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特表2022-517716燃料電池アッセンブリ、燃料電池システムおよび燃料電池車両
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  • 特表-燃料電池アッセンブリ、燃料電池システムおよび燃料電池車両 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-10
(54)【発明の名称】燃料電池アッセンブリ、燃料電池システムおよび燃料電池車両
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0273 20160101AFI20220303BHJP
   H01M 8/0276 20160101ALI20220303BHJP
   H01M 8/028 20160101ALI20220303BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20220303BHJP
   H01M 8/1004 20160101ALI20220303BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20220303BHJP
【FI】
H01M8/0273
H01M8/0276
H01M8/028
H01M8/00 Z
H01M8/1004
H01M8/10 101
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021530094
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(85)【翻訳文提出日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 EP2020052214
(87)【国際公開番号】W WO2020182364
(87)【国際公開日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】102019203249.4
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591006586
【氏名又は名称】アウディ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】AUDI AG
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】リーデ,ニコ
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA02
5H126AA13
5H126BB06
5H126EE11
5H126FF04
5H126FF07
(57)【要約】
本発明は、膜(2)、および該膜(2)の第1の側(4)に配置され、第1ガス拡散層(7)に割り当てられた第1電極(3)を有した膜電極アッセンブリ(1)と、フレーム(11)とを備えた燃料電池アッセンブリに関し、フレーム(11)に膜電極アッセンブリ(1)を直接接続する接着剤層(10)が、少なくとも断面で、膜電極アッセンブリ(1)のエッジ領域(9)に存在する。接着剤層(10)は第1電極(3)を貫通し、この貫通によって、膜(2)はフレーム(11)に直接接続される。さらに、本発明は、上記の燃料電池アッセンブリを有した燃料電池システムおよび燃料電池車両に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜(2)と、該膜(2)の第1の側(4)に配置され、第1ガス拡散層(7)に割り当てられた第1電極(3)とを有した膜電極アッセンブリ(1)、およびフレーム(11)を備えた燃料電池アッセンブリであって、前記フレーム(11)に前記膜電極アッセンブリ(1)を直接接続する接着剤層(10)が、少なくとも断面で、前記膜電極アッセンブリ(1)のエッジ領域(9)に存在し、前記接着剤層(10)は前記第1電極(3)を貫通し、この貫通によって、前記膜(2)は前記フレーム(11)に直接接続されることを特徴とする燃料電池アッセンブリ。
【請求項2】
前記第1電極(3)は、前記膜(2)に前記フレーム(11)を接続するために、前記接着剤層(10)が前記第1電極(3)を部分的にまたは完全に貫通するように選択された気孔率を有することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池アッセンブリ。
【請求項3】
前記接着剤層(10)は、前記膜(2)に前記フレーム(11)を接続するために、前記接着剤層(10)が前記第1電極(3)を部分的にまたは完全に貫通するように選択された粘性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池アッセンブリ。
