(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-10
(54)【発明の名称】流体混合装置及び混合方法
(51)【国際特許分類】
A61J 1/20 20060101AFI20220303BHJP
【FI】
A61J1/20 314C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021537736
(86)(22)【出願日】2019-12-23
(85)【翻訳文提出日】2021-06-25
(86)【国際出願番号】 ES2019070876
(87)【国際公開番号】W WO2020136296
(87)【国際公開日】2020-07-02
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507267023
【氏名又は名称】バイオテクノロジー インスティチュート、アイ エムエーエス ディー、 エス.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アニトゥア アルデコア、エデュアルド
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA27
4C047BB01
4C047BB03
4C047BB11
4C047CC01
4C047DD22
4C047DD34
4C047HH01
4C047HH03
4C047HH04
(57)【要約】
注射器間の連続移送による混合装置(1)及び流体混合方法に関する。混合方法は、混合装置(1)に一対の注射器(2、3)を配置するステップと、一対の注射器(2、3)に適合可能な可変固定要素を調整するステップと、混合力、速度及び範囲、並びに移送回数を調整可能である混合プログラムを選択して実行するステップとを含む。混合装置は、長手方向に移動可能な可動運搬台(7)と、固定要素(8、9)であって、それらの間の距離を調整可能な固定要素とを備える。これは、粘度の異なる血液流体、特にタンパク質ゲルと多血小板血漿とを混合又は乳化して、皮膚科用製剤を汎用的、衛生的、且つ効果的に調製することを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の移送の範囲を有する注射器間の連続移送による、流体の混合又は乳化のための混合装置(1)であって、
長手方向(6)においてに移動可能であり、少なくとも一対の対面する注射器(2、3)を収容及び保持するように構成されたハウジング(7a)を備える少なくとも1つの可動運搬台(7)であって、前記注射器(2、3)は、各注射器(2、3)の第1の端部によって互いに接続され、前記長手方向(6)において整列して配置されている、少なくとも1つの可動運搬台(7)と、
前記可動運搬台(7)の両側に1つずつ位置し、各注射器(2、3)の第2の自由端部を収容及び保持するように適合された少なくとも2つの固定要素(8、9)であって、前記2つの固定要素(8、9)間の距離が可変であるように、少なくとも1つの固定要素(9)は、調整可能な構成を有し、前記長手方向(6)に沿った可動位置において、対応する注射器(2、3)の前記自由端部を収容及び保持するように適合されている、少なくとも2つの固定要素(8、9)と、
制御ユニット(11)であって、センサのセット(15、16)、及び前記制御ユニット(11)によって生成される制御信号によってトリガーされる前記可動運搬台(7)に線形変位を伝達するための機構(13、14)と通信する制御ユニット(11)と
を備え、
前記センサのセット(15、16)は、前記移送範囲を自動的に較正するための較正センサ(15)と、前記可動運搬台(7)の変位方向を反転するための少なくとも1つの反転センサ(16)とを備えることを特徴とする、混合装置。
【請求項2】
前記調節可能な固定要素(9)は、前記長手方向(6)において固定部品(9f)及び可動部品(9d)を備える、請求項1に記載の混合装置(1)。
【請求項3】
前記調整可能な固定要素(9)は、1つ以上の補助部品(9s)を備え、前記補助部品(9s)は、共に組み立てられることができ、及び/又は前記固定要素(9)に接続可能である、請求項1に記載の混合装置(1)。
【請求項4】
前記ハウジング(7a)は、前記長手方向(6)に沿って延在し、前記長手方向(6)に平行な位置に、第1のサイズの第1の一対の等しい注射器(2)と、前記第1の一対の注射器(2)より小さい第2のサイズの第2の一対の等しい注射器(3)とを、収容及び保持するように適合されている複数の空洞(7b)を含む、請求項1に記載の混合装置(1)。
【請求項5】
前記注射器(2、3)の直径に調整された直径を有する4つの半円筒形の空洞(7b)と、2つの半円筒形の空洞(7b)の間に配置され、前記注射器(2、3)の前記第1の端部に位置する注入ゾーン(2c、3c)によって注射器(2、3)の対の間に接続要素(4)を収容するように適合された中間スペース(7c)とを含む、請求項4に記載の混合装置(1)。
【請求項6】
前記接続要素(4)は、ルアー・ツー・ルアー型である、請求項5に記載の混合装置(1)。
【請求項7】
前記固定要素(8、9)は、半円筒形部分(8b、9b)が設けられ、前記注射器(2、3)の前記自由端部のハンドル(2a、3a)を嵌合及び保持するように適合されたスロット(8c、9c)が設けられた少なくとも2つのハウジング(8a、9a)を備える、請求項4に記載の混合装置(1)。
【請求項8】
前記制御信号は、ステッピングモータ(13)の回転を制御するためのパルス信号(12)であり、前記モータ(13)の回転は、前記モータ(13)に係合され、前記可動運搬台(7)に接続された機械駆動シャフト(14)に伝達されて、前記駆動シャフト(14)は、前記モータ(13)の角運動を前記長手方向(6)における線形変位に変換し、前記線形変位は、前記可動運搬台(7)に伝達される、請求項1に記載の混合装置(1)。
【請求項9】
前記較正センサ(15)は、前記固定要素(9)のうちの1つに配置されたリミットスイッチと、前記可動運搬台(7)に配置されたねじとを備える、請求項1に記載の混合装置(1)。
【請求項10】
前記可動運搬台(7)及び前記固定要素(8、9)は、取り外し可能であり、他の可動運搬台及び固定要素によって交換可能であり、前記他の可動運搬台及び固定要素は、異なるサイズの注射器と互換性があり、互いに互換性がある、請求項1に記載の混合装置(1)。
【請求項11】
患者に投与される最終製品を得るために、特定の移送の範囲を有する注射器間の連続移送によって流体を混合する方法であって、
