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特表2022-518009音響による粒子の濃縮及び洗浄のためのパラメータ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-11
(54)【発明の名称】音響による粒子の濃縮及び洗浄のためのパラメータ
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/00 20060101AFI20220304BHJP
   C12M 1/42 20060101ALI20220304BHJP
   C12N 1/12 20060101ALI20220304BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20220304BHJP
   C12N 1/04 20060101ALI20220304BHJP
   B01J 19/10 20060101ALI20220304BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20220304BHJP
   C12N 11/00 20060101ALN20220304BHJP
【FI】
C12N5/00
C12M1/42
C12N1/12 C
C12N1/20 A
C12N1/04
B01J19/10
B01J19/00 N
C12N11/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021540440
(86)(22)【出願日】2020-01-21
(85)【翻訳文提出日】2021-09-07
(86)【国際出願番号】 US2020014492
(87)【国際公開番号】W WO2020154334
(87)【国際公開日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】62/794,978
(32)【優先日】2019-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519144901
【氏名又は名称】フロデザイン ソニックス, インク.
【氏名又は名称原語表記】FLODESIGN SONICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(74)【代理人】
【識別番号】100128691
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 弘通
(72)【発明者】
【氏名】ロス-ヨンスル, ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】リプケンス, バルト
【テーマコード(参考)】
4B029
4B033
4B065
4G075
【Fターム(参考)】
4B029AA27
4B029BB11
4B029CC13
4B029DG08
4B033NA02
4B033NA12
4B033NA16
4B033NA17
4B033NB62
4B033ND03
4B033NG02
4B033NG04
4B033NG05
4B033NG10
4B033NH10
4B033NJ05
4B033NK07
4B065AA01X
4B065AA83X
4B065AA88X
4B065AA90X
4B065AA95X
4B065CA44
4G075AA13
4G075AA27
4G075AA61
4G075AA65
4G075BB01
4G075BB08
4G075BB10
4G075CA23
4G075DA02
4G075DA18
4G075EA05
4G075EB01
4G075EB31
4G075ED15
4G075FA12
4G075FB02
4G075FB04
(57)【要約】
ホスト流体から第2の流体又は粒子を連続的に分離するための多段の音響泳動デバイスが開示されている。多段の音響泳動デバイスを運転する方法も開示されている。システムは、互いに流体的に直列に接続された複数の音響泳動デバイスを含んでもよく、各音響泳動デバイスは、フローチャンバと、複数次元音響定在波を生成することができる超音波トランスデューサと、リフレクタとを含む。システムには、ポンプと流量計を更に含めることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子を洗浄する方法であって、
第1の媒体と粒子との初期混合物の初期の粒子密度及び体積を取得することと、
前記初期混合物の前記初期の粒子密度及び体積に基づいて、音響泳動デバイスを使用する音響濃縮洗浄プロセスのパラメータを設定することと、
前記初期混合物を、圧電材料を含む少なくとも1つの超音波トランスデューサを含む前記音響泳動デバイスのチャンバに提供することと、
前記粒子の少なくとも一部が、音響定在波内に保持されるように、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサを駆動して前記チャンバ内に前記音響定在波を生成することと、
