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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-09
(54)【発明の名称】位置決め装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/18 20060101AFI20220302BHJP
   B23B 29/24 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
B23Q3/18 B
B23B29/24 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521529
(86)(22)【出願日】2020-01-07
(85)【翻訳文提出日】2021-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2020050216
(87)【国際公開番号】W WO2020148114
(87)【国際公開日】2020-07-23
(31)【優先権主張番号】102019000383.7
(32)【優先日】2019-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518194718
【氏名又は名称】ザウター ファインメカニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ギーズラー
(72)【発明者】
【氏名】マリウス エバルト
【テーマコード(参考)】
3C016
3C046
【Fターム(参考)】
3C016HA02
3C046NN22
(57)【要約】
位置決めピン10を用いて工作機械の工具タレット6で工具ホルダー12、14、16、18を位置決めするための位置決め装置であって、位置決めピン10は工具タレット6に固定されていて、工具ホルダー12、14、16、18を工具タレット6に装着する際に工具ホルダー6に設けた受容部40に突入係合するものにおいて、工具ホルダー6の受容部の少なくとも1つはブシュ40から形成されており、装着した状態では割り当て可能な位置決めピン10がブシュ40の内周面58と当接してブシュ40内に突入係合すること、内周面58は、ピン10が突入係合する際にピン10から離れる方向に弾性復元力によって拡張する開張部56の一部であることを特徴とする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置決めピン(10)を用いて工作機械の工具タレット(6)で工具ホルダー(12、14、16、18)を位置決めするための位置決め装置であって、前記位置決めピン(10)は前記工具タレット(6)に固定されていて、前記工具ホルダー(12、14、16、18)を前記工具タレット(6)に装着する際に前記工具ホルダー(6)に設けた複数の受容部(40)に突入係合する、位置決め装置において、
前記工具ホルダー(6)の前記複数の受容部(40)の少なくとも1つはブシュ(40)から形成されており、装着した状態では割り当て可能な前記位置決めピン(10)が前記ブシュ(40)の内周面(58)と当接して前記ブシュ(40)内に突入係合し、前記内周面(58)は、前記ピン(10)が突入係合する際に前記ピン(10)から離れる方向に弾性復元力によって拡張する開張部(56)の一部であることを特徴とする位置決め装置。
【請求項2】
前記ピン(10)は、タレット(6)から突出している限りで少なくとも部分的に前記ブシュ(40)の前記内周面(58)とは異なる外周面(36)を有していて、装着した状態では両面(36、58)の間に部分的にのみ接触が、好ましくは線接触の形態で生じることを特徴とする、請求項1に記載の位置決め装置。
【請求項3】
前記ピン(10)の外周面(36)は少なくとも部分的に凸状又は円錐状に形成され、前記ブシュ(40)の前記内周面(58)は少なくとも接触領域では円錐状若しくは凹状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の位置決め装置。
【請求項4】
前記ブシュ(40)の前記内周面は、装着した状態では周囲に向かって円錐状に拡張し、前記ブシュ(40)の前記開張部(56)は外周側で前記ブシュ(40)が貫通している凹部(66)からの半径方向距離を保ちながらホルダー(12、14、16、18)内に包囲されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の位置決め装置。
