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特表2022-517918溶液中の溶質の濃度を変化させる方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-11
(54)【発明の名称】溶液中の溶質の濃度を変化させる方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 3/14 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
F24F3/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538455
(86)(22)【出願日】2019-09-15
(85)【翻訳文提出日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 IN2019050673
(87)【国際公開番号】W WO2020141539
(87)【国際公開日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】201821050135
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521285894
【氏名又は名称】ジャギルダル,ムリナル
【氏名又は名称原語表記】JAGIRDAR, Mrinal
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122297
【弁理士】
【氏名又は名称】西下 正石
(72)【発明者】
【氏名】ジャギルダル,ムリナル
【テーマコード(参考)】
3L053
【Fターム(参考)】
3L053BC03
3L053BC10
(57)【要約】
溶液中の溶質の濃度を変化させる方法(600、1100)(複数可)が開示される。本方法(600)は、第1の熱及び質量交換器HMX1によって、状態Dinにある溶液の第1の流れを受け取ることと、第2の熱及び質量交換器HMX2によって溶液の第2の流れを受け取ることと、を含む。本方法(600)は、HMX1によって溶液の第1の流れを処理して、状態Doutにある溶液の第1の希釈流を生成することを含む。更に、本方法(600)は、HMX2によって溶液の第2の流れを処理して、状態Routにある溶液の第1の濃縮流を生成することを含む。本方法(600)は、初期段階において、溶液の第1の希釈流を、処理ユニットから連続処理ユニットの第1の熱及び質量交換器HMX1-nへと誘導することを含む。本方法(600)はまた、第2の熱及び質量交換器HMX2-nによって、状態Din-nにある溶液の第1の流れを受け取ることも含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液中の溶質の濃度を変化させる方法であって、以下:
複数の処理ユニットのうちの処理ユニットの第1の熱及び質量交換器(heat and mass exchanger)HMX1によって、状態Dinにある前記溶液の第1の流れ、及び前記処理ユニットの第2の熱及び質量交換器HMX2によって、状態Rinにある前記溶液の第2の流れを受け取ること;と、
前記HMX1によって前記溶液の前記第1の流れを処理して、状態Doutにある前記溶液の第1の希釈流を生成することであって、ここで、前記HMX1は、初期段階で前記溶液の前記第1の流れから第1の量の前記溶質を吸収する第1の乾燥剤を含む、処理すること;と、
前記初期段階において、前記HMX2によって前記溶液の前記第2の流れを処理して、状態Routにある前記溶液の第1の濃縮流を生成することであって、ここで、前記HMX2は、前記初期段階で前記溶液の前記第2の流れ内で第2の量の前記溶質を放出する第2の乾燥剤を含む、処理すること;と、
前記初期段階において、前記状態Doutにある前記溶液の前記第1の希釈流を、前記処理ユニットから前記複数の処理ユニットのうちの連続処理ユニットの第1の熱及び質量交換器HMX1-nへと誘導すること;と、
前記初期段階において、前記連続処理ユニットの前記HMX1-nによって前記溶液の前記第1の希釈流を処理して、状態Rout-nにある前記溶液の濃縮流を生成すること;と、
前記連続処理ユニットの第2の熱及び質量交換器HMX2-nによって、状態Din-nにある前記溶液の第1の流れを受け取ること;と、
前記初期段階において、前記連続処理ユニットの前記HMX2-nによって前記溶液の前記第1の流れを処理して、状態Dout-nにある前記溶液の第2の希釈流を生成することであって、ここで、前記状態Dout-nにある前記溶液の前記第2の希釈流内の前記溶質の量は、前記状態Dinにある前記溶液の前記第1の流れ内の前記溶質の量よりも少ない、処理することと、を含む、方法。
【請求項2】
後続段階において、前記HMX1-n及び前記HMX2-nの動作の相互交換が、以下:
前記状態Doutにある前記溶液の前記第1の希釈流を、前記連続処理ユニットの前記HMX2-nへと誘導すること;と、
前記HMX2-nによって前記溶液の前記第1の希釈流を処理して、前記状態Rout-nにある前記溶液の前記濃縮流を生成することであって、ここで、前記HMX2-nは、前記初期段階の最中に吸収/吸着されている前記溶質から少なくとも一部を放出するように適合された乾燥剤を含む、処理すること;と、
前記連続処理ユニットの前記HMX1-nによって前記状態Din-nにある前記溶液の前記第1の流れを受け取ること;と、
前記HMX1-nによって前記溶液の前記第2の濃縮流を処理して、前記状態Dout-nにある前記溶液の前記第2の希釈流を生成することであって、ここで、前記HMX1-nは、ある量の前記溶質を再吸収して前記溶液の前記第2の希釈流を生成するように適合された乾燥剤を含む、処理することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
以下:
前記初期段階において、前記溶液の前記第1の希釈流の少なくとも一部を、前記処理ユニットの前記HMX1から前記連続処理ユニットの前記HMX2-nへと誘導すること;と、
前記HMX2-nによって前記第1の希釈流の少なくとも前記一部を処理して、前記状態Dout-nにある前記第2の希釈流を生成することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
以下:
前記溶液の前記状態Doutにある前記第1の希釈流の少なくとも一部を、前記処理ユニットの第3の熱及び質量交換器HMX3へと誘導すること;と、
前記処理ユニットの前記HMX3によって前記溶液の前記第1の希釈流の前記少なくとも前記一部を処理して、状態Routにある前記溶液の濃縮流を生成することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
以下:
状態Wc,in,1にある流体の第1の流れを前記HMX1へと誘導することであって、ここで、前記流体の第1の流れが、前記第1の乾燥剤による前記溶液の前記第1の流れからの前記第1の量の前記溶質の吸収中に発生した熱を吸収する、誘導すること;と、
状態Wh,in,1にある流体の第2の流れを前記HMX2へと誘導することであって、ここで、前記流体の第2の流れが、熱を放出して、溶媒内にて前記第2の量の前記溶質を放出する前記第2の乾燥剤の温度を上昇させる、誘導することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
以下:
状態Wc,in,nにある水の第1の流れを前記HMX1-nへと誘導することであって、ここで、前記水の第1の流れが、前記溶液の前記第1の流れからの前記第1の量の前記溶質の吸収中に発生した熱を吸収する、誘導すること;と、
状態Wh,in,nにある水の第2の流れを前記HMX2-nへと誘導することであって、ここで、前記水の第2の流れが、熱を放出して、溶媒内にて前記第2の量の前記溶質を放出する前記第2の乾燥剤の温度を上昇させる、誘導することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の乾燥剤及び前記第2の乾燥剤の各々が、液体乾燥剤、固体乾燥剤、及び固体乾燥剤のペレットのうち1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
溶媒中の溶質の濃度を変化させる方法であって、以下:
処理ユニットの第1の熱及び質量交換器HMX1によって、状態Dinにある前記溶液の第1の流れを受け取ること;と、
前記HMX1によって前記溶液の前記第1の流れを処理して、状態Doutにある前記溶液の第1の希釈流を生成することであって、ここで、前記HMX1は、初期段階で前記溶液の前記第1の流れから第1の量の前記溶質を吸収する第1の乾燥剤を含む、処理すること;と、
前記初期段階において、前記溶液の前記第1の希釈流の少なくとも一部を、前記HMX1から前記処理ユニットの第2の熱及び質量交換器HMX2へと誘導すること;と、
前記HMX2によって、前記第1の希釈流の少なくとも前記一部を処理して、状態Routにある前記溶液の濃縮流を生成することと、を含む、方法。
【請求項9】
以下:
第1の持続時間にわたって、前記状態Dinにある前記溶液の前記第1の流れを、前記HMX2へと誘導すること;と、
前記状態Dinにある前記溶液の前記第1の流れを処理して、前記状態Routにある前記溶液の第1の濃縮流を生成すること;と、
前記第1の持続時間に続く第2の持続時間にわたって、前記状態Doutにある前記溶液の前記第1の希釈流の少なくとも一部を、前記HMX1から前記HMX2へと誘導すること;と、
前記HMX2によって前記溶液の前記第1の希釈流の少なくとも前記一部を処理して、状態Routにある前記溶液の濃縮流を生成することと、を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
以下:
前記状態Routにある前記溶液の前記濃縮流を、前記HMX2から前記HMX1へと誘導すること;と、
