(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-09
(54)【発明の名称】エンジン用エアフィルタ濾材
(51)【国際特許分類】
B01D 39/16 20060101AFI20220302BHJP
B03C 3/08 20060101ALI20220302BHJP
D04H 3/16 20060101ALI20220302BHJP
F02M 35/024 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
B01D39/16 A
B03C3/08
D04H3/16
F02M35/024 501F
F02M35/024 511D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021540337
(86)(22)【出願日】2020-01-10
(85)【翻訳文提出日】2021-09-08
(86)【国際出願番号】 EP2020050562
(87)【国際公開番号】W WO2020144342
(87)【国際公開日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】102019100468.3
(32)【優先日】2019-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521305206
【氏名又は名称】ニーナ ゲスナー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク ガイスベルガー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス デメル
【テーマコード(参考)】
4D019
4D054
4L047
【Fターム(参考)】
4D019AA01
4D019BA13
4D019BB04
4D019BC01
4D019BD01
4D019CB04
4D019DA01
4D019DA03
4D054AA03
4D054BC16
4L047AA21
4L047AA27
4L047AB03
4L047BA08
4L047CA02
4L047CA05
4L047CC12
4L047DA00
(57)【要約】
エンジン用エアフィルタ濾材が支持層と、ポリエステル繊維を含有するメルトブローン層とを有している。濾材は帯電されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン用エアフィルタ濾材であって、支持層と、ポリエステル繊維を含有するメルトブローン層とを有しており、前記フィルタ濾材が帯電されている、エンジン用エアフィルタ濾材。
【請求項2】
前記ポリエステル繊維がポリブチレンテレフタレートを含有していることを特徴とする、請求項1に記載の濾材。
【請求項3】
前記ポリエステル繊維の平均直径が2~8μmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の濾材。
【請求項4】
前記メルトブローン層の単位面積当たりの質量が5~90g/m
2であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の濾材。
【請求項5】
前記濾材の総効率が少なくとも99.00%であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の濾材。
【請求項6】
前記支持層が紙層又はスパンボンド不織布層を含有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の濾材。
【請求項7】
前記スパンボンド不織布層が単一成分又は二成分ポリエステル繊維を含有することを特徴とする、請求項6に記載の濾材。
【請求項8】
前記二成分繊維がPET/CoPETを含有することを特徴とする、請求項7に記載の濾材。
【請求項9】
前記濾材が支持層とメルトブローン層とから成ることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の濾材。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の濾材を有するフィルタエレメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエンジン用エアフィルタ濾材であって、フィルタ濾材が支持層とメルトブローン層とを有している濾材、及びこのような濾材を備えたフィルタエレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