【請求項5】
前記ピン(10)も前記ブシュ(40)も、
タレット(6)若しくはホルダー(12、14、16、18)内にそれぞれ1つのねじ止め(24、42)によって固定されており、
連続した中空路(22、44)を有し、その中に操作工具の把持箇所(38、46)が配置されており、
ねじ止め(24、42)の外部で環状支持部(30、50)を介してタレット(6)若しくはホルダー(12、14、16、18)に支持されている、
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の位置決め装置。
【請求項6】
矩形断面を備えたホルダー(12、14、16、18)は、その角領域(70)にそれぞれ1つの前記ブシュ(40)を有しており、これらの前記ブシュ(40)にはタレット(6)において、好ましくは標準化された接触面に正確に嵌合するように4つの前記ピン(10)が割り当てられており、前記ホルダー(12、14、16)と接触面は、ホルダー(12、14、16)を用いてタレット(6)に固定できる駆動可能な加工工具の駆動軸(78)が貫通するための貫通路(74)を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の位置決め装置。
【請求項7】
タレット(6)内にある連結装置が工具交換プロセスのためにホルダー(12、14、16、18)を解放した場合も、ホルダー(12、14、16、18)は取り外し可能な固定装置(82)によってなおもタレット(6)に留まっていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の位置決め装置。
【請求項8】
ホルダー(12、14、16、18)の固定装置は少なくとも1つの曲げロッド(82)を有しており、曲げロッド(82)はその一方の自由な固定端でホルダー(12、14、16、18)に固定されており、装着した状態では他方の自由なラッチ端(86、92)で前記ピン(10)の中空路(22)内の突起(80)を下方から把持すること、及び両中空スペース(22、44)を貫通する曲げロッド(82)は操作装置(88)によって操作されてラッチ端(86、92)が前記ピン(10)の突起(80)との係合から外れて、ホルダー(12、14、16、18)がタレット(6)から解放されて取り外し可能になることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の位置決め装置。
【請求項9】
前記操作装置は、ホルダー(12、14、16、18)内で曲げロッド(82)に対して横断方向に変位可能に支持されている操作ピン(88)を有しており、操作ピン(88)はその一方の端部でホルダーを把持し、ホルダーの外側から接近できる他方の端部(94)から曲げロッド(82)のラッチ端(86、92)を解放位置にもたらす変位運動を仲介できることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の位置決め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決めピンを用いて工作機械の工具タレットで工具ホルダーを位置決めするための位置決め装置であって、位置決めピンは工具タレットに固定されていて、工具ホルダーを工具タレットに装着する際に工具ホルダーに設けた受容部に突入係合するものに関する。
【背景技術】
【0002】
外周側に多数のワークステーションを有する旋回可能な工具ディスクを備え、それらのワークステーションに加工工具用の工具ホルダーを正確な嵌合位置で固定できる工具タレットは、種々の先行技術の構成、例えば特許文献1(独国特許出願公開第102005033890号明細書)又は特許文献2(独国特許出願公開第102014003336号)に記載されている。このような工具タレットは通常、関連する工作機械に接続できる本体を有しており、これに工具ディスクはタレット軸心を中心に回転可能に支持されており、工具ホルダーを備えたワークステーションは工具ディスクを回転させることで作業位置に旋回できる。工具ホルダーで使用される加工工具は、主に回転駆動される穴あけ工具や旋削工具などの切削加工用の工具、又はバイトなどの静的工具である。