(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-09
(54)【発明の名称】溶接ろう付け技法
(51)【国際特許分類】
B23K 31/02 20060101AFI20220302BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20220302BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20220302BHJP
B23K 1/00 20060101ALI20220302BHJP
B23K 3/04 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
B23K31/02 310F
F01D25/00 X
F02C7/00 D
B23K1/00 330P
B23K3/04 X
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541155
(86)(22)【出願日】2020-01-23
(85)【翻訳文提出日】2021-09-10
(86)【国際出願番号】 US2020014697
(87)【国際公開番号】W WO2020154453
(87)【国際公開日】2020-07-30
(32)【優先日】2019-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】クイ、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】アーネット、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】レイロック、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】トリソン、ブライアン リー
(57)【要約】
システムは、難溶接性(HTW)材料の凹面を有する凹部を有するガスタービン構成部品を含む。システムは、凹部の上に配置されたプレートを含む。プレートは、溶接しやすい(ETW)材料を有する。プレートは外面および内面を有し、内面は凹部に面する。システムは、凹面とプレートの内面との間の凹部内に配置されたろう付け材料を含む。ろう付け材料は、ろう付け材料がろう付け温度まで加熱されると、凹部の凹面をプレートの内面と接合するように構成される。システムは、凹部の上に配置されたプレートの外面に配置された充填材料を含む。プレートの外面への充填材料の塗布は、ろう付け温度までろう付け材料を加熱するように構成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
難溶接性(HTW)材料の凹面(72)を有する凹部(66)を備えるガスタービン構成部品(62)と、
前記凹部(66)の上に配置されたプレート(76)であって、前記プレート(76)が外面(96)および内面(78)を備え、前記プレート(76)が溶接しやすい(ETW)材料を備え、前記内面(78)が前記凹部(66)に面する、プレート(76)と、
前記凹面(72)と前記プレート(76)の前記内面(78)との間の前記凹部(66)内に配置されたろう付け材料(70)であって、前記ろう付け材料(70)がろう付け温度まで加熱されると、前記ろう付け材料(70)が前記凹部(66)の前記凹面(72)を前記プレート(76)の前記内面(78)と接合するように構成される、ろう付け材料(70)と、
前記凹部(66)の上に配置された前記プレート(76)の前記外面(96)に配置された充填材料(94)であって、前記プレート(76)の前記外面(96)への前記充填材料(94)の塗布が、前記ろう付け温度まで前記ろう付け材料(70)を加熱するように構成される、充填材料(94)と
を備える、システム(10)。
【請求項2】
前記外面(96)への前記充填材料(94)の前記塗布が、TIG、MIG、レーザ、EB、FCAW、プラズマ、LB融合溶接、またはそれらの何らかの組合せを介して、前記充填材料(94)を前記外面(96)に溶接することを含む、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項3】
前記ガスタービン構成部品(62)が、ガスタービン(34)用の高温ガス経路構成部品を備える、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項4】
前記プレート(76)の面積が、前記ガスタービン構成部品(62)の前記凹部(66)の凹部面積よりも大きく、前記プレート(76)の前記内面(78)の少なくとも一部が、前記ガスタービン構成部品(62)の外面(86)と接触する、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記充填材料(94)が、インコネル939、MarM247、GTD111、インコネル738、または別の適切な難溶接性材料などの難溶接性材料を含む、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項6】
前記充填材料(94)が、インコネル617、ニモニック263、GTD222、GTD292、または別の適切な溶接しやすい材料などの溶接しやすい材料を含む、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項7】
前記充填材料(94)が、前記凹部(66)を囲む前記ガスタービン構成部品(62)の外面(86)と同じ高さになるように機械加工された機械加工表面(102)を備える、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項8】
