(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-10
(54)【発明の名称】高解像度映像作成および管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20220303BHJP
H04N 21/854 20110101ALI20220303BHJP
【FI】
G06Q10/06
H04N21/854
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525057
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(85)【翻訳文提出日】2021-07-02
(86)【国際出願番号】 US2019059931
(87)【国際公開番号】W WO2020097125
(87)【国際公開日】2020-05-14
(32)【優先日】2018-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521194530
【氏名又は名称】フィルム イット ライブ,インコーポレーテッド
(71)【出願人】
【識別番号】322001989
【氏名又は名称】サルベセン,クリストファー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】サルベセン,クリストファー
【テーマコード(参考)】
5C164
5L049
【Fターム(参考)】
5C164FA29
5C164MC01P
5C164SC01S
5C164SC31S
5L049AA06
(57)【要約】
映像作成および管理システムならびにプラットフォームは、効率的、価格効率的、協調的、および安全な、撮影コンテンツまたはインタラクティブ・コンテンツの作成を可能にする。効率的に、高速で、安全に、そして協調的に高解像度撮影コンテンツを作成するためのシステムおよびプラットフォームについて記載する。このシステムは、8Kまたは他の高解像度コンテンツの価格効率的な作成および操作を可能にする、広範囲の撮影ツールおよび映像管理システムである。物語の展開から、マーケティングおよび管理を含むポスト・プロダクションまでの、映像作成プロセスの全ての段階を管理するためのインターフェースおよびツールを有する。このシステムの目的の1つは、高解像度コンテンツ作成を、業務的成果をもたらす資産に移行するのを促進することによって、芸術から商業への移行を容易にすることである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクトについてのマスタ・コンテンツ・タイムラインを作成するシステムであって、
初期プロジェクト・データに基づいてプロジェクト・タイプを決定する物語展開モジュールであって、前記プロジェクトについての初期コンテンツ・タイムラインを作成する、物語展開モジュールと、
前記初期コンテンツ・タイムラインを受け取るプリプロダクション・モジュールであって、前記プロジェクトについての制作台本が作成される、プリプロダクション・モジュールと、
未編集、未圧縮の高解像度コンテンツを受け取り、前記制作台本を複数の台本要素にセグメント化する制作モジュールであって、前記複数の台本要素を所望のシーケンスに並べ、前記高解像度コンテンツを収容する二次コンテンツ・タイムラインを作成する、制作モジュールと、
前記二次コンテンツ・タイムラインを受け取り、前記複数の台本要素を編成することによって、前記プロジェクトについてのマスタ・コンテンツ・タイムラインを作成するポスト・プロダクション・モジュールと、
を備える、システム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムであって、更に、最善の措置を使用してプロジェクト・マーケティング機能を可能にし、指針およびセキュリティ規則の順守を確保するマーケティング・モジュールを備える、システム。
【請求項3】
請求項2記載のシステムであって、前記マーケティング・モジュールが、前記プロジェクトの作成全体を通じて利用される、システム。
【請求項4】
請求項3記載のシステムであって、プロジェクト・チームの構成員に、前記マーケティング・モジュールに相関付けるコードおよび役割が割り当てられる、システム。
【請求項5】
請求項1記載のシステムであって、各モジュールが、プロジェクト・パラメータに基づいてカスタム化可能である、システム。
【請求項6】
請求項1記載のシステムであって、前記ポスト・プロダクション・プログラムが、前記マスタ・コンテンツ・タイムラインの効率的で安全な作成を可能にし、更にプロジェクト・チーム構成員間における協調を可能にする、システム。
【請求項7】
請求項1記載のシステムであって、前記制作モジュールが制作台本を受け取る、システム。
【請求項8】
請求項1記載のシステムであって、前記プロジェクト・タイプが、映像制作教義、指針、社会的影響、およびセキュリティを検査することによって決定される、システム。
【請求項9】
プロジェクトについてのマスタ・コンテンツ・タイムラインを作成する方法であって、
前記プロジェクトについての初期コンテンツ・タイムラインを作成するステップと、
前記プロジェクトについての制作台本を作成するステップと、
未編集、未圧縮の高解像度コンテンツを受け取るステップと、
高解像度コンテンツを収容する二次コンテンツ・タイムラインを作成するステップと、
複数の台本要素を編成するステップと、
前記プロジェクトについてのマスタ・コンテンツ・タイムラインを作成するステップと、
を含む、方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法であって、最善の措置を使用するプロジェクト・マーケティング機能を可能にし、指針およびセキュリティ規則の順守を確保する、方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法であって、プロジェクト・チームの構成員に、前記マーケティング・モジュールに相関付けるコードおよび役割を割り当てる、方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法であって、更に、初期プロジェクト・データを受け取り、プロジェクト・タイプを決定するステップを含む、方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法であって、更に、初期プロジェクト・データに基づいてプロジェクト・タイプを決定するステップを含む、方法。
【請求項14】
請求項9記載の方法であって、更に、初期コンテンツ・タイムラインを受け取るステップを含む、方法。
【請求項15】
請求項9記載の方法であって、高解像度コンテンツを収容する二次コンテンツ・タイムラインを作成するステップが、更に、
前記制作台本を複数の台本要素にセグメント化するステップと、
前記複数の台本要素を所望のシーケンスにコンパイルするステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互引用
[0001] 本願は、“High Resolution Film Creation and Management System”(高解像度映像作成および管理システム)と題し、2018年11月6日に出願された米国仮特許出願第62/756,567号の35U.S.C.§119(e)に基づく優先権を主張する。この特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。
発明の分野
[0002] 本発明は、高解像度撮影コンテンツ(filmed content)を作成および管理するためのソフトウェアならびにハードウェアに関する。更に特定すれば、本発明は、撮影コンテンツを操作および処理し、最終的な撮影出力を作成するためのプロセスおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0003] 8Kおよび3D撮影(filming)のように、高解像度媒体を使用して作成される撮影コンテンツの量は、急速に増加しつつある。しかしながら、現行のツール、プログラム、システム、ネットワーク等は、高解像度コンテンツを扱うのに適しておらず、扱うことすらできない。このようなデータを適切に処理し効率的に操作することができるツールは、直ぐにストレージの問題に直面する。現在の高解像度コンテンツ、殆どの場合8Kコンテンツは、従来のコンテンツよりも遙かに嵩張り(voluminous)、数桁にも及ぶ。
【0003】
[0004] 高解像度コンテンツ(ここでは、例示を容易にするために「8K」と呼ぶ)を扱うことに伴う他の問題は、コンテンツがネットワーク上を送信されるときまたはクラウドと呼ばれるリモート・サーバ上に格納されるときに(例えば、ハッキング)、あるいは物理デバイスの形態で移送されるとき(例えば、傍受される)、コンテンツの安全性を確保することである。現在、8Kコンテンツに対応する(work with)効率的で十分に安全な手段はない。これは、特に、インターネットを通じた送信を扱うときに当てはまる。この点に関して、送信のために圧縮ファイルを使用し、受信したときに解凍すると、ファイルの品質を劣化させ、元の映像作成時よりも解像度が低下するので、一般に受け入れることができず、さもなければ妥当な業界慣行に従うことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0005] 必要とされているのは、非常に効率的で、安全で、価格効率的な8Kまたは他の高解像度コンテンツの作成および操作を可能にする、幅広い撮影ツールまたは映像管理システムである。このようなシステムが、物語(story)の展開から、マーケティング、流通、および資金調達/管理を含むポスト・プロダクションまでの、映像作成プロセスの全ての段階を管理するためのインターフェースおよびツールを有すれば、有益であろう。このような映像管理システムの目的を広げ、レベルを上げれば、高解像度コンテンツ、または、更に広げれば、芸術の創作から業務的成果(business outcome)をもたらすものへの移行が容易になるであろう。言い換えると、芸術を商業に移行するのを一層容易にするシステムになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0006] 本発明の一態様では、効率的に、高速で、安全に、そして協調的に高解像度撮影コンテンツを作成するためのシステムおよびプラットフォームについて記載する。このシステムは、8Kまたは他の高解像度コンテンツの価格効率的な作成および操作を広範囲にわたって可能にする、映像作成ツールおよび映像管理システムである。これは、物語の展開から、マーケティングおよび管理を含むポスト・プロダクションまでの映像作成プロセスのあらゆる段階を管理するためのインターフェースおよびツールを有する。このシステムの目的の1つは、高解像度コンテンツの作成を、業務的成果をもたらす資産(property)に移行するのを促進することによって、芸術から商業への移行を容易にすることである。
