(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-10
(54)【発明の名称】テストステロンの活性エステル誘導体、組成物、およびそれらの使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/568 20060101AFI20220303BHJP
A61P 15/08 20060101ALI20220303BHJP
A61P 15/10 20060101ALI20220303BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20220303BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220303BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20220303BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20220303BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20220303BHJP
A61P 15/14 20060101ALI20220303BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20220303BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20220303BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20220303BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20220303BHJP
A61P 5/24 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
A61K31/568
A61P15/08
A61P15/10
A61P25/22
A61P35/00
A61P25/24
A61P7/06
A61P13/08
A61P15/14
A61K9/06
A61K47/44
A61K47/26
A61K9/00
A61P5/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533684
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(85)【翻訳文提出日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 CA2019051793
(87)【国際公開番号】W WO2020118437
(87)【国際公開日】2020-06-18
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520085235
【氏名又は名称】アセラス バイオファーマ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブライソン,ナーサン
(72)【発明者】
【氏名】シャーマ,アヴィナッシュ,チャンダー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA99
4C076BB25
4C076CC01
4C076CC14
4C076CC17
4C076CC27
4C076CC30
4C076DD46
4C076DD68
4C076EE53
4C076FF17
4C076FF57
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA09
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA27
4C086MA28
4C086MA34
4C086MA59
4C086NA05
4C086NA10
4C086NA15
4C086ZA05
4C086ZA12
4C086ZA55
4C086ZA81
4C086ZB26
4C086ZC10
(57)【要約】
本発明は、テストステロンの活性成分誘導体を含む新規の化合物および組成物、新規のテストステロン誘導体、新規のテストステロン方法、新規のテストステロン組成物、医薬製剤の新規のテストステロン製品、ならびにそれらの新規のテストステロン治療的使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)有効量のテストステロンの活性エステル誘導体またはテストステロンの活性エステル誘導体の混合物と、(b)医薬的に許容可能な油性ビヒクルと、を含む、経鼻投与のための医薬組成物。
【請求項2】
前記医薬的に許容可能な油性ビヒクルが、植物油およびイソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)のうちのいずれか1つまたは混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
選択される前記医薬的に許容可能な油性ビヒクルが、植物油または植物油の混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記医薬的に許容可能な油性ビヒクルが、75%を超えるヒマシ油から構成されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記医薬的に許容可能な油性ビヒクルが、75%を超える中鎖トリグリセリド(MCT)から構成されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記医薬的に許容可能な油性ビヒクルが、SAIBである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1に記載のテストステロンの活性エステル誘導体が、前記医薬組成物の約1重量%~約75重量%を含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項8】
湿潤剤をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
増粘剤をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
水をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
チキソトロピーである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
固体またはワックスである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記組成物が、それを必要とする対象に投与するための噴霧ディスペンサーに配置される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記医薬組成物が、それを必要とする対象に投与するためのゲルである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記医薬組成物の単回用量が、1日当たり最大約100mgのテストステロンを送達する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項16】
請求項1に記載の医薬組成物は、患者が自己治療することを可能にする、使用方法。
【請求項17】
請求項1に記載の医薬組成物は、患者が両方の鼻孔への1日1回の投与で、対象が罹患する適応症を治療するのに十分な量のテストステロンを達成することを可能にする、使用方法。
【請求項18】
療法が、テストステロン補充療法である、請求項1に記載の医薬組成物の使用方法。
【請求項19】
請求項1に記載の医薬組成物が、性腺機能低下症、不安、恐怖、性機能障害、癌、性的衝動の低下、性欲、テストステロン補充療法、低テストステロン、うつ病、貧血、前立腺癌、および乳癌から成る群から選択される状態を治療するのに使用するための、超生理学的レベルのテストステロンを達成するために、有効量のテストステロンの活性エステル誘導体を含む、使用方法。
