(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-10
(54)【発明の名称】線維芽細胞再生細胞
(51)【国際特許分類】
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A61P 27/14 20060101ALI20220303BHJP
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A61K 38/19 20060101ALI20220303BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
A61K35/33
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C12N5/10
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A61K45/00
A61K38/18
A61K38/19
A61K39/395
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021540132
(86)(22)【出願日】2020-01-13
(85)【翻訳文提出日】2021-09-01
(86)【国際出願番号】 US2020013315
(87)【国際公開番号】W WO2020146874
(87)【国際公開日】2020-07-16
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516071686
【氏名又は名称】フィジーン、エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】FIGENE, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オヒーロン、ピート
(72)【発明者】
【氏名】イチム、トーマス
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C087
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
様々な変性疾患の治療に有用な再生活性を有する再生線維芽細胞、その集団又はサブセットを含む組成物、システム及び方法が開示される。一実施形態では、本開示がCD105及び/又はCD117マーカーの濃縮に基づいて増強された増殖能を有する線維芽細胞を提供する。一実施形態において、CD105及び/又はCD117マーカーを有する線維芽細胞は、ローダミン123流出活性についてさらに濃縮される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の医学的状態を治療する方法であって、
単離された線維芽細胞再生細胞、その集団、その子孫、及び/又はその条件培地を含む組成物を対象に投与することを含み、
前記線維芽細胞再生細胞が、対照線維芽細胞と比較して再生活性が増加している、方法。
【請求項2】
単離された前記線維芽細胞再生細胞又はその集団が、CD105マーカー及び/又はCD117マーカーを発現している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記線維芽細胞再生細胞が、ローダミン123流出活性をさらに有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記線維芽細胞再生細胞が、Oct-4、CD-34、KLF-4、Nanog、Sox-2、Rex-1、GDF-3、IL-10、Stella及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる少なくとも1つの追加のマーカーを発現している、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記線維芽細胞再生細胞が、対照細胞と比較してGDF-11の発現が増強されている、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記線維芽細胞再生細胞が、再生特性を有する組織に由来する、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記線維芽細胞再生細胞が、胎盤組織、臍帯組織、子宮内膜細胞、ホウォートンゼリー、骨髄又は脂肪組織に由来する、請求項1~6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
前記組成物に外来性ミトコンドリアを添加する工程をさらに含む、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記外来性ミトコンドリアが、他の細胞成分から単離され、実質的に純粋である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ミトコンドリアが、脂質融合、ポリエチレングリコール媒介融合又はエレクトロポレーションによって前記線維芽細胞再生細胞に投与される、請求項8~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記ミトコンドリアが、前記線維芽細胞への前記ミトコンドリアの取り込みを促進するために、カプセル化又は薬剤で処理されている、請求項8~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸、コリン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB12、ビオチン、ニコチンアミド、ベータカロテン、コエンザイムQ、セレン、スーパーオキシドジスムターゼ、過酸化グルタチオン、ウリジン、コハク酸クレアチン、ピルビン酸、ジヒドロキシアセトン)、アセチル-L-カルニチン、α-リポ酸、カルジオリピン、オメガ脂肪酸、炭酸リチウム、クエン酸リチウム、カルシウム、又はそれらの任意の組み合わせをさらに含む、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記ミトコンドリアが、自己由来ミトコンドリア、同種同系ミトコンドリア、同種異系ミトコンドリア又は異種ミトコンドリアである、請求項8~12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
前記ミトコンドリアが、幹細胞に由来する、又は前記線維芽細胞再生細胞と比較して低分化の細胞に由来する、請求項8~13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
単離された実質的に純粋なミトコンドリアを対象に投与する工程をさらに含む、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
i)細胞の他の構成要素からミトコンドリアを分離して、単離された実質的に純粋なミトコンドリアを産生する工程と、(ii)前記対象に単離された実質的に純粋な前記ミトコンドリアを投与する工程とをさらに含む、請求項1~15に記載の方法。
【請求項17】
前記再生線維芽細胞が、増殖し、かつ外胚葉、中胚葉又は内胚葉の少なくとも2つに分化することができる、請求項1~16の方法。
【請求項18】
前記状態が、免疫障害、筋障害、造血障害、肝障害、血管新生障害、膵臓障害、心疾患、肺疾患、神経疾患、神経障害、神経変性疾患、筋障害、筋疾患、免疫疾患、炎症介在性疾患、炎症介在性障害、炎症、虚血、脳卒中、虚血性心疾患、肝不全、腎不全、末梢動脈疾患、肺線維症、肝線維症、膵線維症、糖尿病性肢、線維症、瘢痕組織形成、病的アポトーシス、糖尿病、肝硬変、肝炎、骨粗鬆症、骨折、神経学的損傷、関節のプロテーゼの必要性、真皮幹細胞の必要性、膵島細胞の増殖の必要性、肝細胞の増殖の必要性、インスリン産生の増加の必要性、骨細胞の必要性、骨細胞形成の増加の必要性、骨細胞の機能を高める必要性、又は細胞治療の必要性である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記心疾患又は前記肺疾患が、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞(心臓発作)、心臓感染症、心不全、虚血性心不全、高血圧(高血圧症)又は肺高血圧症、特発性肺線維症、脳卒中、先天性心疾患(CHD)、うっ血性心不全、狭心症、心筋炎、冠動脈疾患、心筋症、拡張型心筋症、肥大型心筋症、心内膜炎、拡張機能障害、脳血管疾患、弁疾患、僧帽弁逸脱症、静脈血栓塞栓症又は不整脈である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記神経疾患又は前記筋疾患が、多発性硬化症(MS)、脊髄損傷、筋ジストロフィー(ベッカー型又はデュシェンヌ型)、筋萎縮性側索硬化症(ALS;ルー・ゲーリッグ病又は古典的運動ニューロン病)、自閉症、進行性球麻痺(進行性球委縮)、仮性球麻痺、原発性側索硬化症(PLS)、進行性筋萎縮、脊髄性筋萎縮症(SMA I型-ウェルドニッヒ-ホフマン病、SMA II型、又はSMA III型-クーゲルベルグ-ウェランダー病を含むSMA)、ファチオ・ロンド病、ケネディ病(進行性球脊髄性筋萎縮症)、関節拘縮を伴う先天性SMA、及びポストポリオ症候群(PPS)である、請求項18記載の方法。
【請求項21】
免疫障害又は炎症介在性障害又は免疫疾患又は炎症介在性疾患が、甲状腺炎、膵島炎、多発性硬化症、虹彩毛様体炎、ぶどう膜炎、睾丸炎、アジソン病、重症筋無力症、関節リウマチ、エリテマトーデス、免疫過剰反応、インスリン依存性糖尿病、貧血、再生不良性貧血、溶血性貧血、肝炎、自己免疫性肝炎、強膜炎、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫疾患、胃腸管の疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、若年性関節炎、強皮症及び全身性硬化症、シェーグレン症候群、未分化結合組織症候群、抗リン脂質症候群、血管炎、結節性多発性動脈炎、アレルギー性肉芽腫症、血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、川崎病、過敏性血管炎、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、ベーチェット症候群、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、閉塞性血栓性血管炎、リウマチ性多発筋痛症、本態性クリオグロブリン血症、尋常性乾癬及び乾癬性関節炎、好酸球増加を伴うびまん性筋膜炎、好酸球増加を伴わないびまん性筋膜炎、多発性筋炎及びその他の特発性炎症性ミオパシー、再発性脂肪織炎、再発性多発性軟骨炎、リンパ腫性肉芽腫症、結節性紅斑、強直性脊椎炎、ライター症候群、炎症性皮膚炎、関節炎を伴う望ましくない免疫反応及び炎症反応、関節リウマチ、過敏症及びアレルギー反応を伴う炎症、全身性エリテマトーデス、膠原病、アテローム性動脈硬化症を伴う炎症、動脈硬化症、アテローム性心疾患、再潅流傷害、血管炎症性障害、呼吸窮迫症候群、心肺疾患、消化性潰瘍に伴う炎症、肝線維症、肝硬変、肝疾患、甲状腺炎その他の腺疾患、糸球体腎炎、腎疾患、泌尿器疾患、耳炎、耳鼻咽喉科疾患、皮膚炎、皮膚疾患、歯周病、歯科疾患、精巣炎又は精巣上体炎、不妊症、精巣外傷、免疫関連精巣疾患、胎盤機能障害、胎盤不全、習慣性流産、子癇、子癇前症、免疫関連婦人科疾患、炎症関連婦人科疾患、後部ぶどう膜炎、中間部ぶどう膜炎、前部ぶどう膜炎、結膜炎、脈絡網膜炎、ぶどう膜炎、視神経炎、眼内炎(例えば網膜炎又は嚢胞性黄斑浮腫など)、交感性眼炎、強膜炎、網膜色素変性症、変性眼底病の免疫及び炎症性成分、眼外傷の炎症性成分、感染による眼の炎症、増殖性硝子体網膜症、急性虚血性視神経症、過剰な瘢痕化、眼用インプラントに対する免疫反応、眼用インプラントに対する炎症反応、免疫関連眼疾患、炎症関連眼疾患、自己免疫疾患又は中枢神経系(CNS)その他の器官の状態又は障害を伴う炎症、パーキンソン病、パーキンソン病の治療に伴う合併症及び/又は副作用、AIDS関連認知症複合HIV関連脳症、デヴィック病、シデナム舞踏病、アルツハイマー病及びその他の変性疾患、CNSの状態又は障害、脳卒中の炎症性成分、ポストポリオ症候群、精神疾患の免疫・炎症性成分、脊髄炎、脳炎、亜急性硬化性汎脳炎、脳脊髄炎、急性ニューロパチー、亜急性ニューロパチー、慢性ニューロパチー、ギラン・バレー症候群、シデナム舞踏病、偽脳腫瘍、ダウン症候群、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、CNS圧迫の炎症性成分、CNS圧迫の炎症性成分、CNS圧迫の炎症性成分、CNSのCNS外傷感染、筋萎縮症の炎症性成分、筋ジストロフィーの炎症性成分、中枢及び末梢神経系の状態又は障害、外傷後炎症、敗血症性ショック、感染性疾患、手術の炎症性合併症、臓器移植の炎症性合併症、手術の副作用、臓器移植の副作用、遺伝子療法の炎症性合併症、遺伝子療法の免疫性合併症、遺伝子療法の炎症関連副作用、遺伝子療法の免疫関連副作用、AIDSに伴う炎症、体液性免疫応答、細胞性免疫応答、単球増殖性疾患、白血球増殖性疾患、白血病、高単球又は高リンパ球、又は移植片拒絶反応である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記移植片拒絶反応が、天然細胞、人工細胞、天然組織、人工組織、骨髄、器官、ペースメーカー、角膜又は水晶体の移植後である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記器官が、肝臓、腎臓、心臓又は肺である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記神経変性疾患が、パーキンソン病、アルツハイマー病又はハンチントン病である、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記対象が、造血の増加、肝活性の増加、血管新生の増加、炎症の制御、自己免疫の制御を必要とする、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記対象が虚血を有する、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記虚血が、心臓組織、肺組織、腎臓組織又は四肢におけるものである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記虚血が、脳卒中、虚血性心疾患、肝不全、腎不全及び末梢動脈疾患と関連する、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記対象が、脳卒中、肺線維症、糖尿病性肢、虚血性心疾患、肝不全、腎不全、末梢動脈疾患、糖尿病、肝不全、肝硬変、肝若しくは膵線維症、又は肝炎、骨粗鬆症、骨折、心疾患又は肺疾患を有する、あるいは発症するリスクがある、請求項1~28のいずれか一項記載の方法。
【請求項30】
前記心疾患又は前記肺疾患が、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、心臓感染症、心不全、虚血性心不全、高血圧、肺高血圧症、特発性肺線維症、脳卒中、先天性心疾患(CHD)、うっ血性心不全、狭心症、心筋炎、冠動脈疾患、心筋症、拡張型心筋症、肥大型心筋症、心内膜炎、拡張機能障害、脳血管疾患、弁疾患、僧帽弁逸脱、静脈血栓塞栓症又は不整脈である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記対象が、線維症又は瘢痕組織形成を有しているか、又は発症するリスクがある、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記瘢痕組織形成又は前記線維症が、膵臓組織、肝臓組織、心臓組織、肺組織、四肢、肝臓、膵臓又は腎臓にある、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記対象が、病的なアポトーシスの阻害、低下、減少、制御又は逆転を必要としている、請求項1~32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記対象が、膵臓機能、肝機能、骨細胞機能、インスリン産生、肺機能、心機能の改善を必要としている、又は関節のプロテーゼを必要としている、請求項1~33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記対象が、膵島細胞数の増加、肝細胞数の増加、インスリン産生量の増加;骨細胞数の増加を必要としている、請求項1~34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記対象が、真皮幹細胞を必要としている、又は内在性真皮幹細胞の活性化を必要としている、請求項1~35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記対象が、前記組成物に加えて1つ以上の抗炎症剤を投与される、請求項1~36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記抗炎症剤が、前記組成物と同時に投与される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記抗炎症剤が、前記組成物の前及び/又は後に投与される、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記抗炎症剤が、アルクロフェナク;ジプロピオン酸アルクロメタゾン;アルゲストンアセトニド;α-アミラーゼ;α-リポ酸;α-トコフェロール;アムシナファル;アムシナフィド;アムフェナクナトリウム;塩酸アミプリロース;アナキンラ;アニロラック;アニトラザフェン;アパゾン;アスコルビン酸;バルサラジド二ナトリウム;ベンダザック;ベノキサプロフェン;塩酸ベンジダミン;ブロメライン;ブロペラモール;ブデソニド;カルプロフェン;クロロゲン酸;シクロプロフェン;シンタゾン;クリプロフェン;クロベタゾールプロピオン酸エステル;クロベタゾン酪酸エステル;クロピラック;プロピオン酸クロチカゾン;酢酸コルメタゾン;コルトドキソン;デフラザコート;デソニド;デソキシメタゾン;ジプロピオン酸デキサメタゾン;ジクロフェナクカリウム;ジクロフェナクナトリウム;ジフロラゾンジアセテート、ジフルミドンナトリウム、ジフルニサル;ジフルプレドナート;ジフタロン;ジメチルスルホキシド;ドロシノニド;エラグ酸;エンドリソン;エンリモマブ;エノリカムナトリウム;エピリゾール;エトドラク;エトフェナメート;フェルビナク;フェナモール;フェンブフェン;フェンクロフェナク;フェンクロラック;フェンドサール;フェンピパロン;フェンチアザック;フラザロン;フルアザコート;フルフェナム酸;フルミゾール;フルニソリドアセテート;フルニキシン;フルニキシンメグルミン、フルオコルチンブチル;酢酸フルオロメトロン;フルクアゾン;フルビプロフェン;フルレトフェン;フルチカゾンプロピオン酸エステル;フラプロフェン;フロブフェン;グルタチオン;ハルシノニド;プロピオン酸ハロベタゾール;ハロプレドン酢酸エステル;ヘスペレディン(hesperedin);イブフェナク;イブプロフェン;イブプロフェンアルミニウム;イブプロフェンピコノール;イロニダップ;インドメタシン;インドメタシンナトリウム;インドプロフェン;インドキソール;イントラゾール;酢酸イソフルプレドン;イソキセパック;イソキシカム;ケトプロフェン;ロフェミゾール塩酸塩;ロモキシカム;エタボン酸ロテプレドノール;リコペン;メクロフェナム酸ナトリウム;メクロフェナム酸;メクロリゾンジブチレート;メフェナム酸;メサラミン;メセクラゾン;メチルプレドニゾロンスレプタネート;モルニフルメート;ナブメトン;ナプロキセン;ナプロキセンナトリウム;ナプロキソール;ニマゾン;オレウロペイン;オルサラジンナトリウム;オルゴテイン;オルパノキシン;オキサプロジン;オキシフェンブタゾン;塩酸パラニリン;ペントサンポリサルフェートナトリウム;フェンブタゾンナトリウムグリセレート;ピルフェニドン;ピロキシカム;ピロキシカムシンナメート;ピロキシカムオラミン;ピルプロフェン;ピクノジェノール;ポリフェノール;プレドナザート;プリフェロン;プロドール酸;プロクアゾン;プロキサゾール;クエン酸プロキサゾール;ケルセチン;レスベラトロール;リメキソロン;ロマザリト;ロズマリン酸;ルチン;サルコレックス;サルナセジン;サルサレート;塩化サングイナリウム;セクラゾン;セルメタシン;スドキシカム;スリンダック;スプロフェン;タルメタシン;タルニフルメート;タロサレート;テブフェロン;テニダップ;テニダップナトリウム;テノキシカム;テシカム;テシミド;テトラヒドロクルクミン;テトリダミン;チオピナック;チキソコルトールピバレート;トルメチン;トルメチンナトリウム;トリクロニド;トリフルミデート;ジドメタシン;ゾメピラックナトリウムである、請求項37~39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記組成物が、生物活性化合物をさらに含む、請求項1~40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記生物活性化合物が、成長因子、サイトカイン、抗体、抗体断片、5000ダルトン未満の質量の有機分子である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記組成物が、非経口的に、経皮的に、経粘膜的に、インプラントによって、又は移植によって前記対象に導入される、請求項1~42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記組成物が、前記対象に、静脈内、筋肉内、髄腔内、動脈内、皮内、皮下、胸膜内、頭蓋内、眼内又は粘膜に導入される、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記線維芽細胞再生細胞が、前記対象に対して同種異系である、請求項1~44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記線維芽細胞再生細胞又はその集団が、前記対象に対して自己由来である、請求項1~44のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
