(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-09
(54)【発明の名称】3-ブロモ-5-(2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニル)-2-ヒドロキシベンゾニトリルの合成
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20220302BHJP
【FI】
C07D471/04 108A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541467
(86)(22)【出願日】2020-01-17
(85)【翻訳文提出日】2021-08-18
(86)【国際出願番号】 CN2020072582
(87)【国際公開番号】W WO2020147803
(87)【国際公開日】2020-07-23
(31)【優先権主張番号】201910057056.3
(32)【優先日】2019-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010037085.6
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517390926
【氏名又は名称】江▲蘇▼新元素医▲薬▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU ATOM BIOSCIENCE AND PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】史▲東▼方
(72)【発明者】
【氏名】傅▲長▼金
(72)【発明者】
【氏名】▲顧▼杰
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼敏
(72)【発明者】
【氏名】▲ゴン▼▲維▼▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】李▲鵬▼▲飛▼
【テーマコード(参考)】
4C065
【Fターム(参考)】
4C065AA03
4C065BB06
4C065CC01
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH01
4C065JJ01
4C065KK04
4C065LL01
4C065PP03
4C065QQ02
(57)【要約】
本発明は、3-ブロモ-5-(2ーエチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニル)-2-ヒドロキシベンゾニトリルの合成方法を提供している。具体的には、下記のステップA及びステップBに関する:ステップA:一般式(I)で表される化合物と一般式(II)で表される化合物を、有機溶媒中で加熱により反応させ、さらに、得られた反応生成物とアルカリを、水が存在する条件で加熱により続けて反応させ、一般式(III)で表される化合物を得る。ステップB:一般式(I)で表される化合物、一般式(II)で表される化合物及びアルカリを、有機溶媒中で加熱により反応し、さらに、得られた反応生成物は、水が存在する条件で加熱により続けて反応し、一般式(III)で表される化合物を得る。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程A又は工程Bを含むことを特徴とする、一般式(III)で表される化合物の合成方法:
【化1】
工程A:有機溶媒中で加熱することにより、一般式(I)で表される化合物と一般式(II)で表される化合物とを反応させ、更に、得られた反応生成物とアルカリとを、水が存在する条件で加熱を続けることにより反応させ、一般式(III)で表される化合物を得る;
工程B:有機溶媒中で加熱することにより、一般式(I)で表される化合物、一般式(II)で表される化合物、及びアルカリを反応させ、更に、得られた反応生成物を、水が存在する条件で加熱を続けることにより反応させ、一般式(III)で表される化合物を得る;
【化2】
(式中、R
1がH又はC
1-3アルキル基であり、R
2がH、-CN、I又はBrであり、R
3がH、I又はBrであり、R
4がCl、Br又はIである。)。
【請求項2】
前記一般式(I)で表される化合物と一般式(II)で表される化合物との反応温度は、75~150℃、好ましくは77~100℃であり、
前記続けて反応の温度は、50~100℃、好ましくは60~100℃であることを特徴とする、請求項1に記載の合成方法。
【請求項3】
前記有機溶媒は、トルエン、キシレン、NMP、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、イソプロパノール、エタノール、tert-ブタノール、アセトニトリル又はDMFから選択され、好ましくは酢酸エチルであることを特徴とする、請求項1に記載の合成方法。
【請求項4】
前記アルカリは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムから選択され、好ましくは炭酸水素ナトリウムであり、
工程Aにおいて、アルカリの配合量は、続けて反応する反応液のpH値が4~7となる量であり、
工程Bにおいて、アルカリの配合量は、一般式(II)で表される化合物のモル量の0.1~2.5倍、好ましくは0.5~2.5倍であることを特徴とする、請求項1に記載の合成方法。
【請求項5】
(1)アシル化試薬により2-アミノピリジンのアシル化反応を行って化合物1を得る、
(2)4-メトキシアセトフェノンに2回のハロゲン化反応を行って化合物VIを得る、
(3)化合物VIと化合物1とを先に有機溶媒中で加熱により反応させ、更に、得られた生成物とアルカリとを、水が存在する条件で加熱により続けて反応させ、化合物VIIを得る、又は、化合物VI、化合物1及びアルカリを先に有機溶媒中で加熱により反応させ、更に、得られた生成物を、水が存在する条件で加熱により続けて反応させ、化合物VIIを得る、
(4)化合物VIIとシアン化合物とを反応させて化合物5を生成する、
(5)化合物5に脱メチル反応を行って化合物6を得た後、臭素化反応を行って化合物7を得る、
という工程を含むことを特徴とする、3-ブロモ-5-(2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニル)-2-ヒドロキシベンゾニトリルの合成方法:
【化3】
(式中、R
5がI又はBrであり、R
6がCl、Br又はIである。)。
【請求項6】
工程(1)において、2-アミノピリジンとアシル化試薬とを、酸結合剤の作用でアシル化反応を行うことにより、化合物1を得て、
前記アシル化試薬は、無水プロピオン酸又はプロピオニルクロリドから選択され、
前記酸結合剤は、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、N-メチルピペリジン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムから選択され、
前記反応の温度は20~45℃であり、
反応の溶媒は、ジクロロメタン、THF又はアセトニトリルであることを特徴とする、請求項5に記載の合成方法。
【請求項7】
工程(2)において、4-メトキシアセトフェノンとヨウ素化試薬又は臭素化試薬とを、酸性の条件で5~25℃でハロゲン化反応を行い、化合物Vを得て、更に酸性又は非酸性の条件で、塩素化試薬、ヨウ素化試薬又は臭素化試薬と5~60℃でハロゲン化反応を行い、化合物VIを得て、
