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特表2022-517573金属製品の鋳造において液体金属を横方向に封じ込める電磁装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-09
(54)【発明の名称】金属製品の鋳造において液体金属を横方向に封じ込める電磁装置
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/01 20060101AFI20220302BHJP
   B22D 11/06 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
B22D11/01 A
B22D11/06 330B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539524
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(85)【翻訳文提出日】2021-08-23
(86)【国際出願番号】 IB2020050343
(87)【国際公開番号】W WO2020148698
(87)【国際公開日】2020-07-23
(31)【優先権主張番号】102019000000693
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510152666
【氏名又は名称】ダニエリ アンド シー.オフィス メカニケ エスピーエー
【氏名又は名称原語表記】DANIELI&C.OFFICINE MECCANICHE SPA
【住所又は居所原語表記】Via Nazionale,41-33042 Buttrio(UD),Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】ガグリアルディ ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】アンソルディ マルコ
(72)【発明者】
【氏名】サルヴァドール ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ノービレ マッテオ
【テーマコード(参考)】
4E004
【Fターム(参考)】
4E004AA09
4E004DA13
4E004MB11
4E004NC08
4E004QA05
4E004SD03
(57)【要約】
2つの逆回転鋳造ロールの間に定められた通路の一開放側端部で、第1電気伝導率を有する液体金属を横方向に封じ込めるための電磁装置(20)であって、前記装置は以下を備える。液体金属の前記第1電気伝導率以下の第2電気伝導率を有するさらなる強磁性材料で作られた磁気ヨーク(1)であって、2つの相互に近位の楔形端部(4、4’)で終わり、前記楔形端部は、それぞれの内面(5、5’)と、それぞれの外面(7、7’)とを有し、それぞれの内面(5、5’)は、互いに面し、間隙(6)を定め、それぞれの外面(7、7’)は、前記間隙に横たわる平面に関して、一方の側に1つが、他方の側にもう1つが、配置され、両方の楔形端部(4、4’)を少なくとも部分的に2つの鋳造ロールの間に挿入することができるように成形された、磁気ヨーク(1)と、少なくとも1つのコイル(8)であって、磁気ヨーク(1)の少なくとも1つの延伸に巻かれ、電流によって供給されるように適合された、少なくとも1つのコイル(8)と、少なくとも1つのプレート(9)であって、前記第1電気伝導率以上の第3電気伝導率を有する材料で作られ、前記少なくとも1つのプレート(9)は、前記内面(5、5’)を互いに対してシールドするように前記間隙(6)に挿入されている少なくとも1つのプレート(9)。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの逆回転鋳造ロール(22、22’)の間に定められた通路の一開放側端部で、第1電気伝導率を有する液体アルミニウムまたは液体アルミニウム合金を横方向に封じ込めるための電磁装置(20)であって、前記装置は、
-前記第1電気伝導率以下の第2電気伝導率を有する第1材料で作られた磁気ヨーク(1)であって、前記第1材料は強磁性材料であり、前記磁気ヨークは、2つの相互に近位の楔形端部(4、4’)で終わり、前記楔形端部は、それぞれの内面(5、5’)と、それぞれの外面(7、7’)とを有し、それぞれの内面(5、5’)は、互いに面し、間隙(6)を定め、それぞれの外面(7、7’)は、前記間隙に横たわる平面に関して、一方の側に1つが、他方の側にもう1つが、配置されている、磁気ヨーク(1);
-少なくとも1つのコイル(8)であって、磁気ヨーク(1)の少なくとも1つの延伸に巻かれ、電流によって供給されるように適合された、少なくとも1つのコイル(8);
-前記間隙(6)に挿入された少なくとも1つのプレート(9);
を備え、
