(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-11
(54)【発明の名称】生育システム及び方法
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20220304BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20220304BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20220304BHJP
A01K 67/033 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
B65G1/04 555Z
B65G1/00 521Z
A01G7/00 601Z
A01G7/00 601A
A01K67/033 502
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539991
(86)(22)【出願日】2020-01-09
(85)【翻訳文提出日】2021-08-25
(86)【国際出願番号】 EP2020050415
(87)【国際公開番号】W WO2020144269
(87)【国際公開日】2020-07-16
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515134368
【氏名又は名称】オカド・イノベーション・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ウェラン、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】リンドボー、ラース・スバーカー・トゥーレ
(72)【発明者】
【氏名】クラーク、ポール
(72)【発明者】
【氏名】イングラム-テッド、アンドリュー・ジョン
【テーマコード(参考)】
2B022
3F022
【Fターム(参考)】
2B022DA01
2B022DA17
2B022DA20
3F022AA01
3F022AA02
3F022BB02
3F022BB03
3F022BB04
3F022EE05
3F022EE09
3F022FF00
3F022JJ11
3F022KK11
3F022MM01
3F022MM08
(57)【要約】
生物がスタック12におけるコンテナ10内で生育される、生育システムが説明される。スタック12の上方では、積荷取扱装置30が走行する。積荷取扱装置は、スタック12からコンテナ10を取得し、それらを商品が選び出され得るサービスエリアステーションに置く。コンテナ10には、以下のサービス、即ち、電力供給手段、電力制御手段、加熱手段、照明手段、冷却手段、感知手段、及びデータロギング手段のうちの1つ又は複数が設けられ得る。システム全体にわたってではなく、個々のコンテナ内でのこれらのサービスの供給は、コスト及び非効率性を低減しつつ、保管における柔軟性を可能にする。
【選択図】
図14b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生育システムであって、
自立型のスタック(12)において配置された複数のコンテナ(10)を備え、前記生育システムは、
前記スタック(12)の上方で横方向に移動するように配置され、前記スタックの上方に配設された少なくとも1つの積荷取扱装置(30)を更に備え、前記1つ又は各積荷取扱装置(30)は、スタック(12)から、少なくとも1つのコンテナ(10)又はその一部を持ち上げるように配置された持ち上げ装置を備えており、
各コンテナは、生育チャンバ(100)を備え、前記生育チャンバは、少なくとも1つの生育トレイ(110)を備え、前記生育トレイは、少なくとも1つの生物の生育を持続させる生育培地を備え、
前記コンテナは、前記1つ又は各生物の生育を持続及び/又は育成するためのサービスをする手段(160、170)を更に備え、
前記スタック内に位置するターゲットコンテナが、前記積荷取扱装置(30)によって持ち上げられ、サービスエリアに運搬され得、前記サービスエリアは、その中の前記生物に対してタスクを実行するための手段を備える、生育システム。
【請求項2】
前記サービスエリアは、前記1つ又は各生育トレイを前記コンテナの外に取り出すための手段を備える、請求項1に記載の生育システム。
【請求項3】
前記サービスエリアは、前記生物に対して少なくとも1つのアクションを実行するための手段を更に備える、請求項1又は2に記載の生育システム。
【請求項4】
前記アクションは、前記生物を、収穫すること、又は剪定すること、又は葉を取り除くこと、又は受粉すること、又は移植すること、又は施肥若しくは給餌すること、のうちの少なくとも1つを備える、請求項3に記載の生育システム。
【請求項5】
前記生物は、葉物野菜、又はマイクログリーン、又はソフトフルーツ、又はトマト、又は木質のハーブ、又は根菜、又は菌類若しくはタンパク質、又は昆虫を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の生育システム。
【請求項6】
前記1つ又は各コンテナは、複数の生育チャンバを備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の生育システム。
【請求項7】
前記サービスは、水、又は栄養素、又は空気若しくは他のガス状流体入力、又は栄養素、又は殺菌手段、又は光、及び又は所定の生物に必要とされるその他任意の環境サービスを備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の生育システム。
【請求項8】
前記サービスは、光ガイド又は光チューブのうちの1つ又は複数を介して提供される光である、請求項1~7のいずれか一項に記載の生育システム。
【請求項9】
前記サービスエリアは、前記1つ又は各生育トレイを取り出すための手段を備え、前記生育トレイを取り出すための手段は、コンベヤ手段(135)、フォークリフトトラック手段、又は前記生育トレイを前記コンテナから取り出すことが可能なその他任意の好適な手段を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の生育システム。
【請求項10】
前記1つ又は各生育トレイを取り出すための手段は、高さ調整可能である、請求項8に記載の生育システム。
【請求項11】
前記生育トレイ(110)は、前記生育チャンバ(100)内の支持構造(120)上に配置される、請求項1~10のいずれか一項に記載の生育システム。
【請求項12】
前記生育トレイ(110)を所定の位置に保持するための解放可能な機構を更に備える、請求項10に記載の生育システム。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の、植物又は生物を生育する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保管システムに関する。より具体的には、限定はしないが、本発明は、スタック状の保管容器又はコンテナを有する保管システムに関する。
【0002】