【請求項20】
湿潤剤、増粘剤、水、またはそれらの任意の混合物をさらに含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項21】
湿潤剤、増粘剤、水、またはそれらの任意の混合物をさらに含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項22】
湿潤剤をさらに含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項23】
湿潤剤、増粘剤、水、またはそれらの任意の混合物をさらに含む、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項24】
湿潤剤、増粘剤、水、またはそれらの任意の混合物をさらに含む、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項25】
湿潤剤、増粘剤、水、またはそれらの任意の混合物をさらに含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項26】
増粘剤をさらに含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項27】
水をさらに含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項28】
水をさらに含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項29】
チキソトロピーである、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項30】
固体またはワックスである、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項31】
固体またはワックスである、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記組成物が、それを必要とする対象に投与するための噴霧ディスペンサーに配置される、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記医薬組成物が、それを必要とする対象に投与するためのゲルである、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項34】
請求項4に記載の医薬組成物は、患者が自己治療することを可能にする、使用方法。
【請求項35】
請求項4に記載の医薬組成物は、患者が両方の鼻孔への1日1回の投与で、対象が罹患する適応症を治療するのに十分な量のテストステロンを達成することを可能にする、使用方法。
【請求項36】
前記療法が、テストステロン補充療法である、請求項3に記載の医薬組成物の使用方法。
【請求項37】
前記療法が、テストステロン補充療法である、請求項4に記載の医薬組成物の使用方法。
【請求項38】
請求項3に記載の医薬組成物が、性腺機能低下症、不安、恐怖、性機能障害、癌、性的衝動の低下、性欲、テストステロン補充療法、低テストステロン、うつ病、貧血、前立腺癌、および乳癌から成る群から選択される状態を治療するのに使用するための、超生理学的レベルのテストステロンを達成するために、有効量のテストステロンの活性エステル誘導体を含む、使用方法。
【請求項39】
請求項4に記載の医薬組成物が、性腺機能低下症、不安、恐怖、性機能障害、癌、性的衝動の低下、性欲、テストステロン補充療法、低テストステロン、うつ病、貧血、前立腺癌、および乳癌から成る群から選択される状態を治療するのに使用するための、超生理学的レベルのテストステロンを達成するために、有効量のテストステロンの活性エステル誘導体を含む、使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テストステロンの活性エステル誘導体を含む新規の組成物、方法、組成物、および医薬製剤、ならびにそれらの治療的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
テストステロンは、内因性の性ステロイドである。テストステロンは、主要な男性ホルモンおよびアナボリックステロイドである。男性のヒトでは、テストステロンは、精巣および前立腺などの男性の生殖組織の発達や、筋肉および骨量の増加、ならびに体毛の成長などの第二次性徴の促進に重要な役割を果たす。加えて、テストステロンは、健康および幸福、ならびに骨粗鬆症の予防に関与している。子供のテストステロンのレベルが不足すると、身体的および性的発達が不十分になる可能性があり、一方、成人男性では、テストステロンが低いと、虚弱および骨量減少を含む異常に加えて、エネルギーの低下および性欲の低下という身体的症状が生じる可能性がある。
【0003】
テストステロンは、多様な医薬製剤に作製することができる。大部分の製剤では、テストステロンは、ビヒクルに溶解され、ビヒクルは、送達が発生するところから体の一部分に適用される。例えば、テストステロンは、プロピオン酸テストステロン、エナント酸テストステロン、シピオン酸およびウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンプロドラッグで配合された経鼻医薬組成物を介して、鼻腔内に投与され得る。テストステロンの注射可能な形態およびテストステロンのプロドラッグエステルは、注射の前に植物油または安息香酸ベンジルに溶解される。局所用形態では、テストステロンがアルコールまたは脂性材料に含有され、皮膚に適用される。
【0004】
経鼻投与経路に関して、WO/2012/156820は、活性物質が4.5%の濃度でヒマシ油に溶解されているテストステロン配合物を記載している。
【0005】
同様に、米国特許出願第15/507,246号は、活性物質が中鎖トリグリセリド、エトキシル化ヒマシ油、および水の混合物に溶解されているプロピオン酸テストステロンの経鼻配合物を記載している。不安および恐怖の治療のための1.2%および2.2%のテストステロンを含む組成物の例が提供される。
【0006】
経鼻送達プラットフォームにはいくつかの利点がある。薬物の薬物動態は、各投与後に速い吸収(Tmax約45~60分)および速いウォッシュアウトを示す。[Rogol et al.:Andrology,2016,4,46を参照。この特定のプロファイルは、1年間の治療後でも依然として一定かつ変化しない基準の内因性テストステロンレベルを実証しているようであり、根底にある性腺機能低下フィードバック機構が依然として活性であることを意味する。これは、ゴナドトロピン、黄体形成ホルモン、および卵胞刺激ホルモンの両方が依然として正常な値の範囲にとどまっていることを示す測定によってさらに立証された。また、テストステロン補充が経鼻テストステロンで実行される場合、ヘマトクリット値はごくわずかしか変化しない。最後に、経鼻送達による1日の総用量は、22~33mgであり、これは、開始用量が50mgの範囲で、かつ典型的には平均60~80mgの範囲の用量で投与される他の経皮(局所)ゲル生成物よりも実質的に少ない。体の生理機能と相互作用することができ、かつ排除する必要のある代謝物が少ない場合、より少ない用量によって、テストステロンの安全性プロファイルの向上をもたらす可能性があり得る。
【0007】
したがって、経鼻テストステロンのすべての肯定的な態様を達成し得るが、単回用量の適用で有用であり得るテストステロン補充生成物を有することは有利であろう。単回用量で鼻に適用され得る量も約150uLに制限されているため、前述の1日の総用量は、活性物質を含むこの量のビヒクルに含有されなければならないが、これはこれまで不可能であった。
【0008】
