IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マルチチェーン ベンチャーズ インコーポレイテッドの特許一覧

特表2022-517744複数の電子通貨を用いた支払取引の決済システム及び方法
<>
  • 特表-複数の電子通貨を用いた支払取引の決済システム及び方法 図1
  • 特表-複数の電子通貨を用いた支払取引の決済システム及び方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-10
(54)【発明の名称】複数の電子通貨を用いた支払取引の決済システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/06 20120101AFI20220303BHJP
   G06Q 40/04 20120101ALI20220303BHJP
【FI】
G06Q20/06 300
G06Q40/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538418
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(85)【翻訳文提出日】2021-08-24
(86)【国際出願番号】 US2019068814
(87)【国際公開番号】W WO2020140080
(87)【国際公開日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】62/785,323
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521285241
【氏名又は名称】マルチチェーン ベンチャーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MULTICHAIN VENTURES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー、マイケル
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA15
5L055BB51
(57)【要約】
電子通貨を換算するシステムおよび方法はモバイルデバイス上のトレードエンジンモジュールに実装されてよい。加盟店から、関連する通貨建ての個々の価値を有する加盟店の資産に関する加盟店外部ウォレットアドレスが受け取られる。加盟店は、加盟店への支払の資産間での配分を規定することができる。加盟店から受け取る注文は、法定通貨での取引価値を示す。取引価値は、加盟店が明示した配分に基づいて複数の配分に分割される。配分の各々についての法定通貨とその配分に関連する資産の通貨との間の換算率が特定される。配分の各々は、法定通貨からその配分に関連する資産の通貨へと換算率に基づいて換算される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支払サービスを介した顧客と加盟店との間の支払取引決済の方法であって、
前記支払サービスにより、前記加盟店から、前記加盟店の1つ又は複数の資産の各々に関する加盟店外部ウォレットアドレスの個々の識別情報を受け取るステップと、前記資産の各々は、関連する通貨建てでの個々の価値を有しており、
前記支払サービスにより、前記加盟店から、前記加盟店への支払の前記1つ又は複数の資産への分割を規定する配分明細を受け取るステップと、
前記支払サービスにより、前記加盟店から注文を受けるステップと、前記注文は、法定通貨建ての取引価値を規定しており、
前記取引価値を前記配分明細に基づいて複数の配分に分割するステップと、
前記配分の各々について、法定通貨と前記配分に関連する前記資産の通貨との間の換算率を特定するステップと、
前記配分の各々を、前記法定通貨から前記配分に関連する前記資産の前記通貨へと前記換算率に基づいて換算するステップと、
前記加盟店に、対応する前記配分に関連する前記資産の前記通貨での各配分の価値を通知するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記加盟店から前記取引価値を法定通貨建てで受け取るステップと、