幾つかの商用及び工業用の活動は、多数の異なる製品の保管及び回収を可能にするシステムを必要とする。複数の製品ラインにおけるアイテムの保管及び回収用の1つの既知のタイプのシステムは、保管コンテナ又はコンテナを互いの上にスタックにおいて配置することを伴い、これらスタックは、列を成して配置されている。保管コンテナ又はコンテナは、上方からアクセスされ、列同士の間の通路の必要性を取り除き、より多くのコンテナが所定の空間に保管されることを可能にする。
【0003】
以下により十分に説明される既知の保管及び回収システムでは、コンテナは受動的であり、単に商品を保持するために存在する。例えば、バーコーディングによって、所定のコンテナの識別が知られ、その内容物にリンクされ得るが、システム内のコンテナは、能動コンポーネント又はオンボードインテリジェンスを有さない。
【0004】
輸送コンテナシステムでは、コンテナは、例えば、内容物を冷蔵するコンテナ、例えば、果実の熟成を監視するための、ガス監視システムを備えるコンテナ、並びに個々のコンテナがポートにおいて追跡及びトレースされることを可能にする位置特定手段を備えるコンテナに対する、監視及び制御システムを備える。
【0005】
列を成して積み重ねられたコンテナを取り扱う方法は、数十年にわたり周知である。幾つかのこのようなシステムでは、例えば、BertelのUS2,701,065に記載されているように、このようなコンテナを保管することに関連付けられた保管容積を低減させながらも、依然として必要に応じて特定のコンテナへのアクセスを提供するために、列を成して配置された、コンテナの自立型スタックを備える。所定のコンテナへのアクセスは、比較的複雑な巻上げ機構を設けることによって可能にされ、これは、所定のコンテナを積み重ねるために、及び所定のコンテナをスタックから取り出す(remove)ために使用され得る。しかしながら、このようなシステムのコストは、多くの状況において現実的ではなく、それらは、主に大型輸送コンテナの保管及び取り扱い用に商用化されてきた。
【0006】
コンテナの自立型スタックを使用し、特定のコンテナを回収及び保管するための機構を設ける構想は、例えば、CimcorpのEP0767113Bに記載されているように、更に発展されてきた。‘113には、コンテナのスタックの周りで下げられ、且つスタックにおける任意のレベルでコンテナを把持することが可能であるように構成された矩形チューブの形態のロボット積荷ハンドラを使用して、複数の積み重ねられたコンテナを取り出すための機構が開示されている。この方法では、幾つかのコンテナが、スタックから一度に持ち上げられ得る。可動チューブは、1つのスタックの上から別のスタックの上へと幾つかのコンテナを移動させるために、又は、スタックから外部の場所へ及びその逆へとコンテナを移動させるために使用され得る。このようなシステムは、単一のスタック内の全てのコンテナが同じ製品を含む(単一製品スタックとして知られる)場合に、特に有用であり得る。
【0007】
‘113に記載されているシステムでは、チューブの高さは、コンテナの最も高いスタックが単一の動作で抜き出され得るように、コンテナの最大のスタックの高さと少なくとも同じ高さでなければならい。従って、倉庫等の閉鎖空間で使用されるとき、スタックの最大高さは、積荷ハンドラのチューブを収容する必要性によって制限される。
【0008】
その内容が参照により本明細書に組み込まれるEP1037828B1(Autostore)には、コンテナのスタックがフレーム構造内に配置されるシステムが記載されている。このタイプのシステムが、添付の図面の
図1~
図4に概略的に示される。ロボット積荷取扱装置は、スタックの最上面上のトラックのシステム上で、スタックのあちこちに制御可能に移動され得る。
【0009】
ロボット積荷取扱装置の他の形態が、例えば、ノルウェー特許第317366号に更に記載されており、その内容が参照により本明細書に組み込まれる。
図3(a)及び
図3(b)は、それぞれ、背面及び正面からの積荷取扱装置の概略斜視図であり、
図3(c)は、容器を持ち上げている積荷取扱装置の概略正面斜視図である。
【0010】
積荷取扱装置の更なる発展が、英国特許出願第1314313.6号(Ocado)に記載されており、ここで、各ロボット積荷ハンドラは、1つのグリッド空間のみをカバーし、従って、積荷ハンドラのより高い密度を可能にし、従って、所定のサイズのシステムのより高いスループットを可能にする。
【0011】
このような既知の保管システムでは、多数のコンテナが密に積み重ねられている。コンテナの内容物は、劣化する可能性があり、照明、加熱又は冷却を必要とし得、或いは、既知のシステムによって現在提供されていない何らかの形態の監視又は制御を必要とし得る。
【0012】
本発明によれば、保管システムが提供され、保管システムは、平行なレール又はトラックの第1のセット、及び、複数のグリッド空間を備えるグリッドパターンを形成するように、実質的に水平な平面において第1のセットに対して横断して延在する平行なレール又はトラックの第2のセットと、レールの下に位置する、スタックにおいて配置された複数の保管コンテナ10と、グリッド上に配設され、レール上でスタックの上方を横方向に移動するように配置された少なくとも1つの積荷取扱装置と、積荷取扱装置は、スタックから1つ又は複数のコンテナ又はその一部を持ち上げるように配置された持ち上げ装置を備える、を備えており、幾つかのコンテナは、1つ又は各コンテナにサービスを提供するためのサービス手段を備え、それによって、スタック内の個々のコンテナが追加の機能を実行することを可能にする。
【0013】
本発明によれば、保管システムを状態監視する方法が更に提供され、方法は、保管コンテナ内にセンサ手段とデータロギング及び記憶手段とを設けるステップと、中央データロギング装置にログ記録されたデータを通信するための通信手段を設けるステップと、監視すべき保管システム内にコンテナを配置するステップと、受信されたデータを監視するステップと、を備える。
【0014】
有利には、本発明の一形態によれば、保管システム内の個々のコンテナは、商品に加えてサービスが提供され得る。更に、保管システム内の個々のコンテナは、商品を含んでいなくてもよいが、他のコンテナへの供給のための、又はシステムの状態を監視若しくは制御するためのサービスを含み得る。
【0015】
このようにして、個々のコンテナにおいて提供されるサービスに依存して、内容物は、制御され得るか、又は中央処理システムに中継されることになる、容器の内容物に関連するデータについて監視され得る。更に、コンテナ又はコンテナ内のサービス及び状態、例えば、温度、湿度、照明又は他のパラメータが制御され得る。制御機能は、容器内のローカル制御システムによって、又は中央システムがコンテナ内のアクチュエータに信号を送ることによってのいずれかで提供され得る。更に、制御及び監視は、隣接していないコンテナ間で、ワイヤレス又は他の手段を介して、ピアツーピア通信に対して達成され得る。送信されるデータは、保管システム全体を状態監視するために、容器の状態、容器の内容物に関する情報を提供し得、又は、隣接するコンテナに関する情報を提供し得る。更に、このようにして、コンテナは、容器の特定の内容物によって必要とされるように、加熱又は冷却され得る。
【0016】
このようにして、本発明は、先行技術の問題を克服し、大型容器取扱保管システムの信頼性を増大させ、且つ全体的なコストを低減させるシステム及び方法を提供する。