したがって、本発明は、高濃度の経鼻送達配合物および生成物を記載する。より具体的には、本発明は、テストステロンエステルプロドラッグに基づく新規の経鼻配合物を提供する。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、高濃度の経鼻送達テストステロン配合物および生成物の発見を通じて、従来技術の経鼻テストステロン配合物の不利な点および欠点を克服する。より具体的には、本発明は、テストステロンエステルプロドラッグに基づく新規の経鼻配合物を提供する。本発明によると、プロピオン酸、エナント酸、シピオン酸、およびウンデカン酸などのテストステロンのエステルは、植物油中の溶解度の大幅な改善を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明によると、本明細書で使用される場合、以下の用語は、別途明記されない限り、以下の意味で定義される。
【0011】
本出願の文脈で使用される「テストステロンエステル」は、以下に定義されるように、ステロイドコアのシクロペンチル環上のヒドロキシル基をアシル官能基またはそれらの官能基としての置換アシル官能基で少なくとも置換することを含むテストステロンの誘導体である。炭素制限がテストステロンエステルに割り当てられている場合、炭素制限は、アシル置換の炭素原子にのみ関連する。「テストステロンエステル」、「テストステロン誘導体」、または「テストステロンプロドラッグ」という用語は、別途明記しない限り、交換可能に使用され、親分子「テストステロン」とは区別される。
【0012】
「生理学的に切断可能なエステル」という用語は、式(I)のヒドロキシルの誘導体、および酸または酸誘導体を指し、生成物は、体内で切断されて、化合物式(I)または活性代謝物が与えられる。そのような生理学的に切断可能なエステルは、「プロドラッグ」と見なされ得る。そのような「プロドラッグ」は、そのようなプロドラッグが対象に投与されたときに、対応するヒドロキシル化合物の生物学的利用能を増加させる場合に価値がある。例えば、鼻腔内に投与される「プロドラッグ」は、血液により容易に吸収され得、脳またはリンパ管などの対象の生物学的区画への親化合物の送達を容易にし得、また、より好ましい患者受容、安全性プロファイル、および/または目的の適応症で使用するための対象への特定の調整のための薬物動態も有し得る。プロドラッグの一般的な概要は、1)“Pro-drugs As Novel Delivery Systems,”Vol.14 of the ACS Symposium Series,by T.Higuchi and V.Stella、および(2)“Bioreversible Carriers in Drug Design,”American Pharmaceutical Association,Porgamon Press,1987,Edward B.Roche,Edに提供される。
【0013】
【0014】
テストステロンは、様々な医薬製剤でエステル化されており、性腺機能低下症の治療のための経口または注射可能な配合物として、プロピオン酸、エナント酸、シピオン酸、およびウンデカン酸のエステルが販売されている。
【0015】
本発明による誘導体として使用され得るエステルの「カルボニル基」、つまり、-C(O)-Rを形成し、かつ「プロドラッグ」を形成するカルボン酸には、非置換または置換された低級線状鎖または分岐鎖アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリールアルキル実体に由来するモノカルボン酸が含まれる。Rは、例えば、段落[0020]~[0036]で定義される。天然に存在するカルボン酸は、一般に、医薬的に活性な成分の許容可能で切断可能なエステルであり得る好ましい種類である。
【0016】
「低級アルキル」カルボン酸という用語は、カルボキシル基に結合した1~12個の炭素原子を有する一価の飽和脂肪族炭化水素ラジカルを指す。アルキルは、直鎖(すなわち、線状)、分岐鎖、または環式構造であり得る。低級アルキルラジカルの代表的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、アミル、sec-ブチル、tert-ブチル、tert-ペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルエチル(シピオネート)、ウンデカノエートなどが挙げられる。
【0017】
本明細書で使用される「飽和」という用語は、そのように修飾された化合物または基が、以下に記載される場合を除いて、炭素-炭素二重結合および炭素-炭素三重結合を有さないことを意味する。置換バージョンの飽和基の場合、1つ以上の炭素酸素二重結合または炭素窒素二重結合が存在し得る。また、そのような結合が存在する場合、ケト-エノール互変異性またはイミン/エナミン互変異性の一部として発生し得る炭素-炭素二重結合は、排除されない。
【0018】
「置換」という修飾語を伴わずに使用される場合の「脂肪族」という用語は、そのように修飾された化合物/基が、非環式または環式であるが、非芳香族炭化水素化合物または基であることを示す。脂肪族化合物/基では、炭素原子は、直鎖、分岐鎖、または非芳香族環(脂環式)で一緒に接合され得る。脂肪族化合物/基は、飽和であり得、すなわち単結合で接合され得(アルカン/アルキル)、または不飽和で、1つ以上の二重結合を有し得(アルケン/アルケニル)、もしくは1つ以上の三重結合を有し得る(アルキン/アルキニル)。
【0019】
「置換」という修飾語を伴わずに使用される場合の「アルキル」という用語は、結合点としての炭素原子を有し、線状または分岐状の非環式構造を有し、炭素および水素以外の原子を有さない、一価飽和脂肪族基を指す。基--CH3(Me)、--CH2CH3(Et)、--CH2CH2CH3(n-Prまたはプロピル)、--CH(CH3)2(i-Pr、iPrまたはイソプロピル)、--CH2CH2CH2CH3(n-Bu)、--CH(CH3)CH2CH3(sec-ブチル)、--CH2CH(CH3)2(イソブチル)、--C(CH33(tert-ブチル、t-ブチル、t-BuまたはtBu)、および--CH2C(CH33(ネオ-ペンチル)は、アルキル基の非限定的な例である。
【0020】
「置換」という修飾語を伴わずに使用される場合の「アルカンジイル」という用語は、結合点(複数可)としての1つまたは2つの飽和炭素原子(複数可)を有し、線状または分岐状の非環式構造を有し、炭素-炭素二重または三重結合を有し、炭素および水素以外の原子を有さない、二価飽和脂肪族基を指す。基--CH2--(メチレン)、--CH2CH2--、--CH2C(CH3)2CH2--、および--CH2CH2CH2--は、アルカンジイル基の非限定的な例である。「アルカン」は、化合物H--Rを指し、式中、Rは、この用語が上記で定義されるように、アルキルである。これらの用語のいずれかが「置換」という修飾語と共に使用される場合、1つ以上の水素原子は独立して、--OH、--F、--Cl、--Br、--I、--NH2、--NO2、--CO2H、--CO2CH3、--CN、--SH、--OCH3、--OCH2CH3、--C(O)CH3、--NHCH3、--NHCH2CH3、--N(CH3)2、--C(O)NH2、--OC(O)CH3、または--S(O)2NH2で置き換えられている。--CH2OH、--CH2Cl、--CF3、--CH2CN、--CH2C(O)OH、--CH2C(O)OCH3、--CH2C(O)NH2、--CH2C(O)CH3、--CH2OCH3、--CH2OC(O)CH3、--CH2NH2、--CH2N(CH3)2、および--CH2CH2Clの基は、置換アルキル基の非限定的な例である。
【0021】
「置換」という修飾語を伴わずに使用される場合の「アルケニル」という用語は、結合点としての炭素原子を有し、線状または分岐状の非環式構造を有し、少なくとも1つの非芳香族炭素-炭素二重結合を有し、炭素-炭素三重結合を有さず、炭素および水素以外の原子は有さない、一価不飽和脂肪族基を指す。非限定的な例としては、--CH=CH2(ビニル)、--CH=CHCH3、--CH=CHCH2CH3、--CH2CH=CH2(アリル)、--CH2CH=CHCH3、および-CH=CHCH=CH2が挙げられる。
【0022】
