(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-10
(54)【発明の名称】プラズマ治療アセンブリ、及びプラズマ治療アセンブリの載置面の大きさを被治療表面の大きさに適合させる方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/44 20060101AFI20220303BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
A61N1/44
H05H1/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541453
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(85)【翻訳文提出日】2021-08-17
(86)【国際出願番号】 DE2019101096
(87)【国際公開番号】W WO2020147880
(87)【国際公開日】2020-07-23
(31)【優先権主張番号】102019101063.2
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512158435
【氏名又は名称】シノギー・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】CINOGY GmbH
【住所又は居所原語表記】Max-Naeder-Str. 15, 37115 Duderstadt, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】バンドケ、ディルク
(72)【発明者】
【氏名】レトケ、ロニー
【テーマコード(参考)】
2G084
4C053
【Fターム(参考)】
2G084AA24
2G084CC08
2G084CC19
2G084CC34
2G084DD14
2G084DD22
4C053MM02
4C053MM05
(57)【要約】
被治療表面において誘電体バリア放電方式のプラズマ放電を行うことを目的として、治療面を有する平面電極ユニット(4)と、該電極ユニット(4)の少なくとも1つの電極(19)に、該少なくとも1つの電極(19)と基準電位を形成する1つの対電極との間におけるプラズマ生成に必要とされる出力用の高電圧交番電位を供給する制御ユニット(11)とを備え、その際、高電圧交番電位を得る該少なくとも1つの電極(19)が、少なくとも治療面においては平面誘電体(7)で覆われていて、またその際、該平面電極ユニットは、被治療表面の大きさに適合するように、その、被治療表面上の載置面の大きさを縮小する目的で形成されているプラズマ治療アセンブリにおいて、平面電極ユニット(4)の載置面の適合が、制御ユニット(11)が適合した載置面の大きさを決定するための装置(14)と、決定された載置面の大きさに応じて該少なくとも1つの電極(19)に伝達するべき出力を調節するための制御装置とを有することによって問題なく可能である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被治療表面において誘電体バリア放電方式のプラズマ放電を行うためのプラズマ治療アセンブリであって、
治療面を有する平面電極ユニット(4)と、前記平面電極ユニット(4)の少なくとも1つの電極(19)に、前記少なくとも1つの電極(19)と基準電位を形成する1つの対電極との間におけるプラズマ生成に必要とされる出力用の高電圧交番電位を供給する制御ユニット(11)とを備え、
前記高電圧交番電位を得る前記少なくとも1つの電極(19)が、少なくとも前記治療面において平面誘電体(7)で覆われており、
前記平面電極ユニットが、前記被治療表面の大きさに適合するべく、前記被治療表面上の載置面の大きさを縮小するように構成されているプラズマ治療アセンブリにおいて、
前記制御ユニット(11)が、前記適合した載置面の大きさを決定するための装置(14)と、決定された前記載置面の大きさに応じて前記少なくとも1つの電極(19)に伝達するべき出力を調節するための制御装置とを有することを特徴とする、プラズマ治療アセンブリ。
【請求項2】
前記平面電極ユニット(4)が、第1の端部と第2の端部との間で長手方向に延在する少なくとも1つの所定の幅の電極を備えたストリップとして形成されており、前記ストリップの長さによって前記載置面の大きさが決定されること、及び前記載置面の大きさを決定するための前記装置が前記ストリップの長さに対する検出アセンブリ(14)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマ治療アセンブリ。