少なくとも一対の接続された対面する注射器(2、3)を、混合される前記流体で装填するステップと、
請求項1に記載の混合装置(1)に前記一対の注射器(2、3)を配置するステップと、
前記注射器(2、3)のサイズ及び/又は装填に応じて、前記調整可能な固定要素(9)の位置を調整するステップと、
前記一対の注射器(2、3)を前記固定要素(8、9)に固定するステップと、
各移送について可変及び所定の速度を有する事前画定された数の移送を含む混合プログラムを選択するステップと、
前記混合プログラムを実行するステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項12】
前記注射器(2)は、それらの容量の100%未満の割合で初期に装填され、前記方法は、前記注射器(2)の前記初期装填割合に前記移送範囲を調整するために、1つ以上の初期較正サイクルを含む、請求項11に記載の混合方法。
【請求項13】
前記混合される流体は、前記患者の血液から得られる、請求項11又は12に記載の混合方法。
【請求項14】
前記混合される流体は、タンパク質ゲル及び活性化血漿である、請求項13に記載の混合方法。
【請求項15】
前記注射器(3)は、3mlの容量を有し、得られる前記製品は、皮下注射可能なゲルである、請求項14に記載の混合方法。
【請求項16】
前記注射器(2)は、3mlの容量を有し、得られる前記製品は、皮内注射可能なゲルである、請求項14に記載の混合方法。
【請求項17】
前記注射器(2)は、20mlの容量を有し、得られる前記製品は、局所投与血清である、請求項14に記載の混合方法。
【請求項18】
前記移送の範囲の初期較正のために、300パルス/秒のレートで、前方移送及び後方移送を含む移送サイクルが実行される、請求項17に記載の混合方法。
【請求項19】
前記移送の範囲は74mmである、請求項18に記載の混合方法。
【請求項20】
前記混合プログラムは、300パルス/秒のレートでの第1のサイクル(2回移送)、300パルス/秒での第2のサイクル(2回移送)、450パルス/秒の速度での第3のサイクル(2回移送)、600パルス/秒の速度での第4のサイクル(2回移送)、750パルス/秒の速度での第5のサイクル(2回移送)、900パルス/秒の速度での第6のサイクル(2回移送)、1000パルス/秒での第7のサイクル(2回移送)及び後続のサイクルを含む、請求項17に記載の混合方法。
【請求項21】
合計120回の移送が実行される、請求項20に記載の混合方法。
【請求項22】
請求項11~21の何れか一項に記載の混合方法によって得られた製品。
【請求項23】
医療用目的のための請求項11~21の何れか一項に記載の方法によって得られた製品の使用。
【請求項24】
顔又は他のしわの治療のための請求項11~21の何れか一項に記載の方法によって得られた製品の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実験装置、特に生体液混合装置の分野に属する。本発明は、生体液、例えば、患者の血漿から得られる自己流体の迅速且つ再現可能な混合又は乳化を可能にする混合装置に関する。本発明はまた、局所又は注射可能な投与のための製剤を得るために生体液を混合する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、実験室又は美容クリニックで、多血小板血漿ゲルのような患者の血液から抽出された自己由来の流体を得るために使用される技術及び機器がある。この目的のために、後の使用のために患者の血液の異なる成分の分離を可能にする遠心分離機器が使用されることができる。患者の血漿から製作された組成物の使用の一例は、皮膚又は美容治療である。血漿ゲルを得、続いて、顔のしわの除去のために皮内注射によって使用するためのプロトコルがある。これらのプロトコルは、通常、遠心分離による患者の血液の分画に基づいており、続いて、最終製品が患者に注射される前に、臨床専門家によるその後の処理が行われる。
【0003】
血液から流体が抽出されたら、それらは、患者に送達される商品又は最終製剤を得るために、正確に混合又は乳化される必要がある。乳化又は供給される製品を含む様々なサイズの注射器が、先の乳化及び患者への送達の両方のために使用されることができる。
【0004】
注射器の内容物の供給を制御するために、市場には様々な注入ポンプがまたある。特許文献1は、患者への注射器の流体の供給のために、注射器を担持する運搬台の移動をケーシングに対して制御するモータシステムに基づく本発明である注射器と共に使用するように適合された注入ポンプの例を開示している。特許文献1で説明されるような機器は、患者への投与の前に、製品の正確な乳化のための解決策を提供しない。
【0005】
その上、このタイプの用途で知られているプロトコルは、得られる製品の再現性がある程度欠如し、望ましくない過剰な処理を行い、それは、最終的に患者に供給される製品に望ましくない汚染を引き起こす場合がある。これらの制限を克服しようとするために、流体を自動的又は半自動的に乳化することを可能にする混合装置があり、それは、すぐに供給されることができる製剤の調製を容易にし、流体を手動で乳化又は混合する必要がない。これらの装置は、2つの対面する注射器間での内容物の移送を可能にし、混合速度の調整のような設定可能なパラメータを可能にする。しかし、それらは、通常、特定のサイズの注射器のために特別に設計され、その結果、一般的に汎用性が制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2016/077538号
【特許文献2】スペイン国特許第2633815号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、血漿成分の効率的な混合又は乳化を可能にし、混合手順の汎用性に関して幾つかの改善をもたらす装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、特定の移送範囲を有する注射器間の連続移送によって、流体を混合又は乳化するための方法及び混合装置である。本発明による混合装置は、長手方向に移動可能であり、少なくとも一対の注射器を収容及び保持するように構成されたケーシングを備える少なくとも1つの可動運搬台を備える。これらの注射器は、互いに対面するように接続され、各注射器の第1の端部によって互いに接続され、整列して配置される。混合装置は更に、可動運搬台の両側に1つずつ位置し、各注射器の第2の自由端部を収容及び保持するように適合された少なくとも2つの固定要素を備える。固定要素の少なくとも1つは調整可能であり、長手方向に沿った可動位置において、対応する注射器の自由端部を収容及び保持するように適合される。このようにして、2つの固定要素間の距離は、可変に調整されることができる。移送プログラムを実行するために、混合装置は、制御ユニットを備え、制御ユニットは、センサのセット、及び制御ユニットによって生成される制御信号によってトリガーされる可動運搬台への線形変位の伝達のための機構と通信する。このセンサのセットは、各移送の範囲の自動較正のための較正センサと、可動運搬台の変位方向の反転を可能にする少なくとも1つの反転センサとを備える。
