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特表2022-517465心臓活性化波面をマッピングするためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-09
(54)【発明の名称】心臓活性化波面をマッピングするためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/287 20210101AFI20220302BHJP
   A61B 5/343 20210101ALI20220302BHJP
   A61B 5/349 20210101ALI20220302BHJP
【FI】
A61B5/287 200
A61B5/343
A61B5/349
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021520985
(86)(22)【出願日】2019-12-09
(85)【翻訳文提出日】2021-06-14
(86)【国際出願番号】 US2019065241
(87)【国際公開番号】W WO2020142165
(87)【国際公開日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】62/787,962
(32)【優先日】2019-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511177374
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル,カーディオロジー・ディヴィジョン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン オー. マンガール-ソト
(72)【発明者】
【氏名】フェデリコ カローレ
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127GG05
4C127HH13
4C127LL08
(57)【要約】
心臓活性化波面は、多電極カテーテルによって収集された電気生理学的データから、1つ又は複数の経路又は経路線として算出されてよい。本開示の実施形態では、経路又は経路線は、電極から第1の活性化双極を識別し、次いで、連続的に後続して活性化する隣接した双極を繰り返し識別することによって、算出される。このプロセスは、患者の心臓内の多電極カテーテルの他の双極及び/又は他の位置について繰り返されてよい。本開示のさらなる実施形態では、経路または経路線は、心臓のジオメトリに亘って分布する伝導速度ベクトル場又はメッシュから、伝導速度ベクトル場を通る1つ又は複数のシード点の経路を識別することによって、算出される。経路及び/又は経路線は、3次元心臓ジオメトリモデル上などに、グラフィカル出力されてよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の経路として心臓活性化波面をマッピングする方法であって、
電気解剖学的マッピングシステムにおいて、多電極カテーテルによって担持された複数の電極から電気生物学的データを受信するステップであって、前記複数の電極は、複数の双極を画定し、前記電気生物学的データは、活性化タイミング情報を含む、前記受信するステップと、
前記電気解剖学的マッピングシステムが、以下のステップ、即ち、
前記活性化タイミング情報から、前記複数の双極のうち第1の活性化双極を識別するステップと、
前記活性化タイミング情報から、前記第1の活性化双極から始まって最後の活性化双極で終わる活性化経路を識別するステップと、を実行すること、と
を備える、方法。
【請求項2】
前記第1の活性化双極から始まって前記最後の活性化双極で終わる前記活性化経路を識別するステップは、
前記第1の活性化双極に隣接する前記複数の双極の初期サブセットを識別するステップと、
前記複数の双極の前記初期サブセットのうちの最も早い活性化双極を識別するステップと、
前記複数の双極の前記初期サブセットのうちの前記最も早い活性化双極を、次の活性化双極として、前記活性化経路に追加するステップと、
繰り返すステップであって、以下のステップ、即ち、
前記次の活性化双極に隣接する前記複数の双極の後続サブセットを識別するステップと、
前記複数の双極の前記後続サブセットのうち最も早い活性化双極を識別するステップと、
前記複数の双極の前記後続サブセットの前記最も早い活性化双極を、次の活性化双極として、前記活性化経路に追加するステップと、を前記最後の活性化双極が前記活性化経路に追加されるまで繰り返す、前記繰り返すステップと、
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
心臓ジオメトリモデル上に、前記活性化経路のグラフィカル表示を出力するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記電気解剖学的マッピングシステムが、以下のステップ、即ち、
前記複数の双極のうち、前記活性化経路の一部ではない一つの双極を選択するステップと、
前記活性化タイミング情報から、選択された前記双極から始まる追加の活性化経路を識別するステップと、
を実行することによって、前記追加の活性化経路を識別するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、さらに、
電気解剖学的マッピングシステムにおいて、多電極カテーテルによって担持された複数の電極から電気生物学的データを受信するステップであって、前記複数の電極は、複数の双極を画定し、前記電気生物学的データは、活性化タイミング情報を含む、前記受信するステップと、
前記電気解剖学的マッピングシステムが、以下のステップ、即ち、
前記活性化タイミング情報から、前記複数の双極のうち第1の活性化双極を識別するステップと、
患者の心臓内の前記多電極カテーテルの複数の位置に対して、前記活性化タイミング情報から、前記第1の活性化双極から始まって最後の活性化双極で終わる活性化経路を識別するステップと、を実行することと、
を繰り返す、繰り返すステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1つ又は複数の経路として心臓活性化波面をマッピングする方法であって、
電気解剖学的マッピングシステムにおいて、多電極カテーテルによって担持された複数の電極から電気生物学的データを受信するステップであって、前記電気生物学的データは、活性化タイミング情報を含む、前記受信するステップと、
前記電気解剖学的マッピングシステムが、以下のステップ、即ち、
複数の心臓ジオメトリマッピング点に亘って、前記電気生物学的データの伝導速度ベクトル場を算出するステップと、
前記複数の心臓ジオメトリマッピング点から、少なくとも1つのシード点を画定するステップと、
算出された前記伝導速度ベクトル場から、前記少なくとも1つのシード点に対する少なくとも1つの活性化経路を識別するステップと、
を実行することと、
を備える、方法。
【請求項7】
前記複数の心臓ジオメトリマッピング点に亘って、前記電気生物学的データの前記伝導速度ベクトル場を算出する前記算出するステップは、均一なグリッドに配置された前記複数の心臓ジオメトリマッピング点に亘って、前記伝導速度ベクトル場を算出するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、さらに、
心臓ジオメトリモデル上に、前記少なくとも1つの活性化経路のグラフィカル表示を出力するステップを備え、
前記心臓ジオメトリモデルは、前記複数の心臓ジオメトリマッピング点によって画定される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、さらに、
前記心臓ジオメトリモデル上に、前記伝導速度ベクトル場のグラフィカル表示を出力するステップを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
1つ又は複数の経路として心臓活性化波面をマッピングする方法であって、
電気解剖学的マッピングシステムにおいて、心臓表面の少なくとも一部のジオメトリを受信するステップであって、前記ジオメトリは複数のノードを備える、前記受信するステップと、
