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特表2022-517379通気システムを備える可動キャビン及びその通気方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-08
(54)【発明の名称】通気システムを備える可動キャビン及びその通気方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20220301BHJP
   E04B 1/348 20060101ALI20220301BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20220301BHJP
   F24F 7/10 20060101ALI20220301BHJP
   E04B 1/343 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
E04H1/12 A
E04H1/12 302Z
E04B1/348 N
F24F7/06 B
F24F7/10
E04B1/343 Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541079
(86)(22)【出願日】2020-01-15
(85)【翻訳文提出日】2021-08-17
(86)【国際出願番号】 IB2020050306
(87)【国際公開番号】W WO2020148674
(87)【国際公開日】2020-07-23
(31)【優先権主張番号】P201900004
(32)【優先日】2019-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521311632
【氏名又は名称】シレン オーウー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルジェ、エンドラス
【テーマコード(参考)】
3L058
【Fターム(参考)】
3L058BE08
3L058BG02
(57)【要約】
本発明は吸音機能を有する可動キャビンを開示し、キャビンは、必要に応じて、接続デバイスによりモジュールとして相互接続されてより大きいセットのキャビンになることができ、また必要に応じて再び脱着され、個別のキャビン又はより小さいセットのキャビンとして使用され得る。本発明は、可動キャビンの通気方法も開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気システム(1)を備える可動キャビンであって、該可動キャビンは、天井(2)と、フロア(3)と、側壁パネル(4)と、後壁パネル(5)と、吸音手段を装備する前壁パネル(6)とを備え、前記後壁パネル又は前記前壁パネルのいずれか或いは両方がドア(7)を備え、前記通気システムが、前記キャビン天井(2)においてその外部部分にある少なくとも1つのベンチレータ(8)、前記キャビン天井(2)にある少なくとも1つの空気吸入口通路(9)及び少なくとも1つの空気吸入口(10)、並びに前記キャビンの下側部分にある少なくとも1つの空気排出口を備え、
前記キャビンが、任意選択で、電気、通信、又は複合媒体のシステム、及び家具をさらに備え、
前記キャビンが、より大きい部屋の中に個別に据え付けられるように設計され、前記キャビンが、モノリシックであり、別の配置場所まで移動可能になっており、キャビン・モジュールを形成するために固定具を使用して別のキャビンに相互接続可能になっている、前記可動キャビンにおいて、
前記キャビンの前記フロア(3)の下に調整可能な支持脚部(12)及び360度回転するホイール(13)が存在し、それにより、前記キャビン(1)と前記部屋の地上面(17)との間に隙間(18)が形成されており、前記キャビン(1)が、一人の人間により前記ホイール(13)の補助で任意の方向に移動可能であり、
前記キャビンがキャビン・モジュールを形成するために別のキャビンに着脱自在に取り付け可能であり、この目的のために、接続要素(14)及び固定具(15)が提供されており、
前記ベンチレータ(8)、前記吸入口通路(9)、前記空気吸入口(10)、及び前記空気排出口が、一体に、空気循環のためのシステムを形成し、その結果、空気が、前記フロア(3)の下から、前記フロアと前記部屋の前記地上面(17)との間の隙間(18)を通って周囲環境に、前記キャビンの外へと誘導され、
前記ベンチレータ(8)及び前記空気吸入口(10)を接続する前記空気吸入口通路(9)が直線であり、1つのチャンネルから構成され、特別な形状のパーティション壁である吸音手段を装備し、