前記プレート(76)の前記外面(96)への前記充填材料(94)の前記塗布が、前記ガスタービン構成部品(62)の前記凹部(66)の微細構造を変更することなく前記ろう付け温度まで前記ろう付け材料(70)を加熱するように構成され、前記プレート(76)を通って伝導される熱が、前記プレート(76)と前記ろう付け材料(70)との間の界面(98)の温度を摂氏982度と1287度との間に上昇させるように構成される、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項9】
前記ろう付け材料(70)が、粉末、箔、テープ、またはプリフォームを含む、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項10】
前記ろう付け材料(70)が、摂氏982度と1287度との間の液相温度を備える、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項11】
前記ろう付け材料(70)が、0.00254mmと1.524mmとの間の厚さを備える、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項12】
前記プレート(76)が、前記ろう付け材料(70)から前記充填材料(94)を分離する、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項13】
ガスタービン構成部品(62)の凹面(72)にろう付け材料(70)を配置するステップと、
前記ろう付け材料(70)にプレート(76)を配置するステップであって、前記プレート(76)の内面(78)が前記ろう付け材料(70)に近接し、前記プレート(76)が前記内面(78)の反対側の外面(96)を備える、ステップと、
前記プレート(76)の前記外面(96)に充填材料(94)を塗布するために前記充填材料(94)を加熱するステップであって、前記充填材料(94)を塗布することから発する熱が前記プレート(76)を加熱するように構成される、ステップと、
前記充填材料(94)を塗布することから発する前記熱を介して、前記ガスタービン構成部品(62)の前記凹面(72)を前記ろう付け材料(70)で前記プレート(76)の前記内面(78)と接合するステップと
を含む、方法(110)。
【請求項14】
前記充填材料(94)を加熱するステップが、抵抗溶接プロセス、融合溶接プロセス、またはそれらの何らかの組合せを使用して、前記プレート(76)の前記外面(96)に前記充填材料(94)を溶接するステップを含む、請求項13に記載の方法(110)。
【請求項15】
前記充填材料(94)を塗布するために前記充填材料(94)を加熱するステップの前に、前記プレート(76)に仮付け溶接を施すステップを含む、請求項13に記載の方法(110)。
【請求項16】
前記ガスタービン構成部品(62)の前記凹面(72)の周りにある前記ガスタービン構成部品(62)の外面(86)と同じ高さの表面を形成するために、前記充填材料(94)の断片を前記プレート(76)から除去するステップを含む、請求項13に記載の方法(110)。
【請求項17】
前記プレート(76)から除去された前記充填材料(94)の前記断片が、前記プレート(76)の前記外面(96)に塗布された前記充填材料(94)の50%以上を含む、請求項16に記載の方法(110)。
【請求項18】
前記充填材料(94)を加熱し、前記ガスタービン構成部品(62)の前記凹面(72)を前記ろう付け材料(70)で前記プレート(76)の前記内面(78)に接合しながら、前記ガスタービン構成部品(62)の前記凹面(72)の温度を熱しきい値未満に維持する、請求項13に記載の方法(110)。
【請求項19】
前記方法(110)が、炉内で前記ガスタービン構成部品(62)および前記ろう付け材料(70)を加熱するステップを含まない、請求項13に記載の方法(110)。
【請求項20】
難溶接性材料を備えるガスタービン(34)用のガスタービン構成部品(62)であって、前記難溶接性材料がニッケル基合金を含む、ガスタービン構成部品(62)と、
前記ガスタービン構成部品(62)の表面(68)に接触するように構成された接合面、および前記接合面の反対側の前記ろう付け材料(70)の側面に配置されたろう付け材料界面を備えるろう付け材料(70)と、
前記ろう付け材料界面に接触するように構成されたプレート界面を備えるプレート(76)であって、前記プレート界面が、前記ろう付け材料界面よりも大きい表面積を備える、プレート(76)と、
前記ろう付け材料(70)と反対側の前記プレート(76)の表面に配置された充填材料(94)と
を備え、
溶接装置が、前記ろう付け材料(70)と反対側の前記プレート(76)の前記表面に前記充填材料(94)を塗布するように構成され、前記ろう付け材料(70)が、前記プレート(76)を通って前記ろう付け材料(70)に伝導される熱に応じて溶融し、硬化後に前記ガスタービン構成部品(62)に前記プレート(76)を接合するように構成される、
システム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、溶接ろう付け技法に関し、より詳細には、ガスタービンエンジンの欠陥のあるガスタービン構成部品を修理するための溶接ろう付け技法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン構成部品は、動作中に高温および応力にさらされる。ガスタービン構成部品は、難溶接性材料から形成される場合がある。誤って機械加工されたガスタービン構成部品は、欠陥(たとえば、凹部、溝、または材料の欠如)を有する可能性がある。ガスタービン構成部品の難溶接性材料の欠陥の修理は、費用がかかり、かつ/または時間がかかる可能性がある。難溶接性材料の欠陥に直接溶接するプロセスは、費用がかかり、かつ/または困難な可能性がある。さらに、溶接プロセス中の不均一な加熱および冷却が熱応力および残留応力を発生させるので、難溶接性材料の欠陥に直接溶接するプロセスは、ガスタービン構成部品の隣接部分に悪影響を及ぼす可能性がある。これらの応力は、溶接中、溶接後、または溶接後熱処理(PWHT)中に、高温亀裂またはひずみ経時亀裂をもたらす可能性がある。