属層350は更に耐反応性イオンエッチング(RIE)(ドライエッチングとも称され、例えばO2及び/又はArを使用する)された硬質マスク(マスク2)を提供し、それによりその下のOGI層340、OSC層330並びにソース電極及びドレイン電極320をマスキングする。その後、RIEはパターン化されていない金属層350によりマスキングされる一部のOGI層340及びOSC層330を除去する。このような方式によって、基板310においてパターン化された金属層350、OGI層340、OSC層330並びにソース電極及びドレイン電極320を含む積層300を提供する。理解されるように、積層300は一般的に多層構造を説明し、且つ、これにより、より多い又はより少ない及び/又は異なる層を含んでもよい。例えば、積層300はOEデバイスを製造する中間段階にあるこれらの層を含んでもよい。例えば、積層300は完了したOEデバイスのすべての層を含んでもよい。即ち、積層300に含まれる各層は製造期間において層を追加及び/又は除去することにより変化してもよい。これにより、OGI層340の側面341及びOSC層330の側面331は、例えばRIEにより露出する可能性があり、且つ不適切な溶剤から不利な影響を受ける可能性がある。また、例えば、基板310とOSC層330との間、OSC層330とOGI層340との間及び/又はOGI層340と金属層150との間に層間界面を露出させる可能性もある。以上のように、これらの層間界面は溶剤浸透を経験する可能性があり、それにより不適切な溶剤は他の攻撃担体を提供する。OGI層340及び/又はOSC層330の他の表面を追加的及び/又は代替的に露出させる可能性がある。
【0181】
S304において、上記S104に記載されることとは逆に、不活性化層360は例えば本願の例示的な実施形態に係る製剤でコーティングすることにより、積層300及び基板310の露出表面に設置される。
【0182】
具体的に、該製剤は不活性化材料及び溶剤を含み、溶剤は乳酸エステル及び/又はその誘導体を含む。該実施例では、不活性化材料は架橋可能な組成物、例えばビスフェノールAフェノールホルムアルデヒドエポキシ樹脂を含み、且つ溶剤は乳酸エチルを含む。該実施例では、不活性化材料を溶剤に溶解する。
【0183】
本願の例示的な実施形態に基づいて、
図1A及び
図1Bを参照して説明した上記原因で第1不活性化層180及び第2不活性化層190を必要とする通常の製造方法とは逆に、単一の不活性化層360のみを必要とする。単一の不活性化層360は製造されたOEデバイスに環境、化学及び/又は物理的保護を提供するために必要なロバスト性を提供し、上記の第1不活性化層180も必要とする第2不活性化層190に類似する。このような方式によって、OEデバイスの製造複雑性及び/又はコストを低減することができる。また、吸湿可能な水溶性重合体、例えばPVAを回避し、それにより本願の例示的な実施形態に基づいて製造したOEデバイスの長期安定性を向上させる。
【0184】
この実施例では、不活性化材料はUVにより架橋される。不活性化層360は一般的に300nm~2000nmの厚さを有する。
【0185】
S305において、不活性化層360上にポジ型フォトレジストマスク361(マスク3)を提供し、
図1A及び
図1Bを参照してS105において説明したことに類似する。
【0186】
S306において、不活性化層360からパターン化された金属層350まで貫通する第1孔又は貫通孔を形成し、RIEがポジ型フォトレジストマスク361を貫通することにより、金属層350の表面の少なくとも一部を露出させ、
図1A及び
図1Bを参照してS106において説明したことに類似する。
【0187】
S307において、
図1A及び
図1Bを参照してS107において説明したことに類似し、残ったフォトレジストマスク381を除去する。
【0188】
例えば、
図1A及び
図1Bを参照してS108において説明したように、単一の不活性化層360のみを必要とするため、第2不活性化層を提供する必要がない。このような方式によって、OEデバイスの製造複雑性及び/又はコストを低減することができる。また、吸湿可能な水溶性重合体、例えばPVAを回避し、それにより本願の例示的な実施形態に基づいて製造したOEデバイスの長期安定性を向上させる。また、使用される製剤は「グリーン」溶剤を含み、それにより製剤の環境状況を改善する。
【0189】
S309において、
図1A及び