前記少なくとも1つのプレート(9)は、前記第1電気伝導率以上の第3電気伝導率を有する第2材料で作られ、前記少なくとも1つのプレート(9)は、前記内面(5、5’)を互いに対して電磁的にシールドすることができることを特徴とする、電磁装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記少なくとも1つのプレート(9)には冷却手段が設けられている、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、前記冷却手段は、少なくとも1つのチャネル(10)を備え、前記少なくとも1つのチャネル(10)は、前記少なくとも1つのプレート(9)の内側に形成され、冷却液供給回路に接続可能である、装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の装置であって、液体アルミニウムまたはその液体合金の第1電気伝導率は、約510℃-720℃の範囲に含まれる第1温度で約7-15MS/mの範囲に含まれ、好ましくは、第1強磁性材料の第2電気伝導率は、500S/m以下であり、第2材料の第3電気伝導率は、約170℃-200℃の範囲に含まれる第2温度で少なくとも20MS/mであり、好ましくは、プレート(9)は、銅、銀、または他の適切な金属、から選択される材料で作られ、磁気ヨーク(1)は、ケイ素鋼、Fluxtrol材料、“Grey T Type”材料、または他の適切な強磁性材料、から選択された強磁性材料で作られる、装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の装置であって、磁気ヨーク(1)は、2つのアーム(3,3’)が設けられた本体(2)を有し、各アームは、それぞれ楔形端部(4,4′)で終わり、好ましくは、連続して、
離間して実質的に平行であるそれぞれの第1延伸(11,11’)と、
それぞれの第2延伸(12,12’)であって、それぞれの互いに収束する方向に傾斜し、各第2延伸は、それぞれの第1延伸(11,11’)をそれぞれの楔形端部(4,4’)に接続する、それぞれの第2延伸(12,12’)と、
を有する、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、第1延伸(11,11’)および第2延伸(12,12’)は、第1平面に沿って配置され、それぞれの第2延伸(12、12’)をそれぞれの楔形端部(4、4’)に接続する第3湾曲延伸(13、13’)が設けられ、好ましくは、前記楔形端部(4、4’)は、第1平面に対して90°より大きい角度だけ傾斜した第2平面に沿って配置される、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、前記少なくとも1つのプレート(9)、好ましくは1つだけのプレート(9)、は、楔形端部(4、4’)の内面(5、5’)の間に配置された平坦部(23)を備え、好ましくは、前記平坦部(23)の厚さは、1.5-24.5mmの範囲に含まれ、間隙(6)は、2-25mmの範囲に含まれる、装置。
【請求項8】
請求項5または6に記載の装置であって、前記少なくとも1つのプレート(9)には、前記第2延伸(12、12’)に実質的に平行な発散延伸(14、14’)を有する分岐が設けられている、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、前記少なくとも1つのプレート(9)には、その側端縁(47)で、壁(15)が設けられ、前記壁(15)は、楔形端部(4、4’)の内面(5、5’)の間に配置されたプレート(9)の平坦部(23)に対して、横方向にあり、好ましくは垂直であり、前記壁(15)は、前記楔形端部(4、4’)の側部(26)を覆うように成形され、好ましくは、前記壁(15)には、それぞれの発散延伸(16、16’)が設けられ、それぞれの発散延伸(16、16’)は、プレート(9)の発散延伸(14、14’)に対して横方向にあり、前記第2延伸(12、12’)の側部を覆うように成形される、装置。
【請求項10】
請求項1または5に記載の装置であって、直列に接続された少なくとも2つのコイル(8、8’)が設けられ、各コイル(8、8’)は、磁気ヨーク(1)のそれぞれのアーム(3、3’)の第1延伸(11、11’)に巻かれている、装置。
【請求項11】
請求項1または10に記載の装置であって、磁気ヨーク(1)のそれぞれのアーム(3、3’)の第1延伸(11、11’)を横断する少なくとも1つの冷却回路が設けられている、記載の装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の装置であって、磁気ヨーク(1)は、単一片で作られている、または、複数の強磁性シートで構成され、前記複数の強磁性シートは、または複数の強磁性シートが、重なり合うかまたは並び、および互いから離されている、装置。
【請求項13】
アルミニウムまたはその合金で作られた平坦な製品を鋳造するための鋳造機であって、
-液体アルミニウムを凝固させて平坦な製品を形成するための、2つの開放側端部を有する通路を定める2つの逆回転鋳造ロール(22、22’);
-2つの鋳造ロール(22、22’)の間の空間に液体アルミニウムを供給するための供給手段(34、35);
-請求項1から12のいずれか1項に記載の第1電磁装置(20)であって、両方のその楔形端部(4、4’)で前記通路の第1開放側端部において2つの鋳造ロール(22、22’)の間に少なくとも部分的に挿入された、第1電磁装置(20);
-好ましくは請求項1から12のいずれか1項に記載の第2電磁装置(21)であって、両方のその楔形端部(4、4’)で前記通路の第2開放側端部において2つの鋳造ロール(22、22’)の間に少なくとも部分的に挿入された、第2電磁装置(21);
を備え、
好ましくは、前記鋳造機は水平鋳造機であり、前記2つの逆回転鋳造ロール(22、22’)は重ねられ、前記供給手段(34、35)は、2つの鋳造ロールの間の空間において液体金属を水平に供給するように適合される、鋳造機。
【請求項14】
請求項13に記載の鋳造機であって、前記2つの鋳造ロール(22、22’)の少なくとも外面は、第3材料で作られ、前記第3材料は、強磁性であり、好ましくは鋼である、鋳造機。
