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特表2022-517371車両の軌道を学習する方法、および電子車両誘導システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-08
(54)【発明の名称】車両の軌道を学習する方法、および電子車両誘導システム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20220301BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20220301BHJP
   B60W 50/08 20200101ALI20220301BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20220301BHJP
【FI】
B60W30/06
B60W40/02
B60W50/08
B60W60/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541065
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(85)【翻訳文提出日】2021-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2019085313
(87)【国際公開番号】W WO2020148047
(87)【国際公開日】2020-07-23
(31)【優先権主張番号】102019101040.3
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508108903
【氏名又は名称】ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】シュテファニー、プリンツハウゼン
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン、エバルト
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA21
3D241BA57
3D241BB03
3D241CE01
3D241CE02
3D241CE04
3D241CE05
3D241DC33Z
3D241DC34Z
3D241DC41Z
3D241DC45Z
3D241DD11Z
(57)【要約】
一態様は、車両(3)の軌道(12)を学習する方法であって、車両(3)は軌道(12)に沿ってパーキングエリア(P)内まで走行し、学習走行の間に、車両(3)の周囲環境(11)が、車両(3)の第1捕捉装置(7、8、9)を使用して捕捉され、第1捕捉装置は、捕捉のタイプおよび/または捕捉状態および/または車両における位置および/または車両(3)における向きに関して第1タイプの機能を構成し、軌道(12)はこれをベースとして決定され、学習走行に続く後続走行であって、車両(3)がパーキングエリア(P)の少なくとも特定領域まで走行する後続走行の間に、周囲環境(11)が、車両(3)の第2捕捉装置(7、8、9)を使用して捕捉され、第2捕捉装置は、捕捉のタイプおよび/または捕捉状態および/または車両における位置および/または車両(3)における向きに関して第1タイプの機能と異なる第2タイプの機能を構成し、軌道(12)は、第2捕捉装置(7、8、9)により捕捉された情報をベースとして更新される方法に関する。さらなる態様は、電子車両誘導システム(5)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(3)の軌道(12)を学習する方法であって、
前記車両(3)は、前記軌道(12)に沿ってパーキングエリア(P)内まで走行し、
学習走行の間に、前記車両(3)の周囲環境(11)が、前記車両(3)の第1捕捉装置(7、8、9)を使用して捕捉され、前記第1捕捉装置は、捕捉のタイプおよび/または捕捉状態および/または前記車両における位置および/または前記車両(3)における向きに関して第1タイプの機能を構成し、前記軌道(12)はこれをベースとして決定され、
前記学習走行に続く後続走行であって、前記車両(3)が前記パーキングエリア(P)の少なくとも特定領域まで走行する後続走行の間に、前記周囲環境(11)が、前記車両(3)の第2捕捉装置(7、8、9)を使用して捕捉され、前記第2捕捉装置は、捕捉のタイプおよび/または捕捉状態および/または前記車両における位置および/または前記車両(3)における向きに関して、前記第1タイプの機能と異なる第2タイプの機能を構成し、前記軌道(12)は、前記第2捕捉装置(7、8、9)により捕捉された情報をベースとして更新される、方法。
【請求項2】
