(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-09
(54)【発明の名称】発光素子用紫外線吸収封止材及びこれを含む発光素子
(51)【国際特許分類】
C09K 3/10 20060101AFI20220302BHJP
H01L 33/56 20100101ALI20220302BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20220302BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220302BHJP
H05B 33/04 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
C09K3/10 B
H01L33/56
H01L23/30 F
H05B33/14 A
H05B33/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541686
(86)(22)【出願日】2020-01-20
(85)【翻訳文提出日】2021-07-19
(86)【国際出願番号】 KR2020000923
(87)【国際公開番号】W WO2020159130
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】10-2019-0010387
(32)【優先日】2019-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ナム,シ ウク
(72)【発明者】
【氏名】ソ,ヨン ソン
(72)【発明者】
【氏名】キム,キョン ジョン
【テーマコード(参考)】
3K107
4H017
4M109
5F142
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107CC05
3K107CC21
3K107CC22
3K107CC23
3K107EE49
3K107FF05
3K107FF06
4H017AA04
4H017AB01
4H017AC08
4H017AD06
4H017AE05
4M109AA01
4M109EC05
4M109EC12
4M109GA01
5F142CG03
5F142CG13
(57)【要約】
本発明は、紫外線遮断機能を有し耐熱及び耐光信頼性に優れるインドール系化合物を封止材に適用することで、発光素子の物性及び寿命特性を向上させることができる発光素子用紫外線吸収封止材及びこれを含む発光素子に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表されるインドール系誘導体化合物を含み、
下記数式1の初期透過率及び下記数式2の耐光/耐熱透過率を持つことを特徴とする発光素子用紫外線吸収封止材。
【化1】
【数1】
【数2】
前記化学式1において、R
1及びR
4ないしR
7は、それぞれ独立に水素、ヒドロキシ基、ハロゲン基、炭素数1~5個のアルキル基及び炭素数1~5個のアルコキシ基からなる群から選択されるいずれか一つであり、R
2及びR
3は、それぞれ独立に窒素及び酸素原子のうちのいずれか一つ以上を1~3個含むか含まない炭素数4~10個の線形、枝型または環形炭化水素基であり、前記数式1及び2において、T
0は当該波長での初期透過率であり、T
1は当該波長で光露出させた後の透過率である。
【請求項2】
前記化学式1のR
1は炭素数1~5個のアルキル基であり、R
2及びR
3はそれぞれ独立的にフェニル基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミド基、エステル基、エーテル基、アクリレート基及びハロゲン基からなる群から選択されるいずれか一つ以上を含む飽和または不飽和炭化水素基であり、R
4ないしR
7は水素であることを特徴とする、請求項1に記載の発光素子用紫外線吸収封止材。
【請求項3】
前記化学式1のR
2及びR
3は、
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の発光素子用紫外線吸収封止材。
【請求項4】
前記化学式1で表されるインドール系誘導体化合物は、下記化学式1a~1jで表される化合物及びこれらの異性体からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の発光素子用紫外線吸収封止材。
【請求項5】
前記封止材の紫外線初期透過率は、405~430nm波長にて80~95%であることを特徴とする、請求項1に記載の発光素子用紫外線吸収封止材。
【請求項6】
前記封止材の耐光透過率及び耐熱透過率は7%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の発光素子用紫外線吸収封止材。