前記電気解剖学的マッピングシステムにおいて、前記心臓表面の前記一部の電気生理学的データを受信するステップと、
電気解剖学的マッピングシステムが、以下のステップ、即ち、
伝導速度メッシュを画定するステップと
前記伝導速度メッシュ内で、少なくとも1つのシード点を画定するステップと、
前記少なくとも1つのシード点に対して、前記伝導速度メッシュを通る少なくとも1つの活性化経路を識別するステップと、を実行することと、
を備える、方法。
【請求項11】
前記伝導速度メッシュを画定するステップは、前記電気生理学データを使用して、前記ジオメトリに亘って伝導速度ベクトルを割り当てるステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数のノードは、均一なグリッドに配置される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、さらに、
前記ジオメトリ上に、前記少なくとも1つのシード点の前記少なくとも1つの活性化経路のグラフィカル表示を出力するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、さらに、
前記ジオメトリ上に、前記伝導速度メッシュのグラフィカル表示を出力するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
1つ又は複数の経路として心臓活性化波面をマッピングするための電気解剖学的マッピングシステムであって、
経路識別プロセッサを備え、
前記経路識別プロセッサは、
多電極カテーテルによって担持され、複数の双極を画定する複数の電極から、活性化タイミング情報を含む電気生理学的データを受信し、
前記活性化タイミング情報から、前記複数の双極のうち第1の活性化双極を識別し、
前記活性化タイミング情報から、前記第1の活性化双極から始まって最後の活性化双極で終わる活性化経路を識別するように構成される、システム。
【請求項16】
前記経路識別プロセッサは、前記活性化タイミング情報から、前記複数の双極のうち、連続して活性化する双極子を繰り返し識別することによって、前記活性化経路を識別するように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムは、さらに、
心臓ジオメトリモデル上に、前記活性化経路のグラフィカル表示を出力するように構成されたマッピングプロセッサを備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
1つ又は複数の経路として心臓活性化波面をマッピングするための電気解剖学的マッピングシステムであって、
経路識別プロセッサを備え、
前記経路識別プロセッサは、
多電極カテーテルによって担持された複数の電極から、活性化タイミング情報を含む電気生理学的データを受信し、
複数の心臓ジオメトリマッピング点に亘って、前記電気生理学的データの伝導速度ベクトル場を算出し、
前記伝導速度ベクトル場を通る少なくとも1つの活性化経路を識別するように構成される、システム。
【請求項19】
前記経路識別プロセッサは、均一に分布したジオメトリマッピング点のグリッドに亘って、前記伝導速度ベクトル場を算出するように構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記経路識別プロセッサは、前記伝導速度ベクトル場を通る少なくとも1つのシード点の経路を識別することによって、前記伝導速度ベクトル場を通る少なくとも1つの活性化経路を識別するように構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記システムは、さらに、
心臓ジオメトリモデル上に、前記少なくとも1つの活性化経路のグラフィカル表示を出力するように構成されたマッピングプロセッサを備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
前記マッピングプロセッサは、さらに、前記心臓ジオメトリモデル上に、前記伝導速度ベクトル場のグラフィック表示を出力するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年1月3日に出願された米国仮出願第62/787,962号の優先権を主張し、これは、本明細書に完全に開示されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、一般に、心臓診断及び治療処置において実行され得るような、電気生物学的マッピングに関する。特に、本開示は、高密度(「HD」)グリッドカテーテルなどの多次元カテーテルによって測定される心臓活性化波面を識別及びマッピングするためのシステム、装置、及び方法に関する。
【0003】
心臓組織は、特に複雑な不整脈アブレーション処置に関連して特徴づけられることが多い。例えば、伝導速度(「CV」)マップは、所与のマップ点における電気伝導の方向及び速度を表示するために使用される。CVマップを算出する1つのアプローチは、隣接する点の局所活性化時間(「LAT」)を収集することである。
【0004】
また、異なる波面パターン(例えば、心臓表面に沿った電気伝播に関する情報)を識別することも、電気生理学的研究において関心が深い。衝突、焦点、再入、および回転子を含む複数の波面パターンは、例えば、心臓活性化の間に生じる場合がある。これらの波面の識別および解釈は、広範囲の電気生理学的病理のメカニズム的特性を分析するのに役立つ。しかしながら、これらの波面パターンを研究するためには、まずはそれらを識別することができなければならない。
【発明の概要】
【0005】
本明細書は、一つ又は複数の経路として心臓活性化波面をマッピングする方法を開示する。この方法は、電気解剖学的マッピングシステムにおいて、多電極カテーテルによって担持された複数の電極から電気生理学的データを受信するステップであって、複数の電極は、複数の双極を画定し、電気生物学的データは、活性化タイミング情報を含む、受信するステップと、電気解剖学的マッピングシステムが、以下のステップ、即ち、活性化タイミング情報から、複数の双極のうち第1の活性化双極を識別するステップと、活性化タイミング情報から、第1の活性化双極から始まって最後の活性化双極で終わる活性化経路を識別するステップと、を実行すること、を含む。
【0006】
本開示の実施形態では、第1の活性化双極から始まって最後の活性化双極で終わる活性化経路を識別するステップは、第1の活性化双極に隣接する複数の双極の初期サブセットを識別するステップと、複数の双極の初期サブセットのうち最も早い活性化双極を識別するステップと、複数の双極の初期サブセットのうち最も早い活性化双極を、次の活性化双極として活性化経路に追加するステップと、以下のステップ、即ち、次の活性化双極に隣接する複数の双極の後続サブセットを識別するステップと、複数の双極の後続サブセットのうち最も早い活性化双極を識別するステップと、複数の双極の後続サブセットの最も早い活性化双極を、次の活性化双極として活性化経路に追加するステップと、を最後の活性化双極が活性化経路に追加されるまで繰り返すステップと、を含む。
【0007】
任意で、この方法は、心臓ジオメトリモデル上に活性化経路のグラフィカル表示を出力するステップを含む。
【0008】
本方法はまた、電気解剖学的マッピングシステムが、以下のステップ、即ち、複数の双極のうち、活性化経路の一部ではない一つの双極を選択するステップと、活性化タイミング情報から、選択された双極から始まる追加の活性化経路を識別するステップと、を実行することによって、追加の活性化経路を識別するステップを含んでもよい。
【0009】
本開示の態様では、本方法はまた、電気解剖学的マッピングシステムにおいて、多電極カテーテルによって担持された複数の電極から電気生物学的データを受信するステップであって、複数の電極は、複数の双極を画定し、電気生物学的データは、活性化タイミング情報を含む、受信するステップと、電気解剖学的マッピングシステムが、以下のステップ、即ち、活性化タイミング情報から、複数の双極のうち第1の活性化双極を識別するステップと、患者の心臓内にある多電極カテーテルの複数の位置に対する活性化タイミング情報から、第1の活性化双極から始まって最後の活性化双極で終わる活性化経路を識別するステップと、を実行することと、を繰り返すステップを含む。
