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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-08
(54)【発明の名称】中胚葉キラー(MK)細胞
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/077 20100101AFI20220301BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220301BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20220301BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
C12N5/077
A61P35/00
A61K35/17 Z
A61K35/17 A
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541188
(86)(22)【出願日】2020-01-13
(85)【翻訳文提出日】2021-09-10
(86)【国際出願番号】 GB2020050060
(87)【国際公開番号】W WO2020148520
(87)【国際公開日】2020-07-23
(31)【優先権主張番号】1900554.5
(32)【優先日】2019-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1916842.6
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521312732
【氏名又は名称】セル セラピー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(72)【発明者】
【氏名】チャップマン、リー
(72)【発明者】
【氏名】スルタン、サビーナ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AC20
4B065BB14
4B065BB40
4B065BC50
4B065CA24
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB37
4C087BB64
4C087DA31
4C087MA02
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB22
4C087ZB26
4C087ZC75
(57)【要約】
本発明は、中胚葉キラー(MK)細胞、及び療法における、特にがんを治療するためのその使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出可能なレベルのCD112、CD137L、CD178、CD253、及びCD277を発現し、検出可能なレベルのCD34及びCD45を発現しない中胚葉キラー(MK)細胞。
【請求項2】
検出可能なレベルのCD16、CD96、CD112、CD137L、CD178、CD253、及びCD277を発現し、検出可能なレベルのCD34、CD45、及びCD56を発現しない、請求項1に記載のMK細胞。
【請求項3】
検出可能なレベルのCD14を発現しない、請求項1又は2に記載のMK細胞。
【請求項4】
検出可能なレベルのCD25を発現する、上記請求項のいずれか一項に記載のMK細胞。
【請求項5】
検出可能なレベルのCD136を発現する、上記請求項のいずれか一項に記載のMK細胞。
【請求項6】
検出可能なレベルのCD155を発現する、上記請求項のいずれか一項に記載のMK細胞。
【請求項7】
検出可能なレベルのCD183を発現する、上記請求項のいずれか一項に記載のMK細胞。
【請求項8】
検出可能なレベルのCD205を発現する、上記請求項のいずれか一項に記載のMK細胞。
【請求項9】
検出可能なレベルのCD332を発現する、上記請求項のいずれか一項に記載のMK細胞。
【請求項10】
(a)検出可能なレベルのCD102及び/若しくはCD127を発現しない、(b)検出可能なレベルのCD104を発現しない、(c)検出可能なレベルのCD50、CD62E、CD62L、及びCD62Pのうちの1つ以上を発現しない、又は(d)(a)~(c)の任意の組み合わせである、上記請求項のいずれか一項に記載のMK細胞。
【請求項11】
検出可能なレベルのCD328を発現する、上記請求項のいずれか一項に記載のMK細胞。
【請求項12】
検出可能なレベルのCD158d、CD158i、CD160、CD314、及びCD337のうちの1つ以上を発現する、上記請求項のいずれか一項に記載のMK細胞。
【請求項13】
検出可能なレベルのCD159cを発現する、上記請求項のいずれか一項に記載のMK細胞。
【請求項14】
検出可能なレベルのCD158b2、CD158f、及びCD159aのうちの1つ以上を発現する、上記請求項のいずれか一項に記載のMK細胞。
【請求項15】
検出可能なレベルの(a)ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド1(CXCL1、別名GROa)、(b)インターロイキン-12(IL-12)、(c)可溶性IL-2受容体(IL-2Ra)、(d)IL-8、(e)可溶性TRAIL、及び(f)IL-6のうちの1つ以上を分泌する、上記請求項のいずれか一項に記載のMK細胞。
【請求項16】
上記請求項のいずれか一項に記載の2つ以上のMK細胞の集団。
【請求項17】
MK細胞の集団であって、前記集団内の細胞の約15%超が検出可能なレベルのCD112、CD137L、CD178、CD253、及びCD277を発現し、前記集団内の細胞の約5%以下が検出可能なレベルのCD34及びCD45を発現する集団。
【請求項18】
前記集団内の細胞の約15%超が検出可能なレベルのCD16、CD96、CD112、CD137L、CD178、CD253、及びCD277を発現し、前記集団内の細胞の約5%以下が検出可能なレベルのCD34、CD45、及びCD56を発現する、請求項16に記載のMK細胞の集団。
【請求項19】
MK細胞の集団であって、
(i)前記集団内の細胞の少なくとも約20%が、検出可能なレベルのCD112を発現し、
(ii)前記集団内の細胞の少なくとも約80%が、検出可能なレベルのCD137Lを発現し、
(iii)前記集団内の細胞の少なくとも約20%が、検出可能なレベルのCD178を発現し、
(iv)前記集団内の細胞の少なくとも約50%が、検出可能なレベルのCD253を発現し、
(vi)前記集団内の細胞の少なくとも約50%が、検出可能なレベルのCD277を発現し、
且つ
(a)前記集団内の細胞の約5%以下が、検出可能なレベルのCD34を発現し、
(b)前記集団内の細胞の約5%以下が、検出可能なレベルのCD45を発現する集団。
【請求項20】
請求項19に記載のMK細胞の集団であって、
(i)前記集団内の細胞の少なくとも約15%が、検出可能なレベルのCD16を発現し、
(ii)前記集団内の細胞の少なくとも約50%が、検出可能なレベルのCD96を発現し、
(iii)前記集団内の細胞の少なくとも約20%が、検出可能なレベルのCD112を発現し、
(iv)前記集団内の細胞の少なくとも約80%が、検出可能なレベルのCD137Lを発現し、
(v)前記集団内の細胞の少なくとも約20%が、検出可能なレベルのCD178を発現し、
(vi)前記集団内の細胞の少なくとも約50%が、検出可能なレベルのCD253を発現し、
(vii)前記集団内の細胞の少なくとも約50%が、検出可能なレベルのCD277を発現し、
且つ
(a)前記集団内の細胞の約5%以下が、検出可能なレベルのCD34を発現し、
(b)前記集団内の細胞の約5%以下が、検出可能なレベルのCD45を発現し、
(c)前記集団内の細胞の約5%以下が、検出可能なレベルのCD56を発現する集団。
【請求項21】
(a)請求項16~20のいずれか一項記載に記載のMK細胞の集団と、(b)薬学的に許容し得る担体又は希釈剤と、を含む医薬組成物。
【請求項22】
NK細胞の集団を更に含む、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
請求項16~20のいずれか一項に記載のMK細胞の集団を生成する方法であって、(a)単核細胞(MNC)が免疫調節性前駆(iMP)細胞に分化するように誘導する条件下でMNCを培養することと、(b)低酸素条件下、及び前記iMP細胞を接着させMK細胞に分化させる条件下において、1つ以上のリボヌクレオシド、1つ以上のデオキシリボヌクレオシド、及び血小板溶解物を含む培地中で前記iMP細胞を培養することと、を含む方法。
【請求項24】
請求項16~20のいずれか一項に記載のMK細胞の集団を生成する方法であって、低酸素条件下、及びiMP細胞を接着させてMK細胞に分化させる条件下において、1つ以上のリボヌクレオシド、1つ以上のデオキシリボヌクレオシド、及び血小板溶解物を含む培地中でiMP細胞を培養することを含む方法。
【請求項25】
NK細胞の集団をプライミングするインビトロ法であって、前記NK細胞の活性を高める条件下で、請求項16~20のいずれか一項に記載のMK細胞の集団と共に前記NK細胞の集団をインキュベートすることを含む方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法を使用して生成された、プライミングされたNK細胞の集団。
【請求項27】
(a)請求項26に記載のプライミングされたNK細胞の集団と、(c)薬学的に許容し得る担体又は希釈剤と、を含む医薬組成物。
【請求項28】
NK細胞の集団をプライミングするインビボ法であって、被験体におけるNK細胞の活性を高める条件下で、請求項16~20のいずれか一項に記載のMK細胞の集団又は請求項21若しくは22に記載の医薬組成物を前記被験体に投与することを含む方法。
【請求項29】
被験体におけるがんを治療する方法であって、(a)請求項16~20のいずれか一項に記載のMK細胞の集団、(b)請求項25に記載のプライミングされたNK細胞の集団、(c)請求項16~20のいずれか一項に記載のMK細胞の集団及びNK細胞の集団、又は(d)請求項21、22、若しくは26に記載の医薬組成物を前記被験体に投与することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中胚葉キラー(MK)細胞、及び療法における、特にがんを治療するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
中胚葉細胞は、多くの組織に由来し、他の細胞型の支持構造として作用する。骨髄は、例えば、造血細胞及び間葉系由来細胞の両方で構成される。2つの主な間葉系細胞型、すなわち、(i)間葉系幹細胞(MSC)及びその前駆体と(ii)骨髄にみられる間葉系前駆細胞(MPC)とが既に報告及び特性評価されている。間葉系幹細胞(MSC)は、多能性成体幹細胞である。MSCは、分化して骨格組織にみられる様々な特殊な細胞を形成する。例えば、軟骨の細胞(軟骨細胞)、骨の細胞(骨細胞))、脂肪の細胞(脂肪細胞)などに分化することができる。
【0003】
MSCは、加齢黄斑変性症(AMD)及び心筋梗塞の治療などの様々な療法において既に使用されている。被験体に投与されたら、MSCは、典型的には、損傷組織に遊走(又は帰巣)し、パラクリンシグナル伝達を通して、また、損傷組織内の近傍細胞の生存、修復、及び再生を促進することによって、その治療効果を発揮する。
【0004】
MSCがある種の免疫抑制及び免疫強化の特性を保有している可能性があることを示唆するある程度の証拠が存在する。従って、MSCを使用して免疫反応を操作し、それによって、疾患を治療することができる可能性がある。しかし、現在の療法は、典型的には、MSCのサブタイプの混合物を注入することを含むが、該サブタイプの大部分は、必要な免疫調節特性を保有していない。これは、オフターゲット副作用及び体積関連副作用を引き起こす可能性がある高用量の細胞の使用を必要とする。更に、MSCは、典型的には、骨髄から入手されるので、このアプローチに必要な多数の細胞を入手することは困難である。
【0005】
他の中胚葉前駆細胞、すなわち、中胚葉系列の前駆細胞(PML)、免疫調節性前駆(iMP)細胞、及び免疫腫瘍中胚葉前駆(ioMP)細胞も出願人によって開示されている。PMLは、国際出願第PCT/GB2012/051600号(国際公開第2013/005053号として公開)に開示されている。iMP細胞は、国際出願第PCT/GB2015/051673号(国際公開第2015/189587号として公開)に開示されている。ioMP細胞は、国際出願第PCT/GB2016/052447号(国際公開第2017025729号として公開)に開示されている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、これまでに同定も単離もされていない新規の細胞型である中胚葉キラー(MK)細胞に関する。このMK細胞はかなり特徴的であり、その組成、機能、及び特徴がMSC、MPC、PML、iMP細胞、及びioMP細胞とは異なり、これによって、強化された細胞傷害性及びナチュラルキラー(NK)細胞を調節する能力が付与される。MK細胞は、がん細胞を直接殺傷することができる、すなわち、がん細胞傷害性である。MK細胞は、NK細胞をプライミング/活性化する(すなわち、NK細胞の増殖及び/又は細胞傷害活性を高める)ことができる。MKは、好ましくは、炎症部位に免疫細胞を誘引することができる。MK細胞は、類似のナチュラルキラー特徴を示すことからNK細胞にちなんで命名されたが、骨髄などの中胚葉細胞から組織工学的に作製される。このMK細胞はかなり特徴的であり、その組成、機能、及び特徴がNK細胞とは異なる。
【0007】
本発明者らは、驚くべきことに、特異的マーカー発現パターンを有する新規中胚葉キラー(MK)細胞を同定した。具体的には、MK細胞は、CD112、CD137L、CD178、CD253、及びCD277を発現する。MK細胞は、CD16及びCD96を発現し得る。MK細胞は、CD34及びCD45を発現しない。MK細胞は、CD56を発現し得ない。
【0008】
本発明のMK細胞は、骨髄単核細胞(MNC)又は末梢血MNCなどのMNCから単離することができる。MK細胞は、インビトロ及びインビボでNK細胞の細胞傷害活性を高めることができる。MK細胞は、それ自体インビトロ及びインビボでがん細胞を殺傷することができる。これは、実施例に示される。
【0009】
従って、本発明は、検出可能なレベルのCD112、CD137L、CD178、CD253、及びCD277を発現し、検出可能なレベルのCD34及びCD45を発現しない中胚葉キラー(MK)細胞を提供する。
【0010】
また、本発明は、検出可能なレベルのCD16、CD96、CD112、CD137L、CD178、CD253、及びCD277を発現し、検出可能なレベルのCD34、CD45、及びCD56を発現しない、中胚葉キラー(MK)細胞を提供する。
【0011】
本発明はまた、以下を提供する:
- 本発明の2つ以上のMK細胞の集団;
- 本発明のMK細胞の集団であって、集団内の細胞の約15%超が検出可能なレベルのCD112、CD137L、CD178、CD253、及びCD277を発現し、集団内の細胞の約5%以下が検出可能なレベルのCD34及びCD45を発現する集団;
- 本発明のMK細胞の集団であって、集団内の細胞の約15%超が検出可能なレベルのCD16、CD96、CD112、CD137L、CD178、CD253、及びCD277を発現し、集団内の細胞の約5%以下が検出可能なレベルのCD34、CD45、及びCD56を発現する集団;
- MK細胞の集団であって、
(i)集団内の細胞の少なくとも約20%が、検出可能なレベルのCD112を発現し、
(ii)集団内の細胞の少なくとも約80%が、検出可能なレベルのCD137Lを発現し、
(iii)集団内の細胞の少なくとも約20%が、検出可能なレベルのCD178を発現し、
(iv)集団内の細胞の少なくとも約50%が、検出可能なレベルのCD253を発現し、
(v)集団内の細胞の少なくとも約50%が、検出可能なレベルのCD277を発現し、
且つ
(a)集団内の細胞の約5%以下が、検出可能なレベルのCD34を発現し、
(b)集団内の細胞の約5%以下が、検出可能なレベルのCD45を発現する集団;
- MK細胞の集団であって、
(i)集団内の細胞の少なくとも約15%が、検出可能なレベルのCD16を発現し、
(ii)集団内の細胞の少なくとも約50%が、検出可能なレベルのCD96を発現し、
(iii)集団内の細胞の少なくとも約20%が、検出可能なレベルのCD112を発現し、
(iv)集団内の細胞の少なくとも約80%が、検出可能なレベルのCD137Lを発現し、
(v)集団内の細胞の少なくとも約20%が、検出可能なレベルのCD178を発現し、
(vi)集団内の細胞の少なくとも約50%が、検出可能なレベルのCD253を発現し、
(vii)集団内の細胞の少なくとも約50%が、検出可能なレベルのCD277を発現し、
且つ
(a)集団内の細胞の約5%以下が、検出可能なレベルのCD34を発現し、
(b)集団内の細胞の約5%以下が、検出可能なレベルのCD45を発現し、
(c)集団内の細胞の約5%以下が、検出可能なレベルのCD56を発現する集団;
-(a)本発明のMK細胞の集団と、(b)薬学的に許容し得る担体又は希釈剤とを含む医薬組成物;
- 本発明のMK細胞の集団を生成する方法であって、(a)単核細胞(MNC)が免疫調節性前駆(iMP)細胞に分化するように誘導する条件下でMNCを培養することと、(b)低酸素条件下、及び該iMP細胞を接着させMK細胞に分化させる条件下において、1つ以上のリボヌクレオシド、1つ以上のデオキシリボヌクレオシド、及び血小板溶解物を含む培地中で、該iMP細胞を培養することと、を含む方法;
- 本発明のMK細胞の集団を生成する方法であって、低酸素条件下、及びiMP細胞を接着させMK細胞に分化させる条件下において、1つ以上のリボヌクレオシド、1つ以上のデオキシリボヌクレオシド、及び血小板溶解物を含む培地中で、該iMP細胞を培養することを含む方法;
- NK細胞の集団をプライミングするインビトロ法であって、NK細胞の活性を高める条件下で、本発明のMK細胞の集団と共にNK細胞の集団をインキュベートすることを含む方法;
- 本発明の方法を用いて生成された、プライミングされたNK細胞の集団;
-(a)本発明のプライミングされたNK細胞の集団と、(c)薬学的に許容し得る担体又は希釈剤とを含む医薬組成物;
- NK細胞の集団をプライミングするインビボ法であって、被験体におけるNK細胞の活性を高める条件下で、本発明のMK細胞の集団又は本発明の医薬組成物を該被験体に投与することを含む方法;並びに
- 被験体におけるがんを治療する方法であって、(a)本発明のMK細胞の集団、(b)本発明のプライミングされたNK細胞の集団、(c)本発明のMK細胞の集団及びNK細胞の集団、又は(d)本発明の医薬組成物を該被験体に投与することを含む方法。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】MK002及びMK004が、K562(慢性骨髄性白血病)及びRPMI-8226(形質細胞性骨髄腫)の両方に対して、IMP002及びIMP004に比べて有意に高い細胞傷害性を示すことを示す(n=3;t検定)。
図2】MK002及びMK004と共にインキュベートすると、K562(慢性骨髄性白血病)及びRPMI-8226(形質細胞性骨髄腫)に対するNK細胞の細胞傷害性が有意に高まることを示す(n=3;t検定)。MK002=MK002でプライミングしたNK細胞株。MK004=MK004でプライミングしたNK細胞株。
図3】MK004と共にインキュベートすると、RPMI-8226(形質細胞性骨髄腫)及びU266(形質細胞性骨髄腫)に対する初代NK細胞の細胞傷害性が有意に高まることを示す(n=3;t検定)。MK004=MK004でプライミングした初代NK細胞。
図4】培養中の本発明のMK細胞(MK002)を示す。
図5】未処理のとき及びIFN-γ(独立t検定で有意ではない)又はTNF-α(独立t検定)で処理したときに本発明のMK細胞によって分泌されたGROaの量を示す。各列は、5つのバッチからのデータを表す(平均±SEM;n=1)。
図6】未処理のとき及びIFN-γ又はTNF-α(独立t検定で有意ではない)で処理したときに本発明のMK細胞によって分泌されたIL-12の量を示す。各列は、5つのバッチからのデータを表す(平均±SEM;n=1)。
図7】未処理のとき及びIFN-γ(独立t検定)又はTNF-α(独立t検定で有意ではない)で処理したときに本発明のMK細胞によって分泌されたIL-2Raの量を示す。各列は、5つのバッチからのデータを表す(平均±SEM;n=1)。
図8】未処理のとき及びIFN-γ又はTNF-α(独立t検定)で処理したときに本発明のMK細胞によって分泌されたIL-8の量を示す。各列は、4つのバッチからのデータを表す(標準曲線と相関していなかったので、MKPCのデータは含めなかった;平均±SEM;n=1)。
図9】未処理のとき及びIFN-γ又はTNF-α(独立t検定で有意ではない)で処理したときに本発明のMK細胞によって分泌された可溶性TRAILの量を示す。各列は、5つのバッチからのデータを表す(平均±SEM;n=1)。
図10】未処理のとき及びIFN-γ又はTNF-α(独立t検定で有意ではない)で処理したときに本発明のMK細胞によって分泌されたIL-6の量を示す。各列は、5つのバッチ全てからのデータを表す(平均±SEM;n=1)。
図11】(A)対照マウス、(B)未処理の本発明のMK細胞で処理したマウス、(C)IFN-γで処理した本発明のMK細胞で処理したマウス、又は(D)TNF-αで処理した本発明のMK細胞で処理したマウスのエアパウチに存在するNK細胞の百分率を示す(MK006;平均±SEM;n=5;独立t検定)。
図12】(A)対照マウス、(B)未処理の本発明のMK細胞で処理したマウス、(C)IFN-γで処理した本発明のMK細胞で処理したマウス、又は(D)TNF-αで処理した本発明のMK細胞で処理したマウスのエアパウチに存在する単球の百分率を示す(MK006;平均±SEM;n=5;独立t検定)。
図13】MK002及びMK004と共にインキュベートすると、K562(慢性骨髄性白血病)に対する初代NK細胞の細胞傷害性が有意に高めることを示す(平均±SEM;n=3;独立t検定)。
図14】試験したMK細胞の全てのバッチがMCF7に対して細胞傷害性を示すことを示す(平均±SEM;n=2)。
図15】単培養(MC)と比較した、6時間、12時間、又は24時間RPMI-8226と共培養(CC)した後にMK004が発現したGZMB mRNAの量の倍数変化を示す(平均±SD;MC及びCCのいずれについても各時点でn=2;独立t検定)。