【請求項3】
前記検出アセンブリ(14)が、前記少なくとも1つの電極において伝播された電気的テスト信号を用いて前記ストリップの長さを決定するように構成されていることを特徴とする、請求項2に記載のプラズマ治療アセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの電極(19)が、前記第1の端部において結合された電気的テスト信号を、前記第2の端部において反射するように構成されていることを特徴とする、請求項3に記載のプラズマ治療アセンブリ。
【請求項5】
前記検出アセンブリ(14)が、電気的テスト信号を発生させるように構成されている周波数発生器と、前記電気的テスト信号の周波数を継続的に調整するための調整装置と、前記電気的テスト信号の振幅を決定するための検出装置とを備えることを特徴とする、請求項4に記載のプラズマ治療アセンブリ。
【請求項6】
前記周波数発生器が高調波列の形態の電気的テスト信号を発生させるように構成されていることを特徴とする、請求項5に記載のプラズマ治療アセンブリ。
【請求項7】
前記制御ユニット(11)が、前記平面電極ユニットの長さ及び/又は面積を決定するための、少なくとも1つのカメラ(30)と1つの評価装置を備えたカメラアセンブリを有することを特徴とする、請求項1に記載のプラズマ治療アセンブリ。
【請求項8】
前記平面電極ユニット(4、40)が同一に組み立てられた電極を備えた複数のセグメント(5、50)から成り、前記セグメントの間に予定切離線(6)が存在し、前記載置面の縮小が1つ以上のセグメント(5、50)の切離しによって行われるようになっていることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマ治療アセンブリ。
【請求項9】
前記複数のセグメント(50)が異なるコーディング(22)を有し、前記制御ユニットがこれに対する読取り検出器を含むこと、及び前記平面電極ユニット(4)の、前記制御ユニット(11)との結合が、1つ以上のセグメントが切り取られた切り口に位置するセグメント(50)において提供されていることを特徴とする、請求項8に記載のプラズマ治療アセンブリ。
【請求項10】
被治療表面において誘電体バリア放電方式のプラズマ放電を行うために、プラズマ治療アセンブリにおける、治療面を有する平面電極ユニット(4)の載置面の大きさを、前記被治療表面の大きさに適合させる方法であって、
前記平面電極ユニット(4)の少なくとも1つの電極(19)に、制御ユニット(11)を用いて、前記少なくとも1つの電極(19)と基準電位を形成する1つの対電極との間におけるプラズマ生成に必要とされる出力用の高電圧交番電位が供給され、前記高電圧交番電位を得る前記少なくとも1つの電極(19)が、少なくとも治療面においては平面誘電体(7)で覆われており、
前記被治療表面の大きさに適合するように前記平面電極ユニット(4)の載置面が縮小される方法において、
前記制御ユニット(11)を用いて前記縮小された表面の大きさが決定され、それに基づいて、決定された前記載置面の大きさに応じて前記少なくとも1つの電極(19)に供給するべき出力が調節されることを特徴とする、プラズマ治療アセンブリの載置面の大きさを被治療表面の大きさに適合させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被治療表面において誘電体バリア放電方式のプラズマ放電を行う目的で、治療面を有する平面電極ユニットと、該電極ユニットの少なくとも1つの電極に、該少なくとも1つの電極と基準電位を形成する1つの対電極との間におけるプラズマ生成に必要とされる出力用の高電圧交番電位を供給する制御ユニットとを備えたプラズマ治療アセンブリに関し、その際、高電圧交番電位を得る該少なくとも1つの電極が、少なくとも治療面においては平面誘電体で覆われていて、またその際、該平面電極ユニットは、被治療表面の大きさに適合するように、その、被治療表面上の載置面の大きさを縮小する目的で形成されている。
【0002】
本発明は更に、被治療表面において誘電体バリア放電方式のプラズマ放電を行う目的で、プラズマ治療アセンブリの、治療面を有する平面電極ユニットの載置面の大きさを、被治療表面の大きさに適合させるための方法に関し、その際、該電極ユニットの少なくとも1つの電極に、制御ユニットを用いて、該少なくとも1つの電極と基準電位を形成する1つの対電極との間におけるプラズマ生成に必要とされる出力用の高電圧交番電位が供給され、高電圧交番電位を得る該少なくとも1つの電極が、少なくとも治療面においては平面誘電体で覆われていて、またその際、被治療表面の大きさに適合するように該電極ユニットの載置面が縮小される。