前記学習走行は、少なくとも1つの条件、特に前記後続走行の間とは異なる条件の値で実施され、少なくとも1つの当該条件は、各前記走行のどちらにおいて、どちらの捕捉装置(7、8、9)によってどちらの情報が考慮されるかを決めるベースとして採用され、特に、前記軌道(12)は、前記第1捕捉装置(7、8)からの情報をベースとして決定され、前記軌道(12)の潜在的な更新は、前記第2捕捉装置(9)からの別の情報をベースとして評価される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記車両(3)は、前記学習走行の間に車両固有条件としての第1速度で走行し、前記後続走行の間に車両固有条件としての第2速度で走行し、車両固有条件としての前記第2速度は、車両固有条件としての前記第1速度と異なる、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1速度は前記第1捕捉装置(7、8、9)の検出特性に適合し、前記第2速度は前記第2捕捉装置(7、8、9)の検出特性に適合する、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1速度は、30km/h以上である、
請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2速度は、30km/h未満である、
請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記後続走行の間に、前記車両(3)の長手方向側面に配置された前記第2捕捉装置(9)としての超音波センサ(9)および/またはカメラにより情報が生成され、前記軌道(12)を更新するために考慮される、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記学習走行の間に、前記第1捕捉装置(7、8)としての光学センサおよび/またはレーダーセンサにより情報が生成され、前記軌道(12)を決定するために考慮される、
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも前記後続走行の間に、周囲環境条件および/または車両固有条件および/または捕捉装置固有パラメータが考慮され、これらの条件は、前記後続走行の間に少なくとも前記第2捕捉装置(9)を使用して生成された情報が前記軌道(12)を更新するために考慮されるかどうかを決めるベースとして採用される、
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
温度および/または天候状態および/または季節および/または時刻が、前記周囲環境条件として考慮される、および/または前記車両(3)が移動している道路の傾斜が考慮される、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記捕捉装置(9)の汚れが、捕捉装置固有パラメータとして考慮される、
請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも前記第2捕捉装置(9)により前記後続走行の間に生成された情報は、車両ユーザにより評価され、前記車両ユーザは、これをベースとして当該情報が前記軌道(12)を更新するために考慮されるかどうかを決める、
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記車両ユーザは、前記車両(3)の電子車両誘導システム(5)の入力ユニット(14)への入力を介して確認を行う、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記軌道(12)と前記後続走行の後続軌道(13)との間に偏差がある場合、特に、前記軌道(12)の前記パーキングエリア(P)内の前記車両の終了位置と前記後続軌道(13)の前記パーキングエリア(P)内の終了位置との間に偏差がある場合に、前記軌道(12)は更新される、
請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの第1捕捉装置(7、8、9)と、少なくとも1つの第2捕捉装置(7、8、9)と、評価ユニット(15)と、を有する車両(3)用の電子車両誘導システム(5)であって、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法を実施するように設計される車両誘導システム(5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、車両の軌道を学習する方法であって、車両は軌道に沿ってパーキングエリアまで走行する方法に関する。学習走行の間に、車両の周囲環境が、車両の第1捕捉装置を使用して捕捉される。軌道は、これに基づいて決定される。本発明のさらなる態様は、車両用の電子車両誘導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
