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  • 特表-高精度ギヤボックス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-09
(54)【発明の名称】高精度ギヤボックス
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/66 20060101AFI20220302BHJP
   F16C 33/76 20060101ALI20220302BHJP
   F16C 19/16 20060101ALI20220302BHJP
   F16C 19/26 20060101ALI20220302BHJP
   F16C 19/36 20060101ALI20220302BHJP
   F16C 33/38 20060101ALI20220302BHJP
   F16C 33/46 20060101ALI20220302BHJP
   F16H 57/04 20100101ALI20220302BHJP
   H02K 5/173 20060101ALN20220302BHJP
【FI】
F16C33/66 Z
F16C33/76 Z
F16C19/16
F16C19/26
F16C19/36
F16C33/38
F16C33/46
F16H57/04 Q
H02K5/173 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533617
(86)(22)【出願日】2020-01-13
(85)【翻訳文提出日】2021-06-11
(86)【国際出願番号】 EP2020050639
(87)【国際公開番号】W WO2020148200
(87)【国際公開日】2020-07-23
(31)【優先権主張番号】102019200645.0
(32)【優先日】2019-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508282993
【氏名又は名称】アクティエボラゲット・エスコーエッフ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】インゴ・シュルツ
【テーマコード(参考)】
3J063
3J216
3J701
5H605
【Fターム(参考)】
3J063AA27
3J063AB15
3J063AC01
3J063BA11
3J063CA01
3J063CB02
3J063CD02
3J063XD03
3J063XD13
3J063XD32
3J063XD73
3J063XE18
3J216AA02
3J216AA03
3J216AA12
3J216AA14
3J216AB22
3J216BA30
3J216CA04
3J216CA10
3J216CB03
3J216CB07
3J216CC70
3J216DA02
3J216EA07
3J701AA02
3J701AA12
3J701AA13
3J701AA16
3J701AA24
3J701AA25
3J701AA32
3J701AA42
3J701AA52
3J701AA54
3J701AA62
3J701BA73
3J701CA13
3J701EA31
3J701FA13
3J701FA32
3J701GA32
5H605CC04
5H605CC08
5H605EB10
5H605EB13
5H605EB21
(57)【要約】
少なくとも1つの被潤滑ユニット(40,52,64)を備える高精度ギヤボックス(1)であって、被潤滑ユニット(40,52,64)は、第1要素(42,54,66)と第2要素(44,56,68)とを備え、第1要素(42,54,66)および第2要素(44,56,68)は、互いに対して回転するように構成され、空間(48,60,72)が、第1要素(42,54,66)と第2要素(44,56,68)との間に形成され、空間(48,60,72)は、第1要素および第2要素(44,56,68)を潤滑するためのオイルを染み込ませられた高分子材料(50,62,74)で充填される高精度ギヤボックス(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの被潤滑ユニット(40,52,64)を備える高精度ギヤボックス(1)であって、前記被潤滑ユニット(40,52,64)は、第1要素(42,54,66)と第2要素(44,56,68)とを備え、前記第1要素(42,54,66)および前記第2要素(44,56,68)は、互いに対して回転するように構成され、空間(48,60,72)が、前記第1要素(42,54,66)と前記第2要素(44,56,68)との間に形成される、高精度ギヤボックス(1)において、