ろう付けは、修理に使用されるろう付け材料を加熱するために真空炉と共に使用されてよい。しかしながら、真空炉は、ガスタービン構成部品に利用可能なスペースが限られている可能性があり、ろう付けプロセスが完了するための長い加熱時間を有する可能性がある。さらに、真空炉の後の修理されたガスタービン構成部品の熱処理は、ガスタービン構成部品を修理するためにコストおよび時間をさらに増大させる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、システムは、難溶接性(HTW)材料の凹面を有する凹部を有するガスタービン構成部品を含む。システムは、凹部の上に配置されたプレートを含む。プレートは、溶接しやすい(ETW)材料を有する。プレートは外面および内面を有し、内面は凹部に面する。システムは、凹面とプレートの内面との間の凹部内に配置されたろう付け材料を含む。ろう付け材料は、ろう付け材料がろう付け温度まで加熱されると、凹部の凹面をプレートの内面と接合するように構成される。システムは、凹部の上に配置されたプレートの外面に配置された充填材料を含む。プレートの外面への充填材料の塗布は、ろう付け温度までろう付け材料を加熱するように構成される。
【0005】
別の実施形態では、方法は、ガスタービン構成部品の凹面にろう付け材料を配置するステップを含む。さらに、方法は、ろう付け材料の上にプレートを配置するステップを含む。プレートの内面はろう付け材料に近接し、プレートは内面と反対側の外面を有する。さらに、方法は、充填材料をプレートの外面に塗布するために充填材料を加熱するステップを含む。充填材料を塗布することから発する熱は、プレートを加熱するように構成される。その上、方法は、充填材料を塗布することから発する熱を介して、ガスタービン構成部品の凹面をろう付け材料でプレートの内面に接合するステップを含む。
【0006】
さらなる実施形態では、システムは、難溶接性材料を備えるガスタービン用のガスタービン構成部品を含む。難溶接性材料は、ニッケル基合金である。システムはまた、ガスタービン構成部品の表面に接触するように構成された接合面と、接合面の反対側のろう付け材料の側面に配置されたろう付け材料界面とを備える、ろう付け材料を含む。さらに、システムは、ろう付け材料界面に接触するように構成されたプレート界面を備えるプレートを含む。プレート界面は、ろう付け材料界面よりも大きい表面積を有する。さらに、システムは、ろう付け材料と反対側のプレートの表面に配置された充填材料を含む。その上、溶接装置は、ろう付け材料と反対側のプレートの表面に充填材料を塗布するように構成される。ろう付け材料は、プレートを通ってろう付け材料に伝導される熱に応じて溶融し、硬化後にガスタービン構成部品にプレートを接合するように構成される。
【0007】
本開示のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、添付図面を参照して以下の発明を実施するための形態を読むとより良く理解され、添付図面では、図面全体にわたって、同様の文字は同様の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】タービンシステムの一実施形態の断面図である。
【
図2】表面欠陥を有するガスタービン構成部品の一実施形態の断面図である。
【
図3】ガスタービン構成部品に配置されたプレートの一実施形態の上面図である。
【
図4】ろう付け材料を介してプレートをガスタービン構成部品と接合するためにプレートに充填材料が塗布されたガスタービン構成部品の一実施形態の断面図である。
【
図5】溶接ろう付けを実行するための方法の一実施形態のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つまたは複数の具体的な実施形態が以下に記載される。これらの実施形態の簡潔な説明を提供しようと努力して、実際の実装形態のすべての特徴が本明細書に記載されているわけではない。任意のエンジニアリングまたは設計プロジェクトにおけるように、任意のそのような実際の実装形態の開発では、実装形態ごとに異なる可能性があるシステム関連およびビジネス関連の制約条件の順守などの、開発者の具体的な目標を達成するために、実装形態に特有の決定を数多く行わなければならないことを理解されたい。その上、そのような開発努力は複雑で時間がかかるかもしれないが、それにもかかわらず、本開示の利益を得る当業者にとって、設計、製作、および製造の日常的な仕事であることを理解されたい。
【0010】
本発明の様々な実施形態の要素を紹介するときに、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、および「前記」は、1つまたは複数の要素が存在することを意味するものである。「備える」、「含む」、および「有する」という用語は包括的なものであり、列挙された要素以外の追加要素が存在してよいことを意味するものである。
【0011】
特定の用途では、ターボ機械(たとえば、タービン、圧縮機、およびポンプ)ならびに他の機械は、高熱環境で動作する構成部品を含む場合がある。たとえば、特定のタービンシステム構成部品には、ブレード、ライナ、ロータホイール、シャフト、ノズルなどが含まれる。いくつかのタービン構成部品は、製造上の欠陥(たとえば、凹部、溝、ノッチなど)を有する場合がある。
【0012】
一般に、ろう付けは、構成部品を動作状態に戻すために使用されてよい。しかしながら、ろう付けプロセスは、費用がかかり、かつ/または時間がかかる可能性がある。たとえば、ろう付けは、ろう付けプロセス中に炉(たとえば、真空炉)を使用することを含む場合がある。炉は、炉のサイズおよび構成部品のサイズのために、ガスタービン構成部品をろう付けする能力が制限される場合がある。さらに、ガスタービン構成部品をろう付けするために炉を使用すると、ろう付けプロセスのための長い加熱時間を必要とし、かつ/または専門のオペレータを必要とする可能性がある。さらに、炉は、ろう付け材料に加えてガスタービン構成部品の一部を加熱し、したがって、ガスタービン構成部品に所望の材料特性を回復させるために、修理されたガスタービン構成部品全体がろう付け後に熱処理される可能性がある。その上、ガスタービン構成部品の欠陥を直接溶接することは、難溶接性材料から作製されたガスタービン構成部品の欠陥の修理に有効でない可能性がある。