前記HMX1によって前記溶液の前記濃縮流を処理して、前記状態Doutにある前記溶液の前記第1の希釈流を生成することと、を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
溶液中の溶質の濃度を変化させる方法であって、以下:
複数の処理ユニットのうちの処理ユニットの第1の熱及び質量交換器HMX1によって、状態Dinにある溶液の第1の流れ、及び前記処理ユニットの第2の熱及び質量交換器HMX2によって、状態Rinにある前記溶液の第2の流れを受け取ること;と、
前記HMX1によって前記溶液の前記第1の流れを処理して、状態Doutにある前記溶液の第1の希釈流を生成することであって、ここで、前記HMX1は、初期段階で前記溶液の前記第1の流れから第1の量の前記溶質を吸収する第1の乾燥剤を含む、処理すること;と、
前記初期段階において、前記HMX2によって前記溶液の前記第2の流れを処理して、状態Routにある前記溶液の第1の濃縮流を生成することであって、ここで、前記HMX2は、前記初期段階で前記溶液の前記第2の流れ内で第2の量の前記溶質を放出する第2の乾燥剤を含む、処理すること;と、
前記初期段階において、前記状態Routにある前記溶液の前記第1の濃縮流を、前記処理ユニットから前記複数の処理ユニットのうちの連続処理ユニットの第2の熱及び質量交換器HMX2-nへと誘導すること;と、
前記初期段階において、前記連続処理ユニットの前記HMX2-nによって前記溶液の前記第1の濃縮流を処理して、状態Dout-nにある前記溶液の希釈流を生成すること;と、
前記連続処理ユニットの第1の熱及び質量交換器HMX1-nによって、状態Rin-nにある前記溶液の第1の流れを受け取ること;と、
前記初期段階において、前記連続処理ユニットの前記HMX2-nによって前記溶液の前記濃縮流を処理して、状態Rout-nにある前記溶液の前記第2の濃縮流を生成することであって、ここで、前記状態Rout-nにある前記溶液の前記第2の濃縮流内の前記溶質の量は、前記状態Routにある前記溶液の前記第2の流れ内の前記溶質の量よりも多い、処理することと、を含む、方法。
【請求項12】
後続段階において、前記後続処理ユニットの前記HMX1-n及び前記HXM2-nの動作が、互いに相互交換される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の乾燥剤及び前記第2の乾燥剤の各々が、液体乾燥剤、固体乾燥剤、及び固体乾燥剤のペレットのうち1つである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
以下:
前記初期段階において、前記状態Rinにある前記溶液の第1の濃縮流を、前記処理ユニットの前記HMX2へと誘導すること;と、
前記HMX2によって、前記状態Rinにある前記溶液の前記第1の濃縮流を処理して、前記状態Routにある前記溶液の第2の濃縮流を生成すること;と、
前記溶液の前記第2の濃縮流の少なくとも一部を、前記処理ユニットの前記HMX1へと誘導すること;と、
前記HMX1によって前記溶液の前記第2の濃縮流の少なくとも前記一部を処理して、前記状態Doutにある前記溶液の希釈流を生成することと、を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
以下:
前記初期段階において、前記状態Routにある溶媒の前記第1の濃縮流の少なくとも一部を、前記HMX2から前記HMX1-nへと誘導すること;と、
前記溶媒の前記第1の濃縮流の少なくとも前記一部を処理して、状態Rout-nにある前記溶媒の濃縮流を生成することと、を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
溶液中の溶質の濃度を変化させる方法であって、以下:
複数の処理ユニットのうちの処理ユニットの第1の熱及び質量交換器ユニットHMX1によって、状態Dinにある前記溶液の第1の流れを受け取ること;と、
前記処理ユニットの前記HMX1によって前記溶液の前記第1の流れを処理して、状態Doutにある前記溶液の第1の希釈流を生成することであって、ここで、前記HMX1は、前記溶液の前記第1の流れから、第1の所定量の前記溶質を吸収する乾燥剤を含む、処理すること;と、
前記乾燥剤を前記HMX1から前記処理ユニットの第2の熱及び質量交換器HMX2へと導き、状態Rin1にある前記溶液の濃縮流を前記HMX2へと誘導すること;と、
前記HMX2によって前記溶液の第1の濃縮流を処理して、前記溶液の第1の濃縮流を生成することであって、ここで、前記HMX2によって受け取られた前記乾燥剤は、前記HMX1中の前記溶液の前記第1の流れから、吸収/吸着されている、少なくとも前記第1の所定量の前記溶質を放出する、処理すること;と、
前記乾燥剤を前記HMX2から前記処理ユニットの第3の熱及び質量交換器HMX3へ、及び前記状態Doutにある前記溶液の第1の希釈流の少なくとも一部を前記HMX1から前記HMX3へと誘導すること;と、
前記HMX3によって前記溶液の前記第1の希釈流の少なくとも前記一部を処理して、前記溶液の第2の濃縮流を生成することであって、ここで、前記HMX2から前記HMX3によって受け取られた前記乾燥剤は、前記HMX1中の前記溶液の第1の流れから、吸収/吸着されている、少なくとも第2の所定量の前記溶質を放出する、処理すること;と、
前記乾燥剤を前記HMX3から前記処理ユニットの前記HMX1へと誘導することであって、ここで、前記乾燥剤は、前記HMX1に導かれた別の流れから第2の量の前記溶質を再吸収する、誘導することと、を含む、方法。
【請求項17】
前記乾燥剤が、液体乾燥剤、及び固体乾燥剤のペレットのうちの1つである、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶液中の溶質の濃度を変化させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
室内人員、データセンタ、発電所、製造業、化学産業、石油及びガス産業等の熱的快適性のためなど、様々な用途のために制御された湿度レベルを維持することは、現代では極めて重要である。湿度を制御すること、特に湿度を低減すること(この処理は除湿として知られる)は、通常、非常に大量のエネルギーを消費する。ほとんどの場合、蒸気圧縮冷凍サイクル(vapour compression refrigeration cycle:VCRS)は、除湿を達成するために使用される。強力な除湿、及び/又は適度に高い温度(80℃超)での廃熱を利用可能な特定の用途では、乾燥ホイール(desiccant wheel)が使用されることがある。しかしながら、乾燥ホイールは、(i)ほとんどの用途において(適度に高い温度で)廃熱源を利用することが困難であること、(ii)除湿中の乾燥剤の顕熱が水分を吸着する能力を低下させることに起因して、限定的にしか成功しなかった。これらの制限を認識して、既存の実装形態の1つでは、除湿処理を実行するために、交差冷却式乾燥除湿器が使用される。交差冷却式乾燥除湿器は、通常、交差流配置にある、乾燥剤被覆作動空気チャネルと冷却空気チャネルとの交換からなる。そのような除湿器は、同時の除湿及び吸着熱除去を可能にし、より良好な除湿性能をもたらす。別の既存の実装形態では、除湿処理及び加湿処理を実行するために、内部加熱/冷却を備えた固体又は液体乾燥剤ベースの質量交換器を使用することができる。このような質量交換器では、熱及び質量移動(除湿及び再生)に直接関与する空気流の上方に、熱移動のみに関与する(物質移動ではない)2つの流れ(高温流体及び低温流体)が更に存在する。除湿中、低温流体は収着熱を吸収する一方で、再生中、高温流体は収着熱を供給する。
【0003】
一部の用途では除湿が重要であるが、他の用途では加湿が不可欠である。地球の実質的な陸地は、大気中の湿度レベルが人々の快適性に不充分である乾燥地域及び半乾燥地域で覆われている。更に、水不足は、生活を非常に困難にする。一般に、加湿器は水を利用して空気の湿度を高め、この空気はその後、人員の熱的快適性のために屋内空間へと吹き込まれる。水不足に関する限り、従来の解決策のいくつかは、地下水の使用、甘水が豊富な地域から水不足の地域への水の輸送、脱塩等を含む。多くの場合、これらの解決策は非実用的又は高価であり得る。したがって、研究者らは、空気中の水分から水を抽出する可能性を経時的に調査してきた。従来の大気水ハーベスタ又は大気水発生器(Atmospheric Water Generator:AWG)は、コイルを大気の露点温度未満に冷却するために蒸気圧縮冷凍サイクルを利用する。更に、これは高価である可能性があり、乾燥している地域(特に、零度以下の露点温度の場合)では実用的ではない可能性がある。そこで、溶液中の溶質の濃度を変化させることで、加湿及び除湿処理を行う方法が求められている。
【発明の概要】
【0004】
この概要は、本発明の詳細な説明で更に説明される概念の選択を簡略化された形式で紹介するために提供される。この概要は、本発明の重要な又は本質的な発明概念を特定することを意図しておらず、本発明の範囲を決定することも意図していない。
【0005】
本開示の一実施形態では、溶液中の溶質の濃度を変化させる方法が開示される。本方法は、複数の処理ユニットのうちの処理ユニットの第1の熱及び質量交換器(heat and mass exchanger)HMX1によって、状態Dinにある溶液の第1の流れを受け取ることと、処理ユニットの第2の熱及び質量交換器HMX2によって、状態Rinにある溶液の第2の濃縮流を受け取ることと、を含む。更に、本方法は、HMX1によって溶液の第1の流れを処理して、状態Doutにある溶液の第1の希釈流を生成することを含む。HMX1は、初期段階において溶液の第1の流れから第1の量の溶質を吸収する、第1の乾燥剤を含む。
【0006】
