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▶ エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-08
(54)【発明の名称】人工弁用のフレーム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20220301BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541477
(86)(22)【出願日】2020-01-15
(85)【翻訳文提出日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 US2020013725
(87)【国際公開番号】W WO2020150378
(87)【国際公開日】2020-07-23
(31)【優先権主張番号】62/858,249
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/793,692
(32)【優先日】2019-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ・グロヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】アレクセイ・ツィペンユク
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097DD01
4C097DD09
4C097DD10
4C097SB02
4C097SB03
(57)【要約】
人工弁は、流入端と、流出端と、中央部分とを備えるフレームを備える。フレームは、折り畳み構成から拡張構成へと半径方向に拡張可能である。流入端は、複数の第1の支柱部材を備え、複数の第1の支柱部材は、第1の支柱幅を有し、隣接する第1の支柱部材の間に第1の角度を形成し、中央部分は、複数の第2の支柱部材を備え、複数の第2の支柱部材は、第2の支柱幅を有し、隣接する第2の支柱部材の間に第2の角度を形成する。複数の弁尖がフレーム内に位置決めされる。第1の角度および第2の角度のうちの少なくとも1つ、または第1の支柱幅および第2の支柱幅は異なっており、人工弁が円筒形バルーン上に圧着され、円筒形バルーンを使用して拡張されたときに、流出端の直径は中央部分の直径と異なる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工弁であって、
流入端、流出端、および前記流入端と前記流出端との間の中央部分を備えるフレームであって、前記フレームは半径方向に折り畳み可能であり、折り畳み構成から拡張構成へと拡張可能であり、前記流入端は、複数の周方向に延在する第1の支柱部材を備え、前記複数の周方向に延在する第1の支柱部材は、第1の支柱幅を有し、隣接する第1の支柱部材の間に第1の角度を形成し、前記中央部分は、複数の周方向に延在する第2の支柱部材を備え、前記複数の周方向に延在する第2の支柱部材は、第2の支柱幅を有し、隣接する第2の支柱部材の間に第2の角度を形成する、フレームと、
少なくとも部分的に前記フレーム内に位置決めされ、前記人工弁を通る血液の流れを調節するように構成されている複数の弁尖と、
を備え、
前記第1の角度および前記第2の角度のうちの少なくとも1つ、または前記第1の支柱幅および前記第2の支柱幅は異なっており、前記人工弁が円筒形バルーン上に圧着され、前記円筒形バルーンを使用して前記拡張構成に拡張されたときに、前記フレームの流出端の直径は前記フレームの中央部分の直径と異なる、人工弁。
【請求項2】
前記人工弁が前記拡張構成に拡張されたときに前記流出端の直径が前記中央部分の直径よりも大きくなるように、前記第1の角度は前記第2の角度よりも大きく、前記第1の支柱幅は前記第2の支柱幅に等しい、請求項1に記載の人工弁。
【請求項3】
前記流入端の直径は、前記拡張構成に拡張されたときに前記フレームがY字形輪郭を有するように前記中央部分の直径に実質的に等しい、請求項2に記載の人工弁。
【請求項4】
前記フレームの流出端は、複数の周方向に延在する第3の支柱部材を備え、前記第3の支柱部材は、第3の支柱幅を有し、隣接する第3の支柱部材の間に第3の角度を形成し、
前記第3の支柱幅は、前記第1の支柱幅および前記第2の支柱幅に等しい、請求項2または請求項3に記載の人工弁。
【請求項5】
前記第3の角度は、前記拡張構成に拡張されたときに前記フレームがY字形輪郭を有するように前記第1の角度よりも小さく、前記第2の角度よりも小さい、請求項4に記載の人工弁。
【請求項6】
前記人工弁は、5列の支柱部材を備える、請求項5に記載の人工弁。
【請求項7】
前記中央部分は、前記流入端と前記流出端との間に3列の支柱部材を備え、前記3列の支柱部材は前記複数の第2の支柱部材を含む、請求項6に記載の人工弁。
【請求項8】
前記中央部分の前記3列の支柱部材の各々の前記支柱部材は、前記第2の支柱幅、および隣接する支柱部材間の前記第2の角度を備える、請求項7に記載の人工弁。
【請求項9】
前記第1の角度は、110°から170°である、請求項4から8のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項10】
前記第2の角度は、80°から130°である、請求項9に記載の人工弁。
【請求項11】
前記第3の角度は、60°から120°である、請求項10に記載の人工弁。
【請求項12】
前記第1の支柱幅、前記第2の支柱幅、および前記第3の支柱幅は、0.1mmから0.8mmである、請求項4から11のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項13】
前記第1の支柱幅、前記第2の支柱幅、および前記第3の支柱幅は、0.2mmから0.6mmである、請求項12に記載の人工弁。
【請求項14】
前記流入端の直径および前記流出端の直径は、前記フレームが砂時計形輪郭を有するように前記フレームが前記折り畳み構成と前記拡張構成との間にあるときに前記フレームの中央部分の直径よりも大きい、請求項2から13のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項15】
前記流出端の直径は、前記フレームが前記拡張構成に拡張されたときに前記フレームの中央部分の直径よりも小さい、請求項1に記載の人工弁。
【請求項16】
前記第1の角度は、前記第2の角度よりも大きい、請求項15に記載の人工弁。
【請求項17】
前記第1の支柱幅は、前記第2の支柱幅に実質的に等しく、前記フレームの前記中央部分の直径は、前記流入端の直径よりも大きく、また前記流出端の直径よりも大きく、前記フレームは、前記拡張構成に拡張されたときに樽形輪郭を有する、請求項16に記載の人工弁。
【請求項18】
前記流入端の直径および前記流出端の直径は、前記フレームが砂時計形輪郭を有するように前記フレームが前記折り畳み構成と前記拡張構成との間にあるときに前記中央部分の直径よりも大きい、請求項17に記載の人工弁。
【請求項19】
前記フレームの外面は、凸状輪郭を備える、請求項15から18のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項20】
前記フレームの凸状輪郭は、前記フレームの中央部分に頂点を画成する、請求項19に記載の人工弁。
【請求項21】
前記人工弁は、5列の支柱部材を備え、
前記頂点は、前記流入端から3番目の支柱部材の列に沿って配置される、請求項20に記載の人工弁。
【請求項22】
前記流出端は、複数の周方向に延在する第3の支柱部材を備え、前記第3の支柱部材は、第3の支柱幅を有し、隣接する第3の支柱部材の間に第3の角度を形成し、
前記第3の支柱幅は、前記第1の支柱幅に実質的に等しい、請求項15から21のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項23】
前記第3の角度は、前記第1の角度に実質的に等しい、請求項22に記載の人工弁。
【請求項24】
前記第1の角度は、100°から150°である、請求項15から23のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項25】
前記第2の角度は、60°から100°である、請求項24に記載の人工弁。
【請求項26】
前記第1の支柱幅および前記第2の支柱幅は、0.1mmから0.8mmである、請求項15から25のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項27】
前記第1の支柱幅および前記第2の支柱幅は、0.2mmから0.6mmである、請求項26に記載の人工弁。
【請求項28】
前記フレームは、前記フレームが前記折り畳み構成と前記拡張構成との間にあるときに、前記流入端の直径が前記中央部分の直径よりも大きく、前記中央部分の直径が前記流出端の直径よりも大きいように構成される、請求項15に記載の人工弁。
【請求項29】
前記フレームの流出端は、複数の周方向に延在する第3の支柱部材を備え、前記第3の支柱部材は、第3の支柱幅を有し、隣接する第3の支柱部材の間に第3の角度を形成し、
前記第1の角度および前記第3の角度は、実質的に等しい、請求項1に記載の人工弁。
【請求項30】
前記第3の支柱幅は、前記拡張構成に拡張されたときに前記フレームが樽形輪郭を有するように前記第1の支柱幅よりも大きい、請求項29に記載の人工弁。
【請求項31】
前記第1の角度は、前記第2の角度よりも大きい、請求項29または請求項30に記載の人工弁。
【請求項32】
前記人工弁は、5列の支柱部材を備える、請求項29から31のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項33】
前記中央部分は、前記流入端と前記流出端との間に3列の支柱部材を備え、前記3列の支柱部材は前記複数の第2の支柱部材を備える、請求項32に記載の人工弁。
【請求項34】
前記中央部分の前記3列の支柱部材の各々の前記支柱部材は、前記第2の支柱幅、および隣接する支柱部材間の前記第2の角度を備え、
前記第2の支柱幅は、前記第1の支柱幅に実質的に等しい、請求項33に記載の人工弁。
【請求項35】
前記第1の角度および前記第3の角度は実質的に等しく、前記第3の支柱幅は、前記第1の支柱幅よりも大きく、前記フレームが前記折り畳み構成と前記拡張構成との間にあるときに、前記流入端の直径は前記中央部分の直径よりも大きく、前記フレームが円錐台形輪郭を有するように前記中央部分の直径が前記流出端の直径よりも大きい、請求項29から34のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項36】
前記第3の支柱幅は、前記第1の支柱幅よりも5%から30%大きい、請求項29から35のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項37】
前記フレームは、可塑的拡張可能材料を含む、請求項1から36のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項38】
前記フレームは、ステンレス鋼、コバルト-クロム合金、ニッケル-コバルト-クロム合金、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項37に記載の人工弁。
【請求項39】
人工弁であって、
流入端、流出端、および前記流入端と前記流出端との間の中央部分を備えるフレームであって、前記フレームは半径方向に折り畳み可能であり、折り畳み構成から拡張構成へと拡張可能であり、前記流入端は、複数の周方向に延在する第1の支柱部材を備え、前記複数の周方向に延在する第1の支柱部材は、第1の支柱幅を有し、隣接する第1の支柱部材の間に第1の角度を形成する、前記流出端は、複数の周方向に延在する第2の支柱部材を備え、前記複数の周方向に延在する第2の支柱部材は、第2の支柱幅を有し、隣接する第2の支柱部材の間に第2の角度を形成する、フレームと、
少なくとも部分的に前記フレーム内に位置決めされ、前記人工弁を通る血液の流れを調節するように構成されている複数の弁尖と、
を備え、
前記第1の角度および前記第2の角度のうちの少なくとも1つ、または前記第1の支柱幅および前記第2の支柱幅は異なっており、前記人工弁が円筒形バルーン上に圧着され、前記円筒形バルーンを使用して前記拡張構成に拡張されたときに、前記フレームの流出端の直径は前記フレームの中央部分の直径と異なる、人工弁。
【請求項40】
前記人工弁が前記拡張構成に拡張されたときに前記流出端の直径が前記中央部分の直径よりも大きくなるように、前記第1の角度は前記第2の角度よりも大きく、前記第1の支柱幅は前記第2の支柱幅に等しい、請求項39に記載の人工弁。
【請求項41】
前記流入端の直径は、前記拡張構成に拡張されたときに前記フレームがY字形輪郭を有するように前記中央部分の直径に実質的に等しい、請求項40に記載の人工弁。
【請求項42】
前記フレームの中央部分は、複数の周方向に延在する第3の支柱部材を備え、前記第3の支柱部材は、第3の支柱幅を有し、隣接する第3の支柱部材の間に第3の角度を形成し、
前記第3の支柱幅は、前記第1の支柱幅および前記第2の支柱幅に等しく、
前記第3の角度は、前記拡張構成に拡張されたときに前記フレームがY字形輪郭を有するように前記第1の角度よりも小さく、前記第2の角度よりも大きい、請求項40または請求項41に記載の人工弁。
【請求項43】
前記流入端の直径および前記流出端の直径は、前記フレームが砂時計形輪郭を有するように前記フレームが前記折り畳み構成と前記拡張構成との間にあるときに前記フレームの中央部分の直径よりも大きい、請求項40から42のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項44】
前記フレームは、前記フレームが前記折り畳み構成と前記拡張構成との間にあるときに、前記流入端の直径が前記中央部分の直径よりも大きく、前記中央部分の直径が前記流出端の直径よりも大きいように構成される、請求項39に記載の人工弁。
【請求項45】
前記人工弁は、5列の支柱部材を備える、請求項39から44のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項46】
前記中央部分は、前記流入端と前記流出端との間に3列の支柱部材を備える、請求項45に記載の人工弁。
【請求項47】
前記中央部分の前記3列の支柱部材の各々の支柱部材は、第3の支柱幅を有し、前記第3の支柱幅は、前記第2の支柱幅に実質的に等しく、かつ前記第1の支柱幅に実質的に等しい、請求項46に記載の人工弁。
【請求項48】
前記第1の角度は、110°から170°である、請求項42に記載の人工弁。
【請求項49】
前記第2の角度は、80°から130°である、請求項48に記載の人工弁。
【請求項50】
前記第3の角度は、60°から120°である、請求項49に記載の人工弁。
【請求項51】
前記第1の支柱幅、前記第2の支柱幅、および前記第3の支柱幅は、0.1mmから0.8mmである、請求項47から50のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項52】
前記第1の支柱幅、前記第2の支柱幅、および前記第3の支柱幅は、0.2mmから0.6mmである、請求項51に記載の人工弁。
【請求項53】
前記第1の角度および前記第2の角度は実質的に等しい、請求項39に記載の人工弁。
【請求項54】
前記第1の支柱幅は、前記第2の支柱幅よりも大きい、請求項53に記載の人工弁。
【請求項55】
前記第2の支柱幅は、前記第1の支柱幅よりも大きい、請求項53に記載の人工弁。
【請求項56】
前記フレームは、前記フレームが前記折り畳み構成と前記拡張構成との間にあるときに、前記流入端の直径が前記中央部分の直径よりも大きく、前記中央部分の直径が前記流出端の直径よりも大きいように構成される、請求項55に記載の人工弁。
【請求項57】
前記第1の角度は、前記第2の角度よりも大きく、
前記第1の支柱幅は、前記第2の支柱幅に等しい、請求項39に記載の人工弁。
【請求項58】
前記フレームは、前記人工弁が前記拡張構成に拡張されたときに、前記フレームの流出端の直径が前記フレームの中央部分の直径よりも大きく、前記フレームの中央部分の直径が前記フレームの流入端の直径よりも大きくなるように構成される、請求項57に記載の人工弁。
【請求項59】
前記フレームが前記拡張構成と前記折り畳み構成との間にあるときに、前記フレームは、砂時計形輪郭を備える、請求項58に記載の人工弁。
【請求項60】
前記第2の角度は、前記第1の角度よりも大きい、請求項39に記載の人工弁。
【請求項61】
前記フレームは、前記人工弁が前記拡張構成に拡張されたときに、前記フレームの流出端の直径が前記フレームの中央部分の直径よりも小さく、前記フレームの中央部分の直径が前記フレームの流入端の直径よりも小さくなるように構成される、請求項60に記載の人工弁。
【請求項62】
前記フレームが前記拡張構成と前記折り畳み構成との間にあるときに、前記フレームは、砂時計形輪郭を備える、請求項61に記載の人工弁。
【請求項63】
第2の厚さは、前記拡張構成に拡張されたときに前記フレームが円錐台形輪郭を有するように第1の厚さよりも大きい、請求項61に記載の人工弁。
【請求項64】
前記フレームが前記折り畳み構成と前記拡張構成との間にあるときに、前記フレームは、円錐台形輪郭を有する、請求項63に記載の人工弁。
【請求項65】
前記第1の角度は、前記第2の角度よりも大きく、
前記第1の支柱幅は、前記拡張構成に拡張されたときに前記フレームが逆円錐台形輪郭を有するように前記第2の支柱幅よりも大きい、請求項39に記載の人工弁。
【請求項66】
前記フレームが前記折り畳み構成と前記拡張構成との間にあるときに、前記フレームは、逆円錐台形輪郭を有する、請求項65に記載の人工弁。
【請求項67】
前記フレームの中央部分は、前記第2の支柱幅を有し、隣接する第3の支柱部材の間に第3の角度を形成する、複数の第3の支柱部材を備え、
前記第1の角度は前記第2の角度よりも大きく、前記第2の角度は前記拡張構成に拡張されたときに前記フレームがY字形輪郭を有するように前記第3の角度よりも大きい、請求項39に記載の人工弁。
【請求項68】
前記第1の支柱幅は、前記第2の支柱幅よりも大きい、請求項67に記載の人工弁。
【請求項69】
前記フレームは、前記折り畳み構成と前記拡張構成との間で、逆円錐台形輪郭を有する、請求項67または請求項68に記載の人工弁。
【請求項70】
人工弁であって、
流入端、流出端、および前記流入端と前記流出端との間の中央部分を備えるフレームであって、前記フレームは折り畳み構成と拡張構成との間で半径方向に折り畳み可能および拡張可能であり、前記流入端は、複数の周方向に延在する第1の支柱部材を備え、前記複数の周方向に延在する第1の支柱部材は、第1の支柱幅を有し、隣接する第1の支柱部材の間に第1の角度を形成し、前記中央部分は、複数の周方向に延在する第2の支柱部材を備え、前記複数の周方向に延在する第2の支柱部材は、第2の支柱幅を有し、隣接する第2の支柱部材の間に第2の角度を形成する、フレームと、
少なくとも部分的に前記フレーム内に位置決めされ、前記人工弁を通る血液の流れを調節するように構成されている複数の弁尖と、
を備え、