前記空間(48,60,72)は、前記第1要素および前記第2要素(44,56,68)を潤滑するためのオイルを染み込ませられた高分子材料(50,62,74)で充填されることを特徴とする、高精度ギヤボックス(1)。
【請求項2】
前記高分子材料(50,62,74)は、前記空間(48,60,72)を環境に対して密封するように配置される、請求項1に記載の高精度ギヤボックス。
【請求項3】
前記高分子材料(50,62,74)は、微細孔を含む多孔質構造を有し、前記微細孔は前記オイルで充填される、請求項1または2に記載の高精度ギヤボックス。
【請求項4】
前記被潤滑ユニット(40,52,64)は、前記高精度ギヤボックスの軸受ユニット(40,52,64)であり、前記第1要素(42,54,66)は、少なくとも1つの内輪(42,54,66)であり、前記第2要素(44,56,68)は、少なくとも1つの外輪であり、転動要素(46,58,70)は、前記内輪(42,54,66)と前記外輪(44,56,68)との間に配置され、前記空間(48,60,72)は、前記内輪(42,54,66)と前記外輪(44,56,68)との間に形成される転動室(48,60,72)であり、前記高分子材料(50,62,74)は、前記転動要素(46,58,70)または前記内輪(42,54,66)もしくは前記外輪(44,56,68)の軌道を潤滑するために構成される、請求項1から3のいずれか1項に記載の高精度ギヤボックス。
【請求項5】
前記高分子材料(50,62,74)は、前記転動要素(46,58,70)ならびに前記内輪(42,54,66)および前記外輪(44,56,68)の軌道と、ほとんど接触なしに配置され、前記軸受ユニット(40,52,64)は、自由に回転するように構成される、請求項4に記載の高精度ギヤボックス。
【請求項6】
前記軸受ユニット(40,52,64)は、前記転動要素(46,58,70)を案内するために、前記内輪(42,54,66)と前記外輪(44,56,68)との間に配置されるケージを備え、前記ケージは、前記高分子材料(50,62,74)を支持するように構成される、請求項4または5に記載の高精度ギヤボックス。
【請求項7】
前記ケージは、前記高分子材料(50,62,74)の運動を導くように構成される、請求項6に記載の高精度ギヤボックス。
【請求項8】
前記高分子材料(50,62,74)は、前記転動要素(46,58,70)を案内するためのケージの機能を提供するように構成される、請求項4または5に記載の高精度ギヤボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の高精度ギヤボックスに関し、高精度ギヤボックスは、少なくとも1つの被潤滑ユニットを備え、被潤滑ユニットは、互いに対して回転する第1要素と第2要素とを備える。
【背景技術】
【0002】
高精度ギヤボックスは、例えば多関節ロボットに使用され得る。
高精度ギヤボックスは、非常にコンパクトであり、潤滑などの付加的な機能のための最小限の空間を提供する。
したがって、高精度なギヤボックス内の軸受に潤滑剤を供給することは困難である。
この事実は、最初に充填されたオイルまたはグリースがある程度軸受から流出した後に、さらに問題となり得る。
【0003】
付加的には、高精度ギヤボックスは、固定位置に、例えば多関節ロボットの軸1および2に、または工作機械のテーブルの下に、度々搭載される。
これらの位置は、例えば重力または遠心力により潤滑剤が軸受から流出し、また、潤滑剤を軸受に戻す力またはエネルギーがないという状況を導き得る。
【0004】
したがって、潤滑される必要があるユニットを備える高精度ギヤボックスでは、このようなユニットの適切な潤滑を提供する必要がある。
今日、この問題は油溜潤滑により解決され得る。
これは、被潤滑ユニットがオイルまたは他の潤滑剤に浸されることを意味し、この潤滑がユニット、例えば軸受を潤滑するために十分であることが望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、改善された十分な潤滑を有する高精度ギヤボックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に記載の高精度ギヤボックスにより解決される。
【0007】
高精度ギヤボックスは、少なくとも1つの被潤滑ユニットを備え、被潤滑ユニットは、第1要素と第2要素とを備え、第1要素および第2要素は、互いに対して回転するように構成され、空間が、第1要素と第2要素との間に形成される。