【0017】
次に、添付の線図を参照して、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、保管システム内にコンテナの複数のスタックを収容するためのフレーム構造の概略斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のフレーム構造の一部の概略平面図である。
【
図3a】
図3(a)は、
図1及び
図2のフレーム構造と共に使用するためのロボット積荷取扱装置の1つの形態の背面からの概略斜視図である。
【
図3b】
図3(b)は、
図1及び
図2のフレーム構造と共に使用するためのロボット積荷取扱装置の1つの形態の正面からの概略斜視図である。
【
図3c】
図3(c)は、容器を持ち上げる使用の際の、既知の積荷ハンドラ装置の概略斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の一形態によるロボットサービス装置と共に、
図1及び
図2のフレーム構造上に取り付けられた
図3(a)、
図3(b)及び
図3(c)に示されるタイプの複数の積荷ハンドラ装置を備える既知の保管システムの概略斜視図である。
【
図5a】
図5aは、本発明によるコンテナの一形態の概略斜視図であり、
図5aは、同一のコンテナを一方の側から見た図を示し、コンテナは、接続手段を介して接続されたサービス及びユーティリティを備え、接続手段は、コンテナの少なくとも一方の側面上に位置するルーティング手段を介して供給されている。
【
図5b】
図5bは、本発明によるコンテナの一形態の概略斜視図であり、
図5bは、同一のコンテナを反対側から見た図を示し、コンテナは、接続手段を介して接続されたサービス及びユーティリティを備え、接続手段は、コンテナの少なくとも一方の側面上に位置するルーティング手段を介して供給されている。
【
図6a】
図6aは、本発明による別の形態のコンテナの概略斜視図であり、コンテナは、照明手段と流体供給手段とを備える。
【
図6b】
図6bは、本発明による別の形態のコンテナの概略斜視図であり、コンテナは、照明手段と流体供給手段とを備える。
【
図7b】
図7bは、
図5bのコンテナ上のルーティング手段の拡大図を示す。
【
図8a】
図8aは、本発明の更なる形態によるコンテナの概略斜視図であり、コンテナは、コンテナ内又はその一部に照明手段を備える。
【
図8b】
図8bは、本発明の更なる形態によるコンテナの概略斜視図であり、コンテナは、コンテナ内又はその一部に照明手段を備える。
【
図8c】
図8cは、本発明の更なる形態によるコンテナの概略斜視図であり、コンテナは、コンテナ内又はその一部に照明手段を備える。
【
図9】
図9は、
図6a及び
図6bのコンテナのスタックの概略斜視図であり、コンテナがスタック状に積み重ねられたときに協働する、コンテナ上のコネクタを示す。
【
図10】
図10は、本発明の別の形態による、
図9のコンテナのスタックの概略斜視図であり、コンテナは、保管及び回収システムの一形態のフレームワーク内に位置しており、コネクタは、保管及び回収システムの基部に位置する供給手段に更に接続されている。
【
図11】
図11は、保管及び回収システムの基部と、スタック内の一番下のコンテナとの間の接続の概略斜視図である。
【
図12】
図12は、本発明の更なる形態によるコンテナの概略斜視図であり、コンテナは、流体供給手段を備え、流体貯槽を更に備える。
【
図13】
図13は、本発明の更なる実施形態の概略斜視図であり、ここで、コンテナが、複数のより小さいコンテナを備え、より小さいコンテナの各々が、コンテナの少なくとも一方の側面上に位置する接続手段を介して接続可能な所定のサービスを備える。
【
図14a】
図14は、本発明の追加の実施形態の概略斜視図であり、ここで、スマートコンテナが、垂直農業システムのためのビルディングブロックとして使用され、システムは、一連のコンテナを備え、コンテナの容積は、その中で保管又は生育されている生物のサイズによって定義されており、
図14aは、本発明の更なる実施形態によるコンテナの概略斜視図である。
【
図14b】
図14は、本発明の追加の実施形態の概略斜視図であり、ここで、スマートコンテナが、垂直農業システムのためのビルディングブロックとして使用され、システムは、一連のコンテナを備え、コンテナの容積は、その中で保管又は生育されている生物のサイズによって定義されており、
図14bは、生育トレイを示す本発明の追加の実施形態による、
図14aでのコンテナの概略斜視断面図である。
【
図15】
図15は、高密度に詰め込まれた、生物を備える生育トレイを示す、
図14a及び
図14bの本発明によるコンテナの概略斜視図である。
【
図16】
図16は、本発明の一形態によるサービスエリアを示す、本発明による
図14及び
図15のコンテナの概略斜視図であり、前記サービスエリアは、コンベヤ手段又は運搬手段の一形態上で、
図15の高密度に詰め込まれたコンテナから取り出された生育トレイを備える。
【
図17】
図17は、本発明の一形態による照光手段を示す、本発明によるコンテナの内部の概略斜視図であり、照光手段は、生育トレイの上方に配置された光ガイド終端点(light-guide terminal point)を備える。
【
図18】
図18は、本発明の一形態による照光手段を示す、本発明によるコンテナの内部の概略斜視図であり、照光手段は、コンテナの上部からコンテナの底部まで延在する光チューブを備える。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1及び
図2に示されるように、容器10として知られる積み重ね可能なコンテナは、互いの上に積み重ねられてスタック12を形成する。スタック12は、倉庫保管環境又は製造環境におけるフレーム構造14内に配置される。
図1は、フレーム構造14の概略斜視図であり、
図2は、フレーム構造14内に配置された容器10の単一のスタック12を示す上から見た図である。各容器10は、典型的に、複数の製品アイテム(図示せず)を保持し、容器10内の製品アイテムは、同一であり得るか、又は用途に応じて異なる製品タイプのものであり得る。
【0020】
フレーム構造14は、実質的に水平な部材18、20を支持する複数の直立部材16を備える。第1のセットの実質的に平行で実質的に水平な部材18が、第2のセットの実質的に平行で実質的に水平な部材20に対して垂直に配置されて、直立部材16によって支持される複数の水平なグリッド型構造を形成している。部材16、18、20は、典型的に、金属から製造される。容器10は、フレーム構造14の部材16、18、20の間に積み重ねられ、その結果、フレーム構造14は、容器10のスタック12の水平方向の動きを防ぎ、容器10の垂直方向の動きを案内する。
【0021】
フレーム構造14の最上レベルは、スタック12の最上部にわたってグリッドパターンに配置されたレール22を含む。
図3及び