図16】単培養(MC)と比較した、6時間、12時間、又は24時間RPMI-8226と共培養(CC)した後にMK004が発現したGZMH mRNAの量の倍数変化を示す(平均±SD;MC及びCCのいずれについても各時点でn=2;独立t検定)。
図17】単培養(MC)と比較した、6時間、12時間、又は24時間RPMI-8226と共培養(CC)した後にMK004が発現したGZMM mRNAの量の倍数変化を示す(平均±SD;MC及びCCのいずれについても各時点でn=2;独立t検定)。
図18】単培養(MC)と比較した、6時間、12時間、又は24時間RPMI-8226と共培養(CC)した後にMK004が発現したGZMA mRNAの量の倍数変化を示す(平均±SD;MC及びCCのいずれについても各時点でn=2;独立t検定)。
図19】単培養(MC)と比較した、6時間、12時間、又は24時間RPMI-8226と共培養(CC)した後にMK004が発現したGZMK mRNAの量の倍数変化を示す(平均±SD;MC及びCCのいずれについても各時点でn=2;独立t検定)。
図20】単培養(MC)と比較した、6時間、12時間、又は24時間RPMI-8226と共培養(CC)した後にMK004が発現したパーフォリンmRNAの量の倍数変化を示す(平均±SD;MC及びCCのいずれについても各時点でn=2;独立t検定)。
図21】未処理(A)、又は0.5mM EGTA(B)、1.0mM EGTA(C)、若しくは2.0mM(D)で24時間処理したときの、MCF7に対するMK002、MK004、及びMK006(E:T=5.1;24時間)の細胞傷害性を示す(平均±SEM;n=3;独立t検定)。
図22】未処理(A)、又はスクランブル/ノンターゲティング(NT)siRNA(A)、CD178/FasLに対する特異的siRNA(B)、又はCD253/TRAILに対する特異的siRNA(D)で48時間処理したときの、MCF7に対するMK004及びMK006(E:T=5.1;24時間)の細胞傷害性を示す(平均±SEM;n=3;独立t検定)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
開示される生成物及び方法の様々な用途は、当技術分野における具体的なニーズに合わせられることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、本発明の特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0014】
更に、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が特に明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「細胞(a cell)」への言及は、「複数の細胞(cells)」を含み、「組織(a tissue)」への言及は、2つ以上のこのような組織を含み、「被験体(a subject)」への言及は、2人以上のこのような被験体を含む、などである。
【0015】
上記であろうと下記であろうと、本明細書に引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0016】
本発明のMK細胞
本発明は、中胚葉キラー(MK)細胞を提供する。MK細胞は、検出可能なレベルのCD112、CD137L、CD178、CD253、及びCD277を発現する。MK細胞は、検出可能なレベルのCD34及びCD45を発現しない。MK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルの(a)CD45RA、(b)CD45RB、及び(c)CD45ROのうちの1つ以上、例えば、(a)、(b)、(c)、(a)及び(b)、(a)及び(c)、(b)及び(c)、又は(a)、(b)及び(c)を発現しない。本発明の状況において、検出可能なレベルを発現しないとは、MK細胞の約5%以下しか関連マーカーを発現しないことを意味する。
【0017】
MK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのCD16及び/又はCD96を発現する。MK細胞は、好ましくは、以下でより詳細に論じる通り、インターフェロンガンマ(IFN-γ)で処理したときに検出可能なレベルのCD16及び/又はCD96を発現する。
【0018】
MK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのCD56を発現しない。MK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのCD16及び/又はCD96を発現し、検出可能なレベルのCD56を発現しない。
【0019】
好ましい実施形態では、MK細胞は、検出可能なレベルのCD16、CD96、CD112、CD137L、CD178、CD253、及びCD277を発現する。好ましいMK細胞は、検出可能なレベルのCD34、CD45、及びCD56を発現しない。
【0020】
MK細胞という用語は、本明細書では、中胚葉前駆キラー(MPK)細胞、骨髄由来細胞、又は骨髄由来キラー細胞と互換的である。
【0021】
MK細胞は、好ましくは、その表面において検出可能なレベルのCD112、CD137L、CD178、CD253、及びCD277を発現する。MK細胞は、好ましくは、その表面において検出可能なレベルのCD16及び/又はCD96を発現する。MK細胞は、好ましくは、その表面において検出可能なレベルのCD16、CD96、CD112、CD137L、CD178、CD253、及びCD277を発現する。MK細胞は、好ましくは、その表面において検出可能なレベルのCD34及びCD45を発現しない。MK細胞は、好ましくは、その表面において検出可能なレベルの上で定義した(a)CD45RA、(b)CD45RB、及び(c)CD45ROのうちの1つ以上を発現しない。MK細胞は、好ましくは、その表面において検出可能なレベルのCD56を発現しない。MK細胞は、好ましくは、その表面において検出可能なレベルのCD34、CD45、及びCD56を発現しない。MK細胞は、好ましくは、その表面において検出可能なレベルの以下に列挙するマーカーのいずれかを発現するか又は発現しない。同様に、MK細胞の集団は、その表面上において、列挙するマーカーのいずれかを発現し得る/発現し得ない。
【0022】
CD16(FcγRIIIAとしても知られている)は、抗体依存性細胞傷害(ADCC;Wei Hseun Yeap et al.Scientific Reports volume 6,Article number:34310(2016))中に機能する。また、このマーカーの発現によって、MK細胞はioMP細胞及びMSCと区別される。このマーカーの発現は、IFN-γによる処理/刺激によって増加し得る。
【0023】
CD96(TACTILEとしても知られている)は、NK細胞の接着において機能し、活性化したNK細胞の細胞傷害性を刺激する(Fuchs et al.J Immunol April 1,2004,172(7)3994-3998)。また、このマーカーの発現によって、MK細胞はMSCと区別される。このマーカーの発現は、IFN-γによる処理/刺激によって増加し得る。
【0024】
CD112(PRR2及びNectin-2としても知られている)は、NK細胞のプライミング/活性化に関与している(Deuss et al.J Biol Chem.2017 Jul 7;292(27):11413-11422)。また、このマーカーの発現によって、MK細胞はMSCと区別される。このマーカーの発現は、IFN-γによる処理/刺激によって増加し得る。
【0025】
CD137L(4-1BB Lとしても知られている)は、NK細胞のプライミング/活性化に関与している(Zhang et al.J Immunother.2011 Mar;34(2):187-195.)。
【0026】
CD178(FasL及びCD95Lとしても知られている)は、NK細胞の細胞傷害性に関与している(Zamai et al.J Exp Med.1998 Dec 21;188(12):2375-2380)。また、このマーカーの発現によって、MK細胞はMSCと区別される。このマーカーの発現は、IFN-γ及び/又は腫瘍壊死因子-α(TNF-α)による処理/刺激によって増加し得る。
【0027】
CD253(TRAIL及びTNFSF10としても知られている)は、NK細胞の細胞傷害性に関与している(Zamai et al.J Exp Med.1998 Dec 21;188(12):2375-2380)。また、このマーカーの発現によって、MK細胞はioMP細胞と区別される。実施例15の結果は、本発明のMK細胞が細胞傷害性を発揮する機序の一部をCD253が形成していることを示唆している。
【0028】
CD277(BT3.1及びブチロフィリンSF3 A1としても知られている)は、免疫細胞の機能を制御する(Messal et al.Eur J Immunol.2011 Dec;41(12):3443-54)。また、このマーカーの発現によって、MK細胞はioMP細胞、iMP、及びMSCと区別される。
【0029】
CD34(HPCA1としても知られている)は、重要なMNCマーカーである。このマーカーが発現しないことによって、MK細胞はMNCと区別される。
【0030】
CD45(LCAとしても知られている)は、重要なMNCマーカーである。このマーカーが発現しないことによっても、MK細胞はMNC及びNK細胞と区別される。
【0031】
CD56(NCAMとしても知られている)は、重要なNK細胞マーカーである(Zamai et al.J Exp Med.1998 Dec 21;188(12):2375-2380)。このマーカーが発現しないことによって、MK細胞はNK細胞と区別される。
【0032】
本発明のMK細胞は、多数の利点を有する。主な利点をここにまとめる。しかし、以下の議論から更なる利点が明らかになるであろう。
【0033】
本発明のMK細胞は、有利なことに、被験体における疾患を治療するために使用することができる。例えば、MK細胞は、被験体におけるがんを治療するために使用することができる。
【0034】
本発明のMK細胞は、その直接的な効果を介して疾患を治療することができる。例えば、MK細胞は、接触依存性細胞溶解を介してがん細胞を殺傷することができる。好ましくは、MK細胞は、接触依存性細胞溶解を介して腫瘍細胞を殺傷する。また、MK細胞は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を通してがん細胞の死を誘導することもできる。
【0035】
本発明のMK細胞は、免疫応答を調節することができる。言い換えれば、MK細胞は、免疫調整効果を有し得る。例えば、MKは、インビトロ又はインビボの両方でNK細胞の活性(特に、細胞傷害性)を高めることができる。例えば、MK細胞を用いて、プライミング又は活性化されたNK細胞の集団をインビトロで生成することができる。プライミング又は活性化されたNK細胞を使用して、被験体におけるがんなどの疾患を治療することができる。プライミング又は活性化されたNK細胞は、単独で又はMK細胞と組み合わせて被験体に投与してよい。また、MK細胞は、被験体における内因性NK細胞をプライミング又は活性化することもできる。
【0036】
本発明のMK細胞の主な利点は、典型的にはインビボで安全である中胚葉細胞であるという点である。本発明のMK細胞と類似(であるが異なる)方法で生成されたiMP細胞(同種中胚葉細胞)がヒト被験体において安全であるという十分な証拠がある(Anastasiadis et al.J Cardiovasc Transl Res.2016 Jun;9(3):202-13)。MK細胞は細胞傷害性であるが、キメラ抗原受容体-T(CAR-T)細胞などの他の細胞傷害性細胞療法のいかなる副作用も誘導するとは予測されない。具体的には、MK細胞は、サイトカイン放出症候群(CRS:別名サイトカインストーム)、マクロファージ活性化症候群(MAS)、及びオフターゲット効果を誘導するとは予測されない。
【0037】
以下でより詳細に論じる通り、MK細胞は、ヒト個体などの個体から採取した骨髄単核細胞(MNC)などのMNCから生成される。MK細胞はMNCから生成されるので、(骨髄などから)容易に生成することができ、また、治療される被験体にとって自己であってよく、従って、被験体による免疫拒絶のリスクが回避される。
【0038】
MNCの様々なサンプル(すなわち、骨髄の様々なサンプル)を得ることができるので、原理的には、1つの個体から無限の数のMK細胞を生成することが可能である。1つの個体から非常に多数のMK細胞を生成することは確かに可能である。従って、本発明のMK細胞は、多数作製することができる。
【0039】
本発明のMK細胞は、臨床的に関連する条件、例えば、微量のエンドトキシン及び他の環境汚染物質、並びにウシ胎仔血清などの動物生成物の非存在下において生成される。これにより、本発明のMK細胞は、被験体に投与するのに特に好適なものになる。
【0040】
本発明のMK細胞の多数の集団は、化学療法又は放射線療法などの任意の他の治療を開始する前に、被験体から採取した1つのサンプルから生成することができる。従って、本発明のMK細胞は、これら治療のいかなる有害作用も回避することができる。
【0041】
本発明のMK細胞は、迅速に作製することができる。MK細胞は、34日間未満、例えば、約33日間、約32日間、約31日間、約30日間、約29日間、約28日間、約27日間、約26日間、又は約25日間でMNCから生成することができる。また、MK細胞を冷凍し、細胞バンクにし、使用時に解凍してもよい。
【0042】
MNCからMK細胞を生成することで、ヒト胚幹細胞(hESC)由来の間葉系幹細胞MSCの使用に関係する道徳的及び倫理的な影響が回避される。
【0043】
本発明のMK細胞は、典型的には、ヒトMNCから生成される。従って、本発明のMK細胞は、典型的にはヒトである。上述及び後述のマーカーは、典型的には、ヒトマーカーである。あるいは、MK細胞は、他の動物又は哺乳類、例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、若しくはブタなどの商業的に飼育されている動物、マウス若しくはラットなどの実験動物、又はネコ、イヌ、ウサギ、若しくはモルモットなどのペットからのMNCから生成することもできる。
【0044】
本発明のMK細胞は、系統限定マーカーの発現、構造的及び機能的特徴を含む、当技術分野において公知の標準的な方法を用いて中胚葉キラー細胞として同定することができる。MK細胞は、MK細胞に特徴的であることが知られている細胞表面マーカーを検出可能なレベルで発現する。これらについては以下で論じる。
【0045】
本発明のMK細胞は、幹細胞ではない。具体的には、MSCではない。インビトロで複製/自己再生するので、前駆細胞である。インビトロでは適切な条件下において強制的に例えば軟骨又は骨の細胞に分化させることはできるが、典型的には、インビボでは分化しない。本発明のMK細胞は、好ましくは、(i)接触依存性細胞溶解又はADCCなどの直接的な効果、(ii)免疫応答又は免疫細胞活性の調節(すなわち、免疫調節効果)、特に、NK細胞のプライミング/活性化、並びに(ii)がんの部位への免疫細胞、特にNK細胞及び単球の誘引による抗がん効果を有する。未処理の本発明のMK細胞(すなわち、IFN-γ及び/又はTNF-αで処理されていない本発明のMK細胞)は、典型的には、効果(i)及び(ii)を有する。IFN-γで処理された本発明のMK細胞は、典型的には、効果(i)、(ii)、及び(iii)を有する。対照的に、幹細胞は、典型的には、代替組織に分化することによって疾患を治療する。
【0046】
本発明のMK細胞は、典型的には、紡錘状の形態を特徴とする。MK細胞は、典型的には、線維芽細胞様である、すなわち、長くかつ薄いいくつかの細胞突起を有する小さな細胞体を有する。該細胞は、典型的には、直径約10~約20μmである。これを図4に示す。
【0047】
本発明のMK細胞は、そのマーカー発現パターンによって公知の細胞と区別される。MK細胞は、検出可能なレベルのCD16、CD96、CD112、CD137L、CD178、CD253、及びCD277を発現する。MK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのCD16、CD96、CD112、CD137L、CD178、CD253、及びCD277を発現する。MKは、好ましくは、ioMP細胞、iMP細胞、及びMSCなどの公知の細胞と比べてより多い量のこれらマーカーを発現する。MK細胞は、好ましくは、これらの細胞と比べてより多い量の全てのマーカーを発現する。これは、本発明のMKにおけるマーカーの発現レベル/量を、同一条件下で同一技術を用いて、公知の細胞における発現レベル/量と比較することによって求めることができる。以下でより詳細に論じる通り、MK細胞の集団では、ioMP細胞、iMP細胞、及びMSCの集団よりも高い%の細胞がMKマーカーを発現する。上述した通り、ioMP細胞及びiMP細胞は当技術分野において公知である(そして、これら細胞に関するデータは実施例に提示する)。好適なMSCは、市販されている。比較に用いられるMSCは、好ましくは、ヒトMSCである。ヒトMSCは、Mesoblast(登録商標)Ltd.、Osiris Therapeutics(登録商標)Inc.、又はLonza(登録商標)から市販されている。ヒトMSCは、好ましくは、Lonza(登録商標)から入手される。このような細胞を実施例において比較のために使用した。MSCは、上述の動物又は哺乳類のいずれに由来するものであってもよい。
【0048】
MK細胞は、検出可能なレベルのCD34及びCD45を発現しない。MK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのCD34、CD45、及びCD56を発現しない。MK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルの(a)CD45RA、(b)CD45RB、及び(c)CD45ROのうちの1つ以上、例えば、(a)、(b)、(c)、(a)及び(b)、(a)及び(c)、(b)及び(c)、又は(a)、(b)及び(c)を発現しない。
【0049】
当技術分野において公知の標準的な方法を用いて、上述(及び後述)の様々なマーカーの検出可能な発現又は発現の増加を判定することができる。好適な方法としては、免疫細胞化学的検査、イムノアッセイ、蛍光活性化細胞選別(FACS)などのフローサイトメトリー、及び逆転写PCR(RT-PCR)などのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が挙げられるが、これらに限定されない。好適なイムノアッセイとしては、ウェスタンブロッティング、酵素結合免疫測定法(ELISA)、酵素結合免疫吸着スポットアッセイ(ELISPOTアッセイ)、酵素増幅免疫測定技術、放射性アレルゲン吸着(RAST)検査、ラジオイムノアッセイ、ラジオバインディングアッセイ、及び免疫蛍光法が挙げられるが、これらに限定されない。ウェスタンブロッティング、ELISA、及びRT-PCRはいずれも定量的であるので、様々なマーカーが存在する場合、それらの発現レベルを測定するために使用することができる。ハイスループットFACS(HT-FACS)の使用については、実施例に開示する。本明細書に開示されるマーカーのいずれかの発現又は発現増加は、好ましくは、フローサイトメトリー、FACS、又はHT-FACSを用いて行われる。本明細書において論じる様々なマーカーの全てに対する抗体及び蛍光標識抗体が、市販されている。
【0050】
本発明のMK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのCD14を発現しない。CD14は、重要なMNCマーカーである。このマーカーが発現しないことによって、MK細胞はMNCと区別される。
【0051】
本発明のMK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのCD25(IL-2Rα、Tac、及びp55としても知られている)を発現する。また、このマーカーの発現によって、MK細胞はioMP細胞、iMP、及びMSCと区別される。このマーカーの発現はIFN-γ及び/又はTNF-αによる処理/刺激によって増加し得る。
【0052】
本発明のMK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのCD136(MSP-R及びRONとしても知られている)を発現する。また、このマーカーの発現によって、MK細胞はioMP細胞、iMP、及びMSCと区別される。このマーカーの発現は、IFN-γによる処理/刺激によって増加し得る。
【0053】
本発明のMK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのCD155(PVRとしても知られている)を発現する。CD155は、NK細胞のプライミング/活性化に関与している(Chan et al.J Immunol January 15,2010,184(2)902-911)。
【0054】
本発明のMK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのCD183(CXCR3としても知られている)を発現する。CD183は、がんにおけるNKの蓄積に関与している(Wendel et al.Cancer Res.2008 Oct 15;68(20):8437-45)。また、このマーカーの発現によって、MK細胞はioMP細胞、iMP、及びMSCと区別される。このマーカーの発現は、IFN-γによる処理/刺激によって増加し得る。
【0055】
本発明のMK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのCD205(DEC-205としても知られている)を発現する。また、このマーカーの発現によって、MK細胞はioMP細胞、iMP、及びMSCと区別される。このマーカーの発現は、IFN-γによる処理/刺激によって増加し得る。
【0056】
本発明のMK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのCD332(FGFR2、BEK、及びKGFRとしても知られている)を発現する。CD332(FGFR2、BEK、及びKGFRとしても知られている)は、免疫細胞の機能を制御する(Messal et al.Eur J Immunol.2011 Dec;41(12):3443-54)。また、このマーカーの発現によって、MK細胞はioMP細胞、iMP、及びMSCと区別される。このマーカーの発現は、IFN-γによる処理/刺激によって増加し得る。
