(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-09
(54)【発明の名称】オルガノクロロシランの調製方法
(51)【国際特許分類】
C07F 7/16 20060101AFI20220302BHJP
【FI】
C07F7/16
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021507596
(86)(22)【出願日】2019-03-12
(85)【翻訳文提出日】2021-04-08
(86)【国際出願番号】 EP2019056164
(87)【国際公開番号】W WO2020182299
(87)【国際公開日】2020-09-17
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns-Seidel-Platz 4, D-81737 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リンベック,カール-ハインツ
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ソフィナ,ナタリア
【テーマコード(参考)】
4H049
【Fターム(参考)】
4H049VN01
4H049VP01
4H049VQ12
4H049VR11
4H049VR21
4H049VR32
4H049VT04
4H049VT24
4H049VU36
(57)【要約】
本発明は、塩化メチル含有反応性ガスと、ケイ素を含む粒子状接触塊及び触媒を反応させることで、流動床反応器内でオレガノクロロシランを製造する方法に関し、オレガノクロロシランは一般式:
(CH3)nHSiCl4-n-m (ここでnは1~3であり、mは0又は1である)
を有し、反応器の設計は指数(K1)によって記述され、接触塊の構成は指数(K2)で記述され、反応条件は指数(K3)で記述されており、ここで、K1は1~20の値を有し、K2は0.001~200の値を有し、K3の0.5~10,000の値を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化メチル含有反応ガスと、ケイ素を含む粒子状接触塊及び触媒を反応させて、流動床反応器でオルガノクロロシランを製造する方法であって、前記オルガノクロロシランが、一般式(CH
3)
nHSiCl
4-n-mであり、nは1~3、mは0又は1であり、
- 反応器の設計を指数
【数1】
φ=反応器の充填レベル、
V
reactor,eff=反応器内部の有効容積[m
3]、
A
tot,cooled=反応器内の冷却された表面積の総和[m
2]、
d
hyd=反応器の水力直径[m]、
で記述し、
- 接触塊の構成を指数
【数2】
B
AK=接触塊の粒度分布の幅[μm]、
d
32=粒子ザウター径[μm]、
R
Si=ケイ素の純度、
δ
rel=接触塊中の相対的な触媒分布、
で記述し、
- 反応条件を指数
【数3】
u
L=表層ガス速度[m/s]、
ν
F=流体の動粘度[m
2/s]、
ρ
F=流体密度[kg/m
3]、
p
diff=流動床上の圧力損失[kg/m*s
2]、
g=重力による加速度[m/s
2]、
で記述し、
ここで、K1は1~30の値を有し、K2は0.0005~2の値を有し、K3は0.2~3000の値を有する
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
K1が、1.2~25、好ましくは1.5~20の値を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
K2が、0.001~1.75、好ましくは0.001~1.2の値を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
K3が、1~2800、好ましくは10~2500の値を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記反応器内部の有効容積V
reactor,effが、1.5~2400m
3、好ましくは5~1200m
3、特に好ましくは12~810m
3であることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記プラントの水力直径d
hydが、0.1~1.5m、好ましくは0.15~1.3m、特に好ましくは0.2~1.1mであることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
流動床上の圧力損失p
diffが、10,000~200,000kg/m*s
2、好ましくは20,000~150,000kg/m*s
2、特に好ましくは50,000~130,000kg/m*s
2であることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記粒子ザウター径d
32が、5~350μm、好ましくは10~300μm、特に好ましくは10~250μmであることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記接触塊の粒度分布の幅B
AKが、10~1000μm、好ましくは20~900μm、特に好ましくは30~800μmであることを特徴とする、前記請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記接触塊中の相対的な触媒分布δ