DE 10 2004 047 130 B4は、自走式車両等の自律移動システムの動的可変環境を見極める方法を開示している。走行の間に動的に変化し得る周囲環境を捕捉してモデリングするために、存在する環境要素に関するデータをセンサを使用して捕捉する。センサは、レーザーシステム、超音波システム、レーダーシステム、およびカメラシステムであり得る。事前にワールドモデル(強化学習)データが入手可能であれば、この情報を初期ベースとして使用し、これに基づいてさらなる更新や仕様変更を行うことができる。周囲環境の捕捉とモデリングのために、移動システムは任意の所望の出発点から出発し、例えば上述のようにこの目的のために設けられたセンサにより検出された第1自由経路に沿って所定の目的地点に至る。あるいは、学習走行において、移動システムはドライバーにより制御され得るか、または所定の経路のみに沿って走行可能である。この結果、ローカルルートプランニングは実質的に不要となり、周囲環境の捕捉およびモデリングのためのさらなるプロセスステップのみが実施される必要がある。既知の方法では、異なるセンサがそれぞれのシナリオにおいて多用されるが、これらのセンサの機能のタイプが異なるため、周囲環境に関する情報は限られた範囲でしか得られないか、不適切な情報が得られる。このことは、学習シナリオを実質的に損なう。これらのセンサ機能の異なるタイプは異なる機能シナリオに依存するため、このような汎用性のある種々のセンサを包括的に使用しても、学習シナリオの情報に関して適切でない結果しか得られないことがある。
【0003】
また、DE 10 2013 015 349 A1は、同一の領域またはエリアに複数回駐車した後、このエリアをホームパーキングアエリアとして規定する自習方法を開示している。このホームパーキングエリアに接近すると、適切な情報、例えば決定された運転データや、捕捉された周囲環境データ、例えばステアリング/ヨー角、車速、GPSデータおよび走行軌跡が保存され、既に保存されている走行データや周囲環境データが更新される。この結果、この方法を再学習することができる。また、捕捉された走行軌跡、走行する見込みのある推定軌跡、またはカメラ画像や超音波測定等の周囲環境センサからのデータも周囲環境データとして保存または更新される。この場合も、異なる捕捉装置は、個別に用いるべき情報についての学習シナリオを無視する。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、異なる捕捉装置によって捕捉され利用可能となった情報を、より必要に沿った態様で用いる車両の軌道を学習する方法を提供することである。また、本目的は、対応する車両用の電子車両誘導システムを提供することである。
【0005】
本目的は、独立請求項に記載の方法および電子車両誘導システムにより達成される。
【0006】
本発明の一態様は、車両の軌道を学習する方法であって、前記車両が前記軌道に沿ってパーキングエリア内まで走行する方法に関する。学習走行の間に、前記車両の周囲環境が、前記車両の第1捕捉装置を使用して捕捉される。前記第1捕捉装置は、前記捕捉装置の捕捉のタイプおよび/または捕捉状態、および/または前記捕捉装置の前記車両における位置、および/または前記捕捉装置の捕捉領域の前記車両における向きに関して第1タイプの機能を構成する。前記軌道は、前記第1捕捉装置により捕捉された情報をベースとして決定される。それは、続いて前記車両を前記パーキングエリア内まで走行させるためのベースとして採用され得る。
【0007】
前記学習走行に続く後続走行であって、前記車両が前記パーキングエリアの少なくとも特定領域まで走行する後続走行において、前記車両の前記周囲環境が、前記車両の第2捕捉装置を使用して捕捉され、前記第2捕捉装置は、捕捉のタイプおよび/または捕捉状態および/または前記車両における位置および/または前記車両における前記第2捕捉装置の捕捉領域の向きに関して前記第1タイプの機能と異なる第2タイプの機能を構成する。前記軌道は、前記第2捕捉装置により前記少なくとも一回の後続走行の間に捕捉された情報を少なくともベースとして更新される。この学習シナリオの結果、異なる捕捉装置からの異なる情報が、軌道を更新し修正する必要があるかどうかを評価するために、異なる走行の間に、すなわち一方で学習走行の間に、そして他方で学習走行とは異なる少なくとも一回の後続走行であって時間的に学習走行の後に続く後続走行の間に、ベースとして採用される。捕捉装置の異なるタイプの機能が異なる条件での捕捉に関して異なる適合性を有しているため、ここではこの態様が考慮される。学習シナリオはこうして改善され、より正確かつより迅速に最適な軌道を決定することができる。
【0008】
少なくとも半自律的な走行において、シーンに対する、したがって周囲環境に対する車両の正確な位置を決定するために、学習駐車の間、特に、ローカリゼーション法をベースとして採用することができる。特に、事前の学習操作すなわち先行する学習走行からの情報が、本方法および本軌道学習で用いられる。これにより、周囲環境に対する車両のローカリゼーションも構成される。この学習走行は、手動で、したがって完全に車両のドライバーの制御下で実施され得る。ただし、これを少なくとも半自律的な態様で実施してもよい。後続走行は、手動で、または少なくとも半自律的な態様で実施され得る。