【0057】
本発明のMK細胞は、(a)好ましくは、検出可能なレベルのCD102及び/又はCD127を発現しない。本発明のMK細胞は、(b)好ましくは、検出可能なレベルのCD104を発現しない。本発明のMK細胞は、(c)好ましくは、検出可能なレベルのCD50、CD62E、CD62L、及びCD62Pのうちの1つ以上、好ましくは全てを発現しない。本発明のMK細胞は、(a)、(b)、(c)、(a)及び(b)、(b)及び(c)、(a)及び(c)、又は(a)、(b)及び(c)であってよい。また、このマーカー発現パターンによって、MK細胞はPMLと区別される。本明細書(以下の表1又は2を含む)における(i)CD50、(ii)CD62E、(iii)CD62L、及び(iv)CD62Pのうちの1つ以上に対する言及は全て、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(i)及び(ii)、(i)及び(iii)、(i)及び(iv)、(ii)及び(iii)、(ii)及び(iv)、(iii)及び(iv)、(i)、(ii)及び(iii)、(i)、(ii)及び(iv)、(i)、(iii)及び(iv)、(ii)、(iii)及び(iv)、又は(i)、(ii)、(iii)及び(iv)を参照し得る。また、CD50、CD102、CD127が発現しないことによっても、MK細胞はMSCと区別される。
【0058】
本発明のMK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのCD328を発現する。CD328(Siglec-7としても知られている)は、健常個体では少数しかみられず、HIV-1及びHCVに慢性的に感染している個体ではレベルが上昇する異常なNK細胞サブセットを表すCD56陰性NK細胞では発現しない(Brunetta,E.et al.(2009)Blood 114,3822-3830)。従って、CD328の発現により、MK細胞はCD56陰性のNK細胞と区別される。
【0059】
本発明のMK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのNK活性化受容体のうちの1つ以上及び/又は1つ以上のNK抑制受容体を発現する。活性化及び抑制受容体は、NK細胞に関して後述するもののうちのいずれであってもよい。
【0060】
活性化受容体の観点から、本発明のMK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのCD158d(KIR2DL4としても知られている)、CD158i(KIR2DS4としても知られている)、CD160(BY55としても知られている)、CD314(NKG2D及びKLRとしても知られている)、及びCD337(NKp30及びLy117)のうちの1つ以上、好ましくは全てを発現する。本発明のMK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのCD159c(NKG2Cとしても知られている)を発現する。
【0061】
抑制受容体の観点から、本発明のMK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルの(a)CD158b2(KIR2DL3としても知られている)、(b)CD158f(KIR2DL5としても知られている)、及び(c)CD159a(NKG2Aとしても知られている)のうちの1つ以上、好ましくは全てを発現する。該細胞は、検出可能なレベルの(a)、(b)、(c)、(a)及び(b)、(b)及び(c)、(a)及び(c)、又は(a)、(b)及び(c)を発現し得る。
【0062】
本発明のMK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのCD159c(NKG2Cとしても知られている)を発現しない。本発明のMK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルの(a)CD244、(b)CD335、及び(c)CD352のうちの1つ以上、例えば、(a)、(b)、(c)、(a)及び(b)、(b)及び(c)、(a)及び(c)、又は(a)、(b)及び(c)を発現しない。本発明のMK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルの(a)CD244、(b)CD335、並びに(c)CD352(定義された方法のいずれかで)及びCD159cのうちの1つ以上を発現しない。これらマーカーが発現しないことによって、MK細胞はNK細胞と区別される。
【0063】
本発明のMK細胞は、好ましくは、CD140aを発現しない。本発明のMK細胞は、好ましくは、(i)CDH6、(ii)CD129、(iii)CD200、及び(iv)CD271のうちの1つ以上を発現しない。MK細胞は、好ましくは、(i)~(iv)の任意の数及び組み合わせ、例えば、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(i)及び(ii)、(i)及び(iii)、(i)及び(iv)、(ii)及び(iii)、(ii)及び(iv)、(iii)及び(iv)、(i)、(ii)及び(iii)、(i)、(ii)及び(iv)、(i)、(iii)及び(iv)、(ii)、(iii)及び(iv)、又は(i)、(ii)、(iii)及び(iv)を発現しない。
【0064】
本発明のMK細胞は、MSCではない。MSCの典型的なマーカー発現パターンは、Zhao et al.,Stem Cells & Regenerative Medicine,Springer Science 2011(10.1007/978-1-60761-860-7_12)の表1に示されている。MK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのCD11b、CD11c、CD49d、CD51、CD86、CD106、CD117、CD202b、及びCD309のうちの1つ以上、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、若しくは8つ、又はそれ以上を発現する。MK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのCD11b、CD25、CD49d、CD51、CD86、CD106、CD117、CD202b、及びCD309を発現する。MK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのCD11b、CD11c、CD25、CD49d、CD51、CD86、CD106、CD117、CD202b、及びCD309を発現する。MK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのTRAIL受容体のうちの1つ以上を発現する。MK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのCD261、CD262、CD263、及びCD264のうちの1つ以上、例えば2つ若しくは3つ、又はそれ以上を発現する。MK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのCD261、CD262、及びCD264を発現する。MK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのCD261、CD262、CD263、及びCD264を発現する。MK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのCD184、CD195、CD197、及びCD282のうちの1つ以上、例えば2つ若しくは3つ、又はそれ以上を発現しない。MK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのCD184、CD195、CD197、及びCD282を発現しない。
【0065】
MK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのToll様受容体(TLR)、特にTLR3、TLR4、TLR6、TLR8、TLR9、及びTLR10のうちの1つ以上を発現する。MK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのCD283、CD284、CD286、CD288、CD289、及びCD290のうちの1つ以上、例えば2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上を発現する。
【0066】
本発明のMK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルの1つ以上のグランザイムを発現する。グランザイムは、細胞傷害性Tリンパ球及びNK細胞で発現し、その細胞傷害性に関与するセリンプロテアーゼのファミリーである。グランザイム含有細胞と感染又は形質転換した標的細胞との間で受容体の媒介によるコンジュゲートが形成された後、グランザイムは、エンドサイトーシスを介して標的細胞に入り、アポトーシスを誘導する(Trapani,J.A.Granzymes:a family of lymphocyte granule serine proteases.Genome Biol 2,reviews3014.1(2001)doi:10.1186/gb-2001-2-12-reviews3014)。本発明のMK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルの(a)グランザイムB(GZMB)、(b)グランザイムH(GZMH)、(c)グランザイムM(GZMM)、(d)グランザイムA(GZMA)、及び(e)グランザイムK(GZMK)のうちの1つ以上、例えば、(a);(b);(c);(d);(e);(a)及び(b);(a)及び(c);(a)及び(d);(a)及び(e);(b)及び(c);(b)及び(d);(b)及び(e);(c)及び(d);(c)及び(e);(d)及び(e);(a)、(b)及び(c);(a)、(b)及び(d);(a)、(b)及び(e);(a)、(c)及び(d);(a)、(c)及び(e);(a)、(d)及び(e);(b)、(c)及び(d);(b)、(c)及び(e);(b)、(d)及び(e);(c)、(d)及び(e);(a)、(b)、(c)及び(d);(a)、(b)、(c)及び(e);(a)、(b)、(d)及び(e);(a)、(c)、(d)及び(e);(b)、(c)、(d)及び(e);並びに(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)を発現する。MK細胞による1つ以上のグランザイムの発現は、MK細胞をがん細胞、例えば、本明細書に記載のがん細胞のいずれかに曝露することによって増加させることができる。本発明のMK細胞は、好ましくは、パーフォリン(PRF1)を発現する。パーフォリンは、細胞傷害性Tリンパ球及びNK細胞の顆粒にみられる孔形成細胞溶解性タンパク質である(Osinska I,Popko K,Demkow U.Perforin:an important player in immune response.Cent Eur J Immunol.2014;39(1):109-115.doi:10.5114/ceji.2014.42135)。MK細胞によるパーフォリンの発現は、MK細胞をがん細胞、例えば、本明細書に記載のがん細胞のいずれかに曝露することによって増加させることができる。上記の方法のいずれを使用しても、1つ以上のグランザイム及び/又はパーフォリンの発現を検出することができる。実施例13及び14の結果は、MK細胞の細胞傷害性における1つ以上のグランザイム及び/又はパーフォリンの少なくとも部分的な役割を示唆している。
【0067】
本発明のMK細胞は、典型的には、がん細胞に対して細胞傷害効果を有することができる(すなわち、がん細胞を殺傷することができる)。本発明のMK細胞の細胞傷害効果を有する能力は、当技術分野において公知の標準的なアッセイを用いて測定することができる。本発明は、好ましくは、クロム-51(51Cr)放出アッセイを使用するが、これは、MK細胞による溶解後にがん細胞などの細胞からの51Cr放出を測定する。MK細胞は、以下及び実施例で論じる通り、がん細胞と共にインキュベートすることができる。また、本発明は、好ましくは、ユーロピウム(Eu3+)放出アッセイを使用する。好適ながんについては、より詳細に論じる。
【0068】
また、本発明のMK細胞は、典型的には、細胞傷害性及びNKプライミング機能を促進する様々なサイトカイン及び他の分子を分泌する。サイトカイン及び他の分子は、当技術分野において公知の方法を使用して測定することができる。好適な方法としては、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)及びフローサイトメトリーが挙げられるが、これらに限定されない。1つの具体的な方法は、Life Technologies(登録商標)から市販されているLuminex(登録商標)アッセイである。
【0069】
MK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルの(a)ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド1(CXCL1、別名GROa)、(b)インターロイキン-12(IL-12)、(c)可溶性IL-2受容体(IL-2Ra)、(d)IL-8、(e)可溶性TRAIL、及び(f)IL-6のうちの1つ以上を分泌する。MK細胞は、検出可能なレベルの(a)~(f)の全てを分泌することができる。これら分子の検出可能な分泌は、上述の通り測定することができる。上記の(a)~(f)の定義において、(a)~(f)のうちの1つ以上の任意の組み合わせ及び順列が分泌され得る。例えば、(a)~(f)の各定義について、MK細胞は、検出可能なレベルの(a);(b);(c);(d);(e);(f);(a)及び(b);(a)及び(c);(a)及び(d);(a)及び(e);(a)及び(f);(b)及び(c);(b)及び(d);(b)及び(e);(b)及び(f);(c)及び(d);(c)及び(e);(c)及び(f);(d)及び(e);(d)及び(f);(e)及び(f);(a)、(b)及び(c);(a)、(b)及び(d);(a)、(b)及び(e);(a)、(b)及び(f);(a)、(c)及び(d);(a)、(c)及び(e);(a)、(c)及び(f);(a)、(d)及び(e);(a)、(d)及び(f);(a)、(e)及び(f);(b)、(c)及び(d);(b)、(c)及び(e);(b)、(c)及び(f);(b)、(d)及び(e);(b)、(d)及び(f);(b)、(e)及び(f);(c)、(d)及び(e);(c)、(d)及び(f);(c)、(e)及び(f);(d)、(e)及び(f);(a)、(b)、(c)及び(d);(a)、(b)、(c)及び(e);(a)、(b)、(c)及び(f);(a)、(b)、(d)及び(e);(a)、(b)、(d)及び(f);(a)、(b)、(e)及び(f);(a)、(c)、(d)及び(e);(a)、(c)、(d)及び(f);(a)、(c)、(e)及び(f);(a)、(d)、(e)及び(f);(b)、(c)、(d)及び(e);(b)、(c)、(d)及び(f);(b)、(c)、(e)及び(f);(b)、(d)、(e)及び(f);(c)、(d)、(e)及び(f);(a)、(b)、(c)、(d)及び(e);(a)、(b)、(c)、(d)及び(f);(a)、(b)、(c)、(e)及び(f);(a)、(b)、(d)、(e)及び(f);(a)、(c)、(d)、(e)及び(f);(b)、(c)、(d)、(e)及び(f);又は(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)を分泌し得る。(i)~(vii)の組み合わせは、このリストから独立して選択することができる。MK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルの(a)GROa、(b)インターロイキン12(IL-12)、(c)IL-2受容体α鎖(IL-2Ra)、(d)IL-8、(e)可溶性TRAIL、及び(f)IL-6を分泌する。
【0070】
CXCL1(別名:GROa)は、好中球を誘引することができるケモカインである(Moser et al.,J Exp Med.1990 May 1;171(5):1797-1802)。MK細胞によるGROaの分泌は、TNF-αによって増加する。
【0071】
IL-12は、ナイーブT細胞のTh1細胞への分化を促進することができ(Hsieh et al.(April 1993)Science.260(5107):547-9)、NK細胞(Lehmann et al.,Br J Haematol.2001 Sep;114(3):660-5)及びCD8+T細胞の細胞傷害活性を高める(「プライミング」)ことができる炎症促進性サイトカインである。
【0072】
IL-2Raは、IL-2受容体の可溶型である。IL-2に結合することによって、炎症促進効果を発揮することができる。例えば、マウスにおいてTh17応答の発生を強化することができる(Russell SE,Moore AC,Fallon PG,Walsh PT(2012)Soluble IL-2Rα(sCD25)Exacerbates Autoimmunity and Enhances the Development of Th17 Responses in Mice.PLoS ONE 7(10):e47748.https://doi.org/10.1371/journal.pone.0047748)。MK細胞によるL-2Raの分泌は、IFN-γによって増加する。
【0073】
IL-8は、好中球走化性因子としても知られており、炎症領域で好中球を誘引し、活性化する(Bickel,J Periodontol.1993 May;64(5 Suppl):456-60)。MK細胞によるIL-8の分泌は、IFN-γによって減少し、TNF-αによって増加する。
【0074】
可溶性TRAIL(TRAILの可溶性細胞外ドメイン)は、ほとんどの正常細胞に影響を与えることなく、広範な腫瘍細胞株においてアポトーシスを誘導することができる。例えば、可溶性trailの過剰発現は、ヒト肺腺がんにおいてアポトーシスを誘導し、ヌードマウスにおける腫瘍異種移植片の成長を阻害する(Shi et al.Cancer Res 2005;65:(5).March 1,2005)。
【0075】
IL-6は、一般的には、抗炎症性サイトカインであると考えられるが、活発な免疫応答中にリンパ球の活性化、増殖、及び生存を促進することもできる(Fisher et al.,Semin Immunol.2014 Feb;26(1):38-47)。
【0076】
MK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのIL-15及び/又はC-X-Cモチーフケモカイン10(CXCL10、IFNγ誘導タンパク質10(IP-10)としても知られている)を分泌する。MK細胞は、好ましくは、上述の(a)GROa、(b)インターロイキン12(IL-12)、(c)IL-2Ra、(d)IL-8、(e)可溶性TRAIL、及び(f)IL-6のうちの1つ以上と組み合わせて、IL-15及び/又はCXCL10(IP-10)を検出可能なレベルで分泌する。これら分子の検出可能な分泌は、上述の通り測定することができる。
【0077】
IL-15は、T、B、及びNK細胞の増殖を刺激し、幹、セントラル、及びエフェクタメモリCD8 T細胞を誘導し、そして、IL-15及び関連分子を用いた臨床試験が開始されている(Waldmann,2014,Expert Review of Clinical Immunology Volume 10,2014 - Issue 12)。
【0078】
CXCL10(IP-10)は、単球、マクロファージ、T細胞、NK細胞、及び樹状細胞の化学誘引、T細胞の内皮細胞への接着促進、抗腫瘍活性、並びに骨髄のコロニー形成及び血管新生の阻害に関与している(Dufour et al.2002,Journal of Immunology.168(7):3195-204;及びAngiolillo et al.,1995,The Journal of Experimental Medicine.182(1):155-62)。
【0079】
MK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのインターロイキン6(IL-6)、IL-8、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド2(CCL2;単球走化性タンパク質-1;MCP-1)及びケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド5(CCL5;活性化時に制御され、正常T細胞が発現及び分泌する;RANTES)のうちの1つ以上を分泌する。MK細胞は、これら因子の任意の数及び組み合わせを分泌することができる。MK細胞は、好ましくは、これらのマーカーの全てを分泌する。
【0080】
本発明のMK細胞は、検出可能なレベルの(i)血管内皮成長因子(VEGF)、(ii)トランスフォーミング成長因子β(TGF-β)、(iii)インスリン様成長因子-1(IGF-1)、(iv)線維芽細胞成長因子(FGF)、(v)腫瘍壊死因子α(TNF-α)、(vi)IFN-γ、及び(vii)インターロイキン-1α(IL-1α)のうちの1つ以上を分泌することができる。これらマーカーの検出可能な分泌は、上述の通り測定することができる。
【0081】