【背景技術】
【0003】
被治療表面において誘電体バリア放電方式のプラズマ放電を行うためのプラズマ治療アセンブリは多数の実施形態において知られている。その際、被治療表面上でのプラズマ形成の前提条件は、プラズマ治療アセンブリの電極ユニットの少なくとも1つの電極に高電圧交番電位を供給することである。その際、電極ユニットは交番電圧電位が供給される1つ以上の電極を有することができ、その際、接地電極が装備されているか、あるいは被治療表面の物質が十分な導電性を有していれば、被治療表面が対電極として用いられる。基準電位を形成する対電極に関する一例は、必要に応じて「浮遊」対電極として僅かにしか変動しない基準電位を形成する人間又は動物の体における治療である。
【0004】
電極ユニット自体が基準電位にある対電極を有する場合、高電圧交番電位で作動した少なくとも1つの電極と対電極との間に交番場が発生し、これによって電極ユニットの表面でプラズマが形成される。そのようにして達成可能なプラズマ治療は、被治療表面を対電極として使用する場合ほど集中的なものではない。
【0005】
表面を広範囲に治療可能にするために、電極ユニットを平面状に形成することがかねてから知られていて、その際電極ユニットの載置面は被治療表面上に直接位置し得る。その際、被治療表面と電極を覆う誘電体との間においてプラズマ形成用のガススペースつまり空隙の範囲を定めるために、載置面にはスペーサを備えておくことができる。
【0006】
載置面を備えた電極ユニットの大きさが、考慮の対象になる可能な限りあらゆる大きさの被治療表面に確実に適合することが保証されるように、多数の大きさの電極ユニットを製造することは、生産技術的理由により非経済的である。問題が生じるのは特に被治療表面が生体の創傷面である場合であり、それは該創傷面が全く異なる広がりを有し得ることによる。
【0007】
独国特許出願公開第102014220488号明細書より、プラズマ治療アセンブリの制御装置に異なる電極ユニットを接続することが知られている。その際電極ユニットに、該電極ユニットに対して‐及び必要に応じて特殊な応用事例に対して‐必要とされる電気信号の供給が保存されているチップを装備することが可能である。その際、相応に製造された電極ユニットの妥当な大きさも考慮され得る。当然これは電極ユニットが異なる大きさで予め製造されることを前提とし、そのことから上述の欠点が生じる。
【0008】
上記の欠点に基づき、各被治療表面への適合のために載置面が縮小され得る電極ユニットが既に周知になっている。欧州特許第2723447号明細書より、螺旋状に巻かれた細いストリップから成り、該ストリップにおいて少なくとも1つの電極が該ストリップの長手方向に延在する電極ユニットが知られている。その際基本的に円形状の載置面の縮小は、外側の巻付け部を形成するストリップの長さを切り取ることによる螺旋状に巻かれたストリップの短縮によって成功する。残った電極ユニットの切り取られた端部における接触は、接触保護されて安全に行われる。類似のアセンブリは独国特許出願公開第102017104852号明細書より知られていて、この場合、螺旋状に形成されたストリップは正方形又は長方形の電極ユニットを形成することができ、ストリップの長さの短縮が引離しによっても可能な予定破断箇所を備えている。この場合もストリップの引離し箇所における接触は、接触保護されて安全に行われる。
【0009】
縮小可能な電極ユニットの問題は、電極ユニットの載置面の縮小後の表面出力の適合が手動で行われなければならず、操作者の経験に依存することにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許出願公開第102014220488号明細書
【特許文献2】欧州特許第2723447号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102017104852号明細書
【発明の概要】
【0011】
したがって本発明には、表面出力の適合の改善を、縮小可能な電極ユニットにおいても可能にするという課題がある。
【0012】
上記の課題を解決するために、発明により、冒頭に記載の方式のプラズマ治療アセンブリは、制御ユニットが適合した載置面の大きさを決定するための装置と、決定された載置面の大きさに応じて少なくとも1つの電極に伝達するべき出力を調節するための制御装置とを有することを特徴とする。
【0013】
上記の課題は更に、縮小された表面の大きさが制御ユニットを用いて決定され、それに基づいて、決定された載置面の大きさに応じて少なくとも1つの電極に伝達するべき出力が調節されることを特徴とする、冒頭に記載の方式の方法を用いて解決される。