本方法はまた、初期段階において、HMX2によって溶液の第2の流れを処理して、状態Routにある溶液の第1の濃縮流を生成することも含む。HMX2は、初期段階で溶液の第2の流れの中に第2の量の溶質を放出する、第2の乾燥剤を含む。本方法は、初期段階において、複数の処理ユニットのうちの連続処理ユニットの第1の熱及び質量交換器HMX1-nによって、処理ユニットから状態Doutにある溶液の第1の希釈流を誘導することを含む。更に、本方法は、初期段階において、連続処理ユニットのHMX1-nによって溶液の第1の希釈流を処理して、状態Rout-nにある溶液の濃縮流を生成することを含む。更に、本方法は、連続処理ユニットの第2の熱及び質量交換器HMX2-nによって、状態Din-nにある溶液の第1の流れを受け取ることを含む。更に、本方法は、初期段階において、連続処理ユニットのHMX2-nによって溶液の濃縮流を処理して、状態Dout-nにある溶液の第2の希釈流を生成することを含む。状態Dout-nにある溶液の第1の希釈流内の溶質の量は、状態Dinにある溶液の第1の希釈流内の溶質の量よりも少ない。
【0007】
本発明の利点及び特徴を更に明確にするために、添付の図面に示されている本発明の特定の実施形態を参照することによって、本発明のより詳細な説明が提供される。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、その範囲を限定するものと見なされるべきではないことが理解される。本発明は添付の図面を用いて更に具体的かつ詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読めば、よりよく理解されるであろう。添付の図面では、図面全体を通して、同様の符号は同様の部分を表す。
図1図1は、本開示の一実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を変化させるためのシステムの概略図を示す。
図2図2は、本開示の一実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を希釈することによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を実施するシステムを示す。
図3図3は、本開示の別の実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を希釈することによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を実施するシステムを示す。
図4a図4aは、本開示の一実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を希釈することによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を実施するシステムの処理ユニットのブロック図を示す。
図4b図4bは、本開示の別の実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を希釈することによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を実施するシステムの処理ユニットのブロック図を示す。
図4c図4cは、本開示の更に別の実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を希釈することによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を実施するシステムの処理ユニットのブロック図を示す。
図4d図4dは、本開示の別の実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を希釈することによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を実施するシステムの処理ユニットのブロック図を示す。
図5図5は、本開示の別の実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を希釈することによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を実施するシステムの処理ユニットのブロック図を示す。
図6a図6aは、本開示の一実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を希釈することによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を図示する、フローチャートを示す。
図6b図6bは、本開示の一実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を希釈することによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を図示する、フローチャートを示す。
図7a図7aは、本開示の一実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を希釈することによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を図示する、フローチャートを示す。
図7b図7bは、本開示の一実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を希釈することによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を図示する、フローチャートを示す。
図8図8は、本開示の一実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を増加させることによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を実施するシステムを示す。
図9図9は、本開示の一実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を増加させることによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を実施するシステムを示す。
図10図10は、本開示の一実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を増加させることによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を実施するシステムの処理ユニットのブロック図を示す。
図11a図11aは、本開示の一実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を増加させることによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を図示する、フローチャートを示す。
図11b図11bは、本開示の一実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を増加させることによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を図示する、フローチャートを示す。
図12a図12aは、本開示の一実施形態にかかる、持続時間に対する溶液の比湿及び温度の変動を図示する、グラフィカル・プロットを示す。
図12b図12bは、本開示の一実施形態にかかる、持続時間に対する溶液の比湿及び温度の変動を図示する、グラフィカル・プロットを示す。
図12c図12cは、本開示の一実施形態にかかる、持続時間に対する溶液の比湿及び温度の変動を図示する、グラフィカル・プロットを示す。
図12d図12dは、本開示の一実施形態にかかる、持続時間に対する溶液の比湿及び温度の変動を図示する、グラフィカル・プロットを示す。
図13a図13aは、本開示の一実施形態にかかる、システムの第1の処理ユニットに入り最後処理ユニットから出る溶液に対応する時間平均空気状態を図示する、心理測定的プロットを示す。
図13b図13bは、本開示の一実施形態にかかる、処理ユニットに入る溶液に対応する時間平均空気状態を図示する、心理測定的プロットを示す。
図14a図14aは、本開示の一実施形態にかかる、持続時間に対する溶液の比湿及び温度の変動を図示する、グラフィカル・プロットを示す。
図14b図14bは、本開示の一実施形態にかかる、持続時間に対する溶液の比湿及び温度の変動を図示する、グラフィカル・プロットを示す。
図14c図14cは、本開示の一実施形態にかかる、持続時間に対する溶液の比湿及び温度の変動を図示する、グラフィカル・プロットを示す。
図14d図14dは、本開示の一実施形態にかかる、持続時間に対する溶液の比湿及び温度の変動を図示する、グラフィカル・プロットを示す。
図15a図15aは、本開示の一実施形態にかかる、システムの第1の処理ユニットに入り最後処理ユニットから出る溶液に対応する時間平均空気状態を図示する、心理測定的プロットを示す。
図15b図15bは、本開示の一実施形態にかかる、処理ユニットに入る溶液に対応する時間平均空気状態を図示する、心理測定的プロットを示す。
【0009】
更に、当業者は、図面の要素が簡略化のために示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていない場合があることを理解するであろう。例えば、フローチャートは、本発明の態様の理解を向上させるのを助けるために含まれる最も顕著な工程に関して方法を示す。更に、装置の構成に関して、装置の1つ以上の構成要素は従来の記号によって図面に表されることがあり、図面は、本明細書の説明の恩恵を受ける当業者には容易に明らかになる詳細により図面を不明瞭にしないように、本発明の実施形態の理解に関連する特定の詳細のみを示すことがある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面の詳細な説明