【0009】
捕捉装置は、捕捉のタイプについて異なり得る。これに関して、例えば、超音波センサ、またはレーダーセンサ、またはライダーセンサやカメラ等の光学センサが挙げられ、これらの捕捉装置は、すべて捕捉のタイプについて異なるタイプの機能を有している。捕捉状態に関して、例えば、捕捉装置が制限なく検出に利用できる状況が考えられる。ただし、少なくとも部分的に制限のある状態も考えられる。例えば、カメラのレンズに、または超音波センサのダイアフラムに、またはレーダーセンサに、例えば汚れ等の被覆物が存在する場合がある。例えば気温や天候状況等の他の環境による影響を理由とする捕捉状態の他の障害も同様にカテゴライズされる。捕捉装置は車両上の異なる位置や場所に、例えばフロントバンパー、またはリアバンパー、または側方領域、またはフロントガラス、またはリアガラスに設置され得ることが知られているため、このことからも異なるタイプの機能が生じる。同様に追加的または代替的に、車両に対する捕捉方向、したがって捕捉装置の捕捉領域の向きが異なり得る。したがって、捕捉装置の捕捉領域は、車両の長手方向軸に対して前方または後方を向いていてもよい。側方への向きも可能である。これにより、この点に関して異なるタイプの機能を生じさせ得る。機能のタイプに関してこのように配置が異なるため、1つのタイプの機能のみの複数の捕捉装置は、このような学習シナリオにおけるすべての状態、したがって周囲環境を完全かつ最良の態様で捕捉するのに適していない。本発明が提案する方法は、このような制約を克服するため、より個別的な学習方法が提案される。
【0010】
したがって上述のように、ローカリゼーションは、異なる捕捉装置を使用して実施され得る。しかし、特に一方の学習走行の間および他方の後続走行の間の特定の走行状況に応じて、軌道を更新するかどうかを評価することができるように、特定の各捕捉装置からの情報を、特にメインに考慮するだけでよい。
【0011】
したがって、このような状況において有利でもある点は、異なる走行の間に、すなわち一方で学習走行の間に、他方で少なくとも一回の後続走行の間に、異なる捕捉装置からの異なる情報が、実施が必要であるかもしれない更新を実際に実施することを目的として、これらの個々の走行の間に個々の条件に応じて考慮されるという事実である。
【0012】
1つの有利な実施形態では、特に後続走行の間に、周囲環境が少なくとも時折、第1捕捉装置を使用して、かつ第2捕捉装置を使用して捕捉され得る。特に、捕捉は、第1捕捉装置および第2捕捉装置を使用して、少なくとも時折、本例において同時に実施され得る。具体的には、周囲環境の同一および/または異なる周囲環境領域が、機能のタイプが異なる2つの捕捉装置を使用して少なくとも時折同時に捕捉される。これにより、捕捉された情報を比較することができる。1つの可能な実施形態において後続走行の間に第2捕捉装置のみを使用して捕捉が実施される場合、第1捕捉装置は捕捉に使用されないため、または第1捕捉装置からの情報が考慮されないため、ローカリゼーションはなされない。特に、後続走行の実施中、この後続走行は、自動車からの走行距離計情報をベースとして実施される。
【0013】
有利には、学習走行および後続走行は、少なくとも1つの条件において異なることが想定される。これは、車両自体の条件であり得る。この条件は、車両の状態を示すパラメータであり得る。特に、車両状態を示すパラメータは、車両の動作パラメータであり得る。特に、このような少なくとも1つの車両固有パラメータ、具体的には動作パラメータが、軌道、およびしたがって軌道の必要かもしれない更新も評価するため、各走行の間に考慮される情報の選択を決めるためのベースとして採用される。特に、したがって、軌道および/または軌道の必要かもしれない更新の評価のためのベースとして採用される情報を有する特定の捕捉装置が、特にこの少なくとも1つの車両固有パラメータ、具体的には動作パラメータをベースとして選択される。したがって、学習走行および少なくとも一回の後続走行の間の異なる条件が、この点に関して軌道をさらに正確に評価することができるように、個別に検討される。
【0014】
したがって、一般的に、少なくとも1つの条件が、2つの捕捉装置のうちのどちらの情報をどちらの走行の間に使用するかを決めるベースとして採用される。この少なくとも1つの条件は、2つの捕捉装置のうちの一方からの情報を学習走行の間に軌道を決定するためのベースとして採用され、特に、他方の捕捉装置からの情報は用いられない、または低い優先度でしか用いられないことを決めるベースとして採用される。後続走行の間、特に、他方の捕捉装置からの情報がベースとして採用されることを示す少なくとも1つの条件が、特に、軌道の更新が意図されているかどうかを決めるベースとして採用される。特に、学習走行の間に軌道を決定するためのベースとして採用された情報を有する捕捉装置からの情報は、用いられない、または低い優先度でしか用いられない。