エアフィルタ濾材における重要な品質基準には、高い濾過効率、すなわち大小の粒子の分離、並びに、十分に高い粉塵保持容量が含まれる。エンジン用エアフィルタ濾材の場合に注目すべきなのは、エンジンが全負荷時にシリンダ容積に応じて、1時間当たり200m3~500m3の空気を吸い込むことである。この空気は汚染粒子及び粉塵粒子を含んでいる。フィルタエレメントが十分に空気を通過させないと、エンジンは完全な能力を展開することができない。
【0003】
エンジン用エアフィルタエレメントは、申し分のない燃焼プロセスに必要な清浄化された空気をエンジンに供給することに関与する。エンジン用エアフィルタ濾材は、車両内の空気管理に関してさらに次の機能、すなわちエンジン吸い込み空気の濾過、最適な燃焼及びエンジン音響、例えば吸気ノイズの減衰のための空気流の改善、エンジンの下流部材、例えばターボチャージャの粒子衝突からの保護という機能を有している。
【0004】
濾過効率を高めるためには、ナノ繊維層(すなわち繊維直径が1.5μm未満)が使用される。しかしこのようなナノ繊維層は複雑な製造方法を必要とし、ひいては高価である。さらなる欠点はナノ繊維層の機械的安定性が低いことである。
【0005】
これに加えて、エンジン用エアフィルタは車両製造業者によって提示された間隔で交換しなければならない。このことは検査作業の枠内で行われる。空気中の粉塵比率が高い場合(又は所定の総走行距離において)、フィルタを早期に交換することが推奨される。したがって濾材(もしくはフィルタ)ができる限り低廉であることが理想である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の根底を成す課題は、具体的にはエンジンのエアフィルタに適しており、極めて良好な効率及び粉塵保持容量を有し、そして標準製造方法で容易に生産でき、これに相応して低廉に製造し得る濾材及びフィルタエレメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、エンジン用エアフィルタ濾材であって、支持層と、ポリエステル繊維を含有するメルトブローン層とを有しており、前記濾材が帯電されている、エンジン用エアフィルタ濾材に関する。
【発明の効果】
【0008】
濾材はエンジン用エアフィルタに特に適している。従来は、エンジン用エアフィルタ濾材は帯電されていなかった。なぜならば、粉塵発生量が多いと、急速な放電が生じ、ひいては非帯電濾材に対する濾過効率の相違が認められなかったからである。驚くべきことに、本発明の帯電された濾材は非帯電濾材と比較して良好な効率と粉塵保持容量とを有することが確認された。したがって、メルトブローン層をより大きい繊維直径で製造することができる。このことは圧力損失が同じとすると、フィルタ濾材のより低廉な製造、並びにより高い効率及び粉塵保持容量を可能にする。
【0009】
ポリエステル繊維がポリブチレンテレフタレートを含有するか、又はポリブチレンテレフタレート繊維から成っていると有利である。
【0010】
このようなメルトブローン繊維の平均直径は具体的には2~8μm、有利には2~5μm、そして特に有利には3~4μmである。平均直径は本明細書中に記載された方法によって測定される。
【0011】
本発明によるメルトブローン層の厚さは、具体的には0.005barの接触圧(Auflagedruck)において0.05~0.90mm、有利には0.10~0.80mm、特に有利には0.15~0.70mmである。
【0012】
メルトブローン層の単位面積当たりの質量は具体的には5~90g/m2、有利には10~60g/m2、特に有利には15~25g/m2である。
【0013】
本発明によるメルトブローン層の空気透過率は具体的には50~3000 l/m2s、有利には300~2000 l/m2s、そして特に有利には800~1300 l/m2sである。
【0014】
本発明によるメルトブローン不織布を製造するために、当業者に知られているメルトブローン法が用いられる。好適なポリマー(具体的にはポリエステル)は例えばポリエチレンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレートである。メルトブローン層はポリブチレンテレフタレート繊維を有すると有利である。メルトブローン層はポリブチレンテレフタレート繊維から成っていると特に有利である。ポリマーには必要に応じて、さらに添加剤、例えば親水化剤、疎水化剤、結晶化促進剤、又は色素を混合することができる。メルトブローン層は製造中に帯電させることができ、あるいは支持層と一緒に帯電させることもできる。帯電法としては全ての周知の方法、例えばコロナ帯電法が挙げられる。
