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特表2022-517523セルロースナノファイバーを含む非ニュートンボールペンインク
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  • 特表-セルロースナノファイバーを含む非ニュートンボールペンインク 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-09
(54)【発明の名称】セルロースナノファイバーを含む非ニュートンボールペンインク
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/18 20060101AFI20220302BHJP
【FI】
C09D11/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535763
(86)(22)【出願日】2020-01-24
(85)【翻訳文提出日】2021-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2020051830
(87)【国際公開番号】W WO2020152357
(87)【国際公開日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】19305099.4
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501436665
【氏名又は名称】ソシエテ ビック
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE BIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カフィア,ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ウイング.ヤム
【テーマコード(参考)】
4J039
【Fターム(参考)】
4J039AB02
4J039BA21
4J039BC07
4J039BC09
4J039BC12
4J039BD01
4J039BE01
4J039BE02
4J039BE12
4J039BE22
(57)【要約】
本発明は、有機溶媒、着色剤、およびゲル化剤を含む非水性ゲル状筆記用インクであって、ゲル化剤が、非酸化セルロースナノファイバーを含む、非水性ゲル状筆記用インクに関する。
また、非水性ゲル状筆記用インク中のゲル化剤としての非酸化セルロースナノファイバーの使用にも関する。最後に、本発明によるインクを含有する筆記用具に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒、着色剤、およびゲル化剤を含む非水性ゲル状筆記用インクであって、前記ゲル化剤が、非酸化セルロースナノファイバーを含み、好ましくは、前記非酸化セルロースナノファイバーが、水不溶性である、非水性ゲル状筆記用インク。
【請求項2】
前記非酸化セルロースナノファイバーが、エーテル化されておらず、好ましくは、前記非酸化セルロースナノファイバーが、ヒドロキシアルキル基でエーテル化されておらず、有利なことには、前記アルキル基が、C~Cである、請求項1に記載の非水性ゲル状筆記用インク。
【請求項3】
前記非酸化セルロースナノファイバーが、分散液の形態であり、好ましくは、有機溶媒中、より好ましくは、アルコール、グリコール、エーテル、例えば、グリコールエーテルなど、およびこれらの混合物からなる群から選択される有機溶媒中、有利なことには、グリコールエーテルからなる群から選択される有機溶媒中、より有利なことには、エチレングリコールおよび/またはプロピレングリコールおよび/またはフェノキシプロパノールからなる群から選択される有機溶媒中、より好ましくは、フェノキシプロパノール中の分散液の形態である、請求項1または2に記載の非水性ゲル状筆記用インク。
【請求項4】
前記非酸化セルロースナノファイバーが、動的光散乱法によって測定された強度における平均粒子径が、3マイクロメートル未満である分散液の形態である、請求項3に記載の非水性ゲル状筆記用インク。
【請求項5】
前記非酸化セルロースナノファイバーの繊維が、透過型電子顕微鏡によって測定された1~50nmの範囲内、有利なことには、2~40nmの範囲内、およびより有利なことには、4~20nmの範囲内の直径を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の非水性ゲル状筆記用インク。
【請求項6】
前記非酸化セルロースナノファイバーの含有量が、前記インクの総重量に対して、0.01~1重量%の範囲内、有利なことには、0.05~0.50重量%の範囲内、より有利なことには、0.08~0.2重量%の範囲内である、請求項1~5のいずれか一項に記載の非水性ゲル状筆記用インク。
【請求項7】
前記有機溶媒が、グリコール、エーテル、例えば、グリコールエーテルなど、アルコール、およびこれらの混合物からなる群から選択され、有利なことには、グリコールエーテル、好ましくは、エチレンおよび/もしくはプロピレングリコール、ならびに/またはフェノキシプロパノール、より好ましくは、フェノキシプロパノールである、請求項1~6のいずれか一項に記載の非水性ゲル状筆記用インク。
