(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-09
(54)【発明の名称】石膏スタッコ再水和モルタルにおける水需要低減剤としてのCO2の使用
(51)【国際特許分類】
C04B 28/14 20060101AFI20220302BHJP
B28B 17/02 20060101ALI20220302BHJP
C04B 22/08 20060101ALI20220302BHJP
B28B 1/30 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
C04B28/14
B28B17/02
C04B22/08 Z
B28B1/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021528349
(86)(22)【出願日】2018-11-21
(85)【翻訳文提出日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2018000519
(87)【国際公開番号】W WO2020104002
(87)【国際公開日】2020-05-28
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510094539
【氏名又は名称】クナウフ ギプス カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ハルバッハ,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ロ モロ,ジャコモ
【テーマコード(参考)】
4G052
4G055
4G112
【Fターム(参考)】
4G052DB16
4G055AA04
4G055AA10
4G055AB05
4G055FA01
4G112MB06
4G112MB11
4G112PA24
4G112PB03
4G112PB11
(57)【要約】
本出願は、石膏物品の生産のための方法であって、測定された量の二酸化炭素をプロセス水に導入することと、スタッコをこのように処理された水と混合することと、を含む、方法に関する。CO2が豊富な水には、かなり低い含水量で十分な加工特性を有する組成物を提供するという利点があり、ひいては大幅なエネルギー節約が可能になる。本発明は、本方法に従って調製されたスラリー、ならびに本方法を実装するように適合された装置にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
石膏物品を生産するための方法であって、測定された量の二酸化炭素をプロセス水に導入することと、スタッコをこのように処理されたプロセス水と混合してスラリーを形成することと、を含み、前記プロセス水へ前記二酸化炭素の添加が、前記スラリーの所定の流動性を達成するのに必要な前記プロセス水の量の低減をもたらす、前記方法。
【請求項2】
前記プロセス水に導入される前記二酸化炭素の量が、少なくとも1g/L、好ましくは少なくとも1.5g/L、または少なくとも1.8g/Lであるが、15g/L以下、好ましくは10g/L以下、または8g/L以下の溶解/分散二酸化炭素の濃度を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記二酸化炭素が導入された前記プロセス水が、8.0以下のpHを呈する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記スタッコが、前記二酸化炭素が導入された前記プロセス水と混合されて、約0.5~1.2、好ましくは約0.6~1.0、より好ましくは約0.65~0.8の範囲の水/スタッコ比を提供する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記スタッコの前記二酸化炭素含有プロセス水との前記混合の前に、紙パルプまたは添加剤が、前記二酸化炭素含有水に供給される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
発泡体が、前記スラリーと混合され、前記プロセス水への前記二酸化炭素の添加が、前記スラリーの所定の密度を達成するのに必要な前記発泡剤の量の低減をもたらす、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
スタッコおよび二酸化炭素含有プロセス水を含有する前記混合物が、物品、好ましくは建築用ボード、特にプラスターボードに形成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記物品またはプラスターボードを乾燥させる工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法に従って調製された水/スタッコ混合物から調製されたスラリー。
