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特表2022-517570無線装置の放射増強器、放射システム及び無線装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-09
(54)【発明の名称】無線装置の放射増強器、放射システム及び無線装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 19/02 20060101AFI20220302BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
H01Q19/02
H01Q1/38
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539047
(86)(22)【出願日】2019-12-26
(85)【翻訳文提出日】2021-07-02
(86)【国際出願番号】 CN2019128758
(87)【国際公開番号】W WO2020140824
(87)【国際公開日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】201920013046.5
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519061479
【氏名又は名称】杭州海康威視数字技術股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Hangzhou Hikvision Digital Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.555 Qianmo Road,Binjiang District,Hangzhou,Zhejiang 310051,China
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】董懐景
(72)【発明者】
【氏名】王勇
(72)【発明者】
【氏名】張書俊
【テーマコード(参考)】
5J020
5J046
【Fターム(参考)】
5J020BC02
5J020BD03
5J046AA03
5J046AB13
5J046PA07
5J046TA03
(57)【要約】
本願発明は、無線装置の放射増強器、放射システム及び無線装置を開示する。放射増強器は、誘電体基板と、誘電体基板の第1側の面に設置された第1の導電性素子と、誘電体基板の第1側の面に対向する第2側の面に設置された第2の導電性素子と、を備え、誘電体基板の第1側の面と第2側の面との間に、第1の導電性素子と第2の導電性素子とが非接触で電磁結合的に接続できるように構成される厚みがある。当該放射増強器は、構成が簡単であり、加工や作製しやすく、放射効率を満たすとともに、コストを有効に低減する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線装置の放射増強器であって、
誘電体基板と、
前記誘電体基板の第1側の面に設置された第1の導電性素子と、
前記誘電体基板の前記第1側の面に対向する第2側の面に設置された第2の導電性素子と、を備え、
前記第1側の面と前記第2側の面との間の厚みは、前記第1の導電性素子と前記第2の導電性素子とが非接触で電磁結合接続できるようなものであることを特徴とする、放射増強器。
【請求項2】
前記第1の導電性素子又は前記第2の導電性素子には、2つの内部接続端子が設置されたことを特徴とする、請求項1に記載の放射増強器。
【請求項3】
2つの前記内部接続端子は、前記第1の導電性素子又は前記第2の導電性素子の中心線に対して対称に設置されたことを特徴とする、請求項2に記載の放射増強器。
【請求項4】
前記第1の導電性素子と前記第2の導電性素子は、前記誘電体基板の対応する側の面を覆い、2つの前記内部接続端子は、前記第1の導電性素子又は前記第2の導電性素子の端部に設置されたことを特徴とする、請求項3に記載の放射増強器。
【請求項5】
一方の前記内部接続端子は、前記無線装置のRFモジュールを電気的に接続するために用いられ、他の前記内部接続端子は、前記無線装置のマザーボードを固定して接続するために用いられることを特徴とする、請求項2に記載の放射増強器。
【請求項6】
前記第1側の面と前記第2側の面との間の距離は、前記放射増強器の最低共振周波数に対応する空気誘電体中の伝搬波長の20分の1以下であることを特徴とする、請求項1に記載の放射増強器。
【請求項7】
前記誘電体基板は、立方体状に設置され、前記誘電体基板の最大辺の長さは、前記放射増強器の最低共振周波数に対応する空気誘電体中の伝搬波長の20分の1以下であることを特徴とする、請求項1に記載の放射増強器。
【請求項8】
前記最低共振周波数は、698MHz~960MHzの周波数帯の範囲内であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の放射増強器。