【請求項4】
前記接着剤層(10)は、前記膜(2)に前記フレーム(11)を接続するために、前記接着剤層(10)が前記第1電極(3)を部分的にまたは完全に貫通するように選択された表面エネルギおよび/または表面張力を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の燃料電池アッセンブリ。
【請求項5】
前記膜電極アッセンブリ(1)は、前記第1の側(4)とは反対の第2の側(6)に配置された第2電極(5)を有し、第2ガス拡散層(8)が前記第2電極(5)に割り当てられ、前記接着剤層(10)は、前記フレーム(11)に前記エッジ領域(9)における前記膜電極アッセンブリ(1)の前記膜(2)を接続する第1接着剤層部分(16)と、前記第2ガス拡散層(8)に前記エッジ領域(9)における前記膜電極アッセンブリ(1)の前記膜(2)を接続する第2接着剤層部分(17)と、を有することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の燃料電池アッセンブリ。
【請求項6】
前記膜(2)および前記電極(3,5)は、横方向の広がりにおいて同一の表面積を有して形成されていることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池アッセンブリ。
【請求項7】
前記フレーム(11)は、流れ断面(13)を有したリセス部(12)を有し、前記流れ断面(13)の表面積は、前記膜(2)の横方向の表面積よりも小さいことを特徴とする請求項6に記載の燃料電池アッセンブリ。
【請求項8】
周囲において前記第1ガス拡散層(7)をシールする第1シール層(22)が、第1フレーム側(23)で前記フレーム(11)に割り当てられ、周囲において前記第2ガス拡散層(8)および前記膜(2)をシールする第2シール層(24)が、前記第1フレーム側(23)とは反対の第2フレーム側(25)で前記フレーム(11)に割り当てられることを特徴とする請求項5~7のいずれかに記載の燃料電池アッセンブリ。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の燃料電池アッセンブリを有した燃料電池システム。
【請求項10】
請求項1~8のいずれかに記載の燃料電池アッセンブリを有した燃料電池システムを備えてなる燃料電池車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜、および該膜の第1の側に配置され、第1ガス拡散層に割り当てられた第1電極を有した膜電極アッセンブリと、第1電極と第1ガス拡散層との間に配置されることが好ましいフレームとを備えた燃料電池アッセンブリに関し、フレームに膜電極アッセンブリを直接接続する接着剤層が、少なくとも断面で、膜電極アッセンブリのエッジ領域に存在する。さらに、本発明は、1つまたは複数の上記燃料電池アッセンブリを有した燃料電池システムおよび燃料電池車両に関する。
【背景技術】
【0002】
上記燃料電池アッセンブリは、先に公開されていない本出願人の出願から知られ、また、当該燃料電池アッセンブリは、良く証明され、同時に高いレベルの安定性で材料の少ない使用のみを有する。
【0003】
更なる燃料電池アッセンブリが、国際公開第2018/217 586 A1号から知られ、この国際公開では、接着剤層が、膜電極アッセンブリの電極にバイポーラプレートを接続する。燃料電池アッセンブリは、膜電極アッセンブリをシールし、該アッセンブリを所定の位置に固定するように用いられる、国際公開第2010/080 450 A1および米国特許出願公開第2014/0 004 442 A1号明細書に記載されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明の目的は、向上した燃料電池アッセンブリを提供することである。さらに、本発明の目的は、向上した燃料電池システムおよび向上した燃料電池車両を提供することである。
【0005】
本発明の目的は、請求項1の特徴部に従う燃料電池アッセンブリ、請求項9の特徴部を有した燃料電池システムおよび請求項10の特徴部を有した燃料電池車両によって達成される。本発明の適切な改良を有した有利な実施例が、従属請求項に示される。
【0006】
この場合では、本発明に従う燃料電池アッセンブリは、接着材層が第1電極を部分的に、しかし好ましくは完全に貫通する点と、この貫通により、膜がフレームに接続される点とで特に特徴付けられる。
【0007】
一方では、接着剤層が電極を部分的に、しかし好ましくは完全に貫通するので、電極が機械的に安定な方法でフレームに接続されることが確実となる。しかし、他方では、フレームへの膜のより確実な固定が、接着剤層の材料を用いた電極の貫通によってさらに確実にされ、これは、燃料電池アッセンブリの安定性を増加させることに寄与する。さらに、双方が、膜への電極のより一層向上した固定をもたらす。