図1Bを参照してS107において説明したことに類似し、例えば、スパッタリング、マスキング(マスク4)及びエッチングにより、第1孔を介してパターン化された金属層350に金属ゲート相互接続370を提供する。
【0190】
このような方式によって、単一の不活性化層360を有するOEデバイスを提供することができる。
【0191】
従って、
図1A及び
図1Bを参照して説明した通常のプロセスとは逆に、単一の不活性化層360のみを必要とする。また、水溶性重合体を回避する。また、使用される製剤は「グリーン」溶剤を含む。また、OEデバイスの該製造方法に基づいて、4つのマスク(マスク1~マスク4)のみを必要とし、5つのマスクを必要とする通常のプロセスと異なる。
【0192】
図4には本願の各態様の実施形態に係る他のOEデバイスの製造方法を模式的に示す。一般的に、当業者が知るように、このような製造方法は実際にフォトリソグラフィ加工により実現されてもよい。
【0193】
図1A及び
図1Bを参照して説明した製造方法とは逆に、本願の例示的な実施形態に係る製剤を使用することにより、従来技術における方法の少なくとも1つのステップを省略する。このような方式によって、OEデバイスの製造複雑性及び/又はコストを低減することができる。また、吸湿可能な水溶性重合体、例えばPVAを回避し、それにより本願の例示的な実施例に基づいて製造したOEデバイスの長期安定性を向上させる。
【0194】
S401において、上記S101に記載されるように、基板410を提供する。基板410は例えばガラス、金属、重合体又はICを含んでもよい。基板410は基板410の表面に設置される選択可能なバッファ層を含んでもよい。バッファ層は更に平坦化層と称されてもよく、架橋可能な重合体により提供され、基板表面の欠陥を平滑化することにより表面均等性及び/又は均一性を改善することができ、且つその上でOEデバイスを製造する化学不活性表面を提供することができる。
【0195】
S402において、上記S103に記載されるように、まず、例えば、スピンコート又は印刷により基板410の露出表面上にOSC層430を提供する。OSC層430は一般的に30nmの厚さを有する。
【0196】
S403において、例えば、その後、スピンコート又は印刷によりOSC層430上にOGI層440を提供する。OGI層440は一般的に300nmの厚さを有する。このような方式によって、基板410においてOGI層440及びOSC層430を含む積層400を提供する。理解されるように、積層400は一般的に多層構造を説明し、且つ、これにより、より多い又はより少ない及び/又は異なる層を含んでもよい。例えば、積層400はOEデバイスを製造する中間段階にあるこれらの層を含んでもよい。例えば、積層400は完了したOEデバイスのすべての層を含んでもよい。即ち、積層400に含まれる各層は製造期間において層を追加及び/又は除去することにより変化してもよい。これにより、OGI層440の側面441及びOSC層430の側面431は例えばRIEにより露出する可能性があり、且つ不適切な溶剤から不利な影響を受ける可能性がある。また、例えば、基板410とOSC層430との間及び/又はOSC層430とOGI層440との間に、層間界面を露出させる可能性もある。以上のように、これらの層間界面は溶剤浸透を経験する可能性があり、それにより不適切な溶剤は他の攻撃担体を提供する。OGI層440及び/又はOSC層430の他の表面を追加的及び/又は代替的に露出させる可能性がある。
【0197】
S404において、例えば、本願の例示的な実施形態に係る製剤でコーティングすることにより、積層400及び基板410の露出表面に不活性化層460を提供する。
【0198】
上記S304において説明したように、不活性化層460を提供することができる。
【0199】
具体的に、該製剤は不活性化材料及び溶剤を含み、溶剤は乳酸エステル及び/又はその誘導体を含む。
【0200】
本願の例示的な実施形態に基づいて、
図1A及び
図1Bを参照して説明した上記原因で第1不活性化層180及び第2不活性化層190を必要とする通常の製造方法とは逆に、単一の不活性化層460のみを必要とする。単一の不活性化層460は製造されたOEデバイスに環境、化学及び/又は物理的保護を提供するために必要なロバスト性を提供し、上記の第1不活性化層180も必要とする第2不活性化層190に類似する。このような方式によって、OEデバイスの製造複雑性及び/又はコストを低減することができる。また、吸湿可能な水溶性重合体、例えばPVAを回避し、それにより本願の例示的な実施形態に基づいて製造したOEデバイスの長期安定性を向上させる。