【0006】
[0007] プロジェクトについてのマスタ・コンテンツ・タイムラインを作成するシステムについて記載する。このシステムまたはプラットフォームに含まれる1つのモジュールは、初期プロジェクト・データに基づき、プロジェクトについての初期コンテンツ・タイムラインが作成される箇所から、プロジェクト・タイプを決定する物語展開モジュール(story development module)である。他のモジュールには、初期コンテンツ・タイムラインを受け取り、プロジェクトについての制作台本を作成するプリプロダクション(pre-production)モジュールである。制作モジュールは、未編集、未圧縮の高解像度コンテンツを受け取る。これは、制作台本を複数の台本要素にセグメント化し、台本要素を所望のシーケンスに並べることによって、高解像度コンテンツを収容する二次コンテンツ・タイムラインを作成する。ポスト・プロダクション・モジュールは、二次コンテンツ・タイムラインを受け取り、複数の台本要素を編成する(composite)ことによって、プロジェクトについてのマスタ・コンテンツ・タイムラインを作成する。
【0007】
[0008] 他の実施形態では、前述のプラットフォームはマーケティング・モジュールも含む。マーケティング・モジュールは、最善の措置(best practices)を使用し、指針およびセキュリティ規則の順守を確保しつつ、プロジェクトにマーケティング機能を可能にし、プロジェクトの作成全域にわたって利用される。このモジュールおよび本明細書において説明する主要な実施形態における全てのモジュールは、プロジェクト・パラメータに基づいてカスタム化することができる。
【0008】
[0009] 本発明の他の態様は、プロジェクトについてのマスタ・コンテンツ・タイムラインを作成する方法である。初期プロジェクト・データに基づいてプロジェクト・タイプを決定し、初期コンテンツ・タイムラインを作成する。これは、制作台本(撮影台本と同様)の作成につながる。一旦主要な写真撮影または映像作成が完了したなら、あるいは撮影中(during shooting)に、システムは、未編集、未圧縮の高解像度コンテンツを受け取る。制作台本を複数の台本要素にセグメント化し、次いで所望のシーケンスにコンパイルする。高解像度コンテンツを収容する二次コンテンツ・タイムラインを作成する。複数の台本要素を編成し、プロジェクトについてのマスタ・コンテンツ・タイムラインを作成する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態による本発明の実施形態を利用することができる1つのシナリオを示すブロック図である。
【
図2】一実施形態による映像管理(film management)および作成システムの全体像を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態による展開プログラムまたは動作プラットフォームの流れ図である。
【
図4】一実施形態によるプリプロダクション・プラットフォームの動作の流れ図である。
【
図5】一実施形態による制作動作プラットフォームの流れ図である。
【
図6】一実施形態によるポスト・プロダクション動作プラットフォームの流れ図である。
【
図7】一実施形態にしたがって図示したデータ処理システム図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0010] 以下の説明では、公開する概念の完全な理解を得るために、多数の具体的な詳細を明記する。公開する概念は、これら具体的な詳細の一部または全部がなくても、実施することができる。他の場合には、説明する概念を不必要に曖昧にしないように、周知のプロセス動作については詳細に説明しないこととした。具体的な実施形態と関連付けて一部の概念について説明するが、これらの実施形態は限定を意図するのではないことは理解されよう。逆に、添付する特許請求の範囲によって定められる本開示の主旨および範囲内に含むことができる代替案、変更案、および等価物を包含することを意図している。
【0011】
[0011] 例えば、8Kで長編映画およびTVショーを映像作成するというコンテキストで、本開示のシステムおよび方法について説明する。多数の他の実施形態では、例えば、コマーシャル、トレーラ、および短編ビデオを、8K以外の他の高解像度媒体で映像作成することを含む場合もある。以下の説明では、本開示の完全な理解を得るために、多数の具体的な詳細を明記する。本開示の特定の実施形態例は、これら具体的な詳細の一部または全部がなくても、実施することができる。他方において、説明する開示を不必要に曖昧にしないために、周知のプロセス動作については詳細に説明しないこととした。本開示の種々の技法およびメカニズムについては、明確にするために、単数形で説明することもある。
【0012】
[0012] しかしながら、ある実施形態は、特に明記されなければ、ある技法の複数回の繰り返しを含むことは注記してしかるべきである。例えば、システムは種々のコンテキストにおいてプロセッサを使用する。しかしながら、特に注記されなければ、本開示の範囲内に留まりつつ、システムが複数のプロセッサを使用できることは認められよう。更に、本開示の技法およびメカニズムは、2つのエンティティ間の接続について説明することもある。尚、種々の他のエンティティが2つのエンティティ間に存在する場合もあるので、2つのエンティティ間の接続は、必ずしも直接的な、円滑な接続を意味するのではないことは、注記してしかるべきである。例えば、プロセッサがメモリに接続されるのはもっともであるが、種々のブリッジおよびコントローラがプロセッサとメモリとの間に存在する場合もあることは認められよう。したがって、特に注記されなければ、接続は、必ずしも、直接的な円滑な接続を意味するのではない。
【0013】
[0013] 一実施形態では、本発明は、8K媒体のコンテンツの映像作成を管理するためのプラットフォームである。このプラットフォームは、システム、更に具体的には、サービス・プロバイダの制御下にある1つ以上のサーバと、種々の機能を実行する複数のソフトウェア・モジュールとを含む。複数のソフトウェア・モジュールは、オペレーティング・プラットフォームとも呼ばれ、全て、物語の展開から、主要な写真撮影(photography)、編集およびポスト・プロダクションまで、8Kコンテンツの作成および管理に関係し、以下で説明するように、最終的なマスタ・タイムラインが得られる。
【0014】
[0014] 以下で説明するように、本発明の実施形態は、プロジェクトに取り組む個人の実地体験ができる在宅関与を可能にする。1つの結果は、プロジェクト・タスクおよびジョブの外部委託が減少することである。プロジェクトに取り組むあらゆる者は、プロジェクトが高予算の長編映画であれ、インタラクティブ・ビデオであれ、またはトレーラであれ、本システムにおいてカタログ化される(catalgued)。プロジェクトの工程(lifecycle)全体に関与するので、プラットフォームは、物語のアイディアから始まり、マーケティングおよび流通までの全てを含み、以下で説明するモジュールは、必要であれば、1時間毎の課金および出費を可能にし、プロジェクト全体を追跡することができる。プロジェクトの異なる段階に関係する全てのデータが分析のために格納される。格納されるデータの程度および広さ(degree and extent)は、プロジェクト指揮によって最初に設定することができる。
【0015】
[0015]
図1は、一実施形態にしたがって本発明の実施形態を利用することができる1つのシナリオを示すブロック図である。撮影班のひとり即ち構成員が、高品位カメラ102を使用して、場面106を撮影している。カメラ102は、カメラ・カード104または同等品を内蔵するか、またはそれに取り付けられる。カメラ・カードまたは他の記憶デバイスは、撮影した8Kコンテンツを収容する。カード104のような典型的なカードは、現在では、ストレージ技術が向上するに連れて、増々多くのデータ量を格納することができる。8Kコンテンツを格納するとき、このようなカードは、特にそれよりも解像度が低いデータを格納するときと比較すると、直ぐに全容量に達してしまう。例えば、8Kデータは、10分だけでも、440GBから8TBを必要とする。8Kで撮影するとき、カメラ・カード104を頻繁に取り出して交換しなければならないのは珍しいことではなく、従来の媒体に撮影するときよりも多いのは確かである(certainly more than)。
【0016】
[0016]
図2は、一実施形態による映像管理(film management)および作成システムの全体像を示すブロック図である。この図からわかるように、3つの大きなコンポーネント、高速送信ルータ202、安全高速ネットワーク206、およびクラウド・サーバ208がある。本発明の中心に位置するのはクラウド・サーバ208である。一実施形態では、クラウド・サーバ208(1つ以上の物理および/または仮想サーバ・コンピュータを表す)は、気付かれるであろうが、サード・パーティのサービス・プロバイダの制御下にあり、これによって管理され、殆どの場合これによって所有される。このサービス・プロバイダは、取り敢えず数例をあげると、映画スタジオ、制作会社、撮影班、独立映像およびTVプロデューサというような顧客に、高解像度の撮影および管理サービスを提供する。
【0017】
[0017]
図2に示すように、カメラ・カード104、または