【0008】
接着剤層または接着剤の材料は、ポリマから形成されることが好ましい。これにより、膜と接着剤層との間に適切な接触が生じ、これは、1つのポリマと、高い接着剤効果に関連した任意選択に付加的なポリマとの間に接続があるからである。フレームがポリマから同様に形成されている場合には、これにより、接着剤層とフレームとの間に適切な接触が生じる。この場合にも、1つのポリマと、高い接着剤効果に関連した任意選択に付加的なポリマとの間に接続がある。
【0009】
本発明では、1つのフレームが、第1電極と第1ガス拡散層との間に特に正確に配置されており、ここで、接着剤層は、エッジ領域において横方向に、膜電極アッセンブリを少なくとも一部取り囲んでいる。この正確な1つのフレームにより、燃料電池アッセンブリに必要とされる材料と、燃料電池アッセンブリに必要とされる層とが減少され、このため製造が簡素化される。同時に、接着剤層により、膜電極アッセンブリからフレームへの膜の安定した接続が可能となり、ここで、従って、材料の量が同様に減少され、このため、材料が、膜電極アッセンブリのエッジ領域に配置されるのみである。
【0010】
膜電極アッセンブリのエッジ領域は、外周において膜電極アッセンブリを取り囲み、少なくとも第1電極を貫通し、並びに、積層方向に対して平行におよび積層方向に対して部分的に直行して延びる領域であると理解される。この場合、積層方向に対して直行するエッジ領域の広がりは、膜電極アッセンブリの合計の横方向の広がりの30%よりも小さい、好ましくは20%よりも小さい、さらに好ましくは10%よりも小さい、非常に特に好ましくは5%よりも小さい。
【0011】
この場合には、接着剤層の断面は、U字形またはC字形であるように形成されることが好ましい。従って、接着剤層は、付加的な横方向保護層と、および膜電極アッセンブリを絶縁および/またはシールするものとの双方として機能する。代替的な実施例では、接着剤層の断面は、L字形であるように形成されても良い。
【0012】
特に、膜電極アッセンブリが、第1の側とは反対の第2の側に配置された第2電極を有し、ここで、第2ガス拡散層が第2電極に配置されることが好ましいことが有益である。この改良では、接着剤層は、第2電極を貫通し、従って、膜電極アッセンブリの膜との直接の接触を有するように形成されても良い。
【0013】
接着剤層の材料を用いた電極の貫通は、膜にフレームを接続するために接着剤層が第1電極を部分的に、好ましくは完全に貫通するように選択された気孔率を第1電極が有するという有利な方法で実現されることができる。この場合には、電極の気孔率/表面エネルギ(または一般に質)と接着剤の流動挙動(粘性等)とは互いに調和される。
【0014】
代替的または付加的に、接着剤層は、膜にフレームを接続するために接着剤層が第1電極を部分的に、好ましくは完全に貫通するように選択された粘性を有しても良い。この場合には、互いへの個々の構成要素の適切な調和も存在し、これにより、望ましい接着接続がもたらされる。これにより、電極の気孔率が低いときでさえ、接着材層と高分子電解質膜との間の直接接続があることが確実となる。
【0015】
代替的または付加的に、接着剤層は、特に、膜にフレームを接続するために、第1および/または第2電極が部分的に、好ましくは完全に貫通されるように選択された電極材料に関する表面エネルギおよび/または表面張力を有しても良い。
【0016】
燃料電池アッセンブリの設置を簡素化するために、膜を取り囲む接着剤層が、フレームにエッジ領域における膜電極アッセンブリの膜を接続する第1接着剤層部分と、第2ガス拡散層にエッジ領域における膜電極アッセンブリの膜を接続する第2接着剤層部分と、を有するときに有益であることが証明された。
【0017】
製造費をさらに減少させるために、膜および電極が横方向の広がりにおいて同一の表面積を有して形成されることが好ましい。適切な標準的な大きさの選択に起因して、設定時間が、穴あけ装置からの改造のために、またはホットプレスを準備するために減少されることができる。
【0018】
これに関連して、フレームが、流れ断面を有したリセス部を有し、流れ断面の表面積が膜の横方向の表面積よりも小さいときに有利である。これにより、燃料電池の反応物の流動挙動が向上する。
【0019】
第1ガス拡散層は、第1電極と対向する第1ガス拡散層の側に第1微細孔層を有し、および/または、第2ガス拡散層は、第2電極と対向する第2ガス拡散層の側に第2微細孔層を有する。膜電極アッセンブリの水分量が増加されるから、微細孔層は、カソードまたは燃料の輸送を向上させ、燃料電池の性能を高めるように使用される。この場合には、微細孔層は、それぞれのガス拡散層の一体型構成要素であっても良い。しかし、微細孔層は、個別の構成要素として存在しても良い。
【0020】