【0201】
例えば、
図1A及び
図1Bを参照してS108において説明したように、単一の不活性化層460のみを必要とするため、第2不活性化層を提供する必要がない。このような方式によって、OEデバイスの製造複雑性及び/又はコストを低減することができる。また、吸湿可能な水溶性重合体、例えばPVAを回避し、それにより本願の例示的な実施例に基づいて製造したOEデバイスの長期安定性を向上させる。
【0202】
このような方式によって、単一の不活性化層460を有するOEデバイスを提供することができる。
【0203】
図5A~
図5Fには有機薄膜トランジスタ(OTFT)の一連の異なるソース電極及びドレイン電極構造を示す。
図5AにはCorbino構造の設計を示し、ドレイン電極502はソース電極501で取り囲まれ、その中にOTFTチャネル503を有する。有機ゲート絶縁体(OGI)層及び有機半導体(OSC)層がドライエッチングされた後、このような特別なOTFT設計はチャネルの一部を不活性化層溶剤に露出させることがなく、従って、不活性化層溶剤タイプに敏感ではない。ところが、下向きにドレイン電極までの貫通孔を形成する必要があるため、実現できる最も小さいOTFTの全体寸法が制限される。
図5B~
図5Fはソース電極501、ドレイン電極502及びチャネル503を有する線形OTFTのすべての設計である。
図5Fにはゲート金属504を示す。分かるように、ゲート金属を使用して有機ゲート絶縁体(OGI)層及び有機半導体(OSC)層をパターン化する場合、交差指型デバイスの各OTFTチャネル指状図形の末端には、不活性化層溶剤に直接接触する領域が存在する。該領域は505としてマーキングされ、OTFTチャネル指状図形の1つである。該特定の設計において、OTFTチャネル指状末端をマーキングした領域が合計して12個ある。
【0204】
実施例1
実施例1はOTFTデバイスの製造に関し、SU-8重合体の乳酸エチル溶剤における不活性化製剤を含む。
【0205】
10cm×10cmガラス基板(Corning Eagle XG)は、Deconex(水中3%w/w)において20分間持続的に超音波処理され、その後、超純水で水洗いして清浄して圧縮空気により乾燥される。基板を対流炉において70℃で30分間持続的にベーキングする。次に、バッファ層(亜層とも称される)としての熱架橋可能な重合体(P11)(NeuDrive Ltdからのものであり、一般に利用可能である)で基板をスピンコートする。スピンコート後、まず、基板を95℃の熱板に置いて2分間持続的にソフトベーキングし、次に、150℃で60分間持続的にベーキングする。測定されたP11層の最終的な厚さは1マイクロメートルである。
【0206】
P11亜層を製造した後、50nmのAuで基板をスパッタリングコーティングし、次に、フォトリソグラフィ及びウェットエッチング技術(エッチング剤組成物:水中のヨウ化カリウム及びヨウ素)の組み合わせでソース電極及びドレイン電極を製造する。線形交差指型設計はソース電極及びドレイン電極に使用され、異なるトランジスタチャネルの幅及び長さを有する。UVフラッシュ露光及びスピンコート現像により、ソース電極及びドレイン電極から残ったフォトリソグラフィレジストを接触的に除去した後、光学顕微鏡により基板を検査して、基板のいくつかの領域においてチャネル長さ特徴(channel length feature)を測定する。
【0207】
有機薄膜トランジスタ(OTFT)の製造を行う前に、Ar/O2プラズマを使用して、Plasma Etch Inc.PE100表面処理システムにおいて基板を処理する。50sccmの濃度及び250WのRF電力で各種類のガスを65s持続的に供給する。
【0208】
有機半導体(OSC)をスピンコートする前に、3-フルオロ-4-メトキシチオフェノールの2-プロピルアルコールにおける10mM溶液を電極の表面に1分間持続的に与え、その後、2-プロピルアルコールで(2回)水洗いし、その後、100℃の熱板で1分間持続的に乾燥させる。例えば、WO 2012/160383の実施例5に記載されるように、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンにおいて、重量部で、1部のTM-TESと2部の接着剤の比率で、9:1(重量比)の1,2,3,4-テトラリンとイソプロパノールとからなる混合溶剤システムにおいて、1,4,8,11-テトラメチルビストリエチルシリルアセチレンペンタセン(TM-TES)及び30:70の4-イソプロピルシアノポリトリアリールアミン(PTAA):2,4-ジメチルポリトリアリールアミン共重合体(接着剤)のOSC製剤を調製する。