上記の(i)~(vii)の定義において、(i)~(vii)のうちの1つ以上の任意の組み合わせが分泌され得る。例えば、(i)~(vii)の各定義について、MK細胞は、検出可能なレベルの(i);(ii);(iii);(iv);(v);(vi);(vii);(i)及び(ii);(i)及び(iii);(i)及び(iv);(i)及び(v);(i)及び(vi);(i)及び(vii);(ii)及び(iii);(ii)及び(iv);(ii)及び(v);(ii)及び(vi);(ii)及び(vii);(iii)及び(iv);(iii)及び(v);(iii)及び(vi);(iii)及び(vii);(iv)及び(v);(iv)及び(vi);(iv)及び(vii);(v)及び(vi);(v)及び(vii);(vi)及び(vii);(i)、(ii)及び(iii);(i)、(ii)及び(iv);(i)、(ii)及び(v);(i)、(ii)及び(vi);(i)、(ii)及び(vii);(i,)、(iii)及び(iv);(i)、(iii)及び(v);(i)、(iii)及び(vi);(i)、(iii)及び(vii);(i)、(iv)及び(v);(i)、(iv)及び(vi);(i)、(iv)及び(vii);(i)、(v)及び(vi);(i)、(v)及び(vii);(i)、(vi)及び(vii);(ii)、(iii)及び(iv);(ii)、(iii)及び(v);(ii)、(iii)及び(vi);(ii)、(iii)及び(vii);(ii)、(iv)及び(v);(ii)、(iv)及び(vi);(ii)、(iv)及び(vii);(ii)、(v)及び(vi);(ii)、(v)及び(vii);(ii)、(vi)及び(vii);(iii)、(iv)及び(v);(iii)、(iv)及び(vi);(iii)、(iv)及び(vii);(iii)、(v)及び(vi);(iii)、(v)及び(vii);(iii)、(vi)及び(vii);(iv)、(v)及び(vi);(iv)、(v)及び(vii);(iv)、(vi)及び(vii);(v)、(vi)及び(vii);(i)、(ii)、(iii)及び(iv);(i)、(ii)、(iii)及び(v);(i)、(ii)、(iii)及び(vi);(i)、(ii)、(iii)及び(vii);(i)、(ii)、(iv)及び(v);(i)、(ii)、(iv)及び(vi);(i)、(ii)、(iv)及び(vii);(i)、(ii)、(v)及び(vi);(i)、(ii)、(v)及び(vii);(i)、(ii)、(vi)及び(vii);(i)、(iii)、(iv)及び(v);(i)、(iii)、(iv)及び(vi);(i)、(iii)、(iv)及び(vii);(i)、(iii)、(v)及び(vi);(i)、(iii)、(v)及び(vii);(i)、(iii)、(vi)及び(vii);(i)、(iv)、(v)及び(vi);(i)、(iv)、(v)及び(vii);(i)、(iv)、(vi)及び(vii);(i)、(v)、(vi)及び(vii);(ii)、(iii)、(iv)及び(v);(ii)、(iii)、(iv)及び(vi);(ii)、(iii)、(iv)及び(vii);(ii)、(iii)、(v)及び(vi);(ii)、(iii)、(v)及び(vii);(ii)、(iii)、(vi)及び(vii);(ii)、(iv)、(v)及び(vi);(ii)、(iv)、(v)及び(vii);(ii)、(iv)、(vi)及び(vii);(ii)、(v)、(vi)及び(vii);(iii)、(iv)、(v)及び(vi);(iii)、(iv)、(v)及び(vii);(iii)、(iv)、(vi)及び(vii);(iii)、(v)、(vi)及び(vii);(iv)、(v)、(vi)及び(vii);(i)、(ii)、(iii)、(iv)及び(v);(i)、(ii)、(iii)、(iv)及び(vi);(i)、(ii)、(iii)、(iv)及び(vii);(i)、(ii)、(iii)、(v)及び(vi);(i)、(ii)、(iii)、(v)及び(vii);(i)、(ii)、(iii)、(vi)及び(vii);(i)、(ii)、(iv)、(v)及び(vi);(i)、(ii)、(iv)、(v)及び(vii);(i)、(ii)、(iv)、(vi)及び(vii);(i)、(ii)、(v)、(vi)及び(vii);(i)、(iii)、(iv)、(v)及び(vi);(i)、(iii)、(iv)、(v)及び(vii);(i)、(iii)、(iv)、(vi)及びvii);(i)、(iii)、(v)、(vi)及び(vii);(i)、(iv)、(v)、(vi)及び(vii);(ii)、(iii)、(iv)、(v)及び(vi);(ii)、iii)、(iv)、(v)及び(vii);(ii)、(iii)、(iv)、(vi)及び(vii);(ii)、(iii)、(v)、(vi)及び(vii);(ii)、(iv)、(v)、(vi)及び(vii);(iii)、(iv)、(v)、(vi)及びvii);(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)及び(vi);(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)及び(vii);(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(vi)及び(vii);(i)、(ii)、(iii)、(v)、(vi)及び(vii);(i)、(ii)、(iv)、(v)、(vi)及び(vii);(i)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)及び(vii);(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)及び(vii);又は(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)及び(vii)を分泌し得る。(i)~(vii)の組み合わせは、このリストから独立して選択することができる。
【0082】
本発明のMK細胞は、好ましくは、検出可能なレベルのIFN-γを分泌する。IFN-γの発現又は分泌は、上記の方法を使用して求めることができる。
【0083】
以下でより詳細に論じる通り、MK細胞は、NK細胞をプライミング/活性化する(すなわち、NK細胞の増殖及び/又は細胞傷害活性を高める)ことができる。
【0084】
本発明のMK細胞は、好ましくは、被験体における特定の組織に遊走することができる。言い換えれば、疾患(がんなど)を有する被験体に該細胞を投与したとき、該細胞は、必要な組織(複数可)に遊走又は帰巣することができる。該組織は、健常被験体に通常存在する組織であってよい。あるいは、該組織は、腫瘍であってもよい。このMK細胞の遊走能力は有利であるが、その理由は、例えば静脈内などの標準的な経路を介して細胞を注入することができ、次いで、該細胞が疾患の部位を標的とすることを意味するためである。細胞を患部組織に送達しなくてもよい。
【0085】
特定の組織は、上述したもののうちのいずれであってもよい。これは、遊走だけでなく、以上及び以下で詳細に論じる接着、遊出、増殖、抗腫瘍効果、免疫調整効果、炎症促進効果、及び抗炎症効果にも当てはまる。
【0086】
本発明のMK細胞の患部組織に遊走する能力は、当技術分野において公知の標準的なアッセイを用いて測定することができる。好適な方法としては、ゲノム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(レポータ遺伝子の有無にかかわらないRT-PCR)及び標識技術が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、本発明のMK細胞を、蛍光色素などの関心対象の色素で染色してもよく、そして、色素からのシグナルを介して被験体においてモニタリングすることができる。このような方法は、当技術分野において常用されている。
【0087】
遊走(又は帰巣)は、典型的には、損傷した組織に到達する細胞の数を測定することによって判定される。また、(損傷した組織ではなく)肺に蓄積している細胞の数を観察することによって間接的に測定することもできる。
【0088】
本発明のMK細胞は、好ましくは、被験体における特定の患部組織に接着することができる。接着及び接着アッセイは、当技術分野において公知である(Humphries,Methods Mol Biol.2009;522:203-10)。
【0089】
本発明のMK細胞は、好ましくは、血管内皮を通じて被験体の特定の患部組織に遊出することができる。遊出アッセイは当技術分野において公知である(Muller and Luscinskas,Methods Enzymol.2008;443:155-176)。
【0090】
本発明のMK細胞は、好ましくは、炎症部位に免疫細胞を誘引又は化学誘引することができる。本発明のMK細胞は、より好ましくは、がん又は腫瘍に免疫細胞を誘引又は化学誘引することができる。本発明のMK細胞は、好ましくは、炎症、がん、又は腫瘍の部位への免疫細胞の遊走を誘導することができる。本発明のMK細胞は、好ましくは、炎症促進性である。好ましくは、これら誘引/化学誘引/炎症促進効果のいずれかを有するMK細胞は、IFN-γで処理されるか又は処理されている。免疫細胞の誘引/化学誘引/遊走を測定するために、細胞の遊走又は移動を測定するための上述の方法のいずれを使用してもよい。免疫細胞は、T細胞、B細胞、若しくはNK細胞などのリンパ球、好中球、又は単球/マクロファージであってよい。免疫細胞は、好ましくは、NK細胞及び/又は免疫細胞である。
【0091】
本発明のMK細胞は、好ましくは、自己である。言い換えれば、該細胞は、好ましくは、その細胞が投与される被験体に由来する。あるいは、MK細胞は、好ましくは、同種である。言い換えれば、該細胞は、好ましくは、異なる被験体/ドナー、又は細胞が投与される被験体と免疫学的に適合する被験体/ドナーに由来する。
【0092】
本発明のMK細胞は、単離されていても、実質的に単離されていても、精製されていても、実質的に精製されていてもよい。MK細胞は、培養培地、本発明の他の細胞、又は他の細胞型などの任意の他の成分を完全に含まない場合、単離又は精製されている。MK細胞は、その意図する用途に干渉しない担体又は希釈剤、例えば培養培地と混合されている場合、実質的に単離されている。あるいは、本発明のMK細胞は、後述する通り、成長マトリックス中に存在していてもよく、表面上に固定化されていてもよい。
【0093】
本発明のMK細胞は、抗体ベースの技術を含む様々な技術を用いて単離することができる。細胞は、MK細胞上に存在する表面マーカーへのモノクローナル抗体の結合に基づく、陰性及び陽性選択技術を用いて単離することができる(上記参照)。従って、MK細胞は、蛍光活性化細胞選別(FACS)及び磁気ビーズ分離を含む、任意の抗体ベースの技術を用いて分離することができる。
【0094】
以下でより詳細に論じるが、MK細胞は、エクスビボで処理してもよい。従って、細胞に治療又は診断剤をロード又はトランスフェクションし、次いで、本発明の方法において治療的に使用することができる。
【0095】
本発明の集団
また、本発明は、本発明のMK細胞の集団を提供する。また、本発明は、本発明の2つ以上のMK細胞の集団を提供する。MK細胞は、上に定義したもののうちのいずれであってもよい。任意の数の細胞が集団内に存在していてよい。本発明の集団は、少なくとも約5,000個の細胞、例えば、少なくとも約6,000個、少なくとも約7,000個、少なくとも約8,000個、少なくとも約9,000個、少なくとも約10,000個、少なくとも約20,000個、少なくとも約30,000個、少なくとも約40,000個、少なくとも約50,000個、少なくとも約100,000個、少なくとも約200,000個、又は少なくとも約250,000個の細胞を含んでいてよい。本発明の集団は、好ましくは、少なくとも約5×10個の本発明のMK細胞を含む。集団は、より好ましくは、少なくとも約1×10個、少なくとも約2×10個、少なくとも約2.5×10個、少なくとも約5×10個、少なくとも約1×10個、少なくとも約2×10個、少なくとも約5×10個、少なくとも約1×10個、又は少なくとも約2×10個の本発明のMK細胞を含む。いくつかの例では、集団は、少なくとも約1.0×10個、少なくとも約1.0×10個、少なくとも約1.0×10個、少なくとも約1.0×1010個、少なくとも約1.0×1011個、又は少なくとも約1.0×1012個の本発明のMK細胞、又は更にはそれ以上を含んでいてもよい。
【0096】
本発明のMK細胞を含む集団は、本発明のMK細胞に加えて他の細胞を含んでいてもよい。しかし、好ましくは、集団内の細胞の少なくとも約70%は本発明のMK細胞である。より好ましくは、集団内の細胞の少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%が本発明のMK細胞である。好ましい実施形態では、集団内の細胞の少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、又は少なくとも約85%がMK細胞であり、上に定義した陽性MKマーカーを発現し、上に定義した陰性MKマーカーを発現しない。別の好ましい実施形態では、集団内の細胞の少なくとも約90%がMK細胞であり、上に定義した陽性MKマーカーを発現し、上に定義した陰性MKマーカーを発現しない。別の好ましい実施形態では、集団内の細胞の少なくとも約95%がMK細胞であり、上に定義した陽性MKマーカーを発現し、上に定義した陰性MKマーカーを発現しない。
【0097】
本発明は、また、集団内の細胞の約15%超が検出可能なレベルのCD112、CD137L、CD178、CD253、及びCD277を発現し、集団内の細胞の約5%以下が検出可能なレベルのCD34及びCD45を発現する、本発明のMK細胞の集団を提供する。これら集団では、集団内の細胞の約15%超(又は上述の%のいずれか)が、本発明のMK細胞が検出可能に発現すると上述した特定のマーカーを検出可能なレベルで発現し得る。同様に、約5%以下(又は上述の下方の%のいずれか)は、本発明のMK細胞が検出可能には発現しないと上述した特定のマーカーを検出可能なレベルで発現し得る。これら集団は、上述の細胞数のうちのいずれかを含み得る。表1は、本発明の特定の集団を示す。
【0098】
【表1-1】
【0099】
【表1-2】
【0100】
【表1-3】
【0101】
上述の及び表1に示した集団では、好ましくは、集団内の細胞の約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、又は約99%、又はが、検出可能なレベルの関連マーカー(特に表1の列2のマーカー)を発現する。上述の及び表1に示した集団では、より好ましくは、集団内の細胞の約60%以上が、検出可能なレベルの関連マーカー(特に表1の列2のマーカー)を発現する。上述の及び表1に示した集団では、より好ましくは、集団内の細胞の約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、若しくは約95%、又はそれ以上が、検出可能なレベルの関連マーカー(特に表1の列2のマーカー)を発現する。上述の及び表1に示した集団では、集団内の細胞の約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下、又は約0.5%以下が、検出可能なレベルの関連マーカー(特に表1の列3のマーカー)を発現し得る。
【0102】
本発明は、また、集団内の細胞の約15%超が検出可能なレベルのCD16、CD96、CD112、CD137L、CD178、CD253、及びCD277を発現し、集団内の細胞の約5%以下が検出可能なレベルのCD34、CD45、及びCD56を発現する、本発明のMK細胞の集団を提供する。これら集団では、集団内の細胞の約15%超(又は上述の%のいずれか)が、本発明のMK細胞が検出可能に発現すると上述した特定のマーカーを検出可能なレベルで発現し得る。同様に、約5%以下(又は上述の下方の%のいずれか)は、本発明のMK細胞が検出可能には発現しないと上述した特定のマーカーを検出可能なレベルで発現し得る。これら集団は、上述の細胞数のうちのいずれかを含み得る。表2は、本発明の特定の集団を示す。
【0103】
【表2-1】
【0104】
【表2-2】
【0105】
【表2-3】
【0106】
上述の及び表2に示した集団では、好ましくは、集団内の細胞の約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、又は約99%、又はが、検出可能なレベルの関連マーカー(特に表2の列2のマーカー)を発現する。上述の及び表2に示した集団では、より好ましくは、集団内の細胞の約60%以上が、検出可能なレベルの関連マーカー(特に表2の列2のマーカー)を発現する。上述の及び表2に示した集団では、より好ましくは、集団内の細胞の約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、若しくは約95%、又はそれ以上が、検出可能なレベルの関連マーカー(特に表2の列2のマーカー)を発現する。上述の及び表2に示した集団では、集団内の細胞の約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下、又は約0.5%以下が、検出可能なレベルの関連マーカー(特に表2の列3のマーカー)を発現し得る。
【0107】
本発明はまた、MK細胞の特定の集団を提供する。本発明は、MK細胞の集団であって
(i)集団内の細胞の少なくとも約20%、例えば、少なくとも約25%、少なくとも約27%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約61%、又は少なくとも約62%が、検出可能なレベルのCD112を発現し、
(ii)集団内の細胞の少なくとも約80%、例えば、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、又は少なくとも約97%が、検出可能なレベルのCD137Lを発現し、
(iii)集団内の細胞の少なくとも約20%、例えば、少なくとも約21%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%が、検出可能なレベルのCD178を発現し、
(iv)集団内の細胞の少なくとも約50%、例えば、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、又は少なくとも約93%が、検出可能なレベルのCD253を発現し、
(v)集団内の細胞の少なくとも約50%、例えば、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、又は少なくとも約97%が、検出可能なレベルのCD277を発現し、
且つ
(a)集団内の細胞の約5%以下、例えば、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下、又は約0.5%以下が、検出可能なレベルのCD34を発現し、
(b)集団内の細胞の約5%以下、例えば、約4%以下、約3%以下、約2%以下、又は約1%以下が、検出可能なレベルのCD45を発現する集団を提供する。
【0108】
本発明はまた、MK細胞の集団であって、
(i)集団内の細胞の少なくとも約15%、例えば、少なくとも約18%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、又は少なくとも約66%が、検出可能なレベルのCD16を発現し、
(ii)集団内の細胞の少なくとも約50%、例えば、少なくとも約58%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、又は少なくとも約86%が、検出可能なレベルのCD96を発現し、
(iii)集団内の細胞の少なくとも約20%、例えば、少なくとも約25%、少なくとも約27%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約61%、又は少なくとも約62%が、検出可能なレベルのCD112を発現し、
(iv)集団内の細胞の少なくとも約80%、例えば、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、又は少なくとも約97%が、検出可能なレベルのCD137Lを発現し、
(v)集団内の細胞の少なくとも約20%、例えば、少なくとも約21%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%が、検出可能なレベルのCD178を発現し、
(vi)集団内の細胞の少なくとも約50%、例えば、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、又は少なくとも約93%が、検出可能なレベルのCD253を発現し、
(vii)集団内の細胞の少なくとも約50%、例えば、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、又は少なくとも約97%が、検出可能なレベルのCD277を発現し、
且つ
(a)集団内の細胞の約5%以下、例えば、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下、又は約0.5%以下が、検出可能なレベルのCD34を発現し、
(b)集団内の細胞の約5%以下、例えば、約4%以下、約3%以下、約2%以下、又は約1%以下が、検出可能なレベルのCD45を発現し、
(c)集団内の細胞の約5%以下、例えば、約4%以下又は約3%以下が、検出可能なレベルのCD56を発現する集団を提供する。
【0109】
好ましくは、以下のうちの1つ以上、又はより好ましくは全てである:
- 集団内の細胞の約10%以下、例えば、約9%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、又は約1%以下が、検出可能なレベルのCD14を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約5%、例えば、少なくとも約7%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、又は少なくとも約54%が、検出可能なレベルのCD25を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約10%、例えば、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約69%、少なくとも約70%、又は少なくとも約80%が、検出可能なレベルのCD136を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約90%、例えば、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%が、検出可能なレベルのCD155を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約20%、例えば、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、又は少なくとも約51%が、検出可能なレベルのCD183を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約10%、例えば、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、又は少なくとも約32%が、検出可能なレベルのCD205を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約9%、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、又は少なくとも約29%が、検出可能なレベルのCD332を発現する;