さらに、周囲において第1ガス拡散層をシールする第1シール層が、第1フレーム側でフレームに割り当てられ、周囲において第2ガス拡散層および膜をシールする第2シール層が、第1フレーム側とは反対の第2フレーム側でフレームに割り当てられることができる。この場合には、シール層は、圧縮可能なシールリップまたはシールラインとして形成されることが好ましい。
【0021】
周囲におけるシールを向上させるために、シールリップは、複数で横方向に、特に二重また三重としてそれぞれ設けられる。この場合には、第1シール層のシールリップは、第2シール層のシールリップよりも大きな直径を有することが好ましい。これは、ガス拡散層および膜電極アッセンブリが、横方向において流体および/またはガスに対してシールされるか、または流体に対してシールされることを意味する。
【0022】
本発明に従う燃料電池アッセンブリは、本発明に従う燃料電池システムに用いられるときに燃料電池アッセンブリの利点を明らかにする。この場合には、燃料電池アッセンブリのために説明される利点および好ましい実施例は、高い安全および安定性によって特徴付けられる本発明に従う燃料電池システムに適応する。
【0023】
この場合には、燃料電池アッセンブリおよび好ましい実施例のために説明された利点は、本発明に従う燃料電池車両に適応する。反応物、特に燃料の拡散損失が、本発明に従う燃料電池アッセンブリを用いる前よりも少なく生じるので、利点は広い範囲によって特徴付けられる。
【0024】
説明で先に挙げられた特徴部および特徴部の組み合わせ、並びに図面の説明および/または以下の図面単独で挙げられた特徴部および特徴部の組み合わせは、本発明の範囲を逸脱することなく、個々に示された組み合わせだけでなく、他の組み合わせまたは単独でも用いられることができる。従って、本発明によって構成および開示されるものとしてみなされる実施例があり、この実施例は、図面において明示的に示されない、または説明されないが誇張され、説明した実施例から個々の特徴部の組み合わせを介して生成されることができる。
【0025】
本発明の更なる利点、特徴部および詳細部が、請求項、好ましい実施形態の以下の説明および図面から生じる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】燃料電池アッセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、膜電極アッセンブリ1を有した燃料電池アッセンブリを示しており、膜電極アッセンブリ1は、半透性膜2を有し、この半透性膜2は、その第1側4に第1電極3を備えるとともに、第1側4の反対にある半透性膜2の第2側6に第2電極5を備えている。この場合には、第1電極3はアノードとして形成されることが好ましく、第2電極5はカソードとして形成されることが好ましい。しかし、第1電極3がカソードを形成し、第2電極5が膜電極アッセンブリ1のアノードを形成することも可能である。膜2は、白金、ルテニウム等の貴金属または貴金属を有する混合物からなり、かつ燃料電池の反応中に反応促進剤として機能する触媒層を用いて、第1側4および第2側6にコーティングされることが好ましい。ここで、それぞれの触媒層は、対応する電極3,5の一体型構成要素であるか、またはこの電極自体を形成する。
【0028】
このような高分子電解質膜燃料電池(PEM燃料電池)では、燃料または燃料分子、特に水素が、第1電極3(アノード)でプロトンと電子とに分解される。膜2は、プロトン(例えばH+)を通過させるが、電子(e-)を通過させない。膜2は、イオノマ、好ましくはスルホン化ポリテトラフルオロエチレンポリマ(PTFE)またはパーフルオロスルホン酸のポリマ(PFSA)から形成される。代替的に、膜2は、スルホン化炭化水素膜として形成されても良い。この場合には、以下の反応がアノードで生じる。2H2→4H++4e-(酸化/電子の喪失)。
【0029】
プロトンが第2電極5(カソード)へと膜2を通過しているときには、電子は、外部の電気回路を経由してカソードまたはエネルギ貯蔵装置へ案内される。カソードガス、特に酸素または酸素含有空気が、以下の反応がカソードで生じるようにカソードに供給される。O2+4H++4e-→2H2O(還元/電子の授受)。
【0030】
第1ガス拡散層7が第1電極3に割り当てられており、第2ガス拡散層8が第2電極5に割り当てられている。ガス拡散層は、炭素繊維紙(CFP)から形成されることが好ましい。均一な寸法により、燃料電池アッセンブリ1の個々の構成要素の製造費が可能な限り低く維持される。従って、膜2は、横方向の広がりにおける電極3,5の(断)面積に対応する(断)面積を有している。
【0031】
燃料電池アッセンブリ内の流体またはガス流れを向上させるために、および膜の水分量を向上させるために、第1微細孔層20が、第1電極3と対向する第1ガス拡散層7の側において第1ガス拡散層7に割り当てられている。同様に、第2微細孔層21が、第2電極5と対向する第2ガス拡散層8の側において第2ガス拡散層8に割り当てられている。この場合には、微細孔層20,21の横方向寸法が、各ガス拡散層7,8の横方向寸法に実質的に対応している。
