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特表2022-517408可変剛性弾性体及びこれを有するアクチュエーターモジュール
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  • 特表-可変剛性弾性体及びこれを有するアクチュエーターモジュール 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-08
(54)【発明の名称】可変剛性弾性体及びこれを有するアクチュエーターモジュール
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/14 20060101AFI20220301BHJP
【FI】
G01L3/14 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541201
(86)(22)【出願日】2019-04-05
(85)【翻訳文提出日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 KR2019004079
(87)【国際公開番号】W WO2020204234
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】10-2019-0040006
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521312938
【氏名又は名称】ロボティズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ROBOTIS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】37,Magokjungang 5-ro 1-gil Gangseo-gu Seoul 07594,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ウク
(72)【発明者】
【氏名】ナム、ヒョン チョル
(72)【発明者】
【氏名】キム、ビョン ス
(57)【要約】
本発明の一実施例は、直列弾性アクチュエーターモジュールに使われる入力と出力を連結する弾性体であって、印加されたトルクによって剛性が変更される可変剛性弾性体を提供する。可変剛性弾性体は、入力側又は出力側からトルクを受ける接続部と、前記入力側及び出力側の中で前記接続部と違うように選択された一つに連結され、トルクを受け、前記接続部と一体に形成され、印加されるトルクによる変形によって前記接続部と前記スプリング部が接触することによって剛性が変更されるスプリング部とを含む。
【選択図】 図5




【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列弾性アクチュエーターモジュールに使われる入力と出力を連結し、印加されたトルクによって剛性が変更される可変剛性弾性体であって、
入力側又は出力側からトルクを受ける接続部と、
前記入力側及び出力側の中で前記接続部と違うように選択された一つに連結され、トルクを受け、前記接続部と一体に形成され、印加されるトルクによる変形によって前記接続部と前記スプリング部が接触することによって剛性が変更されるスプリング部とを含むことを特徴とする、可変剛性弾性体。
【請求項2】
前記スプリング部は、
入力側又は出力側と連結され、トルクを受ける中心体と、
前記中心体から外側に延びる連結部と、
前記連結部の外側端から前記中心体の周囲に沿って延び、前記中心体に近くなってから遠くなることを繰り返すように複数回折り曲げられ、前記接続部と一体に連結された変形部とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の可変剛性弾性体。
【請求項3】
前記変形部は、
前記中心体の半径方向に離隔して前記中心体と対向する第1円周部、及び前記第1円周部の両端からそれぞれ前記中心体側に延びる第1半径部を有する第1弾性部と、
前記連結部の外側端から両側に前記中心体と対向するように延びる第2円周部、及び前記第2円周部の両端からそれぞれ前記中心体側に延び、前記中心体の付近で折り曲げられて前記第1半径部と連結される第2半径部を有する第2弾性部とを含み、
前記接続部は前記第1円周部から延び、前記第1弾性部及び前記第2弾性部は前記中心体の周囲に沿って交互に形成されることを特徴とする、請求項2に記載の可変剛性弾性体。
【請求項4】