【0013】
本明細書に開示される溶接ろう付け技法は、ガスタービン構成部品のろう付けまたは溶接に伴う現在の問題を克服する。たとえば、溶接ろう付け技法は、特殊な機器(たとえば、炉)なしで使用されてよく、それにより、ガスタービン構成部品のコスト、複雑さ、および/または修理時間が低減される。さらに、本明細書に記載される溶接ろう付け技法によってガスタービン構成部品自体に加えられる熱は、ガスタービン構成部品のその後の熱処理を低減または排除することができ、それにより、ガスタービン構成部品のコストおよび修理時間が低減される。さらに、溶接ろう付け技法は、難溶接性材料を有するガスタービン構成部品を効果的に修理することができる。したがって、本明細書に開示される溶接ろう付け技法は、ガスタービン構成部品のろう付けおよび溶接に伴う現在の問題を克服する。
【0014】
溶接ろう付け技法はまた、従来のろう付けと比較してさらなる利点を提供することができる。ろう付けは、耐荷重構成部品の修理に適していない場合がある。ろう付け材料は、耐荷重用途のための所望の機械的特性(たとえば、引張強度など)をもたない場合がある。溶接は耐荷重構成部品の修理に適している場合があるが、上述されたように、溶接のみでは、いくつかのガスタービン構成部品で使用されるものなどの難溶接性材料の修理に有効でない可能性がある。本明細書に開示される溶接ろう付け技法は、ろう付け材料に加えて、所望の耐荷重機械的特性を有する材料を効果的に塗布することができる。したがって、本明細書に開示される溶接ろう付け技法は、ろう付けよりも効果的な耐荷重ガスタービン構成部品の修理を実現することができる。
【0015】
図1は、タービンシステム10の一実施形態の断面図である。タービンシステム10の動作中、天然ガスまたは合成ガスなどの燃料は、燃焼器16への1つまたは複数の燃料ノズル12を介してタービンシステム10に送られてよい。空気は、吸気部18を介してタービンシステム10に流入することができ、コンプレッサ14によって圧縮されてよい。コンプレッサ14は、空気を圧縮する一連の段20、22、および24を含んでよい。各段は、圧縮空気を提供するために圧力を次第に増大させるように回転する静止羽根26およびブレード28の1つまたは複数のセットを含んでよい。ブレード28は、シャフト32に接続された回転ホイール30に取り付けられてよい。コンプレッサ14からの圧縮排出空気は、ディフューザ部36を通ってコンプレッサ14を出ることができ、燃料と混合するように燃焼器16に導かれてよい。たとえば、燃料ノズル12は、最適な燃焼、排出、燃料消費、および動力出力のために適切な比で燃焼器16に燃料空気混合物を噴射することができる。特定の実施形態では、タービンシステム10は、環状配列に配置された複数の燃焼器16を含んでよい。各燃焼器16は、高温燃焼ガスをタービン34に導くことができる。
【0016】
タービン34は、ライナ56によって囲まれた3つの別個の段40、42、および44を含むマルチプルを含んでよい。各段40、42、および44は、シャフト54に取り付けられたそれぞれのロータホイール48、50、および52に結合されたタービンブレードまたはバケット46のセットを含む。さらに、各段は、ノズル38のセットを含んでよい。燃焼器16からの高温ガスは、タービン34を通って流れ方向48に導かれてよい。タービン34を通って流れる高温燃焼ガスがタービンブレード46を回転させると、シャフト54が回転してコンプレッサ14および発電機などの任意の他の適切な負荷を駆動する。最終的に、タービンシステム10は、排気部60を介して流れ方向48に燃焼ガスを拡散および排気する。燃料ノズル12、吸気口18、コンプレッサ14、静止ノズル26、ブレード28、ホイール30、シャフト32、ディフューザ36、段40、段42、および段44、タービンブレード46、ノズル38、シャフト54、ライナ56、ならびに排気部60などのタービン構成部品は、以下の
図2に関してより詳細に記載されるように、開示された実施形態を使用して欠陥、亀裂、またはギャップを修理することができる。
【0017】
図2は、外部欠陥64を有するガスタービン構成部品62の一実施形態の断面図である。ガスタービン構成部品62は、
図1のガスタービンのノズル38であってよい。しかしながら、ガスタービン構成部品62は、ガスタービンシステム10の別の高温ガス構成部品(たとえば、ブレード46、ディフューザ36、ライナ56など)であってよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される技法は、ガスタービンシステム10の他の構成部品または一般に他の構成部品(たとえば、蒸気タービン構成部品、自動車構成部品など)に適用されてよい。ガスタービン構成部品62の外部欠陥64は、凹部66(たとえば、ノッチ、溝、亀裂、ギャップなど)であってよい。外部欠陥64は、タービンノズル38またはタービンブレード46の基部の溝またはノッチなどの、表面的な欠陥(たとえば、高温ガス構成部品の非耐荷重部分の欠陥)であってよい。別の実施形態では、外部欠陥64は、ガスタービン構成部品62が外部欠陥64において最小許容機械的特性(たとえば、引張強度など)を有する場合があるような構造的欠陥であってよい。外部欠陥64は、ガスタービンシステム10の動作中に高温ガスと接触する可能性があるガスタービン構成部品62の表面68に配置されてよい。
【0018】