前記線維芽細胞再生細胞が、プラスチック接着性である、請求項1~46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
前記線維芽細胞再生細胞、その集団又は子孫が、前記投与工程の前に凍結保存される、請求項1~46のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
前記対象が、動物である、請求項1~48のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
前記組成物が、さらに幹細胞を含む、請求項1~49のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
前記集団が、少なくとも1×10
2、1×10
6、1×10
9、1×10
10、1×10
12、1×10
14個又はそれらの間の任意の量の幹細胞を含む、請求項1~50のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
前記幹細胞が間葉系細胞、胚性幹細胞又は分化細胞である、請求項50又は51に記載の方法。
【請求項53】
前記幹細胞が、筋細胞、脂肪細胞、外胚葉細胞、筋肉細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、内皮細胞、線維芽細胞、膵細胞、肝細胞、胆管細胞、骨髄細胞、神経細胞、又は泌尿生殖器細胞である、請求項50~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記線維芽細胞再生細胞が、MHCクラスI、MHCクラスII、CD45、CD13、CD49c、CD66b、CD73、CD105又はCD90のうちの少なくとも1つ以上の細胞表面タンパク質を発現しない、請求項1~53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
線維芽細胞再生細胞又はその集団を産生するインビトロ方法であって、
CD117及び/又はCD105を発現する線維芽細胞を選択及び/又は増殖させることを含み、
前記線維芽細胞が、対照線維芽細胞と比較して再生活性が増加している、方法。
【請求項56】
前記線維芽細胞再生細胞を、CD34の発現について選択する工程をさらに含む、請求項55に記載のインビトロ方法。
【請求項57】
前記芽細胞再生細胞を、ローダミン123流出活性について選択する工程をさらに含む、請求項55に記載のインビトロ方法。
【請求項58】
前記線維芽細胞再生細胞を、Oct-4、CD-34、KLF-4、Nanog、Sox-2、Rex-1、GDF-3及びStellaからなる群より選ばれる少なくとも1つの追加のマーカーについて選択する工程をさらに含む、請求項55に記載のインビトロ方法。
【請求項59】
前記線維芽細胞再生細胞を、対照線維芽細胞と比較したGDF-11の発現増強について選択する工程をさらに含む、請求項55~58のいずれかに記載のインビトロ方法。
【請求項60】
前記線維芽細胞再生が、MHCクラスI、MHCクラスII、CD45、CD13、CD49c、CD66b、CD73、CD105又はCD90のうちの少なくとも1つ以上の細胞表面タンパク質を発現しない、請求項55~59のいずれか一項記載のインビトロ方法。
【請求項61】
前記線維芽細胞が、再生特性を有する組織に由来する、請求項55~60のいずれかに記載のインビトロ方法。
【請求項62】
前記線維芽細胞が、胎盤組織、臍帯組織、子宮内膜細胞、ホウォートンゼリー、骨髄又は脂肪組織に由来する、請求項55~61のいずれか一項記載のインビトロ方法。
【請求項63】
前記集団が、0.01~5%の新鮮に抽出された線維芽細胞を含む、請求項55~62のいずれかに記載のインビトロ方法。
【請求項64】
治療有効量の前記線維芽細胞再生細胞を調製する工程、及び
前記治療有効量の線維芽細胞再生細胞、その集団、その子孫、又はその条件培地を、それを必要とする対象に提供する工程
をさらに含む、請求項55~63のいずれかに記載のインビトロ方法。
【請求項65】
神経細胞を形成するインビトロ方法であって:
CD117及び/又はCD105を発現する線維芽細胞を選択することによって、線維芽細胞再生細胞又はその集団を得る工程であって、前記線維芽細胞が、対照線維芽細胞と比較して、再生活性が増加している、工程;並びに、
前記線維芽細胞再生細胞を、bFGF、FGF-8、SHH又はBDNFのうちの少なくとも2つの組み合わせを用いて培養する工程
を含む、インビトロ方法。
【請求項66】
肝細胞を形成するインビトロ方法であって:
CD117及び/又はCD105を発現する線維芽細胞を選択して増殖させることによって線維芽細胞再生細胞又はその集団を得る工程であって、前記線維芽細胞が、対照線維芽細胞と比較して再生活性が増加している、工程;及び;
前記線維芽細胞再生細胞を肝細胞増殖因子(HGF)及び/又はFGF-4を用いて培養する工程
を含む、インビトロ方法。
【請求項67】
内皮細胞を形成するインビトロ方法であって:
CD117及び/又はCD105を発現する線維芽細胞を選択することによって線維芽細胞再生細胞又はその集団を得る工程であって、前記線維芽細胞が、対照線維芽細胞と比較して再生活性が増加している、工程;及び、
前記線維芽細胞再生細胞を血管内皮増殖因子(VEGF)で培養する工程
を含む、インビトロ方法。
【請求項68】
造血細胞を形成するインビトロ方法であって:
CD117及び/又はCD105を発現する線維芽細胞を選択することによって線維芽細胞再生細胞又はその集団を得る工程であって、前記線維芽細胞が、対照線維芽細胞と比較して再生活性が増加している、工程;及び、
前記線維芽細胞再生細胞を、骨形成タンパク質-4(BMP4)、VEGF、bFGF、幹細胞因子(SCF)、Flt3L、ハイパーIL6、トロンボポエチン(TPO)又はエリスロポエチン(EPO)のうちの少なくとも2つの組み合わせを用いて培養する工程
を含む、インビトロ方法。
【請求項69】
前記線維芽細胞再生細胞を、CD34発現について選択する工程をさらに含む、請求項65~68のいずれかに記載のインビトロ方法。
【請求項70】
前記線維芽細胞再生細胞を、ローダミン123流出活性について選択する工程をさらに含む、請求項65~69のいずれかに記載のインビトロ方法。
【請求項71】
前記線維芽細胞再生細胞を、Oct-4、CD-34、KLF-4、Nanog、Sox-2、Rex-1、GDF-3、IL-10、Stella及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる少なくとも1つの追加のマーカーについて選択する工程をさらに含む、請求項65~70のいずれかに記載のインビトロ方法。
【請求項72】
前記線維芽細胞再生細胞を、対照線維芽細胞と比較してGDF-11の発現が増強しているものについて選択する工程をさらに含む、請求項65~71のいずれかに記載のインビトロ方法。
【請求項73】
前記線維芽細胞再生物が、MHCクラスI、MHCクラスII、CD45、CD13、CD49c、CD66b、CD73、CD105又はCD90のうちの少なくとも1つ以上の細胞表面タンパク質を発現していない、請求項65~72のいずれか一項記載のインビトロ方法。
【請求項74】
単離された線維芽細胞、その集団、その子孫、又はその条件培地を含み、前記線維芽細胞が対照線維芽細胞と比較して再生活性が増加している、組成物。
【請求項75】
前記線維芽細胞が、CD105マーカー及び/又はCD117マーカーを発現している、請求項74に記載の組成物。
【請求項76】
前記線維芽細胞がローダミン123流出活性をさらに有する、請求項74又は75に記載の組成物。
【請求項77】
前記線維芽細胞が、Oct-4、CD-34、KLF-4、Nanog、Sox-2、Rex-1、GDF-3、及びStellaからなる群より選ばれる少なくとも1つの追加のマーカーを発現している、請求項74~76のいずれかに記載の組成物。
【請求項78】
前記線維芽細胞が、対照細胞と比較してGDF-11の発現が増強されている、請求項74~77のいずれかに記載の組成物。
【請求項79】
前記線維芽細胞が、再生特性を有する組織に由来する、請求項74~78のいずれかに記載の組成物。
【請求項80】
前記線維芽細胞が、胎盤組織、臍帯組織、子宮内膜細胞、ホウォートンゼリー、骨髄又は脂肪組織に由来する、請求項74~79のいずれか一項記載の組成物。
【請求項81】
前記線維芽細胞の再生細胞、その集団若しくは子孫、又はその条件培地が凍結保存されている、請求項74~80のいずれかに記載の組成物。
【請求項82】
前記集団が、少なくとも1×10
2、1×10
6、1×10
9、1×10
10、1×10
12、1×10
14個又はそれらの間の任意の量の幹細胞を含む、請求項74~81のいずれかに記載の組成物。
【請求項83】
生物活性化合物をさらに含む、請求項74~82のいずれかに記載の組成物。
【請求項84】
前記生物活性化合物が、成長因子、サイトカイン、抗体、抗体断片、5000ダルトン未満の質量の有機分子である、請求項83に記載の組成物。
【請求項85】
前記組成物がNaCl溶液中にある、請求項74~84のいずれかに記載の組成物。
【請求項86】
前記組成物が0.8%~1%NaCl溶液中にある、請求項74~84に記載の組成物。
【請求項87】
外来性ミトコンドリアをさらに含む、請求項74~86のいずれかに記載の組成物。
【請求項88】
前記外来性ミトコンドリアが、他の細胞成分から単離され、実質的に純粋である、請求項87に記載の組成物。
【請求項89】
前記ミトコンドリアが、脂質融合、ポリエチレングリコール媒介融合又はエレクトロポレーションによって前記線維芽細胞に投与される、請求項87~88のいずれかに記載の組成物。
【請求項90】
前記ミトコンドリアが、前記線維芽細胞へのミトコンドリアの取り込みを促進するために、カプセル化又は薬剤で処理されている、請求項87~89のいずれかに記載の組成物。
【請求項91】
(空欄)
【請求項92】
(空欄)
【請求項93】
(空欄)
【請求項94】
(空欄)
【請求項95】
(空欄)
【請求項96】
(空欄)
【請求項97】
(空欄)
【請求項98】
(空欄)
【請求項99】
(空欄)
【請求項100】
ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸、コリン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB12、ビオチン、ニコチンアミド、ベータカロテン、コエンザイムQ、セレン、スーパーオキシドジスムターゼ、過酸化グルタチオン、ウリジン、コハク酸クレアチン、ピルビン酸、ジヒドロキシアセトン)、アセチル-L-カルニチン、α-リポ酸、カルジオリピン、オメガ脂肪酸、炭酸リチウム、クエン酸リチウム、カルシウム、又はそれらの組み合わせをさらに含む、請求項87~90のいずれかに記載の組成物。
【請求項101】
前記ミトコンドリアが、同種同系ミトコンドリア、同種異系ミトコンドリア又は異種ミトコンドリアである、請求項87~91のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項102】
前記ミトコンドリアが、幹細胞に由来する、又は、線維芽細胞と比較して低分化の細胞に由来する、請求項87~101のいずれかに記載の組成物。
【請求項103】
前記再生活性が、血管新生を刺激する能力である、請求項74~102のいずれかに記載の組成物。
【請求項104】
血管新生が、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)増殖の刺激をさらに含む、請求項103に記載の組成物。
【請求項105】
血管新生が、側副血管の産生を含む、請求項103又は104に記載の組成物。
【請求項106】
前記側副血管が、虚血心臓組織にある、請求項105に記載の組成物。
【請求項107】
前記側副血管が、虚血肢組織にある、請求項105に記載の組成物。
【請求項108】
前記側副血管が、閉塞した血管を取り囲んでいる、請求項105に記載の組成物。
【請求項109】
請求項74~108のいずれかに記載の組成物を含む、キット。
【請求項110】
請求項74~109のいずれかに記載の組成物を含む、医薬製剤。
【請求項111】
増殖して外胚葉、中胚葉又は内胚葉に分化することができる、インビトロの単離された線維芽細胞再生細胞又はその集団であって、
単離された前記線維芽細胞再生細胞が、Oct-4、Nanog、Sox-2、KLF4、c-Myc、Rex-1、GDF-3、LIF受容体、CD105、CD117、CD344、IL-10又はStellaのうちの少なくとも1つのマーカーを発現し、MHCクラスI、MHCクラスII、CD45、CD13、CD49c、CD66b、CD73、CD105又はCD90のうちの少なくとも1つの細胞表面タンパク質を発現していない、インビトロの単離された線維芽細胞再生細胞又はその集団。
【請求項112】
増殖して外胚葉、中胚葉又は内胚葉に分化することができる、再生線維芽細胞の複数のパッケージ化された集団を含むマスターセルバンクであって、
単離された前記線維芽再生細胞が、Oct-4、Nanog、Sox-2、KLF4、c-Myc、Rex-1、GDF-3、LIF受容体、CD105、CD117、CD344、IL-10及びStellaのうちの少なくとも1つを発現し、MHCクラスI、MHCクラスII、CD45、CD13、CD49c、CD66b、CD73、CD105又はCD90のうちの少なくとも1つの細胞表面タンパク質を発現しない、マスターセルバンク。
【請求項113】
各々のパッケージされた集団が、少なくとも1×10
2又はそれ以上の前記態様の細胞を含む、請求項112に記載のマスターセルバンク。
【請求項114】
再生線維芽細胞の集団を単離するための方法であって:
再生活性を有する組織を提供する工程;及び
大きさが約6~12マイクロメートルの細胞集団を濃縮する工程であって、前記線維芽細胞の再生細胞が、Oct-4、Nanog、Sox-2、KLF4、c-Myc、Rex-1、GDF-3、LIF受容体、CD105、CD117、CD344、IL-10及びStellaのうちの少なくとも1つを発現し、MHCクラスI、MHCクラスII、CD45、CD13、CD49c、CD66b、CD73、CD105又はCD90のうちの少なくとも1つの細胞表面タンパク質を発現しない、工程
を含む、方法。
【請求項115】
幹細胞表面マーカー又はMHCタンパク質を発現する集団から細胞を枯渇させ、それによって幹細胞の集団を単離する工程を任意で含む、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
枯渇させる前記細胞が、MHCクラスI、CD66b、グリコフォリンa又はグリコフォリンbを発現する、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
任意で、前記細胞を凍結保存する工程を含む、請求項114に記載の方法。
【請求項118】
任意で、レポーター遺伝子又は選択遺伝子に作動可能に連結された幹細胞特異的プロモーターを含むポリヌクレオチドベクターで前記細胞をトランスフェクトすることを含む、請求項114に記載の方法。
【請求項119】
前記細胞特異的プロモーターが、Oct-4、Nanog、Sox-9、GDF3、Rex-1、又はSox-2プロモーターである、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
レポーター遺伝子又は選択遺伝子の発現を用いて前記再生線維芽細胞の集団を濃縮する工程をさらに含む、請求項114~119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
フローサイトメトリーによって前記再生線維芽細胞の集団を濃縮する工程をさらに含む、請求項114~120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
前記細胞と前記細胞に入る検出可能な化合物とを接触させる工程であって、前記化合物が、増殖細胞及び非増殖細胞において選択的に検出可能である、工程;及び、
前記増殖細胞について、前記細胞集団を濃縮する工程
を含む、請求項114~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
前記検出可能な化合物が、カルボキシフルオレセインジアセテート、スクシンイミジルエステル、又はアルデフルオル(Aldefluor)である、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
組織凝集体を形成する条件下で前記細胞を培養することをさらに含む、請求項114~123のいずれかに記載の方法。
【請求項125】
前記線維芽細胞再生細胞から、顆粒球、T細胞、B細胞、NK細胞、赤血球又はそれらの任意の組み合わせなどの細胞型を分離することをさらに含む、請求項114~124のいずれかに記載の方法。
【請求項126】
前記細胞型の分離が、細胞枯渇によって行われる、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記細胞の増殖を支持する条件で、前記線維芽細胞再生細胞の集団を培養することをさらに含む、請求項114~126のいずれかに記載の方法。
【請求項128】
前記細胞が凍結保存されている、請求項114~127のいずれかに記載の方法。
【請求項129】
請求項114~128のいずれかに記載の方法によって産生される、細胞。
【請求項130】
線維芽細胞再生細胞を同定する方法であって:
少なくとも1つの選択可能なマーカー遺伝子に連結した線維芽細胞特異的プロモーターを含むベクターを細胞へ導入する工程;
前記細胞内で、前記細胞特異的プロモーターから前記選択可能なマーカー遺伝子を発現させる工程;及び、
前記細胞内で前記マーカー遺伝子の発現を検出し、それによって線維芽再生細胞を同定する工程;を含み、
前記線維芽細胞再生細胞が、MHCクラスI、MHCクラスII、CD44、CD45、CD13、CD34、CD49c、CD66b、CD73、CD105及びCD90のうちの少なくとも1つ以上の細胞表面タンパク質を発現せず;
前記線維芽細胞再生細胞が、Oct-4、Nanog、Sox-2、Rex-1、GDF-3、Stella、FoxD3又はPolycombのうちの少なくとも1つ以上の胚性転写因子を発現し、かつ前記線維芽細胞再生細胞が中胚葉、外胚葉、及び/又は内胚葉に分化可能である、方法。
【請求項131】
前記線維芽細胞再生細胞を単離する工程をさらに含む、請求項130に記載の方法。
【請求項132】
前記線維芽細胞再生細胞が、体液又は哺乳動物の組織に由来する、請求項130又は131に記載の方法。
【請求項133】