図4を更に参照すると、レール22は、複数のロボット積荷取扱装置30を支持する。平行なレール22の第1のセット22aが、フレーム構造14の最上部にわたって第1の方向(X)への積荷取扱装置30の動きを案内し、第1のセット22aに対して垂直に配置された平行なレール22の第2のセット22bが、第1の方向に対して垂直な第2の方向(Y)への積荷取扱装置30の動きを案内する。このようにして、レール22は、X-Y平面において2次元における積荷取扱装置30の動きを可能にし、その結果、積荷取扱装置30は、スタック12のうちの任意のものの上方の位置へと移動され得る。
【0022】
各積荷取扱装置30は、スタック12の上方で、フレーム構造14のレール22上をX方向及びY方向に移動するように配置された車両32を備える。車両32の正面にある一対の車輪34と、車両32の背面にある一対の車輪34とからなる、第1のセットの車輪34は、レール22の第1のセット22aのうちの2つの隣接するレールと係合するように配置されている。同様に、車両32の両側面にある一対の車輪36からなる、第2のセットの車輪36は、レール22の第2のセット22bのうちの2つの隣接するレールと係合するように配置されている。各セットの車輪34、36は、第1のセットの車輪34又は第2のセットの車輪36のいずれかが、どの時点においてもそれぞれのレールのセット22a、22bと係合するように、上げ下げされ得る。
【0023】
第1のセットの車輪34が第1のレールのセット22aと係合し、第2のセットの車輪36がレール22から離れて持ち上げられたとき、車輪34は、積荷取扱装置30をX方向に移動させるために、車両32内に収容された駆動機構(図示せず)によって駆動され得る。積荷取扱装置30をY方向に移動させるために、第1のセットの車輪34が、レール22から離れて持ち上げられ、第2のセットの車輪36が、第2のレールのセット22aと係合するように下げられる。次いで、駆動機構は、Y方向への移動を達成するように、第2のセットの車輪36を駆動させるために使用され得る。
【0024】
このようにして、1つ又は複数のロボット積荷取扱装置30は、中央ピッキングシステム(図示せず)の制御下で、フレーム構造14上のスタック12の上面を動き回り得る。各ロボット積荷取扱装置30には、必要とされる製品にアクセスするために、スタック12から1つ又は複数の容器又はコンテナを持ち上げるための手段が設けられている。このようにして、複数の製品が、どの時点においてもグリッド及びスタックにおける複数の場所からアクセスされ得る。
【0025】
必要とされるコンテナ10がスタック12の一番上にない場合、各積荷取扱装置が単一のコンテナ10しか運ぶことができない場合には、ターゲットコンテナ10にアクセスするために、複数の積荷取扱装置が協働する(co-operate)必要があることが理解されよう。
【0026】
図4は、上記で説明されたような典型的な保管システムを示し、保管システムは、協働してスタック12からコンテナ10を回収し及びスタック12にコンテナ10を戻すために、スタック12上で活動状態にある複数の積荷取扱装置30を有する。ターゲットコンテナ10の追跡中にスタック12から取り出された不要なコンテナ10は、空いている位置でスタック12内に戻される。
【0027】
図1及び
図4は、保管システム内のスタック12における容器10を示す。多数の容器が任意の所定の保管システムにおいて存在し得、多くの異なる商品がスタックにおいて保管され得、各容器は、単一のスタック12内で異なる商品を含み得るか、同様のスタックにおいて同様の商品を含み得るか、又は個々のコンテナ10内に複数の在庫アイテムを含み得ることが理解されよう。上記で説明されたシステムは、オンラインショッピング電子商取引ソリューションにおいて、食料雑貨類を保管及び回収するために考案されたが、他の用途も想定され、小包及び手紙等の他のアイテムが、コンテナ10内に保管され得ることも理解されよう。
【0028】
図5a及び
図5bは、本発明の一形態によるコンテナ10を示し、コンテナ10は、隣接するコンテナ10間に締まりばめ(interference fits)を形成する協働表面(co-operating surfaces)によって、スタック状に保持されることが可能である。
図5a及び
図5bのコンテナ10は、コンテナ10のスタック12を形成するためにコンテナが協働することになる協働表面において接続手段40を追加的に備える。
図5a及び
図5bに示される接続手段40は、コンテナ10の上縁部に位置する押込みばめ雄型コネクタ40を備える。コンテナの底縁部は、雌型コネクタを備える。2つのコンテナは、モールディング(mouldings)としてコンテナ10の一部を形成し得るか、又はコンテナ10の側面の表面に取り付けられたパイプ、ケーブル、ワイヤ若しくは他のルーティング手段であり得る、ルーティング手段によってリンクされる。コネクタ手段及びルーティング手段のこの形態は、使用され得るコネクタ手段及びルーティング手段の一形態にすぎず、任意の好適な形態の解放可能なコネクタ手段が、スタック12の中又は外へのコンテナの移動時に、必要に応じてラッチ又は接続すること、及び、ラッチ解除又は接続解除することが可能であることが理解されよう。
【0029】
例えば、接続手段40は、コンテナ10の協働表面上に堆積された導電層を備え得るか、又は、ばね仕掛けのコンタクト若しくはコンタクトとしてのばね、又は2つ以上のコンテナ10間で電力、データ若しくは他の信号を搬送することが可能なその他任意の接続手段を備え得る。例えば、磁気誘導又はRF誘導及び光学的方法といった、電力伝送の非接触方法も使用され得る。更に、接続手段40は、スタック内の2つ以上の協働するコンテナ10間で、信号又はデータを搬送することが可能な炭素入りのゴムコンタクトを備え得る。
【0030】
コンテナは、締まりばめ手段によって、又は成形された協働表面を有する隣接するコンテナ10によって、スタック12内に保持され得るが、コンテナ10は、好適なラッチング手段(図示せず)を介して互いにラッチされ得る。ラッチング手段は、スタック12内で2つ以上のコンテナ10を共に解放可能なようにラッチするように機能し得る。ラッチング手段は、積荷取扱手段が個々のコンテナ10又は共にラッチされた複数のコンテナ10を持ち上げ得るように、遠隔操作可能でなければならない。任意の形態の遠隔ラッチング及びラッチング解除手段が使用され得る。例えば、電磁ラッチング手段、又は、機能を実行するのに適したその他任意の手段である。
【0031】
図5a及び
図5bは、例えば、
図6a及び
図6bの加熱手段56、冷却手段58、データロギング手段44、通信手段46及び/又は照明手段60に電力を供給するための電力供給手段42を備える個々の容器10を更に示す。容器10は、1つ又は各サービスへの電力を制御することと、電力がスタック12内の隣接するコンテナ10に伝送されるべきである場合に、スタック12内の他のコンテナ10への電力を制御することと、を行うための電力制御手段43を更に備える。電力制御及び制御手段を備えるコンテナ10は、加熱器56、冷却器58、照明60又は電力を必要とするその他任意のサービスに電力を供給し得ることが理解されよう。電力を必要とする任意のものが、電力供給手段42を利用し得る。電力供給手段は、バッテリを備え得、又は、保管システムの基部からコンテナ10上の接続手段52を通じて、又はグリッドの直立材16を介して、外部電源からの電力を伝送するための手段を備え得る。
【0032】