図1において最初に引用した、他の種類の適した記憶デバイスを、挿入するか、または何らかの方法で高速送信ルータ202によって読み取り可能にする。ルータ202の1つのコンポーネントに、データ送信コンポーネント204がある。これは、大量のデータをネットワークを通じて高速で安全に送信することを可能にする。8Kビデオ・データをカード104から読み出し(unload)、コンポーネント204によって処理し、安全な高速ネットワーク206上に送信する。ネットワーク206は、専用データ・パイプ(例えば、AT&Tのような商業通信事業者によって提供されるT1またはT3ライン)にすることができる。データは、ネットワーク206上で送信され、クラウド・サーバ208によって受信される。
【0018】
[0018] サーバ208は、様々なハードウェアおよびソフトウェア・コンポーネントならびにモジュールを有する。これは、生の未編集8Kコンテンツ(または任意の他の高解像度コンテンツ)を受信する。一旦生データがクラウド・サーバ208上に来れば、その安全性が確保される。一実施形態では、データをルータから送信する商用コンポーネントが、データ内における埋め込みセキュリティ(embedded security)を設ける。クラウド・サーバ208において、ハードウェアおよびソフトウェア・コンポーネントならびにモジュールの一部は、本発明の目的に合わせてサーバを動作させることが必要な標準的な品目であり、ビデオ・ボード210(これはサーバの内部にあることも、それに接続することも可能であり、8Kデータ、3Dデータ、およびその他を扱うことができる)、オペレーティング・システム212、ならびに入力/出力ハードウェアおよびインターフェース214があげられる。これらのコンポーネントは、本発明を実施するために、標準的な構成から変更されている場合もあるが、これらは本発明の実施形態に必須ではない。他の標準的なコンポーネントに、ストレージ216がある。このストレージは、従来のストレージであるが、格納できるデータの分量(volume)が多い。当然、必要に応じて、テラまたはペタバイトの桁まで(to the order of)、記憶量(amount)を拡張することができる。また、ストレージは、別の物理サーバ内にあることも可能である。いずれの場合でも、従来の手段を使用すれば、この記憶量を得ることができ、このストレージをどのように実装するか解明することができる。
【0019】
[0019] 代替実施形態では、クラウド・サーバ208が、編集済みの8Kコンテンツを、1つ以上のルータまたはコンピュータのような、他のデバイスに送信する必要がある場合もある。したがって、サーバ208は、高速および大容量ルータまたはコンポーネントも内部に有し、それと協働して動作するのでもよい。例えば、編集チームがクラウド・サーバ208から、世界中の異なる場所にいる個人またはエンティティに送信することが必要になる場合もある。しかしながら、これは代替実施形態であり、他の要件を有する場合もある。
【0020】
[0020] 動作プラットフォーム218は、複数のソフトウェア・モジュールまたはプログラムによって構成される。以下で更に詳しく説明するが、これらのプログラムの各々は、顧客の要望を満たすために、サービス・プロバイダによってカスタム化することができる。一般に、プログラムは、例えば、映像制作者(filmmaker)または制作会社の要望を満たすため、そして映像制作者または制作会社に指針を与えるために、個別制作または修正することができる。この指針は、学術的映像制作指針から、撮影、マーケティング、流通、ならびに新たなコンテンツを作成し広める他のファセット(facet)および段階についての常識的な指針を与えるものまで、多種多様に及ぶことができる。動作プラットフォームは、物語展開プログラム、プリプロダクション・プログラム、制作プログラム、ポスト・プロダクション・プログラム、ならびにマーケティング、流通、および会計/一般管理のためのプラットフォームを含むことができる。
【0021】
[0021]
図3は、一実施形態による展開プログラムまたは動作プラットフォームの流れ図である。ステップ302において、展開プログラムは、サービス・プロバイダによって運営されるクラウド・サーバ208において実行し、高レベルの物語の趣向、更に具体的には、ユーザが撮影しようとするコンテンツについてのデータを入力として受け入れる。これは、通例、全体的な物語の概要を記述する説明文であり、または概要が未だ形成されていない場合は、概略的な物語の趣向である。ユーザまたは映像制作者からの入力を細分し、どのような種類の物語なのか判定する。ステップ304において、物語データを分析して、物語の趣向の種類または分類を判定する。物語分類の例をいくつかあげると、コマーシャル、短編ビデオ、連続テレビ番組、長編映画、ドキュメンタリー、インタラクティブ、ファンタジー・スポーツ、e-ゲーミング等がある。また、物語の趣向を分析して、この物語の趣向はどのような聴衆層を引きつけるか、またはどのような聴衆層がこの物語の趣向に最も適しているか判定する。
【0022】
[0022] 一旦物語の趣向が1つ以上のカテゴリに分類されたなら、ステップ306においてしかるべき名称をつける。例えば、物語の趣向は、長編映画カテゴリおよび連続TV番組カテゴリに分類されるのでもよい。勿論、物語の趣向のカテゴリ数および種類は、ときの経過と共に変化する可能性があり、異なるチャネルおよび撮影されたコンテンツを流通するための小売り店(outlet)の数は増え続ける可能性が高い。端的に言うと、展開プログラムは、映像制作者(film maker)を、彼または彼女のコンテンツにとって正しい「場所」(room)に誘導する。これは、映像制作の学術的教義、常識的な指針、ならびに社会的影響およびセキュリティというような他の特徴(feature)の混合を使用して行われる。
【0023】
[0023] ステップ308において、初期タイムラインを作成する。1つの物語の趣向、またはせいぜい1つの物語の概要が入力として展開プログラムに供給されるとすると、ステップ308において作成される初期タイムラインは初歩的である。これは、例えば、長編映画の第1、第2、および第3の見せ場(act)の短い記述を示すのみであってもよい。ここで、タイムラインの概念は、コンテンツの根底にある基礎および構造であるということを注記することは役に立つであろう。何故なら、これは展開プログラムから発展し、ポスト・プロダクション・プログラムに至るまでの全工程があるからである。言い換えると、プロジェクトはタイムラインに基づく。したがって、本発明の高解像度映像作成および管理システムの手法は、少なくとも部分的に、プロセスの各段階におけるコンテンツ・タイムラインの発展(evolution)に重点を置く。
【0024】
[0024] 一旦ステップ308において初期タイムラインが作成されたなら、展開プログラムにおけるプロセスは完了する。展開プログラムからの出力は、展開プログラムがどれ位多くの入力を映像制作者から受け取るかに応じて、初期タイムラインおよび物語のあらすじ、または台本(treatment)(この用語が映画およびTV業界において使用される意味)であってもよい。
【0025】
[0025]
図4は、一実施形態によるプリプロダクション・プラットフォームの動作の流れ図である。このプログラムは、あらすじ、台本、および/または初期タイムラインのような出力を、展開動作プラットフォームから取り込み、本質的に、それを分析して制作台本(production script)にする。制作台本とは、この用語が映画およびTV業界において定められる通りのものである。即ち、展開プログラムの出力を、撮影(shooting)に使用することができる台本に変換する一連の機能を実行する。撮影(shooting)は、実制作(physical production)または主要撮影(principal photography)とも呼ばれる。ステップ402において、プリプロダクション・プログラムは、初期タイムラインおよび、物語の趣向のあらすじまたは台本というような、その他の出力を、展開プログラムから受け取る。ステップ404において、この入力を処理して、制作台本または撮影台本を作成する。この台本の詳細度(level of detail)は、映像制作者またはユーザによって提供される入力量によって異なるのはもっともであろう。一実施形態では、ユーザは、展開プログラムの実行終了時に、物語についてもっと多くの入力を追加して、プリプロダクション・プログラムの出力を一層詳細および有用にすることもできる。
【0026】
[0026]
図5は、一実施形態による制作動作プラットフォームの流れ図である。このプロセスが実行する前には、映像制作者は、(プロジェクトによって要求される場合)生の未編集8K撮影コンテンツを撮影し終えている。言い換えると、プロジェクトの主要部分は、プリプロダクション・プログラムと制作プログラムとの間で行われており、必要であれば、主要撮影が開始されている。したがって、注記したように、本システムは、この時点で生の8Kコンテンツ、およびプリプロダクション・プログラムからの出力を有する。この出力は、一実施形態では、撮影台本である。
【0027】
[0027] ステップ502において、プログラムは、その日(または映像制作者によって選択された任意の適した時間期間中)に作成された撮影台本および8Kファイルを受け取る。8Kコンテンツ・ファイルは、先に
図1および
図2において説明した手段を通じて、クラウド・サーバ208によって受信される。ステップ504において、撮影台本を検査し、シーケンス、場面、および映像制作者によって望まれる場合には、間(beat)のような、他の台本要素にセグメント化(分解)する。説明する実施形態では、台本は、基本的な台本セグメント、即ち、場面に分解される。映像制作者には、撮影およびコンパイルし、次いで必要な回数だけこのプロセスを繰り返す機会が与えられる。例えば、映像制作者は、同じ場面を5回撮影し、その場面の異なる部分をコンパイルして、完全な最終場面(即ち、コンパイル段階)にすることができる。
【0028】