前記接続部と前記第1半径部が離隔している状態では前記トルクに対する前記スプリング部の剛性に前記第1弾性部及び前記第2弾性部が一緒に寄与し、
トルクによって変形されて前記接続部と前記第1半径部が接触した状態ではトルクに対する前記スプリング部の剛性に前記第1弾性部及び前記第2弾性部の中で前記第2弾性部のみ寄与することを特徴とする、請求項3に記載のトルクによって剛性が変更される可変剛性弾性体。
【請求項5】
前記接続部は前記第1円周部の側面から前記中心体側に突出し、前記接続部の前記中心体側の端部には前記入力側又は出力側との接続のための締結ホールが形成されることを特徴とする、請求項3に記載のトルクによって剛性が変更される可変剛性弾性体。
【請求項6】
前記第1弾性部と前記第2弾性部の幅及び形状の調節によって前記第1弾性部と前記第2弾性部の弾性係数が調節され、
前記第1弾性部と前記第2弾性部の弾性係数の調節によって、前記接続部と前記第1半径部が接触するトルクが設定されることを特徴とする、請求項4に記載のトルクによって剛性が変更される可変剛性弾性体。
【請求項7】
前記入力側又は出力側の軸方向に見るとき、前記第1弾性部と前記第2弾性部の幅及び形状の調節によって前記第1弾性部と前記第2弾性部の弾性係数が調節され、
前記第1弾性部の前記幅が一定であるか次第に変わる形状を有し、
前記第2弾性部の前記幅が一定であるか次第に変わる形状を有することを特徴とする、請求項4に記載のトルクによって剛性が変更される可変剛性弾性体。
【請求項8】
前記変形部は、
前記第1弾性部と前記第2弾性部との間に位置する第3弾性部をさらに含み、
前記第3弾性部は、
前記第1円周部と前記第2円周部との間で前記中心体と対向する第3円周部と、
前記第3円周部の両端からそれぞれ前記中心体側に延び、前記中心体に隣接して折り曲げられてそれぞれ前記第1半径部及び前記第2半径部と連結される第3半径部とを含み、
前記接続部と前記第1半径部が離隔している状態では前記トルクに対する前記スプリング部の剛性に前記第1弾性部、前記第2弾性部及び前記第3弾性部が一緒に寄与し、
トルクによって変形されて前記接続部と前記第1半径部が接触した状態ではトルクに対する前記スプリング部の剛性に前記第1弾性部、前記第2弾性部及び前記第3弾性部の中で前記第2弾性部及び前記第3弾性部のみ寄与し、
トルクが増加して前記第3半径部と前記第1半径部が連結される部分が他の第3半径部と前記第2半径部が連結される部分と接触した状態ではトルクに対する前記スプリング部の剛性に前記第1弾性部、前記第2弾性部及び前記第3弾性部の中で前記第2弾性部のみ寄与することを特徴とする、請求項4に記載のトルクによって剛性が変更される可変剛性弾性体。
【請求項9】
可変剛性弾性体を有するアクチュエーターモジュールであって、
モーターと、
前記モーターに連結されるギアモジュールと、
外部の負荷に作用する出力部と、
前記ギアモジュールからの動力を前記出力部に伝達する可変剛性弾性体であって、前記ギアモジュール又は前記出力部からトルクを受ける接続部、及び前記ギアモジュール又は前記出力部の中で前記接続部と違うように選択された一つに連結され、トルクを受けるスプリング部を含み、トルクによる変形によって前記接続部と前記スプリング部が接触することによって剛性が変更される可変剛性弾性体と、
前記スプリング部の変形量を感知する感知部とを含むことを特徴とする、可変剛性弾性体を有するアクチュエーターモジュール。
【請求項10】
前記スプリング部は、
入力側又は出力側と連結され、トルクを受ける中心体と、
前記中心体から外側に延びる連結部と、
前記連結部の外側端から前記中心体の周囲に沿って延び、前記中心体に近くなってから遠くなることを繰り返すように複数回折り曲げられ、前記接続部が一体に連結された変形部とを含み、
前記変形部は、
前記接続部を挟んで前記中心体と対向する第1円周部、及び前記第1円周部の両端からそれぞれ前記中心体側に延びる第1半径部を有する第1弾性部と、
前記連結部の外側端から両側に前記中心体と対向するように延びる第2円周部、及び前記第2円周部の両端からそれぞれ前記中心体側に延び、前記中心体の付近で折り曲げられて前記第1半径部と連結される第2半径部を有する第2弾性部とを含み、