【請求項7】
前記封止材は、ベンゾフェノン系化合物、トリアゾール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、サリチル酸系化合物、シアノアクリレート系化合物、オキサニリド系化合物、ヒンダードアミン系化合物及び金属錯塩系化合物からなる群から選択されるUV吸収剤を1種以上さらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の発光素子用紫外線吸収封止材。
【請求項8】
前記封止材は、酸化防止剤、熱安定剤、界面活性剤、レベリング剤及び消泡剤からなる群から選択される添加剤を一つ以上さらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の発光素子用紫外線吸収封止材。
【請求項9】
前記発光素子はLEDまたはOLEDであることを特徴とする、請求項1に記載の発光素子用紫外線吸収封止材。
【請求項10】
請求項1に記載の発光素子用紫外線吸収封止材を含む発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年01月28日付韓国特許出願第10-2019-0010387号に基づく優先権の利益を主張するのであり、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、発光素子の劣化を防止するために使われる封止材に係り、より詳しくは、紫外線遮断機能を有するインドール系化合物を封止材に適用し、発光素子の物性及び寿命特性を向上することができる発光素子用紫外線吸収封止材及びこれを含む発光素子に関する。
【背景技術】
【0003】
発光素子、特に有機発光素子(Organic Light Emitting Device;OLED)は、自己発光型素子であって視野角が広く、コントラスト(contrast)に優れるだけでなく、応答時間が速く、輝度、駆動電圧及び応答速度の特性に優れ、多色化が可能であるという長所を持っていることから、非常に多様な分野で幅広く使われている。
【0004】
しかし、このような有機発光素子が酸素、水分及び紫外線に露出される場合、劣化現象によって物性及び寿命が低下するという問題点が発生するので、酸素、水分及び紫外線から有機発光素子を保護することができる密封手段が、素子に導入されなければならない。特に、発光素子は、使用上、光に露出するしかないので、耐光性と耐熱性も持たなければならない。
【0005】
これに係り、当分野では、ベンゾフェノン(benzophenone)系、ベンゾトリアゾール(Benzotriazole)系、トリアゾール(triazole)系、トリアジン(Triazine)系、サリチル酸(salicylate)系、シアノアクリレート(cyanoacrylate)系、オキサニリド(oxanilide)系、ヒンダードアミン(hindered amine)系及び金属錯塩系(光安定剤)などのUV吸収剤を利用してUVからの素子損傷を防止する研究を進めたのであり、現在、これと関わる文献が少なからず公開されている。
【0006】
しかし、これらのUV吸収剤は、260~380nmの領域のUVのみを主に吸収するので、それ以上の領域帯(例えば、380~430nm)のUVは遮断できないという問題がある。よって、260~380nm以上の領域帯のUVまでも吸収遮断し、UVからの完全な損傷防止が可能な発光素子用封止材の開発が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、紫外線遮断機能を持っていて耐熱及び耐光信頼性に優れるインドール系化合物を封止材に適用し、発光素子の物性及び寿命特性を向上することができる発光素子用紫外線吸収封止材、及びこれを含む発光素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は、下記化学式1で表されるインドール系誘導体化合物を含み、下記数式1の初期透過率及び下記数式2の耐光/耐熱透過率を持つことを特徴とする発光素子用紫外線吸収封止材を提供する。
【0009】
【0010】
前記化学式1において、R1及びR4ないしR7は、それぞれ独立に水素、ヒドロキシ基、ハロゲン基、炭素数1~5個のアルキル基及び炭素数1~5個のアルコキシ基からなる群から選択されるいずれか一つであり、R2及びR3は、それぞれ独立に窒素及び酸素原子のうちのいずれか一つ以上を1~3個含むか含まない炭素数4~10個の線形、枝型または環形炭化水素基であり、前記数式1及び2において、T0は当該波長での初期透過率であって、T1は当該波長で光露出させた後の透過率である。
【0011】