[0028] 本発明のクラウド・サーバ208および動作プラットフォーム218は、8Kまたは他の高解像度データのこの種のリアル・タイム「撮影-コンパイル-繰り返し」プロセスを、高速に、協調的に、そして安全に実行し易くする。ステップ506において、高解像度コンテンツの時間期間において、主要コンテンツまたは撮影タイムラインを作成する。これは以前では商業的に実現できなかったことである。この主要タイムラインは、この時点で視聴する(view)または見る(see)ことができる場面を有し、更に、「撮影-コンパイル-繰り返し」プロセスを経た場面を収容する。主要タイムラインは、(特定のプロジェクトに必要な場合)複数の関係者から入力され、全ての意志決定者が、このタイムラインを構成する場面に同意している。制作動作プラットフォームの出力は、コンテンツについての主要または一次(main or primary)タイムラインであり、視聴することができる場面を含むタイムラインである。
【0029】
[0029]
図6は、一実施形態によるポスト・プロダクション動作プラットフォームの流れ図である。ポスト・プロダクション・プログラムでは、大きな8Kコンテンツ・ファイルを送信するために、接続を必要とする。これらのファイルは、コンテンツを編成する(composite)ことを責務とする個人またはエンティティに送信される。当業界では知られているが、編成(composite)とは映像素材(footage)に対して行われるアクティビティである。これらには、コンピュータ・グラフィクス、スタジオ作業、および他の従来からのポスト・プロダクション作業が含まれる。編成にはこのような変更の全てが含まれる。ステップ602において、ポスト・プロダクション・プログラムは、コンテンツについての主要タイムラインを受け取る。タイムライン上で、何らかの暫定的または後編集(post-editing)が行われることもある。この後編集は、個人によっておこなわれる。この個人のことを当業界では「ポスト・エディタ」と呼ぶ。
【0030】
[0030] ステップ604において、ポスト・プロダクション・チームにおいて個人によるこのようなアクティビティに従来から使用されているツール、アプリケーション、およびソフトウェアを使用して、先に説明した編成を実行する。ステップ606において、ポスト・プロダクション・プログラムは、マスタ・タイムラインと呼ばれるもの、即ち、最終的な8Kコンテンツ(TVショー、長編映画、広告、短編ビデオ、映画のトレーラ等)を作成する。このマスタ・タイムラインは、従来のツールおよび方法の下で可能であるよりも遙かに短い時間で作成され、更に安全に、そして全ての創作および技術チームの構成員からの協調ならびに入力を確保するように行われる。
【0031】
[0031] 先に注記したように、クラウド・サーバ208は、マスタ・タイムラインの作成には直接関係ない他の動作プラットフォームを有する。これらには、流通プラットフォームまたはモジュール、マーケティング・モジュール、および資金調達/管理モジュールが含まれる。
【0032】
[0032] 一実施形態では、マーケティング・モジュールは、映像制作者のチームがマーケティング機能を実行することを可能にする。このモジュールは、マーケティング動作が成功する可能性が高くなるように、映画およびTVの最善の措置、常識的なマーケティング原理、およびその他のマーケティング規則を組み込む。マーケティング・モジュールの重要な一面(aspect)は、これがマーケティング指針および規則、具体的には、プロジェクトのセキュリティに関する規則の順守を確保することによって、漏洩を防止する策を講じることである。これは、プロジェクトが撮影および制作されている間に行われる。即ち、以上で説明したモジュールが使用されている間に行われる。
【0033】
[0033] 一実施形態では、プロジェクトに関わる各人、例えば、映像制作者のチームまたは班がカタログ化され、マーケティングおよび他のモジュールに相関付けるコードおよび役割が割り当てられる。他のモジュールに流通モジュールがある。流通モジュールは、プロジェクト・リーダが一緒に作業する特定の制作会社またはスタジオに対して、とりわけ、映画フォーマット、ゲーム・フォーマットのようなプロトコルおよび指針を組み込む。プロジェクトは、特定の制作会社またはスタジオの規則および指針を順守しなければならない。これらの規則が守られ、これらがプロジェクトの撮影および作成と同時に行われることを確保するのに、流通モジュールが役立つことが肝要である。また、流通モジュールは、撮影されたコンテンツの直接的なスタジオまたは制作会社への配布または送信も可能にする。先に論じたように、これは、作成されるファイルの分量およびサイズを考慮すると、重要な一面である。
【0034】
[0034]
図7は、ある実施形態にしたがって図示したデータ処理システム700の図である。データ処理システム700は、先に説明した種々のシステムのコントローラまたは他のコンポーネントにおいて使用される1つ以上のコンピュータを実装するために使用することができる。ある実施形態では、データ処理システム700は、通信フレームワーク702を含む。通信フレームワーク702は、プロセッサ・ユニット704、メモリ706、永続的ストレージ708、通信ユニット710、入力/出力(I/O)ユニット712、およびディスプレイ714間における通信を受け持つ。この例では、通信フレームワーク702はバス・システムの形態をなすのでもよい。
【0035】
[0035] プロセッサ・ユニット704は、メモリ706にロードすることができるソフトウェアの命令を実行する役割を果たす。プロセッサ・ユニット704は、個々の実施態様に応じて、ある数のプロセッサ、マルチプロセッサ・コア、または何らかの他の種類のプロセッサであってもよい。
【0036】
[0036] メモリ706および永続的ストレージ708は、記憶デバイス716の例である。記憶デバイスは、例えば、限定ではなく、データ、機能形態のプログラム・コード、および/または一時的および/または永続的のいずれかの他の適した情報というような、情報を格納することができる任意のハードウェアである。また、記憶デバイス716は、これらの実例では、コンピュータ読み取り可能記憶デバイスと呼ぶこともできる。メモリ706は、他の例では、例えば、ランダム・アクセス・メモリあるいは任意の他の適した揮発性または不揮発性記憶デバイスでもよい。永続的ストレージ708は、個々の実施態様に応じて、種々の形態をなすことができる。例えば、永続的ストレージ708は、1つ以上のコンポーネントまたはデバイスを内蔵してもよい。例えば、永続的ストレージ708は、ハード・ドライブ、フラッシュ・メモリ、再書き込み可能光ディスク、再書き込み可能磁気テープ、または以上のものの何らかの組み合わせでもよい。永続的ストレージ708によって使用される媒体は、リムーバブルであってもよい。例えば、リムーバル・ハード・ドライブが永続的ストレージ708に使用されてもよい。
【0037】
[0037] 通信ユニット710は、これらの実例では、他のデータ処理システムまたはデバイスとの通信を可能にする。これらの実例では、通信ユニット710はネットワーク・インターフェース・カードである。
【0038】
[0038] 入力/出力ユニット712は、データ処理システム700に接続することができる他のデバイスとのデータの入力および出力を可能にする。例えば、入力/出力ユニット712は、キーボード、マウス、および/または何らかの他の適した入力デバイスを通じたユーザ入力のために、接続を設けることができる。更に、入力/出力ユニット712は出力をプリンタに送ることができる。ディスプレイ714は、情報をユーザに表示するメカニズムを設ける。
【0039】
[0039] オペレーティング・システム、アプリケーション、および/またはプログラムの命令は、記憶デバイス716に配置することができる。記憶デバイス716は、通信フレームワーク702を介して、プロセッサ・ユニット704と通信する。異なる実施形態のプロセスは、プロセッサ・ユニット704によって、コンピュータ実装命令を使用して実行することもできる。コンピュータ実装命令は、メモリ706のようなメモリに配置することができる。
【0040】
[0040] これらの命令は、プログラム・コード、コンピュータ使用可能プログラム・コード、またはコンピュータ読み取り可能プログラム・コードと呼ばれ、プロセッサ・ユニット704内にあるプロセッサによって読み取って実行することができる。異なる実施形態におけるプログラム・コードは、メモリ706または永続的ストレージ708のような、異なる物理またはコンピュータ読み取り可能記憶媒体上に具体化することもできる。
【0041】
[0041] プログラム/コード718は、機能的形態で、選択的にリムーバブルなコンピュータ読み取り可能媒体720上に配置され、プロセッサ・ユニット704による実行のために、データ処理システム700上にロードすることができ、またはデータ処理システム700に送信することができる。プログラム・コード718およびコンピュータ読み取り可能媒体720は、これらの実例では、コンピュータ・プログラム製品722を形成する。一例では、コンピュータ読み取り可能媒体720は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体724またはコンピュータ読み取り可能信号媒体726であってもよい。
【0042】
[0042] これらの実例では、コンピュータ読み取り可能記憶媒体724は、プログラム・コード718を伝搬または送信する媒体ではなく、プログラム・コード718を格納するために使用される物理または有形記憶デバイスである。
【0043】
[0043] あるいは、コンピュータ読み取り可能信号媒体726を使用して、プログラム・コード718をデータ処理システム700に送信することもできる。コンピュータ読み取り可能信号媒体726は、例えば、プログラム・コード718を収容する伝搬データ信号であってもよい。例えば、コンピュータ読み取り可能信号媒体726は、電磁信号、光信号、および/または任意の他の適した型の信号でもよい。これらの信号は、ワイヤレス通信チャネル、光ファイバ・ケーブル、同軸ケーブル、ワイヤ、および/または任意の他の適した型の通信チャネルというような、通信チャネルを通じて送信することができる。
【0044】
[0044] データ処理システム700について図示した異なるコンポーネントは、異なる実施形態を実現することができる方法に、構造的な限定(architectural limitations)を規定することを意味するのではない。異なる例示的な実施形態は、データ処理システム700について図示したコンポーネントに加えて、および/またはその代わりに、コンポーネントを含むデータ処理システムにおいて実現することもできる。