【請求項15】
請求項13に記載の鋳造機であって、前記第1電磁装置(20)および/または前記第2電磁装置(21)を移動させるための移動手段(60)が設けられ、2つの鋳造ロール(22、22’)の回転軸を含む平面に平行な方向(Z)に沿って互いからの距離を調節するようになっており、同じ鋳造ロールを使用して異なる幅の平坦な製品を鋳造することができる、鋳造機。
【請求項16】
請求項13に記載の鋳造機によって実施するのに適した、アルミニウムまたはその合金で作られた平坦な製品を鋳造するための鋳造プロセスであって、
-供給手段(34、35)によって2つの鋳造ロール(22、22’)の間の空間に液体アルミニウムを供給するステップ;
-液体アルミニウムを凝固させて2つの鋳造ロール(22、22’)の間の通路において平坦な製品を形成するステップ;
を含み、
液体アルミニウムの横方向封じ込めは、第1電磁装置(20)によって通路の2つの開放側端部の少なくとも1つで提供され、
好ましくは、液体アルミニウムの第1横方向封じ込めは、前記第1電磁装置(20)によって通路の第1開放側端部で提供され、液体アルミニウムの第2横方向の封じ込めは、第2電磁装置(21)によって前記通路の第2開放側端部で提供され、
好ましくは、鋳造プロセスは水平鋳造機によって行われる、鋳造プロセス。
【請求項17】
請求項16に記載のプロセスであって、前記第1電磁装置(20)および第2電磁装置(21)の各々について、液体アルミニウムの横方向の封じ込めは、少なくとも1つのコイル(8)に電流を供給することによって得られ、コイル(8)によって生成された磁界磁束は、連続して、
-磁気ヨーク(1)の本体(2)から第1楔形端部(4)まで、
-前記第1楔形端部(4)から前記2つの鋳造ロールの第1ロール(22)まで、
-前記第1ロール(22)から前記2つの鋳造ロールの第2ロール(22’)まで、鋳造ロール間を前進するアルミニウムを通り、従って、2つの鋳造ロール間を通過する製品のエッジ上の液体アルミニウムの横方向封じ込めのためのローレンツ力の結果的な生成を伴う誘導によって渦電流を発生させる、
-前記第2ロール(22’)から第2楔形端部(4’)まで、
-および前記第2楔形端部(4’)から再び本体(2)まで;
通過し、
好ましくは、鋳造プロセスが水平鋳造機によって行われる場合、前記第1ロール(22)から前記第2ロール(22’)への磁界磁束の通過は、実質的に垂直であり、一方、鋳造プロセスが垂直鋳造機によって行われる場合、前記第1ロール(22)から前記第2ロール(22’)への磁界磁束の通過は、実質的に水平である、プロセス。
【請求項18】
請求項16に記載のプロセスであって、2つの鋳造ロール(22、22’)間の鋳造中、アルミニウムまたはその合金の温度は、約510℃-720℃の範囲であり、プレート(9)のおよび磁気ヨーク(1)の温度は、約200℃未満に保たれる、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ツインロール鋳造として一般に知られている技術による、平坦な金属製品、例えばストリップ、の鋳造において、液体金属、特にアルミニウム、を横方向に封じ込める電磁装置に関する。本明細書では、「アルミニウム」という用語は、純粋なアルミニウムおよび任意のアルミニウム合金の両方を意味する。
【背景技術】
【0002】
ツインロール鋳造として一般的に知られている技術は、アルミニウムストリップの製造において広く用いられており、例えば水によって冷却される2つの逆回転鋼ロール間の液体金属の直接供給によって特徴付けられる。特に、このプロセスは、生産性を高め、結果としてエッジ自体から凝固材料廃棄物を洗浄する必要があるエッジへの材料の蓄積を避けるために、鋳造金属の横方向封じ込めを必要とする。
【0003】
これは、例えば、機械的横方向封じ込め装置、または機械的エッジダム、および電磁横方向封じ込め装置、または電磁エッジダムを、同時に使用することによって達成することができる。
【0004】
しかしながら、従来技術の解決策を使用すると、
-液体金属自体によって高い水頭圧を受ける液体金属を横方向に封じ込めることの困難性;
-かなり小さい横方向の封じ込め領域;
-システムの柔軟性の欠如、これにより、封じ込め装置は、鋳造ロール間では作用できず、鋳造ロールの外側のみであるので、異なるストリップ幅を同じ鋼製ロールで鋳造することができない、
などの多くの欠点が生じる。
【0005】
従って、前述の欠点を解決することができる電磁封じ込め装置の必要性が感じられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、液体金属、特にアルミニウム、を、ツインロール鋳造技術によるストリップの水平鋳造または垂直鋳造において横方向に封じ込める電磁装置を製造することであり、ツインロール鋳造技術は、高圧での液体金属の封じ込めおよび横方向封じ込め領域の延長の両方の点で性能を改善することができる。
【0007】
本発明の別の目的は、可撓性を有し、異なるストリップ幅を同じ鋼ロールで鋳造することを可能にする、電磁液体金属封じ込め装置を作ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、2つの逆回転鋳造ロールの間に定められた通路の1つの開放側端部で、第1電気伝導率を有する、液体アルミニウムまたはその液体合金を横方向に封じ込める電磁装置によって、そのような目的のうちの少なくとも1つを達成し、他の目的は、本明細書に照らして明らかになり、前記の装置は以下を備える。