【請求項8】
前記有機溶媒の含有量が、前記インクの総重量に対して、35~80重量%、有利なことには、45~75重量%、より有利なことには、50~70重量%である、請求項1~7のいずれか一項に記載の非水性ゲル状筆記用インク。
【請求項9】
前記着色剤が、染料、顔料、またはこれらの混合物である、請求項1~8のいずれか一項に記載の非水性ゲル状筆記用インク。
【請求項10】
前記着色剤が、染料であり、有利なことには、アゾ染料、トリアリールメタン染料、フタロシアニン誘導体染料、キサンテン染料、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の非水性ゲル状筆記用インク。
【請求項11】
前記着色剤の含有量が、前記インクの総重量に対して、5~30重量%、有利なことには、7~28重量%である、請求項1~10のいずれか一項に記載の非水性ゲル状筆記用インク。
【請求項12】
前記ゲル化剤が、シリカ粒子も含み、好ましくは、前記シリカ粒子の含有量が、前記インクの総重量に対して、0.02~1重量%の範囲内、より有利なことには、0.1~0.5重量%の範囲内である、請求項1~11のいずれか一項に記載の非水性ゲル状筆記用インク
【請求項13】
特に増粘剤、透明排水剤、粘度付与剤、潤滑剤、分散剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される添加剤を含有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の非水性ゲル状筆記用インク
【請求項14】
前記添加剤の含有量が、前記インクの総重量に対して、0~30重量%、有利なことには、5~25重量%、より有利なことには、10~20重量%である、請求項13に記載の非水性ゲル状筆記用インク。
【請求項15】
コーンアンドプレートレオメーターを用いて20℃で測定された粘度が、0.01秒-1の剪断速度で、10,000~200,000mPa.s、有利なことには、20,000~160,000mPa.s、より有利なことには、30,000~120,000mPa.sであり、100秒-1の剪断速度で、500~20,000mPa.s、有利なことには、1,200~10,000mPa.s、より有利なことには、1,500~5,000mPa.sである、請求項1~14のいずれか一項に記載の非水性ゲル状筆記用インク。
【請求項16】
非水性ゲル状筆記用インク中のゲル化剤として、請求項1~15のいずれか一項で定義された、有利なことには、請求項1~15のいずれか一項に記載の非酸化セルロースナノファイバーの使用。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか一項に記載のインクを含有する、筆記用具、特にボールペンなどのペン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記用インク領域、特にペン用インクに関する。
【0002】
従来から、ボールペンインクは、ニュートン高粘度の溶媒系インクである。重いグリコール系溶媒の使用に起因して、ボールペンインクは、乾燥しないため、保管中は非常に安定である。したがって、インクは、ペン先保護なしのペンで使用され得る。ボールペン粘度は、静的漏出を回避するために、20℃で約15,000mPa.sと定義されていた(静的漏出は、特に高温多湿条件下で、ペンを下向きに保管した場合のペン先でのインク滴形成に対応する)。
【0003】
そのような高い剪断粘度では、筆記体験は、消費者が望むほど滑らかではない。
・滑らかさを改善するために、配合者は、粘度を減少させ得る。しかしながら、この場合、静止粘度が低くなりすぎて、静的漏出が大幅に増加する。
・ボールペンインクは、ニュートンであり、静止粘度は、剪断粘度と同じである。静止粘度は、比較的低いままであり(20℃で、15,000mPa.s)、これによって、顔料または他の粒子の添加が妨げられる(低静止粘度に起因して、これらの粒子は、ペン先に沈殿し、詰まる)。
【0004】
従来から、ボールペンインクは、数千mPa・s以上の粘度を有する高粘度インクである。これによって、インクが筆記先端から流出する場合、ボールが高抵抗で回転するため、筆記性タッチが不良になる。さらに、ボールペンインクは、周囲温度に応じて粘度などの物性特性が大きく変動する。したがって、従来のボールペンインクにおけるインク流動は、滑らかではない。
【0005】
したがって、ボールペンインクを改善して、一貫した滑らかな筆記性、および/または断線もしくはペン先の詰まりがなく、優れた保存安定性(静的漏出がない、および/または粘度の安定性)を有するボールペンインク、特に均質なもの得る必要性が存在する。
【0006】
したがって、これらの問題を解決するために、配合者は、ゲルインクに目を向けた。ゲルインクは、擬塑性流動学的プロファイルを有する。一般にゲルインクは水系である。それらは、低い静的漏出、滑らかさ、および粒子の安定化の間の完璧な妥協点である。しかしながら、それらは、いくつかの欠点を持つ。