【請求項10】
少なくともスタッコとプロセス水との混合物を含むスラリーを調製するための装置であって、手段(1)が、前記スタッコが前記プロセス水と混合されるミキサーの上流に提供され、前記手段1が、前記プロセス水への前記二酸化炭素の直接導入を可能にする、装置。
【請求項11】
前記二酸化炭素が、前記プロセス水に導入される前記手段(1)が、スパージャ(2)を備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記二酸化炭素が豊富な水を前記スタッコと混合するためのミキサー(4)と、好ましくは、発泡体を、前記ミキサー(4)、または前記スラリーが前記コンベヤー(12)に供給されるライン(10)に供給するための手段(6)とをさらに備える、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
ミキサー(4)で生産された前記水/スタッコ混合物を所望の形状に形成する形成手段をさらに備える、請求項10~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記形成手段が、前記スラリーの連続層をライナー(10aおよび10b)に塗布するディスペンサ(9)を備える、請求項10~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記形成手段の下流に乾燥機(13)をさらに備える、請求項13または14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、スタッコスラリーの水需要の低減のための方法であって、加重された量の二酸化炭素をプロセス水に導入することと、上記スタッコをこのように処理された水と混合してスラリーを生産することと、を含む、方法に関する。本出願は、さらに、本方法に従って調製された、スタッコと水との混合物、ならびに対応するスタッコと水との混合物の調製に適合された装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスターボードの調製では、水とスタッコ(基本的にβ-硫酸カルシウム半水和物からなる)とを混合してスラリーを提供し、その後、このスラリーをライナーに塗布し、2番目のライナーで被覆し、乾燥させて、対応するプラスターボードを提供する。石膏の均一な分布ならびに軽量構造を提供するために、発泡体を混合物に導入してもよい。
【0003】
ボードの調製中、石膏スラリーの形成に使用される水の少なくとも一部は、硫酸カルシウム半水和物に吸収されて、硫酸カルシウム二水和物を形成する。しかしながら、混合物の十分な流動性および低粘度を提供するために、半水和物を硬化させるのに化学量論的に必要とされるよりも多くの水で混合物を調製する必要があり、次に、この水を乾燥工程で除去する必要があり、その結果、ボードの最終乾燥に多大なエネルギーコストがかかる。
【0004】
この乾燥工程に必要なエネルギーは、スタッコ/水混合物の調製に使用される水の量に強く関連しているため、適切な加工可能性を有する混合物の形成に必要な水の量を最小化することができるプロセスが必要である。
【0005】
EP0 077 373は、硫酸カルシウム半水和物を処理してその水需要を低減し、処理された半水和物が水和されるための癒着時間の低減を提供するためのプロセスについて記載し、スタッコは、約0.01~5モルの石膏可溶化剤の水溶液と組み合わされ、その混合物をブレンドして癒着させる。可能な石膏可溶化剤として、EP0 077 373は、アルカリおよびアルカリ土類金属水酸化物、ならびに炭酸塩を含む酸性またはアルカリ性塩を示唆している。EP0 077 373の実施例では、石膏可溶化剤として水酸化ナトリウムを取り込むと、このように調製されたプラスターボードから蒸発する水の量が著しく低減することが実証された。
【0006】
WO2006/138001 A2は、ポリカルボン酸塩分散剤、改質剤、および水硬性材料がスラリーに取り込まれているスラリーを生産する方法に関する。ケイ酸塩および炭酸塩を含む塩として指定される改質剤は、分散剤の効力を増加させると言われ、それにより、組成物中の水の低減が可能になる。同様に、EP1 907 334は、分散剤と、例えば、石灰、コンクリート、ケイ酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、および炭酸塩から選択される改質剤とを含むスラリーについて記載しており、改質剤は、分散剤の有効性を高める。
【0007】
