(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-08
(54)【発明の名称】構造物施工方法
(51)【国際特許分類】
E02D 29/05 20060101AFI20220228BHJP
E02D 29/055 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
E02D29/05 A
E02D29/055
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539593
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(85)【翻訳文提出日】2021-07-06
(86)【国際出願番号】 KR2019013075
(87)【国際公開番号】W WO2020145483
(87)【国際公開日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】10-2019-0001641
(32)【優先日】2019-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521297668
【氏名又は名称】コリア エンジニアリング アンド コンストラクション カンパニ―,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】KOREA ENGINEERING & CONSTRUCTION CO. LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】521297679
【氏名又は名称】キム,ジュン スン
【氏名又は名称原語表記】KIM, Jun Seoung
(71)【出願人】
【識別番号】521297680
【氏名又は名称】ピョン,ス ミン
【氏名又は名称原語表記】BYUN, Su Min
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジュン スン
(72)【発明者】
【氏名】ピョン,ス ミン
【テーマコード(参考)】
2D147
【Fターム(参考)】
2D147AA05
2D147AB04
2D147AC01
2D147CA04
2D147CA05
2D147CA10
(57)【要約】
本発明は構造物を施工する方法において、地下構造物を地盤上部で施工し、地盤内部に沈下させて施工する構造物施工方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下構造物を地盤上部で施工し、地盤内部に沈下させて施工する構造物施工方法において、
前記構造物施工方法は、
A)基礎板(10)及びファイル(20)を施工するステップと、
B)ジャックダウン装置の設置及び地階構造物の施工ステップと
C)基礎板(10)下部掘削及び地下構造物沈下ステップと
D)ジャックダウン装置の解体及びファイル(20)の定着ステップとを含み、
前記ジャックダウン装置は前記基礎板(10)の上部に設置されて、前記ジャックダウン装置の力を調節することにより前記地下構造物の沈下量を制御することができ、
前記基礎板(10)下部の掘削と地下構造物の沈下が並行して行われることができるようにすることを特徴とする、構造物施工方法。
【請求項2】
地下構造物を地盤上部で施工し、地盤内部に沈下させて施工する構造物施工方法において、
前記構造物施工方法は、
a)外郭基礎板(50)及びファイル(20)を施工するステップと、
b)ジャックダウン装置を設置するステップと、
c)外郭基礎板(50)下部掘削及び沈下ステップと、
d)ジャックダウン装置解体及びファイル(20)定着ステップと、を含み、
前記ジャックダウン装置は前記外郭基礎板(50)の上部に設置されて、前記ジャックダウン装置の力を調節することにより前記地下構造物の沈下量を制御することができ、
前記外郭基礎板(50)下部の掘削と地下構造物の沈下が並行して行われることができるようにすることを特徴とする構造物施工方法。
【請求項3】
前記沈下は地下構造物の自重によって行われることを特徴とする請求項1または2に記載の構造物施工方法。
【請求項4】
前記沈下は地下構造物の自重に加えて、追加外力によって行われることを特徴とする請求項1または2に記載の構造物施工方法。
【請求項5】
前記追加外力は、前記地下構造物に臨時荷重を載荷して荷重を増加させる方法と
地盤の中に設置したロックアンカー(rock anchor)またはアースアンカー(earth anchor)を用いる方法と、
地盤の中に設置したファイルの周面摩擦力を利用する方法と、の中の何れか一つの方法によって発生することを特徴とする請求項4に記載の構造物施工方法。
【請求項6】
前記掘削は、
掘削装備を用いる方法と、
