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特表2022-518008拡張性スリットシート紙の取り扱いを向上させ、且つ、その損傷及び/又は潰れを回避するための拡張システム
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  • 特表-拡張性スリットシート紙の取り扱いを向上させ、且つ、その損傷及び/又は潰れを回避するための拡張システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-11
(54)【発明の名称】拡張性スリットシート紙の取り扱いを向上させ、且つ、その損傷及び/又は潰れを回避するための拡張システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 47/00 20060101AFI20220304BHJP
   B65H 20/00 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
B65H47/00 Z
B65H20/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021540423
(86)(22)【出願日】2020-01-22
(85)【翻訳文提出日】2021-08-25
(86)【国際出願番号】 US2020014649
(87)【国際公開番号】W WO2020154429
(87)【国際公開日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】62/795,310
(32)【優先日】2019-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519455988
【氏名又は名称】グッドリッチ,デビッド ポール
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】グッドリッチ,デビッド ポール
【テーマコード(参考)】
3F103
【Fターム(参考)】
3F103AA01
3F103EA15
3F103EA17
(57)【要約】
【課題】本発明の幾つかの例示的な実施形態において、とりわけ、従来のシステムの複雑さを回避し、ローラによる潰れの作用を排除した、新規の拡張性スリット紙拡張装置の設計が提供される。
【解決手段】とりわけ、好適な実施形態では、拡張性スリットシート紙が従来技術で生じる圧迫や圧縮を受けることなく少なくとも2つの拡張ローラの表面に沿って進むように、拡張性スリットシート紙が、該拡張ローラ間において、これらの間で圧縮されることなく曲がりながら進む、拡張性スリットシート紙の新規の「S」字状経路を提供する独自の構造が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張性スリットシート材の損傷を低減するように該拡張性スリットシート材を拡張・給送するための拡張器を有するシステムであって、
a)前記拡張性スリットシート材を給送するための少なくとも1つの第1のローラであって、該拡張性スリットシート材を第1の低減速度で下流へ移動させるように回転するようになっている少なくとも1つの第1のローラと、
b)前記少なくとも1つの第1のローラよりも下流に位置し、前記少なくとも1つの第1のローラから前記拡張性スリットシート材を受け取る少なくとも2つの拡張ローラであって、該拡張性スリットシート材を前記第1の低減速度よりも速い第2の速度で更に下流へ移動させるように回転して、前記第2の速度が前記第1の低減速度よりも速いことによって前記拡張性スリットシート材を拡張させるようになっている少なくとも2つの拡張ローラと、
を備え、
c)前記少なくとも2つの拡張ローラが、互いに隣接して配置された2つの隣接拡張ローラで構成され、該2つの隣接拡張ローラのうちの少なくとも一方が、その外周に沿って散りばめられ、前記拡張性スリットシート材のスリットに係合するように構成された複数のフックを備え、d)前記2つの隣接拡張ローラが、拡張された状態の前記拡張性スリットシート材の厚さよりも大きい距離だけ互いに離間して、該2つの隣接拡張ローラが、前記拡張されたスリットシート材の長手方向における同じ位置で前記拡張されたスリットシート材の両側を同時に押圧せず、前記2つの隣接拡張ローラによる前記拡張されたスリットシート材の損傷を回避する、
システム。
【請求項2】
前記2つの隣接拡張ローラが、前記2つの隣接拡張ローラの周囲に沿って通過する前記拡張されたスリットシート材の前記経路の一部がS字状になるように配置され、前記経路が、前記2つの隣接拡張ローラのうちの一方の外周に沿って第1の方向に曲がった後、前記2つの隣接拡張ローラのうちの他方の外周に沿って前記第1の方向から離れる第2の方向に曲がる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記システムが封筒製造システムである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムが、封筒内の物品の保護用に、該封筒の周壁部に前記拡張されたスリットシート材を有する前記封筒を製造するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムを使用するための方法であって、封筒内の物品の保護用に、該封筒の周壁部に拡張されたスリットシート材を有する前記封筒を複数製造すること、を含む方法。
【請求項6】
前記システムが包装システムである、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムが、物品の保護用に、該物品を前記拡張されたスリットシート材で包装するように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムを使用するための方法であって、物品の保護用に、該物品を前記拡張されたスリットシート材で包装すること、を含む方法。
【請求項9】
前記少なくとも2つの拡張ローラの回転を制御するためのコントローラを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記2つの隣接拡張ローラが、前記拡張性スリットシート材の前記厚さよりも大きく、最大で該厚さの140%の距離だけ互いに離間している、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記2つの隣接拡張ローラが、前記拡張性スリットシート材の前記厚さよりも大きく、最大で該厚さの160%の距離だけ互いに離間している、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記2つの隣接拡張ローラが、前記拡張性スリットシート材の前記厚さよりも大きく、最大で該厚さの180%の距離だけ互いに離間している、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記2つの隣接拡張ローラが、前記拡張性スリットシート材の前記厚さよりも大きく、最大で該厚さの200%の距離だけ互いに離間している、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記2つの隣接拡張ローラが、前記拡張性スリットシート材の前記厚さよりも大きく、最大で該厚さの240%の距離だけ互いに離間している、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記2つの隣接拡張ローラが、前記拡張性スリットシート材の前記厚さよりも大きく、最大で該厚さの260%の距離だけ互いに離間している、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記2つの隣接拡張ローラが、前記拡張性スリットシート材の前記厚さよりも大きく、最大で該厚さの300%の距離だけ互いに離間している、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記2つの隣接拡張ローラのそれぞれの周囲に沿って通過する前記拡張されたスリットシート材の前記経路に、前記2つの隣接拡張ローラのそれぞれに対して、前記2つの隣接拡張ローラのそれぞれの周囲に沿った少なくとも40度の弧のそれぞれに沿って接触する前記拡張されたスリットシート材が含まれるように、前記隣接拡張ローラのそれぞれが配置された、請求項2に記載のシステム。
【請求項18】
前記2つの隣接拡張ローラのそれぞれの周囲に沿って通過する前記拡張されたスリットシート材の前記経路に、前記2つの隣接拡張ローラのそれぞれに対して、前記2つの隣接拡張ローラのそれぞれの周囲に沿った少なくとも60度の弧のそれぞれに沿って接触する前記拡張されたスリットシート材が含まれるように、前記隣接拡張ローラのそれぞれが配置された、請求項2に記載のシステム。
【請求項19】
前記2つの隣接拡張ローラのそれぞれの周囲に沿って通過する前記拡張されたスリットシート材の前記経路に、前記2つの隣接拡張ローラのそれぞれに対して、前記2つの隣接拡張ローラのそれぞれの周囲に沿った少なくとも90度の弧のそれぞれに沿って接触する前記拡張されたスリットシート材が含まれるように、前記隣接拡張ローラのそれぞれが配置された、請求項2に記載のシステム。
【請求項20】
前記2つの隣接拡張ローラのうちの前記一方を通過する前記拡張されたスリットシート材の前記経路に、前記2つの隣接拡張ローラのうちの前記一方に対して、180度と270度との間の弧に沿って接触する前記拡張されたスリットシート材が含まれるように、前記2つの隣接拡張ローラが配置された、請求項2に記載のシステム。
【請求項21】
前記2つの隣接拡張ローラのうちの前記他方を通過する前記拡張されたスリットシート材の前記経路に、前記2つの隣接拡張ローラのうちの前記他方に対して、180度と270度との間の弧に沿って接触する前記拡張されたスリットシート材が含まれるように、前記2つの隣接拡張ローラが配置された、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
拡張性スリットシート材の損傷を低減するように該拡張性スリットシート材を拡張・給送するための拡張器を有するシステムであって、
a)前記拡張性スリットシート材の下流への給送を行う又は該給送を可能にする給送部と、
b)前記給送部よりも下流に位置し、前記給送部から前記拡張性スリットシート材を受け取る少なくとも2つの拡張ローラであって、該拡張性スリットシート材を前記給送部に近傍の前記拡張性スリットシート材の速度よりも相対的に速い速度で更に下流へ移動させるように回転して、前記相対的に速い速度によって前記拡張性スリットシート材を拡張させるようになっている少なくとも2つの拡張ローラと、
を備え、