-磁気ヨークであって、前記の第1電気伝導率以下の第2電気伝導率を有する第1材料で作られ、前記の第1材料は強磁性材料であり、前記の磁気ヨークは2つの相互に近位の楔形端部で終端し、前記の楔形端部は、それぞれの内面と、それぞれの外面と、を有し、それぞれの内面は、互いに対向し、間隙を定め、それぞれの外面は、前記の間隙に横たわる平面に関して、一方の側に1つが、他方の側にもう1つが、配置され、両方の楔形端部を2つの鋳造ロールの間に少なくとも部分的に挿入することができるように成形される、磁気ヨーク;
-少なくとも1つのコイルであって、磁気ヨークの少なくとも1つの延伸に巻かれ、電流によって供給されるように適合された、少なくとも1つのコイル;
-前記の間隙に挿入された少なくとも1つのプレート;
前記の少なくとも1つのプレートは、前記の第1電気伝導率以上の第3電気伝導率を有する第2材料で作られ、前記の少なくとも1つのプレートは、前記の内面を互いに対して電磁的に遮蔽する。
【0009】
本発明の別の態様は、以下を備える、アルミニウムまたはその合金で作られた平坦な製品を鋳造するための鋳造機に関する。
-液体アルミニウムを凝固させ、平坦な製品を形成するための、2つの開放側端部を有する、通路を定める2つの逆回転鋳造ロール;
-2つの鋳造ロールの間の空間に液体アルミニウムを供給するための供給手段;
-上記の特徴を有する第1電磁装置であって、前記の通路の第1開放側端部でその楔形端部の両方が少なくとも部分的に2つの鋳造ロールの間に挿入された、第1電磁装置;
-好ましくは、上記の特徴を有する第2電磁装置であって、前記の通路の第2開放側端部でその楔形端部の両方が2つの鋳造ロールの間に少なくとも部分的に挿入された、第2電磁装置;
好ましくは、前記の鋳造機は水平鋳造機であり、前記の2つの逆回転鋳造ロールが重ね合わされ、前記の供給手段は、前記2つの鋳造ロールの間の空間内で水平方向に液体アルミニウムを供給するようになっている。
【0010】
本発明のさらなる態様は、前述の鋳造機によって行われる、アルミニウムまたはその合金で作られた平坦な製品を鋳造するための鋳造プロセスに関し、そのプロセスは、以下のステップを含む。
-供給手段によって2つの鋳造ロールの間の空間に液体アルミニウムを供給するステップ;
-液体アルミニウムを凝固させ、2つの鋳造ロールの間の通路で平坦な製品を形成するステップ;
液体アルミニウムの横方向封じ込めは、第1電磁装置によって通路の2つの開放側端部のうちの少なくとも1つで提供され、好ましくは、液体アルミニウムの第1横方向封じ込めは、前記の第1電磁装置によって通路の前記の2つの側端部の第1開放側端部で提供され、好ましくは、液体アルミニウムの第2横方向封じ込めは、第2電磁装置によって通路の前記の2つの側端部の第2開放側端部で提供される;
好ましくは、鋳造プロセスは、水平鋳造機によって行われる。
【0011】
有利には、本発明の電磁装置またはエッジダムの解決策は、以下の要件を満たすことを可能にする。
-例えば液体金属ヘッドの150mmまでの、高圧を受ける金属を横方向に封じ込める;-関連する横方向封じ込め領域は、長さが、例えば50-90mm(セットバック)で、変化することができる;
-そのシステムは、柔軟性があり、鋳造ロールを異なる長さの他のロールに置き換える必要なく、異なるストリップ幅を鋳造することができる。
【0012】
本発明の鋳造機は、鋳造ロールの磁気特性をさらに活用し、好ましくは鋼で作られ(凝固される製品と接触する、少なくともその外側部分で)、鋳造の工程において、最初に前記のコイルと鋳造ロールとの間、次に鋳造ロールと例えばアルミニウムの金属製品との間で、少なくとも1つのコイルによって生成された磁場を伝え、このようにして、誘導によって渦電流を生成し、それは、磁場と相互作用することによって、金属製品のエッジ上の液体金属ヘッドと対比することができるローレンツ力を生成する。
【0013】
磁気ヨークは、強磁性材料の単一片で作ることができる、または互いに重なり合って、または並べて、配置された複数の強磁性シートで作ることができ、互いから電気的に絶縁することができる。
【0014】
両方の変形例において、磁気ヨーク材料の選択は重要である。磁気ヨーク全体が、低い電気伝導率を有さなければならないからであり、それは、渦電流の発生、従ってヨークを集中的に冷却する必要性を、著しく減少させる。
【0015】
2つの楔形端部の間に、前記の第2材料で作られた少なくとも1つのプレートが存在することにより、以下のことが可能になる。-ヨーク自体の磁場の閉じを回避し、鋳造ロールに向かって磁場を伝え、封じ込め力の生成を促進する;-番号により、主にヒステリシスによる損失のために加熱されるヨークまたは磁気コンセントレータを冷却する。
【0016】
鋳造製品の金属と鋳造ロールとの間のより良い熱交換は、より高い生産性(例えば、5mmのアルミニウムストリップ厚さに対して10m/分)および生産管理におけるさらなる柔軟性を可能にする。
【0017】
本発明のさらなる特徴および利点は、好ましいが排他的ではない実施形態の詳細な説明に照らして、より明らかになるであろう。
【0018】
従属請求項は、本発明の特定の実施形態を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の説明は、非限定的な例として提供される添付の図面に言及する。
図1】本発明による横方向封じ込め装置を有する水平鋳造機の図を示す。
図2】本発明の電磁装置の斜視図を示す。
図3】凝固領域を示す鋳造機の断面図を示す。
図4】上部ロールを除いた図2の部分の上面からの斜視図を示す。
図5】本発明の電磁装置の斜視図を示す。
図6図5における装置の第1構成要素の斜視図を示す。
図7図5における装置の第2構成要素の斜視図を示す。