- 集団内の細胞の約2%以下、例えば、約1%以下又は約0.5%以下が、検出可能なレベルのCD102を発現する;
- 集団内の細胞の約2%以下、例えば、約1%以下又は約0.5%以下が、検出可能なレベルのCD127を発現する;
- 集団内の細胞の約10%以下、例えば、約9%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、又は約1%以下が、検出可能なレベルのCD104を発現する;
- 集団内の細胞の約60%以下、例えば、約50%以下、約46%以下、約30%以下、又は約20%が、検出可能なレベルのCD126を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約15%、例えば、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%が、検出可能なレベルのCD126を発現する;
- 集団内の細胞の約3%以下、例えば、約2%以下又は約1%以下が、検出可能なレベルのCD62Eを発現する;
- 集団内の細胞の約5%以下、例えば、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下、又は約0.5%以下が、検出可能なレベルのCD62Lを発現する;
- 集団内の細胞の約1%以下、例えば、約0.5%以下が、検出可能なレベルのCD62Pを発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約30%、例えば、少なくとも約33%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、又は少なくとも約59%が、検出可能なレベルのCD158dを発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約22%、例えば、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、又は少なくとも約61%が、検出可能なレベルのCD158iを発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約30%、例えば、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、又は少なくとも約51%が、検出可能なレベルのCD160を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約40%、例えば、少なくとも約45%、少なくとも約48%、少なくとも約50%、又は少なくとも約54%が、検出可能なレベルのCD314を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約30%、例えば、少なくとも約35%、少なくとも約40%、又は少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、又は少なくとも約72%が、検出可能なレベルのCD337を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約6%又は少なくとも約10%が、検出可能なレベルのCD159cを発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約7%、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、又は少なくとも約23%が、検出可能なレベルのCD158b2を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約30%、例えば、少なくとも約40%、少なくとも約41%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約87%が、検出可能なレベルのCD158fを発現する;及び
- 集団内の細胞の少なくとも約8%、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、又は少なくとも約51%が、検出可能なレベルのCD159aを発現する。
【0110】
好ましくは、集団内の細胞の約3%以下、例えば、約2.5%以下が、検出可能なレベルのCD159cを発現する。
【0111】
本発明の特定の集団は、表1又は表2に示すマーカーの組み合わせのいずれかを参照して上記の通り定義することができる。
【0112】
また、本発明は、実施例3におけるMK002及びMK004に基づいて本発明の特定の集団を提供する。本発明は、好ましくは、MK細胞の集団であって、
(i)集団内の細胞の少なくとも約62%が、検出可能なレベルのCD112を発現し、
(ii)集団内の細胞の少なくとも約97%が、検出可能なレベルのCD137Lを発現し、
(iii)集団内の細胞の少なくとも約60%が、検出可能なレベルのCD178を発現し、
(iv)集団内の細胞の少なくとも約93%が、検出可能なレベルのCD253を発現し、
(v)集団内の細胞の少なくとも約97%が、検出可能なレベルのCD277を発現し、
且つ
(a)集団内の細胞の約0.5%以下が、検出可能なレベルのCD34を発現し、
(b)集団内の細胞の約4%以下が、検出可能なレベルのCD45を発現する集団を提供する。
【0113】
本発明は、好ましくは、MK細胞の集団であって、
(i)集団内の細胞の少なくとも約66%が、検出可能なレベルのCD16を発現し、
(ii)集団内の細胞の少なくとも約86%が、検出可能なレベルのCD96を発現し、
(iii)集団内の細胞の少なくとも約62%が、検出可能なレベルのCD112を発現し、
(iv)集団内の細胞の少なくとも約97%が、検出可能なレベルのCD137Lを発現し、
(v)集団内の細胞の少なくとも約60%が、検出可能なレベルのCD178を発現し、
(vi)集団内の細胞の少なくとも約93%が、検出可能なレベルのCD253を発現し、
(vii)集団内の細胞の少なくとも約97%が、検出可能なレベルのCD277を発現し、
且つ
(a)集団内の細胞の約0.5%以下が、検出可能なレベルのCD34を発現し、
(b)集団内の細胞の約4%以下が、検出可能なレベルのCD45を発現し、
(c)集団内の細胞の約3%以下が、検出可能なレベルのCD56を発現する集団を提供する。
【0114】
好ましくは、以下のうちの1つ以上、又はより好ましくは全てである:
- 集団内の細胞の約9%以下が、検出可能なレベルのCD14を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約54%が、検出可能なレベルのCD25を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約80%が、検出可能なレベルのCD136を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約99%が、検出可能なレベルのCD155を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約51%が、検出可能なレベルのCD183を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約32%が、検出可能なレベルのCD205を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約29%が、検出可能なレベルのCD332を発現する;
- 集団内の細胞の約2%以下が、検出可能なレベルのCD102を発現する;
- 集団内の細胞の約2%以下が、検出可能なレベルのCD127を発現する;
- 集団内の細胞の約9%以下が、検出可能なレベルのCD104を発現する;
- 集団内の細胞の約46%以下が、検出可能なレベルのCD126を発現する、又は集団内の細胞の少なくとも約45%が、検出可能なレベルのCD126を発現する;
- 集団内の細胞の約3%以下が、検出可能なレベルのCD62Eを発現する;
- 集団内の細胞の約5%以下が、検出可能なレベルのCD62Lを発現する;
- 集団内の細胞の約1%以下が、検出可能なレベルのCD62Pを発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約59%が、検出可能なレベルのCD158dを発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約61%が、検出可能なレベルのCD158iを発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約40%が、検出可能なレベルのCD160を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約54%が、検出可能なレベルのCD314を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約72%が、検出可能なレベルのCD337を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約10%が、検出可能なレベルのCD159cを発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約23%が、検出可能なレベルのCD158b2を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約87%が、検出可能なレベルのCD158fを発現する;及び
- 集団内の細胞の少なくとも約51%が、検出可能なレベルのCD159aを発現する。
【0115】
本発明の特定の集団は、表1又は表2に示すマーカーの組み合わせのいずれかを参照して定義することができる。集団は、最も好ましくは、表7に示すMK002のマーカー発現パターンを有する。
【0116】
本発明は、好ましくは、MK細胞の集団であって、
(i)集団内の細胞の少なくとも約27%が、検出可能なレベルのCD112を発現し、
(ii)集団内の細胞の少なくとも約97%が、検出可能なレベルのCD137Lを発現し、
(iii)集団内の細胞の少なくとも約21%が、検出可能なレベルのCD178を発現し、
(iv)集団内の細胞の少なくとも約93%が、検出可能なレベルのCD253を発現し、
(v)集団内の細胞の少なくとも約96%が、検出可能なレベルのCD277を発現し、
且つ
(a)集団内の細胞の約0.5%以下が、検出可能なレベルのCD34を発現し、
(b)集団内の細胞の約1%以下が、検出可能なレベルのCD45を発現する集団を提供する。
【0117】
本発明は、好ましくは、MK細胞の集団であって、
(i)集団内の細胞の少なくとも約18%が、検出可能なレベルのCD16を発現し、
(ii)集団内の細胞の少なくとも約58%が、検出可能なレベルのCD96を発現し、
(iii)集団内の細胞の少なくとも約27%が、検出可能なレベルのCD112を発現し、
(iv)集団内の細胞の少なくとも約97%が、検出可能なレベルのCD137Lを発現し、
(v)集団内の細胞の少なくとも約21%が、検出可能なレベルのCD178を発現し、
(vi)集団内の細胞の少なくとも約93%が、検出可能なレベルのCD253を発現し、
(vii)集団内の細胞の少なくとも約96%が、検出可能なレベルのCD277を発現し、
且つ
(a)集団内の細胞の約0.5%以下が、検出可能なレベルのCD34を発現し、
(b)集団内の細胞の約1%以下が、検出可能なレベルのCD45を発現し、
(c)集団内の細胞の約5%以下が、検出可能なレベルのCD56を発現する集団を提供する。
【0118】
好ましくは、以下のうちの1つ以上、又はより好ましくは全てである:
- 集団内の細胞の約1%以下が、検出可能なレベルのCD14を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約7%が、検出可能なレベルのCD25を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約69%が、検出可能なレベルのCD136を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約99%が、検出可能なレベルのCD155を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約20%が、検出可能なレベルのCD183を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約15%が、検出可能なレベルのCD205を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約9%が、検出可能なレベルのCD332を発現する;
- 集団内の細胞の約0.5%以下が、検出可能なレベルのCD102を発現する;
- 集団内の細胞の約2%以下が、検出可能なレベルのCD127を発現する;
- 集団内の細胞の約2%以下が、検出可能なレベルのCD104を発現する;
- 集団内の細胞の約20%以下が、検出可能なレベルのCD126を発現する、又は集団内の細胞の少なくとも約19%が、検出可能なレベルのCD126を発現する;
- 集団内の細胞の約1%以下が、検出可能なレベルのCD62Eを発現する;
- 集団内の細胞の約0.5%以下が、検出可能なレベルのCD62Lを発現する;
- 集団内の細胞の約0.5%以下が、検出可能なレベルのCD62Pを発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約33%が、検出可能なレベルのCD158dを発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約22%が、検出可能なレベルのCD158iを発現する;
- 集団内の細胞のうちの少なくとも約51%が、検出可能なレベルのCD160を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約48%が、検出可能なレベルのCD314を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約35%が、検出可能なレベルのCD337を発現する;
- 集団内の細胞の約2.5%以下が、検出可能なレベルのCD159cを発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約7%が、検出可能なレベルのCD158b2を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約41%が、検出可能なレベルのCD158fを発現する;及び
- 集団内の細胞の少なくとも約8%が、検出可能なレベルのCD159aを発現する。
【0119】
本発明の特定の集団は、表1又は表2に示すマーカーの組み合わせのいずれかを参照して定義することができる。集団は、最も好ましくは、表7に示すMK004のマーカー発現パターンを有する。
【0120】
本発明は、好ましくは、MK細胞の集団であって、
(i)集団内の細胞の少なくとも約46%が、検出可能なレベルのCD112を発現し、
(ii)集団内の細胞の少なくとも約91%が、検出可能なレベルのCD137Lを発現し、
(iii)集団内の細胞の少なくとも約65%が、検出可能なレベルのCD178を発現し、
(iv)集団内の細胞の少なくとも約88%が、検出可能なレベルのCD253を発現し、
(v)集団内の細胞の少なくとも約96%が、検出可能なレベルのCD277を発現し、
且つ
(a)集団内の細胞の約1.5%以下が、検出可能なレベルのCD34を発現し、
(b)集団内の細胞の約4.5%以下が、検出可能なレベルのCD45を発現する集団を提供する。
【0121】
本発明は、好ましくは、MK細胞の集団であって、
(i)集団内の細胞の少なくとも約34%が、検出可能なレベルのCD16を発現し、
(ii)集団内の細胞の少なくとも約83%が、検出可能なレベルのCD96を発現し、
(iii)集団内の細胞の少なくとも約46%が、検出可能なレベルのCD112を発現し、
(iv)集団内の細胞の少なくとも約91%が、検出可能なレベルのCD137Lを発現し、
(v)集団内の細胞の少なくとも約65%が、検出可能なレベルのCD178を発現し、
(vi)集団内の細胞の少なくとも約88%が、検出可能なレベルのCD253を発現し、
(vii)集団内の細胞の少なくとも約96%が、検出可能なレベルのCD277を発現し、
且つ
(a)集団内の細胞の約1.5%以下が、検出可能なレベルのCD34を発現し、
(b)集団内の細胞の約4.5%以下が、検出可能なレベルのCD45を発現し、
(c)集団内の細胞の約1%以下が、検出可能なレベルのCD56を発現する集団を提供する。
【0122】
好ましくは、以下のうちの1つ以上、又はより好ましくは全てである:
- 集団内の細胞の約4%以下が、検出可能なレベルのCD14を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約43%が、検出可能なレベルのCD25を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約79%が、検出可能なレベルのCD136を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約99%が、検出可能なレベルのCD155を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約39%が、検出可能なレベルのCD183を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約46%が、検出可能なレベルのCD205を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約23%が、検出可能なレベルのCD332を発現する;
- 集団内の細胞の約1.5%以下が、検出可能なレベルのCD102を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約6%が、検出可能なレベルのCD127を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約16%が、検出可能なレベルのCD104を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約54%が、検出可能なレベルのCD126を発現する;
- 集団内の細胞の約4%以下が、検出可能なレベルのCD62Eを発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約11%が、検出可能なレベルのCD62Lを発現する;
- 集団内の細胞の約2.5%以下が、検出可能なレベルのCD62Pを発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約37%が、検出可能なレベルのCD158dを発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約44%が、検出可能なレベルのCD158iを発現する;
- 集団内の細胞のうちの少なくとも約78%が、検出可能なレベルのCD160を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約76%が、検出可能なレベルのCD314を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約49%が、検出可能なレベルのCD337を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約14%が、検出可能なレベルのCD159cを発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約21%が、検出可能なレベルのCD158b2を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約48%が、検出可能なレベルのCD158fを発現する;及び
- 集団内の細胞の少なくとも約34%が、検出可能なレベルのCD159aを発現する。
【0123】
本発明の特定の集団は、表1又は表2に示すマーカーの組み合わせのいずれかを参照して定義することができる。集団は、最も好ましくは、表11に示すIFN-γで処理されたMK004のマーカー発現パターンを有する。
【0124】
本発明は、好ましくは、MK細胞の集団であって、
(i)集団内の細胞の少なくとも約23%が、検出可能なレベルのCD112を発現し、
(ii)集団内の細胞の少なくとも約79%が、検出可能なレベルのCD137Lを発現し、
(iii)集団内の細胞の少なくとも約30%が、検出可能なレベルのCD178を発現し、
(iv)集団内の細胞の少なくとも約77%が、検出可能なレベルのCD253を発現し、
(v)集団内の細胞の少なくとも約82%が、検出可能なレベルのCD277を発現し、
且つ
(a)集団内の細胞の約0.5%以下が、検出可能なレベルのCD34を発現し、
(b)集団内の細胞の約2%以下が、検出可能なレベルのCD45を発現する集団を提供する。
【0125】
本発明は、好ましくは、MK細胞の集団であって、
(i)集団内の細胞の少なくとも約16%が、検出可能なレベルのCD16を発現し、
(ii)集団内の細胞の少なくとも約45%が、検出可能なレベルのCD96を発現し、
(iii)集団内の細胞の少なくとも約23%が、検出可能なレベルのCD112を発現し、
(iv)集団内の細胞の少なくとも約79%が、検出可能なレベルのCD137Lを発現し、
(v)集団内の細胞の少なくとも約30%が、検出可能なレベルのCD178を発現し、
(vi)集団内の細胞の少なくとも約77%が、検出可能なレベルのCD253を発現し、
(vii)集団内の細胞の少なくとも約82%が、検出可能なレベルのCD277を発現し、
(a)集団内の細胞の約0.5%以下が、検出可能なレベルのCD34を発現し、
(b)集団内の細胞の約2%以下が、検出可能なレベルのCD45を発現し、
且つ
集団内の細胞の約10%以下が、検出可能なレベルのCD56を発現する、又は集団内の細胞の少なくとも約10%が、検出可能なレベルのCDCD56を発現する集団を提供する。
【0126】
好ましくは、以下のうちの1つ以上、又はより好ましくは全てである:
- 集団内の細胞の約2%以下が、検出可能なレベルのCD14を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約12%が、検出可能なレベルのCD25を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約52%が、検出可能なレベルのCD136を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約99%が、検出可能なレベルのCD155を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約19%が、検出可能なレベルのCD183を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約11%が、検出可能なレベルのCD205を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約9%が、検出可能なレベルのCD332を発現する;
- 集団内の細胞の約1.5%以下が、検出可能なレベルのCD102を発現する;
- 集団内の細胞の約5%以下が、検出可能なレベルのCD127を発現する;
- 集団内の細胞の約3.5%以下が、検出可能なレベルのCD104を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約18%が、検出可能なレベルのCD126を発現する;
- 集団内の細胞の約1.5%以下が、検出可能なレベルのCD62Eを発現する;
- 集団内の細胞の約3.5%以下が、検出可能なレベルのCD62Lを発現する;
- 集団内の細胞の約2%以下が、検出可能なレベルのCD62Pを発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約24%が、検出可能なレベルのCD158dを発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約18%が、検出可能なレベルのCD158iを発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約52%が、検出可能なレベルのCD160を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約39%が、検出可能なレベルのCD314を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約31%が、検出可能なレベルのCD337を発現する;
- 集団内の細胞の約3.5%以下が、検出可能なレベルのCD159cを発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約9%が、検出可能なレベルのCD158b2を発現する;
- 集団内の細胞の少なくとも約33%が、検出可能なレベルのCD158fを発現する;及び
- 集団内の細胞の少なくとも約9%が、検出可能なレベルのCD159aを発現する。
【0127】
本発明の特定の集団は、表1又は表2に示すマーカーの組み合わせのいずれかを参照して定義することができる。集団は、最も好ましくは、表11に示すTNF-αで処理されたMK004のマーカー発現パターンを有する。
【0128】
上述の集団のいずれにおいても、好ましくは、集団内の細胞の約5%以下、例えば、約4%以下、約3%以下、約2%以下、又は約1%以下が、(a)CD45RA、(b)CD45RB、及び(c)CD45ROのうちの1つ以上、例えば、(a)、(b)、(c)、(a)及び(b)、(a)及び(c)、(b)及び(c)、又は(a)、(b)及び(c)を発現する。
【0129】
上述のいずれの集団においても、好ましくは、集団内の細胞の約5%以下、例えば、約4%以下、約3%以下、約2%以下、又は約1%以下が、例えばその表面上においてCD140aを発現する。上述した集団のいずれにおいても、好ましくは、集団内の細胞の約5%以下、例えば、約4%以下、約3%以下、約2%以下、又は約1%以下が、(i)CDH6、(ii)CD129、(iii)CD200、及び(iv)CD271のうちの1つ以上、例えば、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(i)及び(ii)、(i)及び(iii)、(i)及び(iv)、(ii)及び(iii)、(ii)及び(iv)、(iii)及び(iv)、(i)、(ii)及び(iii)、(i)、(ii)及び(iv)、(i)、(iii)及び(iv)、(ii)、(iii)及び(iv)、又は(i)、(ii)、(iii)及び(iv)を発現する。
【0130】
これら好ましい集団内の細胞は、検出可能なレベルの本発明のMKに関して上述したマーカーのいずれかを更に発現し得る。これら好ましい集団内の細胞は、上述したMK細胞の有利な特性のいずれかを有し得る。
【0131】
特定のマーカーを発現している細胞の%に関して集団を定義する上記実施形態のいずれにおいても、集団は、好ましくは、少なくとも約5,000個の細胞、例えば、少なくとも約6,000個、少なくとも約7,000個、少なくとも約8,000個、少なくとも約9,000個、少なくとも約10,000個、少なくとも約20,000個、少なくとも約30,000個、少なくとも約40,000個、少なくとも約50,000個、少なくとも約100,000個、少なくとも約200,000個、少なくとも約250,000個、又は少なくとも約500,000個の細胞を含む。該集団は、より好ましくは、少なくとも約5000個の細胞、少なくとも約50,000個の細胞、又は少なくとも約250,000個の細胞を含む。これら集団は、上述した細胞数のいずれかを含み得る。
【0132】
本発明の集団はいずれも、好ましくは、検出可能なレベルの(a)ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド1(CXCL1、別名GROa)、(b)インターロイキン-12(IL-12)、(c)可溶性IL-2受容体(IL-2Ra)、(d)IL-8、(e)可溶性TRAIL、及び(f)IL-6のうちの1つ以上を分泌する。MK細胞は、検出可能なレベルの上述した(a)~(f)の任意の組み合わせ及び順列を分泌し得る。本発明の集団はいずれも、好ましくは、検出可能なレベルのIL-15及び/又はCXCL10(IP-10)を分泌する。該集団は、好ましくは、上述の(a)GROa、(b)インターロイキン12(IL-12)、(c)IL-2Ra、(d)IL-8、(e)可溶性TRAIL、及び(f)IL-6のうちの1つ以上と組み合わせて、IL-15及び/又はCXCL10(IP-10)を検出可能なレベルで分泌する。
【0133】
本明細書において開示される細胞のいずれの集団も、使用前に他の細胞で希釈してもよい。例えば、該集団を、被験体の血液、MNC、MSC、NK細胞、PML、iMP細胞、ioMP細胞、又はこれらの組み合わせと組み合わせてよい。
【0134】
本発明の集団は、上述の通り療法に有利である。本発明の安全なMK細胞を多数含む集団を生成する能力は、本発明の重要な利点の1つである。本発明は、関心対象の組織に効率的に遊走し、そこに到着したら抗腫瘍効果を有することができる細胞の集団で被験体を治療することを可能にする。これにより、低用量の細胞を使用することができるようになり、CAR-T細胞に関連する副作用及び体積関連副作用が回避される。
【0135】
本発明の集団は、好ましくは、相同である。言い換えれば、集団内のiMP細胞は全て、好ましくは、遺伝子型及び表現型が同一である。該集団は、好ましくは、上に定義した通り自己又は同種である。
【0136】
しかし、該集団は、半同種であってもよい。半同種の集団は、典型的には、2人以上の被験体からのMNCから生成される。言い換えれば、集団内の細胞は全て、好ましくは、遺伝的に同一又は十分に遺伝的に同一である。本発明のMK細胞は被験体に由来し得るので、治療される被験体に対して自己であり得る。
【0137】
本発明の集団は、単離されていても、実質的に単離されていても、精製されていても、実質的に精製されていてもよい。集団は、培養培地及び他の細胞などの任意の他の成分を完全に含まない場合、単離又は精製されている。集団は、その意図する用途に干渉しない担体又は希釈剤、例えば培養培地と混合されている場合、実質的に単離されている。他の担体及び希釈剤については、以下でより詳細に論じる。実質的に単離又は実質的に精製されている集団は、本発明のMK細胞以外の細胞を含まない。いくつかの実施形態では、本発明の集団は、後述する通り、成長マトリックス中に存在していてもよく、表面上に固定化されていてもよい。
【0138】
該集団は、典型的には、インビトロで培養される。細胞を培養するための技術は、当業者に周知である。細胞は、血清を含まない培地中、37℃、5%COの標準的な条件下で培養してよい。細胞は、好ましくは、以下でより詳細に論じる通り、低酸素条件下で血小板溶解物と共に培養される。細胞は、標準的な6ウェルプレートなどのフラットプレートのウェルを含む、任意の好適なフラスコ又は容器で培養してよい。このようなプレートは、Fisher scientific、VWR suppliers、Nunc、Starstedt、又はFalconから市販されている。ウェルは、典型的には、約1mL~約4mLの容量を有する。
【0139】
集団を収容又は培養するフラスコ、容器、又はウェルは、MK細胞の取り扱いを容易にするために改造してもよい。例えば、フラスコ、容器、又はウェルは、細胞の培養を容易にするために、例えば、成長マトリックスを含むように改造してもよい。フラスコ、容器、又はウェルは、MK細胞の付着を可能にするため又はMK細胞の表面への固定化を可能にするために改造してもよい。ラミニン若しくはコラーゲンなどの細胞外マトリックスタンパク質、又は細胞に結合し、該細胞を表面(複数可)上に固定化若しくは捕捉する任意の他の捕捉分子で、1つ以上の表面をコーティングしてもよい。
【0140】
集団は、本明細書に記載の技術のいずれかを用いてエクスビボで改変することができる。例えば、集団に治療又は診断剤をトランスフェクト又はロードしてよい。次いで、以下でより詳細に論じる治療の方法において該集団を使用することができる。
【0141】
本発明のMKセルの生成方法
また、本発明は、本発明の集団を生成する方法を提供する。該方法は、単核細胞(MNC)のiMP細胞への分化を誘導する条件下でMNCを培養することを含む(工程(a))。この工程は、国際出願第PCT/GB2015/051673号(国際公開第2015/189587号として公開)に開示されている。次いで、該方法は、低酸素条件下、及びiMP細胞を接着させてMK細胞に分化させる条件下において、1つ以上のリボヌクレオシド、1つ以上のデオキシリボヌクレオシド、及び血小板溶解物を含む培地中で、iMP細胞を培養することを含む(工程(b))。MK細胞は、本発明の細胞に関して上述したマーカー発現プロファイルを有する。該細胞は、(実施例に開示されているものなどの)通常の技術を用いて収集し、冷凍又は直ちに使用してよい。
【0142】
単核細胞(MNC)及びその単離方法は、当技術分野において公知である。MNCは、好ましくは、骨髄から単離された初代MNCである。MNCは、好ましくは、リンパ球、単球、及び/又はマクロファージなどの末梢血MNC(PBMC)であってよい。MNCは、Ficoll(登録商標)などの親水性多糖類を用いて、骨髄又は血液から単離することができる。例えば、実施例で開示する通り、Ficoll-Paque(登録商標)(市販されているの密度培地)を用いてMNCを単離してもよい。
【0143】
方法の全ての工程において、細胞は、血清を含まない培地中、37℃、5%COの標準的な条件下で培養される。
【0144】
国際出願第PCT/GB2015/051673号(国際公開第2015/189587号として公開)に記載の通り、工程(a)では、MNCは、典型的には、表5に列挙されている成分を有するヌクレオシドを含まない最小必須培地(MEM)Alpha GlutaMAX(登録商標)(ThermoFisher;製品コード:32561-102)中で培養されて、iMP細胞を形成する。MEMは、Thermofisher及びSigma-Aldrichを含む様々な供給源から市販されている。工程(a)は、好ましくは、単核細胞(MNC)のiMP細胞への分化を誘導する条件下で、リボヌクレオシド及びデオキシリボヌクレオシドを含まない培養培地中でMNCを培養することを含む。リボヌクレオシド及びデキソイリボヌクレオシドは、後述するもののうちのいずれであってもよい。
【0145】
工程(a)における培地は、好ましくは、ヘパリン及び/又はペニシリン/ストレプトアビジン(P/S)を更に含む。工程(a)における培地には、血小板溶解物が補給される。工程(a)は、好ましくは、単核細胞(MNC)のiMP細胞への分化を誘導する条件下で、リボヌクレオシド及びデオキシリボヌクレオシドを含まず、血小板溶解物を含む培養培地中でMNCを培養することを含む。リボヌクレオシド及びデキソイリボヌクレオシドは、後述するもののうちのいずれであってもよい。血小板溶解物とは、血小板の溶解を通じて放出された、血小板に含有されている天然成長因子の組み合わせを指す。溶解は、化学的手段(すなわち、CaCl)、浸透圧的手段(蒸留水の使用)、又は凍結/解凍の手順を通して達成することができる。血小板溶解物は、米国特許第5,198,357号に記載の通り全血由来であってよい。血小板溶解物は、好ましくは、国際出願第PCT/GB12/052911号(国際公開第2013/076507号として公開)に記載の通り調製される。血小板溶解物は、好ましくは、各凍結相で液体窒素を用いて4回の凍結/解凍サイクルによって調製される。血漿溶解物は、好ましくは、ヒト血漿溶解物である。培地は、好ましくは、約20体積%以下、例えば、約15体積%以下、又は約10体積%以下の血小板溶解物を含む。培地は、好ましくは、約5体積%~約20体積%、例えば、約10体積%~約15体積%の血小板溶解物を含む。培地は、好ましくは、約10体積%の血小板溶解物を含む。
【0146】
本発明の方法の工程(a)は、典型的には、MNCのiMP細胞への分化を誘導するのに十分な時間、MNCを培養することを含む。十分な時間は、典型的には約15~約25日間、好ましくは約18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、又は24日間である。約8日間後に細胞を継代し、培地を交換してよい。細胞がほぼコンフルエントになったとき、更に約4日間、5日間、又は6日間後に、細胞を再び継代し、培地を交換してよい(合計約12日間、13日間、14日間)。次いで、ほぼコンフルエントになったときの約6日間、7日間、又は8日間後に、iMP細胞を収集してよい(合計約18~22日間)。
【0147】
工程(a)は、典型的には、MK細胞を接着させる条件下でMNCを培養することを含む。細胞を接着させる様々なサイズの培養フラスコ、並びに6、12、24、及び96ウェルのプレートは、Corning(登録商標)、Falcon(登録商標)、及びGreiner(登録商標)などの様々な供給源から市販されている。
【0148】
工程(a)では、MNCは、好ましくは、低酸素条件下で培養される。低酸素条件とは、大気中に20.95%未満の酸素が存在することを意味する。MNCは、好ましくは、約20.5%未満の酸素(O)、例えば、約20%未満、約19%未満、約18%未満、約17%未満、約16%未満、約15%未満、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約11%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、又は約1%の酸素(O)で培養される。MNCは、約0%~約19%のO、例えば、約1%~約15%のO、約2%~約10%のO、又は約5%~約8%のOで培養してよい。MNCは、最も好ましくは、約16%~約19%のOで培養される。上に引用した%酸素(又は%O)の数値は、培養中のインキュベータ内の気体中の酸素の体積%に関する。該方法は、典型的には、細胞に能動的に酸素を供給しないインキュベータ内で行われる。インキュベータによって能動的に酸素が供給されないとしても、大気由来の酸素は依然として存在する。これは、典型的には、約16~約19%である。該方法は、約16%~約19%の酸素(O)で細胞を培養することを含み得る。更に酸素レベルを下げるために、専用の低酸素インキュベータが利用可能である。
【0149】
工程(a)では、MNCは、最も好ましくは、血小板溶解液の存在下且つ低酸素条件下でMNCを培養される。
【0150】
工程(a)では、MNCがiMP細胞に分化する。これは、国際出願第PCT/GB2015/051673号(国際公開第2015/189587号)に記載されている。iMP細胞は、検出可能なレベルのMIC A/B、CD304(ニューロピリン1)、CD178(FASリガンド)、CD289(Toll様受容体9)、CD363(スフィンゴシン-1-リン酸受容体1)、CD99、CD181(C-X-Cケモカイン受容体1型;CXCR1)、上皮成長因子受容体(EGF-R)、CXCR2、及びCD126を発現する。また、iMP細胞は、典型的には、検出可能なレベルのCD29、CD44、CD73、CD90、CD105、及びCD271を発現し、検出可能なレベルのCD14、CD34、及びCD45を発現しない。血小板溶解物、接着、及び低酸素のいずれか、好ましくは全てを含む、上述した工程(a)の培養条件いずれかを用いて、MNCをiMP細胞に分化させることができる。
【0151】
工程(b)では、該方法は、好ましくは、低酸素条件下、及びiMP細胞を接着させてMK細胞に分化させる条件下において、1つ以上のリボヌクレオシド、1つ以上のデオキシリボヌクレオシド、及び血小板溶解物を含む培地中で、該iMP細胞を培養することを更に含む。1つ以上のリボヌクレオシドは、好ましくは、(i)アデノシン、(ii)シチジン、(iii)グアノシン、及び(iv)ウリジンのうちの1つ以上である。1つ以上のデオキシリボヌクレオシドは、好ましくは、1つ以上の(i)2’デオキシアデノシン、(ii)2’デオキシシチジンHCl、(iii)2’デオキシグアノシン、及び(iv)チミジンである。いずれの場合も、培養培地は、(i)~(iv)の任意の数及び組み合わせ、例えば、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(i)及び(ii)、(i)及び(iii)、(i)及び(iv)、(ii)及び(iii)、(ii)及び(iv)、(iii)及び(iv)、(i)、(ii)及び(iii)、(i)、(ii)及び(iv)、(i)、(iii)及び(iv)、(ii)、(iii)及び(iv)、又は(i)、(ii)、(iii)及び(iv)を含んでいてよい。培養培地は、好ましくは、アデノシン、シチジン、グアノシン、ウリジン、2’デオキシアデノシン、2’デオキシシチジンHCl、2’デオキシグアノシン、及びチミジンを含む。工程(b)における培養培地は、好ましくは、L-グルタミンを更に含み、L-アラニル-L-グルタミンを含まない。
【0152】
工程(b)では、該方法は、より好ましくは、低酸素条件下、及びiMP細胞を接着させてMK細胞に分化させる条件下において、表6に列挙する成分を含み、血小板溶解物を含む培地中で、iMP細胞を培養することを更に含む。表6に列挙する成分を含む培地は、好ましくは、実施例で使用するヌクレオシドを含むMEM Alpha(ThermoFisher;製品コード:12571-063)である。
【0153】
工程(b)は、典型的には、約6日間、7日間、又は8日間かかる。MK細胞は、ほぼコンフルエントになったら、収集してよい。工程(a)及び(b)は、典型的には、おおよそ、合計約24~約30日間、例えば約25日間、26日間、27日間、28日間、又は29日間かかる。工程(b)は、MK細胞を約6日間、7日間、又は8日間培養し、MK細胞を継代(再播種)し、更に約2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、又は8日間培養することを含んでいてよい。この例では、工程(a)及び(b)は、典型的には、おおよそ、合計約24~約34日間、例えば約25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、31日間、32日間、又は33日間かかる。
【0154】
工程(a)について上述した血小板溶解物及び低酸素条件に関する実施形態はいずれも、工程(b)にも同様に適用される。工程(b)で使用される血小板溶解物は、好ましくは、国際出願第PCT/GB12/052911号(国際公開第2013/076507号として公開)に記載の通り調製される。血小板溶解物は、好ましくは、各凍結相で液体窒素を用いて4回の凍結/解凍サイクルによって調製される。工程(b)における培地は、好ましくは、ヘパリン及び/又はペニシリン/ストレプトアビジン(P/S)を更に含む。
【0155】
工程(b)は、IFN-γ及び/又はTNF-αを培地に補給することを更に含んでいてもよい。約100ug/mL~約1000ug/mLなどの任意の量のIFN-γを使用してよい。培地には、好ましくは、500ug/mLを補給する。約1ng/mL~約100ng/mLなどの任意の量のTNF-αを使用してよい。培地には、好ましくは、10ng/mLを補給する。工程(b)は、好ましくは、24時間/1日間、IFN-γ及び/又はTNF-αを培地に補給することを更に含む。工程(b)は、より好ましくは、24時間/1日間、IFN-γ及び/又はTNF-αを培地に補給し、次いで、MK細胞を収集する前に2日間、IFN-γ及び/又はTNF-αを培養培地から除去することを更に含む。例えば、工程(b)が約6日間かかる場合、好ましくは、4日目にIFN-γ及び/又はTNF-αを培養培地に補給し、5及び6日目にIFN-γ及び/又はTNF-αを除去することを含む。工程(b)が、MK細胞を約6日間培養し、MK細胞を継代(再播種)し、更に6日間培養することを含む場合、好ましくは、10日目にIFN-γ及び/又はTNF-αを培養培地に補給し、11及び12日目にIFN-γ及び/又はTNF-αを除去することを含む。当業者であれば、この概念を上述の工程(b)の他のタイミングにも適用することができる。
【0156】
また、本発明は、工程(b)のみを含む、本発明のMK細胞の集団を生成する方法を提供する。該方法は、低酸素条件下、及びiMP細胞を接着させてMK細胞に分化させる条件下において、1つ以上のリボヌクレオシド、1つ以上のデオキシリボヌクレオシド、及び血小板溶解物を含む培地中で、該iMP細胞を培養することを含む。上述の全ての実施形態がこの方法にも同様に適用される。
【0157】
上述の議論から明らかである通り、本発明の方法は、臨床的に関連する条件、すなわち、微量の内毒素、並びにリポ多糖類、リポペプチド、及びペプチドグリカンなどの他の環境汚染物質の非存在下で実施される。このことから、本発明のMK細胞は、被験体への投与に特に適したものになる。
【0158】