c)前記少なくとも2つの拡張ローラが、前記拡張されたスリットシート材の長手給送方向に離間して配置された2つの隣接拡張ローラで構成され、該2つの隣接拡張ローラのうちの少なくとも一方が、その外周に沿って散りばめられ、前記拡張性スリットシート材のスリットに係合するように構成された複数のフックを備え、
d)前記2つの隣接拡張ローラが、完全に拡張された状態の前記拡張性スリットシート材の厚さよりも大きい距離だけ前記拡張性スリットシート材の前記長手給送方向に互いに離間して、該2つの隣接拡張ローラが、前記拡張されたスリットシート材の長手方向における同じ位置で前記拡張されたスリットシート材の両側を同時に押圧せず、前記2つの隣接拡張ローラによる前記拡張されたスリットシート材の損傷を回避する、
システム。
【請求項23】
給送部が、低減速度で回転するようになっている第1の給送ロールを備える、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記2つの隣接拡張ローラが、前記2つの隣接拡張ローラの周囲に沿って通過する前記拡張されたスリットシート材の前記経路の一部がS字状になるように配置され、前記経路が、前記2つの隣接拡張ローラのうちの一方の外周に沿って第1の方向に曲がった後、前記2つの隣接拡張ローラのうちの他方の外周に沿って前記第1の方向から離れる第2の方向に曲がる、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記距離が1/2インチ(1.27センチメートル)より長い、請求項22に記載のシステム。
【請求項26】
前記距離が4インチ(10.16センチメートル)より長い、請求項22に記載のシステム。
【請求項27】
前記距離が6インチ(15.24センチメートル)より長い、請求項22に記載のシステム。
【請求項28】
前記システムが封筒製造システムである、請求項22に記載のシステム。
【請求項29】
前記システムが、封筒内の物品の保護用に、前記封筒の周壁部に前記拡張されたスリットシート材を有する前記封筒を製造するように構成されている、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
その外周に沿って散りばめられ、前記拡張性スリットシート材のスリットに係合するように構成された複数のフックを備える前記2つの隣接拡張ローラのうちの前記少なくとも一方が、前記2つの隣接拡張ローラのうちの最も上流の拡張ローラを含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項31】
前記2つの隣接拡張ローラのそれぞれの周囲に沿って通過する前記拡張されたスリットシート材の前記経路に、前記2つの隣接拡張ローラのうちの最も上流の拡張ローラに対して、その周囲に沿った少なくとも40度の弧に沿って前記拡張されたスリットシート材が含まれるように、前記2つの隣接拡張ローラが配置された、請求項2に記載のシステム。
【請求項32】
前記2つの隣接拡張ローラのそれぞれの周囲に沿って通過する前記拡張されたスリットシート材の前記経路に、前記2つの隣接拡張ローラのうちの最も上流の拡張ローラに対して、その周囲に沿った少なくとも60度の弧に沿って接触する前記拡張されたスリットシート材が含まれるように、前記2つの隣接拡張ローラが配置された、請求項2に記載のシステム。
【請求項33】
前記2つの隣接拡張ローラのそれぞれの周囲に沿って通過する前記拡張されたスリットシート材の前記経路に、前記2つの隣接拡張ローラのうちの最も上流の拡張ローラに対して、その周囲に沿った少なくとも90度の弧に沿って前記拡張されたスリットシート材が含まれるように、前記2つの隣接拡張ローラが配置された、請求項2に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の好適な実施形態は、拡張性スリットシート材の拡張を向上させるためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
好適な実施形態は、既存の従来技術に関連する多くの問題を改善し、解決するものである。
【0003】
とりわけ、本発明の好適な実施形態では、ベルクロ(米国登録商標)の商標で販売されている材料等のフック部を用いる一対のフック・ループローラを使用する拡張装置の使用について教示する、スリットシート梱包材、と称される本発明者の過去の米国特許第5,688,578号に示されたものが大幅に改善される。この従来特許では、上記の一対のローラが、装置方向(即ち、拡張されたスリットシートの拡張方向)に沿って上下に並べられ、且つ、ローラが拡張させるスリットシートの両側を把持することで、拡張されたスリットシートを把持し、引っ張るように離間している。本発明者は、この方法では、特に1枚のスリットシートを拡張する場合、シートが引っ張られる際に該シートが潰れてしまうことを発見した。この潰れによって、例えば、クッション材としての有効性の低下等、拡張されたスリットシートの総合的な有効性の低下が生じる。また、本発明者が試験したところ、結果的に生じる潰れは、これまで明らかではなかったものの、これが実際に発生し、拡張されたスリットシートのクッション材としての総合的な有効性を低下させていることが判明した。米国特許第5,688,578号の開示内容は、その全体が記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
また、本発明は、上記の米国特許第5,688,578号と同様に、同位置において装置方向(即ち、拡張されたスリットシートの拡張方向)に沿って上下に並べられる一対の対向フックローラであって、これらの間を共に通過する一対の積層対向スリットシートを拡張させる一対の対向フックローラを扱う、本発明者の過去の米国特許出願公開第2017/0203866号も、大幅に改善させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,688,578号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2017/0203866号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
好適な実施形態は、上述の及び/又他の従来技術を大幅に改善し、上述の及び/又他の従来技術に関連する多くの問題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好適な実施形態は、従来技術の様々な欠点を解決するものである。
【0008】
本発明の幾つかの例示的な実施形態によれば、とりわけ、従来のシステムの複雑さを回避し、ローラによる潰れの作用を排除した、新規の拡張性スリット紙拡張装置の設計が提供される。とりわけ、好適な実施形態では、拡張性スリットシート紙が従来技術で生じる圧迫や圧縮を受けることなく少なくとも2つの拡張ローラの表面に沿って進むように、拡張性スリットシート紙が、該拡張ローラ間において、これらの間で圧縮されることなく曲がりながら進む、拡張性スリットシート紙の新規の「S」字状経路を提供する独自の構造が提供される。
【0009】
とりわけ、本発明は、例えば、拡張性スリットシート紙の取り扱いを向上させ、且つ、例えば、潰れ等の損傷を回避する、新規且つ有利な構成を提供する。
【0010】
本発明のいくつかの好適な実施形態によれば、拡張性スリットシート材の損傷を低減するように該拡張性スリットシート材を拡張・給送するための拡張器を有するシステムであって、a)拡張性スリットシート材を給送するための少なくとも1つの第1のローラであって、該拡張性スリットシート材を第1の低減速度で下流へ移動させるように回転するようになっている少なくとも1つの第1のローラと、b)少なくとも1つの第1のローラよりも下流に位置し、少なくとも1つの第1のローラから拡張性スリットシート材を受け取る少なくとも2つの拡張ローラであって、該拡張性スリットシート材を第1の低減速度よりも速い第2の速度で更に下流へ移動させるように回転して、第2の速度が第1の低減速度よりも速いことによって拡張性スリットシート材を拡張させるようになっている少なくとも2つの拡張ローラと、を備え、c)少なくとも2つの拡張ローラが、互いに隣接して配置された2つの隣接拡張ローラで構成され、該2つの隣接拡張ローラのうちの少なくとも一方が、その外周に沿って散りばめられ、拡張性スリットシート材のスリットに係合するように構成された複数のフックを備え、d)2つの隣接拡張ローラが、拡張された状態の拡張性スリットシート材の厚さよりも大きい距離だけ互いに離間して、該2つの隣接拡張ローラが、拡張されたスリットシート材の長手方向における同じ位置で拡張されたスリットシート材の両側を同時に押圧せず、2つの隣接拡張ローラによる拡張されたスリットシート材の損傷を回避する、システムが提供される。
【0011】
一例としての幾つかの実施形態によれば、2つの隣接拡張ローラが、2つの隣接拡張ローラの周囲に沿って通過する拡張されたスリットシート材の経路の一部がS字状になるように配置され、経路が、2つの隣接拡張ローラのうちの一方の外周に沿って第1の方向に曲がった後、2つの隣接拡張ローラのうちの他方の外周に沿って第1の方向から離れる第2の方向に曲がる。
【0012】
一例としての幾つかの実施形態によれば、システムは、封筒製造システムである。
【0013】
一例としての幾つかの実施形態によれば、システムは、封筒内の物品の保護用に、封筒の周壁部に拡張されたスリットシート材を有する封筒を製造するように構成されている。
【0014】
幾つかの他の好適な実施形態によれば、上記の好適な実施形態に記載のシステムを使用するための方法であって、封筒内の物品の保護用に、該封筒の周壁部に拡張されたスリットシート材を有する封筒を複数製造すること、を含む方法が実行される。
【0015】
一例としての幾つかの実施形態によれば、システムは、包装システムである。
【0016】
一例としての幾つかの実施形態によれば、システムは、物品の保護用に、該物品を拡張されたスリットシート材で包装するように構成されている。
【0017】
幾つかの他の好適な実施形態によれば、上記の好適な実施形態に記載のシステムを使用するための方法であって、物品の保護用に、該物品を拡張されたスリットシート材で包装すること、を含む方法が実行される。
【0018】
一例としての幾つかの実施形態によれば、システムは、少なくとも2つの拡張ローラの回転を制御するためのコントローラを更に備える。
【0019】