また、本発明は、前記発光素子用紫外線吸収封止材を含む発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明による発光素子用紫外線吸収封止材及びこれを含む発光素子は、紫外線遮断機能を有して耐熱及び耐光の信頼性に優れるインドール系化合物を封止材に適用し、発光素子の物性及び寿命特性を向上することができる長所を持っている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0014】
本発明による発光素子用紫外線吸収封止材は、下記化学式1で表されるインドール系誘導体化合物を含み、下記数式1の初期透過率及び下記数式2の耐光/耐熱透過率を持つことを特徴とする。
【0015】
【0016】
前記化学式1において、R1及びR4ないしR7は、それぞれ独立に水素、ヒドロキシ基、ハロゲン基、炭素数1~5個のアルキル基及び炭素数1~5個のアルコキシ基からなる群から選択されるいずれか一つであり、R2及びR3は、それぞれ独立に窒素及び酸素原子のうちのいずれか一つ以上を1~3個含むか含まない炭素数4~10個の線形、枝型または環形炭化水素基であり、前記数式1及び2において、T0は当該波長での初期透過率であって、T1は当該波長における光に露出させた後の透過率である。
【0017】
前述したように、今までは発光素子のUV吸収遮断するためにベンゾフェノン(benzophenone)系、ベンゾトリアゾール(Benzotriazole)系、トリアゾール(triazole)系、トリアジン(Triazine)系、サリチル酸(salicylate)系、シアノアクリレート(cyanoacrylate)系、オキサニリド(oxanilide)系、ヒンダードアミン(hindered amine)系及び金属錯塩系(光安定剤)などのUV吸収剤を利用していた。しかし、これらのUV吸収剤は、260~380nm領域帯のUVのみを主に吸収するので、それ以上の領域帯(例えば、400~430nm)のUVは遮断できない問題がある。ここで、本出願人は、260~380nm以上の領域帯のUVまでも吸収遮断して、UVからの完全な損傷防止が可能な発光素子用封止材を発明した。
【0018】
前記数式1及び2にて405nmを測定波長として選択した理由は、400nm付近にて信頼性を低下させる特性(黄変素子ダメージなど)があることから該当部分を遮断しなければならないのであるが、RGBホワイトバランス維持と透過度上昇のためには、ブルー(Blue)波長帯である430nm以上での透過度が高くなければならない。すなわち、信頼性に影響を与える400nm付近の光は吸収し、430nm以上で透過度を確保することが重要であるため、前記のように405nmを測定波長として選択した。
【0019】
前記化学式1において、R1及びR4ないしR7は、それぞれ独立に水素、ヒドロキシ基、ハロゲン基、炭素数1~5個のアルキル基及び炭素数1~5個のアルコキシ基からなる群から選択されるいずれか一つであるが、R1は、炭素数1~5個のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましく、R4ないしR7は水素が好ましい。
【0020】
また、前記化学式1において、R2及びR3は、それぞれ独立に窒素及び酸素原子のうちのいずれか一つ以上を1~3個含むか含まない炭素数4~10個の線形、枝型または環形炭化水素基であるが、好ましくはR2及びR3は、それぞれ独立的にフェニル基であるか、またはシアノ基(-CN group)、アルキル基、アルコキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミド基、エステル基、エーテル基、アクリレート基及びハロゲン基のうちのいずれか一つ以上を含む飽和または不飽和(または、重合性基)炭化水素基である。
【0021】
前記化学式1において、R2及びR3の具体的な例としては、
【0022】
【0023】
などがあり(前記の例において、屈曲線(
)は連結部を示す)、これらの他にも、前記条件を充たす置換基であれば特に制限せずに適用されてもよい。また、R
2及びR
3は、同一又は相違であってもよいが、互いに異なるように適用することが好ましく、例えば、R
2及びR
3のいずれか一つがフェニル基であれば、他の一つは残りの例示された置換基のいずれか一つであってもよい。
【0024】
よって、前記置換基を適用した本発明によるインドール系誘導体化合物では、下記化学式1aないし1jで表される化合物及びこれらの異性体(isomer)を例示することができる。
【0025】
【0026】