MNCは、好ましくは、被験体又は同種ドナーから得られる。本発明は、また、被験体への投与に好適な本発明の集団を生成する方法であって、(a)該被験体から得られたMNCを、該MNCのiMP細胞への分化を誘導する条件下で培養することと、(b)低酸素条件下、及び該iMP細胞を接着させて、該被験体に投与するのに好適なMK細胞に分化させる条件下において、1つ以上のリボヌクレオシド、1つ以上のデオキシリボヌクレオシド、及び血小板溶解物を含む培地中で、該iMP細胞を培養することと、を含む方法を提供する。また、本発明は、被験体への投与に好適な本発明の集団を生成する方法であって、低酸素条件下、及びiMP細胞を接着させて、該被験体に投与するのに好適なMK細胞に分化させる条件下において、1つ以上のリボヌクレオシド、1つ以上のデオキシリボヌクレオシド、及び血小板溶解物を含む培地中で、該被験体に由来するiMP細胞を培養することを含む方法を提供する。集団は、被験体に対して自己であり、従って、移植の際に拒絶されない。本発明は、また、被験体への投与に好適であり、この方法で生成される本発明の集団を提供する。
【0159】
あるいは、本発明は、また、被験体への投与に好適な本発明の集団を生成する方法であって、(a)異なる被験体から得られたMNCを、該MNCのiMP細胞への分化を誘導する条件下で培養することと、(b)低酸素条件下、及び該iMP細胞を接着させて、該被験体に投与するのに好適なMK細胞に分化させる条件下において、1つ以上のリボヌクレオシド、1つ以上のデオキシリボヌクレオシド、及び血小板溶解物を含む培地中で、該iMP細胞を培養することと、を含む方法を提供する。また、本発明は、被験体への投与に好適な本発明の集団を生成する方法であって、低酸素条件下、及びiMP細胞を接着させて、該被験体に投与するのに好適なMK細胞に分化させる条件下において、1つ以上のリボヌクレオシド、1つ以上のデオキシリボヌクレオシド、及び血小板溶解物を含む培地中で、異なる被験体に由来するiMP細胞を培養することを含む方法を提供する。集団は、被験体と同種になる。同種の中胚葉細胞がヒト被験体において安全であるという十分な証拠が存在する(Anastasiadis et al.J Cardiovasc Transl Res.2016 Jun;9(3):202-13)。本発明は、また、被験体への投与に好適であり、この方法で生成される本発明の集団を提供する。
【0160】
インビトロ法
本発明のMK細胞又は集団は、免疫細胞の活性を制御するインビトロ法において使用することができる。具体的には、本発明は、NK細胞の集団をプライミングするインビトロ法であって、NK細胞の活性を高める条件下で、本発明のMK細胞の集団と共にNK細胞の集団をインキュベートすることを含む方法を提供する。該方法は、好ましくは、NK細胞の細胞傷害活性を高める。細胞傷害性を測定する方法は、上に開示されている。該方法は、NK細胞の増殖を更に増加させることができる。言い換えれば、プライミングは、好ましくは、NK細胞の細胞傷害性及び/又は増殖を増加させることを含む。NK細胞の活性は、インキュベーション中又は後に評価してよい。
【0161】
該方法は、MK細胞及びNK細胞を、インターロイキン-18(IL-8)などのNK細胞をプライミング/活性化する剤と共にインキュベートすることを更に含んでいてもよい。他のこのような剤は、当技術分野において公知である。
【0162】
NK細胞の集団は、本発明のMK細胞に関して上述した数のいずれかを含む、任意の数のNK細胞を含んでいてよい。
【0163】
NK細胞は、典型的には、顆粒リンパ球である。これは、標準的な顕微鏡観察技術を用いて判定することができる。NK細胞は、典型的には、直径約10~約30μm、例えば直径約14~約20μmである。
【0164】
NK細胞は、好ましくは、その表面において、低いが検出可能なレベルのCD56を発現する(CD56dimとしても知られている)。NK細胞は、その表面において、検出可能なレベルのCD56を発現し得る(CD56brightとしても知られている)。
【0165】
NK細胞は、好ましくは、その表面において、検出可能なレベルのCD16を発現する(CD16brightとしても知られている)。NK細胞は、その表面において低いが検出可能なレベルのCD16を発現し得る(CD16dimとしても知られている)。
【0166】
NK細胞は、好ましくは、その表面において、検出可能なレベルのCD3を発現しない(CD3としても知られている)。
【0167】
NK細胞は、好ましくは、その表面において、検出可能なレベルのTCRを発現しない(TCRとしても知られている)。NK細胞は、好ましくは、その表面において、検出可能なレベルのTCRαβを発現しない。NK細胞は、好ましくは、その表面において、検出可能なレベルのTCRγδを発現しない。
【0168】
NK細胞は、好ましくは、CD56dim/CD16brightであり、より好ましくは、CD56dim/CD16bright/CD3-/TCRである。
【0169】
NK細胞は、CD56bright/CD16dim、より好ましくはCD56bright/CD16dim/CD3-/TCRであってよい。
【0170】
また、NK細胞は、典型的には、その表面において、検出可能なレベルの1つ以上の活性化受容体を発現する。活性化受容体は、感染又は形質転換した細胞上に存在する標的リガンドに結合し、NK細胞を活性化する。本発明の状況では、これら受容体を通じたNK細胞の活性化は、細胞の増殖及び/又は細胞の細胞傷害活性の増加に対応し得る。これらはいずれも、当技術分野において標準的な方法を用いて測定することができる。活性化受容体は、標的リガンドに結合したときなどに、NK細胞の増殖及び/又は細胞傷害活性を刺激又は増加させることができる。以下の表3に、NK細胞が発現し得る1つ以上の活性化受容体及びその標的リガンドをまとめる。
【0171】
【表3】
【0172】
NK細胞は、その表面において、これら活性化受容体の任意の数及び任意の組み合わせを検出可能なレベルで発現し得る。この状況において、検出可能なレベルとは、NK細胞集団の5%超が関連受容体を発現することを意味する。
【0173】
また、NK細胞は、典型的には、その表面において、検出可能なレベルの1つ以上の抑制受容体を発現する。抑制受容体は、その標的リガンドに結合したとき、NK細胞の活性化を抑制する。以下の表4に、NK細胞が発現し得る1つ以上の抑制受容体及びその標的リガンドをまとめる。
【0174】
【表4】
【0175】
NK細胞は、その表面において、これら抑制受容体の任意の数及び任意の組み合わせを検出可能なレベルで発現し得る。この状況において、検出可能なレベルとは、NK細胞集団の5%超が関連受容体を発現することを意味する。
【0176】
NK細胞は、好ましくは、ヒトである。NK細胞は、上述の動物のいずれに由来してもよい。ヒトNK細胞は、典型的には、ヒト被験体に由来する。ヒトNK細胞は、任意の方法で得ることができる。ヒトNK細胞は、ヒト被験体の末梢血から単離することができる。これを行う方法は、当技術分野において公知である。例えば、末梢血から白血球細胞/白血球を単離し、その表面上のマーカーに基づいてNK細胞を単離又は選択してよい。CD56bright/CD3などの上述のマーカーのいずれを使用してもよい。末梢血から単離された白血球細胞/白血球は、免疫磁気ビーズセレクションに供してよい。
【0177】
NK細胞は、CD34造血前駆細胞から生成され得る。CD34造血前駆細胞は、末梢血又は骨髄から単離することができる。あるいは、CD34造血前駆細胞は、例えば、PromoCellから市販されている。CD34造血前駆細胞は、インターロイキン15(IL-15)を用いてNK細胞に分化させることができる。
【0178】
NK細胞は、ヒト人工多能性幹(iPS)細胞に由来していてよい。このような細胞は、多能性を誘導するために使用した1つ以上の転写因子の存在に基づいて同定することができる。このような転写因子としては、Oct-3/4、Sox1、Sox2、Sox3、Sox15、Sox18、Klf2、Klf4、c-Myc、n-Myc、l-Myc、Nanog、LIN28、及びGlis1が挙げられるが、これらに限定されない。このような細胞は、このような転写因子を送達するために使用される機構の証拠も含み得る。
【0179】
NK細胞は、自己であってもよい。言い換えれば、該細胞は、その細胞が投与される被験体に由来していてよい。NK細胞は、好ましくは、同種である。言い換えれば、該細胞は、好ましくは、異なる対象に由来する。自己NK細胞又は同種NK細胞のヒト被験体への投与は、文書で十分に裏付けられている。
【0180】
次いで、単離されたNK細胞を、当技術分野において公知の方法を用いてインビトロで培養してよい。インターロイキン2(IL-2)を使用して、NK細胞の分化及び増殖を誘導することができる。また、抗CD3抗体を使用して、インビトロにおいてIL-2に駆動されるNK細胞の増幅を増加させることができる。従って、NK細胞は、IL-2及び任意で抗CD3抗体を含む培地で培養してよい。このような抗体は、当業者であれば入手可能である。培地は、IL-15を更に含んでいてもよい。培地は、IL-1、IL-4、IL-7、IL-12、及び腫瘍壊死因子(TNF)のうちの1つ以上を更に含んでいてもよい。
【0181】
NK細胞は、追加のシグナルを提供して増殖を促進するためにアクセサリ細胞と共に培養してもよい。好適なアクセサリ細胞としては、放射線照射したEBVで形質転換されたリンパ芽球様細胞、HFWT(ウィルムス腫瘍由来の細胞株)、及びBCR-ABL1慢性骨髄性白血病細胞株K652が挙げられるが、これらに限定されはない。
【0182】
NK細胞は、NK細胞株、例えば、NK-92(Gong;JH,Maki;G,Klingemann;HG,Characterization of a human cell line(NK-92)with phenotypical and functional characteristics of activated natural killer cells,Leukaemia,Vol.8 Issue 4,1994,p.658-658)又はKHYG-1(Yagita;M,Huang;CL,Umehara;H,Matsuo;Y,Tabata;R,Miyake;M,Konata;Y,Takatsuki;K,A novel natural killer cell line(KHYG-1)from a subject with aggressive natural killer cell leukemia carrying a p53 point mutation,Leukaemia,Vol.14 Issue 5,2000,p.922-930)であってよい。
【0183】
MK細胞及びNK細胞は、任意の期間インキュベートしてよい。期間は、約30秒間~約3日間のいずれであってもよい。例えば、期間は、約30秒間、約1分間、約2分間、約5分間、約10分間、約30分間、約1時間、約2時間、約4時間、約8時間、約12時間、約1日間、約2日間、又は約3日間であってよい。MK細胞及びNK細胞は、好ましくは、1日間インキュベートされる。
【0184】
MK細胞及びNK細胞は、Transwell(登録商標)のインサートを挟んでインキュベートしてもよい。MK細胞及びNK細胞は、MK細胞培養培地(上記参照)又はNK細胞培養培地(上記参照)中で培養してもよい。
【0185】
プライミングされたNK細胞
また、本発明は、本発明を用いてプライミング/活性化されたNK細胞の集団を提供する。プライミングされたNK細胞は、活性が高まる。好ましくは、NK細胞の細胞傷害活性が高まる。これを測定する方法は、上に開示されている。NK細胞の増殖も増加し得る。NK細胞は、上に論じたもののうちのいずれであってもよい。プライミングされたNK細胞の集団は、本発明のMK細胞に関して上述した数のいずれかを含む、任意の数のNK細胞を含んでいてよい。
【0186】
インビボ法
本発明のMK細胞又は集団は、免疫細胞の活性を制御するインビボ法において使用することができる。具体的には、本発明は、NK細胞の集団をプライミングするインビボ法であって、被験体におけるNK細胞の活性を高める条件下で、本発明のMK細胞の集団又はMK細胞の集団を含む本発明の医薬組成物を被験体に投与することを含む方法を提供する。細胞の用量、医薬組成物、及び投与経路については、以下でより詳細に論じる。
【0187】
NK細胞は、被験体から抽出し、上述の通り単離することができる。該方法は、好ましくは、NK細胞の細胞傷害活性を高める。これを測定する方法は、上に開示されている。該方法は、NK細胞の増殖を増加させることができる。
【0188】
医薬組成物及び投与
本発明は、更に、(a)本発明のMK細胞の集団と、(b)薬学的に許容し得る担体又は希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。MK細胞の集団は、上に論じたもののうちのいずれであってもよい。医薬組成物は、NK細胞の集団を更に含んでいてもよい。NK細胞は、上述したプライミングされていないNK細胞の集団又は本発明のプライミングされたNK細胞の集団を含む、上述したもののうちのいずれであってもよい。MK細胞及びNK細胞は、いかなる比率で存在していてもよい。MK細胞及びNK細胞は、好ましくは、約1:約1などのほぼ等しい比率で存在する。また、約1:約2、約1:約3、約1:約5、約1:約10、約1:約20、約1:約50、約1:約100、又はそれ以上を含むがこれらに限定されない他の比率も本発明により想定される。好適な細胞数については、上述及び後述する。
【0189】
本発明は、また、(a)本発明のプライミングされたNK細胞の集団と、(c)薬学的に許容し得る担体又は希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。プライミングされたNK細胞の集団は、上述したもののうちのいずれであってもよい。医薬組成物は、本発明のMK細胞の集団を更に含んでいてもよい。細胞は、上述のいかなる比率で存在していてもよい。
【0190】
本発明の様々な組成物は、任意の好適な方法で製剤化してよい。薬学分野における常法を使用して、標準的な薬学的に許容し得る担体及び/又は賦形剤を用いて細胞の製剤化を行うことができる。製剤の正確な性質は、投与される細胞及び所望の投与経路を含むいくつかの要因に依存する。好適な種類の製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,19th Edition,Mack Publishing Company,Eastern Pennsylvania,USAに十分に記載されている。
【0191】
細胞は、いかなる経路で投与してもよいように製剤化してよい。好適な経路としては、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、心内膜心筋、心筋外膜、心室内、冠動脈内、逆行冠静脈洞、動脈内、心膜内、骨内、又は肺内の経路が挙げられるが、これらに限定されない。また、肝臓、腎臓、又は肺の組織などの関心対象の組織に直接細胞を投与してもよい。腫瘍に直接細胞を投与してもよい。
【0192】
組成物は、生理学的に許容し得る担体又は希釈剤と一緒に調製してもよい。典型的には、このような組成物は、細胞の液体懸濁液として調製される。細胞は、薬学的に許容し得、且つ活性成分と適合する賦形剤と混合してもよい。好適な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、ブドウ糖、グリセロールなど、及びこれらの組み合わせである。
【0193】
更に、必要に応じて、本発明の医薬組成物は、湿潤若しくは乳化剤、pH緩衝剤、及び/又は有効性を強化するアジュバントなどの補助物質を微量含有していてもよい。組成物は、好ましくは、ヒト血清アルブミンを含む。
【0194】
1つの好適な担体又は希釈剤は、Plasma-Lyte A(登録商標)である。これは、静脈内投与用の無菌ノンパイロジェン等張液である。100mLあたり、塩化ナトリウムUSP(NaCl)526mg;グルコン酸ナトリウム(C6H11NaO7)502mg;酢酸ナトリウム三水和物USP(C2H3NaO2・3H2O)368mg;塩化カリウムUSP(KCl)37mg;及び塩化マグネシウムUSP(MgCl2・6H2O)30mgを含有する。抗菌剤は含有しない。水酸化ナトリウムでpHを調整する。pHは、7.4(6.5~8.0)である。
【0195】
MK細胞は、1つ以上のリポソーム及び/又は1つ以上のマイクロバブル内に含まれていてもよい。好適なリポソームは、当技術分野において公知である。好適なリポソームは、例えば、Akbarzadeh et al.Nanoscale Research Letters 2013,8:102及びMeghana et al.International Journal Of Pharmaceutical And Chemical Sciences,2012,1(1):1-10に開示されている。リポソームの形成において使用するのに好適な脂質については、マイクロバブルに関連して後述する。
【0196】
マイクロバブル、その形成及び生物医学的使用は、当技術分野において公知である(例えば、Sirsi and Borden,Bubble Sci Eng Technol.Nov 2009;1(1-2):3-17)。マイクロバブルは、直径1ミリメートル未満且つ直径1マイクロメートル超の気泡である。本発明で使用されるマイクロバブルは、好ましくは、直径8μm以下、例えば、直径7μm以下、直径6μm以下、直径5μm以下、直径4μm以下、直径3μm以下、又は直径2μm以下である。マイクロバブルは、いかなる物質から形成されてもよい。マイクロバブルの一般的な構成は、気体のコアがシェルによって安定化されている。気体のコアは、空気、又はパーフルオロカーボン、窒素、若しくはパーフルオロプロパンなどの重質ガスを含んでいてよい。重質ガスは、水溶性が低いので、マイクロバブルの溶解につながるマイクロバブルからの漏出の可能性が低い。重質ガスのコアを有するマイクロバブルは、典型的には、循環中により長く持続する。シェルは、いかなる材料から形成されてもよい。シェルの材料は、好ましくは、タンパク質、界面活性剤、脂質、ポリマー、又はこれらの混合物を含む。
【0197】
細胞は、投薬製剤に適合する方法で、そして、治療的に有効な量で投与され得る。投与される量は、治療される被験体、被験体の免疫系の能力、及び所望の修復度合いに依存する。投与に必要な細胞の正確な量は、開業医の判断に依存し得、そして、各被験体に特有であり得る。
【0198】
任意の好適な数の細胞を被験体に投与してよい。例えば、被験体1kgあたり少なくとも約0.2×10個、約0.25×10個、約0.5×10個、約1.5×10個、約4.0×10個、又は約5.0×10個の細胞を投与してよい。例えば、少なくとも約10個、約10個、約10個、約10個、約10個の細胞を投与してよい。目安として、投与される本発明の細胞の数は、約10~約10個、好ましくは約10~約10個であってよい。典型的には、最大で約2×10個の細胞が各被験体に投与される。本発明の集団に関して上述した特定の数のいずれを投与してもよい。
【0199】
細胞を投与するか又は細胞が存在する場合、細胞の生存を促進するために培養培地が存在していてもよい。場合によっては、本発明の細胞を凍結したアリコートで提供してもよく、凍結中の生存を促進するためにDMSOなどの物質が存在していてもよい。このような凍結細胞は、典型的には、解凍し、次いで、維持又は投与のためにバッファ又は培地に入れる。また、BioLife Solutions製のCryoStor(登録商標)などの特定の凍結保存培地も市販されており、これら培地に含有される細胞を解凍後に被験体に直接投与することができるという証拠もある。
【0200】
医薬、方法、及び治療用途
本発明のMK細胞は、ヒト又は動物の身体の療法の方法において使用することができる。従って、本発明は、療法によるヒト又は動物の身体の治療の方法において使用するための、本発明のMK細胞、本発明のMK細胞の集団、又は本発明の医薬組成物を提供する。
【0201】
本発明のプライミングされたNK細胞は、ヒト又は動物の身体の療法の方法において使用することができる。従って、本発明は、療法によるヒト又は動物の身体の治療の方法において使用するための、本発明のプライミングされたNK細胞の集団又は本発明の医薬組成物を提供する。
【0202】
本発明は、被験体におけるがんを治療する方法であって、該被験体に(a)本発明のMK細胞の集団、(b)本発明のプライミングされたNK細胞の集団、又は(c)本発明の医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。本発明は、対象におけるがんの治療において使用するための(a)本発明のMK細胞の集団、(b)本発明のプライミングされたNK細胞の集団、又は(c)本発明の医薬組成物を提供する。また、本発明は、被験体におけるがんを治療するための医薬の製造における、(a)本発明のMK細胞の集団、(b)本発明のプライミングされたNK細胞の集団、又は(c)本発明の医薬組成物の使用を提供する。
【0203】
MK細胞の集団は、上述したもののうちのいずれであってもよい。NK細胞の集団は、上述したもののうちのいずれであってもよい。医薬組成物は、上述したもののうちのいずれであってもよく、(i)本発明のMK細胞の集団、(ii)本発明のプライミングされたNK細胞の集団、(iii)本発明のMK細胞の集団及び(任意の)NK細胞の集団、又は(iv)本発明のMK細胞の集団及び本発明のプライミングされたNK細胞の集団を含んでいてよい。
【0204】
がんは、任意のがんであってよい。がんは、がん腫、肉腫、メラノーマ、リンパ腫、又は白血病であってよい。好ましくは、がんは、肛門がん、胆管がん(胆嚢管がん)、膀胱がん、血液がん、骨がん、腸がん、脳腫瘍、乳がん、結腸直腸がん、子宮頸がん、内分泌腫瘍、眼がん(眼球メラノーマなど)、卵管がん、胆嚢がん、頭頸部がん、カポジ肉腫、腎臓がん、喉頭がん、白血病、肝臓がん、肺がん、リンパ節がん、リンパ腫、メラノーマ、中皮腫、骨髄腫、神経内分泌腫瘍、卵巣がん、食道がん、膵臓がん、陰茎がん、原発性腹膜がん、前立腺がん、腹膜偽粘液腫、皮膚がん、小腸がん、軟部組織肉腫、脊髄腫瘍、胃がん、精巣がん、胸腺がん、甲状腺がん、気管がん、原発不明がん、膣がん、外陰がん、又は子宮内膜がんである。白血病は、好ましくは、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、又は慢性骨髄/骨髄性白血病である。リンパ腫は、好ましくは、ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫である。がんは、好ましくは、原発がん又は続発性がんである。がんは、好ましくは、慢性骨髄性白血病又は形質細胞性骨髄腫である。がんは、好ましくは、乳がんである。
【0205】