【0014】
したがって発明により、被治療表面の大きさに適合させるために電極ユニットの接触面を機械的に縮小し、その後、縮小された表面に応じて、制御ユニットによって電極ユニットに送られた電気出力の適合を行うことが予定されている。この目的で、適合した載置面の大きさを決定するための装置と、少なくとも1つの電極に相応に伝達するべき出力を調節するための制御装置とを備えた制御ユニットが構成されていて、それによってプラズマ生成に必要とされる電気出力を、電極ユニットの現存する載置面に適合させることが可能であることから、1面当たりのプラズマ強度は、それぞれ調節された全ての載置面に対してほぼ同じである。この方法で、不十分な電気出力によって有効なプラズマが実現されないこと、あるいは強力過ぎるプラズマに起因する被治療表面の損傷の発生によって、特に身体表面に苦痛を与える結果がもたらされ得ることが防止され得る。
【0015】
制御ユニットは主として、電極ユニットが制御ユニットと接続された後、特に制御ユニットに動作的に排除された後で、電極ユニットの載置面の大きさの決定が行われるように構成され、整備されている。
【0016】
載置面の大きさの決定は複数の方式で行うことができ、その際、載置面とは常に電極ユニットの有効載置面を意味している。
【0017】
平面電極ユニットが、第1の端部と第2の端部との間で長手方向に延在する少なくとも1つの所定の幅の電極を備えたストリップとして構成されていることによって、ストリップの長さが載置面の大きさを成せば、本発明により、載置面の大きさを決定するための装置はストリップの長さに対する検出アセンブリであり得る。この場合、制御ユニットから電極に電気的テスト信号を送出することができ、該信号は電極内へできる限り損失無しで第1の端部において結合され、もう一方の端部、第2の端部において反射される。この方法で、入力された周波数で構成された波に相応の反射波が電極上で重畳された。ここで、テスト信号の周波数を変更することによって、結合された信号が反射信号の重畳によっていつ消滅するかが確認され得る。適切に選択された長さの出力波長において周波数上昇によって波長が短縮されたことに基づき、ストリップの長さが波長の4分の1(λ/4)に相当する場合に初めて消滅が起こることから、周波数又は波長が知られていれば、初回の信号消滅が電極ユニットを構成するストリップの長さに対する基準になる。したがって制御装置は、各周波数又は波長を継続的に調整可能な周波数発生器を必要とする。更に、(初回の)消滅を確認するために電気信号用の検出器が必要となる。制御ユニットにおいて、消滅が起こった周波数又は波長が読取り可能でなければならない。決定されたストリップの長さ、及びそれによって決定された載置面の大きさに応じて、プラズマ形成のためのできる限り不変の表面出力を達成するために、電気パラメータが調節され得る。
【0018】
代替として、縮小された電極ユニットをカメラを用いて制御装置により把握し、縮小された電極ユニットの大きさを相応の画像評価によって決定し、その後制御ユニットによって供給された出力を調節することが可能である。
【0019】
電極ユニットが同様に組み立てられた電極を備えた複数のセグメントから成り、その間に予定切離線が存在することによって、載置面の縮小が1つ以上のセグメントの切離しによって行われる場合、該セグメントは、制御ユニットによって読取り検出器を用いて読取り可能な異なるコーディングを有し得る。その場合、残った電極ユニットの、1つ以上のセグメントが切り離された切り口に位置するセグメントのコーディングの識別によって、残った電極ユニットの大きさが直接確認され、電極ユニットの作動に使用され得る。その際、該コーディングは任意の形態で構成しておくことができ、例えば凸部若しくは凹部の形態で機械的に、バーコード、QRコード(登録商標)等の形態で光学的に、永久磁石を用いて磁気的に、又は電子的に構成しておくことができる。電子的形態に関して考慮の対象となるのは、特にセグメントにおけるトランスポンダの使用である。
【0020】
本発明は、より良く理解されるように図面に示した実施例に基づいて以下により詳細に解説されることになるが、該実施例は決して保護範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】内部に電圧源と制御ユニットが位置するハウジングが接続されている、複数の同一セグメントで構成された電極ユニットを示す斜視図である。
【
図2】ハウジング上部が取り外された
図1に基づく図である。
【
図4】ハウジングに(更に)短縮された電極ユニットが接続されているアセンブリの、
図3に基づく上面図である。