前記第1の角度および前記第2の角度のうちの少なくとも1つ、または前記第1の支柱幅および前記第2の支柱幅は異なっており、前記人工弁が円筒形バルーン上に圧着され、前記円筒形バルーンを使用して前記拡張構成に拡張されたときに、前記フレームの流出端の直径は、前記折り畳み構成と前記拡張構成との間で前記フレームの中央部分の直径よりも大きく、前記フレームの中央部分の直径は、前記フレームが前記拡張構成に達したときに前記フレームの流出端の直径に実質的に等しい、人工弁。
【請求項71】
前記第1の支柱幅は、前記第2の支柱幅よりも大きく、前記第1の角度は、前記第2の角度よりも大きい、請求項70に記載の人工弁。
【請求項72】
前記流出端は、複数の周方向に延在する第3の支柱部材を備え、前記第3の支柱部材は、第3の支柱幅を有し、隣接する第3の支柱部材の間に第3の角度を形成し、
前記第3の支柱幅は、前記第1の支柱幅よりも小さく、かつ前記第2の支柱幅よりも小さく、
前記第3の角度は、前記第1の角度よりも小さく、かつ前記第2の角度よりも小さい、請求項71に記載の人工弁。
【請求項73】
前記フレームが前記拡張構成にあるときの前記フレームの流出端の直径は、指定された設計直径であり、
前記複数の弁尖は、前記流出端が前記指定された設計直径にあり、前記フレームの中央部分の直径が前記指定された設計直径よりも小さいときに、接合して人工弁を通る血流を調節するように構成される、請求項70から72のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項74】
前記フレームの流出端は、複数の周方向に延在する第3の支柱部材を備え、前記第3の支柱部材は、第3の支柱幅を有し、隣接する第3の支柱部材の間に第3の角度を形成し、
前記第1の支柱幅および前記第3の支柱幅は、前記第2の支柱幅よりも大きく、
前記人工弁が前記拡張構成に拡張されたときに、前記フレームの流入端のところの隣接する第1の支柱部材の間の前記第1の角度は、180度に実質的に等しく、前記フレームの流出端のところの隣接する第3の支柱部材の間の前記第3の角度は、180度に実質的に等しい、請求項1に記載の人工弁。
【請求項75】
前記フレームが前記拡張構成にあるときに、前記中央部分の直径は、前記フレームが樽形輪郭を有するように前記流入端の直径よりも大きく、かつ前記流出端の直径よりも大きい、請求項74に記載の人工弁。
【請求項76】
人工弁であって、
流入端、流出端、および前記流入端と前記流出端との間の中央部分を備えるフレームであって、前記フレームは半径方向に折り畳み可能であり、折り畳み構成から拡張構成へと拡張可能であり、前記流入端は、複数の周方向に延在する第1の支柱部材を備え、前記複数の周方向に延在する第1の支柱部材は、第1の支柱幅を有し、隣接する第1の支柱部材の間に第1の角度を形成し、前記中央部分は、複数の周方向に延在する第2の支柱部材を備え、前記複数の周方向に延在する第2の支柱部材は、第2の支柱幅を有し、隣接する第2の支柱部材の間に第2の角度を形成する、フレームと、
少なくとも部分的に前記フレーム内に位置決めされ、前記人工弁を通る血液の流れを調節するように構成されている複数の弁尖と、
を備え、
前記第1の角度および前記第2の角度は、異なっており、前記人工弁が円筒形バルーン上に圧着され、前記円筒形バルーンを使用して前記拡張構成に拡張されたときに、前記フレームの流出端の直径は前記フレームの中央部分の直径と異なる、人工弁。
【請求項77】
人工弁であって、
流入端、流出端、および前記流入端と前記流出端との間の中央部分を備えるフレームであって、前記フレームは半径方向に折り畳み可能であり、折り畳み構成から拡張構成へと拡張可能であり、前記流入端は、複数の周方向に延在する第1の支柱部材を備え、前記複数の周方向に延在する第1の支柱部材は、第1の支柱幅を有し、隣接する第1の支柱部材の間に第1の角度を形成し、前記中央部分は、複数の周方向に延在する第2の支柱部材を備え、前記複数の周方向に延在する第2の支柱部材は、第2の支柱幅を有し、隣接する第2の支柱部材の間に第2の角度を形成する、フレームと、
少なくとも部分的に前記フレーム内に位置決めされ、前記人工弁を通る血液の流れを調節するように構成されている複数の弁尖と、
を備え、
前記第1の支柱幅および前記第2の支柱幅は、異なっており、前記人工弁が円筒形バルーン上に圧着され、前記円筒形バルーンを使用して前記拡張構成に拡張されたときに、前記フレームの流出端の直径は前記フレームの中央部分の直径と異なる、人工弁。
【請求項78】
人工弁であって、
流入端、流出端、および前記流入端と前記流出端との間の中央部分を備えるフレームであって、前記フレームは半径方向に折り畳み可能であり、折り畳み構成から拡張構成へと拡張可能であり、前記流入端は、複数の周方向に延在する第1の支柱部材を備え、前記複数の周方向に延在する第1の支柱部材は、第1の支柱幅を有し、隣接する第1の支柱部材の間に第1の角度を形成し、前記中央部分は、複数の周方向に延在する第2の支柱部材を備え、前記複数の周方向に延在する第2の支柱部材は、第2の支柱幅を有し、隣接する第2の支柱部材の間に第2の角度を形成する、フレームと、
少なくとも部分的に前記フレーム内に位置決めされ、前記人工弁を通る血液の流れを調節するように構成されている複数の弁尖と、
を備え、
前記第1の角度および前記第2の角度のうちの少なくとも1つ、または前記第1の支柱幅および前記第2の支柱幅は異なっており、前記人工弁が円筒形バルーン上に圧着され、前記円筒形バルーンを使用して前記拡張構成に拡張されたときに、前記フレームは非円筒形形状に拡張される、人工弁。
【請求項79】
前記人工弁が前記拡張構成に拡張されたときに前記流出端の直径が前記中央部分の直径よりも大きくなるように、前記第1の角度は前記第2の角度よりも大きく、前記第1の支柱幅は前記第2の支柱幅に等しい、請求項78に記載の人工弁。
【請求項80】
前記流入端の直径は、前記拡張構成に拡張されたときに前記フレームがY字形輪郭を有するように前記中央部分の直径に実質的に等しい、請求項79に記載の人工弁。
【請求項81】
前記フレームの流出端は、複数の周方向に延在する第3の支柱部材を備え、前記第3の支柱部材は、第3の支柱幅を有し、隣接する第3の支柱部材の間に第3の角度を形成し、
前記第3の支柱幅は、前記第1の支柱幅および前記第2の支柱幅に等しく、
前記第3の角度は、前記拡張構成に拡張されたときに前記フレームがY字形輪郭を有するように前記第1の角度よりも小さく、前記第2の角度よりも小さい、請求項79または請求項80に記載の人工弁。
【請求項82】
前記流入端の直径および前記流出端の直径は、前記フレームが砂時計形輪郭を有するように前記フレームが前記折り畳み構成と前記拡張構成との間にあるときに前記フレームの中央部分の直径よりも大きい、請求項78から81のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項83】
前記流出端の直径は、前記フレームが前記拡張構成に拡張されたときに前記フレームの中央部分の直径よりも小さい、請求項78に記載の人工弁。
【請求項84】
前記第1の角度は、前記第2の角度よりも大きい、請求項83に記載の人工弁。
【請求項85】
前記第1の支柱幅は、前記第2の支柱幅に実質的に等しく、前記フレームの前記中央部分の直径は、前記流入端の直径よりも大きく、また前記流出端の直径よりも大きく、前記フレームは、前記拡張構成に拡張されたときに樽形輪郭を有する、請求項84に記載の人工弁。
【請求項86】
前記流入端の直径および前記流出端の直径は、前記フレームが砂時計形輪郭を有するように前記フレームが前記折り畳み構成と前記拡張構成との間にあるときに前記中央部分の直径よりも大きい、請求項85に記載の人工弁。
【請求項87】
前記フレームの外面は、凸状輪郭を備え、前記フレームの凸状輪郭は前記フレームの中央部分に頂点を画成する、請求項83から86のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項88】
前記人工弁は、5列の支柱部材を備え、
前記頂点は、前記流入端から3番目の支柱部材の列に沿って配置される、請求項87に記載の人工弁。
【請求項89】
前記流出端は、複数の周方向に延在する第3の支柱部材を備え、前記第3の支柱部材は、第3の支柱幅を有し、隣接する第3の支柱部材の間に第3の角度を形成し、
前記第3の支柱幅は、前記第1の支柱幅に実質的に等しい、請求項83から88のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項90】
前記第3の角度は、前記第1の角度に実質的に等しい、請求項89に記載の人工弁。
【請求項91】
前記フレームは、前記フレームが前記折り畳み構成と前記拡張構成との間にあるときに、前記流入端の直径が前記中央部分の直径よりも大きく、前記中央部分の直径が前記流出端の直径よりも大きいように構成される、請求項83に記載の人工弁。
【請求項92】
前記フレームの流出端は、複数の周方向に延在する第3の支柱部材を備え、前記第3の支柱部材は、第3の支柱幅を有し、隣接する第3の支柱部材の間に第3の角度を形成し、
前記第1の角度および前記第3の角度は、実質的に等しい、請求項78に記載の人工弁。
【請求項93】
前記第3の支柱幅は、前記拡張構成に拡張されたときに前記フレームが樽形輪郭を有するように前記第1の支柱幅よりも大きい、請求項92に記載の人工弁。
【請求項94】
前記第1の角度は、前記第2の角度よりも大きい、請求項92または請求項93に記載の人工弁。
【請求項95】
前記第1の角度および前記第3の角度は実質的に等しく、前記第3の支柱幅は、前記第1の支柱幅よりも大きく、前記フレームが前記折り畳み構成と前記拡張構成との間にあるときに、前記流入端の直径は前記中央部分の直径よりも大きく、前記フレームが円錐台形輪郭を有するように前記中央部分の直径が前記流出端の直径よりも大きい、請求項92から94のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項96】
前記第3の支柱幅は、前記第1の支柱幅よりも5%から30%大きい、請求項92から95のいずれか一項に記載の人工弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年1月17日に出願した米国仮出願第62/793,692号、および2019年6月6日に出願した米国仮出願第62/858,249号の利益を主張するものである。米国仮出願第62/793,692号および米国仮出願第62/858,249号の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、円筒形で製造され、送達装置上に圧着され、整形拡張デバイス(shaped expansion device)を使用せずに様々な非円筒形の任意の形状に拡張されるように構成されているフレームを含む人工弁に関するものである。
【背景技術】
【0003】
人間の心臓は、様々な心臓弁膜症を患い得る。これらの心臓弁膜症は、結果として心臓の重大な機能不全を引き起こし、最終的に自然弁を人工弁に置換する必要が生じる。多数の知られている人工弁があり、これらの人工弁をヒトに植え込む多数の知られている方法がある。
【0004】
疾患のある、または損傷した弁を置換するか、または修復するために、様々な外科技術が使用され得る。狭窄症および他の心臓弁疾患のために、毎年何千人もの患者が手術を受けており、欠陥のある自然心臓弁が人工弁に置換されている。欠陥のある弁を治療するためのそれほど極端でない別の方法は、修復または再建を通じてのものであり、典型的には、石灰化が最小である弁に使用される。外科的療法の問題点は、外科的修復に関連する高い罹患率および死亡率を伴うこれらの慢性疾患患者に負わせる著しいリスクである。
【0005】
自然弁が置換されるときに、人工弁の外科的植え込みは、典型的には、開胸外科手術を必要とし、その際に、心臓は停止され、患者は心肺バイパス(いわゆる「人工心肺装置」)上に置かれる。一般的な一外科的手技では、疾患のある自然弁尖は切除され、人工弁は弁輪のところの周囲組織に縫合される。この手技は外傷を伴い、体外血液循環の付随する持続時間があるので、患者の中には手術に耐え抜けず、手術後すぐに死亡する人もいる。体外血液循環に要する時間の長さとともに、患者のリスクが増大することはよく知られている。これらのリスクがあるため、欠陥のある自然弁を有する実質的な数の患者は、状態が弱すぎて手術に耐えられないことから手術不可能であるとみなされる。いくつかの推定により、80歳を超える弁狭窄を患う被験者の50%超が、弁置換のための手術を受けることができない。
【0006】
従来の心臓切開手術にはいくつかの欠点が付随するので、経皮的および低侵襲的な外科アプローチが大きな注目を集めている。一技法において、カテーテル法を用いる侵襲のかなり少ない手技で人工弁が植え込まれるように構成される。たとえば、参照により本明細書に組み込まれている、特許文献1および特許文献2では、カテーテルにおいて圧縮状態で経皮的に導入され、バルーンの膨張、または自己拡張型フレームもしくはステントの利用によって、所望の位置に拡張され得る折り畳み可能な経カテーテル心臓弁を説明している。
【0007】
経皮的心臓弁の重要な設計パラメータは、拡張された人工弁の形状または輪郭である。人工弁の展開された形状は、人工弁が自然弁輪で固定されるかまたは接する仕方、自然弁を横切って一方の室と他方の室とに配置される人工弁の割合、および/または人工弁が自然組織と係合する配置に影響を及ぼし得るので、重要である。拡張された人工弁の形状は、人工弁上の圧力低下、流入および流出時のオリフィス面積、弁動作時に弁尖が開閉する程度などの、人工弁の様々な血行動態パラメータにも影響を及ぼし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5411522号
【特許文献2】米国特許第6730118号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示のいくつかの実施形態は、円筒形形状に製造され、円筒形バルーンまたは他の拡張デバイス上に半径方向に折り畳まれ、円筒形バルーンを使用して非円筒形形状に拡張されるように構成されている人工弁用フレームを対象とする。代表的な一実施形態において、人工弁は、流入端、流出端、および流入端と流出端との間の中央部分を含むフレームを備える。フレームは、半径方向に折り畳み可能であり、折り畳み構成から拡張構成へと拡張可能である。流入端は、複数の周方向に延在する第1の支柱部材を備え、複数の周方向に延在する第1の支柱部材は、第1の支柱幅を有し、隣接する第1の支柱部材の間に第1の角度を形成し、中央部分は、複数の周方向に延在する第2の支柱部材を備え、複数の周方向に延在する第2の支柱部材は、第2の支柱幅を有し、隣接する第2の支柱部材の間に第2の角度を形成する。人工弁は、少なくとも部分的にフレーム内に位置決めされ、人工弁を通る血液の流れを調節するように構成されている複数の弁尖をさらに備える。第1の角度および第2の角度のうちの少なくとも1つ、または第1の支柱幅および第2の支柱幅は異なっており、人工弁が円筒形バルーン上に圧着され、円筒形バルーンを使用して拡張構成に拡張されたときに、フレームの流出端の直径はフレームの中央部分の直径と異なる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
いくつかの実施形態において、人工弁が拡張構成に拡張されたときに流出端の直径が中央部分の直径よりも大きくなるように、第1の角度は第2の角度よりも大きく、第1の支柱幅は第2の支柱幅と等しい。
【0011】
いくつかの実施形態において、流入端の直径は、拡張構成に拡張されたときにフレームがY字形輪郭を有するように、中央部分の直径に実質的に等しい。
【0012】
いくつかの実施形態において、フレームの流出端は、複数の円周方向に延在する第3の支柱部材を備え、第3の支柱部材は、第3の支柱幅を有し、隣接する第3の支柱部材の間に第3の角度を形成する。第3の支柱幅は、第1の支柱幅および第2の支柱幅に等しく、第3の角度は、拡張構成に拡張されたときにフレームがY字形輪郭を有するように、第1の角度よりも小さく、第2の角度よりも小さい。
【0013】
いくつかの実施形態において、流入端の直径および流出端の直径は、フレームが砂時計形輪郭を有するようにフレームが折り畳み構成と拡張構成との間にあるときにフレームの中央部分の直径よりも大きい。
【0014】
いくつかの実施形態において、人工弁は、5列の支柱部材を備える。
【0015】
いくつかの実施形態において、中央部分は、流入端と流出端との間に3列の支柱部材を備え、3列の支柱部材は複数の第2の支柱部材を備える。
【0016】
いくつかの実施形態において、中央部分の3列の支柱部材の各々の支柱部材は、第2の支柱幅、および隣接する支柱部材間の第2の角度を含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、第1の角度は、110°から170°である。
【0018】
いくつかの実施形態において、第2の角度は、80°から130°である。
【0019】
いくつかの実施形態において、第3の角度は、60°から120°である。
【0020】
いくつかの実施形態において、第1の支柱幅、第2の支柱幅、および第3の支柱幅は、0.1mmから0.8mmである。
【0021】
いくつかの実施形態において、第1の支柱幅、第2の支柱幅、および第3の支柱幅は、0.2mmから0.6mmである。
【0022】
いくつかの実施形態において、流出端の直径は、フレームが拡張構成に拡張されたときにフレームの中央部分の直径よりも小さい。
【0023】
いくつかの実施形態において、第1の角度は、第2の角度よりも大きく、第1の支柱幅は、第2の支柱幅に実質的に等しく、フレームの中央部分の直径は、流入端の直径よりも大きく、また流出端の直径よりも大きく、フレームが拡張構成に拡張されたときに樽形輪郭を有する。
【0024】
いくつかの実施形態において、流入端の直径および流出端の直径は、フレームが砂時計形輪郭を有するようにフレームが折り畳み構成と拡張構成との間にあるときに中央部分の直径よりも大きい。
【0025】
いくつかの実施形態において、フレームの外面は、凸状輪郭を備える。
【0026】
いくつかの実施形態において、フレームの凸状輪郭は、フレームの中央部分に頂点を画成する。
【0027】
いくつかの実施形態において、人工弁は、5列の支柱部材を備え、頂点は、流入端から3番目にある支柱部材の列に沿って配置される。
【0028】
いくつかの実施形態において、流出端は、複数の円周方向に延在する第3の支柱部材を備え、第3の支柱部材は、第3の支柱幅を有し、隣接する第3の支柱部材の間に第3の角度を形成し、第3の支柱幅は、第1の支柱幅に実質的に等しい。
【0029】
いくつかの実施形態において、第3の角度は、第1の角度に実質的に等しい。
【0030】
いくつかの実施形態において、第1の角度は、100°から150°である。
【0031】
いくつかの実施形態において、第2の角度は、60°から100°である。
【0032】
いくつかの実施形態において、第1の支柱幅および第2の支柱幅は、0.1mmから0.8mmである。
【0033】
いくつかの実施形態において、第1の支柱幅および第2の支柱幅は、0.2mmから0.6mmである。
【0034】
いくつかの実施形態において、フレームは、フレームが折り畳み構成と拡張構成との間にあるときに、流入端の直径が中央部分の直径よりも大きく、中央部分の直径が流出端の直径よりも大きいように構成される。
【0035】
いくつかの実施形態において、フレームの流出端は、複数の円周方向に延在する第3の支柱部材を備え、第3の支柱部材は、第3の支柱幅を有し、隣接する第3の支柱部材の間に第3の角度を形成する。第1の角度および第3の角度は実質的に等しく、第3の支柱幅は、拡張構成に拡張されたときにフレームが樽形輪郭を有するように、第1の支柱幅よりも大きい。