一方、本発明による発光素子用紫外線吸収封止材は、より多様な波長帯のUVを吸収し、インドール系化合物との相互補完効果を発現するために、前記インドール系化合物以外にベンゾフェノン(benzophenone)系化合物、トリアゾール(triazole)系化合物、ベンゾトリアゾール(Benzotriazole)系化合物、トリアジン(Triazine)系化合物、サリチル酸(salicylate)系化合物、シアノアクリレート(cyanoacrylate)系化合物、オキサニリド(oxanilide)系化合物、ヒンダードアミン(hindered amine)系化合物及び金属錯塩系化合物(光安定剤)などのUV吸収剤を1種以上さらに含むことができる。このように、インドール系化合物以外に、別途、UV吸収剤をさらに含む場合、追加のUV吸収剤の含量は、前記インドール系化合物100重量部に対して0.05~5重量部であってもよい。追加のUV吸収剤の含量が前記インドール系化合物100重量部に対して0.05重量部未満の場合は遮断率効果が微々たるものでありうるのであり、5重量部を超える場合は、調液の粘度上昇及び析出現象が発生して、長期の調液安定性が低下しうる。
【0027】
一方、本発明による発光素子用紫外線吸収封止材は、以上の(インドール系化合物を含む)UV吸収剤以外に、単官能アクリレートモノマー、多官能アクリレートモノマー及び反応開始剤を含むことができる。
【0028】
前記単官能アクリレートモノマーは、アクリレート作用基を1個含むものであって、ベンジルメタアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2-ヒドロキシブチルメタアクリレート、6-ヒドロキシヘキシルメタアクリレート、1,4‐シクロヘキサンジメタノールモノメタアクリレート、1‐クロロ‐2‐ヒドロキシプロピルメタアクリレート、ジエチレングリコールモノメタアクリレート、1,6-ヘキサンジオールモノメタアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタアクリレート、4‐ヒドロキシシクロヘキシルメタアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシブチルメタアクリレート、4-ヒドロキシシクロヘキシルメタアクリレート及びこれらの中で2以上を含む混合物を例えることができるが、これに限定されない。
【0029】
前記多官能アクリレートモノマーは、アクリレート作用基を2個以上含むと同時に、多環脂環式骨格または多環芳香族骨格を含むことができるものであって、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリエチレングリコールジ(メト)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メト)アクリレート、イソボルニルジメタノールジ(メト)アクリレート、ジシクロペンテニルジメタノールジ(メト)アクリレート及びこれらの中で2以上を含む混合物を例示することができるが、これに限定されない。
【0030】
その他、前記反応開始剤では、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(diphenyl(2,4,6、-trimethylbenzoyl)phosphine oxide)、これと同一または類似の性質を持つ(すなわち、365~400nmで光吸収波長領域を持つ)反応開始剤及びこれらの中で2以上を含む混合物を例示することができるが、これに限定されない。
【0031】
一方、前記封止材を構成する各成分の含量について説明すれば、前記封止材全体重量に対して、前記(インドール系化合物を含む)UV吸収剤の含量は0.5~9重量%、好ましくは1~7重量%、前記単官能アクリレートモノマーの含量は3~95重量%、好ましくは40~80重量%、前記多官能アクリレートモノマーの含量は3~95重量%、好ましくは15~60重量%、前記開始剤の含量は0.1~5重量%、好ましくは1~3重量%であってもよい。ただし、これらのそれぞれの含量は、本発明に最適化されたものに過ぎず、前記数値範囲に限定されないし、本発明の目的を達成することが可能であれば、前記封止材を構成する各成分の含量に特に制限はない。
【0032】
また、本発明による発光素子用紫外線吸収封止材には、酸化防止剤、熱安定剤、界面活性剤、レベリング剤及び消泡剤からなる群から選択される添加剤が一つ以上さらに含まれてもよい。この場合、前記添加剤は前記インドール系化合物による効果の発現を阻害しない限度内で制限されずに使うことができる。
【0033】
一方、本発明による発光素子用紫外線吸収封止材は、紫外線(特に、405~430nm波長領域帯のUV)はもとより、光や熱の条件下でも耐熱/耐光信頼性に優れ、発光素子の物性低下を防止することができ、窮極的には発光素子の寿命特性を改善することができる。このような本発明の発光素子用紫外線吸収封止材は、下記数式1の初期透過率及び下記数式2の耐光/耐熱透過率を持つ。
【0034】
【0035】
前記数式1及び2において、T0は該当波長での初期透過率であり、T1は該当波長で光露出させた後の透過率である。
【0036】