前記空気吸入口(10)が、前記キャビン(1)の内部の、前記天井(2)の内側部分の角部に形成され、
前記空気排出口が、前記フロア(3)と前記側壁パネル(4)の接続点において前記キャビン(1)の内部に形成される空気排出口チャンネル(11)であり、前記空気排出口が前記側壁パネル(4)を貫通しない
ことを特徴とする、可動キャビン。
【請求項2】
前記キャビンの使用時、前記支持脚部(12)が、前記キャビン(1)を前記支持脚部(12)の上に着座させるような、及び前記ホイール(13)を前記部屋の前記地上面(17)に接触させないような位置に調整されることを特徴とする、請求項1に記載のキャビン。
【請求項3】
前記キャビンの非使用時、前記支持脚部(12)が、前記キャビン(1)を前記ホイール(13)の上に着座させるような位置に調整されることを特徴とする、請求項1に記載のキャビン。
【請求項4】
前記支持脚部(12)が、前記キャビンの中から、前記フロア(3)を通るように調整されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載のキャビン。
【請求項5】
前記空気吸入口(10)が前記天井(2)の内部の両角部にあり、前記空気排出口チャンネル(11)が前記フロア(3)と前記側壁パネル(4)の両方の接続点にあることを特徴とする、請求項1に記載のキャビン。
【請求項6】
前記キャビンの前記接続要素(14)が前記キャビンを深さ方向に貫通し、前記接続要素(14)がねじ切りされた端部を備える金属の接続棒であり、前記固定具(15)がナットであることを特徴とする、請求項1に記載のキャビン。
【請求項7】
前記キャビンが相互接続される場合、前記接続要素(14)が固定具(15)の補助により隣のキャビンの前記接続要素によって延長可能であることを特徴とする、請求項1及び6に記載のキャビン。
【請求項8】
キャビンが相互接続されている場合、磁気吸着式のストリップ(16)が前記後壁パネル(5)及び/又は前記前壁パネル(6)から取り外されており、必要に応じて、前記後壁パネル(5)又は前記前壁パネル(6)のいずれかのみ或いはその両方が取り外されており、前記接続要素(14)が前記キャビンを貫通するように装着されており、前記接続要素(14)が固定具(15)の補助により別のキャビンの前記接続要素(14)に延長されており、端にある前記キャビンにおいて、前記接続要素(14)が固定具(15)により前記キャビンに固定されていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載のキャビン。
【請求項9】
前記空気吸入口通路(9)の前記吸音手段が前記空気吸入口通路の中に音響迷路を形成することを特徴とする、請求項1に記載のキャビン。
【請求項10】
ベンチレータ、可動キャビンの天井の中にある空気吸入口通路及び空気吸入口、並びに前記キャビンの下側部分にある空気排出口を使用して空気循環を確立するための、複数のステージを備える通気システムを備える可動キャビンの通気方法であって、
空気吸入口通路(9)、及び前記天井(2)の内部部分の角部に位置する空気吸入口(10)を装備する多様な形状のパーティション壁によって形成される直線の1チャンネル式吸音手段により、前記天井(2)の外部部分にあるベンチレータ(8)から前記キャビン(1)の中へ空気が誘導され、
前記キャビン(1)のフロア(3)の下まで前記側壁パネル(4)を貫通しない、前記側壁パネル(4)と前記フロア(3)の接続点のところにある空気排出口チャンネル(11)を通して、さらにはそこから、前記キャビン(1)と部屋の地上面(17)との間の隙間(18)を通して、周囲環境に、前記キャビンから空気が排出され、
前記キャビン内部で十分な空気循環を保証するように、及び外部環境からの音が所望の限界値を超えることがないように、引き出される空気の量が調整される
ことを特徴とする、方法。
【請求項11】
前記空気吸入口(10)が前記天井(2)の内部の両角部に作られ、前記空気排出口チャンネル(11)が前記フロア(3)と前記側壁パネル(4)の両方の接続点のところに作られることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項12】
前記空気吸入口(9)の前記吸音手段により前記空気吸入口通路の中に音響迷路が形成されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建設作業の分野に属し、より詳細には、本発明は、部屋の中で移転させることが容易であり、吸音機能を有する通気システムを備えるモノリシック・キャビンを含む。このキャビンは、必要に応じて、可動方式でモジュールとして相互接続され、それにより、より大きいキャビン・セットを形成することができ、また必要に応じて、このより大きいキャビン・セットを、再び個別のキャビン又はより小さいキャビンのセットへと脱着することができる。このキャビンは、例えば、オープン・オフィスにおいて区切られたミーティング・ルームとして使用できる。