少量生産品を製造するためのワークピースなどの特定の製造タスクでは、使用する種々の加工工具を頻繁に交換する必要があり、これは作業者にとって相当な量の作業をもたらす。その結果として生じる高い加工コストを削減するために、工具交換のプロセスを機械的に支援するための努力がなされている。これに関する未公開の先行技術は、特許文献3(独国特許出願公開第102018004677.0号明細書)に開示されている。そこに示されている工具タレットでは、ワークステーションに工具ホルダーを固定し、又はワークステーションから工具ホルダーを解放するために通常設けられている固定装置は、機械制御によって操作可能である。これにより、解放された工具ホルダーを取り外し、別の工具ホルダーをワークステーションに挿入するハンドリングロボットを用いて、変更プロセスを自動運転で実行することが可能になる。工具交換が完全に自動的に行われると、関連する加工設備全体の少なくとも部分的に自動化された操作が可能になり、その結果セットアップコストの削減が可能になり、それに応じて作業時間と人件費が削減される。
【0003】
工具タレットを使用する際に高精度の加工を保証するためには、位置決め装置が関連するワークステーションで使用される工具ホルダーの絶対に正確な嵌合位置を保証することが不可欠である。このことから位置決めピンと、位置決めピンの係合のために工具ホルダーに設けられた受容部の形状の精度に対する高い要求が生じる。それにより工具交換を機械的に実行する際に、ロボットアームに配置されたグリッパーは、挿入プロセスにおいてグリッパー位置を制御するための最も厳しい公差を順守することが必要になる。したがって把持された工具ホルダーの確実な挿入を保証するために、関連するハンドリングロボットの機構と制御の両方に高い要求が課される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102005033890号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102014003336号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102018004677.0号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、上記の問題を考慮して、割り当てられた工具ホルダーの高精度の位置決めを保証し、特に工具交換プロセスの過程で位置決めプロセスの機械的実施に適した位置決め装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば上記の課題は、特許請求項1の特徴をその全体において有する位置決め装置によって解決される。
【0007】
請求項1の特徴部によると、本発明により工具ホルダーの受容部の少なくとも1つはブシュから形成されており、装着した状態では割り当て可能な位置決めピンがブシュの内周面と当接してブシュ内に突入係合し、この内周面は、ピンが突入係合する際にピンから離れる方向に弾性復元力によって拡張する開張部の一部である。したがって関連するハンドリングシステムのグリッパーにより工具ホルダーが割り当てられたワークステーションに到達すると、それぞれの位置決めピンが弾性的に可撓なブシュ部品の先端部を通って突入係合するため、工具ホルダーの当て付け位置での位置公差の補正が提供される。このようにすることによってグリッパーの厳しい位置公差に対する要求が低くなり、それに対応してハンドリングシステムの機構及び制御に対する要求が低くなるため、本発明による位置決め装置は、低コストと高い信頼性で実施される機械的工具交換プロセスに有利に適している。
【0008】
有利な実施形態では、ピンは、タレットから突出している限りで少なくとも部分的にブシュの内周面とは異なる外周面を有していて、装着した状態では両面の間に部分的にのみ接触が、好ましくは線接触の形態で生じる。全面的な接触を回避し、それに対応して有効摩擦面を減らすことによって、挿入プロセスにおいて軸方向の引き込み力と位置合わせ力として生じる横方向の力との間の比率がより好ましいものとなる。
【0009】
ピンの外周面は少なくとも部分的に凸状又は円錐状に形成され、ブシュの内周面は少なくとも接触領域では円錐状若しくは凹状に形成されているように有利に構成できる。これに関して球状に研削された位置決めピンと、内側円錐を有するブシュとの組み合わせを設けると特に有利である。
【0010】