【0010】
また、本明細書では、一つ又は複数の経路として心臓活性化波面をマッピングする方法が開示される。この方法は、電気解剖学的マッピングシステムにおいて、多電極カテーテルによって担持された複数の電極から電気生物学的データを受信するステップであって、電気生物学的データは、活性化タイミング情報を含む、受信するステップと、電気解剖学的マッピングシステムが、以下のステップ、即ち、複数の心臓ジオメトリマッピング点に亘って、電気生物学的データの伝導速度ベクトル場を算出するステップと、複数の心臓ジオメトリマッピング点から、少なくとも1つのシード点を画定するステップと、算出された伝導速度ベクトル場から、少なくとも1つのシード点の少なくとも1つの活性化経路を識別するステップと、を実行すること、を含む。
【0011】
複数の心臓ジオメトリマッピング点に亘って、電気生物学的データの伝導速度ベクトル場を算出するステップは、均一なグリッドに配置された複数の心臓ジオメトリマッピング点に亘って、伝導速度ベクトル場を算出するステップを含んでもよい。
【0012】
本方法は、心臓ジオメトリモデル上に、少なくとも1つの活性化経路のグラフィカル表示を出力するステップを含んでもよく、心臓ジオメトリモデルは、複数の心臓ジオメトリマッピング点によって画定される。任意で、本方法は、心臓ジオメトリモデル上に、伝導速度ベクトル場のグラフィカル表示を出力するステップも含んでもよい。
【0013】
本開示はまた、一つ又は複数の経路として心臓活性化波面をマッピングする方法を提供する。この方法は、電気解剖学的マッピングシステムにおいて、心臓表面の少なくとも一部のジオメトリを受信するステップであって、ジオメトリは複数のノードを備える、受信するステップと、電気解剖学的マッピングシステムにおいて、心臓表面の一部の電気生理学的データを受信するステップと、電気解剖学的マッピングシステムが、以下のステップ、即ち、伝導速度メッシュを画定するステップと、伝導速度メッシュ内で、少なくとも1つのシード点を画定するステップと、伝導速度メッシュを通る、少なくとも1つのシード点の少なくとも1つの活性化経路を識別するステップと、を実行すること、を含む。
【0014】
本開示の態様によれば、伝導速度メッシュを画定するステップは、電気生理学的データを使用して、ジオメトリに亘って伝導速度ベクトルを割り当てるステップを含む。複数のノードは、均一なグリッドに配置されてよい。
【0015】
本方法はまた、ジオメトリ上に、少なくとも1つのシード点の少なくとも1つの活性化経路のグラフィカル表示、及び/又は、伝導速度メッシュのグラフィカル表示を出力することを含んでよい。
【0016】
本開示はまた、1つ又は複数の経路として心臓活性化波面をマッピングするための電気解剖学的マッピングシステムを提供する。この電気解剖学的マッピングシステムは、経路識別プロセッサを備える。経路識別プロセッサは、多電極カテーテルによって担持され、複数の双極を画定する複数の電極から、活性化タイミング情報を含む電気生理学的データを受信し、活性化タイミング情報から、複数の双極のうち第1の活性化双極を識別し、活性化タイミング情報から、第1の活性化双極から始まって最後の活性化双極で終わる活性化経路を識別するように構成される。経路識別プロセッサは、活性化タイミング情報から、複数の双極のうち連続して活性化する双極子を繰り返し識別することによって、活性化経路を識別するように構成されてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、システムは、心臓ジオメトリモデル上に、活性化経路のグラフィカル表示を出力するように構成されたマッピングプロセッサをさらに含む。
【0018】
また、本明細書は、1つ又は複数の経路として心臓活性化波面をマッピングするための電気解剖学的マッピングシステムを開示する。電気解剖学的マッピングシステムは、経路識別プロセッサを備える。経路識別プロセッサは、多電極カテーテルによって担持された複数の電極から、活性化タイミング情報を含む電気生理学的データを受信し、複数の心臓ジオメトリマッピング点に亘って、電気生理学的データの伝導速度ベクトル場を算出し、伝導速度ベクトル場を通る少なくとも1つの活性化経路を識別するように構成されている。経路識別プロセッサは、均一に分布したジオメトリマッピング点のグリッドに亘って、伝導速度ベクトル場を算出するように構成されてもよく、伝導速度ベクトル場を通る少なくとも1つのシード点の経路を識別することによって、伝導速度ベクトル場を通る少なくとも1つの活性化経路を識別するように構成されてもよい。
【0019】
システムはまた、心臓ジオメトリモデル上に、少なくとも1つの活性化経路のグラフィカル表示を出力するように構成されたマッピングプロセッサを含んでよい。
【0020】
本発明の前述及び他の態様、特徴、詳細、有用性、及び利点は、以下の説明及び特許請求の範囲を読むこと、ならびに添付の図面を検討することから明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】例示的な電気解剖学的マッピングシステムの概略図である。
【0022】
図2】本開示の態様に関連して使用することができる例示的なカテーテルを示す。
【0023】
図3】本明細書中に開示される例示的な実施形態に従って実行され得る代表的なステップのフローチャートである。
【0024】
図4A】多電極カテーテルによって担持される電極と、それに関連する双極のための英数字のラベル付け規則を示す。
図4B】多電極カテーテルによって担持される電極と、それに関連する双極のための英数字のラベル付け規則を示す。
【0025】
図5A】活性化経路の識別を示す。
図5B】活性化経路の識別を示す。
図5C】活性化経路の識別を示す。
図5D】活性化経路の識別を示す。
【0026】
図6】多電極カテーテルの識別された複数の活性化経路を示す。
【0027】
図7】本教示の態様による、多電極カテーテルの複数の位置に対する活性化経路マップの作成を示す。
【0028】
図8】本明細書に開示される追加の実施形態に従って実行され得る代表的なステップのフローチャートである。
【0029】
図9】複数のノードを含むジオメトリ表面モデルを示す。
【0030】
図10A】本教示の態様による、伝導速度メッシュを使用した経路線マップの作成を示す。
図10B】本教示の態様による、伝導速度メッシュを使用した経路線マップの作成を示す。
図10C】本教示の態様による、伝導速度メッシュを使用した経路線マップの作成を示す。
図10D】本教示の態様による、伝導速度メッシュを使用した経路線マップの作成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
複数の実施形態が開示されているが、例示的な実施形態を示して説明する以下の詳細な説明から、本開示のさらなる他の実施形態が、当業者に明らかになるであろう。従って、図面および詳細な説明は、本質的に例示的なものであり、限定的なものではないとみなされるべきである。
【0032】
本開示は、心臓活性化波面をマッピングするため、より詳細には、心臓活性化波面を経路としてマッピングするためのシステム、装置、及び方法を提供する。説明のために、本開示の態様は、Abbott Laboratories(イリノイ州アボット・パーク)のAdvisor(商標)HDグリッドマッピングカテーテルなどの高密度(HD)グリッドカテーテルを、同じくAbbott LaboratoriesのEnSite Precision(商標)心臓マッピングシステムなどの電気解剖学的マッピングシステムと共に使用して収集された電気生物学的データを参照して説明される。しかしながら、当業者であれば、本明細書の教示を、他の状況および/または他のデバイスに関して都合よく適用する方法を理解するであろう。
【0033】
図1は、心臓カテーテルをナビゲートし、患者11の心臓10に生じる電気的活動を測定し、その電気的活動及び/又はそのように測定された電気的活動に関するか、又はそれを表す情報を3次元的にマッピングすることによって、心臓電気生理学研究を行うための例示的な電気解剖学的マッピングシステム8の概略図を示す。システム8は、例えば、1つ又は複数の電極を使用して患者の心臓10の解剖学的モデルを作成するために使用されてよい。システム8はまた、例えば、患者の心臓10の診断データマップを作成するために、心臓表面に沿った複数の点で電気生理学的データを測定し、測定されたデータを、電気生理学的データが測定された各測定点の位置情報と関連付けて記憶するために使用されてよい。