ガスタービン構成部品62は、鉄系マルテンサイトステンレス鋼、析出硬化ステンレス鋼、クロムモリブデン鋼、高合金鋼、工具鋼、非鉄合金(たとえば、アルミニウム、銅、真鍮、亜鉛、およびジルコニウム)、またはそれらの何らかの組合せなどの難溶接性(HTW)材料を含んでよい。さらに、HTW材料は、「ガンマプライム」強化相の割合が高い超合金(たとえば、ニッケル基超合金)であってよい。具体的には、HTW材料は、0.4と1.0との間のガンマプライム(γ’)を有してよい。いくつかの実施形態では、HTW材料は、0.6と0.9との間のガンマプライム(γ’)を有してよい。別の実施形態では、HTW材料は、0.7と0.8との間のガンマプライム(γ’)を有してよい。より高いガンマプライム(γ’)の割合は、HTW材料の耐酸化性および耐クリープ性を増加させることができ、その結果、HTW材料のガスタービン構成部品62は、ガスタービンシステム10の高熱環境で動作することができる。いくつかの実施形態では、HTW材料は、ハステロイ、インコネル、ワスパロイ、GTD、またはレネ合金などの超合金であってよい。具体的なHTW材料の例には、レネ108、レネN5、GTD444、およびGTD111が含まれる。いくつかの実施形態では、HTW材料は、超合金を強化するために、コバルト、鉄、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、バナジウム、およびチタンを含んでよい。
【0019】
別の実施形態では、HTW材料はニッケル基超合金であってよい。ニッケル基超合金は、固溶強化、析出強化、および特殊合金の3つのカテゴリに分類されてよい。Ni-Cu、Ni-Mo、Ni-Fe、Ni-Cr-Fe、Ni-Cr-Mo-W、Ni-Fe-Cr-Mo、Ni-Cr-Co-Moなどの固溶強化ニッケル基超合金(すなわち、インコネル625、インコネル617、ハイネス230など)は、一般にHTW材料とは見なされないが、析出強化および特殊ニッケル基超合金は、一般にHTW材料と見なされる。析出強化ニッケル基超合金は、適切な熱処理後にニッケルと強化析出物を形成するチタン、アルミニウム、および/またはニオブを含む。析出強化ニッケル基超合金のガンマプライム体積率は、10%未満(たとえば、ニモニック263)から85%超(たとえば、レネ195)までの範囲であってよい。析出強化ニッケル基超合金の場合、ガンマプライムが30%未満(たとえば、GTD222およびレネ41)である場合、それは、通常、優れた溶接性を示し、その結果、析出強化ニッケル基超合金はETW材料である。しかしながら、析出強化ニッケル基超合金のガンマプライムの体積が30%を超える(たとえば、レネ108、インコネル738、GTD111)場合、それは、通常、不十分な溶接性を示すので、析出強化ニッケル基超合金はHTW超合金である。したがって、高温ガス経路内のガスタービン構成部品62は、レネ108、インコネル738、GTD111などのHTW材料で作製されてよい。特殊合金は、一般に、ニッケルアルミニウム金属間化合物および酸化物分散強化合金を含む。特殊合金の例には、酸化物分散強化合金(たとえば、MS6000、MA754)、およびニッケルアルミナイド(たとえば、NiAlまたはNi3Alの化合物)が含まれる。特殊合金は、一般に高い強度および耐食性を有し、高温でのそれらの低い延性(たとえば、高温クリープ強度)のためにHTW材料と見なされる。したがって、ガスタービン構成部品62は、特殊合金から作製されてよい。
【0020】
上述されたように、外部欠陥64は、ガスタービンシステム10の動作中に高温ガスと接触する可能性があるガスタービン構成部品62の表面68に配置されてよい。ろう付け材料70は、ガスタービン構成部品62の外部欠陥64に塗布されてよい。図示された実施形態では、ろう付け材料70は、凹部66に(たとえば、凹部66の凹面72の上に)挿入されてよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、ろう付け材料は、突起物または他の欠落した特徴を生成して、材料の欠如によって引き起こされるガスタービン構成部品の欠陥を修理するために、ガスタービン構成部品62に配置されてよい。ろう付け材料70は、0.00254mmと1.524mmとの間(たとえば、.1ミルと60ミルとの間)の厚さ74を有するテープであってよい。ろう付け材料70のテープは、凹面72の50~100%、60~95%、および/または75~90%に配置されてよい。いくつかの実施形態では、ろう付け材料70は、凹部66内に少なくとも部分的に配置され得る、粉末、箔、またはプリフォームであってよい。ろう付け材料70は、ガスタービン構成部品62の表面68まで、またはそれを越えて凹部66を充填するように構成されてよい。いくつかの実施形態では、ろう付け材料70は、凹部66を部分的にのみ充填するように構成されてよい。
【0021】
さらに、プレート76は、ろう付け材料70が凹面72とプレートの内面78との間に配置されるように、凹部66およびろう付け材料70の上に配置されてよい。以下に説明されるように、ろう付け材料70を加熱し、外部欠陥64を有するガスタービン構成部品62とプレート76を接合するために、プレート76の外面96に熱が加えられてよい。いくつかの実施形態では、プレートの外面96に充填材料を塗布することにより、プレート76の外面96に熱が加えられてよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、プレート76は凹部66を完全に覆うように構成される。したがって、プレートの内面78は、凹部66に広がる領域よりも大きい表面積を有してよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、外部欠陥64は不均一な形状を有する場合がある。したがって、プレート76の寸法は、プレートの内面78が凹部66を完全に覆うように構成されてよい。たとえば、プレート76は長方形の形状を有してよい。プレート76の長さ80は、凹部をわたる端から端までの最長距離82よりも長くてよく、プレートの幅は、凹部をわたる端から端までの最長距離に直交する方向における凹部をわたる最長距離よりも長くてよい。したがって、プレート76は、不均一な形状を有する凹部66を完全に覆うことができる。