(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-09
(54)【発明の名称】アプリケータ
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20220302BHJP
【FI】
A61M37/00 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021540032
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(85)【翻訳文提出日】2021-07-08
(86)【国際出願番号】 EP2019082699
(87)【国際公開番号】W WO2020148011
(87)【国際公開日】2020-07-23
(31)【優先権主張番号】102019200563.2
(32)【優先日】2019-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】300005035
【氏名又は名称】エルテーエス ローマン テラピー-ジステーメ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】エルホーファー,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】シェール,セバスチャン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA72
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB04
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB19
4C267BB20
4C267BB24
4C267BB31
4C267BB37
4C267BB39
4C267BB40
4C267CC01
4C267CC05
4C267GG02
4C267HH01
4C267HH08
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、マイクロアレイの適用のためのアプリケータに関し、アプリケータは、プランジャ(20)が線形的に移動可能であるようにプランジャ(20)が配置されている筐体(10)を備えている。マイクロアレイ(28)を受けるための保持要素(38)が更に設けられている。圧力要素(34)によって、保持要素(38)が受けるマイクロアレイ(28)にプランジャ(20)が作用すべく、プランジャ(20)を移動させることが可能になる。作動要素(44)により、プランジャ(20)を内側の位置に保持することができ、このため、作動要素(44)を作動させることにより、プランジャ(20)を解放することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロアレイ(28)の適用のためのアプリケータであって、
プランジャ(20)が線形移動のために内部に配置されている筐体(10)と、
前記マイクロアレイ(28)を受けるための保持要素(38)と、
前記保持要素(38)が受けるマイクロアレイに作用すべく、前記プランジャ(20)を移動させるための圧力要素(34)と、
前記プランジャ(20)を内側の位置に保持して、作動要素(44)の作動により前記プランジャを移動のために解放する前記作動要素(44)と
を備えていることを特徴とするアプリケータ。
【請求項2】
前記保持要素(38)は、前記マイクロアレイと連結されている支持要素(40)、特にパッチを配置するための受け面(38)を有しており、前記受け面は、少なくとも部分的なリングの形状、特に完全なリングの形状を有することを特徴とする請求項1に記載のアプリケータ。
【請求項3】
前記筐体(10)は、前記プランジャ(20)のための出口開口部(30)を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のアプリケータ。
【請求項4】
前記受け面(38)は、前記プランジャ(20)及び/又は前記出口開口部(30)を特に完全に囲んでいることを特徴とする請求項2又は3に記載のアプリケータ。
【請求項5】
前記圧力要素(34)は、前記プランジャ(20)の内側の位置で予め応力が加えられている及び/又は圧縮されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載のアプリケータ。
【請求項6】
前記圧力要素(34)はばね要素を有していることを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載のアプリケータ。