【背景技術】
【0002】
例えば、電話をかけるための場所又はくつろぐための及び/若しくは休憩するための場所として、或いは小さいワーク・グループのためのミーティング・ルーム又はビデオ会議室としてなど、オープン・オフィス又は様々な目的のための他の大きい部屋の中で複数の防音キャビンが使用されることが知られている。このようなキャビンは、吸音材料に加えて、個別の通気システムをさらに有し、さらに任意選択で、家具、通信システム、及び照明をさらに有する。一部の既知のキャビンは、キャビンを移転させるのを容易にするホイールを有する。このような移転の一部はモジュール式のシステムとして解決されるものであり、モジュール式のシステムによりキャビンを相互接続することが可能となる。
【0003】
例えば、Vank SP.O O.Zによる単一の壁要素から構成されるキャビンが知られている(https://vank.pl/en/product/wall2-box-1)。この解決策はホイールを有さず、それにより個別の壁要素から構成されるキャビンを移転させることが困難となる。ここでのモジュール式の構造とは、壁要素を組み立てることが必要であることを意味する。
【0004】
カプセル形状のキャビンが知られている(1998年8月18日公開のコクヨ株式会社の特開平10-219889号公報)。この解決策は、キャビンを結合して完全なモジュールにすることを可能としない。
【0005】
モジュール式のキャビンが知られており(2010年2月8日公開のAlti Electronics CO,LDTのKR20100012145)、このモジュール式のキャビンは、キャビンの下に取り付けられるホイールによって移動させられ得、これらのホイールはガイド・レールに沿って移動する。このような解決策は通気機能を有さず、予め設置されるガイド・レールに沿ってキャビンが一方向のみに移動させられ得る。また、キャビンはホイールの上にしか着座することができず、したがって使用中にキャビンが不安定になる。
【0006】
ホイールの上にある拡張可能な可動監視室(surveillance room)が知られており(2009年12月1日公開のYoo On BoopのKR20090122663)、この可動監視室は、主部屋の両側に取り付け可能である別個の追加の部屋を有する主部屋を備える。この解決策の欠点は、監視室がホイールの上にしか着座せず、したがって使用中に不安定になることである。また、これは防音キャビンではない。
【0007】
技術的性質の点で本発明に最も近いものとして、通気機能を有する可動キャビンのための国際特許出願WO2017181133、及び可動キャビンのための通気方法のための国際出願WO2018011462がある。
【0008】
国際出願WO2017181133の「Mobile cabin」(ZGF ARCH LLP、2017年10月19日公開)は、一体型の家具による拡張可能な使用を可能にする、ホイール上にある可動ワークプレイスであり、この可動ワークプレイスは非使用時に閉鎖され得、つまりこの可動ワークプレイスは閉位置にある場合には閉じられたドアを有するクローゼットとなる。このワークプレイスは移送のために分解され得、使用時に容易に再組み立てされ得る。複数のワークプレイスがハードウェアによって相互接続され、多様な形状及び目的を有するモジュールを形成することができる。この解決策の欠点は、ワークプレイスがホイールの上に着座するものであり、それにより使用時に不安定になることである。また、このワークプレイスも防音キャビンではなく、別個の通気システムも必要としない開放的なワークステーションである
【0009】
国際出願WO2018011462の「Ventilation system and method」(Framery OY、2018年1月18日公開)は、通気システムを備える吸音キャビン及びその通気方法を含む。通気システムは、天井に設置されるベンチレータを備え、このベンチレータは、空気が2チャンネル式エア・ダクトを通ってキャビンの中に入ることができる空気吸入口と、側壁を貫通しているか又はフロアの中に配置される空気排出口とにつながっており、それによりキャビンの中に空気流れが作られ、この空気流れは、空気量を十分な量にするようにし、且つ外部環境からの騒音レベルが規定の限界値を超えないようにするように調整される。