「置換」という修飾語を伴わずに使用される場合の「アルケンジイル」という用語は、結合点としての2つの炭素原子を有し、線状または分岐状、線状または分岐状の非環式構造を有し、少なくとも1つの非芳香族炭素-炭素二重結合を有し、炭素-炭素三重結合を有さず、炭素および水素以外の原子を有さない、二価不飽和脂肪族基を指す。基-CH=CH--、--CH.dbd.C(CH3)CH2--、--CH=CHCH2--、および--CH2CH=CHCH2--は、アルケンジイル基の非限定的な例である。アルケンジイル基は脂肪族であるが、両端で連結すると、この基が芳香族構造の一部を形成することを排除されないことに留意されたい。「アルケン」または「オレフィン」という用語は、同義であり、式H--Rを有する化合物を指し、式中、Rは、この用語が上記で定義されるように、アルケニルである。「末端アルケン」は、炭素-炭素二重結合を1つだけ有するアルケンであり、その結合は、分子の一端にビニル基を形成する。これらの用語のいずれかが「置換」という修飾語と共に使用される場合、1つ以上の水素原子は独立して、--OH、--F、--Cl、--Br、--I、--NH2、--NO2、--CO2H、--CO2CH3、--CN、--SH、--OCH3、--OCH2CH3、--C(O)CH3、--NHCH3、--NHCH2CH3、--N(CH3)2、--C(O)NH2、--OC(O)CH3、または--S(O)2NH2で置き換えられている。基-CH=CHF、--CH=CHCl、および-CH=CHBrは、置換アルケニル基の非限定的な例である。
【0023】
「置換」という修飾語を伴わずに使用される場合の「アルキニル」という用語は、結合点としての炭素原子を有し、線状または分岐状の非環式構造を有し、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有し、炭素および水素以外の原子を有さない、一価不飽和脂肪族基を指す。本明細書で使用される場合、アルキニルという用語は、1つ以上の非芳香族炭素-炭素二重結合の存在を排除しない。基--CCH、--CCCH3、および--CH2CCCH3は、アルキニル基の非限定的な例である。「アルキン」は、化合物H--Rを指し、式中、Rは、アルキニルである。
【0024】
これらの用語のいずれかが「置換」という修飾語と共に使用される場合、1つ以上の水素原子は独立して、--OH、--F、--Cl、--Br、--I、--NH2、--NO2、--CO2H、--CO2CH3、--CN、--SH、--OCH3、--OCH2CH3、--C(O)CH3、--NHCH3、--NHCH2CH3、--N(CH3)2、--C(O)NH2、--OC(O)CH3、または--S(O)2NH2で置き換えられている。
【0025】
「置換」という修飾語を伴わずに使用される場合の「アリール」という用語は、結合点としての芳香族炭素原子を有する一価不飽和芳香族基を指し、上記炭素原子は、1つ以上の6員芳香族環構造の一部を形成し、環原子は、すべて炭素であり、その基は、炭素および水素以外の原子から成らない。複数の環が存在する場合、環は、縮合または非縮合であり得る。本明細書で使用される場合、この用語は、第1の芳香族環または存在する任意の追加の芳香族環に結合した1つ以上のアルキルまたはアラルキル基(炭素数制限が許す限り)の存在を排除しない。アリール基の非限定的な例としては、フェニル(Ph)、メチルフェニル、(ジメチル)フェニル、--C6H4CH2CH3(エチルフェニル)、ナフチル、およびビフェニルに由来する一価の基が挙げられる。「置換」という修飾語を伴わずに使用される場合の「アレンジイル」という用語は、結合点としての2つの芳香族炭素原子を有する二価芳香族基を指し、上記炭素原子は、1つ以上の6員芳香族環構造(複数可)の一部を形成し、環原子は、すべて炭素であり、一価の基は、炭素および水素以外の原子から成らない。本明細書で使用される場合、この用語は、第1の芳香族環または存在する任意の追加の芳香族環に結合した1つ以上のアルキル、アリール、またはアラルキル基(炭素数制限が許す限り)の存在を排除しない。複数の環が存在する場合、環は、縮合または非縮合であり得る。非縮合環は、共有結合、アルカンジイル、またはアルケンジイル基(炭素数制限が許す限り)のうちの1つ以上を介して連結され得る。アレンジイル基の非限定的な例としては、以下が挙げられる。
【0026】
「アレーン」は、化合物H--Rを指し、式中、Rは、その用語が上記で定義されるように、アリールである。ベンゼンおよびトルエンは、アレーンの非限定的な例である。
【0027】
これらの用語のいずれかが「置換」という修飾語と共に使用される場合、1つ以上の水素原子は独立して、--OH、--F、--Cl、--Br、--I、--NH2、--NO2、--CO2H、--CO2CH3、--CN、--SH、--OCH3、--OCH2CH3、--C(O)CH3、--NHCH3、--NHCH2CH3、--N(CH3)2、--C(O)NH2、--OC(O)CH3、または--S(O)2NH2で置き換えられている。
【0028】
「置換」という修飾語を伴わずに使用される場合の「アラルキル」という用語は、一価の基--アルカンジイル--アリールを指し、アルカンジイルおよびアリールという用語は各々、上記で提供された定義と一致する方式で使用される。非限定的な例は、フェニルメチル(ベンジル、Bn)および2-フェニル-エチルである。
【0029】
アラルキルという用語が「置換」という修飾語と共に使用される場合、アルカンジイルおよび/またはアリール基からの1つ以上の水素原子は独立して、--OH、--F、--Cl、--Br、--I、--NH2、--NO2、--CO2H、--CO2CH3、--CN、--SH、--OCH3、--OCH2CH3、--C(O)CH3、--NHCH3、--NHCH2CH3、--N(CH3)2、--C(O)NH2、--OC(O)CH3、または--S(O)2NH2で置き換えられている。置換アラルキルの非限定的な例は、(3-クロロフェニル)-メチル、および2-クロロ-2-フェニル-エチルである。
【0030】
「置換」という修飾語を伴わずに使用される場合の「ヘテロアリール」という用語は、結合点としての芳香族炭素原子または窒素原子を有する一価芳香族基を指し、上記炭素原子または窒素原子は、1つ以上の芳香族環構造の一部を形成し、環原子のうちの少なくとも1つは、窒素、酸素、または硫黄であり、ヘテロアリール基は、炭素、水素、芳香族窒素、芳香族酸素、および芳香族硫黄以外の原子から成らない。複数の環が存在する場合、環は、縮合または非縮合であり得る。本明細書で使用される場合、この用語は、芳香族環または芳香族環系に結合した1つ以上のアルキル、アリール、および/またはアラルキル基(炭素数制限が許す限り)の存在を排除しない。ヘテロアリール基の非限定的な例としては、フラニル、イミダゾリル、インドリル、インダゾリル(Im)、イソキサゾリル、メチルピリジニル、オキサゾリル、フェニルピリジニル、ピリジニル、ピロリル、ピリミジニル、ピラジニル、キノリル、キナゾリル、キノキサリニル、トリアジニル、テトラゾリル、チアゾリル、チエニル、およびトリアゾリルが挙げられる。「N-ヘテロアリール」という用語は、結合点としての窒素原子を有するヘテロアリール基を指す。「ヘテロアレーン」は、化合物H--Rを指し、ここで、Rはヘテロアリールである。ピリジンおよびキノリンは、ヘテロアレーンの非限定的な例である。これらの用語が「置換」という修飾語と共に使用される場合、一つ以上の水素原子は独立して、--OH、--F、--Cl、--Br、--I、--NH2、--NO2、--CO2H、--CO2CH3、--CN、--SH、--OCH3、--OCH2CH3、--C(O)CH3、--NHCH3、--NHCH2CH3、--N(CH3)2、--C(O)NH2、--OC(O)CH3、または--S(O)2NH2で置き換えられている。
【0031】