【0009】
幾つかの知られている混合装置のように、本発明の装置は、流体、好ましくは患者の血液中に存在する成分を、流体を一対の接続された注射器間で移送することによって、混合、乳化、及び/又は均質化することを可能にする。しかし、既存の装置と比較して、本発明による混合装置は、複数の観点から顕著な汎用性を提供する。
【0010】
一方で、装置は、混合される流体の粘度に応じた内部モータの力、移送の回数、及び事前設定されたプログラムによる移送の調整可能な速度のような様々なパラメータを調整することを可能にする。自動的且つ汎用的に設定可能な混合物又は乳剤を可能にするという事実は、混合物又は乳剤を製作する臨床専門家に関係なく、粘度、適用性、及び組織の適切な生体力学的特性を有する最終製品を得ることを可能にする。これによって、本発明による混合装置は、最終製品の製造手順を大幅に容易にし、調製時間を短縮し、関与する臨床専門家に起因する変動性を除去する。
【0011】
本発明の混合装置は、製品又は製剤の製造のために、患者の血液、特にタンパク質ゲル及び多血小板血漿から抽出された流体の混合又は乳化を可能にする。これらの流体は、本発明の装置を使用して混合されると、例えば、異なるタイプの顔のしわの治療のために、局所投与又は皮下若しくは皮内注射によって投与可能である。本発明の混合装置は、患者の血液から抽出された血液化合物を混合するように特別に設計されているが、混合装置は、同様の特性を要求する他のタイプの流体の乳化又は混合のために使用されることができる。
【0012】
本発明の混合装置は、異なるサイズの標準的な注射器、例えば、異なる製造業者からの1ml~60mlの間の容積の注射器と互換性がある。更に、固定要素の調整可能な構成のために、本発明の混合装置は、注射器の可変装填又は可変充填レベルを可能にするという意味で非常に有利な特徴を有する。混合量に関するこの可変性は、患者の血液型に応じて可変血液成分を混合する場合に特に有利である。
【0013】
本発明による混合方法は、互いに対面する少なくとも一対の注射器を、混合される流体で装填するステップと、混合装置に一対の注射器を配置するステップと、調整可能な固定要素の位置を調整し、一対の注射器を固定要素に固定するステップと、各移送について可変及び所定の速度を有する事前画定された数の移送を含む混合プログラムを選択するステップと、選択された混合プログラムを実行するステップとを含む。
【0014】
本発明は、異なる粘度を有する自己流体の混合を可能にする。本発明の好ましい実施形態によれば、混合流体はタンパク質ゲル及び活性化血漿であり、両方とも患者の血液から得られる。要約すると、本発明による混合装置及び混合方法は、混合装置が、前述のタンパク質ゲル(固相)及び活性化血漿(液相)のような異なる粘度の流体の正確な均質化に要求される高い機械的力を調整することを可能にする柔軟な構成を有するという事実のために、患者自身の血液から得られる2つの異なる血漿成分の最適な乳液を提供する。これは、本発明の混合装置を、局所又は注射可能な製剤の調製のための重要な機器にする。
【0015】
両方の成分の正確な混合によって、100%自己由来でその場で調製された製品又は製剤が得られる。本発明は、混合製品が、混合装置で使用される注射器のうちの1つによって患者に直接製品を注射することによって、治療、例えば、皮膚治療に直接使用されることができるので、衛生及び無菌性に関して更なる利点を有する。このようにして、最終製品の追加の移送が回避され、汚染の可能性を最小限に抑え、製品が無菌状態に保持する。
【0016】
本発明において、混合流体は、懸濁液中に液相、物質、又は細胞を含んでもよい。2つの流体の混合動作の結果は、一方の流体が別の流体に分散される乳剤である。従って、混合という用語はまた、広い意味で理解されるべきであり、乳化及び/又は均質化の概念を含む。
【0017】
本発明の詳細は、本発明の範囲を限定することなく、添付の図面において見られることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明による混合装置の実施形態の斜視図を示す。
【
図2】二対の注射器を備える
図1の混合装置の斜視図を示す。
【
図3】
図1の混合装置の外部構成要素の分解平面図を示す。
【
図4】
図1の混合装置の電気機械動作を示すブロック図である。
【
図5】
図1の混合装置の調整可能な固定要素の動作を示す詳細平面図を示す。
【
図6】
図1の混合装置の調整可能な固定要素の動作を示す詳細平面図を示す。
【
図7】
図1の混合装置の調整可能な固定要素の動作を示す詳細平面図を示す。
【
図8】第1のサイズを有する一対の注射器間の移送の半分が実行される場合の、
図1の混合装置の動作シーケンスを示す平面図を示す。
【
図9】第1のサイズを有する一対の注射器間の移送の半分が実行される場合の、
図1の混合装置の動作シーケンスを示す平面図を示す。
【
図10】第1のサイズを有する一対の注射器間の移送の半分が実行される場合の、
図1の混合装置の動作シーケンスを示す平面図を示す。
【
図11】第2のより小さいサイズの一対の注射器間の移送の一部が実行される場合の、
図1の混合装置の動作シーケンスを示す平面図を示す。
【
図12】第2のより小さいサイズの一対の注射器間の移送の一部が実行される場合の、
図1の混合装置の動作シーケンスを示す平面図を示す。
【
図13】第2のより小さいサイズの一対の注射器間の移送の一部が実行される場合の、
図1の混合装置の動作シーケンスを示す平面図を示す。
【
図14】混合される流体が得られる、遠心分離後の血液の試験管の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の目的は、2つ以上の流体を効率的且つ再現可能に混合、乳化及び/又は均質化するための混合装置並び方法である。混合される流体は、一対の注射器間で移送され、これらの注射器は、互いに対面して接続され、本発明による混合装置(1)に配置される。より明確にするために、移送の定義が以下に詳細に説明される。