【0034】
当業者には理解されるように、システム8は、一般的に、3次元空間内の物体の位置、及びいくつかの態様では向きを決定し、これらの位置を、少なくとも1つの基準に対して決定された位置情報として表す。
【0035】
図示を簡単にするために、患者11は楕円として概略的に示されている。図1に示す実施形態では、患者11の表面に適用される3組の表面電極(例えば、パッチ電極)が示されており、本明細書ではx軸、y軸、及びz軸と呼ばれる3つの略直交する軸を画定する。他の実施形態では、電極は、他の配置で配置されてよく、例えば、特定の身体表面上に複数の電極が配置されてもよい。さらなる代替として、電極は、身体表面上にある必要はなく、身体の内部に配置されてもよい。
【0036】
図1において、x軸表面電極12,14は、例えば、患者の胸部領域の側部などの第1軸に沿って患者に適用され(例えば、患者の各腕の下の皮膚に適用されて)、左電極及び右電極と呼ばれてもよい。y軸電極18,19は、例えば、患者の内側大腿部及び頸部領域に沿ってなど、x軸に略直交する第2の軸に沿って患者に適用され、左脚電極及び頸部電極と呼ばれてもよい。z軸電極16,22は、例えば、胸部領域における患者の胸骨及び脊柱に沿ってなど、x軸及びy軸方向の両方に略直交する第3の軸に沿って適用され、胸部電極及び背部電極と呼ばれてもよい。心臓10は、これらの表面電極対12/14、18/19、及び16/22の間にある。
【0037】
追加の表面基準電極(例えば、「腹部パッチ」)21は、システム8に基準電極及び/又は接地電極を提供する。腹部パッチ電極21は、以下でさらに詳細に説明される心臓内固定電極31の代替であってもよい。さらに、患者11は、従来の心電図(「ECG」又は「EKG」)システムリードのほとんど又は全てを、所定の位置に有してもよいことも理解されるべきである。特定の実施形態では、例えば、患者の心臓10の心電図を感知するために、12個のECGリードの標準セットが利用されてもよい。このECG情報は、システム8に利用可能である(例えば、コンピュータシステム20への入力として提供することができる)。ECGリードが良く理解されている限り、また図面を明確にするために、図1には単一のリード6とそのコンピュータ20への接続のみが示されている。
【0038】
少なくとも1つの電極17を有する代表的なカテーテル13も示されている。この代表的なカテーテル電極17は、本明細書全体を通して「ロービング電極」、「移動電極」、または「測定電極」と呼ばれる。一般的に、カテーテル13上又は複数のこのようなカテーテル上の複数の電極17が使用される。一実施形態では、例えば、システム8は、患者の心臓及び/又は血管系内に配置された12個のカテーテル上に64個の電極を備えてもよい。他の実施形態では、システム8は、複数(例えば、8つ)のスプラインを含む単一のカテーテルを利用してもよく、各スプラインは、複数(例えば、8つ)の電極を含む。
【0039】
しかしながら、前述の実施形態は単に例示的なものであり、任意の数の電極及び/又はカテーテルが使用されてよい。例えば、本開示の目的のために、例示的な多電極カテーテル、特にHDグリッドカテーテルのセグメントが図2に示されている。HDグリッドカテーテル13は、パドル202に結合されたカテーテル本体200を含む。カテーテル本体200は、第1の本体電極204及び第2の本体電極206をさらに含んでよい。パドル202は、第1のスプライン208と、第2のスプライン210と、第3のスプライン212と、第4のスプライン214とを含んでよく、これらは、近位カプラ216によってカテーテル本体200に結合され、遠位カプラ218によって互いに結合されている。一実施形態では、第1のスプライン208及び第4のスプライン214は、1つの連続したセグメントであってよく、第2のスプライン210及び第3のスプライン212は、別の連続したセグメントであってよい。他の実施形態では、様々なスプライン208,210,212,214は、(例えば、近位カプラ216及び遠位カプラ218によって)互いに結合された別体のセグメントであってもよい。HDカテーテル13は、任意の数のスプラインを含んでよく、図2に示す4スプライン構成は、単に例示的なものに過ぎないことを理解されたい。
【0040】
上述のように、スプライン208,210,212,214は、任意の数の電極17を含んでよく、図2では、4×4アレイに配置された16個の電極17が示されている。電極17は、スプライン208,210,212,214に沿って及びそれらの間で測定して、均等に及び/又は不均等に離間されてよいことを理解されたい。
【0041】
カテーテル13(又は複数のこのようなカテーテル)は、一般的に、1つ又は複数の導入器を介して、よく知られた処置を使用して、患者の心臓及び/又は血管系に導入される。実際、経中隔アプローチのようなカテーテル13を患者の心臓に導入するための様々なアプローチは、当業者によく知られているため、本明細書でさらに説明する必要はない。
【0042】
各電極17は患者の体内にあるので、位置データは、システム8によって、各電極17に関して同時に収集されてよい。同様に、各電極17は、心臓表面から電気生物学的データ(例えば、表面電位図)を収集するために使用されてもよい。当業者は、(例えば、接触および非接触電気生物学的マッピングの両方を含む)電気生理学的データ点の収集および処理のための種々の様式に精通しているため、それについてのさらなる議論は、本明細書中に開示される技術の理解に必要ではない。同様に、当技術分野でよく知られている様々な技法を使用して、複数の電気生理学データ点から心臓のジオメトリのグラフィカル表示及び又は心臓の電気的活動のグラフィカル表示を生成することができる。さらに、当業者が、電気生理学データ点から電気生理学マップを作成する方法を理解する限り、その態様は、本開示を理解するのに必要な範囲でのみ本明細書に記載される。
【0043】
ここで図1に戻ると、いくつかの実施形態では、(例えば、心臓10の壁に取り付けられる)任意の固定基準電極31が、第2のカテーテル29上に示される。較正目的のために、この電極31は、(例えば、心臓の壁、又は心臓の壁の近くに取り付けられて)固定されていてもよい。または、電極31は、ロービング電極(例えば、電極17)と空間的に固定された関係に配置されていてもよく、したがって、「ナビゲーション基準」または「局所基準」と呼ばれてもよい。固定基準電極31は、上述の表面基準電極21に加えて、または表面基準電極21に替えて、使用されてもよい。多くの場合、心臓10内の冠状静脈洞電極又は他の固定電極は、電圧及び変位を測定するための基準として使用されてよく、即ち、以下で説明するように、固定基準電極31は、座標系の原点を画定してもよい。
【0044】
各表面電極は、多重スイッチ24に結合され、表面電極対は、表面電極を信号発生器25に結合させるコンピュータ20上で実行されるソフトウェアによって選択される。あるいは、スイッチ24はなくてもよく、各測定軸(すなわち、表面電極の各対)に対して1つずつ、複数(例えば、3つ)の信号発生器25のインスタンスが提供されてもよい。
【0045】
コンピュータ20は、例えば、従来の汎用コンピュータ、専用コンピュータ、分散コンピュータ、または任意の他のタイプのコンピュータを備えてもよい。コンピュータ20は、単一中央処理装置(「CPU」)または一般に並列処理環境と呼ばれる複数の処理装置などの一つ又は複数のプロセッサ28を備えてよく、プロセッサは、本明細書で説明する様々な態様を実施するための命令を実行してもよい。
【0046】