前記接続部は前記第1円周部から延び、前記第1弾性部及び前記第2弾性部は前記中心体の周囲に沿って交互に形成されることを特徴とする、請求項9に記載の可変剛性弾性体を有するアクチュエーターモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可変剛性弾性体及びこれを有するアクチュエーターモジュール(variable stiffness elastic body and actuator module including the same)に関するもので、より詳しくはトルクのサイズによって剛性が変わる可変剛性弾性体を有するアクチュエーターモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ロボットは産業用だけではなく、家庭用ロボット、ヒューマノイドロボットに至るまで使用範囲が広くなっており、よってロボット技術は急激に発展している。特に、ロボット技術に関連してロボット関節の動作のために装着するアクチュエーター(駆動装置)はロボットの核心的な部品の一つであり、その中で減速器がアクチュエーターの主な構成として使われており、代表的な例として遊星ギア式減速器、ハーモニック減速器、サイクロイド減速器などがある。
【0003】
入力と出力との間に弾性部材が介在されたアクチュエーターは一般的にSEA(Series Elastic Actuator)として知られている。これは、アクチュエーターの内部に弾性部材(例えば、スプリング)を内蔵し、外部から作用する負荷に対する弾性部材の変形量によってアクチュエーターのトルクを直接的に測定することができる装置である。
【0004】
図1は従来の直列弾性アクチュエーターの一例を示す図である。図1を参照すると、外部の負荷70に対する弾性部材50の変形量を測定するためには、一般的に回転変形量を測定するエンコーダー40、60が使われ、弾性部材50の前後にそれぞれエンコーダー40、60を装着し、弾性部材50の前端及び後端の変形量の差によって弾性部材50の変形量を測定する。
【0005】
近年、産業現場で協同ロボットに対する関心が高くなるのに伴い、協同ロボットの作業者の安全を保障するためには、協同ロボットの各ジョイントを構成するアクチュエーターの精密なトルク制御(力制御)が必要である。精密なトルク制御のためにはアクチュエーターの構成要素の中でトルク(力)を測定する要素の高解像度が要求される。
【0006】
入力トルクの解像度を高めるためにはスプリングの変位を高精度で測定しなければならないが、測定しようとするスプリングの変位が小さいほど高解像度のセンサーが必要であり、これは費用上昇の問題に繋がり、実際製品への適用には限界がある。
【0007】
したがって、低解像度のセンサーでも精密に測定する方法が必要であり、このためには大きい変位を有する低剛性のスプリングが必要である。しかし、低剛性のスプリングは高いトルクが印加される場合に永久変形又は破損を引き起こしやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が達成しようとする技術的課題は、低トルク領域での変位量を大きくして低解像度のセンサーでも精密に測定することができるようにしながら高トルク領域でも測定することができるのはもちろんのこと、永久変形や破損がないように可変剛性構造を有する弾性体及びこれを含むアクチュエーターモジュールを提供することである。
【0009】
本発明が達成しようとする技術的課題は以上で言及した技術的課題に制限されず、言及しなかった他の技術的課題は以下の記載から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明らかに理解可能であろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記技術的課題を達成するために、本発明の一実施例は、直列弾性アクチュエーターモジュールに使われる入力と出力を連結し、印加されたトルクによって剛性が変更される可変剛性弾性体を提供する。可変剛性弾性体は、入力側又は出力側からトルクを受ける接続部と、前記入力側及び出力側の中で前記接続部と違うように選択された一つに連結され、トルクを受け、前記接続部と一体に形成され、印加されるトルクによる変形によって前記接続部と前記スプリング部が接触することによって剛性が変更されるスプリング部とを含む。
【0011】
本発明の実施例において、前記スプリング部は、入力側又は出力側と連結され、トルクを受ける中心体と、前記中心体から外側に延びる連結部と、前記連結部の外側端から前記中心体の周囲に沿って延び、前記中心体に近くなってから遠くなることを繰り返すように複数回折り曲げられ、前記接続部と一体に連結された変形部とを含むことができる。
【0012】