本発明の発光素子用紫外線吸収封止材は、前記数式1を基本的に満足しなければならず(405nmで透過度が20%以下であれば数式1の範囲に全て含まれる)、耐光/耐熱信頼性(耐光性、耐熱性)後は、前記数式2まで同時に満足しなければならない(信頼性後405nmで変化が多い場合、耐光/耐熱透過率が10%を超過)。
【0037】
ここで、本発明による発光素子用紫外線吸収封止材の紫外線初期透過率は、例えば、405~430nm波長にて、前記数式1に示すように60~100%、好ましくは80~95%であってもよい。
【0038】
また、前記耐光透過率(耐光性)は、例えば、KS C IEC 61646規格にしたがって、UV処理実験を通じて(280nm~400nm)、太陽光に露出される場合に応じて劣化される度合いについて試験し、露出前後の透過度変化を測定することで確認することができる。この時、2,500Wのキセノンアークランプを適用し、規格によって60℃、15kwh/m2光露出させる条件下で測定されてもよく、この条件下で、耐光性は、前記数式2に示すように10%以下を満足しなければならず、好ましくは7%以下であってもよい。ここで、10%以下を満足できないことは、光露出によって405nmの遮断性能が低下することを意味するため、この場合、素子の寿命が短縮されうる。
【0039】
また、前記耐熱透過率(耐熱性)は、例えば、120℃の温度で500~1,000時間加熱させる条件下で測定されてもよく、この条件下での耐熱性は、前記数式2に示すように10%以下、好ましくは7%以下であってもよい。一方、前記数式2は、説明の便宜のために、耐光/耐熱透過率という用語が使用され、耐光透過率と耐熱透過率が同じ数式に適用されることを明示する。
【0040】
一方、本発明は、前述した発光素子用紫外線吸収封止材を含む発光素子を提供する。すなわち、本発明による紫外線吸収封止材は、発光素子(LED)及び有機発光素子(OLED)など通常の発光素子に適用可能であり、酸素と水分によってダメージ受けること以外、外部からの光によるダメージを受けて素子の寿命が低下する点を考慮し、有機発光素子に適用することが好ましい。その他、封止材を除いた発光素子及び有機発光素子の基本構成は、通常的な、それについての内容を準用する。
【0041】
その他、前記紫外線吸収封止材を含む発光素子の製造方法について簡単に説明すると、先ず、前記発光素子用紫外線吸収封止材をフラッシュ蒸着(Flash Evaporation)またはインクジェットプリンティング(Ink-Jet Printing)、スピンコーティングなどのコーティング方式を通じて、LEDまたはOLEDにコーティングしてUV硬化させた後、これをシートなどの形態に成形し、基板と合着させて加熱硬化することにより、封止材が含まれた発光素子が製造されることができる。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明を理解しやすくするために、好ましい実施例を提示するが、下記実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範疇及び技術思想範囲内で多様な変更及び修正が可能であることは当業者にとって自明なことであり、このような変更及び修正が添付の特許請求範囲に属することも当然である。
【0043】
[実施例1]紫外線吸収封止材の製造
攪拌機を取付けた3つ口フラスコに、ベンジルメタアクリレートモノマー56.87重量%、多官能アクリレートモノマーであるトリメチロールプロパン・トリアクリレート(TRIMETHYLOLPROPANE TRIACRYLATE)37.92重量%、開始剤であるジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(diphenyl(2,4,6、-trimethylbenzoyl)phosphine oxide)2.84重量%、下記化学式1aで表されるインドール系誘導体化合物 2.37重量%を入れた後、窒素雰囲気及び50℃の温度下にて、550rpmで5時間撹拌した。撹拌を通じて得られた化合物をガラス基板上にスピンコーティング機(ACE-200、東亜貿易社; DONG AH TRADE CORP.)を使用して880rpmの速度で23秒間作業した後、25℃の温度にて395nm波長のLED硬化機でもって窒素雰囲気下で1,500mJ/cm2の光量でもって硬化し、8μmの厚さを持つ発光素子用紫外線吸収封止材を製造した。
【0044】
【0045】
[実施例2]紫外線吸収封止材の製造
化学式1aのインドール系誘導体化合物を下記化学式1bで表されるインドール系誘導体化合物に変更したことを除いて、前記実施例1と同様に行って、発光素子用紫外線吸収封止材を製造した。
【0046】
【0047】
[実施例3]紫外線吸収封止材の製造
化学式1aのインドール系誘導体化合物を下記化学式1cで表されるインドール系誘導体化合物に変更したことを除いて、前記実施例1と同様に行って、発光素子用紫外線吸収封止材を製造した。
【0048】