前記取引価値を受け取ったことに応答して、対応する前記配分に関連する前記資産の通貨建ての各配分の価値を前記加盟店に提供するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記配分の各々を前記法定通貨から前記配分に関連する前記資産の前記通貨に換算するステップは、
前記資産の前記通貨の複数の公開取引所間の前記資産の前記通貨の出来高加重平均価格を計算するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記出来高加重平均価格は前記資産の前記通貨の目に見える市場流動性に基づく、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記配分の各々を前記法定通貨から前記配分に関連する前記資産の前記通貨に換算するステップは、複数の通貨取引所の両サイドでの前記資産の通貨建て対法定通貨建てでの現在の価格を照会するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記配分の各々を前記法定通貨から前記配分に関連する前記資産の前記通貨に換算するステップは、複数の通貨取引所での前記資産の前記通貨の流動性を特定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
顧客と加盟店との間の複数の通貨が関わる販売地点取引の決済装置であって、
メモリと通信し、かつユーザインタフェースと通信するプロセッサを含むモバイルデバイスと、
前記メモリ内の、前記プロセッサにより実行可能なトレードエンジンモジュールであって、
前記加盟店から、前記加盟店の1つ又は複数の資産の各々に関する加盟店外部ウォレットアドレスの個々の識別情報を受け取り、前記資産の各々は、関連する通貨建てでの個々の価値を有しており、
前記加盟店から、前記加盟店への支払の前記1つ又は複数の資産への分割を規定する際の配分明細を受け取り、
前記加盟店から注文を受け、前記注文は、法定通貨建ての取引価値を規定しており、
前記取引価値を前記配分明細に基づいて複数の配分に分割し、
前記配分の各々について、法定通貨と前記配分に関連する前記資産の通貨との間の換算率を特定し、
前記配分の各々を前記法定通貨から前記配分に関連する前記資産の前記通貨に前記換算率に基づいて換算し、
前記加盟店に、対応する前記配分に関連する前記資産の通貨建ての各配分の価値を通知するように構成される前記トレードエンジンモジュールと、を備える装置。
【請求項8】
トレードエンジンはさらに、
前記取引価値を前記加盟店から支払サービスへと前記法定通貨を基準とする1つ又は複数の電子通貨建てで送金し、
前記取引価値を受け取ったことに応答して、前記支払サービスから前記加盟店に、対応する前記配分に関連する前記資産の前記通貨建てでの各配分の価値を受け取るように構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記配分の各々を前記法定通貨から前記配分に関連する前記資産の前記通貨に換算することは、
前記資産の前記通貨の複数の公開取引所間の前記資産の前記通貨の出来高加重平均価格を計算することを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記出来高加重平均価格は前記資産の前記通貨の目に見える市場流動性に基づく、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記配分の各々を前記法定通貨から前記配分に関連する前記資産の前記通貨に換算することは、
複数の通貨取引所の両サイドでの前記資産の前記通貨建て対前記法定通貨建ての現在の価格を照会することを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記配分の各々を前記法定通貨から前記配分に関連する前記資産の前記通貨に換算することは、複数の通貨取引所での前記資産の前記通貨の流動性を特定することを含む、請求項7に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、仮想通貨取引の決済のための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ビットコイン等の仮想通貨を含む仮想通貨及びその他の数々の分散型ブロックチェーン技術には、価値(value)交換手段としての大きな可能性がある。これらの技術は、介入する金融機関が関わらない、顧客・加盟店間の直接取引を促進するために実装できる。しかしながら、暗号通貨はまだ小売店には広く受け入れられていない。