【0032】
燃料電池アッセンブリの安定性を向上させるために、リセス部12を有したフレーム11が、第1電極3と第1ガス拡散層7との間に配置されている。この場合には、膜電極アッセンブリ1の活性領域14を、リセス部12によって画定された流れ断面13によって規定することができる。
【0033】
同時に、リセス部12の流れ断面13は、第2ガス拡散層8の流れ断面15の表面積よりも小さい表面積を有している。流れ断面であるガス拡散層7の流れ断面33は、流れ断面15、または第2ガス拡散層8の積層方向に対して直行して方向付けられた断面に実質的に対応している。
【0034】
膜電極アッセンブリ1は、外周にエッジ領域9を有している。膜電極アッセンブリ1のエッジ領域9は、外周で膜電極アッセンブリ1を取り囲み、積層方向に対して平行および部分的に直行して延びる膜電極アッセンブリ1の領域であると理解される。
【0035】
接着剤層10が、膜電極アッセンブリ1へのフレーム11の固定された接続のために利用可能である。接着剤層10は、本発明に従って、膜電極アッセンブリの膜2にフレーム11を直接接続する。この場合には、第1電極3は、接着剤層10の材料によって完全に貫通されており、接着剤層の端部に、第1電極3は、適切な気孔率を有することが好ましい。同様に、エッジ領域9における膜電極アッセンブリ1の膜2は、さらに、接着剤層10によって第2ガス拡散層8に直接接続されても良く、接着剤層10において、この場合にも、第2電極5は、適切な気孔率を備えて設けられ、接着剤層10の材料によって完全に貫通されている。
【0036】
この場合では、接着剤層10は、エッジ領域9において横方向に(これは外周で特に完全に)膜電極アッセンブリ1の膜を密閉する。この場合には、接着剤層10は、U字形またはC字形の断面を有しており、第1接着剤層部分16および第2接着剤層部分17から形成されている。第1接着剤層部分16は、第1電極3を介して、リセス部12の近傍に配置されたフレーム11の内側エッジ領域18に、膜電極アッセンブリ1のエッジ領域9における膜2を接続する。ここで、フレーム11の内側エッジ領域18は、内周で一部が外側へ延びるフレーム11の小区分として形成されている。第2接着剤層部分17は、第2電極5を介して、膜電極アッセンブリ1のエッジ領域9における膜2に第2ガス拡散層8を接続する。さらに、第1ガス拡散層7にフレーム11の内側エッジ領域18を接続する第2接着剤層19が存在する。燃料電池アッセンブリの設置中に、2つの接着剤層部分16,17は、一体化した構造を有した共通の接着剤層10を形成するように溶融する。
【0037】
第1電極3に燃料を供給するために、第1バイポーラプレート27が、第1ガス拡散層7に適用されるまたは第1ガス拡散層7に割り当てられるアノード側に存在し、アノードガス流れ場28を提供する。さらに、カソードガス流れ場30を有した第2バイポーラプレート29が、カソードガスを供給するために、カソード側で第2ガス拡散層8に割り当てられる。カソードガス流れ場30によって、カソードガスは、第2ガス拡散層8を通して第2電極5に供給される。
【0038】
バイポーラプレート27,28の横方向の広がり、つまり積層方向に対して直行する広がりは、ガス拡散層7,8の横方向の広がりよりも大きく、フレーム11の横方向の広がりに実質的に対応している。周囲で第1ガス拡散層7をシールする第1シール層22が、フレーム11の第1フレーム側23と第1バイポーラプレート27との間に配置されている。第2シール層24が、フレームの第2フレーム側25と第2バイポーラプレート28との間に設けられている。この場合には、シール層22,24は、各場合に複数で横方向に設けられた圧縮可能なシールリップとして形成されている。この例示的な実施例では、3つのそれぞれのシールリップが横方向に設けられ、第1ガス拡散層7および第2ガス拡散層8の周囲に配置されている。従って、第1シール層22および第2シール層24は、合計で6つのシールリップを有している。異なる数量も可能である。この場合には、第1シール層22のシールリップは、第2シール層26のシールリップよりも大きい直径を有している。
【0039】
さらに、第1バイポーラプレート27、第2バイポーラプレート29およびフレーム11を介して積層方向に延びる各第1チャネル31が、燃料を供給するために、膜電極アッセンブリ1に対して横方向に設けられており、第2チャネル32が、燃料電池アッセンブリにカソードガスを供給するように設けられている。この場合には、チャネル31,32は、第1シール層22の2つのそれぞれのシールリップおよび第2シール層24の2つのそれぞれのシールリップが、ガス拡散層7,8と対向する側で内側に配置され、第1シール層22のそれぞれのシールリップおよび第2シール層24のシールリップが反対側で外側に配置されるように、燃料電池アッセンブリ内に配置される。