relが、0.001~0.6、好ましくは0.015~0.5、特に好ましくは0.003~0.2であることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
触媒が、Fe、Cr、Ni、Co、Mn、W、Mo、V、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、Te、Ti、Zr、C、Ge、Sn、Pb、Cu、Zn、Cd、Mg、Ca、Sr、Ba、B、Al、Y、Cl及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記接触塊が、少なくとも1つのプロモーターを含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記表面ガス速度u
Lが、0.002~0.4m/s、好ましくは0.005~0.36m/s、特に好ましくは0.008~0.32m/sであることを特徴とする、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記流体密度ρ
Fが、1~5kg/m
3であることを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
動粘度ν
Fが、3*10
-6~2.5*10
-5m
2/sであることを特徴とする、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
反応ガスが、反応器に入る前に、塩化メチルを少なくとも50vol%、好ましくは少なくとも70vol%、特に好ましくは少なくとも90vol%含むことを特徴とする、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化メチル含有反応ガスと、ケイ素を含む粒子状接触塊及び触媒を反応させて、流動床反応器でオルガノクロロシランを製造する方法に関し、オルガノクロロシランは、一般式(CH3)nHSiCl4-n-mを有し(nは1~3、mは0又は1)で表される。流動床反応器の設計は、指数K1、接触塊の構成は指数K2、反応条件は指数K3によって記述され、指数K1は1~20の値を有し、指数K2は0.001~200の値を有し、指数K3は0.5~10,000の値を有する。
【背景技術】
【0002】
ケイ素製品の市場は、その中で事業を展開する企業にとって、急速に変化する環境である。需要の変化、品質要求の高まり、原材料やエネルギーの価格の変動、規制の強化などにより、最大限可能な限りの経済性を達成するためには、高度な事業の機敏性と効率性が求められている。
【0003】
特に重要な製品群は、技術的にはシリコーンと呼称される、ポリシロキサンの物質群の下に含まれる。シリコーンの工業生産は、オルガノクロロシランの加水分解とその後の縮合によって行われる。その結果として、工業用シリコーン化学では、メチルシロキサンが主流であり、対応する出発物質であるメチルクロロシランの合成が、最も経済的に重要である。産業界では、メチルクロロシランはほぼ独占的に、いわゆるミュラー-ロショー直接合成(MRDS)で製造されている。
【0004】
MRDSは、一般に、触媒及び任意選択的に適切なプロモーターの存在下で、炭素結合塩素(通常は塩化メチル(MeCl))及びケイ素を含む有機化合物を反応させて、反応式(1)に従い、オルガノクロロシラン、特にメチルクロロシラン(MCS)を得ることを含む。
(1) Si+CH3Cl -(触媒、任意選択的にプロモーター)->
(CH3)nHmSiCl4-n-m +副生成物(n=1~3,m=0,1)
【0005】
MRDSの典型的な主生成物及び副生成物と、それらの典型的な発生割合を表1にまとめた。副生成物の成分は、炭化水素や金属塩化物などの不純物をさらに含むことがある。これは典型的には、蒸留が続いて行われ、高純度のオルガノクロロシランを生成する。
【0006】
【0007】
可能な限り最高の生産性(単位時間と反応量あたりのオルガノクロロシランの形成量)と可能な限り最高の選択性に加えて、特に基本的に最も重要なターゲット製品であるジメチルジクロロシラン(DMDCS,(CH3)2SiCl2)に基づいて、プラント全体の安全かつ柔軟な運転に関連して、可能な限り最高のケイ素の利用も要求される。DMDCSは、例えば、直鎖状及び環状シロキサンの製造に必要とされ、これらをさらに重合させて、幅広いスペクトルのポリジメチルシロキサンを製造することができる。
【0008】
MRDSは、非連続的に、又は連続的に実施することができる。どちらの方法でも、オルガノクロロシランの大規模な工業規模生産は、一般に流動床反応を介して行われ、炭素結合塩素を含む有機化合物を含む反応ガスが、同時に流動媒体として機能する。MRDSの流動床反応は、多くの異なる影響を与える変数及び規則が交差する、複雑なプロセスである。
【0009】
操作性能(例えば、DMDCS選択性、生産性、高沸点副生成物の低い形成、二次シラン選択性、及び/又はMRDSの比率(二次シランは、DMDCSに加えてMRDSで形成されるすべてのシラン類を指す)は、一般に、反応器の設計、運転中の造粒/接触塊、及び確立された反応パラメータにも決定的に依存する。また、特に連続プロセスモードでは、反応成分であるケイ素及びMeCl、さらに触媒及び任意選択的にプロモーターを反応条件の下で反応器に導入する必要があり、これはかなりの技術的な複雑さを伴う。不連続MRDSプロセスも一般には同様に複雑である。したがって、可能な限り最高の生産性(単位時間及び単位反応体積あたりの、オルガノクロロシランの形成量)を実現すること、及び所望の標的生成物(一般的にはDMDCS)に基づいた可能な限り最高の選択性を実現することが重要である。