一例としての幾つかの実施形態によれば、2つの隣接拡張ローラは、拡張性スリットシート材の厚さよりも大きく、最大で該厚さの140%の距離だけ互いに離間している。一例としての幾つかの実施形態によれば、2つの隣接拡張ローラは、拡張性スリットシート材の厚さよりも大きく、最大で該厚さの160%の距離だけ互いに離間している。一例としての幾つかの実施形態によれば、2つの隣接拡張ローラは、拡張性スリットシート材の厚さよりも大きく、最大で該厚さの180%の距離だけ互いに離間している。一例としての幾つかの実施形態によれば、2つの隣接拡張ローラは、拡張性スリットシート材の厚さよりも大きく、最大で該厚さの200%の距離だけ互いに離間している。一例としての幾つかの実施形態によれば、2つの隣接拡張ローラは、拡張性スリットシート材の厚さよりも大きく、最大で該厚さの240%の距離だけ互いに離間している。一例としての幾つかの実施形態によれば、2つの隣接拡張ローラは、拡張性スリットシート材の厚さよりも大きく、最大で該厚さの260%の距離だけ互いに離間している。一例としての幾つかの実施形態によれば、2つの隣接拡張ローラは、拡張性スリットシート材の厚さよりも大きく、最大で該厚さの300%の距離だけ互いに離間している。
【0020】
一例としての幾つかの実施形態によれば、2つの隣接拡張ローラのそれぞれの周囲に沿って通過する拡張されたスリットシート材の経路に、2つの隣接拡張ローラのそれぞれに対して、2つの隣接拡張ローラのそれぞれの周囲に沿った少なくとも40度の弧のそれぞれに沿って接触する拡張されたスリットシート材が含まれるように、隣接拡張ローラのそれぞれが配置される。一例としての幾つかの実施形態によれば、2つの隣接拡張ローラのそれぞれの周囲に沿って通過する拡張されたスリットシート材の経路に、2つの隣接拡張ローラのそれぞれに対して、2つの隣接拡張ローラのそれぞれの周囲に沿った少なくとも60度の弧のそれぞれに沿って接触する拡張されたスリットシート材が含まれるように、隣接拡張ローラのそれぞれが配置される。一例としての幾つかの実施形態によれば、2つの隣接拡張ローラのそれぞれの周囲に沿って通過する拡張されたスリットシート材の経路に、2つの隣接拡張ローラのそれぞれに対して、2つの隣接拡張ローラのそれぞれの周囲に沿った少なくとも90度の弧のそれぞれに沿って接触する拡張されたスリットシート材が含まれるように、隣接拡張ローラのそれぞれが配置される。一例としての幾つかの実施形態によれば、2つの隣接拡張ローラのうちの一方を通過する拡張されたスリットシート材の経路に、2つの隣接拡張ローラのうちの一方に対して、180度と270度との間の弧に沿って接触する拡張されたスリットシート材が含まれるように、2つの隣接拡張ローラが配置される。一例としての幾つかの実施形態によれば、2つの隣接拡張ローラのうちの他方を通過する拡張されたスリットシート材の経路に、2つの隣接拡張ローラのうちの他方に対して、180度と270度との間の弧に沿って接触する拡張されたスリットシート材が含まれるように、2つの隣接拡張ローラが配置される。
【0021】
他の好適な実施形態によれば、拡張性スリットシート材の損傷を低減するように該拡張性スリットシート材を拡張・給送するための拡張器を有するシステムであって、a)拡張性スリットシート材の下流への給送を行う又は該給送を可能にする給送部と、b)給送部よりも下流に位置し、給送部から拡張性スリットシート材を受け取る少なくとも2つの拡張ローラであって、該拡張性スリットシート材を給送部に近傍の拡張性スリットシート材の速度よりも相対的に速い速度で更に下流へ移動させるように回転して、上昇させた相対的に速い速度によって拡張性スリットシート材を拡張させるようになっている少なくとも2つの拡張ローラと、を備え、c)少なくとも2つの拡張ローラが、拡張されたスリットシート材の長手給送方向に離間して配置された2つの拡張ローラで構成され、該2つの隣接拡張ローラのうちの少なくとも一方が、その外周に沿って散りばめられ、拡張性スリットシート材のスリットに係合するように構成された複数のフックを備え、d)2つの隣接拡張ローラが、完全に拡張された状態の拡張性スリットシート材の厚さよりも大きい距離だけ拡張性スリットシート材の長手給送方向に互いに離間して、該2つの隣接拡張ローラが、拡張されたスリットシート材の長手方向における同じ位置で拡張されたスリットシート材の両側を同時に押圧せず、2つの隣接拡張ローラによる拡張されたスリットシート材の損傷を回避する、システムが提供される。
【0022】
一例としての幾つかの実施形態によれば、給送部は、低減速度で回転するようになっている第1の給送ロールを備える(幾つかの実施形態では、給送部は、下流への送給時にその周囲に沿って拡張性紙が通過する回転しないバー、及び/又は拡張性シートを下流へ能動的又は受動的に誘導する、又は該シートの下流への送給を能動的又は受動的に可能にする他の送給機構を備えることができる)。
【0023】
一例としての幾つかの実施形態によれば、2つの隣接拡張ローラは、2つの隣接拡張ローラの周囲に沿って通過する拡張されたスリットシート材の経路の一部がS字状になるように配置され、経路は、2つの隣接拡張ローラのうちの一方の外周に沿って第1の方向に曲がった後、2つの隣接拡張ローラのうちの他方の外周に沿って第1の方向から離れる第2の方向に曲がる。
【0024】
一例としての幾つかの実施形態によれば、距離は、1/2インチ(1.27センチメートル)より長い。
【0025】
一例としての幾つかの実施形態によれば、距離は、4インチ(10.16センチメートル)より長い。
【0026】
一例としての幾つかの実施形態によれば、距離は、6インチ(15.24センチメートル)より長い。
【0027】
一例としての幾つかの実施形態によれば、システムは、封筒製造システムである。
【0028】
一例としての幾つかの実施形態によれば、システムは、封筒内の物品の保護用に、該封筒の周壁部に拡張されたスリットシート材を有する封筒を製造するように構成されている。
【0029】
一例としての幾つかの実施形態によれば、その外周に沿って散りばめられ、拡張性スリットシート材のスリットに係合するように構成された複数のフックを備える2つの隣接拡張ローラのうちの少なくとも一方は、2つの隣接拡張ローラのうちの最も上流の拡張ローラを含む。
【0030】
一例としての幾つかの実施形態によれば、2つの隣接拡張ローラのそれぞれの周囲に沿って通過する拡張されたスリットシート材の経路に、2つの隣接拡張ローラのうちの最も上流の拡張ローラに対して、その周囲に沿った少なくとも40度の弧に沿って拡張されたスリットシート材が含まれるように、2つの隣接拡張ローラが配置される。
【0031】
一例としての幾つかの実施形態によれば、2つの隣接拡張ローラのそれぞれの周囲に沿って通過する拡張されたスリットシート材の経路に、2つの隣接拡張ローラのうちの最も上流の拡張ローラに対して、その周囲に沿った少なくとも60度の弧に沿って接触する拡張されたスリットシート材が含まれるように、2つの隣接拡張ローラが配置される。
【0032】
一例としての幾つかの実施形態によれば、2つの隣接拡張ローラのそれぞれの周囲に沿って通過する拡張されたスリットシート材の経路に、2つの隣接拡張ローラのうちの最も上流の拡張ローラに対して、その周囲に沿った少なくとも90度の弧に沿って拡張されたスリットシート材が含まれるように、2つの隣接拡張ローラが配置される。
【0033】
様々な実施形態の上記の及び/又は他の態様、特徴、及び/又は利点は、添付の図と共に以下の説明を見ることで、更に理解されるだろう。様々な実施形態は、必要に応じて、異なる態様、特徴、及び/又は利点を含める、且つ/又は除外することができる。加えて、様々な実施形態は、必要に応じて、他の実施形態の1つ以上の態様又は特徴を組み合わせることができる。特定の実施形態の態様、特徴、及び/又は利点の説明は、他の実施形態又は請求項を限定するものと解釈すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明の好適な実施形態を、一例として添付の図面に示す。図面は以下の通りである。
図1図1は、「S」字パターンを形成するように構成された拡張ローラを採用した本発明の例示的な実施形態の側面図であり、拡張ローラがセット状態にある側面図である。
図2図2は、図1に示す実施形態の動作状態における側面図である。
図3図3は、他の実施形態における、一対の拡張ローラ(例えば、フックローラ)の周囲に沿った、スリット紙の「S」字パターンに沿った移動の側面図である。
図4図4は、図3における、一対の拡張ローラ(例えば、フックローラ)の周囲に沿った、スリット紙の「S」字パターンに沿った移動の側面図である。
図5図5は、他の実施形態における、一対の拡張ローラ(例えば、フックローラ)の周囲に沿った、スリット紙の別の「S」字パターンに沿った移動の側面図である。
図6図6は、他の実施形態における、一対の拡張ローラ(例えば、フックローラ)の周囲に沿った、スリット紙の更に別の「S」字パターンに沿った移動の側面図である。
図7図7は、他の実施形態における、一対の拡張ローラ(例えば、フックローラ)の周囲に沿った、スリット紙のまた更に別の「S」字パターンに沿った移動の側面図である。
図8図8は、他の実施形態における、スリット紙の「S」字パターンに沿った移動の側面図である。
図9図9は、他の実施形態における、スリット紙の別の「S」字パターンに沿った移動の側面図である。
図10図10は、キノコ形のフック端を有する複数のフックを備えた例示的な拡張ローラ(例えば、フックローラ)の部分図である。
図11A図11Aは、未拡張状態の例示的な拡張性スリットシート紙の平面図であり、この例示的な紙は、本発明の例示的な実施形態における拡張用に採用可能なものである。
図11B図11Bは、拡張状態の該例示的な拡張性スリットシート紙の平面図であり、この例示的な紙は、本発明の例示的な実施形態における拡張用に採用可能なものである。
図12図12は、幾つかの例示的な実施形態に係る、例示的な制御要素が追加された、図1に示したものと同様の側面図である。
図13図13は、幾つかの他の例示的な実施形態に係る、拡張ローラを3つ採用した本発明の他の例示的な実施形態の例示的な側面図である。
図14図14は、幾つかの他の例示的な実施形態に係る、拡張ローラを4つ採用した本発明の他の例示的な実施形態の例示的な側面図である。
図15図15は、封筒製造処理の場合における本発明の例示的な実施形態を示す側面図である。
図16図16は、封筒製造処理の場合における本発明の例示的な実施形態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は多くの異なる形態で実施されてもよいが、例示的な実施形態は、本開示が本発明の原理の例を提供するものとして考慮されるべきであり、かかる例が、本発明を本明細書に記載及び/又は本明細書に例示された好適な実施形態に限定することを意図しないという理解の下で、本明細書で説明される。
【0036】
定義
用語の定義が一般的な用語の意味から逸脱する場合、出願人は、特に別段の指示がない限り、以下の定義を使用することを意図している。
【0037】
本発明の幾つかの好適な実施形態では、フック・ループ固定システムのフックが採用されている。本発明のそのような好適な実施形態の文脈では、「フック」という用語は、フック・ループシステムを包含するフックとループとの組み合わせにおけるフック部分を包含する(即ち、含む)。この点において、フックは、拡張されたスリットシートを把持できる部分であり、拡張されたシートはループとして機能する。