本発明の実施例において、前記変形部は、前記中心体の半径方向に離隔して前記中心体と対向する第1円周部、及び前記第1円周部の両端からそれぞれ前記中心体側に延びる第1半径部を有する第1弾性部と、前記連結部の外側端から両側に前記中心体と対向するように延びる第2円周部、及び前記第2円周部の両端からそれぞれ前記中心体側に延び、前記中心体の付近で折り曲げられて前記第1半径部と連結される第2半径部を有する第2弾性部とを含み、前記接続部は前記第1円周部から延び、前記第1弾性部及び前記第2弾性部は前記中心体の周囲に沿って交互に形成されることができる。
【0013】
本発明の実施例において、前記接続部と前記第1半径部が離隔している状態では前記トルクに対する前記スプリング部の剛性に前記第1弾性部及び前記第2弾性部が一緒に寄与し、トルクによって変形されて前記接続部と前記第1半径部が接触した状態ではトルクに対する前記スプリング部の剛性に前記第1弾性部及び前記第2弾性部の中で前記第2弾性部のみ寄与することができる。
【0014】
本発明の実施例において、前記接続部は前記第1円周部の側面から前記中心体側に突出し、前記接続部の前記中心体側の端部には前記入力側又は出力側との接続のための締結ホールが形成されることができる。
【0015】
本発明の実施例において、前記第1弾性部と前記第2弾性部の幅及び形状の調節によって前記第1弾性部と前記第2弾性部の弾性係数が調節され、前記第1弾性部と前記第2弾性部の弾性係数の調節によって、前記接続部と前記第1半径部が接触するトルクが設定されることができる。
【0016】
本発明の実施例において、前記入力側又は出力側の軸方向に見るとき、前記第1弾性部と前記第2弾性部の幅及び形状の調節によって前記第1弾性部と前記第2弾性部の弾性係数が調節され、前記第1弾性部の前記幅が一定であるか次第に変わる形状を有し、前記第2弾性部の前記幅が一定であるか次第に変わる形状を有することができる。
【0017】
本発明の実施例において、前記変形部は、前記第1弾性部と前記第2弾性部との間に位置する第3弾性部をさらに含み、前記第3弾性部は、前記第1円周部と前記第2円周部との間で前記中心体と対向する第3円周部と、前記第3円周部の両端からそれぞれ前記中心体側に延び、前記中心体に隣接して折り曲げられてそれぞれ前記第1半径部及び前記第2半径部と連結される第3半径部とを含み、前記接続部と前記第1半径部が離隔している状態では前記トルクに対する前記スプリング部の剛性に前記第1弾性部、前記第2弾性部及び前記第3弾性部が一緒に寄与し、トルクによって変形されて前記接続部と前記第1半径部が接触した状態ではトルクに対する前記スプリング部の剛性に前記第1弾性部、前記第2弾性部及び前記第3弾性部の中で前記第2弾性部及び前記第3弾性部のみ寄与し、トルクが増加して前記第3半径部と前記第1半径部が連結される部分が他の第3半径部と前記第2半径部が連結される部分と接触した状態ではトルクに対する前記スプリング部の剛性に前記第1弾性部、前記第2弾性部及び前記第3弾性部の中で前記第2弾性部のみ寄与することができる。
【0018】
前記技術的課題を達成するために、本発明の他の実施例は、可変剛性弾性体を有するアクチュエーターモジュールを提供する。可変剛性弾性体を有するアクチュエーターモジュールは、モーターと、前記モーターに連結されるギアモジュールと、外部の負荷に作用する出力部と、前記ギアモジュールからの動力を前記出力部に伝達する可変剛性弾性体であって、前記ギアモジュール又は前記出力部からトルクを受ける接続部、及び前記ギアモジュール又は前記出力部の中で前記接続部と違うように選択された一つに連結され、トルクを受けるスプリング部を含み、トルクによる変形によって前記接続部と前記スプリング部が接触することによって剛性が変更される可変剛性弾性体と、前記スプリング部の変形量を感知する感知部とを含む。
【0019】
本発明の実施例において、前記スプリング部は、入力側又は出力側と連結され、トルクを受ける中心体と、前記中心体から外側に延びる連結部と、前記連結部の外側端から前記中心体の周囲に沿って延び、前記中心体に近くなってから遠くなることを繰り返すように複数回折り曲げられ、前記接続部が一体に連結された変形部とを含むことができる。前記変形部は、前記接続部を挟んで前記中心体と対向する第1円周部、及び前記第1円周部の両端からそれぞれ前記中心体側に延びる第1半径部を有する第1弾性部と、前記連結部の外側端から両側に前記中心体と対向するように延びる第2円周部、及び前記第2円周部の両端からそれぞれ前記中心体側に延び、前記中心体の付近で折り曲げられて前記第1半径部と連結される第2半径部を有する第2弾性部とを含み、前記接続部は前記第1円周部から延び、前記第1弾性部及び前記第2弾性部は前記中心体の周囲に沿って交互に形成されることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の実施例によれば、スプリング自体の形状及び変形特性を考慮してスプリング自体の接触による剛性の変化によって低トルク領域の解像度を高め、全体トルク測定領域を増加させる可変剛性弾性体及びこれを有するアクチュエーターモジュールを提供することができる。