【0036】
いくつかの実施形態において、第1の角度は、第2の角度よりも大きい。
【0037】
いくつかの実施形態において、人工弁は、5列の支柱部材を備える。
【0038】
いくつかの実施形態において、中央部分は、流入端と流出端との間に3列の支柱部材を備え、3列の支柱部材は複数の第2の支柱部材を備える。
【0039】
いくつかの実施形態において、中央部分の3列の支柱部材の各々の支柱部材は、第2の支柱幅、および隣接する支柱部材間の第2の角度を含み、第2の支柱幅は、第1の支柱幅に実質的に等しい。
【0040】
いくつかの実施形態において、第1の角度および第3の角度は、実質的に等しく、第3の支柱幅は、第1の支柱幅よりも大きく、フレームが折り畳み構成と拡張構成との間にあるときに、流入端の直径が中央部分の直径よりも大きく、フレームが円錐台形輪郭を有するように中央部分の直径が流出端の直径よりも大きい。
【0041】
いくつかの実施形態において、第3の支柱幅は、第1の支柱幅よりも5%から30%大きい。
【0042】
いくつかの実施形態において、フレームは、可塑的拡張可能材料を含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、フレームは、ステンレス鋼、コバルト-クロム合金、ニッケル-コバルト-クロム合金、またはこれらの任意の組合せを含む。
【0044】
いくつかの実施形態において、流入端の直径および流出端の直径は、フレームが砂時計形輪郭を有するようにフレームが折り畳み構成と拡張構成との間にあるときにフレームの中央部分の直径よりも大きい。
【0045】
いくつかの実施形態において、第1の角度および第2の角度は、等しい。
【0046】
いくつかの実施形態において、第1の支柱幅は、第2の支柱幅よりも大きい。
【0047】
いくつかの実施形態において、第2の支柱幅は、第1の支柱幅よりも大きい。
【0048】
いくつかの実施形態において、フレームは、フレームが折り畳み構成と拡張構成との間にあるときに、流入端の直径が中央部分の直径よりも大きく、中央部分の直径が流出端の直径よりも大きいように構成される。
【0049】
いくつかの実施形態において、第1の角度は、第2の角度よりも大きく、第1の支柱幅は、第2の支柱幅に等しい。
【0050】
いくつかの実施形態において、フレームは、人工弁が拡張構成に拡張されたときに、フレームの流出端の直径がフレームの中央部分の直径よりも大きく、フレームの中央部分の直径がフレームの流入端の直径よりも大きくなるように構成される。
【0051】
いくつかの実施形態において、フレームが拡張構成と折り畳み構成との間にあるとき、フレームは、砂時計形輪郭を備える。
【0052】
いくつかの実施形態において、第2の角度は、第1の角度よりも大きい。
【0053】
いくつかの実施形態において、フレームは、人工弁が拡張構成に拡張されたときに、フレームの流出端の直径がフレームの中央部分の直径よりも小さく、フレームの中央部分の直径がフレームの流入端の直径よりも小さくなるように構成される。
【0054】
いくつかの実施形態において、フレームが拡張構成と折り畳み構成との間にあるとき、フレームは、砂時計形輪郭を備える。
【0055】
いくつかの実施形態において、第2の厚さは、拡張構成に拡張されたときにフレームが円錐台形輪郭を有するように第1の厚さよりも大きい。
【0056】
いくつかの実施形態において、フレームは、フレームが折り畳み構成と拡張構成との間にあるときに、円錐台形輪郭を有する。
【0057】
いくつかの実施形態において、第1の角度は、第2の角度よりも大きく、第1の支柱幅は、拡張構成に拡張されたときにフレームが逆円錐台形輪郭を有するように第2の支柱幅よりも大きい。
【0058】
いくつかの実施形態において、フレームは、フレームが折り畳み構成と拡張構成との間にあるときに、逆円錐台形輪郭を有する。
【0059】
いくつかの実施形態において、フレームの中央部分は、第2の支柱幅を有し、隣接する第3の支柱部材の間に第3の角度を形成する、複数の第3の支柱部材を備え、第1の角度は、第2の角度よりも大きく、第2の角度は、拡張構成に拡張されたときにフレームがY字形輪郭を有するように第3の角度よりも大きい。
【0060】
いくつかの実施形態において、第1の支柱幅は、第2の支柱幅よりも大きい。
【0061】
いくつかの実施形態において、フレームは、折り畳み構成と拡張構成との間にある逆円錐台形輪郭を有する。
【0062】
代表的な別の実施形態において、人工弁は、流入端、流出端、および流入端と流出端との間の中央部分を含むフレームを備える。フレームは、半径方向に折り畳み可能であり、折り畳み構成から拡張構成へと拡張可能である。流入端は、複数の周方向に延在する第1の支柱部材を備え、複数の周方向に延在する第1の支柱部材は、第1の支柱幅を有し、隣接する第1の支柱部材の間に第1の角度を形成し、流出端は、複数の周方向に延在する第2の支柱部材を備え、複数の周方向に延在する第2の支柱部材は、第2の支柱幅を有し、隣接する第2の支柱部材の間に第2の角度を形成する。複数の弁尖が、少なくとも部分的にフレーム内に位置決めされ、人工弁を通る血液の流れを調節するように構成されている。第1の角度および第2の角度のうちの少なくとも1つ、または第1の支柱幅および第2の支柱幅は異なっており、人工弁が円筒形バルーン上に圧着され、円筒形バルーンを使用して拡張構成に拡張されたときに、フレームの流出端の直径はフレームの中央部分の直径と異なる。
【0063】
いくつかの実施形態において、人工弁が拡張構成に拡張されたときに流出端の直径が中央部分の直径よりも大きくなるように、第1の角度は第2の角度よりも大きく、第1の支柱幅は第2の支柱幅と等しい。
【0064】
いくつかの実施形態において、流入端の直径は、拡張構成に拡張されたときにフレームがY字形輪郭を有するように、中央部分の直径に実質的に等しい。
【0065】
いくつかの実施形態において、フレームの中央部分は、複数の円周方向に延在する第3の支柱部材を備え、第3の支柱部材は、第3の支柱幅を有し、隣接する第3の支柱部材の間に第3の角度を形成する。第3の支柱幅は、第1の支柱幅および第2の支柱幅に等しく、第3の角度は、拡張構成に拡張されたときにフレームがY字形輪郭を有するように、第1の角度よりも小さく、第2の角度よりも大きい。
【0066】
いくつかの実施形態において、流入端の直径および流出端の直径は、フレームが砂時計形輪郭を有するようにフレームが折り畳み構成と拡張構成との間にあるときにフレームの中央部分の直径よりも大きい。
【0067】
いくつかの実施形態において、フレームは、フレームが折り畳み構成と拡張構成との間にあるときに、流入端の直径が中央部分の直径よりも大きく、中央部分の直径が流出端の直径よりも大きいように構成される。
【0068】
代表的な別の実施形態において、人工弁は、流入端、流出端、および流入端と流出端との間の中央部分を含むフレームを備える。フレームは折り畳み構成と拡張構成との間で半径方向に折り畳み可能であり、拡張可能である。流入端は、複数の周方向に延在する第1の支柱部材を備え、複数の周方向に延在する第1の支柱部材は、第1の支柱幅を有し、隣接する第1の支柱部材の間に第1の角度を形成し、中央部分は、複数の周方向に延在する第2の支柱部材を備え、複数の周方向に延在する第2の支柱部材は、第2の支柱幅を有し、隣接する第2の支柱部材の間に第2の角度を形成する。複数の弁尖が、少なくとも部分的にフレーム内に位置決めされ、人工弁を通る血液の流れを調節するように構成されている。第1の角度および第2の角度のうちの少なくとも1つ、または第1の支柱幅および第2の支柱幅は異なっており、人工弁が円筒形バルーン上に圧着され、円筒形バルーンを使用して拡張構成に拡張されたときに、フレームの流出端の直径は、折り畳み構成と拡張構成との間でフレームの中央部分の直径よりも大きく、フレームの中央部分の直径は、フレームが拡張構成に達したときにフレームの流出端の直径に実質的に等しい。
【0069】
いくつかの実施形態において、第1の支柱幅は、第2の支柱幅よりも大きく、第1の角度は、第2の角度よりも大きい。
【0070】
いくつかの実施形態において、流出端は、複数の円周方向に延在する第3の支柱部材を備え、第3の支柱部材は、第3の支柱幅を有し、隣接する第3の支柱部材の間に第3の角度を形成する。第3の支柱幅は、第1の支柱幅よりも小さく、また第2の支柱幅よりも小さく、第3の角度は、第1の角度よりも小さく、また第2の角度よりも小さい。
【0071】
いくつかの実施形態において、フレームが拡張構成にあるときのフレームの流出端の直径は、指定された設計直径であり、複数の弁尖は、流出端が指定された設計直径にあり、フレームの中央部分の直径が指定された設計直径よりも小さいときに、接合して人工弁を通る血流を調節するように構成される。
【0072】
いくつかの実施形態において、フレームの流出端は、複数の円周方向に延在する第3の支柱部材を備え、第3の支柱部材は、第3の支柱幅を有し、隣接する第3の支柱部材の間に第3の角度を形成し、第1の支柱幅および第3の支柱幅は、第2の支柱幅よりも大きく、人工弁が拡張構成に拡張されたとき、フレームの流入端のところの隣接する第1の支柱部材の間の第1の角度は、180度に実質的に等しく、フレームの流出端のところの隣接する第3の支柱部材の間の第3の角度は、180度に実質的に等しい。
【0073】
いくつかの実施形態において、フレームが拡張構成にあるとき、中央部分の直径は、フレームが樽形輪郭を有するように、流入端の直径よりも大きく、流出端の直径よりも大きい。
【0074】
代表的な別の実施形態において、人工弁は、流入端、流出端、および流入端と流出端との間の中央部分を含むフレームを備え、フレームは半径方向に折り畳み可能であり、折り畳み構成から拡張構成へと拡張可能であり、流入端は、複数の周方向に延在する第1の支柱部材を備え、複数の周方向に延在する第1の支柱部材は、第1の支柱幅を有し、隣接する第1の支柱部材の間に第1の角度を形成し、中央部分は、複数の周方向に延在する第2の支柱部材を備え、複数の周方向に延在する第2の支柱部材は、第2の支柱幅を有し、隣接する第2の支柱部材の間に第2の角度を形成する。人工弁は、少なくとも部分的にフレーム内に位置決めされ、人工弁を通る血液の流れを調節するように構成されている複数の弁尖をさらに備える。第1の角度および第2の角度は、異なっており、人工弁が円筒形バルーン上に圧着され、円筒形バルーンを使用して拡張構成に拡張されたときに、フレームの流出端の直径はフレームの中央部分の直径と異なる。
【0075】
代表的な別の実施形態において、人工弁は、流入端、流出端、および流入端と流出端との間の中央部分を含むフレームを備え、フレームは半径方向に折り畳み可能であり、折り畳み構成から拡張構成へと拡張可能であり、流入端は、複数の周方向に延在する第1の支柱部材を備え、複数の周方向に延在する第1の支柱部材は、第1の支柱幅を有し、隣接する第1の支柱部材の間に第1の角度を形成し、中央部分は、複数の周方向に延在する第2の支柱部材を備え、複数の周方向に延在する第2の支柱部材は、第2の支柱幅を有し、隣接する第2の支柱部材の間に第2の角度を形成する。複数の弁尖が、少なくとも部分的にフレーム内に位置決めされ、人工弁を通る血液の流れを調節するように構成されている。第1の支柱幅および第2の支柱幅は、異なっており、人工弁が円筒形バルーン上に圧着され、円筒形バルーンを使用して拡張構成に拡張されたときに、フレームの流出端の直径はフレームの中央部分の直径と異なる。
【0076】
代表的な別の実施形態において、人工弁は、流入端、流出端、および流入端と流出端との間の中央部分を含むフレームを備え、フレームは半径方向に折り畳み可能であり、折り畳み構成から拡張構成へと拡張可能であり、流入端は、複数の周方向に延在する第1の支柱部材を備え、複数の周方向に延在する第1の支柱部材は、第1の支柱幅を有し、隣接する第1の支柱部材の間に第1の角度を形成し、中央部分は、複数の周方向に延在する第2の支柱部材を備え、複数の周方向に延在する第2の支柱部材は、第2の支柱幅を有し、隣接する第2の支柱部材の間に第2の角度を形成する。複数の弁尖が、少なくとも部分的にフレーム内に位置決めされ、人工弁を通る血液の流れを調節するように構成されている。第1の角度および第2の角度のうちの少なくとも1つ、または第1の支柱幅および第2の支柱幅は異なっており、人工弁が円筒形バルーン上に圧着され、円筒形バルーンを使用して拡張構成に拡張されたときに、フレームは非円筒形形状に拡張する。
【0077】
開示されている技術の前述のおよび他の目的、特徴、および利点は、添付図面を参照しつつ進む次の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図1】人工弁の例示的な一実施形態を示す図である。
図2】人工弁の例示的な一実施形態を示す図である。
図3】人工弁の例示的な一実施形態を示す図である。
図4図1の心臓弁の例示的なフレームを示す図である。
図5図1の心臓弁の例示的なフレームを示す図である。
図6図1の心臓弁の例示的なフレームを示す図である。
図7図1の心臓弁の例示的なフレームを示す図である。
図8図1の心臓弁の例示的なフレームを示す図である。
図9図1の心臓弁の例示的なフレームを示す図である。
図10図1の心臓弁の例示的なフレームを示す図である。
図11】人工弁とともに使用するフレームの別の実施形態を例示する図である。
図12】人工弁とともに使用するフレームの別の実施形態を例示する図である。
図13】人工弁とともに使用するフレームの別の実施形態を例示する図である。
図14】人工弁とともに使用するフレームの別の実施形態を例示する図である。
図15A】人工弁とともに使用するフレームの別の実施形態を例示する図である。
図15B】人工弁とともに使用するフレームの別の実施形態を例示する図である。
図16】流出端から流入端への全体的な先細りを示している、図4のフレームの断面輪郭を例示する図である。
図17】患者体内に人工弁を展開するための送達装置の代表的な一実施形態を例示する図である。
図18図4のフレームの一部の拡大斜視図である。
図19】別の実施形態による、人工弁のフレームの一部を例示する図である。
図20】部分的に拡張された状態にあるときの図19のフレームの砂時計形輪郭および完全に拡張された状態にあるときのフレームのY字形輪郭の概略を例示する図である。
図21】バルーン上の図19のフレームの拡張を例示する図である。
図22】バルーン上の図19のフレームの拡張を例示する図である。
図23】バルーン上の図19のフレームの拡張を例示する図である。
図24】完全に拡張された状態にある図19のフレームの側面図である。
図25】別の実施形態による、人工弁のフレームの一部を例示する図である。
図26】部分的に拡張された状態にあるときの図25のフレームの砂時計形輪郭および完全に拡張された状態にあるときのフレームの樽形輪郭の概略を例示する図である。
図27】完全に拡張された状態にある図25のフレームの側面図である。
図28】部分的に拡張されたときに円錐台形状をとり、完全に拡張されたときに樽形状をとるように構成されているフレームの別の実施形態を例示する図である。
図29】部分的に拡張されたときに円錐台形状をとり、完全に拡張されたときに樽形状をとるように構成されているフレームの別の実施形態を例示する図である。
図30】部分的に拡張されたときにV字形状をとり、完全に拡張されたときに樽形状をとるように構成されているフレームの別の実施形態を例示する図である。
図31】部分的に拡張されたときにV字形状をとり、完全に拡張されたときに樽形状をとるように構成されているフレームの別の実施形態を例示する図である。
図32】部分的に拡張されたときに砂時計形状をとり、完全に拡張されたときにV字形状をとるように構成されているフレームの別の実施形態を例示する図である。
図33】部分的に拡張されたときに砂時計形状をとり、完全に拡張されたときにV字形状をとるように構成されているフレームの別の実施形態を例示する図である。
図34】完全に拡張された状態にある図32のフレームの側面図である。
図35】部分的に拡張されたときに砂時計形状をとり、完全に拡張されたときに円錐台形状をとるように構成されているフレームの別の実施形態を例示する図である。
図36】部分的に拡張されたときに砂時計形状をとり、完全に拡張されたときに円錐台形状をとるように構成されているフレームの別の実施形態を例示する図である。
図37】部分的に拡張されたときに円錐台形状をとり、完全に拡張されたときに円錐台形状を維持するように構成されているフレームの別の実施形態を例示する図である。
図38】部分的に拡張されたときに円錐台形状をとり、完全に拡張されたときに円錐台形状を維持するように構成されているフレームの別の実施形態を例示する図である。
図39】部分的に拡張されたときに逆円錐台形状またはV字形状をとり、完全に拡張されたときにV字形状を維持するように構成されているフレームの別の実施形態を例示する図である。
図40】部分的に拡張されたときに逆円錐台形状またはV字形状をとり、完全に拡張されたときにV字形状を維持するように構成されているフレームの別の実施形態を例示する図である。
図41】部分的に拡張されたときに逆円錐台形状またはV字形状をとり、完全に拡張されたときにY字形状をとるように構成されているフレームの別の実施形態を例示する図である。
図42】部分的に拡張されたときに逆円錐台形状またはV字形状をとり、完全に拡張されたときにY字形状をとるように構成されているフレームの別の実施形態を例示する図である。
図43】部分的に拡張されたときにY字形状をとり、完全に拡張されたときに円筒形状をとるように構成されているフレームの別の実施形態を例示する図である。
図44】部分的に拡張されたときにY字形状をとり、完全に拡張されたときに円筒形状をとるように構成されているフレームの別の実施形態を例示する図である。
図45A】部分的に拡張された状態にある図43のフレームの概略を例示する側面図である。
図45B】完全に拡張された状態にある図43のフレームの概略を例示する側面図である。
図46A】人工弁尖の接合を例示する部分的に拡張された状態にある図43のフレームの斜視図である。
図46B】人工弁尖の接合を例示する部分的に拡張された状態にある図43のフレームの斜視図である。
図47】フレームの展開範囲(deployment range)全体にわたる図43のフレームの流入端および流出端の直径を例示するチャートである。
図48A】人工弁の別の実施形態の斜視図である。
図48B】人工弁の別の実施形態の斜視図である。
図49図48Aおよび図48Bの人工弁のフレームの側面図である。
図50】フレームが拡張されるときの図49のフレームの流入端、中央部分、および流出端の直径を例示するチャートである。
図51】フレームの直径の関数として図49のフレームを拡張するのに必要な半径方向の力、および基準フレームを拡張するのに必要な半径方向の力を例示するグラフである。
図52図49のフレームを圧着するのに必要な半径方向の力、および基準フレームを圧着するのに必要な半径方向の力を例示するグラフである。
図53】半径方向に折り畳まれた構成に圧着された図49のフレームの側面図である。
図54】折り畳み構成に圧着され、外側スカートを備え、図示されているスカートの一部分はフレームの支柱の間の間隙内に配設されている、図49のフレームの斜視図である。
図55図49のフレームの頂点の拡大斜視図である。
図56】製造時の状態にある人工弁のフレームの別の実施形態の側面図である。
図57】バルーン上の部分的に拡張された状態の図56のフレームを例示する図である。