【0003】
仮想通貨を用いる取引はこれまで、従来の通貨を用いた取引より時間がかかり、面倒であった。さらに、異なる暗号通貨間及び仮想通貨と従来通貨との間の換算率は従来通貨間の換算率より不安定でありがちである。これらの要素は顧客加盟店間取引への暗号通貨利用の普及の足かせとなっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の態様は、顧客加盟店間の複数の通貨が関わる販売地点取引を決済するモバイルデバイス装置、システム、及び方法を含む。本開示のシステムおよび装置は、メモリと通信し、かつユーザインタフェースと通信するプロセッサを含む。メモリに保存され、プロセッサにより実行可能なトレードエンジンモジュールは、複数の電子通貨での売買を可能にするように構成される。
【0005】
本開示のトレードエンジンモジュールは、複数の取引所から発行される商品の価格を照会し、また、オーダブックの両サイドでの取引所の現在の流動性を考慮に入れた価格設定モデルを実装してよい。
【0006】
本開示のシステムは、加盟店自身の予め指定された好ましい暗号若しくは法定の等価貨種又はその組合せによる加盟店への価値の取引決済を可能にするが、加盟店が好む暗号通貨は、顧客により送金される他の暗号通貨とは全く異なる決済処理ステップが含まれていてもよい。
【0007】
本開示の装置、システム、及び方法を、図面に示される実施形態を参照しながら以下により詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の例示的な実施形態によるモバイルデバイス装置のシステムブロック図である。
図2】本開示の例示的な実施形態による電子通貨を換算する方法のプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の態様は、支払サービスを介した顧客と加盟店との間の支払取引決済の方法を含む。支払取引は、販売地点取引でもeコマース取引でもよい。方法は、支払サービスにより、加盟店からその加盟店の1つ又は複数の資産の各々に関する加盟店外部ウォレットアドレスの個々の識別情報を受け取るステップを含み、資産の各々は関連通貨建ての個々の価値を有する。このステップで、加盟店は支払サービスにその金銭アカウント及び/又は暗号通貨アカウントを通知する。次に、方法は、支払サービスにより、加盟店への支払の1つ又は複数の資産間の分割を規定する際の配分明細を加盟店から受け取るステップを含む。このステップでは、加盟店は、自分の支払がそのアカウント間でどのように分割されるべきかを明示する。
【0010】
本開示のある態様によれば、方法はまた、支払サービスにより、加盟店から注文を受けるステップも含み、注文は法定通貨建ての取引価値を規定している。例示的な実施形態において、法定通貨は米国ドルである。代替的な実施形態において、異なる法定通貨が使用されてもよく、又は法定通貨が例えば加盟店によって選択されてもよい。
【0011】
次に、方法は、配分明細に基づいて取引価値を複数の配分に分割するステップを含む。配分の各々について、方法は、法定通貨と、その配分に関連する資産の通貨との間の換算率を特定するステップを含む。
【0012】
例示的な実施形態において、換算率は各種の暗号交換に関する公開市場オーダブックを参照することによって計算される。そのようにする中で、購入側の(すなわち、受け取った資産が売られる場合)、又は販売側(すなわち、代替的資産が買われる場合)の流動性の量に基づいて加重平均価格が計算される。
【0013】
例えば、例示的な実施形態において、米国ドル建て価格は「ショッピングカート」内の品目に基づいて送達される。加盟店は実際に、この取引における通貨としてビットコイン(BTC:bitcoin)を受け入れ、BTC(購入側)オーダブックが参照されて正確なドル建ての価値に到達するためにどれだけのビットコインを売る必要があるかが特定される。その量が顧客に提示され、送金される。加盟店がさらにこれをそれらの所定の通貨バスケットに分散させたい場合、受け取ったBTCを使って既存の売り注文から所望の代替的通貨のドル価値を買う。加盟店が安定した資産を望む場合、支払サービスは、ビットコイン購入側オーダブックで売り、利益を使ってドルにペグされた資産を買う。