一般に、生物学的導体内でのカテーテルナビゲーションを実現するために、3つの名目上直交する電場が、一連の駆動及び感知電気双極子(例えば、表面電極の対12/14,18/19,及び16/22)によって生成される。あるいは、これらの直交する電場は、分解されてよく、表面電極の任意の対が、双極子として駆動されて、有効な電極三角測量を提供してよい。同様に、電極12,14,18,19,16,22(又は任意の数の電極)は、心臓内の電極に電流を駆動するか、又は心臓内の電極から電流を感知するために、任意の他の有効な配置に配置されてもよい。例えば、複数の電極が、患者11の背部、側部、及び/又は腹部に配置されてよい。さらに、そのような非直交方法は、システムの柔軟性を高める。所望の任意の軸に関して、駆動(ソース-シンク)構成の所定のセットから生じるロービング電極にわたって測定される電位は、代数的に結合され、直交軸に沿って均一な電流を駆動することによって得られるであろうものと同一の有効電位を生じさせてもよい。
【0047】
したがって、表面電極12,14,16,18,19,22のうちの任意の2つは、腹部パッチ21等の接地基準に関して双極子のソース及びドレインとして選択されてよく、一方、励起されていない電極は、接地基準に対して電圧を測定する。心臓10内に配置されたロービング電極17は、電流パルスから場にさらされ、腹部パッチ21のような接地に対して測定される。実際には、心臓10内のカテーテルが、図示されている16個よりも多い又は少ない電極を含んでよく、各電極の電位が測定されてよい。前述のように、少なくとも1つの電極が、心臓の内面に固定されて固定基準電極31を形成してよく、当該固定基準電極31も、腹部パッチ21のような接地に対して測定され、システム8が位置を測定する座標系の原点として画定されてよい。表面電極と、内部電極と、仮想電極との各々からのデータセットは全て、心臓10内のロービング電極17の位置を決定するために使用されてもよい。
【0048】
測定された電圧は、基準電極31のような基準位置に対する、ロービング電極17等の心臓内部の電極の三次元空間における位置を決定するために、システム8によって使用されてもよい。即ち、基準電極31において測定された電圧は、座標系の原点を定義するために使用されてもよく、一方、ロービング電極17において測定された電圧は、原点に対するロービング電極17の位置を表すために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、座標系は、三次元(x、y、z)直交座標系であるが、極座標系、球座標系、円筒座標系等の他の座標系も考えられる。
【0049】
前述の議論から明らかであるように、心臓内の電極の位置を決定するために使用されるデータは、表面電極対が心臓に電場を加えている間に測定される。電極データは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,263,397号に記載されているように、電極位置の生の位置データを改善するために使用される呼吸性補償値を生成するために使用されてもよい。電極データはまた、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,885,707号に記載されるように、患者の身体のインピーダンスの変化を補償するために使用されてもよい。
【0050】
したがって、一代表的な実施形態では、システム8は、まず、一組の表面電極を選択し、次いで、それらを電流パルスで駆動する。電流パルスが送達されている間に、残りの表面電極と生体内電極とのうちの少なくとも1つを用いて測定された電圧などの電気的活動が測定され、記憶される。呼吸及び/又はインピーダンスシフトなどのアーチファクトに対する補償は、上述のように実行されてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、システム8は、Abbot LaboratoriesのEnSite(商標)Velocity(商標)、又は、EnSite Precision(商標)心臓マッピングおよび可視化システム(cardiac mapping and visualization system)である。しかしながら、例えば、Abbott LaboratoriesのMediGuide(商標)に加えて、ボストンサイエンティック社(Boston Scientific Corporation)(マサチューセッツ州マールボロ)のRHYTHMIA HDX(商標)マッピングシステム、バイオセンスウェブスター社(Biosense Webster, Inc.)(カリフォルニア州アーバイン)のCARTOナビゲーション及び位置システム、ノーザンデジタル社(Northern Digital Inc.)(オンタリオ州ウォータールー)のAURORA(登録商標)システム、ステレオタクシーズ社(Sterotaxis, Inc.)(ミズーリ州セントルイス)のNIOBE(登録商標)磁気ナビゲーションシステム(Magnetic Navigation System)を含む他の位置特定システムが、本教示に関連して使用されてもよい。
【0052】
以下の特許(その全ては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている位置特定及びマッピングシステムもまた、本願発明と共に使用されてよい。米国特許第6,990,370号、6,978,168号、6,947,785号、6,939,309号、6,728,562号、6,640,119号、5,983,126号、及び、5,697,377号。
【0053】
本開示の態様は、心臓活性化波面を1つまたは複数の静的経路としてマッピングすることに関し、経路(及び他の電気生物学的データ)のグラフィカル表示も、例えばディスプレイ23上に出力することができる。したがって、システム8は、経路を識別するために使用可能な経路識別モジュール58を備えてよい。経路識別モジュール58は、(例えば、ディスプレイ23への)経路のグラフィック出力を可能にするために、マッピングモジュールを包含してよい。
【0054】
本教示による1つの例示的な方法が、図3として示されるフローチャート300の例示的なステップを参照して説明される。いくつかの実施形態では、例えば、フローチャート300は、図1の電気解剖学的マッピングシステム8(例えば、プロセッサ28及び/又は経路識別モジュール58)によって実行され得るいくつかの例示的なステップを示してもよい。以下に説明する例示的なステップは、ハードウェア又はソフトウェアのいずれでも実行可能であることが理解されるべきである。説明のために、本明細書では、本明細書の教示のハードウェアベース及びソフトウェアベースの両方の実施を説明するために、「信号プロセッサ」という用語が使用される。
【0055】
ブロック302において、システム8は、カテーテル13によって担持された電極17から電気生物学的データを受信する。この説明に関する参照を容易にするために、図4Aでは、電極17に対して英数字ラベルが割り振られている。
【0056】
当業者が認識するように、任意の2つの隣接する電極17が、双極(bipole)を画定する。したがって、カテーテル13上の16個の電極17は、スプラインに沿う12個の双極(例えば、電極17aと17bの間、又は電極17cと17dの間)と、スプライン間で12個の双極(例えば、電極17aと17cの間、又は電極17bと17dの間)と、スプライン間で斜めに18個の双極(例えば、電極17aと17dの間、または電極17bと17cの間)と、の合計42個の双極を画定する。
【0057】
この説明に関して参照を容易にするために、図4Bでは、スプラインに沿う双極及びスプライン間の双極に対して英数字ラベルが割り当てられている。図4Bでは、斜めの双極に対する英数字ラベルを省略しているが、これは、図示を明確にする目的のためだけである。本明細書の教示は、斜めの双極に対しても適用することができることが明確に考えられる。
【0058】
次に、任意の双極を使用し、当業者によく知られている技法に従い、所与の双極の活性化タイミング情報を含むバイポーラ電位図を生成してよい。さらに、これらのバイポーラ電位図を組み合わせ、電極の群の電場ループを計算することによって、カテーテル13の平面の任意の方向において、活性化タイミング情報を含む電位図を生成してよい。参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第15/953,155号は、HDグリッドカテーテル上の電極群の電界ループを計算する詳細を開示している。
【0059】