【0038】
面ファスナーやパイルアンドフックは、衣服や、他の多種多様な物品及び用途に用いられている。既存の面ファスナーの場合、該ファスナーは、2枚の薄いプラスチックのストリップ又はシートで構成され、一方が小さなループで覆われ、他方が柔軟性を有する小さなフックで覆われている。使用時には、2枚のストリップ又はシートを押し合わせると、柔軟性を有するフックが小さなループに係合し、2枚のストリップ又はシート同士が貼り付く。そして、ループからフックを外すように2枚のストリップ又はシートを引き離すことで、ストリップ又はシートを分離させることができる。このように、面ファスナーやパイルアンドフックは、通常、2つの要素を含み、一般的には、一方を他方の対向面に引っ掛けることで互いに貼り付く2枚の直線状の布片である。第1の要素は、表面に散りばめられた多数の小さなフックを特徴とし、第2の要素は、更に小さなループを特徴とする。
【0039】
幾つかの例示的な実施形態において、本発明の幾つかの実施形態で採用されるフックは、以下の特許及び出願のいずれかに記載されているような特徴を含むことができ、これらの開示内容全体が参照により本明細書に全て組み込まれる。
【0040】
1.米国特許第5,339,499号(例えば、幾つかの実施形態でも採用可能な面ファスナーのフック設計及び従来のフック構造について詳述)
2.米国特許第9,259,060号(例えば、メカニカルファスナー用のキノコ形フックストラップについて詳述)
3.米国特許第10,064,453号(例えば、成形面ファスナーについて詳述)
4.米国特許出願公開第2003/0106188号(例えば、不織布のループ及び他の開口構造に係合可能なファスナー、及びファスナーの製造方法及び装置について詳述)
5.米国特許出願公開第2017/0203866号(例えば、一対の対向フックローラ間を通過する2層の対向スリットシート材におけるスリットに係合する例示的なフック構造について詳述)
6.欧州特許第1,395,136号(例えば、ファスナーの形成方法について詳述)
【0041】
本発明の目的のために、「S」字状という用語は、文字「S」に概して類似した形状又は逆向きの文字「S」に概して類似した形状を形成する、拡張可能な紙の経路における2つの湾曲を意味する。ただし、S字状という用語は、特定の曲率の度合いやSの文字に対する特定の類似性を示唆するものではない。特に、拡張性紙の経路の少なくとも一部が、最初に一方向に曲がり、次に逆方向に曲がる限り、このS字状という用語の範囲に含まれる。本明細書において、「S字状」、「S字湾曲」、及び「S字パターン」という用語は、同義語として採用されている。S字湾曲の紙経路では、第1のフックローラの軸心と第2のフックローラの軸心との間の線が、拡張性紙の第1及び第2のフックローラ間における領域において、拡張性紙の経路と鋭角で交差する。拡張性紙の第1及び第2のフックローラ間における領域は、拡張性スリット紙が第1のフックローラから接線方向に離脱する第1の点から、該拡張性スリット紙が第2のフックローラに接線方向に接触する第2の点まで延在する領域である。更に、S字状又はS字湾曲という用語は、上述したような2つの湾曲を意味するが、2つの湾曲のみに限定されず、また、2つの湾曲のみを必要としない。システムは、2つの湾曲が含まれている限り、追加の湾曲を含むことができる。例えば、幾つかの実施形態では、3つ以上の湾曲を有することができる。
【0042】
本発明の目的のために、「フック」という用語は、拡張性スリット紙のスリットに引っ掛けたり、係止したり、又はこれらを把持することができる任意の部材を包含する。「フック」は、例えば、フックローラから延出するように配置され、スリットの縁端に突き刺さる、引っ掛かる、係止する、又はこれらを把持する形状に形成された突起(tine)、ピン(prong)、及び/又はスパイクを包含する。好適な実施形態において、このような突起(tine)、ピン(prong)、及び/又はスパイクは、細長いベース部(例えば、軸部)と、横方向に延出する先端部(例えば、湾曲した先端部、折曲した先端部、返し(barb)、拡大したヘッド部等)とを含む。好適な実施形態において、フックローラのフックは、拡張性紙のスリットに係合するように構成されており、このような係合状態で、フックローラの回転に伴ってスリットシート紙を引っ張ることにより、拡張した又は拡張中のスリット紙を移動させる。好適な実施形態において、スリット紙に形成される、例えば、六角形のセルを形成するために拡張された又は拡張中の拡張性スリット紙シートのエッジに係合するための、例えば、返しのついた先端を有する、このようなフック、突起(tine)、ピン(prong)、及び/又はスパイクは、一般的な面ファスナーが対応するループに係合・係合解除可能な柔軟なフックを有するのと同様に、スリット内に柔軟に係合でき、且つ、スリットから柔軟に係合解除できる柔軟なフック、突起(tine)、ピン(prong)、及び/又はスパイクを含む。
【0043】
例示的な拡張性スリットシート紙
図11A及び図11Bは、本発明の幾つかの例示的な実施形態における本発明のシステム及び方法によって拡張可能な、例示的な拡張性スリットシート紙を図示する。このため、図11Aは、例示的な拡張されたスリットシートにおける、一例としてのスリットパターンを図示している。図11Aに示す拡張性スリットシート紙は、図11Bに示すような拡張状態に拡張可能な拡張性のセル形成紙として機能する。図11Aは、千鳥状に配列され且つシート10の幅全体に亘って延在するスリット14及び16の列と、列14及び16の内側の隣接するスリット間において延在するランド部20とを備える、未拡張(未開口)状態における拡張性スリットシート10の例示的な部位を示す。図11Aに示すように、幾つかの好適な実施形態において、スリット長14L及び16Lは、シート10の表面に亘って一定である。同様に、各列間隙38(即ち、隣接する列の間)及び各スリット間隙36(即ち、隣接するスリットの間)の距離及び面積も一定である。
【0044】
拡張性スリットシートは様々なスリットパターンで形成可能だが、図11A及び図11Bに示す例示的な例では、幾つかの例示的且つ非限定的な実施形態における原寸に比例した同様の図面を用いた幾つかの例示的な例に基づき、例示的なスリット長、スリット間隙、形成された六角形セルと、ランド部と、レッグ部との大きさの比例関係等を用いて、原寸に比例した例示的な例が図示されている。図11Bでは、図11Aに示すシート10が、矢印B及びCの方向の拡張力を受けて開いた結果、開口セル形成が生じている。これに関して、例示的な本例では、開口セル形成により、図11Bに示すような六角形のセルが形成される。具体的には、図示したように、スリット14及び16は、三次元の六角形セル26の列を有するようにシート10が配向した開口状態になり、傾斜した角度で(即ち、シート10の元の状態における平面と交差するように)位置するスリット間隙36に略四角形のランド部20があり、レッグ部38a及び38bが、シートの元の状態における平面に対して、例えば、90°より僅かに小さい角度で撓んだ列間隙の間におけるランド部を接続する。レッグ部38a及び38bは、基本的に、互いに対称になっており、三次元の六角形セルを形成するようにランド部20同士を接続する。
【0045】
本明細書で説明したように、好適な実施形態において、本発明の好適な実施形態のシステム及び方法は、図11A及び11Bに示すものと同様の拡張性スリットシートを、拡張された該スリットシートの品質及び完全な状態を維持して、拡張されたスリットシートの潰れ及び/又は他の損傷の回避、及び/又は拡張されたスリットシートの扱い易さの低下の回避等ができるように最適な形態で拡張するために採用することができる。
【0046】
例示的なシステム及び方法の説明
幾つかの好適な実施形態において、拡張ローラ(例えば、フックローラ)は、好ましくは拡張ローラ(例えば、フックローラ)よりも遅い速度(例えば、67%程度遅い速度)で動作する給送ローラ(例えば、一対のゴム製ピンチローラ)と協働する。この速度差によって、スリットシートが拡張される。幾つかの例示的な実施形態では、67%の速度差が採用されるが、速度差が、拡張性スリットシート紙の拡張性の度合いに基づいて変更可能であるものとして理解すべきである。このため、他の実施形態においては、状況に基づいて、異なる速度差にすることができる。一例として、幾つかの実施形態では、ピンチローラが、例えば、フックローラ(即ち、拡張ローラ)よりも25%~100%程度遅い速度で動作するような差が挙げられる。但し、拡張ローラ(例えば、フックローラ)が、これより前段の給送ローラ(例えば、ピンチローラ)よりも、拡張性スリットシート材を拡張させるような速い速度で動作するのであれば、速度差は、状況に応じて適切なものにすることができる。
【0047】
拡張処理は、材料が、拡張された状態で拡張ローラ(例えば、フックローラ)から連続的に離れる自動給送メカニズムである。とりわけ、拡張されたスリットシートの厚さよりも大きい拡張ローラ(例えば、フックローラ)間距離を用いることで、スリット材料を外方に拡張・給送する際の潰れが防止される。
【0048】
本発明の幾つかの好適な実施形態では、紙を第1のフックローラの周囲に沿って移動させた後、短い距離を置いて、第2のフックローラの周囲に沿って移動させることによって、該ローラ間で張力を発生させる新たな技術が提供される。好適な実施形態では、急な「S」字状に曲げることによって、拡張されたスリットシートの両面に十分な張力が維持される。このため、拡張されたスリットシートが送給ローラ(例えば、ゴム製ピンチローラ)に向かって後方にスリップしてしまい、シートが部分的又は全体的に伸長しておらず、拡張してない状態に戻ることがない。
【0049】
幾つかの実施形態では、潰れの生じない上記の拡張ローラ(例えば、フックローラ)システムを、複数の目的に使用できる。例えば、有利な使用としては、第一に、従来技術(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,688,578号を参照)で挙げられたものと同様の梱包ステーションでの自動装置との併用が挙げられる。他の使用の一例としては、封筒の製造、最も望ましくは、それぞれ2018年7月31日及び2018年8月5日に提出され、その全体が記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる仮出願第62/712,867号及び第62/714,739号、並びに、2019年8月3日に提出され、その全開示内容が参照により本明細書に組み込まれる同時係属中の米国特許出願第16/531,017号に記載されたような封筒の製造における使用が挙げられる。
【0050】