【0021】
本発明の効果は前述した効果に限定されず、本発明の詳細な説明又は特許請求範囲に記載した発明の構成から推論可能な全ての効果を含むものと理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】従来の直列弾性アクチュエーターの一例を示す図である。
図2】単純に低剛性スプリングと高剛性スプリングを直列で連結した場合を説明するための図である。
図3】本発明の一実施例による可変剛性弾性体を有するアクチュエーターモジュールの挙動特性を説明するための図である。
図4】本発明の一実施例による可変剛性弾性体を有するアクチュエーターモジュールのブロック図である。
図5】本発明の一実施例による可変剛性弾性体を有するアクチュエーターモジュールの可変剛性弾性体の一例を説明するための図である。
図6】本発明の一実施例による可変剛性弾性体を有するアクチュエーターモジュールの可変剛性弾性体の他の例を説明するための図である。
図7】本発明の一実施例による可変剛性弾性体を有するアクチュエーターモジュールの可変剛性弾性体のさらに他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では添付図面に基づいて本発明を説明する。本発明は様々な形態に具現可能であり、よってここで説明する実施例に限定されるものではない。そして、図面では本発明を明確に説明するために説明に関係ない部分は省略し、明細書全般にわたって類似の部分に対しては類似の図面符号を付けた。
【0024】
明細書全般で、ある部分が他の部分と“連結(接続、接触、結合)”されていると言うとき、これは“直接的に連結”されている場合だけではなく、その中間に他の部材を挟んで“間接的に連結”されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を“含む”というとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに備えることができるというのを意味する。
【0025】
本発明で使用する用語はただ特定の実施例を説明するために使用するものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上で明白に他に指示しない限り、複数の表現を含む。本明細書で、“含む”又は“有する”などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組合せが存在することを指定しようとするものであり、一つ又はそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組合せの存在又は付加の可能性を予め排除しないものと理解しなければならない。
以下、添付図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
図2は単純に低剛性スプリングと高剛性スプリングを直列で連結した場合を説明するための図である。
図2を参照すると、直列弾性アクチュエーター(SEA)において入力側と出力側を連結する弾性体、例えば板状のスプリングは一定の剛性を有する。
【0026】
同じ性能のエンコーダーを使う場合、弾性体の剛性によって(図2で(1)番及び(2)番参照)エンコーダーが感知することができる弾性体の変形の解像度、すなわちトルク解像度とトルクを感知することができる範囲(トルクカバレージ)が変わる。しかし、一つの弾性体の剛性は一定であるので、トルク解像度及びトルクカバレージは状況による適応性なしに固定される。
【0027】
一方、図2の(3)番を参照すると、直列で弾性体を連結して全体剛性を小さくしてトルク解像度を高めることはできるが、この場合、図2の下側グラフに示すように、トルクカバレージは増加しない。
【0028】
また、単一の弾性体の剛性を小さくして解像度を高める方法には限界がある。すなわち、弾性体の剛性が減少するのに伴って変形量は増加するが、一定変形量以上になれば弾性体の塑性領域に到逹して永久変形が発生する。これは、弾性体200、すなわちスプリングの破損(機能喪失)を意味する。