次に、1250rpmにおいて1分間持続するように設定されるSuss RC12スピンナを使用して、1250rpmにおいて60秒間持続的にスピンコートすることにより該OSC製剤をSD電極に塗布し、次に、熱板において100℃で60秒間持続的にベーキングする。有機ゲート絶縁体(OGI)層については、1500rpmにおいて1部のCytop 809M(Asahi Glass)と2部のFC43溶剤(Acros Organics)の溶液を20秒持続的にスピンコートして、サンプルを熱板において100℃で60秒間持続的にベーキングし、有機ゲート絶縁体(OGI)層の厚さは160nmである。
【0209】
次に、熱蒸発によって50nmのAuで基板をコーティングし、且つ、以上のように、フォトリソグラフィ及びウェットエッチングの組み合わせでゲートをパターン化する。その後、UVフラッシュ露光及び現像により、Au上のフォトレジストを除去する。
【0210】
OSC層をパターン化するようにドライエッチングする
ここで不活性化層製剤の実例を提供し、2.5gのEPON-SU-8基礎重合体(即ち、架橋可能な組成物を含む不活性化材料であり、架橋可能な組成物はエポキシ基の重合前駆体を含む)及び17gの乳酸エチルを含有する。該不活性化層は更に0.5gのトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート溶液(プロピレンカーボネートにおいて、質量で50%溶液)を架橋剤として含有する。即ち、該不活性化製剤の溶剤は、17g乳酸エチル及び0.25gプロピレンカーボネートを共溶剤として含む。
【0211】
乳酸エチルにおけるSU-8及び光開始剤の製剤を500rpmで10秒間スピンコートし、次に1250rpmで30秒間スピンコートし、次に95℃で熱板において2分間ベーキングすることにより、乾燥膜を形成する。不活性化層の溶剤がOSC/OGI/ゲート層に影響しないように確保するために、顕微鏡によりサンプルを検査する。次に、膜をUV光に露出するように、Tamarackマスクアライメント露光装置を使用して膜層をUV(広帯域g、h、I線、露光量1000mJ)に露出する。次に、115℃でそれを5分間ベーキングする。1.8マイクロメートルShipley S1805フォトレジストを表面にスピンコートして、115℃で1分間ベーキングする。下層金属図形において貫通孔をパターン化して、84mJの露光量を使用するように確保するために、ビアマスク(VI A MASK、暗視野マスクである)と第1金属層を位置合わせる(EVG6200マスクアライメント露光装置を使用する)。露光後、フォトレジスト現像を行って特徴図形を検査する。Aurion RIEシステムを使用して、反応イオンエッチング(RIE)によりフォトレジストの貫通孔形状をSU8膜に転送する。ドライエッチングプロセスは圧力が0.07hPaであり、電力が730Wであり、プロセス時間が260sであり、O2流量が100sccmであり、Ar流量が40sccmであり、CF4流量が10sccmである。光学顕微鏡によりビアを検査した後、投光露光及び現像により残ったフォトレジストを除去する。
【0212】
次に、金属スパッタリングにより50nmのAuを上記表面に蒸着して、フォトリソグラフィ及びウェットエッチングによって該金属層をパターン化することにより、貫通孔構造の頂部金属図形を形成する。
【0213】
比較例-Cyrene溶剤においてSU8を使用する不活性化層
SU8製剤を製造し、2.5gのEPON-SU-8基礎重合体(即ち、架橋可能な組成物を含む不活性化材料であり、架橋可能な組成物はエポキシ基含有の重合前駆体を含む)、15.3gのCyrene及び1.7gのヘキサノールを含有する。不活性化製剤は更に0.5gのトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート溶液(プロピレンカーボネートにおいて、質量で50%溶液)を架橋剤として含有する。
【0214】
OTFT特性評価
OTFTはWentworth Pegasus 300S半自動プローブステーションをKeithley S4200半導体パラメータ分析器とともに使用してテストする。これは、各基板において統計的に数が顕著であるOTFTデバイスの測定を行うことが許容される。Keithleyシステムは下記等式に基づいて線形移動度を計算する。