【0015】
条件とは、例えば速度、操舵角、周囲環境における車両の向き等の車両固有条件、または例えば温度、湿度、降水量等の周囲環境条件、または捕捉のタイプ、または捕捉状態、または車両における位置、または車両に対する、および/または周囲環境の物体に対する捕捉領域の向き等の捕捉装置固有条件であり得る。
【0016】
有利には、車両は、学習走行の間に車両固有条件としての第1速度で走行し、後続走行の間に車両固有条件としての第2速度で走行し、車両固有条件としての第2速度は、車両固有条件としての第1速度と異なることが想定される。速度は、特に車両の動作パラメータの一例である。学習走行と後続走行とにおける異なる速度での車両の移動は、意図的または非意図的に実施され得る。異なる捕捉装置は、それらの捕捉のタイプおよび/または車両における位置および/または捕捉領域の向きのために、異なる速度でより良好にまたは不十分に機能するため、本発明の提案する方法は、異なる捕捉装置のこれらの制限を最良の態様で考慮するように利用され得る。捕捉装置の特定タイプの機能は、特定の速度、具体的には高速での捕捉精度について制限があるため、本発明の提案する方法により、異なる走行における車両の各速度を、周囲環境に関するより正確な情報、したがって車両のローカリゼーションについてどちらの捕捉装置がより適しているかを決めるベースとして採用することも可能となる。この結果、このような状況において、最も好適な捕捉装置からの最も好適な情報が要件に沿って用いられる。
【0017】
好適には、第1速度が記録特性、したがって、捕捉のタイプおよび/または車両における位置および/または第1捕捉装置の捕捉領域の向きに適合し、第2速度が第2捕捉装置の関連する記録特性に適合することが想定される。この有利な実施形態において、したがって、所望とされ、次いでそれぞれ利用可能な情報を提供することが意図される捕捉装置を最良の態様で考慮するように、異なる走行の間の速度は特に個別に調整される。
【0018】
好適には、第1速度は30km/h以上であることが想定される。これにより、学習走行が比較的高速でも実施され得る学習シナリオが可能となる。したがって、この学習シナリオは、自動車の実際の移動動作について現実に近くなる。この結果、自動車の従来の移動動作をモデル化することができ、このような状況においては制限を受け入れる必要がなくなる。ただし、特に例えば40km/h以上であり得る比較的速い速度では、周囲環境、特に周囲環境中の特定の物体であってその後ローカリゼーションのベースを形成する物体が捕捉される精度が、特定の機能のタイプについて低下し得る。ここで要件に沿った適切な捕捉装置をそれぞれ再度使用し、それらの情報を用いて軌道を決定し場合により更新を実施するために、上述の本発明が提案する方法が利用される。したがって、所望の情報捕捉精度が後続走行、またはいわゆる反復動作について得られる。特にこれは、後続走行が一回しか実施されないことが意図される場合だけでなく、複数回の後続走行が実施される場合にも有利である。
【0019】
特に、第2速度が30km/h未満であることが想定される。したがって、少なくとも一回の後続走行においては、車両が学習走行の間より遅い速度で移動することが提案される。これにより、反復動作の精度が向上する。この結果、更新された記録や学習走行の間に得られた学習データの更新が改善される。記録動作に沿った物体検出に関する捕捉装置からのさらなる情報は、経路または軌道の位置を検証するためにも用いられ得る。好適には、後続走行の間に、車両の長手方向側面に配置されて捕捉領域が側方を向いた第2捕捉装置としての超音波センサおよび/またはたカメラにより生成された情報が、軌道の更新のために考慮されることが想定され得る。これらの特定タイプの捕捉装置および/またはその向きでは、特に、車両が高速である場合に周囲の、特に車両の側方の周囲領域の限定された捕捉しかできないため、それらの情報が低速での後続走行の間にベースとして採用されれば非常に有利である。なぜならば、これらの検出装置により、後続走行のこれらの条件下での高い検出精度が可能とされるからである。
【0020】
好適には、学習走行の間に、情報が第1捕捉装置としての光学センサおよび/またはレーダーセンサにより生成され、軌道を決定するために考慮されることが想定される。追加的または代替的に、特に捕捉領域が車両の長手方向において前方および/または後方を向く捕捉装置を使用することもできる。この構成に関して対応する捕捉精度が高速でも可能であるため、これは特に高速での学習走行時に有利である。
【0021】