ウォータージェット(water jet)を用いる方法と、
地盤の土砂を吸入して排出する方法と、の中の何れか一つの方法によって行われることを特徴とする請求項1または2に記載の構造物施工方法。
【請求項7】
前記D)ステップ後に基礎板(10)及びファイル(20)の上部に追加基礎板を施工するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の構造物施工方法。
【請求項8】
前記d)ステップ後に外郭基礎板(50)及びファイル(20)の上部に追加基礎板を施工するステップをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の構造物施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は構造物施工方法に関し、特に、構造物の中で地下に設置される地下構造物を地下で施工するのではなく地盤の上で施工して地盤の下に沈下させる方法による施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地下水位が高かったり弱い地盤に地階を施工する場合には地下水の流出によって隣接するトンネル、ボックス構造物、地下鉄などの地下構造物だけでなく、地上構造物に深刻な損傷を誘発する虞がある。
【0003】
所定の深さ以上を掘削する場合には、施工前に掘土審議などを通じて隣接構造物の安全性有無を一部確認している。しかしながら、実際施工の際には、土留め施設の崩壊による人命事故も頻繁に発生している。また、隣接構造物や道路などに割れ目や不等沈下、シンクホールなどが発生されている。
【0004】
さらに、最近には掘土審議対象ではない掘削深さが比較的深くない掘削現場でも土留め施設の崩壊または地下水の流出によって隣接建築物が崩壊されることが発生している。このように、都心地での地下構造物の施工のための掘削は非常に難しい作業である。従って、より安全で安定的な地下構造物施工のための掘削及び構造物の施工方法が要求される。
【0005】
一般的に用いている地下掘削後に施工する地下構造物を
図1に示す。
図1に示すように、従来の施工方法は地下土砂を掘削した後に地下構造物を施工する方法である。即ち、敷地境界線に隣接して土留め壁500を設置し、掘削地域にセンターファイル700を設置する。その後、掘削とストラット600の設置を繰り返して地下掘削を完了する。そして、基礎、擁壁、地階などを施工しながらストラット600とセンターファイル700を除去して地下構造物を完成する。
【0006】
掘削する方法には多様な工法がある。地盤の条件によって土留め施工法も多様な方法が適用されており、地下水位の位置によって多様な遮水工法が適用されている。掘削が完了された後に地下構造物を施工する。または土留め仮設構造物を施工しながら構造物を上部から下部に施工するトップダウン方法を用いたりする。
【0007】
掘削した後に構造物を施工する従来の地下構造物施工方法は、安全性と経済性の面で次のような問題点があった。安全性の面で見ると、掘削による周辺施設物の被害と土留め構造物の崩壊による人命被害があった。経済性の面で土地を充分に利用することができなくて土留め工事による工事費用が無駄使いされていた。
【0008】
即ち、土留め壁によって敷地境界線から所定距離離れた所に地下構造物を施工するしかなくて、相当量の地下面積を利用することができなくなって経済的損失が非常に大きいという問題があった。
【0009】
韓国公開特許第10-2013-0061368号公報は、建築物の地階や地下鉄などの地下構造物を構築したり地中管を埋設するための地下構造物施工方法に関するものであるが、つぼ掘りをして土留め構造を用いる構造であるため、上記のような問題点を解消することができなかった。
【0010】
従って、安全で、経済的で、迅速な構造物施工方法の開発が要求された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を改善するために、工事現場周辺の安全を保障し、工事費用が節減され、工期が短縮されることができる効率的な構造物施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では、地下構造物を地盤上部で施工し、地盤内部に沈下させて施工する構造物施工方法において、前記構造物施工方法は、A)基礎板10及びファイル20を施工するステップと、B)ジャックダウン装置設置及び地階構造物施工ステップと、C)基礎板10下部掘削及び地下構造物沈下ステップと、D)ジャックダウン装置解体及びファイル20定着ステップと、を含み、前記ジャックダウン装置は前記基礎板10の上部に設置されて、前記ジャックダウン装置の力を調節することにより前記地下構造物の沈下量を制御することができ、前記基礎板10下部の掘削と地下構造物の沈下が並行して行われることができるようにすることを特徴とする、構造物施工方法を提供する。