前記パラメータに従って前記音響泳動デバイスを運転することと、を含む方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、
生体適合性洗浄液又は緩衝液である第2の媒体を前記チャンバに供給すること、を更に含む方法。
【請求項3】
請求項1の方法において、
前記粒子は、細胞である方法。
【請求項4】
請求項1の方法において、
前記粒子は、マイクロキャリア/細胞複合体である方法。
【請求項5】
請求項1の方法において、
前記初期混合物は、約50万粒子/mLから約500万粒子/mLまでの密度を有する方法。
【請求項6】
請求項1の方法において、
前記初期混合物中の粒子を濃縮すること、を更に含む方法。
【請求項7】
請求項7の方法において、
前記粒子を、前記初期混合物の体積の約25分の1から約50分の1までの濃縮容積に濃縮すること、を更に含む方法。
【請求項8】
請求項7の方法において、
前記初期混合物中の粒子を、前記初期混合物の粒子密度の約25倍から約50倍までの高く濃縮された粒子密度に濃縮すること、を更に含む方法。
【請求項9】
請求項1の方法において、
前記フローチャンバの洗浄出力物の細胞密度は、約0.0細胞/mLから約50万細胞/mLまでである方法。
【請求項10】
請求項10の方法において、
前記洗浄出力物は、濃縮プロセス及び洗浄プロセスからの洗浄出力物である方法。
【請求項11】
請求項1の方法において、
洗浄効果を決定するために前記チャンバ上で分光光度計プロセスを実施すること、を更に含む方法。
【請求項12】
細胞培養液から細胞を回収する方法であって、
第1の媒体と粒子との初期混合物の初期の粒子密度及び体積を取得することと、
前記初期混合物の前記初期の粒子密度及び体積に基づいて、音響泳動デバイスを使用する音響濃縮洗浄プロセスのパラメータを設定することと、
前記細胞培養液の初期混合物を、フローチャンバ内で複数次元音響定在波を生成するように駆動されるように構成された圧電材料を含む少なくとも1つの超音波トランスデューサを含む音響泳動デバイスのフローチャンバに供給することと、
前記フローチャンバ内で複数次元音響定在波を生成するために前記少なくとも1つの超音波トランスデューサを駆動することと、
前記細胞を濃縮させるために前記複数次元音響定在波内の前記初期混合物から前記細胞を保持することと、
前記パラメータに従って前記音響泳動デバイスを操作することと、を含む方法。
【請求項13】
請求項12の方法において、
前記濃縮された細胞の細胞密度が、前記初期混合物の細胞密度よりも約25倍から約50倍大きい方法。
【請求項14】
請求項12の方法において、
前記濃縮された細胞の体積が、前記初期混合物の体積の25分の1から約50分の1である方法。
【請求項15】
請求項12の方法において、
前記濃縮された細胞が約35分以内に得られる方法。
【請求項16】
請求項12の方法において、
前記フローチャンバの洗浄出力物の細胞密度が約0.0細胞/mLから約50万細胞/mLである、前記濃縮された細胞を洗浄すること、を更に含む方法。
【請求項17】
濃縮洗浄システムであって、
ポンプと、
複数のバルブと、
フローチャンバと、
前記フローチャンバに結合され、複数次元音響定在波を生成するように駆動されるように適合された圧電材料を含む少なくとも1つの超音波トランスデューサと、
前記ポンプ、前記複数のバルブ、及び前記少なくとも1つの超音波トランスデューサを制御するためのコントローラであり、音響パワー、流量率、細胞収集サイクル数、細胞数又は細胞濃縮の1つ以上を含むパラメータで構成可能なコントローラと、を含む濃縮洗浄システム。
【請求項18】
請求項17の濃縮洗浄システムであって、
前記フローチャンバは、約25mLから約75mLまでの体積を有する濃縮洗浄システム
【請求項19】
請求項18の濃縮洗浄システムであって、
前記フローチャンバは、約40億細胞から約400億細胞までの細胞容量を含むことができる、濃縮洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
治療用細胞を濃縮し、それらをある溶液から別の溶液に移すこと(通常は洗浄と呼ばれる)は、細胞の生産及び使用の複数の段階に関係する2つのプロセスである。細胞処理における物質の洗浄及び分離は、選択した細胞治療の全体的な有効性の重要な部分である。特に、治療用細胞は、もともと成長血清又はジメチルスルホキシド(DMSO)のような防腐剤に懸濁されている可能性がある。細胞をさらに処理できるようにこれらの液体から細胞を分離することは、そのような細胞物質を使用する全体的な治療プロセスにおいて重要である。一例では、細胞は通常、バイオリアクタから回収され、濃縮され、CAR-T細胞の製造などでトランスダクションの前に培地からエレクトロポレーション緩衝液に移される。最終製造段階で細胞を増殖させた後、細胞を濃縮し、目的の用途に応じて適切な溶媒に移す。
【0002】