【数1】
ここで、Lはトランジスタの長さであり、Wはトランジスタの幅であり、I
DSはドレイン電極からソース電極までの電流であり、C
iは単位面積当たりの誘電容量である。V
DS(ドレインソース電圧)を-2Vとして設定し、V
GS(ゲート電圧)は消耗し尽くすから累積に変化する(+20V~-29V、1Vをステップ幅とする)。報告した移動度値は、各トランジスタの累積の5つの最高点の平均値である。下記表示しているチャネル長さのデータを報告して、測定されたデバイスの平均値として表示する。ゲート漏れを有するデバイスを排除するために、-2VのV
DS、ゲート電流とソース電極-ドレイン電流との比率は高くともV
GS値として設定される。該比率が10より小さい(即ち、ゲート電流がソースドレイン電流の10%より大きい)場合、デバイスは結果以外に排除される。移動度値の標準偏差は平均値の百分率として報告される。トランジスタのオン電圧(V
to)は、ドレイン電流のゲート電圧に対する対数の導関数が最も大きいゲート電圧点として定義される。それは、デバイスがオフ状態からオン状態に切り替えられる遷移点を示す。オン/オフ比は最大累積電流(V
g=-29V)を消耗し尽くす際のオフ電流で割るように定義される。サブ閾値振幅Sは、ドレイン電流を1つのレベル変化させるために必要なゲート電圧の数値として定義される。
【0215】
結果
乳酸エチルをSU8不活性化層の溶剤として使用して製造したOTFTの電気テスト結果は下記表に示される。4゛四角形基板において同じ設計のトランジスタを4組製造して、テストする。トランジスタは線形交差型チャネル設計を用いる。
【表8】
【0216】
結果によれば、乳酸エチルをSU8不活性化層の溶剤として使用することにより、低導通電圧を有する高性能の線形ソース電極ドレイン電極OTFTを製造することができる。
図6A及び
図6Bには、該基板からの第4組のデバイスの転送特性及び移動度曲線をそれぞれ示す(各図において11個のデバイスの結果を描く)。
【0217】
実施例2
一連の異なるチャネル幅のトランジスタ設計を使用して、更なるデバイスのテスト結果を取得し、乳酸エチルをSU8不活性化層の溶剤として使用する。この組のデバイスにおいて、有機ゲート絶縁体(OGI)層の厚さは300nmであり、有機ゲート絶縁体(OGI)層及び有機半導体(OSC)層のエッチング時間は60sである。
【0218】
結果は下記表に示され、転送特性及び移動度曲線はそれぞれ
図6C及び
図6Dに示される。
【表9】
【0219】
実施例3(比較実験)
溶剤混合物Cyrene及びヘキサノール(9:1重量比)を含有する不活性化層製剤でコーティングされた不活性化層のデバイス比較データを取得し、実施例2と同じ固体含有量及び架橋製剤を使用する。下記表に示される移動度は実施例2の結果とほぼ同じであるが、
図7Aにおける転送特性曲線は著しく低減する性能--サブ閾値スロープ及び低電流オン/オフ比を示す。
【表10】
【0220】
要するに、本願は不活性化層及び/又は光パターン化層を製造するための製剤を提供し、有機電子デバイスを製造することに用いられ、前記層は有機層に不利な影響を与えることなく、直接に例えば有機層上、例えば有機ゲート絶縁体(OGI)層及び有機半導体(OSC)層及び/又は1つ又は複数のこれらの層を含む積層上に製造されてもよい。該製剤は乳酸エステル及び/又はその誘導体の溶剤を含む。また、本願はこのような製剤で有機電子デバイスを製造する方法を提供し、デバイスの複雑性及びコストを低減することができる。また、本願は有機電子デバイスを提供し、このような製剤で製造された不活性化層及び/又は光パターン化層を含み、より優れた長期安定性を有する。
【0221】
好適な実施形態を図示して説明したが、当業者であれば理解されるように、添付の特許請求の範囲において定義された本願の範囲を逸脱せずに、種々の変更や修正を行うことができる。例えば、円形孔に対応するように、四角形孔に対応する四角形パッド及びフレームは円形パッド及びフレームに修正されてもよい。例えば、隙間を孔の外側及び近傍に設置することなく、孔内に設置することができる。
【0222】
本明細書と同時に提出した、又は本明細書の前に提出した本願に関わって本明細書を一般に公開するすべての論文及び文献に注意力を集中し、且つすべてのこのような論文及び文献の内容は援用により本明細書に取り込まれる。
【0223】