【請求項7】
前記圧力要素(34)は、前記出口開口部(30)の反対の前記プランジャ(20)の後側(32)に配置されていることを特徴とする請求項3~6のいずれか1つに記載のアプリケータ。
【請求項8】
前記作動要素(44)は前記プランジャ(20)と直接協働し、特に前記プランジャ(20)を内側の位置に保持するために形状嵌合で前記プランジャと連結可能であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載のアプリケータ。
【請求項9】
前記プランジャ(20)は、前記作動要素(44)と協働する凹部(54)又は突出部を有していることを特徴とする請求項8に記載のアプリケータ。
【請求項10】
前記作動要素(44)は、前記プランジャ(20)を解放すべく移動する及び/又はねじれることが可能であることを特徴とする請求項1~9のいずれか1つに記載のアプリケータ。
【請求項11】
前記作動要素(44)は、前記筐体(10)の凹部に配置されていることを特徴とする請求項1~10のいずれか1つに記載のアプリケータ。
【請求項12】
前記筐体(10)は、前記アプリケータを患者の皮膚に固定するための固定要素(42)を有していることを特徴とする請求項1~11のいずれか1つに記載のアプリケータ。
【請求項13】
前記固定要素は、好ましくは前記受け面(38)を少なくとも部分的なリング形状又は完全なリング形状で囲んでいる接触面(42)を有していることを特徴とする請求項12に記載のアプリケータ。
【請求項14】
前記接触面(42)に、好ましくは着脱可能な保護フィルムを有する接着層が設けられていることを特徴とする請求項13に記載のアプリケータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロアレイの適用のためのアプリケータに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロアレイは、通常、パッチ、プラスタなどの支持要素上に配置されているか又は支持要素に連結されている複数のマイクロニードルを備えている。このようなマイクロアレイは、多数のマイクロニードル、例えば1cm2 当たり500 ~600 のニードルを備えている。マイクロニードルを患者の皮膚に押し付けると、神経及び血管が好ましくはいかなるニードル先端とも接触しない程度だけ、ニードルが患者の皮膚に貫通するように、ニードルの長さは短い。マイクロニードルは作用物質又は薬剤を含む。対応する作用物質をニードルの表面に塗布してもよく、又はニードル内に含めてもよい。ニードルは、患者の皮膚で溶解する物質で形成されていることが好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
マイクロアレイをヒトの皮膚に適用するとき、皮膚へのマイクロニードルの挿入が、特に確実な薬剤送達を保証するように再現可能でなければならないという問題がある。更に、再現性が他の態様では保証されないため、マイクロニードルの挿入は、ユーザ又は患者と無関係でなければならない。特に、特定の貫通深さが常に保証されるように、マイクロニードルの挿入は更に皮膚のきめと無関係とすべきである。
【0004】
本発明の目的は、マイクロアレイの挿入の再現性を向上させる、マイクロアレイの適用のためのアプリケータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有するアプリケータによって、本発明に従って達成される。
【0006】
マイクロアレイの適用のための本発明に係るアプリケータは、プランジャが線形移動のために配置されている筐体を備えている。更に、マイクロアレイを受けるための保持要素が設けられており、特に筐体と連結されているか又は筐体に配置されている。ここで、保持要素によってマイクロアレイを間接的又は直接的に受けてもよい。特に、保持要素は、マイクロアレイに連結されているか又はマイクロアレイを支持している支持要素、例えばパッチなどを受けてもよい。本発明に係るアプリケータは、プランジャの移動のための圧力要素を更に備えている。
【0007】