図7に示す他のコンポーネントを、図示する実例から変更することができる。プログラム・コード718を実行することができる任意のハードウェア・デバイスまたはシステムを使用して、異なる実施形態を実現することもできる。
【0045】
[0045] 尚、本開示は、図示した具体的な例には限定されないこと、そして変更および他の例も添付する請求項の範囲内に含まれることを意図していることは理解されよう。更に、以上の説明および関連図面は、エレメントおよび/または機能の特定の例示的な組み合わせのコンテキストで、本開示の例について説明したが、エレメントおよび/または機能の異なる組み合わせも、添付する請求項の範囲から逸脱することなく、代替実施態様によって提供できることは、認められてしかるべきである。したがって、添付する請求項において括弧書きにした参照番号は、例示の目的に限って提示されるのであって、特許請求する主題の範囲を、本開示において示した具体的な例に限定することを意図するのではない。
【手続補正書】
【提出日】2021-07-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、高解像度撮影コンテンツ(filmed content)を作成および管理するためのソフトウェアならびにハードウェアに関する。更に特定すれば、本発明は、撮影コンテンツを操作および処理し、最終的な撮影出力を作成するためのプロセスおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 8Kおよび3D撮影(filming)のように、高解像度媒体を使用して作成される撮影コンテンツの量は、急速に増加しつつある。しかしながら、現行のツール、プログラム、システム、ネットワーク等は、高解像度コンテンツを扱うのに適しておらず、企業のクラウドにおいてオン・ラインで扱うことすらできない。このようなデータを適切に処理し効率的に操作することができるツールは、直ぐにストレージの問題に直面する。現在の高解像度コンテンツ、殆どの場合8Kコンテンツは、従来のコンテンツよりも遙かに嵩張り(voluminous)、数桁にも及ぶ。
【0003】
[0003] 高解像度コンテンツ(ここでは、例示を容易にするために「8K」と呼ぶ)を扱うことに伴う他の問題は、コンテンツがネットワーク上を送信されるときまたはクラウドと呼ばれるリモート・サーバ上に格納されるときに(例えば、ハッキング)、あるいは物理デバイスの形態で移送されるとき(例えば、傍受される)、コンテンツの安全性を確保することである。現在、オン・ラインで8Kコンテンツに対応する(work with)効率的で十分に安全な手段はない。これは、特に、インターネットを通じた送信を扱うときに当てはまる。この点に関して、送信のために圧縮ファイルを使用し、受信したときに解凍すると、ファイルの品質を劣化させ、元の映像作成時よりも解像度が低下するので、一般に受け入れることができず、さもなければ妥当な業界慣行に従うことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004] 必要とされているのは、非常に効率的で、安全で、価格効率的な8Kまたは他の高解像度コンテンツの作成および操作を可能にする、幅広い撮影ツールまたは映像管理システム(人工知能をサポートする)である。このようなシステムが、専門家の制作の全ての側面(例えば、開発、ブランディング、協調、財政/人的資源、プリプロダクション、制作、ポスト・プロダクション、マーケティング、および流通)を扱うクラウド・プラットフォームを含む、物語(story)の展開からポスト・プロダクションまで、そして専門家の顧客のメディア完成までの、映像作成プロセスの全ての段階を管理するためのインターフェースおよびツールを有すれば、有益であろう。このような映像管理システムの目的を広げ、レベルを上げれば、高解像度コンテンツ、または、更に広げれば、芸術の創作から業務的成果(business outcome)をもたらすものへの移行が容易になるであろう。言い換えると、芸術を商業に移行するのを一層容易にするシステムになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0001] 本発明の一態様では、効率的に、高速で、安全に、そして協調的に高解像度撮影コンテンツを作成するためのシステムおよびプラットフォームについて記載する。このシステムは、8Kまたは他の高解像度コンテンツの価格効率的な作成および操作を広範囲にわたって可能にする、映像作成ツールおよび映像管理システムである。これは、物語の展開から、マーケティングおよび管理を含むポスト・プロダクションまでの映像作成プロセスのあらゆる段階を管理するためのインターフェースおよびツールを有する。このシステムの目的の1つは、高解像度コンテンツの作成を、業務的成果をもたらす資産(property)に移行するのを促進することによって、芸術から商業への移行を容易にすることである。
【0006】
[0002] プロジェクトについてのマスタ・コンテンツ・タイムラインを作成するシステムについて記載する。このシステムまたはプラットフォームに含まれる1つのモジュールは、初期プロジェクト・データに基づき、プロジェクトについての初期コンテンツ・タイムラインが作成される箇所から、プロジェクト・タイプを決定する物語展開モジュール(story development module)である。他のモジュールには、初期コンテンツ・タイムラインを受け取り、プロジェクトについての制作台本を作成するプリプロダクション(pre-production)モジュールである。制作モジュールは、未編集、未圧縮の高解像度コンテンツを受け取る。これは、制作台本を複数の台本要素にセグメント化し、台本要素を所望のシーケンスに並べることによって、高解像度コンテンツを収容する二次コンテンツ・タイムラインを作成する。ポスト・プロダクション・モジュールは、二次コンテンツ・タイムラインを受け取り、複数の台本要素を編成する(composite)ことによって、プロジェクトについてのマスタ・コンテンツ・タイムラインを作成する。
【0007】
[0003] 他の実施形態では、前述のプラットフォームはマーケティング・モジュールも含む。マーケティング・モジュールは、最善の措置(best practices)を使用し、指針およびセキュリティ規則の順守を確保しつつ、プロジェクトにマーケティング機能を可能にし、プロジェクトの作成全域にわたって利用される。このモジュールおよび本明細書において説明する主要な実施形態における全てのモジュールは、プロジェクト・パラメータに基づいてカスタム化することができる。
【0008】
[0004] 本発明の他の態様は、プロジェクトについてのマスタ・コンテンツ・タイムラインを作成する方法である。初期プロジェクト・データに基づいてプロジェクト・タイプを決定し、初期コンテンツ・タイムラインを作成する。これは、制作台本(撮影台本と同様)の作成につながる。一旦主要な写真撮影または映像作成が完了したなら、あるいは撮影中(during shooting)に、システムは、未編集、未圧縮の高解像度コンテンツを受け取る。制作台本を複数の台本要素にセグメント化し、次いで所望のシーケンスにコンパイルする。高解像度コンテンツを収容する二次コンテンツ・タイムラインを作成する。複数の台本要素を編成し、プロジェクトについてのマスタ・コンテンツ・タイムラインを作成する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態による本発明の実施形態を利用することができる1つのシナリオを示すブロック図である。
【
図2】一実施形態による映像管理(film management)および作成システムの全体像を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態による展開プログラムまたは動作プラットフォームの流れ図である。
【
図4】一実施形態によるプリプロダクション・プラットフォームの動作の流れ図である。
【
図5】一実施形態による制作動作プラットフォームの流れ図である。
【
図6】一実施形態によるポスト・プロダクション動作プラットフォームの流れ図である。
【
図7】一実施形態にしたがって図示したデータ処理システム図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0005] 以下の説明では、公開する概念の完全な理解を得るために、多数の具体的な詳細を明記する。公開する概念は、これら具体的な詳細の一部または全部がなくても、実施することができる。他の場合には、説明する概念を不必要に曖昧にしないように、周知のプロセス動作については詳細に説明しないこととした。具体的な実施形態と関連付けて一部の概念について説明するが、これらの実施形態は限定を意図するのではないことは理解されよう。逆に、添付する特許請求の範囲によって定められる本開示の主旨および範囲内に含むことができる代替案、変更案、および等価物を包含することを意図している。
【0011】
[0006] 例えば、8Kで長編映画およびTVショーを映像作成するというコンテキストで、本開示のシステムおよび方法について説明する。多数の他の実施形態では、例えば、コマーシャル、トレーラ、および短編ビデオを、8K以外の他の高解像度媒体で映像作成することを含む場合もある。以下の説明では、本開示の完全な理解を得るために、多数の具体的な詳細を明記する。本開示の特定の実施形態例は、これら具体的な詳細の一部または全部がなくても、実施することができる。他方において、説明する開示を不必要に曖昧にしないために、周知のプロセス動作については詳細に説明しないこととした。本開示の種々の技法およびメカニズムについては、明確にするために、単数形で説明することもある。
【0012】