【0020】
本発明の混合装置(1)の実施形態の斜視図が
図1に示される。
図2は、
図1の混合装置(1)における二対の対面する注射器(2、3)の位置を示す。混合装置(1)の通常の使用方法においては、一対の対面する注射器のみ、すなわち、特定の容積を有する2つの注射器(2)又はより小さい容積を有する2つの注射器(3)が、通常は使用される。
【0021】
先行技術で知られている要素である各注射器(2、3)は、管状体又はシリンダ(2b、3b)を備える。シリンダ(2b、3b)には、それぞれの注射器(2、3)の一方の端部に位置する注入ゾーン(2c、3c)に穴が設けられて、流体のシリンダ(2b、3b)への吸入及びそれからの排出を可能にする。この端部は、通常、中空針又はコネクタに係合される。それらの端部においてそれらを結合することによって、
図2に示されるように、両方の注射器(2、3)間での流体の移送を可能にするために、2つの対面する注射器(2、3)を接続することが可能である。各注射器(2、3)は、シリンダ(2b、3b)の内側に沿って長手方向に移動可能なプランジャを備える。プランジャは、変位を容易にするために自由端部に支持体又はハンドル(2a、3a)を有し、また、シリンダ(2b、3b)の内側であって、ハンドル(2a、3a)の反対側の端部に位置する合成ピストンを備える。注射器(2、3)は、通常、透明であり、プラスチック、ガラス、又は金属のような様々な材料で製作されることができる。医療分野においては、通常、医療用に適する無菌のプラスチック注射器が使用される。
【0022】
図3は、
図1の混合装置の外部構成要素の概略分解平面図を示す。
【0023】
図面に示されるように、混合装置(1)は、長手方向方向(6)において移動可能な少なくとも1つの可動運搬台(7)を備える。可動運搬台(7)は、少なくとも一対の対面する注射器(2、3)を収容及び保持するように構成された一般的な窪み又は空洞(7a)を有して、それらは、
図2に示されるように、注入ゾーン(2c、3c)において接続要素(4)によって互いに結合され、長手方向(6)において整列して配置される。
【0024】
本発明において、移送の定義は、注射器(2、3)のプランジャ(2e、3e)の前方又は後方への完全な変位によって、二対の対面する注射器(2、3)間で混合される流体の完全な移送として理解される必要がある。移送サイクルは、前方移送及び後方移送(すなわち、2回移送)の合計として理解される必要がある。移送サイクルの範囲は、各移送において可動運搬台(7)が進行する距離であり、注射器(2、3)の寸法に応じて変化する。
【0025】
更に、混合装置(1)は、少なくとも2つの固定要素(8、9)を備え、各々は可動運搬台(7)の側面に位置する。固定要素(8、9)の各々は、注射器(2、3)のうちの1つの自由端部を収容及び保持するように構成又は適合される。
【0026】
図1及び
図2の実施形態においては、混合装置(1)は、混合装置(1)の様々な構成要素を収納及び支持するケーシング(5)を有する。可動運搬台(7)及び固定要素(8、9)は、知られている固定要素(例えば、ねじ又は他の代替固定手段、図面には示されていない)によってケーシング(5)の上面(5a)に支持される。ケーシング(5)は、信号及び制御要素(17、18、19、20)のセットを更に統合する。ケーシング(5)は、装置の正確な動作に必要な電気及び機械構成要素のセットを更に収納する。ケーシング(5)の構成は、実験室での使用に適し、混合装置(1)の構成要素を収納し、及びその正確な動作を可能にするその機能を充分に果たすならば、その部品、製造材料、及び寸法は可変であってもよいので、本発明には特に関係はない。
【0027】
本発明の混合装置(1)は、センサのセット(15、16)及び線形変位を可動運搬台(7)に伝達する機構(13、14)と通信する制御ユニット(11)を備え、この伝達は、制御ユニット(11)によって生成される制御信号によってトリガーされる。
図1に対応する混合装置(1)の実施形態の電子構成要素のブロック図が
図4に示される。
図4に示されるように、混合装置(1)は24DC電源(10)を備える。制御ユニット(11)は、混合装置(1)の動作を制御するための事前画定又は設定可能なプログラムのセットを有するメモリを備える。ケーシング(5)内に収納された機構(13、14)は、モータ(13)と機械駆動シャフト(14)とを備える。図面の特定の実施形態においては、混合装置(1)は、任意選択でステッピングモータ(13)を使用する。制御ユニット(11)は、モータ(13)の回転を制御するパルス信号(12)を生成する。200パルスごとに、ステッピングモータ(13)は1回転する。モータ(13)の回転は、モータ(13)に係合される機械シャフト(14)に伝達される。可動運搬台(7)に接続された駆動シャフト(14)は、モータ(13)の角運動を線形運動に変換する。モータ(13)の1回転ごとに、駆動シャフト(14)は、可動運搬台(7)を15mm移動させる。
【0028】
センサのセット(15、16)は、各移送の範囲の自動較正のための較正センサ(15)を備える。この較正センサ(15)は、可動運搬台(7)の接近を検出し、信号を制御ユニット(11)に送信する。制御ユニット(11)は、可動運搬台(7)の進行方向を変化させる。このようにして、混合装置(1)の電子機器は、注射器(2)の初期可変充填の装填又は割合に基づいて、移送サイクルの最大範囲を決定する。この初期調整は較正と呼ばれる。任意選択で、較正センサ(15)は、固定要素(8、9)のうちの1つに位置するリミットスイッチと、初期自動較正のために可動運搬台(7)に位置するねじとを備える。本発明の代替実施形態においては、他のタイプの機械又は電子センサが使用されることができる。混合装置(1)はまた、可動運搬台(7)の進行方向を反転するために、制御ユニット(11)とまた通信する少なくとも1つの反転センサ(16)を含む。
【0029】
本発明の混合装置(1)においては、固定要素(9)のうちの少なくとも1つは調整可能な構成を有する。「調整可能」によって、固定要素(9)が、注射器(2、3)のうちの1つの自由端部を、長手方向(6)に沿って移動可能な初期位置に収容、保持、及び固定するように適合されることが理解される。このようにして、2つの固定要素(8、9)間の距離は可変に調整されることができる。混合装置(1)のこの特定の特徴は、注射器(2)のプランジャ(2e)のハンドル(2a)の適切な固定を両方の固定要素(8、9)において維持する一方で、可変容積又は充填レベルを有する注射器(2)の収容を可能にするので、非常に有利である。また、それによって、混合装置(1)は、異なる長さ及びサイズの注射器(2、3)と互換性があり、特に混合装置(1)の汎用性を高める。
