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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-10
(54)【発明の名称】鉱物回収方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 26/12 20060101AFI20220303BHJP
   C22B 7/00 20060101ALI20220303BHJP
   C22B 3/06 20060101ALI20220303BHJP
   C22B 1/02 20060101ALI20220303BHJP
   C22B 3/08 20060101ALI20220303BHJP
   C22B 21/00 20060101ALI20220303BHJP
   C22B 1/00 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
C22B26/12
C22B7/00 C
C22B3/06
C22B1/02
C22B3/08
C22B21/00
C22B1/00 601
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021541736
(86)(22)【出願日】2020-01-20
(85)【翻訳文提出日】2021-09-06
(86)【国際出願番号】 CA2020050057
(87)【国際公開番号】W WO2020146956
(87)【国際公開日】2020-07-23
(31)【優先権主張番号】62/794,414
(32)【優先日】2019-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521319199
【氏名又は名称】セント - ジョージズ エコ - マイニング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディ チェーザレ、エンリコ
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001AA02
4K001AA34
4K001BA04
4K001BA22
4K001CA02
4K001CA03
4K001CA11
4K001DB03
4K001DB05
4K001GA09
(57)【要約】
供給原料からリチウム分を選択的回収するための方法が提供される。この方法は、空気分級及び浮選のうちの1つ以上による選鉱と、Mg、Ca又はNaの形成を除去するための選択的浸出と、酸による浸出/超音波処理とを含む。さらに、リチウム含有鉱石の水性泥漿をコンディショニング試薬で処理し、脈石泥鉱からリチウム含有鉱石のリチウム分の画分を浮選する、リチウム含有鉱石を選鉱する方法が提供され、この処理は、スポジュメン及びリチウム分のうちの1つ以上に対する陰イオン捕収剤の選択性を向上させる。さらに、リチウムイオン電池からリチウムを選択的に回収するための方法が提供される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給原料からリチウム分を選択的に回収するための方法であって、
(a)空気分級及び浮選のうちの1つ以上による濃縮と、
(b)Mg、Ca及びNaの形成のうちの1つ以上を除去するための選択的浸出と、
(c)酸による浸出/超音波処理と
を含む、方法。
【請求項2】
前記Mg及びCaの形成物が、それぞれMgO及びCaOである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
浸出を増強するために追加の物質を提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記物質が、HSOを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記選択的浸出が、硝酸を使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記硝酸が、10%~90%の濃度で使用される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記酸が、硫酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記酸が、前記硝酸であり、前記浸出/超音波処理が、約5分~約120分の範囲の期間にわたって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記供給原料が超微細粘土であり、前記期間が前記5分前後である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
空気分級による前記濃縮工程が、前記リチウム分の濃度をほぼ2倍にする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
空気分級による前記濃縮工程が、乾燥を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
Ca形成物を除去するための前記選択的浸出の工程が、HSOを化学量論的に添加することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