[0007] しかしながら、ある実施形態は、特に明記されなければ、ある技法の複数回の繰り返しを含むことは注記してしかるべきである。例えば、システムは種々のコンテキストにおいてプロセッサを使用する。しかしながら、特に注記されなければ、本開示の範囲内に留まりつつ、システムが複数のプロセッサを使用できることは認められよう。更に、本開示の技法およびメカニズムは、2つのエンティティ間の接続について説明することもある。尚、種々の他のエンティティが2つのエンティティ間に存在する場合もあるので、2つのエンティティ間の接続は、必ずしも直接的な、円滑な接続を意味するのではないことは、注記してしかるべきである。例えば、プロセッサがメモリに接続されるのはもっともであるが、種々のブリッジおよびコントローラがプロセッサとメモリとの間に存在する場合もあることは認められよう。したがって、特に注記されなければ、接続は、必ずしも、直接的な円滑な接続を意味するのではない。
【0013】
[0008] 一実施形態では、本発明は、8K媒体のコンテンツの映像作成を管理するためのプラットフォームである。このプラットフォームは、システム、更に具体的には、サービス・プロバイダの制御下にある1つ以上のサーバと、種々の機能を実行する複数のソフトウェア・モジュールとを含む。複数のソフトウェア・モジュールは、オペレーティング・プラットフォームとも呼ばれ、全て、物語の展開から、主要な写真撮影(photography)、編集およびポスト・プロダクションまで、8Kコンテンツの作成および管理に関係し、以下で説明するように、最終的なマスタ・タイムラインが得られる。
【0014】
[0009] 以下で説明するように、本発明の実施形態は、プロジェクトに取り組む個人の実地体験ができる在宅関与を可能にする。1つの結果は、プロジェクト・タスクおよびジョブの外部委託が減少することである。プロジェクトに取り組むあらゆる者は、プロジェクトが高予算の長編映画であれ、インタラクティブ・ビデオであれ、またはトレーラであれ、本システムにおいてカタログ化される(catalgued)。プロジェクトの工程(lifecycle)全体に関与するので、プラットフォームは、物語のアイディアから始まり、マーケティングおよび流通までの全てを含み、以下で説明するモジュールは、必要であれば、1時間毎の課金および出費を可能にし、プロジェクト全体を追跡することができる。プロジェクトの異なる段階に関係する全てのデータが分析のために格納される。格納されるデータの程度および広さ(degree and extent)は、プロジェクト指揮によって最初に設定することができる。
【0015】
[0010]
図1は、一実施形態にしたがって本発明の実施形態を利用することができる1つのシナリオを示すブロック図である。撮影班のひとり即ち構成員が、高品位カメラ102を使用して、場面106を撮影している。カメラ102は、カメラ・カード104または同等品を内蔵するか、またはそれに取り付けられる。カメラ・カードまたは他の記憶デバイスは、撮影した8Kコンテンツを収容する。カード104のような典型的なカードは、現在では、ストレージ技術が向上するに連れて、増々多くのデータ量を格納することができる。8Kコンテンツを格納するとき、このようなカードは、特にそれよりも解像度が低いデータを格納するときと比較すると、直ぐに全容量に達してしまう。例えば、
12分撮影しただけの8K生データでも、1枚のカメラ・カード上の440ギガバイト(最大容量)のディジタル・ストレージを必要とする。8Kで撮影するとき、カメラ・カード104を頻繁に取り出して交換しなければならないのは珍しいことではなく、従来の媒体に撮影するときよりも多いのは確かである(certainly more than)。
【0016】
[0011]
図2は、一実施形態による映像管理(film management)および作成システムの全体像を示すブロック図である。この図からわかるように、3つの大きなコンポーネント、高速送信ルータ202、安全高速ネットワーク206、およびクラウド・サーバ208がある。本発明の中心に位置するのはクラウド・サーバ208である。一実施形態では、クラウド・サーバ208(1つ以上の物理および/または仮想サーバ・コンピュータを表す)は、気付かれるであろうが、サード・パーティのサービス・プロバイダの制御下にあり、これによって管理され、殆どの場合これによって所有される。このサービス・プロバイダは、取り敢えず数例をあげると、映画スタジオ、制作会社、撮影班、独立映像およびTVプロデューサというような顧客に、高解像度の撮影および管理サービスを提供する。
【0017】
[0012]
図2に示すように、カメラ・カード104、または
図1において最初に引用した、他の種類の適した記憶デバイスを、挿入するか、または何らかの方法で高速送信ルータ202によって読み取り可能にする。ルータ202の1つのコンポーネントに、データ送信コンポーネント204がある。
一実施形態では、このコンポーネントはルータ(例えば、ネットワーク・アプライアンス)でもよい。これは、大量のデータをネットワークを通じて高速で安全に送信することを可能にする。8Kビデオ・データをカード104から読み出し(unload)、コンポーネント204によって処理し、安全な高速ネットワーク206上に送信する。ネットワーク206は、専用データ・パイプ(例えば、AT&Tのような商業通信事業者によって提供されるT1またはT3ライン)にすることができる。データは、ネットワーク206上で送信され、クラウド・サーバ208によって受信される。
【0018】
[0013] サーバ208は、様々なハードウェアおよびソフトウェア・コンポーネントならびにモジュールを有する。これは、生の未編集8Kコンテンツ(または任意の他の高解像度コンテンツ)を受信する。一旦生データがクラウド・サーバ208上に来れば、その安全性が確保される。一実施形態では、データをルータから送信する商用コンポーネント(例えば、ネットワーク・アプライアンス)が、データ内における埋め込みセキュリティ(embedded security)を設ける。クラウド・サーバ208において、ハードウェアおよびソフトウェア・コンポーネントならびにモジュールの一部は、本発明の目的に合わせてサーバを動作させることが必要な標準的な品目であり、ビデオ・ボード210(これはサーバの内部にあることも、それに接続することも可能であり、8Kデータ、3Dデータ、およびその他を扱うことができる)、オペレーティング・システム212、ならびに入力/出力ハードウェアおよびインターフェース214があげられる。これらのコンポーネントは、本発明を実施するために、標準的な構成から変更されている場合もあるが、これらは本発明の実施形態に必須ではない。他の標準的なコンポーネントに、ストレージ216がある。このストレージは、従来のストレージであるが、格納できるデータの分量(volume)が多い。当然、必要に応じて、テラまたはペタバイトの桁まで(to the order of)、記憶量(amount)を拡張することができる。また、ストレージは、別の物理サーバ内にあることも可能である。いずれの場合でも、従来の手段を使用すれば、この記憶量を得ることができ、このストレージをどのように実装するか解明することができる。
【0019】
[0014] 代替実施形態では、クラウド・サーバ208が、編集済みの8Kコンテンツを、1つ以上のルータまたはコンピュータのような、他のデバイスに送信する必要がある場合もある。したがって、サーバ208は、ルータ(例えば、ネットワーク・アプライアンス)またはコンポーネントも内部に有し、それと協働して動作するのでもよい。例えば、編集チームがクラウド・サーバ208から、世界中の異なる場所にいる個人またはエンティティに送信することが必要になる場合もある。しかしながら、これは代替実施形態であり、他の要件を有する場合もある。クラウド・サーバ208の基本構成は、ルータ(例えば、ネットワーク・アプライアンス)も同等のコンポーネントも含まない。
【0020】
[0015] 動作プラットフォーム218は、複数のソフトウェア・モジュールまたはプログラムによって構成される。以下で更に詳しく説明するが、これらのプログラムの各々は、顧客の要望を満たすために、サービス・プロバイダによってカスタム化することができる。一般に、プログラムは、例えば、映像制作者(filmmaker)または制作会社の要望を満たすため、そして映像制作者または制作会社に指針を与えるために、個別制作または修正することができる。この指針は、学術的映像制作指針から、撮影、マーケティング、流通、ならびに新たなコンテンツを作成し広める他のファセット(facet)および段階についての常識的な指針を与えるものまで、多種多様に及ぶことができる。動作プラットフォームは、物語展開プログラム、プリプロダクション・プログラム、制作プログラム、ポスト・プロダクション・プログラム、ならびにマーケティング、流通、および会計/一般管理のためのプラットフォームを含むことができる。
【0021】
[0016]
図3は、一実施形態による展開プログラムまたは動作プラットフォームの流れ図である。ステップ302において、展開プログラムは、サービス・プロバイダによって運営されるクラウド・サーバ208において実行し、高レベルの物語の趣向、更に具体的には、ユーザが撮影しようとするコンテンツについてのデータを入力として受け入れる。これは、通例、全体的な物語の概要を記述する説明文であり、または概要が未だ形成されていない場合は、概略的な物語の趣向である。ユーザまたは映像制作者からの入力を細分し、どのような種類の物語なのか判定する。ステップ304において、物語データを分析して、物語の趣向の種類または分類を判定する。物語分類の例をいくつかあげると、コマーシャル、短編ビデオ、連続テレビ番組、長編映画、ドキュメンタリー、インタラクティブ、ファンタジー・スポーツ、e-ゲーミング等がある。また、物語の趣向を分析して、この物語の趣向はどのような聴衆層を引きつけるか、またはどのような聴衆層がこの物語の趣向に最も適しているか判定する。
【0022】
[0017] 一旦物語の趣向が1つ以上のカテゴリに分類されたなら、ステップ306においてしかるべき名称をつける。例えば、物語の趣向は、長編映画カテゴリおよび連続TV番組カテゴリに分類されるのでもよい。勿論、物語の趣向のカテゴリ数および種類は、ときの経過と共に変化する可能性があり、異なるチャネルおよび撮影されたコンテンツを流通するための小売り店(outlet)の数は増え続ける可能性が高い。端的に言うと、展開プログラムは、映像制作者(film maker)を、彼または彼女のコンテンツにとって正しい「場所」(room)に誘導する。これは、映像制作の学術的教義、常識的な指針、ならびに社会的影響およびセキュリティというような他の特徴(feature)の混合を使用して行われる。