・水は軽く揮発性の溶媒である。ペン先保護(キャップまたはホットメルト)なしで保存する場合、ペン先内のインクが乾燥し、次いで、ペン先を詰まらせ得る。ゲルインクのキャップオフ時間は、溶媒系ボールペンのキャップオフ時間よりもはるかに短い。
・水系インクは、腐食防止剤の使用に関わらず、腐食性流体のままである。したがって、黄銅のペン先を使用することは不可能であり、非常に高価な材料であり、製造が困難(硬質材料)であるステンレス鋼のペン先を使用することが必須である。
・水は、不良な潤滑油であり、強い流動を有するペン先を使用することも必須である(水系インク先端の場合は、約300mg/200mに対して、溶媒系インク先端の場合は、約35mg/200m)。結果として、水性インクのマイレージ(ペンの総筆記長)は、溶媒インクペンのマイレージよりもはるかに短い。
【0007】
現在、いくつかのハイブリッドインクが存在する。それは、溶媒系ボールペンインク中の乳化された増粘水で構成されている。この解決策によって、滑らかさがもたらされ得るが、3つの主要な問題が存在する。
・エイジング不良:安定したエマルジョンを配合することが難しく、エイジング中に水が失われる恐れがある。発生する場合、水不足に起因して、ゲル化剤が沈殿し、沈殿物がペン先を詰まらせる。
・それは、ペン先腐食の問題を解決しない。水の存在に起因して、ステンレス鋼のペン先を使用することが依然として必須である。
・インク内部の水滴の含有に起因して、ボールペンインクよりも色が薄くなる。本発明者らは、溶媒系インクにおいてゲル化剤として非酸化セルロースナノファイバーを使用することによって、この技術的課題が解決され得ることを見出した。
【0008】
JP2017/105907Aは、ゲル化剤として10~200nmの範囲内の直径を有する非酸化セルロースナノファイバーの使用を開示しているが、筆記用具、例えば、ボールペンおよびマーキングペンなど用の水性ゲルインク組成物のみへの使用を開示している。したがって、この文献は、非水性ゲルインク組成物において、非酸化セルロースナノファイバーを使用することについて開示も示唆もしていない。
【0009】
溶媒ゲルインクもまた、先行技術に記載されている。
【0010】
特に、JP2018/135405Aは、筆記用具、例えば、ボールペンおよびマーキングペンなどの油系インク組成物を開示している。インク組成物は、ポリエーテルアミンと組み合わされた、有機溶媒、および酸化セルロースナノファイバーを含み、当該酸化セルロースナノファイバーは、2~500nmの直径を有する。しかしながら、セルロースは、インクに非ニュートン性質を提供するために使用されるのではなく、インクの粘度を上げることなく、不溶性成分の沈降および分離を抑制するために使用される。
【0011】
本発明は、有機溶媒、着色剤、およびゲル化剤を含む非水性ゲル状筆記用インクに関し、ゲル化剤は、非酸化セルロースナノファイバー、好ましくは非エーテル化非酸化セルロースナノファイバー、より好ましくは、水不溶性である当該非酸化セルロースナノファイバーを含む(有利なことには、これらから本質的になる、特に、これらからなる)。
【0012】
本発明による筆記用インクは、先行技術の上記の欠点を有さず、静的漏出がなく、沈殿がなく、低い剪断下粘度を表すという点での良好な性能を示し、良好な筆記の滑らかさ、特に、断線がないことを可能にする。加えて、好ましい実施形態によれば、当該インクは、特に粘度に関して、例えば、周囲温度で1ヶ月保管した後、良好な経時安定性を有するか、または3ヶ月後はより良好であった。
【0013】
本発明の目的のために、「筆記用インク」という用語は、筆記用具、特にペン、例えば、ボールペンで使用されることを意図した任意のインクを意味することを意図する。筆記用インクは、印刷機で使用され、同じ技術的制約、したがって同じ仕様を有しない印刷用インクと混同してはならない。加えて、それは、使用される筆記用具に好適なインク流量、特に10~300mg/200mの筆記流量、有利なことには、30~60mg/150mの筆記流量、さらに有利なことには、50mg/150mの筆記流量を可能にする必要がある。また、筆記媒体を汚すことを回避するために、十分に急速に乾く必要がある。また、経時的な移染(出液)の問題を回避する必要がある。したがって、本発明によるインクは、それが意図される筆記用具、特にペン、例えば、ボールペンに好適である。
【0014】
加えて、筆記用インクは、筆記中の漏出を回避するために、流動性が高すぎてはならない。しかしながら、筆記動作の流れを容易にするために、十分に流動的である必要がある。
【0015】
特定の場合では、筆記用インクは「ゲルインク」(したがって、チキソトロピー性インクに対応する)であり、20℃で、静止状態(0.01秒-1の剪断速度)で測定された粘度は、コーンアンドプレートレオメーター、例えば、40mmのコーンおよび4°の角度を有するMalvern KINEXUSなどの同じレオメーターを使用して、20℃で、100秒-1の剪断速度で測定された粘度とは異なり(顕著な差、したがって、若干の差ではない)、特により高い。特に、20℃で、静止状態(0.01秒-1の剪断速度)で測定された粘度は、コーンアンドプレートレオメーター、例えば、40mmのコーンおよび4°の角度を有するMalvern KINEXUSなどの同じレオメーターを使用して、20℃で、100秒-1の剪断速度で測定された粘度よりも、少なくとも10倍高い、好ましくは、少なくとも15倍高い、より好ましくは、少なくとも20倍高い。