前記体液が、滑液又は血液である、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
前記哺乳動物が、ヒトである、請求項130~132のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
前記線維芽細胞が、CD13、CD44、CD90又はそれらの組み合わせを発現しない、請求項130~134のいずれかに記載の方法。
【請求項136】
前記線維芽細胞特異的プロモーターが、Oct-4プロモーター、Nanogプロモーター、Sox-2プロモーター、Rex-1プロモーター、GDF-3プロモーター、Stellaプロモーター、FoxD3プロモーター、Polycomb Repressor Complex 2プロモーター、又はCTCFプロモーターである、請求項130~135のいずれか一項記載の方法。
【請求項137】
前記線維芽細胞特異的プロモーターが、loxP部位に隣接している、請求項130~136のいずれかに記載の方法。
【請求項138】
前記ベクターが、レトロウイルスベクターである、請求項130~137のいずれかに記載の方法。
【請求項139】
前記選択可能なマーカー遺伝子が、蛍光タンパク質をコードする、請求項130~138のいずれかに記載の方法。
【請求項140】
前記蛍光タンパク質が、緑色蛍光タンパク質(GFP)である、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
前記再生線維芽細胞をOCT-4転写因子でトランスフェクトし、それによって前記線維芽細胞の再生活性を増強する工程をさらに含む、請求項130~140のいずれかに記載の方法。
【請求項142】
前記再生線維芽細胞を、多能性を有する細胞と融合させ、それによって再生活性が増強された線維芽細胞を生成する工程をさらに含む、請求項130~140のいずれかに記載の方法。
【請求項143】
CD105及び/又はCD117を発現する線維芽細胞を選択する工程;及び
CD105及び/又はCD117を発現する前記線維芽細胞を透過性NANOG遺伝子でトランスフェクトする工程
をさらに含む、請求項130~142のいずれか一項に記載の方法。
【請求項144】
前記ベクターが、2つの選択可能なマーカー遺伝子である、請求項130~144のいずれかに記載の方法。
【請求項145】
前記2つの選択可能なマーカー遺伝子が、蛍光タンパク質及び薬物選択に感受性を有するタンパク質である、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
前記選択可能なマーカー遺伝子の1つが、細胞表面タンパク質をコードする、請求項144に記載の方法。
【請求項147】
前記線維芽細胞再生細胞が、ローダミン123流出活性をさらに有する、請求項130~146のいずれか一項に記載の方法。
【請求項148】
前記線維芽細胞再生細胞が、対照細胞と比較してGDF-11の発現が増強されている、請求項130~147のいずれか一項に記載の方法。
【請求項149】
前記線維芽細胞再生細胞が、再生特性を有する組織に由来する、請求項130~148のいずれか一項に記載の方法。
【請求項150】
前記線維芽細胞再生細胞が、胎盤組織、臍帯組織、子宮内膜細胞、ホウォートンゼリー、骨髄又は脂肪組織に由来する、請求項130~150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項151】
再生線維芽細胞を生成する方法であって、
少なくとも1つの選択可能なマーカー遺伝子に連結された再生細胞特異的プロモーターを含むベクターを線維芽細胞の集団に導入する工程であって、前記再生細胞が、MHCクラスI、MHCクラスII、CD44、CD45、CD13、CD34、CD49c、CD73、CD105及びCD90細胞表面タンパク質を発現しない、工程;
前記線維芽細胞集団において、前記再生細胞特異的プロモーターから前記選択可能なマーカー遺伝子を発現させる工程;並びに、
前記再生線維芽細胞において前記マーカー遺伝子の発現を検出する工程
を含む、方法。
【請求項152】
前記選択マーカー遺伝子が、蛍光タンパク質、薬物選択に感受性を有するタンパク質又は細胞表面タンパク質をコードする、請求項151に記載の方法。
【請求項153】
OCT-4転写因子をコードする核酸で前記再生線維芽細胞をトランスフェクトし、それによって前記線維芽細胞の再生活性を増強する工程をさらに含む、請求項151又は152に記載の方法。
【請求項154】
前記再生線維芽細胞を、多能性を有する細胞と融合させ、それによって再生活性が増強された線維芽細胞を生成する工程をさらに含む、請求項151~153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
CD105及び/又はCD117を発現する線維芽細胞を選択する工程;並びに
前記線維芽細胞を透過性NANOG遺伝子でトランスフェクトする工程
をさらに含む、請求項151に記載の方法。
【請求項156】
請求項151~155のいずれか一項に記載の方法によって単離された、線維芽細胞再生細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年1月11日に出願された米国仮特許出願第62/791,207号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は一般に、細胞生物学及び医学に関する。特に、再生医療に関する。より詳細には、本開示が固有の再生活性を有する線維芽細胞、線維芽細胞集団及び亜集団を含む方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
幹細胞治療の形で適用される再生医療は、多くのこれまで不治の病を治療する可能性をもたらす。幹細胞には多くの型が存在し、さらなる幹細胞を同定する必要がある。幹細胞は、一般的に胚型と成体型に分けられる。胚性幹細胞は増殖する能力に長けているが、その分化を制御するための具体的な誘導はわかっていない。胚性幹細胞は奇形腫を引き起こすおそれがあり、その臨床開発の大きな障害となっている。骨髄、臍帯血、脂肪由来及び羊水由来などの成体幹細胞は、様々な疾患及び変性障害において再生可能性が実証されている。しかし、これらの細胞型は、入手のしやすさ、抽出の侵襲性、及び場合によっては限られた増殖能力において限界がある。これらの欠点を克服し、発癌性の問題も培養中の核型異常の問題も生じない改良された細胞が必要とされている。また、様々な医学的状態に対する改良された細胞療法も必要とされている。本開示は、幹細胞より優れた活性を有する新規な再生細胞である、線維芽細胞再生細胞を提供することによって、幹細胞の限界を克服するものである。当該線維芽細胞再生細胞は、治療目的のために利用することができる。
【発明の概要】
【0004】
本開示の実施形態は、細胞療法及び様々な疾患、障害又は状態の治療に有用な再生活性を有する線維芽細胞を含有する組成物、方法、及びシステムを包含する。いくつかの実施形態では、線維芽細胞が少なくとも1つ以上のマーカーについての濃縮に基づいて、増強された増殖能を有する。特定の実施形態において、線維芽細胞は、CD105及び/又はCD117マーカーを発現する。いくつかの実施形態において、CD105及び/又はCD117マーカーを有する線維芽細胞再生細胞は、ローダミン123流出の特性についてさらに濃縮される。いくつかの実施形態において、線維芽細胞再生細胞は、MHCクラスI、MHCクラスII、CD45、CD13、CD49c、CD66b、CD73、CD105又はCD90のうちの少なくとも1つ以上の細胞表面タンパク質を発現しない。
【0005】
実施形態として、線維芽細胞再生細胞、集団、線維芽細胞再生細胞の子孫又はサブセット、線維芽細胞再生細胞の条件培地、線維芽細胞再生細胞を含む組成物、線維芽細胞再生細胞を含む医薬製剤、線維芽細胞再生細胞を含むキット、線維芽細胞再生細胞の集団を含むセルバンクなどを含む、組成物を含む。
【0006】
いくつかの態様において、単離された線維芽細胞再生細胞は、CD105マーカー及び/又はCD117マーカーを発現している、又は発現しているために選ばれる。いくつかの態様において、細胞はまた、Oct-4、CD-34、KLF-4、Nanog、Sox-2、Rex-1、GDF-3、IL-10、Stella及び/又はそれらの任意の組み合わせを発現する。いくつかの態様において、線維芽細胞再生細胞はまた、ローダミン123流出活性を含む。いくつかの態様において、細胞は、対照細胞と比較して、GDF-11の発現が増強されていることを含む。
【0007】
本開示のいくつかの態様において、線維芽細胞再生細胞は、限定されるわけではないが、胎盤組織、臍帯組織、子宮内膜細胞、ホウォートンゼリー、骨髄、脂肪組織、又はそれらの混合物などの再生特性を有する組織に由来する。いくつかの態様では、再生線維芽細胞は、増殖して、外胚葉、中胚葉、又は内胚葉のうち少なくとも2つに分化することが可能である。線維芽細胞再生細胞は、治療を受けている対象に対して、自己由来のものであっても又は同種異系のものであってもよい。いくつかの態様では、細胞はプラスチック接着性である。さらなる対象では、細胞は、凍結保存され得る。
【0008】
本開示のさらなる態様は、線維芽細胞再生細胞及び外来性ミトコンドリアを含む方法又は組成物に関する。いくつかの態様では、外来性ミトコンドリアは、他の細胞成分から単離され、そして実質的に精製される。いくつかの態様では、ミトコンドリアは、脂質融合、ポリエチレングリコール媒介融合、又はエレクトロポレーションによって線維芽細胞再生細胞に投与される。いくつかの態様では、ミトコンドリアは、線維芽細胞へのミトコンドリアの取り込みを促進するために、カプセル化又は1つ以上の薬剤で処理される。ミトコンドリアは、治療を受ける対象に対して、自己由来、同種同系、同種異系、又は異種由来であり得る。いくつかの態様において、ミトコンドリアは、幹細胞に由来するか、又は線維芽細胞再生細胞に比べて低分化の細胞に由来する。いくつかの方法では、ミトコンドリアは対象に別々に投与される。
【0009】
本開示はまた、増殖して外胚葉、中胚葉又は内胚葉に分化することができる、単離された線維芽細胞再生細胞又はその集団に関し、ここで、単離された線維芽細胞再生細胞は、Oct-4、Nanog、IL-10、Sox-2、KLF4、c-Myc、Rex-1、GDF-3、LIF受容体、CD105、CD117、CD344又はStellaのうちの少なくとも1つのマーカーを発現し、MHCクラスI、MHCクラスII、CD45、CD13、CD49c、CD66b、CD73、CD105又はCD90のうちの少なくとも1つの細胞表面タンパク質を発現しない。
【0010】
特定の実施形態では、本開示の細胞、組成物又は製剤は、線維芽細胞再生細胞、その集団、その子孫及び/又はその条件培地ではない1つ以上の他の化合物と共に投与される。当該1つ以上の他の化合物は、本明細書に包含される細胞、組成物又は製剤中にあってもなくてもよい。具体的な場合には、当該化合物は、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸、コリン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB12、ビオチン、ニコチンアミド、ベータカロテン、コエンザイムQ、セレン、スーパーオキシドジスムターゼ、過酸化グルタチオン、ウリジン、コハク酸クレアチン、ピルビン酸、ジヒドロキシアセトン)、アセチル-L-カルニチン、α-リポ酸、カルジオリピン、ω脂肪酸、炭酸リチウム、クエン酸リチウム、カルシウム、又はそれらの任意の組合せであり得る。いくつかの態様において、化合物は、1つ以上の抗炎症剤を含む。いくつかの態様では、当該抗炎症薬は、アルクロフェナク;アルクロメタゾン、ジプロピオン酸;アルゲストンアセトニド;α-アミラーゼ;α-リポ酸;α-トコフェロール;アムシナファル;アムシナフィド;アムフェナクナトリウム;塩酸アミプリロース;アナキンラ;アニロラック;アニトラザフェン;アパゾン;アスコルビン酸;バルサラジド二ナトリウム;ベンダザック;ベノキサプロフェン;塩酸ベンジダミン;ブロメライン;ブロペラモール;ブデソニド;カルプロフェン;クロロゲン酸;シクロプロフェン;シンタゾン;クリプロフェン;クロベタゾールプロピオン酸エステル;クロベタゾン酪酸エステル;クロピラック;プロピオン酸クロチカゾン;酢酸コルメタゾン;コルトドキソン;デフラザコート;デソニド;デソキシメタゾン;ジプロピオン酸デキサメタゾン;ジクロフェナクカリウム;ジクロフェナクナトリウム;ジフロラゾンジアセテート、ジフルミドンナトリウム、ジフルニサル;ジフルプレドナート;ジフタロン;ジメチルスルホキシド;ドロシノニド;エラグ酸;エンドリソン;エンリモマブ;エノリカムナトリウム;エピリゾール;エトドラク;エトフェナメート;フェルビナク;フェナモール;フェンブフェン;フェンクロフェナク;フェンクロラック;フェンドサール;フェンピパロン;フェンチアザック;フラザロン;フルアザコート;フルフェナム酸;フルミゾール;フルニソリドアセテート;フルニキシン;フルニキシンメグルミン、フルオコルチンブチル;酢酸フルオロメトロン;フルクアゾン;フルビプロフェン;フルレトフェン;フルチカゾンプロピオン酸エステル;フラプロフェン;フロブフェン;グルタチオン;ハルシノニド;プロピオン酸ハロベタゾール;ハロプレドン酢酸エステル;ヘスペレディン(hesperedin);イブフェナク;イブプロフェン;イブプロフェンアルミニウム;イブプロフェンピコノール;イロニダップ;インドメタシン;インドメタシンナトリウム;インドプロフェン;インドキソール;イントラゾール;酢酸イソフルプレドン;イソキセパック;イソキシカム;ケトプロフェン;ロフェミゾール塩酸塩;ロモキシカム;エタボン酸ロテプレドノール;リコペン;メクロフェナム酸ナトリウム;メクロフェナム酸;メクロリゾンジブチレート;メフェナム酸;メサラミン;メセクラゾン;メチルプレドニゾロンスレプタネート;モルニフルメート;ナブメトン;ナプロキセン;ナプロキセンナトリウム;ナプロキソール;ニマゾン;オレウロペイン;オルサラジンナトリウム;オルゴテイン;オルパノキシン;オキサプロジン;オキシフェンブタゾン;塩酸パラニリン;ペントサンポリサルフェートナトリウム;フェンブタゾンナトリウムグリセレート;ピルフェニドン;ピロキシカム;ピロキシカムシンナメート;ピロキシカムオラミン;ピルプロフェン;ピクノジェノール;ポリフェノール;プレドナザート;プリフェロン;プロドール酸;プロクアゾン;プロキサゾール;クエン酸プロキサゾール;ケルセチン;レスベラトロール;リメキソロン;ロマザリト;ロズマリン酸;ルチン;サルコレックス;サルナセジン;サルサレート;塩化サングイナリウム;セクラゾン;セルメタシン;スドキシカム;スリンダック;スプロフェン;タルメタシン;タルニフルメート;タロサレート;テブフェロン;テニダップ;テニダップナトリウム;テノキシカム;テシカム;テシミド;テトラヒドロクルクミン;テトリダミン;チオピナック;チキソコルトールピバレート;トルメチン;トルメチンナトリウム;トリクロニド;トリフルミデート;ジドメタシン;ゾメピラックナトリウムのうちの1つ以上の抗炎症剤である。いくつかの態様では、化合物が成長因子、サイトカイン、抗体、抗体断片、及び/又は例えば5000ダルトン未満の質量の有機分子を含むが、これらに限定されない生物活性化合物である。上記又は本明細書中の他の場所で言及される化合物は、本開示の組成物と同時に投与されてもされなくてもよい。あるいは、化合物は、組成物が対象に投与される前及び/又は後に投与されてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、線維芽細胞を含む組成物は、例えば、胚性幹細胞、組織特異的幹細胞、間葉系幹細胞、又は誘導多能性幹細胞を含む1つ以上の型の幹細胞をさらに含む。細胞は、少なくとも1×102、1×106、1×109、1×1010、1×1012、1×1014個の幹細胞量、又はその間の任意の量で提供することができる。幹細胞は、間葉系細胞、胚性幹細胞又は分化細胞であり得る。例えば、幹細胞は、例として、筋細胞、脂肪細胞、外胚葉細胞、筋肉細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、内皮細胞、線維芽細胞、膵細胞、肝細胞、胆管細胞、骨髄細胞、神経細胞、又は泌尿生殖器細胞であり得る。
【0012】
また、実施形態は、細胞治療を提供する方法、細胞療法が有益な対象を治療する方法、疾患、障害又は状態を治療する方法、癌を治療する方法、変性疾患を治療する方法、線維芽細胞再生細胞を用いる方法、線維芽細胞の再生活性を高める方法、線維芽細胞再生細胞の集団を生成する方法、線維芽細胞再生細胞を選択する方法、線維芽細胞再生細胞を同定する方法、再生線維芽細胞の集団を単離する方法、培養する方法、線維芽細胞再生細胞を濃縮する方法、線維芽細胞再生細胞を増殖させる方法、又はそれらの組み合わせを含む。本開示で論じられる工程及び実施形態は、これらの方法のいずれかの一部として企図される。さらに、これらの方法のいずれかにおける使用のための組成物もまた企図される。
【0013】
特定の実施形態では、単離された線維芽細胞再生細胞、その集団、その子孫、及び/又はその条件培地を含む組成物を対象に投与することによって、対象における少なくとも1つの状態を治療する方法を含み、ここで、線維芽細胞再生細胞は、対照線維芽細胞と比較して再生活性が増加している。
【0014】
方法は、以下の工程のうちの1つ以上からなるか、又は本質的に構成されてもよい:
有効量の線維芽細胞再生細胞を対象に投与する工程、及び
本開示の線維芽細胞の再生活性を増強又は増加又は改善する1つ以上の追加の化合物を対象に投与する工程。
【0015】