高純度の石膏をもたらす、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記石膏が、乾式壁での使用に適している、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
リチウム含有鉱石を選鉱する方法であって、
(a)前記リチウム含有鉱石の水性泥漿をコンディショニング試薬で処理することと、
(b)脈石泥鉱から前記リチウム含有鉱石のリチウム分の画分を浮選することと
を含む方法であって、
前記処理が、スポジュメン及び前記リチウム分のうちの1つ以上に対する陰イオン捕収剤の選択性を向上させる、方法。
【請求項16】
前記浮選が、泡沫浮選プロセスを利用する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記コンディショニング試薬が、水溶性多価金属塩を水溶性アルカリ金属シリケートの水溶液に組み入れることによって形成される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記泥漿が、浮選剤としての陰イオン捕収剤の存在下で従来の泡沫浮選に供される前に、前記コンディショニング試薬が、前記泥漿に添加され、泥漿と完全に混合される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
リチウムイオン電池からリチウムを選択的に回収するための方法であって、
(a)包装を前記電池から取り外すことと、
(b)リチウムを酸で選択的に浸出させ、アルミニウムと酸化鉄のうちの少なくとも1つを残すことと
を含む、方法。
【請求項20】
前記酸が、硝酸である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
未温浸のアルミニウム及び鉄を濾別することをさらに含み、アルミニウム回収のための後続のリサイクル方法で再利用する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記電池に存在するホスファートをガス化するためにか焼することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記包装が、FeLiPOで被覆されたアルミニウム箔を含み、前記方法が、前記ホイルを細断することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、泥鉱、粘土及び硬岩などの様々な供給原料から金属分を選択的に回収する方法に広く関する。より具体的には、限定的ではないが、本開示は、リチウムを選択的に回収し、副生成物を肥料などの販売可能な物品に変換するための方法に関する。
【0002】
販売可能な副生成物のおかげで、炭酸リチウム、水酸化リチウムなどの様々な生成物のリチウム生産についての総操業コストは、予想されるよりも低くなり、生産者にとってより低い全体コスト又はより低い化学的総コストとなる。さらに、本発明は、成長する静的電池市場のためのリチウム金属及びリチウム合金の生産を可能にする。
【背景技術】
【0003】
泥鉱及び粘土は、硬岩鉱石と比較して選鉱する(濃縮する:concentrate)ことが困難である。3つすべての場合で、不純物は、酸及び中和化学物質の消費を増加させる可能性がある。より低いグレードの泥鉱及び粘土は、設備投資の規模並びにエネルギーコストを増加させる。スポジュメン及びレピドライトは、この結晶形態を首尾よく浸出させるために高温及び高圧又は焙焼を必要とする。すべての場合において、選択的浸出は、単純化された精製工程で溶液に入る不純物を低減できる。
【0004】
開発の焦点は、粘土などの資源を選択的浸出に解放して溶液中の元素を減少させること、及び肥料などの消費可能な副生成物を最大化することであった。
【0005】
本開示は、いくつかの文書に言及し、その内容は全体が参照により本明細書に具体的に組み込まれる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一態様によれば、供給原料からリチウム分(lithium values)を選択的に回収する方法が提供される。この方法は、空気分級及び浮選のうちの1つ以上による濃縮(concentration)と、Mg、Ca又はNaの形成を除去するための選択的浸出と、酸による浸出/超音波処理とを含む。
【0007】
本発明の一態様によれば、リチウム含有鉱石を選鉱(beneficiating)する方法が提供される。本方法は、リチウム含有鉱石の水性泥漿(aqueous pulp)をコンディショニング試薬で処理することと、脈石泥鉱(gangue slimes)からリチウム含有鉱石のリチウム分(lithium values)の画分を浮選することとを含み、この処理は、スポジュメン及びリチウム分のうちの1つ以上に対する陰イオン捕収剤の選択性を向上させる。
【0008】
本発明の一態様によれば、リチウムイオン電池からリチウムを選択的に回収する方法が提供される。本方法は、電池から包装を取り外すことと、酸でリチウムを選択的に浸出させることと、アルミニウム及び酸化鉄のうちの少なくとも1つを残すこととを含む。
【0009】
図面において、本発明の実施形態を一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】肥料生産の経路を示す、本発明の一実施形態の例示的な方法の簡略化された概略図である。