図58】完全に拡張された状態にある図56のフレームの側面図である。
図59】フレームが拡張されるときの図56のフレームの流入端、中央部分、および流出端の直径を例示するチャートである。
図60】人工弁に対するフレームの別の実施形態の斜視図である。
図61図60のフレームの一部の側面図である。
図62】拡張バルーンが萎むときに図60のフレームの流出端が半径方向に収縮する量を、流出端の直径全体の割合として例示するバーチャートである。
図63】樽形輪郭を示す図60の完全に拡張されたフレームの斜視図である。
図64A】人工弁フレームに対する様々な支柱構成の概略図である。
図64B】人工弁フレームに対する様々な支柱構成の概略図である。
図64C】人工弁フレームに対する様々な支柱構成の概略図である。
図64D】人工弁フレームに対する様々な支柱構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
本開示は、植え込み可能な補綴デバイスの実施形態、および特に、植え込み可能な人工弁、ならびにそのようなデバイスを作るための方法に関するものである。特定の実施形態において、補綴デバイスは、人工弁を含み、自然心臓弁(大動脈弁、僧帽弁、肺動脈弁、および三尖弁)のいずれかに植え込まれるように構成され得る。それに加えて、人工弁は、たとえば、経カテーテル心臓弁、外科的心臓弁、または低侵襲性心臓弁であってよい。補綴デバイスは、心臓の外側の他の体腔内に植え込み可能な他のタイプの弁、または経心房または経心室隔壁弁などの、自然弁以外の配置で心臓内に植え込み可能な心臓弁も含み得る。
【0080】
開示されている人工弁は、自然大動脈弁に植え込むのに特に適している。人工大動脈弁の文脈において、「下側」および「上側」という言い回しは、便宜上、それぞれ、「流入」および「流出」という言い回しと交換可能に使用される。したがって、たとえば、図面に示されている配向において、人工弁の下側端は流入端であり、人工弁の上側端は流出端である。しかしながら、人工弁は逆の配向で植え込まれ得ることは理解されるべきである。たとえば、僧帽弁の位置での植え込みについては、人工弁の上側端は流入端であり、弁の下側端は流出端である。
【0081】
本出願の特定の実施形態は、円筒形状で製造され、送達装置のバルーンカテーテルの遠位端にある円筒形バルーンの周りでより小さい直径に圧着されるように構成されている、人工弁用のフレームを対象とする。フレームの高さに沿った様々な配置での支柱間の角度、および/または支柱の流入に配向された表面と流出に配向された表面との間で測定されるような支柱の厚さ(本明細書では「支柱幅」と称される)などの、フレームのいくつかのパラメータは、人工弁が拡張されるときに、フレームが円筒形バルーン上で非円筒形状に拡張するように構成することができる。
【0082】
たとえば、本明細書において説明されているフレームは、拡張時(たとえば、フレームが折り畳み構成と完全に拡張された構成との間にあるとき)に、Y字形状、砂時計形状、V字形状、A字形状、または円錐台形状などを形成するように構成され得る。フレームは、指定された設計直径まで完全に拡張されたときに、樽形状、Y字形状、V字形状、A字形状、および/または円筒形状を形成するようにさらに構成され得る。特定の形状を形成するように構成されているフレームの選択は、医師が、人工弁を自然解剖学的構造内に固定すること、人工弁にかかる圧力勾配、人工弁によって自然解剖学的構造に印加される接触および/または圧力、および/またはヒス束などの敏感な解剖学的構造への人工弁の近接を含む形状に依存する考慮事項のバランスをとることを可能にし得る。
【0083】
本明細書において説明されているいくつかのフレーム実施形態は、拡張の様々な段階で植え込み可能であり、様々な円筒形または非円筒形の形状を有するようにも構成される。たとえば、本明細書において説明されているフレーム実施形態は、人工弁の弁尖が弁を通る血流を調節するように機能し得る、「展開範囲」とも称される直径の範囲全体にわたって動作可能であり得る。フレームの異なる部分は、異なる速度で拡張し、展開範囲全体にわたってフレームが様々な形状をとり得るように構成されてよく、フレームの様々な部分は、異なる直径を有し得る。これは、医師が、展開時にフレームの形状および/またはフレームの様々な部分の直径を調整することを可能にし得る。
【0084】
図1図3は、一実施形態による、Edwards Lifesciences SAPIEN(登録商標)3人工弁として構成されている人工弁10の様々な図を示している。例示されている弁は、自然大動脈弁輪に植え込まれるように適合されているが、他の実施形態では、心臓の他の自然弁輪内に植え込まれるように適合され得る。弁10は、ステント、またはフレーム12、弁構造14、内側スカート16、および外側スカート18の4つの主要な構成要素を有することができる。
【0085】
弁構造14は、集合的に弁尖構造を形成する、3つの弁尖40を備えることができ、これらの弁尖は、図2に最もよく示されているように、交連122を含む三尖弁配置構成において折り畳むように配置構成され得る。弁尖構造14の下側縁は、望ましくは、起伏のある湾曲したホタテ貝形状を有する(図1に示されている縫合線154は、弁尖構造のホタテ貝形状を辿ったものである)。弁尖をこのホタテ貝幾何学的形状で形成することによって、弁尖にかかる応力が低減され、延いては、弁の耐久性が改善される。さらに、ホタテ貝形状のおかげで、各弁尖の腹部(各弁尖の中心領域)にあるひだおよび波紋は、それらの領域内で早期石灰化を引き起こす可能性があるが、これはなくすことができるか、または少なくとも最小限度に抑えられ得る。また、ホタテ貝幾何学的形状は、弁尖構造を形成するために使用される組織材料の量を減少させ、それによって、弁の流入端において小さい、なおいっそう均等な圧着輪郭を可能にする。弁尖40は、心膜組織(たとえば、ウシ心膜組織)、生体適合性合成材料、または当技術分野で知られ、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第6,730,118号において説明されている様々な他の好適な天然または合成材料から形成され得る。
【0086】
ベアフレーム12は、図4に示されている。フレーム12は、以下でより詳細に説明されているように、弁構造14の交連をフレームに装着するように適合されている複数の円周方向に相隔てて並ぶスロット、すなわち交連窓20(例示されている実施形態では3つ)で形成され得る。フレーム12は、当技術分野で知られているように、様々な好適な可塑的拡張可能材料(たとえば、ステンレス鋼など)または自己拡張材料(たとえば、ニチノール)のうちのどれかから作ることができる。可塑的拡張可能材料から製作されるときには、フレーム12(したがって、弁10)は、送達カテーテル上で半径方向に圧縮された状態に圧着され、次いで、膨張可能バルーンまたは同等の拡張機構によって患者体内で拡張され得る。自己拡張可能材料から製作されるときには、フレーム12(したがって、弁10)は、半径方向に圧縮された状態に圧着され、送達カテーテルのシースまたは同等の機構内に挿入することよって圧縮状態に拘束され得る。体内に入った後、弁は、送達シースから前進させられてよく、弁がその機能サイズまで拡張することを可能にする。
【0087】
フレーム12を形成するために使用され得る好適な可塑的拡張可能材料は、限定はしないが、ステンレス鋼、ニッケル系合金(たとえば、コバルトクロムまたはニッケルコバルトクロム合金)、ポリマー、またはこれらの組合せを含む。特定の実施形態において、フレーム12は、UNS R30035(ASTM F562-02の適用を受ける)と同等である、MP35N(商標)(SPS Technologies社の商標)などの、ニッケルコバルトクロムモリブデン合金から作られる。MP35N(商標)/UNS R30035は、ニッケル35重量%、コバルト35重量%、クロム20重量%、およびモリブデン10重量%を含む。MP35Nを使用してフレーム12を形成すると、ステンレス鋼よりも優れた構造的結果が得られることがわかっている。特に、MP35Nがフレーム材料として使用されるときには、半径方向のクラッシュ力抵抗、疲労抵抗、および耐食性に関して同じまたはそれ以上の性能を達成するのに必要な材料はより少なくて済む。さらに、より少ない材料で済むので、フレームの圧着輪郭は、縮小され、それによって、体内の治療配置に経皮的に送達するためのよりロープロファイルな弁アセンブリをもたらし得る。
【0088】
図4および5を参照すると、例示されている実施形態におけるフレーム12は、フレームの流入端13のところで、端と端とを接して配置構成され、円周方向に延在する、角度付き支柱22の第1の下側列Iと、円周方向に延在する、角度付き支柱24の第2の列IIと、円周方向に延在する、角度付き支柱26の第3の列IIIと、円周方向に延在する、角度付き支柱28の第4の列IVと、フレームの流出端15のところの円周方向に延在する、角度付き支柱32の第5の列Vとを備える。複数の実質的に真っ直ぐな軸方向に延在する支柱34(図5)は、第1列Iの支柱22を第2列IIの支柱24と相互接続するために使用され得る。角度付き支柱32の第5の列Vは、複数の軸方向に延在する窓フレーム部分30(交連窓20を画成する)および複数の軸方向に延在する支柱31によって、角度付き支柱28の第4列IVに接続されている。各軸方向支柱31および各フレーム部分30は、2つの角度付き支柱32の下側端の収束によって画成される配置から、2つの角度付き支柱28の上側端の収束によって画成される別の配置まで延在する。図6図7図8図9、および図10は、図4において、それぞれ、文字A、B、C、D、およびEによって識別されるフレーム12の部分の拡大図である。
【0089】
各交連窓フレーム部分30は、弁尖構造14のそれぞれの交連を装着する。見るとわかるように、各フレーム部分30は、その上側端および下側端のところで、支柱の隣接する列に固定され、弁尖構造の交連を支持するための知られている片持ち梁の支柱と比較して弁の繰り返し荷重の下での疲労抵抗を増強する堅牢な構成をもたらす。この構成は、フレーム壁厚さを減らして、弁のより小さな圧着直径を達成することを可能にする。特定の実施形態において、内径と外径との間で測定されたフレーム12(図4)の厚さTは、約0.55mm、または約0.48mm以下である。
【0090】
フレームの支柱およびフレーム部分は集合的にフレームの複数の開放セルを画成する。フレーム12の流入端において、支柱22、支柱24、および支柱34は、開口部36を画成するセルの下側列を画成する。支柱24、26、および28の第2、第3、および第4の列は、開口部38を画成するセルの2つの中間列を画成する。支柱28の第4の列および支柱32の第5の列は、フレーム部分30および支柱31とともに、開口部41を画成するセルの上側列を画成する。開口部41は、比較的大きく、圧着輪郭を最小にするためにフレーム12が圧着されるときに弁尖構造14の一部分が開口部41の中におよび/または開口部41を通って突起するか、または出っ張ることを可能にするサイズである。
【0091】
図7に最もよく示されているように、支柱31の下側端は、ノードまたは接合部44のところで2つの支柱28に接続されており、支柱31の上側端は、ノードまたは接合部46のところで2つの支柱32に接続されている。支柱31は、接合部44、46の厚さS2よりも小さい厚さS1を有することができる。接合部44、46は、接合部64とともに、開口部41の完全な閉鎖を防止することができる。支柱31、ならびに接合部44、46、および64の幾何学的形状は、圧着状態において開口部41内に、弁尖の一部分が開口部を通って外向きに突起する(たとえば、出っ張る)ことを可能にする十分な空間を設けることを補助することができる。これは、すべての弁尖材料が圧着フレーム内に拘束されている場合に比べてバルブが比較的小さな直径に圧着されることを可能にする。
【0092】
フレーム12は、特に弁尖構造14を支持するフレームの流出端部分において、所定のバルーン圧力でバルブが過剰に膨張する可能性を防止するか、または少なくとも最小にするように構成される。一態様において、フレームは、支柱の間に比較的大きな角度42a、42b、42c、42d、42eを有するように構成される。角度が大きいほど、フレームを開く(拡張する)のに必要な力は大きくなる。この現象は、図15Aおよび図15Bに概略として例示されている。図15Aは、フレーム12が圧縮された状態(たとえば、バルーンに装着された状態)にあるときの支柱32を示している。支柱の端部間の垂直方向距離d1は、フレームが圧縮されたときに最大であり、バルーンの膨張(または別の拡張デバイスの拡張)からの開放力の印加後に支柱の端部に反対方向に作用する力F1とF2との間の比較的大きなモーメントをもたらす。フレームが半径方向に拡張したときに、図15Bに描かれているように、支柱の端部間の垂直方向距離は、距離d2に減少する。垂直方向距離が減少すると、力F1とF2との間のモーメントも減少する。したがって、支柱の端部間の垂直方向距離およびモーメントが減少するにつれて、相対的に大きな拡張力が必要になることがわかる。さらに、フレームが拡張するときに支柱の端部のところの歪み硬化(剛化)が大きくなり、これは支柱の端部のところにさらなる塑性変形を引き起こすのに必要な拡張力を大きくする。そのようなものとして、フレームの支柱間の角度は、所与の開口圧力(たとえば、バルーンの膨張圧)におけるフレームの半径方向の拡張を制限するように選択できる。いくつかの実施形態において、これらの角度は、フレームが機能サイズに拡張されたときに少なくとも110度以上とすることができる。いくつかの実施形態において、これらの角度は、フレームが機能サイズに拡張されたときに少なくとも120度以上とすることができる。
【0093】
それに加えて、フレームの流入端および流出端は、弁を拡張するために使用されるバルーンの「ドッグボーニング」効果により、フレームの中間部分よりも過拡張するように構成され得る。弁尖構造14の過拡張から保護するために、図1に最もよく示されているように、弁尖構造は、支柱32の上側列よりも下のフレーム12に固定され得る。したがって、フレームの流出端が過拡張され得る実施形態では、弁尖構造は、過拡張が起こりそうな位置よりも下のレベルに位置決めされ、それによって、弁尖構造を過拡張から保護する。
【0094】
知られている弁構造では、弁尖は、弁尖がフレームの遠位端に近すぎる位置に装着された場合に弁が圧着されたときにフレームの流出端を越えて外側に突出し得る。圧着された弁が装着される送出カテーテルが、弁の流出端に押し付けられるか、または当接する押し付け機構または停止部材を備える(たとえば、送出カテーテル上の圧着された弁の位置を維持するために)場合、押し付け部材または停止部材は、フレーム12の流出端15を越えて延在する露出した弁尖を損傷する可能性がある。弁尖をフレーム12の流出端15から相隔てる配置に装着することの別の利点は、弁が送達カテーテル上に圧着されたときに、弁尖40がフレーム12の流出端15を越えて軸方向に突出しないことである。そのようなものとして、送達カテーテルが、弁の流出端部に押し付けられるか、または当接する押し付け機構または停止部材を備える場合、押し付け機構または停止部材は、弁尖への損傷を回避するために弁尖40ではなく、フレーム12の端部と接触するものとしてよい。
【0095】
また、図5を見るとわかるように、フレーム12の開口部の一番下の列の開口部36は、開口部の2つの中間列の開口部38よりも相対的に大きい。これは、図16に示され、参照により本明細書に組み込まれている米国公開第2012/0123529号においてさらに説明されているように、フレームが、圧着されたときに、弁の流出端における最大直径D1から弁の流入端における最小直径D2まで先細りになる全体的に先細りの形状をとることを可能にする。圧着されると、フレーム12は、参照番号174で示されている、フレームの流入端に隣接するフレームの一部に沿って延在する縮小された直径領域を有し、これは、一般的に、外側スカート18によって覆われているフレームの領域に対応する。領域174の直径は、外側スカート18が弁の全体的な圧着輪郭を大きくすることを必要としないようにフレームの上側部分(外側スカートによって覆われていない)の直径と比較して減少する。弁が展開されると、フレームは、図4に示されている円筒形状に拡張することができる。一例では、26mmの弁のフレームは、圧着されたときに、弁の流出端で14フレンチの直径D1を有し、弁の流入端で12フレンチの直径D2を有していた。
【0096】
図11および図12は、弁10に組み込まれ得る代替的なフレーム50を示している。フレーム50は、ノード、すなわち接続部分、54および56で互いに接続されている、円周方向に延在する角度付き支柱52の複数の列を備える。支柱52の一番上の列は、複数の軸方向に延在する支柱58および交連窓フレーム部分60によって支柱の隣接する列に接続されている。各交連フレーム部分60は、上で参照により組み込まれている米国特許公開第2012/0123529号において説明されているように、弁構造のそれぞれの交連を装着するためのスロットまたは交連窓62を画成する。特定の実施形態において、フレーム50の厚さTは、約0.45mm以下である。図13および図14は、図12において、それぞれ、文字AおよびBによって識別されるフレーム50の部分の拡大図である。
【0097】
使用時に、人工弁10は、治療部位に送達するために送達装置上に圧着され得る。図17は、人工弁を患者に送達するために使用され得る送達装置100の代表的な一実施形態を例示している。送達装置100は、例示にすぎず、本明細書において説明されている人工弁実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができる。同様に、本明細書において開示されている人工弁は、様々な知られている送達装置のいずれかと組み合わせて使用することができる。例示された送達装置100は、一般的に、操縦可能なガイドカテーテル102と、ガイドカテーテル102を貫通するバルーンカテーテル104とを備えることができる。10で概略として示されている人工弁などの補綴デバイスは、バルーンカテーテル104の遠位端上に位置決めされ得る。たとえば、人工弁10は、バルーンカテーテル104の遠位端に配置されているバルーン114(図21)上に圧着され得る。バルーン114は、参照により本明細書に組み込まれている米国公開第2017/0065415号においてより詳細に説明されているように、バルーンカテーテル104を通してバルーン内部に膨張流体が供給されたときに円筒形状に拡張し、それによって人工弁10を拡張するように構成され得る。ガイドカテーテル102およびバルーンカテーテル104は、患者の体内の植え込み部位における人工弁10の送達および位置決めを円滑にするために互いに関して長手方向に摺動するように適合され得る。ガイドカテーテル102は、ハンドル部分106と、ハンドル部分106から延在する細長ガイドチューブまたはシャフト108とを備える。
【0098】