第1要素および第2要素が互いに対して回転するとき、これらの要素の間の空間は、回転を促し、回転要素での損傷を回避するために、潤滑を必要とする。
【0008】
上記で説明されるように、通常使用される高精度ギヤボックスでは、このようなユニットは、オイルなどの標準の潤滑剤を使用して潤滑されていた。
しかしながら、このような潤滑剤は重力または遠心力によりユニットから流出する傾向があるので、本願明細書で説明される高精度ギヤボックスは、このようなユニットを潤滑する異なる方法を使用する。
第1要素と第2要素との間の空間は、第1要素および第2要素を潤滑するためのオイルを染み込ませられた高分子材料で充填される。
第1要素および第2要素を潤滑するために高分子材料を使用することの利点は、高分子材料が重力または遠心力により空間から流出せず、したがって、第1要素および第2要素の潤滑は、高精度ギヤボックスの寿命および/または被潤滑ユニットの寿命の間、確保され得ることである。
【0009】
高分子材料は剛性を有し、被潤滑ユニットから流れ出ない。
これは、高分子材料に含まれたオイルが、不利な位置にあるときおよび時間が経過したときであっても、被潤滑ユニットから流出することに抵抗することを意味する。
したがって、被潤滑ユニット内に、潤滑剤、すなわちオイルを保持するための特別な維持機構を必要としない。
【0010】
したがって、提供される高精度ギヤボックスは、被潤滑ユニットの潤滑が高精度ギヤボックスの寿命の間存在し、再潤滑が不要であるという利点を提供する。
【0011】
さらに、高精度ギヤボックスで通常使用される軸受は、例えば歯車構成要素の摩耗などからの粒子の侵入に悩まされ得る。
このような粒子の侵入を回避するために、ユニットはこれまで、例えばカバーを使用して、ギヤ空間から分離されていた。
【0012】
本願明細書で説明される高精度ギヤボックスでは、第1要素と第2要素との間の空間に充填されている高分子材料が環境に対する空間のシールのように機能し得るため、被潤滑ユニットへの粒子の侵入は回避され得る。
これは、ギヤの摩耗から生じ得る粒子が、被潤滑ユニットへ侵入できないことを意味する。
付加的には、完全に内部空間を充填することにより、ギヤからの粒子が混入した潤滑剤が被潤滑ユニットに侵入し得ることが防止される。
ユニットは、粒子の侵入に対して、カバーまたはシールのような別体の構成要素により保護される必要がない。
【0013】
実施形態によると、高分子材料は、微細孔を含む多孔質構造を有し、微細孔はオイルで充填される。
【0014】
さらなる実施形態によると、被潤滑ユニットは、高精度ギヤボックスの軸受ユニットであり、第1要素は、少なくとも1つの内輪であり、第2要素は、少なくとも1つの外輪であり、転動要素は、内輪と外輪との間に配置され、空間は、内輪と外輪との間に形成される転動室であり、高分子材料は、転動要素または内輪もしくは外輪の軌道を潤滑するために構成される。
【0015】
高分子材料は、潤滑オイルを染み込ませられた高分子マトリックスであり得、高分子マトリックスは、転動室を完全に充填し、ケージおよび/または転動要素を包み込み得る。
高分子マトリックスは、通常使用される密封されたグリース充填軸受の2倍から4倍の潤滑オイルを含み得る。
2倍から4倍の潤滑剤を含むことにより、軸受は、寿命の間十分に潤滑される。
補充機構を提供する必要がない。
【0016】
さらなる実施形態によると、高分子材料は、転動要素ならびに内輪および外輪の軌道と、ほとんど接触なしに配置され、軸受ユニットは、自由に回転するように構成される。
高分子材料は、例えば、軸受に成形され得、転動要素および軌道の周りに非常に狭いギャップを形成し、軸受は、自由に回転することが可能である。
【0017】
上記で説明されるように、高分子材料は、多数の、例えば数百万の、微細孔を有する多孔質構造を有し得、微細孔は、表面張力により保持される潤滑オイルを含有する。
軸受の回転中、オイルは、材料から材料と軸受構成要素との間の狭いギャップへと解放され、したがって、効果的な潤滑を提供する。
この効果は、回転中の軸受構成要素の温度の上昇が高分子材料のオイルを高分子材料の表面に向かって押し出すので、さらに高められ得る。
これは事実である。
高分子材料に含まれるオイルは高分子材料よりも高い熱膨張係数を有し、オイルの粘度は温度の上昇とともに低下するためである。
軸受ユニットが冷えるとき、余分なオイルは高分子材料に再吸収されて戻り得るため、オイルは浪費されない。
【0018】
さらなる実施形態によると、軸受ユニットは、転動要素を案内するために、内輪と外輪との間に配置されるケージを備え、ケージは、高分子材料を支持するように構成される。