【0040】
膜2および接着剤層10の双方ともポリマにより構成されており、これにより、向上した接着剤接続がもたらされるので、接着剤層10の材料を有した電極3,5の貫通により、接触相手における適切な対が可能となる。また、フレーム11がポリマから形成され得るので、このような高められた接着剤効果が、フレーム11の接触面上で接着剤層10に特徴付けられる。これにより、全体として、向上したシールを同時に有する、より安定した燃料電池アッセンブリがもたらされる。
【符号の説明】
【0041】
1 膜電極アッセンブリ
2 膜
3 第1電極
4 第1の側(膜)
5 第2電極
6 第2の側(膜)
7 第1ガス拡散層
8 第2ガス拡散層
9 エッジ領域(膜電極アッセンブリ)
10 接着剤層
11 フレーム
12 リセス部
13 流れ断面(リセス部)
14 活性領域(膜電極アッセンブリ)
15 流れ断面(第2ガス拡散層)
16 第1接着剤層部分
17 第2接着剤層部分
18 フレームの内側エッジ領域
19 第2接着剤層
20 第1微細孔層
21 第2微細孔層
22 第1シール層
23 第1フレーム側
24 第2シール層
25 第2フレーム側
27 第1バイポーラプレート
28 アノードガス流れ場
29 第2バイポーラプレート
30 カソードガス流れ場
31 第1チャネル
32 第2チャネル
33 流れ断面(第1ガス拡散層)
図1
【手続補正書】
【提出日】2021-05-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜(2)と、該膜(2)の第1の側(4)に配置され、第1ガス拡散層(7)に割り当てられた第1電極(3)と、前記第1の側(4)とは反対の第2の側(6)に配置され、第2ガス拡散層(8)が割り当てられる第2電極(5)とを有した膜電極アッセンブリ(1)、およびフレーム(11)を備えた燃料電池アッセンブリであって、前記フレーム(11)に前記膜電極アッセンブリ(1)を直接接続する接着剤層(10)が、少なくとも断面で、前記膜電極アッセンブリ(1)のエッジ領域(9)に存在し、前記接着剤層(10)は前記第1電極(3)を貫通し、この貫通によって、前記膜(2)は前記フレーム(11)に直接接続され、前記接着剤層(10)は、前記フレーム(11)に前記エッジ領域(9)における前記膜電極アッセンブリ(1)の前記膜(2)を接続する第1接着剤層部分(16)と、前記第2ガス拡散層(8)に前記エッジ領域(9)における前記膜電極アッセンブリ(1)の前記膜(2)を接続する第2接着剤層部分(17)と、を有することを特徴とする燃料電池アッセンブリ。
【請求項2】
前記第1電極(3)は、前記膜(2)に前記フレーム(11)を接続するために、前記接着剤層(10)が前記第1電極(3)を完全に貫通するように選択された気孔率を有することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池アッセンブリ。
【請求項3】
前記接着剤層(10)は、前記膜(2)に前記フレーム(11)を接続するために、前記接着剤層(10)が前記第1電極(3)を完全に貫通するように選択された粘性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池アッセンブリ。
【請求項4】
前記接着剤層(10)は、前記膜(2)に前記フレーム(11)を接続するために、前記接着剤層(10)が前記第1電極(3)を完全に貫通するように選択された表面エネルギおよび/または表面張力を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の燃料電池アッセンブリ。
【請求項5】
前記膜(2)および前記電極(3,5)は、横方向の広がりにおいて同一の表面積を有して形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の燃料電池アッセンブリ。
【請求項6】
前記フレーム(11)は、流れ断面(13)を有したリセス部(12)を有し、前記流れ断面(13)の表面積は、前記膜(2)の横方向の表面積よりも小さいことを特徴とする請求項に記載の燃料電池アッセンブリ。
【請求項7】
周囲において前記第1ガス拡散層(7)をシールする第1シール層(22)が、第1フレーム側(23)で前記フレーム(11)に割り当てられ、周囲において前記第2ガス拡散層(8)および前記膜(2)をシールする第2シール層(24)が、前記第1フレーム側(23)とは反対の第2フレーム側(25)で前記フレーム(11)に割り当てられることを特徴とする請求項5または6に記載の燃料電池アッセンブリ。
【請求項8】
請求項1~のいずれかに記載の燃料電池アッセンブリを有した燃料電池システム。
【請求項9】
請求項1~のいずれかに記載の燃料電池アッセンブリを有した燃料電池システムを備えてなる燃料電池車両。
【国際調査報告】