【0016】
そのようなインクは、通常、非ニュートン粘度インクと称され、つまり、静止粘度が剪断粘度と同じではないインクである。特定の実施形態では、コーンアンドプレートレオメーター、例えば、40mmのコーンおよび4°の角度を有するMalvern KINEXUSを用いて20℃で測定された、本発明によるゲルインクの粘度は、0.01秒-1の剪断速度で、10,000~200,000mPa.s、有利なことには、20,000~160,000mPa.s、より有利なことには、30,000~120,000mPa.sであり、100秒-1の剪断速度で、有利なことには、500~20,000mPa.s、より有利なことには、1,200~10,000mPa.s、さらにより有利なことには、1,500mPa.s~5,000mPa.sである。
【0017】
筆記後数分での静的漏出を回避するために、剪断後の静止状態での粘度への復帰は、非常に迅速であり、有利なことには、最大で数分である。
【0018】
本発明によるインクは、「非水性インク」である。「非水性インク」という用語は、本発明の文脈において、水を含まないインク、すなわち水性溶媒を含有しない、有利なことには、少量であっても水を含有しない任意のインクを意味することを意図する。これは、そこに含有される(ゲル化効果を発生させ得る)ゲル化剤が、ゲルを得るために、水性溶媒の使用を不必要にする。
【0019】
しかしながら、本発明によるインクは、特に、グリコール、エーテル、例えば、グリコールエーテルなど、アルコール、およびこれらの混合物からなる群、好ましくは、グリコール、特に、グリコールエーテルの群から選択される有機溶媒(水性溶媒ではない)を含有する。
【0020】
有利な実施形態では、有機溶媒は、アルコール、例えば、ベンジルアルコール、グリセリン、およびこれらの混合物などからなる群から選択される。
【0021】
有利な実施形態では、アルコールは、高沸点アルコール、好ましくは、150℃を超える沸点を有するアルコールである。
【0022】
有利な実施形態では、グリコールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、およびこれらの混合物からなる群から選択され得るグリコールエーテルである。
【0023】
別の有利な実施形態では、グリコールエーテルは、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレン-グリコール-モノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール(特に1-フェノキシ-2-プロパノール)、およびこれらの混合物からなる群から選択され、有利なことには、エチレングリコールおよび/またはプロピレングリコールおよび/またはフェノキシプロパノールからなる群から選択され、さらにより有利なことには、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール(1-フェノキシ-2-プロパノール)、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0024】
さらに有利な実施形態では、有機溶媒は、フェノキシプロパノール(特に、1-フェノキシ-2-プロパノール)である。
【0025】
有利なことには、本発明によるインクの有機溶媒の含有量は、インクの総重量に対して、35~80重量%、より有利なことには、インクの総重量に対して、45~75重量%、さらにより有利なことには、インクの総重量に対して、50~70重量%である。
【0026】
本発明によるインクはまた、本発明によるインクに色を付与するために着色剤も含有する。
【0027】
着色剤は、顔料、または染料、またはこれらの混合物、特に非水性ボールペンで用いられる従来の染料または顔料であり得る。
【0028】
有利なことには、それは染料である。この場合、インクは、染料系インクである。したがって、それは、少なくとも1つの染料を含む。それはまた、それらのいくつかを含み得る。本発明によるインクに使用可能な染料は、当業者に既知である任意の染料、例えば、黒、青、赤、緑、紫、ピンク、青緑などの染料であり得る。特に、本発明によるインクに使用可能な染料は、アルコール可溶性染料、油溶性染料、直接染料、酸性染料、塩基性染料、金属化染、および様々な塩形成形染料であり、より具体的には、染料は、アゾ染料、トリアリールメタン染料、フタロシアニン誘導体染料、キサンテン染料、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0029】
アゾ染料は、以下の式を有するアゾ骨格を含有する。
【化1】
【0030】
トリアリールメタン染料は、以下の式を有するトリアリールメタン骨格を含有する。
【化2】
【0031】