周囲環境条件および/または車両固有条件が、有利には、後続走行の間に考慮され得る。これらの条件は、少なくとも第2捕捉装置を使用して後続走行の間に生成された情報を軌道の更新のために考慮するかどうかを決めるベースとして採用される。したがって、学習シナリオは、さらに正確に、かつさらに要件に沿って実施される。このような状況において、温度および/または天候状態および/または季節および/または時刻が、周囲環境条件として考慮され得る、および/または車両が移動している道路の傾斜が考慮され得る。同様にこれらの影響を受けて、個々の捕捉装置は、状況に応じて正確な情報を提供するのに多少とも適する。学習シナリオは、捕捉された情報を軌道の決定のために、および特に軌道の更新のために考慮するかどうかというさらなる決定基準により向上する。
【0022】
また、捕捉装置固有パラメータが、捕捉された情報を考慮にいれることが意図されるかどうかを決めるために考慮され得る。例えば、カメラの場合にはこれは光の質であり得る。捕捉装置の汚れも考慮され得る。汚れがあると、捕捉装置の機能が少なくとも低下する可能性がある。したがって、これらの条件は、各捕捉装置から得られた情報が実際に学習シナリオ の改善に寄与するかどうかを決めるベースとして採用され得る。
【0023】
有利には、選択された、特に少なくとも第2捕捉装置により後続運転中に生成された情報が車両ユーザにより評価されて、車両ユーザはこれをベースとして当該情報を、軌道を更新するために考慮するかどうかを決めることが想定される。したがって、走行する軌道の質は、例えばドライバーにより電子車両誘導システムの入力ユニットへの入力を介して確認される。これにより、記録データ、およびしたがって学習走行の間に決定された軌道も改善するように良質な動作だけを利用することができる。この結果、電子車両誘導システムの学習効果は、より迅速に向上し最適化され得る。
【0024】
好適には、軌道と後続運転中に走行した後続軌道との間に偏差がある場合、軌道は更新される。特に、後続軌道のパーキングエリア内の目標位置からの軌道のパーキングエリア内の目標位置について許容値を超える偏差が存在する場合、更新が実施される。本実施形態において、したがって、特に各ケースで到達した目標位置について比較が実施され、これに基づいて学習シナリオにおいて得られた情報が更新される。
【0025】
少なくとも一回の後続走行は、好適には、少なくとも半自律的な態様で、特に完全に自律的な態様で実施される。
【0026】
本発明のさらなる独立した態様は、車両の軌道を学習する方法であって、前記車両がパーキングエリア内まで少なくとも半自律的な態様で走行する方法であって、学習走行の間に、前記車両の周囲環境が前記車両の少なくとも1つの第1捕捉装置を使用して捕捉され、特に前記軌道がこれに基づいて決定され、前記第1捕捉装置は、第1タイプの機能を構成し、前記第1タイプの機能は、前記車両の第2捕捉装置の第2タイプの機能と、捕捉のタイプおよび/または捕捉状態および/または前記車両における位置および/または前記車両における向きについて異なり、前記学習走行の間に、少なくとも1つの条件、特に少なくとも1つの車両固有条件および/または周囲環境条件および/または捕捉装置固有条件が、前記軌道を前記第1捕捉装置からの情報をベースとして、または前記第2捕捉装置からの情報をベースとして決定するかどうかを決めるベースとして少なくとも採用され、前記学習走行に続く後続走行であって、前記車両が前記パーキングエリアの少なくとも特定領域まで走行する後続走行の間に、少なくとも1つの条件、特に上述の条件、特に少なくとも1つの車両固有条件および/または周囲環境条件および/または捕捉装置固有条件が、特に前記第2捕捉装置からの情報を評価のためのベースとして採用すべきかどうか、および軌道を当該情報に基づいて更新するかどうかを決めるベースとして採用される方法に関する。
【0027】
特に、学習走行は、少なくとも1つの条件の少なくとも1つの値であって、特に後続走行の間の値と異なる値を特徴とする、またはその値で実施される。この少なくとも1つの条件または値は、各走行のどちらにおいて、どちらの捕捉装置からのどちらの情報を考慮するかを決めるベースとして採用される。特に、軌道は、第1捕捉装置からの情報を少なくとも第一におよび/またはメインに、特にそれのみをベースとして決定され、軌道の潜在的な更新は、第2捕捉装置からの別の情報を少なくとも第一におよびまたはメインに、特にそれのみをベースとして評価される。
【0028】
本発明の第1の独立した態様の実施形態は、さらなる独立した態様の有利な実施形態としてみなされるべきである。
【0029】
本発明のさらなる態様は、少なくとも1つの第1捕捉装置と、少なくとも1つの第2捕捉装置と、評価ユニットと、を有する車両用の電子車両誘導システムに関する。電子車両誘導システムは、上述の態様またはその有利な構成による方法を実施するように設計される。具体的には、本方法は、電子車両誘導システムを使用して実施される。
【0030】
本発明のさらなる態様は、上述の態様による電子車両誘導システムを有する車両、特に自動車に関する。
【0031】