いくつかの実施形態では、対象は、状態、疾患又は障害を患っているか、又は発症するリスクがあるか、又は状態、疾患又は障害を有している疑いがある。いくつかの実施形態では、対象は、状態、疾患又は障害に対する1つ以上の従来の治療を受けていてもよい。さらなる実施形態において、対象は、特定の他の治療に対して抵抗性であり得る。状態、疾患又は障害は、免疫障害、筋障害、造血障害、肝障害、血管新生障害、膵臓障害、心疾患、肺疾患、神経疾患、神経障害、神経変性疾患、筋疾患、免疫疾患、炎症介在性疾患、炎症介在性障害、炎症、虚血、脳卒中、虚血性心疾患、肝不全、腎不全、末梢動脈疾患、肺線維症、肝線維症、膵線維症、糖尿病性肢、線維症、瘢痕組織形成、病的アポトーシス、糖尿病、肝硬変、肝炎、骨粗鬆症、骨折、神経学的損傷、関節のプロテーゼの必要性、真皮幹細胞の必要性、膵島細胞の増殖の必要性、インスリン産生の増加の必要性、骨細胞の必要性、骨細胞形成の増加の必要性、骨細胞の機能を高める必要性、腫瘍性疾患の必要性、又は細胞治療の必要性であり得る。いくつかの態様では、心疾患又は肺疾患は、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞(心臓発作)、心臓感染症、心不全、虚血性心不全、高血圧(高血圧症)、又は肺高血圧症、特発性肺線維症、脳卒中、先天性心疾患(CHD)、うっ血性心不全、狭心症、心筋炎、冠動脈疾患、心筋症、拡張型心筋症、肥大型心筋症、心内膜炎、拡張機能障害、脳血管疾患、弁疾患、僧帽弁逸脱症、静脈血栓塞栓症又は不整脈である。いくつかの態様において、神経疾患又は筋疾患は、多発性硬化症(MS)、脊髄損傷、筋ジストロフィー(ベッカー型又はデュシェンヌ型)、筋萎縮性側索硬化症(ALS;ルー・ゲーリッグ病又は古典的運動ニューロン病)、自閉症、進行性球麻痺(進行性球萎縮)、仮性球麻痺、原発性側索硬化症(PLS)、進行性筋萎縮、脊髄性筋萎縮症(SMA I型-ウェルドニッヒ-ホフマン病、SMA II型、又はSMA III型-クーゲルベルグ-ウェランダー病を含むSMA)、ファチオ・ロンド病、ケネディ病(進行性球脊髄性筋萎縮症)、関節拘縮を伴う先天性SMA、及びポストポリオ症候群(PPS)である。いくつかの態様において、免疫障害又は炎症介在性疾患は、甲状腺炎、膵島炎、多発性硬化症、虹彩毛様体炎、ぶどう膜炎、睾丸炎、アジソン病、重症筋無力症、関節リウマチ、エリテマトーデス、免疫過剰反応、インスリン依存性糖尿病、貧血、再生不良性貧血、溶血性貧血、肝炎、自己免疫性肝炎、強膜炎、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫疾患、胃腸管の疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、若年性関節炎、強皮症及び全身性硬化症、シェーグレン症候群、未分化結合組織症候群、抗リン脂質症候群、血管炎、結節性多発性動脈炎、アレルギー性肉芽腫症、血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、川崎病、過敏性血管炎、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、ベーチェット症候群、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、閉塞性血栓性血管炎、リウマチ性多発筋痛症、本態性クリオグロブリン血症、尋常性乾癬及び乾癬性関節炎、好酸球増加を伴うびまん性筋膜炎、好酸球増加を伴わないびまん性筋膜炎、多発性筋炎及びその他の特発性炎症性ミオパシー、再発性脂肪織炎、再発性多発性軟骨炎、リンパ腫性肉芽腫症、結節性紅斑、強直性脊椎炎、ライター症候群、炎症性皮膚炎、関節炎を伴う望ましくない免疫反応及び炎症反応、関節リウマチ、過敏症及びアレルギー反応を伴う炎症、全身性エリテマトーデス、膠原病、アテローム性動脈硬化症を伴う炎症、動脈硬化症、アテローム性心疾患、再潅流傷害、血管炎症性障害、呼吸窮迫症候群、心肺疾患、消化性潰瘍に伴う炎症、肝線維症、肝硬変、肝疾患、甲状腺炎その他の腺疾患、糸球体腎炎、腎疾患、泌尿器疾患、耳炎、耳鼻咽喉科疾患、皮膚炎、皮膚疾患、歯周病、歯科疾患、精巣炎又は精巣上体炎、不妊症、精巣外傷、免疫関連精巣疾患、胎盤機能障害、胎盤不全、習慣性流産、子癇、子癇前症、免疫関連婦人科疾患、炎症関連婦人科疾患、後部ぶどう膜炎、中間部ぶどう膜炎、前部ぶどう膜炎、結膜炎、脈絡網膜炎、ぶどう膜炎、視神経炎、眼内炎(例えば網膜炎又は嚢胞性黄斑浮腫など)、交感性眼炎、強膜炎、網膜色素変性症、変性眼底病の免疫及び炎症性成分、眼外傷の炎症性成分、感染による眼の炎症、増殖性硝子体網膜症、急性虚血性視神経症、過剰な瘢痕化、眼用インプラントに対する免疫反応、眼用インプラントに対する炎症反応、免疫関連眼疾患、炎症関連眼疾患、自己免疫疾患又は中枢神経系(CNS)その他の器官の状態又は障害を伴う炎症、パーキンソン病、パーキンソン病の治療に伴う合併症及び/又は副作用、AIDS関連認知症複合HIV関連脳症、デヴィック病、シデナム舞踏病、アルツハイマー病及びその他の変性疾患、CNSの状態又は障害、脳卒中の炎症性成分、ポストポリオ症候群、精神疾患の免疫・炎症性成分、脊髄炎、脳炎、亜急性硬化性汎脳炎、脳脊髄炎、急性ニューロパチー、亜急性ニューロパチー、慢性ニューロパチー、ギラン・バレー症候群、シデナム舞踏病、偽脳腫瘍、ダウン症候群、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、CNS圧迫の炎症性成分、CNS圧迫の炎症性成分、CNS圧迫の炎症性成分、CNS外傷CNSの感染、筋萎縮症の炎症性成分、筋ジストロフィーの炎症性成分、中枢及び末梢神経系の状態又は障害、外傷後炎症、敗血症性ショック、感染性疾患、手術の炎症性合併症、臓器移植の炎症性合併症、手術の副作用、臓器移植の副作用、遺伝子療法の炎症性合併症、遺伝子療法の免疫性合併症、遺伝子療法の炎症関連副作用、遺伝子療法の免疫関連副作用、AIDSに伴う炎症、体液性免疫応答、細胞性免疫応答、単球増殖性疾患、白血球増殖性疾患、白血病、高単球又は高リンパ球、又は移植片拒絶反応である。いくつかの態様では、移植片拒絶は、天然細胞、人工細胞、天然組織、人工組織、骨髄、器官、ペースメーカー、角膜又は水晶体の移植後である。いくつかの態様では、器官は、肝臓、腎臓、心臓、又は肺である。いくつかの態様では、神経変性疾患は、パーキンソン病、アルツハイマー病、又はハンチントン病である。いくつかの態様では、心疾患又は肺疾患は、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、心臓感染症、心不全、虚血性心不全、高血圧、肺高血圧、特発性肺線維症、脳卒中、先天性心疾患(CHD)、うっ血性心不全、狭心症、心筋炎、冠動脈疾患、心筋症、拡張型心筋症、肥大型心筋症、心内膜炎、拡張機能障害、脳血管疾患、弁疾患、僧帽弁逸脱、静脈血栓塞栓症又は不整脈である。
【0016】
いくつかの実施形態では、対象は、造血の増加、肝活性の増加、血管新生の増加、炎症の制御、自己免疫の制御を必要とし、及び/又は虚血を有する。虚血は、心臓組織、肺組織、腎臓組織、脳組織、筋肉組織、四肢におけるものであり得、又は虚血は、脳卒中、虚血性心疾患、肝不全、腎不全、及び末梢動脈疾患と関連するものであってもよい。いくつかの態様では、対象は、脳卒中、肺線維症、糖尿病性肢、虚血性心疾患、肝不全、腎不全、末梢動脈疾患、糖尿病、肝不全、肝硬変、肝又は膵線維症、又は肝炎、骨粗鬆症、骨折、心疾患、肺疾患又は瘢痕組織形成を有するか、又は発症するリスクがある。いくつかの態様では、瘢痕組織の形成又は線維症は、膵臓組織、肝臓組織、心臓組織、肺組織、四肢、肝臓、膵臓又は腎臓におけるものである。
【0017】
いくつかの態様では、対象は、病的なアポトーシスの阻害、低下、減少、制御又は逆転を必要とする。いくつかの局面において、対象は、膵臓機能、肝機能、骨細胞機能、インスリン産生、肺機能、心機能の改善を必要としているか、又は関節のプロテーゼを必要としているか、膵島細胞数の増加、肝細胞数の増加、インスリン産生量の増加;及び/又は骨細胞数の増加を必要としている。いくつかの態様において、対象は、真皮幹細胞及び/又は内在性真皮幹細胞の活性化を必要としている。さらなる態様において、対象は動物である。
【0018】
本開示の方法のいくつかの実施形態において、線維芽細胞再生細胞を含む組成物は非経口的に、経皮的に、経粘膜的に、インプラントによって、又は移植によって対象に導入される。例えば、組成物は、静脈内、筋肉内、髄腔内、動脈内、皮内、皮下、胸膜内、頭蓋内、眼内又は粘膜に投与される。
【0019】
本開示のさらなる態様は、線維芽細胞再生細胞又はその集団を産生するインビトロ方法に関し、本方法は、CD117及び/又はCD105を発現する線維芽細胞を選択及び/又は増殖させることを含み、ここで、線維芽細胞は、少なくともいくつかの場合において、CD117及び/又はCD105を発現しない線維芽細胞を含む対照線維芽細胞と比較して、再生活性が増加している。特定の実施形態において、本方法は、CD34発現について線維芽細胞再生細胞を選択する工程をさらに含む。他の実施形態において、本方法は、ローダミン123流出活性について線維芽細胞再生細胞を選択する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、Oct-4、CD-34、KLF-4、Nanog、Sox-2、Rex-1、GDF-3、Stella、IL-10及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる少なくとも1つの追加マーカーについて、線維芽細胞再生細胞を選択する工程をさらに含む。さらにいくつかの追加の実施形態では、本方法は、対照線維芽細胞と比較してGDF-11の発現が増強された線維芽細胞再生細胞を選択する工程をさらに含む。本方法のいくつかの実施形態において、線維芽細胞再生細胞は、MHCクラスI、MHCクラスII、CD45、CD13、CD49c、CD66b、CD73、CD105又はCD90のうちの少なくとも1つ以上の細胞表面タンパク質を発現しない。いくつかの実施形態では、本方法は、治療有効量の線維芽細胞再生細胞を調製する工程、治療有効量の線維芽細胞再生細胞、その集団、その子孫、又はその条件培地を、それを必要とする対象に提供する工程をさらに包含する。いくつかの局面において、線維芽細胞再生細胞の集団は、少なくとも0.01%~5%の新鮮に抽出された線維芽細胞を含む。
【0020】
本開示のさらなる態様は、CD117及び/又はCD105を発現する線維芽細胞を選択することによって、線維芽細胞再生細胞又はその集団を得る工程(ここで、線維芽細胞は対照線維芽細胞と比較して、再生活性が増加している);並びに、線維芽細胞再生細胞をbFGF、FGF-8、SHH又はBDNFのうちの少なくとも2つの組み合わせを用いて培養する工程を含む、1つ以上の神経細胞を形成又は再生するインビトロ方法に関する。
【0021】
他の態様では、本開示は、CD117及び/又はCD105を発現する線維芽細胞を選択及び増殖させることによって、線維芽細胞再生細胞又はその集団を得る工程(ここで、線維芽細胞は対照線維芽細胞と比較して、再生活性が増加している);並びに、前記線維芽細胞再生細胞を肝細胞増殖因子(HGF)及び/又はFGF-4を用いて培養する工程を含む、肝細胞を形成するインビトロ方法に関する。
【0022】
他の態様では、本開示は、CD117及び/又はCD105を発現する線維芽細胞を選択することによって線維芽細胞再生細胞又はその集団を得る工程(ここで、線維芽細胞は対照線維芽細胞と比較して、再生活性が増加している);並びに、前記線維芽細胞再生細胞を、血管内皮増殖因子(VEGF)を用いて培養する工程を含む、内皮細胞を形成するインビトロ方法に関する。
【0023】
本開示はまた、CD117及び/又はCD105を発現する線維芽細胞を選択することによって線維芽細胞再生細胞又はその集団を得る工程(ここで、線維芽細胞は、対照線維芽細胞と比較して再生活性が増加している);及び、前記線維芽細胞再生細胞を、骨形成タンパク質-4(BMP4)、VEGF、bFGF、幹細胞因子(SCF)、Flt3L、ハイパーIL6、トロンボポエチン(TPO)又はエリスロポエチン(EPO)のうちの少なくとも2つの組み合わせを用いて培養する工程を含む、造血細胞を形成するインビトロ方法に関する。
【0024】
上記のインビトロ方法の特定の実施形態において、本方法は、CD34発現について線維芽細胞再生細胞を選択する工程をさらに含み、及び/又は、本方法は、ローダミン123流出活性について線維芽細胞再生細胞を選択する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、上記の方法は、Oct-4、CD-34、KLF-4、Nanog、Sox-2、Rex-1、GDF-3、Stella、IL-10、及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる少なくとも1つの追加のマーカーについて、線維芽細胞再生細胞を選択する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、対照線維芽細胞と比較して、GDF-11の発現が増強された線維芽細胞再生細胞を選択する工程をさらに含む。上記方法のさらなる実施形態において、線維芽細胞再生細胞は、MHCクラスI、MHCクラスII、CD45、CD13、CD49c、CD66b、CD73、CD105又はCD90のうちの少なくとも1つ以上の細胞表面タンパク質を発現しない。
【0025】
本開示のさらなる態様は、単離された線維芽細胞、その集団、その子孫若しくはその条件培地を含む組成物及び/又は医薬製剤に関し、ここで、線維芽細胞は、対照線維芽細胞と比較して再生活性が増加している。いくつかの実施形態では、線維芽細胞は、CD105マーカー及び/又はCD117マーカーを発現する。いくつかの態様では、線維芽細胞はローダミン123流出活性をさらに有し、及び/又は、さらにOct-4、CD-34、KLF-4、Nanog、Sox-2、Rex-1、GDF-3、Stella、IL-10及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる少なくとも1つの追加のマーカーを発現する。線維芽細胞は、対照細胞と比較して、GDF-11の発現が増強されている可能性がある。いくつかの実施形態では、集団は、少なくとも1×102、1×106、1×109、1×1010、1×1012、1×1014細胞、又はその間の任意の量を含む。いくつかの態様では、組成物が0.8%~1%NaClであるNaCl溶液などのNaCl溶液中にある。
【0026】
本開示のいくつかの態様では、線維芽細胞再生細胞の再生活性は、血管新生を刺激する能力である。いくつかの態様では、血管新生がヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)増殖の刺激をさらに含む。いくつかの態様では、血管新生が側副血管の産生を含む。側副血管は、虚血心臓組織、又は虚血肢組織、又は閉塞した血管を取り囲んでいるものであり得る。
【0027】
本開示はさらに、上記の線維芽細胞再生細胞、集団、組成物、子孫、条件培地又はそれらの製剤のいずれかを含む、キットを提供する。
【0028】
さらなる態様では、本開示は、増殖して外胚葉、中胚葉、又は内胚葉に分化し得る再生線維芽細胞の複数のパッケージされた集団を含む、マスターセルバンクを提供する。ここで、単離された線維芽細胞再生細胞は、Oct-4、Nanog、Sox-2、KLF4、c-Myc、Rex-1、GDF-3、LIF受容体、CD105、CD117、CD344、IL-10、及びStellaのうちの少なくとも1つを発現し、MHCクラスI、MHCクラスII、CD45、CD13、CD49c、CD66b、CD73、CD105、又はCD90のうちの少なくとも1つの細胞表面タンパク質を発現しない。いくつかの実施形態において、パッケージ化された集団は、少なくとも1×102以上の前の態様の細胞を含む。
【0029】
本開示はまた、再生線維芽細胞の集団を単離するための方法のための実施形態に関し、本方法は、再生活性を有する組織を提供すること;及び、大きさが約6~12マイクロメートルの細胞集団を濃縮する工程を含み、ここで、線維芽細胞再生細胞は、Oct-4、Nanog、Sox-2、KLF4、c-Myc、Rex-1、GDF-3、LIF受容体、CD105、CD117、CD344、IL-10、及びStellaのうちの少なくとも1つを発現し、そしてMHCクラスI、MHCクラスII、CD45、CD13、CD49c、CD66b、CD73、CD105又はCD90のうちの少なくとも1つの細胞表面タンパク質を発現しない。いくつかの実施形態において、本方法は、幹細胞表面マーカー又はMHCタンパク質を発現する集団から細胞を枯渇させ、それによって幹細胞の集団を単離する工程を任意で含む。いくつかの態様において、枯渇させる細胞は、MHCクラスI、CD66b、グリコフォリンa又はグリコフォリンbを発現する。いくつかの態様において、本方法は、任意で、レポーター遺伝子又は選択遺伝子に作動可能に連結された幹細胞特異的プロモーターを含むポリヌクレオチドベクターで細胞をトランスフェクトする工程を含む。いくつかの態様において、細胞特異的プロモーターは、Oct-4、Nanog、Sox-9、GDF3、Rex-1、又はSox-2プロモーターである。いくつかの実施形態において、本方法は、レポーター遺伝子又は選択遺伝子の発現を用いて、再生線維芽細胞の集団を濃縮する工程をさらに包含する。いくつかの実施形態において、本方法は、フローサイトメトリーによって再生線維芽細胞の集団を濃縮する工程をさらに包含する。いくつかの実施形態において、本方法は、細胞と、細胞に入る検出可能な化合物とを接触させる工程(ここで、この化合物は、増殖細胞及び非増殖細胞において選択的に検出可能である);及び、増殖細胞について細胞の集団を濃縮する工程をさらに含む。いくつかの態様では、検出可能な化合物は、カルボキシフルオレセインジアセテート、スクシンイミジルエステル、又はAldefluorである。いくつかの実施形態では、方法は、組織凝集体を形成する条件下で細胞を培養することをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、細胞の増殖を支持する条件下で線維芽細胞再生細胞の集団を培養する工程をさらに含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、本方法は、線維芽細胞再生細胞から、顆粒球、T細胞、B細胞、NK細胞、赤血球又はそれらの任意の組み合わせなどの細胞型を分離することをさらに含む。いくつかの態様において、細胞型の分離は、細胞枯渇によって行われる。
【0031】
本開示のさらなる実施形態は、線維芽細胞再生細胞を同定する方法に関し、本方法は、少なくとも1つの選択マーカー遺伝子に連結した線維芽細胞特異的プロモーターを含むベクターを細胞に導入する工程と、細胞内で細胞特異的プロモーターから選択マーカー遺伝子を発現させる工程と、細胞内でマーカー遺伝子の発現を検出し、それによって線維芽細胞再生細胞を同定する工程とを含み、ここで、線維芽細胞再生細胞は、MHCクラスI、MHCクラスII、CD44、CD45、CD13、CD34、CD49c、CD66b、CD73、CD105及びCD90のうちの少なくとも1つ以上の細胞表面タンパク質を発現せず、線維芽細胞再生細胞はOct-4、Nanog、Sox-2、Rex-3、GDF-3、Stella、FoxD3、IL-10、又はPolycombのうちの少なくとも1つ以上の胚性転写因子を発現し、線維芽細胞は中胚葉、外胚葉及び/又は内胚葉に分化することができる。いくつかの実施形態において、線維芽細胞は、CD13、CD44、CD90又はそれらの組み合わせを発現しない。
【0032】
いくつかの実施形態において、線維芽細胞特異的プロモーターは、Oct-4プロモーター、Nanogプロモーター、Sox-2プロモーター、Rex-1プロモーター、GDF-3プロモーター、Stellaプロモーター、FoxD3プロモーター、Polycomb Repressor Complex 2プロモーター、IL-10プロモーター、又はaCTCFプロモーターである。いくつかの実施形態において、線維芽細胞特異的プロモーターは、loxP部位に隣接する。
【0033】
いくつかの実施形態において、本方法は、線維芽細胞再生細胞を分離する工程をさらに含む。いくつかの態様において、線維芽細胞再生細胞は、体液及び/又は哺乳動物の組織に由来する。いくつかの実施形態では、体液は、滑液又は血液である。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。
【0034】
いくつかの実施形態では、ベクターはレトロウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、選択可能なマーカー遺伝子は、緑色蛍光タンパク質(GFP)などの蛍光タンパク質をコードするが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、ベクターは、2つの選択マーカー遺伝子を含み、2つの選択マーカー遺伝子は、蛍光タンパク質、薬物選択に感受性を有するタンパク質、細胞表面タンパク質、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0035】
本発明のさらなる態様では、少なくとも1つの選択可能なマーカー遺伝子に連結された再生細胞特異的プロモーターなどのプロモーターを含むベクターを線維芽細胞の集団に導入する工程(ここで、再生細胞は、MHCクラスI、MHCクラスII、CD44、CD45、CD13、CD34、CD49c、CD73、CD105及びCD90の細胞表面タンパク質を発現しない);線維芽細胞集団において、再生細胞特異的プロモーターから選択可能なマーカー遺伝子を発現させる工程;並びに、再生線維芽細胞においてマーカー遺伝子の発現を検出する工程を含む、再生線維芽細胞を生成する方法に関する。
【0036】
いくつかの実施形態では、本方法は、再生線維芽細胞をOCT-4転写因子でトランスフェクトし、それによって線維芽細胞の再生活性を増強する工程をさらに含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、本方法は、再生線維芽細胞を、多能性を有する細胞と融合させ、それによって再生活性が増強された線維芽細胞を生成する工程をさらに含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、本方法は、CD105及び/又はCD117を発現する線維芽細胞を選択する工程;並びにCD105及び/又はCD117を発現する線維芽細胞を透過性NANOG遺伝子でトランスフェクトする工程をさらに包含する。いくつかの態様において、線維芽細胞再生細胞は、ローダミン123流出活性をさらに有する。さらなる態様において、線維芽細胞再生細胞は、対照と比較してGDF-11の発現が増強されている。
【0039】
1つ以上の組成物の使用は、本明細書中に記載される方法に基づいて採用され得る。1つ以上の組成物の使用は、本明細書中に記載される方法による処置のための薬剤の調製において使用され得る。他の実施形態は、本願全体を通して議論される。本開示の1つの態様に関して説明される任意の実施形態は、本開示の他の態様にも適用され、その逆も同様である。
【0040】