【0010】
既知のプロセスは、一般に複雑でエネルギー集約型である。必要とされるエネルギーの供給は、一般的に電気的手段によって行われるため、かなりのコスト要因となっている。流動床反応器におけるLTCの運転性能(例えば、TCS選択性-加重生産性、高沸点の副生成物の形成の少なさで表される)は、確立可能な反応パラメータに決定的に依存している。また、反応成分であるケイ素、STC及び水素を反応条件の下で反応器に導入するためには、連続プロセスモードが必要であり、これはかなりの技術的な複雑さを伴う。このような背景から、可能な限り最高の生産性(単位時間及び単位反応体積あたりの、クロロシランの形成量)、及び所望の目標生成物(一般的にはTCS)に基づいた可能な限り最高の選択性(TCS選択性-加重生産性)を実現することが重要である。
【0011】
MRDSによるオルガノクロロシランの製造は、動力学的プロセスである。最も効率的で可能な運転と継続的な最適化を実現するためには、基礎となる動力学を理解する必要がある。この目的のために、プロセスモニタリングには高時間分解能の方法が使用される。
【0012】
抜取り試料の分析(オフライン測定/アットライン測定)によって、MRDS製品混合物の組成を実験室で測定することは、大きな労働力を要することとして知られている。しかし、これは常に時間遅延で行われるため、せいぜい流動床反応器の、離散的な運転状態の、各瞬間の遡及的なスナップショットを提供するに過ぎない。しかし、例えば、複数の反応器からの生成ガス流が凝縮部に渡され、この凝縮混合物の試料のみが抜取られる場合、分析結果からは、個々の反応器の運転状態についての具体的な結論を導けない。
【0013】
より高時間分解能で(好ましくは各反応器で別々に)MRDS製品混合物の組成を測定することを可能にするために、ガス及び/又は凝縮水の流れの中のプロセス分析装置、例えばガスクロマトグラフを使用することができる(オンライン/インライン、及び/又は非侵襲的な測定)。ここでの一般的な欠点は、高い機械的ストレス(摩耗)及び侵襲的な化学環境のため、使用可能な装置の数が限られていることである。さらなるコスト要因は、一般的に高い調達コストとメンテナンスコストである。
【0014】
MRDS反応器(複数)の個別の運転状態を特定するためには、原則として、以下のように分類される様々なプロセス分析手法を使用することが可能である(W.-DHergeth, On-Line Monitoring of Chemical Reactions.ウルマン工業化学百科事典、Wiley.Weinheim, Germany 2006)。
【0015】
【0016】
プロセス分析装置の欠点は、いわゆるソフトセンサ(仮想センサ)に基づいた、モデルベースの方法論によって回避される可能性がある。ソフトセンサは、プロセスの運転に不可欠な運転パラメータ(例えば、温度、圧力、体積流量、充填レベル、出力、質量流量、バルブ位置など)の連続的に収集された測定データを使用する。これにより、例えば主生成物や副生成物の濃度を予測することが可能になる。
【0017】
ソフトセンサは数学的な方程式に基づいており、目標値に対する代表的な測定値の依存性シミュレーションである。言い換えれば、ソフトセンサは相関する測定値の依存性をモデル化し、目標パラメータを与える。このように、目標パラメータは直接測定されるのではなく、それと相関する測定値を用いて測定される。MRDSに適用すると、例えばDMDCSの含有量やDMDCSの選択性は、実際の測定センサ(例えば、プロセスガスクロマトグラフ)によって測定されるのではなく、動作パラメータ間の相関関係を介して計算されることを意味する。
【0018】
ソフトセンサのための数学的な方程式の生成は、完全に経験的な(例えば、修正された動力学法則モデルに基づいた)、部分的に経験的な(例えば、反応速度を記述するための運動方程式に基づいた)、又は基本的な(例えば、流体力学及び運動学の基本方程式に基づいた)モデリングによって行われてもよい。数学的な方程式は、プロセスシミュレーションプログラム(例えば、OpenFOAM、ANSYS若しくはBarracuda)、又は回帰プログラム(例えば、MATLAB(登録商標)、Excel VBA若しくはMaple)を使用して導出されてもよい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】W.-DHergeth, On-Line Monitoring of Chemical Reactions.ウルマン工業化学百科事典、Wiley.Weinheim, Germany 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、MRDSの経済性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この目的は、塩化メチル含有反応ガスと、ケイ素を含む粒子状接触塊及び触媒を反応させて、流動床反応器内でオルガノクロロシランを製造するプロセスによって達成され、ここで、オルガノクロロシランは、一般式(CH3)nHSiCl4-n-mを有し、ここで、nは1~3であり、mは0又は1である。