前記塩素化試薬は、塩素ガス、NCS、塩化アンモニウム、塩化水素或塩化スルフリルから選ばれるものであり、前記ヨウ素化試薬は、ヨウ素、NIS、ヨウ化ナトリウム又はヨウ化カリウムから選択され、
前記臭素化試薬は、NBS、臭素、又はジブロモヒダントインから選択され、
前記酸性の条件における酸は、酢酸、pートルエンスルホン酸、硫酸、メタンスルホン酸から選択され、
前記反応の溶媒は、水、メタノール、THF、アセトニトリル、酢酸、プロピオン酸、メチル-tert-ブチルエーテルから選ばれる一種又は多種であり、
好ましくは、第1回のハロゲン化反応の溶媒は、水、メタノール、アセトニトリル又はこれらの両者又は三者の混合溶媒から選択され、第2回のハロゲン化反応の溶媒は、メチル-tert-ブチルエーテル、酢酸、プロピオン酸、アセトン、酢酸エチル又はクロロホルムから選択されることを特徴とする、請求項5に記載の合成方法。
【請求項8】
工程(3)において、化合物VIと化合物1との反応の温度は75~150℃であり、好ましくは77~100℃であり、
前記続けて反応の温度は、50~100℃であり、好ましくは60~100℃であり、
前記有機溶媒は、トルエン、キシレン、NMP、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、イソプロパノール、エタノール、tert-ブタノール、アセトニトリル又はDMFから選択され、
前記アルカリは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムから選択されることを特徴とする、請求項5に記載の合成方法。
【請求項9】
工程(4)において、前記シアン化合物は、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化銅(I)、シアン化亜鉛から選ばれる一種又は多種であり、好ましくはシアン化銅(I)であり、
反応の溶媒は、NMP、DMF又はDMAから選択され、反応の温度は120~200℃であり、好ましくは140~160であり、
工程(5)において、脱メチル試薬は、BBr
3、ナトリウムエタンチオラート又は臭化リチウムから選択され、脱メチル反応の温度は-50~150℃であり、臭素化反応の臭素源は、NBS、ジブロモヒダントイン又は臭素から選択され、臭素化反応の温度は20~45℃であり、脱メチル反応又は臭素化反応における反応の溶媒は、ジクロロメタン、酢酸、DMF、NMP及び水から選択される一種又は多種であることを特徴とする、請求項5に記載の合成方法。
【請求項10】
(1)4-メトキシアセトフェノンとヨウ素化試薬又は臭素化試薬とを反応させて化合物IVを得る、
(2)化合物IVとシアン化合物とを反応させて化合物9を生成する、
(3)化合物9にハロゲン化反応を行うことにより、化合物VIIIを得る、
(4)化合物VIIIと化合物1を、先に有機溶媒中で加熱により反応させ、更に、得られた生成物とアルカリとを、水が存在する条件で加熱により続けて反応させ、化合物5を得る、又は、化合物VIII、化合物1及びアルカリを、先に有機溶媒中で加熱により反応させ、更に、得られた生成物を、水が存在する条件で加熱により続けて反応させ、化合物5を得る、
(5)化合物5に脱メチル反応を行って化合物6を得た後、臭素化反応を行って化合物7を得る、
という工程を含むことを特徴とする、3-ブロモ-5-(2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニル)-2-ヒドロキシベンゾニトリルの合成方法:
【化4】
(式中、R
7がI又はBrであり、R
8がCl、Br又はIである。)。
【請求項11】
工程(1)において、前記ヨウ素化試薬は、ヨウ素又はNISから選択され、前記臭素化試薬は、NBS、臭素、又はジブロモヒダントインから選択され、
工程(2)において、前記シアン化合物は、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化銅(I)又はシアン化亜鉛から選ばれる一種又は多種であり、好ましくはシアン化銅(I)であり、反応の溶媒はNMP、DMF又はDMAから選択され、好ましくはNMPであり、反応の温度は120~200℃であり、
工程(3)において、化合物9とハロゲン化試薬でハロゲン化反応を行い、前記ハロゲン化試薬は、塩素ガス、NCS、塩化アンモニウム、塩化水素、塩化スルフリル、ヨウ素、NIS、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、NBS、臭素又はジブロモヒダントインから選択されることを特徴とする、請求項10に記載の合成方法。
【請求項12】
工程(4)において、化合物VIIIと化合物1との反応温度は75~150℃であり、好ましくは77~100℃であり、前記続けて反応の温度は、50~100℃であり、好ましくは60~100℃であり、
前記有機溶媒は、トルエン、キシレン、NMP、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、イソプロパノール、エタノール、tert-ブタノール、アセトニトリル又はDMFから選択され、
前記アルカリは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムから選択されることを特徴とする、請求項10に記載の合成方法。
【請求項13】
工程(5)において、脱メチル反応で脱メチル試薬を使用し、前記脱メチル試薬は、BBr
3、ナトリウムエタンチオラート又は臭化リチウムから選択され、脱メチル反応の温度は-50~150℃であり、臭素化反応の臭素源は、NBS、ジブロモヒダントイン又は臭素から選択され、臭素化反応の温度は20~45℃であり、脱メチル反応又は臭素化反応における反応の溶媒は、ジクロロメタン、酢酸、DMF、NMP及び水から選ばれる一種又は多種であることを特徴とする、請求項10に記載の合成方法。
【請求項14】
(1)化合物9に脱メチル反応を行って化合物11を得る、
(2)化合物11に臭素化反応を行うことにより化合物12を得て、更にハロゲン化反応を行うことにより化合物IXを得る、
(3)化合物IXと化合物1とを先に有機溶媒中で加熱により反応させ、更に、得られた生成物とアルカリとを、水が存在する条件で加熱により続けて反応させ、化合物7を得る、又は、化合物IX、化合物1及びアルカリを、先に有機溶媒中で加熱により反応させ、更に、得られた生成物を、水が存在する条件で加熱により続けて反応させ、化合物7を得る、
という工程を含むことを特徴とする、3-ブロモ-5-(2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニル)-2-ヒドロキシベンゾニトリルの合成方法:
【化5】
(式中、R
9がCl、Br又はIである。)。
【請求項15】
工程(1)において、脱メチル反応における脱メチル試薬は、BBr
3、ナトリウムエタンチオラート又は臭化リチウムから選択され、
工程(2)において、臭素化反応における臭素化試薬はNBS、ジブロモヒダントイン又は臭素であり、好ましくは、臭素化反応でNBSを使用することであり、溶媒はDMFが選択され、
工程(2)におけるハロゲン化反応は、ハロゲン化試薬の存在下で行われ、
前記ハロゲン化試薬は、塩素ガス、NCS、塩化アンモニウム、塩化水素、塩化スルフリル、ヨウ素、NIS、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、NBS、臭素又はジブロモヒダントインから選択され、