図4に戻ると、上で述べたように、フレーム12は、フレーム支柱の内面から支柱の外面までの半径方向に測定された壁厚さTを有することができる。フレーム12がチューブから形成される(たとえば、レーザー切断によって)実施形態では、フレーム12の支柱は、フレームが切断されたチューブの壁厚さに対応する均一な厚さTを有することができる。他の実施形態では、チューブの壁厚さは、(たとえば、機械加工、リーミング、エッチングなどによって)変えられ、その結果、支柱の半径方向厚さが変化し得る。上で述べたように、支柱22、24、26、28、および32は、それぞれの角度42a~42eを画成することができる。図18を参照すると、支柱は、また、本明細書において「支柱幅」Wと称される、フレームの湾曲した外面の平面内で一般的に測定される厚さ寸法を含むことができる。たとえば、図18に示されているように、支柱32の各々は、流入端13の方向に一般的に配向された表面68と、支柱の反対側にあり、流出端15の方向に一般的に配向されている対応する表面70と、表面68および表面70に対して垂直である外面72とを有することができる。流入表面68と流出表面70との間で測定された支柱32の厚さは、本明細書において支柱幅Wと称される。別の言い方をすれば、支柱幅Wは、支柱の長手方向軸に垂直な方向で測定された支柱32の外面72の寸法である。支柱22、24、26、28、および32の各々は、上で定義されているような支柱幅を備えることができる。外面72に対向する支柱部材の半径方向内向きの表面の対応する寸法は、所望の特定の特性に応じて、外面72の支柱幅と同じであるか、または異なっていてもよい。
【0099】
いくつかの実施形態において、互いに関するフレームの様々な部分の半径方向の拡張に対する剛性または抵抗を変化させることによって展開時のフレームの形状(たとえば、初期の折り畳み状態と拡張状態との間で遷移するときのフレームの形状)に影響を及ぼすことが可能である。また、類似の方法で、完全に拡張されたフレーム12の形状に影響を及ぼすことも可能である。拡張に対する抵抗をチューニングする1つの方法は、支柱の幅W、および/または様々な列I~Vの支柱部材間の角度42a~42eの1つまたは複数を変化させることによるものである。たとえば、支柱幅W、および/または様々な列の支柱部材間の角度を変化させることによって、フレーム12などのフレームは、円筒形状で製造され(たとえば、円筒形状のチューブストックから)、円筒形状に膨張するように構成されているバルーン(または他の拡張機構)上に縮径するように圧着され得る。支柱幅パラメータおよび角度パラメータは、円筒形のバルーンを使用して拡張されたときに、フレーム12が、部分的拡張状態と完全拡張状態との間で円筒形のバルーン上に様々な非円筒形の形状のいずれかをとることができるようにチューニングされ得る。これは、フレーム形状が最適化されること、たとえば、血行動態特性を改善すること、人工弁が固定される自然弁内の配置に影響を及ぼすこと、細心の注意を払って扱うべき解剖学的特徴に関するフレームの位置を制御すること、および/または、人工弁によって周囲解剖学的構造に印加される圧力を制御することを可能にし得る。そのようなパラメータは、また、自然弁の上流および自然弁の下流にある血管または室内に配設されるフレーム全長の割合に影響を及ぼすために使用され得る。
【0100】
たとえば、図19は、フレームの流入端部分213における第1の列Iの支柱222が支柱幅W1を有し、第1の角度αを定める、フレーム12と同様に構成されているフレーム200の一部を例示している。第2の列IIの支柱224は、支柱幅W1を有し、第2の角度βを定めることができる。同様に、第3の列IIIの支柱226は、支柱幅W1を有し、隣接する支柱226の間に角度βを形成することができ、第4の列IVの支柱228も、支柱幅W1を有し、隣接する支柱228の間に角度βを形成することができる。フレームの流出端部分215における第5の列Vの支柱232も、支柱幅W1を有することができる。しかしながら、支柱232は、第1の角度αとは異なり、第2の角度βとも異なり得る、第3の角度θを定めることができる。
【0101】
いくつかの実施形態において、第1の角度αは、第2の角度βよりも大きく、第2の角度βは、第3の角度θよりも大きいものとしてよい。たとえば、いくつかの実施形態において、第1の角度αは、100°から170°、110°から170°、または120°から170°であってよい。特定の実施形態において、角度αは、122°であってよい。いくつかの実施形態において、第2の角度βは、80°から150°、80°から130°、または90°から120°とすることができる。特定の実施形態において、角度βは、94°であってよい。いくつかの実施形態において、第3の角度θは、50°から130°、60°から120°、または70°から110°であってよい。特定の実施形態において、角度θは、80°であってよい。いくつかの実施形態において、支柱幅W1は、0.1mmから1mm、0.1mmから0.9mm、0.1mmから0.8mm、または0.2mmから0.6mmであってよい。特定の実施形態において、支柱幅W1は、0.3mm、または0.22mmであってよい。さらに他の実施形態において、本明細書において説明されているフレームは、支柱部材間の角度が110°から170°または180°など比較的大きい支柱の1つまたは複数の列、80°から120°などの支柱間の中間角度を備える支柱の1つまたは複数の列、および支柱間の角度が40°から90°などの比較的小さい支柱の1つまたは複数の列を備えることができる。
【0102】
上で述べたように、支柱幅W1と角度α、β、およびθとの組合せで、フレーム200が円筒形状に製造され、円筒形バルーン上で圧着されて直径が縮小され、部分的に拡張されたときおよび/または完全に拡張されたときに非円筒形状に拡張されることを可能にし得る。より具体的には、流入端、流出端、および/またはフレームの中央部分の各々は、指定された設計直径(指定直径、設計直径、または展開直径とも称される)まで拡張するように構成され得る。異なる部分の特定の指定された設計直径は、たとえば、人工弁が植え込まれるべき個人の解剖学的構造のサイズおよび形状、人工弁の弁尖が機能するように構成される直径、または直径範囲などに対応するものとしてよい。フレームの様々な部分の指定された設計直径は、フレームが製造された際に元になったチューブストックの直径より大きいか、小さいか、または等しくてもよい。
【0103】
より大きい角度αでは、より小さい角度βを備える支柱224~228に比べて、半径方向拡張、特に第1の列Iの指定された設計直径を超える拡張に対する、流入端の支柱222の剛性または抵抗を相対的に高くすることができる。いくつかの実施形態において、これは、セルの数およびフレームの全体的な高さが固定されているときに、角度が大きいほど結果として支柱を短くできるからである。大きな角度におけるより短い支柱は、図15Aおよび図15Bを参照しつつ上で説明されているように、支柱の端部間のモーメントが低減されるので、大きな曲げにも抵抗することができる。より小さい角度θでは、支柱224~228に比べて半径方向拡張に対する流出端215の支柱232の抵抗をなおも弱めることができる。したがって、上で説明されている支柱幅W1と角度α、β、およびθとの特定の組合せは、フレーム200が、拡張に対する流入端および流出端のところの支柱の抵抗が小さいときに展開時に砂時計形状を形成し、完全に展開されたときにY字形状の最終構成を形成することを可能にし得る。図20は、展開時のフレームの砂時計形輪郭200Aを破線で例示しており、流入端は213Aのところに示され、流出端は215Aのところに示されている。フレーム輪郭200Aは、実線で示されている完全に展開されたフレーム200BのY字形輪郭上に重ねられており、流入端は213Bのところに示され、流出端は215Bのところに示されている。
【0104】
上で述べたように、いくつかの実施形態において、フレーム200は、図17の送達装置のバルーン114などの、バルーンを使用して拡張され得る。いくつかの実施形態において、バルーン114は、膨張流体で満たされたときにバルーン114が膨張する指定または公称設計直径を有することができる。いくつかの実施形態において、完全に膨張したときのバルーン114の直径は、完全に拡張された人工弁フレーム200の指定された設計直径よりも大きいものとしてよい。いくつかの実施形態において、バルーンの完全膨張直径は、完全に拡張されたフレームの最大直径部分よりも大きいものとしてよい。たとえば、フレームを展開することに関連する指定圧力まで膨張したときのバルーン114の直径は、フレームの最大部分の設計直径よりも5%、10%、15%、20%、25%、または30%大きいものとしてよい。特定の実施形態において、フレームの最大部分の設計直径が20mmである場合、バルーンは、フレームの設計直径よりも15%大きい、23mmの完全膨張設計直径を有することができる。しかしながら、他の実施形態では、バルーンおよびフレームは、同じ直径を有し得るか、またはバルーンは、フレームの最大の直径部分よりも小さい直径を有し得る。
【0105】
図21図23は、図17の送達装置100のバルーン114を使用するフレーム200の拡張をより詳細に例示しており、バルーンの完全膨張直径はフレームの最大部分の設計直径よりも大きい。図21は、バルーンカテーテル104の遠位端でバルーン114に圧着されたフレーム200を例示している。バルーン114が部分的に膨張されたとき、バルーンは、フレーム200に比べて相対的に柔軟であり得る。したがって、バルーン114が完全膨張直径未満であるときに、拡張するフレーム200の形状の変化は、主に、フレームの様々な部分の支柱幅パラメータおよび支柱角度パラメータによって決定され得る。しかしながら、バルーン114がその指定された設計直径(および対応する内圧)まで完全に膨張したときに、バルーンはフレーム200に比べて相対的に柔軟性が低くなり、膨張したバルーンの形状はフレームの形状により大きな影響を及ぼし得る。
【0106】
したがって、図21および図22Aを参照すると、バルーン114が拡張すると、バルーンは、フレーム200によって拘束されていない端部分116および118が、フレームが圧着されているバルーンの中央部分120よりも大きな程度に膨張する「ドッグボーン」形状を形成することができる。この段階において、フレーム200が圧着された構成から拡張し始めると、流入端213および流出端215は、フレームが砂時計形状をとるように中央部分217よりも速く、またはより大きな程度に拡張することができる。言い換えると、フレーム200が部分的に拡張されたときに、流入端213の直径d1および流出端215の直径d3は、両方とも、中央部分217の直径d2よりも大きくなり得る。フレーム200の砂時計輪郭は、バルーン114上のフレームを安定化するのに役立ち、バルーン114の比較的大きな端部分116および118は、拡張時にバルーンに沿ったフレームの軸方向移動を防ぐことができる。
【0107】
図22Bは、バルーン114上で完全に拡張されたフレーム200を例示しており、次いで、これはその完全に膨張した設計直径に対応する内圧になるまで膨張させられる。完全拡張構成では、支柱幅W1と角度α、β、およびθとの組合せは、フレームが一般的に240で示される円筒形の流入部分と、先細りまたはフレア状の流出部分242とを備えるY字形構成をとるようにフレーム200の形状に影響を及ぼすことができる。たとえば、フレーム200が拡張すると、流入端213における列Iの支柱222は、支柱222の間の比較的大きな角度αにより、所定の直径d4(図24)を超える拡張に抵抗し得る。一方、流出端215の支柱232は、列II~IVの支柱とともに、比較的小さい角度θおよびβにより、流入端213の支柱222よりも大きく拡張することができる。これにより、バルーン114が膨張するとともに流出端215が外向きに広がってY字形になり得る。
【0108】
図23は、バルーン114からの圧力の部分的な解放の後の完全に拡張したフレーム200を例示している。図23では、バルーン114の円筒形状が明らかであり、流出端215がバルーンの表面から半径方向に持ち上がって離れる様子が示されている。
【0109】
図24は、完全に展開されたフレーム200を分離して例示している。完全に拡張されると、流入部分240は、フレームの流入端213から、第2の列IIの支柱224と第3の列IIIの支柱226との間の接合部244のレベル程度まで延在することができる。流入部240は、その長さに沿って概ね均一な直径d4を有することができる。支柱226の第3の列IIIのレベルから始めて(たとえば、接合部244において)、支柱は、流出部分242の直径が流出端215に向かう方向に増加するようにフレームの長手方向軸246から半径方向に離れるような角度を付けることができる。それによって、流出端215は、直径d4よりも大きい流出直径d5を有することができる。支柱226と支柱228との間の、おおよそ接合部248のところで、長手方向軸246に沿って中間に配置され得る、中央部分217は、直径d6を有することができる。直径d6は、流入端部分213の直径d4に等しいか、または実質的に等しいか、またはそれよりも大きいものとしてよいが、流出端部分215の直径d5よりも小さくてもよい。本明細書において使用されているように、「実質的に等しい」という言い回しは、基準測定値(たとえば、別の直径または角度)から1%以内、5%以内、または10%以内の測定値(たとえば、直径または角度)を指す。フレーム200は、バルーン114が萎み、送達装置が取り外された後も、Y字形輪郭を保持するように構成され得る。いくつかの実施形態において、流出直径d5は、直径d4よりも1%から100%大きいか、5%から75%大きいか、5%から50%大きいか、5%から25%大きいか、または10%大きいものとしてよい。
【0110】
完全に拡張されたときのフレーム200のY字形構成は、多くの利点を提供することができる。たとえば、より大きな直径の流出部242は、特に弁尖の石灰化または狭窄を有する患者において、人工弁を自然弁の内腔内に固定するのを助けることができる。たとえば、より大きな直径の流出部分242は、石灰化した自然弁尖に対してフレーム200を固定することができ、いくつかの状況では、フレームを自然弁内の所望の配置に保つためにフレームの流入部分240は、自然弁輪に接触する必要がないか、または最小限度の接触のみであってよい。Y字形流出部分242を使用して人工弁を自然弁尖のレベルで固定することで、自然弁輪にかかる圧力を低減し、弁輪破裂のリスクを低減することができる。また、Y字形フレーム構成の流入部分240のより小さい直径は、フレームをヒス束から離間するのを助け、電気伝導異常のリスクおよび/または心臓の電気インパルス経路へのフレームによる干渉のリスクを低減することができる。これは、潜在的に、ペースメーカーの必要性を減じることができる。
【0111】
比較的大きな流出直径は、また、d5に等しい直径を有する人工弁の流体力学的性能を提供することができるが、フレーム全体をこの直径まで拡張することを必要としない。たとえば、人工弁の弁尖は、流出部分242のより大きな直径d5に対応するサイズおよび形状にすることができる。これは、人工弁尖が、流出部分242の設計直径d5まで、またはそれを超える直径の範囲を通して接合し封止することを可能にし、これにより人工弁は人工弁にかかる大きな圧力勾配を維持することが可能になる。この構成は、既存の人工弁が過拡張されたときに拡張期に発生し得る弁尖間の中央開口部を回避することもできる。
【0112】
図25は、支柱のすべてが同じ支柱幅W1を有し、フレームの流入端313における第1の列Iの支柱322が第1の角度αを定めるフレーム12と同様に構成されているフレーム300の一部を例示している。第2の列IIの支柱324、第3の列IIIの支柱326、および第4の列IVの支柱328はすべて、第2の角度βを定める。流出端315における第5の列Vの支柱332は、それらの間に第1の角度αを定めることができる。第1の角度αの角度は、第2の角度βよりも大きくてもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、第1の角度αは、90°から160°、100°から150°、110°から140°、または120°であってよい。特定の実施形態において、第1の角度αは、122°であってよい。第2の角度βは、50°から110°、60°から100°、70°から90°、または80°とすることができる。特定の実施形態において、角度βは、82°であってよい。支柱幅W1は、本明細書において与えられている値のいずれかを有することができる。
【0113】
フレーム300は、円筒形状に形成され、上で説明されているように、送出装置上に放射状に折り畳まれ得る。角度αは角度βよりも大きく、支柱のすべての支柱幅が同じであるので、流入端313のところの支柱322および流出端315のところの支柱332は、支柱324、326、および328よりも大きい程度に、特に第1の列Iおよび第5の列Vの設計直径を超えて、膨張に抵抗することができる。したがって、バルーンが膨張すると、フレーム300は、部分的に拡張されたときに砂時計形状を形成することができ、その機能サイズにまで完全に拡張されたときに樽形状を形成することができる。フレームの砂時計形状の部分的に拡張された輪郭は、図26では300Aのところで破線により例示され、実線により示された完全に拡張された樽形輪郭300Bと重ね合わされる。フレーム輪郭300Aの流入端および流出端は、それぞれ313Aおよび315Aのところにも示されている。
【0114】
図27は、完全に拡張された樽形構成のフレーム300を例示しており、支柱は、フレームの外面338が凸状輪郭を有し、フレームの中央部分317で頂点336を画成するように湾曲している。頂点336は、フレームの長手方向軸334と外面338との間の最大半径距離に対応するものとしてよい。したがって、完全に拡張されたとき、フレーム300は、流入端313のところで直径d1、流出端315のところで直径d3、および中央部分317の頂点336のところで直径d1およびd3よりも大きい直径d2を画成することができる。例示されている実施形態において、頂点336は、第3の列IIIの支柱326の長さLに沿って、たとえば、接合部340と接合部342との間の距離の約3分の2などのところに配置されているが、頂点336は、任意の選択された支柱部材の任意の選択された配置で配置され得る。したがって、例示されている構成では、第1の列Iの支柱322、第2の列IIの支柱324、および第3の列IIIの支柱326の少なくとも一部は、フレームの直径が流入端313から流出端315に向かう方向に、直径d1から直径d2に増大するようにフレームの長手方向軸334から遠ざかるように角度を付けられ得る。頂点336を超えて、第3の列IIIの支柱326の残り部分、ならびに第4の列IVの支柱328および第5の列Vの支柱332は、フレームの直径が流出端315に向かう方向に直径d2から直径d3に減少するように長手方向軸334に向かって角度を付けられ得る。
【0115】
特定の実施形態では、直径d1およびd3は、同じであるか、または異なり得る。いくつかの実施形態において、頂点336における直径d2は、直径d1および/または直径d3に比べて1%から25%大きくなり得る。たとえば、流入端および/または流出端の指定された設計直径d1およびd3が23mmである特定の実施形態では、直径d2は27mm、または直径d1およびd3に比べて17%大きいものとしてよい。
【0116】