本発明の例示的実施形態を、概略図を参照しつつ以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】パーキングエリアを有する環境と、この駐車場内に移動する車両の例示的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図面は、一区画の土地2に隣接する道路1を示す。ホームパーキングエリアであり得るパーキングエリアPがこの土地2に形成されている。パーキングエリアPは、土地2においてその位置および向きについて永久に変わらない。
【0034】
本例で自動車である車両3が、道路1から分岐してパーキングエリアPに駐車するように走行する。パーキングエリアPに到達するために、車両3は、土地2内に、同様に永久的に静止している入口4を介して走行する。したがって、入口4とパーキングエリアPとの間にできる限り一定の移動経路を得るように、好適には、車両3のこの移動経路を学習することが想定される。これにより、特に車両3が入口4からパーキングエリアPまで完全に自律的な態様で移動する場合に、移動経路に沿って車両3を可能な限り正確にかつミスなく走行させる。
【0035】
車両3は、電子車両誘導システム5を有している。この車両誘導システムを使用して車両3の少なくとも半自律的な操作、特に完全に自律的な操作を実施できる。電気車両誘導システム5は、複数の、したがって少なくとも2つの捕捉装置を有し得る捕捉機6を有している。捕捉機6は、機能のタイプが異なる少なくとも2つの捕捉装置を有する。機能のタイプについて、捕捉装置の捕捉のタイプ、および/または捕捉装置の捕捉状態、および/または車両3における捕捉装置の位置、および/または車両3における捕捉装置の捕捉領域の向きによって、捕捉装置の違いを定義することができる。捕捉機6は、例えば、車両3の前部領域および/または車両3の後部領域に配置された捕捉装置7であって、および/またはその捕捉領域が車両3の長手軸方向において前方および/または後方を向く捕捉装置7を有している。この捕捉装置7は、例えば第1捕捉装置7であり得る。追加的または代替的に、車両3は、捕捉装置8を有し得る。捕捉装置8は、例えば車両3の内部において、例えば車両3のフロントガラスの上部領域に、および/または車両3のリアガラスの上部領域に配置され得る。この捕捉装置8の捕捉領域は、有利には、車両3の長手方向において前方および/または後方を向いていてもよい。この捕捉装置8は、第1捕捉装置であってもよい。
【0036】
また、車両3は、車両3の長手方向に対向する側面に配置された捕捉装置9を有し得る。具体的には、これらの捕捉装置9の捕捉領域は、車両の長手方向軸に対して見た場合に側方および/または斜め後方を向いている。この捕捉装置9は、例えば第2捕捉装置であってもよい。
【0037】
捕捉装置は、それらの捕捉のタイプにおいて異なっていてもよく、例えば、超音波センサ、またはレーダーセンサ、またはライダーセンサ、またはカメラであってもよい。車両3は、好適には、捕捉のタイプにおいて異なる複数の捕捉装置を有する。例えば、捕捉装置7は、単数または複数の超音波センサ、または単数または複数のレーダーセンサ、または単数または複数のライダーセンサを設けられ得る。捕捉装置8は、例えばカメラを設けられ得る。捕捉装置9は、カメラを設けられ得る。
【0038】
車両3の移動経路、具体的には入口4からパーキングエリアPまでの移動経路を学習可能とするように、第1学習走行において、車両3を有利な出発点10からパーキングエリアPに移動させる。特に、この学習走行は、車両3の車両ドライバーによって完全に手動で実施され得る。しかしながら、車両3を、例えば半自律的な態様で移動させてもよい。この学習走行の間に、車両3の周囲環境11が、例えば捕捉装置7および/または8により形成された第1捕捉装置により捕捉される。具体的には、この学習走行は、30km/hより速い、例えば40km/h以上の車両3の速度で実施される。この学習走行の間に、捕捉装置からの、具体的には第1捕捉装置7および/または8からの情報を用いて、学習走行の間の車両3のこれらの条件下における周囲環境11に関する適切な情報が捕捉され得るとともにこれに応じて規定され得る。特に、したがって、少なくとも1つの車両固有パラメータ、具体的には移動条件、特に特定の速度をベースとして最良の情報を提供するこれらの捕捉装置を使用することで、軌道を決定するための情報が提供される。例えば捕捉装置9の場合、これらの条件下では、このことは不可能であるか、限定された範囲でしか可能でない。なぜならば、捕捉装置9の捕捉領域は側方を向いているため、車両3の比較的早い速度においてこれらのカメラを使用して横方向の環境を限定された範囲でしか捕捉できないからである。特に、したがって、電子車両誘導システム5は、軌道を決定するために、したがって周囲環境11に対する車両3のローカリゼーションを決定するために、学習走行の間に捕捉装置9により捕捉された情報は考慮しないことを、車両3の速度および/または車両3の移動方向に対する捕捉装置9の向きを考慮して決める。