【0014】
例示的な実施形態において、本開示の方法はまた、配分の各々を換算率に基づいて法定通貨からその配分に関連する資産の通貨に換算するステップも含む。方法は、対応する配分に関連する資産の通貨での各配分の価値を加盟店に通知するステップをさらに含む。
【0015】
本開示の方法はまた、加盟店から法定通貨での取引価値を受け取るステップも含んでいてよい。取引価値を受け取ったことに応答して、方法は、対応する配分に関連する資産の通貨での各配分の価値を加盟店に提供するステップを含む。
【0016】
支払サービスは、法定通貨を基準レートとして使用する。例えば、支払システムはデジタル通貨各ユニットについて、1USDにペグされ、それによって裏打ちされる(backed)デジタル通貨であるドル等価資産を引き渡す。この方法は、デジタル化された資産を保持する一方で、変動性を軽減又は排除する。
【0017】
例示的な実施形態において、配分の各々を法定通貨からその配分に関連する資産の通貨へと換算するステップは、資産の通貨の複数の公開取引所間の資産の通貨の出来高加重平均価格を計算するステップを含む。出来高加重平均価格は、例えば資産の通貨の目に見える市場流動性に基づいていてよい。
【0018】
本開示の他の態様によれば、配分の各々を法定通貨からその配分に関連する資産の通貨に換算するステップは、複数の通貨取引所の両サイドでの資産の通貨建て対法定通貨建ての現在の価格を照会するステップを含み、通貨取引所は例えば中央集権型取引所の事業でも分散型中央集権型取引所の事業でもよい。
【0019】
本開示の他の態様によれば、配分の各々を法定通貨からその配分に関連する資産の通貨に換算するステップは、例えば1つ又は複数の通貨取引所での資産の通貨の流動性を特定するステップを含む。
【0020】
本開示の態様はまた、顧客加盟店間の複数の通貨を含む販売地点取引の決済のための装置も含む。装置は、メモリと通信し、ユーザインタフェースと通信するプロセッサを含むモバイルデバイスと、メモリ内の、プロセッサにより実行可能なトレードエンジンモジュールと、を含む。トレードエンジンモジュールは、加盟店から、その加盟店の1つ又は複数の資産の各々に関する加盟店外部ウォレットアドレスの個々の識別情報を受け取るように構成され、資産の各々は関連する通貨建ての個々の価値を有する。トレードエンジンは、加盟店から、加盟店への支払の1つ又は複数の資産間での分割を規定する際の配分明細を受け取り、加盟店から注文を受け取る。注文は、法定通貨建ての取引価値を規定している。
【0021】
本開示のある態様によれば、トレードエンジンモジュールはさらに、取引価値を配分明細に基づいて取引価値を複数の配分に分割するように構成される。配分の各々について、トレードエンジンモジュールは、法定通貨と配分に関連する資産の通貨との間の換算率を特定する。トレードエンジンは、配分の各々を法定通貨からその配分に関連する資産の通貨へと換算率に基づいて換算するように構成される。トレードエンジンモジュールは続いて、加盟店に、対応する配分に関連する資産の通貨で各配分の価値を通知する。
【0022】
本開示の態様によれば、トレードエンジンはさらに、加盟店から支払サービスに、法定通貨を基準とする1つ又は複数の電子通貨建てで取引価値を送信し、取引価値を受け取ったことに応答して、支払サービスから加盟店に、対応する配分に関連する資産の通貨建ての各配分の価値を受け取るように構成される。
【0023】
例示的な実施形態において、トレードエンジンモジュールは、配分の各々を法定通貨からその配分に関連する資産の通貨へと、資産の通貨の1つ又は複数の公開取引所間の資産の通貨の出来高加重平均価格を計算することによって換算する。出来高加重平均価格は、資産の通貨の目に見える市場流動性に基づく。
【0024】
本開示の態様によれば、トレードエンジンモジュールは、配分の各々を法定通貨からその配分に関連する資産の通貨へと、1つ又は複数の通貨取引所の両サイドでの資産の通貨対法定通貨での現在の価格を照会することによって換算する。再び、通貨取引所は、ユーザが参加できる単独のエンティティによってホストされてよく、それによって取引プロセスが可能となる中央集権的取引所の業務でも、及び/又は取引プロセスが例えば分散型技術プロトコルにより可能となり得る分散型交換所の業務でもよいと理解すべきである。
【0025】