完全に拡張されたフレーム300の樽形輪郭は、いくつかの利点も提供し得る。たとえば、流入端で直径d1が小さくなることにより、フレームをヒス束から離間することができ、それによって、自然弁輪の電気伝導異常および破裂のリスクを低減することができる。自然大動脈弁内に植え込まれたときに、フレーム300の流出端で直径d3が小さくなることにより、フレームを冠状動脈口から離間することができ、それによって、たとえば、フレームによって変位された自然弁尖により冠動脈を塞ぐリスクを低減することができる。これは、植え込み後の冠状動脈口へのアクセスを改善することもできる。また、樽形輪郭は、流体力学的な性能面でもメリットがいくつかあり得る。たとえば、流出端315で直径d3が小さくなることで、人工弁弁尖の接合を改善することができ、その結果、心室拡張期に弁尖の間の開口部を減らすか、またはなくすことができる。樽形輪郭は、弁動作時の人工弁尖とフレームとの間の接触を低減し、人工弁の耐用年数を延ばすこともできる。人工弁尖は、フレーム内で開閉するためのスペースを増やすことができ、弁を通る流れを改善することもできる。展開時の砂時計形状は、上で説明されているように、送達装置上に安定性をもたらすことができる。
【0117】
図28は、支柱が異なる支柱幅を有し、フレームの軸に沿った様々な配置で支柱部材間の異なる角度を定めるフレーム400の一部を例示している。たとえば、フレームの流入端413における第1の列Iの支柱422は、第1の角度αを定め、第1の支柱幅W1を有することができる。第2の列IIの支柱424、第3の列IIIの支柱426、および第4の列IVの支柱428はすべて、それらの列内の他の支柱部材との第2の角度βを定めることができる。支柱424、426、および428は、支柱幅W1も有することができる。流出端415における第5の列Vの支柱432は、それらの間に第1の角度αを定めることができ、支柱幅W1とは異なる支柱幅W2を有することができる。いくつかの実施形態において、支柱幅W2は、支柱幅W1よりも大きくてもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、支柱幅W2は、支柱幅W1よりも12%、17%、または25%大きいなど、支柱幅W1よりも5%から30%大きいものとしてよい。特定の実施形態では、支柱幅W1は、0.28mmであってよく、支柱幅W2は、0.32mmであってよい。
【0118】
角度αは、また、角度βより大きくてもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、第1の角度αは、110°から170°であってよい。特定の実施形態において、第1の角度αは、120°であってよい。第2の角度βは、40°から90°であってよい。特定の実施形態において、角度βは、80°であってよい。
【0119】
より大きな角度αは、上で説明されているように、流入端のところの支柱422および流出端のところの支柱432の、半径方向拡張に対する抵抗をより高くする、特に列IおよびVの指定された設計直径を超えるようにすることができる。支柱432のより大きな支柱幅W2は、流出端415の、半径方向拡張に対する抵抗を、流入端413よりも高くすることができる。したがって、支柱角度と支柱幅とのこの組合せは、フレームに、部分的に拡張されたときに流入端413の直径がフレームの流出端415の直径よりも大きい先細り、「A字形」、または円錐台の形状をとらせることができる。流入端413および流出端415がそれぞれの設計直径に達したときに、流入端および流出端は、角度αが比較的大きいことにより、さらなる拡張に抵抗することができる。一方、列II~IVの支柱424~428は、フレーム400が図27のフレーム300と同様の樽形輪郭をとるように半径方向に拡張し続けることができる。これは、図29にも例示されており、円錐台形の、部分的に拡張されたフレーム400A、ならびにその流入端413Aおよび流出端415Aが、破線で例示されている。部分的に拡張されたフレーム400Aの輪郭は、実線で例示されている、完全に拡張された樽形状のフレーム輪郭400B、ならびにその流入端413Bおよび流出端415Bに重ねて示されている。
【0120】
図30は、フレームの流入端413の支柱422がより大きい支柱幅W2を備え、流出端415の支柱432がより小さい支柱幅W1を備えるフレーム400の別の実施形態を例示している。これは、フレーム400に、部分的に拡張されたときに図28に例示されている構成に関して反対方向に配向されている先細り、「V字形」、または円錐台形の輪郭をとらせることができる。たとえば、図30の構成では、流入端413の直径は、支柱幅W2がより大きいことにより、フレーム400が部分的に拡張されたときに、フレームの流出端415の直径よりも小さくなり得る。完全に拡張されたときに、フレームは、図28に示されているフレーム300に類似する樽形輪郭をとることができる。これは、図31にも例示されており、円錐台形の、部分的に拡張されたフレーム400Aが、その流入端413Aおよび流出端415Aとともに、破線で例示されている。完全に拡張された樽形フレーム400Bは、完全に拡張された流入端413Bおよび流出端415Bとともに、実線で例示されている。
【0121】
図32は、列I~Vの支柱のすべてが同じ支柱幅W1を有し、フレームの流入端および流出端における支柱部材間の異なる角度を定める、別のフレーム500の一部を例示している。たとえば、流入端513における第1の列Iの支柱522は、第1の角度αを定める。第2の列IIの支柱524、第3の列IIIの支柱526、第4の列IVの支柱528、および第5の列Vの支柱532はすべて、それらの列内の他の支柱部材との角度βを定めることができる。第2の角度βは、角度αよりも小さくてよい。たとえば、いくつかの実施形態において、第1の角度αは、110°から170°であってよい。特定の実施形態において、第1の角度αは、120°であってよい。第2の角度βは、40°から90°であってよい。特定の実施形態において、角度βは、80°であってよい。
【0122】
すべての支柱幅が同じである状態で流出角度βを流入角度αよりも小さくすることによって、第1の列Iの支柱522は、他の列よりも大きな程度で、第1の列Iの指定された設計直径を超える半径方向拡張に抵抗することができる。したがって、フレーム500は、部分的に拡張されたときに砂時計形状を形成することができ、完全に拡張されたときにV字形または逆円錐台形の輪郭を形成することができる。図34は、完全に拡張されたV字形フレーム500を例示している。流入端513は、フレーム500が完全に拡張されたときに流出端515の直径d2よりも小さい直径d1を有することができる。フレームの直径は、フレームの中心部分517のところの直径d3が、直径d1よりも大きく、直径d2よりも小さくなるように、フレームの軸534に沿った距離の関数としてd1とd2との間で変化し得る。このことは、図33にも例示されており、部分的に拡張されたフレーム500Aの流入端513Aおよび流出端515Aの輪郭が、完全に拡張されたフレーム500Bの流入端513Bおよび流出端515Bに重ねて示されている。
【0123】
流出直径d2が流入直径d1よりも大きいフレーム500の逆円錐台形展開形状に関連付けられ得る潜在的な利点は、流出端をより広くすることで、自然弁尖および/または弁輪のレベルで人工弁の固定を改善することができ、流体力学的機能の改善をもたらすことができることである。流入直径をより小さくすることで、フレームをヒス束から離間し、上で説明されているように、心臓の電気信号に干渉するリスクを低減することができる。
【0124】
図35および図36は、フレームの流出端のところの支柱部材532がより大きい角度αを備え、流入支柱部材522を含む、残りの支柱部材がより小さい角度βを備えるフレーム500の別の実施形態を例示している。これは、図36に示されているように、フレーム500に、展開時には砂時計形状を形成させ、完全に拡張されたときには流入端513Bの直径が流出端515Bの直径よりも大きい錐台を形成させることができる。流出直径が流入直径よりも小さい、図35および図36のフレーム500の円錐台形展開形状に関連付けられ得る潜在的な利点は、上で説明されているように、特定の患者の解剖学的構造に応じて、より広い流入端が自然弁輪内の封止を高め得ること、および流出直径がより小さいことで弁の自然弁尖で冠動脈口を塞ぐリスクを低減することができることである。
【0125】
図37および図38は、フレームの流出端615のところの支柱部材632が、それらの間に角度αを定め、第1の支柱幅W1を有しているフレーム600の別の構成を例示している。残りの支柱622~628は、角度αよりも小さい第2の角度βを定めることができる。支柱622~628は、また、支柱幅W1よりも小さい支柱幅W2を有することができる。たとえば、いくつかの実施形態において、第1の角度αは、120°など、110°から170°であってよい。第2の角度βは、80°など、40°から90°であってよい。第1の支柱幅W1は、0.32mmなど、0.30mmから0.36mmであってよく、第2の支柱幅W2は、0.28mmなど、0.22mmから0.30mmであってよい。言い換えると、いくつかの実施形態において、第2の支柱幅W2は、第1の支柱幅W1の60%から88%など、第1の支柱幅W1の50%から90%であってよい。
【0126】
流出支柱632のより大きい角度αとより大きい支柱幅W1との組合せで、半径方向拡張に対する支柱632の抵抗、特に支柱632の第5の列Vの指定された設計直径を超える拡張に対する支柱632の抵抗を高めることができる。より小さい支柱幅W2およびより小さい角度βを有する支柱622~628は、流出端615の支柱632に比べてより小さい程度で半径方向拡張に抵抗することができる。支柱幅および角度のこの組合せは、フレーム600に、部分的に拡張されたときに先細り、「A字形」、または円錐台形の輪郭をとらせ、完全に拡張されたときも先細り、「A字形」、または円錐台形の輪郭を有するようにさせることができる。部分的に拡張されたフレーム600Aは、図38において完全に拡張されたフレーム600Bに重ねて破線で示されている。部分的に拡張されたフレームの輪郭600Aおよび完全に拡張されたフレームの輪郭600Bは、図38ではおおよそ同じ割合を有しているけれども、いくつかの実施形態では、円錐台形フレームの割合は、拡張の程度が異なれば異なり得る。展開時のフレーム600の円錐台形の形状は、展開時の、図1図3の外側スカート18などの、人工弁の外部弁周囲漏出防止機構の位置決めの精度および/または予測可能性を改善することができる。これは、次いで、人工弁と周囲解剖学的構造との間の封止を改善することができ、その結果、植え込み後の弁周囲漏出の付随する減少が生じる。
【0127】
図39および図40は、フレームの流入端613のところの支柱部材622がより大きい角度αを備え、流出支柱632を含む、残りの支柱部材がより小さい角度βを備えるフレーム600の別の実施形態を例示している。流入支柱622は、また、より大きい支柱幅W1を備えるが、流出支柱632を含む、残りの支柱は、より小さい支柱幅W2を備える。これは、流入支柱622の、半径方向拡張に対する抵抗を、流出支柱632およびその間にある支柱624~628に比べて高くすることができ、これは、フレーム600に、展開時には逆円錐台形または「V字形」輪郭を形成させ、完全に展開されたときには逆円錐台形または「V字形」輪郭を形成させることができる。図40は、実線の完全に拡張されたフレーム600Bに重ねて破線で示されている部分的に拡張されたフレーム600Aを例示している。展開時のフレーム600のV字形輪郭の1つの潜在的利点は、より大きい直径の流出端が、人工弁が拡張する際に塞栓の通過を捕捉するかまたは防止することができ、脳卒中のリスクを潜在的に低減することである。
【0128】
図41および図42は、流入端713のところの第1の列Iの流入支柱722が、それらの間に第1の角度αを定め、第1の支柱幅W1を有する、フレーム700の別の実施形態を例示している。第2の列IIの支柱724は、それらの間に第2の角度βを定め、第2の支柱幅W2を有する(図41の第3の列IIIで示されている)。第3の列IIIの支柱726および第4の列IVの支柱728も、角度βを定め、第2の支柱幅W2を備えることができる。流出部715における第5の列Vの流出支柱732は、第3の角度θを定めることができ、第2の支柱幅W2を備えることができる。角度αは、角度βより大きく、角度βは、角度θより大きいものとしてよい。たとえば、いくつかの実施形態において、角度αは、160°など、110°から170°であってよく、角度βは、100°など、80°から120°であってよい。角度θは、80°など、40°から90°であってよい。支柱幅W1は、支柱幅W2よりも大きくてもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、第1の支柱幅W1は、0.28mmなど、0.22mmから0.30mmであってよく、第2の支柱幅W2は、0.32mmなど、0.30mmから0.36mmであってよい。したがって、いくつかの実施形態において、第1の支柱幅W1は、第2の支柱幅W2の60%から88%など、第2の支柱幅W2の50%から90%であってよい。他の実施形態では、フレーム700は、支柱722と同様に構成されているフレームの流入端のところの支柱部材の追加の列を備え得る。
【0129】
より大きな角度αとより大きな支柱幅W1との組合せは、流入支柱722の、半径方向拡張に対する抵抗を、角度βおよび支柱幅W2を有する列II~IVの支柱724~728に比べて、高くすることができる。延いては、支柱724~728の、半径方向拡張に対する抵抗は、角度θおよび支柱幅W2を有する流出支柱732に比べて高いものとしてよい。これは、フレーム700に、部分的に拡張されたときにV字形または逆円錐台形の輪郭をとらせ、完全に拡張されたときには、Y字形構成をとらせることができ、これは図24のフレーム200に類似している。これは、図42に例示されており、部分的に拡張されたフレーム700Aの輪郭は、破線で示されており、完全に拡張されたフレーム700Bの輪郭上に重ね合わされている。
【0130】
いくつかの実施形態において、人工弁のフレームは、拡張の様々な段階で植え込み可能であり、および/または様々な円筒形もしくは非円筒形の形状を備えるように構成され得る。たとえば、図43および図44は、第1の列Iの流入支柱822が、それらの間に第1の角度αを定め、第1の支柱幅W1を有する、フレーム800の別の実施形態を例示している。第2の列IIの支柱824は、それらの間に第2の角度βを定めることができ、第2の支柱幅W2を有することができる(図43の第3の列IIIで示されている)。第3の列IIIの支柱826および第4の列IVの支柱828も、角度βを定め、第2の支柱幅W2を備えることができる。第5の列Vの流出支柱832は、第3の角度θを定めることができ、第3の支柱幅W3を備えることができる。角度αは、角度βより大きく、角度βは、角度θより大きいものとしてよい。たとえば、いくつかの実施形態において、角度αは、160°など、110°から170°であってよく、角度βは、90°など、80°から120°であってよい。角度θは、80°など、40°から90°であってよい。支柱幅W1は、支柱幅W2よりも大きくよく、支柱幅W2は、支柱幅W3よりも大きくてよい。支柱幅W1、W2、およびW3は、本明細書において与えられている値のいずれかを有することができる。
【0131】
支柱822のより大きな角度αとより大きな支柱幅W1との組合せは、流入支柱822の、拡張に対する強さまたは抵抗を、支柱824~828を備えるフレームの中央部分に比べて高くすることができる。同様に、支柱824~828のより大きな角度βとより大きな支柱幅W2は、支柱832の角度θおよび支柱幅W3がより小さいので、支柱列II~IVの、拡張に対する抵抗を、流出支柱832に比べて高くすることができる。角度および支柱幅のこの組合せは、フレーム800に、フレームが部分的に拡張されたときにY字形輪郭をとらせることができるが、それは流出端815が最初に、支柱824~828よりも速く拡張するからである。次いで、支柱824~828は、流入支柱822よりも速く拡張することができる。バルーンがその円筒形の、完全に拡張された形状に達すると、バルーンは、フレームよりも柔軟性が低くなり、バルーンの形状が、より剛性の高い流入支柱822を含むフレームの形状に影響を及ぼし始めるか、または決定づけることができる。したがって、バルーンが膨張して剛性を高めるにつれ、フレームは、完全に膨張したバルーンの形状に適合することができ、フレームのすべての支柱列I~Vがおおよそ同じ直径を有する円筒形の形状、または実質的に円筒形の形状をとることができる。これは、図44に例示されており、部分的に拡張されたフレーム800Aの輪郭は、破線で示されており、完全に拡張されたフレーム800Bの輪郭上に重ね合わされている。
【0132】
フレーム800を組み込んだ人工弁のいくつかの実施形態において、流入端813が指定された設計直径に近づくか、または到達すると、弁尖は、人工弁を通る血流を調節するように機能し始めることができる。いくつかの実施形態において、これは、人工弁が動脈内腔内に十分に固定され、実質的に指定通りに動作することができる展開範囲の下限であり得る。図45Aは、流出端815が指定された設計直径d2に達しているY字形構成に部分的に拡張されたときのフレーム800の全体的な外形を概略として例示している。図45Aでは、流入端813は、直径d2よりも小さい直径d1を有する。たとえば、いくつかの実施形態において、直径d2は、直径d1よりも2%~30%大きいものとしてよい。流出端815の直径d2は、フレームの中央部分817の直径d3より大きくてもよい(たとえば、支柱826および/または828のレベル程度に対応する)。フレームが23.5mmの完全拡張設計直径を有する特定の実施形態において、直径d2は23.5mmであり、フレームが部分的に拡張されたときに21.5mmの直径d1よりも9%大きいものとしてよい。図46Aおよび図46Bを参照すると、これは、流入部分834が流出部分よりも小さい直径を有する間であっても弁尖842を流出部分836に正常に接合させることができる。
【0133】
図45Bを参照すると、フレームがさらに拡張されると、流入部分834は、d1=d2=d3となるように流出部分と同じ直径まで拡張することができる。いくつかの実施形態において、これは、弁の完全に拡張された構成であり、展開範囲の上限であり得る。図45Bに示されているように、完全に拡張された構成では、フレーム800は、側面が流入端813から流出端815まで実質的に平行である円筒形の形状を有することができ、フレームの流入端、流出端、および中央部分817は、おおよそ同じ直径を有する。
【0134】
再び図45Aを参照すると、フレーム800は、長手方向軸838に沿って測定された高さhを有することもできる。いくつかの実施形態において、流入部分は全高hの30%~40%を含むことができ、流出部分836は高さhの60%~70%を含むことができる。したがって、高さhが18mmである図45Aにおいて示されているように構成されている特定の例では、流入部分834の高さはhの40%または7.2mmであってよく、流出部分836の高さはhの60%または10.8mmであり得る。他の実施形態では、流入部分および流出部分が備える全高hの割合は、特定の用途および所望の特性に応じて変化し得る。
【0135】
上で述べたように、部分的に拡張されたフレーム800のY字形輪郭は、フレーム800を組み込んだ人工弁が、流出部分836が完全に拡張されるか、またはほぼ完全に拡張される展開範囲内において任意のサイズで植え込まれることを可能にし得る。図47は、展開範囲に至るまでの流入部分834の直径範囲および展開範囲を通過する流出部分836の直径範囲を例示するチャートであり、人工弁は十分な固定および有効化された弁尖機能とともに植え込まれ得る。図47に示されているように、流出部分836が23.5mmの完全な指定された設計直径に達したときに、流出部分836は、23.5mmの弁が適切なサイズである患者体内で人工弁を固定するように十分に拡張され得る。流出部分836は、人工弁を通る血液の流れを制御するために弁尖842が正常に接合するように十分に拡張することができる。