更に、電力、データ又はその他任意の信号が、倉庫の床に位置する電力及び又はデータコネクタを介して、スタック12内のコンテナ10に供給され得る。電力は、コンテナ10の協働表面におけるコンタクト52を介して、スタック12に沿って上方に伝送され得る。更に、サービスは、床からコンテナ10のスタック12に沿って上方に流れ得、例えば、冷却流体又は加熱流体が、このように利用され得る。
【0033】
図5a及び
図5bは、少なくともデータロギング手段44と、記録されたデータを遠隔中央データロギング装置に送信するための通信手段46と、を備える個々の容器10を更に示す。データロギング手段44は、容器10内の状態、例えば、温度、例えば、果実の腐敗の結果としての、任意のガス放出、及び湿度を監視するのに適したセンサを備える。データロギング手段44及び通信手段46は、個々のコンテナ10の内容物及び状態を監視することを可能にする。
【0034】
更に、システムにおけるスタック12内の特定のコンテナ10に関する情報を知ることは、保管システム全体の状態を監視することを可能にする。コンテナ10自体は無名であり得るが、一意の識別が保管システム内の各容器10に割り当てられ得る。このようにして、各容器10の場所(及びその内容物)は、通信手段を介して、システムによって追跡可能且つ識別可能であり得る。このようにして、コンテナ10のトポロジは、各コンテナ10が、直接隣接するコンテナ10の識別の知識を有し、任意のスタック内の一番下のコンテナ10が、それより下にコンテナ10が存在しないという知識を有している結果として構築され得る。
【0035】
例えば、WiFi、Bluetooth(登録商標)、3線式シリアル、SigFox、又はその内容が参照により本明細書に組み込まれるOcado Innovation Limitedの英国特許出願第GB1509793.4号に記載されているような他のプロプラエタリシステム等の、任意のタイプ及び方法の通信が使用され得ることが理解されよう。その他任意の好適な通信手段又はプロトコルが使用され得ることが理解されよう。
【0036】
図5a及び
図5bは、スタック12からの個々の容器10を更に示し、容器10は、加熱手段56及び/又は冷却手段58と、容器10内の温度を監視するための温度監視手段50とを備える。加熱手段56は、例えば熱風等の直接的な手段、若しくは、例えばラジエータ手段等の間接的な手段を介した高温流体の流れを備え得、又は、電気加熱器若しくは電磁誘導加熱器を更に備え得る。
【0037】
冷却手段58は、ペルチェ冷却器を備え得、又は、例えば冷風等の直接的な手段を介した、若しくは、氷スラリーコンプレッサ駆動を含む、例えばラジエータ手段等の間接的な手段を介した低温流体の流れを備え得る。
【0038】
このようにして、個々のコンテナ10の温度は、個々の容器10の内容物に依存して、監視され、制御され、及び変化し得る。容器の内容物を冷蔵又は冷凍する必要がある場合には、空間加熱器及び空間冷却器によって、保管システム内のスタック12の一部が所定の温度に維持されることを必要とするのではなく、個々の容器が、冷蔵の場合は温度を5℃に維持され、冷凍の場合はそれより低く維持され得る。
【0039】
これらは単なる例であり、任意の好適な形態の加熱器又はチラー(chiller)が、所望の効果を達成するために使用され得ることが理解されよう。コンテナ10は、各容器10が、その上に位置する容器10によって、例えば気密状態で密封されるように設計及び配置され得る。各スタック12における一番上の容器10には、一番上の容器10を密封するための蓋(図示せず)が設けられ得る。このようにコンテナ10を密封することは、個々の容器内の温度が、好適な加熱又は冷却手段によって、より容易に制御されることを可能にする。
【0040】
図6a及び
図6bは、照明手段60と、流体供給手段72とを備えるコンテナ10の代替形態を示す。同じコネクタ40及び17が、電力を照明手段60にルーティングするために、又は水を例えば流体供給手段72にルーティングするために、使用され得る。
【0041】
図7a及び
図7bは、コンテナ10の側面上又は側面内に位置する、雄型コネクタ40及び雌型コネクタ17の拡大図を示す。
図7a及び
図7bは、コンテナ10のスタック12内の隣接するコンテナ10間の接続を形成し得る接続手段の単なる一例を詳細に示す。
【0042】
図8は、スタック12からの個々の容器10の3つの例を示し、容器10は、照明手段を備える。照明手段60は、下の容器10を照らすために、容器の底部に設けられ得る。代替として、照明手段60は、好適な電球、LED又はその他任意の好適な形態の照明を含む蓋62を備え得る。蓋62は、容器10に取り外し可能に取り付けられ得、スタック12から容器10を取り出す間、折り畳んでしまっておかれ得る。この場合も、照明手段60への電力供給は、容器10上に位置するコネクタ手段40及び17を介して供給される。
【0043】
図9は、
図8に示されるコンテナ10のスタックを示す。コンテナ10は、流体供給手段と照明手段60とを備える。コネクタ40及び17は、各コンテナ10を真上及び真下のコンテナに接続するために協働する。このようにして、照明手段60に電力を供給するための電力又は個々のコンテナ10の内容物を灌漑するための水等のサービスが、スタック12内のコンテナを通じてルーティングされ得る。
【0044】
図10は、その中に位置する複数のコンテナを備える保管システムのフレームワークの一部を示し、コンテナ10は、ワイヤ、ケーブル若しくはパイプ又はその他任意の好適な手段17によって、システムを通じてサービスを上方に運ぶ。
図10により詳細に見られるように、スタック12における一番下のコンテナ10は、コネクタ72を介して、保管システムの基部を通じてルーティングされる供給手段に接続する。基部における供給手段は、
図10に示されるように、システムの二重基部(false base)76内に位置し得るが、さもなければ、保管システムを備える建物の床下をルーティングされ得、又は他の手段を介してルーティングされ得ることが理解されよう。
【0045】
図11は、コンテナのスタック12と、システムの基部76における供給手段との間の接続手段をより詳細に示す。これは好適な接続手段の一例に過ぎず、コンテナ10を、電力、電気(electrical)、照明、電気通信又は他の供給に解放可能なように接続する任意のコネクタシステムが想定され得ることが理解されよう。
【0046】
図12は、スタック12からの本発明による個々のコンテナ10のなお別の形態を示し、容器10は、流体供給手段72を備え、流体貯槽74を更に備える。容器10の内容物は、それに水が供給されることを必要とし得る。従って、容器10には、液体又はガスで充填され得る貯槽54が設けられている。貯槽74を充填するために、容器10は、ロボット積荷取扱装置によってスタック12から取り出され、貯槽が必要に応じて補充され得るシステム内の場所に運ばれ得る。代替として、必要とされる流体は、グリッドシステムの直立材16を介して特定のコンテナ10にルーティングされ得る。
【0047】
図13は、本発明の更なる実施形態を示し、ここで、コンテナ100が、複数のより小さいコンテナ110を備え、より小さいコンテナ110の各々は、コンテナの少なくとも一方の側面上に位置する接続手段17、40を介して接続可能な所定のサービスを備える。
【0048】