図3は本発明の一実施例による可変剛性弾性体200を有するアクチュエーターモジュール100の挙動特性を説明するための図である。
【0029】
本実施例の可変剛性弾性体200を有するアクチュエーターモジュール100(図4参照)は、作用する荷重に対する弾性体200の変形量(回転角)をエンコーダーで測定してトルクに換算するトルク制御方式を適用した直列弾性駆動モジュール(series elastic actuator、SEA)に適用可能である。
【0030】
本実施例の可変剛性弾性体200を有するアクチュエーターモジュール100によれば、弾性体200自体の形状及び変形(挙動)特性により、弾性体200の一部が弾性体200の他の部分に接触、すなわち自己接触によって剛性が変動し、これにより低トルク領域の解像度を高め、全体トルク測定領域(トルクカバレージ)を増加又は改善させることができる。
図4は本発明の一実施例による可変剛性弾性体200を有するアクチュエーターモジュール100のブロック図である。
【0031】
可変剛性弾性体200を有するアクチュエーターモジュール100(以下、アクチュエーターモジュール)は、モーター110、モーター110に連結されたギアモジュール130、外部の負荷に作用する出力部300、可変剛性弾性体200、及び感知部150を含むことができる。
【0032】
モーター110の前端にギアモジュール130(例えば、減速ギアモジュール)が結合されることができる。可変剛性弾性体200はギアモジュール130の付近に備えられ、ギアモジュール130から動力を受ける。可変剛性弾性体200は略円板状の弾性体であることができる(図5参照)。
【0033】
可変剛性弾性体200の形状や構造は多様に変形可能である。また、可変剛性弾性体200は金属素材から形成されることができるが、金属以外の素材(例えば、ゴム又はプラスチック)からも形成されることができる。
出力部300は可変剛性弾性体200の後端、つまり出力端に連結されることができ、外部の負荷に作用するか結合して動力を伝達することができる。
【0034】
感知部150(例えば、エンコーダー)は、出力部300に負荷が作用するとき、可変剛性弾性体200の変形量(deformation)を感知することができる。
図5は本発明の一実施例による可変剛性弾性体200を有するアクチュエーターモジュール100の可変剛性弾性体200の一例を説明するための図である。
【0035】
可変剛性弾性体200はギアモジュール130(入力側)からの動力を出力部300(出力側)に伝達し、印加されたトルクによって剛性が変更されることができる。
可変剛性弾性体200は、接続部201及びスプリング部202を含むことができる。
接続部201は入力側又は出力側からトルクを受けることができる。
【0036】
スプリング部202は入力側及び出力側の中で接続部201と違うように選択された一つに連結されてトルクを受けることができる。スプリング部202と接続部201は一体に形成されることができる。
【0037】
トルクが印加されれば、変形によって接続部201とスプリング部202が接触することができる。これにより、トルクに抵抗する可変剛性弾性体200の剛性が変更されることができる。
【0038】
本実施例では、例えばスプリング部202が入力側に連結され、接続部201が出力側に連結された場合を説明する。もちろん、これと反対に連結される場合も可能である。
【0039】
図5を参照すると、スプリング部202は、入力側と連結され、トルクを受ける中心体210、中心体210から半径方向に外側に延びる連結部215、及び変形部220を含むことができる。
【0040】
中心体210はギアモジュール130の回転軸に連結されることができる。中心体210は円形のリング形状を有することができ、ギアモジュール130との結合のための中心体締結ホール2101が中心体210に形成されることができる。
【0041】
変形部220は連結部215の外側端から中心体210の周囲に沿って円周方向に延び、中心体210に対して近くなってから遠くなることを繰り返すように複数回折り曲げられた形状を有することができる。接続部201は変形部220に一体に連結されることができる。
例えば、変形部220は、第1弾性部230及び第2弾性部250を含むことができる。
【0042】
第1弾性部230は、接続部201を挟んで中心体210と対向する第1円周部231と、第1円周部231の両端からそれぞれ中心体210側に延びた第1半径部235とを含むことができる。
【0043】