好適な実施形態では、ブシュの内周面は、装着した状態では周囲に向かって円錐状に拡張し、ブシュの開張部は外周側でブシュが貫通している凹部からの半径方向距離を保ちながらホルダー内に包囲されている。このようにすることによって、ブシュはその開張部によりピンの突入係合プロセスのために一種の入口漏斗を形成し、その壁は工具ホルダーの包囲する壁までの半径方向距離のために拡張可能である。
【0011】
有利な実施形態では、ピンもブシュも、タレット若しくはホルダー内にそれぞれ1つのねじによって固定されており、連続した中空路を有し、その中に操作工具の把持箇所が配置されており、ねじ止めの外部で環状支持部を介してタレット若しくはホルダーに支持されている。ねじ止めによって固定することにより、中空路内に形成された、有利には例えば六角穴の把持箇所と組み合わせて、単純な組み立てプロセスによる確実な固定を可能にすると同時に、ねじ込んだ状態での支持部とタレット若しくはホルダーとの位置関係を介してピン及び/又はブシュのねじ込み深さを指定できる。
【0012】
有利には、矩形断面を備えたホルダーは、その角領域にそれぞれ1つのブシュを有しており、これらのブシュにはタレットにおいて、好ましくは標準化された接触面に正確に嵌合するように4つのピンが割り当てられており、ホルダーとピンは、ホルダーを用いてタレットに固定できる駆動可能な加工工具の駆動軸が貫通するための貫通路を有する。このように嵌合箇所を分散して配置することにより、タレット軸の方向とこれを横断する方向の両方で高精度の位置合わせを保証し、同時に本発明で設けられているそれぞれのピンとブシュの拡張可能な開張部との間の相互作用により、通常は複数の嵌合箇所において静的な過剰決定によって発生する問題が解消される。
【0013】
有利には、タレット内にある連結装置が工具交換プロセスのためにホルダーを解放した場合も、ホルダーは取り外し可能な固定装置によってなおもタレットに留まっているように構成できる。これにより、未公開の先行技術を開示する特許文献3(独国特許出願公開第102018004677.0号明細書)に示されているように、交換される工具ホルダーはワークステーションでシステム制御されて解放される自動又は半自動方式の工具交換プロセスにおいて、解放された工具ホルダーが工具ディスクから落下することなく、工具ディスクを回転させることによって所望の交換位置に危険なく移行する可能性が開かれる。
【0014】
有利な実施形態では、ホルダーの固定装置は少なくとも1つの曲げロッドを有しており、曲げロッドはその一方の自由な固定端でホルダーに固定されており、装着した状態では他方の自由なラッチ端でピンの中空路内の突起を下方から把持し、両中空スペースを貫通する曲げロッドは操作装置によって操作されてラッチ端がピンの突起との係合から外れて、ホルダーがタレットから解放されて取り外し可能になる。
【0015】
有利には、操作装置は、ホルダー内で曲げロッドに対して横断方向に変位可能に支持されている操作ピンを有しており、操作ピンはその一方の端部でホルダーを把持し、ホルダーの外側から接近できる他方の端部から曲げロッドのラッチ端を解放位置にもたらす変位運動を仲介できる。外から操作ピンに接近できることにより、ハンドリングシステムを用いて機械的に実行される交換プロセスにおいてロボットアームのグリッパーによって固定装置を操作することが可能になり、グリッパーは、解放された工具ホルダーを掴むと操作ピンに当たって解放位置に変位させる。
【0016】
以下に本発明を図面に示す実施形態について詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明による位置決め装置の実施形態を備えた工具タレットの、工具ディスクから見た斜視図を示す。
図2図2は、実施形態のブシュを上から見た拡大斜視図を示す。
図3図3は、実施形態の位置決めピンを上から見た、図2の縮尺で描かれた斜視図を示す。
図4図4は、図2のブシュを下から見た、同じ縮尺で描かれた斜視図を示す。
図5図5は、図3の位置決めピンを下から見た、同じ縮尺で描かれた斜視図を示す。
図6図6は、図1の工具ディスクの外周部分を半径方向平面で切断した部分断面図を示しており、2つの隣接するワークステーションについて位置決め装置の実施形態のそれぞれ1つの位置決めピンが示されており、左側には挿入前の工具ホルダーの割り当てられた部分断面が示され、右側には挿入された位置の部分断面図が示されている。
図7図7は、本発明による位置決め装置で位置合わせされる工具ホルダーの基部の断面図を示す。