ブロック304において、複数の双極の活性化タイミング情報が使用され、第1の活性化双極(即ち、最も早い活性化タイミングを有する双極)が識別される。説明のため、図5Aに示すように、第1の活性化双極が双極B1-B2であると仮定する。
【0060】
ブロック306~312は、システム8が、ブロック304で識別された第1の活性化双極から始まって最後の活性化双極で終わる活性化経路を識別し得る一連のステップを表す。一般に、ブロック306~312は、連続して活性化する隣接する双極を繰り返し識別することを表す。
【0061】
したがって、ブロック306において、システム8は、ブロック304で識別された第1の活性化双極に隣接する複数の双極の第1のサブセットを識別する。図5Aの例示的なケースでは、この隣接双極には、双極A1-B1、B1-C1、A1-A2、C1-C2、A2-B2、及びB2-C2が含まれる。
【0062】
ブロック308において、システム8は、隣接する双極のうち最も早く活性化する双極を識別し、その双極を活性化経路に追加する。例えば、図5Bの例示的なケースでは、最も早く活性化する隣接する双極は、双極B2-C2であり、活性化経路は矢印500によって表される。
【0063】
判定ブロック310では、活性化経路に直近に追加された双極に隣接し、後続して活性化する追加の双極があるのか否かが検討される。もしあるのであれば、プロセスはブロック306及び308に戻り、後続して活性化する双極を活性化経路に加え続ける。例えば、図5Cは、双極B2-C2に隣接する双極C1-C2、A2-B2、C2-D2、B2-B3、及びC2-C3の中で、双極C2-C3が最も早く活性化することを示す。したがって、ブロック306からブロック308までが再度繰り返されると、矢印500によって表される活性化経路は、双極B2-C2から双極C2-C3までさらに延びる。図5Dは、ブロック306からブロック308までがさらに2回繰り返された後の結果であって、矢印500によって表される活性化経路に、双極C3-D3及びD3-D4が追加された状態を示す。
【0064】
双極D3-D4が活性化経路に追加されると、後続して活性化する隣接する双極はそれ以上見つからない。従って、ブロック312において、双極D3-D4が最後の活性化双極と定義され、双極B1-B2で始まる活性化経路が完成する。
【0065】
判定ブロック314では、他に画定すべき経路があるかどうかが調べられ、ある場合、プロセスは、ブロック304に戻って、新しい第1の活性化双極から始まる活性化経路を識別する。有利には、図6に示すように、他の経路は、患者の心臓内の所与の位置に関して、他の双極から始まるように画定されてよい。また、他の経路は、患者の心臓内のカテーテル13の別の位置に対して画定されてもよく、例えば、図7は、心臓表面ジオメトリに対するカテーテル13の4つの異なる位置に対する経路を示す。実際には、ブロック316では、システム8は、(例えば、ディスプレイ23において)ジオメトリモデル上に任意の識別された経路のグラフィカル表示を出力してもよい。
【0066】
本教示による別の例示的な方法が、図8に示されるフローチャート800の代表的なステップを参照して説明される。いくつかの実施形態では、例えば、フローチャート800は、図1の電気解剖学的マッピングシステム8(例えば、プロセッサ28及び/又は経路識別モジュール58)によって実行され得るいくつかの例示的なステップを表していてよい。以下に説明する例示的なステップは、ハードウェア又はソフトウェアのいずれでも実行可能であることが理解されるべきである。説明のために、本明細書では、本明細書の教示のハードウェアベース及びびソフトウェアベースの両方の実施を説明するために、「信号プロセッサ」という用語が使用される。
【0067】
ブロック802において、システム8は、カテーテル13によって担持された電極17から電気生物学的データを受信する。このような電気生物学的データは、図3に関連して上述されている。
【0068】
ブロック804において、システム8は、心臓表面の少なくとも一部分のジオメトリを受信する。図9は、複数のノード902を含む、例示的な3次元表面ジオメトリ900を示す(ノード902は、「ジオメトリマッピング点」又は、より単純に「ジオメトリ点」とも呼ばれることがある)。
【0069】
ブロック806において、システム8は、心臓表面の一部分の伝導速度メッシュを算出する。本明細書で使用されるように、「伝導速度メッシュ」という語は、ジオメトリ900の複数のノード902にわたる伝導速度ベクトル場(即ち、伝導速度ベクトルが割り当てられた複数のジオメトリマッピング点)を指す。
【0070】
本開示の実施形態では、伝導速度メッシュは、実質的に均一なノードのグリッドを含む。例えば、図10Aは、ジオメトリ900の元のノード902を示し、図10Bは、実質的に均一なノード1002のグリッド1000を示す。次に、図10Cは、伝導速度メッシュ1004(例えば、伝導速度ベクトル1006が割り当てられた実質的に均一に分布したノード1002)を示す。当業者は、本明細書に記載の伝導速度メッシュの作成に有用な様々な技法に精通しているが、その1つの手法が、参照により全体が本明細書に記載されているかのように本明細書に組み込まれる米国特許第9,888,860号に記載されている。
【0071】
ブロック808において、システム8は、伝導速度メッシュを通る少なくとも1つの活性化経路を算出する。より詳細には、各活性化経路は、対応するシード点について算出され、シード点は、システム8によって、ユーザ選択によって、又はそれらの組み合わせによってランダムに生成されてもよい。伝導速度ベクトル場を通る各シード点の経路は、流体フロー解析における経路線(streamline)算出に類似した方法(例えば、個々の空間点の経路を算出するためにベクトル場を使用する方法)で解析される。
【0072】
ブロック810において、活性化経路のグラフィカル表示が、心臓表面のモデル上に、(例えば、ディスプレイ23において)出力されてよい。図10Dは、複数の経路線1010を含む活性化経路マップ1008を2次元で示す。任意で、システム8は、(例えば、図10Cに示すように)伝導速度メッシュのグラフィカル表示を出力してもよい。
【0073】
経路線500(図5Aから図7参照)、及び/又は経路線1010(図10D参照)によって、施術者は有利に、伝導発散(例えば、病巣源またはブロックのある領域)及び/又は収束(例えば、衝突波面の領域)の領域を迅速に識別することが可能になる。例えば、図10Dでは、線1012は発散線を表す。
【0074】
いくつかの実施形態が、ある程度詳細に上述されたが、当業者は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に多くの変更を行うことができる。
【0075】
例えば、本明細書の教示は、リアルタイムで(例えば、電気生理学的研究の間に)、または後処理中に(例えば、前に実施された電気生理学的研究の間に収集された電気生理学的データ点に対して)適用され得る。
【0076】
全ての方向に関する言及(例えば、上方、下方、上向き、下向き、左、右、左側、右側、上部、下部、上、下、垂直、水平、時計回り、および反時計回り)は、読者の本開示の理解を助けるための識別目的としてのみに使用されているにすぎず、特に、本開示の位置、向き、又は使用に関する限定を生じない。接合に関する言及(例えば、取り付けられている、結合されている、接続されている等)は、広く解釈されるべきであり、要素の接続の間の中間部材、及び要素間の相対運動を含んでよい。このように、接合に関する言及は、必ずしも、2つの要素が直接接続され、互いに固定された関係にあることを意味するとは限らない。
【0077】
上記の説明に含まれるか、又は添付の図面に示されるすべての事項は、例示的なものにすぎず、限定するものではないと解釈されるべきである。詳細または構造の変更は、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の精神から逸脱することなく行うことができる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
【手続補正書】
【提出日】2021-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の経路として心臓活性化波面をマッピングする方法であって、