プレート76は、凹部66を覆うのに適した任意の形状を有してよい。いくつかの実施形態では、プレート76は、凹部66の形状に基づく形状を有するように形成されてよい。すなわち、プレート76は凹部66と相補的な形状で形成されてよい。さらに、プレート76は、ろう付け材料70を完全に覆うことができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、プレート76は、プレート76が余剰部分84(たとえば、凹部66を越えて延在するプレートの一部)を有するように、凹部66よりも所定量だけ大きくなるように構成されてよい。いくつかの実施形態では、プレート76は、凹部66の周囲に沿って少なくとも最小量の余剰部分84を有するように構成されてよい。たとえば、プレート76は、凹部66を越えて少なくとも1~10mm、1~5mm、または1~3mm延在してよい。いくつかの実施形態では、余剰部分84は、凹部66およびろう付け材料70の両方を越えて延在する。プレート76の余剰部分84は、それぞれ溶接を開始または停止するための溶接ランオンタブまたは溶接ランオフタブとして使用されてよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、プレートの内面78の一部は、ガスタービン構成部品62の外面86に接触することができる。別の実施形態では、(すなわち、ろう付け材料を溶融するために充填材料の塗布の前または後に)ろう付け材料70の厚さ74は凹部66の深さ88よりも大きくてよく、その結果、プレート76を凹部66の上方に配置する際に、プレート76の一部はろう付け材料70の上に載り、ガスタービン構成部品62の外面86に接触しなくてよい。ろう付け材料70の表面90が不均一である場合、プレート76は、凹部66および/またはろう付け材料70に対してシフトする可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、シフトを防止するために、プレート76は、充填材料を外面96に塗布する前にガスタービン構成部品に固定されてよい。
【0025】
プレート76は、溶接しやすい(ETW)材料を含んでよい。ETW材料は、鋼、ステンレス鋼、ニッケル基超合金、コバルト基超合金、または別の適切な金属材料を含んでよいが、それらに限定されない。具体的なETW材料の例には、インコネル625、インコネル617、ハイネス230などの固溶強化合金、およびGTD222、GTD262、GTD292、レネ41などの析出強化合金が含まれる。いくつかの実施形態では、析出強化合金カテゴリ内のETW合金は、40%未満のガンマプライム(γ’)を有する。別の実施形態では、ETWは20%未満のガンマプライム(γ’)を有する。
【0026】
図3は、ガスタービン構成部品62およびプレート76の一実施形態の上面図である。充填材料は、ろう付け材料を加熱し、外部欠陥を有するガスタービン構成部品62とプレート76を接合するために、溶接経路110に沿ってプレート76の外面96に塗布されてよい。溶接経路110は、平行な溶接ビーズとして塗布されるように充填材料を導くことができる。いくつかの実施形態では、溶接経路110は、溶接ビーズがプレート76の外面96上で重なり合うか分離するように塗布されるように充填材料を導くことができる。溶接経路110は、様々なパターンで塗布されるように充填材料を導くことができる。充填材料は、凹部66の上方に配置されたプレート76の一部に塗布されてよい。いくつかの実施形態では、充填材料は、凹部66の上方に配置されたプレート76の一部とプレート76の余剰部分84の両方に塗布される。別の実施形態では、充填材料は、ろう付け材料の上方に配置されたプレート76の一部にのみ塗布される。
【0027】
いくつかの実施形態では、プレート76およびガスタービン構成部品62は、充填材料を外面96に塗布する前に互いに固定される。プレート76およびガスタービン構成部品62は、プレート76およびろう付け材料をガスタービン構成部品62に固定するための少なくとも1つの溶接、接着剤、クランプ装置、または他の適切な機構を介して、位置92で互いに固定されてよい。いくつかの実施形態では、プレート76およびタービン構成部品62は、融合プロセスおよび/または抵抗溶接プロセスを使用して互いに固定されてよい。溶接プロセスは、位置92で構成部品を一緒に溶接することができる。しかしながら、別の実施形態では、溶接プロセスは、位置92において、プレート76とガスタービン構成部品62との間に配置されたろう付け材料を溶融して、プレート76をガスタービン構成部品62に固定するように構成される。プレート76は、溶接92が凹部66の上方に塗布されないように、ガスタービン構成部品62の外面86に固定されてよい。プレート76およびガスタービン構成部品62を一緒に固定することにより、シフトおよび回転を減少させることができ、ならびに少なくともプレート76とろう付け材料70との間の熱伝導を増加させることができる。
【0028】
図4は、ろう付け材料70を加熱し、外部欠陥を有するガスタービン構成部品62とプレート76を接合するために、プレート76の外面96に塗布される充填材料94の一実施形態の断面図である。プレート76は、ろう付け材料70が凹面72とプレート76の内面78との間に配置されるように、凹部66およびろう付け材料70の上に配置される。プレート76の内面78の少なくとも第1の部分はろう付け材料70と接触しており、ろう付け材料70は凹部66の凹面72と接触している。
【0029】
充填材料94は、プレート76の外面96に塗布されてよい。充填材料94をプレート76に塗布すると、プレート76が加熱され、プレート76はろう付け材料70を加熱する。充填材料94の配置は、外部欠陥64のサイズ(たとえば、凹部66の深さ88および幅)に依存してよい。たとえば、凹部66は、浅い端部と深い端部とを有する長く狭い溝であってよい。そのため、より多くのろう付け材料70が深い端部に塗布されてよい。したがって、深い端部の上方のプレート76には、浅い端部の上方のプレート76よりも多くの充填材料94が塗布されて、深い端部と浅い端部の両方でろう付け材料70を溶融することができる。