【請求項9】
無線装置の放射システムであって、
放射構造と、RFモジュールと、外部端子と、を備え、
前記放射構造は、請求項1-8のいずれか一項に記載の放射増強器を含み、
前記放射増強器と前記外部端子とは、それぞれ前記RFモジュールを電気的に接続することを特徴とする、放射システム。
【請求項10】
前記放射構造は、前記放射増強器と前記RFモジュールとを電気的に接続するアースプレーン層を備えることを特徴とする、請求項9に記載の放射システム。
【請求項11】
放射システムと、整合システムと、伝送線路とを備え、
前記放射システムにおける放射構造は、請求項1~8のいずれか一項に記載の放射増強器を含み、
前記伝送線路は、前記整合システムと前記放射システムのRFモジュールとを電気的に接続することを特徴とする、無線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願発明は、2019年01月04日に中国国家知的財産権局に提出した、出願番号が201920013046.5であり、発明名称が「無線装置の放射増強器、放射システム及び無線装置」である中国特許出願に基づき優先権を主張する。ここで、その全ての内容は、引用により本願発明に組み込まれる。
本願発明は無線通信技術分野に関し、特に無線装置の放射増強器、放射システム及び無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線装置の放射増強器は無線装置の作動性能に対して極めて重要な役割を果たしている。図1に示すように、先行技術では、当該従来の放射増強器10′は、誘電体基板11′と、上層導電性素子12′と、下層導電性素子13′と、金属化スルーホール14′とを備え、当該金属化スルーホール14′は、上層導電性素子12′と下層導電性素子13′とを電気的に接続し、誘電体基板11′を貫通する。
【0003】
このような構成の放射増強器10′によれば、誘電体基板11′に金属化スルーホール14′を設置し、上層導電性素子12′と下層導電性素子13′との電気的に接続を確保する必要があり、加工プロセスの難度が高く、作製が複雑であり、コストが高い。
【0004】
これにより、当業者にとって、構成が簡単でコンパクトであり、加工や作製しやすく、且つ放射効率を十分に確保できる放射増強器を提供することは、早急に解決すべき技術的課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、無線装置の放射増強器を提供する。当該放射増強器は、構成が簡単であり、加工や作製しやすく、放射効率を満たすとともに、コストを有効に低減する。本願発明は、当該放射増強器を適用する放射システム及び無線装置をさらに提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の一実施例は、無線装置の放射増強器であって、
誘電体基板と、
前記誘電体基板の第1側の面に設置された第1の導電性素子と、
前記誘電体基板の前記第1側の面に対向する第2側の面に設置された第2の導電性素子と、を備え、
前記第1側の面と前記第2側の面との間に、前記第1の導電性素子と前記第2の導電性素子とが非接触で電磁結合的に接続できるように構成される厚みがある放射増強器を提供する。
【0007】
前記第1の導電性素子又は前記第2の導電性素子には、2つの内部接続端子が設置されてよい。
【0008】
2つの前記内部接続端子は、前記第1の導電性素子又は前記第2の導電性素子の中心線に対して対称に設置されてよい。
【0009】
前記第1の導電性素子と前記第2の導電性素子は、前記誘電体基板の対応する側の面を覆い、2つの前記内部接続端子は、前記第1の導電性素子又は前記第2の導電性素子の端部に設置されてよい。
【0010】
一方の前記内部接続端子は、前記無線装置のRFモジュールを電気的に接続するために用いられ、他方の前記内部接続端子は、前記無線装置のマザーボードに固定して接続するために用いられてよい。
【0011】
前記誘電体基板の前記第1側の面と前記第2側の面との間の距離は、前記無線装置の放射増強器の最低共振周波数に対応する空気誘電体中の伝搬波長の20分の1以下でよい。
【0012】
前記誘電体基板は、立方体状に設置され、前記誘電体基板の最大辺の長さは、前記無線装置の放射増強器の最低共振周波数に対応する空気誘電体中の伝搬波長の20分の1以下でよい。
【0013】
前記最低共振周波数は、698MHz~960MHzの作動周波数帯の範囲内でよい。
【0014】
本願発明は、無線装置の放射システムであって、放射構造と、RFモジュールと、外部端子と、を備え、前記放射構造は、上記の放射増強器を含み、前記放射増強器と前記外部端子とは、それぞれ前記RFモジュールを電気的に接続する、放射システムをさらに提供する。
【0015】
前記放射構造は、前記放射増強器と前記RFモジュールとを電気的に接続するアースプレーン層をさらに備えてよい。