梱包ステーションでの包装に使用する場合では、拡張ローラ(例えば、フックローラ)同士が、張力を維持するのに十分な程に急なS字湾曲を形成するには離れ過ぎていると、拡張されたスリットシートが材料の包装に使用されていない際に、該紙が後退(スリップ)する可能性がある。紙が後退した場合、紙を再度セットするために、図1に示すようなセット用フックローダ108を再度係合させる必要がある。この拡張されたスリットシートのスリップを抑制するためには、フックローラ同士を、拡張されたシートの厚さ又はこれよりも僅かに大きな距離だけ離間させる。これにより、フックローラは、拡張されたスリットシート紙を圧縮又は圧迫せず、且つスリップの抑制に十分な程に近接する。
【0051】
一例としての幾つかの実施形態では、拡張されたシートの厚さは、3/16”(0.47625センチメートル)である。これらの一例としての実施形態では、ローラ間の好適な距離は、3/16”(0.47625センチメートル)~1/4”(0.635センチメートル)又はこの範囲程度、幾つかの他の実施形態では、最大で1/2”(1.27センチメートル)程度である。3/16”(0.47625センチメートル)程度の厚さを有する拡張されたシートを用いる幾つかの好ましさでは劣る実施形態では、ローラ間の距離を更に大きくすることができ、例えば、最大で2/3”(1.69333センチメートル)程度、更には3/4”(1.905センチメートル)程度、又はそれより大きな値等にすることができる。拡張されたスリットシートの幾つかの実施形態では、上述のように、3/16”(0.47625センチメートル)程度の厚さを有しているが、他の実施形態においては、拡張状態における拡張されたスリットシート紙が異なる厚さを有し得るものとして理解すべきである。例えば、幾つかの例では、拡張状態における厚さを1/16”(0.15875センチメートル)程度とすることができる。また、幾つかの例では、この厚さを2/16”(0.3175センチメートル)程度とすることができる。また、幾つかの例では、この厚さを4/16”(0.635センチメートル)程度とすることができる。また、幾つかの例では、この厚さを5/16”(0.79375センチメートル)程度とすることができる。また、幾つかの例では、この厚さを6/16”(0.9525センチメートル)程度とすることができる。また、幾つかの例では、この厚さを7/16”(1.11125センチメートル)程度とすることができる。また、幾つかの実施形態では、この厚さを8/16”(1.27センチメートル)程度とすることができる。また、幾つかの実施形態では、この厚さを更に大きくすることができる。このような他の実施形態では、ロール間の距離は、3/16”(0.47625センチメートル)の厚さの例に対して、上述の例に比例する範囲であることが好ましい。
【0052】
幾つかの実施形態では、隣接するロール間の距離は、拡張されたスリットシート材の厚さと同一又は略同一である。幾つかの他の実施形態では、隣接するロール間の距離は、最大で、拡張されたスリットシート材の厚さよりも20%程度大きい。幾つかの他の実施形態では、隣接するロール間の距離は、最大で、拡張されたスリットシート材の厚さよりも40%程度大きい。幾つかの他の実施形態では、隣接するロール間の距離は、最大で、拡張されたスリットシート材の厚さよりも60%程度大きい。幾つかの他の実施形態では、隣接するロール間の距離は、最大で、拡張されたスリットシート材の厚さよりも80%程度大きい。幾つかの他の実施形態では、隣接するロール間の距離は、最大で、拡張されたスリットシート材の厚さよりも100%程度大きい(即ち、最大で2倍程度大きい)。幾つかの他の実施形態では、隣接するロール間の距離は、最大で、拡張されたスリットシート材の厚さよりも120%程度大きい。幾つかの他の実施形態では、隣接するロール間の距離は、最大で、拡張されたスリットシート材の厚さよりも140%程度大きい。幾つかの他の実施形態では、隣接するロール間の距離は、最大で、拡張されたスリットシート材の厚さよりも160%程度大きい。幾つかの他の実施形態では、隣接するロール間の距離は、最大で、拡張されたスリットシート材の厚さよりも180%程度大きい。幾つかの他の実施形態では、隣接するロール間の距離は、最大で、拡張されたスリットシート材の厚さよりも200%程度大きい(即ち、最大で3倍程度大きい)。幾つかの他の実施形態では、隣接するロール間の距離は、更に大きく、例えば、最大で300%程度又はそれより大きな値である。
【0053】
好適な実施形態において、S字湾曲は、最初のロールを離脱した拡張されたシートが、次のローラに対して直角又は直角よりも僅かに小さい鋭角になるような形状である。この目的は、2つの要素から成る。角度がより鋭角であるほど、紙が離れる側のローラの半径をより大きくする必要がある。
【0054】
図1は、ローラ109からローラ112までのスリット紙の移動において、ローラ109の外周に対して270度未満の角度で弧状に接触した後、ローラ112に対して180度未満の角度で接触していることを示している。スリットシートの各面が別々のローラ109及び112に係合するため、フックの拡張されたシートに対する確実にスリップしない接触を維持する能力が最適化され、且つ、装置を設計し易く且つ組み立て易くする上で必要な間隙が維持される。
【0055】
なお、図面の都合上、各紙ガイドの寸法や隙間等の正確な許容誤差は図面には図示されていないことも留意すべきである。図1に示すガイド(104,110,113,120及び122)は、紙が進むべき意図した方向から離脱しないように、図面に示すものよりもはるかにローラに近接していることになる。
【0056】
封筒の作製時のように、拡張されたシートを連続的に引っ張る場合、フックの重要な配置はあまり重要ではなく、用紙を容易にセットするために、更に間隔を空け、垂直にすることになる。紙ガイドの使用は、潰れの生じないフックシステムへの容易なアクセスを他の機器が妨げている場合には、必要又は好適である場合もあれば、そうでない場合も有り得る。最も好ましい設計では、許容誤差を、梱包ステーションで使用される機器に関してたった今説明したものと同じにすることができる。
【0057】
しかし、2つのフックローラ間の近接度と、その結果として得られるS字湾曲を形成する紙方向の変化とに基づいてフックローラ間で摩擦を維持するという概念は、非常に有利であり、その全体が記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第15/820,514号に記載された、本発明者による手動システムと同等の、拡張されたスリットシート材から得られる最高のクッション性を提供することができる。拡張されたシートを手動で引っ張ることにより、予備拡張の必要がなくなり、フックローラもなくなるため、いかなる潰れも回避される。クッション性の価値を最大限に高めた、潰れのない拡張されたスリット材が得られる。
【0058】
紙ガイドと追加のフックローラにより、ピンチローラ及びS字湾曲を介してローラへ紙を自動的に導く、簡易なセット方法が可能になる。紙が、適切にセットされ、安定的に伸長・送給されると、図1の第3のフックローラ108の係合が解除される。
【0059】
図の詳解
図1は、紙がセットされたスリット紙システムの側面図であり、最初に、紙ロール100から連続的なシート101が手動で巻き出され、紙ガイド120によって方向102に沿って加圧ローラ103へ導かれ、図2に示すように、ローラ123及び125へ導かれる。その後、加圧ローラがスリットシートを引っ張り、紙ガイド104が、これを矢印105の方向に沿って加圧ローラの下側ローラ部へ誘導する。スリット紙102は、紙ガイド122に沿って未拡張のまま移動し続けるが、拡張ローラ(即ち、フックローラ)109及びセット用フックローラ108を通過すると、直ぐに拡張し始める。この拡張が生じると、スリット紙は厚さが増して、拡張されたスリットシート106になる(即ち、拡張して、増加した厚さを有する拡張状態になる)。拡張された紙がフックローラ109及びセット用フックローラ108を通過すると、紙ガイド110によってフックローラ109の周囲に沿ってフックローラ112まで矢印111の方向に誘導される。紙ガイド113は、紙をローラ112の周囲に沿って矢印116の方向に導き、矢印114の方向に離れさせる。
【0060】
図2は、フックセットローラ108が矢印200の方向に沿って下方に回動されて潰し作用がなくなった、フックローラの側面図である。
【0061】
図3及び図4では、ローラ309及び312間においてスリット紙が通るS字状経路を、様々な観点から説明することができる。ローラ309及び312の各軸心がなす角度の観点から見ると、スリット紙の経路が各ローラの軸心に交差する点、及び紙が各ローラから離脱する接点では、鋭角をなしている。2つのローラの相対位置及びその近接度は、形成される鋭角に関係している。例えば、2つのローラの近接しているほど、鋭角が大きくなる。
【0062】
図3を更に見ると、ローラ312の軸心Aとローラ309の軸心A’との間の線は、点Iにおいてスリット紙と交差する。Tが紙とローラ312の外周との接触における接点である角度(<)A-I-Tは、鋭角である。図3の拡張システムでは、スリット紙は、フックローラ309に対して接線方向に接触し、フックローラ309のフック部材と作用し合い、フックローラ312と接線接触する点へ接線方向に送られる。なお、ローラとの接触は接点において行われるが、紙の移動速度及びスリット紙上の張力によっては、フックローラのフックは、スリット紙を接点を僅かに越えた点でフックから離すことができることに留意すべきである。
【0063】
このため、本明細書にて採用した「接点」という用語は、接線から僅かにずれることも含む。
【0064】
図4を参照すると、スリット紙306は、図3及び図4に示す矢印が表すS字状経路に沿って、ローラ309及び312のそれぞれに巻き付く。拡張されたスリットシートが図2に示すようなゴム製ピンチローラ103に向かって後方にスリップして、シートが部分的又は全体的に伸長しておらず、拡張していない状態に戻る傾向は、スリット紙306とローラ309及び312のフック面との接触の度合いに反比例する。従って、スリット紙306とローラのフックとの接触領域を最大で2/3程度(およそ235°)とすることで、後方へのスリップの防止が最適化される。なお、装置を設計し易く且つ組み立て易くするには、好ましくは270度未満の接触弧が必要である。このため、より狭い弧状の接触領域が設けられる(例えば、270度未満)。
【0065】
接触領域は、有利には、外周の1/4(即ち、90°)より大きく、外周の1/2(即ち、180°)より大きいことが好ましく、最大で250°程度であることが最も好ましく、この場合、紙が各ローラにおけるフック面の70%程度と接触することになる。
【0066】
更に、各ローラのフックに対するスリットシートの接触は、有利には、90°から270°未満の範囲であることが好ましい。各ローラのフックに対するスリットシートの接触は、180°から235°までの範囲であることがより好ましく、この場合、紙が各ローラにおけるフック面の50%から65%程度の範囲と接触することになる。図4の実施形態に示すように、弧Cは、スリット紙が、フックローラ309における外周の50%超と接触していることを示している。ローラ309及び312のフック面に対する紙の接触の度合いは、それぞれ異ならせることができるが、好適な実施形態では、接触の度合いをローラ毎に最適化すると有利であることに留意されたい。