図8a図5の装置の第3構成要素の第1斜視図を示す。
図8b】前記の第3の構成要素の第2斜視図を示す。
図9】本発明の電磁装置によって生成される磁場の経路を図式的に示す。
図10】前記の第3の構成要素の部分断面図を示す。
図11図5における装置の部分断面斜視図を示す。
図12図5の装置の半分のさらなる斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の目的である一対の電磁装置20、21を備える水平鋳造機の一例を示す。しかしながら、本発明の電磁装置は、垂直鋳造機にも使用できる。
【0021】
平坦な金属製品、例えば、好ましくはアルミニウムからなるストリップ、を鋳造する、水平バージョンが図に示されている鋳造機は、以下を備える。
-2つの反対方向に回転し、重ね合わされた、鋳造ロール22、22’であって、液体金属を凝固させ、平坦な製品を形成するための、2つの開放側端部を有する鋳造される金属のための出口通路を画定する、鋳造ロール22、22’;
-供給手段であって、液体金属を、2つの鋳造ロールの間の空間に水平に、2つの鋳造ロールの間に画定された通路の方へ、供給する、供給手段;
-第1電磁装置20であって、その楔形端部4、4’で通路の第1開放側端部において2つの鋳造ロールの間に少なくとも部分的に挿入される、第1電磁装置20;
-好ましくは第2電磁装置21であって、その楔形端部4、4’で前記の通路の第2開放側端部において2つの鋳造ロールの間に少なくとも部分的に挿入される、第2電磁装置21。
【0022】
この説明では、「アルミニウム」という用語は、純アルミニウムと、少なくとも1つの金属、例えば銅、亜鉛、マンガン、ケイ素、またはマグネシウムを有する任意のアルミニウム合金と、の両方を意味する。
【0023】
有利には、前述の鋳造機は、いかなる機械的横方向封じ込め装置も備えることができない。
【0024】
液体金属を前記の通路の2つの側端部の一方のみで横方向に封じ込める必要がある場合には、1つの電磁装置のみを使用すれば十分である。
【0025】
好ましくは、少なくとも鋳造ロール22、22’の外面は、強磁性材料、例えば強磁性鋼からなる。
【0026】
供給手段は、それ自体公知であり、以下を含む。
-タンディッシュ34であって、例えば入口チャネル(図示せず)から来る液体金属、例えばアルミニウム、を収集する、タンディッシュ34;
-好ましくはセラミック材料からなるアンローダ35であって、タンディッシュ34から来る液体金属を2つの鋳造ロール22、22’によって画定された通路に向かって水平に供給する、アンローダ35。
【0027】
移動手段60を、第1電磁装置20および/または第2電磁装置21を移動させるために設けることができ、2つの鋳造ロール22、22’の回転軸を含む平面に平行である方向Z(図4)に沿って互いからの距離を調整するようになっている。そのような移動手段60は、例えば、線形、油圧、空気圧、機械的、空気圧アクチュエータ、それらの組み合わせ等であり得る。
【0028】
これにより、鋳造ロールを交換する必要なく、異なる幅の金属製品、例えばストリップ、を鋳造することができる。製造される1つのストリップサイズから別のストリップサイズへの移行は、Z方向に沿った、鋳造ロールに関して、2つの電磁横方向封じ込め装置のうちの少なくとも1つの横方向変位のみを必要とする。これは、1つの電磁装置にのみ適用することもできる。
【0029】
従って、鋳造ロールの幅は同じであり、前記の幅は固定されており、電磁横方向封じ込め装置を、鋳造されるストリップの異なる幅を定めるように移動させることができ、従って、従来技術のように専用のロールのセットを有する必要はなく、従来技術では、電磁装置を横方向に変位させることができず、従って、異なる幅のストリップを鋳造する必要があるときはいつでも鋳造ロールを交換しなければならない。
【0030】
2つの鋳造ロール22、22’の間に定められた通路のそれぞれの開放側端部における、鋳造中の液体金属の横方向封じ込めに適した各電磁装置20、21は、以下を備える。
-磁気ヨーク1であって、全体として、鋳造される金属の電気伝導率以下である電気伝導率を有するさらなる強磁性材料で作られ、2つの相互に近位の楔形端部4、4’で終わり、前記の楔形端部4、4’は、それぞれの内面5、5’と、それぞれの外面7、7’とを有し、それぞれの内面5、5’は、互いに面し、間隙6を定め、それぞれの外面7、7’は、対応する内面5、5’の反対側に配置され、前記の間隙6に横たわる平面に関して、一方の側に1つが、他方の側にもう1つが、配置されている、磁気ヨーク1;
-少なくとも1つのコイル8であって、磁気ヨーク1の少なくとも1つの延伸に巻かれ、電流によって供給されるように適合された、少なくとも1つのコイル8;
-少なくとも1つのプレート9であって、鋳造される金属の電気伝導率以上の電気伝導率を有する材料で作られ、前記の少なくとも1つのプレート9は、内面5、5’を互いに対して電磁的にシールドするように間隙6に挿入されている、少なくとも1つのプレート9。
【0031】
2つの楔形端部4、4’の外面7、7’は、前記の楔形端部4、4’の両方が2つの鋳造ロール22、22’の間に少なくとも部分的に挿入されることができるように、成形される。
【0032】
有利には、平坦な製品、例えばストリップ、を形成するために鋳造される液体金属は、アルミニウムまたはアルミニウム合金である。鋳造の工程において、これらの金属の温度は、約510℃-720℃の範囲に含まれる。この温度で、アルミニウムおよびその合金の電気伝導率は、約7-15MS/mの範囲である。
【0033】