以上のことから、先行技術と比較して、適切な加工特性を有するスラリーを提供するのに必要な水を低減することを可能にする方法が求められている。
【発明の概要】
【0008】
本発明の根底にある調査では、プロセス水をスタッコ粉末と混合する前に、加重または測定された量のCO2をプロセス水に導入すると、スラリーの流動性が増加し、体積増加が提供され、次に、プロセス水全体の量の低減が可能になることが予想外に発見された。加えて、スラリーを発泡体と混合すると、発泡剤の量も低減することができるため、さらなる経済的利点が提供される。プロセス水がCO2を含有する場合、スラリーの所定の密度を達成するのに必要な発泡剤の量は、少なくなる。
【0009】
したがって、第1の態様によると、本発明は、石膏物品を生産するための方法であって、測定された量の二酸化炭素をプロセス水に導入し、スタッコとこのように処理されたプロセス水とを混合することによる、水需要が低減されたスタッコスラリーの生産を含む、前記方法に関する。
【0010】
スタッコと水との混合物への添加剤としての二酸化炭素の使用は、スタッコスラリーの硬化時間を増加させると同時に最終製品の耐久性を増加させる手段として当技術分野で以前から提案されてきた。スラリーへのCO2の添加によって、より大量の水、例えば、1体積の焼成石膏に2体積の水(US1,620,915を参照)を使用することが可能になる。水の量を増加させると、主な問題であったスラリーの腐敗(非硬化またはび腐食)のリスクが低減するため、好ましいと記載されている。しかしながら、本発明の意図は、この考えの正反対である。スタッコスラリーの水需要を低減するために二酸化炭素を使用する。さらに、US1,620,915によると、二酸化炭素はスタッコと水との混合物に添加されるが、本発明によると、スタッコは、二酸化炭素が溶解または分散されたプロセス水と混合される。
【0011】
測定された量の二酸化炭素が水に導入される手段に関して、本出願は、いかなる関連する制限も受けない。例えば、二酸化炭素をプロセス水に導入する非常に簡単な方式は、単に、二酸化炭素が少なくとも部分的にプロセス水に溶解するように、CO2を水に分散させることである(恐らく圧力を加えることで)。代替として、酸が添加された炭酸塩または重炭酸塩前駆体からのその場形成によって二酸化炭素をプロセス水に取り込むことも可能であり、炭酸塩が炭酸および/または二酸化炭素に変換される。しかしながら、塩前駆体を介して二酸化炭素を水に導入すると、酸塩基反応からの副産物(有機または無機塩)が形成されるという潜在的な欠点がある。したがって、この代替を使用することによって、これらの副産物がスタッコの後の水和プロセスまたは最終製品の品質に悪影響を及ぼすことを排除することができない。ゆえに、本出願の文脈において、測定された量の二酸化炭素のプロセス水への導入は、好ましくは、ガス状二酸化炭素を水に直接導入することによって達成される。
【0012】
ガス状二酸化炭素の使用には、この材料が化石燃料を燃焼するすべての加熱システムによって生産され、排気ガスの排出で常習的に廃棄されるという追加の利点がある。CO2排出がますます厳しい規制および削減計画(排出権取引)の対象になっているという事実を考慮すると、その内部回復によって、かなりの経済的利点およびより持続可能な運営とが提供される。プラスターボードは、上記で説明したように、その最終的な乾燥にかなりの量のエネルギーを必要とし、これは通常、同時に大量の二酸化炭素を生産する工場によって生成されるため、ガス状二酸化炭素は通常、非常に低コストで豊富に入手可能である。
【0013】
「スタッコスラリー」および「スタッコおよび水を含有する混合物」という用語は、この説明では交換可能に使用され、同じ意味を有する。
【0014】
水に導入される二酸化炭素の量に関して、本発明は、二酸化炭素の量が、二酸化炭素を添加しない同一の混合物と比較してスラリー流動性の増加に関して観察可能な効果を提供するのに十分に高くなければならないことを除いて、いかなる関連する制限も受けない。それにもかかわらず、本出願では、二酸化炭素をプロセス水に導入して、少なくとも1g/L、より好ましくは少なくとも1.5g/L、さらにより好ましくは少なくとも1.8g/Lのプロセス水中の溶解/分散二酸化炭素の濃度提供することが好ましい。溶解/分散二酸化炭素の最大量は、好ましくは15g/L以下、より好ましくは10g/L以下、さらにより好ましくは8g/L以下である。二酸化炭素量が約8g/lを超える場合、溶解した二酸化炭素が、硫酸カルシウム半水和物の硬化をある程度遅らせるため、より高いCO2濃度があまり好ましくないことが観察されている。加えて、プロセス水中の二酸化炭素濃度が1g/L未満の場合、適切な加工特性を有するスラリーを生産しながらの達成可能な水の低減が比較的低くなる。
【0015】