第2弾性部250は、連結部215の外側端から両側に中心体210と対向するように延びる第2円周部251と、第2円周部251の両端からそれぞれ中心体210側に延び、中心体210の付近で折り曲げられて第1半径部235と連結される第2半径部255とを含むことができる。
第1弾性部230及び第2弾性部250は中心体210の周囲に沿って交互に形成されることができる、
【0044】
接続部201は第1円周部231の側面から中心体210側に突出し、接続部201の中心体210側の端部には入力側又は出力側との接続のための接続部締結ホール2011が形成されることができる。
【0045】
ギアモジュール130から中心体210に駆動力が伝達され、接続部201に出力側負荷が印加されれば、トルクが中心体210及び接続部201を介して変形部220に伝達されることができる。これにより、変形部220が変形されることができ、前述したように、感知部150が変形量を感知してトルクを算出することができる。
【0046】
低トルク状態ではスプリング部202が変形されるが接続部201と第1半径部235が離隔している状態である。このような低トルク状態では、トルクに対するスプリング部202の剛性に第1弾性部230及び第2弾性部250が一緒に寄与することができる。
【0047】
すなわち、第1弾性部230の剛性、すなわち弾性係数がK1、第2弾性部250の弾性係数がK2の場合、前記低トルク状態で可変剛性弾性体200の剛性Kは、
1/K=1/K1+1/K2の式によって決定することができる。すなわち、第1弾性部230及び第2弾性部250が直列で連結されたものと同様である。
本実施例では、入力側又は出力側の軸方向に見るとき、第1弾性部230と第2弾性部250の厚さが同一であり、同じ弾性係数を有することができる。
したがって、可変剛性弾性体200の剛性Kは1/K=2/K1の式によって決定することができる。
【0048】
一方、トルクが増加して変形が増加すれば、すなわち高トルク領域では接続部201と第1半径部235が接触することができる。この場合、変形部220に印加されるトルクは第2弾性部250が耐えることができる。すなわち、高トルク状態では、可変剛性弾性体200の剛性に第1弾性部230及び第2弾性部250の中で第2弾性部250のみ寄与することができる。すなわち、前記高トルク状態で可変剛性弾性体200の剛性KはK2と同一であることができる。
【0049】
図5に提示した例では、入力側又は出力側の軸方向に見るとき、第1弾性部230と第2弾性部250の幅(又は厚さ)及び形状が互いに同一であり、K1=K2であることができる。
【0050】
したがって、本実施例の可変剛性弾性体200は、図3に示したグラフで、変形量-トルク関係がseries-self contactのグラフに従うことになる。
【0051】
すなわち、低トルク領域(接触前)では傾きが大きく、高トルク領域(接触後)では傾きが小さい。すなわち低トルク領域ではトルク解像度が相対的に大きくなる。また、高トルク領域でも感知が可能であってトルクカバレージが増加するか改善することができる。
図6は本発明の一実施例による可変剛性弾性体200を有するアクチュエーターモジュール100の可変剛性弾性体200の他の例を説明するための図である。
【0052】
図6に提示した可変剛性弾性体200は、入力側又は出力側の軸方向に見るとき、第1弾性部230と第2弾性部250の幅又は厚さが互いに異なる。第1弾性部230の第1半径部235の幅又は厚さが第2弾性部250の第2半径部255の幅又は厚さより小さいから、第1弾性部230の剛性(K1)が第2弾性部250の剛性(K2)より小さい。
接触の前には、可変剛性弾性体200の剛性Kは、前述したように、
1/K=1/K1+1/K2の式によって決定することができる。
接触の後には可変剛性弾性体200の剛性KはK2と同一になることができる。
【0053】
もちろん、本実施例と違い、入力側又は出力側の軸方向に見るとき、第1弾性部230の第1半径部235の幅又は厚さを第2弾性部250の第2半径部255の幅又は厚さより大きくして、第1弾性部230の剛性(K1)が第2弾性部250の剛性(K2)より大きくすることもできる。
【0054】
このように、第1弾性部230と第2弾性部250の幅及び形状を調節して第1弾性部230と第2弾性部250の弾性係数を調節することができ、第1弾性部230と第2弾性部250の弾性係数を調節して、接続部201と第1半径部235が接触するトルクを設定することができる。
【0055】