このような特徴及び/又はステップにおける少なくともいくつかの互いに排斥する組み合わせ以外に、本明細書に開示されるすべての特徴(いかなる添付の特許請求の範囲及び図面)及び/又はこのように開示されるいかなる方法又は過程のすべてのステップはいかなる組み合わせで組み合わせられてもよい。
【0224】
明確に陳述しない限り、本明細書(いかなる添付の特許請求の範囲及び図面を含む)に開示される各特徴は同様、等価又は類似の目的の選択可能な特徴で代替されてもよい。従って、明確に陳述しない限り、開示される各特徴は一連の汎用の等価又は類似の特徴の一実例に過ぎない。
【0225】
本願は上記実施形態の詳細に限らない。本願は本明細書に開示される特徴のいかなる新しい特徴又はいかなる新しい組み合わせ(いかなる添付の特許請求の範囲及び図面を含む)、又はこのように開示されるいかなる方法又は過程のステップのいかなる新しいステップ又はいかなる新しい組み合わせに拡張される。
【0226】
本開示の内容は本願の実施例の原則の例であって、本願をいかなる形式で制限し又は本質的に制限するもの、又は本願を具体的な実施形態に制限するものではない。当業者であれば、上記本願の実施例、技術案、例えば特許請求の範囲において定義された原理、趣旨や範囲を逸脱せずに、本願の実施例の技術案の要素、方法及びシステム等に対して変更、変化、修正、発展を行うことができる。これらの変更、変化、修正、発展を行った実施形態はいずれも本願の等価実施例に含まれており、これらの等価実施例はいずれも本願の特許請求の範囲により制限される範囲内に含まれる。多くの異なる形式で本願の実施例を具体化することができるが、ここで詳しく説明されるのは本願のいくつかの実施形態である。また、本願の実施例はここで記載される様々な実施形態の一部又は全部の任意の可能な組み合わせを含み、本願の特許請求の範囲により制限される範囲内にも含まれる。本願又はいかなる援用される特許、援用される特許出願又は他の援用される資料のいかなる箇所で言及したすべての特許、特許出願及び他の援用される資料の全ての内容が援用により本願に取り込まれる。
【0227】
上記開示内容は網羅的ではなく説明的なものである。当業者にとっては、本明細書に多くの変更や選択可能な解決手段が暗示される。すべてのこれらの選択可能な解決手段及び変更は本特許請求の範囲内に含まれるように意図されるものであり、用語「含む」とは「〇〇を含むが、それらに限らない」ことを意味する。
【0228】
ここで本願の選択可能な実施形態の説明は完了する。当業者であれば、ここで記載される実施形態の他の等価置換を理解することができ、これらの等価置換は添付の特許請求の範囲にも含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2021-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0131
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0131】
適切な半導体の非重合性多環式化合物の実施例はポリアセンを含む。WO2012/164282において適切なポリアセンが開示される。例えば、適切なポリアセンは化3に示される構造式を有してもよい。
【化3】
ここで、R
54、R
56、R
32及びR
34のそれぞれは水素であり、R
55及びR
33のそれぞれは-C≡C-SiR
35R
36R
37であり、R
35、R
36及びR
37のそれぞれは独立してC
1-C
4アルキル基、C
2-C
4アルケニル基及びC
3-C
6ナフテン基から選ばれたものであり、R
50、R
51、R
52、R
53、R
57、R
29、R
30及びR
31のそれぞれは独立して水素、C
1-C
4アルキル基、C
1-C
6アルコキシ基及びC
6-C
12アリールオキシ基から選ばれたものであり、又は、C
4-C
10飽和又は不飽和環を形成するように、各対のR
51及びR
52及び/又はR
29及びR
30は独立して架橋・ブリッジ接続されてもよく、該飽和又は不飽和環は酸素原子、硫黄原子又は式-N(R
49)-(ここで、R
49は水素原子、C
1-C
6アルキル基又はC
1-C
10パーフルオロアルキル基である)で示される基間隔であり、
kとIは独立して0又は1であり、kとIはいずれも1であり、又はkとIはいずれも0であることが好ましい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0134
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0134】