【0030】
図面の特定の実施形態においては、混合装置(1)は、特に、調節不能な固定要素(8)及び調節可能な固定要素(9)を備える。両方の固定要素(8、9)が調整可能である他の実施形態が考えられる。
【0031】
図5~
図7は、調整可能な固定要素(9)の実施形態の動作を示す。任意選択で、調節可能な固定要素(9)は、固定部品(9f)及び長手方向(6)における可動部品(9d)を備える。また任意選択で、固定要素(8、9)は、共に組み立てられることができ、及び/又は固定要素(9)に接続されることができる1つ以上の補助部品(8s、9s)を備えるモジュール構成を有することができる。図面の実施形態においては、固定要素(9)は、
図11~
図13に示されるように、両方の固定要素(8、9)間の可変距離の調節を可能にするために、両方の構成、すなわち、部品(9f、9d)と、補助部品(9c)を組み込む可能性とを備えて、可変サイズ又は充填レベルの注射器(2、3)の適切な嵌合及び固定が可能である。
【0032】
更に、固定要素(8、9)は、レール、スロット、固定ねじ、又は他の要素のような、先行技術で知られている異なる機構を備えてもよい。固定要素(8、9)は、実験室の材料での使用に適する任意の耐性材料の1つ以上の部品で製作されることができる。
【0033】
任意選択で、ケーシング(5)、可動運搬台(7)、及び固定要素(8、9)は、金属で製作されることができる。
【0034】
任意選択で、図面の実施形態のように、可動運搬台(7)のハウジング(7a)は、長手方向(6)に沿って延伸し、長手方向(6)に平行な場所にある注射器(2、3)のシリンダ(2b、3b)の収容、保持、及び固定を可能にする複数の空洞を含む。これらの空洞(7b)は、
図3においてより詳細に見ることができる。説明されている実施形態は、特に、4つの半円筒形の空洞(7b)を含み、直径は、この場合、20mlの第1の一対の注射器(2)及び3mlの第2の一対の注射器(3)を収容するために、注射器(2、3)の直径に調整される。注射器(2、3)の対の間に接続要素(4)を収容するように適合された中間スペース(7c)が、半円筒形の空洞(7b)の各対の間に配置される。
【0035】
任意選択で、固定要素(8、9)は、半円筒形部分(8b、9b)を備え、注射器(2、3)の自由端部のハンドル(2a、3a)を嵌合及び保持するように適合されたスロット(8c、9c)が設けられたハウジング(8a、9a)を備える。
【0036】
混合装置(1)について説明された要素は、一対の対面する注射器(2、3)の適切な嵌合及び固定を可能にして、流体の混合が正確に実行されることができ、混合物への望ましくない空気の侵入並びに/又は望ましくない泡及び気泡の形成を防止する。
【0037】
混合装置(1)の一般的な動作が以下に説明される。予備的に、本明細書の後半に含まれる幾つかの例でより詳細に説明されるように、混合される流体を得るためにプロトコルが実行される。
図8、
図9、及び
図10は、20mlの一対の注射器(2)間の移送の半分のシーケンスの略図を示す。混合装置(1)をオンにする前に、混合又は乳化される流体が第1の注射器(2)に配置される。第2の空の注射器(2)は、中間接続要素(4)を使用して、それらの注入ゾーン(2c)によって対面する一対の注射器(2)の整列された接続手段によって、充填された注射器(2)に対面して接続される。一対の対面する注射器(2)間の接続要素(4)は、図面の実施形態のようにルアー・ツー・ルアー型にすることができるが、他のタイプの接続要素(4)がまた可能である。2つの注射器(2)が接続されると、
図8に示されるように、それらは混合装置(1)に配置され、それらのそれぞれのシリンダ(2b)を可動運搬台(7)に固定し、プランジャ(2e)のハンドル(2a)を固定要素(8、9)のスロット(8c、9c)に挿入する。必要に応じて、調節可能な固定要素(9)の位置は、装填された注射器(2)の長さ及び/又は装填若しくは初期充填のレベルに従って調整される。次に、所望のプログラムが、ケーシング(5)の押しボタン又は制御部(18、19、20)によって選択される。制御ユニット(11)の内部メモリに先にプログラム又は構成されている選択されたプログラムの開始は、例えば、スタート・ストップ押しボタン(17)によって起動される。各プログラムは、所定の速度で事前画定された数の移送を実行する。制御ユニット(11)は、ステッピングモータ(13)用のパルス信号(12)を生成し、駆動シャフト(14)は、モータ(13)の角運動を、可動運搬台(7)に伝達される線形変位に変換する。注射器(2)のシリンダ(2b)は、可動運搬台(7)と同時に、長手方向(6)に沿って移動する。同様に、固定要素(8、9)に固定された両方の注射器(2)のプランジャ(2e)は、可動運搬台(7)が移動すると、シリンダ(2b)に沿って内部で且つ長手方向に摺動する。各移送(前方及び後方移動)において、注射器(2)の内容物が対面する注射器(2)に移送されて、一方の注射器(2)は空になり、一方、他方の注射器は充填される。連続的なプログラムされた移送を実行するための移動の反転がまた、混合装置(1)の固定要素(8)に設置された動き反転センサ(16)によって、制御ユニット(11)によって制御される。上記で説明された手順は、得られる最終製品に応じて、サイズ及び口径がより小さい他方の一対の注射器(3)を使用する場合も同様である。
図11、
図12、及び
図13は、より小さいサイズの注射器(3)及び注射器(3)の調節のための補助部品(9c)が使用される場合の、移送シーケンスの位置決め及び一部を示す。
【0038】
図面及び例の実施形態においては、対面する注射器は、同じサイズ及び口径である(2つの20mlの注射器又は2つの3mlの注射器)。可動運搬台(7)が異なるサイズの対面する注射器の対を収容する混合装置(1)の他の実施形態がまた考えられる。
【0039】
任意選択で、可動運搬台(7)及び固定要素(8、9)は、取り外し可能であり、他の可動運搬台及び固定要素によって交換可能であり、異なるサイズの注射器と互換性があり、互いに互換性がある。この特徴は、全ての運搬台及び固定要素が混合装置(1)に恒久的に統合されることを必要とせず、異なるサイズの注射器の対の組み立てを可能にするための混合装置(1)を構成することを可能にする。この可能性は、混合装置(1)の汎用性を、それが小さい場合であっても更に高める。
【0040】