また、該方法は、本発明のMK細胞の集団と、本発明のプライミングされたNK細胞の集団などのNK細胞の集団とを両方投与することを含んでいてもよい。このような場合、MK細胞及びNK細胞は、同時に(同一の医薬組成物などで)、逐次、又は別々に投与してよい。MK細胞は、NK細胞の前に投与してもよく、後に投与してもよい。例えば、MK細胞は、NK細胞を投与する約1~約28日間、例えば、約3~約25日間、約6~約22日間、約9~約18日間、又は約12~約15日間前又は後に、被験体に投与してよい。MK細胞は、NK細胞を投与する最長約1日間、最長約2日間、最長約3日間、最長約4日間、最長約5日間、最長約6日間、最長約7日間、最長約8日間、最長約9日間、最長約10日間、最長約11日間、最長約12日間、最長約13日間、最長約14日間、最長約15日間、最長約16日間、最長約17日間、最長約18日間、最長約19日間、最長約20日間、最長約21日間、最長約22日間、最長約23日間、最長約24日間、最長約25日間、最長約26日間、最長約27日間、又は最長約28日間前又は後に、被験体に投与してよい。細胞の好適な数、及びMK細胞とNK細胞との比率については、上述の通りである。
【0206】
本発明のMK細胞の集団、NK細胞の集団、及び/又は医薬組成物は、被験体に一度に投与してよい。あるいは、本発明のMK細胞の集団、NK細胞の集団、及び/又は医薬組成物は、少なくとも約2回、例えば、少なくとも約3回、少なくとも約4回、少なくとも約5回、少なくとも約6回、少なくとも約7回、少なくとも約8回、少なくとも約9回、又は少なくとも約10回で被験体に投与してもよい。投与間の間隔は、約1~約28日間、例えば、約3~約25日間、約6~約22日間、約9~約18日間、又は約12~約15日間であってよい。好ましくは、投与間の間隔は約1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、又は28日間である。
【0207】
いずれの場合も、MK細胞及び/又はNK細胞は、好ましくは、被験体又は同種のドナーに由来する。被験体からMK細胞及びNK細胞を得ることで、その細胞自体が被験体の免疫系に拒絶されないことが保証されるはずである。ドナーとレシピエントとの間に何らかの違いがあると、最終的には、MK細胞及びNK細胞のクリアランスが生じるが、少なくとも疾患を部分的に治療する前には生じない。
【0208】
本発明は、被験体に治療的に有効な数のMK細胞及び/又はNK細胞を被験体に投与することに関する。治療的に有効な数とは、疾患の1つ以上の症状を回復させる数値である。治療的に有効な数とは、好ましくは、疾患を治療する数である。好適な細胞の数については、以下でより詳細に論じる。
【0209】
MK細胞及び/又はNK細胞は、任意の好適な対象に投与することができる。被験体は、一般的に、ヒト被験体である。被験体は、上述した動物又は哺乳類のいずれであってもよい。
【0210】
被験体は、乳幼児、未成年者、又は成人であってよい。被験体は、疾患を有することが知られていてもよく、又は疾患を有すると疑われる。被験体は、関連疾患に罹患しやすくてもよく、又は罹患するリスクがあってもよい。例えば、被験体は、遺伝的にがんになりやすい傾向があってよい。
【0211】
本発明は、疾患を治療するための他の手段及び物質と組み合わせて使用してもよい。場合によっては、MK細胞及び/又はNK細胞は、疾患を治療する、又は疾患の症状を回復させる、又は疼痛を緩和することを意図する他の物質と同時に、逐次、又は別々に投与してもよい。MK細胞及び/又はNK細胞は、疾患の既存の治療と組み合わせて使用することができ、例えば、このような治療と単純に混合してもよい。従って、本発明は、疾患の既存の治療の効力を高めるために使用することができる。
【0212】
ハイブリッド組成物
1つ以上の本発明のMK細胞は、1つ以上の生体適合性繊維と1つ以上の本発明のMK細胞とを含むハイブリッド組成物の一部を形成してもよい。1つ以上の生体適合性繊維は、国際出願第PCT/GB2015/051672号(国際公開第2015/189586号として公開)に開示されているもののいずれであってもよい。また、ハイブリッド組成物は、1つ以上のNK細胞、例えば、1つ以上の本発明のプライミングされたNK細胞を含んでいてもよい。
【0213】
1つ以上の本発明のMK細胞は、国際出願第PCT/GB2015/051672号(国際公開第2015/189586号として公開)に開示されているようなハイブリッド組成物の一部を形成してもよく、好ましくは、このような組成物の一部として被験体に投与される。具体的には、本発明は、
(a)1つ以上の生体適合性繊維と;
(b)1つ以上の本発明のMK細胞と;
(c)(i)1つ以上のMK細胞を1つ以上の繊維に付着させる及び/若しくは1つ以上のMK細胞及び1つ以上の繊維を埋め込む、並びに/又は(ii)組成物を組織に付着させることができる1つ以上の生体適合性成分と、を含むハイブリッド組成物を提供する。また、ハイブリッド組成物は、1つ以上のNK細胞、例えば、1つ以上の本発明のプライミングされたNK細胞を含んでいてもよい。
【0214】
以下の実施例によって、本発明を説明する。
【実施例
【0215】
実施例1-骨髄及びMK細胞の増幅(バッチCLXR-H-17-002RG
ヒト骨髄サンプルをハンク緩衝生理食塩水で希釈し、遠心分離によって単核細胞(MNC)を単離するためにFicoll-Paqueに重ねた。次いで、MNCをハンク緩衝生理食塩水に再懸濁させ、0.4%トリパンブルー排除アッセイを用いてカウントして、細胞生存率を評価した。細胞を、ペニシリン-ストレプトマイシン、血小板溶解液、及びヘパリンを含有する、ヌクレオシドを含まないMEM Alpha GlutaMAX(ThermoFisher、製品コード32561-102)の入った培養フラスコに播種し(0日目)、37℃、5%CO2でインキュベートした。この補給された培地は、国際出願第PCT/GB2012/051600号(国際公開第2013/005053号として公開)及び国際出願第PCT/GB2015/051673号(国際公開第2015/189587号として公開)の実施例で使用されているのと同じものである。
【0216】
これら実施例の全ての例において、血小板溶解物は、国際出願第PCT/GB2012/051600号(国際公開第2013/005053号として公開)及び国際出願第PCT/GB2012/052911号(国際公開第2013/076507号として公開)に記載されている通り生成し:各凍結相で液体窒素を用いて4回の凍結/解凍サイクルを行った。
【0217】
【表5-1】
【0218】
【表5-2】
【0219】
8日目に、細胞を継代(再播種)し、培地を交換した。12日目に、細胞を継代(再播種)し、培地を交換した。
【0220】
19日目に、細胞はiMP細胞(国際出願第PCT/GB2015/051673号;国際公開第2015/189587号の主題)になり、ペニシリン-ストレプトマイシン、血小板溶解物、及びヘパリンを含有する新たな培地(ヌクレオシドを含むMEM Alpha(ThermoFisher;製品コード:12571-063;下記成分を参照)に継代(再播種)し、37℃、5%CO2でインキュベートした。6日後(25日目)、細胞はMK細胞(図4参照)になり、製造業者の指示に従って細胞溶解溶液を用いて収集した。細胞を、10%ジメチルスルホキシドを補給した培養培地で-80℃まで凍結保存し、後で使用するために液体窒素中で保存した。このバッチ(CLXR-H-17-002RG)から得られたMK細胞をMK002と呼んだ。
【0221】
【表6-1】
【0222】
【表6-2】
【0223】
実施例2-骨髄及びMK細胞の増幅(バッチCLXR-H-17-004)
細胞の継代(再播種)時期が若干異なることだけを除いて、異なる骨髄サンプル(従ってバッチ番号が異なる)を用いて上記の通り実施例1を繰り返した。ヒトMNC(実施例1と同様に調製)を、ペニシリン-ストレプトマイシン、血小板溶解物、及びヘパリンを含有するαMEM、GlutaMAXの入った培養フラスコに播種し(0日目)、37℃、5%CO2でインキュベートした。国際出願第PCT/GB2012/051600号(国際公開第2013/005053号として公開)に記載の通り、血小板溶解物を生成した:各凍結相で液体窒素を用いて4回の凍結/解凍サイクルを行った。
【0224】
8日目に、細胞を継代(再播種)し、培地を交換した。14日目に、細胞を継代(再播種)し、培地を交換した。
【0225】
21日目に、細胞はiMP細胞(国際出願第PCT/GB2015/051673号;国際公開第2015/189587号の主題)になり、ペニシリン-ストレプトマイシン、血小板溶解物、及びヘパリンを含有する新たな培地(ヌクレオシドを含むMEM Alpha(ThermoFisher;製品コード:12571-063;(上記成分を参照)に継代(再播種)し、37℃、5%CO2でインキュベートした。6日後(27日目)、細胞はMK細胞になり、製造業者の指示に従って細胞溶解溶液を用いて収集した。細胞を、10%ジメチルスルホキシドを補給した培養培地で-80℃まで凍結保存し、後で使用するために液体窒素中で保存した。このバッチ(CLXR-H-17-004)から得られたMK細胞をMK004と呼んだ。
【0226】
実施例3-HT-FACS分析
ハイスループット蛍光活性化細胞選別(HT-FACS)分析は、懸濁液中の細胞の細胞表面表現型を迅速に特性評価することができるハイスループットスクリーニングプラットフォームであり、現在約380種の細胞表面マーカーがパネルに存在する。このプラットフォームは、広範な検証を受けており、多くの種類のヒトの組織及び細胞で実施されている。このパネルは、96ウェルプレートに配列された約380種のヒト細胞表面特異的抗体からなる。
【0227】
目的は、本発明のヒトMK細胞の表面抗原発現プロファイルを決定することであった。両バッチのMK細胞(MK002及びMK004)を解凍し、実施例1及び2で定義したヌクレオシド含む補給MEM Alpha(ThermoFisher;製品コード:12571-063)の入った培養フラスコに播種した。2日目に培地を交換して、細胞を5日間成長させた。細胞を回収するために、培地を除去し、細胞をPBSで2回洗浄した。細胞を0.25%トリプシン5mLで剥離するまで処理した。培地を添加して(8mL)トリプシンを失活させ、細胞を回収した。細胞を400gで5分間遠心分離した。細胞ペレットを、合計5mLのHBSS(2mM EDTA及び1%BSAを補給した、カルシウム/マグネシウムを除いたハンクス平衡塩類溶液)に再懸濁させた(単一細胞懸濁液)。サンプルの1アリコート(10μL)を用いて、排除色素(0.2%トリパンブルー)を用いることによって生細胞の総数を求めた。
【0228】
100μLのサンプルを各ウェルにロードした(FACSで10,000~20,000事象の回収を確保するために、1ウェルあたり約40,000個の細胞)。BD High Throughput Sampler(自動サンプラー)でアップグレードしたBD FACSDivaで、サンプルを分析した。FlowJo Softwareを用いて、フローサイトメトリーデータの解析を行った。プロットと、各抗体ごとの陽性細胞の割合を含むExcelスプレッドシートとで結果を提供する。
【0229】
【表7-1】
【0230】
【表7-2】
【0231】
【表7-3】
【0232】
【表7-4】
【0233】
【表7-5】
【0234】
【表7-6】
【0235】
【表7-7】
【0236】
【表7-8】
【0237】
【表7-9】
【0238】
実施例4-MKの細胞傷害性
MKの細胞傷害性については、両バッチのMK細胞(MK002及びMK004)を解凍し、実施例1及び2で定義したヌクレオシドを含む補給MEM Alpha(ThermoFisher;製品コード:12571-063)を含む6ウェルプレートにトリプリケートで播種した。細胞を3日間成長させた後、収集した(実施例1及び3で述べた通り)。MK細胞をCr放出アッセイ培地(AIM)で洗浄し、該培地に再懸濁させ、96ウェルプレートに播種して、標的細胞であるK562(慢性骨髄性白血病)及びU266(形質細胞性骨髄腫)に10:1の所望のE:T比で曝露した。殺傷活性を評価するための標準的な4h Cr放出アッセイにプレートを適用した。MK002及びMK004と同じバッチからのiMP細胞を、国際出願第PCT/GB2015/051673号;国際公開第2015/189587号に記載の通り調製し(最後の培養工程で補給αMEM GlutaMAXを、ヌクレオシドを含む補給MEM Alphaに交換しなかったことを除いて、実施例1及び2と同じ方法を使用して)、対照として使用した。細胞傷害性の結果を図1に示す。MK細胞は、iMP細胞と比較して、有意に高い細胞傷害性を示した。
【0239】
実施例5-NK細胞のMKプライミング
NKのプライミングについては、両バッチのMK細胞(MK002及びMK004)を解凍し、実施例1及び2で定義したヌクレオシドを含む補給MEM Alpha(ThermoFisher;製品コード:12571-063)を含む6ウェルプレートにトリプリケートで播種した。細胞を2日間成長させた後、培地を除去し、細胞の単層を温HBSSで1回すすいだ。単層にNK特異的培地(GM.1又はX-Vivo 10)を添加した。ウェル内に配置したTranswellインサートにNK細胞を添加し、単独で培養したNK細胞を対照として用いた。プレートを1日間インキュベートした。NK細胞を収集し、Cr放出アッセイ培地(AIM)で洗浄し、該培地に再懸濁させ、96ウェルプレートに播種して、標的細胞であるK562(慢性骨髄性白血病)、RPMI-8226(形質細胞性骨髄腫)、及びU266(形質細胞性骨髄腫)に10:1の所望のE:T比で曝露した。殺傷活性を評価するための標準的な4h Cr放出アッセイにプレートを適用した。NKプライミングの結果を図2及び図3に示す。MK細胞は、NK細胞をプライミングし、その細胞傷害性を高めた。
【0240】
実施例6-MNCとC14、CD34、及びCD45
バッチCLXR-H-17-002RG及びCLXR-H-17-004からのMNCによるCD14、CD34、及びCD45の発現を、フローサイトメトリーを用いて評価した。NucleoCounterで細胞をカウントし、1%BSA/PBS溶液中2×10細胞/25μLとなるように調製した。以下の試薬を用いた。
【0241】
【表8】
【0242】
【表9】
【0243】
【表10】
【0244】
実施例7-IFN-γ及びTNF-αで処理したMK細胞のHT-FACS分析
MK004を用い、5日間の成長のうちの2日目に培地を交換したときに、500ug/mL IFN-γ又は10ng/mL TNF-αを培地に添加して、実施例3を繰り返した。IFN-γ又はTNF-αの1日後、IFN-γ又はTNF-αを除去して再び培地を交換した。5日目に、細胞を回収し、実施例3に記載の通り試験した。本発明の特定のマーカーの結果を以下の表11に示す。
【0245】
【表11-1】
【0246】
【表11-2】
【0247】
実施例8-追加バッチからのMK細胞の生成
以下の通り追加の3つのバッチを用いて実施例1及び2を繰り返した(バッチは、由来する骨髄サンプルに関連して付番又は命名されている):
- MK001を生成するためのCLXR-H-17-001RG
- MK006を生成するためのCLXR-H-17-006RG
- MKPCを生成するためのPC。
【0248】
実施例9-MK細胞のセクレトーム分析
目的は、本発明のヒトMK細胞のセクレトームプロファイルを決定することであった。5つの異なるバッチのMK細胞(MK001、MK002、MK004、MK006、及びMKPC)を解凍し、実施例1及び2で定義したヌクレオシド含む補給MEMα(ThermoFisher;製品コード:12571-063)を含む培養フラスコに播種した。2日目に培地を交換して、細胞を5日間成長させた(未処理細胞)。あるいは、2日目に培地を交換したときに、500ug/mL IFN-γ又は10ng/mL TNF-αを培地に添加した(IFN-γ処理又はTNF-α処理)。IFN-γ又はTNF-αの1日後、IFN-γ又はTNF-αを除去して再び培地を交換した。
【0249】
いずれの場合も、5日目に馴化培地を回収した。(ビーズベースの)Luminex(登録商標)サイトカインプロファイリング(ヒト48プレックスフォーマット)を用いて、各サンプル中のGROa、IL-12、IL-2Ra、IL-8、可溶性TRAIL、及びIL-6のレベルを測定した。各サイトカイン/ケモカイン又は成長因子に対する抗体に結合した磁気ビーズを含む96ウェルプレートにサンプルを添加した。各ウェルから蛍光シグナルを捕捉し、濃度を求めた。
【0250】
実験は1回で完了した。全5バッチの結果(平均値±SEM)を図5~10に示す(ただし、上のレジェンドに記載の通り図8を除く)。本発明のMK細胞は、試験したサイトカインを全て検出可能なレベルで分泌する。IFN-γ刺激により、IL-2Raの分泌量が有意に増加し、IL-8の分泌量が有意に減少した。TNF-α刺激は、GROa及びIL-8の分泌を有意に増加させた。
【0251】
実施例10-エアパウチモデルにおいて使用されるカラギーナン
目的は、カラギーナンエアパウチモデルを用いて、炎症部位に免疫細胞を誘引する本発明のMK細胞の能力を判定することであった。
【0252】
麻酔下で、マウス(免疫適格性BALB/c)の背部に滅菌空気を注入した。マウスを4~5日放置してパウチを発達させ、必要に応じてその間にパウチを再膨張させた。1%カラギーナン(炎症誘導剤)5mLを各パウチに注入し、数時間放置して炎症反応を発生させた。次いで、パウチを、本発明の未処理MK細胞、本発明のIFN-γ処理MK細胞、又は本発明のTNF-α処理MK細胞(いずれもバッチMK006から)で処理し、実施例8及び9で説明した通り調製した。マウス1頭あたり生理食塩水0.2mL中100万個のMK細胞を各パウチに投与した。対照は未処理のままとした(カラギーナンのみ対照)。
【0253】
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を注入することによってパウチに穴を開け、軽くマッサージして細胞を混ぜ合わせ、追加のPBSで洗浄して細胞を全て抽出した。抽出された細胞を、FACSを用いて分析し、存在するNK細胞及び単球の割合を求めた。この実験を5回繰り返した(1処理あたり5個のパウチ)。
【0254】
結果を図11及び図12に示す。本発明のIFN-γ処理MK細胞は、エアパウチ内のNK細胞及び単球の%を有意に増加させた。
【0255】
実施例11-NK細胞のMKプライミング
バッチMK002及びMK004からの未処理MK細胞、初代NK細胞、及びK562(慢性骨髄性白血病)を用いて、実施例5の方法を3回繰り返した(n=3)。結果を図13に示す。MK細胞は、初代NK細胞をプライミングし、その細胞傷害性を有意に高めた。
【0256】
実施例12-MKの細胞傷害性
本発明のMK細胞の4つの異なるバッチ(MK002、MK004、MK006 MKPC)及び乳がん細胞株であるMCF7について、10:1の所望のE:T比で実施例4の方法を2回繰り返した(n=2)。細胞傷害性の結果を図14に示す。全てのバッチからのMK細胞が、MCF7に対して細胞傷害性を示した。
【0257】
実施例13-MK細胞によるグランザイム及びパーフォリンの発現
RNeasyキット(Qiagen)を用いて、バッチMK004のMK細胞からRNAを単離した。cDNA合成キット(Roche)を用いてcDNAを合成した。特異的熱プロファイルでグランザイムB(GZMB)、H(GZMH)、M(GZMM)、A(GZMA)、及びK(GZMK)、並びにパーフォリンに特異的なプライマーを用いてアンプリコンを増幅した。アンプリコン生成物を2%ゲルで泳動し、ETBrを用いてバンドを検出した。MK細胞がGZMB、GZMH、GZMM、GZMA、及びGZMK、並びにパーフォリンを発現することが確認された(データは示さない)。
【0258】
また、単独で培養した(単培養:MC)又は10:1の所望のE:T比でRPMI-8226細胞と共に6時間、12時間、及び24時間共培養した後の(共培養:CC)バッチMK004のMK細胞からも、RNeasyキットを用いてRNAを単離した。cDNA合成キット(Roche)を用いてcDNAを合成した。Sybrグリーンマスターミックスを用いて、GZMB、GZMH、GZMM、GZMA、GZMK、パーフォリン、及びGADPHの定量的PCRシグナルを検出した。MCに対するCC条件で各遺伝子の発現の倍数変化を求め、その結果を図15~20に示す(MC及びCCのいずれについても各時点で各RNAごとにn=2)。GZM及びパーフォリンの値をGADPHの値に対して正規化した。得られた値を、各時間におけるMCに対するCCについて調べた(CC-MC)。倍数変化(FC)値を得るために、以下を適用した:2^(-(CC-MC))。1よりも大きい値は、CCがMCに比べて遺伝子の発現を増加させることを示す。図15~20に示すように、RPMI-8226細胞との共培養によって、GZMB、GZMH、GZMM、GZMA、GZMK、及びパーフォリンの発現が増加した。
【0259】
実施例14-EGTAを用いたMK細胞の細胞傷害性の抑制
EGTAは、顆粒エキソサイトーシスの非特異的阻害剤である。3つのバッチ(MK002、MK004、及びMK006)のMK細胞を、異なる濃度のEGTA(0.5mM、1.0mM、2.0mM)で24時間前処理し、滅菌HBSSですすぎ、MCF7細胞(所望のE:T比5:1として)に更に24時間曝露し、クロム放出アッセイを用いてその殺傷活性を評価した(実施例4及び12に記載の通り)。図21に示す通り、EGTAは、3つのバッチのMK細胞全ての細胞傷害性を有意に低下させた。このことは、MK細胞の細胞傷害性において顆粒エキソサイトーシスが少なくとも部分的に役割を果たすことを示唆している。
【0260】
実施例15-siRNAを用いたMK細胞の細胞傷害性の抑制
バッチMK004及びMK006のMK細胞を、Lipofectamine RNAiMAXを用いて、25pMのCD178/FasL(siFasL)又はCD253/TRAIL(siTRAIL)に対する特異的siRNA又はスクランブル/ノンターゲティング(NT)siRNAで処理した。48時間後、滅菌HBSSを用いて細胞を洗浄し、MCF7細胞(所望のE:T比5:1として)に更に24時間曝露し、クロム放出アッセイを用いてその殺傷活性を評価した(実施例4及び12に記載の通り)。分析はトリプリケートで行った(各条件につき3つのウェル)。結果を図22に示す。TRAILを阻害すると、MK006の細胞傷害性が有意に低下し(スクランブル/NT siRNAと比較して)、これは、MK細胞の細胞傷害性におけるこの表面マーカーの役割を示唆している。
図1
図2
図3
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図5
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【国際調査報告】