【0015】
帯電安定性を高めるために、当業者に知られている添加剤、例えばビス-ステアロイル-エチレンジアミドを混合することができる。
【0016】
支持層は湿式層又は乾式層であってよい。
【0017】
本発明の意味における湿式層又は紙層は、濾紙を製造するために当業者に知られている湿式法によって形成し得る全ての層である。湿式層は天然繊維、合成繊維、又はこれらの混合物を含有することができる。天然繊維の例は、セルロース、綿、ウール及び麻である。使用されるセルロース材料は木材非含有セルロース、及び/又は針葉樹及び/又は広葉樹から成る木材を含有するセルロース、再生セルロース、及びフィブリル化セルロースを含むことができる。
【0018】
合成繊維としては、例えばポリエステル繊維(例えばポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、PLA繊維)、ポリオレフィン繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維、及び個々の成分が異なる融点を有する多成分繊維が適している。
【0019】
湿式層内の合成繊維の平均繊維直径は具体的には3μm(0.1 dtex)~30μm(10 dtex)、有利には7~20μmであり、そして切断長さは有利には3mm~20mm、特に有利には4mm~12mmである。
【0020】
支持層は100重量%の天然繊維(総繊維量を基準とする)を有することができる。支持層は30~45重量%の合成繊維と70~55重量%の天然繊維とを有することができ、あるいは100重量%の合成繊維を有することもできる。支持層は100重量%の天然繊維を有していると有利である。
【0021】
湿式支持層の0.005barの接触圧における厚さは、具体的には0.1mm~1.2mm、有利には0.2mm~0.9mm、特に有利には0.3mm~0.8mmである。
【0022】
乾式支持層は、不織布層を製造するために当業者に知られている乾式法によって形成し得る層である。不織布層は、合成繊維だけを有するスパンボンド不織布又はカード不織布であると有利である。乾式支持層はスパンボンド不織布層から成っていると有利である。乾式支持層の厚さは有利には0.005barの接触圧において、具体的には1mm~3.0mmである。乾式支持層の厚さは1.2mm~2.5mm、具体的には1.3mm~2.1mmであると特に有利である。
【0023】
乾式支持層は単一成分又は二成分合成繊維を含む。乾式支持層は単一成分ポリエステル繊維、特に有利にはポリエチレンテレフタレート繊維を含む(又はこれから成る)と有利である。合成繊維としては、例えばポリエステル繊維(例えばポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、PLA繊維)、ポリオレフィン繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維、及び個々の成分が異なる融点を有する多成分繊維が適している。
【0024】
二成分繊維は、少なくとも1つの繊維部分の融点がより高く、そして第2の繊維部分の融点がより低い熱可塑性材料から成っている。このような繊維の物理的形態は当業者に知られており、サイド・バイ・サイド構造又はシース・コア構造から成るのが典型的である。
【0025】
二成分繊維は、ポリオレフィン(例えばポリエチレン及びポリプロピレン)、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン6、ナイロン6.6、ナイロン6.12などを含むポリアミド、を含む複数の熱可塑性材料から製造することができる。二成分繊維はポリエステルから製造されると有利である。二成分繊維はPET/coPETから成っていると特に有利である。
【0026】
乾式支持層の単一成分又は二成分繊維の具体的な平均直径は、10~50μm、有利には12~40μm、そして特に有利には14~35μmである。
【0027】
支持層は含浸することができる。含浸剤の種類は本発明によるフィルタ材料の使用目的に応じて当業者によって選択される。紙の総重量における乾燥含浸剤の比率は典型的には0.5重量%~50重量%、有利には5重量%~40重量%である。含浸剤としては、濾紙のために知られている物質、例えばアルコール溶液から成るフェノール樹脂又はエポキシ樹脂が使用され、さらに例えばアクリレート、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセテートの水性分散体も使用される。別の考えられる種類の含浸剤は、例えばポリビニルアルコール、メラミン樹脂、尿素樹脂の水溶液である。湿潤性を改善し、ひいては貫流速度を高めるために、含浸は適宜な添加剤、例えば界面活性物質又はフッ化炭素樹脂によって親水性もしくは親油性に調節することができる。