【0013】
また、本発明では、地下構造物を地盤上部で施工し、地盤内部に沈下させて施工する構造物施工方法において、前記構造物施工方法は、a)外郭基礎板50及びファイル20を施工するステップと、b)ジャックダウン装置を設置するステップと、c)外郭基礎板50下部掘削及び沈下ステップと、d)ジャックダウン装置解体及びファイル20定着ステップとを含み、前記ジャックダウン装置は前記外郭基礎板50の上部に設置されて、前記ジャックダウン装置の力を調節することにより前記地下構造物の沈下量を制御することができ、前記外郭基礎板50下部の掘削と地下構造物の沈下が並行して行われることができるようにすることを特徴とする、構造物施工方法を提供する。
【0014】
前記沈下は地下構造物の自重によって行われる。
【0015】
または、前記沈下は地下構造物の自重に加えて、追加外力によって行われる。
【0016】
前記追加外力は、前記地下構造物に臨時荷重を載荷して荷重を増加させる方法と、地盤の中に設置したロックアンカー(rock anchor)またはアースアンカー(earth anchor)を用いる方法と、地盤の中に設置したファイルの周面摩擦力を利用する方法との中の何れか一つの方法によって発生する。
【0017】
前記掘削は、掘削装備を用いる方法と、ウォータージェット(water jet)を用いる方法と、地盤の土砂を吸入して排出する方法との中の何れか一つの方法によって行われる。
【0018】
前記D)ステップ後に基礎板10及びファイル20の上部に追加基礎板を施工するステップをさらに含む。
【0019】
前記d)ステップ後に外郭基礎板50及びファイル20の上部に追加基礎板を施工するステップをさらに含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明による構造物施工方法は次のような効果を奏する。
【0021】
第一、地下構造物の構造体となる掘削用壁体と外壁が構造体の機能をしながら、工事過程では土留め壁体として用いられることができるので、新築される隣近の土砂流出及び漏水が発生されなくなって周辺施設物の安全性が確保される。
【0022】
第二、従来の方法では、掘削する時に地下水が流入されると、これをポンピングして排出するため、周辺地下水位の低下によるシンクホール及び隣接構造物の安全性の問題が発生した。それに対して、本発明では、地下水を排出しないで、場合によってはウォータージェット(water jet)を利用しながら土砂を掘削するので、周辺地下水位の低下による問題が発生しない。
【0023】
第三、本発明では、土留め仮施設を含む遮水工法が必要でなく、掘削による崩壊の危険がないので仮設構造物の不安定による問題点が全部解決される。
【0024】
第四、土留め仮施設を設置しないので、土留め仮施設の設置と解体にかかる時間と費用を減少することができて、工期が短縮されて工事費用が節減される。
【0025】
第五、地盤を掘削する前に掘削用壁体と外壁によって周辺地盤が堅固に支持されるので、周辺地盤の撹乱が発生しない。
【0026】
第六、土留め壁を設置しなくて敷地境界線まで地下構造物を施工することができるので、土地の効用価値を高め、地下空間を最大限に利用することができる。
【0027】
第七、地下構造物の施工のためのファイルは工事中には地下構造物の沈下量を制御することができる支持台及びガイドの役割を果たし、工事が完了された後には永久構造物となって深基礎(deep foundation)の役割を果たすようになる。
【0028】
第八、油圧ジャッキを用いて地下構造物の沈下量を制御することができるので、精密施工が可能である。
【0029】
第九、土留め仮施設が必要でないので、土留め仮施設の崩壊による事故が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図2】本発明の第1実施例の過程を説明する図である。
【
図3】本発明の第1実施例の過程を説明する図である。
【
図4】本発明の第1実施例の過程を説明する図である。
【
図5】本発明の第1実施例の過程を説明する図である。
【
図6】本発明の第1実施例の過程を説明する図である。
【
図7】本発明の第1実施例の過程を説明する図である。
【
図12】基礎板、ファイル、油圧ジャッキの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では添付図面を参照して本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施することができるように本発明の実施例について詳しく説明する。しかしながら、本発明は様々な相異する形態に具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。そして、図面で本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、明細書全体にかけて類似する部分に対しては類似する図面符号を付ける。明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは特に反対される記載がない限り他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例について詳しく説明する。