【
図5】短縮された電極ユニットに対する、
図2に基づく斜視図である。
【
図6】電極ユニットのセグメントが異なる機械的コーディングを有する第2の実施形態に対する、
図2に相応する斜視図である。
【
図9】第2の実施形態に対する、
図5に相応する斜視図である。
【
図10】螺旋状に巻かれたストリップで構成された電極アセンブリが接続されているハウジングの上面図である。
【
図12】
図11の切断線B‐Bに沿ったハウジングの水平断面図である。
【
図13】
図10の切断線A‐Aに沿ったハウジング及び電極アセンブリの垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明によるプラズマ治療アセンブリの第1の実施形態は
図1~
図5に示されている。接触保護されて安全に閉じられた、ハウジング下部2とハウジング上部3から成るハウジング1には、電極ユニット4が電気的接触を確立した状態で接続されている。電極ユニット4は図示した実施例においては基本的に同一のセグメント5から成り、該セグメントは予定切離線6を介して互いに結合されている。セグメント5は上面と下面が誘電体7によって構成されている平面セグメントであり、該誘電体は図示した実施形態においては貫通開口部8を有する。セグメント5は実施例として長方形に構成されていて、その、予定切離線6に対して垂直に位置する長手方向縁部9に、平面粘着フラップ10を有し、これを用いて電極ユニット4が被治療表面、例えば人間又は動物の体の皮膚上で固定され得る。ハウジング1から最も離れたセグメント5は、予定切離線6と平行に延在する更なる粘着フラップ10aを備えている。
【0023】
図2はハウジング上部3が取り外されたハウジング1を示す図であり、したがってハウジング下部のみを見ることができる。ハウジング1内には制御ユニット11が位置し、これが、2つの高電圧コイル12a、12bを介して2つの高電圧信号を付属のケーブル13a、13bを介して電極ユニット4に導く。ハウジング1内には更に検出装置14が位置し、これを用いてケーブル13a、13bの少なくとも1つに電気信号が、該ケーブル13a、13bを介して未だ高電圧信号が送られない間は、送られ得る。
【0024】
図2において、ハウジング下部2の直立している側壁の横に、ハウジング上部3をハウジング下部の上にネジ止めし得るネジ収容部15が認識される。
【0025】
図3はハウジング下部2内のアセンブリの上面と電極ユニット4の水平断面を明らかにする。ハウジング1には、ハウジング1内の制御ユニット11に電圧を供給する電圧源16が接続可能である。制御ユニット内には高周波制御インパルスを発生させるマイクロコントローラ17が位置し、該制御インパルスは、両高電圧コイル12a、12bの出口において、それぞれ高周波で振幅が強く減衰した振動を有する高周波インパルス列が連なるように、信号整形段18において処理される。該インパルスの繰返し周波数は通常1kHz~20MHzである。
図3は、高電圧変圧器の二次コイルである高電圧コイル12a、12bの出力信号が、電極19の部分電極19a、19bの各1つと接続されていることを示す概略図である。該部分電極はセグメント5の中心線20に対して鏡映対称的に電極ユニット4の長手方向に延在する。部分電極19a、19bの幅はそれぞれ予定切離線6の範囲において段状に縮小されている。部分電極19a、19bは‐該図面では円形状の‐開口部21を備えていて、これは誘電体の貫通開口部8と一直線に並んでいるが、直径がより大きいことにより、誘電体の貫通開口部8は電極19を貫いて延在し、電極19の高さにおいても誘電体7によって構成された内壁を有する貫通路を構成する。この方法で、流体、特に液体が該貫通開口部を通して、液体が電極19と接触することなく導かれ得ることが保証される。したがって電極ユニット4は人間又は動物の皮膚上の創傷への適用にも適していて、その際該貫通開口部を通って創傷分泌液が導き出され得る。
【0026】
電極19は‐図示した通り‐2つ以上の部分電極19a、19bによって構成しておくことができ、誘電体7に埋設されていて、したがって、特に被治療表面に対して、接触保護されて安全に覆われている。電極への高周波高電圧電位の供給によって、電極19と対電極(接地電極)として機能する被治療表面との間に高電圧場が形成される。両部分電極19a及び19bには、加算信号がゼロになる互いに反転した高電圧信号が供給される。これは例えば両高電圧コイル12a、12bが同一の制御信号で作動するが、逆に巻かれていることにより、両コイルの出口において反対の極性を有する信号が形成されることによって成功する。これによって部分電極の領域においてプラズマ場が強化された一方で、該場が既に少し離れて相殺されることによって、高周波信号による周囲の損傷は大いに減少する。