本発明の原理の理解を促進する目的のため、ここで、図面に示された実施形態を参照し、それを説明するため特定の用語を使用する。それにもかかわらず、本発明の範囲の限定はこれによって意図されず、示されたシステムにおけるそのような変更及び更なる修正、並びにそこに示されているような本発明の原理のそのような更なる用途は、本発明が関連する当業者には通常想起されるように企図されることが理解されよう。
【0011】
添付の図面を参照して、本発明の実施形態を以下で詳細に説明する。
【0012】
図1は、本開示の一実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を変化させるためのシステム100の概略図を示す。システム100は、様々な用途において様々な濃度の溶質を有する溶液を用いるために使用することができる。図1を参照すると、システム100は、互いに流体連通する複数の処理ユニット102を含み得る。一実施形態では、複数の処理ユニット102の各々は、処理ユニット102-1、処理ユニット102-2、処理ユニット103-2、....、及び処理ユニット102-nと個別に呼ばれ得る。更に、複数の処理ユニット102は、本開示の範囲から逸脱することなく、処理ユニット102と交換可能に言及され得る。
【0013】
示される実施形態では、処理ユニット102の各々は、互いに流体連通する複数の熱及び質量交換器HMXを含み得る。一実施形態では、複数の熱及び質量交換器HMXは、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の熱及び質量交換器HMX1、第2の熱及び質量交換器HMX2、第3の熱及び質量交換器HMX3、....、及び第nの熱及び質量交換器HMXnと個別に呼ばれ得る。HMXの各々は、以下のうちの1つとして具体化することができる(ただし、これらに限定されない)。
(a)乾燥剤被覆されたフィンチューブ式熱交換器;
(b)乾燥剤被覆されたチューブ群(desiccant coated banks of tube:DCBT);
(c)吸着/吸収冷却器に見られる熱及び質量交換器;
(d)内部冷却された乾燥ホイール;
(e)液体乾燥剤ベースの内部冷却/加熱された質量交換器;
(f)流動床反応器;
(g)固定床反応器;
(h)スプレー塔(スプレーカラム/スプレーチャンバ)。
【0014】
示される実施形態では、HMX1及びHMX2は、溶液内の溶質の濃度を変化させるように構成され得る。本実施形態では、溶液及び溶質は、本開示の範囲から逸脱することなく、それぞれ、空気及び水分として具体化され得る。そのような実施形態では、HMXの各々は、溶液内の溶質の濃度を変化させるために加湿処理及び除湿処理を実行するように構成され得る。一実施形態では、HMXの各々は、上述の(a)、(b)、及び(c)ユニットのうちの1つとして具体化され得る。そのような実施形態では、HMX1及びHMX2は、除湿処理と再生処理とを周期的に交互に実行し得る。したがって、しばらくすると、除湿される空気は、状態Din,1にある処理ユニット102-1のHMX2に入り、再生空気流は、状態Rin,1などにある処理ユニット102-1のHMX1に入る。例として、初期段階において、HMX1及びHMX2は、丁寧に(respectfully)除湿処理及び加湿処理を実行し得る。更に、後続段階において、HMX1は加湿処理を実行し、HMX2は除湿処理を実行し得る。
【0015】
別の実施形態では、HMXの各々は、先に述べたようにユニット(d)として具体化され得る。そのような実施形態では、処理ユニット102-1のHMX1及びHMX2は、空気をそれぞれ除湿(吸収/吸着による)及び加湿(再生処理中の水分の放出による)する領域である。処理ユニット102-2のHMX1及びHMX2は、それぞれ空気の加湿及び除湿などを行う部分である。更に別の実施形態では、HMXの各々は、先に述べたようにユニット(e)として具体化され得る。そのような実施形態では、処理ユニット102-1のHMX1は、液体乾燥剤が水分を吸収する空気調和機である。一方、処理ユニット102-1のHMX2は、液体乾燥剤が水分を放出する再生器である。処理ユニット102-2のHMX1及びHMX2は、それぞれ、再生器及び空気調和機などである。
【0016】
空気流及び水流の相対方向、規模、及び持続時間、並びにいくつかのHMXに関する限りでは、可能性のある変動のいくつかは、以下の通りである(ただし、これらに限定されない)。
【0017】
(a)空気流は、並流、交差流、又は向流配置のいずれかであり得る。
【0018】
(b)空気流及び水流の対は、並流、交差流、又は向流配置のいずれかであり得る。
【0019】
(c)単に、HMX1(「熱及び質量交換器」とも称される)及びHMX2の代わりに、該目的(空気の除湿)を達成するために使用される複数のHMXが存在してもよい。その上、除湿及び再生されるユニットの数は同じでなくともよい。
【0020】
(d)空気流の流量は、安定している必要も、又はHMX間で等しい必要もない。空気流量はサイクルごとに変化してもよく、また1つの処理(除湿又は再生)ごとに変化してもよい。
【0021】
図2は、本開示の一実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を希釈することによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を実施するシステム100を示す。一実施形態では、溶液及び溶質は、本開示の範囲から逸脱することなく、それぞれ、水分及び空気として具体化され得る。そのような実施形態では、溶媒内の溶質の濃度を希釈する方法は、除湿処理と称され得る。
【0022】
本開示の図2図3図4a~図4d、図5図6a~図6b、及び図7a~図7bは、除湿処理に関して説明されている。しかしながら、本開示は、本開示の範囲から逸脱することなく、異なる種類の溶液内の溶質の濃度を変化させるための他の処理と同等であることを、当業者は理解すべきである。
【0023】
本質的に、本明細書で提案される除湿処理とは、除湿処理(また、同時冷却又は完全/部分的な排熱も含む)を受けた後の除湿済み空気流が、再生処理(同時内部加熱を含む)のための入口空気流として完全に又は部分的に使用されることである。この空気流は、再生/乾燥後に乾燥剤マトリックスを廃棄することができるが、再生に利用されない除湿済み空気流の一部、又は前述の処理の2段階以上の後の除湿済み空気流のいずれかが、有用な生成物として利用される。そのような生成物は、用途に応じて、最終生成物又は中間生成物のいずれかと見なされ得る。
【0024】
図2を参照すると、示される実施形態では、第1の熱及び質量交換器HMX1は、複数の処理ユニット102のうちの処理ユニット102-1の、状態Din(Din-1と互換的に呼ばれる)にある溶液の第1の流れを受け取るように構成され得る。更に、第2の熱及び質量交換器HMX2である処理ユニット102-1は、状態Rin(Rin-1と互換的に呼ばれる)にある溶液の第2の流れを受け取るように構成され得る。
【0025】
第1の流れを受け取る際、HMX1は、初期段階において、溶液の第1の流れを処理して、状態Dout(Dout-1と互換的に呼ばれる)にある溶液の第1の希釈流を生成し得る。HMX1は、初期段階において溶液の第1の流れから第1の量の溶質を吸収する、第1の乾燥剤を含み得る。第1の乾燥剤は、状態Wc,in,1にある流体の第1の流れがHMX1へと誘導された場合、第1の希釈流からの溶質の吸収及び吸着などの収着を行い得る。一実施形態では、流体は、本開示の範囲から逸脱することなく、水及び当技術分野で知られるいずれかの他の適切な流体のうちの1つとして具体化され得る。流体の第1の流れは、第1の乾燥剤による溶液の第1の流れからの第1の量の溶質の収着中に発生した熱を吸収することができる。これにより、溶液の第1の希釈流がHMX1の出口で高温にならないようにすることができる。
【0026】
続いて、第2の流れを受け取る際、HMX2は、状態Rin-1にある溶液の第2の流れを処理して、状態Rout(Rout-1と互換的に呼ばれる)にある溶液の第1の濃縮流を生成し得る。HMX2は、初期段階で溶液の第2の流れの中に第2の量の溶質を放出する、第2の乾燥剤を含み得る。特に、溶液の第2の流れは、状態Wh,in,1にある流体の第2の流れがHMX2へと誘導された場合、第2の乾燥剤から溶質を取り込み得る。
【0027】
流体の第2の流れは、熱を放出して、溶媒内の第2の量の溶質を放出する第2の乾燥剤の温度を上昇させる。第2の乾燥剤は、状態Wc,in,1にある流体の第1の流れがHMX1へと誘導された場合、第1の希釈流からの溶質の吸収及び吸着などの収着を行い得る。流体の第1の流れは、第1の乾燥剤による溶液の第1の流れからの第1の量の溶質の収着中に発生した熱を吸収することができる。第1の乾燥剤及び前記第2の乾燥剤の各々は、液体乾燥剤、固体乾燥剤、及び固体乾燥剤のペレットのうち1つとして具体化され得る。
【0028】
除湿処理中、HMX2によって生成された状態Rout-1の第1の濃縮流は、システム100から廃棄され得る。初期段階において、処理ユニット102-1のHMX1は、複数の処理ユニット102のうちの連続処理ユニット102-nの第1の熱及び質量交換器HMX1-nへと、状態Dout-1にある溶液の第1の希釈流を供給するように構成され得る。示される実施形態では、HMX1は、状態Dout,1にある溶液の第1の希釈流を、連続処理ユニット102-2(処理ユニット102-2と互換的に呼ばれる)のHMX1-n(n=2)に供給するように構成され得る。HMX1-2に供給される状態Dout-1にある第1の希釈流は、状態Rin-2にある第1の希釈流と互換的に呼ぶことができる。
【0029】