【0022】
反応器の設計は無次元指数K1、ここでは、
【0023】
【数1】
φ=反応器の充填レベル、
V
reactor,eff=反応器内部の有効容積[m
3]、
A
tot,coled=反応器内の冷却された表面積の総和[m
2]、及び
d
hyd=反応器の水力直径[m]、
で記述する。
【0024】
接触塊の構成は無次元指数K2、ここでは、
【0025】
【数2】
B
AK=接触塊の粒度分布の幅[μm]、
d
32=粒子ザウター径[μm]、
R
Si=ケイ素の純度、及び
δ
rel=接触塊中の相対的な触媒分布、
で記述する。
【0026】
反応条件は無次元指数K3、ここでは、
【0027】
【数3】
u
L=表層ガス速度[m/s]、
ν
F=流体(反応器内部の気体反応混合物)の動粘度[m
2/s]、
ρ
F=流体密度[kg/m
3]、
p
diff=流動床上の圧力損失[kg/m*s
2]、及び
g=重力による加速度[m/s
2]、
で記述する。
【0028】
プロセスでは、K1は1~30までの値、K2は0.0005~2までの値、K3は0.2~3000までの値が規定されている。これらの範囲内では、プロセスの生産性が特に高くなる。
【0029】
プロセスモニタリングの物理的及び仮想的方法を使用することで、特定のパラメータ設定及びその組み合わせを選択することを通じて、プロセスが特に経済的な方法で操作可能となるように、K1、K2及びK3を介してMRDSを記述することを可能にする、新たな相関関係を特定することが可能になった。本発明に従ったプロセスは、「高度プロセス制御(APC)」の文脈において、統合された、予測的なプロセス制御を可能にする。MRDSが、特にプロセス制御システム(好ましくはAPC制御装置)を介して、K1、K2及びK3についての本発明の範囲内で実行される場合、可能な限り最高の経済効率が達成される。ケイ素製品、特にシリコーンの生産のための統合システムにおいて、これは、生産シーケンス全体を最適化し、生産コストを低減することを可能にする。
【0030】
直交座標系でプロットすると、指数K1、K2、K3の範囲は、3次元空間にまたがっており、それは、MRDSの動作範囲として特に有利となることを示す。このような動作範囲を、
図1に模式的に示す。本発明に従ったプロセスはまた、特に、MRDSのための新規な流動床反応器の構成を簡素化する。
【0031】
ソフトセンサはさらに、例えばDMDSの選択性などの性能パラメータをK1、K2、K3の関数として表示することができる。このようにして、高時間分解能で測定された性能データは、プロセス制御手段、特にモデル-予測制御手段に、操作変数として提供することができる。これにより、経済的に最適化された方法で、プロセスを作動させることができる。
【0032】
プロセスの好ましい実施形態では、K1は1.2~25、好ましくは、1.5~20の値を有する。
【0033】
好ましくは、K2は0.001~1.75、好ましくは、0.001~1.2の値を有する。
【0034】
好ましくは、K3は1~28000、好ましくは、10~2500の値を有する。
【0035】
図2は、プロセスを実行するための反応器内部6を有する、流動床反応器1の概略図である。反応ガス2は、好ましくは下方から及び任意選択的に側方から(例えば下方からのガス流に対して、接線方向又は直交方向に)粒子状接触塊に注入され、それによって接触塊の微粒子を流動化して流動床3を形成する。反応は、一般に、反応器の外部に配置された加熱装置(図示せず)を使用して、流動床3を加熱することによって開始される。加熱は、通常、連続運転中には必要とされない。粒子の一部は、ガス流によって、流動床3から流動床3の上方の空間4に運ばれる。空間4は、非常に低い固体密度を特徴とし、前記密度は、反応器の出口の方向に向かって減少する。このようなガス流と共に反応器を出ていく粒子画分を粒子排出5という。流動床反応器の例は、WO2017/178080A1及びB. Kanner, K.M. Lewis, ”Commercial Production of Silanes by the Direct Synthesis”;Studies in Organic Chemistry - Catalyzed Direct Reactions of Silicon, Elsevier Science Publishers B.V.,1993,49,1-46に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】直交座標系でプロットすると、指数K1、K2、K3の範囲は、3次元空間にまたがっており、MRDSの動作範囲として特に有利となる範囲を模式的に示す。
【
図2】プロセスを実行するための反応器内部6を有する、流動床反応器1の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
<K1-充填レベルで加重した反応器設計>
指数K1は、式1による反応器形状のパラメータ、すなわち、反応器内部の有効容積Vreactor,eff、反応器内部の冷却された表面積の総和Atot,cooled、及び水力直径dhyd,を、無次元の充填レベルφで表される流動床に関連付けるものである。
【0038】
Vreactor,effは、反応器内部の全容積から全内部容積を差し引いたものに相当する。Vreactor,effは、好ましくは1.5~2400m3、好ましくは5~1200m3、特に好ましくは12~810m3である。