図8図8は、固定装置を備えた工具ディスクの外周部分と、これに本発明による位置決め装置の第2の実施形態により位置合わせされた工具ホルダーの部分を半径方向平面で切断した部分断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示した工具タレット2は、本体4にタレット軸心を中心に旋回可能に支持された工具ディスク6を有し、工具ディスク6はそのようなタレットにおいて通常の方法でその外周にワークステーション、図示の例では12のワークステーションを有する。工具ホルダーを固定するために、各ワークステーションには受容面8(図1では一部のみ番号を付してある)が形成されており、それらに基部14を具備した工具ホルダーを、位置決めピン10によって位置合わせされた位置に固定することができる。図1の表現では、一部のワークステーションにのみ工具ホルダーが装着されている。図1には、直線駆動軸を備えた被動工具用に設計された工具ホルダー12の他に、直角歯車を備えた被動工具用の工具ホルダー16、バイトなどの静的工具用の工具ホルダー18、並びにカバー20が示されている。カバー20は、関連付けられた工具ホルダーがなく基部14によって形成されている。カバー20は、空のワークステーションに保護要素として、本発明による位置決め装置によって指定された調整位置で工具タレットの割り当てられた受容面8に、工具ホルダー12、16、18の基部14と同じ方法で固定し又は解放することができる。その際に固定装置は、未公開の先行技術を開示する特許文献3(独国特許出願公開第102018004677.0号明細書)に示されているように、工具ディスク6の工具ドライブによってシステム制御されて操作することができる。
【0019】
位置決めピン10は、内部の同軸に連続した中空路22を備えた一体型回転体である。位置決めピン10はそれらの固定端に、工具ディスク6の割り当てられたワークステーションの受容面8の受容孔28内の雌ねじ26にねじ込むことができるねじ部24を有する。長さが位置決めピン10の全長の約3分の1であるねじ部24の端部で、ねじ付きピン10の外径は段部30において直径が拡大された円筒部32に移行している。この円筒部32のために受容孔28内では、雌ねじ26と孔端部との間で孔部分34が正確に嵌合する座部を形成する。ねじ込まれた位置では、段部30が円筒部32と雌ねじ26との間に形成された段差部に当接しており(図6)、位置決めピン10はその全長の約半分が受容面8上に突出している。この受容面8から突出しているこの部分において、位置決めピン10はその外周面36が、わずかに凸状に湾曲した形で球状に研削されている。位置決めピン10は、ねじ止めを形成するために当て付けることができる工具の把持箇所として、ねじ部24内の中空路22の固定端に形成された六角穴38によって完成される。
【0020】
工具ホルダー12、16、18の基部14又はカバー20に割り当てられた位置合わせ部としてブシュ40が設けられており、ブシュ40は位置決めピン10と同様に、雄ねじ部42を有する一体型回転体によって形成される。回転体はねじ込み部品として雄ねじ部42を有しており、雄ねじ部42は雄ねじ部42の端部を起点としてブシュ40の全長の約4分の1にわたって延びており、関連する基部14の受容孔66内の雌ねじ68にねじ込むことができる。ブシュ40は位置決めピン10と同様に、内部の連続した同軸中空路44(図6参照)を有しており、雄ねじ部42内にあるその端部には、ねじ止めを形成するために当て付けることができる操作工具用の六角穴46がある。肩部48でブシュ40の外径は、嵌合面52を形成する外周を備えたカラー50によって拡張している。カラー50に続いて、別の肩部54を介して半径方向内側にずれて、開張部56を備えたブシュ40が端部に向かって延びている。開張部56の軸方向長さは、ブシュ40の全長の半分よりわずかに短い。ブシュ40の壁厚はその開張部56の領域でカラー50の壁厚の約半分であるため、開張部56は半径方向の力を作用させることによって拡張できる。図6に最も明確に見られるように、右側の図面部分ではすべての部材に番号を付してないが、開張部56の壁は、肩部54でカラー50に対して半径方向内側にずれた箇所を起点として、そこから開張部56の壁は端部に向かって広がるように延びている。その際に内周面58が円錐を形成し、この円錐により中空路44は漏斗状に端部に向かって拡張し、この端部を通って割り当てられた嵌合ピン10を挿入することができる。円錐と、六角穴46を備えた端部との間で、中空路の内径は円筒形の孔部分60及び62で2段階に減少している。外側では開張部56は、外側円錐の端部に円筒状終端部64を有する。ブシュ40が基部14にねじ込まれると、図6に示すように終端部64は、ブシュ40のために基部14に形成された受容孔66の包囲する壁からの半径方向距離の内部に位置している。