【0016】
本願発明は、放射システムと、整合システムと、伝送線路とを備え、前記放射システムにおける放射構造は、上記の放射増強器を含み、前記伝送線路は、前記整合システムと前記放射システムのRFモジュールとを電気的に接続する、無線装置をさらに提供する。
【0017】
以上から、上記の実施例に基づいて、本願発明は、無線装置の放射増強器であって、誘電体基板と、第1の導電性素子と、第2の導電性素子とを備える放射増強器を提供する。当該誘電体基板は、対向する第1側の面と第2側の面とを有し、第1の導電性素子は、第1側の面に設置され、第2の導電性素子は、第2側の面に設置された。第1側の面と第2側の面との間に、第1の導電性素子と第2の導電性素子とを電磁結合的に接続できるように構成される厚みがあり、第1の導電性素子と第2の導電性素子とは非接触であり、即ち、第1の導電性素子と第2の導電性素子とは電気的に接続しない。このように設置することによって、先行技術における誘電体基板に金属化スルーホールを開けるという複雑なプロセスを回避し、加工效率を向上させた。そして、先行技術における電気的に接続する手法と比べて、本願発明の実施例に提供された放射増強器は、第1の導電性素子と第2の導電性素子とが電磁結合され、電磁場が形成され、誘電体基板の寸法を小さくしながら、第1の導電性素子と第2の導電性素子との間の電流経路を十分に延長でき、無線装置の放射効率を確保できる。
【0018】
本願発明の実施例及び従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例及び従来技術に必要な図面を簡単に説明するが、無論、以下に説明される図面は単に本願発明の実施例の一部であり、当業者であれば、創造的な働きをせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は先行技術における放射増強器の構成模式図である。
図2図2は本願発明の実施例における放射増強器の構成模式図である。
図3図3は本願発明の実施例における無線装置の構成模式図である。
図4図4は本願発明の実施例における無線装置のアンテナのパッシブ性能-Sパラメータ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本願発明の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、図面を参照しながら例を挙げて本願発明の実施例をさらに詳しく説明する。勿論、説明される実施例は本願発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本願発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を必要とせずに得られる全ての他の実施例は何れも本願発明の保護範囲に該当する。
【0021】
本願発明に提供された無線装置の放射増強器の構成及び原理を詳しく説明するために、以下、図面を参照しながら放射増強器を詳しく説明する。
【0022】
図2及び図3に示すように、図2は本願発明の実施例における放射増強器の構成の模式図であり、図3は本願発明の実施例における無線装置の構成の模式図である。
【0023】
なお、本文に記載の「第1、第2、第3、第4、第5及び第6」は、同じ部品を区別して技術案を明らかに述べるためのものであり、部品の優先度、重要性及び順番を限定するものではない、即ち本願発明の技術案を限定しない。
【0024】
図2に示すように、本願発明の実施例は、無線装置の放射増強器10であって、誘電体基板11と、第1の導電性素子12と、第2の導電性素子13と、を備える、放射増強器10を提供する。当該誘電体基板11は、対向する第1側の面111と第2側の面112を有し、第1の導電性素子12は、第1側の面111に設置され、第2の導電性素子13は、第2側の面112に設置された。第1側の面111と第2側の面112との間に、第1の導電性素子12と第2の導電性素子13とを電磁結合的に接続できるように構成される厚みがあり、且つ、第1の導電性素子12と第2の導電性素子13とは非接触であり、即ち、第1の導電性素子12と第2の導電性素子13とは電気的に接続しない。このように設置することによって、先行技術における誘電体基板上11に金属化スルーホールを開けるという複雑なプロセスを回避し、加工効率を向上する。
【0025】
一実施例において、放射増強器10は、対向する第3の側の面113と第4の側の面114と、及び、対向する第5の側の面115と第6の側の面116とをさらに有してよい。
【0026】
図2に示すように、本願発明の実施例において、誘電体基板11は、中実な誘電体である。もちろん、誘電体基板11は中実な誘電体に限らなく、中空であってもよく、誘電体基板11にスルーホールを開けてもよい。本願発明の実施例は、第1の導電性素子12と第2の導電性素子13とは接触しないことを満し、且つ、第1の導電性素子12と第2の導電性素子13とを電磁結合的に接続できれば、誘電体基板11の構成形状を限定しない。