ハロゲン化反応の溶媒は、アセトニトリル、メタノール、酢酸、プロピオン酸、クロロホルム又は酢酸エチルから選択されることを特徴とする、請求項14に記載の合成方法。
【請求項16】
工程(3)において、化合物IXと化合物1との反応の温度は75~150℃であり、好ましくは77~100℃であり、
前記続けて反応の温度は、50~100℃であり、好ましくは60~100℃であり、
前記有機溶媒は、トルエン、キシレン、NMP、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、イソプロパノール、エタノール、tert-ブタノール、アセトニトリル又はDMFから選択され、
前記アルカリは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムから選択されることを特徴とする、請求項14に記載の合成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品化学の分野に属し、具体的には、化合物3-ブロモ-5-(2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニル)-2-ヒドロキシベンゾニトリルの合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
痛風(Gout)は、人体のプリン代謝障害及び/又は尿酸排泄障害による高尿酸血症によって引き起こされた慢性代謝性疾患であり、尿酸塩の関節などの部位での沈着による激しい痛みが主な特徴である。体内の血清尿酸レベルが6.8mg/dLを超える場合、尿酸塩は、人体組織の滑液、周辺関節の軟骨、耳の耳介、肘頭滑液包などに尿酸一ナトリウム塩として沈着されるようになる。このような症状がある場合、痛風と診断することができる。URAT1は、尿酸が細胞から腎細管の内腔へ再吸収される過程に重要な役割を果たし、人体内の重要な尿酸再吸収タンパク質であり、糸球濾過後の尿酸の再吸収の約90%以上を制御している。このため、URAT1の輸送作用を抑制すると、尿酸の再吸収を減らし、腎臓での尿酸の排泄を促進させ、体内の血中尿酸レベルを下げる効果を達成することができる。3-ブロモ-5-(2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニル)-2-ヒドロキシベンゾニトリルは、URAT1の尿酸輸送能力を抑制すると共に体内での尿酸排泄を大幅に増やすことができ、そして正常な肝細胞への毒性を減らすことができる候補医薬品であり、高尿酸血症、腎臓病又は痛風を予防又は治療するために用いられている。
【0003】
現在、3-ブロモ-5-(2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニル)-2-ヒドロキシベンゾニトリルは、まだ臨床試験の段階にあり、大規模な生産には至らなかった。既存の技術(特許文献1)では、選択したフッ素及びヨウ素によりベンゼン環上でヨード化反応させ、さらにヨウ素のシアノ化を行い、シアノ化後のブロモアセトフェノンをN-(ピリジン-2-イル)プロピオン酸アミドと閉環反応させる。当該経路では、閉環反応が単一溶媒中での加熱反応であるため、反応が不完全であり、反応の変換率が高くなく、精製が非常に困難で、分離の収率も低く、工業の生産に不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許公開第201610810990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、先行技術の欠陥に対して、(2-エチルイミダゾピリジン-3-イル)(フェニル)ケトン類化合物を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、既存の技術における反応条件が厳しく、収率が低く、合成経路が未熟などの問題に対して、3-ブロモ-5-(2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニル)-2-ヒドロキシベンゾニトリルの合成方法を提供し、当該方法は操作が簡単で、条件が温和で、収率が高く、工業生産に有利である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、下記の手段によって達成できるものである。
【0008】
以下の工程A又は工程Bを含むことを特徴とする、一般式(III)で表される化合物の合成方法:
工程A:有機溶媒中で加熱することにより、一般式(I)で表される化合物と一般式(II)で表される化合物とを反応させ、更に、得られた反応生成物とアルカリとを、水が存在する条件で加熱を続けることにより反応させ、一般式(III)で表される化合物を得る、
工程B:有機溶媒中で加熱することにより、一般式(I)で表される化合物、一般式(II)で表される化合物、及びアルカリを反応させ、更に、得られた反応生成物を、水が存在する条件で加熱を続けることにより反応させ、一般式(III)で表される化合物を得る;
【化1】
(式中、R
1がHまたはC
1-3アルキル基であり、R
2がH、-CN、IまたはBrであり、R
3がH、IまたはBrであり、R
4がCl、BrまたはIである。)。
【0009】
一般式(III)で表される化合物を合成するための反応は、二つの段階に分け、まず、二つの基質を有機溶媒中で加熱により一定時間反応させた後、水が存在する条件でそれらを加熱し続け反応させる。第1段階及び/または第2段階でアルカリを加える。このようなアルカリの添加及び二段階の反応を採用することにより、反応で生成された中間生成物から目標生成物への変換を大幅に促進し、副生成物の生成を低減及び回避し、そして目標生成物の収率を大幅に増加させることができることを発見した。
【0010】
ステップBの第1段階でアルカリを加えることが必要であり、第2段階で続けてアルカリを加えてもよいし、アルカリを加えなくてもよく、このような二つの形態はいずれも本願の請求の範囲に含まれている。
【0011】
一般式(III)で表される化合物の合成において、一般式(I)で表される化合物と一般式(II)で表される化合物との反応温度は、75~150℃であり、好ましくは77~100℃である。続けて反応の温度は、50~100℃であり、好ましくは60~100℃である。
【0012】
一般式(III)で表される化合物の合成において、有機溶媒は、トルエン、キシレン、NMP、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、イソプロパノール、エタノール、tert-ブタノール、アセトニトリルまたはDMFから選択され、好ましくは酢酸エチルである。
【0013】
一般式(III)で表される化合物の合成において、アルカリは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムから選択され、好ましくは炭酸水素ナトリウムである。
【0014】
一般式(III)で表される化合物の合成において、工程Aでは、アルカリの配合量は、続けて反応する反応液のpH値が4~7となるような量であり、工程Bでは、アルカリの配合量は、一般式(II)で表される化合物のモル量の0.1~2.5倍、好ましくは0.5~2.5倍、より好ましくは0.6~1.5倍、さらに好ましくは0.8~1.2倍である。
【0015】