【0039】
流動床反応器における流体力学の研究は、流動床反応器の内部の形状が流体力学に決定的な影響を与え、ひいては生産性にも影響を与えうることを示してきた。内部とは、特に反応ガス及び/又は接触塊の粒子と接触する可能性のある領域(すなわち、特に、空間及び流動床が形成される領域の両方)を意味すると理解されるべきである。内部の形状は、高さ、幅、形状(例えば、円柱又は円錐形)などの一般的な構造上の特徴だけでなく、内部に配置された内装によっても測定される。内装は、特に、熱交換器ユニット、スティフニング面、反応ガスを導入するためのフィード(導管)、反応ガスを分配するための装置(例えば、ガス分配板)などであってもよい。
【0040】
反応器内部の冷却された表面積の総和であるAtot,cooledは、熱交換にどれだけの表面積を利用できるかを規定している。例えば、Atot,cooledは、(個々のランスパイプやU字管からなる)冷却マトリックス及びジャケット冷却器の表面積で構成されている。
【0041】
流動床反応器の水力直径dhydは、流体機械的な摩擦及び内部、流路、その他の形状の表面効果を、等価直径に帰属させることで記述することを可能にする、工学的な指数である。dhydは、式2により計算される。
【0042】
【数4】
A
q、free=内部の自由流断面積[m
2]、及び
U
tot,wetted=全内部の濡れた外周部[m]
である。
【0043】
自由流断面積は、流動床が形成されている反応器の部分(内装がない部分)の断面積である。
【0044】
プラントの水力直径dhydは、好ましくは0.1~1.5m、特に好ましくは0.15~1.3m、特に0.2~1.1mである。
【0045】
すべての対象物の測定(内部の直径、内部の周囲、冷却された表面積)は、例えば、レーザー測定/3Dスキャン(例えばZEISS COMET L3D 2)により測定することができる。このような寸法は、典型的には、反応器メーカーの文献から識別することができ、及び/又は設計図を参照して計算することもできる。
【0046】
充填レベルφは、反応器内部にどれだけの接触塊が存在するかを示すものである。φは式3により計算される。
【0047】
【数5】
p
diff=流動床上の圧力損失[kg/m*s
2]、及び
ρ
p=接触塊の粒子固形分密度[kg/m
3]、
である。
【0048】
粒子固形分密度ρpは、ほぼ一定と考えてよい。代表的な値は、例えば、2336kg/m3(20℃におけるSiの密度)である。測定は、ピクノメーターを用いて行ってもよい。
【0049】
流動床上の圧力降下pdiffは、好ましくは、10,000~200,000kg/m*s2、特に好ましくは 20,000~150,000kg/m*s2、特に、50,000~130,000kg/m*s2である。pdiffを測定するために、圧力は、反応ガスの導入管及びオフガスの排出管の両方で、例えばマノメーターを使って測定することができる。pdiffは、その差分である。
【0050】
<K2-接触塊の構成>
K2は、式4を介して、使用される粒子状接触塊の構成、特に造粒を記述する。
【0051】
K2は、ケイ素の無次元純度RSi、接触塊の粒度分布の幅BAK、ザウター径d32、及び接触塊中の相対的な触媒の分布δrelから構成される。BAKは、式5に従って導出される。
【0052】
【数6】
d
10[μm]は、相対的に小さい粒子の大きさの尺度であり、値d
90[μm]は、画分又は造粒混合物中の相対的に大きい粒子の大きさの尺度である。d
10及びd
90は、一般に、粒径分布の特徴付けのための重要なパラメータである。例えば、値d
10は、全粒子の10%が言及された値よりも小さいことを意味する。値d
50は、さらにメジアン粒径として定義されている(DIN 13320参照)。
【0053】
d10及びd90の値は、10~1000μm、より好ましくは20~900μm、特に好ましくは30~800μmの、接触塊の粒度分布の幅BAKが得られるように選択される。
【0054】
ザウター径d32は、接触塊の体表面積平均粒径であり、好ましくは5~350μm、より好ましくは10~300μm、特に好ましくは10~250μmである。
【0055】
粒度分布の幅及びザウター径の測定は、ISO133320(レーザー回折)及び/又はISO13322(画像解析)により行ってもよい。粒度分布からの平均粒径及び直径の計算は、DIN ISO 9276-2により行ってもよい。
【0056】
接触塊中の相対的な触媒分布δrelは、触媒に対する粒子状接触塊の濡れ性、及び一般的な濡れ性の尺度である。触媒という用語は、特に、流動床反応器に添加されてもよい異なる触媒の混合物、並びに触媒及びプロモーターの混合物をも含むものとして理解されるべきである。したがって、δrelはまた、触媒混合物又は触媒-プロモーター混合物に対する、粒子状接触塊の濡れ性の尺度であり得る。
【0057】
δrelは、式6に従って計算できる。
【0058】
【数7】
λ=触媒/ケイ素造粒物の質量比、又は触媒充填、
O
spec、cat=触媒の平均比表面積[m
2/kg]、及び
O
spec、SiG=ケイ素造粒物の平均比表面積[m
2/kg]
である。
【0059】
接触塊中の相対的な触媒分布δrelは、好ましくは0.001~0.6、好ましくは0.015~0.5、特に好ましくは0.003~0.2である。
【0060】
平均比表面積は、例えば、BET法(ISO9277)により、ガス吸着により測定できる。