【0039】
追加的または代替的に、捕捉装置7、8、9の捕捉状態がどのようなものであるかを考慮することも可能である。追加的または代替的に、学習走行の間に走行する軌道12を決めるべくどの捕捉装置でどの情報を捕捉して用いるかをシステム側で決定するように、車両3の位置、および/または捕捉装置7、8、9の捕捉領域の向きを考慮することもできる。したがって、電子車両誘導システム5は、特に、学習走行の間にどの捕捉装置からのどの情報を用いるかを決めて軌道12を決定するベースとして少なくとも1つの条件を考慮するインテリジェントシステムを提供する。このような状況において、周囲環境条件、例えば、温度および/または天候状況が、軌道12を決定するために捕捉した情報を用いるかどうかを決めるために用いられ得る。
【0040】
ただし、決定的であると理解すべきでない図示例において、特にカメラの形態にある捕捉装置9の比較的限定された捕捉領域を理由として、これらの装置は、比較的高速で記録するのに適していないか、または限定された範囲でしか適していないため、それらの情報は軌道12を決定するために用いられないことを示すことが意図されている。
【0041】
したがって、捕捉装置7、8の方が、特に、それらの捕捉状態が損なわれておらず、したがって、例えば捕捉機能を損なうようなレンズおよび/またはダイアフラムおよび/またはレーダーセンサの汚れがない場合、捕捉領域の位置および/または向きを理由として適している。好適には、このことがチェックされ得る。
【0042】
特に少なくとも半自律的な態様で、好適には完全に自律的な態様で車両3が再び出発点10から走行してパーキングエリアPまで走行する、学習走行に続く後続走行または反復動作において、この移動は、少なくとも一回の後続走行において、学習走行とは異なる条件で実施される。具体的には、車両3を、ここでは学習走行の間の第1速度と異なる第2速度で移動させる。第2速度は、好適には第1速度より遅く、具体的には30km/h未満である。このような低速では、車両3の側方のすぐ近傍にあるさらなる特徴、例えば縁石、ライン、芝生の縁部等を正確に捕捉することができる。これは、第2捕捉装置を構成する捕捉装置9により可能となる。捕捉装置7および8の捕捉領域は別の方向を向いているため、これらの捕捉装置7、8を使用して車両3の左側および右側において真横および近傍にある物体を適切に捕捉することはできない、または限定された範囲でしか適切に捕捉できない。これは、捕捉装置9により可能となる。したがって、特に後続走行の間に、特に捕捉装置9の捕捉領域の向きを考慮して、また車両3の遅い速度を考慮して、車両3のすぐ近くおよび側方に存在するこれらの周囲環境領域をも正確に捕捉することができる。この少なくとも一回の後続走行の間に、第2捕捉装置9からのこの情報は、特に、学習走行の間に走行した軌道12を更新するかどうかを評価するために考慮される。図示のように、車両3は、後続走行において、本例では軌道12から逸脱した後続の軌道13に沿って走行する。特に、ここでは、例示として、学習走行におけるパーキングエリアP内の車両3の目標位置、したがって終了位置が、後続走行における終了位置から逸脱していることも理解される。これに関して、学習走行における車両3の終了位置は、破線で示されている。
【0043】
特に軌道12と後続の軌道13との間に偏差、具体的には許容値を超える偏差がある場合、学習走行におけるデータ、およびしたがって軌道12は更新される。
【0044】
許容値は、例えば、軌跡12と軌跡13との間の距離、および/または軌跡12と軌跡13との交点の個数、および/または軌跡12および軌跡13の曲率によって形成され得る。特に、軌道12のパーキングエリアP内の車両3の終了位置に、後続の軌道13のパーキングエリアP内の車両3の終了位置からの偏差がある場合、更新が実施される。具体的には、学習走行と異なる少なくとも1つの所定の条件下で実施された、特に減速して実施された少なくとも一回の後続走行の間に、車両3と周囲環境11内の静止した物体であって特に車両3に近い物体との間の距離が、例えば特に超音波センサによっても良好に記録され得る。
【0045】
情報は、周囲環境マップに保存され得る。例えば、軌道改善のための物体データや物体依存速度プロファイル等もここに保存され得る。
【0046】
このシナリオにより、例えば蛇行する通りのような、周囲環境11内の特徴や物体が頻繁に変化することを良好に捕捉することができる。これは、車両3の遅い速度において良好に捕捉され得る。なぜならば、このような状況において、非常に高い物体密度をより高い精度で捕捉できるからである。
【0047】
また、車両のユーザが、特に後続走行の間に捕捉された情報を軌道12の更新に考慮することを意図されるかどうかを決定することも想定され得る。これは、例えば、車両3の入力ユニット14への入力により実施することができる。
【図
【国際調査報告】