本発明は、3-ブロモ-5-(2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニル)-2-ヒドロキシベンゾニトリルの三つの合成経路を提供している。
【0016】
経路一、3-ブロモ-5-(2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニル)-2-ヒドロキシベンゾニトリルの合成は、下記の工程を含む:
(1)アシル化試薬により2-アミノピリジンのアシル化反応を行って化合物1を得る、
(2)4-メトキシアセトフェノンに2回のハロゲン化反応を行って化合物VIを得る、
(3)化合物VIと化合物1とを先に有機溶媒中で加熱により反応させ、更に、得られた生成物とアルカリとを、水が存在する条件で加熱により続けて反応させ、化合物VIIを得る、又は、化合物VI、化合物1及びアルカリを先に有機溶媒中で加熱により反応させ、更に、得られた生成物を、水が存在する条件で加熱により続けて反応させ、化合物VIIを得る、
(4)化合物VIIとシアン化合物とを反応させて化合物5を生成する、
(5)化合物5に脱メチル反応を行って化合物6を得た後、臭素化反応を行って化合物7を得る。
【0017】
【化2】
(式中、R
5がIまたはBrであり、R
6がCl、BrまたはIである。)
【0018】
以下、経路一の各工程を詳しく説明する。
【0019】
工程(1):2-アミノピリジンと無水プロピオン酸とでアシル化反応を行うことにより、対応するアミド(化合物1)を得る。2-アミノピリジンとアシル化試薬について、酸結合剤の作用でアシル化反応を行うことにより、化合物1を得る。このアシル化反応において、アシル化試薬は、無水プロピオン酸又はプロピオニルクロリドを使用すればよく、酸結合剤は、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、N-メチルピペリジン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリを使用すればよく、反応の溶媒は、ジクロロメタン、THF、アセトニトリルなどの溶媒を使用すればよい。試験によって、プロピオニルクロリドを使用する場合、ジアシル化の副生成物を部分的に生成したが、無水プロピオン酸を使用する場合、ほとんど定量的に変換できることを発見した。この反応において、酸結合剤としてトリエチルアミンを使用する場合、2-アミノピリジンと無水プロピオン酸とのモル比は1.0:1.0~2.0であればよく、好ましいモル比は1.0:1.1~1.4である。その反応温度は20~45℃である。他の工程と異なり、本方法における工程(1)と工程(2)との間には、特定の順序はない。具体的な実施において、先に工程(1)を実施し化合物1を製造してもよいし、先に工程(2)を実施し化合物VIを製造してもよいし、又は工程(1)と工程(2)とを同時に実施してもよい。
【0020】
工程(2):4-メトキシアセトフェノンについて、2回ハロゲン化反応を行うことにより、置換されたα-ハロアセトフェノン(化合物VI)を得た。まず、酸性の条件で、4-メトキシアセトフェノンについて、ベンゼン環上でハロゲン化反応を行い、次に、ケトンのα位置の水素原子が置換され、α-ハロアセトフェノンを生成した。このステップにおけるハロゲン化は、ハロゲン化試薬が存在する条件で行われる。ハロゲン化試薬では、塩素化試薬、ヨウ素化試薬または臭素化試薬が含まれる。
【0021】
1つの好ましい方式では、工程(2)として、酸性の条件下、5~25℃で、4-メトキシアセトフェノンとヨウ素化試薬又は臭素化試薬とでハロゲン化反応を行い、化合物Vを得た。更に、酸性又は非酸性の条件下、塩素化試薬、5~60℃で、ヨウ素化試薬又は臭素化試薬とハロゲン化反応を行い、化合VIを得る。第2工程のハロゲン化反応において、異なる試薬を使用する場合、異なる反応温度を使用すればよい。例えば、ヨウ素化試薬又は臭素化試薬を使用する場合、第2工程のハロゲン化反応の温度を30~60℃に制御すればよく、塩素化試薬を使用する場合、第2工程のハロゲン化反応の温度を5~60℃に制御すればよい。第2工程のハロゲン化反応では、条件に応じて酸性又は非酸性の環境を選択することができる。
【0022】
工程(2)において、塩素化試薬は塩素ガス、NCS、塩化アンモニウム、塩化水素、又は塩化スルフリルなどから選択され、ヨウ素化試薬はヨウ素、NIS、ヨウ化ナトリウム、又はヨウ化カリウムなどから選択され、前記臭素化試薬はNBS、臭素、またはジブロモヒダントイン(dibromohydantoin)などから選択される。反応の溶媒は、水、メタノール、THF、アセトニトリル、酢酸、プロピオン酸、メチル-tert-ブチルエーテルから選ばれる一種又は多種である。一つの方式では、溶媒は水とメタノールとの混合溶媒であり、THF、アセトニトリル、酢酸、プロピオン酸、メチル-tert-ブチルエーテル、及びこれらの混合溶媒であればよい。この工程の反応では、第1回のハロゲン化反応の溶媒は、水、メタノール、アセトニトリル、又はこれらの両者又は三者の混合溶媒から好ましく選択され、第2回のハロゲン化反応の溶媒は、メチル-tert-ブチルエーテル、酢酸、プロピオン酸、アセトン、酢酸エチル、又はクロロホルムから好ましく選択される。酸性の条件における酸は、酢酸、p-トルエンスルホン酸、硫酸、メタンスルホン酸などであればよく、好ましくは硫酸である。臭素化試薬として、好ましくはNBSである。
【0023】
工程(2)は、2回のハロゲン化反応を有するため、二段階でハロゲン化試薬を投入することができる。第1段階でハロゲン化試薬の総投入量の40~85%を加え、第2段階で残りのハロゲン化試薬を加える。試験によって、その他の原料を使用する1回のハロゲン化反応と比べて、本発明は4ーメトキシアセトフェノンをハロゲン化反応の原料とし、選択性の異なる正確に制御可能な2回のハロゲン化反応を採用することにより、化合物VIの収率を大幅に増加させ、副生成物の生成を抑制し、反応の難しさを減らすことができ、当該製造技術は産業用途の見通しがあることを発見した。
【0024】
工程(3):化合物VIと化合物1を先に有機溶媒中で加熱により反応させ、更に、得られた生成物とアルカリを、水が存在する条件で加熱により続けて反応させ、化合物VIIを得る。あるいは、先に化合物VI、化合物1、及びアルカリを有機溶媒中で加熱により反応させ、更に、得られた生成物を水が存在する条件で加熱により続けて反応させ、化合物VIIを得る。化合物VIと化合物1との反応の温度は75~150℃であり、好ましくは77~100℃である。化合物VIと化合物1が反応した後、アルカリを加え続けて反応する温度は、50~100℃であり、好ましくは60~100℃である。化合物VIと化合物1とのモル比は1:1.0~2.0、好ましくは1:1.2である。当該反応において、有機溶媒は、トルエン、キシレン、NMP、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、イソプロパノール、エタノール、tert-ブタノール、アセトニトリル、DMFなどであり、好ましくは酢酸エチルである。アルカリは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムから選択される。この工程の第1状況では、アルカリの配合量は、反応液のpH値が4~7となるような量である。この工程の第2状況では、アルカリの配合量は、一般式(II)で表される化合物のモル量の0.1~2.5倍であり、好ましくは0.5~2.5倍、より好ましくは0.6~1.5倍、さらに好ましくは0.8~1.2倍である。
【0025】