続いて、初期段階において、HMX1-2は、状態Rin-2にある溶液の第1の希釈流を処理して、状態Rout-2にある溶液の濃縮流を生成し得る。示される実施形態では、HMX1-2によって生成された状態Rout-2にある濃縮流は、システム100から廃棄され得る。更に、第2の熱及び質量交換器HMX2-2である処理ユニット102-2は、別の流れ、すなわち状態Din-2にある溶液の第1の流れを受け取るように構成され得る。状態Din-2にある第1の流れを受け取る際、HMX2-2は、初期段階において、状態Din-nにある溶液の第1の流れを処理して、状態Dout-nにある溶液の第2の希釈流を生成し得る。示される実施形態では、状態Dout-2にある溶液の第2の希釈流内の溶質の量は、状態Din-1にある溶液の第1の希釈流内の溶質の量よりも少なくてもよい。更に、最終処理ユニット、すなわち処理ユニット102-nから受け取った空気流は、最小値である比湿を有することがあり、それによって最終生成物として使用することができる。
【0030】
更に、後続段階において、後続処理ユニットのHMX1-n及びHXM2-nの動作は、互いに相互交換され得る。示される実施形態では、処理ユニット102-2のHMX1-2及びHMX2-2の動作は、互いに相互交換され得る。後続段階では、処理ユニット102-2のHMX2-2は、状態Doutにある溶液の第1の希釈流を受け取り得る。更に、HMX2-2は、溶液の第1の希釈流を処理して、状態Rout-2にある溶液の濃縮流を生成し得る。HMX2-2は、初期段階中に吸収/吸着されている溶質から少なくとも一部を放出するように適合された乾燥剤を含む。更に、HMX1-2は、処理ユニット102-2のHMX1-2により、状態Din-2の溶液の第1の流れを受け取り得る。続いて、HMX1-2は、溶液の第2の濃縮流を処理して、状態Dout-2にある溶液の第2の希釈流を生成し得る。HMX1-2は、ある量の溶質を再吸収して溶液の第2の希釈流を生成するように適合された乾燥剤を含む。HMX1-2及びHMX2-2の各々の乾燥剤は、液体乾燥剤、固体乾燥剤、及び固体乾燥剤のペレットのうち1つとして具体化され得る。
【0031】
同様に、後続段階において、処理ユニット102のHMX1及びHMX2の動作は、互いに相互交換され得る。後続段階では、HMX1の第1の乾燥剤は、第1の乾燥剤によって吸収/吸着されている第1の量の溶質から少なくとも一部を放出し、HMX2の第2の乾燥剤は、ある量の溶質を吸収して、溶液の第1の希釈流を生成する。
【0032】
図3は、本開示の別の実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を低減させることによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を実施するシステムを示す。簡略化のために、図1及び図2の説明で既に詳細に説明されているシステム100の特徴は、図3の説明では詳細に説明されない。
【0033】
図3を参照すると、示される実施形態では、HMX1は、状態Doutにある第1の希釈流の少なくとも一部を、連続ユニット、すなわち処理ユニット102-2のHMX2-n(n=2)に供給し得る。第1の希釈流の少なくとも一部を受け取る際、HMX2は、受取分を処理して、状態Dout-2にある第2の希釈流を生成し得る。
【0034】
図4aは、本開示の一実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を希釈することによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を実施するシステムの処理ユニットのブロック図を示す。本実施形態の詳細を、処理ユニット102-1のHMX1及びHMX2に関して説明する。
【0035】
しかしながら、本実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく、システム100の他の処理ユニット102に関して等しく実施することができることを、当業者は理解されたい。簡略化のために、図1図2、及び図3の説明で既に詳細に説明されているシステム100の特徴は、図4aの説明では詳細に説明されない。
【0036】
図4aを参照すると、示される実施形態では、熱及び質量交換器HMX1は、溶液の第1の希釈流の少なくとも一部を処理ユニット102-1のHMX2に供給するように構成され得る。続いて、HMX2は、溶液の第1の希釈流の少なくとも一部を処理して、状態Routにある溶液の濃縮流を生成し得る。示される実施形態では、状態Routにある濃縮流は、システム100から廃棄され得る。一実施形態では、状態Doutにある第1の希釈流は、部分的に、すなわち流れの少なくとも一部を、再生流、すなわちRinとして使用し得る。そのような実施形態では、第1の希釈流の残りの部分は、システム100からの最終生成物として利用され得る。
【0037】
別の実施形態では、状態Doutにある第1の希釈流は、再生流、すなわちRinとして完全に使用され得る。そのような実施形態では、状態Doutにある第1の希釈流を、周期的な定常状態が達成されるまで、再生流として完全に使用し得る。しかしながら、周期的な定常状態が達成される場合、状態Doutにある第1の希釈流は、部分的に再生流として使用されることがあり、第1の希釈流の残りの部分は、最終生成物として使用され得る。
【0038】
図4bは、本開示の別の実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を低減させることによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を実施するシステム100の処理ユニットのブロック図を示す。本実施形態の詳細を、処理ユニット102-1のHMX1及びHMX2に関して説明する。
【0039】
しかしながら、本実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく、システム100の他の処理ユニット102に関して等しく実施することができることを、当業者は理解されたい。簡略化のために、図2図3、及び図4aの説明で既に詳細に説明されているシステム100の特徴は、図4bの説明では詳細に説明されない。
【0040】
図4b(a)を参照すると、示される実施形態では、HMX2は、第1の持続時間(例えば、50秒)の間、状態Dinにある第1の流れなどの大気流を受け取り得る。続いて、HMX2は、状態Dinにある第1の流れを処理して、状態Routにある第1の濃縮流などの濃縮流を生成し得る。図4b(b)を参照すると、第1の持続時間の完了後、HMX2は、HMX1によって生成された状態Doutにある第1の希釈流の少なくとも一部を受け取り得る。
【0041】
特に、HMX2は、第1の持続時間に続く第2の持続時間(例えば、40秒)の間、状態Doutにある第1の希釈流の少なくとも一部を受け取り得る。その後、HMX2は、状態Doutにある第1の希釈流の受取分を処理して、状態Routにある溶液の濃縮流を生成し得る。第2の乾燥剤は、第1の希釈流の受取分の溶質の濃度を増加させて、状態Routにある濃縮流を生成し得る。一実施形態では、第1の持続時間及び第2の持続時間の各々は、第1の希釈流で必要とされる希釈、及び第1の希釈流の必要とされる流量に基づいて選択され得る。
【0042】
本実施形態の利点は、最初の数秒では、溶液の濃縮流を生成するためには高度に乾燥した空気(低RH)が必ずしも必要ではないことである。しかしながら、時間が経過し、HMX内の乾燥剤がより乾燥するにつれて、より乾燥した空気(低RH)が必要とされ、次いで、状態Doutにある第1の希釈流などの除湿された空気は、HMX2の乾燥性乾燥剤へと部分的に再誘導されなければならない。
【0043】
図4cは、本開示の更に別の実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を希釈することによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を実施するシステム100の処理ユニットのブロック図を示す。本実施形態の詳細を、処理ユニット102-1のHMX1及びHMX2に関して説明する。
【0044】
しかしながら、本実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく、システム100の他の処理ユニット102に関して等しく実施することができることを、当業者は理解されたい。簡略化のために、図1図2図3図4a、及び図4bの説明で既に詳細に説明されているシステム100の特徴は、図4cの説明では詳細に説明されない。
【0045】
図4cを参照すると、示される実施形態では、HMX2は、初期段階において状態Rinにある第1の濃縮流を受け取り得る。状態Rinにある第1の濃縮流は、図3bに関して説明したように、HMX1によって生成される状態Doutにある第1の希釈流の再誘導部分として具体化され得る。更に、HMX2は、溶液の第1の濃縮流を処理して、状態Routにある溶液の第2の濃縮流を生成し得る。続いて、HMX1は、HMX2から溶液の第2の濃縮流の少なくとも一部を受け取り得る。その後、HMX1は、溶液の第2の濃縮流の受取分を処理して、状態Doutにある溶液の第1の希釈流などの希釈流を生成し得る。
【0046】
図4dは、本開示の別の実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を低減させることによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を実施するシステム100の処理ユニットのブロック図を示す。本実施形態の詳細を、処理ユニット102-1のHMX1、HMX2、及びHMX3に関して説明する。
【0047】
しかしながら、本実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく、システム100の他の処理ユニット102に関して等しく実施することができることを、当業者は理解されたい。簡略化のために、図1図2図3図4a、図4b、及び図4cの説明で既に詳細に説明されているシステム100の特徴は、図4dの説明では詳細に説明されない。
【0048】