【0023】
[0018] ステップ308において、初期タイムラインを作成する。1つの物語の趣向、またはせいぜい1つの物語の概要が入力として展開プログラムに供給されるとすると、ステップ308において作成される初期タイムラインは初歩的である。これは、例えば、長編映画の第1、第2、および第3の見せ場(act)の短い記述を示すのみであってもよい。ここで、タイムラインの概念は、コンテンツの根底にある基礎および構造であるということを注記することは役に立つであろう。何故なら、これは展開プログラムから発展し、ポスト・プロダクション・プログラムに至るまでの全工程があるからである。言い換えると、プロジェクトはタイムラインに基づく。したがって、本発明の高解像度映像作成および管理システムの手法は、少なくとも部分的に、プロセスの各段階におけるコンテンツ・タイムラインの発展(evolution)に重点を置く。
【0024】
[0019] 一旦ステップ308において初期タイムラインが作成されたなら、展開プログラムにおけるプロセスは完了する。展開プログラムからの出力は、展開プログラムがどれ位多くの入力を映像制作者から受け取るかに応じて、初期タイムラインおよび物語のあらすじ、または台本(treatment)(この用語が映画およびTV業界において使用される意味)であってもよい。
【0025】
[0020]
図4は、一実施形態によるプリプロダクション・プラットフォームの動作の流れ図である。このプログラムは、あらすじ、台本、および/または初期タイムラインのような出力を、展開動作プラットフォームから取り込み、本質的に、それを分析して制作台本(production script)にする。制作台本とは、この用語が映画およびTV業界において定められる通りのものである。即ち、展開プログラムの出力を、撮影(shooting)に使用することができる台本に変換する一連の機能を実行する。撮影(shooting)は、実制作(physical production)または主要撮影(principal photography)とも呼ばれる。ステップ402において、プリプロダクション・プログラムは、初期タイムラインおよび、物語の趣向のあらすじまたは台本というような、その他の出力を、展開プログラムから受け取る。ステップ404において、この入力を処理して、制作台本または撮影台本を作成する。この台本の詳細度(level of detail)は、映像制作者またはユーザによって提供される入力量によって異なるのはもっともであろう。一実施形態では、ユーザは、展開プログラムの実行終了時に、物語についてもっと多くの入力を追加して、プリプロダクション・プログラムの出力を一層詳細および有用にすることもできる。
【0026】
[0021]
図5は、一実施形態による制作動作プラットフォームの流れ図である。このプロセスが実行する前には、映像制作者は、(プロジェクトによって要求される場合)生の未編集8K撮影コンテンツを撮影し終えている。言い換えると、プロジェクトの主要部分は、プリプロダクション・プログラムと制作プログラムとの間で行われており、必要であれば、主要撮影が開始されている。したがって、注記したように、本システムは、この時点で生の8Kコンテンツ、およびプリプロダクション・プログラムからの出力を有する。この出力は、一実施形態では、撮影台本である。
【0027】
[0022] ステップ502において、プログラムは、その日(または映像制作者によって選択された任意の適した時間期間中)に作成された撮影台本および8Kファイルを受け取る。8Kコンテンツ・ファイルは、先に
図1および
図2において説明した手段を通じて、クラウド・サーバ208によって受信される。ステップ504において、撮影台本を検査し、シーケンス、場面、および映像制作者によって望まれる場合には、間(beat)のような、他の台本要素にセグメント化(分解)する。説明する実施形態では、台本は、基本的な台本セグメント、即ち、場面に分解される。映像制作者には、撮影およびコンパイルし、次いで必要な回数だけこのプロセスを繰り返す機会が与えられる。例えば、映像制作者は、同じ場面を5回撮影し、その場面の異なる部分をコンパイルして、完全な最終場面(即ち、コンパイル段階)にすることができる。
【0028】
[0023] 本発明のクラウド・サーバ208および動作プラットフォーム218は、8Kまたは他の高解像度データのこの種のリアル・タイム「撮影-コンパイル-繰り返し」プロセスを、高速に、協調的に、そして安全に実行し易くする。ステップ506において、高解像度コンテンツの時間期間において、主要コンテンツまたは撮影タイムラインを作成する。これは以前では商業的に実現できなかったことである。この主要タイムラインは、この時点で視聴する(view)または見る(see)ことができる場面を有し、更に、「撮影-コンパイル-繰り返し」プロセスを経た場面を収容する。主要タイムラインは、(特定のプロジェクトに必要な場合)複数の関係者から入力され、全ての意志決定者が、このタイムラインを構成する場面に同意している。制作動作プラットフォームの出力は、コンテンツについての主要または一次(main or primary)タイムラインであり、視聴することができる場面を含むタイムラインである。
【0029】
[0024]
図6は、一実施形態によるポスト・プロダクション動作プラットフォームの流れ図である。ポスト・プロダクション・プログラムでは、大きな8Kコンテンツ・ファイルを送信するために、接続を必要とする。これらのファイルは、コンテンツを編成する(composite)ことを責務とする個人またはエンティティに送信される。当業界では知られているが、編成(composite)とは映像素材(footage)に対して行われるアクティビティである。これらには、コンピュータ・グラフィクス、スタジオ作業、および他の従来からのポスト・プロダクション作業が含まれる。編成にはこのような変更の全てが含まれる。ステップ602において、ポスト・プロダクション・プログラムは、コンテンツについての主要タイムラインを受け取る。タイムライン上で、何らかの暫定的または後編集(post-editing)が行われることもある。この後編集は、個人によっておこなわれる。この個人のことを当業界では「ポスト・エディタ」と呼ぶ。
【0030】
[0025] ステップ604において、ポスト・プロダクション・チームにおいて個人によるこのようなアクティビティに従来から使用されているツール、アプリケーション、およびソフトウェアを使用して、先に説明した編成を実行する。ステップ606において、ポスト・プロダクション・プログラムは、マスタ・タイムラインと呼ばれるもの、即ち、最終的な8Kコンテンツ(TVショー、長編映画、広告、短編ビデオ、映画のトレーラ等)を作成する。このマスタ・タイムラインは、従来のツールおよび方法の下で可能であるよりも遙かに短い時間で作成され、更に安全に、そして全ての創作および技術チームの構成員からの協調ならびに入力を確保するように行われる。
【0031】
[0026] 先に注記したように、クラウド・サーバ208は、マスタ・タイムラインの作成には直接関係ない他の動作プラットフォームを有する。これらには、流通プラットフォームまたはモジュール、マーケティング・モジュール、および資金調達/管理モジュールが含まれる。
【0032】
[0027] 一実施形態では、マーケティング・モジュールは、映像制作者のチームがマーケティング機能を実行することを可能にする。このモジュールは、マーケティング動作が成功する可能性が高くなるように、映画およびTVの最善の措置、常識的なマーケティング原理、およびその他のマーケティング規則を組み込む。マーケティング・モジュールの重要な一面(aspect)は、これがマーケティング指針および規則、具体的には、プロジェクトのセキュリティに関する規則の順守を確保することによって、漏洩を防止する策を講じることである。これは、プロジェクトが撮影および制作されている間に行われる。即ち、以上で説明したモジュールが使用されている間に行われる。
【0033】
[0028] 一実施形態では、プロジェクトに関わる各人、例えば、映像制作者のチームまたは班がカタログ化され、マーケティングおよび他のモジュールに相関付けるコードおよび役割が割り当てられる。他のモジュールに流通モジュールがある。流通モジュールは、プロジェクト・リーダが一緒に作業する特定の制作会社またはスタジオに対して、とりわけ、映画フォーマット、ゲーム・フォーマットのようなプロトコルおよび指針を組み込む。プロジェクトは、特定の制作会社またはスタジオの規則および指針を順守しなければならない。これらの規則が守られることが肝要であり、流通モジュールは、これらがプロジェクトの撮影および作成と同時に行われることを確保するのに役立つ。また、流通モジュールは、撮影されたコンテンツの直接的なスタジオまたは制作会社への配布または送信も可能にする。先に論じたように、これは、作成されるファイルの分量およびサイズを考慮すると、重要な一面である。
【0034】
[0029]
図7は、ある実施形態にしたがって図示したデータ処理システム700の図である。データ処理システム700は、先に説明した種々のシステムのコントローラまたは他のコンポーネントにおいて使用される1つ以上のコンピュータを実装するために使用することができる。ある実施形態では、データ処理システム700は、通信フレームワーク702を含む。通信フレームワーク702は、プロセッサ・ユニット704、メモリ706、永続的ストレージ708、通信ユニット710、入力/出力(I/O)ユニット712、およびディスプレイ714間における通信を受け持つ。この例では、通信フレームワーク702はバス・システムの形態をなすのでもよい。
【0035】
[0030] プロセッサ・ユニット704は、メモリ706にロードすることができるソフトウェアの命令を実行する役割を果たす。プロセッサ・ユニット704は、個々の実施態様に応じて、ある数のプロセッサ、マルチプロセッサ・コア、または何らかの他の種類のプロセッサであってもよい。
【0036】