【0027】
当然、電極19の2つの部分電極を用いた形態は、多くの場合に確かに有利であるが、本発明の実施に必ずしも必要ではない。これは一体の電極19を用いても実現され得る。
【0028】
更に、1つの部分電極が高周波交番電圧信号を得て、もう1つの電極が接地電極として対電極を形成するように、部分電極を作動させることが可能である。この実施形態は、被治療表面を有する身体の物質により、例えば必要とされる導電性が不足していることによって、被治療表面が対電極として適していない場合に有効である。その際、部分電極は必ずしも、
図3に示したように、並行配置されている必要はなく、それ自体周知の配置で上下の層状に重ねておくこともでき、したがって両電極の間に誘電体層が置かれることになる。
【0029】
図4は、電極ユニット4が互いに連結している2つのセグメント5のみによって形成されていることによって、電極ユニット4が、
図3の電極ユニット4に対して明らかにより僅かな、被治療表面の(図示されない)載置面を構成するアセンブリを示す。
【0030】
制御ユニットが
図4のより小さい電極ユニット4に、
図3による大きい電極ユニット4と同じ電気出力を供給しないように、電極ユニット4がハウジング1内の制御ユニット11と接続されると、載置面の大きさが検出装置14を用いて確認される。この目的で、検出装置14は部分電極19a、19bの少なくとも1つに電気信号を送る。検出装置14の電気信号は部分電極19a、19bの自由端において、つまり前端の離れたセグメント5において反射され、それによって送出信号に反射信号が重畳されることになる。検出装置14は、周波数(波長)が調整可能な連続的高調波電気信号を送出するように構成しておくことができる。その場合、該周波数は加算信号の初回の消滅が検出可能であるように調整される。消滅が起こるのは、電極ユニット4の長さが波長の4分の1に相当する場合である。したがって、加算信号の初回の消滅が起こる長さに調節された波長を介して、電極ユニット4の長さが算出され得る。図示した電極ユニット4の場合は電極ユニット4の長さが載置面に比例していることから、制御ユニット11の制御装置としてのマイクロコントローラ17によって制御信号の振幅‐したがってプラズマ場に利用できる電気出力が載置面の大きさに応じて調節され得る。
【0031】
それに応じて、
図4の電極ユニット4には、
図3による電極ユニット4とは別の電気出力が供給される。
図4による小さい電極ユニット4に対して生み出されるアセンブリは
図5の斜視図において明らかにされている。
【0032】
図示された外部電圧源16が必須でないことは当業者には明らかである。ハウジング内に、充電式又は非充電式バッテリを動力源とする自立電圧源を装備することも可能であり、その際、高周波交番電圧信号は周知の方法でチョッパによって、又はインパルス状に作動した発振回路によって生成される。更に、制御ユニット11が既に高電圧信号を供給することが可能であり、そのためには当然耐高電圧ケーブルの使用が必要となる。
【0033】
図6~
図9に示されている本発明の第2の実施形態において、電極ユニット40は同様に基本的に同一のセグメント50から成り、これは第1の実施形態のセグメント5と同じ方法で組み立てておくことができる。相違点は単に、セグメント50がその、必要に応じて予定切離線6に位置する各前縁部に、それぞれ1つの異なる機械的コーディング22を有することのみである。該機械的コーディングは、セグメント50の各前縁部の4つの所定の位置における凸部の有無によって生み出される。この機械的コーディング22と、ハウジング1内の検出レバー23が共同作用する。検出レバーの位置が検出装置14によって認識され、したがって該装置によって、どのセグメント50がハウジング1内の制御ユニット11と接触しているかが確認され得る。電極ユニット40の短縮は、電極ユニット4の、前端の粘着フラップ10aを備えたセグメント50とは反対に位置する端部の少なくとも1つのセグメント50を切り離すことによって行われる。したがって、ハウジング1の制御ユニット11と接触しているセグメント50の識別によって、残った電極ユニット40の長さが決定され得る。それに応じて、制御ユニット11は、電極19に送られる電気出力を制御する。この実施形態において、電極19は唯一の電極として示されている。当然、この実施形態において、電極19を2つ以上の部分電極19a、19bで構成しておくこともできる。
【0034】
機械的コーディング22と共同作用する検出レバー23は、
図7~