【0032】
従来には、地盤を掘削した後地下空間で地下構造物を施工する方法を用いた。それに対して、本発明は、地盤の上で地下構造物を施工した後、基礎板の下部を掘削しながら地下構造物を地盤内部に沈下させて構造物を施工する方法である。
【0033】
本発明の地下構造物100は、基礎板10、ファイル20、地階構造物を含む。前記地階構造物は1つ層であってもよく、2つ以上の複数の層であってもいい。第1、2実施例では前記地階構造物が地下2階構造物30と地下1階構造物40を含む場合を説明する。
【0034】
図2~
図7には地下構造物100を施工する本発明の第1実施例が示されている。以下では、
図2~
図7を参照して地下2階を施工する場合について各施工ステップ別に詳しく説明する。
【0035】
【0036】
地盤の上に鉄筋コンクリートからなる基礎板10を施工する。
図2に示すように、基礎板10の枠は敷地境界線400の真横や、敷地境界線400とほぼ一致するようにすることができる。
【0037】
地下構造物の外壁が土留として活用される工法であるので、別途の土留壁が必要でなく、基礎板及び地下構造物の外壁は最大限に敷地境界線と接するように施工して地下空間を最大化することができるようにする。
【0038】
まず、基礎板10を施工した後にファイル20を施工するので、基礎板にはファイル20を施工することができる穴を形成する必要がある。従って、基礎板を施工する時にファイル20施工用穴を形成するためのスリーブを予め設置する。スリーブとしては鋼管を用いることができる。
【0039】
地下構造物の沈下が終わると、ファイル20の上部を基礎板に定着させるための空間を作るために、基礎板に所定の厚さだけ溝を形成してブロックアウト11(
図12参照)を形成する。ファイルを定着させた後、前記ブロックアウト11にグラウティングして仕上げる。
【0040】
基礎板10の下部枠には掘削用壁体12を備えることができる。前記掘削用壁体12は掘削作業時に土留め用壁体として活用されることができる。そして前記掘削用壁体12の下端には先端が傾斜した先端シュー13を備えて地下構造物が地盤内に容易に根入れされることができるようにする。
【0041】
前記先端シュー13は永久型形態の鉄板を用いてもよく、コンクリート断面を傾斜するように形成してもよい。
【0042】
前記掘削用壁体12を先に施工した後、前記掘削用壁体12と基礎板10が一体になるように基礎板コンクリートを打設する。
【0043】
基礎板10を施工する時には、地下構造物の荷重を計算して必要な数量だけのジャックダウン用アンカー310を予め設置することができる(
図12参照)。アンカー310の数量及び容量は地下構造物の重量及び沈下する時に発生する荷重によって適用することができる。
【0044】
アンカー310の下端末にはアンカーを基礎板に固定させるアンカー固定具311が備えられるが、前記アンカー固定具311は基礎板10内に埋められるように設置されるか、基礎板10の下部に固定されることができるようにする。
【0045】
ジャックダウン用アンカー310を予め設置したことについて説明したが、場合によって、アンカーを予め設置しないで、基礎板を施工した後にケミカルアンカー(登録商標)を施工し、その後ジャックダウンすることも可能である。
【0046】
基礎板の厚さはジャックダウンに必要な荷重と地下構造物の構造的安全性を考慮して決める。
【0047】
【0048】
基礎板10が設置されると、スリーブによって形成されたファイル20施工用穴にファイル20を施工する。ファイル20は鋼管ファイル、既成鉄筋コンクリートファイル、PHCファイル、複合ファイル、現場打ちコンクリート杭などを用いることができる。ファイルの設置は杭打ち、掘削後の埋め込みなどの方法を用いることができる。ファイルは先端支持力を発揮することができる地下岩盤層まで設置する。
【0049】
地下構造物が完工された後、前記ファイル20を深基礎(deep foundation)として用いない場合、即ち、ファイル基礎ではない直接基礎(spread foundation)の場合には地下構造物のジャックダウンに必要な最小限の仮設ファイルのみ施工することが好ましい。
【0050】
ファイル基礎に設計される地下構造物の場合、全てのファイルにジャックダウン装置を設置しないで、地下構造物をジャックダウン(jack down)するのに必要な数だけのファイルのみに設置することができる。このときに適用される荷重はジャックダウンシ時に施工された地下構造物の自重と浮力による減少量を考慮して適用する。