工程(4):臭素化イミダゾ[1,2-a]ピリジン系化合物とシアン化合物とを反応させて、ベンゾニトリル系化合物(化合物5)を生成した。シアン化合物は、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化銅(I)、シアン化亜鉛など及びこれらの混合物であればよく、好ましくはシアン化銅(I)である。反応の溶媒は、NMP、DMF、DMAなどであり、好ましくはNMPである。反応温度は120~200℃であり、好ましくは140~160である。
【0026】
工程(5):化合物5に脱メチル反応及び臭素化反応を順に行って、3-ブロモ-5-(2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニル)-2-ヒドロキシベンゾニトリル(化合物7)を得た。脱メチル試薬は、BBr3、ナトリウムエタンチオラート、臭化リチウムなどを使用すればよい。臭素化反応の臭素源は、NBS、ジブロモヒダントイン、臭素などであり、反応の溶媒は、酢酸、DMF、NMP及び水などであればよく、反応のpH値は、酸性でもよく、アルカリ性でもよい。酸は酢酸、プロピオン酸などの有機酸であり、アルカリは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの無機塩基である。本明細書では、臭化リチウムでメチルを脱除した後、水中で臭素化反応を行うことが好ましく、その他の条件と比べて、このようにすると、非常に良い反応効果及び分離効果を達成することができる。脱メチル反応の温度は-50~150℃であり、脱メチル試薬としてBBr3を使用する場合、その反応の温度は-50~20℃であり、脱メチル試薬としてナトリウムエタンチオラートまたは臭化リチウムを使用する場合、その反応の温度は0~150℃であり、好ましくは40~90℃である。臭素化反応の臭素源は、NBS、ジブロモヒダントイン、又は臭素であり、臭素化反応の温度は20~45℃である。脱メチル反応または臭素化反応における反応の溶媒は、ジクロロメタン、酢酸、DMF、NMP、及び水から選ばれる一種又は多種である。
【0027】
経路二、3-ブロモ-5-(2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニル)-2-ヒドロキシベンゾニトリルの合成は、下記の工程を含む:
(1)4-メトキシアセトフェノンとヨウ素化試薬又は臭素化試薬とを反応させて化合物IVを得る、
(2)化合物IVとシアン化合物とを反応させて化合物9を生成する、
(3)化合物9にハロゲン化反応を行うことにより、化合物VIIIを得る、
(4)化合物VIIIと化合物1を、先に有機溶媒中で加熱により反応させ、更に、得られた生成物とアルカリとを、水が存在する条件で加熱により続けて反応させ、化合物5を得る、又は、化合物VIII、化合物1及びアルカリを、先に有機溶媒中で加熱により反応させ、更に、得られた生成物を、水が存在する条件で加熱により続けて反応させ、化合物5を得る、
(5)化合物5に脱メチル反応を行って化合物6を得た後、臭素化反応を行って化合物7を得る。
【0028】
【化3】
(式中、R
7がI又はBrであり、R
8がCl、Br又はIである。)。
【0029】
以下、経路二の各工程を詳しく説明する。
【0030】
経路二における工程(1)では、ヨウ素化試薬はヨウ素又はNISから選択され、臭素化試薬はNBS、臭素、又はジブロモヒダントインから選択される。ヨウ素化反応又は臭素化反応の温度は5~25℃であり、その反応の溶媒は、現有のヨウ素化反応又は臭素化反応の溶媒を採用すればよく、例えばアセトニトリル、メタノールなどが挙げられる。また、反応において、必要に応じて適切に酸を加えてもよい。
【0031】
経路二における工程(2)では、シアン化合物はシアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化銅(I)、又はシアン化亜鉛から選択され、好ましくはシアン化銅(I)である。反応の溶媒はNMP、DMF、又はDMAから選択され、好ましくはNMPである。反応の温度は120~200℃である。
【0032】
経路二における工程(3)では、化合物9とハロゲン化試薬によりハロゲン化反応を行う。ハロゲン化試薬として、塩素化試薬、ヨウ素化試薬、又は臭素化試薬が含まれ、具体的には、塩素ガス、NCS、塩化アンモニウム、塩化水素、塩化スルフリル、ヨウ素、NIS、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、NBS、臭素、又はジブロモヒダントインなどから選択される。この工程の反応の温度は、5~25℃であり、反応の溶媒は、現有のハロゲン化反応でよく使用される溶媒を採用すればよく、例えば、アセトニトリル、メタノール、酢酸、プロピオン酸などが挙げられる。
【0033】
経路二における工程(4)では、化合物VIIIと化合物1との反応温度は75~150℃であり、好ましくは77~100℃である。化合物VIIIと化合物1が反応した後の続く反応の温度は、50~100℃であり、好ましくは60~100℃である。有機溶媒は、トルエン、キシレン、NMP、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、イソプロパノール、エタノール、tert-ブタノール、アセトニトリル、DMFなどから選択される。アルカリは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウムから選択される。この工程の第1状況では、アルカリの配合量は、続けて反応する反応液のpH値が4~7となるような量である。この工程の第2状況では、アルカリの配合量は、一般式(II)で表れる化合物のモル量の0.1~2.5倍であり、好ましくは0.5~2.5倍、より好ましくは0.6~1.5倍、更に好ましくは0.8~1.2倍である。
【0034】
経路二における工程(5)では、脱メチル反応において、脱メチル試薬を使用する。脱メチル試薬は、BBr3、ナトリウムエタンチオラート、又は臭化リチウムから選択される。脱メチル反応の温度は-50~150℃であり、脱メチル試薬としてBBr3を使用する場合、その反応の温度は-50~20℃であり、脱メチル試薬としてナトリウムエタンチオラート又は臭化リチウムを使用する場合、その反応の温度は0~150℃であり、好ましくは40~90℃である。臭素化反応の臭素源は、NBS、ジブロモヒダントイン、又は臭素から選択され、臭素化反応の温度は20~45℃である。脱メチル反応又は臭素化反応における反応の溶媒は、ジクロロメタン、酢酸、DMF、NMP、及び水から選択される一種又は多種である。
【0035】
経路三、3-ブロモ-5-(2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニル)-2-ヒドロキシベンゾニトリルの合成は、下記の工程を含む:
(1)化合物9に脱メチル反応を行って化合物11を得る、
(2)化合物11に臭素化反応を行うことにより化合物12を得て、更にハロゲン化反応を行うことにより化合物IXを得る、
(3)化合物IXと化合物1とを先に有機溶媒中で加熱により反応させ、更に、得られた生成物とアルカリとを、水が存在する条件で加熱により続けて反応させ、化合物7を得る、又は、化合物IX、化合物1及びアルカリを、先に有機溶媒中で加熱により反応させ、更に、得られた生成物を、水が存在する条件で加熱により続けて反応させ、化合物7を得る。
【0036】
【化4】
(式中、R
9がCl、Br又はIである。)。
【0037】