より具体的には、鋳造の工程におけるアルミニウムの温度は、約660℃-700℃の範囲である。この温度で、アルミニウムの電気伝導率は、9-11MS/mの範囲に含まれる。
【0034】
従って、アルミニウムまたはその合金の鋳造の工程中に以下の関係を満たすために、磁性ヨーク1およびプレート9の材料を選択することが重要である。
【数1】

ここで、σAlは、アルミニウムまたはその合金の電気伝導率である。
【0035】
好ましくは、プレート9は、銅、銀、または他の適切な金属、から選択される材料で作られる。
【0036】
例えば、前記の鋳造の工程中のプレート9の材料の電気伝導率は、少なくとも20MS/m、例えば約40MS/m、である。
【0037】
好ましくは、プレート9の温度は、アルミニウムまたはその合金の鋳造中、約200℃未満、例えば170-180℃の範囲、に維持される。
【0038】
好ましくは、磁気ヨーク1は、例えば、以下から選択される、強磁性材料で作られる:ケイ素鋼、“Fluxtrol”材料、例えば、Fluxtrol100、またはMagShape製の“Grey T Type”、またはいずれにせよ、渦電流の形成に起因する内部加熱現象の低減を意味する、磁気ヨーク1を構成するプラスチック元素と鉄元素との間のドーピングに起因する、磁気誘電特性を有する材料。
【0039】
例えば、前述の鋳造の工程中の磁性ヨーク1の強磁性材料の電気伝導率は、500S/m以下、好ましくは100S/m以下、である。
【0040】
好ましくは、磁気ヨーク1の温度は、アルミニウムまたはその合金の鋳造中、約200℃未満、例えば170-180℃の範囲、に維持される。有利には、各電磁装置20、21、および従ってそれぞれの磁気ヨーク1は、アンローダまたは供給先端部35によって占められるゾーンに対して、横方向に、外側の位置に、例えば完全に外側に、配置される。
【0041】
さらに、磁気ヨーク1は、アンローダ35に適合するように輪郭がとられていない。磁気ヨーク1は、その代わりに、プレート9が挿入される前述の間隙6を定めるように輪郭がとられ、前記のプレートは、好ましくは平坦であり、実質的に互いに平行である、内面5、5’を、電磁的に遮蔽するような導電性および磁性材料で作られている。従って、プレート9は、電磁装置によって生成される磁場を透過させない。
【0042】
好ましくは、2つの楔形端部4、4’の互いに向かい合う内面5、5’間の間隙または距離6は、2-25mm、好ましくは4-8mmの、範囲である。任意選択で、プレート9、または2つの内面5、5’間に配置されたプレート9の少なくとも一部は、1.5-24.5mm、好ましくは3.5-7.5mm、の範囲の厚さを有する。従って、楔形端部4、4’の外面7、7’の形状のために、そして、間隙6、および、従って、プレート9が非常に薄いため、プレート9によって適切にそらされた磁界磁束は、鋳造ロールに入り、鋳造ロール間の空間を横切り、この空間が非常に狭い点で、鋳造されるアルミニウムを横切る。例えば、880mmの鋳造ロール直径を考慮すると、鋳造ロール間の磁界磁束は、楔形端部4を出たときに約5-6cmの経路を作り、そして他の楔形端部4’で閉じる。好ましくは、2つの楔形端部4、4’は、間隙6に横たわる対称面に対して対称的に配置され、それぞれの内面5、5’が、前記の対称面に対して実質的に平行および近位であり、それぞれの外面7、7’が、平坦または湾曲し、対称面から遠位であるが、楔形を定めるように前記の対称面に向かって実質的に収束する。
【0043】
変形例では、楔形端部4、4’の外面7、7’は、対応する鋳造ロールの外半径と実質的に等しい曲率半径を有する曲線を成す。各楔形端部4、4’には、2つのさらなる側面26も設けられ、2つのさらなる側面26は、内面5、5’に対して横方向、好ましくは直角方向であり、内面5、5’をそれぞれの外面7、7’に接合する。
【0044】
有利には、液体金属の横方向封じ込めは、少なくとも1つのコイル8に電流を供給することによって達成され、鋳造機のいくつかの構成要素の材料の磁気特性と、使用される異なる材料の電気伝導率間の関係とによって、コイル8によって生成される磁界磁束が、図9に示されるように、連続して通過するようになっている。
-磁気ヨーク1の本体2からその第1楔形端部4まで、
-前記の第1楔形端部4から第1鋳造ロール22まで、
-前記の第1鋳造ロール22から前記の第2鋳造ロール22’まで、2つの鋳造ロール間を前進する金属製品を通り、従って、2つの鋳造ロール間を通過する製品のエッジ上の液体金属の横方向封じ込めのためのローレンツ力の結果的な生成を伴う誘導によって渦電流を発生させる、
-前記の第2鋳造ロール22’から磁気ヨーク1の第2楔形端部4’まで、
-および前記の第2楔形端部4’から再び磁気ヨーク1の本体2まで。
【0045】
好ましくは、鋳造プロセスが水平鋳造機によって行われる場合、第1ロール22から第2ロール22’への磁界磁束の通過は実質的に垂直であり、鋳造プロセスが垂直鋳造機によって行われる場合、第1ロール22から第2ロール22’への磁界磁束の通過は実質的に水平である。
【0046】
単なる例として、本発明の装置の動作中、電磁装置と鋳造ロールとの間の最小距離、すなわち、楔形端部4、4’の外面7、7’と対応する鋳造ロールとの間の最小距離は、約0.5-2mm、例えば約1mm、である。好ましくは、電磁装置と液体金属との間の距離は、約8-12mm、例えば10mm、である。
【0047】
有利には、プレート9の材料の電気伝導率は、磁場がヨーク自体内で閉じないようにし、それによって、楔形端部4から強磁性材料からなる近位鋳造ロール22の表面に向かって磁界磁束を運び、このようにして閉じ込め力を促進する。