幅又は形状の調節において、入力側又は出力側の軸方向に見るとき、第1弾性部230と第2弾性部250の幅及び形状を調節して第1弾性部230と第2弾性部250の弾性係数を調節し、第1弾性部230の幅が一定であるか次第に変わる形状(例えば、流線形)を有するように形成することができ、第2弾性部250の幅が一定であるか次第に変わる形状を有するように形成することができる。
【0056】
図7は本発明の一実施例による可変剛性弾性体200を有するアクチュエーターモジュール100の可変剛性弾性体200のさらに他の例を説明するための図である。
【0057】
図7に提示した可変剛性弾性体200の変形部220は、第1弾性部230と第2弾性部250との間に位置する第3弾性部270をさらに含むことができる。第1弾性部230、第3弾性部270及び第2弾性部250の順に中心体210の周囲に繰り返して配列されることができる。
【0058】
第3弾性部270は、第1円周部231と第2円周部251との間で中心体210と対向する第3円周部271と、第3円周部271の両端からそれぞれ中心体210側に延び、中心体210に隣接して折り曲げられてそれぞれ第1半径部235及び第2半径部255と連結される第3半径部275とを含むことができる。
【0059】
接続部201と第1半径部235が離隔している状態、すなわち低トルク状態ではトルクに対するスプリング部202の剛性に第1弾性部230、第2弾性部250及び第3弾性部270が一緒に寄与することができる。
【0060】
第3弾性部270の弾性係数がK3であるとき、低トルク状態で可変剛性弾性体200の剛性Kは1/K=1/K1+1/K2+1/K3の式によって決定することができる。すなわち、第1弾性部230、第2弾性部250及び第3弾性部270が直列で連結されたものと同様である。
【0061】
トルクによって変形されて接続部201と第1半径部235が接触した状態(C1)(1次高トルク状態)ではトルクに対するスプリング部202の剛性に第1弾性部230、第2弾性部250及び第3弾性部270の中で第2弾性部250及び第3弾性部270のみ寄与することができる。
したがって、1次高トルク状態で可変剛性弾性体200の剛性Kは、
1/K=1/K2+1/K3の式によって決定することができる。
【0062】
また、トルクがさらに増加して変形がもっと増加すれば(2次高トルク状態)、第3半径部275と第1半径部235が連結される部分が他の第3半径部275と第2半径部255が連結される部分と接触することができる(C2)。この場合、トルクに対するスプリング部202の剛性に第2弾性部250のみ寄与することができる。
したがって、2次高トルク状態で可変剛性弾性体200の剛性KはK2と同じになることができる。
本発明の実施例によれば、低トルク領域でトルク解像度を高め、全体的にトルクカバレージを増加させるか改善させることができる。
【0063】
したがって、可変剛性弾性アクチュエーターモジュール100が設置された現場で、可変剛性弾性アクチュエーターモジュール100が敏感に反応して安全な作動をもっと保障することができる。
【0064】
前述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者は本発明の技術的思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に容易に変形することができるというのが理解可能であろう。したがって、以上で記述した実施例は全ての面で例示的なものであるだけで、限定的なものではないことを理解しなければならない。例えば、単一型として説明した各構成要素は分散されて実施されることもでき、同様に分散されたものとして説明した構成要素も結合形態に実施されることができる。
【0065】
本発明の範囲は後述する特許請求の範囲によって決定され、特許請求の範囲の意味及び範囲とその均等な概念から導出される全ての変更又は変形の形態は本発明の範囲に含まれるものに解釈されなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の産業上利用可能性は前記発明を実施するための形態で一緒に記述された。
【符号の説明】
【0067】
100 アクチュエーターモジュール
110 モーター
130 ギアモジュール
150 感知部
200 可変剛性弾性体
201 接続部
202 スプリング部
210 中心体
2101 中心体締結ホール
215 連結部
220 変形部
230 第1弾性部
231 第1円周部
235 第1半径部
250 第2弾性部
251 第2円周部
255 第2半径部
300 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】