配分の各々の法定通貨から配分に関連する資産の通貨への換算は、複数の通貨取引所で資産の通貨の流動性を特定するステップを含み、通貨取引所は中央集権的取引所の事業又は分散型中央集権型取引所の事業の何れかである。
【0026】
本開示のシステムと方法の例示的な実施形態の概要を以下の表1において提供する。
表1
1.販売地点-加盟店による明示
a.加盟店は、ソフトウェア中で、資産ごとに送信されるべき支払のための外部ウォレットアドレスを明示する。
i.資産は加盟店自身が外から直接管理してよく、又は加盟店は管理人及び/又はコンプライアンスエージェント(compliance agent)等の第三者に資産を引き渡してよい。第三者のエンティティは例えば資産に担保を設定し、及び/又は保険をかけてもよい。
【0027】
b.加盟店はまた、販売ごとに資産の所望の「配分」を明示する-後でさらに定義する。
2.USDの一連のデジタル通貨資産への価格換算
a.注文が(POS内で)”USDに基づいて生成され、これは後で選択可能なデジタル通貨資産(すなわち、$tks、$btc、$1tc、$eth、等)に換算される。
【0028】
b.価格換算は、公開取引所を通じた目に見える市場流動性に基づくWAP(出来高加重平均価格)を含み、換算された資産について最善執行が確実に得られるようにする。
c.要約すれば、加盟店は販売をUSDで設定する(frames)が、デジタル通貨を受け入れたいと希望し、本開示のシステムと方法は加盟店にそのデジタル資産の適切な量を知らせる。
【0029】
3.ポートフォリオ配分
a.加盟店は、暗号資産の何れかを受け取り、それが自分の設定パネルで定義された所望のデジタル通貨エクスポージャへとプログラムに従って(自動的に)換算されるようにすることができるようになる。
【0030】
b.例えば、$BTCを受け入れ、20%を$TKS、20%を$LTC、及び60%を$ETHに変換する。
4.トレード処理
a.明示された上記のポートフォリオ配分に連結して、トレードエンジンがソフトウェア内に構築される。
【0031】
b.再び、市場流動性と最善執行を用いて、各種の公開暗号取引所の内部流動性プールを利用してトレードを処理し、配分要求を満たすために資産バスケットを作る。
c.プログラムに従って、加盟店は支払サービスに受け取った資産を引き渡し、支払サービスはそれらにそれらの所望のポートフォリオを戻す。
【0032】
5.任意選択的な実施形態
a.すべての支払はQRバーコードを介して処理されてよい。
b.支払は、少なくとも部分的にモバイルコンシューマウォレット(アプリ)を用いて可能にされてよいが、顧客は、それらが使っているデジタル通貨資産に応じてその他のQR対応モバイルウォレットを使用することができる。
【0033】
本開示の加盟店ゲートウェイ方法の処理の流れは、支払取引の加盟店側に関する。
本発明の態様は、複数の取引所から生成された商品の米国ドル及び暗号通貨建ての取引価格を照会し、また、オーダブックの両サイドでのこれらの取引所に現在存在する流動性も考慮する価格設定モデルを含む。
【0034】
加盟店への決済は加盟店自身が予め指定した好ましい暗号又は法定の等価貨種で提供される。
本開示の態様による顧客と加盟店との間の1つ又は複数の通貨が関わる販売地点取引の決済を行う装置について、図1を参照しながら説明する。この態様によれば、モバイルデバイス100は、メモリ104と通信し、ユーザインタフェース106と通信するプロセッサ102を含む。モバイルデバイス100はまた、メモリ104内の、プロセッサ104により実行可能なトレードエンジンモジュール108も含む。トレードエンジン108モジュールは、加盟店から、加盟店の1つ又は複数の資産の各々に関する加盟店外部ウォレットアドレスの個々の識別情報を受け取るように構成され、資産の各々は関連する通貨建てでの個々の価値を有する。トレードエンジンモジュール108はさらに、加盟店から、加盟店への支払の1つ又は複数の資産への分割を規定する際の配分明細を受け取るように構成される。トレードエンジンモジュール108はさらに、加盟店から注文を受け取るように構成され、注文は法定通貨建ての取引価値を規定している。トレードエンジンモジュール108はさらに、その後、取引価値を配分明細に基づいて複数の配分に分割するように構成される。トレードエンジンモジュール108は、配分の各々について、法定通貨とその配分に関連する資産の通貨との間の換算率を特定するように構成される。トレードエンジンモジュール108は、配分の各々を法定通貨からその配分に関連する資産の通貨に換算率に基づいて換算するように構成される。トレードエンジンモジュール108は、加盟店に、例えばユーザインタフェース106を介して、対応する配分に関連する資産の通貨建てでの各配分の価値を通知するように構成される。