混合装置(1)は、図面の実施形態に示されていない他の変形を許容する。例えば、混合装置(1)は、平行に配置された複数の可動運搬台(7)を備えてもよい。混合装置(1)は、幾つかの可動運搬台(7)の移動を制御するために、2つ以上のモータ(13)を備えてもよい。3つ以上の対の対面する注射器を収容するように構成された可動運搬台(7)を有する混合装置(1)の他の実施形態がまた考えられる。同じサイズ又は異なるサイズの2つ以上の対の注射器を各々が収容する複数の可動運搬台(7)を有する混合装置(1)の他の構成が可能である。
【0041】
また任意選択で、他の代替実施形態においては、単一の可動運搬台(7)は、可変サイズを有する注射器を収容するように設計された摺動構成を有する。例えば、可動運搬台(7)は、一対の注射器の長さに応じて、幾つかの摺動可能な結合部品を備えることができる。任意選択で、可動運搬台(7)の空洞(7b)は、可変の口径の注射器の対を収容するための調整可能な範囲を有することができる。同様に、中間スペース(7c)は、異なる構成の接続要素(4)を収容するための可変の構成を有することができる。
【0042】
任意選択で、各可動運搬台(7)は、注射器(2、3)のシリンダ(2b、3b)の保持及び固定を改善するために、混合装置(1)の動作中にシリンダ(2b、3b)の変位を防止するために開閉されることができるキャップ、ハンドル、又は他の可動要素のような追加の補助要素を備えることができる。
【0043】
図面の実施形態においては、ケーシング(5)、可動運搬台(7)、及び固定要素(8、9)は金属で製作される。しかし、混合装置(1)、ケーシング(5)、可動運搬台(7)、及び接続要素(8、9)の異なる構成要素の材料及び部品の数は、それらが混合装置(1)の機能と互換性がある限り、変更が可能である。
【0044】
ケーシング(5)は、任意選択で、幾つかのボタン、セレクタ、ディスプレイ、又はディスプレイインターフェース、及び混合装置(1)の動作を監視するための通信システムを備えてもよい。混合装置(1)はまた、任意選択の蓋又はカバーを有することができる。
【0045】
様々な詳細な任意選択の特徴は、複数の構成又は変形を許容する本発明の混合装置(1)の優れた汎用性を示す。これらの変形は、流体が正確に混合され、注射器(2、3)の破損又はそれらの切断のような望ましくない影響を引き起こす場合がある張力が防止されるように、注射器(2、3)の適切な収容を可能にするために、それらが可動運搬台(7)と固定要素(8、9)との間の正確な整列を保証する限り許容される。
【0046】
本発明はまた、本発明による混合装置を使用して、患者に投与される最終製品を得るために、特定の移送の範囲を伴う注射器間の連続移送によって流体を混合する方法に関する。混合方法は、少なくとも一対の対面する注射器(2、3)を、混合される流体で装填するステップと、混合装置(1)に一対の注射器(2、3)を配置するステップと、それらのそれぞれのシリンダ(2b)を可動運搬台(7)に固定するステップと、注射器(2、3)のサイズ及び/又は装填に応じて、調整可能な固定要素(9)の位置を調整するステップと、ハンドル(2a、3a)を固定要素(8、9)に固定するステップと、各移送について可変及び所定の速度を有する事前画定された数の移送を含む混合プログラムを選択及び実行するステップとを含む。プログラムの実行が完了した後、一対の注射器(2、3)は取り外される。
【0047】
本発明はまた、この混合方法によって得られる製品、及び医療用又は皮膚科用目的、特に顔又は他のタイプのしわの治療のための製品の使用に関する。
【0048】
本発明による方法の例
本発明の方法は、ユーザによって先にプログラムされ、又は設定可能な異なるプログラムを実行することを可能にする。
【0049】
3つの異なる皮膚科用製品を得るために、本発明による方法の3つの非限定的な例が以下に説明される。この目的のために、上記で詳述されたように、20mlの二対の注射器(2)又は3mlの二対の注射器(3)がそれぞれ収容されることができる可動運搬台(7)を備える、
図1の実施形態の混合装置(1)が使用されることができる。この実施形態の混合装置(1)は、特に、患者に投与される3つの異なる最終製品、すなわち、局所投与のための皮下ゲル、皮内ゲル、又は血清を得るための3つの事前画定されたプログラムを有する。これらの製品の各々について、混合される流体を得るための第1のフェーズ又はプロトコル、混合自体を構成する第2のフェーズ、及び製品投与の第3のフェーズである、3つのフェーズが説明される。3つの例は、患者の血液から得られる2つの異なる血漿成分、すなわち、タンパク質ゲル及び液体血小板抽出物(上清)の最適な乳剤のために本発明の混合装置を使用する。本発明による装置及び方法による両方の成分の正確な混合によって、100%自己由来の方法でその場での調製で製剤が得られる。
【0050】
例1:プログラム1に従って一対の3mlの注射器を使用して皮下ゲルを製作するための方法。
フェーズ1:混合される流体を得るためのプロトコル
次のステップを含む。
1.患者からの血液の抽出。血液サンプルは、続いて必要な血漿画分を得るためにチューブに保存される。
2.血液を以下の成分に分離するための遠心分離(
図14を参照)
・成長因子が豊富な血漿:血漿カラム(F1、F2)は、血小板の数がチューブの上部で少なく、チューブの底部に向かって多くなる、増加する濃度勾配に従って分布される血小板の大部分を含む。
・白血球細胞又は白血球:これは、赤血球細胞のすぐ上に沈着する薄く白っぽい層である。
・赤血球細胞:チューブの下部を占めるカラム。
3.分画:これは、吸引装置、例えば、BTI(登録商標)Plasma Transfer Device 2(PTD(登録商標))による2本のチューブ(T1、T2)での血漿の抽出を含む。混合される固相を構成するタンパク質ゲル又はゲル画分(FG)が得られる。このゲル分画(FG)は、第1のチューブ(T1)の分画(F1、F2)と第2のチューブ(T2)の分画(F1)とを混合することによって得られる。2.5mlの体積のゲル画分(FG)(F1+F2+F1)が3mlの注射器に装填される。続いて、2mlの体積の分画(F2)がチューブ(T2)から抽出される。
4.タンパク質ゲル(GP)、すなわち、混合される固相の調製。これは、ゲル画分(FG)を加熱し、室温で静置することによって行われる。加熱及び静置時間は、最終製品が皮下に投与されるように適合される(約12分間の加熱及び5分間の静置)。BTI(登録商標)Plasmatherm装置が加熱のために使用されることができる。