【0030】
充填材料94は、溶接プロセスを介してプレート76の外面96に塗布されてよい。溶接プロセスは、タングステン不活性ガス(TIG)、金属不活性ガス(MIG)、スティック、レーザ、電子ビーム(EB)、プラズマ、有芯アーク溶接(FCAW)、レーザビーム(LB)融合溶接、別のタイプの適切な溶接プロセス、またはそれらの何らかの組合せであってよい。酸化を防止するために、充填材料94の塗布中にシールドガスが使用されてよい。充填材料94をプレート76の外面96に塗布すると、プレート76が加熱される。充填材料94の塗布およびプレート76の厚さ112は、ろう付け温度までろう付け材料70を加熱するように構成される。プレート76はろう付け材料70と充填材料94との間に配置されるが、充填材料94は、プレート76への塗布の前または間に加熱されてよい。充填材料94からの熱は、充填材料94から、プレート76を通って、ろう付け材料70に伝導されてよい。プレート76の厚さ112は、ろう付け材料の加熱に影響を及ぼす可能性がある(たとえば、プレート76の厚さ112が厚すぎる場合、ろう付け材料70は溶融しない可能性がある)。プレート76の厚さ112は、0.1mmから10mmの間であってよい。さらに、充填材料94からの熱は、ろう付け材料70に放射されてよい。
【0031】
伝導および/または放射を介して充填材料94からろう付け材料70に伝達される熱は、ろう付け材料70を液化(たとえば、溶融)するのに十分であり得る。プレートの外面に塗布される充填材料は、摂氏1648度(華氏3000度)の温度を有してよい。プレート76は、プレート76とろう付け材料70との間の界面98の温度がろう付け材料の液相温度を超える温度を有するように加熱されてよい。いくつかの実施形態では、ろう付け材料70は、摂氏982度と1287度との間(華氏1800度と2350度との間)の液相温度を有する。したがって、プレート76を介して充填材料94からろう付け材料70に伝達された熱は、ろう付け材料70が溶融するように、界面98で摂氏1287度を超える温度にプレート76を加熱することができる。充填材料94が冷却し、ろう付け材料70の温度がろう付け材料70の液相温度を下回った後、ろう付け材料70は凝固する。ろう付け材料70を液相温度よりも高く加熱し、次いでろう付け材料70を液相温度よりも低く冷却することは、ろう付け材料70のための接合プロセスをトリガするように構成される。接合プロセスは、ろう付け材料70の液化および再凝固中にガスタービン構成部品62およびプレート76とろう付け材料70が接合することを含む。
【0032】
ろう付け材料70は、充填材料94をプレート76に塗布することによって間接的に加熱され、それにより、ガスタービン構成部品62を炉(たとえば、真空炉)に入れることなく、プレート76がガスタービン構成部品62とろう付けされることが可能になる。ろう付けは、通常、真空炉を使用して酸化を形成することなくろう付けプロセスを実行するが、本明細書に開示された接合プロセスは真空炉を使用しない。プレート76は、凹部66およびろう付け材料70を覆うように構成され、接合プロセス中、ろう付け材料70は、酸化が起こらないようにプレート76と凹部66との間で液化するように構成される。したがって、接合プロセスは、炉またはガスフレームトーチなどの特殊なろう付け機器なしに遂行されてよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、プレート76の外面96への充填材料94の塗布は、熱しきい値を超えてガスタービン構成部品62を加熱することなく、ろう付け温度までろう付け材料70を加熱するように構成される。熱しきい値は、ガスタービン構成部品62の材料特性に依存する場合がある。熱しきい値は、ガスタービン構成部品62が熱処理されずにその意図された用途に適さない程度まで材料の微細構造を変更する前に、ガスタービン構成部品62の材料が加熱され得る最大温度であってよい。ガスタービン構成部品62の温度が熱しきい値を超えた場合、ガスタービン構成部品62の熱処理は、ガスタービン構成部品62の材料をその意図された用途のために所望の微細構造に回復させることができるが、熱処理は時間と費用がかかる可能性がある。
【0034】
いくつかの実施形態では、充填材料94の一部は、接合プロセスが完了した後に除去される。たとえば、充填材料94は、ライン100の上方で除去されてよい。除去される充填材料94の一部は、プレート76の外面96に塗布された充填材料94の50%以上であってよい。充填材料94の表面102は、凸凹であっても不均一であってもよい。充填材料をライン100に機械加工することにより、充填材料94の表面を平滑化することができる。充填材料をライン100に機械加工することにより、亀裂または他の欠陥を除去することもでき、これにより亀裂伝播を防止することができる。いくつかの実施形態では、充填材料94が除去され、プレート76の一部が、ライン104へのプレートの機械加工によって除去される。いくつかの実施形態では、充填材料94、プレート76、および/またはろう付け材料70は、ガスタービン構成部品62の外面86と同じ高さになるように、かつガスタービン構成部品62を製造寸法に戻すように機械加工されてよい。すなわち、ライン100またはライン104は、外面86と同じ高さ(たとえば、同一平面上)であってよい。いくつかの実施形態では、充填材料94および/またはプレート76の一部は、ガスタービン構成部品の縁部108を越えて延在してよい。ガスタービン構成部品62の縁部108を越えて延在する充填材料94および/またはプレート76の一部は、ライン106への機械加工によって除去されてよい。
【0035】