図4dを参照すると、示される実施形態では、HMX1は、状態Dinにある溶液の第1の流れを受け取るように構成され得る。更に、HMX1は、溶液の第1の流れを処理して、状態Doutにある溶液の第1の希釈流を生成し得る。HMX1は、溶液の第1の流れから第1の量の溶質を吸収する、乾燥剤を含み得る。乾燥剤は、液体乾燥剤、及び固体乾燥剤のペレットのうち1つとして具体化され得る。
【0049】
更に、第1の希釈流の生成時に、HMX1からの乾燥剤は、矢印402によって示されるように、処理ユニット102-2のHMX2へと誘導され得る。続いて、HMX2は、状態Rin,1にある溶液の濃縮流を受け取り得る。HMX2は、状態Rin,1にある溶液の濃縮流を処理して、溶液の第1の濃縮流を生成し得る。HMX2によって受け取られた乾燥剤は、HMX1中の溶液の第1の流れから、吸収/吸着されている、少なくとも第1の所定量の溶質を放出し得る。
【0050】
第1の濃縮流が生成される際、乾燥剤は、矢印404によって示されるように、HMX2からHMX3へと誘導され得る。続いて、HMX3は、HMX1からHMX3への状態Doutの溶液の第1の希釈流の少なくとも一部を受け取り得る。HMX3は、溶液の第1の希釈流の少なくとも一部を処理して、溶液の第2の濃縮流を生成し得る。HMX2からHMX3によって受け取られた乾燥剤は、HMX1中の溶液の第1の流れから、吸収/吸着されている、少なくとも第2の所定量の溶質を放出し得る。続いて、乾燥剤は、処理ユニット102-1のHMX3からHMX1に誘導され得る。更に、乾燥剤は、HMX1へと誘導された別の流れから第2の量の溶質を再吸収し得る。
【0051】
図5は、本開示の別の実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を希釈することによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を実施するシステム100の処理ユニットのブロック図を示す。本実施形態の詳細を、処理ユニット102-1のHMX1、HMX2、及び第3の熱及び質量交換器HMX3に関して説明する。
【0052】
しかしながら、本実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく、システム100の他の処理ユニット102に関して等しく実施することができることを、当業者は理解されたい。簡略化のために、図1図2図3図4a、図4b、図4c、及び図4dの説明で既に詳細に説明されているシステム100の特徴は、図5の説明では詳細に説明されない。
【0053】
図5を参照すると、示される実施形態では、処理ユニットは、3つの熱及び質量交換器ユニット、すなわちHMX1、HMX2、及びHMX3と共に使用することができる。そのような実施形態では、HMX1及びHMX2の各々は、状態Dinにある溶液の第1の流れを受け取り得る。HMX1及びHMX2の各々は、状態Doutにおいて、受け取った第1の流れを処理して、第1の希釈流などの希釈流を生成し得る。その後、一実施形態では、HMX2からの希釈流は、連続処理ユニットのHMX1-n又はHMX2-nへと誘導され得る。更に、HMX1は、溶液の状態Doutにある第1の希釈流の少なくとも一部を、処理ユニット102-1のHMX3に供給し得る。
【0054】
溶液内の溶質を希釈するためのシステム及び方法に関する詳細は、図2図3図4a、図4b、図4c、及び図5に示すような構成に関して説明されることに留意されたい。しかしながら、そのような詳細は、本開示の範囲から逸脱することなく、他の構成に関して等しく実施することができることが、当業者によって理解されるべきである。
【0055】
図6a及び図6bは、本開示の一実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を低減させることによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法600を図示する、フローチャートを示す。簡略化のために、図1図2図3図4a、図4b、図4c、図4d、及び図5の説明で既に詳細に説明されているシステム100の特徴は、図6a及び図6bの説明では詳細に説明されない。
【0056】
図6aを参照すると、ブロック602では、方法600は、複数の処理ユニット102のうちの処理ユニット102-1のHMX1によって、状態Dinにある溶液の第1の流れを受け取ることと、処理ユニット102-1のHMX2によって、状態Rinにある溶液の第2の流れを受け取ることと、を含む。更に、ブロック604では、方法600は、HMX1によって溶液の第1の流れを処理して、状態Doutにある溶液の第1の希釈流を生成することを含む。HMX1は、初期段階において溶液の第1の流れから第1の量の溶質を吸収する、第1の乾燥剤を含む。
【0057】
ブロック606では、方法600は、初期段階において、HMX2によって溶液の第2の流れを処理して、状態Routにある溶液の第1の濃縮流を生成することを含む。HMX2は、初期段階で溶液の第2の流れの中に第2の量の溶質を放出する、第2の乾燥剤を含む。更に、ブロック604では、方法600は、初期段階において、複数の処理ユニット102のうちの連続処理ユニット102-nのHMX1-nへと、処理ユニットから状態Doutにある溶液の第1の希釈流を誘導することを含む。ブロック608では、方法600は、初期段階において、連続処理ユニットのHMX1-nによって溶液の第1の希釈流を処理して、状態Rout-nにある溶液の濃縮流を生成することを含む。
【0058】
図6bを参照すると、ブロック610では、方法600は、連続処理ユニット102-nのHMX2-nによって、状態Din-nにある溶液の第1の流れを受け取ることを含む。更に、ブロック612では、方法600は、初期段階において、連続処理ユニットのHMX2-nによって溶液の第1の流れを処理して、状態Dout-nにある溶液の第2の希釈流を生成することを含む。状態Dout-nにある溶液の第2の希釈流内の溶質の量は、状態Dinにある溶液の第1の流れ内の溶質の量よりも少なくともよい。
【0059】
図7a及び図7bは、本開示の一実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を希釈することによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法600を図示する、フローチャートを示す。簡略化のために、図1図2図3図4a、図4b、図4c、図4d、図5図6a、及び図6bの説明で既に詳細に説明されているシステム100の特徴は、図7a及び図7bの説明では詳細に説明されない。
【0060】
図7aを参照すると、ブロック702では、方法700は、処理ユニット102-1のHMX1によって、状態Dinにある溶液の第1の流れを受け取ることを含む。更に、ブロック704では、方法は、処理ユニットのHMX1によって溶液の第1の流れを処理して、状態Doutにある溶液の第1の希釈流を生成することを含む。HMX1は、溶液の第1の流れから第1の量の溶質を吸収する、乾燥剤を含む。
【0061】
ブロック706では、方法700は、乾燥剤を処理ユニット102-1のHMX1からHMX2へと誘導することと、状態Rin1にある溶液の濃縮流をHMX2へと誘導することと、を含む。更に、ブロック708では、方法は、HMX2によって溶液の第1の濃縮流を処理して、溶液の第1の濃縮流を生成することを含む。HMX2によって受け取られた乾燥剤は、HMX1中の溶液の第1の流れから、吸収/吸着されている、少なくとも第1の所定量の溶質を放出する。
【0062】
図7bを参照すると、ブロック710では、方法700は、乾燥剤を処理ユニットのHMX2からHMX3へと誘導することと、状態Doutにある溶液の第1の希釈流の少なくとも所定の部分を、HMX1からHMX3へと誘導することと、を含む。更に、ブロック712では、方法700は、HMX3によって溶液の第1の希釈流の少なくとも所定の一部を処理して、溶液の第2の濃縮流を生成することを含む。HMX2からHMX3によって受け取られた乾燥剤は、HMX1中の溶液の第1の流れから、吸収/吸着されている、少なくとも第2の所定量の溶質を放出する。ブロック714では、本方法は、乾燥剤を処理ユニットのHMX3からHMX1へと誘導することを含む。乾燥剤は、HMX1へと誘導された別の流れから第2の量の溶質を再吸収する。
【0063】
図8は、本開示の一実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を増加させることによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を実施するシステムを示す。一実施形態では、溶液及び溶質は、本開示の範囲から逸脱することなく、それぞれ、水分及び空気として具体化され得る。そのような実施形態では、溶媒内の溶質の濃度を増加させる方法は、加湿処理と称され得る。
【0064】
本開示の図8図9図10、及び図11a~11bは、加湿処理に関して説明される。しかしながら、本開示は、本開示の範囲から逸脱することなく、異なる種類の溶液内の溶質の濃度を変化させるための他の処理と同等であることを、当業者は理解すべきである。
【0065】
再生空気流は、再生処理中に乾燥剤を乾燥/再生した後(処理中、同時に加熱されながら)、それ自体が湿気を帯びる。次いで、この湿った空気流は、除湿処理(また、同時冷却又は完全/部分的な排熱も含む)のための入口空気流として使用され、その間に乾燥剤は吸着/吸収処理によって水分を充填/含浸される。除湿空気流は廃棄してもよいが、単一ユニット内の2つの処理(再生及び除湿)の2回以上のそのようなサイクルの後の湿った空気流は、ブリードアウトされてもよく、有用な生成物として(用途に応じて最終生成物又は中間生成物のいずれかとして)、又は前述の処理の2段階以上後に有用な生成物として利用され得る。
【0066】