【0035】
本開示の他の態様によれば、トレードエンジンモジュール108はさらに、加盟店から取引価値を、法定通貨を基準とする1つ又は複数の電子通貨建てで支払サービスに送金するように構成されてよい。取引価値を受け取ったことに応答して、トレードエンジンモジュールは、支払サービスから加盟店への、対応する配分に関連する資産の通貨建てで各配分の価値を受け取ってよい。
【0036】
配分の各々を法定通貨からその配分に関連する資産の通貨に換算するステップは、例えば、資産の通貨の複数の公開取引所間のその資産の通貨の出来高加重平均価格を計算することによって行われてもよい。出来高加重平均価格は、例えば資産の通貨の目に見える市場流動性に基づいていてもよい。
【0037】
本開示の他の態様によれば、トレードエンジンモジュール108により配分の各々を法定通貨からその配分に関連する通貨に換算するプロセスは、複数の通貨交換所の両サイドでの資産の通貨建て対法定通貨建ての現在価格を照会することを含んでいてよい。
【0038】
本発明の他の態様によれば、トレードエンジンモジュール108によって配分の各々を法定通貨からその配分に関連する資産の通貨に換算するプロセスは、例えば1つ又は複数の通貨交換所での資産の通貨の流動性を特定することを含んでいてよい。
【0039】
図2は、本発開示の態様によるモバイルデバイス100のトレードエンジンモジュール108に実装されてよい、電子通貨を換算する方法200を図解するシステムブロック図である。ステップ202で、方法は、加盟店から、加盟店の1つ又は複数の資産の各々に関する加盟店外部ウォレットの個々の識別情報を受け取るステップを含む。資産の各々は、関連する通貨建てでの個々の価値を有する。ステップ204で、方法は加盟店から、加盟店への支払の1つ又は複数の資産への分割を規定する配分明細を受け取るステップを含む。ステップ206で、方法は、加盟店から注文を受け取るステップを含み、注文は法定通貨建ての取引価値を規定している。ステップ208で、方法は取引価値を配分明細に基づいて複数の配分に分割するステップを含む。ステップ210で、方法は配分の各々について、法定通貨とその配分に関連する資産の通貨との間の換算率を特定するステップを含む。ステップ212で、方法は、配分の各々を換算率に基づいて法定通貨からその配分に関連する資産の通貨へと換算するステップを含む。ステップ214で、方法は各配分の価値を、対応する配分に関連する資産の通貨建てで加盟店に通知するステップを含む。
【0040】
例示的な実施形態において、方法は、例えば、加盟店から支払サービスに取引価値を法定通貨を基準とする1つ又は複数の電子通貨建てで送金し、取引価値を受け取ったことに応答して、支払サービスから加盟店に、対応する配分に関連する資産の通貨建てでの各配分の価値を受け取るステップを含んでいてよい。
【0041】
装置内で配分の各々を法定通貨から配分に関連する資産の通貨に換算するステップは、例えば資産の通貨の複数の公開取引所間の資産の通貨の出来高加重平均価格を計算するステップを含んでいてよい。出来高加重平均価格は、例えば資産の通貨の目に見える市場流動性に基づいていてよい。
【0042】
他の例示的な実施形態において、装置内で配分の各々を法定通貨からその配分に関連する資産の通貨に変換するステップは、複数の通貨取引所の両サイドの資産の通貨建て対法定通貨建ての現在の価格を照会するステップと、複数の通貨交換所での資産の通貨の流動性を特定するステップと、を含んでいてよい。通貨交換所は、例えばユーザが参加できる1つのエンティティによりホストされてよく、それによって交換プロセスを可能にする中央集中型交換所とすることができる。代替的に、通貨交換所は、交換プロセスが例えば分散型技術プロトコルにより可能にされ得る分散型であってもよい。
【実施例
【0043】
実施例1