図2】本発明の一実施形態における電解採取のための方法の簡略化された概略図である。
図3】本発明の別の実施形態における電解採取のための方法の簡略化された概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<用語集>
本明細書で使用される用語の明確で一貫した理解を提供するために、いくつかの定義を以下に提供する。さらに、他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0012】
別段の指示がない限り、この節及び他の節に記載された定義及び実施形態は、当業者によって理解されるように適切である、本明細書に記載された出願のすべての実施形態及び態様に適用可能であることが意図される。
【0013】
特許請求の範囲及び/又は本開示における「含む」という用語と併せて使用される場合の「a」又は「an」という単語は、「1つ」を意味し得るが、内容が明確に他を指示しない限り、「1つ以上」、「少なくとも1つ」、及び「1つ又は複数」の意味とも一致する。同様に、「別の」という単語は、内容が明確に他を指示しない限り、少なくとも2つ目又はそれ以上を意味し得る。
【0014】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「含む(comprising)」(並びに「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」などの任意のcomprisingの形態)、「有する(having)」(並びに「有する(have)」及び「有する(has)」などの任意のhavingの形態)、「含む(including)」(並びに「含む(include)」及び「含む(includes)」などの任意のincludingの形態)又は「含有する(containing)」(並びに「含有する(contain)」及び「含有する(contains)」などの任意のcontainingの形態)という単語は、包括的であり、又は制限がなく、追加の列挙されていない要素又は方法工程を排除しない。
【0015】
本開示及び特許請求の範囲で使用される場合、「からなる(consisting)」という単語及びその派生語は、記載された特徴、要素、構成要素、群、整数、及び/又は工程の存在を特定する限定用語であることを意図し、かつ、他の記載されていない特徴、要素、構成要素、群、整数、及び/又は工程の存在を排除する。
【0016】
本明細書で使用される「から本質的になる」という用語は、記載された特徴、要素、構成要素、群、整数、及び/又は工程、並びにこれらの特徴、要素、構成要素、群、整数、及び/又は工程の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないものの存在を特定することを意図している。
【0017】
本明細書で使用される「約」、「実質的に」、及び「およそ」という用語は、最終結果が有意に変更されないような、修飾された用語の妥当な程度の偏差を意味する。これらの程度の用語は、この偏差が修飾する単語の意味を否定しない場合、修飾されている用語の少なくとも±1%の逸脱を含むと解釈されるべきである。
【0018】
本明細書で使用される場合、「リチウム供給原料」という用語は、リチウムの酸化物及びスポジュメンなどの異なる結晶形態にわたる泥鉱、粘土及び硬岩などの固体形態でリチウムを含有する一連の材料を指す。これらの材料は、他の形態の中でも、酸化カリウム/塩化カリウムなどのカリウム結晶形態を含有してもよい。さらに、MgOは、これらの供給原料及びカルシウムに一般的に見られる。
【0019】
温浸(digestion)は広く使用されており、10~90%の範囲の硝酸で固体を温浸する酸を指す。供給原料に応じて、ほとんどのスポジュメン又はレピドライトは、60~90%の濃度のHNOを必要とする。
【0020】
本明細書で開示される方法工程に関して本明細書で使用される「実質的に」という用語は、材料の変換又は回収が最大化される程度まで方法工程が進行することを意味する。例えば、所与の金属分(例えば、リチウム、MgO、カリウム)の回収に関して、回収は、金属分の少なくとも50%が回収されることを意味する。
【0021】
「精製」という用語は、樹脂又は溶媒抽出を用いたリチウムの液体分離に関して使用される。
【0022】
本明細書で使用される「か焼(calcination)」という用語は、LiOHからLiO、MgOHからMgOへの変換を指し、スポジュメン及びレピドライトの微細構造を改変し、及び/又は酸素を添加してこれらの形態のリチウムの浸出能力を促進する。
【0023】
<実施形態>
本発明の実施形態は、高温高圧容器の使用を回避する浸出を利用する。原料に応じて、本発明の実施形態を使用することにより、マグネシウム、カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム及び硝酸ナトリウムの回収が可能である。
【0024】
リチウム精鉱(lithium concentrates)は、溶液を塩で飽和させることによって溶液の密度を変化させることによる泡沫浮選及びカラム浮選によって達成可能であり、浮選の選択性を向上させる。これは、空気粒子のサイズ及び重量に起因して粒子の流れだけで対象外の結晶を容易に持ち越すことができる粘土のような超微粉末に適用可能である。溶液の密度変化は、空気粒子を濃縮するのに役立つ。