したがって、この実施形態によると、ケージは、高分子材料に補剛構造を提供するための補強要素として使用され得る。
例えば、高分子材料は、ケージの周りに形成され得る。
【0019】
ケージは、また、高分子材料の運動を導くように構成され得る。
これは、特に、高分子材料がケージの周りに形成され、したがって、ケージの回転とともに運動する場合であり得る。
このような高分子材料の運動により、軸受ユニットの潤滑を向上させることができる。
【0020】
さらなる実施形態によると、ケージは、高分子材料により実現され得る。
この場合では、付加的なケージは必要でなく、高分子材料は、ケージの代わりになり得、ケージの機能を提供するように構成され得る。
【0021】
さらなる利点および好ましい実施形態は、特許請求の範囲、明細書および図面に開示される。
当業者は、本発明の範囲を拡張することなく、提示された特徴を個別に、または提示された特徴を示された以外の方法で組み合わせて、検討または使用し得ることにさらに留意されたい。
【0022】
以下では、本発明について、図に示す実施形態を用いて説明する。
示される実施形態は、ただ例示的であり、保護の範囲を制限することは意図されない。
保護の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】被潤滑軸受ユニットを備える高精度ギヤボックスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、同じまたは類似の機能要素は同じ参照符号で示される。
【0025】
図1は、高精度ギヤボックス1の例を示す。
高精度ギヤボックス1は、太陽ホイール2と、遊星キャリア4と、中空ホイール6と、を備える。
このような高精度ギヤボックス1は、例えば、ロボットユニット内の多関節ジョイントとして使用され得る。
【0026】
図1に示される実施形態は、単に高精度ギヤボックスの考えられるコンセプトの1つである。
別のコンセプトもまた可能であり、例えば2つの中空ホイールを有する。
【0027】
用途に応じて、太陽ホイール2、遊星キャリア4、または中空ホイール6は固定され得る。
図1に示される事例では、中空ホイール6は固定されている。
【0028】
高精度ギヤボックス1の一側は、入力側を表し、反対側は、出力側を表す。
入力側は、モータユニットに連結されることができる。
このようなモータユニットを介して、太陽ホイール2または遊星キャリア4のいずれかは、駆動されることができる。
【0029】
太陽ホイール2が駆動される場合、太陽ホイール2の回転は、遊星キャリア4に固定された2つの遊星8を介して、遊星キャリア4に伝達され、遊星8は中空ホイール6上を転動する。
【0030】
太陽ホイール2の周りに、遊星キャリア4が配置される。
キャリア4は、輪形状を有し得、太陽ホイール2の周りに周方向に配置される複数のハブ10-1,10-2を備え得る。
ハブ10-1,10-2は、締結具12を介してカバー14に取付けられ得る。
カバー14は、アタッチメント16を介して入力要素または出力要素に連結され得る。
【0031】
軸方向における反対側では、遊星キャリア4は、締結具18を介してカバー22に連結される。
付加的には、高精度ギヤボックス1は、カバー20を備え得、カバー20は、締結具24を介して入力要素または出力要素に連結され得る。
中空ホイール6は、締結具26を介してハウジングに連結され得、あるいは、ハウジングとして提供され得る。
【0032】
遊星キャリア4の運動を太陽ホイール2に伝達するために、遊星キャリア4は、2つの遊星8-1,8-2を備える。
2つの遊星8-1,8-2は、第1歯車32をそれぞれ備え、第1歯車32は、太陽ホイール2の外歯車34と噛合う。
2つの遊星8-1,8-2は、第2歯車36をさらに備え、第2歯車36は、中空ホイール6の内歯車38と噛合う。
遊星キャリア4の回転は、第1歯車32を介して太陽ホイール2に伝達される。
第2歯車36により、2つの遊星8-1,8-2は、中空ホイール6上を転動する。
2つの遊星8-1,8-2はまた、遊星キャリア4に取付けられ、太陽ホイール2および中空ホイール6と直接噛合う。
【0033】
太陽ホイール2および遊星キャリア4を支持するために、高精度ギヤボックス1は、太陽ホイール2と遊星キャリア4との間に軸受ユニット40を、同様に遊星キャリア4と中空ホイール6との間に軸受ユニット52を、備え得る。
示される実施形態では、2つの軸受ユニット40が、太陽ホイール2と遊星キャリア4との間に配置される。
軸受ユニット40は、太陽ホイール2に連結される内輪42と、遊星キャリア4に連結される外輪44と、をそれぞれ備える。