本開示のシステムと方法のある例示的な実施形態において、加盟店ゲートウェイにより、加盟店は、暗号通貨資産を受け入れる売り注文を顧客支払方法及びウォレットを介して処理することができる。暗号通貨支払のため自律システムとして機能する加盟店ゲートウェイは、従来の販売地点又はeコマース支払チェックアウトシステムと併用し、統合することができる。これは、本文書で概説するメカニズムを介して可能となる。
【0044】
本開示の態様によれば、「加盟店ゲートウェイ」又は「ゲートウェイ」とは、加盟店が顧客からの暗号通貨での支払を容認する支払機能を有するソフトウェア製品として実装されてよい。
【0045】
本開示のシステム及び方法の実施例において、所定の法定(USD)価格での注文清算時に、システムはBittrex暗号通貨取引所等の暗号通貨取引所での現在の公開市場流動性に基づいて、価格換算を適用して等価暗号通貨市場価格を表示する。生産システムユーザインタフェース(UI)は続いて、自動的に、又は手作業(例えば、加盟店が「今すぐ支払う」を選択する)により、顧客が以下による支払を行うための支払指示を表示する:
サポートされているモバイルウォレットからスキャンするQRコード(登録商標)
サポートされているデスクトップ又はモバイルウォレットから代金を手作業で送金するための支払アドレス、及び/又は
加盟店の支払先を選択する支払ユーザ名。
【0046】
支払指示が表示されると、顧客に一時的な支払期間を与えられ、その間、価格は有効である。
この例示的な実施形態において、暗号通貨販売地点システム内で、支払期間は例えば3分間の固定された時間である。この例示的な実施形態では、満了すると新たな暗号通貨市場価格が自動的に再計算される。加盟店は、加盟店独自の支払期間をゲートウェイAPIを介して設定するか、又はそれがないことを選択してよく、それによって暗号通貨価格は、注文清算中に確定され、その注文代金が支払われるかキャンセルされるまで無期限に有効なままである。支払は、顧客がその支払期間満了後にそれを送金した場合でも、支払は処理されることになる。これはその注文に対する法定価格に関する正しい暗号通貨市場価格を反映していない場合があり、それは、暗号通貨が公開市場で変動するからである。この場合、システムは、価格が不正確であることを自動的に顧客に通知することができない。これを防止するために加盟店のUI又は業務プロセスを指定しなければならない。そうでなければ、顧客は支払不足差額の支払金を送金してよく、及び/又は加盟店は過払い差額を払い戻してよい。
【0047】
注文清算中に支払指示が表示されると、新しい取引ごとに永久的で固有のアドレスが生成される。顧客支払は、暗号通貨資産保管を開始し、一時的に暗号通貨プラットフォームの内部ウォレットに移動する。すると、その注文のために固有の販売IDが瞬時に作成され、その後、直ちに暗号通貨管理がシステム内のファイル上にある加盟店の外部ウォレットアドレスに移される。中間資産管理は、ゲートウェイAPIにより扱われ、それによってプラットフォームは販売注文及び支払活動を厳重に管理することができる。販売IDを作ることにより、注文履行が確実となり、注文管理上の利点が提供され、これにはシステムとブロックチェーン活動との接続を介して支払を注文とマッチさせることによる支払追跡、固有の販売IDの参照点によって可能となる注文調整の柔軟性、注文未支払残金の評価、及び1つの注文を履行するための複数回の支払の容認が含まれる。
【0048】
顧客は、その他の暗号通貨資産を、これをそれらの市場を提供する暗号取引所で購入することによって取得してよい。暗号資産購入時、それを取引ウォレットからその資産をサポートする何れかの専用ウォレットに移動(送金)することが、そのウォレットからの支払実行のセキュリティと効率の向上という両方の目的のために推奨される。
【0049】
暗号通貨は、暗号通貨取引所で購入され、例えばWaves Platformデスクトップウォレット若しくはiOS(登録商標)&Android(登録商標)モバイルウォレットに、又は暗号通貨プラットフォームモバイルウォレットに保存されてよい。顧客は、加盟店とのアカウントに資金供給又は事前支払を行う必要がない(加盟店の責任)。
【0050】
加盟店は加盟店ゲートウェイ機能それらの既存の販売地点システム及びeコマースストアに統合して、暗号通貨での顧客による支払の受け入れを開始してよい。本開示の暗号通貨プラットフォームが関するゲートウェイAPIの統合を介して必要となる技術的実装により、必要に応じて部分的又は完全な発展及びUX/UIサポートを提供する場合がある。
図1
図2
【国際調査報告】