【0067】
図5図6、及び図7は、2つのフックローラ509及び512の相対位置に基づく、スリット紙とローラとの接触の度合いの例示的な変更を示す。図5に示すように、軸心A”と軸心A”’との間の線は、ローラ509からローラ512へ移動する拡張された紙と交差して、鋭角522をなす。
【0068】
図6において、鋭角622は、図5の鋭角522よりも小さい。図5及び図6に示すように、ローラ509及び512の相対位置がローラ609及び612の相対位置に変わると、スリット紙306と各ローラとの弧状の接触の度合いが下がる。
【0069】
図7は、スリット紙306が、図5及び図6に図示した弧状の接触領域よりも小さな弧722に沿ってローラ709に接触する、別の「S」字経路に沿った動きのパターンを示す。図6及び図7に示すように、ローラ609及び612の相対位置がローラ709及び712の相対位置に変わると、スリット紙306と各ローラとの弧状の接触の度合いが更に下がる。
【0070】
図8は、2つのフックローラ809及び812のそれぞれに対するスリット紙806の接触における接点に基づく、スリット紙とローラ809及び812との弧状の接触の度合いを調整する更なる実施形態を示す。上述の実施形態と同様に、拡張性スリットシートを拡張させるには、ニップローラ803,805及び807を、フックローラ809及び812よりも遅い速度で回転させることで、スリット紙806を拡張させて、三次元の六角形セルを形成させる。
【0071】
図9は、2つのフックローラ809及び812のそれぞれに対するスリット紙806の接触における接点に基づく、スリット紙とローラ809及び812との弧状の接触の度合いを更に調整する更なる実施形態を示す。上述の実施形態と同様に、ニップローラ903,905及び907を、フックローラ809及び812よりも遅い速度で回転させることで、スリット紙806を拡張させて、三次元の六角形セルを形成させる。図9に示すように、フックローラ809に対するニップローラ903,905及び907の位置により、スリット紙806とフックローラ809との接触弧よりも大きい接触弧C’が得られる。
【0072】
例示の目的で、図10は、幾つかの例示的且つ非限定的な実施形態に係る拡張ローラ(例えば、フックローラ)1000の一部の部分図を示す。例示的な本実施形態において、フックローラ1000は、該ローラの周面に散りばめられた多数のフック1020を備える。このため、好適な実施形態では、各フックローラが、これを通過する拡張性スリットシート紙の幅全体又は略全体に亘って延在するのに十分な長さを有し、且つ、フックローラが、フックローラの外周全体及び拡張性スリットシート紙の幅全体に亘って、拡張性スリットシート紙の対応するスリットに係合できるように、対応する外周の全体又は外周の略全体に、そこから延出する多数のフックを有するべきであるものとして理解すべきである。図10に示す例示的な例において、フック1020は、それぞれ、フックローラ100の円筒状の芯部まで下方に延在するベース部と、拡大係止ヘッド部とを備える。幾つかの実施形態において、フック1020は、フックローラの外周全体にランダムに散りばめられる一方、他の実施形態では、フック1020は、フックローラの外周全体に沿って延在するフック1020の列として配置できる。幾つかの実施形態において、フック1020は、複数のフック1020が拡張性スリットシート紙のそれぞれのスリットに係合可能な大きさになっている。同様に、幾つかの好適な実施形態において、フック1020は、複数のフック1020が、拡張性スリットシート紙のそれぞれのスリットに係合可能なように、互いに密接に隣接して散りばめられている。図10は、幾つかの例示的な実施形態に係るフックローラ及びフックの例示的な設計を示しているが、様々の他の実施形態には、本明細書に記載するような他のフック構成が含まれ得ることを理解すべきである。また、好適な実施形態において、フック1020は、フック1020が、拡張性スリットシート紙のスリットに柔軟に入ることができ、且つ/又は拡張性スリットシート紙のスリットから柔軟に出ることができるような柔軟性を有する。幾つかの好適な実施形態において、フック1020のベース部(例えば、略円筒形又は他の形状の軸部が可能)は、フック1020が拡張性スリットシート紙のそれぞれのスリットに柔軟に受け入れられ、且つ/又は抜け出せるような柔軟性を有することができる。
【0073】
図12図1と同様であるが、本発明の幾つかの例示的且つ非限定的な実施形態に係る例示的な制御要素を含む。このため、図12は、本発明の幾つかの実施形態において、各ローラを回転させるために、1つ以上のモータ又は駆動機構M(例示的且つ非限定的な本例では、4つのモータ又は駆動機構M1,M2,M3及びM4が示される)を採用していることを図示している。一例として、図12に示す例示的な本例では、モータ又は駆動部M1は、ローラ108を回転駆動するために接続され、モータ又は駆動部M2は、ローラ109を回転駆動するために接続され、モータ又は駆動部M3は、ローラ112を回転駆動するために接続されている。また、図12に示すように、モータ又は駆動部M4は、ローラ102,123及び/又は125を回転駆動するために接続されている。
【0074】
更に、図12に図示するように、幾つかの例示的且つ好適な実施形態では、好適な実施形態におけるシステム及び方法の動作を制御するために、モータ及び駆動部(例えば、例示的な本例におけるモータ又は駆動部M1~M4)を制御するコントローラCOも設けられている。幾つかの例示的な実施形態では、コントローラCOを、モータの動作を制御するようにプログラムされた少なくとも1つのコンピュータで構成することができる。一例として、上記少なくとも1つのコンピュータは、好適な実施形態の機能を実行するためのメモリやデジタルデータストア、及び適切なプログラミングと共に、ユーザによる(例えば、タイミングや回転速度等を制御するための)入力のためのキーボード及びディスプレイを備えることができる。加えて、上記少なくとも1つのコンピュータは、例えば、モータの動作の監視や、モータの速度及びタイミングを制御するための制御信号の送信等の信号の送受信を行うための入出力機構も備えることができる。更に、コントローラCOは、例えば、一例として、ローラ108の図1及び図2に示す位置間における往復移動の制御等、他の要素の動作を制御するようになっているものとし得る。このため、幾つかの例示的な例では、往復移動するローラ108を、コントローラCOで制御されるソレノイド部材を介して回動させることができる往復移動可能なアームに取り付けることで、この往復移動を実現できる。
【0075】
図12では例示的且つ非限定的な例を示しており、本発明のシステム及び方法が様々な他の構造で実現可能であるものとして理解すべきである。一例として、複数の例示的なモータ又は駆動部M1~M4を図示したが、様々な実施形態において、1つのモータ又は駆動部を採用して、異なる速度で回転するローラを含む複数のローラを回転できることを理解すべきである。一例として、1つのモータ又は駆動部を介して、独立した駆動及び異なる回転速度での駆動を含む複数のローラの駆動を行うために、様々なコンベアベルト、プーリ、ギア等を採用することができる。
【0076】
従って、好適な実施形態では、拡張性スリットシート材の自動拡張又は機械制御による拡張を可能にする構造が提供されるが、本発明の好適な実施形態によれば、そのような拡張性スリットシート材の自動拡張又は機械制御による拡張には、多種多様な駆動機構及び機構を採用して、ローラ等の回転及び移動を制御できると理解すべきである。
【0077】
他の実施形態
幾つかの好適な実施形態では、例えば、図1図9の実施形態で示したようなS字湾曲を形成する2つの拡張ローラが採用されているが、幾つかの他の実施形態では、追加の拡張ローラ(例えば、フックローラ)を採用できる。例えば、幾つかの他の実施形態では、3つ(3)の拡張ローラを採用でき、また、幾つかの実施形態では、4つ(4)又はそれより多い拡張ローラを採用できる。好適な実施形態では、隣接する全ての拡張ローラは、拡張ローラの数に関係なく、拡張されたスリットシート紙の圧縮又は潰れが上述したように回避できるように離間している。また、好適な実施形態では、拡張ローラは、拡張ローラの数に関係なく、2つの隣接する拡張ローラ間で上述のS字湾曲を形成する。例えば、幾つかの好適な実施形態において、第1及び第2の拡張ローラ(即ち、最も上流の拡張ローラ)は、上述の実施形態について図示・説明したような配置及び構成であることが好ましい。
【0078】
例示的な目的で、図13は、幾つかの例示的な実施形態に係る、3つ(3)の拡張ローラを採用した例示的な配置を示し、図14は、幾つかの他の例示的な実施形態に係る、4つ(4)の拡張ローラを採用した他の例示的な配置を示す。
【0079】
幾つかのより好適な実施形態において、拡張ローラは、それぞれ、その外周に散りばめられたフックを備えることが好ましい。例えば、図1及び図2に示す実施形態において、ローラ109及び112は、いずれも、その外周に散りばめられたフックを備えることが好ましい。加えて、図3及び図4に示す実施形態において、ローラ309及び312は、いずれも、その外周に散りばめられたフックを備えることが好ましい。加えて、図5に示す実施形態において、ローラ509及び512は、いずれも、その外周に散りばめられたフックを備えることが好ましい。加えて、図6に示す実施形態において、ローラ609及び612は、いずれも、その外周に散りばめられたフックを備えることが好ましい。加えて、図7に示す実施形態において、ローラ709及び712は、いずれも、その外周に散りばめられたフックを備えることが好ましい。加えて、図8及び図9に示す実施形態において、ローラ809及び812は、いずれも、その外周に散りばめられたフックを備えることが好ましい。
【0080】
しかし、各拡張ローラがその外周に散りばめられたフックを備えることが好ましいが、幾つかの実施形態では、拡張ローラのうちの1つ以上が、その外周に散りばめられたフックを備えることができ(即ち、少なくとも1つの拡張ローラが、その外周に散りばめられた上記のようなフックを備えればよい)、他の拡張ローラには、上記のようなフックを省略できる。例えば、幾つかの例示的な実施形態では、このような他の拡張ローラは、上記のようなフックを採用するのではなく、上記のようなフックを採用していないゴム面、発泡体面、又は他のより高摩擦性の表面を備えることができる。
【0081】