以下、経路三の各工程を詳しく説明する。
【0038】
経路三における工程(1)では、脱メチル反応における脱メチル試薬は、BBr3、ナトリウムエタンチオラート、又は臭化リチウムから選択される。脱メチル反応の温度は-50~150℃であり、脱メチル試薬としてBBr3を使用する場合、その反応の温度は-50~20℃であり、脱メチル試薬としてナトリウムエタンチオラート又は臭化リチウムを使用する場合、その反応の温度は0~150℃であり、好ましくは40~90℃である。反応の溶媒は、ジクロロメタン、DMF、及びNMPなどであればよい。
【0039】
経路三における工程(2)では、臭素化反応における臭素化試薬はNBS、ジブロモヒダントイン、又は臭素である。好ましくは、第1回の臭素化反応では、臭素化試薬としてNBSを使用し、臭素化反応の温度が20~45℃であり、溶媒はDMFを選択することである。工程(2)の第2回の反応はハロゲン化反応であり、この反応におけるハロゲン化試薬では、塩素化試薬、ヨウ素化試薬、又は臭素化試薬が含まれ、具体的には、塩素ガス、NCS、塩化アンモニウム、塩化水素、塩化スルフリル、ヨウ素、NIS、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、NBS、臭素、又はジブロモヒダントインなどから選択される。ハロゲン化反応の温度は、5~25℃であり、反応の溶媒は、現有のハロゲン化反応でよく使用される溶媒を採用すればよく、例えば、アセトニトリル、メタノール、酢酸、プロピオン酸、クロロホルム、又は酢酸エチルなどが挙げられる。
【0040】
経路三における工程(3)では、化合物IXと化合物1との反応の温度は75~150℃であり、好ましくは77~100℃である。化合物IXと化合物1が反応した後の続く反応の温度は、50~100℃であり、好ましくは60~100℃である。有機溶媒は、トルエン、キシレン、NMP、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、イソプロパノール、エタノール、tert-ブタノール、アセトニトリル、DMFなどから選択される。アルカリは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウムから選択される。この工程の第1状況では、アルカリの配合量は、続けて反応する反応液のpH値が4~7となるような量である。この工程の第2状況では、アルカリの配合量は、一般式(II)で表れる化合物のモル量の0.1~2.5倍であり、好ましくは0.5~2.5倍、より好ましくは0.6~1.5倍、さらに好ましくは0.8~1.2倍である。
【0041】
本発明は、以下のような利点を有する:
【0042】
(1)一般式(III)で表される化合物を製造するための方法は、二つの段階に分け、まず、二つの基質を有機溶媒中で加熱により一定時間反応させた後、水が存在する条件で加熱により続け反応させる。第1段階及び/又は第2段階でアルカリを加える。このようなアルカリの添加及び二段階の反応を採用することにより、反応で生成された中間生成物から目標生成物への変換を大幅に促進し、副生成物の生成を低減及び回避し、そして目標生成物の収率を大幅に増加させることができる。相応的に、本発明の一般式(III)で表される化合物を製造する方法が採用された他の化合物の合成経路の収率及び利益を大幅に増加させることができる。
【0043】
(2)本発明は、化合物VI及びそれと類似する化合物の製造過程において、選択性の異なる正確に制御可能な2回のハロゲン化反応を採用することにより、目標生成物の収率を大幅に増加させ、幅生成物の生成を抑制し、反応の難しさを減らすことができ、当該製造技術は産業用途の見通しがあるようになった。
【0044】
(3)本発明は、一般式(III)で表される化合物の製造方法及び化合物7の複数の合成経路を提供し、各方法の反応条件が温和で、操作が簡単で、設備に求められる要件が低く、実験室の製造や工業的生産に適する。
【0045】
(4)本発明の各工程における反応生成物の分離及び精製は、比較的簡単で、カラムクロマトグラフィー精製を必要とせず、そして分離の収率は高いである。
【0046】
(5)本発明の反応に必要な原料は、工業的に製造することができ、且つ安価で入手しやすいものである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、実施例と併せて本発明を更に説明するが、本発明の保護の範囲は下記の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0048】
【0049】
工程A:反応釜にジクロロメタン(30L)を仕込んだ後、20~25℃で2-アミノピリジン(5.0kg、53.1mol)、トリエチルアミン(10.7kg、106mol)及び無水プロピオン酸(8.3kg、63.8mol)を加えた。加えた後、得られた混合物を還流下で22~24時間撹拌した。反応終了後、20~25℃で10%水酸化ナトリウム溶液(25L)を加えた。分層し、水(15L×2)で有機層を洗浄した。合わせた水層をジクロロメタン(30L)で抽出した。合わせた有機層から減圧蒸留によって大部の溶媒を除去した後、n-ヘプタン/ジクロロメタンで再結晶させ、黄色の固体であるN-(ピリジン-2--イル)プロピオン酸アミド(1)(7.7kg)を得た。HPLC純度が100%で、収率が96.6%である。1H NMR(DMSO-d6,300MHz)δ10.38(s,1H),8.30-8.28(m,1H),8.11-8.08(m,1H),7.78-7.73(m,1H),7.08-7.04(m,1H),2.39(q,J=7.5Hz,2H),1.07(t,J=7.5Hz,3H)。LCMS:151.2[M+H]+。
【0050】
工程B:反応釜に水(27L)及び濃硫酸(3L)を仕込んだ後、10~15℃でメタノール(35L)、4-メトキシアセトフェノン(10kg、6.66mol)及びNBS(23.7kg、13.3mol)を加えた。加えた後、得られた混合物を15~20℃で24~28時間撹拌した。反応終了後、水(40L)を加え、濾過し、ろ過ケーキを水(4L)で濯ぐ。得られた固体をn-ヘプタンで再結晶させ、粗1-(3-ブロモ-4-メトキシフェニル)アセトン(2)(16.6kg)を得て、この化合物を精製せずに次の反応に使用した。
【0051】
工程C:反応釜にメチル-tert-ブチルエーテル(82.9L)及び濃硫酸(0.71kg、7.24mol)を仕込んだ後、粗化合物(2)(1.66kg)を加え、得られた混合物を還流下で2時間撹拌した。NBS(7.12kg、4.0mol)を加え、続けて還流下で2~3時間撹拌した。反応終了後、5~10℃まで冷却し、濾過し、ろ過ケーキを水(50L)及び5%チオ硫酸ナトリウム溶液(50L)で順にスラリーし、n-ヘプタンで再結晶させ、白い固体である2-ブロモ-1-(3-ブロモ-4-メトキシフェニル)アセトン(3)を得た(13.3kg)。HPLC純度が98.7%で、工程Bと工程Cの合計収率が65.4%である。1H NMR(CDCl3,300MHz)δ8.23-8.22(m,1H),8.00-7.96(m,1H),7.00-6.97(m,1H),4.40(s,2H),4.01(s,3H)。LCMS:308.9[M+H]+。
【0052】