この解決策の欠点は2チャンネル式エア・ダクトであり、ここでは、第1のチャンネルの空気が水平パーティション壁の周りで逆方向に誘導されてもう一方の空気チャンネルに入り、それにより通気のパワー及び速度が低下し、さらにはこの解決策のためにキャビン内で移動する空気の量も減少する。結果として、空気循環を十分な程度まで増大させるために、ベンチレータの動作速度を増大させることが必要となり、それによりエア・ダクトを通ってキャビンに入る騒音レベルも増大する。騒音を吸収するための十分な手段がエア・ダクト内に存在しないことによっても、外部環境からキャビンに入る騒音レベルが増大する。また、キャビンの側壁に配置される空気排出口を使用することでキャビンの使用が制限されてしまう(キャビンから外に出る空気流れが妨害されてしまうことから、キャビンが例えば別のキャビンの隣に又は壁のところに配置され得えない)。加えて、側壁を貫通する空気排出口がキャビン内での外部騒音レベルを増大させる。また、これは可動キャビンでもない。その理由は、部屋の中でのその配置場所を変更するためには、キャビンを完全に解体して後で再組み立てしなければならないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10-219889号公報
【特許文献2】韓国特許出願公開第20100012145号明細書
【特許文献3】韓国特許出願公開第20090122663号明細書
【特許文献4】国際出願公開第2017181133号
【特許文献5】国際出願公開第2018011462号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】https://vank.pl/en/product/wall2-box-1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、通気システム及び吸音のための手段を有する、部屋の中で容易に移転されるモノリシックの可動キャビンを構築することであり、キャビンは、必要に応じて、接続デバイスによりモジュールとして相互接続されてより大きいセットのキャビンにすることができ、必要に応じて、キャビンが再び脱着されて個別のキャビン又はより小さいセットのキャビンとして使用され得る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
キャビンは、天井、フロア、互いに向かい合う2つの側壁パネル、後壁パネル、及び前壁パネルを備え、好適には、後壁パネル及び/又は前壁パネルが透明材料で作られ、後壁パネル及び前壁パネルの一方又は両方がドアを備える。キャビンの内側構造が吸音材料で覆われるか又は吸音材料で作られる。キャビンの通気システムは吸音デバイスを有する。
【0014】
キャビンは、部屋の地上面より高いところまでキャビンを持ち上げるような方式で、フロアの下にある調整可能な支持脚部又はホイールの上に着座する。使用時、ホイールを部屋の地上面に接触させないような方式で、キャビンがフロアの下にある調整可能な支持脚部によって支持される。支持脚部は、キャビンの中から、フロアを通す形で調整可能である。ホイールが360度回転し、したがって可動キャビンは、非使用時、容易である可動方式で、一人の人間により部屋の中で任意の方向に移転可能である。キャビンの使用時とは、キャビンが永続的に移動不可であり、使用の準備が整っている(つまり、人がその内部に存在することが可能である)ことを意味する。キャビンの非使用時とは、支持脚部が、キャビンがホイールの上に着座するような位置に調整され、キャビンが、容易である可動方式で一人の人間により部屋の中で新しい配置場所まで移転されるのが可能であり、並びに/或いはキャビン自体を解体することなくキャビンを別のキャビンに接続するか又はキャビンを別のキャビンから脱着することを目的としてキャビンを移動させることが可能である、ことを意味する。
【0015】
可動キャビンは、キャビン天井の外部部分にある少なくとも1つのベンチレータと、吸音デバイスを備える少なくとも1つの直線の1チャンネル式空気吸入口通路と、天井の内部部分の角部にある少なくとも1つの空気吸入口と、キャビン・フロアと側壁パネルの接触点のところにある少なくとも1つの空気排出口チャンネルと、を備える通気システムを備え、これらが空気循環を確立するように相互作用し、その結果として、空気が、フロアの下から、キャビンと部屋の地上面との間の隙間を通ってキャビンから引き出される。
【0016】
任意選択で、キャビンは、電気・通信・複合媒体システム(electricity, communication and multimedia system)、及び家具を備える。
【0017】