【0025】
供給原料に応じて、必要ならば、材料の解凝集を乾燥し、続いて飽和塩溶液でスラリーを作成するだけで、空気分級を首尾よく適用することができる。MgCl、シリカ塩の両方が成功裏に使用された。
【0026】
浮選を向上させても、4~6%のリチウムのスポジュメン精鉱と同様の精鉱は達成できない。1%~3%のリチウムの精鉱(濃縮)は、精製工程を妨げ得る元素を減らすために選択的な浸出を必要とする。不動態化酸としての硝酸は、主にカルシウム、マグネシウム、ナトリウム及びリチウムなどの塩金属並びにカルボナートを浸出することが示された。
【0027】
これらの元素は、ニトラート添加のための肥料に補完的である。さらに、図1に示すように、過剰の硝酸及びニトラートをホスファート供給物と組み合わせてニトロ-ホスファート肥料を製造することができる。
【0028】
電解採取によって生成される水酸化リチウムは、硝酸塩基を用いて生成されたことがない。さらに、か焼すると、高純度のLiOに変換することができ、これはリチウム金属又はリチウムとMgとの合金を製造するのに理想的である。この供給原料は、炭素の化学量論的要件を用いて石油コークスと混ざり、コークスはCO及びCOとしての酸素と結び付き、液体リチウムは電解採取工程に送られてリチウム金属を製造する。回収された塩素ガスは、図2及び図3に示すように塩化リチウム反応器に戻される。
【0029】
細粒の場合:本発明の一実施形態によれば、リチウム含有鉱石のリチウム分の画分は、脈石泥鉱から浮遊し、粒度分布に応じて、ボニークレアで見出されるものなどの粘土材料は、飽和塩溶液で選鉱(濃縮)するか、又は空気分級を用いてボニークレアのように半分にアップグレードすることができる。
【0030】
鉱石の水性泥漿(aqueous pulp)をコンディショニング試薬で処理する泡沫浮選プロセスにより、スポジュメン及び他のリチウム分に対する陰イオン捕収剤の選択性が向上する。より具体的には、コンディショニング試薬は、水溶性アルカリ金属シリケートの水溶液に水溶性多価金属塩を含有させることにより形成される。コンディショニング試薬は、泥漿(pulp)が浮選剤として陰イオン捕収剤の存在下で従来の泡沫浮選に供される前に、鉱石泥漿(ore pulp)に添加され、鉱石泥漿と完全に混合される。
【0031】
この改良に加えて、カリウムなどの回収に値する元素も選択的に選鉱(濃縮)することによって処理プラントの規模を縮小する。一旦スラリーにすると、溶液の密度が変化したため、リチウムと同じ方法でカリウム精鉱(potassium concentrates)を得ることができる。
【0032】
超微粉末を用いると、カラム浮選は、最良の結果を達成する。部分改良のために、空気分級はリチウムの総濃度を約2倍高め、総重量の55%が減少した。
【0033】
もう1つの発見として、同時の浸出及び超音波処理によって、高温、加圧浸出、及びリチウムに富むスポジュメン材料のような材料を焙焼する必要性を回避しながら、最終的に貴液を得ることができる。次いで、リチウム濃縮溶液を精製プラントに供給して、炭酸リチウム及び/又は水酸化リチウム及び/又はリチウム金属の生成物を製造する。
【0034】
MgO又はCaOを多く含む材料は、化学物質で浸出してそのような元素を除去した後、及び/又は膜を使用した後、精製するための実質的な要件を有する場合がある。本発明は、対象のリチウムを浸出させるとともに、MgO及びCaOの選択的浸出及び除去を可能にし、より単純な方法のプラント工程を可能にする。さらに、MgOは、より少ない化学物質及びより少ない労力で、販売可能な高純度生成物として回収することができる。
【0035】
この改良は、見落とされている高MgOを含む多くの資源を、現在経済的に回収できる有望なリチウム資源として可能にする。Mgは、金属形態のLiの安定剤として作用し、合金として静的電池に使用することができる。
【0036】
一態様では、本開示は、MgO、カリウム及び他の元素、並びにニトラート部分で肥料の副生成物を伴うリチウムを選択的に回収するための方法、並びに蓄積不純物を含む使用済み硝酸を使用してアパタイト精鉱又はPの他の精鉱を用いて付加価値のあるニトロ-ホスファートを生産する可能性に関する。石膏副生成物は、乾式壁用に販売することができる。一例としてのMgは、アーモンド及びザクロなどの作物が土類のMgを枯渇させるため硫酸カリウムなどの肥料が使用される添加物として必要である。
【0037】
10%~90%の範囲の硝酸は、スポジュメン、泥鉱、粘土及び硬岩を覆う他の硬岩資源を浸出するために使用することに成功している。これは、圧力、超音波処理、又は高温を必要としない。硝酸は、多くの金属を不動態化し、いくつか例を挙げると、カリウム、鉄、ニッケルなどの溶液に入る元素の量を減少させるのに役立つ。リチウムは容易に浸出し、樹脂及び溶媒抽出で回収して高純度のリチウム生成物を製造することができる。浸出の選択的な性質により、主に塩金属が浸出され、主としてMgが浸出され、追加の精製なしにリチウムマグネシウム合金の生産が可能になる。
【0038】
化学量論的に適正量の硫酸を添加することにより、Caを除去して、例えば乾式壁に使用できる高純度の石膏を製造することができる。これにより、1つの残基が除去される。その後、主としてMg及びLiが溶液中に残る。塩水では、Mg、Na、CaはLiよりも大きなイオンを有し、膜で分離することができる。同じことが、Mg及びLi生成物並びにMgニトラートを得るために使用され得る。