使用に際して、図面を参照して上記で説明された保管システムは、スタック12において配置された多数のコンテナ10を備える。本発明の一実施形態では、保管システムは、システム内で分散された異なるカテゴリのコンテナ10を備える。例えば、空のコンテナ10、保管される商品を含むコンテナ10、電源又は通信手段等のサービスを含むコンテナ、加熱が可能なコンテナ10、冷却が可能なコンテナ10、液体及び/又は光を必要とする商品を備えるコンテナ10が存在し得る。コンテナ10のうちの幾つか又は全てが、上記で言及されたサービス又は装置のうちの1つ又は複数を含み得ることが理解されよう。例えば、貯槽54を有する容器10には、照明手段60も設けられ得る。
【0049】
スタック12内のコンテナ10におけるデータロギング及び状態監視手段の供給は、さもなければ、特定のコンテナ10を取り出し、調査しない限り可能ではなかったであろう、システムの状態及びトポグラフィーのマップが生成されることを可能にする。更に、幾つかのコンテナ10内にカメラ手段を含めることは、コンテナをシステムのあちこちに移動させて、グリッド及び又は他のコンテナ又はコンテナ10の状態を点検することを可能にする。
【0050】
更に、特定の個々のコンテナ10に対して、直立材16を介して、又は容器同士のコンタクトを介してのいずれかで、サービスを提供することは、システムを分割し、異なる要件を有する商品をグリッドの別個のセクションに分離することに頼ることなく、異なる要件を有する商品を同じ保管システム内に保管することを可能にする。
【0051】
加えて、コンテナ10間の接続及びコンテナ10とスタック12との間の通信は、例えば、停電の場合に役立つであろう、リアルタイムでの保管システムの知識ベースを生成し、それは、起こり得る災害の復旧時に助けとなるであろう。代替策は、全てのコンテナを空にし、スタックを再構築することであるが、これは非効率的でコストがかかる。
【0052】
上記で説明されたシステムは、多くの様々な用途を有する。前述の説明は、以下の状況のうちの幾つかで使用され得る、特定の制御及び監視サービスの詳細を提供する。本発明の態様による、スマート容器又はコンテナ10システムの用途の幾つかの非限定的な例は、限定はしないが、以下を含み得る。
【0053】
温度感知手段を備えるコンテナ10が、保管システムの冷蔵セクション、冷凍セクション、又は常温セクション(ambient section)における温度を監視するために使用され得る。例えば、システムの常温部分における温度の上昇は、チョコレートが溶けること又は発火性物質の発火をもたらし得る。これは、温暖化した気候の夏の間は、特に問題となり得る。
【0054】
カメラ手段を備えるコンテナ10が、グリッド及びスタック12内の他のコンテナ10の状態を監視するために使用され得る。ロボット積荷取扱装置30は、必要に応じてシステム又は他のコンテナ10又はスタック12の一部を点検するために、コンテナ10を保管システムのあちこちに移動させるために使用され得る。これは、システム内でこぼれがあった場合、又はシステム、グリッド、若しくはコンテナの保全性に関するその他の問題があった場合に関連し得る。
【0055】
各個々のコンテナ10内のコンテナ10識別手段が、コンテナ10又はスタック12間の通信手段と共に、ピアツーピア識別が可能である、保管システムのトポロジカルプロファイルを作成するために使用され得る。スタックを制御するシステムが破局故障した場合、トポロジカル情報が、災害復旧状況を作成するために使用され得る。
【0056】
個々のコンテナ10には、個々のコンテナ10又はシステム全体の点検に役立てるために、監視及びカメラ手段と連携して使用するための、照明手段60が設けられ得る。更に、コンテナ10の内容物は、特定の波長又はある波長範囲の照明から利益を享受し得る。例えば、熟していない果実は、適切な照明を使用して成長をうながされ得る。加えて、コンテナ又はコンテナ10を栽培目的のために使用することが可能であり得る。
【0057】
保管コンテナ及びコンテナ10には、ガス、煙、火又は熱を検出するためのセンサが設けられ得、センサは、いかなる火も消し止めるために、スプリンクラーシステムを起動させる。
【0058】
その内容が参照により本明細書に組み込まれる英国特許出願第GB1514428.0号に記載されているように、保管システムが、例えば、機械化された駐車場に車を保管するために使用される場合には、火又は煙を検出したセンサは、スプリンクラーを起動させ得、通信手段は、中央監視システムと直接通信するか、又は緊急サービスと直接通信するために設けられ得る。
【0059】
ガス感知手段を備えるコンテナ10が、システムの冷蔵部分における果実の状態を監視するために使用され得る。熟した果実はガスを放出するので、これらの特定のガスを監視することは、保管中の果実の過熟の兆候を提供し得る。これが検出された場合には、コンテナ10は、容器内に冷却手段を有しているので、内容物の過熟を防止するために冷却され得る。
【0060】
コンテナ又はコンテナ10が小包等の代替の商品を保管するために使用される場合、コンテナ又はコンテナ10は、以降の配布前に保管中の小包の重さを監視するための秤等の計量手段を含み得る。
【0061】
本発明の第2の実施形態では、本明細書で説明されるコンテナは、限定はしないが、0.6×0.4×0.3m3のコンテナから、輸送コンテナサイズのコンテナまでを含む、任意の容積のコンテナを記述し得る。
【0062】
図14~
図16に示されるように、本発明の前述の更なる実施形態では、各コンテナは、一連の棚120又は他の好適なトレイ110を含む。トレイ110は、植物140又は他の生物を備える。トレイ110は、1つ又は各コンテナ内に位置し、生育チャンバ100を画定する。生育チャンバ100は、例えば、好適に内張りされ(lined)、その中に可動棚120を有する、輸送コンテナを備え得る。棚120は、好適な生育培地が配置されるトレイ110のための支持体として機能する。生育培地は、例えば、土又は水又は生育ゲル又は膨張粘土ペブル、或いは植物又は生物の発育又は生育を支援するためのその他任意の好適な手段を備え得る。
【0063】
生育チャンバ100は、閉じられたときに生育チャンバを実質的に密閉し、それによって制御可能な環境を作り出す扉130を有する。生育チャンバ100内には、トレイ110の各々の上方に照明手段150が設けられている。例えば、照明手段150は、各棚又は支持構造120の底部に設けられて、その下のトレイ110を照らし得る。棚の段の各々へのサービスは、例えば、支持フレームワーク160を通じて、支持構造120自体を介して提供される。
【0064】
生育システムは、このようなコンテナのスタックを備え、各スタックは、一連のコンテナを備え、各コンテナは、その下のコンテナによって支持されている。コンテナが積み重ねられたときに適切に位置合わせされることを確実にするために、位置決めピン105が、コンテナ又は生育チャンバ100の各下角部に配置され得、協働する凹部が、コンテナ又は生育チャンバ100の各上角部に配置される。
【0065】