【0136】
図47に示されているように、流入部分834の直径が21.5mm(フレームが図45Aに示されているY字形輪郭を有する場合)から23.5mm(フレームが図45Bに示されている円筒形輪郭を有する場合)の間のいずれかで、人工弁は、植え込まれ得る。これは、医師が、流出部分836による石灰化した弁尖に対する固定、流入部分834による大動脈弁輪に加えられる力、および/または流入部分834と細心の注意を払って扱うべき解剖学的構造物との近接度などの考慮すべき要素を最も適切にバランスさせる構成で人工弁を植え込むことを可能にし得る。それに加えて、流出端815が指定された設計直径まで拡張されたときに、弁全高hの10%から40%のうちのどれかが心室内に配置され、人工弁の残りの部分は自然弁輪および/または心房に配設されるものとしてよい。
【0137】
直径23.5mm未満では、フレームはY字形にもなるが、流出部分836は、人工弁を患者体内に固定する上で十分に大きくなくてもよい。Y字形から平行形状への遷移は、流入部分が流出部分と同じ、またはほぼ同じ直径に達したときに生じ得る。23.5mmを超えて拡張された場合、フレームは図47に例示されている円筒形構成を維持することができるが、弁尖は拡張期に完全には接合し得ない。
【0138】
本明細書において説明されている様々な支柱角度および支柱幅の組合せは、他のフレーム構成にも適用され得る。たとえば、図48A図48B、および図49は、人工弁900の別の実施形態を例示している。弁900は、3つの主要コンポーネント、すなわち、ステント、もしくはフレーム902、フレーム内に置かれ、フレームに結合される弁構造904、フレームの外側の周りに位置決めされている封止部材906を有することができる。弁構造904は、三尖弁配置構成に折り畳まれるか、または接合するように構成されている複数の弁尖905を備えることができる。弁尖905は、複数の交連907のところで互いに、またフレームに結合され得る。人工弁900および交連907の構造に関する追加の詳細は、参照により本明細書に組み込まれている米国公開第2018/0028310号に見出すことができる。図48Bは、例示を目的として透明線で示されているフレーム902の外側にあるコンポーネント(封止部材906を含む)を伴う人工弁900の斜視図である。
【0139】
図49は、フレーム902をより詳細に例示している。フレーム902は、流入端908と、流出端910と、上で説明されている実施形態に類似する、支柱の複数の列または段を形成するために端と端を接して配置構成されている角度付き支柱の複数の周方向に延在する列とを備えることができる。より具体的には、フレームは、フレームの流入端908を形成することができる、支柱912の第1の、もしくは下側の列Iと、第1の列より上にある支柱914の第2の列IIと、第2の列より上にある支柱916の第3の列IIIと、第3の列より上にある支柱918の第4の列IVと、第4の列より上にある支柱920の第5の列Vとを備えることができる。支柱920は、フレームの流出端910を形成することができる。支柱の様々な列は、フレームの流入端908と流出端910との間のセルまたは開口部922の対応する列を画成することができる。
【0140】
図49は、フレームが円筒形または実質的に円筒形の形状を有し、流入端908から流出端910までの一定の直径を有する、初期の製造時の状態のフレーム902を例示している。流入端908のところの第1の列Iの支柱912は、第1の支柱幅W1を有することができ、隣接する支柱912の間に角度αを定めることができる。列II~IVの支柱914~918は、第2の支柱幅W2を有することができ、それぞれの列の隣接する支柱の間に第2の角度βを定めることができる。流出端910における第5の列Vの支柱920は、第1の角度αを定めることができ、流入支柱912に類似する、第1の支柱幅W1を有することができる。角度αは、角度βより大きくてもよく、支柱幅W1は、支柱幅W2よりも大きくてよい。たとえば、いくつかの実施形態において、角度αは、120°など、110°から170°であってよく、角度βは、82°など、40°から90°であってよい。いくつかの実施形態において、第1の支柱幅W1は、0.32mmなど、0.30mmから0.36mmであってよく、第2の支柱幅W2は、0.28mmなど、0.22mmから0.30mmであってよい。
【0141】
より大きな角度αおよびより大きな支柱幅W2は、流入端908の支柱912および流出端910の支柱920の両方の、半径方向拡張に対する抵抗を、支柱914~918に比べて高くすることができる。支柱の幅および角度のこの特定の組合せは、フレーム902に、少なくともフレームの意図された動作直径範囲または展開範囲内で、フレームが拡張するときに実質的に円筒形の形状を維持させることができる。言い換えると、図示されているように構成されているフレーム902は、展開範囲の下端まで部分的に拡張されたときに円筒形の輪郭を有することができ、展開範囲の上限まで完全に拡張されたときも円筒形の輪郭を有することができる。これは、フレーム902を組み込んだ人工弁が、自然動脈内腔内に人工弁を固定する上でおよび/または弁尖の適切な機能を可能にする上で十分に、フレームの展開範囲内で選択された直径まで拡張されることを可能にし得る。
【0142】
たとえば、図50は、完全に圧着された状態と完全に拡張された状態との間の7つの異なる拡張状態において図48A図48B、および図49に例示されているように構成されている例示的なフレーム902の直径を表す一連の7つのフレーム断面輪郭902A~902Gを例示している。各フレーム輪郭は、長手方向軸に沿って二等分され、流入端908A~908Gが図50の左側にあり、流出端910A~910Gが図50の右側にあるように時計回りに回転されていることが図示されている。7つのフレーム輪郭902A~902Eは、流入端908A~908Gの直径、流出端910A~910Gの直径、および中央部分924A~924Gの直径を表している。テストされたフレーム902は、23mmの指定された設計直径、および21.5mmから23.5mmの動作範囲を有していた。フレームは、図21のバルーン114と同様の円筒形のバルーンを使用して拡張された。フレーム直径の測定は、バルーンの膨張または拡張の異なるレベルに対応する7つの異なる内部バルーン圧力で行われた。フレーム輪郭902Aは、バルーンの膨張が開始した直後のフレームの状態を表しており、フレームは完全に圧着された状態からわずかに拡張された。フレーム輪郭902Gは、バルーンが完全に膨張した後のフレームの状態を表している。輪郭902B~902Fは、902Aと902Eとの間のフレームの中間的拡張状態を表している。直径の測定は、各拡張状態についてフレーム内の3つの異なる角度配向で行われた。
【0143】
部分908A~908G、910A~910G、および924A~924Gの各々の測定された直径は、フレーム輪郭902A~902Gの各々についてミリメートル単位で与えられる。バルーン内部の圧力は、各拡張状態について各フレーム輪郭の右に与えられる。したがって、たとえば、0.9気圧(atm)のバルーン圧力では、902Aで表されているフレームの流入端908Aは7.5mmの直径を有し、中央部分924Aは8.5mmの直径を有し、流出端910Aは11.2mmの直径を有していた。拡張プロセスのこの時点において、フレームは実質的にY字形の輪郭を有しており、中央部分924Aの直径は流入端908Aの直径よりもほんのわずか大きく、流出端910Aの直径よりも小さかった。
【0144】
なおも図50を参照すると、フレーム902は、流出端910Bが1.5atmのバルーン圧力で流入端908Bよりも速く、中央部分924Bよりも速くに拡張するときに902BのところでY字形輪郭からV字形輪郭に遷移した。フレーム902は、バルーン圧力2.0atmで、902CのところでわずかなY字形輪郭に遷移して戻った。フレーム輪郭902Cと輪郭902Dとの間で、フレームは、動作範囲の下端に達した(21.5mm)。フレーム輪郭902Dにおいて、2.9atmのバルーン圧力により、流入端908Dは21.7mmの直径を有し、中央部分924Dは21.9mmの直径を有し、流出端910Dは22.1mmの直径を有し、これでフレームは実質的に円筒形になった。フレームは、フレームの特定の支柱幅および支柱角度構成に少なくとも一部は起因して、流入端、流出端、または中央部分のいずれの間の差が0.6mmを超えることなく、フレーム輪郭902Gにおける6.8atmのバルーン圧力までの膨張プロセスの残りの部分全体を通して実質的に円筒形のままであった。
【0145】
いくつかの実施形態において、人工弁900の弁尖905は、展開範囲内の任意の直径において人工弁上で指定された圧力勾配を維持するために適切に開閉するように構成され得る。これは、医師が植え込み手技において人工弁を植え込むフレームの最適な直径を決定することができるので、しばしば特定の指定された直径で機能するように設計されている、既存の人工弁に勝る著しい利点をもたらし得る。より具体的には、医師は、特定の患者の解剖学的構造またはリスク要因に課される制約条件のバランスを取りながら、人工弁を固定することを円滑にし、流体力学的性能を最適化する人工弁の動作範囲内の選択された直径までフレームを拡張することができる。動作範囲全体を通して、円筒形の形状、または実質的に円筒形の形状を維持することで、フレームの狭い直径部分に起因する流れの制限が最小にされ得るので、血行動態または経弁流動特性を改善することもできる。
【0146】
フレームの流入端および流出端におけるより幅W1が大きければ大きいほど、さらに支柱角度αが大きければ大きいほど、上で説明されているように、フレームの流入部分および流出部分の半径方向拡張に対する強さおよび抵抗を相対的に高めることができる。これは、列II~IVの支柱の拡張に対する抵抗を相対的に小さくし、列IおよびVの支柱に関して、これらの支柱を拡張するのに必要な力を減少させることができる。人工弁が送達カテーテルに装着されたときに人工弁尖が典型的にはバルーンとフレームとの間に位置決めされる、バルーン拡張可能フレームの場合、この結果、バルーンによって弁尖に対して加えられる力が相対的に小さくなり得る。たとえば、図51は、図48A図49に示されているように構成されているフレームの拡張(白丸を使用してプロットされている)と、異なる支柱幅および支柱角度を有しない基準フレーム950の拡張とを例示するグラフである。図51に示されているように、バルーンによって弁尖に加えられる半径方向の力は、基準フレーム950と比較してフレーム902について6mmの外径および23mmの外径との間で50N以上低減され得る。これは、フレーム902の異なる支柱幅および支柱角度に少なくとも一部は起因し得る。いくつかの実施形態において、この力の低減は、等しい支柱幅を有する既存のフレームと比較してフレームが拡張されるときに弁尖が開いてより大きく広がることを可能にし得る。
【0147】
図52に示されているように、フレームを圧着するために必要な力も低減され得る。図52では、フレーム902を圧着するのに必要な力は、直径28mmと直径10mmとの間で25N以上低減され得る。それに加えて、直径29mmと直径28mmとの間では、フレーム902および基準フレーム950は、おおよそ等しい剛性を示し、印加される半径方向の力の単位当たりのほぼ等しい量だけ変形する。したがって、少なくとも約28mmと29mmとの間の直径について、フレーム902は、基準フレーム950に対する匹敵する剛性を示し、その形状を保持し、変形が最小となるようにフレームを周囲解剖学的構造に当てて固定する。それによって、フレーム902は、基準フレームと比較して拡張における剛性の低減を示し、付随する利点を有するが、圧縮力に応答して同程度の剛性を維持し、フレーム902がその展開直径範囲まで拡張された後にそのサイズおよび形状を維持することを可能にする。
【0148】
フレーム902は、フレームが圧着されたときに、隣接する支柱の間に間隙を設けるようにも構成され得る。たとえば、図49を再び参照すると、フレームは、支柱間の最短距離で隣接する支柱部材の間に延在する支柱部分として構成されている接合部930を備えることができる(たとえば、隣接する列の2つの支柱に収斂する一方の列からの2つの支柱の配置で)。フレームの流入端の頂点932および/またはフレームの流出端の頂点934は、(たとえば、周方向に)比較的広がっているものとしてもよい。この方式で、頂点932および934は、接合部930と協働して、図53に示されているように、間隙、開口部、または空間936を形成するようにフレームが圧着されたときに支柱を離間することができる。図54を参照すると、フレームが送達のために圧着されるときに、外側スカート938は、少なくとも部分的に間隙936に受け入れられるか、または詰め込まれ、圧着された人工弁の直径を小さくすることができる。いくつかの実施形態において、スカート、弁尖、および/または人工弁の他のコンポーネントは、最小の圧着直径を決定することができ、したがって、間隙936は、弁の圧着輪郭を著しく大きくすることなくそのような材料を受け入れるように最適化され得る。
【0149】
図55を参照すると、いくつかの実施形態において、頂点932および/または頂点934のうちの1つまたは複数が、縫合糸を受け入れるか、またはガイドするように構成されているノッチまたは陥凹部940を備えることができる。図55は、例示のために、代表的な頂点934を示している。ノッチ940は、弁尖交連をフレームに取り付け、ならびに/または内側および/もしくは外側の弁周囲漏出(PVL)スカートをフレームに取り付けるために使用される縫合糸を保持することを補助することができる。フレームへの交連の取り付けに関するさらなる詳細は、参照により本明細書に組み込まれている米国公開第2018/0028310号に見出すことができる。
【0150】
図48A図49に例示されているフレームは、また、上で説明されている、Y字形輪郭、樽形輪郭、V字形輪郭などの、他の形状を、拡張時に、および/または完全に拡張されたときに、形成するように構成され得る。これらの形状は、上で説明されているように、フレームの異なる部分のところの支柱幅および角度パラメータをチューニングすることによって拡張の様々な段階で達成され得る。
【0151】
本明細書において説明されている様々な支柱角度および支柱幅の組合せは、支柱の任意の数の列を有するフレームにも適用され得る。たとえば、支柱角度および支柱幅の組合せは、4列もしくは3列の支柱など、5列未満の支柱を有するフレーム、または6列もしくは7列の支柱などの、5列を超える支柱を有するフレームに適用され得る。たとえば、図56は、流入端1002と、流出端1004と、6列の周方向に延在する支柱とを備えるフレーム1000の別の実施形態を例示している。例示されている実施形態では、支柱1006は流入端1002に配置され、続いて支柱1008、1010、1012、1014、および支柱1016が流出端1004に配置される。支柱1006は、軸方向に延在する支柱1030によってフレームの長手方向軸1028に沿って支柱1008から相隔てて並ぶものとしてよい。次いで、支柱1008は、軸方向に延在する支柱1032によって、支柱1010から長手方向に相隔てて並び得る。この方式で、支柱1006、1008、および1030は、流入端1002のところで六角形の開口部1034の周方向に延在する列を画成することができ、支柱1008、1010、および1032は、開口部1034より上に六角形の開口部1036の周方向に延在する列を形成することができる。残りの支柱1010~1016は、図49のフレーム902と同様に、周方向にオフセットされた、ダイヤモンド形の開口部1038~1042の3列を画成することができる。
【0152】
フレーム1000は、図19のフレーム200に類似する支柱角度および支柱幅を備えることができる。たとえば、支柱1006~1010は、すべて角度αを備えることができ、支柱1012~1014は、角度βを備えることができる。流出支柱1016は、角度θを備えることができる。図19の実施形態のように、角度αは、角度βより大きく、角度βは、角度θより大きいものとしてよい。それに加えて、図19の実施形態のように、支柱はすべて、同じ支柱幅W1を備えることができる。したがって、フレーム1000がバルーンに圧着され、バルーンを膨らませることによって拡張されたとき、フレームは、部分的に拡張されたときに砂時計形状をとり、完全に拡張されたときにY字形状をとることができる。図57は、バルーン1018上の部分的に拡張された状態のフレーム1000を例示している。部分的に拡張された状態では、流入端および流出端は、異なる速さで拡張し、流入端1002の直径d1は流出端1004の直径d3よりも小さいが、流入端と流出端との間の中央部分1026の直径よりも大きい(たとえば、支柱1010のレベルにおおよそ対応する)ものとしてよい。
【0153】
図58を参照すると、完全に拡張されたとき、フレーム1000は、拡張されたフレーム200に類似するY字形輪郭を有することができる。いくつかの実施形態において、フレーム1000は、円筒形の流入部分1020とフレア状の流出部分1022とを備えることができる。例示されている構成では、支柱1006、1008、および1010は、直径d4を有することができる、円筒形の流入部分1020を形成することができる。支柱1012~1016は、フレア状の流出部分1022を形成することができ、流出端1004が直径d4よりも大きい直径d5を有するようにフレームの中心軸1024から外向きに離れる方向に角度を付けられ得る。
【0154】
図59は、完全に圧着された状態と完全に拡張された状態との間の5つの異なる拡張状態において、図56に示されているように構成されている例示的なフレーム1000の形状を表す一連の5つのフレーム半輪郭1000A~1000Eを例示している。各フレーム輪郭は、長手方向軸に沿って二等分され、流入端1002A~1002Eが図59の左側にあり、流出端1004A~1004Eが図59の右側にあるように時計回りに回転されていることが図示されている。5つのフレーム輪郭1000A~1000Eは、流入端1002A~1002Eの直径、流出端1004A~1004Eの直径、および中央部分1026A~1026Eの直径を表している。テストされたフレーム1000は、20mmの製造時直径を有し、図57のバルーン1018に類似するバルーンを使用して拡張された。フレーム直径の測定は、バルーンの異なるレベルの膨張または拡張に対応する5つのバルーン直径で行われた。フレーム輪郭1000Aは、バルーンの膨張が開始した直後のフレームの状態を表しており、フレームは完全に圧着された状態からわずかに拡張された。フレーム輪郭1000Eは、バルーンが完全に膨張した後のフレームの状態を表している。輪郭1000B~1000Dは、1000Aと1000Eとの間のフレームの中間的拡張状態を表している。
【0155】
部分1002A~1002E、1004A~1004E、および1026A~1026Eの各々の測定された直径は、フレーム輪郭1000A~1000Eの各々についてミリメートル単位で与えられる。フレームの流入端1002に隣接する測定時のバルーンの直径は、各拡張状態について各フレーム輪郭1000A~1000Eの右側に与えられる。したがって、たとえば、18mmのバルーン直径では、フレーム1000Aの流入端1002Aは18mmの直径を有し、中央部分1026Aは16mmの直径を有し、流出端1004Aは19mmの直径を有していた。拡張プロセスのこの時点において、フレームは実質的に砂時計形輪郭を有しており、中央部分1026Aの直径は、流入端1002Aおよび流出端1004Aの両方の直径より小さかった。