【0039】
リチウムの精製は、樹脂を用いてリチウムを選択的に回収することにより実施される。高レベルのMg及びCaを含む供給原料に応じて、膜を用いた分離工程を使用して、リチウムを含有する溶液からMg及びCaを分離することができる。MgとCaのイオンサイズはLiよりも大きく、これにより、この分離が可能である。これはすべての場合に必要なわけではなく、溶液中のMgとLiの比率が6対1を超える場合にのみ適用する必要がある。リチウムは同様に有機物で選択的に収集された。pH調整を助けるために、樹脂ではクエン酸を使用した。
【0040】
リチウムマンガン合金の場合、化学量論的にHSOを添加することによりカルシウムのみが除去される。Mg及びLiの金属合金に応じて、金属の電気分解、か焼及び電気採取の前に比率を調整することができる。LiOHは電気分解によって生成される。これは、化学物質を回収するのに役立ち、化学物質を減らしてプロセスを達成する。これは多くの顧客にとって最終生成物であるか、又は金属生産設備に供給される。
【0041】
LiOHは、リチウム金属の生産が計画されている場合にか焼される。本開示は、Hydro Quebecによって提案された静的電池用の箔への圧延など、リチウムの調製のすべての態様を網羅しているわけではない。か焼された水酸化リチウムは、ペレット化又はブリケット化のために酸化リチウム(LiO)に変換され、反応用に流動床に供給される。塩素ガスは、酸化リチウムと反応するリチウムペレット又はブリケットの床を通って流れる。下記の反応用に、コークスを化学量論的に添加して酸素と結合させる。
2LiO+2C+Cl=2LiCl+2CO
【0042】
塩化リチウムは700℃で液体であり、流動床はこの温度を超えて操作され、液体塩化リチウムが電解採取セルに排出されるように促す。
2LiCl+電気エネルギー=2Li+Cl
【0043】
塩素は収集されて戻され、微量添加で閉ループとして流動床で再利用される。
【0044】
本開示の一実施形態におけるMgO、CaO及びNa(すべての形態)Li(LiO、スポジュメン及びレピドライトの形態)を除去するための選択的浸出。選択的浸出は、他の元素よりも優先的に塩族金属の温浸(digestion)を表す。
【0045】
リチウムの電気分解とは、LiNOからLiOHを生成することを指す。反応は次の通りである。
2LiNO+2HO±2e→H+NO+2LiOH.
【0046】
NOガスを回収してHNOを再生する。
【0047】
リチウム金属の生産とは、か焼して過剰なHOを除去し、生成物をLiOに変換することによるLiOHのか焼を指す。窒素やアルゴンなどの不活性ガスは、リチウムを制御し、LiOの形態を維持するために必要である。これはクロリネーターに供給され、化学量論的なコークス添加からのCO及びCO副生成物を含むLiCl液体を生成する。液体LiClは電解採取回路に供給されてLi金属を生成し、Clを捕捉し、Clは反応器の最初に戻されて反応器に供給された新しいLiOと反応する。
【0048】
本開示の一実施形態では、超音波支援抽出方法は、供給原料からのリチウム及び他の有価物の空気分級及び/又は浮選及び浸出/音波処理による選鉱(濃縮)を含む。
【0049】
本開示の一実施形態では、浸出は、供給物の表面積に応じて5分~120分の範囲の期間にわたって硝酸を使用して実施される。
【0050】
超微細な粘土供給物は、5分前後の時間要件である。
【0051】
さらなる実施形態では、精製は、適宜クエン酸を用いて、pHを制御する樹脂を用いて実施される。
【0052】
<他の供給源>
リチウムイオン電池は、本発明の代替の実施形態を使用してリサイクルできると考えられる。当業者には理解され得るように、リチウムは、古いリチウムイオン電池から回収することができる。一実施形態では、リチウムイオン電池のリサイクルは、以下の工程を含み得る。
【0053】
最初に、包装を取り外す。次いで、FeLiPOで被覆されたアルミニウム箔を細断し、粘土、スポジュメン又はレピドライトなどの硬岩型リチウム生成物のいずれかと混ぜるか、又は別々に処理することができる。か焼により、ホスファートはガス化され、冷却されるにつれてバッグハウスに回収される。Fe、酸化アルミニウムの残りの混合物は、上記と同様に、浸出反応器に供給される。ホスファート及びニトラートは肥料として使用できるため、か焼工程は必要ではないが、この方法で新しい電池生産のために高純度のホスファートを回収することもできる。硝酸はリチウムを優先的に浸出させ、アルミニウム及び酸化鉄を残す。例えば、未温浸の(undigested)アルミニウム及び鉄は濾別され、上記の工程を再使用することでアルミニウム回収用のさらなるリサイクル方法で使用できる。回収されたホスファートは、新しい電池又は肥料に使用することができる。
【0054】
古い電池からリチウムユニットを回収する能力は非常に有用であり、静的電池の新しい将来の市場に対処する可能性がある。
【0055】
本明細書で論じられる任意の態様又は実施形態の任意の部分は、本明細書で論じられる任意の他の態様又は実施形態の任意の部分と実施又は組み合わされ得ることが企図される。特定の実施形態が前述されているが、他の実施形態が可能であり、本明細書に含まれることが意図されていることを理解されたい。図示されていない前述の実施形態の修正及び調整が可能であることは、当業者には明らかであろう。
【0056】