生育システムは、コンテナのスタックの上方で動作可能な少なくとも1つの積荷取扱装置を更に備える。積荷又は各積荷取扱装置は、欧州特許第EP3030504B1号に記載され、参照により本明細書に組み込まれるような、ロボット積荷取扱装置を備え得る。このような積荷取扱装置が使用される場合には、直立材及びトラックのフレームワークが、コンテナのスタックを収容し得る。トラックは、本発明の前述の実施形態を参照して上記で説明されたようなトラックを備え、コンテナの自立型スタックは、トラックのネットワークのグリッド空間の下に位置しており、コンテナのこのようなスタックの断面積は、コンテナのスタックの上方に位置するトラックのネットワークにおけるグリッド空間の断面積内にある。
【0066】
幾つかの実施形態では、1つ又は各積荷取扱装置は、積荷取扱装置を、コンテナのスタック内の少なくとも1つのターゲットコンテナ又はその一部に解放可能なように取り付けるのに適した持ち上げ装置又はその他任意の装置を有するガントリークレーンを備える。
【0067】
スタック内の1つ又は各コンテナは、その中に収容される生物の生育又は育成に適したサービスを備え得る。例えば、生育トレイ又は生育培地に配置された生物が植物を備える場合には、前記コンテナに供給されるサービスは、限定はしないが、空気、又は水、又は栄養素、又は光、或いはそのような植物によって合理的に必要とされ得るその他任意のサービスを含み得る。生育機構が代替の生物を支援するために使用される場合には、その他任意のサービスが必要に応じてそれに供給され得ることが理解されよう。
【0068】
例えば、生育チャンバ100には、環境管理及び水処理セクション170が更に設けられている。環境管理及び水処理セクション170は、生育チャンバ100内にカビが蓄積するリスクを低減するために、ファン等の空気流管理システム180を備え得る。環境管理及び水処理セクション170は、1つの生育チャンバ100から隣接する生育チャンバ100にサービスが渡され得るように、チャンバ間接続部190を更に備え得る。
【0069】
使用に際して、所定のターゲットコンテナが、1つ又は各積荷取扱装置内の又はそれに関連付けられた持ち上げ装置によって、コンテナの所定のスタックから持ち上げられる。ターゲットコンテナが、積荷取扱装置によってコンテナのスタックから解放可能なように持ち上げられ得る多くの方法が存在することが理解されよう。このような持ち上げ手段は、把持機構又はその他任意の好適な形態の取り付け機構を備え得る。
【0070】
一旦持ち上げられると、ターゲットコンテナは、積荷取扱装置によって、コンテナ内の生物がアクセスされるサービスエリアに運搬される。サービスエリアにおいて、植物又は他の生物は、任意の好適な手段を介して、コンテナ内に位置する生育チャンバ100から取り出される。棚120又は生育トレイ110が前記コンテナ100から取り出され得る任意の数の方法が存在するが、そのような機構は、限定はしないが、コンベヤシステム、機械式持ち上げシステム、フォークリフトトラック、又は当業者に利用可能な多くの手段のうちの任意の1つを含み得る。このようなシステムの一例が
図16に示され、これは、生育チャンバ100から取り出された生育トレイ110を示す。ガイドレール125と、生育トレイ運搬装置又はコンベヤ135とが所定の位置にある状態で、生育トレイ運搬装置135は、運搬装置昇降機145を介して、取り出される特定の生育トレイ110についての正確なレベルまで上昇され得る。運搬装置昇降機145は、運搬装置135がチャンバ100内の各レベルと位置合わせされるように高さ調整可能であることを確実にする。生育トレイ110は、解放可能機構115によって生育チャンバ100から解放され、次いで、コンベヤ135によって生育チャンバ100から取り出され得る。生育トレイ110が生育チャンバ100内に留まるべきであるとき、解放可能機構115は、生育トレイ110が支持体120上でチャンバ100内の正しい位置に留まることを確実にし得る。
【0071】
一旦コンテナから取り出されると、コンテナは、積荷取扱装置によってスタック内に戻され得る。代替として、コンテナは、生育又は繁殖のための同じ又は代替の生物で補充又は再充填され得る。コンテナは、同じ又は異なる生物で補充され得ることが理解されよう。異なる生物がコンテナの生育チャンバ100内に配置される場合には、サービスの組合せ又はそれどころかサービス自体が、以前の設定とは異なり得ることが理解されよう。
【0072】
コンテナ、又は生育トレイ、又は生育培地は、新品と取り替えられ得るか、又は交換され得ることが更に理解されよう。更に、コンテナは、必要に応じて消毒又は洗浄され得る。
【0073】
サービスエリアでは、あらゆる種類のアクションが生物に対して実行され得ることが理解されよう。これらは、限定はしないが、収穫、剪定、受粉、移植、再配置、植え付け、又はコンテナ内に収容されている特定の生物によって必要とされるその他任意の同様のアクションを含み得る。
【0074】
上記で説明された本発明の実施形態では、照明手段は、生体に生育用の光を提供するために設けられている。
図17~
図19に示されるように、コンテナ又は生育チャンバ内の照光手段は、光ガイド又は光チューブを介して提供され得る。この配置では、一次光源が設けられ、これは、コンテナの環境管理セクション170におけるLED光源であり得るか、又はコンテナの外部に位置し得る。光源からの光は、支持構造を通って生育トレイ110の上方の場所へと伝達される。
【0075】
図17では、光は、光ガイド205を介して終端点210に伝達される。光ガイド205は、光がガイドに沿って反射されるように、反射性材料で裏打ち(lined)され得る。更に、光ガイドは、可能な限り多くの光が全内部反射によって伝達されるように、非反射性材料で被覆され得る。光ガイド205は、光がコンテナの実質的に全ての表面に伝達され得ることを確実にするために、コンテナの長さにわたって配置されている。終端点210において、光ガイド205は、光が光ガイド205から出て行くことを可能にするために、透明又は半透明である。終端点210は、所望のエリアにわたる光の均一な分布を助けるために、例えば電球形状に成形され得る。終端点210は、光の均一な分布がコンテナ全体にわたって生育トレイによって受け取られることを確実にするために、光ガイド205の長さに沿って位置する。
【0076】
図18では、光は、
図17の配置と同様に、光源から光ガイド205を通って伝達される。終端点210において、電球ではなく光チューブ215が、ガイド205からコンテナの底部まで延在する。光は、光チューブに沿って伝達されることが可能であるが、それはまた、チューブの長さに沿って光チューブ215から出て行き得、それによって、コンテナ内の異なる高さレベルにおいて光を提供し、例えば、植物の密集した葉の間等、コンテナ内の他の物体からの、生物の幾つかの部分を覆う潜在的な影のリスクを低減している。
【0077】
図19は、その中の作物を照らすための、実質的に水平な光ガイド205を介して光が供給される終端点210と光チューブ215との両方とを有し、隣接する下のコンテナに光を伝達するための実質的に垂直に配置された光ガイド205を更に有する、コンテナ100を示す。
【0078】