5.混合される液相を得るための血小板の活性化(上清):第2のチューブ(T2)から抽出された血漿の2mlの体積の分画(F2)が、0.24mlのPRGF(登録商標)Endoret(登録商標)血小板活性化剤で活性化され、そして揺動される。血小板活性化剤は、血小板に含まれる成長因子を放出することが意図される。活性化後、上清を得るために、血漿中の血餅の形成及びその後の退縮が可能になる。3mlの注射器は、混合される液相を構成する、0.5mlの活性化血漿(PA)で装填される。
【0051】
フェーズ2:混合
フェーズ1で得られた固相及び液相の両方が混合される。2.5mlのタンパク質ゲル(GP)(固相)が、0.5mlの活性化血漿(PA)又は血小板抽出物(液相又は上清)と混合される。この目的のために、フェーズ2は、以下のステップを含む。
・0.5mlの新鮮な活性化血漿(PA)を、2.5mlのタンパク質ゲル(GP)を有する注射器に手動で移送する。
・3mlの注射器で全量が利用可能になったら、第2の空の3mlの対面する注射器を接続し、一対の注射器を混合装置(1)に収容する。
・皮下注射可能なゲルを得るために、プログラム1を実行する:1移送当たり48mmの固定範囲又は変位で一対の3mlの注射器が使用される。300ステップ/秒又は22.5mm/秒の速度で合計11回の移送が行われる。
【0052】
フェーズ3:製品投与
一対の注射器が取り外され、空の注射器が切断される。続いて、混合された製品を含む3mlの注射器に注射針が配置され、皮下ゲルが患者に注射される。本製品の皮下浸透は、しわ埋め及び体積増加に使用されることができる。
【0053】
例2:プログラム2に従って一対の3mlの注射器を使用して皮内ゲルを調製するための方法。
フェーズ1:混合される流体を得るためのプロトコル
ステップ1~3は、先の例1と同じである。ステップ4においては、タンパク質ゲル(GP)の調製のための時間は、この皮内投与の場合とは異なる(8分間の加熱及び少なくとも5分間の静置)。
【0054】
フェーズ2:混合
例1の場合のように、フェーズ1で得られた固相及び液相の両方が混合される。言い換えると、2.5mlのタンパク質ゲル(GP)(固相)がまた、0.5mlの活性化血漿(PA)又は血小板抽出物(液相又は上清)と混合される。この目的のために、フェーズ2は、以下のステップを含む。
・0.5mlの新鮮な活性化血漿を、2.5mlのタンパク質ゲルを有する注射器に手動で移送する。
・全量を3mlの注射器に入れたら、第2の空の3mlの対面する注射器を接続し、一対の注射器を混合装置(1)に配置する。
・この場合、皮内注射可能なゲルを得るためにプログラム2を実行する:1移送当たり48mmの固定変位で一対の3mlの注射器がまた使用される。1000ステップ/秒又は75mm/秒の速度で合計90回の移送が行われる。
【0055】
フェーズ3:製品投与
このステップは、一対の注射器を取り外し、空の注射器を切断することに関与する。そして、製品が、皮内浸透のために1mlの3本の注射器に分配されることができる。
【0056】
例3:プログラム1に従って一対の3mlの注射器を使用して血清を調製するための方法。
フェーズ1:混合される流体を得るためのプロトコル
以下のステップを含む。
1.TP10 BTI(登録商標)9ml採取チューブでの患者からの血液の抽出。
2.血液成分の分離のための遠心分離。BTI(登録商標)SystemV機器で、抽出後最大1時間、血液サンプルを冷蔵することなく遠心分離を実行することを推奨する。
図14に示される3つの成分を含む血液分離が得られる。
3.分画:PTD2 BTI(登録商標)吸引ユニットによるサンプル採取チューブに含まれる血漿吸引。2本のTP10 BTI(登録商標)自己空(self-empty)チューブは、血漿全量、すなわち、幾つかの遠心分離抽出チューブの両方の分画(F1、F2)を吸引することによって充填される。得られた血漿を20mlの注射器に移送する。
4.タンパク質ゲル(ゲル化血漿)の調製:20mlの注射器の血漿をゲル化するために、それは、PlasmasphereII装置で12分間加熱され、そして、以下の血小板活性化ステップにおいて、静置する必要がある。
5.混合される液相(上清)を得るための血小板の活性化:0.02mlのPRGF(登録商標)Endoret(登録商標)活性化剤が、活性化される血漿1mlごと使用される。PlasmasphereIIで約40~60分間、約37℃に加熱する。
本発明と同じ出願人による特許文献2が、成長因子が豊富な血漿に基づいて、クリームの形態で自己生着製剤を得るための方法をより詳細に開示している。
【0057】
フェーズ2:混合
フェーズ1で得られた固相及び液相の両方の混合に進む。この目的のために、以下のステップが実行される。
・上清の全量を、ゲル化血漿を含む20mlの注射器に移送する。
・乳化される流体の全てを20mlの注射器に入れたら、第2の空の20mlの対面する注射器を接続し、一対の注射器を混合装置(1)に収容する。
・局所投与血清を得るためにプログラム3を実行する:調整可能に変位する一対の20mlの注射器が使用される。このプログラムでは、混合される体積が可変であり、患者の血液型に依存するので、このプロトコルで使用される20mlの注射器が配置される可動運搬台(7)は調整可能であるが、多くの場合、移送の範囲は約74mmに調整されることができる。リミットスイッチは、初期の較正サイクルで範囲を計算するために使用される。この目的のために、移送サイクル(2回移送、すなわち、前方及び後方)は、範囲を計算するために、300パルス/秒の速度で実行される。続いて、混合が行われる。このプログラム3(上記2回の認識移送を除く)の速度は、300パルス/秒での1周目(2回移送)、300パルス/秒での2周目(2回移送)、450パルス/秒での3周目(2回移送)、600パルス/秒での4周目(2回移送)、750パルス/秒での5周目(2回移送)、900パルス/秒での6周目(2回移送)、1000パルス/秒での7周目以降(2回転送)である。合計120回の移送が行われる。
【0058】
フェーズ3:製品投与
血清を局所的に投与する。分注可能な血清は、単回投与ディスペンサ又はエアレスディスペンサで、好ましくは投与前の長期保存期間のために2℃~6℃の温度で保存されてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2021-06-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の移送の範囲を有する注射器間の連続移送による、流体の混合又は乳化のための混合装置(1)であって、