工程D:反応釜に酢酸エチル(75L)、化合物1(4.42kg、29.4mol)、及び化合物3(7.50kg、24.3mol)を仕込んだ後、得られた混合物を窒素雰囲気及び還流下で48~60時間撹拌した。反応終了後、20~30℃まで冷却した。濾過し、ろ過ケーキを酢酸エチル(7.5L)で濯ぐ。水(75L)及び濾過によって得られた固体を反応釜に加え、90~100℃で10%炭酸水素ナトリウム溶液を滴下することによりpH値を4~6に調整した後、前記の温度で続けて3~5時間撹拌した。反応終了後、室温に冷却し、10%炭酸水素ナトリウム溶液でpH値を7~8に調整した。濾過し、ろ過ケーキを水(7.5L)で洗浄し、アセトニトリル/メチル-tert-ブチルエーテルで再結晶させ、白い固体である(3-ブロモ-4-メトキシフェニル)(2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル)メタノン(4)を得た(5.68kg)。HPLC純度が99.6%で、収率が64.7%である。1H NMR(DMSO-d6,300MHz)δ9.18-9.15(m,1H),8.11-8.03(m,3H),7.94-7.82(m,1H),7.64-7.55(m,1H),7.40-7.32(m,1H),3.96(s,3H),2.58(q,J=7.5Hz,2H),1.23(t,J=7.5Hz,3H)。LCMS:359.1[M+H]+。
【0053】
あるいは、工程D:酢酸エチル(45mL)、化合物1(1.70g、11.3mmol)、及び化合物3(2.90g、9.42mmol)が含まれた混合物を窒素雰囲気及び還流下で48時間撹拌した。反応終了後、20~30℃に冷却し、濾過し、ろ過ケーキを酢酸エチル(15mL)で濯いだ。このろ過ケーキを水(30mL)に加え、90~100℃に昇温し、トリエチルアミンを滴下することによりpH値を5~6に調整した。滴加完了後、得られた混合物を還流下で一晩撹拌した。10%炭酸水素ナトリウム溶液でpH値を7~8に調整した。室温に冷却し、濾過し、ろ過ケーキを水で洗浄し、アセトニトリル/メチル-tert-ブチルエーテルで再結晶させ、(3-ブロモ-4-メトキシフェニル)(2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル)メタノン(4)を得た(1.68kg)。収率が49.6%である。
【0054】
工程E:反応釜にNMP(8.1L)、化合物4(2.70kg、7.52mol)、及びシアン化銅(I)(0.86kg、9.60mol)を仕込んだ後、得られた混合物を窒素雰囲気で145~155℃で24~28時間撹拌した。反応終了後、85~95℃まで冷却し、13%アンモニア水(27L)を加えた。その後、5~25℃に冷却し、続けて2時間撹拌した。濾過し、ろ過ケーキを13%アンモニア水(2.7L)で濯いだ。得られた固体をジクロロメタン(13.5L×2)でスラリーし、製品はろ液中にある。合わせたろ液を13%アンモニア水(13.5L×3)で洗浄した。有機層から減圧蒸留によって大部の溶媒を除去した後、酢酸イソプロピル/ジクロロメタンで再結晶させ、黄色の固体である5-(2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニル)-2-ヒドロキシベンゾニトリル(5)を得た(1.91kg)。HPLC純度が98.6%で、収率が83.2%である。
【0055】
工程F:反応釜にNMP(9.8L)、化合物5(1.95kg、6.39mol)を仕込んだ後、75~85℃で臭化リチウム(1.66kg、1.91mol)及び酢酸ナトリウム(2.09kg、25.5mol)を加えた。加えた後、得られた混合物を120~130℃で10~12時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、水(29L)を加え、酢酸でpH値を5~6に調整した。濾過し、ろ過ケーキをNMP/アセトニトリルで再結晶させ、黄色の固体である5-(2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニル)-2-ヒドロキシベンゾニトリル(6)を得た(1.59kg)。HPLC純度が99.7%で、収率が85.4%である。LCMS:292.0 [M+H]+。
【0056】
工程G:反応釜に水(15.6L)、水酸化ナトリウム(0.22kg、5.5mol)、及び化合物6(1.56kg、5.36mol)を加えた後、25~30℃でNBS(0.95kg、5.34mol)を加えた。加えた後、得られた混合物を前記の温度で続けて0.5~1.5時間撹拌した。反応終了後、酢酸イソプロピル(7.8L)を加え、酢酸でpH値を5~6に調整した。濾過し、ろ過ケーキを水(3.9L×2)で洗浄し、DMSO/酢酸イソプロピルで再結晶させ、黄色の固体である3-ブロモ-5-(2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニル)-2-ヒドロキシベンゾニトリル(7)を得た(1.59kg)。HPLC純度が99.9%で、収率が80.1%である。1H NMR(DMSO-d6,300MHz)δ9.13-9.11(m,1H),8.12-8.11(m,1H),8.03-7.97(m,1H),7.86-7.83(m,1H),7.77-7.72(m,1H),7.34-7.29(m,1H),2.57-2.50(m,2H),1.19(t,J=7.5Hz,3H)。LCMS:370.0[M+H]+。
【0057】
【0058】
工程A-1:4-メトキシアセトフェノン(600g、4.0mol)のアセトニトリル溶液(5.4L)溶液に、ヨウ素(518g、2.04mol)及び1-クロロメチル-4-フルオロ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンビス(テトラフルオロボラート)(1.42kg、4.0mol)を加えた後、得られた混合物を12~20℃で20時間撹拌した。反応終了後、水(24L)を加え、15分間撹拌し、濾過した。ろ過ケーキを5%チオ硫酸ナトリウム溶液(1.5L)及び水(3.0L)で順に洗浄した。乾燥し、黄色の固体である3-ヨード-4-メトキシアセトフェノン(8)を得た(894g)。収率が81.0%である。
【0059】
工程A-2:実施例1における工程Bと同様に、1-(3-ブロモ-4-メトキシフェニル)アセトン(2)を得た。
【0060】
ステップB-1:化合物8(467g、1.69mol)のDMF(2.0L)溶液に、シアン化銅(I)(228g、2.55mol)を加えた後、得られた混合物を110~120℃及び窒素雰囲気下で一晩撹拌した。室温まで冷却し、ジクロロメタン(5.0L)を加えた。15分間撹拌し、珪藻土によって濾過し、ろ過ケーキを適量のジクロロメタンで濯いだ。水(7.0L)を加え、分層し、水層をジクロロメタン(5.0L)で抽出した。合わせた有機層を水(3.0L×3)及び飽和食塩水(2.0L)で順に洗浄した。溶媒を減圧蒸留によって除去した。得られた生成物を石油エーテル(500ml)でスラリーし、黄色の固体である5-アセチル-2-メトキシベンゾニトリル(9)を得た(263g)。収率が88.8%である。
【0061】
工程B-2:化合物2(56.0g、244mmol)のNMP(300mL)溶液に、シアン化銅(I)(32.8g、366mol)を加えた後、得られた混合物を150~160℃及び窒素雰囲気下で一晩撹拌した。室温まで冷却し、ジクロロメタン(850mL)を加えた。15分間撹拌し、珪藻土によって濾過し、ろ過ケーキを適量のジクロロメタンで濯いだ。水(1.2L)を加え、分層し、水層をジクロロメタン(400mL×2)で抽出した。合わせた有機層を水(250mL×3)及び飽和食塩水(200mL)で順に洗浄した。溶媒を減圧蒸留によって除去した。得られた生成物を石油エーテル(110mL)でスラリーし、黄色の固体である5-アセチル-2-メトキシベンゾニトリル(9)を得た(29.1g)。収率が68.1%である。