[0031] メモリ706および永続的ストレージ708は、記憶デバイス716の例である。記憶デバイスは、例えば、限定ではなく、データ、機能形態のプログラム・コード、および/または一時的および/または永続的のいずれかの他の適した情報というような、情報を格納することができる任意のハードウェアである。また、記憶デバイス716は、これらの実例では、コンピュータ読み取り可能記憶デバイスと呼ぶこともできる。メモリ706は、他の例では、例えば、ランダム・アクセス・メモリあるいは任意の他の適した揮発性または不揮発性記憶デバイスでもよい。永続的ストレージ708は、個々の実施態様に応じて、種々の形態をなすことができる。例えば、永続的ストレージ708は、1つ以上のコンポーネントまたはデバイスを内蔵してもよい。例えば、永続的ストレージ708は、ハード・ドライブ、フラッシュ・メモリ、再書き込み可能光ディスク、再書き込み可能磁気テープ、または以上のものの何らかの組み合わせでもよい。永続的ストレージ708によって使用される媒体は、リムーバブルであってもよい。例えば、リムーバル・ハード・ドライブが永続的ストレージ708に使用されてもよい。
【0037】
[0032] 通信ユニット710は、これらの実例では、他のデータ処理システムまたはデバイスとの通信を可能にする。これらの実例では、通信ユニット710はネットワーク・インターフェース・カードである。
【0038】
[0033] 入力/出力ユニット712は、データ処理システム700に接続することができる他のデバイスとのデータの入力および出力を可能にする。例えば、入力/出力ユニット712は、キーボード、マウス、および/または何らかの他の適した入力デバイスを通じたユーザ入力のために、接続を設けることができる。更に、入力/出力ユニット712は出力をプリンタに送ることができる。ディスプレイ714は、情報をユーザに表示するメカニズムを設ける。
【0039】
[0034] オペレーティング・システム、アプリケーション、および/またはプログラムの命令は、記憶デバイス716に配置することができる。記憶デバイス716は、通信フレームワーク702を介して、プロセッサ・ユニット704と通信する。異なる実施形態のプロセスは、プロセッサ・ユニット704によって、コンピュータ実装命令を使用して実行することもできる。コンピュータ実装命令は、メモリ706のようなメモリに配置することができる。
【0040】
[0025] これらの命令は、プログラム・コード、コンピュータ使用可能プログラム・コード、またはコンピュータ読み取り可能プログラム・コードと呼ばれ、プロセッサ・ユニット704内にあるプロセッサによって読み取って実行することができる。異なる実施形態におけるプログラム・コードは、メモリ706または永続的ストレージ708のような、異なる物理またはコンピュータ読み取り可能記憶媒体上に具体化することもできる。
【0041】
[0036] プログラム/コード718は、機能的形態で、選択的にリムーバブルなコンピュータ読み取り可能媒体720上に配置され、プロセッサ・ユニット704による実行のために、データ処理システム700上にロードすることができ、またはデータ処理システム700に送信することができる。プログラム・コード718およびコンピュータ読み取り可能媒体720は、これらの実例では、コンピュータ・プログラム製品722を形成する。一例では、コンピュータ読み取り可能媒体720は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体724またはコンピュータ読み取り可能信号媒体726であってもよい。
【0042】
[0037] これらの実例では、コンピュータ読み取り可能記憶媒体724は、プログラム・コード718を伝搬または送信する媒体ではなく、プログラム・コード718を格納するために使用される物理または有形記憶デバイスである。
【0043】
[0038] あるいは、コンピュータ読み取り可能信号媒体726を使用して、プログラム・コード718をデータ処理システム700に送信することもできる。コンピュータ読み取り可能信号媒体726は、例えば、プログラム・コード718を収容する伝搬データ信号であってもよい。例えば、コンピュータ読み取り可能信号媒体726は、電磁信号、光信号、および/または任意の他の適した型の信号でもよい。これらの信号は、ワイヤレス通信チャネル、光ファイバ・ケーブル、同軸ケーブル、ワイヤ、および/または任意の他の適した型の通信チャネルというような、通信チャネルを通じて送信することができる。
【0044】
[0039] データ処理システム700について図示した異なるコンポーネントは、異なる実施形態を実現することができる方法に、構造的な限定(architectural limitations)を規定することを意味するのではない。異なる例示的な実施形態は、データ処理システム700について図示したコンポーネントに加えて、および/またはその代わりに、コンポーネントを含むデータ処理システムにおいて実現することもできる。
図7に示す他のコンポーネントを、図示する実例から変更することができる。プログラム・コード718を実行することができる任意のハードウェア・デバイスまたはシステムを使用して、異なる実施形態を実現することもできる。
【0045】
[0040] 尚、本開示は、図示した具体的な例には限定されないこと、そして変更および他の例も添付する請求項の範囲内に含まれることを意図していることは理解されよう。更に、以上の説明および関連図面は、エレメントおよび/または機能の特定の例示的な組み合わせのコンテキストで、本開示の例について説明したが、エレメントおよび/または機能の異なる組み合わせも、添付する請求項の範囲から逸脱することなく、代替実施態様によって提供できることは、認められてしかるべきである。したがって、添付する請求項において括弧書きにした参照番号は、例示の目的に限って提示されるのであって、特許請求する主題の範囲を、本開示において示した具体的な例に限定することを意図するのではない。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクトについてのマスタ・コンテンツ・タイムラインを作成するシステムであって、
初期プロジェクト・データに基づいてプロジェクト・タイプを決定する物語展開モジュールであって、前記プロジェクトについての初期コンテンツ・タイムラインを作成する、物語展開モジュールと、
前記初期コンテンツ・タイムラインを受け取るプリプロダクション・モジュールであって、前記プロジェクトについての制作台本が作成される、プリプロダクション・モジュールと、
未編集、未圧縮、および高解像度であるコンテンツを受け取り、前記制作台本を複数の台本要素にセグメント化する制作モジュールであって、前記複数の台本要素を所望のシーケンスに並べ、前記高解像度コンテンツを収容する二次コンテンツ・タイムラインを作成する、制作モジュールと、
前記二次コンテンツ・タイムラインを受け取り、前記複数の台本要素を編成することによって、前記プロジェクトについてのマスタ・コンテンツ・タイムラインを作成するポスト・プロダクション・モジュールと、
を備える、システム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムであって、更に、最善の措置を使用してプロジェクト・マーケティング機能を可能にし、指針およびセキュリティ規則の順守を確保するマーケティング・モジュールを備える、システム。
【請求項3】
請求項2記載のシステムであって、前記マーケティング・モジュールが、前記プロジェクトの作成全体を通じて利用される、システム。
【請求項4】
請求項3記載のシステムであって、プロジェクト・チームの構成員に、前記マーケティング・モジュールに相関付けるコードおよび役割が割り当てられる、システム。
【請求項5】
請求項1記載のシステムであって、各モジュールが、プロジェクト・パラメータに基づいてカスタム化可能である、システム。
【請求項6】
請求項1記載のシステムであって、前記ポスト・プロダクション・プログラムが、前記マスタ・コンテンツ・タイムラインの効率的で安全な作成を可能にし、更にプロジェクト・チーム構成員間における協調を可能にする、システム。
【請求項7】
請求項1記載のシステムであって、前記制作モジュールが制作台本を受け取る、システム。
【請求項8】
請求項1記載のシステムであって、前記プロジェクト・タイプが、映像制作教義、指針、社会的影響、およびセキュリティを検査することによって決定される、システム。
【請求項9】
プロジェクトについてのマスタ・コンテンツ・タイムラインを作成する方法であって、
前記プロジェクトについての初期コンテンツ・タイムラインを作成するステップと、
前記プロジェクトについての制作台本を作成するステップと、
未編集、未圧縮の高解像度コンテンツを受け取るステップと、
高解像度コンテンツを収容する二次コンテンツ・タイムラインを作成するステップと、
複数の台本要素を編成するステップと、
前記プロジェクトについてのマスタ・コンテンツ・タイムラインを作成するステップと、
を含む、方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法であって、最善の措置を使用するプロジェクト・マーケティング機能を可能にし、指針およびセキュリティ規則の順守を確保する、方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法であって、プロジェクト・チームの構成員に、前記マーケティング・モジュールに相関付けるコードおよび役割を割り当てる、方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法であって、更に、初期プロジェクト・データを受け取り、プロジェクト・タイプを決定するステップを含む、方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法であって、更に、初期プロジェクト・データに基づいてプロジェクト・タイプを決定するステップを含む、方法。
【請求項14】
請求項9記載の方法であって、更に、初期コンテンツ・タイムラインを受け取るステップを含む、方法。
【請求項15】
請求項9記載の方法であって、高解像度コンテンツを収容する二次コンテンツ・タイムラインを作成するステップが、更に、
前記制作台本を複数の台本要素にセグメント化するステップと、
前記複数の台本要素を所望のシーケンスにコンパイルするステップと、
を含む、方法。
【国際調査報告】