充填材料94は、ETW材料、HTW材料、またはそれらの何らかの組合せのいずれかを含んでよい。いくつかの実施形態では、充填材料94が機械加工プロセスを介して塗布後に除去されるように構成されているとき、充填材料94はETW材料である。HTW材料は好ましい機械的特性を有する場合があるが、ETW充填材料は、HTW充填材料よりもプレート76に塗布することが容易および/または安価であり得る。さらに、ETW充填材料は、HTW充填材料よりも欠陥のない溶接を得ることが容易であり得る。したがって、HTW材料の好ましい機械的特性は、充填材料94を除去する際の困難さを増大させるだけであり得るので、充填材料94が完全に除去されるように構成されているときにETW材料が使用されてよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、充填材料94の一部が機械加工後にガスタービン構成部品62上に残るように構成されているときに、充填材料94はETW材料を含んでよい。他の実施形態では、充填材料94の耐酸化性、温度腐食性、耐クリープ性、および/または機械的強度を高めるために、充填材料94の少なくとも一部が機械加工後にガスタービン構成部品62上に残るように構成されているとき、充填材料94はHTW材料を含んでよい。
【0036】
図5は、
図2~
図4に関して上述された溶接ろう付けを実行するのに適した方法110の一実施形態を示す。方法は、ガスタービン構成部品の凹部の凹面にろう付け材料を配置すること(ブロック112)を含む。ろう付け材料は、粉末、箔、テープ、またはプリフォームであってよい。たとえば、オペレータは、粉末ろう付け材料で凹部を充填することができる。オペレータは、凹部を部分的に充填することができる。しかしながら、オペレータは、ろう付け材料で凹部を完全に充填または過剰充填することができる。いくつかの実施形態では、オペレータは、凹面に加えてガスタービン構成部品の外面にろう付け材料を配置することができる。
【0037】
方法はまた、プレートの内面がろう付け材料に近接するように、ろう付け材料にプレートを配置すること(ブロック114)を含む。プレートは、凹部の上方に配置されてよい。いくつかの実施形態では、プレートは、ろう付け材料が凹面とプレートとの間に配置されるように、部分的に凹部内に、かつろう付け材料の上方に配置される。別の実施形態では、プレートは完全に凹部内に配置される。プレートは、プレートが凹部に広がるように、凹部の開口部と実質的に同じサイズであってよい。いくつかの実施形態では、方法は、充填材料を加熱して充填材料を塗布する前に、プレートに仮付け溶接を施すステップ(ブロック116)を含む。仮付け溶接は、後述されるように充填材料を塗布しながらプレートを所定の位置に保持するように構成されてよい。
【0038】
上述されたように、プレートは内面の反対側の外面を有する。方法は、充填材料をプレートの外面に塗布するために充填材料を加熱すること(ブロック118)をさらに含む。塗布された充填材料からの熱は、プレートおよびろう付け材料を加熱するように構成される。その上、方法は、充填材料を塗布することから発する熱を介して、ガスタービン構成部品の凹面をろう付け材料でプレートの内面に接合すること(ブロック120)を含む。充填材料からの熱は、ろう付け材料が溶融するようにろう付け材料の液相温度を超える温度までろう付け材料を加熱するために、プレートを通って伝達されてよい。充填材料から加えられた熱が放散すると、ろう付け材料は冷えて凝固する。ろう付け材料が凹面とプレートの両方と接触している間に、ろう付け材料を溶融し、次いで凝固させることにより、ろう付け材料を凹面とプレートの両方に接合(ブロック120)させることができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、方法は、充填材料、プレート、ろう付け材料、またはそれらの何らかの組合せの一部を除去するために、ガスタービン構成部品を機械加工すること(ブロック122)をさらに含む。しかしながら、方法は、炉、真空炉などでガスタービン構成部品および/またはろう付け材料を熱処理するステップを含まない。
【0040】
本明細書に開示された溶接ろう付け技法の技術的効果は、従来のろう付けプロセスのステップを排除することによって低コストでより迅速な修理を可能にすること、ならびに難溶接性材料を有する耐荷重部品の改善された修理を提供することを含む。
【0041】
本明細書は、例を使用して、最良の形態を含む本開示の実施形態を開示し、また、いかなる当業者も、任意の装置またはシステムを作製および使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含む、本開示の実施形態を実践することを可能にする。本開示の特許可能な範囲は特許請求の範囲によって規定され、当業者が思い付く他の例を含んでよい。そのような他の例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言との実質的な違いがない均等な構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にある。
【符号の説明】
【0042】
10 ガスタービンシステム
12 燃料ノズル
14 コンプレッサ
16 燃焼器
18 吸気部、吸気口
20 段
22 段
24 段
26 静止羽根、静止ノズル
28 ブレード
30 回転ホイール
32 シャフト
34 タービン
36 ディフューザ、ディフューザ部
38 タービンノズル
40 段
42 段
44 段
46 タービンブレード、バケット
48 ロータホイール、流れ方向
50 ロータホイール
52 ロータホイール
54 シャフト
56 ライナ
60 排気部
62 ガスタービン構成部品
64 外部欠陥
66 凹部
68 表面
70 ろう付け材料
72 凹面
74 厚さ
76 プレート
78 内面
80 長さ
82 凹部をわたる端から端までの最長距離
84 余剰部分
86 外面
88 深さ
90 表面
92 溶接、位置
94 充填材料
96 外面
98 界面
100 ライン
102 表面
104 ライン
106 ライン
108 縁部
110 溶接経路、方法
112 厚さ
【国際調査報告】