キャビンは、深さ方向においてキャビンを貫通する接続デバイスのセットにより別のキャビンに相互接続され得(及び、互いから脱着され得)、それにより、必要に応じてより大きいセットのキャビンがモジュールとして形成され得る。接続デバイスのセットは、固定具を備える接続要素を備える。
【0018】
本発明によれば、本発明に対応するキャビンの通気方法がさらに開示され、ここでは、周囲環境の空気が、天井の外部部分に位置するベンチレータにより、吸音デバイスを備える直線の1チャンネル式空気吸入口通路及び天井の内部部分にある空気吸入口を通して、キャビンの中に引き入れられ、さらに、側壁パネルとキャビン・フロアの接触点のところにある空気排出口チャンネル(側壁パネルを貫通していない)を通ってさらにそこからキャビンと部屋の地上面との間の隙間を通って周囲環境中にキャビンから排出される。こうすることで、キャビン内で十分な空気循環が保証され、キャビンの内部が規定の吸音制限範囲内で維持される。ベンチレータの数及びその動作速度により、空気吸収量が調整され得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】キャビンの概念的解決策(conceptual solution)を示す断面図である。
図2A】キャビンが使用時である状態(支持脚部によって支持される状態)のフロアを示す断面図である。
図2B】キャビンが非使用時である状態(ホイールによって支持される状態)のフロアを示す断面図である。
図3】キャビンの取り付け及び脱着のための概念的解決策を示す図である。
図4】通気方法のための概念的解決策を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施例によれば、通気システムを備える可動キャビン1は、天井2と、フロア3と、側壁パネル4と、後壁パネル5と、前壁パネル6と、ドア7と、天井2の外部部分にある少なくとも1つのベンチレータ8と、天井2の内部部分にある空気吸入口10及びベンチレータ8と、ベンチレータ8と空気吸入口10を接続する空気吸入口通路9と、キャビン・フロア3と側壁パネル4の接続点のところにある空気排出口チャンネル11(側壁パネル4を貫通していない)と、調整可能な支持脚部12と、キャビン・フロア3の下にある回転ホイール13と、後壁パネル5及び前壁パネル6のための磁気吸着式の固定具15及びストリップ16を含む、キャビンのための接続要素14と、任意選択の、電気、通信及び/又は複合媒体のシステムと、キャビンの中に据え付けられる家具と、を備える。ドア7は、後壁パネル5及び前壁パネル6の両方に又は後壁パネル5及び前壁パネル6の一方にあってよい。
【0021】
側壁パネル4は、耐久性のある積層表面で作られ、吸音のために特別な材料が使用される。さらに、側壁パネル4の内側表面が音響パネルによって覆われる。後壁パネル5及び前壁6並びにドア5は、好適には積層ガラスから作られ、その層の間に吸音フィルムを有する。
【0022】
キャビンの支持脚部は、キャビン1のフロア3の下に永続的に取り付けられ、キャビン1のフロア3にある開口部を通して垂直方向に調整可能である。ホイール13は、キャビンのフロア3の下に永続的に取り付けられ、360度回転させられる。キャビンのフロア3は部屋17の地上面(部屋のフロア)によって支持されないが、部屋17の地上面(部屋のフロア)からキャビン1を上昇させるように支持脚部12及びホイール13によって支持される。したがって、隙間18(空隙)がキャビンのフロア3と部屋の地上面17との間で維持され、隙間18がキャビン1から空気を排出するために通気システムとの相互作用に使用され、隙間18により部屋の中でキャビンをホイール13上で移動させることが可能となる。
【0023】
使用時、キャビン1がキャビンのフロア3の下で調整可能な支持脚部12によって支持される。加えて、360度回転するホイール13がキャビンのフロア3の下に取り付けられており、360度回転するホイール13により、可動キャビンが、非使用時、一人の人間により部屋の中で任意の方向に容易に移転され得る。
【0024】
キャビン1の「使用時」とは、キャビン1が1つの配置場所において永続的に移動不可であり、使用の準備が整っている(つまり、人がその内部に存在することが可能である)、ことを意味する。キャビンの「非使用時」とは、支持脚部12が、ホイール13により地上面17の上でキャビン1を支持するように調整される位置(降下位置)にあり、したがって、一人の人間により部屋の中でキャビンを新しい配置場所まで容易に移転させることが可能であり、並びに/或いはキャビンを別のキャビンに取り付けるか又は別のキャビンから脱着するために移動させることが可能であることを意味する。
【0025】