フタロシアニン誘導体染料は、以下の式を有するフタロシアニン骨格を含有する。
【化3】
【0032】
キサンテン染料は、以下の式を有するキサンテン骨格を含有する。
【化4】
【0033】
本発明によるインクに使用可能な溶媒染料の例としては、以下の通りである:VARIFAST Black 3806(C.I.Solvent Black 29)、3807(C.I.Solvent Black 29のトリメチルベンジルアンモニウム塩)、Spirit Black SB(C.I.Solvent Black 5)、SPIRON Black GMH(C.I.Solvent Black 43)、Solvent Black 46、VARIFAST Red 1308(C.I.Basic Red 1染料およびC.I.Acid Yellow 23染料の塩形成形態)、Solvent Red 49、VARIFAST Yellow AUM(C.I.Basic Yellow 2染料およびC.I.Acid Yellow 42染料の塩形成形態)、SPIRON Yellow C2 GH(C.I.Basic Yellow 2の有機酸塩)、SPIRON Violet CRH(C.I.Solvent Violet 8-1)、VARIFAST Violet 1701(C.I.Basic Violet 1およびC.I.Acid Yellow 42染料の塩形成形態)、SPIRON Red CGH(C.I.Basic Red 1の有機酸塩)、SPIRON Pink BH(C.I.Solvent Red 82)、Nigrosine Base EX(C.I.Solvent Black 7)、Oil Blue 613(C.I.Solvent Blue 5)、Neozapon Blue 808(C.I.Solvent Blue 70)、
【0034】
別の実施形態では、着色剤は、当業者に既知である顔料である。顔料の例としては、有機顔料、無機顔料、加工顔料が挙げられる。したがって、顔料は、例えば、無機顔料、例えば、カーボンブラック、群青、および二酸化チタン顔料など、有機顔料、例えば、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、スレン顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、スロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、およびイソインドリノン系顔料など、金属顔料、例えば、アルミニウム粉末、または表面が着色樹脂で処理されるアルミニウム粉末、透明または着色透明フィルム上のアルミニウムの蒸着フィルムなどの金属蒸着フィルムを形成することによって得られる金属光沢顔料、フィルムなどの基材上に形成されたアルミニウムの蒸着フィルムなどの金属蒸着フィルムを剥離することによって得られる0.01~0.1μmの厚さを有する金属顔料など、金、銀、白金、および銅から選択される5~30nmの平均粒子サイズを有するコロイダル粒子、蛍光顔料、蓄光顔料、天然雲母、合成雲母、ガラスフレーク、アルミナ、および透明フィルムであるコアの表面を、金属酸化物、例えば、酸化チタンなどでコーティングすることによって得られるパール顔料であり得る。
【0035】
有利なことには、本発明によるインクの着色剤の含有量は、インクの総重量に対して、5~30重量%、より有利なことには、インクの総重量に対して、7~28重量%である。
【0036】
本発明によるインクはまた、ゲル化剤も含み、ゲル化剤は、非酸化セルロースナノファイバーを含む(有利なことには、これから本質的になる、特に、これからなる)。
【0037】
本発明の文脈において、「非酸化セルロースナノファイバー」は、β-グルコースが構成するセルロース((C10:多くのβ-グルコース分子がグリコシド結合を介して線状に重合されている天然高分子)のヒドロキシル基(-OH基)の一部を、アルデヒド基(-CHO基)および/またはカルボキシル基(-COOH基)の少なくとも1つの官能基に変性する処理などの、酸化処理に供されていない任意のセルロースナノファイバーを意味することを意図する。
【0038】
特に、「非酸化セルロースナノファイバー」は、酸化処理に供されていない任意のセルロースナノファイバーを意味することを意図する。
【0039】
したがって、酸化セルロースとしては、例えば、上記β-グルコースの少なくともC6位のヒドロキシル基(-OH基)が酸化され、アルデヒド基(-CHO基)および/またはカルボキシル基(-COOH基)に変性されたセルロースが挙げられる。
【0040】
本発明の好ましい実施形態によれば、「非酸化セルロースナノファイバー」は、エーテル化されていない。特に、当該非酸化セルロースナノファイバーは、ヒドロキシアルキル基でエーテル化されておらず、有利なことには、アルキル基がC~Cであり、かつ/またはアルキル基でエーテル化されておらず、有利なことには、アルキル基がC~Cであり、特にヒドロキシエチルおよび/またはヒドロキシプロピルおよび/またはエチルラジカルでエーテル化されていない。したがって、当該非エーテル化セルロースナノファイバーは、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、またはヒドロキシプロピルセルロースとは異なる。ヒドロキシエチルセルロースおよび/またはヒドロキシプロピルセルロースは、非イオン性で水溶性ポリマーである。