上記は以下の詳細な説明がより良く理解され得るように、本開示の特徴及び技術的利点をかなり広く概説した。本明細書の特許請求の範囲の主題を形成する追加の特徴及び利点を以下に説明する。開示された概念及び特定の実施形態は本設計の同じ目的を実行するために他の構造を修正又は設計するための基礎として容易に利用され得ることが、当業者によって理解されるべきである。また、そのような同等の構成は、添付の特許請求の範囲に記載される精神及び範囲から逸脱しないことが当業者によって理解されるべきである。本明細書に開示される設計の特徴であると考えられる新規な特徴はさらなる目的及び利点とともに、動作の構成及び方法の両方に関して、添付の図面と関連して考慮される場合、以下の説明からより良く理解される。しかしながら、各図は、例示及び説明の目的のためだけに提供され、本開示の限定の定義として意図されないことが明確に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本開示をより完全に理解するために、添付の図面と併せて以下の説明を参照する。
【0042】
【
図1】
図1は、CD105精製線維芽細胞におけるOCT-4の増強された発現を示す。コントロールは左のバー、CD105陰性は中央のバー、CD105陽性は右のバーである。
【0043】
【
図2】
図2は、CD105精製線維芽細胞においてNANOGの発現が増強されていることを示す図である。コントロールは左のバー、CD105陰性は中央のバー、CD105陽性は右のバーである。
【0044】
【
図3】
図3は、CD105精製線維芽細胞におけるKLF-4の増強された発現を示す。コントロールは左のバー、CD105陰性は中央のバー、CD105陽性は右のバーである。
【0045】
【
図4】
図4は、CD105選択線維芽細胞による免疫調節性サイトカインIL-10の発現増強を示す。コントロールは左のバー、CD105陰性は中央のバー、CD105陽性は右のバーである。
【0046】
本開示の様々な実施形態が本明細書で示され、説明されたが、そのような実施形態が例としてのみ提供されることは当業者には明らかであろう。本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、及び置換が当業者に想起され得る。本明細書に記載された開示の実施形態に対する様々な代替形態を使用することができることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0047】
[I.定義]
長年の特許法の慣例に従い、特許請求の範囲を含む、本明細書中で「a」及び「an」という語が「comprising」と協働して使用される場合、「1つ又は複数の」ことを意味し、開示の一部の実施形態は、開示の1つ又は複数の要素、方法の工程、及び/又は方法で構成されるか、又は本質的に構成される。本明細書に記載の任意の方法又は組成物は、本明細書に記載の任意の他の方法又は組成物に関して実施することができ、異なる実施形態を組み合わせることができることが企図される。
【0048】
本明細書中で使用される場合、用語「細胞表面タンパク質」は、細胞の表面に発現するタンパク質を指す。
【0049】
本明細書中で使用される場合、用語「増殖」(expansion)は、最終分化を伴わない1つ又は複数の細胞の増殖を指す。
【0050】
本明細書中、用語「分化」とは、系統分化の進行過程をいう。「系統」とは細胞発生の経路を表し、前駆細胞や「始原」細胞が段階的な生理学的変化を経て、特徴的な機能をもつ特定の細胞型(神経細胞、筋肉細胞、内皮細胞など)とることを指す。分化が段階的に起こり、「終末分化」とも呼ばれる完全な成熟に至るまで徐々に細胞が特定されていく。「最終分化細胞」とは、特定の系譜に確定され、分化の最終段階に達した細胞(すなわち、完全に成熟した細胞)であり、「方向づけられた」又は「分化した」ことにより、特定の系譜の細胞の1つ以上のマーカー又は他の特徴を発現する細胞を意味する。
【0051】
本明細書中で使用される場合、用語「単離された」は、体外に非天然に存在する状態にある幹細胞又は娘幹細胞の集団を指す(例えば、身体から単離された、又は身体由来の生物学的サンプル)。生物学的サンプルは、滑液、血液(例えば、末梢血)又は組織を含み得る。
【0052】
本明細書中で使用される場合、「精製された」という用語は、「精製された細胞」という用語のように、対象の体から分離されたが、対象の体からも得られた他の細胞型の存在下で残っている細胞を意味する。「実質的に精製された」とは、所望の細胞が少なくとも20%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも90%、さらには95%濃縮されていることを意味する。
【0053】
「細胞集団」とは、少なくとも10個の細胞の集合を意味する。好ましくは、集団が少なくとも20個の細胞、より好ましくは少なくとも100個の細胞、最も好ましくは少なくとも1000個の細胞、さらには100万個の細胞からなる。本発明の幹細胞は自己再生能力を示すため、培養で増殖させて、数十億もの細胞集団を産生することができる。
【0054】
「胚葉」は初期胚における原腸形成の結果形成される3つの一次層であり、内胚葉、中胚葉、外胚葉からなる。胚の胚葉は、すべての組織と器官が派生する源となる。内胚葉は、例えば、咽頭、食道、胃、腸及び関連腺(例えば、唾液腺)、肝臓、気道及び胃腸管の上皮ライニング、膵臓及び肺の源となる。中胚葉は、例えば、平滑筋及び横紋筋、結合組織、血管、心血管系、血液細胞、骨髄、骨格、生殖器官、排出器官などの源となる。外胚葉は、例えば、表皮(皮膚の表皮層)、感覚器官、脳、脊髄及び神経系のすべての外郭成分を含む神経系全体の源である。
【0055】
本発明の幹細胞に関して「多能性」という用語は、分化の際に3つの原始胚葉(内胚葉、中胚葉、及び外胚葉)すべての細胞を生じる幹細胞の能力を指す。
【0056】
本明細書で使用される「同種異系」という用語は、宿主の細胞と遺伝的に異なる同じ種の細胞を指す。
【0057】
用語「自己由来」は、本明細書中で使用される場合、同一の対象に由来する細胞を指す。用語「生着」(engraft)は、本明細書中で使用される場合、組織の既存の細胞との接触を介して、インビボで目的の組織に幹細胞が取り込まれるプロセスをいう。
【0058】
「検出可能に発現しない」とは、タンパク質又は遺伝子の発現が標準的な方法では検出できないことを意味する。細胞表面マーカーの場合、発現は、例えば、フローサイトメトリーにより、陰性対照(すなわち、目的の抗原を欠くことが知られている細胞)又はアイソタイプ対照(抗体の細胞への非特異的結合を測定する)から得られるカットオフ値を用いて測定することができる。このように、あるマーカーを「検出可能に発現しない」細胞は、そのマーカーの陰性対照と同様に見える。遺伝子発現については、標準的なPCRプロトコールに従って、そのmRNAの存在を標準的なアガロースゲル上で視覚的に検出できない場合、遺伝子は「検出可能に発現しない」とされる。
【0059】
逆に、同じ方法を含めて、タンパク質又は遺伝子が検出され得る場合は、細胞がタンパク質又は遺伝子を「発現している」という。
【0060】
「培養増殖集団」という言葉は、インビトロでの細胞分裂によってその数が増加した細胞の集団を意味する。この用語は、幹細胞集団及び非幹細胞集団に同様に適用され得る。
【0061】
「継代」という用語は、細胞の一部を1つの培養容器から新しい培養容器に移すプロセスを指す。
【0062】
用語「凍結保存」は、低温での凍結保護剤中での長期保存のために細胞を保存することを指す。
【0063】
「マスターセルバンク」という用語は、凍結保存された細胞の集合体を指す。このような細胞バンクは、幹細胞、非幹細胞、及び/又は幹細胞と非幹細胞との混合物を含み得る。
【0064】
本明細書で使用される場合、「約」又は「およそ」という用語は、基準量、レベル、値、数、頻度、割合、寸法、大きさ、量、重量又は長さに対して30、25、20、25、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1%だけ変化する量、レベル、値、数、頻度、割合、寸法、大きさ、量、重量又は長さを指す。特定の実施形態では、数値の前に「約」又は「およそ」という用語があるが、これは、15%、10%、5%、又は1%の範囲をプラス又はマイナスする値を示している。生物学的系又はプロセスに関して、この用語は、値のオーダー内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味し得る。特に明記しない限り、「約」という語は、特定の数値に対する許容誤差範囲内を意味する。
【0065】
本明細書中で使用される場合、用語「活性化線維芽細胞」は、細胞における1つ以上の変化を誘導し得る1つ以上の刺激:代謝、免疫学的、成長因子分泌、表面マーカー発現、及び/又はマイクロベシクルの産生、で処理された線維芽細胞をいう。
【0066】
本明細書中で使用される場合、用語「活性化免疫細胞」は、細胞における1つ以上の変化を誘導し得る1つ以上の刺激:代謝、免疫学的、成長因子分泌、表面マーカー発現、及び/又はマイクロベシクルの産生、で処理された免疫細胞をいう。
【0067】
「投与される」又は「投与する」という用語は、本明細書中で使用される場合、組成物が患者に対して意図される効果を有するように、組成物を個体に提供する任意の方法をいう。例えば、投与の1つの方法は、カテーテル、アプリケーターガン、シリンジなどの医療デバイスを用いた間接的な機構によるものであるが、これらに限定されない。第2の例示的な投与方法は、直接的な機構、例えば、局所組織投与、経口摂取、経皮パッチ、局所、吸入、坐薬などによる。
【0068】
本明細書中で使用される場合、「同種異系」とは、同種の1つ以上の個体由来であるが、天然の設定において免疫学的に不適合であるか、又は免疫学的に不適合であり得る、別の身体由来の組織又は細胞をいう。
【0069】
本明細書中で使用される場合、用語「同種移植」は、ドナーからレシピエントへの器官、組織、及び/又は細胞の移植を指し、ここで、ドナー及びレシピエントは異なる個体であるが、同種である。このような手法によって移植された組織は、同種移植片(allograft)又は同種移植物(allotransplant)と呼ばれる。
【0070】
本明細書中で使用される、用語「同種刺激性」(allostimulatory)及び「アロ反応性」(alloreactive)は、同種の抗原、即ち「alloantigen」、又は異種HLAハプロタイプを発現する細胞に応答する免疫系の刺激及び反応を意味する。
【0071】
本明細書中で使用される場合、用語「血管新生」は、既存の血管からの新しい血管の成長を含む生理学的プロセスをいい、そして開始的な血管新生、つまり既存の血管から開始して新しい血管を形成すること、及び分割的な血管新生(腸重積:既存の血管を分割することによる新しい血管の形成)を含む。
【0072】
本明細書中で使用される場合、用語「自己免疫」は、生物の自らの健康な細胞及び組織に対する免疫応答のシステムを指す。
【0073】
本明細書中で使用される場合、「自己」とは、同一個人の身体に由来する、又はそれから移行される組織又は細胞を指す(すなわち、自己献血;自己骨髄移植)。
【0074】
本明細書中で使用される場合、用語「自家移植」は、個体における身体のある部分から別の部分への、同一の個体における器官、組織、及び/又は細胞の移植を指す(すなわち、ドナー及びレシピエントは同一の個体である)。このような「自己」手順によって移植された組織は、自己移植(autograft)片又は自己移植物(autotransplant)と呼ばれる。
【0075】
「生物学的に活性である」又は「生物活性化合物」という用語は、構造的、調節的又は生化学的機能を有する任意の分子を指す。例えば、生物活性は、例えば、タンパク質活性を欠く細胞における野生型の増殖の回復によって決定され得る。タンパク質活性を欠く細胞は、多くの方法(すなわち、例えば、点変異及びフレームシフト変異)によって作製され得る;相補性は、タンパク質活性を欠く細胞を、タンパク質、その誘導体、又はその一部を発現する発現ベクターでトランスフェクトすることによって達成される。他の場合において、遺伝子産物(例えば、タンパク質)の断片は、それが完全長遺伝子産物の活性を保持する場合、生物学的に活性であると考えられ得る(又は機能的に活性であると呼ばれ得る)が、それは完全長遺伝子産物の活性が低下しているが検出可能なレベルであり得る。
【0076】
「細胞培養」は、静止、老化、又は(活発に)分裂しているかどうかにかかわらず、生存細胞を含む人工的なインビトロ系である。細胞培養において、細胞は、適切な温度、典型的には37℃の温度で、典型的には酸素及びCO2を含有する雰囲気下で増殖され、維持される。培養条件は、各細胞型によって広範に変動し得るが、特定の細胞型についての条件の変動は、異なる表現型の発現を生じ得る。培養系において最も一般的に変化する因子は、増殖培地である。増殖培地は、栄養素、成長因子の濃度及び他の成分の存在によって変化し得る。培地の補完に用いられる成長因子は、子牛の血清などの動物の血液に由来することが多い。
【0077】
本明細書中で使用される場合、用語「側副」(collateralization)は、その末端器官又は血管床に十分に供給することができない別の血管として、同じ末端器官又は血管床にサービスを提供する血管又はいくつかの血管の成長を指す。
【0078】
本明細書全体にわたって、文脈上他に要求されない限り、「含む」、「含んでいる」とは、規定された工程又は要素群の包含を意味するが、他の工程又は要素又は要素群の排除を意味しないと理解されるのであろう。「~からなる」とは「~からなる」の語句に続くものを含み、かつそれに限定されることを意味する。従って、「~から成る」とは、列挙された要素が必要又は必須であることを示し、他の要素があってはならないことを示す。「本質的に~から成る」とは、フレーズの後に記載されている任意の要素を含むが、記載されている要素の開示で指定されている活性又は作用を妨げない、又は寄与しない他の要素に限定されることを意味する。 このように、「本質的に構成される」というフレーズは、リストアップされた要素は必須又は必須であるが、その他の要素は任意であり、リストアップされた要素の活性又は作用に影響を与えるか否かに応じて存在してもしなくてもよいことを示している。
【0079】
本明細書中で使用される場合、用語「線維芽細胞再生細胞の条件培地」は、細胞と接触した液体培地を指し、当該細胞が培地に入る因子を産生することで、培地に治療活性が付与されることを意味する。
【0080】
本明細書で使用される「薬物」、「薬剤」又は「化合物」という用語は、所望の効果を達成する、投与することができる任意の薬理学的に活性な物質を指す。薬物又は化合物は、合成又は天然に存在する、非ペプチド、タンパク質若しくはペプチド、オリゴヌクレオチド、又はヌクレオチド(DNA及び/又はRNA)、多糖類又は糖類であり得る。
【0081】
「成長因子」は、細胞増殖及び/又は細胞分化及び/又は細胞移動を刺激することができる、天然に存在する、内因性若しくは外来性タンパク質、又は組換えタンパク質であり得る。
【0082】
本明細書で使用される「対象」又は「個体」という用語は、医療施設に収容されてもされなくてもよく、医療施設の外来患者として治療されてもよいヒト又は動物を指す。個体は、インターネットを介して1つ以上の医療組成物を受けていてもよい。個体は、ヒト又は非ヒト動物の任意の年齢を含むことができ、したがって、成人及び未成年の両方(すなわち、子供)及び乳児を含む。したがって、「個体」という用語は、医療処置の必要性を意味するものではなく、したがって、個体は臨床的又は基礎科学研究を支援するために、自発的又は非自発的に実験に参加することができる。「対象」又は「個体」という用語は、方法又は材料の対象となるあらゆる生物又は動物を指し、哺乳動物、例えば、ヒト、実験動物(例えば、霊長類、ラット、マウス、ウサギ)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、七面鳥、及びニワトリ)、家庭用ペット(例えば、イヌ、ネコ、げっ歯類)、ウマ、及びトランスジェニック非ヒト動物を含む。
【0083】
本明細書中で使用される場合、用語「虚血」又は「虚血状態」は、器官又は身体の一部への不十分な血液供給をいう。このような状態は、心臓虚血、虚血性大腸炎、腸間膜虚血、虚血性脳卒中、脳虚血、腎虚血、及び四肢虚血を含み得る。
【0084】
「間葉系幹細胞」又は「MSC」とは、例えば、(1)プラスチックに接着し、(2)CD73、CD90、及びCD105抗原を発現し、一方でCD14、CD34、CD45、及びHLA-DRは陰性であり、かつ(3)骨形成性、軟骨形成系及び脂肪形成系への分化能を有する細胞を指す。具体的な実施形態では、間葉系幹細胞は、HLA-DR、CD117、CD45又はそれらの組み合わせの実質的な(例えばベースラインと比較して50%を超える)レベルを発現しない。本明細書で用いられる場合、「間葉系間質細胞」(「間葉系幹細胞」とも呼ばれる)又は「MSC」は、骨髄、脂肪組織、羊水、子宮内膜、栄養芽細胞由来組織、臍帯血、ホウォートンゼリー、胎盤、羊膜組織、多能性幹細胞由来及び歯を含むがこれらに限定されない任意の組織に由来し得る。本明細書中で用いられるように、「間葉系間質細胞」又は「MSC」は、最初に組織から分離されたときにCD34陽性であるが、表現型及び機能的に説明した細胞と類似する細胞が含まれる。本明細書中で使用される「MSC」には、NGF-R、PDGF-R、EGF-R、IGF-R、CD29、CD49a、CD56、CD63、CD73、CD105、CD106、CD140b、CD146、CD271、MSCA-1、SSEA4、STRO-1及びSTRO-3又はそれらの任意の組み合わせから成るリストから選択される細胞表面マーカーを用いて組織から分離され、増殖前又は増殖後のいずれかでISCT基準を満たす細胞を含む。本明細書中で使用される「間葉系間質細胞」又は「MSC」には、文献に記載されている細胞として、骨髄間質幹細胞(BMSSC)、骨髄単離多能性成体前駆細胞(MIAMI)、間葉系成体幹細胞(MASCS)、MultiStem(商標)、Prochymal(商標)、remestemcel-L、間葉系前駆細胞(MPC)、歯髄幹細胞(DPSC)、PLX細胞、PLX-PAD、Allostem(商標)、Astrostem(商標)、Ixmyelocel-T、MSC-NTF、NurOwn(商標)、Stemedyne(商標)-MSC、Stempeucel(商標)、StempeucelCLI、StempeucelOA、HiQCell、Hearticellgram-AMI、Revascor(商標)、Cardiorel(商標)、Cartistem(商標)、Pneumostem(商標)、Promostem(商標)、Homeo-GH、AC607、PDA001、SB623、CX601、AC607、子宮内膜再生細胞(ERC)、脂肪由来幹細胞及び再生細胞(ADRC)を含む。
【0085】
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「実施形態」、「特定の実施形態」、「関連する実施形態」、「特定の実施形態」、「追加の実施形態」、又は「さらなる実施形態」、又はそれらの組み合わせへの言及は、実施形態に関連して記載された特定の機能、構成、又は特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを手段する。したがって、本明細書全体の様々な箇所における前述の語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を参照しているわけではない。さらに、特別な特徴、構造又は特性は、1以上の実施形態において任意の適当な方法で組み合わせられ得る。
【0086】
本明細書中で使用される用語「薬学的に」又は「薬理学的に許容される」は動物又はヒトに投与された場合に、有害な、アレルギー性の、又は他の不都合な反応を生じない分子実体及び組成物をいう。
【0087】
本明細書中で使用される用語「薬学的に許容可能な担体」には、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、並びに植物油、コーティング、等張剤及び吸収遅延剤、リポソーム、商業的に入手可能な洗浄剤などを含むが、これらに限定されない、任意の及び全ての溶媒又は分散媒体を含む。補助的な生物活性成分もまた、このような担体に組み込まれ得る。
【0088】
治療された対象と比較して、治療されていない対象における任意の症状の発現を参照する場合、「低下」、「阻害」、「減少」、「抑制」、「減少」、「予防」及び文法的等価物(「より低い」、「より小さい」などを含む)という用語は、治療された対象における症状の量及び/又は大きさが、任意の医学的に訓練された人員によって臨床的に関連すると認識される任意の量だけ、治療された対象における症状の量及び/又は大きさよりも低いことを意味する。一実施形態では、治療対象における症状の量及び/又は大きさは、未治療対象における症状の量及び/又は大きさよりも少なくとも10%低く、少なくとも25%低く、少なくとも50%低く、少なくとも75%低く、及び/又は少なくとも90%低い。