【0051】
直接基礎に設計される地下構造物の場合、ジャックダウンに必要な最小限のファイルを施工してジャックダウンに活用する。このときに適用される荷重はジャックダウンシ時に施工された地下構造物の自重と浮力による減少量を考慮して適用する。
【0052】
(3)ジャックダウン装置設置及び地下2階構造物30の施工(
図3参照)
【0053】
地下構造物の沈下量と沈下速度を制御することができるジャックダウン装置を設置し、地下2階構造物30を施工する。この時、作業を効率的に行って工期を短縮させるために、ジャックダウン装置設置作業と同時に地下2階構造物30の施工作業を並行することもできる。
【0054】
図12にはジャックダウン装置が示されているが、ファイル20の上部に加圧台330が固定されており、前記加圧台330の上に油圧ジャッキ300が設置されている。アンカー310の下端はアンカー固定具311によって基礎板10に固定されており、アンカー310の上端は加圧板320に締結されている。アンカー310の上端と加圧板320の締結はナットを用いることができる。前記油圧ジャッキ300が加圧板320を押す力を調節することにより基礎板の沈下量を精密に制御することができる。
【0055】
図12に示されたジャックダウン装置は一実施例を示したもので、油圧ジャッキ、アンカー、加圧板、加圧台は他の構造でも結合されることができることは勿論である。
【0056】
前記地下2階構造物30は底板31、外壁32、柱33を含むことができる。前記外壁32は地下構造物の外部壁体の機能と土留め壁体としての機能を同時にすることができる。前記柱33は底板31を支持する柱、壁体を含む。
【0057】
(4)基礎板10下部掘削及び地下構造物ジャックダウン(
図3、4参照)
【0058】
ジャックダウン装置の設置が完了された後、基礎板の下部を掘削すれば基礎板と地下2階構造物の自重によって自然に沈下するようになる。
【0059】
基礎板下部を掘削する方法は下部の地盤条件によって多様な方法を用いることができる。
【0060】
軟弱地盤の場合、基礎板下部を吸入する方法で下部土砂を除去することができる。土砂が除去される時、構造物が不等沈下しないように沈下量を精密に計測しながらジャックダウン装置を制御する。一定量が掘削された後ジャックダウン装置を利用して構造物を沈下させるようになる。この工程を繰り返して施工しようとする位置に地下構造物を位置させる。粘土の粘性及び水分含量によって吸入に容易にウォータージェット(water jet)及び撹拌を実施する。吸入された泥水は脱水過程を経て土砂と水に分離される。この時、分離された土砂は土捨場に搬出され、分離された水は現場に再使用する方法を選択して環境汚染を防止することができる。
【0061】
基礎板下部地盤が比較的良好な場合には、必要によってウォータージェット(water jet)+吸入(Suction)または脱水(Dewater)工法を追加適用するか掘削を並行して構造物を沈下させる。
【0062】
基礎板下部が岩のように堅い場合には基礎板に装備出入口14を形成して、掘削装備などを利用して基礎板下部を掘削した後構造物をダウンさせる。
【0063】
【0064】
基礎板の上に地下2階構造物30が載せられた後必要な深さだけ沈下が完了されると(
図4)、前記地下2階構造物30の上に地下1階構造物40を地上で施工する(
図5)。
【0065】
前記地下1階構造物40は底板41、外壁42、柱43を含むことができる。前記外壁42も地下構造物の外部壁体の機能と土留め壁体としての機能を同時に果たすようになる。前記柱43は底板41を支持する柱、壁体を含む。
【0066】
(6)基礎板10下部掘削及び地下構造物ジャックダウン繰り返し(
図5、6参照)
【0067】
前記地下1階構造物40を施工した後、基礎板下部を掘削しながらジャックダウン装置を制御して地下構造物を沈下させる。必要な深さまで沈下を行う(
図6)。
【0068】
(7)沈下完了、ジャックダウン装置解体及びファイル定着(
図7参照)
【0069】
必要な深さまで沈下が完了されるとジャックダウン装置を解体する。アンカー310を切断し、アンカー310とファイル20の上端を固定させた後、ブロックアウト11にグラウティングしてファイルを基礎板に定着させる。
【0070】
前記(1)~(7)の過程を経た後、必要によって地下構造物の内部工事と地上構造物の工事をすれば構造物の施工が完了される。
【0071】
図8、9には地下構造物100を施工する本発明の第2実施例が示されている。
【0072】
第2実施例では、ファイル20を先に施工した後、基礎板10を施工する。即第2実施例では前記(2)を先に行った後、(1)を行う。そして、(3)~(7)と同じ過程を行う。
【0073】