図8を参照すると、示される実施形態では、HMX1は、複数の処理ユニット102のうちの処理ユニット102-1の状態Dinにある溶液の第1の流れを受け取るように構成され得る。更に、HMX2である処理ユニット102-1は、状態Rin(Rinと互換的に呼ばれる)にある溶液の第2の流れを受け取るように構成され得る。第1の流れを受け取る際、HMX1は、初期段階において、溶液の第1の流れを処理して、状態Doutにある溶液の第1の希釈流を生成し得る。
【0067】
HMX1は、初期段階において溶液の第1の流れから第1の量の溶質を吸収する、第1の乾燥剤を含み得る。第1の乾燥剤は、状態Wc,in,1にある流体の第1の流れがHMX1へと誘導された場合、第1の希釈流からの溶質の吸収及び吸着などの収着を行い得る。流体の第1の流れは、第1の乾燥剤による溶液の第1の流れからの第1の量の溶質の収着中に発生した熱を吸収することができる。これにより、溶液の第1の希釈流がHMX1の出口で高温にならないようにすることができる。
【0068】
続いて、第2の流れを受け取る際、HMX2は、状態Rinにある溶液の第2の流れを処理して、状態Routにある溶液の第1の濃縮流を生成し得る。HMX2は、初期段階で溶液の第2の流れの中に第2の量の溶質を放出する、第2の乾燥剤を含み得る。特に、溶液の第2の流れは、状態Wh,in,1にある流体の第2の流れがHMX2へと誘導された場合、第2の乾燥剤から溶質を取り込み得る。
【0069】
流体の第2の流れは、熱を放出して、溶媒内の第2の量の溶質を放出する第2の乾燥剤の温度を上昇させる。第2の乾燥剤は、状態Wc,in,1にある流体の第1の流れがHMX1へと誘導された場合、第1の希釈流からの溶質の吸収及び吸着などの収着を行い得る。流体の第1の流れは、第1の乾燥剤による溶液の第1の流れからの第1の量の溶質の収着中に発生した熱を吸収することができる。
【0070】
加湿処理中、HMX1によって生成された状態Doutの第1の希釈流は、システム100から廃棄され得る。初期段階において、処理ユニット102-1のHMX2は、複数の処理ユニット102のうちの連続処理ユニット102-nのHMX2-nへと、状態Routにある溶液の第1の濃縮流を供給するように構成され得る。示される実施形態では、HMX2は、状態Routにある溶液の第1の濃縮流を、連続処理ユニット102-2(処理ユニット102-2と互換的に呼ばれる)のHMX2-n(n=2)に供給するように構成され得る。状態Routにある第1の濃縮流は、そのような流れ、を除湿流、すなわちDin-2として用いるために、HMX2-2へと誘導され得る。
【0071】
続いて、初期段階において、HMX2-2は、状態Din-2にある溶液の第1の濃縮流を処理して、状態Dout-2にある溶液の希釈流を生成し得る。示される実施形態では、HMX2-2によって生成された状態Dout-2にある希釈流は、システム100から廃棄され得る。更に、第1の熱及び質量交換器HMX1-2である処理ユニット102-2は、別の流れ、すなわち状態Rin-2にある溶液の第2の流れを受け取るように構成され得る。
【0072】
状態Rin-2にある第2の流れを受け取る際、HMX1-2は、初期段階において、状態Rin-2にある溶液の第2の流れを処理して、状態Rout-2にある溶液の第2の濃縮流を生成し得る。一実施形態では、溶液の第2の濃縮流は、システムの最終生成物として使用することができる。別の実施形態では、状態Rout-2にある溶液の第2の濃縮流は、後続処理ユニット102-n(n=3)のHMXへと誘導され得る。
【0073】
示される実施形態では、状態Rout-2にある溶液の第2の濃縮流内の溶質の量は、状態Rin-1にある溶液の第2の流れ内の溶質の量よりも多くともよい。また、状態Rout-2にある溶液の第2の濃縮流内の溶質の量は、状態Rout-1にある溶液の第1の濃縮流内の溶質の量よりも多くともよい。
【0074】
図9は、本開示の一実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を増加させることによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を実施するシステムを示す。簡略化のために、図1及び図8の説明で既に詳細に説明されているシステム100の特徴は、図9の説明では詳細に説明されない。
【0075】
図9を参照すると、示される実施形態では、HMX2は、状態Routにある第1の濃縮流の少なくとも一部を、連続ユニット、すなわち処理ユニット102-2のHMX1-n(n=2)に供給し得る。第1の濃縮流の少なくとも一部を受け取る際、HMX1-nは、受取分を処理して、状態Rout-2にある第2の濃縮流などの濃縮流を生成し得る。状態Rout-2にある第2の濃縮流は、処理ユニット102-3などの後続処理ユニットのHMX1-n(n=3)へと更に誘導され得る。
【0076】
図10は、本開示の一実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を増加させることによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法を実施するシステム100の処理ユニットのブロック図を示す。本実施形態の詳細を、処理ユニット102-1のHMX1及びHMX2に関して説明する。
【0077】
しかしながら、本実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく、システム100の他の処理ユニット102に関して等しく実施することができることを、当業者は理解されたい。簡略化のために、図1図8、及び図9の説明で既に詳細に説明されているシステム100の特徴は、図10の説明では詳細に説明されない。
【0078】
図10を参照すると、示される実施形態では、熱及び質量交換器HMX2は、溶液の第1の濃縮流の少なくとも一部を処理ユニット102-1のHMX1に供給するように構成され得る。続いて、HMX1は、溶液の第1の濃縮流の少なくとも一部を処理して、状態Doutにある溶液の希釈流を生成し得る。示される実施形態では、状態Doutにある希釈流は、システム100から廃棄され得る。一実施形態では、状態Routにある第1の濃縮流は、部分的に、すなわち流れの少なくとも一部が、除湿流、すなわちDinとして使用され得る。そのような実施形態では、第1の濃縮流の残りの部分は、システム100からの最終生成物として利用され得る。
【0079】
別の実施形態では、状態Routにある第1の濃縮流は、除湿流、すなわちDinとして完全に使用され得る。そのような実施形態では、状態Routにある第1の濃縮流を、周期的な定常状態が達成されるまで、除湿流として完全に使用し得る。しかしながら、周期的な定常状態が達成される場合、状態Routにある第1の濃縮流は、部分的に除湿流として使用されることがあり、第1の濃縮流の残りの部分は、最終生成物として使用され得る。
【0080】
溶液内の溶質を濃縮するためのシステム及び方法に関する詳細は、図8図9図10図11a、及び図11bに示すような構成に関して説明されることに留意されたい。しかしながら、そのような詳細は、本開示の範囲から逸脱することなく、他の構成に関して等しく実施することができることが、当業者によって理解されるべきである。
【0081】
言うまでもなく、除湿処理に関して論じた異なる構成、ユニットの詳細、空気流及び水流の相対方向、規模、及び持続時間、並びにいくつかのHMXに関する全ての可能性が、加湿処理にもまた存在する。
【0082】
図11a及び図11bは、本開示の一実施形態にかかる、溶液内の溶質の濃度を増加させることによって溶液内の溶媒の濃度を変化させる方法1100を図示する、フローチャートを示す。簡略化のために、図1図8図9、及び図10の説明で既に詳細に説明されているシステム100の特徴は、図11a及び図11bの説明では詳細に説明されない。
【0083】
図11aを参照すると、ブロック1102では、方法1100は、複数の処理ユニットのうちの処理ユニットのHMX1によって、状態Dinにある溶液の第1の流れを受け取ることと、処理ユニットのHMX2によって、状態Rinにある溶液の第2の流れを受け取ることと、を含む。更に、ブロック1104では、方法1100は、HMX1によって溶液の第1の流れを処理して、状態Doutにある溶液の第1の希釈流を生成することを含む。HMX1は、初期段階において溶液の第1の流れから第1の量の溶質を吸収する、第1の乾燥剤を含む。
【0084】
更に、ブロック1106では、方法は、初期段階において、HMX2によって溶液の第2の流れを処理して、状態Routにある溶液の第1の濃縮流を生成することを含む。HMX2は、初期段階で溶液の第2の流れの中に第2の量の溶質を放出する、第2の乾燥剤を含む。ブロック1108では、方法は、初期段階において、複数の処理ユニットのうちの連続処理ユニットのHMX2-nへと、処理ユニットから状態Routにある溶液の第1の濃縮流を誘導することを含む。
【0085】
図10bを参照すると、ブロック1110では、方法1100は、初期段階において、連続処理ユニットのHMX2-nによって溶液の第1の濃縮流を処理して、状態Dout-nにある溶液の希釈流を生成することを含む。更に、ブロック1112では、方法1100は、連続処理ユニットのHMX1-nによって、状態Rin-nにある溶液の第1の流れを受け取ることを含む。ブロック1114では、方法は、初期段階において、連続処理ユニットのHMX2-nによって溶液の濃縮流を処理して、状態Rout-nにある溶液の第2の濃縮流を生成することを含む。状態Rout-nにある溶液の第2の濃縮流内の溶質の量は、状態Routにある溶液の第2の流れ内の溶質の量よりも多くともよい。
数学的モデル
【0086】