【0061】
「造粒物」は、特に、例えば、チャンク状ケイ素、特に冶金ケイ素(Simg)を、粉砕プラント及び破砕プラントといった手段を用いて粉砕することによって得られる、ケイ素粒子の混合物を意味するものとして理解されるべきである。チャンク状ケイ素は、>10mm、好ましくは>20mm、特に好ましくは>50mmの平均粒径を有していてもよい。最大平均粒径は、好ましくは、500nmである。造粒物は、ふるい分け(sieving)、及び/又はふるい分け(sifting)によって本質的に画分に分類されてもよい。
【0062】
造粒物は、以下の方法、
- チャンク状ケイ素の粉砕と破砕、その後の任意選択的なふるい分け(sieving)及び/又はふるい分け(sifting)(分級)、
- 廃棄物、特に、様々なタイプのケイ素(ウェハ、多結晶(polycrystalline)/多結晶(multicrystalline)/単結晶ケイ素、Simg)の処理(粉砕、破砕、鋸引き)で発生する粉塵の形態にあり;これらは、標的とする粒径の範囲外にある画分である、オーバーサイズ、及び/又はアンダーサイズの形態で分級することができる。
- 造粒されたSimg又はポリケイ素、及びそこから形成された共生成材料、特にケイ素粉塵(平均粒径<10μm。任意選択的に、例えば、ペレットの形態で処理(圧縮/凝集)された)を製造するための工程、
で製造することができる。
【0063】
異なる造粒物の混合物を造粒混合物と称し、造粒混合物を構成する造粒物を造粒画分と称することがある。造粒画分は、互いに相対的に、粗粒画分と細粒画分に分類することができる。1つ以上の造粒画分は、原則として、造粒混合物の場合には粗粒画分、及び/又は細粒画分に分類されてもよい。流動床反応器に導入された造粒物は、作動造粒物と呼ばれてもよい。接触塊は、一般に、反応器内の反応ガスと接触させる造粒混合物である。
【0064】
接触塊は、特に造粒混合物である。接触塊は、好ましくは、ケイ素、触媒、及び任意選択的なプロモーターに加えて、それ以上の成分を含まない。ケイ素は、好ましくは、5重量%以下、特に好ましくは2重量%以下、特に1重量%以下の他の元素を不純物として含むケイ素である。ケイ素は、好ましくは、典型的には98%~99.9%の純度を有するSimgである。典型的な組成物は、例えば98%のケイ素からなり、残りの2%は、一般的に大部分が以下の元素:Fe、Ca、Al、Ti、Cu、Mn、Cr、V、Ni、Mg、B、C、P及びOから構成されている。さらなる元素:Co、W、Mo、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Zr、Ge、Sn、Pb、Zn、Cd、Sr、Ba、Y及びClが存在してもよい。したがって、指定されたケイ素純度は、測定されるケイ素試料の中で、引用された元素の含有量が測定され、これらの合計が純度(例えば、重量%で)を計算するために使用されると、理解される。不純物の合計含有量が2重量%と測定された場合、これは98重量%のケイ素含有量に相当する。しかし、75%から98%の低い純度を有するケイ素を使用することも可能である。しかしながら、ケイ素の含有量は、好ましくは75重量%よりも大きく、より好ましくは85重量%よりも大きく、特に好ましくは95重量%よりも大きい。
【0065】
触媒は、Fe、Cr、Ni、Co、Mn、W、Mo、V、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、Te、Ti、Zr、C、Ge、Sn、Pb、Cu、Zn、Cd、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Y、Clからなる群から選択される、1種以上の元素であってもよい。好ましくは、触媒は、Fe、Al、Ca、Ni、Mn、Cu、Zn、Sn、C、V、Ti、Cr、B、P、O、Cl及びそれらの混合物を含む群から選択される。これらの、触媒的な活性であり、場合によってはプロモートもする元素は、不純物として、例えば、酸化物又は金属の形態で、ケイ化物として、又は他の冶金相で、又は酸化物又は塩化物として、ケイ素中に一定の割合で既に存在していることがある。その割合は、使用されるケイ素の純度に依存する。しかしながら、プレフォーミングにより、触媒混合物又は触媒-プロモーター混合物を含むケイ素を特異的に製造することも可能である。
【0066】
触媒は、金属、合金及び/又は塩のような形態で、接触塊に添加してもよい。特に、触媒活性元素の塩化物及び/又は酸化物を考慮してもよい。好ましい化合物は、CuCl、CuCl2、CuP、CuO又はそれらの混合物である。接触塊は、さらに、プロモーター、例えばZn及び/又はZnCl2及び/又はSnを含んでもよい。
【0067】
用いられるケイ素の元素組成、及び接触塊の元素組成は、例えば蛍光X線分析によって測定することができる。
【0068】
ケイ素を基に、触媒は、好ましくは0.1~20重量%、特に好ましくは0.5~15重量%、特に0.8~10重量%、とりわけ好ましくは1~5重量%の割合で存在する。
【0069】
<K3-反応条件>
指数K3は、MRDSの最も重要なパラメータを、式7を介して相互に関連づけている。ここには、表層ガス速度uL、流動床上の圧力損失pdiff、流体の動粘度νF、及び流体密度ρFが含まれている。流体は、反応器内部のガス状反応混合物を意味するものと理解される。
【0070】
表層ガス速度uLは、好ましくは0.002~0.4m/s、好ましくは0.005~0.36m/s、特に好ましくは0.008~0.32m/sである。