特許請求の範囲は、本明細書に記載の例示的な実施形態によって限定されるべきではなく、全体として説明と一致する最も広い解釈が与えられるべきである。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2020-11-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給原料からリチウム分を選択的に回収するための方法であって、
(a)空気分級及び浮選のうちの1つ以上による濃縮と、
(b)Mg、Ca及びNaの形成のうちの1つ以上を除去するための選択的浸出と、
(c)酸による浸出/超音波処理と
を含む、方法。
【請求項2】
前記Mg及びCaの形成物が、それぞれMgO及びCaOである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記選択的浸出を増強するために追加の物質を提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記物質が、HSOを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記選択的浸出が、硝酸を使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記硝酸が、10%~90%の濃度で使用される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記酸が、硫酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記酸が、硝酸であり、前記浸出/超音波処理が、約5分~約120分の範囲の期間にわたって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記供給原料が超微細粘土であり、前記期間が前記5分前後である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
空気分級による前記濃縮工程が、前記リチウム分の濃度をほぼ2倍にする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
空気分級による前記濃縮工程が、乾燥を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
Ca形成物を除去するための前記選択的浸出の工程が、HSOを化学量論的に添加することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
高純度の石膏をもたらす、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記石膏が、乾式壁での使用に適している、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
リチウム含有鉱石を選鉱する方法であって、
(a)前記リチウム含有鉱石の水性泥漿をコンディショニング試薬で処理することと、
(b)脈石泥鉱から前記リチウム含有鉱石のリチウム分の画分を浮選することと
(c)回収用元素を選択的に濃縮することと
を含む方法であって、前記元素が、リチウム及びカリウムからなる群から選択され、
前記処理が、スポジュメン及び前記リチウム分のうちの1つ以上に対する陰イオン捕収剤の選択性を向上させる、方法。
【請求項16】
前記浮選が、泡沫浮選プロセスを利用する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記コンディショニング試薬が、水溶性多価金属塩を水溶性アルカリ金属シリケートの水溶液に組み入れることによって形成される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記泥漿が、浮選剤としての陰イオン捕収剤の存在下で従来の泡沫浮選に供される前に、前記コンディショニング試薬が、前記泥漿に添加され、泥漿と完全に混合される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
リチウムイオン電池からリチウムを選択的に回収するための方法であって、
(a)アルミニウム箔を含む包装を前記電池から取り外すことと、
(b)前記アルミニウム箔を細断し、前記細断したアルミ箔を、粘土、スポジュメン、及びレピドライトからなる群から選択される硬岩型リチウム生成物と混合することと、
(c)リチウムを酸で選択的に浸出させ、アルミニウムと酸化鉄のうちの少なくとも1つを残すことと
を含む、方法。
【請求項20】
前記酸が、硝酸である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
未温浸のアルミニウム及び鉄を濾別することをさらに含み、アルミニウム回収のための後続のリサイクル方法で再利用する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記電池に存在するホスファートをガス化するためにか焼することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記アルミニウム箔が、FeLiPOで被覆され、請求項19に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本開示は、公開され入手可能な文書に記載されている周知の方法に言及している
【国際調査報告】