【0089】
「治療剤」は、血管新生及び/又は傷の治癒を調節する際に「治療効果」を有することを意味し、治療剤の量は、血管新生の調節を必要とする対象(例えば、動物モデル又はヒト患者)に投与された場合に、血管新生活性の有意な調節(すなわち、増大又は低下)を引き起こすのに充分な量である場合、「血管新生調節量」であると言われる。
【0090】
本明細書中で使用される場合、用語「治療有効量」は、「有効量」、「治療上有効な用量」及び/又は「有効用量」と同義であり、そしてそれを必要とする個体において、施術者が求める生物学的、美容的又は臨床的応答を誘発する化合物の量をいう。一例として、有効量は、一群の細胞の免疫原性を低下させるのに十分な量である。非限定的な例として、有効量は、移植された組織を支持するのに十分な血液供給の形成を促進するのに十分な量である。別の非限定的な例として、有効量は、新しい血管及び関連する血管系(血管形成)の形成を促進するのに十分な量、及び/又は既存の血管及び関連する血管系の修復又はリモデリングを促進するのに十分な量である。開示された方法の特定の適用のために投与されるべき適切な有効量は、本明細書中に提供されるガイダンスを使用して、当業者によって決定され得る。例えば、有効量は、本明細書に記載されるようなインビトロ及びインビボアッセイから外挿され得る。当業者は、個体の状態が治療の過程を通してモニターされ得ること、及び投与される本明細書中に開示される化合物又は組成物の有効量がそれに従って調節され得ることを認識するであろう。
【0091】
本明細書中で使用される場合、用語「移植」(transplantation)は、生きた組織又は細胞を採取し、そしてそれを身体の別の部分又は別の身体に移植するプロセスを指す。
【0092】
「治療」、「治療する」、又は「治療している」は、疾患又は状態の影響を減少させる方法を意味する。また治療は、単なる症状ではなく、疾患又は状態そのものを軽減する方法を指すこともある。治療は、治療前のレベルからの任意の減少であり得、疾患、状態、又は疾患若しくは状態の症状の完全なアブレーションであり得るが、これに限定されない。したがって、開示された方法において、「治療」は、疾患の少なくとも1つの症状の重症度の減少を含む、確立された疾患又は疾患進行の重症度の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の減少を指すことができる。例えば、細胞の免疫原性を減少させるための開示された方法は、同じ対象又は対照となる対象における処置前レベルと比較した場合に、細胞の免疫原性の検出可能な減少が存在する場合に、治療であると考えられる。したがって、減少は、ネイティブ又は対照レベルと比較して、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%又はその間の任意の量の減少であり得る。「治療」は、必ずしも疾患又は状態の治癒を指すものではなく、疾患又は状態の見通しの改善を指すことが理解され、本明細書で企図される。特定の実施形態では、治療は、少なくとも1つの症状の重症度又は程度の減少を指し、代替的に又は追加的に、少なくとも1つの症状の発症の遅延を指すことができる。
【0093】
「選択する」又は「発現について選択する」という語は、細胞に特異的な1つ以上の分子を利用するなどして、他の細胞のヘテロな集団から特定の細胞を分離することを意味する。
【0094】
[II.細胞増殖]
本明細書に包含される任意の細胞は、種々のインビトロ系を使用することを含む、任意の適切な様式で増殖され得る。一実施形態では、インビトロ増殖の手段は1つ以上のバイオリアクターを含む。本開示において使用するバイオリアクターは、インビボで栄養濃度及び速度を模倣する制御された濃度及び速度で培地及び酸素を供給し得る培養プロセスを提供するように設計される。バイオリアクターは、長年商業的に入手可能であり、種々のタイプの培養技術を採用している。哺乳動物細胞培養に使用される様々なバイオリアクターのうち、ほとんどは単一細胞型の高密度培養物の産生を可能にするように設計されており、そのようなものが、本発明に使用される。本発明の使用のために、間葉系幹細胞の増殖に使用される培養技術及びバイオリアクターは、再生線維芽細胞への使用に適用することができ、いくつかの手段は参考文献1~8に記載されている。
【0095】
一実施形態において、これらの高密度システムの典型的な用途は、最終製品として、細胞によって生成される条件培地を製造することである。これは、例えば、モノクローナル抗体のハイブリドーマ産生及びウイルスベクター産生のためのパッケージング細胞株に当てはまる。しかしながら、これらの用途は、本開示のいくつかの実施形態のように、治療用の最終製品が採取された細胞そのものである用途とは異なる。バイオリアクターは、稼働すると、自動的に調節された培地の流れ、酸素供給、及び温度とpHの制御を提供し、一般的に、大量の細胞の産生を可能にする。したがって、バイオリアクターは労働の経済性及びプロセス中の汚染の可能性の最小化を提供し、最も洗練されたバイオリアクターは、最小限の手作業の労働要件及び開放処理工程を含む、セットアップ、成長、選択及び採取手順を可能にする[9]。このようなバイオリアクターは、最適には、本発明によって意図されるように、均質な細胞混合物又は凝集した細胞集団と共に使用するために設計される。本発明で使用するのに適したバイオリアクターには、米国特許第5,763,194号、第5,985,653号、米国特許第6,238,908号、米国特許第5,512,480号、米国特許第5,459,069号、米国特許第5,763,266号、米国特許第5,888,807号及び米国特許第5,688,687号(本明細書中に参照により援用される)に記載されたものを含むが、それらに限定されない。大容量では、いくつかの基本的なパラメータの制御を必要とする。培養物には、細胞生存率の維持、増殖及び分化、並びに最終的な細胞培養物の保存を可能にする培地を提供しなければならない。典型的には、種々の培地は、バイオリアクター内のポンプ機構によって細胞に送達され、定期的に培地の供給と交換が行われる[10]。最適な培養条件を可能にするために、代謝産物の定量を行うこともある[11]。交換プロセスでは、副産物が培養物から除去することができる。
【0096】
細胞又は組織を成長させるには、酸素源も必要である。細胞型によって酸素要求量は異なる。従って、細胞に酸素を供給するための柔軟で調節可能な手段は、望ましい構成要素である。
【0097】
特定の培養物によっては、培養チャンバー中の細胞集団及び培地供給の均一な分布は、重要なプロセス制御であり得る[12、13]。このような制御は、懸濁培養デザインの使用によって達成されることが多く、細胞間相互作用が重要でない場合に有効であり得る。懸濁培養システムの例としては、様々なタンクリアクターデザイン及びガス透過性プラスチックバッグが含まれる。三次元構造へのアセンブリーを必要としないか、又は間質層若しくはフィーダー層(ほとんどの血液細胞前駆体又は成熟血液細胞など)への近接性を必要としない細胞については、このような懸濁デザインが使用され得る。培養プロセスの完了時に細胞を効率的に回収することは、効果的な細胞培養システムの重要な特徴である。製品として細胞を生産するのためのアプローチの一つは、細胞産物の単純な溶出が目的のために設計された市販の閉鎖系細胞洗浄機で最終洗浄できるように扱いやすい濃縮された体積の細胞を生じるように、回収のための物理的障壁なしに、画定された空間において細胞を培養することである[14]。具体的な実施形態では、当該システムは、防腐剤を含む若しくは含まない、又は細保存用化合物を含む又は含まない、薬学的に許容される担体の添加を可能にし、適切な無菌包装への効率的な回収を提供する。少なくともいくつかの場合において、採取及び包装プロセスは、培養チャンバーの流体経路の無菌バリアを破壊することなく完了され得る[15、16]。いくつかの実施形態において、細胞の増殖は、マイクロキャリアビーズを使用して行われる[17~23]。本発明のいくつかの実施形態において、細胞は、「ゼノフリー」(xeno-free)培地と呼ばれる異種産物を欠く培地中で増殖される。いくつかの実施形態において、ゼノフリー培地は、血小板溶解物又は他の定義された条件を使用して生成される[24~26]。
【0098】
本開示のいくつかの実施形態では、増殖及び再生活性の増強を可能にするために、細胞は低酸素条件下で増殖される[27]。
【0099】
[III.ミトコンドリア]
本開示のいくつかの実施形態では、線維芽細胞再生細胞、組成物又は医薬製剤は、外来性ミトコンドリアの導入又は同時投与によって増強される。単離された実質的に純粋なミトコンドリアは種々の手段(例えば、脂質融合、ポリエチレングリコール媒介融合又はエレクトロポレーション)を介して、線維芽細胞再生細胞に投与され得る。本発明の方法の他の実施形態において、対象へのミトコンドリアの取り込みを促進するために、ミトコンドリアはカプセル化されるか、又は薬剤で処理され得る。本方法はさらに、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸、コリン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB12、ビオチン、ニコチンアミド、ベータカロテン、コエンザイムQ、セレン、スーパーオキシドジスムターゼ、過酸化グルタチオン、ウリジン、コハク酸クレアチン、ピルビン酸、ジヒドロキシアセトン)、アセチル-L-カルニチン、α-リポ酸、カルジオリピン、オメガ脂肪酸、炭酸リチウム、クエン酸リチウム、カルシウム及びそれらの混合物から選ばれる1以上の薬剤を、本明細書に記載されているカクテルのように対象に投与することを含む。上記のいずれの態様においても、ミトコンドリアは、同種同系ミトコンドリア、同種異系ミトコンドリア、又は異種ミトコンドリアであり得る。本発明の方法、キット、及び組成物において使用するためのミトコンドリアは、本明細書中に記載される任意の供給源から得ることができる。ミトコンドリア移入を達成する手段は当該分野で公知であり、そして参考文献28~38に記載される。本開示のいくつかの実施形態において、線維芽細胞は、幹細胞又は参考文献39~50に示されるような前記線維芽細胞と比較してより未分化の細胞に由来するミトコンドリアのレシピエントである。全ての前記参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0100】
特定の実施形態において、方法は(i)細胞の他の構成要素からミトコンドリアを分離して、単離された実質的に純粋なミトコンドリアを産生する工程;及び(ii)対象に単離された実質的に純粋なミトコンドリアを、例えば、線維芽細胞とともに、投与する工程を包含する。特定の実施形態において、細胞は、前駆細胞又は本明細書中に記載される任意の他の細胞型である。
【0101】
[IV.細胞移植療法]
任意の医学的状態、疾患、又は障害は、線維芽細胞再生細胞が治療的又は予防的である本開示の方法によって処置され得る。
【0102】
一例として、自己免疫疾患は、内在性組織に対する免疫系の過剰反応を特徴とする。免疫系は内在性組織を闘うべき異物として誤って認識する。その結果、重度の炎症反応が起こり、その結果、影響を受けた器官に損傷が生じる。内在性の構造物と外来性の構造物を区別する重要な役割を果たすのは、Tリンパ球又はT細胞である。Tリンパ球又はT細胞は、内在性の細胞表面分子、いわゆるMHC分子にのみドッキングするように胸腺内で「訓練」されているため、内在性の構造物に寛容である。
【0103】
自己免疫疾患では、一群のT細胞が異常にふるまう。外来性分子及び生物からの防御が依然機能することに加えて、今度は内在性構造物も攻撃する。器官又は組織は、外来性であると認識される。生命維持に必要な構造が侵されると、自己免疫疾患は致死的な経過をたどる。免疫系はこれらの構造に対する防御を指令し、細胞性や体液性防御反応が動き出し、自己抗体が形成され、その結果、影響を受けた器官はやがて機能しなくなる。最も一般的には、免疫系が弱くなり、あらゆる種類の病気にかかりやすくなる。ある状況下では、外来性ものの認識も妨げられ、その結果、変性した癌細胞(例えば)の拡散を効果的に阻止することができなくなり、患者は感染症にかかりやすくなる。病気が進行すると、免疫系の細胞は、内在性の構造物を破壊する一方で、身体の修復機構は損傷した器官部分をできるだけ再生しようと試みる。一般に、この防御システムの誤った攻撃は、治療しない場合は、生涯にわたって、又は標的構造が完全に破壊されるまで続く。
【0104】
自己免疫疾患は、侵された器官に応じて治療される。この場合、原因療法の基本原理は、コルチゾンのような免疫抑制剤の投与によって免疫系の活性を抑制することである。疾患事象に関与するメカニズムに特異的に影響を及ぼす新薬の開発が試みられたおかげで、これらの物質は、複数の全身性副作用及び相互作用によって特徴づけられた。
【0105】
本開示の1つの実施形態において、線維芽細胞再生細胞は、自己免疫又は炎症性障害の処置のために個体に投与される。本開示のいくつかの実施形態において、線維芽細胞はエクスビボで培養され、それらの免疫原性を低下させる条件に供され、次いで、線維芽細胞は抗炎症特性及び/又は免疫調節特性を刺激するために利用される。さらなる実施形態は、自己免疫及び/又は炎症状態を処置する目的で、それを必要とする個体に細胞を投与する方法に向けられる。
【0106】
本開示の実施形態は、線維芽細胞の免疫原性を低下させるために、培養条件の改変を通じて、線維芽細胞を同種治療細胞として利用する手段を提供する。本開示の一実施形態において、線維芽細胞は、より低い免疫原性を有する供給源(例えば、胎盤線維芽細胞など)から抽出される。別の実施形態では、線維芽細胞は、例えば、エクスビボでの培養の際に、インターフェロンγ(IFN-γ)に供されるが、これはメカニズムに限定されず、免疫原性を低下させることを包含する。免疫原性の低下は、特定の実施形態において、アロ反応性T細胞応答を誘発する線維芽細胞の能力を阻害することによって例示され得る。本開示の特定の実施形態において、これらの改変された線維芽細胞は、ユニバーサルドナー線維芽細胞である。
【0107】
本開示の実施形態は、炎症状態及び/又は自己免疫状態の処置のための、自己由来又は同種異系のいずれかの線維芽細胞の使用のためのシステム及び方法に向けられる。本開示の方法及び組成物は、炎症状態及び/又は自己免疫状態の処置のための特定の改変された細胞を包含する。特に、細胞は、少なくとも任意の種類の線維芽細胞を含む。炎症及び/又は自己免疫プロセスを能動的に阻害する様々な組織起源の線維芽細胞と同様に、線維芽細胞の改変の手段が開示される。本開示の一実施形態では、線維芽細胞は、自己免疫状態の予防及び/又は処置のための細胞療法として利用される。特定の実施形態において、線維芽細胞は、炎症及び/又は自己免疫プロセスを直接的又は間接的に処置し得るように、1つ以上の特定の薬剤及び/又は状態で処置される。投与経路、投与量及び頻度は、疾患のステージ、並びに疾患のプロセスの関数として決定され、医学における日常診療ごとに最適化することができる。
【0108】
一実施形態では、同種異系の線維芽細胞は、非操作的な様式で(例えばインターフェロンγなどの1つ以上の特定の因子への事前曝露なしに)個体に投与されるが、例えば、胎盤線維芽細胞又は脂肪組織関連線維芽細胞のような、天然で免疫調節活性によって特徴付けられる供給源から選ばれる。本開示の他の実施形態において、任意の線維芽細胞は、線維芽細胞に対して未熟な表現型を与えるように逆分化を誘導できる条件下で培養され、ここで、未熟な表現型は、増強された抗炎症性及び/又は免疫調節能と相関する。例えば、線維芽細胞は、バルプロ酸のような1つ以上のヒストンデアセチラーゼ阻害剤の存在下で培養され得る(Moonら、2008; Huangら、2011)。HDAC阻害剤に加えて、8-Br-cAMP(Wangら、2011);M-CSF処理(Liら、2016);レベレシンへの曝露(Liら、2016);及び/又は幹細胞抽出物への曝露(Xiongら、2014)のような、線維芽細胞の脱分化を誘導する他の手段もまた、本発明の文脈において利用され得る。線維芽細胞脱分化の特徴付けは、例えばCXCR4、VEGFR-2、CD34、及び/又はCD133などの細胞外マーカーの評価、並びに、例えばSOX-2、NANOG、及び/又はOCT-4などの細胞内マーカーの評価によって行うことができる。
【0109】
本発明の一実施形態では、線維芽細胞は、線維芽細胞の生存能力及び増殖能力を保存するために、当該分野で公知の手段を使用して、エクスビボで培養される。本開示は、レシピエント免疫系による線維芽細胞の認識を減少させるための公知の培養技術の改変を提供する。1つの実施形態において、線維芽細胞は、異種成分を欠く条件(例えば、ウシ胎仔血清)において培養される。異種成分は、抗体及びT細胞反応の誘発を含む免疫学的反応を誘発することが知られている(Selvaggiら、1997;Mackensenら、2000;Kadriら、2007;Forniら、1976;Lauerら、1983)。多くの個体において、ウシ胎仔血清関連成分に対するIgMアイソタイプの天然抗体が存在し(Irieら、1974)、ウシ胎仔血清の存在下で増殖した細胞の投与後に拒絶、炎症又はアナフィラキシーを引き起こす(Macyら、1989)。特定の実施形態では、本開示は、線維芽細胞の免疫原性を減少させるためのさらなる特徴として、ウシ胎仔血清を、ヒト血小板豊富血漿、血小板ライセート、臍帯血血清、自己血清、及び/又は規定されたサイトカイン混合物で置換することを包含する。異種非含有培地中で組織を培養する手段は、他の細胞型について当該分野で公知であり、そして参考として援用される(Riordanら、2015)。
【0110】
本開示の実施形態は、線維芽細胞を含む方法及び組成物を提供する。線維芽細胞は、皮膚、心臓、血管、骨髄、骨格筋、肝臓、膵臓、脳、及び/又は包皮などの様々な組織又は器官に由来し得るが、これらは生検(適宜)又は剖検によって得ることができる。いくつかの局面において、細胞は、例えば、胎児、新生児、成人起源、又はそれらの組み合わせに由来し得る線維芽細胞を含む。
【0111】
本発明の実施者が細胞の臨床投与を行うための様々な品質管理手段が当技術分野で知られている。細胞の適格性確認のための例示的な基準には、フローサイトメトリー、生存率、及び/又はエンドトキシン含量などの手段を用いたマーカー識別、並びに微生物及びマイコプラズマ汚染の評価が含まれる。
【0112】
本開示の1つの実施形態において、ユニバーサルドナー線維芽細胞は、自己免疫又は炎症性障害の処置のために個体に投与される。本開示のいくつかの実施形態では、細胞をエクスビボで培養し、免疫原性を低下させ、抗炎症性及び/又は免疫調節特性を刺激する条件に供する。さらなる実施形態は、自己免疫及び/又は炎症状態を処置する目的で、それを必要とする個体に細胞を投与する方法を対象とする。
【0113】
[V.様々な実施形態]