【0041】
好ましい実施形態によれば、本発明による「非酸化セルロースナノファイバー」は、β-グルコースが構成するセルロース(C10のヒドロキシル基(-OH基)の一部を変性する処理に供されていない。好ましくは、本発明によれば、非酸化セルロースナノファイバー、特に非エーテル化非酸化セルロースナノファイバーは、水不溶性である(水溶性であるヒドロキシエチルセルロースおよび/またはヒドロキシプロピルセルロースとは対照的に)。
【0042】
加えて、好ましくは、本発明における「非酸化セルロースナノファイバー」、特に非エーテル化非酸化セルロースナノファイバーは、非水性筆記用インクに通常使用される、有利なことには、極性非プロトン性溶媒および/または上記のアルコールまたはグリコールなどの極性プロトン性溶媒から選択される有機溶媒に不溶である。
【0043】
本発明によるゲル状筆記用インクに含まれるセルロースナノファイバーは、ナノレベルで均一に微細化されたセルロースである。それらは、基本的に、化学的および/または物理的にもつれていない植物繊維である。セルロースナノファイバーは、任意のセルロース原料、例えば、植物、木、および/または木質バイオマスなどから調製され得、したがって、非常にリサイクル可能で生分解性である。それらは、特に木材または竹のバイオマス、特に木材パルプから作製される。セルロースナノファイバーは、パルプを高剪断力にさらす機械的方法を使用して、木材系繊維から単離され得、大きな木材繊維をナノファイバーに引き裂く。この目的のために、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、グラインダー、またはマイクロフルイダイザーが使用され得る。ホモジナイザーは、繊維の細胞壁を剥離し、ナノサイズのフィブリルを解放するために使用される。これらのプロセスは、当業者に周知である。
【0044】
セルロースナノファイバーは、特に、富士色素またはGreen Science Alliance Co.,Ltd.から、有利なことには、ASL CNF 901ファイバーの商品名で市場で入手可能である。
【0045】
好ましい実施形態によれば、本発明によるゲル状筆記用インクの非酸化セルロースナノファイバーは、分散液の形態であり、好ましくは、有機溶媒(水性溶媒ではない)中の分散液の形態であり、好ましくは、上記のような有機溶媒中の分散液の形態である。本発明による非酸化セルロースナノファイバーは、水溶性ではなく、非水性筆記用ゲルインク、特に、例えば、ボールペンインクなどに通常使用されるアルコールおよび/またはエーテルにも溶解性ではないため、当該非酸化セルロースナノファイバーの分散液は、様々な溶媒において得ることができ、配合者にとって大きな利点である。
【0046】
好ましい実施形態によれば、本発明による「非酸化セルロースナノファイバー」は、小さい分散液の形態で存在し、特に、粒子サイズ、より有利なことには、動的光散乱によって、特に、MALVERN Zetasizer nano ZS装置を使用して測定された強度における平均粒子径は、3マイクロメートル未満である。
【0047】
特に、固体の非酸化セルロースナノファイバーは、動的光散乱法、例えば、高密度粒子サイズ分析器Malvern Zetasizer Nano ZSによって測定され得るような、3マイクロメートル未満の平均粒子径を有する。
【0048】
したがって、本発明によるインクは、ペンが、ボールと先端との間に約2マイクロメートルの隙間などの小さな隙間を示す場合でも、ペン、例えば、ボールペンなどに使用され得る。
【0049】
そのような実施形態によって、ペン先の入口でインク流動を遮断する塊の形成を防止することができ、したがって、断線および/または先端の詰まりを回避し得る。そのような特性は、インク漏出がないこととの組み合わせで得ることができる。
【0050】
好ましい実施形態によれば、本発明によるゲル状筆記用インクのゲル化剤は、本発明による非酸化セルロースナノファイバーを、分散液の総重量に基づいて、有機溶媒中0.05~10重量%の分散液、好ましくは、分散液の総重量に基づいて、有機溶媒中1重量%の分散液の形態で含む。
【0051】
好ましい実施形態によれば、有機溶媒は、上記の通りである。
【0052】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明によるセルロースナノファイバーは、フェノキシプロパノール(1-フェノキシ-2-プロパノール)中の分散液、より好ましくは、分散液の総重量に基づいて、フェノキシプロパノール(1-フェノキシ-2-プロパノール)中の1重量%分散液、例えば、富士色素によるASL CNF 901ファイバーの商品名で販売されているセルロースナノファイバー分散液などの形態で入手可能である。
【0053】
有利なことには、セルロースナノファイバーは、バクテリアナノセルロース(バクテリアによって生成されるナノ構造セルロース)でも、微結晶セルロースでも、カルボキシメチルセルロースでもない。