「置換」という修飾語を伴わずに使用される場合の「アシル」という用語は、基--C(O)Rを指し、式中、Rは、これらの用語が上記で定義されるように、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、またはヘテロアリールである。基、--CHO、--C(O)CH3(アセチル、Ac)、--C(O)CH2CH3、--C(O)CH2CH2CH3、--C(O)CH(CH3)2、C(O)CH(CH2)2、C(O)C6H5、--C(O)C6H4CH3、--C(O)CH2C6H5、--C(O)(イミダゾリル)は、アシル基の非限定的な例である。「チオアシル」は、基--C(O)Rの酸素原子が硫黄原子、--C(S)Rで置き換えられていることを除いて、類似の方式で定義される。「アルデヒド」という用語は、上記で定義されるように、アルカンに対応し、水素原子のうちの少なくとも1つが--CHO基で置き換えられている。これらの用語のいずれかが「置換」という修飾語と共に使用される場合、1つ以上の水素原子(存在する場合、カルボニルまたはチオカルボニル基の炭素原子に直接結合している水素原子を含む)は独立して、--OH、--F、--Cl、--Br、--I、--NH2、--SH、--OCH3、--OCH2CH3、--NHCH3、--NHCH2CH3、--N(CH3)2、--OC(O)CH3、または--S(O)2NH2で置き換えられている。基、--C(O)CH2CF3、--CO2(カルボキシル)、--CO2CH3(メチルカルボキシル)、--CO2CH2CH3、--C(O)NH2(カルバモイル)、および--CON(CH3)2は、置換アシル基の非限定的な例である。低級「アルケニル」カルボン酸という用語は、1~12個の炭素を有し、直鎖、分岐鎖、および環式基であり得、3つ以下の二重結合を有する脂肪族基を指し、これらはすべて、アルキル基と同様に任意選択的に置換され得る。カルボン酸中の低級アルケニルラジカルの代表的な例としては、ビニル(エテニル)、アリル(プロペン-3-イル)、1-ブテン-4-イル、2-ブテン-4-イル、1-ペンテン-5-イルなどが挙げられる。
【0032】
「医薬的に許容可能なカルボン酸」という用語は、カルボン酸部分を意味し、これは、医薬配合物および組成物を形成するのに有用であり、また、生理学的に許容可能であり、この部分を受け取る対象に対して一般に無毒である。
【0033】
医薬組成物
ホルモン系薬物の経鼻投与の方法は、知られており、例えば、薬物投与のための油系ビヒクルは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第US2012/0009250A1号および米国特許公開第2017/0281644A1号に記載される。
【0034】
経口送達のための脂質系ビヒクルのいくつかの例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,096,338号に記載されている。これに類似したシリカは、1980年代からチキソトロピー組成物を作製するために使用されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,497,918号に記載される。本発明において有用な油相および水相の両方を含むチキソトロピーマクロエマルションは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許米国特許公開第2017/0348276 A1号に記載される。
【0035】
ある特定の実施形態によると、配合物は、(1)エステル化テストステロン誘導体と、(2)油性ビヒクルと、(3)湿潤剤もしくは湿潤剤の混合物および/または医薬的に許容可能な界面活性剤もしくは界面活性剤の混合物と、を含む。
【0036】
他の実施形態によると、配合物は、(1)エステル化テストステロン誘導体と、(2)油性ビヒクルと、(3)湿潤剤もしくは湿潤剤の混合物および/または医薬的に許容可能な界面活性剤もしくは界面活性剤の混合物と、(4)増粘剤と、を含む。
【0037】
他の実施形態によると、配合物は、(1)エステル化テストステロン誘導体と、(2)油性ビヒクルと、(3)湿潤剤もしくは湿潤剤の混合物および/または医薬的に許容可能な界面活性剤もしくは界面活性剤の混合物と、(4)増粘剤と、(5)任意選択的に水と、を含む。
【0038】
他の実施形態によると、配合物は、(1)エステル化テストステロン誘導体と、(2)油性ビヒクルと、(3)湿潤剤もしくは湿潤剤の混合物および/または医薬的に許容可能な界面活性剤もしくは界面活性剤の混合物と、(4)増粘剤と、5)任意選択的に水と、を含み、成分の組み合わせまたは混合物は、チキソトロピー混合物をもたらす。
【0039】
他の実施形態によると、配合物は、(1)エステル化テストステロン誘導体と、(2)油性ビヒクルと、(3)湿潤剤もしくは湿潤剤の混合物および/または医薬的に許容可能な界面活性剤もしくは界面活性剤の混合物と、(4)コロイド状シリカなどの増粘剤と、を含み、成分の組み合わせは、チキソトロピー混合物をもたらす。
【0040】
ある特定の実施形態によると、油性ビヒクルは、医薬的に許容可能な植物油、モノグリセリド、ジグリセリド、イソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)、合成トリグリセリド、合成油、およびそれらの任意の組み合わせまたは混合物から成る群から選択される。
【0041】
ある特定の実施形態によると、医薬的に許容可能な植物油は、アーモンドオイルスウィート(Prunus dulcis)、アーモンドオイルバージン(Prunus amygdalus)、アロエベラオイル(Aloe barbadensis)、アプリコットカーネルオイル(Prunus armeniaca)、アルガンオイル(Argania spinosa)、アボカダオイル(Persea americana)、アプリコットオイル(Prunus armeniaca)、アムラオイル(Emblica officinalis)、ボラージオイル(Borago officinalis)、ブラックシードオイル(Nigella sativa)、ヒマシ油(Ricinus communis)、ニンジンオイル(Daucus carota)、ココナッツオイル(Cocus nucifera、トウモロコシオイル、キュウリオイル(Cucumis sativa)、チャウルモグラオイル(Hydnocarpus wightianus)、エミューオイル(Dromaius novae-Hollandiae)、イブニングプリムローズオイル(Oenothera biennis)、フラックスシードオイル(Linum usitatissimum)、グレープシードオイル(Vitus vinifera)、ヘーゼルナッツオイル(Avekkana)、精製ホホバオイル(Simmondsia chinensis)、モリンガオイル(Moringa oliefera)、マルーラオイル(Sclerocarya birrea)、小麦胚芽オイル、Triticum vulgare、マカダミアオイル、(Macadamia ternifolia)、ムスクメロンオイル(Cuvumis melon)、ムスクオイル(Abelmoschus moschatus)、マスタードオイル、ニームオイル(Azadirachta indica)、オリーブオイル(Olea europaea)、ピーチカーネルオイル(Prunus persica)、ピーナッツオイル(Arachis hypogeae)、ザクロオイル、Punica granatum、オランダビユオイル(Carica papaya)、プリムローズオイル(Oenothera bienni)、パパイヤシードオイル(Carica papaya)、ローズヒップシードオイル(Rosa rubiginosa)、サフラワーオイル、セサミシード(精製)(Sesamum indicum)、シーバックソーンオイル(Hippophae rhamnoides)、大豆オイル(Soja hispida)、ヒマワリオイル(Helianthus annus)、スウィートアーモンドオイル(Prunus amygdalus Var. Dulcus)、スウィートチェリーカーネルオイル(Prunus avium)、クルミオイル(Juglans regia)、スイカオイル(Citrullus vulgaris)から成る群から選択される。
【0042】