電気解剖学的マッピングシステムにおいて、多電極カテーテルによって担持された複数の電極から電気生物学的データを受信するステップであって、前記複数の電極は、複数の双極を画定し、前記電気生物学的データは、活性化タイミング情報を含む、前記受信するステップと、
前記電気解剖学的マッピングシステムが、以下のステップ、即ち、
前記活性化タイミング情報から、前記複数の双極のうち第1の活性化双極を識別するステップと、
前記活性化タイミング情報から、前記第1の活性化双極から始まって最後の活性化双極で終わる活性化経路を識別するステップと、を実行すること、と
を備える、方法。
【請求項2】
前記第1の活性化双極から始まって前記最後の活性化双極で終わる前記活性化経路を識別するステップは、
前記第1の活性化双極に隣接する前記複数の双極の初期サブセットを識別するステップと、
前記複数の双極の前記初期サブセットのうちの最も早い活性化双極を識別するステップと、
前記複数の双極の前記初期サブセットのうちの前記最も早い活性化双極を、次の活性化双極として、前記活性化経路に追加するステップと、
繰り返すステップであって、以下のステップ、即ち、
前記次の活性化双極に隣接する前記複数の双極の後続サブセットを識別するステップと、
前記複数の双極の前記後続サブセットのうち最も早い活性化双極を識別するステップと、
前記複数の双極の前記後続サブセットの前記最も早い活性化双極を、次の活性化双極として、前記活性化経路に追加するステップと、を前記最後の活性化双極が前記活性化経路に追加されるまで繰り返す、前記繰り返すステップと、
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
心臓ジオメトリモデル上に、前記活性化経路のグラフィカル表示を出力するステップをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記電気解剖学的マッピングシステムが、以下のステップ、即ち、
前記複数の双極のうち、前記活性化経路の一部ではない一つの双極を選択するステップと、
前記活性化タイミング情報から、選択された前記双極から始まる追加の活性化経路を識別するステップと、
を実行することによって、前記追加の活性化経路を識別するステップをさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、さらに
記受信するステップと、
前記電気解剖学的マッピングシステムが、前記第1の活性化双極を識別するステップと、前記活性化経路を識別するステップと、を実行することと、
を繰り返すことを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
1つ又は複数の経路として心臓活性化波面をマッピングする方法であって、
電気解剖学的マッピングシステムにおいて、多電極カテーテルによって担持された複数の電極から電気生物学的データを受信するステップであって、前記電気生物学的データは、活性化タイミング情報を含む、前記受信するステップと、
前記電気解剖学的マッピングシステムが、以下のステップ、即ち、
複数の心臓ジオメトリマッピング点に亘って、前記電気生物学的データの伝導速度ベクトル場を算出するステップと、
前記複数の心臓ジオメトリマッピング点から、少なくとも1つのシード点を画定するステップと、
算出された前記伝導速度ベクトル場から、前記少なくとも1つのシード点に対する少なくとも1つの活性化経路を識別するステップと、
を実行することと、
を備える、方法。
【請求項7】
前記複数の心臓ジオメトリマッピング点に亘って、前記電気生物学的データの前記伝導速度ベクトル場を算出する前記算出するステップは、均一なグリッドに配置された前記複数の心臓ジオメトリマッピング点に亘って、前記伝導速度ベクトル場を算出するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
1つ又は複数の経路として心臓活性化波面をマッピングする方法であって、
電気解剖学的マッピングシステムにおいて、心臓表面の少なくとも一部のジオメトリを受信するステップであって、前記ジオメトリは複数のノードを備える、前記受信するステップと、
前記電気解剖学的マッピングシステムにおいて、前記心臓表面の前記一部の電気生理学的データを受信するステップと、
電気解剖学的マッピングシステムが、以下のステップ、即ち、
伝導速度メッシュを画定するステップと
前記伝導速度メッシュ内で、少なくとも1つのシード点を画定するステップと、
前記少なくとも1つのシード点に対して、前記伝導速度メッシュを通る少なくとも1つの活性化経路を識別するステップと、を実行することと、
を備える、方法。
【請求項9】
前記伝導速度メッシュを画定するステップは、前記電気生理学データを使用して、前記ジオメトリに亘って伝導速度ベクトルを割り当てるステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
1つ又は複数の経路として心臓活性化波面をマッピングするための電気解剖学的マッピングシステムであって、
経路識別プロセッサを備え、
前記経路識別プロセッサは、
多電極カテーテルによって担持され、複数の双極を画定する複数の電極から、活性化タイミング情報を含む電気生理学的データを受信し、
前記活性化タイミング情報から、前記複数の双極のうち第1の活性化双極を識別し、
前記活性化タイミング情報から、前記第1の活性化双極から始まって最後の活性化双極で終わる活性化経路を識別するように構成される、システム。
【請求項11】
前記経路識別プロセッサは、前記活性化タイミング情報から、前記複数の双極のうち、連続して活性化する双極子を繰り返し識別することによって、前記活性化経路を識別するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムは、さらに、
心臓ジオメトリモデル上に、前記活性化経路のグラフィカル表示を出力するように構成されたマッピングプロセッサを備える、請求項10又は11に記載のシステム。
【請求項13】
1つ又は複数の経路として心臓活性化波面をマッピングするための電気解剖学的マッピングシステムであって、
経路識別プロセッサを備え、
前記経路識別プロセッサは、
多電極カテーテルによって担持された複数の電極から、活性化タイミング情報を含む電気生理学的データを受信し、
複数の心臓ジオメトリマッピング点に亘って、前記電気生理学的データの伝導速度ベクトル場を算出し、
前記伝導速度ベクトル場を通る少なくとも1つの活性化経路を識別するように構成される、システム。
【請求項14】
前記経路識別プロセッサは、均一に分布したジオメトリマッピング点のグリッドに亘って、前記伝導速度ベクトル場を算出するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記経路識別プロセッサは、前記伝導速度ベクトル場を通る少なくとも1つのシード点の経路を識別することによって、前記伝導速度ベクトル場を通る少なくとも1つの活性化経路を識別するように構成される、請求項13又は14に記載のシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
上記の説明に含まれるか、又は添付の図面に示されるすべての事項は、例示的なものにすぎず、限定するものではないと解釈されるべきである。詳細または構造の変更は、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の精神から逸脱することなく行うことができる。
以下の項目は、国際出願時の請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
1つ又は複数の経路として心臓活性化波面をマッピングする方法であって、
電気解剖学的マッピングシステムにおいて、多電極カテーテルによって担持された複数の電極から電気生物学的データを受信するステップであって、前記複数の電極は、複数の双極を画定し、前記電気生物学的データは、活性化タイミング情報を含む、前記受信するステップと、
前記電気解剖学的マッピングシステムが、以下のステップ、即ち、
前記活性化タイミング情報から、前記複数の双極のうち第1の活性化双極を識別するステップと、