【0027】
図1を参照すると、無線装置をアンテナとして機能させるために、先行技術における放射増強器10′には、上層導電性素子12′と下層導電性素子13′とを電気的に接続させるように、スルーホールを追加的に開ける必要があり、そして、さらにスルーホールの穴壁の面を金属化する必要があり、プロセスの難度が高く、コストが高い。一方、金属化スルーホールによって第1の導電性素子12と第2の導電性素子13とを電気的に接続することと比べて、図2を参照すると、本願発明の実施例に係る放射増強器10の誘電体基板11は、第1の導電性素子12と第2の導電性素子13とを非接触させる厚みを有し、第1の導電性素子12と第2の導電性素子13とを電磁結合的に接続させることができるため、電磁結合によって電磁場を形成することで、第1の導電性素子12と第2の導電性素子13との間の電流経路を十分に延長させ、無線装置の放射効率を確保できる。
【0028】
一実施例において、第1の導電性素子12又は第2の導電性素子13には、2つの内部接続端子14が設置され、即ち、2つの内部接続端子14が同じ導電性素子に設置される。図2を参照すると、本願発明の実施例において、第2の導電性素子13には、2つの内部接続端子14が設置され、且つ、2つの内部接続端子14は第2の導電性素子13の中心線に対して対称に設置されてよい。
【0029】
上記内部接続端子14は、第1の導電性素子12又は第2の導電性素子13と他の素子とを接続するために用いられ、例えば、内部接続端子14はパッドでよい。
【0030】
一実施例において、2つの内部接続端子14は、第1の導電性素子12に設置されてもよく、この場合、上記2つの内部接続端子14は、第1の導電性素子12の中心線に対して対称に設置される。
【0031】
一実施例において、第1の導電性素子12と第2の導電性素子13は、誘電体基板11に対応する側の面に覆うように構成され、即ち、第1の導電性素子12は、第1側の面111上を覆ってもよく、第2の導電性素子は、第2側の面112上を覆ってもよい。
【0032】
一実施例において、第2の導電性素子13に2つの内部接続端子14が設置された場合、2つの内部接続端子14は、第2の導電性素子13の端部に設置されてよい。
【0033】
一実施例において、第1の導電性素子12に2つの内部接続端子14が設置された場合、2つの内部接続端子14は、第1の導電性素子12の端部に設置されてよい。
【0034】
一実施例において、一方の内部接続端子14は無線装置のRFモジュールを電気的に接続するために用いられ、他方の内部接続端子14は無線装置のマザーボードを固定して接続するために用いられ、例えば、一方の内部接続端子14はRFモジュールのTX(Transmit、送信)/RX(Receive、受信)端子を電気的に接続し、他方の内部接続端子14によって放射増強器10をマザーボードに溶接固定してよい。
【0035】
一実施例において、2つの内部接続端子14は、方形に設置されてよい。
【0036】
一実施例において、誘電体基板11の第1側の面111と第2側の面112との距離、即ち、図2において第1の導電性素子12が位置する面と第2の導電性素子13が位置する面との間の距離は、放射増強器10の最低共振周波数に対応する空気誘電体中の伝搬波長の20分の1以下であることにより、放射増強器10の寸法を有効的に小さくすることができ、さらに、当該放射増強器10を含む無線装置の寸法を小さくし、さらに無線装置のコンパクト化の要求を満たすことができる。
【0037】
一実施例において、誘電体基板11は、立方体状に設置されてよく、例えば、誘電体基板11は直方体であってもよく、又は、誘電体基板11は六面体であってもよく、これに限定されない。
【0038】
一実施例において、誘電体基板11は、縦、横、高さの3つの方向に辺の長さを有してよく、上記の第1側の面111と第2側の面112との間の距離は、誘電体基板11の高さ方向の辺の長さが同じであると考えられる。立方体状に設置された誘電体基板11にとって、誘電体基板11の最大辺の長さ、即ち、縦、横、高さの3つの方向の最大辺の長さは、無線装置の放射増強器10の最低共振周波数に対応する空気誘電体中の伝搬波長の20分の1以下であることにより、放射増強器10の寸法を小さくし、さらに、当該放射増強器10を含む無線装置の寸法を小さくし、さらに無線装置のコンパクト化の要求を満たすことができる。
【0039】
一実施例において、放射増強器10の最低共振周波数は、698MHz~960MHzの作動周波数帯の範囲内でよい。
【0040】
本願発明に係る放射増強器10によれば、第1の導電性素子12と第2の導電性素子13とは電磁結合的に接続するように設置され、放射増強器10の寸法を小さくすることができ、さらに、当該放射増強器10を含む無線装置の寸法を十分に小さくし、無線装置の構造寸法をさらに最適化し、コンパクト化、軽量化の要求を満たすことができる。