【0049】
[実施例4]紫外線吸収封止材の製造
化学式1aのインドール系誘導体化合物を下記化学式1dで表されるインドール系誘導体化合物に変更したことを除いて、前記実施例1と同様に行って、発光素子用紫外線吸収封止材を製造した。
【0050】
【0051】
[実施例5]紫外線吸収封止材の製造
化学式1aのインドール系誘導体化合物を下記化学式1eで表されるインドール系誘導体化合物に変更したことを除いて、前記実施例1と同様に行って、発光素子用紫外線吸収封止材を製造した。
【0052】
【0053】
[実施例6]紫外線吸収封止材の製造
化学式1aのインドール系誘導体化合物を下記化学式1fで表されるインドール系誘導体化合物に変更したことを除いて、前記実施例1と同様に行って、発光素子用紫外線吸収封止材を製造した。
【0054】
【0055】
[実施例7]紫外線吸収封止材の製造
化学式1aのインドール系誘導体化合物を下記化学式1gで表されるインドール系誘導体化合物に変更したことを除いて、前記実施例1と同様に行って、発光素子用紫外線吸収封止材を製造した。
【0056】
【0057】
[実施例8]紫外線吸収封止材の製造
化学式1aのインドール系誘導体化合物を下記化学式1hで表されるインドール系誘導体化合物に変更したことを除いて、前記実施例1と同様に行って、発光素子用紫外線吸収封止材を製造した。
【0058】
【0059】
[実施例9]紫外線吸収封止材の製造
化学式1aのインドール系誘導体化合物を下記化学式1iで表されるインドール系誘導体化合物に変更したことを除いて、前記実施例1と同様に行って、発光素子用紫外線吸収封止材を製造した。
【0060】
【0061】
[実施例10]紫外線吸収封止材の製造
化学式1aのインドール系誘導体化合物を下記化学式1jで表されるインドール系誘導体化合物に変更したことを除いて、前記実施例1と同様に行って、発光素子用紫外線吸収封止材を製造した。
【0062】
【0063】
[比較例1]封止材の製造
化学式1aのインドール系誘導体化合物をトリアジン系UV吸収剤(BASF Tinuvin‐460)に変更したことを除いて、前記実施例1と同様に行って、発光素子用封止材を製造した。
【0064】
[比較例2]封止材の製造
化学式1aのインドール系誘導体化合物をベンゾトリアゾール系UV吸収剤(BASF Tinuvin‐P)に変更したことを除いて、前記実施例1と同様に行って、発光素子用封止材を製造した。
【0065】
[比較例3]封止材の製造
化学式1aのインドール系誘導体化合物をベンゾフェノン系UV吸収剤(BASF Chimassorb‐81)に変更したことを除いて、前記実施例1と同様に行って、発光素子用封止材を製造した。
【0066】
[試験例1]有機発光素子用封止材の初期透過率評価
紫外線-可視光線分光光度計(UV-Visible Spectrometer、Evolution 600)を利用して、実施例1ないし10及び比較例1ないし3で製造された封止材試片の透過度について、透過モードでもって300~800nmの測定を行ったのであり、その結果を下記表1に示す。
【0067】
【0068】
前記実施例1ないし10及び比較例1ないし3より製造された封止材の初期透過率を評価した結果、本発明のインドール系誘導体化合物を適用した実施例1ないし10の封止材は、比較例1ないし3の封止材に比べて初期透過率が遥かに優れることを確認することができ、これを通じて、本発明のインドール系誘導体化合物を封止材に適用すれば400nm付近の光をよく遮断することが分かった。
【0069】
[試験例2]有機発光素子用封止材の耐光透過率評価
耐光テスター機(DAESONG LABTECH社、韓国)を利用してKS C IEC61646規格によるUV処理実験を通じて(280~400nm)、前記実施例1ないし10及び比較例1ないし3より製造された封止材が、太陽光に露出される場合に応じて劣化される度合いについて試験して前後の透過度変化を測定した。この時、2,500Wのキセノンアークランプを使用して、規格にしたがい60℃の温度及び15kwh/m2の光量で光露出させたのであり、各封止材の耐光透過率を評価し、その結果を下記表2に示す。
【0070】
[試験例3]有機発光素子用封止材の耐熱透過率評価
前記実施例1ないし10及び比較例1ないし3より製造された封止材を、高温オーブン(JEIOTECH社)を利用して、外気(Air)状態にて120℃の温度で500時間加熱して各封止材の耐熱透過率を評価し、その結果を下記表2に示す。
【0071】
【0072】
前記試験例2及び3において、前記実施例1ないし10及び比較例1ないし3より製造された封止材の耐光性及び耐熱性を評価した結果を通じて、本発明のインドール系誘導体化合物を適用した実施例1ないし10の封止材は、耐熱耐光後も、短波長、すなわち405~430nmの光の遮断効果に優れることを確認することができた。
【国際調査報告】