【0028】
支持層(すなわち湿式層又は乾式層)の単位面積当たりの質量は具体的には50~350g/m2、有利には70~250g/m2、そして特に有利には80~200g/m2である。
【0029】
支持層(すなわち湿式層又は乾式層)の空気透過率は具体的には、50~4000 l/m2s、有利には100~3000 l/m2s、そして特に有利には200~2800 l/m2sである。
【0030】
濾材は、本明細書中に記載された支持層とメルトブローン層との組み合わせからのみ成っていてよく、あるいは1つ又は2つ以上の別の層を含んでいてもよい。
【0031】
濾材を製造するために、メルトブローン層を支持層に結合することができる。このためには、当業者に知られているあらゆる方法、例えばニードル法、ウォータージェットニードル法、サーマル法(すなわちカレンダー固定及び超音波固定)及び化学法(すなわち接着剤による固定)を利用することができる。メルトブローン層は支持層と、ポイントカレンダー又は接着剤によって結合されると有利である。接着剤の塗布量は2~10g/m2、有利には4~8g/m2である。
【0032】
本発明による濾材の単位面積当たりの質量は、好ましくは55g/m2~440g/m2、有利には80~300g/m2、そして特に有利には90~200g/m2である。有利には濾材の空気透過率は50~1200 l/m2s、有利には100~1000 l/m2s、そして特に有利には200~900 l/m2sである。
【0033】
有利には、濾材の厚さは0.005barの接触圧において、0.4~2.5mm、特に有利には0.45~2mm、そしてさらに有利には0.45~1mmである。
【0034】
本発明による濾材の最大孔径(又は最大孔サイズ)は具体的には、30~120μm、有利には35~110μmである。本発明による濾材の多くの孔の直径は具体的には20~80μmであり、有利には25~65μmである。
【0035】
濾材のH値は具体的には1.00~2.50、有利には1.00~2.00、そして特に有利には1.00~1.80である。H値は、
H値=最大孔径/多くの孔の直径
から算出される。
H値が上記範囲内にある場合、極めて良好な均質性が示されるので、濾材は極めて高い効率及び粉塵保持容量を、より長い時間にわたって保証することができる。
【0036】
本発明による濾材の効率は、具体的には少なくとも99.00%、有利には少なくとも99.70%、特に有利には少なくとも99.90%である。本明細書に示された効率は、2000Paまでの圧力上昇後の総効率に相当する。これは初期効率と区別されるべきである。
【0037】
本発明による濾材の粉塵保持容量は、具体的には70~350g/m2、有利には100~300g/m2、特に有利には125~300g/m2である。
【0038】
本発明による濾材は優れた破断強度を有しているので、より長い時間間隔後に初めて濾材を新しくすればよい。
【0039】
天然繊維をも含有する濾材の、機械方向(MD)における破断強度は具体的には60~200N、有利には70~180N、特に有利には75-100Nである。合成繊維のみを含有する(天然繊維は含有しない)濾材の、機械方向(MD)における破断強度は250~600N、有利には具体的には350~600N、特に有利には400~600Nである。
【0040】
流入方向は支持層の側からであることが有利ではあるが、しかしメルトブローン層の側からであってもよい。
【0041】
本発明はまた、濾材を有するフィルタエレメントに関する。フィルタエレメントはこれに加えて、本発明による濾材とは区別される、すなわち別の特性を有する別の濾材を有することもできる。
【0042】
本発明による濾材のための特に有利な利用分野はエンジン用エアフィルタである。
【0043】
試験方法
単位面積当たりの質量 DIN EN ISO 536:2012-11に従う。
【0044】
厚さ 接触圧0.5kPaにおいて、試験面積2500mm2(直径56.42mm)を用いて、DIN EN ISO 9073-2(1997-02)に従う。
【0045】
空気透過率 圧力差200PaにおいてDIN EN ISO 9237(1995-12)に従う。
【0046】
孔サイズ DIN ISO 4003 (1990-10)に従って、平らな試験片の測定に基づく。試薬:変性エタノール(=1LのMEK(メチル-エチル-ケトン)を変性剤として有するエタノール100L)。空気導管と、マノメータ(mm表示のU字管)との接続部とを備えた空洞の上方に不織布を空気密に締め付ける。