しかし、幾つかのより好適な実施形態では、拡張ローラのいずれかがその外周に散りばめられたフックを備えていない場合、少なくとも第1のローラ(即ち、最も上流の拡張ローラ)は、このようなフックを備える。これは、拡張ローラから下流に送給される拡張されたシートが最初にカットされる、例えば、ダイカッター等の装置の場合に、特に重要になり得ることに留意されたい。とりわけ、これは、拡張性スリットシート材を確実により均等に拡張させる上で有用である。上記のようなフックが下流の第1の拡張ローラではなく、下流の第2の拡張ローラに散りばめられている場合、セルが乱れて開口する可能性があり、これによって、拡張されたスリットシート紙のウェブを引き裂く作用が生じ得る。
【0082】
製品を包装するために本発明のシステム又は方法を採用する(例えば、拡張されたスリットシート材を、製品を包装するために下流に送給する)実施形態において、該材料を最適に拡張するには、全ての拡張ローラが、その外周に散りばめられたフックを備えることが好ましい。この場合、とりわけ、拡張されたスリットシート材のスリップを回避することが重要である。このような実施形態では、スリップの可能性を更に低減し易くする上で、拡張ローラを(本明細書に示した多くの例示の実施形態のように2つではなく)3つ備えることも有用である。加えて、この場合、スリップの可能性を更に最小限に抑える上で、拡張ローラ間の距離を最小にすることも有用である。スリップが生じた場合、スリットシート材は、拡張ローラよりも下流のステージ(例えば、拡張ローラよりも下流に位置する包装装置又はパッカー(例えば、梱包する人))から離れるように後方(即ち、上流側)にスリップする。これにより、例えば、パッカーが後方にスリップした材料に手を延ばすため、次の物品を包装又は梱包し難くなる。
【0083】
一方、例えば、自動封筒製造システム等の自動システムが下流にある場合、拡張ローラから下流に離脱した拡張されたスリットシート材を、容易にスリップしないように扱うことができる。例えば、幾つかの実施形態において、拡張されたスリットシート材は、拡張された材料を連続的に引っ張る接着装置へ下流に送給される。従って、この場合では、スリップの恐れが低減する。このため、例えば、自動封筒製造システム等の自動システムが下流にある場合、拡張ローラのいずれかがその外周のフックを省略しても、上記スリップの問題の恐れが非常に高くなることはない。
【0084】
封筒を製造する場合、幾つかの例では、1つの拡張ローラが、十分に均一な伸びを付与するように外周に散りばめられたフックを備えることができる。即ち、これは、封筒処理における製造の間、拡張されたスリットシート紙が下流の機器に保持されるからである。幾つかの好適な実施形態において、拡張ローラのフック材は、封筒の製造時に拡張されたスリット材料の幅を維持し易くする。これは、幾つかの実施形態において、下流で封筒を製造する上で有用である。例えば、幾つかの実施形態では、拡張ローラよりも下流の工程において、拡張されたスリットシート材は、拡張されたスリットシート材の側部に沿って接着されるが、フックは、拡張されたスリットシートのウェブの幅を、側部の接着が不完全になり得るまで変化し難くする。
【0085】
幾つかの実施形態において、拡張性スリットシート紙は、初期状態においてはスリットが無い状態にある。例えば、スリットの無い紙は、まず、実質的に紙にスリットを切り込むダイカッターである第1のローラに送給され得る。幾つかの実施形態において、該ダイカッターは、発泡体が巻き付けられている。このため、スリット紙は、ダイカッターから離れる際には、強固且つ均一に保持される。好適な実施形態では、ダイカッターからの給送後、第1の拡張ローラに対して、フックが散りばめられた材料を巻き付ける又は該材料で包むことが好ましい(例えば、このローラはより速い速度で動作して、拡張性スリットシート紙を伸長・拡張させる)。
【0086】
このため、上述したように、本発明の好適な実施形態の多くにおいて、図1図9、更には図13図14に示した全ての拡張ローラ(例えば、フックローラ)等の全ての拡張ローラ(例えば、フックローラ)は、各実施形態を幾つかの好適な態様で実施する場合に、その外周にフックが散りばめられたフックローラとして形成することができる。しかし、図1図9及び図13図14に示す実施形態を他の態様で実施する場合には、上述のように、1つ以上の拡張ローラを、その周囲にフックを散りばめずに実装することができる。
【0087】
図15及び図16は、封筒製造処理の場合における本発明の例示的な実施形態を示す。例示的な本実施形態において、紙シートPSは、上流処理工程FRから給送されてくる。幾つかの例示的な例において、上流処理工程FRは、給送ロールからの紙シートPSの給紙を含み、給送ロールは、芯部に巻き付けられ、下流方向に給送される紙ウェブで構成されている。紙ウェブは、幾つかの実施形態では8”(20.32センチメートル)~24”(60.96センチメートル)程度の幅を有し、また、幾つかの実施形態では12”(30.48センチメートル)~18”(45.72センチメートル)程度、幾つかの実施形態では14”(35.56センチメートル)~16”(40.64センチメートル)程度である。
【0088】
例示の実施形態では、紙シートPSのウェブは、紙シートPSを拡張性スリットシートESSにするように紙シートPSにスリットパターンを切り込むように構成されたダイカッティングローラDCRに給送される。図示していないが、幾つかの例示的な実施形態では、ダイカッティングローラは、これと共に紙シートPSを切る別の協働ローラを備えることができる(例えば、紙シートがダイカッティングローラを越えて搬送された時に、スリットを切り込む外周刃を協働ローラ又はダイカッティングローラの一方に採用すること等を含む。この構造は、拡張性スリットシート材のスリットパターンを形成するための従来技術と同様のものとすることができる。好適な実施形態では、上述したように、ダイカッティングローラDCRは、第1の低減速度で紙シートPSを搬送する速度で回転する。
【0089】
図15に示すように、拡張性スリットシートESSは、第1の拡張搬送部ER1へ更に下流に搬送される。上述の実施形態に関しても述べたように、好適な実施形態では、第1の拡張搬送部ER1は、ダイカッティングローラDCRと第1の拡張ローラER1との間における拡張性スリットシートESSの張架距離L1で拡張性スリットシートESSを完全に拡張させるような、上記低減速度よりも速い速度で拡張性スリットシートESSを搬送する速度で回転することが好ましい。幾つかの例示的な実施形態において、距離L1は、拡張性スリットシートESSを完全に拡張できる距離であればよい。例えば、幾つかの実施形態では、上記距離は、4”(10.16センチメートル)程度より長く、幾つかの他の実施形態では、上記距離は、6”(15.24センチメートル)程度より長く、幾つかの他の実施形態では、上記距離は、8”(20.32センチメートル)程度より長く、幾つかの他の実施形態では、上記距離は、10”(25.4センチメートル)程度より長く、幾つかの他の実施形態では、上記距離は、12”(30.48センチメートル)程度より長い。
【0090】
図15に示すように、好適な実施形態において、第1の拡張ローラE1は、本明細書において上述の様々な実施形態に関して上記で説明したように、その外周に多数のフックを有するフックローラHRとして形成されている。図15に示す本実施形態では、拡張性スリットシートESSは、フックローラHR(即ち、ER1)の周囲に沿って搬送された後、第2の拡張ローラER2に向かって誘導される。多くの好適な実施形態では、協働する一対の拡張ローラが互いにやや近接して設けられるが、図15及び図16に示す例示的な本実施形態では、第2の拡張ローラER2は、第1の拡張ローラER1から更に下流にずれて配置される。例えば、幾つかの実施形態において、拡張された拡張性スリットシートESSの張架距離L2は、上記に挙げた張架距離L1の値のいずれかと同じ値にすることができる(注記:幾つかの実施形態では、距離L1及びL2は、例えば図15に示す距離等のように、略同一とすることができるが、L1及びL2の値は、本明細書に記載する任意の適切な値にすることができ、同様の値にする必要はない)。好適な実施形態において、距離L2は重要ではなく、むしろ、張架距離L2に関連するより重要な要素は、拡張性スリットシートESSの第1の拡張ロールER1(HR)から離脱する角度であることに留意されたい。特に、図15に示す実施形態に関して有利な要素は、拡張性スリットシートESSとフックローラHR(即ち、ER1)との接触弧の角度である。
【0091】
好適な実施形態において、拡張性スリットシートESSとフックローラHRとの接触弧の角度が、少なくとも40度の弧であることが好ましいことに留意されたい。幾つかの他の実施形態において、接触弧は、少なくとも60度である。幾つかの他の実施形態において、接触弧は、少なくとも80度である。幾つかの他の実施形態において、接触弧は、少なくとも100度である。幾つかの他の実施形態において、接触弧は、少なくとも120度である。幾つかの他の実施形態において、接触弧は、少なくとも140度である。幾つかの他の実施形態において、接触弧は、少なくとも180度であり、他の実施形態(上述のものと同様)においては更に大きい。しかし、幾つかの好適な実施形態では、接触弧は、60~120度程度である。
【0092】
図15に示す実施形態において、第2の拡張ローラER2は、その外周にフックが散りばめられていないローラとすることができる。勿論、幾つかの実施形態において、ローラER2は、その周囲にフックを有する同様のフックローラとすることもできる。しかし、幾つかの実施形態では、これは必要ではない。例えば、幾つかの実施形態において、拡張されたスリットシートESSは、下流処理工程GSへ更に下流に給送される。幾つかの実施形態において、下流処理工程GSは、接着工程を含む。幾つかの好適な実施形態において、この更なる処理工程では、拡張されたスリットシートESSを把持する更なる搬送部及び/又は他の機構が用いられ、これにより、幾つかの実施形態では、第2の拡張ローラER2にフックは必要なくなる。
【0093】
図16を参照すると、幾つかの実施形態において、処理工程GSは、複数のサブ工程SA,SB及びSCを含み得る。サブ工程SAでは、拡張されたスリットシートESSを図示された矢印の方向(即ち、装置方向)に移動させながら、該シートに接着剤ストリップGSTを横方向に塗布する。この後、サブ工程SBに示すように、別の紙シートAPSを、拡張されたスリットシートESSに沿って並べ、これに接着させる。この後、サブ工程SCに示すように、張り合わせたシートを個々の部材(例えば、封筒の一部)に分断するように、張り合わせたシートを接着剤ストリップの位置C1及びC2で、ウェブを厚さ方向に横切るように延びる破線に沿って切断することができる。これらの工程は、封筒製造の全工程ではなく、封筒における壁部の一部の製造を含む、封筒製造処理における工程であるものとして理解すべきである。幾つかの実施形態において、例えば、その全開示内容が本明細書に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる、2019年8月3日に提出の、拡張されたスリットシート紙の内部パディングとエンボス加工紙の外部ライニングとの独自の組み合わせを有する封筒等の保護用製品、と称する本発明者の米国特許出願第16/531,017号に開示された種類の封筒を作るための、例えば、該出願第16/531,017号に記載されたような工程等の更なる処理工程を実行可能である。他の実施形態によれば、以下の米国特許及び米国特許出願公開のうちの1つ以上に記載されているような封筒製造の態様又は処理工程を実現できる。これら過去の特許の全開示内容は、本明細書に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。