内輪42と外輪44との間に、ここではテーパ状のころである転動要素46が配置される。
軸受ユニット40は、異なる種類の転動要素を備え得、あるいは、滑り軸受であり得る。
内輪42と外輪44との間に、転動室48が形成される。
内輪42、外輪44および転動要素46を潤滑するために、転動室48内に高分子材料50が充填される。
【0034】
第1要素、すなわち内輪42と、第2要素、すなわち外輪44と、の間の転動室48は、内輪42および外輪44を潤滑するためのオイルを染み込ませられた高分子材料50で充填される。
軸受ユニット40を潤滑するために高分子材料を使用することの利点は、高分子材料は、重力または遠心力により転動室48から流出せず、したがって軸受ユニット40の潤滑は、高精度ギヤボックス1の寿命および/または軸受ユニット40の寿命の間、確保され得ることである。
【0035】
高分子材料50は剛性を有し、軸受ユニット40から流れ出ない。
これは、高分子材料50に含まれたオイルが、高精度ギヤボックス1の動作中においても軸受ユニット40から流出することに抵抗することを意味する。
したがって、軸受ユニット40内に、潤滑剤、すなわちオイルを保持するための特別な維持機構を必要としない。
【0036】
高分子材料50は、特に潤滑オイルを染み込ませられた高分子マトリックスであり得、高分子マトリックスは、転動室48を完全に充填し、ケージ(図示されず)および/または転動要素46を包み込み得る。
高分子マトリックスは、通常使用される密封されたグリース充填軸受の2倍から4倍の潤滑オイルを含み得る。
2倍から4倍の潤滑剤を含むことにより、軸受ユニット40は、寿命の間十分に潤滑される。
高分子材料50は、転動要素46ならびに内輪42および外輪44の軌道と、接触なしに配置され得、軸受ユニット44は、自由に回転するように構成される。
【0037】
さらに、軸受ユニット52は、遊星キャリア4と中空ホイール6との間に配置される。
軸受ユニット52は、内輪54と外輪56とをそれぞれ備える。
内輪54は、遊星キャリア4に連結され、外輪56は、中空ホイール6に連結される、あるいは中空ホイール6により実現される。
内輪54と外輪56との間には、転動要素58が配置され、転動要素58は、例えば、玉であり得る。
代替的には、他の任意の種類の転動要素が使用され得、あるいは、軸受ユニット52は、滑り軸受であり得る。
軸受ユニット40を参照して説明されるように、軸受ユニット52もまた、内輪54と外輪56との間に形成された転動室60を有する。
内輪54、外輪56および/または転動要素58を潤滑するために、軸受ユニット40を参照して説明されるように、転動室60は、高分子材料62で充填され得る。
【0038】
さらに、2つの遊星8-1,8-2の回転を改善するために、2つの遊星8-1,8-2と、ハブ10-1,10-2と、の間に、軸受ユニット64が設けられ得る。
軸受ユニット64は、内輪66と外輪68とをそれぞれ備える。
内輪66は、ハブ10-1,10-2に連結され、外輪68は、2つの遊星8-1,8-2に連結される。
内輪66と外輪68との間には、転動要素70が配置され、転動要素70は、例えば、ころであり得る。
代替的には、他の任意の種類の転動要素が使用され得、あるいは、軸受ユニット64は、滑り軸受であり得る。
軸受ユニット40を参照して説明されるように、軸受ユニット64もまた、内輪66と外輪68との間に形成された転動室72を有する。
内輪66、外輪68および/または転動要素70を潤滑するために、軸受ユニット40を参照して説明されるように、転動室72は、高分子材料74で充填され得る。
【0039】
本願明細書で説明される高精度ギヤボックスでは、高精度ギヤボックス内の軸受ユニットまたはその他の種類の被潤滑ユニットに対して、改善された潤滑を提供することが可能である。
これは、潤滑のためのオイルを染み込ませられた高分子材料を使用することにより達成され得る。
【符号の説明】
【0040】
1…高精度ギヤボックス
2…太陽ホイール
4…遊星キャリア
6…中空ホイール
8…2つの遊星
10…ハブ
12…締結具
14…カバー
16…入力部へのアタッチメント
18…締結具
20…カバー
22…カバー
24…アタッチメント
26…前のセクションへのアタッチメント
32…第1歯車
34…太陽ホイールの外歯車
36…第2歯車
38…中空ホイールの内歯車
40…軸受ユニット
42…内輪
44…外輪
46…転動要素
48…転動室
50…高分子材料
52…軸受ユニット
54…内輪
56…外輪
58…転動要素
60…転動室
62…高分子材料
64…軸受ユニット
66…内輪
68…外輪
70…転動要素
72…転動室
74…高分子材料
図1
【国際調査報告】