【0021】
図6は、右側半分にワークステーションの一部と、工具ホルダー12の部分とを示している。工具ホルダー12の基部14は受容面80に配置され、本発明による位置決め装置によって位置合わせされている。ワークステーションに関連付けられた位置決めピン10は、割り当てられたブシュ40の開張部56に引き込まれた個々の位置決め位置で図の部分的表現に示されている。図6の左側部分は、割り当てられた位置決めピン10による持ち上げプロセスのために工具ディスク6に当て付ける前の基部14の位置を示している。示されているように、凸状曲面で球状に延びる凸部の外周面36の端部において、位置決めピン10の外径は、円錐状内周面58によって広がる開張部56の開口部の直径よりも小さい。したがってそのように形成された入口漏斗は、面接触が開張部56内でしか起こらないため、たとえ位置公差があっても位置決めピン10は開張部56に確実に進入することが可能である。引き込みプロセス中にピン10の外周面36と開張部56の内周面58との間の面接触により生じ得る位置公差は除去されて、正確に嵌合する位置合わせが達成される。開張部56が弾性的に拡張可能であり、かつ開張部56の外壁が肩部54で半径方向内側にずれた開始点から始まって終端部64まで、受容孔の包囲する壁からの半径方向距離の内部にあることにより、変形のための空スペースが提供される。このような一定程度の可撓性により正確に嵌合する位置決めを損なうことなく、複数の嵌合箇所がある場合に静的な過剰決定によって発生することが知られている問題を回避できる。したがって有利には、工具ディスクのワークステーションに4つの位置決めピン10を設けることができ、これらの位置決めピン10は、図7に示すように、関連する矩形基部14の角領域に配置されたブシュ40と相互作用する。引き込み位置で相互作用する面、図示の例ではブシュ40の円錐状内周面58とピン10の凸状の球状外周面36の延び方が異なると、挿入位置における接触面は均一に全面的に当接せず、接触はむしろ線接触に対応する。
【0022】
図7は、回転駆動される工具のために設けられている関連する工具ホルダーの、輪郭が矩形の基部14の4つの角領域70の各々にブシュ40を配置した構成を示している。基部14は関連付けられたスピンドルドライブが貫通するために、当該スピンドルドライブのシャフト76と軸78のための中央に配置された貫通開口部74を有する。
【0023】
図8に示す変形実施形態では、それぞれの位置決めピン10の内部中空路22が、第1の実施形態におけるように六角穴38に続いて平滑な内部円筒を形成せず、半径方向内側に突出するラッチ突起80を有している。ラッチ突起80は、位置決め装置によって位置合わせされた位置で工具ディスク6上にある基部14を、タレット側の固定装置がこの基部14を解放した場合でも工具ディスク6上に確保する追加の固定装置の一部をなしている。この確保する固定装置は曲げロッド82を有しており、曲げロッド82は一方の端部領域で曲げ箇所84を介して基部14に固定され、曲げ箇所84を起点として、ブシュ40と位置決めピン10の相互作用する対の両中空スペース44及び22の両方を通って延びている。曲げロッド82はその自由端86に、ピン10の突起80とのラッチ係合により基部14を工具ディスク6上に確保するラッチフック92を有する。ラッチ係合を解除するために、基部14に操作ピン88が設けられており、この操作ピン88は基部14内で曲げロッド82に対して横断方向に変位可能に支持されて、戻りばね90の力に抗して変位可能で、一方の自由端で曲げ箇所82の近傍で曲げロッド82に曲げ力を負荷し、それによってラッチフック92を突起80との係合から外し、その結果基部14は解放されて取り外すことができるようになっている。操作ピン88の曲げロッド82とは反対側の端部94は、基部14の外側から接近可能であり、その結果追加の固定装置は外から操作ピン88に作用する制御部材によってロック解除できる。
図1
図2-3】
図4-5】
図6
図7
図8
【国際調査報告】