本開示によれば、細胞療法を提供する方法、及び細胞療法から利益を得る対象を治療する方法が提供される。一実施形態では、方法は、線維芽細胞再生細胞、線維芽細胞再生細胞の集団又は複数の培養物、線維芽細胞再生細胞の子孫、又は線維芽細胞再生細胞の条件培地を、対象に利益を与えるのに十分な量で対象に投与することを含む。特に、非限定的な態様において、対象は、造血の増加、刺激、誘導、促進、増強又は増強を必要とする。さらなる非限定的な局面において、対象は、肝機能又は活性を増加、刺激、促進、増大又は増強し;炎症若しくは自己免疫の減少、抑制、遮断、防止、制御又は制限を必要とし;又は、血管新生の増加、刺激、誘導、促進、促進、増大又は増強を必要とする。したがって、本開示の方法は、(欠損した対象において)造血を増加、刺激、誘導、促進、増大又は増強すること;肝機能又は活性を増加、刺激、促進、増強又は増強すること;炎症を減少、低下、抑制、遮断、予防、制御又は制限すること(例えば、炎症の阻害を必要とする対象に対して);並びに、血管新生を増加、刺激、誘導、促進、増大又は増強すること、を含む。例えば、線維芽細胞再生細胞は、血管新生を誘導するために(例えば、対象における虚血組織にホーミングすることによって)、虚血を有する対象に(例えば、静脈内に)投与され得る。脳卒中、虚血性心疾患、肝不全、腎不全、末梢動脈疾患など、多くの疾患が虚血と関連している。さらに、本開示の方法は、組織又は器官(例えば、心臓又は肺組織、四肢、又は腎臓)において虚血を有するか、又は有するリスクがある対象を処置するため;線維症又は瘢痕組織形成の阻害を必要とするか、又は有する対象を処置するため;病的アポトーシスの阻害、減少、制御又は逆転を必要とする対象を処置するため;膵臓又は肝機能を増加又は改善することを必要とする対象を処置するため;膵臓若しくは肝細胞の数を増加させるため、又はインスリン産生増加させるため;糖尿病、肝不全、肝硬変、肝線維症又は膵線維症、又は肝炎を有する、又は有するリスクがある対象を処置するため;骨細胞又は骨細胞機能を必要とする対象を処置するため(例えば、骨細胞数、骨細胞形成又は骨細胞機能を増加、刺激、誘導、増強又は増強するため);骨粗鬆症、骨折又は骨破壊を有する、又は有するリスクがある、又は関節におけるプロテーゼを必要とする対象を処置するため;そして真皮幹細胞又は内在性真皮幹細胞の活性化若しくは刺激を必要とする対象を処置するために、線維芽細胞再生細胞、線維芽細胞再生細胞の集団若しくは複数の培養物、線維芽細胞再生細胞の子孫、又は線維芽細胞再生細胞の条件培地を投与することを含む。さらに、本発明の方法は、線維芽細胞再生細胞、線維芽細胞再生細胞の集団又は複数の培養物、線維芽細胞再生細胞の子孫、又は線維芽細胞再生細胞の条件培地を投与して、肺機能又は心機能の増加又は改善を必要とする対象(例えば、心臓又は肺疾患を有するか、又は有する危険性がある対象)を処置する工程を包含する。心疾患及び肺疾患の非限定的な例は、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞(心臓発作)、心臓感染症、心不全、虚血性心不全、高血圧(高血圧症)又は肺高血圧症、特発性肺線維症、脳卒中、先天性心疾患(CHD)、うっ血性心不全、狭心症、心筋炎、冠動脈疾患、心筋症、拡張型心筋症、肥大型心筋症、心内膜炎、拡張機能障害、脳血管疾患、弁疾患、僧帽弁逸脱症、静脈血栓塞栓症又は不整脈を含む。
【0114】
さらに、本開示の方法は、神経疾患若しくは筋肉の疾患若しくは障害を有するか、又は有するリスクがある対象を処置するために、線維芽細胞再生細胞、線維芽細胞再生細胞の集団若しくは複数の培養物、線維芽細胞再生細胞の子孫、又は線維芽細胞再生細胞の条件培地を投与することを含む。神経及び筋疾患及び障害の非限定的例としては、多発性硬化症(MS)、脊髄損傷、筋ジストロフィー(ベッカー型又はデュシェンヌ型)、筋萎縮性側索硬化症(ALS;ルー・ゲーリッグ病又は古典的運動ニューロン病)、自閉症、進行性球麻痺(進行性球萎縮)、仮性球麻痺、原発性側索硬化症(PLS)、進行性筋萎縮、脊髄性筋萎縮症(SMA I型-ウェルドニッヒ-ホフマン病、SMA II型、又はSMA III型-クーゲルベルグ-ウェランダー病を含むSMA)、ファチオ・ロンド病、ケネディ病(進行性球脊髄性筋萎縮症)、関節拘縮を伴う先天性SMA、及びポストポリオ症候群(PPS)が挙げられる。
【0115】
いくつかの実施形態では、本開示の方法はまた、甲状腺炎、膵島炎、多発性硬化症、虹彩毛様体炎、ぶどう膜炎、睾丸炎、アジソン病、重症筋無力症、関節リウマチ、エリテマトーデス、免疫過剰反応、インスリン依存性糖尿病、貧血(再生不良性、溶血性)、肝炎、自己免疫性肝炎、強膜炎、特発性血小板減少性紫斑病、胃腸管の疾患(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患)、若年性関節炎、強皮症及び全身性硬化症、シェーグレン症候群、未分化結合組織症候群、抗リン脂質症候群、血管炎(結節性多発性動脈炎、アレルギー性肉芽腫症及び血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、川崎病、過敏性血管炎、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、ベーチェット症候群、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、閉塞性血栓性血管炎)、リウマチ性多発筋痛症、本態性(混合型)クリオグロブリン血症、尋常性乾癬及び乾癬性関節炎、好酸球増加を伴う又は伴わないびまん性筋膜炎、多発性筋炎及びその他の特発性炎症性ミオパシー、再発性脂肪織炎、再発性多発性軟骨炎、リンパ腫性肉芽腫症、結節性紅斑、強直性脊椎炎、ライター症候群、炎症性皮膚炎、関節リウマチを含む関節炎を伴う望ましくない免疫反応及び炎症反応、過敏症及びアレルギー反応を伴う炎症、全身性エリテマトーデス、膠原病、アテローム性動脈硬化症を伴う炎症、動脈硬化症、アテローム性心疾患、再潅流傷害、血管炎症性障害、呼吸窮迫症候群、若しくは他の心肺疾患、消化性潰瘍に伴う炎症、肝線維症、肝硬変若しくは他の肝疾患、甲状腺炎その他の腺疾患、糸球体腎炎若しくは他の腎疾患及び泌尿器疾患、耳炎若しくは他の耳鼻咽喉科疾患、皮膚炎若しくは他の皮膚疾患、歯周病若しくは他の歯科疾患、精巣炎又は精巣上体炎、不妊症、精巣外傷若しくは他の免疫関連精巣疾患、胎盤機能障害、胎盤不全、習慣性流産、子癇、子癇前症又は他の免疫及び/若しくは炎症関連婦人科疾患、後部ぶどう膜炎、中間部ぶどう膜炎、前部ぶどう膜炎、結膜炎、脈絡網膜炎、ぶどう膜炎、視神経炎、眼内炎(例えば網膜炎又は嚢胞性黄斑浮腫など)、交感性眼炎、強膜炎、網膜色素変性症、変性眼底病の免疫及び炎症性成分、眼外傷の炎症性成分、感染による眼の炎症、増殖性硝子体網膜症、急性虚血性視神経症、過剰な瘢痕化、例えば、緑内障のろ過手術後、眼用インプラントに対する免疫反応及び/若しくは炎症反応、並びに他の免疫及び炎症関連眼疾患、自己免疫疾患又は中枢神経系(CNS)その他の器官、免疫、及び/若しくは炎症抑制が有益であろう状態又は障害を伴う炎症、パーキンソン病、パーキンソン病の治療に伴う合併症及び/又は副作用、AIDS関連認知症複合HIV関連脳症、デヴィック病、シデナム舞踏病、アルツハイマー病及びその他の変性疾患、CNSの状態又は障害、脳卒中の炎症性成分、ポストポリオ症候群、精神疾患の免疫・炎症性成分、脊髄炎、脳炎、亜急性硬化性汎脳炎、脳脊髄炎、急性ニューロパチー、亜急性ニューロパチー、慢性ニューロパチー、ギラン・バレー症候群、シデナム舞踏病、偽脳腫瘍、ダウン症候群、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、CNS圧迫の炎症性成分、CNSの外傷又はCNSの感染症、筋萎縮症及びジストロフィーの炎症性成分、中枢及び末梢神経系の免疫及び抗炎症関連疾患、状態若しくは障害、外傷後炎症、敗血症性ショック、感染性疾患、手術若しくは臓器の炎症性合併症若しくは副作用、及び/又は遺伝子療法の免疫性合併症若しくは副作用のような、免疫又は炎症性障害又は疾患のため;例えばウイルスキャリアとの感染のため;又はAIDSに伴う炎症、体液性及び/若しくは細胞性免疫応答を抑制若しくは阻害するため;単球若しくは白血球増殖性の疾患を治療若しくは改善するため;例えば単球若しくはリンパ球の量を減少させるため;又は、天然若しくは人工の細胞、組織及び、器官(肝臓、腎臓、心臓、肺、角膜、骨髄、臓器、水晶体、ペースメーカー、天然若しくは人工の皮膚組織など)の移植の際の移植片拒絶反応の予防若しくは処置のために、線維芽細胞再生細胞、線維芽細胞再生細胞の1以上の集団若しくは線維芽細胞再生細胞の培養物、線維芽細胞再生細胞の子孫又は線維芽細胞再生細胞の条件培地を投与することを含む。
【0116】
さらに、方法は、線維芽細胞再生細胞、線維芽細胞再生細胞の1以上の集団、線維芽細胞再生細胞の培養物、線維芽細胞再生細胞の子孫、又は線維芽細胞再生細胞の条件培地を、免疫寛容の刺激、増大、誘導、増大、又は増強を必要とする対象に投与することを含む。このような方法は、免疫寛容を刺激、増加、誘導、増大、又は増強し得、それによって自己免疫障害を処置する。
【0117】
さらに、本開示の方法は、線維芽細胞再生細胞、線維芽細胞再生細胞の1以上の集団、線維芽細胞再生細胞の培養物、線維芽細胞再生細胞の子孫、又は線維芽細胞再生細胞の条件培地を、移植、移植線維症又は移植片不全の免疫学的拒絶を阻害、減少、減少、遮断、予防、制御又は制限する必要がある対象に投与することを含む。このような方法は、移植、移植線維症又は移植片不全の免疫学的拒絶を阻害、減少、減少、遮断、予防、制御又は制限し得、それによって、対象による移植片又は移植片の受容を促進する。
【0118】
さらに、本開示の方法は、線維芽細胞再生細胞、線維芽細胞再生細胞の1以上の集団又は線維芽細胞再生細胞の培養物、線維芽細胞再生細胞の子孫、又は線維芽細胞再生細胞の条件培地を投与して、黒色腫の処置を必要とする対象を処置することを含む。
【0119】
線維芽細胞再生細胞は、処置方法又はプロトコールに適切な任意の経路によって、対象に投与又は送達され得る。投与及び送達経路の具体的な非限定的な例には、非経口的、例えば、静脈内、筋肉内、髄腔内(脊髄内)、動脈内、皮内、皮下、胸膜内、経皮(局所)、経粘膜、頭蓋内、眼内、粘膜、インプラント及び移植が含まれる。
【0120】
本開示の線維芽細胞再生細胞は、対象に対して自己由来であり得る。すなわち、本方法において(又は条件培地を産生するために)使用される幹細胞は、この方法に従って処置される対象由来の細胞から得られたか、又は誘導された。線維芽細胞再生細胞、線維芽細胞再生細胞の1以上の集団又は線維芽細胞再生細胞の培養物、線維芽細胞再生細胞の子孫又は線維芽細胞再生細胞の条件培地は、対象に関して同種異系、すなわち、本方法において使用される(又は、条件培地を産生するために)幹細胞が本方法に従って処置される対象とは異なる対象由来の細胞から得られたか、又は誘導されたものであってもよい。
【0121】
本開示の1つの実施形態では、外胚葉、中胚葉、又は内胚葉の少なくとも2つに増殖及び分化することが可能であり、プラスチック接着性であり、非選択の線維芽細胞と比較して増殖活性が増強されており、以下の遺伝子の1つ又は複数を発現する、線維芽細胞集団及び様々な線維芽細胞集団が開示される:Oct-4、KLF-4、Nanog、CD117、Sox-2、CD34、Rex-1、GDF-3、CD105、IL-10及びStella。別の実施形態では、細胞は凍結保存され、集団は容器(例えば、バイアル、シリンジ、又はヒト若しくは動物内の細胞の静脈内送達に適したバッグ又は他の容器などの、ヒト又は動物内の部位への局所送達に適した他の容器)内に含まれる。別の実施形態では、集団は、少なくとも1×102、1×106、1×109、1×1010、1×1012、1×1014の量のステムセルを含む。いくつかの実施形態では量は1×102、1×103、1×104、1×105、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010、1×1011、1×1012、1×1013、1×1014、1×1015、1×1016、1×1017、1×1018、1×1019、1×1020、1×1025、1×10、1×1035、1×1040、1×1045、1×1050、1×1055、1×1060、1×1065、1×1070、1×1075、1×1080、1×1085、1×1090、1×1095、1×10100又はその間の任意の量である。
【0122】
別の実施形態では、集団は、0.9%NaCl溶液中に含まれる。一実施形態では、集団は、生物活性化合物(例えば、成長因子、サイトカイン、抗体又はその断片を発現する、又は、集団は、5,000ダルトン未満の質量の有機分子をさらに含む。別の態様において、本発明は、単離された成体幹細胞の複数の凍結保存された個別パッケージされた集団を含むマスターセルバンクを提供し、各集団は、少なくとも1×102以上の前の態様の細胞を含む。本発明に由来する細胞は、種々の組織に分化することができ、例えば、本発明は、神経細胞を形成する方法を提供し、この方法は、神経細胞形成条件下の再生活性の増強について選択/培養された線維芽細胞を接触させる工程を含む。一実施形態では、当該条件は、細胞をbFGF、FGF-8、SHH及びBDNFと共に培養することを含む。別の態様では、本発明は、肝細胞を形成する方法であって、肝細胞形成条件下で線維芽細胞に由来する再生細胞を培養することを含む方法を提供する。一実施形態では、当該条件は、肝細胞増殖因子(HGF)及びFGF-4と共に細胞を培養することを含む。本開示の別の実施形態では、内皮細胞を形成する方法であって、内皮細胞形成条件下で再生線維芽細胞を培養することを含む方法を提供する。一実施形態では、当該条件は、VEGFと共に細胞を培養することを含む。
【0123】
別の実施形態では、造血細胞を形成する方法であって、造血細胞形成条件下で線維芽細胞再生細胞を培養することを含む方法が、本明細書に提供される。一実施形態では、当該条件には、骨形成タンパク質-4(BMP4)、VEGF、bFGF、幹細胞因子(SCF)、Flt3L、ハイパーIL6、トロンボポエチン(TPO)及びエリスロポエチン(EPO)と共に細胞を培養することが含まれる。
【0124】
本発明の別の実施形態では、対象における心血管疾患を治療する手段が開示され、この方法は疾患を治療するのに充分な量の線維芽細胞再生細胞、又はその方向づけられた若しくは分化した子孫を対象に投与することを含む。1つの実施形態において、心血管疾患は、心筋梗塞、うっ血性心不全、虚血性心筋症及び冠動脈疾患である。別の態様において、本発明は、対象における血管新生を増加させる方法を提供し、この方法は、血管新生を増加させるのに十分な量の線維芽細胞由来再生細胞、又はその方向付けられた若しくは分化した子孫を対象に投与することを包含する。一実施形態では、対象はII型糖尿病に罹患している。別の実施形態では、対象は心血管疾患を患っている。別の態様において、本発明は対象における神経障害を処置するための方法を提供し、この方法は、疾患を処置するために十分な量で、線維芽細胞由来の再生細胞又はその方向付けられた若しくは分化した子孫を対象に投与することを包含する。1つの実施形態において、神経障害は神経変性疾患(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、又はハンチントン病)又は神経学的損傷である。
【0125】
別の実施形態では、本開示は、集団を少なくとも約3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、又は40回継代することを含む、線維芽細胞再生細胞の集団を拡大するためのプロセスを提供する。別の実施形態において、本発明は、単離された幹細胞を分化させるのに十分な条件下で、単離された線維芽細胞再生細胞を分化させるためのプロセスを提供する。
【0126】
上記の態様又は本明細書で解明された他の態様の種々の実施形態において、選択の基礎として使用される抗原は、CD105、CD117及び/又はCD34である。他の実施形態では、細胞は実質的に精製された細胞である(例えば、少なくとも約20%、25%、30%、40%、50%、75%、80%又はそれ以上の本発明の細胞)。他の実施形態では、細胞は、哺乳動物(例えば、ヒト)から単離される。他の実施形態では、細胞は、成体哺乳動物から単離される。さらに他の実施形態では、細胞は異種核酸配列を含む。
【0127】
別の実施形態では、本開示は、増殖して外胚葉、中胚葉、及び内胚葉に分化することができる単離された(例えば、精製又は実質的に精製された)線維芽細胞再生細胞であって、Oct-4、Nanog、Sox-2、KLF4、c-Myc、Rex-1、GDF-3、LIF受容体、CD105、CD117、CD344、IL-10、及びStellaのうちの少なくとも1つ(例えば、少なくとも2、4、5又は6)を発現し、MHCクラスI、MHCクラスII、CD45、CD13、CD49c、CD66b、及びCD90のうちの少なくとも1つ(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、又はすべて)の細胞表面タンパク質を発現しない。別の態様では、本開示は、前の2つの態様のいずれかの細胞を含む細胞の集団を特徴とする。集団は、以前の2つの態様(例えば、胚様体)の細胞の少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は99%を含み得る。集団はさらに、凍結保護剤(例えば、本明細書に記載のいずれか)を含む組成物の一部であってもよい。別の実施形態では、細胞の集団は、幹細胞(例えば、間葉系細胞又は胚性幹細胞などの当技術分野で公知の任意のもの)又は分化細胞(例えば、筋細胞、脂肪細胞、外胚葉細胞、筋肉細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、内皮細胞、線維芽細胞、膵細胞、肝細胞、胆管細胞、骨髄細胞、神経細胞、及び泌尿生殖器細胞を含む、本明細書に記載の任意のもの)との組成物の一部であってもよい。このような細胞は、本発明の幹細胞に対して自己由来であっても同種異系であってもよい。
【0128】
別の態様において、本開示は、再生線維芽細胞の集団を単離するための方法を特徴とする。この方法は(a)再生活性を有する組織を提供する工程;(b)サイズが約6~12マイクロメートルである細胞の集団を濃縮する工程;及び任意で(c)幹細胞表面マーカー又はMHCタンパク質(例えば、本明細書中に記載される任意のもの)を発現する集団から細胞を枯渇させる工程を包含し得、それによって幹細胞の集団を単離する工程を含み得る。工程(c)は、MHCクラスI、CD66b、グリコフォリンa、又はグリコフォリンbを発現する細胞を枯渇させることを含み得る。本方法は、(d)細胞を凍結保存することをさらに含んでもよい。別の実施形態において、この方法は(d)レポーター遺伝子又は選択遺伝子に作動可能に連結された幹細胞特異的プロモーター(例えば、Oct-4、Nanog、Sox-9、GDF3、Rex-1、又はSox-2プロモーター、又は本明細書中に記載される任意のプロモーター)を含むポリヌクレオチドベクターで細胞をトランスフェクトする工程;及び(e)レポーター遺伝子又は選択遺伝子の発現を使用して(例えば、フローサイトメトリーを使用して)再生線維芽細胞のための集団をさらに濃縮する工程をさらに含む。別の実施形態において、この方法は(d)細胞を、前記細胞に入る検出可能な化合物(例えば、カルボキシフルオレセインジアセテート、スクシンイミジルエステル、又はアルデフルオル(Aldefluor)と接触させる工程(この化合物は、増殖細胞及び非増殖細胞において選択的に検出可能である);及び(e)増殖細胞について細胞集団を濃縮する工程をさらに含む。別の実施形態において、この方法は、組織凝集体を形成する条件下で細胞を培養する工程をさらに包含する。本方法は、本発明の線維芽細胞再生細胞から、顆粒球、T細胞、B細胞、NK細胞、赤血球、又はそれらの任意の組み合わせなどの細胞型を(例えば、細胞枯渇によって)分離することをさらに含み得る。本方法は、線維芽細胞再生細胞の集団を、細胞の増殖を支持する条件下で培養する工程をさらに包含し得る。本発明のこの態様の実施形態のいずれにおいても、細胞はさらに凍結保存され得る。
【0129】
本開示はまた、上記の方法のいずれかによって産生される細胞を特徴とする。本発明はまた、線維芽細胞再生細胞を同定するための方法であって、少なくとも1つの選択可能なマーカー遺伝子に結合した細胞特異的プロモーターを含むベクターを細胞に導入する工程であって、ここで線維芽細胞再生細胞がMHCクラスI、MHCクラスII、CD44、CD45、CD13、CD49c、CD66b、CD73、CD105、及びCD90のうちの少なくとも1つ(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、又はすべて)の細胞表面タンパク質を発現せず、中胚葉、外胚葉、及び内胚葉に分化することができ;少なくとも1つの胚性転写因子(例えば、Oct-4、Nanog、Sox-2、Rex-1、GDF-3、Stella、FoxD3、Polycomb)を発現している、工程;該幹細胞において細胞特異的プロモーターから選択可能なマーカー遺伝子を発現する工程;及び、幹細胞中のマーカー遺伝子の発現を検出し、それによって細胞を同定する工程を含む、方法を提供する。本方法は、線維芽細胞再生細胞を単離する工程をさらに包含し得る。線維芽細胞は、哺乳動物の体液(例えば、滑液又は血液)、並びに組織に由来し得る。好ましくは、哺乳動物はヒトである。特定の実施形態では、細胞がCD13、CD44、及びCD90を発現しない。
【0130】