【0048】
鋳造機を通る液体金属の凝固プロセスが、図1-4に示されている。このプロセスでは、例えばストリップまたはシートである製品が、2つの冷却されたおよび逆回転する鋳造ロール22、22’の間で、アンロード装置35を通じて、液体金属供給によって直接鋳造される。凝固領域の断面が図3に示されている。液体金属がロール22、22’に接触するとすぐに、固体シェルが形成され始め、出口通路38に向かって成長する。上ロール22および下ロール22’に付着した固体シェルは、出口通路38の直前の凝固点36で交わり(通常、鋳造速度約1.2m/分および金属シート厚さ5mmの従来プロセスでは全凝固長さは約10-20mm)、そこから金属製品が鋳造ロール22、22’によって変形され、鋳造製品37を得る。図4を参照すると、電磁装置またはエッジダム20は、鋳造中にサンプ深さ39(実際の凝固長さに対応する図3)に沿って圧力を加えることによって金属を取り扱うのに使用される。この圧力は、前述のローレンツ力によって、実際の物理的封じ込めが存在しない、出口通路38とアンローダ35との間の領域における金属の側縁の位置を制御する。図4では、概略的に、鋳造方向が符号44で示され、液体金属がアンローダ35の内部に物理的に封じ込められる領域が符号40で示され、液体金属が物理的に横方向に封じ込められない凝固領域が符号41で示され、鋳造製品が完全に固体であって厚さが減少する領域が符号42で示され、液体金属が、電磁装置20によって、ローレンツ力によって封じ込められる横方向領域(図4では円で囲まれている)が、符号43で示されている。
【0049】
好ましくは、図5および図6に示されるように、磁気ヨーク1は、2つのアーム3、3’を備えた本体2を有し、各アームがそれぞれの楔形端部4、4’で終端している。
【0050】
水平鋳造の場合、2つの楔形端部4、4’は、上下に配置される。
【0051】
図6に示されている変形例では、アーム3、3’は以下を備える。
-それぞれの第1延伸11、11’であって、前記の第1延伸11、11’は、互いに間隔をあけて実質的に平行である、それぞれの第1延伸11、11’、
-それぞれの第2延伸12、12’であって、前記の第2延伸12、12’は、それぞれの互いに収束する方向に傾斜しており、それぞれの第1延伸11、11’をそれぞれの楔形端部4、4’に各々接続している、それぞれの第2延伸12、12’。
【0052】
本体2は、さらなる延伸45を備え、さらなる延伸45は、第1延伸11、11’を接続し、楔形端部4、4’から遠位位置に配置される。
【0053】
好ましくは、第1延伸11、11’および第2延伸12、12’は、第1平面に沿って配置され、第3湾曲延伸13、13’が設けられ、第3湾曲延伸13、13’は、それぞれの第2延伸12、12’をそれぞれの楔形端部4、4’に接続する。2つの楔形端部4、4’は、従って、90°より大きい角度だけ、好ましくは120-150°の間で、第1平面に対して傾斜する第2平面に沿って配置される。
【0054】
本発明の実施形態において、上記の形状を有する磁気ヨーク1の本体2は、強磁性材料、例えばケイ素鋼、で作られ、そのような強磁性材料の単一固体片によって形成することができる。別の実施形態では、磁気ヨーク1の本体2は、機械的手段、接着剤、または所望の構成を提供する同様の手段を使用して、共に曲げられ固定される一連の強磁性シートによって形成することができ、前記の強磁性シートは、変圧器の強磁性コアの組成に使用されるのと同様の技術を使用して、絶縁体によって互いから絶縁される。
【0055】
好ましくは、少なくとも1つのプレート9、好ましくは単一のプレート9、は、図8aおよび図8bに示す変形例では、楔形端部4、4’の内面5、5’の間に配置された平坦部23を備える。前記の平坦部23の厚さは、好ましくは約1.5-24.5mm、例えば3.5-7.5mm、の範囲である。
【0056】
任意選択的に、前記の平坦部23は、その一端に、磁気ヨーク1のアーム3、3’の第2延伸12、12’に実質的に平行な発散延伸14、14’を有する分岐を備える。2つの発散延伸14、14’の間の空間は、図に示すように空であってよい、または充填されてよく、2つの対向する表面として前述の発散延伸14、14’を有する材料ブロックが提供される。好ましくは、平坦部23は、湾曲端部延伸24を有し、湾曲端部延伸24は、磁気ヨークの第3湾曲延伸13、13’の間に配置され、発散延伸14、14’に接続される。
【0057】
プレート9は、好ましくは、その側端縁47(図10)に、壁15(図8a、8b)も備え、壁15は、平坦部23に対して、横方向にあり、好ましくは直交し、両方の楔形端部4、4’の側面26を覆うように成形される。
【0058】
壁15は、それぞれの分岐も備え、それぞれの分岐は、それぞれの発散延伸16、16’を有し、それぞれの発散延伸16、16’は、プレート9の発散延伸14、14’に対して、横方向にあり、好ましくは垂直であり、磁気ヨーク1の本体2の前記の第2延伸12、12’の側面を覆うように成形される。好ましくは、湾曲延伸15’が、壁15の本体を発散延伸16、16’に接続する。
【0059】
好ましくは、プレート9は、例えば接着性バインダーによって、磁気ヨーク1に固定される。以下の特性を有する任意のエポキシ接着剤を使用することができる。
-高温安定性;
-耐薬品性;
-低吸湿性;
-良好な熱伝導率;
-高い接着強度;
-非導電性。
【0060】