プランジャの対応する移動により、保持要素によって保持されているマイクロアレイに作用することが可能である。ニードルが患者の皮膚に押し付けられるように、圧力要素がマイクロアレイに特に短期的な力を加えることが好ましい。本発明に係るアプリケータは、プランジャを作動させるための作動要素を更に備えている。作動要素は、内側の位置又は引っ込んだ位置、つまりマイクロアレイを患者の皮膚に挿入する前の位置にプランジャを間接的又は直接的に保持する。ここで、作動要素はプランジャに直接作用してもよく、例えばプランジャと形状嵌合で連結されてもよく、又は圧力要素に作用してもよい。作動要素を特に手動で作動させることにより、移動のためにプランジャを解放するように解放を行う。プランジャを特に急に又は瞬間的に移動させることにより、プランジャは、対応する速度でマイクロアレイを皮膚に押し付ける。そのため、患者の皮膚へのマイクロアレイの挿入の優れた再現性を実現するように、特に明確に定められた力がマイクロアレイに作用する。
【0008】
好ましい展開例では、保持要素は、マイクロアレイに連結される支持要素、例えばパッチ、プラスタなどを配置するための受け面を有している。例えば、支持要素を受け面に接着することにより、支持要素を配置してもよい。特に平坦な受け面が、少なくとも部分的なリングの形状、特に好ましくは完全なリングの形状を有することが好ましい。
【0009】
アプリケータの筐体は、好ましくはプランジャが出てもよい出口開口部を有している。好ましい実施形態では、プランジャは、圧力要素によって出口開口部を通って押し出されるか、又は出口開口部の領域でマイクロアレイに作用する。更に、プランジャ及び/又はプランジャのための出口開口部が受け面に、少なくとも部分的に、特には完全に囲まれていることが特に好ましい。ここで、プランジャは受け面に、特に外側の位置、つまりマイクロアレイがプランジャによって皮膚に押し付けられる位置又は押し付けられた位置で囲まれている。
【0010】
圧力要素は、プランジャの内側の位置で予め応力が加えられている及び/又は圧縮されていることが好ましい。圧力要素がばね、例えばコイルばね、空圧チャンバ若しくは液圧チャンバ又はこれらの組み合わせであることが特に好ましい。圧力要素は、例えばプランジャに作用する圧縮可能なプラスチック材料などの弾性要素を更に有してもよい。
【0011】
圧力要素は、好ましくは出口開口部の反対のプランジャの後側に配置されている。圧力要素は更に、例えば他の位置に横方向に配置されてもよく、プランジャを作動させる又は始動させると、マイクロアレイに向かうプランジャの線形移動が、マイクロアレイを患者の皮膚に押し付けるために生じるようにプランジャと協働する。構造を可能な限り簡単に実現して良好な力伝達を実現するために、圧力要素がプランジャの後側に配置されていることが好ましい。
【0012】
別の特に好ましい実施形態では、作動要素はプランジャと直接協働する。ここで、患者、医師などによって手動で操作され得る作動要素が特に好ましい。プランジャを内側の位置で保持するための作動要素がプランジャと形状嵌合で連結され、ひいてはプランジャを内側の位置に保持することが更に好ましい。或いは又は加えて、作動要素が圧力要素と更に連結されてもよく、そのため、圧力要素がプランジャの作動又は線形移動を引き起こすので、作動要素を作動させることにより、圧力要素が膨張又は弛緩する。ここで、プランジャを、必ずしも作動要素によって内側の位置に保持する必要はない。これは、本質的に圧力要素がプランジャ自体によって制御位置に保持され、圧力要素を個別に始動させないときに好ましい。
【0013】
プランジャは、作動要素と協働する凹部又は突出部を有することが好ましい。特に、作動要素又は作動要素上の突出部が凹部内に延びてもよい。作動要素を作動させる、特に移動させることにより、作動要素が凹部から移動するため、プランジャが解放され、圧力要素によって線形的に移動することができる。ここで、作動要素が、プランジャを解放すべく移動する及び/又はねじれることが好ましい。作動要素が筐体の収容部に配置されていることが好ましい。収容部は凹部、スロット状の開口部などであってもよい。
【0014】
本発明の特に好ましい展開例では、筐体は固定要素を有している、及び/又は固定要素と連結されている。固定要素は、アプリケータを患者の皮膚に固定する役割を果たす。これは、作動要素の作動後、ひいてはマイクロアレイを押すためのプランジャの移動後、マイクロアレイを挿入位置に簡単に保持できるという利点を有する。例えば、固定要素として真空要素が設けられ得る。吸着カップと同様に、真空要素は、アプリケータ自体が患者の皮膚に吸着するように真空を生成するために使用される。アプリケータを患者の皮膚に押し付けることにより、真空を生成することができる。加えて、又は押し付けて真空を生成する代わりに、圧力要素によって真空を生成してもよい。圧力要素は、プランジャを作動させてマイクロアレイを皮膚に挿入すると、アプリケータが患者の皮膚に吸い付けられると同時的に真空を生成するように構成され得る。
【0015】