【0054】
有利なことには、透過型電子顕微鏡によって測定された、本発明による非酸化セルロースナノファイバーの直径は、1~50nm、有利なことには、2~40nm、およびより有利なことには、4~20nmで構成される。有利なことには、透過型電子顕微鏡によって測定された本発明による非酸化セルロースナノファイバーの長さは、大きなアスペクト比(長さ対直径比)を伴う数マイクロメートルである。
【0055】
有利な実施形態では、本発明によるインクの非酸化セルロースナノファイバーの含有量は、インクの総重量に対して、0.01~1重量%の範囲内、有利なことには、0.05~0.50重量%の範囲内、より有利なことには、0.08~0.2重量%である。
【0056】
有利な実施形態では、ゲル化剤は、シリカ粒子も含む。有利な実施形態では、シリカ粒子は、親水性シリカ粒子、特に、親水性ヒュームドシリカ粒子、例えば、Evonikによって商品名AEROSIL(登録商標)200で販売されている製品などである。
【0057】
有利なことには、本発明によるインクのシリカ粒子の含有量は、インクの総重量に対して、0.02~1重量%の範囲内、より有利なことには、0.1~0.5重量%の範囲内である。
【0058】
本発明によるインクはまた、添加剤も含み得る。
【0059】
この添加剤は、一般に、筆記用インクの従来の添加剤であり、特に、透明排水剤、粘度付与剤、潤滑剤、分散剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0060】
本発明によるインクは、(インクの総重量に対して、重量で)0~30%、有利なことには、5~25%、より有利なことには、10~20%の添加剤を含有し得る。
【0061】
粘度付与剤は、天然または合成であり得る樹脂であり得る。樹脂は、ビニル樹脂(例えば、塩化ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルのコポリマー、ポリビニルアルコール樹脂、またはこれらの混合物など)、アクリル樹脂、スチレン-アクリル樹脂、スチレン-マレイン酸コポリマー樹脂、ロジン-マレイン酸コポリマー樹脂、フェノール樹脂、セルロース樹脂、ケトン樹脂、ケトン-ホルムアルデヒド樹脂(例えば、アセトフェノン-ホルムアルデヒド変性樹脂など)、アミド樹脂、アルキド樹脂、ロジン変性樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリアセタール樹脂、テルペン樹脂、フェノキシ樹脂、またはこれらの混合物であり得る。
【0062】
より有利なことには、粘度付与剤は、ケトン-ホルムアルデヒド樹脂である。
【0063】
本発明によるインクは、(インクの総重量に対して、重量で)0~40%、有利なことには、5~35%、より有利なことには、7~30%の粘度付与剤を含有し得る。
【0064】
透明排水剤は、例えば、ソルビタンセスキオレエート、特にLonzest(登録商標)SOCの商品名で販売されているものであり得る。
【0065】
本発明によるインクは、(インクの総重量に対して、重量で)0~5%、有利なことには、0.5~2%、より有利なことには、1~1.5%の透明排水剤を含有し得る。
【0066】
本発明の好ましい実施形態によれば、透明排水剤は、インクの総重量に対して、0.01重量%~5重量%の範囲、好ましくは0.5重量%~2重量%の範囲、より好ましくは1重量%~1.5重量%の範囲の質量含有量でインク中に存在し得る。
【0067】
分散剤は、着色剤が顔料である場合に特に有用であり、Evonikによる、Tego(登録商標)Dispers 670、Tego(登録商標)Dispers 671、Tego(登録商標)Dispers 672、Tego(登録商標)Dispers 685、Tego(登録商標)Dispers 688、Tego(登録商標)Dispers 690、Tego(登録商標)Dispers 710であり得る。本発明によるインクは、(インクの総重量に対して、重量で)2~20%、有利なことには5~15%の分散剤を含有し得る。
【0068】
本発明による非水性ゲル状筆記用インクの調製のプロセスは、当業者に周知であり、有機溶媒中の全成分の混合のみからなる。
【0069】
本発明はまた、非水性ゲル状筆記用インク中のゲル化剤として、本発明による非酸化セルロースナノファイバーの使用にも関する。
【0070】
最後に、本発明は、本発明によるインクを含有する筆記用具、特にペン、例えば、ボールペンなどに関する。
【0071】
本発明は、非限定的な表示として与えられる以下の実施例に照らしてより明確に理解される。
【0072】
実施例では、粘度は、20℃で、40mmのコーンおよび4°の角度を有するコーンアンドプレートレオメーターMalvern KINEXUSを使用して測定される。
【0073】
「含む」という表現は、「少なくとも1つを含む」と同義であると理解されるべきである。
【0074】
「…と…との間」または「…~…の範囲」という表現は、限界値を含むと理解されるべきである。
【実施例
【0075】
実施例1:本発明によるインク組成物
以下の表1は、本発明によるインクの組成を示す。