【0071】
流体密度ρF及び動粘度νFは、ソフトウェアを用いた(相)平衡状態のシミュレーションによって測定されてもよい。これらのシミュレーションは、典型的には、物理的パラメータ(例えば、p及びT)を変化させるために、気相及び液相の両方で実際に測定された反応混合物の組成を利用した、状態方程式に基づいている。このようなシミュレーションモデルは、実際の運転状態/パラメータを用いて検証することができ、パラメータρF及びνFに関して、最適な運転を設定することができる。
【0072】
相平衡の測定は、例えば、測定装置(例えば、改良型Rock and Sieg 再循環装置、例えば、MKS Baratron Type 690、MKS Instruments)を使用して実施することができる。圧力や温度などの物理的な影響を与える変数の変化は、物質混合物の状態変化をもたらす。これに続き、このような状態の変化を分析し、例えばガスクロマトグラフを用いて成分組成を測定する。状態方程式を適用し、相平衡を記述するために、コンピュータ支援モデリングを使用することができる。相平衡を計算できるように、データはソフトウェアプログラムに転送される。
【0073】
動粘度とは、移動する流体中の流れ方向に垂直な運動量の伝達を表す尺度である。動粘度νFは、力学的粘度と流体密度を介して記述することができる。密度は、例えば、液体の場合はRackett方程式、気体の場合Peng-Robinsonなどの状態方程式を介して近似してもよい。密度の測定は、デジタル密度測定器(例えば、Anton Paar製DMA58)を用いて、ねじり振子法(固有振動数測定)を使用して行ってもよい。
【0074】
流体密度ρFは、好ましくは1~5kg/m3の範囲である。
【0075】
動粘度νFは、好ましくは3*10-6~2.5*10-5m2/sの範囲である。
【0076】
本発明によるプロセスが好ましく行われる、流動床反応器内の絶対圧力は、0.05~1MPa、特に好ましくは0.08~0.8MPa、特に0.1~0.6MPaである。
【0077】
プロセスは、好ましくは220℃~400℃、特に好ましくは250℃~380℃、特に好ましくは280℃~350℃の温度範囲で行われる。
【0078】
反応ガスは、好ましくは、反応器に入る前に、MeClを少なくとも50vol%、特に好ましくは少なくとも70vol%、特に少なくとも90vol%含む。
【0079】
反応ガスは、クロロシラン類、メチルクロロシラン類、HCl、H2、CH4、C2H6、CO、CO2、O2及びN2からなる群から選択される1種以上の成分をさらに含んでいてもよい。これらの成分は、例えばリサイクルガス中に不純物として存在していてもよい。
【0080】
反応ガスは、キャリアガス、例えば窒素又はアルゴンなどの希ガスをさらに含んでいてもよい。
【0081】
反応ガスの組成は、典型的には、反応器に供給する前に、ラマン分光法、赤外分光法、及びガスクロマトグラフィーを用いて測定される。これは、スポットチェックの方法で採取された試料と、それに続く「オフライン分析」を介して行われてもよいし、又は、さもなくば、システムに接続された「オンライン」分析装置を介して行われてもよい。
【0082】
このプロセスは、好ましくは、ポリシロキサンを製造するための統合されたシステムの一部である。プロセスはさらに、シリコーンエラストマー、シリコーンオイル、機能性シロキサン、シリコーン樹脂、シリコーン樹脂配合物、直鎖状及び環状ポリジメチルシロキサン、ケイ酸塩、有機官能化シラン、クロロシラン及びポリシリコンを製造するための、統合されたシステムの一部であってもよい。
【実施例】
【0083】
これらの知見と相関関係を、オルガノクロロシラン製造における生産性に適用し、指数K1、K2、及びK3の範囲(運転範囲)を定義するために、異なる規模の連続運転及び非連続運転の流動床反応器について、詳細な調査を行った。
【0084】
V(表2:V1~V15)における各種実験を実施し,それぞれの場合において,下記:プラント水力径dhyd(0.1m~1.5m)、表層ガス速度uL(0.0015~0.5m/s)、粒子ザウター径d32(5μm~1000μm)、運転中の造粒物の幅BAK(10~1000μm)、接触塊上の相対触媒分布δrel(0.0002~3)、ケイ素の純度(0.75~0.99999)、触媒担持λ(0.0004~0.6)、流動床上の圧力損失pdiff(10,000~230,000kg/m*s2)、を変化させた。
【0085】
粒子固形分密度ρPは、ほぼ一定、例えば2336kg/m3であると考えてもよい。流体密度ρFは、典型的には1~5kg/m3の範囲にある。動粘度νFは、典型的には3*10-6から2.5*10-5m2/sの範囲にある。
【0086】
指数K1、(式1)、K2(式4)及びK3(式7)は、選択された/指定されたパラメータから導出された。生産性[kg/(kg*h)]、すなわち、反応器で使用される接触塊(運転に用いられる造粒物)の量[kg]に基づく、1時間当たりのオルガノクロロシランの生成量[kg/h]は、選択されたK1、K2及びK3の組み合わせを評価し、最適な範囲を定義するための基礎として使用した。オルガノクロロシラン製品混合物の量に基づいて、0.15kg/(kg*h)以上の生産性が最適/許容範囲と考えられる。V1からV15は、最適範囲を測定するために実施された複数の実験の代表とし引用されている。実験V1、V2、V10、V11及びV15では、生産性が満足できるものではない。このような種々の否定的な例は、指数の基礎となるパラメータの、最適範囲を測定するために使用された。したがって、実施例の冒頭に引用された範囲は、主張された範囲よりも広い。