1)封筒の製造、と称する米国特許第851,934号
2)連続ウェブからの封筒の作製、及びこれらの封筒への詰め込み及び封止を行うための方法と装置、と称する米国特許第4,205,504号
3)素早く開く封筒又は袋の製造、と称する米国特許第3,069,982号
4)封筒の製造方法及び装置、と称する米国特許第4,091,596号
5)郵送可能な状態の印刷済み製品を製造するための方法及びそのような方法に用いる封筒、と称する米国特許出願公開第2002/001452号
6)封筒製造用の拡張性ウェブ材料、と称する米国特許出願公開第2017/0107017号
【0094】
本発明の広い範囲
本発明を幾つかの好適な実施形態に基づき説明したが、多くの変更、変形、及び均等物が本発明の範囲内に含まれることを理解するべきである。本発明の処理及び装置の両方を実現する代替方法があることにも留意すべきである。例えば、工程は、必ずしも添付の図に示した順序で行う必要はなく、適宜並べ替えてもよい。従って、添付の請求項には、本発明の本来の精神と範囲内にあるような全ての変更、変形、及び均等物が含まれることが意図されている。
【0095】
本明細書で引用された出版物、特許出願、及び特許を含む全ての引用文献は、各引用文献が個別に且つ具体的に参照により組み込まれたものであると示され、その全体が本明細書に記載されたものとした場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれている。
【0096】
本開示の文脈において(特に以下の請求項の文脈において)使用された「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」という用語及び類似の言及は、本明細書で別段の指示がない限り、又は文脈上明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を含むと解釈されるべきである。本明細書で説明した全ての方法は、本明細書に別段の記載がない限り、又は文脈上明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行できる。本明細書で提供されたありとあらゆる例又は例示的な表現(例えば、等、好ましい、好ましくは)の使用は、単に本開示の内容を更に例示することを意図しており、特許請求の範囲を制限するものではない。本明細書中のいかなる文言も、本開示の実施に必須の請求項にない要素を示すものとして解釈されるべきでない。
【0097】
本明細書には、請求項の発明を実施するために発明者らが知っている最良の態様を含む、複数の実施形態が記載されている。これらのうち、開示された実施形態の変形は、前述の開示内容を読めば、当業者には明らかになるだろう。本発明者らは、当業者が適宜そのような変形を採用する(例えば、特徴又は実施形態を変更又は組み合わせる)ことを予想しており、本発明者らは、本明細書に具体的に記載された方法以外で本発明が実施されることを意図している。
【0098】
したがって、本発明には、添付の請求項に記載された主題の、適用され得る法で認められた全ての変形及び均等物が含まれる。また、上述の要素のあらゆる可能な変形の任意の組み合わせは、本明細書に別段の記載がない限り、又は文脈上明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。
【0099】
使用した個々の数値は、その値の前後に「程度」、「略」、又は「約」という言葉があることとした、おおよそのものとして記載されている。同様に、本願において詳細に記載された様々な範囲の数値は、明示的な別段の指示がない限り、記載された範囲の最小値及び最大値の両方の前後に「程度」、「略」、又は「約」という言葉があることとした、おおよそのものとして記載されている。このため、記載された範囲を上回る変形及び下回る変形を用いて、該範囲内の値と略同一の結果を得ることができる。本明細書で用いたような、数値について言及する際の「程度」、「略」、及び「約」という用語は、開示された主題が最も密接に関連する技術、又は問題となっている範囲もしくは要素に関連する技術において通常の知識を有する者にとって、それらの明白且つ通常の意味を有する。厳密な数値境界からの広がりの幅は、様々な要因に左右される。例えば、考慮すべき幾つかの要因としては、要素の重要性、及び/又は所定量の変化が請求項の主題の性能に与える影響、並びに当業者に既知の他の考慮すべき事項が挙げられる。本明細書で用いたような、異なる数値に対して異なる大きさの有効数字を使用することは、特定の数値又は範囲を広げる「程度」、「略」、又は「約」という言葉の使用の役割を制限することを意味しない。このため、「程度」、「略」、又は「約」は、一般的な事項として数値を広げるものである。また、範囲の開示は、最小値と最大値との間の全ての値を含む連続した範囲、更には、「程度」、「略」、又は「約」という用語の使用によって得られる範囲の広がりを意図している。従って、本明細書における値の範囲の記載は、本明細書で別段の指示がない限り、範囲内に収まる各個別の値を個別に参照する簡略的な方法としての役割を果たすことを意図しており、各個別の値は、本明細書で個別に記載されているものとして本明細書に組み込まれている。スリットパターンの重要性、拡張前後の紙の幅の差、紙の重さや種類、並びに開示された主題が最も密接に関連する技術や請求項の主題の性能に係る問題となっている範囲や要素に関連する技術の当業者に知られている他の考慮すべき事項等の幾つかの要因の所定の変動量を決定することが、当業者の能力の範囲内であると考えられない場合、又は請求項に明示されていない場合に限り、「程度」、「略」、及び「約」という用語が、プラス又はマイナス15%の数値を意味するものとして理解すべきである。
【0100】
本明細書で開示されたデータのいずれかによって形成される又は導出される任意の範囲、比率、及び比率の範囲は、本開示の更なる実施形態を表し、それらが明示的に記載されたものとして本開示の一部として含まれることを理解されたい。これには、有限の上限及び/又は下限の境界を含む又は含まない、実現可能な範囲が含まれる。従って、特定の範囲、比率、又は比率の範囲に最も密接に関連する技術において通常の知識を有する者は、そのような値が本明細書に示したデータから明確に導出可能であることを理解するだろう。
【符号の説明】
【0101】
10 拡張性スリットシート
14 スリット
14L スリット長
16 スリット(14に対して千鳥状に配列)
16L スリット長
20 ランド部
26 三次元の六角形セル
36 スリット間隙
38 列間隙
38a レッグ部
38b レッグ部
100 紙ロール状に巻いたスリットシート材
101 三つ組のニップローラ103,123及び125から成る第1の群に向かって引っ張られる連続スリットシート
102 加圧ローラ103,123及び125に向かうスリットシートの移動方向
103 三つ組のニップローラ103,123及び125のうちの上側ローラ又は加圧ローラ
104 ニップする三つ組のうちの下側ニップローラへ紙を導く紙ガイド部材
105 未拡張のスリットシートの方向の移動方向
106 拡張されたスリットシート
107 拡張されたスリットシートの方向
108 動作位置におけるガイド用フックニップローラ(図1
108’ 非動作位置におけるガイド用フックニップローラ(図2
109 下側フックローラ
110 スリット紙のセット時に用いられるガイド部材
111 拡張されたスリットシートの移動方向
112 上側フックローラ
113 上側フックローラ112の周囲に沿ってスリット紙を導くガイド部材
114 拡張されたスリットシートの移動方向
116 フックローラ112に周囲に沿ったスリットシートの移動方向
120 スリット紙のセット時に用いられるガイド部材
122 拡張されたスリット紙のガイド部材
123 三つ組のニップローラ103,123及び125のうちの中間ローラ
125 三つ組のニップローラ103,123及び125のうちの下側ローラ
306 フックローラから移動するスリットシート材
309 スリットシート材を拡張するための第1のフックローラ
312 スリットシート材を拡張するための第2のフックローラ
509 下側(上流)フックローラ
512 上側(下流)フックローラ
522 軸心A”及びA”’を通る線と、接点Tまでのスリット紙の経路の交線とがなす角度
609 スリット紙306の経路にある第1のフックローラ
612 第1のフックローラ609より上流にある第2のフックローラ
622 フックローラ612の軸心A及びフックローラ609の軸心を通る線と、フックローラ612上の接点までのスリット紙の経路の交線とがなす角度
709 上流(第1接触)フックローラ
712 下流(第2接触)フックローラ
722 フックローラ709とスリット紙306との接触弧の描写
803 三つ組のニップローラ803,805及び807のうちの下流ローラ
806 上側(下流)フックローラ
809 下側(上流)フックローラ
903 三つ組のニップローラ903,905及び907のうちの下流ローラ
1000 フックローラの別の変形例
1020 突起(tines)のフック端
A フックローラ312の軸心
A’ フックローラ309の軸心
A” フックローラ512の軸心
A”’ フックローラ509の軸心
APS
C フックローラ309とスリット紙306との接触弧の描写
C’ フックローラ809とスリット紙806との接触弧の描写
C1 第1の切断位置
C2 第2の切断位置
CO コントローラ
DCR ダイカッティングローラ
ER1 第1の拡張ローラ
ER2 第2の拡張ローラ
ESS 拡張性スリットシート
FR 上流処理工程(例えば、給送ローラ)
GS 下流処理工程(例えば、接着工程)
GST 接着剤ストリップ
I スリット紙のA-A’間の仮想線との交差点
L1 第1の張架長さ
L2 第2の張架長さ
M モータ/駆動部
PS 紙シート
SA 第1のサブ工程
SB 第2のサブ工程
SC 第3のサブ工程
T スリット紙806とフックローラ312とが接線接触する点
T’ スリット紙とフックローラ512とが接線接触する点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】