長手方向(6)においてに移動可能であり、少なくとも一対の対面する注射器(2、3)を収容及び保持するように構成されたハウジング(7a)を備える少なくとも1つの可動運搬台(7)であって、前記注射器(2、3)は、各注射器(2、3)の第1の端部によって互いに接続され、前記長手方向(6)において整列して配置されている、少なくとも1つの可動運搬台(7)と、
前記可動運搬台(7)の両側に1つずつ位置し、各注射器(2、3)の第2の自由端部を収容及び保持するように適合された少なくとも2つの固定要素(8、9)であって、前記2つの固定要素(8、9)間の距離が可変であるように、少なくとも1つの固定要素(9)は、調整可能な構成を有し、前記長手方向(6)に沿った可動位置において、対応する注射器(2、3)の前記自由端部を収容及び保持するように適合されている、少なくとも2つの固定要素(8、9)と、
制御ユニット(11)であって、センサのセット(15、16)、及び前記制御ユニット(11)によって生成される制御信号によってトリガーされる前記可動運搬台(7)に線形変位を伝達するための機構(13、14)と通信する制御ユニット(11)と
を備え、
前記センサのセット(15、16)は、前記移送範囲を自動的に較正するための較正センサ(15)と、前記可動運搬台(7)の変位方向を反転するための少なくとも1つの反転センサ(16)とを備えることを特徴とする、混合装置。
【請求項2】
前記調節可能な固定要素(9)は、前記長手方向(6)において固定部品(9f)及び可動部品(9d)を備える、請求項1に記載の混合装置(1)。
【請求項3】
前記調整可能な固定要素(9)は、1つ以上の補助部品(9s)を備え、前記補助部品(9s)は、共に組み立てられることができ、及び/又は前記固定要素(9)に接続可能である、請求項1に記載の混合装置(1)。
【請求項4】
前記ハウジング(7a)は、前記長手方向(6)に沿って延在し、前記長手方向(6)に平行な位置に、第1のサイズの第1の一対の等しい注射器(2)と、前記第1の一対の注射器(2)より小さい第2のサイズの第2の一対の等しい注射器(3)とを、収容及び保持するように適合されている複数の空洞(7b)を含む、請求項1に記載の混合装置(1)。
【請求項5】
前記注射器(2、3)の直径に調整された直径を有する4つの半円筒形の空洞(7b)と、2つの半円筒形の空洞(7b)の間に配置され、前記注射器(2、3)の前記第1の端部に位置する注入ゾーン(2c、3c)によって注射器(2、3)の対の間に接続要素(4)を収容するように適合された中間スペース(7c)とを含む、請求項4に記載の混合装置(1)。
【請求項6】
前記接続要素(4)は、ルアー・ツー・ルアー型である、請求項5に記載の混合装置(1)。
【請求項7】
前記固定要素(8、9)は、半円筒形部分(8b、9b)が設けられ、前記注射器(2、3)の前記自由端部のハンドル(2a、3a)を嵌合及び保持するように適合されたスロット(8c、9c)が設けられた少なくとも2つのハウジング(8a、9a)を備える、請求項4に記載の混合装置(1)。
【請求項8】
前記制御信号は、ステッピングモータ(13)の回転を制御するためのパルス信号(12)であり、前記モータ(13)の回転は、前記モータ(13)に係合され、前記可動運搬台(7)に接続された機械駆動シャフト(14)に伝達されて、前記駆動シャフト(14)は、前記モータ(13)の角運動を前記長手方向(6)における線形変位に変換し、前記線形変位は、前記可動運搬台(7)に伝達される、請求項1に記載の混合装置(1)。
【請求項9】
前記較正センサ(15)は、前記固定要素(9)のうちの1つに配置されたリミットスイッチと、前記可動運搬台(7)に配置されたねじとを備える、請求項1に記載の混合装置(1)。
【請求項10】
前記可動運搬台(7)及び前記固定要素(8、9)は、取り外し可能であり、他の可動運搬台及び固定要素によって交換可能であり、前記他の可動運搬台及び固定要素は、異なるサイズの注射器と互換性があり、互いに互換性がある、請求項1に記載の混合装置(1)。
【請求項11】
患者に投与される最終製品を得るために、特定の移送の範囲を有する注射器間の連続移送によって流体を混合する方法であって、
少なくとも一対の接続された対面する注射器(2、3)を、混合される前記流体で装填するステップと、
請求項1に記載の混合装置(1)に前記一対の注射器(2、3)を配置するステップと、
前記注射器(2、3)のサイズ及び/又は装填に応じて、前記調整可能な固定要素(9)の位置を調整するステップと、
前記一対の注射器(2、3)を前記固定要素(8、9)に固定するステップと、
各移送について可変及び所定の速度を有する事前画定された数の移送を含む混合プログラムを選択するステップと、
前記混合プログラムを実行するステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項12】
前記注射器(2)は、それらの容量の100%未満の割合で初期に装填され、前記方法は、前記注射器(2)の前記初期装填割合に前記移送範囲を調整するために、1つ以上の初期較正サイクルを含む、請求項11に記載の混合方法。
【請求項13】
前記混合される流体は、前記患者の血液から得られる、請求項11又は12に記載の混合方法。
【請求項14】
前記混合される流体は、タンパク質ゲル及び活性化血漿である、請求項13に記載の混合方法。
【請求項15】
前記注射器(3)は、3mlの容量を有し、得られる前記製品は、皮下注射可能なゲルである、請求項14に記載の混合方法。
【請求項16】
前記注射器(2)は、3mlの容量を有し、得られる前記製品は、皮内注射可能なゲルである、請求項14に記載の混合方法。
【請求項17】
前記注射器(2)は、20mlの容量を有し、得られる前記製品は、局所投与血清である、請求項14に記載の混合方法。
【請求項18】
前記移送の範囲の初期較正のために、300パルス/秒のレートで、前方移送及び後方移送を含む移送サイクルが実行される、請求項17に記載の混合方法。
【請求項19】
前記移送の範囲は74mmである、請求項18に記載の混合方法。
【請求項20】
前記混合プログラムは、300パルス/秒のレートでの第1のサイクル(2回移送)、300パルス/秒での第2のサイクル(2回移送)、450パルス/秒の速度での第3のサイクル(2回移送)、600パルス/秒の速度での第4のサイクル(2回移送)、750パルス/秒の速度での第5のサイクル(2回移送)、900パルス/秒の速度での第6のサイクル(2回移送)、1000パルス/秒での第7のサイクル(2回移送)及び後続のサイクルを含む、請求項17に記載の混合方法。
【請求項21】
合計120回の移送が実行される、請求項20に記載の混合方法。
【国際調査報告】