特に好ましいポリアセン化合物は化4及び化5である。
【化4】
ここで、R
50、R
53、R
57及びR
31のそれぞれは独立して水素、C
1-C
6アルキル基及びC
1-C
6アルコキシ基から選ばれたものであり(好ましくは、R
50、R
53、R
57及びR
31のそれぞれは独立して水素、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基、より好ましくは、水素、メチル基、プロピル基及びメトキシ基から選ばれたものである)、
R
51、R
52、R
29及びR
30のそれぞれは独立して水素、C
1-C
6アルキル基及びC
1-C
6アルコキシ基から選ばれたものであり、又は、C
4-C
10飽和又は不飽和環を形成するように、各対のR
51及びR
52及び/又はR
29及びR
30は架橋・ブリッジ接続され、該飽和又は不飽和環は酸素原子、硫黄原子又は式-N(R
38)-(ここで、R
38は水素又はC
1-C
10アルキル基である)で示される基により隔てられてもよく、且つ、ポリアセン骨格の1つ以上の炭素原子は任意にN、P、As、O、S、Se及びTeから選ばれたヘテロ原子で置換されてもよく(好ましくは、R
51、R
52、R
29及びR
30のそれぞれは独立して水素、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基、より好ましくは、水素、メチル基、エチル基、プロピル基及びメトキシ基から選ばれたものである)、R
39、R
40及びR
41のそれぞれは独立してC
1-C
6アルキル基及びC
2-C
6アルケニル基から選ばれたものである(好ましくは、R
39、R
40及びR
41のそれぞれは独立してメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、1-プロペニル基及び2-プロペニル基、より好ましくは、エチル基、n-プロピル基及びイソプロピル基から選ばれたものである)。
【化5】
ここで、R
39、R
40及びR
41のそれぞれは独立してC
1-C
6アルキル基及びC
2-C
6アルケニル基から選ばれたものであり(好ましくは、R
39、R
40及びR
41のそれぞれは独立してメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、1-プロペニル基及び2-プロペニル基、より好ましくは、エチル基、n-プロピル基及びイソプロピル基から選ばれたものであり)、
R
42とR
43のそれぞれは独立して水素、ハロゲン、シアノ基、フッ化又は全フッ化されたいかなるC
1-C
20アルキル基、フッ化又は全フッ化されたC
1-C
20アルコキシ基、フッ化又は全フッ化されたC
6-C
30アリール基及びCO
2R
44から選ばれたものであり、R
44は水素、フッ化又は全フッ化されたC
1-C
20アルキル基、又はフッ化又は全フッ化されたC
6-C
30アリール基であり(好ましくは、R
42とR
43のそれぞれは独立してフッ化又は全フッ化されたC
1-C
8アルキル基、フッ化又は全フッ化されたC
1-C
8アルコキシ基及びC
6F
5から選ばれたものである)、
Y
1、Y
2、Y
3及びY
4のそれぞれは独立して-CH=、=CH-、O、S、Se又はNR
45から選ばれたものである(ここで、R
45は水素又はC
1-C
10アルキル基である)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0135
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0135】
他の好適な実施形態では、本願のポリアセン化合物は化6及び化7の化合物である。
【化6】
【化7】
ここで、R
39、R
40及びR
41のそれぞれは独立してメチル基、エチル基及びイソプロピル基から選ばれたものであり、
R
50、R
51、R
52、R
53、R
57、R
29、R
30及びR
31のそれぞれは独立してC
1-C
6アルキル基、C
1-C
6アルコキシ基及びC
6-C
20アリールオキシ基から選ばれたものである。好ましくは、R
50、R
51、R
52、R
53、R
57、R
29、R
30及びR
31のそれぞれは独立してメチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基から選ばれたものである。
【国際調査報告】