加えて、本発明の方法では、二酸化炭素を導入した水が8.0以下のpHを呈することが好ましい。
【0016】
加えて、本発明の実施では、スタッコを、二酸化炭素が導入されたプロセス水と混合して、約0.5~1.2、好ましくは約0.6~1.0、より好ましくは約0.65~0.8、さらにより好ましくは約0.65~0.7の範囲の水/スタッコ比を提供することが好ましい。これらの範囲内で、定期的に水の低減と混合物の十分に速い硬化および乾燥との良いバランスが確実になる。
【0017】
本発明の実施におけるスタッコは、実質的に純粋な硫酸カルシウム半水和物(すなわち、98重量%以上)から構成され得るか、または無水硫酸カルシウムまたは硫酸カルシウム二水和物などの他の硫酸カルシウム改質を含み得る。加えて、スタッコは、その中の避けられない不純物の次に、粘土、炭酸塩、ケイ酸塩などの他の無機成分を含み得る。しかしながら、スタッコが、少なくとも70重量%の硫酸カルシウム半水和物、より好ましくは少なくとも80重量%の硫酸カルシウム半水和物、さらにより好ましくは少なくとも90重量%の硫酸カルシウム半水和物から構成されることが好ましい。
【0018】
スタッコと水との混合物がその後塗布される目的に応じて、石膏物品またはプラスターボードの生産の分野での従来の増強材料および添加剤を添加することが可能である。例えば、例えば紙パルプなどの繊維状材料、または液化剤、シリコン油、発泡剤、促進剤、耐火材料などの従来の添加剤を添加して、得られる混合物の最終特性を調整することが可能である。本発明の方法によると、そのような増強材料および/または添加剤が、それらがプロセス水に供給される場合に、これらの材料の不規則分布を回避するために、CO2添加に対して十分な距離を置いて挿入されることが好ましい。CO2添加は、好ましくは、他の添加剤を添加する前または後にプロセス水全体に均質に分散するのに十分な時間をとらなければならない。そうでなければ、例えば発泡体のような追加の材料をミキサーに直接、またはミキサーからブーツへの移行部、またはミキサーのブーツに添加することも当然ながら可能である。
【0019】
軽量石膏物品の調製では、発泡体のスラリーへの導入が効果的であることが証明されており、プラスターボードを生産する際に標準的に用いられている。ゆえに、本発明の実施では、この方法は、好ましくは、発泡体がプロセス水とスタッコとの混合物に添加される工程を含む。
【0020】
さらに、本発明の方法は、少なくともスタッコと二酸化炭素含有プロセス水とを含む混合物から物品が形成される工程を含むことが好ましい。
【0021】
物品は、その形状に関していかなる関連する制限も受けず、すなわち、石膏スラリーであらゆる種類の形状を形成することが可能である。本発明による調製のための好ましい物品は、プラスターボードである。
【0022】
加えて、本発明の実施では、物品は、その成形後の工程で乾燥されることが好ましいため、本発明の好ましい方法は、物品またはプラスターボードを乾燥する工程をさらに含む。
【0023】
さらなる態様では、本出願は、上記の方法に従って調製されたスタッコとプロセス水との混合物に関する。
【0024】
またさらなる態様では、本発明は、スタッコおよびプロセス水を含むスラリーを調製するための装置に関し、二酸化炭素のプロセス水への直接導入を可能にする手段1が、プロセス水がスタッコと混合されるミキサーの上流に提供される。
【0025】
上記の手段1は、好ましくは、二酸化炭素をプロセス水中に微細に分散させて、二酸化炭素が導入される水と二酸化炭素との接触面を可能な限り大きくするための適切なデバイスが装着される。好ましくは、手段は、二酸化炭素を水に導入するためのスパージャ2を備える。
【0026】
ミキサー4は、二酸化炭素が豊富なプロセス水とスタッコとのブレンドを可能にする。加えて、本発明の装置は、好ましくは、発泡体流をミキサー4、またはスラリーをコンベヤー12に供給するライン10に供給する手段6を有する。
【0027】
手段1とミキサー4との間の距離に関して、距離は、二酸化炭素のプロセス水への溶解または「分散」が安定して形成されて、プロセス水/スタッコ混合プロセス中に二酸化炭素の脱気および損失を回避または低減するように規則的になされるべきである。明らかに、この距離は、プロセスパラメータ(すなわち、取り込まれる二酸化炭素の量、温度、水がライン内を移動する速度など)に依存するが、適切な距離でのミキサー4の位置付けについて、当業者は特に困難を伴わずに対処するであろう。
【0028】