前記活性化タイミング情報から、前記第1の活性化双極から始まって最後の活性化双極で終わる活性化経路を識別するステップと、を実行すること、と
を備える、方法。
(項目2)
前記第1の活性化双極から始まって前記最後の活性化双極で終わる前記活性化経路を識別するステップは、
前記第1の活性化双極に隣接する前記複数の双極の初期サブセットを識別するステップと、
前記複数の双極の前記初期サブセットのうちの最も早い活性化双極を識別するステップと、
前記複数の双極の前記初期サブセットのうちの前記最も早い活性化双極を、次の活性化双極として、前記活性化経路に追加するステップと、
繰り返すステップであって、以下のステップ、即ち、
前記次の活性化双極に隣接する前記複数の双極の後続サブセットを識別するステップと、
前記複数の双極の前記後続サブセットのうち最も早い活性化双極を識別するステップと、
前記複数の双極の前記後続サブセットの前記最も早い活性化双極を、次の活性化双極として、前記活性化経路に追加するステップと、を前記最後の活性化双極が前記活性化経路に追加されるまで繰り返す、前記繰り返すステップと、
を備える、項目1に記載の方法。
(項目3)
心臓ジオメトリモデル上に、前記活性化経路のグラフィカル表示を出力するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記電気解剖学的マッピングシステムが、以下のステップ、即ち、
前記複数の双極のうち、前記活性化経路の一部ではない一つの双極を選択するステップと、
前記活性化タイミング情報から、選択された前記双極から始まる追加の活性化経路を識別するステップと、
を実行することによって、前記追加の活性化経路を識別するステップをさらに備える、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記方法は、さらに、
電気解剖学的マッピングシステムにおいて、多電極カテーテルによって担持された複数の電極から電気生物学的データを受信するステップであって、前記複数の電極は、複数の双極を画定し、前記電気生物学的データは、活性化タイミング情報を含む、前記受信するステップと、
前記電気解剖学的マッピングシステムが、以下のステップ、即ち、
前記活性化タイミング情報から、前記複数の双極のうち第1の活性化双極を識別するステップと、
患者の心臓内の前記多電極カテーテルの複数の位置に対して、前記活性化タイミング情報から、前記第1の活性化双極から始まって最後の活性化双極で終わる活性化経路を識別するステップと、を実行することと、
を繰り返す、繰り返すステップを備える、項目1に記載の方法。
(項目6)
1つ又は複数の経路として心臓活性化波面をマッピングする方法であって、
電気解剖学的マッピングシステムにおいて、多電極カテーテルによって担持された複数の電極から電気生物学的データを受信するステップであって、前記電気生物学的データは、活性化タイミング情報を含む、前記受信するステップと、
前記電気解剖学的マッピングシステムが、以下のステップ、即ち、
複数の心臓ジオメトリマッピング点に亘って、前記電気生物学的データの伝導速度ベクトル場を算出するステップと、
前記複数の心臓ジオメトリマッピング点から、少なくとも1つのシード点を画定するステップと、
算出された前記伝導速度ベクトル場から、前記少なくとも1つのシード点に対する少なくとも1つの活性化経路を識別するステップと、
を実行することと、
を備える、方法。
(項目7)
前記複数の心臓ジオメトリマッピング点に亘って、前記電気生物学的データの前記伝導速度ベクトル場を算出する前記算出するステップは、均一なグリッドに配置された前記複数の心臓ジオメトリマッピング点に亘って、前記伝導速度ベクトル場を算出するステップを含む、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記方法は、さらに、
心臓ジオメトリモデル上に、前記少なくとも1つの活性化経路のグラフィカル表示を出力するステップを備え、
前記心臓ジオメトリモデルは、前記複数の心臓ジオメトリマッピング点によって画定される、項目6に記載の方法。
(項目9)
前記方法は、さらに、
前記心臓ジオメトリモデル上に、前記伝導速度ベクトル場のグラフィカル表示を出力するステップを備える、項目8に記載の方法。
(項目10)
1つ又は複数の経路として心臓活性化波面をマッピングする方法であって、
電気解剖学的マッピングシステムにおいて、心臓表面の少なくとも一部のジオメトリを受信するステップであって、前記ジオメトリは複数のノードを備える、前記受信するステップと、
前記電気解剖学的マッピングシステムにおいて、前記心臓表面の前記一部の電気生理学的データを受信するステップと、
電気解剖学的マッピングシステムが、以下のステップ、即ち、
伝導速度メッシュを画定するステップと
前記伝導速度メッシュ内で、少なくとも1つのシード点を画定するステップと、
前記少なくとも1つのシード点に対して、前記伝導速度メッシュを通る少なくとも1つの活性化経路を識別するステップと、を実行することと、
を備える、方法。
(項目11)
前記伝導速度メッシュを画定するステップは、前記電気生理学データを使用して、前記ジオメトリに亘って伝導速度ベクトルを割り当てるステップを含む、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記複数のノードは、均一なグリッドに配置される、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記方法は、さらに、
前記ジオメトリ上に、前記少なくとも1つのシード点の前記少なくとも1つの活性化経路のグラフィカル表示を出力するステップを含む、項目10に記載の方法。
(項目14)
前記方法は、さらに、
前記ジオメトリ上に、前記伝導速度メッシュのグラフィカル表示を出力するステップを含む、項目13に記載の方法。
(項目15)
1つ又は複数の経路として心臓活性化波面をマッピングするための電気解剖学的マッピングシステムであって、
経路識別プロセッサを備え、
前記経路識別プロセッサは、
多電極カテーテルによって担持され、複数の双極を画定する複数の電極から、活性化タイミング情報を含む電気生理学的データを受信し、
前記活性化タイミング情報から、前記複数の双極のうち第1の活性化双極を識別し、
前記活性化タイミング情報から、前記第1の活性化双極から始まって最後の活性化双極で終わる活性化経路を識別するように構成される、システム。
(項目16)
前記経路識別プロセッサは、前記活性化タイミング情報から、前記複数の双極のうち、連続して活性化する双極子を繰り返し識別することによって、前記活性化経路を識別するように構成される、項目15に記載のシステム。
(項目17)
前記システムは、さらに、
心臓ジオメトリモデル上に、前記活性化経路のグラフィカル表示を出力するように構成されたマッピングプロセッサを備える、項目15に記載のシステム。
(項目18)
1つ又は複数の経路として心臓活性化波面をマッピングするための電気解剖学的マッピングシステムであって、
経路識別プロセッサを備え、
前記経路識別プロセッサは、
多電極カテーテルによって担持された複数の電極から、活性化タイミング情報を含む電気生理学的データを受信し、
複数の心臓ジオメトリマッピング点に亘って、前記電気生理学的データの伝導速度ベクトル場を算出し、
前記伝導速度ベクトル場を通る少なくとも1つの活性化経路を識別するように構成される、システム。
(項目19)
前記経路識別プロセッサは、均一に分布したジオメトリマッピング点のグリッドに亘って、前記伝導速度ベクトル場を算出するように構成される、項目18に記載のシステム。
(項目20)
前記経路識別プロセッサは、前記伝導速度ベクトル場を通る少なくとも1つのシード点の経路を識別することによって、前記伝導速度ベクトル場を通る少なくとも1つの活性化経路を識別するように構成される、項目18に記載のシステム。
(項目21)
前記システムは、さらに、
心臓ジオメトリモデル上に、前記少なくとも1つの活性化経路のグラフィカル表示を出力するように構成されたマッピングプロセッサを備える、項目18に記載のシステム。
(項目22)
前記マッピングプロセッサは、さらに、前記心臓ジオメトリモデル上に、前記伝導速度ベクトル場のグラフィック表示を出力するように構成される、項目21に記載のシステム。
【国際調査報告】