【0047】
変性エタノールを、上側試料ホルダの縁部を介して添加し(試料に直接には噴射しない/約4mmの高さ)、そして同時に僅かな正圧を形成する。最初の気泡が見えるようになるまで、正圧をゆっくりと高める(約5mm WC/sec)。
【0048】
このために必要なこのような圧力をマノメータ(mm WC)で読み取り、そしてエタノール(23℃)の表面張力によって、最大孔径「最大孔」を算出する。総試験面積(10cm2)にわたって空気が貫通する(気泡(Luftblasen)がほぼ均一に分布するが、しかし泡沫形成(Schaumbildung)は生じない)まで正圧を高めると、多くの孔の値が得られる。これに加えて「多くの孔」の正圧を再び測定し、そして相応する孔径を算出する。
【0049】
[破断強度]
- 濾材全体(支持体+メルトブローン、濾材は天然繊維を含む)に対して、DIN EN ISO 1924-2(2009-05)に従う(100mm長さ、15mm幅の測定ストリップ、引き抜き速度15mm/min)。
- 濾材全体(支持体+メルトブローン、濾材は天然繊維を含まない)に対して、DIN EN ISO 29073 パート3(1992-08)に従う(100mm長さ、50mm幅の測定ストリップ、引き抜き速度100mm/min)。
【0050】
[効率及び粉塵保持容量]
示された効率値はISO 5011:2014による平らな試料の測定に基づいて測定されたものである。試験条件は次のとおりである。
- 試験粉塵ISO 12103-A2(ISO Fine)
- 質量濃度:1g/m3
- 流入速度11.1cm/s
- フィルタ面積:100cm2
【0051】
2000Paの最終圧力に達したら、総効率及び粉塵保持容量を測定する。
【0052】
[繊維直径]
測定原理:走査電子顕微鏡によって画像を定義された倍率で撮影する。これらの画像を自動ソフトウェアによって測定する。繊維の交差点を捕捉しひいては繊維直径を示さない測定個所を手動で取り除く。繊維束を全体的に1つの繊維として評価する。
【0053】
装置:
ソフトウェアFibermetric V2.1が付属する走査電子顕微鏡Phenom Fei。
【0054】
試験の実施
試料採取:ウェブ幅(約1.8m)にわたって5個所の不織布材料
【0055】
撮影:
a. 試料をスパッタリングする。
b. 光学画像に基づいて任意に撮影する。こうして見いだされた個所を1000倍の倍率でSEMによって撮影する。
c. 「ワンクリック(one click)」法によって繊維直径を割り出す。各繊維毎に一回捕捉しなければならない。
d. ファイバーメトリック(Fibermetric)から得られたデータによって、平均値及び繊維直径分布を、Excelを用いて評価する。これにより不織布1枚当たり、平均繊維直径が少なくとも5個所で検出される。5つの平均値をまとめて1つの平均値にする。このような値を不織布の平均繊維直径と呼ぶ。少なくとも500本の繊維を評価する。
【発明を実施するための形態】
【0056】
実施例
実施例1
厚さ0.22mm、空気透過率650 l/m2s、及び平均繊維直径3.5μmの20g/m2のPBT(ポリブチレンテレフタレート)メルトブローンを、ポイントカレンダーによって、厚さ0.68mmの135g/m2の湿式紙層と結合し、そしてこれにコロナ帯電を施した。ここで利用される紙層はセルロースから成り、予め樹脂で含浸した。
【0057】
こうして得られた濾材は厚さ0.75mm、空気透過率365 l/m2s、及び単位面積当たりの質量155g/m2を有している。濾材の最大孔径は約39μmであり、そして多くの孔の直径は約27μmである。
【0058】
実施例2
厚さ0.66mm、空気透過率1200 l/m2s、及び平均繊維直径4μmの60g/m2のPBTメルトブローンを、ポイントカレンダーによって、厚さ1.47mmの130g/m2のPET/CoPETスパンボンド不織布と結合し、そしてこれにコロナ帯電を施した。
【0059】
こうして得られた濾材は厚さ2.00mm、空気透過率900 l/m2s、及び単位面積当たりの質量190g/m2を有している。濾材の最大孔径は約100μmであり、そして多くの孔の直径は約58μmである。
【0060】
比較例1
実施例1と同じ濾材に相応するが、しかしコロナ帯電を施さなかった。
【0061】
比較例2
実施例2と同じ濾材に相応するが、しかしコロナ帯電を施さなかった。
【0062】
本発明による濾材のいくつかの利点を表1に示す。
【表1】
【国際調査報告】