【0041】
上記無線装置の放射増強器10以外には、さらに図3に示すように、本願発明の実施例は、放射構造と、RFモジュール20と、外部端子とを備える放射システムをさらに提供する。
【0042】
放射構造は、上記各実施例における放射増強器10を含み、放射増強器10と外部端子とは、それぞれRFモジュール20を電気的に接続する。
【0043】
一実施例において、放射構造におけるアースプレーン層30は、放射増強器10とRFモジュール20を電気的に接続する。
【0044】
アースプレーン層30は、放射増強器10とRFモジュール20とを接続するための単層導体でよい。
【0045】
一実施例において、アースプレーン層30の一端は、放射増強器10における1つの内部接続端子14を電気的に接続してよく、アースプレーン層30の他端は、RFモジュール20を電気的に接続する。放射システムの外部端子は、アースプレーン層30において、RFモジュール20を電気的に接続する一端であること、と理解されてよい。
【0046】
本願発明は、放射システムと、整合システム40と、伝送線路とを含む無線装置をさらに提供する。図3に示すように、放射システムの放射構造は、上記の放射増強器10を含み、伝送線路は、整合システム40と放射システムのRFモジュール20とを電気的に接続する。
【0047】
整合システム40には、数本の回路を含んでよく、整合システム40は、RFモジュール20からの信号を予め設定された周波数帯に調整するために用いられる。
【0048】
一実施例において、無線装置の放射システムは、上記実施例における放射構造と、RFモジュール20と、外部端子と、を備えてよい。
【0049】
伝送線路の一端は、放射システムのRFモジュール20を電気的に接続してよく、伝送線路の他端は、整合システム40を電気的に接続してよい。
【0050】
当該無線装置は、上記の放射増強器10によれば、第1の導電性素子12と第2の導電性素子13とを電磁結合的に接続することと、伝送線路及び整合システム40がアースプレーン層30の放射電流を励起することにより、整合システム40に基づいて、RFモジュール20からの信号を調整して、シングルバンド、デュアルバンド及びマルチバンドの電磁エネルギー放射を完了することができ、無線装置の放射効率を有効に向上した。
【0051】
図4を参照すると、図4は本願発明の実施例における無線装置のアンテナのパッシブ性能-Sパラメータ図である。
【0052】
図4において、横座標は無線装置からの信号の周波数を表し、縦座標はリターンロスを表す。図4において、M1(824MHz,-8.13dB)、M2(960MHz,-7.61dB)、M3(1710MHz,-7.45dB)、M4(2170MHz,-7.35dB)、M5(2300MHz,-10.37dB)、M6(2700MHz,-15.42dB)、その中、M1からM2に対応する周波数帯、即ち、824MHz~960MHzは、2G通信における低周波数帯を表すことができる。M3からM4に対応する周波数帯、即ち、1710MHz~2170MHzは、3G通信における周波数帯を表すことができる。M5からM6に対応する周波数帯、即ち、2300MHz~2700MHzは、4G通信における高周波数帯を表すことができる。この3つの周波数帯は、GSM(登録商標)(グローバル移動通信システム,Global System for Mobile Communications)850、GSM(登録商標)900、GSM(登録商標)1800、GSM(登録商標)1900、WCDMA(登録商標)(広帯域符号分割多重接続,Wideband Code Division Mutiple Access)1900、WCDMA(登録商標)2100、TD-SCDMA(時分割複信符号分割多重接続,Time Division-Synchronous Code Division Mutiple Access)、CDMA(符号分割多重接続,Code Division Mutiple Access)、LTE(長期的に進化,Long Term Evolution)1、LTE3、LTE5、LTE8、LTE38、LTE39、LTE40、LTE41、WIFI2.4~2.5Gなどの複数の現在通常に使用される通信規格をカバーでき、そして、この3つの周波数帯のどちらもリターンロスが-5dB以下であり、即ち、2G、3Gと4G通信の周波数帯内には、本願発明の実施例に係る放射増強器に基づいて、無線装置の作動性能を有効に向上できる。
【0053】
以上の記載は本願発明の好ましい実施例に過ぎず、本願発明を限定することを意図するものではない。本願発明の主旨及び原則内で行われる如何なる修正、均等の代替、改良等は何れも本願発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0054】
図1において、
10′ 放射増強器、
11′ 誘電体基板、