特に、例えば長方形である平坦部23は、楔形端部4、4’の内面5、5’に固定される。発散延伸14、14’は、本体2のそれぞれの第2延伸12、12’に固定される。湾曲端部延伸24は、第3湾曲延伸13、13’に固定される。壁15は、両方の楔形端部4、4’の側面26に固定される。さらに、特に、壁15の湾曲延伸15’は、本体2の湾曲延伸13、13’の内面に固定され、一方、壁15の発散延伸16、16’は、本体2の対応する第2延伸12、12’の側面に固定される。
【0061】
有利には、プレート9に冷却手段を設けることができる。これらの冷却手段は、プレート9の内側に作られた少なくとも1つのチャンネル10を備え、それは、例えば水である冷却液の供給回路に接続することができる。
【0062】
図10の部分断面図に示されている変形例では、より良い理解のために壁15の上部が見えず、プレート9の内側にあるチャネル10は、特に楔形端部4、4’の先端に対応するエッジ25に沿って、およびエッジ27に沿って、すなわち、動作位置において鋳造される製品の通路の横方向端部に近接し、従って壁15から遠位にある、プレート9のエッジに沿って、プレート9の2つのエッジの近傍に作られる。この構成により、鋳造される製品の通路の近位にある磁気ヨーク1の部分でジュール効果によって発生する熱を除去することができ、ヨーク温度が約180℃未満に保たれる。
【0063】
好ましくは、チャネル10は、面内で実質的にL形状を有し、エッジ25に沿った短い延伸とエッジ27に沿った長い延伸とを有する。好ましくは、供給回路(図示せず)によって供給される冷却液は、エッジ25の端部からチャネル10に入り、エッジ27の端部からチャネル10を出る。特に、壁15にはスロット50(図8a)が設けられており、エッジ25の端部で、冷却液をチャネル10内に入れる。
【0064】
チャネル10の長い延伸は、エッジ27に沿って、プレートの平坦部23の湾曲端部延伸24で湾曲端部28を有することができる。好ましくは、この場合、供給回路によって供給される冷却液は、壁15の近位にあるエッジ25の端部からチャネル10に入り、エッジ25から遠位にあるその湾曲端部からチャネル10を出る。
【0065】
チャネル10に加えて、適切な冷却システムを、プレート9の発散延伸14、14’のおよび壁15全体の外壁を冷却するように設けることができる。
【0066】
図5に示されている変形例では、直列に接続された2つのコイル8、8’が設けられており、各コイル8、8’は、磁気ヨーク1のそれぞれのアーム3、3’の第1延伸11、11’に巻かれている。3つ以上のコイルの使用は除外されない。例えば銅製のコイルは、好ましくは中空であるおよび/または好ましくは内部的に水冷される。
【0067】
有利には、少なくとも1つの冷却回路を設けることができ、それは、アーム3、3’の少なくとも1つの第1延伸11、11’を通って延びる。
【0068】
好ましくは、図11および図12に示されているように、2つの冷却回路が設けられ、一方は、コイル8が巻かれるアーム3の少なくとも第1延伸11を通過し、他方は、コイル8’が巻かれるアーム3’の少なくとも第1延伸11’を通過する。
【0069】
例えばU字形であるそれぞれのチャネルまたはダクト29、30を、アーム3、3’の内側に作るまたは挿入することができる。冷却液をチャネル29またはチャネル29、30それぞれに出入りさせるための開口31、32が、本体2に、例えば延伸45に、設けられている。
【0070】
本発明のさらなる態様によれば、電磁装置20が設けられ、好ましくは、2つの逆回転鋳造ロール22、22’の間に定められた通路の開放側端部で横方向に液体アルミニウムまたはその液体合金を封じ込めるように適合される。前記の装置は以下を備える。
-磁気ヨーク1であって、第1電気伝導率を有する第1材料で作られ、前記の第1材料は強磁性材料であり、前記の磁気ヨークは2つの相互に近位の楔形端部で終端し、前記の楔形端部は、それぞれの内面と、それぞれの外面と、を有し、それぞれの内面は、互いに対向し、間隙を定め、それぞれの外面は、前記の間隙に横たわる平面に関して、一方の側に1つが、他方の側にもう1つが、配置される、磁気ヨーク1;
-少なくとも1つのコイル8であって、磁気ヨーク1の少なくとも1つの延伸に巻かれ、電流によって供給されるように適合された、少なくとも1つのコイル8;
-前記の間隙6に挿入された少なくとも1つのプレート9;
前記の少なくとも1つのプレート9は、前記の第1電気伝導率以上の第2電気伝導率を有する第2材料で作られ、前記の少なくとも1つのプレート9は、前記の内面5、5’を互いに対して電磁的に遮蔽することができることを特徴とする。
【0071】
任意選択で、約170℃-200℃の範囲に含まれる第2温度で、第1材料の第1電気伝導率は、、500S/m以下であり、第2材料の第2電気伝導率は、少なくとも20MS/mである。
【0072】
実際、アルミニウムまたはその合金の鋳造中、プレート9および磁気ヨーク1は、好ましくは前記の第2温度に保たれる。好ましくは、プレート9は、銅または銀または他の適切な金属から選択された材料で作られ、磁気ヨーク1は、ケイ素鋼またはFluxtrol材料まてゃ“Grey T Type”材料または他の適切な強磁性材料、から選択された強磁性材料で作られる。
【0073】
任意選択的に、前記の少なくとも1つのプレート9は、冷却手段を備え、冷却手段は、好ましくは、冷却液供給回路に接続することができる前記の少なくとも1つのプレート9の内側に形成された少なくとも1つのチャネル10を備える。
【0074】
磁気ヨーク1、プレート9、および少なくとも1つのコイル8、8’は、上記の変形例または請求項5-12に記載の技術的特徴を有することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】