図9が明らかにするように、共通の軸で回転可能に保持されている2本アーム式レバーであり、電極ユニット40の方向に、下向きに曲がった探針25を有する。軸24の向こう側で下から作用する圧縮バネ26によって、探針25は、ハウジング1の中に押し込まれたセグメント50の表面上に下向きに押される。1つの検出レバー23又は複数の検出レバー23に対して1つの機械的コーディング22がセグメント50上に存在していて、単に該レバーの探針25が、
図8及び
図9において明らかにされているように、持ち上げられるのみである。
【0035】
図6と
図9との比較で明らかになるように、
図6の長い電極ユニット4が、
図6において右にある検出レバー23のみが持ち上げられていることによってコード化されている一方で、短い電極ユニットに対しては、電極ユニット4が最後の2つのセグメント50でのみ形成される場合、
図6において最後から2番目のセグメント50に位置する2つの凸部を有するコーディングが右側の両方の検出レバー23に対して有効である。
【0036】
探針25の持上げ‐したがって検出レバー23の位置の変更は、従来の方法で、例えば、探針25から離れているレバーアームにおける接触によって検出され得る。
図8に暗示されているような、光バリア27を用いた検出も可能である。1つの光バリアのみが存在する場合は、高電圧信号が電極19に送られる前に、この時点での大きさの決定を行う目的で、レバーの1つによる光線の中断によって、ハウジング1の制御ユニット11が電極ユニット4と接触されたことも示され得る。
【0037】
基本的に本発明の範囲内において、電極ユニット4の大きさの算出は、電極ユニット4のハウジング1における制御ユニット11との接触時、又は接触直後である。
【0038】
図10~
図13に示された本発明の第3の実施形態において、電極ユニット4は螺旋状に巻かれたストリップの形態に形成されていて、該ストリップは、電極ユニット4の使用可能な載置面を縮小するために、任意の位置で切り取ることができる。一部が切り取られた切り口に位置するストリップの端部は、ハウジング1の収容溝に押し込まれ、そこで該端部との接触が、ロッカ28を用いて、例えばロッカの金属製絶縁変位コネクタが誘電体7を突き刺し、誘電体7の内部で電極19との導電接触を確立することによって行われ得る。ロッカはスライダ29を用いてロックすることができ、それによって耐高電圧接続が可能である。ハウジング1は前述の実施形態におけるハウジング1と同じ方法で制御ユニット11を装備しておくことができる。
【0039】
当然、第3の実施形態に対して例として示した電極ユニット4の形態は、例えば直線状にまっすぐ延在するストリップを備えた他の電極形態も電極ユニットとして可能であることから、前提条件ではない。
【0040】
検出装置14として、ハウジング1において電極ユニット4の表面に向けられているカメラ30が装備されていて、それによって画像評価を用いて接続されている電極ユニット4の大きさを確認することができる。この目的でも基本的に、ハウジング1における制御ユニット11との接触が起こった後で、電極ユニット4の大きさの確認が行われる。
【0041】
全ての実施例において、電極ユニット4はその載置面において被治療表面の方向に、誘電体7に形成された間隔保持突出部31を備えておくことができ、該突出部によって、被治療表面上に密着している場合に、誘電体バリア放電プラズマが形成され得るガススペースが空けられた状態になる。
図12及び
図13は電極ユニット4の上面の上部におけるカメラ30の配置を明らかにする。
【0042】
記載された実施例が、使用された電極ユニット4の形態に関して、また使用された検出装置14に関してそれぞれ組合せ可能であること、及びそれぞれ記載された組合せへの限定が意図されても、示されてもいないことが容易に認識できる。同じことがハウジング1の形態、及びあらゆる従来の方法で行われ得るハウジング1における電極ユニット4と制御ユニット11との間の接触方式に対しても当てはまる。
【符号の説明】
【0043】
1 ハウジング
2 ハウジング下部
3 ハウジング上部
4 電極ユニット
5 セグメント
6 予定切離線
7 誘電体
8 貫通開口部
9 長手方向縁部
10 粘着フラップ
10a 粘着フラップ
11 制御ユニット
12a 高電圧コイル
12b 高電圧コイル
13a ケーブル
13b ケーブル
14 検出装置
15 ネジ収容部
16 電圧源
17 マイクロコントローラ
18 信号整形段
19a 部分電極
19b 部分電極
20 中心線
21 開口部
22 機械的コーディング
23 検出レバー
24 軸
25 探針
26 圧縮バネ
27 光バリア
28 ロッカ
29 スライダ
30 カメラ
31 間隔保持突出部
【国際調査報告】