【0087】
【0088】
実験の結果、指数K1、K2及びK3の最適範囲でプロセスを実施した場合、MRDSにより、特に高い生産性を有するオルガノクロロシランの製造が可能であることが示された。
【手続補正書】
【提出日】2019-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化メチル含有反応ガスと、ケイ素を含む粒子状接触塊及び触媒を反応させて、流動床反応器でオルガノクロロシランを製造する方法であって、前記オルガノクロロシランが、一般式(CH
3)
nHSiCl
4-n-mであり、nは1~3、mは0又は1であり、
- 反応器の設計を指数
【数1】
φ=反応器の充填レベル、
V
reactor,eff=反応器内部の有効容積[m
3]、
A
tot,cooled=反応器内の冷却された表面積の総和[m
2]、
d
hyd=反応器の水力直径[m]、
で記述し、
- 接触塊の構成を指数
【数2】
B
AK=接触塊の粒度分布の幅[μm]、
d
32=粒子ザウター径[μm]、
R
Si=ケイ素の純度、
δ
rel=接触塊中の相対的な触媒分布、
で記述し、
ここで、δ
rel
は0.001~0.6、d
32
は5~350μm、B
AK
は10~1000μm、及びR
Si
は0.75~0.99999であり、
- 反応条件を指数
【数3】
u
L=表層ガス速度[m/s]、
ν
F=流体の動粘度[m
2/s]、
ρ
F=流体密度[kg/m
3]、
p
diff=流動床上の圧力損失[kg/m*s
2]、
g=重力による加速度[m/s
2]、
で記述し、
ここで、p
diff
は10,000~200,000kg/m*s
2
、u
L
は0.002~0.4m/s、ρ
F
は1~5kg/m
3
、及びν
F
は3*10
-6
~2.5*10
-5
m
2
/sであり、
ここで、K1は1~30の値を有し、K2は0.0005~2の値を有し、K3は0.2~3000の値を有する
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
K1が、1.2~25、好ましくは1.5~20の値を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
K2が、0.001~1.75、好ましくは0.001~1.2の値を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
K3が、1~2800、好ましくは10~2500の値を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記反応器内部の有効容積V
reactor,effが
、5~1200m
3
、好ましくは12~810m
3であることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記プラントの水力直径d
hydが
、0.15~1.3m
、好ましくは0.2~1.1mであることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
流動床上の圧力損失p
diffが
、20,000~150,000kg/m*s
2
、好ましくは50,000~130,000kg/m*s
2であることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記粒子ザウター径d
32が
、10~300μm
、好ましくは10~250μmであることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記接触塊の粒度分布の幅B
AKが
、20~900μm
、好ましくは30~800μmであることを特徴とする、前記請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記接触塊中の相対的な触媒分布δ
relが
、0.015~0.5
、好ましくは0.003~0.2であることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
触媒が、Fe、Cr、Ni、Co、Mn、W、Mo、V、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、Te、Ti、Zr、C、Ge、Sn、Pb、Cu、Zn、Cd、Mg、Ca、Sr、Ba、B、Al、Y、Cl及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記接触塊が、少なくとも1つのプロモーターを含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記表面ガス速度u
Lが
、0.005~0.36m/s
、好ましくは0.008~0.32m/sであることを特徴とする、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
反応ガスが、反応器に入る前に、塩化メチルを少なくとも50vol%、好ましくは少なくとも70vol%、特に好ましくは少なくとも90vol%含むことを特徴とする、請求項1~
13のいずれかに記載の方法。
【国際調査報告】