【0156】
なおも図59を参照すると、フレーム1000は、フレームの特定の支柱幅および支柱角度構成に起因して、フレームが拡張したときに砂時計形輪郭からY字形輪郭へと徐々に遷移した。たとえば、バルーンが21.3mmのその指定された設計直径まで完全に拡張されたとき、フレーム輪郭1000Eの流入端1002Eは21mmの直径を有し、中央部分1026Eも21mmの直径を有し、流出端1004Eは22mmの直径を有していた。したがって、フレームは、支柱1006(図56)と支柱1010のおおよそのレベルとの間で実質的に円筒形であり、フレームがY字形輪郭を有するように流出端のところの支柱1010と支柱1016との間でフレームの中心軸から離れる方向に広がっていた。
【0157】
図60および図61は、第1の列Iの流入支柱912および第5の列Vの流出支柱920が、フレームが拡張されたときに180°の角度αを備えるフレーム902の別の実施形態を例示している。言い換えると、流入支柱912は、フレームが拡張されたときに同一平面上にあるか、または実質的に同一平面上にあるものとしてよく、支柱920は、フレームが拡張されたときに、同一平面上にあるか、または実質的に同一平面上にあるものとしてよい。流入支柱間および流出支柱間の180°の角度は、上で述べたように、支柱の、半径方向拡張に対する剛性または抵抗を相対的に高めることができる。角度が180°前後のときに、フレームの流入端および流出端のさらなる拡張は、支柱912および920によって著しく妨げられ得る。そのような大きな角度は、バルーンが萎み、フレームが弛緩して半径方向内向きにたわむときに生じ得るように、フレームの流入端および流出端の半径方向の収縮量を低減することもできる。
【0158】
バルーンが萎むときにフレームが半径方向に収縮する量は、支柱の間の指定された設計角度に関係するものとしてよい。たとえば、隣接する支柱の間に形成される角度が比較的小さい、フレームまたはその一部について、バルーンが萎むときの支柱の弛緩は、支柱を互いの方へ移動させるかまたは枢動させ、それらの間の角度を減少させることができる。これは、次いで、フレームの直径を縮小することができる。支柱が指定されている設計直径で180°の角度を形成する場合、支柱の弛緩または弾性歪み回復は主に周方向であり、その結果、バルーンが萎むときに隣接する支柱間の角度変化が減少し得る(たとえば、角度の減少が小さくなる)。この結果、フレームの全体的な半径方向の収縮をより小さくすることができる。いくつかの例において、バルーンが膨張するときとバルーンが萎むときの支柱間の角度変化は、小角度近似によって近似され得る。言い換えると、いくつかの実施形態において、バルーンが膨張したときとバルーンが萎んだときの隣接する支柱間の角度の差は比較的小さく、したがって結果として得られるフレームの直径の変化は無視できるくらい小さい(たとえば、1mm、0.5mm、0.1mm、またはそれよりも小さい)。
【0159】
たとえば、図62は、バルーンが萎んだときに半径方向の収縮または弾性歪み回復に失われ得るフレーム902の流出端の全径の割合を例示するバーチャートである。次の例は、フレームの流出端に関して与えられているけれども、上で説明されているように構成されたときにフレームの流入端に関して類似の性能が達成され得る。バー950で20.1mm、バー952で20.6mm、バー954で21.5mmに拡張されたフレームに対する例が与えられている。バー950を参照すると、フレーム902が約20mmに拡張され、バルーンが萎んだときに、フレームの流出端の直径は、約1mm減少し、これはバー950の部分950Aによって表されている。したがって、萎んだ後、フレームの流出端の直径は、19.1mmであったが、これは部分950Bで表されている。
【0160】
バー952を参照すると、フレーム902が20.6mmまで拡張されたときに、バー950のフレームと比較して、流出支柱920の間の角度αが大きくなった。したがって、バルーンが萎んだとき、流出端の直径は、半径方向の収縮により約0.2mm減少し(部分952Aで表される)、20.4mmの直径になった(部分952Bで表される)。バー954を参照すると、フレーム902が21.5mmに拡張されたとき、流出支柱920の間の角度αは、180°またはそれに近い角度であった。その結果、バルーンが萎んだとき、フレームの流出端の直径は、約0.1mm(部分954Aで表される)減少して、約21.4mm(部分954Bで表される)の直径になった。したがって、流出端(および/または流入端)で180°の角度αを有するフレームを設計し、流出支柱が180°に近づくかまたは達するようにフレームを拡張することで、バルーンが萎むことに付随するフレームの流出端での直径減少の量を著しく低減することができる。
【0161】
いくつかの実施形態において、フレームの流入端および流出端が設計直径まで拡張したとき(たとえば、隣接する流入支柱間および隣接する流出支柱間の角度αが実質的に180°であるとき)、列II~IVの支柱は拡張し続けてもよい。図63を参照すると、この結果、バルーンが萎んだときに樽形外側フレーム輪郭が生じることがあり、長手方向軸に沿って中ほどのフレームの中央部分924の直径は、流入端908および/または流出端910の直径よりも大きい。
【0162】
図64A図64Dは、比較的大きな支柱角度を有する支柱の1つまたは複数の列を組み込んだ様々なフレーム支柱構成またはユニットセルを概略として例示している。支柱のそのような列は、指定された直径を超えるフレームの拡張を制限すること、および/またはバルーンなどの、拡張デバイスを取り出すときにフレームの半径方向の収縮を制限することによって、フレームの拡張形状を画成するために使用され得る。図64Aおよび図64Bは、フレームの流入端および/またはフレームの流出端で使用するように構成されている支柱パターンを例示しているが、流入端と流出端との間のフレームの任意の部分のところに組み込まれてもよい。図64Aおよび図64Bに例示されているパターンを備えるフレームは、本明細書において説明されているフレーム実施形態のうちの任意のものと同様に構成され得る。支柱パターンは、1つまたは複数の列でフレームの周上に繰り返され得る。列は、1つの支柱パターン、または複数の支柱パターンを含み得る。
【0163】
図64Aは、間に角度θを定める角度付き支柱1102の第1の列Iを含むユニットセル1100を例示している。角度付き支柱1104の第2の列IIは、支柱1102から軸方向に相隔てて並ぶものとしてよく、角度θ(もしくは異なる角度)を備えることもできる。支柱1106および1108は、第1の列Iの支柱1102と第2の列IIの支柱1104との間を交差パターンで延在し得る。角度θは、指定された直径を超えるフレームのさらなる拡張に抵抗するように構成され得る。たとえば、角度θは、120°から180°、140°から180°、160°から180°、または180°であってよい。他の実施形態では、支柱1106および1108は、接合部で交わる4つの支柱を備えることができる。
【0164】
図64Bは、支柱1106および1108が列IおよびIIの間で軸方向に延在するユニットセル1100の代替的構成を例示している。
【0165】
図64Cは、支柱1106および1108が短くなっている図64Bのユニットセル1100の変更形態を例示しており、ユニットセルは、第1の列Iから相隔てて並び、軸方向に延在する支柱部材1112によって第1の列Iと相互接続されている角度付き支柱1110の第3の列IIIをさらに備えている。第3の列IIIの支柱1110は、角度θ(または異なる角度)を定めることができ、指定された直径を超えるフレームの拡張に抵抗するように構成されてもよい。
【0166】
図64Dは、角度付き支柱1202の第1の列I、角度付き支柱1204の第2の列II、および角度付き支柱1206の第3の列IIIを備えるユニットセル1200の別の変更形態を例示している。第1の列Iの支柱1202は、それらの間に第1の角度αを定めることができる。第2の列IIの支柱1204は、それらの間に、角度αよりも大きくてもよい、第2の角度θを定めることができ、指定された直径を超える支柱の少なくとも第2の列IIの拡張に抵抗するように構成され得る。第3の列IIIの支柱1206は、角度αを備えることができる。いくつかの実施形態において、図64Cおよび図64Dのユニットセルパターンは、図64Aおよび/または図64Bのユニットセルの1つまたは複数と潜在的に組み合わせて、フレームの流入端と流出端との間で使用するように構成されている中間支柱列パターンであってよい。図64A図64Dの様々なユニットセル構成は、互いに、また本明細書において説明されている他のフレーム実施形態のいずれかとの任意の組合せで組み合わされ得る。様々な列の支柱のいずれか、および/または列の間に延在する相互接続支柱のいずれかも、上で説明されているように様々な支柱幅を有し得る。
【0167】
用語の説明
本明細書において開示されている封止要素の実施形態のいずれかは、開示されている人工弁および/またはフレーム実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができる。また、人工弁は、本明細書において説明されている封止要素のいずれか、またはその一部を任意の組合せで、備えることができる。
【0168】
本発明を説明することを目的として、本開示の実施形態のいくつかの態様、利点、および新規性のある特徴が本明細書において説明されている。開示されている方法、装置、およびシステムは、いかなる形でも制限するものとして解釈されるべきでない。その代わりに、本開示は、単独のまた互いとの様々な組合せおよび部分的組合せの様々な開示されている実施形態のすべての新規性のある非自明の特徴および態様を対象とする。方法、装置、およびシステムは、特定の態様または特徴またはこれらの組合せに限定されず、また開示されている実施形態が1つまたは複数の特定の利点が存在すること、または問題が解決されることを要求するものではない。
【0169】
開示されている実施形態のうちのいくつかの運用は、発表の便宜のため特定の順次的順序で説明されているけれども、この説明の仕方は、特定の順序が以下に規定される特定の言語で要求されていない限り、再配置を包含することは理解されるであろう。たとえば、順次的に説明されている運用は、場合によっては、再配置されるか、または同時に実行され得る。さらに、簡単にするため、添付図面は、開示されている方法が他の方法と併せて使用され得る様々な仕方を示し得ない。それに加えて、説明では、開示されている方法を説明するために「提供する」または「達成する」のような言い回しを使用することもある。これらの言い回しは、実行される実際の動作の高水準の抽象化である。これらの言い回しに対応する実際の動作は特定の実装形態に応じて変わり得るものであり、当業者によって容易に認識可能である。
【0170】
本出願および請求項で使用されているように、「1つの(または使わない場合もある)」および「その(使わない場合もある)」(英語原文の冠詞「a」、「an」、および「the」に対応する)で示される単数形は、文脈上明らかにそうでないことを示していない限り、複数形を含む。それに加えて、「含む、備える(英語原文中のinclude)」という言い回しは「備える、含む(英語原文中のcomprise)」を意味する。さらに、「結合される」および「関連付けられる」という言い回しは、電気的に、電磁気的に、および/または物理的に(たとえば、機械的にもしくは化学的に)結合されるか、もしくは連結されることを一般的に意味し、特定の反対語がない限り結合されるか、または関連付けられている項目の間の中間要素の存在を除外しない。
【0171】
本出願の文脈において、「下側」および「上側」という言い回しは、それぞれ、「流入」および「流出」という言い回しと交換可能に使用される。したがって、たとえば、いくつかの構成において、弁の下側端は流入端であり、弁の上側端は流出端である。
【0172】
本明細書で使用されているように、「近位」という語は、ユーザにより近く、埋め込み部位からより遠いデバイスの位置、方向、または部分を指す。本明細書で使用されているように、「遠位」という語は、ユーザからより遠く、埋め込み部位により近いデバイスの位置、方向、または部分を指す。したがって、たとえば、デバイスの近位運動は、ユーザに向かうデバイスの運動であり、デバイスの遠位運動は、ユーザから遠ざかるデバイスの運動である。「長手方向」および「軸方向」という語は、他の形で明示的に定義されていない限り、近位および遠位方向に延在する軸を指す。
【0173】
別段の指示がない限り、本明細書または請求項において使用される、構成要素の量、分子量、パーセンテージ、温度、時間などを表すすべての数字は、「約」という語を付けて修正されていると理解されるべきである。したがって、暗黙のうちに、または明示的に、別段の指示がない限り、述べられている数値パラメータは、求められる所望の特性および/または当業者に馴染みのある試験条件/方法の下での検出限界に依存し得る近似値である。説明されている従来技術から実施形態を直接的にまた明示的に区別するときに、「約」という語が記載されていない限り、実施形態の数値は近似値ではない。さらに、本明細書に記載されているすべての代替的形態が等価形態であるわけではない。
【0174】
いくつかの例では、値、手順、または装置は、「最低」、「最良」、「最小」、または同様の語句で称され得る。そのような記述は、多くの代替的形態のうちからの選択が行われ得ることを示すことを意図されており、そのような選択は、他の選択よりも良い、小さい、または他の何らかの形で好ましいものである必要はないことは理解されるであろう。
【0175】
本明細書において、「上」、「下」、「上側」、「下側」、「水平」、「垂直」、「左」、「右」、および同様の語などのいくつかの語が使用され得る。これらの語は、該当する場合に、相対的な関係を扱うときに説明をある程度明確にするために使用される。しかし、これらの語は、絶対的な関係、位置、および/または配向を意味することを意図されていない。たとえば、物体に関して、「上側」の表面は、物体をひっくり返すだけで「下側」の表面になり得る。それにもかかわらず、それは依然として同じ物体である。
【0176】
本開示の原理が応用され得る多くの可能な実施形態に照らして、例示されている実施形態は、好ましい例にすぎず、本開示の範囲を制限するものとして解釈されるべきでないことは理解されるであろう。むしろ、本開示の範囲は、次の請求項と少なくとも同じ程度に広い。したがって、われわれはこれらの請求項の範囲および精神に収まるものをすべて請求する。
【符号の説明】
【0177】
10 弁
12 フレーム
13 流入端
14 弁構造
15 流出端
16 内側スカート
18 外側スカート
20 交連窓
22 角度付き支柱
24 角度付き支柱
26 角度付き支柱
28 角度付き支柱
30 軸方向に延在する窓フレーム部分
31 軸方向に延在する支柱
32 角度付き支柱
34 支柱
36 開口部
38 開口部
40 弁尖
41 開口部
42a、42b、42c、42d、42e 角度
44 ノードまたは接合部
44、46 接合部
50 フレーム
52 角度付き支柱
54および56 ノード、すなわち接続部分
58 支柱
60 交連窓フレーム部分
62 スロットまたは交連窓
64 接合部
68 表面
70 表面
72 外面
100 送達装置
102 ガイドカテーテル
104 バルーンカテーテル
106 ハンドル部分
108 細長ガイドチューブまたはシャフト
114 バルーン
116および118 端部分
120 中央部分
122 交連
154 縫合線
200 フレーム
200A フレーム輪郭
200B フレーム
213 流入端部分
215 流出端部分
217 中央部分
222 支柱
224 支柱
226 支柱
228 支柱
232 支柱
242 流出部分
244 接合部
246 長手方向軸
248 接合部
300 フレーム
300A フレーム輪郭
300B 完全に拡張された樽形輪郭
313 流入端
315 流出端
317 中央部分
322 支柱
324 支柱
326 支柱
328 支柱
332 支柱
334 長手方向軸
336 頂点
338 外面
340 接合部
342 接合部
400 フレーム
400A フレーム
400B フレーム輪郭
413 流入端
413A 流入端
413B 流入端
415 流出端
415A 流出端
415B 流出端
422 支柱
424 支柱
426 支柱
428 支柱
432 支柱
500 フレーム
500A フレーム
500B フレーム
513 流入端
513A 流入端
513B 流入端
515 流出端
515A 流出端
515B 流出端
517 中心部分
522 支柱
524 支柱
526 支柱
528 支柱
532 支柱
534 フレームの軸
600 フレーム
600A フレーム
600B フレーム
613 流入端
615 流出端
622~628 支柱
632 支柱部材
700 フレーム
700A フレーム
700B フレーム
713 流入端
715 流出部
722 流入支柱
724 支柱
726 支柱
728 支柱
732 流出支柱
800 フレーム
800A フレーム
800B フレーム
813 流入端
815 流出端
817 中央部分
822 流入支柱
824 支柱
826 支柱
828 支柱
832 流出支柱
834 流入部分
836 流出部分
838 長手方向軸
842 弁尖
900 人工弁
902 フレーム
902A~902G フレーム断面輪郭
904 弁構造
905 弁尖
906 封止部材
907 交連
908 流入端
908A~908G 流入端
910 流出端
910A~910G 流出端
912 支柱
914 支柱
916 支柱
918 支柱
920 支柱
922 開口部
924A~924G 中央部分
930 接合部
932 頂点
934 頂点
936 空間
938 外側スカート
940 ノッチまたは陥凹部
950 基準フレーム
950 バー
950A 部分
950B 部分
952 バー
952A、952B 部分
954 バー
954A、954B 部分
1000 フレーム
1000A~1000E フレーム半輪郭
1002 流入端
1002A~1002E 流入端
1004 流出端
1004A~1004E 流出端
1006 支柱
1008 支柱
1010 支柱
1012 支柱
1014 支柱
1016 支柱
1018 バルーン
1020 円筒形の流入部分
1022 フレア状の流出部分
1024 中心軸
1026 中央部分
1026A~1026E 中央部分
1028 長手方向軸
1030 支柱
1032 支柱
1034 六角形の開口部
1036 六角形の開口部
1038~1042 ダイヤモンド形の開口部
1100 ユニットセル
1102 角度付き支柱
1104 角度付き支柱
1106および1108 支柱
1110 角度付き支柱
1112 支柱部材
1200 ユニットセル
1202 角度付き支柱
1204 角度付き支柱
1206 角度付き支柱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45A
図45B
図46A
図46B
図47
図48A
図48B
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
図57
図58
図59
図60
図61
図62
図63
図64A
図64B
図64C
図64D
【国際調査報告】