【0062】
工程C:7~15℃で、化合物(385g、2.20mol)及びメタノール(2.9L)が含まれた混合物に、臭素(422g、2.64mol)を滴加した後、得られた混合物を20℃で一晩撹拌した。反応終了後、濾過し、ろ過ケーキをジクロロメタン(4.0L)で溶解させた後、飽和食塩水(1.3L×2)で洗浄した。溶媒を減圧蒸留によって除去した。得られた生成物を石油エーテル(400mL)でスラリーし、白い固体である5-(2-ブロモ-アセチル)-2-ヒドロキシ-3-メチルベンゾニトリル(10)を得た(458g)。収率が81.9%である。
【0063】
工程D-1:化合物1(118g、785mmol)、化合物10(200g、787mmol)、及び酢酸エチル(2.5L)が含まれた混合物を、窒素雰囲気及び還流下で48時間撹拌した。室温に冷却し、濾過し、ろ過ケーキを酢酸エチル(500mL)で濯いだ。得られた固体と水(3L)との混合物を90~100℃に昇温し、10%炭酸水素ナトリウム溶液を滴下することによりpH値を5~6に調整し後、前記の温度で続けて3時間撹拌した。反応終了後、室温に冷却し、10%炭酸水素ナトリウム溶液でpH値を7~8に調整した。濾過し、ろ過ケーキをエタノールで再結晶させ、薄黄色の固体である5-(2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニル)-2-ヒドロキシベンゾニトリル(5)を得た(160g)。収率が69.5%である。1H NMR(DMSO-d6,400MHz)δ9.27-9.25(m,1H),8.10(d,J=2.4Hz,1H),8.02(dd,J=2.4,8.8Hz,1H),7.79-7.76(m,1H),7.64-7.60(m,1H),7.42(d,J=8.8Hz,1H),7.23-7.20(m,1H),4.03(s,3H),2.39(q,J=7.6Hz,2H),1.26(t,J=7.6Hz,3H)。LCMS:306.0 [M+H]+。
【0064】
工程D-2:化合物1(8.87g、59.1mmol)、化合物10(15.0g、59.0mmol)、炭酸水素ナトリウム(4.96g、59.0mmol)、及び酢酸エチル(200mL)が含まれた混合物を、窒素雰囲気及び還流下で48時間撹拌した。溶媒を減圧蒸留によって除去した後、エタノール(10mL)を加え、10分間撹拌した後、濾過する。得られた固体と水(225mL)との混合物を90~100℃で3時間撹拌した。反応終了後、室温に冷却し、10%炭酸水素ナトリウム溶液でpH値を7~8に調整した。濾過し、ろ過ケーキをエタノールで再結晶させ、薄黄色の固体である5-(2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニル)-2-ヒドロキシベンゾニトリル(5)を得た(11.1g)。収率が64.2%である。
【0065】
工程E:ナトリウムエタンチオラート(39.9g、467mmol)を化合物5(70.0g、239mmol)のDMF(350mL)溶液に加えた後、得られた混合物を48~55℃で0.5時間撹拌した。反応終了後、室温に冷却し、それを水(1.05L)に投入した。ろ過して不溶性物を除去した。10%クエン酸溶液でろ液のpH値を5~6に調整した。濾過し、適量の水でろ過ケーキを濯ぎ、得られた固体をアセトニトリルで再結晶させ、5-(2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニル)-2-ヒドロキシベンゾニトリル(6)を得た(59.0g)。収率が88.3%である。
【0066】
工程F:15~20℃で、化合物6(58.0g、199mmol)、酢酸ナトリウム(33.0g、402mmol)、及び酢酸(580mL)が含まれた混合物に臭素(36.6g、229mmol)を滴加した。加えた後、得られた混合物を前記の温度で続けて2時間撹拌した。前記の反応液を水(580mL)に投入した。濾過し、得られた固体を水(600mL)に懸濁させ、2M水酸化ナトリウム溶液でpH値を5~6に調整した。濾過し、得られた固体を水(120mL)で洗浄し、更にDMSO/酢酸イソプロピルで再結晶させ、黄色の固体である3-ブロモ-5-(2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニル)-2-ヒドロキシベンゾニトリル(7)を得た(63.7g)。収率が86.5%である。化合物7の1H NMR及びMSは、実施例1と一致している。
【0067】
【0068】
工程A:化合物9(50.0g、285mmol)、ナトリウムエタンチオラート(28.8g、342mmol)及びDMF(200mL)が含まれた混合物を70~80℃で1時間撹拌した。室温に冷却し、水(700mL)を加え、ろ過して不溶性物を除去し、酢酸エチル(100mL)でろ液を抽出し、生成物は水相にある。10%クエン酸溶液で水相をpH値が5~6となるように調整し、酢酸エチル(200mL×3)で抽出した。合わせた有機相を水(100mL×2)及び飽和食塩水(100mL)で順に洗浄し、減圧蒸留によって溶媒を除去し、得られた生成物を石油エーテル/酢酸エチルで再結晶させ、5-アセチル-2-ヒドロキシベンゾニトリル(11)(42.3g)を得た。収率が92.1%である。
【0069】
工程B:化合物11(30.3g、188mmol)のDMF(150mL)溶液のバッチに、NBS(36.8g、207mmol)を加えた。加えた後、得られた混合物を室温で1.5時間撹拌した。水(530mL)を加え、酢酸エチル(150mL×3)で抽出した。合わせた有機相を水(90mL×2)及び飽和食塩水(45mL)で順に洗浄し、減圧蒸留によって溶媒を除去し、得られた生成物を石油エーテル/酢酸エチルで再結晶させ、5-アセチル-3-ブロモ-2-ヒドロキシベンゾニトリル(12)を得た(39.0g)。収率が86.4%である。
【0070】
工程C:臭素(16.7g、104mmol)を化合物12(24.0g、100mmol)のクロロホルム(360mL)溶液に滴加した後、得られた混合物を10~15℃で一晩撹拌した。反応終了後、5%チオ硫酸ナトリウム溶液(50mL)及び飽和食塩水(90mL)で順に洗浄した。減圧蒸留によって溶媒を除去し、3-ブロモ-5-(2-ブロモアセチル)-2-ヒドロキシベンゾニトリル(13)を得た(29.7g)。収率が93.1%である。
【0071】
工程D:化合物1(9.66g、64.3mmol)、化合物13(20.5g、64.3mmol)及び酢酸エチル(300mL)を含む混合物を、窒素雰囲気及び還流下で48時間撹拌した。室温に冷却し、濾過し、ろ過ケーキを酢酸エチル(40mL)で濯いだ。得られた固体と水(300mL)との混合物を60~70℃に昇温し、10%炭酸水素ナトリウム溶液を滴下することによりpH値を5~6に調整した後、還流に昇温し、続けて3時間撹拌した。反応終了後、室温に冷却し、10%炭酸水素ナトリウム溶液でpH値を7~8に調整した。濾過し、ろ過ケーキをDMSO/酢酸イソプロピルで再結晶させ、黄色の固体である3-ブロモ-5-(2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニル)-2-ヒドロキシベンゾニトリル(7)を得た(10.5g)。収率が45.7%である。化合物7の1H NMR及びMSは、実施例1と一致している。
【国際調査報告】