本発明による医薬的に許容可能な合成油には、SAIB、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール(ポロキサマー)、アルキル修飾PEGまたはポロキサマー、シリコーン、および鉱油が含まれる。
【0043】
本発明によるある特定の好ましい実施形態によると、油性ビヒクルには、中鎖トリグリセリド、ヒマシ油、ゴマ油、PEG、ポロキサマー、SAIB、またはそれらの混合物が含まれる。
【0044】
ある特定の実施形態によると、テストステロン治療活性物質、または活性物質の混合物は、上記の式1によって記載され、かつ実施例1および2に記載される化合物から成る群のうちの1つ以上から選択される。
【0045】
ある特定の実施形態によると、テストステロン治療活性物質は、好ましくは、プロピオン酸テストステロン、エナント酸テストステロン、シピオン酸テストステロン、ウンデカン酸テストステロン、およびそれらの組み合わせまたは混合物から成る群から選択される。
【0046】
ある特定の実施形態によると、湿潤剤もしくは湿潤剤の混合物および/または医薬的に許容可能な界面活性剤もしくは界面活性剤の混合物は、ポリソルベート、ポリオキシエチレン水素化植物油、ポリオキシエチレン植物油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリグリセロール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリド、ポリオキシエチレンステロール、またはそれらの誘導体もしくは類似体、ポリオールと、脂肪酸、グリセリド、植物油、水素化植物油、分別油、およびステロールから成る群のうちの少なくとも1つの要素との反応混合物、コハク酸トコフェリルポリエチレングリコール、糖エステル、糖エーテル、スクログリセリド、アルキルグルコシド、アルキルマルトシド、アルキルチオグルコシド、ラウリルマクロゴルグリセリド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、例えば、ポロキサマー-108、188、217、238、288、338、407、124、182、183、212、331、もしくは335、またはそれらの組み合わせもしくは混合物、イオン性親水性界面活性剤、例えば、ドデシル硫酸ナトリウムまたはドキュセートナトリウム、胆汁酸、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、それらの塩、ならびにそれらの組み合わせまたは混合物から成る群から選択される。
【0047】
ある特定の実施形態によると、配合物は、レオロジー修飾(増粘剤)剤をさらに含む。増粘剤は、好ましくは、配合物の大部分の液相(油または水)に添加されるであろう。大部分の相が油(水相の有無にかかわらず)である配合物の場合、医薬的に許容可能な増粘剤は、コロイド状シリカ、シリケート、アルミナ、高分子量ポリマーまたは固体/ワックス状物質、蜜蝋、アルミナ、シリカ、コロイド状シリカ、シリケートおよび高融点ワックス、セトステアリルアルコール、ならびにそれらの組み合わせおよび混合物である。大部分の相が水性である配合物の場合、増粘剤は、HPMC、HPC、ナトリウムCMC、ナトリウムCMCおよびMCC、天然ガム、例えば、キサンタンガム、グアーガム、アカシアガム、トラガカントガム、デンプン、例えば、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、およびアルファ化デンプン、ならびにそれらの組み合わせまたは混合物から成る群から選択される、医薬的に許容可能な親水性ポリマーであろう。増粘剤は、混合相系の両方の相に添加され得る。
【0048】
ある特定の実施形態によると、水を含む配合物は、界面活性剤および浸透圧補体をさらに含み得る。
【0049】
ある特定の実施形態によると、界面活性剤は、グリコールジステアレート、ソルビタントリオレート、プロピレングリコールイソステアレート、グリコールステアレート、ソルビタンセスキオレート、レシチン、ソルビタンオレート、ソルビタンモノステアレートNF、ソルビタンステアレート、ソルビタンイソステアレート、ステアレス-2、オレス-2、グリセリルラウレート、セテス-2、PEG-30ジポリヒドロキシステアレート、グリセリルステアレートSE、ソルビタンステアレート(および)スクロースココエート、PEG-4ジラウレート、メチルグルコースセスキステアレート、レシチンHLB(可変)PEG-8ジオレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンラウレート、PEG-40ソルビタンペロレート、ラブラフィルM1944CS、ローレス-4、PEG-7グリセリルココエート、PEG-20アーモンドグリセリド、PEG-25水素化ヒマシ油、ステアラミドMEA、グリセリルステアレート(および)PEG-100ステアレート、ポリソルベート85、PEG-7オリベート、セテアリルグルコシド、ステアラミドMEA、PEG-8オレート、ポリグリセリル-3メチグルコースジステアレート、オレス-10、オレス-10/ポリオキシル10オレイエーテルNF、セテス10、PEG-8ラウレート、コカミドMEA、ポリソルベート60NF、ポリソルベート60、ポリソルベート80、イソステアレス-20、PEG-60アーモンドグリセリド、PEG-20メチルグルコースセスキステアレート、セテアレス-20、オレス-20、ステアレス-20、ステアレス-20、ステアレス-21、ステアレス-21、セテス-20、およびステアレス-100、ならびにそれらの組み合わせまたは混合物から成る群から選択される。
【0050】
ある特定の好ましい実施形態によると、テストステロン治療活性物質は、活性テストステロンのプロピオン酸エステルであり、油性ビヒクルは、ヒマシ油であり、湿潤剤は、オレオイルポリオキシルグリセリドである。任意選択的に、シリカは、好ましい増粘剤として使用される。
【0051】
本発明において有用な化合物は、本明細書で定義されるように、式(I)のものである。テストステロンの活性エステル誘導体(3a-ヒドロキシ-3b-メチル-5a-プレナン-20-オン)は、好ましい化合物である。本明細書の上で言及したように、特にテストステロンの3-ヒドロキシ基の生理学的に切断可能なエステルも有用である。そのようなエステルが由来し得るカルボン酸は、先に一般的に言及されたが、3位でエステルを形成するのに有用なカルボン酸のリストは、酢酸、n-プロピオン酸、n-酪酸、t-ブチルカルボン酸、n-ペンタン酸、安息香酸、ヘプタン酸、シクロペンチルプロピオン酸、ウンデカン酸、モルホリノカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、n-プロペン酸、e-ブテン酸などである。
【0052】
本発明の組成物は、テストステロンの目的の活性エステル誘導体(複数可)を可溶性の形態で患者に導入し、それによってテストステロンの溶解度の制限を克服する、任意の好適な経路により投与され得る。本発明の組成物は、プロドラッグであり、投与後、加水分解酵素の作用または自然加水分解を介して、テストステロンに変換される。投与様式は、経鼻または鼻腔内であり得る。
【0053】
医薬的に許容可能な賦形剤には、溶媒、希釈剤、結合剤、潤滑剤、防腐剤、崩壊剤、湿潤剤、界面活性剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、香味料、甘味料などが含まれる。これらの賦形剤の例は、標準的な出版物であるRemington’s Pharmaceutical Sciences,19 Edition,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.-1995(「Remington’s」)に見出すことができ、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。当業者は、ある特定の物質が、ある配合物では界面活性剤として、別の配合物では湿潤剤として同等に作用することができることを認識するであろう。本発明によると、これらのカテゴリーのいずれかにおける任意の薬剤が、配合物の性質に応じて、他のカテゴリーにおいて交換可能に使用することができることに留意されたい。