本明細書で使用される数学的モデルは、空気流の向流配置のためのDCFTHX(desiccant coated fin tube heat exchanger:乾燥剤被覆フィンチューブ式熱交換器)の性能をシミュレートするためのものである。これは、学術誌である、Jagirdar M及びLee PS、「Mathematical modeling and performance evaluation of a desiccant coated fin-tube heat exchanger」、Applied Energy(2018年)に提示されているものと同様である。前述の学術誌開示されているような数学的モデルは、本開示で説明されているような方法(複数可)の認知においてわずかに変更される。本明細書で実装される数学的モデルは、式(1)によって得られる除湿処理の場合に、再生されるHMXなどのユニットへの(空気の)入口境界条件を使用する。この条件は、所望の最終生成物が除湿済み空気である、図4(a)の構成と同様の構成に適用されることに留意されたい。
【0087】
【数1】
【0088】
一方、HMXのような再生処理のために除湿処理を行うユニットについては、式(2)によって得られる。この条件は、所望の最終生成物が加湿済み空気である、図10の構成と同様の構成に適用されることに留意されたい。
【0089】
【数2】
【0090】
ここで、Ya(Lx,z,t)とは、時間「t」における空気流を横切る方向(空気チャネルの高さに沿う)の位置「z」における空気を再生するDCFTHXの入口(x=Lx)における、空気の比湿度である。t1及びt2とは、それぞれ、除湿処理及び再生処理の期間である。Hf、Hd、及びHaとは、それぞれ、フィンの厚さ、乾燥剤層の厚さ、及び空気チャネルの高さである。
実験データ
【0091】
シミュレーションを実行するために選択された変数は、別段明記しない限り、除湿処理及び加湿処理について表1に提示する通りである。表1は本開示のより良い理解を提供するために含まれており、したがって、限定として解釈されるべきではないことが、当業者によって理解されるべきである。
【0092】
【表1】
【0093】
図12a及び図12bは、本開示の一実施形態にかかる、持続時間に対する溶液の比湿及び温度の変動を図示する、グラフィカル・プロット1202、1204を示す。グラフィカル・プロットは、図1で説明した構成のための溶液の比湿度及び温度における変動を示す。実験目的のため、n=12(すなわち、12ユニット又は12段階)及び0.759m/秒の空気流速が、向流構成における除湿及び再生空気流の両方について考慮される。
【0094】
図12aでは、入口比湿Ya,in,deが高い(0.0197kg/kg(d.a.))にもかかわらず、除湿中(0~120秒)の出口比湿が低いことを明確に観察することができる。ある段階から次の段階に進む間、出口比湿は低下し、段階12の後、0.000481kg/kg(d.a.)の超低比湿(除湿期間の時間平均値0~120秒)が実現される。これは、わずか10℃(温水流と冷水流との間)の温度スイングでは前例のないことである。更に、図12bに示すように、全段階の出口除湿空気の温度は、30℃の冷水温度まで近づく。
【0095】
図12c及び図12dは、本開示の一実施形態にかかる、持続時間に対する溶液の比湿及び温度の変動を図示する、グラフィカル・プロット1206、1208を示す。グラフィカル・プロットは、図4aで説明した構成のための溶液の比湿度及び温度における変動を示す。実験目的では、除湿空気の空気流速、すなわちDinを0.759m/秒、再生空気の空気流速、すなわちRinを0.683m/秒とする。これらの速度の違いは、有用な生成物として使用される除湿空気の一部がブリードアウトするためであることを理解されたい。
【0096】
図12cでは、入口比湿Ya,in,deが高い(0.0197kg/kg(d.a.))にもかかわらず、除湿中(0~120秒)の出口比湿が低い(除湿期間0~120秒の間における出口比湿の時間平均値は0.00297kg/kg(d.a.))ことを明確に観察することができる。更に、図12dに示すように、出口除湿空気の温度は、除湿期間中に30℃の冷水温度まで近づく。
【0097】
図13aは、本開示の一実施形態にかかる、システムの第1の処理ユニット102-4に入り最後処理ユニット102-nから出る溶液に対応する時間平均空気状態を図示する、心理測定的プロット1302を示す。特に、心理測定的プロットは、それぞれ、ユニット/段階1、すなわち処理ユニット102-1、及びユニット/段階12、すなわち処理ユニット102-12の入口及び出口における除湿空気流に対応する時間平均空気状態を図示する。
【0098】
図13bは、本開示の一実施形態にかかる、処理ユニットに入る溶液に対応する時間平均空気状態を図示する、心理測定的プロット1304を示す。特に、心理測定的プロットは、図4aで説明した処理ユニット102-1の入口及び出口における除湿空気流に対応する、時間平均空気状態を図示する。
【0099】
図14a及び図14bは、本開示の一実施形態にかかる、持続時間に対する溶液の比湿及び温度の変動を図示する、グラフィカル・プロット1402、1404を示す。グラフィカル・プロットは、図1で説明した構成のための溶液の比湿度及び温度における変動を示す。実験目的のため、n=3(すなわち、3ユニット又は3段階)及び0.759m/秒の空気流速が、向流構成における除湿及び再生空気流の両方について考慮される。
【0100】
図14aでは、入口比湿Ya,in,deが低い(0.0032kg/kg(d.a.))にもかかわらず、加湿中の出口比湿が高いことを明確に観察することができる。ある段階から次の段階に進む間、出口比湿は増加し、段階3の後、0.011kg/kg(d.a.)の比湿(加湿期間の時間平均値100~160秒)が実現される。ここで、t1及びt2は可変であることに留意されたい。これは、わずか10℃(温水流と冷水流との間)の温度スイングでは前例のないことである。更に、図14bに示すように、全段階の出口加湿空気の温度は、25℃の比較的温かい水温まで近づく。
【0101】
図14c及び図14dは、本開示の一実施形態にかかる、持続時間に対する溶液の比湿及び温度の変動を図示する、グラフィカル・プロット1406、1408を示す。グラフィカル・プロットは、図10で説明した構成のための溶液の比湿度及び温度における変動を示す。図14aでは、入口比湿度Ya,in,deは低い(0.0032kg/kg(d.a.)が、加湿中の出口比湿は高く、数値は、サイクル5では0.0103kg/kg(d.a.)である(加湿期間中の時間平均値120~180秒間)ことを明確に観察することができる。ここで、t1及びt2がここでは異なり、サイクルごとに異なることに留意されたい。これは、わずか10℃(温水流と冷水流との間)の温度スイングでは前例のないことである。図14bで見られるように、全段階の出口加湿空気の温度は、25℃の比較的温かい水温まで近づく。
【0102】
図15aは、本開示の一実施形態にかかる、システムの第1の処理ユニット102-4に入り最後処理ユニット102-nから出る溶液に対応する時間平均空気状態を図示する、心理測定的プロット1502を示す。心理測定的プロットは、本開示の図8に示すような構成の除湿空気流に対応する、時間平均空気状態を図示する。特に、心理測定的プロットは、それぞれ、ユニット/段階1、すなわち処理ユニット102-1、及びユニット/段階3、すなわち処理ユニット102-3の入口及び出口における除湿空気流に対応する時間平均空気状態を図示する。
【0103】
図15bは、本開示の一実施形態にかかる、処理ユニットに入る溶液に対応する時間平均空気状態を図示する、心理測定的プロット1504を示す。特に、心理測定的プロットは、図10で説明した処理ユニット102-1の入口及び出口における加湿空気流に対応する、時間平均空気状態を図示する。
【0104】
空気を除湿するための図2及び図4aに示す構成で実装される方法(複数可)は、加熱及び冷却流体(この場合、水)との間の小さな温度差に対して達成される比湿度の低減に関して、非常に良好に機能することが最終的に示されている。除湿のための新規な方法を確認するいくつかの可能な構成のうち、2つの構成が試験され、一方は複数の段階を有し、他方は再生のために同一ユニットにおいて除湿空気を再誘導することを含む。試験した構成の出口における生成空気は、入口空気湿度が0.0197kg/kg(d.a.)であった場合、それぞれ、約0.0005kg/kg(d.a.)及び約0.003kg/kg(d.a.)の湿度であった。
【0105】
空気を加湿するために図8及び図10に示す構成で実装される方法(複数可)もまた、非常に良好に機能することが最終的に示されている。達成可能な比湿度は非常に高い。実際に、この方法を用いると、加熱及び冷却流体(この場合、水)との間の小さな温度差であっても、相対湿度は理論的には飽和(100%)に達することができる。加湿のための新規な方法を確認するいくつかの可能な構成のうち、2つの構成が試験され、一方は複数の段階を有し、他方は再生のために同一ユニットにおいて加湿空気を除湿することを含む。試験した構成の出口における生成空気は、入口比湿が0.0032kg/kg(d.a.)であった場合、それぞれ、0.011kg/kg(d.a.)及び0.0103kg/kg(d.a.)の湿度であった。
【0106】
本開示で説明される方法(複数可)は、脱塩、水の蒸留、及び発電所、産業等でも使用され得る加湿器を含むが、これらに限定されない、様々な用途に使用することができる。したがって、本開示の方法(複数可)は、広範囲の用途を有する。
【0107】
本主題を説明するために特定の用語が使用されているが、それに起因して生じるいかなる制限も意図されていない。当業者には明らかなように、本明細書で教示される本発明の概念を実施するためには、本方法に様々な作業上の修正を加えることができる。図面及び前述の説明は、実施形態の例を提供する。当業者は、記載された要素のうちの1つ以上が単一の機能要素にうまく組み合わされ得ることを理解するであろう。あるいは、特定の要素は、複数の機能要素に分割され得る。一実施形態からの要素を別の実施形態に追加することができる。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図8
図9
図10
図11a
図11b
図12a
図12b
図12c
図12d
図13a
図13b
図14a
図14b
図14c
図14d
図15a
図15b
【国際調査報告】