固定要素は、特に平坦な接触面を有することが好ましい。接触面は、マイクロアレイのための支持要素を配置する役目を果たす受け面を少なくとも部分的に囲んでいる。接触面は部分的なリングの形状、特に完全なリングの形状を有し、特に接触形状に対応することが好ましい。更に、アプリケータ又は固定要素を患者の皮膚に固定すべく接触面に接着層が設けられていることが特に好ましい。接着層が設けられている接触面に、好ましくは剥離可能な又は着脱可能な保護フィルムなどが設けられていることが好ましい。
【0016】
マイクロアレイをプランジャによって患者の皮膚に適用した後、好ましい実施形態によれば、マイクロアレイを圧力要素によって挿入位置に保持することが可能である。これは、例えば圧力要素の残留力によって可能である。
【0017】
本発明を、好ましい実施形態及び添付図面を参照して更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係るアプリケータの実施形態を示す上面斜視略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
アプリケータは筐体10を備えている。図示された実施形態では、筐体10は、カバー12、中間要素14及び基部要素16から構成されており、中間要素14及び基部要素16は一体に形成され得る。図示された実施形態では、カバー要素12はピン又はねじ18によって固定されているが、接着、スナップ連結、ねじ連結などによる固定も同様に可能である。プランジャ20が筐体10内に配置されている。図示された実施形態では、プランジャ20は、中心軸22に対して回転対称であるように構成されている。プランジャ20は、アプリケータが使用されるときに患者の皮膚の方を向く前側24にプランジャ要素26を有している。プランジャ要素26の断面は、マイクロアレイ28の寸法に対応する。マイクロアレイ28は、例えば円形状若しくは正方形状を有してもよく、又は別の幾何学的形状を有してもよい。
【0020】
圧力要素34が、前側24の反対のプランジャ20の後側32、又は出口開口部30に配置されている。図示された実施形態では、圧力要素34はコイルばねである。
図2に示されているプランジャ20の内側の位置では、圧縮ばね34が圧縮され、筐体のカバー12の内側で支持されている。
【0021】
図示された実施形態では中心軸22に対して更に回転対称である基部要素は、平坦な下側36を有している。平坦な下側36は、マイクロアレイ28を支持するか又はマイクロアレイ28と連結されているパッチ40のための保持要素及び受け面として機能する内側の環状領域38を有している。ここで、パッチ40は、特に接着によって受け面38に配置され得る。環状の受け面38は、同様に環状の接触面42に囲まれている。接触面42は、患者の皮膚に接触する役割を果たす。好ましくは、着脱可能なフィルムで覆われてもよい接着層が接触面42に更に設けられてもよい。ここで、特に受け面38が接触面42に対して凹部として形成されるため、パッチ40がマイクロアレイ28と共に特に接触面42を越えて突出しないように、下側36は段状に形成されてもよい。
【0022】
更に、アプリケータは作動要素44を備えている。図示された実施形態では、作動要素44は本質的にL字形状であり、突出部46を有しており、突出部46によって作動要素を手動で作動させることが可能である。特に作動要素は、
図2に示されている位置から矢印48の方向に内側に移動可能である。作動要素を内側に向かって移動させることにより、作動要素の開口部又は凹部50が
図2における右側に移動し、作動要素44の突起52が、
図2における右側に移動することにより、プランジャ20に設けられた凹部54から押し出される。この移動により、プランジャ20が解放され、その後、
図2では開口部50を通って線形的に下方に移動可能である。作動要素44を矢印48の方向に内側に押し込んでプランジャを解放すると即座に、プランジャは、直ちに
図2では下方にマイクロアレイ28に向かって移動する。この移動は圧縮ばね34によって行われる。プランジャ20が線形的に移動することにより、特にマイクロアレイ28が不図示の患者の皮膚に急に挿入される。マイクロアレイ28は、ばね34によって生じる残留力によって皮膚の挿入位置に保持される。図示された実施形態では、アプリケータが接着面として構成され、固定要素42を有しているため、アプリケータは患者の皮膚に更に保持される。好ましい実施形態で本発明に従って設けられるように、固定要素を設けることにより、マイクロアレイを患者の皮膚に挿入された位置で保持し、特に皮膚の弾力性によりマイクロアレイが押し出されるのを回避することが可能である。
【国際調査報告】