【0054】
本発明による剤形には、患者に鼻腔内投与することができる液体、油、エマルション、半固体エマルション、懸濁液、ゲル、クリーム、軟膏、固形物、ワックスなどが挙げられる。好ましい剤形は、所望の状態に対する安全性および効力を達成しながら、効率的かつ便利な方式で患者に薬物を提供するものである。
【0055】
選択された薬物の好ましい投与量は、薬物の効能、患者の状況、および治療する状態の性質の両方に依存する。組成物は、患者の年齢および体重、患者の症状の重症度、ならびに選択された経鼻投与経路などの任意の関連する要因を考慮する治療医により処方される必要がある。
【0056】
剤形および投与経路に応じて、投与される組成物中の活性化合物の量は、病状の緩和のために治療されている対象に、所望の量、すなわち、治療上有効な量の活性物質を送達するのに十分であろう。したがって、本発明の別の態様は、病状の治療に有用な組成物を調製するための式(I)の構成成分の使用である。化合物は、許容可能な配合物を形成するために賦形剤で閉じ込められ、次に、投与のための指示を提供するラベルと組み合わされる。
【0057】
本発明の別の態様は、病状を治療するのに好適な医薬組成物であり、この組成物は、式(I)の化合物と、医薬的に許容可能な賦形剤とを含む。一般に、活性化合物の量は、投与量単位あたり約1ミリグラム(mg)~約135mg、好ましくは約2mg~50mg、最も好ましくは約5mg~35mgで変動する。剤形のサイズに応じて、活性物質は、約1重量%~約90重量%、好ましくは50重量%未満で変動し得る。
【0058】
したがって、活性物質のパーセンテージは、例えば、1、2、3、4、5、10、20、30、40、50パーセント、または所望に応じて任意の中間のパーセンテージもしくは範囲であり得る。所望の組成物のパーセンテージを有する剤形を使用することによって、当該技術分野の医師は、約0.1mg/対象の体重キログラム(kg)~約100mg/kg、好ましくは約0.1mg/kg~約10mg/kgを達成するのに十分に投与することができる。剤形に添付されるラベルは、病状を治療するために組成物を使用するための指示を提供する。治療は、必要に応じて、急性、亜慢性(短期間)、または慢性的であり得る。
【0059】
本発明による組成物は、多くの状態を治療するために使用され得る。好ましい用量および投与経路は、治療される状態の性質に依存し得る。本発明によるテストステロンエステルで治療され得る状態には、性腺機能低下症、不安、恐怖、性機能障害、癌、性的衝動の低下、性欲、テストステロン補充療法、低テストステロン、うつ病、貧血、前立腺癌、および乳癌が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0060】
以下の実施例は、当業者の開業医のための指南として提供される。実施例は、本発明を限定するものとして解釈されるべきではなく、本発明を理解および実施するのに有用な例示的な方法論を単に提供する例として解釈されるべきである。
【実施例】
【0061】
実施例1.ヒマシ油配合物中の約14%のシピオン酸テストステロン
【表1】
ヒマシ油(約82部)およびオレオイルポリオキシルグリセリド(約4部)を完全に一緒に混合する。シピオン酸テストステロン(約14部)を添加し、混合時に溶解して、透明なゲルまたは粘性溶液を形成する。テストステロン活性物質の当量濃度は、約9.8%である。125μLのポンプを使用する単回用量(各鼻孔に1回の作動)では、これにより、約24mgのテストステロン当量の総用量または鼻孔当たり約12mgのテストステロン当量の用量が提供される。
【0062】
実施例2.ヒマシ油配合物中の約15%のプロピオン酸テストステロン
【表2】
ヒマシ油(81部)およびオレオイルポリオキシルグリセリド(約4部)を完全に一緒に混合する。プロピオン酸テストステロン(約15部)を添加し、混合時に溶解して、透明なゲルまたは粘性溶液を形成する。テストステロン活性物質の当量濃度は、約12.9%である。
【0063】
実施例3.ヒマシ油配合物中の約30%のエナント酸テストステロン
【表3】
ヒマシ油(約66部)およびオレオイルポリオキシルグリセリド(約4部)を完全に一緒に混合する。エナント酸テストステロン(約30部)を添加し、混合時に溶解して、透明なゲルまたは粘性溶液を形成する。テストステロン活性物質の当量濃度は、約22.5%である。
【0064】
実施例4.ヒマシ油配合物中の約36%のエナント酸テストステロン
【表4】
ヒマシ油(約60部)およびオレオイルポリオキシルグリセリド(約3.7部)を完全に一緒に混合する。エナント酸テストステロン(約36.3部)を添加し、混合時に溶解して、透明なゲルまたは粘性溶液を形成する。テストステロン活性物質の当量濃度は、約26.1%である。
【0065】
実施例5.ヒマシ油配合物中の約36%のエナント酸テストステロン
【表5】
コロイド状二酸化ケイ素(約4部)を、ヒマシ油(約92部)中に分散した。オレオイルポリオキシルグリセリド(約4部)を添加し、混合して、均一なゲルを形成する。この混合物の約63.7部を約40℃まで温め、エナント酸テストステロン(約36.3部)を溶解して、透明なゲルを形成する。テストステロン活性物質の当量濃度は、約26.1%である。
【0066】
実施例6.ヒマシ油配合物中のテストステロンエステル混合物
【表6】
コロイド状二酸化ケイ素(約4部)を、ヒマシ油(約62.2部)中に分散する。混合物を約40℃まで温め、シピオン酸テストステロン(約4.9部)、プロピオン酸テストステロン(約4.9部)、およびエナント酸テストステロン(約20部)を添加し、混合して、透明な溶液を形成する。オレオイルポリオキシルグリセリド(約4部)を添加し、混合して、均一なゲルを生成する。テストステロン活性物質の当量濃度は、約21.9%である。
【0067】
実施例7.約36%のエナント酸テストステロン配合物
【表7】
コロイド状二酸化ケイ素(約4部)を、中鎖トリグリセリド(約55.7部)中に分散する。混合物を約40℃まで温め、次に、エナント酸テストステロン(約36.3部)を溶解して、透明な混合物を形成する。次に、オレオイルポリオキシルグリセリド(約4部)を添加し、混合して、均一な透明なゲルを形成する。テストステロン活性物質の当量濃度は、約26.1%である。
【0068】
実施例8.約36%のエナント酸テストステロン配合物
【表8】
コロイド状二酸化ケイ素(約4部)を、ゴマ油(約55.7部)中に分散する。混合物を約40℃まで温め、エナント酸テストステロン(約36.3部)を添加して、溶解し、透明な混合物を形成する。オレオイルポリオキシルグリセリド(約4部)を添加し、混合して、均一な透明なゲルを形成する。テストステロン活性物質の当量濃度は、約26.1%である。
【0069】
実施例9.約36%のエナント酸テストステロン配合物
【表9】
コロイド状二酸化ケイ素(約4部)を、ゴマ油(約15.7部)、中鎖トリグリセリド(約20部)、およびヒマシ油(約20部)の混合物中に分散する。混合物を約40℃まで温め、次に、エナント酸テストステロン(約36.3部)を添加して、溶解し、透明な混合物を形成する。オレオイルポリオキシルグリセリド(約4部)を添加し、混合して、均一な透明なゲルを形成する。テストステロン活性物質の当量濃度は、約26.1%である。
【0070】
実施例10.テストステロンエステル混合物配合物
【表10】
コロイド状二酸化ケイ素(約4部)を、ゴマ油(20部)、中鎖トリグリセリド(21.2部)、およびヒマシ油(約21部)の混合物中に分散する。混合物を約40℃まで温め、次に、エナント酸テストステロン(約20部)、プロピオン酸テストステロン(約4.9部)、およびシピオン酸テストステロン(約4.9部)を溶解して、透明な混合物を形成する。オレオイルポリオキシルグリセリド(約4部)を添加し、混合して、均一な透明なゲルを形成する。テストステロン活性物質の当量濃度は、約21.9%である。
【0071】
実施例11.テストステロンエステルのエマルション配合物
【表11】