光源は生育エリアから離れて配置され得ることが理解されよう。これは、光源によって発生した熱が、生育エリアから離れた他の場所に放散されることになるので、生育エリアの温度管理に役立ち得る。従って、冷却の必要性が低減され得る。更に、例えば、コンテナが本明細書で記載されるようにスタック状に配置されているとき、光は、ブリッジング光ガイドを介して、コンテナ間で下方又は上方に伝達され得るか、又は、光は、生育チャンバ間サービス接続190を介して、スタック間で伝達され得ることが理解されよう。更に、光源によって必要とされる光の強度は、光がどれだけ遠くまでシステムを通って伝達される必要があるかに依存するであろうことが理解されよう。更に、
図17及び
図18に関連して説明された照明手段は、複数の光源の必要性が低減されるので、比較的安価に設けられ得ることが理解されよう。光源は、太陽からの日光であってもよい。更に、光ガイド及び光チューブは、光透過性液体で満たされたプラスチックチューブ等の安価で容易に入手可能な材料から作製され得る。また更に、光ガイド及び光チューブは、必要とされる場所に光をルーティングするために、任意の向きで配置され得る。
【0079】
上記で説明された本発明の実施形態において、又は本発明の更なる実施形態として、コンテナ10は、ルータ、計算機又はサーバ(図示せず)等のインテリジェンス手段を備える。インテリジェンス手段は、システム内のコンテナ10にわたってピアツーピア通信を介して通信し得る。更に、通信は、非接触型の空気を介した光の通信を介して行われ得るが、通信のためのその他任意の好適な手段が使用され得る。
【0080】
インテリジェンス手段は、上記で説明されたそれらの手段等の好適な電力供給手段及び電力制御手段によって、電力供給及び制御され得る。
【0081】
コンテナ10の近接性を利用することは、コンテナ10内に位置するインテリジェンス手段間の比較的短い通信距離を有するシステムを提供する。比較的短い距離は、インテリジェンス手段間の待ち時間を低減し、システムは、高速で強力な動作が可能になる。
【0082】
このようなシステムは、広範な冷却を必要とし得る。このような冷却手段は、上記で説明されたように提供され得るか、又は冷却手段をシステムの基部からフレームワーク14の直立材16に沿って上方に通過させることを介して提供され得る。
【0083】
使用に際して、各計算機又はサーバは、光チャネルを介して少なくともその6つのネイバーと接続され得る。例えば、わずかに透明なミラーを使用して、各計算機は、例えば、波長分割多重を使用して、いかなる他のトラフィックも妨害することなく、このチャネルへと送信又は受信し得る。このようにして、各ノードは、システム内の他の全てのノードに対する、光速の、正確に定義された待機時間での、接続を有し得る。
【0084】
例えば、通信手段は、空気を介したレーザベースの伝送を備え得る。しかしながら、例えば、ネイバーに接触するために延在する光ファイバ触手(fibre optic tentacles)によるサーバ又は計算機の接続等の、他の通信手段が提供され得る。
【0085】
例えば、各々が強力なインテリジェンス手段を備える100,000個のコンテナ10については、14k平方フィートの空間において、60×60及び高さ28のスタックで、機械へと組み合わされ得る。或いは、125k平方フィートの建物における200×160グリッド、高さ33での100万個のコンテナである。
【0086】
この瞬時の且つ定義されたノード対ノードの接続性から利益を享受し得る多数の用途が存在することが理解されよう。例えば、航空機設計のための流体シミュレーション等、気象予測又は気候モデル、金融取引計算、タンパク質合成計算及び生物全体との化学反応のシミュレーションが、このような大規模で高密度に集積されたインテリジェンス手段から有利に利益を享受し得る。しかしながら、これらの例は、例としてのみ与えられており、限定されないことが理解されよう。
【0087】
個々のコンテナには、1つのサービス、複数のサービスの選択、又は説明された全てのサービスが提供され得ることが更に理解されよう。更に、列挙されたサービスは、限定するものとして見なされるべきではない。容器10に運ばれる又は伝送されることが可能な任意の形態のサービスが想定され得る。
【0088】
更に、上記で説明され、図面に示される本発明の実施形態は、コンテナ10が全て実質的に同一のサイズ及び形状であるシステムを詳述しているが、必ずしもそうである必要はないことが理解されよう。参照により本明細書に組み込まれる、2015年4月15日に出願された英国特許出願第GB1506364.7号に記載されているように、このようなシステムは、複数のサイズのコンテナ10を持ち上げ及び移動させること可能な異なるサイズの積荷取扱装置30を使用することによって、複数のサイズのコンテナ10を取り扱うように構成され得ることが理解されよう。
【0089】
更に、上記で説明され、添付の図面に詳述される実施形態は、保管システムが、拘束されない方法(unfettered manner)でフレームワーク14内に配設されたスタック12におけるコンテナ10を備えることを前提とする。システムは、好適な区分手段によって、例えば温度によって定義されたより小さいサブセクションに区分され得ることが理解されよう。このようにして、例えば、常温部分、冷蔵部分及び冷凍部分を有することが可能になる。区分化は、追加の利点を有し得ることも理解され、例えば、区分化は、保管システムのセクションを他のセクションから分離することを可能にする。これは、例えば、火災があり、火炎抑制手段が、消火するために所定のエリアで使用される場合に必要となり得る。更に、システムが代替の用途のために使用される場合、システムの異なる部分において異なる気体雰囲気を有するという利点があり得る。これは、システムを区分することによって達成され得る。区分手段は、一時的且つ遠隔的に展開可能であり得、例えば、グリッド下に配設されたローラーシャッターである。
【0090】
コンテナのスタック内の任意の数のコンテナが、同一又は同様の生物又は作物を備え得ることが理解されよう。更に、保管システム全体内の各コンテナは、異なる作物又は生物を備え得る。このようにして、生育システムは、各生育チャンバが、可変であるが所定の生育パラメータを備える、並列実験のために使用され得る。
【0091】
上記で説明されたように、1つ又は各コンテナは、1つ又は各コンテナ内の環境を検出するためのセンサ手段を備え得ることが更に理解されよう。更に、コンテナ又は生育チャンバ内の前記環境は、前記センサ手段によって監視され得、センサ手段によって生成されたデータは、監視及びログ記録され、生育システムオペレータが所定のパラメータセットに従って、生物を取り出す又は戻すこと(replace)を可能にする。
【0092】
生育システムのサービスエリアは、他の実施形態を参照して上記で説明されたように、保管システムと隣り合い得るか、又は隣接して位置し得ることが更に理解されよう。この特定の実施形態では、前述したタイプの積荷取扱装置は、コンテナ、生育トレイ、又はシステム内に位置するその他任意のコンテナを、前記生育システムと前記保管システムとの間で移送するために使用され得る。取り外し可能な機構の1つの形態が、国際公開第2016/166294A1号(Ocado)に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0093】
上記で明示的に説明されていない多くの変形及び修正もまた、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく可能である。
【国際調査報告】