12′ 上層導電性素子、
13′ 下層導電性素子、
14′ 金属化スルーホール。
図2及び図3において、
10 放射増強器、
11 誘電体基板、
111 第1側の面、
112 第2側の面、
113 第3の側の面、
114 第4の側の面、
115 第5の側の面、
116 第6の側の面、
12 第1の導電性素子、
13 第2の導電性素子、
14 内部接続端子、
20 RFモジュール、
30 アースプレーン層、
40 整合システム、
50 マザーボード。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-08-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
誘電体基板11は、低誘電損失材料で構成されてよく、例えば、エポキシガラス繊維板であるFR4の誘電体基板などでよい。図2に示すように、本願発明の実施例において、誘電体基板11は、中実な誘電体である。もちろん、誘電体基板11は中実な誘電体に限らなく、中空であってもよく、誘電体基板11にスルーホールを開けてもよい。本願発明の実施例は、第1の導電性素子12と第2の導電性素子13とは接触しないことを満し、且つ、第1の導電性素子12と第2の導電性素子13とを電磁結合的に接続できれば、誘電体基板11の構成形状を限定しない。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
一実施例において、第1の導電性素子12又は第2の導電性素子13には、2つの内部接続端子14が設置され、即ち、2つの内部接続端子14が同じ導電性素子に設置される。図2を参照すると、本願発明の実施例において、第2の導電性素子13には、2つの内部接続端子14が設置され、且つ、2つの内部接続端子14は第2の導電性素子13の中心線に対して対称に設置されてよい。他の実施例として、2つの内部接続端子14は、第1の導電性素子12に設置されてもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線装置の放射増強器であって、
誘電体基板と、
前記誘電体基板の第1側の面に設置された第1の導電性素子と、
前記誘電体基板の前記第1側の面に対向する第2側の面に設置された第2の導電性素子と、を備え、
前記第1側の面と前記第2側の面との間の厚みは、前記第1の導電性素子と前記第2の導電性素子とが非接触で電磁結合接続できるようなものであることを特徴とする、放射増強器。
【請求項2】
前記第1の導電性素子又は前記第2の導電性素子には、2つの内部接続端子が設置されたことを特徴とする、請求項1に記載の放射増強器。
【請求項3】
2つの前記内部接続端子は、前記第1の導電性素子又は前記第2の導電性素子の中心線に対して対称に設置されたことを特徴とする、請求項2に記載の放射増強器。
【請求項4】
前記第1の導電性素子は、前記誘電体基板の前記第1側の面を覆い、前記第2の導電性素子は、前記誘電体基板の前記第2側の面を覆い、2つの前記内部接続端子は、前記第1の導電性素子又は前記第2の導電性素子の端部に設置されたことを特徴とする、請求項3に記載の放射増強器。
【請求項5】
一方の前記内部接続端子は、前記無線装置のRFモジュールを電気的に接続するために用いられ、他の前記内部接続端子は、前記無線装置のマザーボードを固定して接続するために用いられることを特徴とする、請求項2に記載の放射増強器。
【請求項6】
前記第1側の面と前記第2側の面との間の距離は、前記放射増強器の最低共振周波数に対応する空気誘電体中の伝搬波長の20分の1以下であることを特徴とする、請求項1に記載の放射増強器。
【請求項7】
前記誘電体基板は、立方体状に設置され、前記誘電体基板の最大辺の長さは、前記放射増強器の最低共振周波数に対応する空気誘電体中の伝搬波長の20分の1以下であることを特徴とする、請求項1に記載の放射増強器。
【請求項8】
前記最低共振周波数は、698MHz~960MHzの周波数帯の範囲内であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の放射増強器。
【請求項9】
無線装置の放射システムであって、
放射構造と、RFモジュールと、外部端子と、を備え、
前記放射構造は、請求項18のいずれか一項に記載の放射増強器を含み、
前記放射増強器と前記外部端子とは、それぞれ前記RFモジュールを電気的に接続することを特徴とする、放射システム。
【請求項10】
前記放射構造は、前記放射増強器と前記RFモジュールとを電気的に接続するアースプレーン層を備えることを特徴とする、請求項9に記載の放射システム。
【請求項11】
放射システムと、整合システムと、伝送線路とを備え、
前記放射システムにおける放射構造は、請求項1~8のいずれか一項に記載の放射増強器を含み、
前記伝送線路は、前記整合システムと前記放射システムのRFモジュールとを電気的に接続することを特徴とする、無線装置。
【国際調査報告】