キャビン1はモノリシックであり、後壁パネル5及び/又は前壁パネル6を予め取り外すことにより、別のキャビンに着脱自在に取り付け可能であり、それにより2つ以上のキャビンからなるキャビン・モジュールを形成する。この目的のため、固定具15を備える接続要素14が使用される。接続要素14は、好適には、ねじ切りされた端部を備える金属の接続棒であり、固定具15は、好適にはナットである。接続要素14がキャビンを深さ方向に貫通する。キャビンが固定具15によって相互接続されている場合、接続要素14が隣のキャビンの接続要素14によって延長され得る。キャビンが相互接続されている場合、キャビンの後壁パネル5及び/又は前壁パネル6を覆う磁気アタッチメントを備えるストリップが最初に取り外され、接続要素14が装着され、接続要素14がキャビンを貫通し、キャビンが固定具15により他のキャビンの接続要素14に接続される。
【0026】
可動キャビンは、外部環境からキャビンの中へ空気を導き入れるように設計される、キャビン1の天井2の外部部分にある少なくとも1つのベンチレータ8と、キャビン1の中へ空気を誘導するための、天井2の内部部分の角部にある少なくとも1つの空気吸入口10と、ベンチレータ8と空気吸入口10を接続する空気吸入口通路9と、を備える通気システムを備える。加えて、キャビン1の内部にある通気システムは、キャビン・フロア3と側壁パネル4の接触点のところにある空気排出口チャンネル11を備え、これらの相互作用が空気循環を確立し、結果として、空気が、フロアの下から、キャビン1と部屋の地上面17との間の隙間18を通って、キャビンから排出される。空気吸入口通路9は、直線の1チャンネル式であり、吸音手段を有し、吸音手段は多様な形状のパーティション壁であり、パーティション壁から音響迷路(labyrinth)(図面には示されない)が形成され、音響迷路が吸入口通路9内で空気及び音を直進的に移動させるのを防止し、それにより、キャビンに入るベンチレータ8及び外部環境の音を吸収する。本発明は、好適には、キャビン1の天井の内部部分の両方の角部のところに入り込む2つの空気吸入口10を備え、それにより、キャビンの中に存在する人の頭部の真上(例えば、キャビン天井の中央部分から)では空気がキャビン1に入らないため、キャビンに入る外部環境の音がさらに吸収される。吸音の技術的側面として、空気排出口チャンネル11が側壁パネル4を貫通しないということもあり、それにより、外部環境の騒音がキャビンに入ることがやはり防止される。
【0027】
本発明は、本発明に対応する可動キャビンの通気方法をさらに開示し、この方法は、少なくとも1つのベンチレータ8により、周囲環境から、キャビンの天井2の中に位置する吸音手段を装備する直線の単一チャンネル式空気吸入口通路9及び天井2の内部部分の角部にある空気吸入口10を通して、キャビン1の中へ空気を導き入れること、並びに、キャビン1のフロア3の下にある、キャビン・フロア3と側壁パネル4の接触点のところにある空気排出口チャンネル11により、さらにはそこから、キャビンと部屋17の地上面との間の隙間18を通して周囲環境に戻すように、キャビンから空気を排出すること、を含む。こうすることで、キャビン内で十分な空気循環が保証され、キャビンの内部が規定の吸音制限範囲内で維持される。ベンチレータの数及びその動作速度により、空気吸収量が調整され得る。
【0028】
本発明は、分離されるミーティング・ルーム、電話をかけるための場所、休憩のための場所又は一定程度のプライバシーを必要とし、したがってオープン・スペースには適さない別の目的のための場所として、より大きい部屋の中で使用され得る。本発明に対応するキャビンは部屋の中で容易に移転され得、必要に応じてより多くの/より少ない人数に適合され得る。
【0029】
本発明の示される実施例で使用される、ベンチレータ、空気吸入口通路、空気吸入口、空気排出口チャンネル、支持脚部、ホイール、接続要素、及び固定具の数は固定されない。その理由は、必要に応じてこれらが追加及び/又は排除され得るからである。相互接続され得るキャビンの数も制限されない。好適には、最初のキャビンは二人の人間にとって十分な大きさであり(二人を収容する)、見込まれるキャビン・モジュールは、例えば、4人、6人、8人などのためのものである。
【符号の説明】
【0030】
1 キャビン
2 天井
3 フロア
4 側壁パネル
5 後壁パネル
6 前壁パネル
7 ドア
8 ベンチレータ
9 空気吸入口通路
10 空気吸入口
11 空気排出口チャンネル
12 支持脚部
13 ホイール
14 接続要素
15 固定具
16 ストリップ
17 部屋の地上面
18 キャビン1と地上面17との間の隙間
図1
図2A
図2B
図3
図4
【国際調査報告】