【表1】
【0076】
第1の工程では、分散液の総重量に基づいて、99重量%のフェノキシプロパノール中に分散された1重量%のナノファイバー(ASL CNF 901ファイバー(登録商標))から構成されるマトリックスを使用した。当該分散液は、均質である。「非酸化セルロースナノファイバー」は、平均直径粒子サイズが、動的光散乱法(Malvern Zetasizer nano ZS)によって測定される場合、3マイクロメートル未満である小サイズの粒子分散液の形態で存在する。次いで、インク組成物の総重量に基づいて、10重量%のマトリックス(したがって、0.1重量%のナノファイバーおよび9.9重量%のフェノキシプロパノール)を、0.4重量%のヒュームドシリカおよび30.6重量%のフェノキシプロパノール(溶媒)と混合した。混合物を、均質化混合器を用いて、1ミリ秒-1の速度で15分間攪拌し、60℃の温度に加熱した。次いで、インク組成物の総重量に基づいて、2.5%重量%のsolvent red 49(添加剤:染料)、47.3重量%のsolvent black 46(添加剤:染料)を混合物に添加した。混合物を、均質化混合器を用いて、1ミリ秒-1の速度で15分間攪拌し、60℃の温度に加熱した。次いで、インク組成物の総重量に基づいて、9.2重量%のケトニック樹脂(添加剤:樹脂)を、混合物に添加した。混合物を、均質化混合器を用いて、2ミリ秒-1の速度で180分間攪拌し、60℃の温度に加熱した。このインクの組成物は、均質な分散液であり、適切にゲル化した粘稠性を有する。ASL CNL 901ファイバー(登録商標)は、良好なゲル化網目構造を提供し、本発明によるゲル化剤として使用され得る。
【0077】
インクの粘度は、以下の通りである。
-20℃、0.01秒-1の剪断速度で、64,000mPa.s
-20℃、100秒-1の剪断速度で、2,585mPa.s。得られたインクは、滑らかで一貫した筆記性を示し、断線がなく、優れた保存安定性(静的漏出がなく、粘度の安定性)を有する。
【0078】
実施例2
実施例1によるインクの粘度を、20℃で、増加する剪断速度(0.01秒-1から1000秒-1)、および減少する剪断速度(1000秒-1から0.01秒-1)で、40mmのコーンおよび4°の角度を有するコーンアンドプレートレオメーターMalvern KINEXUSを用いて測定し、同じ条件で測定された従来の超低粘度インク:BIC Atlantis(登録商標)Exactボールペンの粘度と比較した。
【図面の簡単な説明】
【0079】
図1】結果を図1に提示する
【0080】
実施例1によるインクの粘度は、剪断速度に依存する。
-静止状態での高粘度:静的漏出なし+粒子を有するインクの場合、沈殿なし
-低粘度:筆記時の高剪断時:良好な筆記の滑らかさ。
-従来の超低粘度インク:粘度は、剪断に依存しない。
【0081】
比較例1
以下の表2は、非酸化セルロースナノファイバーが、ヒドロキシプロピルセルロース(分子量100,000g/モル)によって重量で置き換えられた比較インク組成物2を示す。
【表2】
【0082】
第1の工程では、マトリックスの総重量に基づいて、99重量%のフェノキシプロパノール中の1重量%のヒドロキシプロピルセルロース(分子量100,000g/モル)から構成される混合物を使用した。ヒドロキシプロピルセルロースは、小さなサイズの分散液の形態では存在しないが、フェノキシプロパノールに可溶である。次いで、インク組成物の総重量に基づいて、10重量%の混合物を、0.4重量%のヒュームドシリカおよび30.6重量%のフェノキシプロパノール(溶媒)と混合した。混合物を、均質化混合器を用いて、1ミリ秒-1の速度で15分間攪拌し、60℃の温度に加熱した。次いで、インク組成物の総重量に基づいて、2.5重量%のsolvent red 49(添加剤:染料)、47.3重量%のsolvent black 46(添加剤:染料)を混合物に添加した。混合物を、均質化混合器を用いて、1ミリ秒-1の速度で15分間攪拌し、60℃の温度に加熱した。次いで、インク組成物の総重量に基づいて、9.2重量%のケトニック樹脂(添加剤:樹脂)を、混合物に添加した。混合物を、均質化混合器を用いて、2ミリ秒-1の速度で180分間攪拌し、60℃の温度に加熱した。
【0083】
このインクの粘度を、20℃で、増加する剪断速度(0.01秒-1から1000秒-1)、および減少する剪断速度(1000秒-1から0.01秒-1)で、40mmのコーンおよび4°の角度を有するコーンアンドプレートレオメーターMalvern KINEXUSを用いて測定した。
【0084】
インクの粘度は、以下の通りである。
-20℃、0.01秒-1の剪断速度で、4050mPa.s
-20℃、100秒-1の剪断速度で、2910mPa.s
【0085】
ヒドロキシプロピルセルロースを含む比較インク組成物2は、均質であるが、適切にゲル化した粘稠性を有さない。この組成物は、従来の超低粘度インクであり、図1に示されるように、粘度が剪断に依存しない。特に、20℃での粘度は低く、さらに、静止状態(0.01秒-1の剪断速度)での測定は、20℃、100秒-1の剪断速度で測定された粘度と若干異なるだけである。
図1
【国際調査報告】