様々な実施態様において、線維芽細胞特異的プロモーターは、Oct-4プロモーター、Nanogプロモーター、Sox-2プロモーター、Rex-1プロモーター、GDF-3プロモーター、Stellaプロモーター、FoxD3プロモーター、Polycombリプレッサー複合体2プロモーター、又はCTCFプロモーターである。一実施形態において、線維芽細胞特異的プロモーターは、loxP部位に隣接する。別の実施形態では、ベクターはレトロウイルスベクターである。さらに別の実施形態では、選択可能なマーカー遺伝子は、緑色蛍光タンパク質(GFP)などの蛍光タンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、間葉系幹細胞について再生活動の増強が記載されているが線維芽細胞に適用される、OCT-4を用いた線維芽細胞のトランスフェクションによって、再生活性の増強がもたらされる(Wang, K.H., et al. Upregulation of Nanog and Sox-2 genes following ectopic expression of Oct-4 in amniotic fluid mesenchymal stem cells. Biotechnol Appl Biochem, 2015. 62(5): p. 591-7、参照により本文中に取りこまれる)。
【0131】
他の実施形態において、多能性を有する細胞を線維芽細胞と融合させて、再生活性が増強された線維芽細胞を人工的に生成する。なお、線維芽細胞再生細胞と他の細胞との融合は、次の文献に記載されており、そこでは、発明者らは、増強された再生活性を付与するために線維芽細胞に適用するための指針を提供しようとしている(Xu, D., et al., Coculturing embryonic stem cells with damaged hepatocytes leads to restoration of damage and high frequency of fusion. Cell Mol Biol (Noisy-le-grand), 2009. 55 Suppl: p. OL1186-99、参照により本文中に取りこまれる)。
【0132】
他の実施形態では細胞透過性NANOG[53]によるトランスフェクションを、最初にCD105及び/又はCD117の発現について選択された線維芽細胞に適用される(例えば、Peitz, M., et al., Cell-permeant recombinant Nanog protein promotes pluripotency by inhibiting endodermal specification. Stem Cell Res, 2014. 12(3): p. 680-9、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0133】
さらに別の実施形態では、2つの選択可能なマーカー遺伝子を含むベクターが利用される。特定の実施形態において、2つの選択可能なマーカー遺伝子は、蛍光タンパク質及び薬物選択に感受性を有するタンパク質である。さらに別の実施形態において、選択可能なマーカー遺伝子は、細胞表面タンパク質をコードする。別の態様では、本発明は、少なくとも1つの選択可能なマーカー遺伝子に連結された再生細胞特異的プロモーターを含むベクターを線維芽細胞の集団に導入する工程であって、ここで、当該再生細胞は、MHCクラスI、MHCクラスII、CD44、CD45、CD13、CD34、CD49c、CD73、CD105及びCD90の細胞表面タンパク質を発現しない、工程;線維芽細胞集団において再生細胞特異的プロモーターから選択可能なマーカー遺伝子を発現する工程;並びに、再生線維芽細胞におけるマーカー遺伝子の発現を検出する工程を含む方法によって単離された、線維芽細胞再生細胞を提供する。
【0134】
一実施形態では、本開示は、本発明の線維芽細胞再生細胞を、外胚葉、中胚葉及び内胚葉からなる群から選ばれる胚葉の細胞系統へ、及び/又は神経、グリア、軟骨芽細胞、骨芽細胞、脂肪細胞、肝細胞、筋細胞(例えば、平滑筋又は骨格筋)、心臓細胞、膵細胞、肺細胞及び内皮細胞を含むがこれらに限定されない特定の細胞型へと分化させる方法を提供する。
【0135】
本開示のいくつかの実施形態において、線維芽細胞再生細胞は、アルクロフェナク;ジプロピオン酸アルクロメタゾン;アルゲストンアセトニド;α-アミラーゼ;α-リポ酸;α-トコフェロール;アムシナファル;アムシナフィド;アムフェナクナトリウム;塩酸アミプリロース;アナキンラ;アニロラック;アニトラザフェン;アパゾン;アスコルビン酸;バルサラジド二ナトリウム;ベンダザック;ベノキサプロフェン;塩酸ベンジダミン;ブロメライン;ブロペラモール;ブデソニド;カルプロフェン;クロロゲン酸;シクロプロフェン;シンタゾン;クリプロフェン;クロベタゾールプロピオン酸エステル;クロベタゾン酪酸エステル;クロピラック;プロピオン酸クロチカゾン;酢酸コルメタゾン;コルトドキソン;デフラザコート;デソニド;デソキシメタゾン;ジプロピオン酸デキサメタゾン;ジクロフェナクカリウム;ジクロフェナクナトリウム;ジフロラゾンジアセテート、ジフルミドンナトリウム、ジフルニサル;ジフルプレドナート;ジフタロン;ジメチルスルホキシド;ドロシノニド;エラグ酸;エンドリソン;エンリモマブ;エノリカムナトリウム;エピリゾール;エトドラク;エトフェナメート;フェルビナク;フェナモール;フェンブフェン;フェンクロフェナク;フェンクロラック;フェンドサール;フェンピパロン;フェンチアザック;フラザロン;フルアザコート;フルフェナム酸;フルミゾール;フルニソリドアセテート;フルニキシン;フルニキシンメグルミン、フルオコルチンブチル;酢酸フルオロメトロン;フルクアゾン;フルビプロフェン;フルレトフェン;フルチカゾンプロピオン酸エステル;フラプロフェン;フロブフェン;グルタチオン;ハルシノニド;プロピオン酸ハロベタゾール;ハロプレドン酢酸エステル;ヘスペレディン(hesperedin);イブフェナク;イブプロフェン;イブプロフェンアルミニウム;イブプロフェンピコノール;イロニダップ;インドメタシン;インドメタシンナトリウム;インドプロフェン;インドキソール;イントラゾール;酢酸イソフルプレドン;イソキセパック;イソキシカム;ケトプロフェン;ロフェミゾール塩酸塩;ロモキシカム;エタボン酸ロテプレドノール;リコペン;メクロフェナム酸ナトリウム;メクロフェナム酸;メクロリゾンジブチレート;メフェナム酸;メサラミン;メセクラゾン;メチルプレドニゾロンスレプタネート;モルニフルメート;ナブメトン;ナプロキセン;ナプロキセンナトリウム;ナプロキソール;ニマゾン;オレウロペイン;オルサラジンナトリウム;オルゴテイン;オルパノキシン;オキサプロジン;オキシフェンブタゾン;塩酸パラニリン;ペントサンポリサルフェートナトリウム;フェンブタゾンナトリウムグリセレート;ピルフェニドン;ピロキシカム;ピロキシカムシンナメート;ピロキシカムオラミン;ピルプロフェン;ピクノジェノール;ポリフェノール;プレドナザート;プリフェロン;プロドール酸;プロクアゾン;プロキサゾール;クエン酸プロキサゾール;ケルセチン;レスベラトロール;リメキソロン;ロマザリト;ロズマリン酸;ルチン;サルコレックス;サルナセジン;サルサレート;塩化サングイナリウム;セクラゾン;セルメタシン;スドキシカム;スリンダック;スプロフェン;タルメタシン;タルニフルメート;タロサレート;テブフェロン;テニダップ;テニダップナトリウム;テノキシカム;テシカム;テシミド;テトラヒドロクルクミン;テトリダミン;チオピナック;チキソコルトールピバレート;トルメチン;トルメチンナトリウム;トリクロニド;トリフルミデート;ジドメタシン;ゾメピラックナトリウムを含む、1つ以上の抗炎症特性を有する薬剤と一緒に投与される。
【0136】
いくつかの実施形態では、線維芽細胞再生細胞を含む医薬製剤が提供される。本発明の組成物及び方法に適切な医薬製剤及び送達系は当該分野で公知である(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (2003) 20.sup.th ed., Mack Publishing Co., Easton, Pa.; Remington's Pharmaceutical Sciences (1990) 18.sup.th ed., Mack Publishing Co., Easton, Pa.; The Merck Index (1996) 12.sup.th ed., Merck Publishing Group, Whitehouse, N.J.; Pharmaceutical Principles of Solid Dosage Forms (1993), Technonic Publishing Co., Inc., Lancaster, Pa.; Ansel and Stoklosa, Pharmaceutical Calculations (2001) 11.sup.th ed., Lippincott Williams & Wilkins, Baltimore, Md.; and Poznansky et al., Drug Delivery Systems (1980), R. L. Juliano, ed., Oxford, N.Y., pp. 253-315。
【0137】
[VI.キット]
本開示の特定の態様はまた、本開示の組成物又は本開示の方法を実施するための組成物を含むキットに関する。いくつかの実施形態において、キットは、線維芽細胞再生細胞、その集団、その子孫、又はその条件培地を提供するために使用され得る。いくつかの場合において、キットは、線維芽細胞再生細胞を産生及び/又は同定するための1つ以上の試薬を含む。
【0138】
キットは、チューブ、ボトル、バイアル、シリンジ、又は他の適切な容器手段のように、個々に包装され得るか、又は容器中に配置され得る構成要素を含み得る。
【0139】
個々の成分はまた、濃縮された量でキット中に提供されてもよく;いくつかの実施形態では、成分が他の成分との溶液中にあるのと同じ濃度で個々に提供される。成分の濃度は、1×、2×、5×、10×、又は20×以上とすることができる。
【0140】
特定の局面において、陰性及び/又は陽性対照剤は、いくつかのキットの実施形態に含まれる。対照分子は、線維芽細胞の増強された再生活性を検証するために使用することができる。
【0141】
キットは、ラベルを有する容器を含んでもよい。適当な容器には、例えばボトル、バイアル及び試験管を包含する。容器は、ガラスやプラスチックなど種々の材料で作ることができる。容器は、上記のような予後又は非予後の適用に有用なプローブを含む組成物を保持し得る。容器のラベルは、組成物が特定の予後又は非予後適用のために使用されることを示し得、そしてまた、上記のようなインビボ又はインビトロ使用のいずれかのための指示を示し得る。キットは、上述の容器と、緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用方法が記載されたパッケージ挿入物を含む、商業的及び使用者の観点から望ましい材料を含む1つ以上の他の容器とを含んでもよい。
【実施例】
【0142】
以下の実施例は、本開示の特定の非限定的な局面を実証するために含まれる。以下の実施例において開示される技術は開示される主題の実施において良好に機能することが本発明者らによって発見された技術を表すことが、当業者によって理解されるべきである。しかしながら、当業者は本開示に照らして、開示された特定の実施形態において多くの変更を行うことができ、開示された主題の精神及び範囲から逸脱することなく、同様の又は類似の結果を依然として得ることができることを理解すべきである。
【0143】
[実施例1.CD105精製線維芽細胞におけるOCT‐4の発現促進]
包皮由来線維芽細胞をAmerican Type Culture Collection(ATCC)から入手し、10%ウシ胎仔血清を含むOptimem培地中で増殖させた。磁気活性化セルソーティング(MACS)を用いて、CD105陽性細胞及び陰性細胞の分離を行った。
【0144】
簡潔には、培養細胞からトリプシン処理によって線維芽細胞の懸濁液を得た。細胞を1×PBSで1回洗浄し、(MACS)緩衝液(0.5%ウシ胎仔血清(FBS;カタログ番号SH30087.01; HyClone; GE Healthcare Life Sciences、Logan、UT、USA)及び2mMエチレンジアミン四酢酸、pH7.2を含有する1×PBS)で再懸濁した。ナイロンメッシュ(30μm孔)を使用して、細胞懸濁液を濾過した。細胞をMACS緩衝液に107細胞/80μlで再懸濁し、マウス抗ヒトCD105抗体に直接コンジュゲートしたマイクロビーズ(1:200;カタログ番号MCA1557; Bio-Rad Laboratories、Inc.、Hercules、CA、USA)20μlと混合し、暗所でローテーターを用いて4℃で15分間インキュベートした。1×PBSで洗浄した後、DDFCs-CD105細胞をMACS緩衝液に再懸濁し、LS+/VS+分離カラムで処理した。カラムを磁気デバイスから取り外し、細胞をMACS緩衝液でフラッシュした。CD105-及びCD105+細胞を、300×g、4℃で10分間、遠心分離することによって回収した。
【0145】
幹細胞能のマーカーであるOCT‐4の発現は、細胞内OCT‐4タンパク質の評価のためにフローサイトメトリーを用いて評価した。フローサイトメトリーは、細胞をマウス抗OCT-4(ab91194、Abcam,Cambridge、MA; 1:200希釈)によって染色した後に行った。二次抗体は、アロフィコシアニン抗マウスIgG(A-865、Life Technologies、Grand Island、NY; 1:1000)であった。
【0146】
図1に見られるように、CD105の発現について選択された細胞で、OCT-4の発現が増強されていた。
【0147】
[実施例2.CD105精製線維芽細胞におけるNANOGの発現促進]
包皮由来の線維芽細胞をATCCから入手し、10%ウシ胎仔血清を含むOptimem培地中で増殖させた。磁気活性化セルソーティング(MACS)を用いてCD105陽性細胞及び陰性細胞の分離を行った。
【0148】
簡潔には、培養細胞からトリプシン処理によって線維芽細胞の懸濁液を得た。細胞を1×PBSで1回洗浄し、(MACS)緩衝液(0.5%ウシ胎仔血清(FBS;カタログ番号SH30087.01;HyClone; GE Healthcare Life Sciences、Logan、UT、USA)及び2mMエチレンジアミン四酢酸、pH7.2を含有する1×PBS)で再懸濁した。ナイロンメッシュ(30μm孔)を使用して、細胞懸濁液を濾過した。細胞をMACS緩衝液に107細胞/80μlで再懸濁し、直接結合マウス抗ヒトCD105抗体(1:200;カタログ番号MCA1557; Bio-Rad Laboratories、Inc.、Hercules、CA、USA)の20μlマイクロビーズと混合し、暗所でローテーターを用いて4℃で15分間インキュベートした。1×PBSで洗浄した後、DDFCs-CD105細胞をMACS緩衝液に再懸濁し、LS+/VS+分離カラムで処理した。カラムを磁気デバイスから取り外し、細胞をMACS緩衝液でフラッシュした。CD105-及びCD105+細胞を、300×g、4℃で10分間、遠心分離することによって回収した。
【0149】
効力のマーカーであるNanogの発現は、Abcam(Cambridge、MA)から購入したヒトNanogに対するフローサイトメトリーマウスポリクローナル抗体を用いて評価した。
【0150】
図2に見られるように、CD105の発現について選択された細胞において、NANOGの発現が増強されていた。
【0151】
[実施例3.CD105精製線維芽細胞におけるKLF‐4の発現増強]
包皮由来の線維芽細胞をATCCから入手し、10%ウシ胎仔血清を含むOptimem培地中で増殖させた。磁気活性化セルソーティング(MACS)を用いてCD105陽性及び陰性細胞の分離を行った。
【0152】
簡潔には、培養細胞からトリプシン処理によって線維芽細胞の懸濁液を得た。細胞を1×PBSで1回洗浄し、(MACS)緩衝液(0.5%ウシ胎仔血清(FBS;カタログ番号SH30087.01;HyClone; GE Healthcare Life Sciences、Logan、UT、USA)及び2mMエチレンジアミン四酢酸、pH7.2を含有する1×PBS)で再懸濁した。ナイロンメッシュ(30μm孔)を使用して、細胞懸濁液を濾過した。細胞をMACS緩衝液に107細胞/80μlで再懸濁し、直接結合マウス抗ヒトCD105抗体(1:200;カタログ番号MCA1557; Bio-Rad Laboratories、Inc.、Hercules、CA、USA)の20μlマイクロビーズと混合し、暗所でローテーターを用いて4℃で15分間インキュベートした。1×PBSで洗浄した後、DDFCs-CD105細胞をMACS緩衝液に再懸濁し、LS+/VS+分離カラムで処理した。カラムを磁気デバイスから取り外し、細胞をMACS緩衝液でフラッシュした。CD105-及びCD105+細胞を、300×g、4℃で10分間、遠心分離することによって回収した。
【0153】
効力のマーカーであるNanogの発現を、Abcam(Cambridge、MA)から購入したヒトKLF-4に対するフローサイトメトリーマウスポリクローナル抗体を用いて評価した。
【0154】
図3に見られるように、CD105の発現について選択された細胞において、KLF-4の発現が増強されていた。
【0155】
[実施例4.CD105選択線維芽細胞による免疫調節性サイトカインIL-10の発現増強]
包皮由来の線維芽細胞をATCCから入手し、10%ウシ胎仔血清を含むOptimem培地中で増殖させた。磁気活性化セルソーティング(MACS)を用いてCD105陽性及び陰性細胞の分離を行った。
【0156】
簡潔には、培養細胞からトリプシン処理によって線維芽細胞の懸濁液を得た。細胞を1×PBSで1回洗浄し、(MACS)緩衝液(0.5%ウシ胎仔血清(FBS;カタログ番号SH30087.01;HyClone; GE Healthcare Life Sciences、Logan、UT、USA)及び2mMエチレンジアミン四酢酸、pH7.2を含有する1×PBS)で再懸濁した。ナイロンメッシュ(30μm孔)を使用して、細胞懸濁液を濾過した。細胞をMACS緩衝液に107細胞/80μlで再懸濁し、直接結合マウス抗ヒトCD105抗体(1:200;カタログ番号MCA1557; Bio-Rad Laboratories、Inc.、Hercules、CA、USA)の20μlマイクロビーズと混合し、暗所でローテーターを用いて4℃で15分間インキュベートした。1×PBSで洗浄した後、DDFCs-CD105細胞をMACS緩衝液に再懸濁し、LS+/VS+分離カラムで処理した。カラムを磁気デバイスから取り外し、細胞をMACS緩衝液でフラッシュした。CD105-及びCD105+細胞を、300×g、4℃で10分間、遠心分離することによって回収した。
【0157】
細胞を同種リンパ球と1:1の比率で72時間培養し、IL‐10の産生をELISA(R&D Systems)により評価した。
図4に見られるように、CD105選択線維芽細胞においてIL-10の産生の増加が観察された。
【0158】
本開示及びその利点を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって定義される設計の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換、及び変更を本明細書で行うことができることを理解されたい。さらに、本出願の範囲は、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、及び工程の特定の実施形態に限定されることを意図していない。当業者であれば、本開示から容易に理解するように、本明細書で説明される対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行するか、又は実質的に同じ結果を達成する、現在存在するか又は後に開発されるプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、又は工程を、本開示に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲はその範囲内に、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、又は工程を含むことが意図される。
【0159】
[参考文献]
本明細書において言及される全ての刊行物は、本発明が関係する当業者のレベルを示す。全ての刊行物はあたかも各個々の刊行物が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されたかのように、同じ程度まで参照により本明細書に組み込まれる。
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【国際調査報告】