第1、2実施例では、地下1階構造物と地下2階構造物を形成する過程について説明したが、本発明は地下1階構造物と地下2階構造物に限定されない。即ち、地下1階構造物のみ形成することもでき、上記説明した(4)、(5)過程を繰り返して地下2階以上の複数の地階を形成することもできる。
【0074】
図10、11には地下構造物100を施工する本発明の第3実施例が示されている。
【0075】
第3実施例は、地下構造物を施工する面積が広い場合に適用することができる実施例である。即ち地下構造物の平面面積が広い場合には基礎板全体を一つに形成して沈下させる作業が難しい場合があり、基礎板が破損される虞があって、むしろ非効率な場合がある。
【0076】
この場合には、敷地境界線400で所定幅に対して外郭基礎板50を施工し、前述したのと同じ方法で外郭基礎板50を沈下させる方法である。外郭基礎板50の上部には外郭地階構造物60を施工して沈下させることができる。この時、外郭基礎板50下部の土砂を掘削しながら外郭基礎板を沈下させる。外郭基礎板の沈下が完了されると、基礎板と地階構造物を施工する。
【0077】
この時、外郭基礎板50の内部にある内部土砂はそのまま置いた後地下構造物の沈下が完了された後内部土砂を掘削することができる。また、外郭基礎板50を一定量沈下させながら内部土砂も一緒に掘削することもできる。
【0078】
第3実施例で外郭基礎板50を施工した後、ファイル20を設置することもでき、ファイル20を先に設置した後、外郭基礎板50を施工することもできる。
【0079】
前記実施例で、基礎板10または外郭基礎板50を一つの階に施工することで説明したが、場合によって沈下が完了された後、基礎板10または外郭基礎板50の上に追加基礎板をさらに形成することもできる。
【0080】
即ち、コンクリートファイルまたは直径が大きいファイルをファイル基礎として用いる場合には、ファイルによって基礎板10の鉄筋配筋が難しい可能性があり、ファイルの上部が基礎板に堅固に定着されにくいので、沈下が完了された後に基礎板10の上に追加基礎板を施工することが好ましい。追加基礎板を施工する場合には、ジャックダウン用基礎板10は最大限に薄く施工する。地下構造物の沈下が終わり、ファイルと基礎板10を定着させた後、ファイルの上部と基礎板10の上部に鉄筋を配筋した後マット(追加基礎板)を打設して追加基礎板を施工する。
【0081】
基礎板10の上に追加基礎板を施工する場合には、基礎全体の配筋及び厚さを考慮して地下構造物の層高に反映する。追加基礎板を施工することにより直径が大きいファイルを施工してもマットの十分な剛性を得ることができる。そして追加基礎板を施工する場合には、追加基礎板と基礎板10の連結、追加基礎板と壁体及び柱の連結部を予め考慮して配筋される位置に鉄筋を予め施工しなければならない。
【0082】
一方、鋼管ファイルを用いる場合には、ファイルの直径が基礎板鉄筋配筋に干渉されるほどではないので、追加基礎板を必要とせず、基礎板10のみ用いることができる。
【0083】
一方、地下構造物を沈下させる時に地下構造物の自重だけでは沈下が難しい場合がある。このような場合には次のような方法を用いて沈下させることができる。
【0084】
第一、荷重を追加する方法を用いることができる。基礎板または地下構造物の上部に臨時荷重を載荷して荷重を増加させる方法を用いることができる。
【0085】
第二、地盤の中にロックアンカー(rock anchor)またはアースアンカー(earth anchor)を設置し、ロックアンカーまたはアースアンカーを繰り上げて沈下させる方法である。
【0086】
第三、設置されたファイルの周面摩擦力を利用する方法である。油圧ジャッキを収縮すればファイルは周面摩擦力によって地盤の中に固定されているので、基礎板を下方へ引く力が発生する。
【0087】
本発明は図面に示された実施例を参考にして説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、本技術分野における通常の知識を有する者であればこれから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるという点を理解すべきである。従って、本発明の真の技術的保護範囲は特許請求範囲の技術的思想によって定められるべきである。
【符号の説明】
【0088】
100 地下構造物
10 基礎板
11 ブロックアウト
12 掘削用壁体
13 先端シュー
14 装備出入口
20 ファイル
30 地下2階構造物
31 底板
32 外壁
33 柱
34 地下2階
40 地下1階構造物
41 底板
42 外壁
43 柱
44 地下1階
50 外郭基礎板
60 外郭地階構造物
300 油圧ジャッキ
310 アンカー
311 アンカー固定具
320 加圧板
330 加圧台
400 敷地境界線
500 土留め壁
600 ストラット
700 センターファイル
【国際調査報告】