装置が添加剤または紙繊維などの強化材料のための入口(7a、7bなど)で構築されている場合、これらの入口は、好ましくは、二酸化炭素がすでに水に導入されている位置、すなわち、手段の下流1で、ライン5に追加される。ゆえに、装置は、繊維状材料および添加剤がライン5に導入される入口(7a、7bなど)を有し得る。さらに、繊維状材料および添加剤のための入口(7a、7bなど)が、繊維状材料および/または添加剤が導入される時点において十分に安定した気体/液体分散を確実にするように、手段1のプロセス水への二酸化炭素導入場所から十分に離れた位置にあることが好ましい。
【0029】
加えて、本発明の装置が、ミキサー4で生産されたプロセス水/スタッコ混合物が所望の形状に形成される形成手段を備えることが好ましい。形成手段は、形成ステーションを備えた移動コンベヤーなどの連続形成手段、またはそれぞれの量のプロセス水/スタッコ混合物が導入される鋳型などの不連続形成手段であり得る。
【0030】
上に示したように、本発明の好ましい製品は、プラスターボードである。ゆえに、本出願の好ましい態様では、装置は、スラリーの連続層をライナー、例えば、セルロースベースの繊維材料11aまたは繊維マットに分配するように成形された分配手段9を備える。このようにライナーに塗布されたスラリー層は、第2のライナー11bによって被覆される。加えて、装置は、好ましくは、層の間にスラリーを分配すると同時にライナー材料の層を運ぶためのコンベヤー12を有する。ライナー材料の層は、好ましくは、紙もしくは板紙層、またはガラスもしくは鉱物もしくはポリマー繊維を含む織布もしくは不織布マット、またはそれらの混合物である。
さらに、本出願の文脈において、装置は、形成手段の下流に乾燥機13を備えることが好ましい。
【0031】
図1に示す装置の説明によって、本発明を以下に示す。
図1は、プロセス水が、ライン3を介して、スパージャ2が装着された二酸化炭素導入手段1に供給される装置を示す。二酸化炭素がプロセス水に導入された後、プロセス水は、添加剤のための入口7aおよび繊維状材料のための入口7bを有するライン5を通過する。さらに、発泡体6のための入口を提供することができる。ライン5を介して、プロセス水は、スタッコの添加のための入口8を有し、任意選択で発泡体6のための入口も有し得るミキサー4に移送される。スタッコおよびプロセス水がミキサーで完全に混合されると、それらはライン10を介して分配手段9まで通過し、分配手段9よって混合物は、ライナー11bに分配され、その後追加のライナー11aによって被覆される。これらの層は、コンベヤー12によって、矢印で示される方向に連続的に運ばれる。スタッコとプロセス水との混合物が第1のライナーに分配され、第2のライナーで被覆された後、こうして形成された構造は、形成ステーションを通過し、サイズに切断され、乾燥機13で乾燥されて、依然としてボードに含有される過剰水を除去する。
【0032】
本発明について、例としてさらに説明するが、これは、本発明の例示としてのみ理解されるべきであり、決して限定として理解されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【0034】
実施例1
異なる量のガス状CO
2を、スタッコ粉末と混合する前に水に導入した。水の量は、いずれの場合も、流動性/粘度などの実質的に同一の加工特性が得られるように調整した。スラリーの流動性を、prEN1379-2:2014に記載されている分散法に従って決定し、一定に保った。所定の流動性を達成するために必要な水の量を記録した。この試験の結果を以下の表1に提供する。
【表1】
【0035】
表1は、水に添加されたCO2の濃度、所定の流動性を到達するのに必要なスタッコの適用量を基準にした水の量、および基準に関して達成された水の低減について列挙する。表1は、二酸化炭素の量が増加するにつれて、流動性が同じレベルに保持されたにもかかわらず、スラリーの調製に必要な水の大幅な低減が可能であったことを示す。最高の水の低減の約7%は、約5g/LのCO2で得られた。約5g/LのCO2添加で、スラリー硬化の中程度の遅延が観察される。したがって、遅延効果を考慮に入れると、15g/L以下のCO2、好ましくは8g/L以下のCO2をスラリーに取り込むべきである。
【0036】
通常の加工ラインにおける水の3.3および4.3%の低減は、それぞれ約0.8および0.12kWh/m2のエネルギーの節約になる。5%のCO2を含有する水の場合、エネルギーの節約は、生産されたボード1平方メートル当たり約0.2kWhになるであろう。
【0037】
さらに、1.8g/LのCO2の濃度で調製されたボードが、発泡剤の3%の低減を可能にし、それにもかかわらず、二酸化炭素を含有しない水で調製された組成物とほぼ同じ特徴を提供することが観察された。
【0038】
プラスターボードの工場が通常、年間数百万m2のプラスターボードを生産するという事実を考慮すると、エネルギーおよび発泡剤の潜在的な節約は、かなりの量になる。
【国際調査報告】