中鎖トリグリセリド(約30部)およびポリオキシル35ヒマシ油(約2部)を混合する。混合物を約60℃まで加熱し、次に、エナント酸テストステロン(約36.3部)を添加し、溶解して、透明な油性溶液を形成する。これとは別に、カルボマー971P(約0.4部)を約65℃で水(約31.3部)中に分散する。油相薬液を水相液に添加し、乳化させる。pHを約1N NaOH溶液で約6.5~約7.5に調整する。混合物を連続混合しながら室温まで冷却して、白色の不透明な水性ゲルを形成する。テストステロン活性物質の当量濃度は、約26.1%である。
【0072】
実施例12.テストステロンを含有する経鼻ディスペンサー
【表12】
プロピオン酸テストステロン(0.80部)をヒマシ油(91.80部)中に溶解する。その中にコロイド状二酸化ケイ素(4部)を分散する。オレオイルポリオキシルグリセリド(4部)を添加し、混合して、均一なゲルを形成する。テストステロン活性物質の当量濃度は、約0.67%である。75μLのポンプで使用すると、これにより、作動当たり約0.5mgの用量、または両方の鼻孔で使用する場合は約1mgの総用量が提供される。
【0073】
実施例13.女性の性機能障害のためのエナント酸テストステロン
【表13】
蜜蝋(2部)を約60℃でヒマシ油(92.15部)中に溶解する。オレオイルポリオキシルグリセリド(4部)を添加し、十分混合する。エナント酸テストステロン(1.85部)を溶解して、均一なゲルを形成する。テストステロン活性物質の当量濃度は、約1.4%である。75μLのポンプ(各鼻孔に1回の作動)で使用すると、これにより、約2mgのテストステロン当量の総用量または鼻孔当たり約1mgのテストステロン当量が提供される。
【0074】
実施例14.女性の性機能障害のためのシピオン酸テストステロン
【表14】
蜜蝋(2部)を約60℃でヒマシ油(93.23部)と混合する。オレオイルポリオキシルグリセリド(4部)を添加し、十分混合する。シピオン酸テストステロン(4.77部)を溶解して、均一なゲルを形成する。テストステロン活性物質の当量濃度は、約3.34%である。75μLのポンプ(各鼻孔に1回の作動)で使用すると、これにより、約5mgのテストステロン当量の総用量または鼻孔当たり約2.5mgのテストステロン当量が提供される。
【0075】
実施例15.女性の性機能障害のためのプロピオン酸テストステロンゲル
【表15】
中鎖トリグリセリド(30部)、ヒマシ油(30部)、およびポリオキシル35ヒマシ油(2部)を混合する。混合物を約60℃まで加熱し、次に、プロピオン酸テストステロン(4部)を添加し、溶解して、透明な油性溶液を形成する。これとは別に、カルボマー971P(0.4部)を約65℃で水(31.3部)中に分散する。油相薬物溶液を水相に添加し、乳化させる。pHを約1N NaOH溶液で約6.5~約7.5に調整する。混合物を連続混合しながら室温まで冷却して、白色の不透明な水性ゲルを形成する。テストステロン活性物質の当量濃度は、約3.36%である。75μLのポンプで両方の鼻孔に使用すると、これにより、約5mgのテストステロン当量の総用量または鼻孔当たり約2.5mgのテストステロン当量が提供される。
【0076】
実施例16.前立腺癌の治療のためのエナント酸テストステロン
【表16】
コロイド状二酸化ケイ素(4部)を、ヒマシ油(73.00部)中に分散する。混合物を約40℃まで温め、次に、エナント酸テストステロン(19.00部)を溶解して、透明な混合物を形成する。次に、オレオイルポリオキシルグリセリド(4部)を添加し、混合して、均一な透明なゲルを形成する。テストステロン活性物質の当量濃度は、約13.67%である。125μLのポンプ(各鼻孔に1回作動)で使用すると、これにより、約33.5mgテストステロン当量の総用量または鼻孔当たり約16.75mgテストステロン当量が提供される。
【0077】
実施例17.前立腺癌のためのプロピオン酸テストステロン
【表17】
コロイド状二酸化ケイ素(4部)を、ヒマシ油(81部)中に分散する。混合物を約40℃まで温め、次に、プロピオン酸テストステロン(11部)を溶解して、透明な混合物を形成する。次に、オレオイルポリオキシルグリセリド(4部)を添加し、混合して、均一な透明なゲルを形成する。テストステロン活性物質の当量濃度は、約9.2%である。125μLのポンプ(各鼻孔に1回作動)で使用すると、これにより、約22.6mgテストステロン当量の総用量または鼻孔当たり約11.3mgテストステロン当量が提供される。
【0078】
実施例18.前立腺癌のためのシピオン酸テストステロン
【表18】
コロイド状二酸化ケイ素(4部)を、ヒマシ油(85.5部)中に分散する。混合物を約40℃まで温め、次に、プロピオン酸テストステロン(6.5部)を溶解して、透明な混合物を形成する。次に、オレオイルポリオキシルグリセリド(4部)を添加し、混合して、均一な透明なゲルを形成する。テストステロン活性物質の当量濃度は、約9.2%である。125μLのポンプ(各鼻孔に1回作動)で使用すると、これにより、約11mgのテストステロン当量の総用量または鼻孔当たり約5.5mgのテストステロン当量が提供される。
【0079】
実施例19.前立腺癌のためのテストステロンエステルの混合物
【表19】
コロイド状二酸化ケイ素(4部)を、ヒマシ油(80部)中に分散する。混合物を約40℃まで温め、次に、プロピオン酸テストステロン、シピオン酸テストステロン、およびエナント酸テストステロン(各6部)を溶解して、透明な混合物を形成する。次に、オレオイルポリオキシルグリセリド(4部)を添加し、混合して、均一な透明なゲルを形成する。テストステロン活性物質の当量濃度は、約13.2%である。125μLのポンプ(各鼻孔に1回作動)で使用すると、これにより、約33mgのテストステロン当量の総用量または鼻孔当たり約16.5mgのテストステロン当量が提供される。
【0080】
実施例20.テストステロンを含有する経鼻ディスペンサー
実施例7からの組成物(36.3%のエナント酸テストステロンエステル)は、米国特許公開第2017/0348276A1号に記載されるように経鼻ディスペンサーに充填され、次に、蓋をされて密封される。経鼻ディスペンサーは、各作動で125uLの用量を提供する。鼻に使用すると、この医薬剤形は、1つの鼻孔に投与される場合、作動当たり約44.5mgのテストステロンエステル(約32mgのテストステロンの用量に相当)を提供し得る。両方の鼻孔に適用すると、総用量は、約89mgのテストステロンエステルである(約64mgのテストステロンの総用量に相当)。
【0081】
実施例21.薬物動態
実施例12による組成物が調製され、各作動で約11mgのプロピオン酸テストステロン(約9.3mgのテストステロンに相当)を送達するように、作動当たり125uLを送達する経鼻ディスペンサーに含有されるヒマシ油、シリカ、およびオレオイルポリオキシルグリセリドの混合物中の約9%プロピオン酸テストステロン配合物を含む。組成物は、性腺機能低下症の患者に、単回用量、各鼻孔に適用される1回の作動として投与され、約22mgのプロピオン酸テストステロン(約18.6mgのテストステロンに相当)の総用量を達成する。血液試料は、投与前、次に、投与後約20、約40、約60、約80、および約100分に採取され、その後、約2時間、約4時間、約8時間、約12時間、および約24時間に追加の血液試料が採取される。
【0082】
本明細書で参照されるすべての特許、特許出願、米国特許公開、およびPCT公開を含むすべての刊行物は、各々が本明細書に完全に記載されているかのように、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0083】
本発明の記載の方法およびシステムの様々な修正および変形は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本発明は、特定の例示的な好ましい実施形態に関連して記載されてきたが、特許請求される本発明が、そのような特定の例示的な実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、本発明を実行するために記載された様々な修正は、以下の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。
【国際調査報告】