治療用細胞は、冷蔵及び/又は凍結のプロセスのいずれかを通じてこれらの細胞の生存能力を延長するために、特殊な媒体に保存される。そのような特殊な媒体は、治療用細胞が患者に導入されるときに適合しない可能性がある。従って、治療用細胞及び患者の両方に生体適合性がある緩衝又は洗浄の媒体で治療用細胞を洗浄及び濃縮することが役立つ場合がある。これらの洗浄及び濃縮のプロセスは、従来、遠心分離及び物理的濾過の使用を伴う。洗浄工程は何度も繰り返すことができる。例えば、特殊な媒体(発熱性又はその他の有害性の可能性がある)は、複数の洗浄ステップで完全に除去され、細胞は新しい緩衝又は洗浄の溶液に懸濁される。この洗浄プロセス中に、多くの細胞は遠心分離及び物理的濾過のプロセスによって分解又は破壊される。さらに、濾過プロセスはかなり非効率的であり、バッチ処理のために環境への非滅菌侵入を伴う可能性があり、それにより、細胞培養物は、標的細胞培養物に有害の可能性のある病原体又は外部の細胞の影響にさらされる。さらに、これらの物理的濾過プロセスでは、複数の物理的フィルタを使用することで生物学的廃棄物が生成され、適切な廃棄のために追加の手順が必要になる場合がある。このプロセスのコスト及び適時性はまた、患者に導入するために細胞を準備する迅速又は低コストのプロセスの助けにはならない。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、治療用細胞などの粒子のための、より簡単で、より低コストで、より友好的なプロセスで、従来の複数の洗浄ステップを伴う遠心分離及び物理的濾過プロセスを置き換え又は増強する方法及びシステムを提供する。方法/プロセスは、無菌環境及び連続的な形態で実行できる。
【0004】
本明細書には、細胞であってもよい粒子を洗浄する方法が開示される。いくつかの例示的な方法では、第1の媒体と粒子との初期混合物が、音響泳動デバイスのフローチャンバに供給される。第1の媒体は、粒子の将来の用途/使用にとって望ましくないジメチルスルホキシド(DMSO)などの防腐剤を含んでもよい。音響泳動デバイスは、圧電材料を含み、フローチャンバ内に複数次元音響定在波を生成するように駆動されるように構成された少なくとも1つの超音波トランスデューサを有する。前記粒子の少なくとも一部は、複数次元音響定在波にトラップされる。前記粒子が複数次元音響定在波に保持されている間に、第2の媒体がフローチャンバを通って流れ、第1の媒体を洗い流す。このように、前記粒子は、第1の媒体が第2の媒体と交換される媒体交換を経験してもよい。
【0005】
いくつかの例では、洗浄プロセスを実行するために使用される第2の媒体の体積は、フローチャンバの体積と同等であってもよい。いくつかの例では、洗浄プロセスを実行するために使用される第2の媒体の体積は、フローチャンバの体積の倍数又はその一部であってもよい。第2の媒体は、生体適合性の洗浄液又は緩衝液であってもよい。
【0006】
粒子は細胞であってもよい。細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NSOハイブリドーマ細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、ヒト細胞、調節性T細胞、ジャーカットT細胞、CAR-T細胞、B細胞、又はNK細胞、末梢血単核細胞(PBMCs)、藻類、植物細胞、細菌、又は、ウイルスであってもよい。細胞はマイクロキャリアに付着していてもよい。
【0007】
時として、少なくとも1つの超音波トランスデューサの圧電材料は、複数の圧電素子から形成された圧電アレイの形態である。各圧電素子は、ポッティング材料によって周囲の圧電素子から物理的に分離できる。圧電アレイは、圧電素子を互いに分離する1つ又は複数のチャネルを備えた単結晶上に存在することができる。各圧電素子は、独自の電極ペアに個別に接続することができる。圧電素子は、互いに同相で動作することもできるし、互いに位相をずらして動作することもできる。音響泳動デバイスは、少なくとも1つの超音波トランスデューサを冷却するための冷却ユニットを更に備えてもよい。
【0008】
様々な実施形態において、初期混合物は、約50万粒子/mLから約500万粒子/mLの密度を有してもよい。濃縮された液量は、初期混合物の液量の25分の1乃至約50分の1であってもよい。濃縮された液量は、初期混合物の粒子密度の25倍乃至約50倍の粒子密度を有してもよい。
【0009】
様々な実施形態において、細胞培養液から90%を超える細胞を回収する方法も開示される。第1の媒体と細胞培養液との初期混合物は、フローチャンバ内に複数次元音響定在波を生成するように駆動されるように構成された圧電材料を含む少なくとも1つの超音波トランスデューサを備える音響泳動デバイスのフローチャンバを通して供給される。少なくとも1つの超音波トランスデューサが駆動されて、フローチャンバ内に複数次元音響定在波を生成し、このようにして音響定在波内に細胞培養液を集中させる。初期混合物の初期細胞密度は約50万細胞/mL乃至約500万細胞/mLであり、濃縮された細胞培養液の細胞密度は初期細胞密度の少なくとも25倍である。
【0010】
いくつかの実施形態において、濃縮された細胞培養液は、初期細胞密度の25倍乃至約50倍の細胞密度を有する。他の実施形態では、濃縮された細胞培養液の液量は、初期混合物の液量の25分の1乃至約50分の1である。濃縮された細胞培養液は約35分以内で得ることができる。
【0011】
音響泳動デバイスも開示される。音響泳動デバイスは、流体の流入口、第1の流出口、及び第2の流出口を有するフローチャンバと、フローチャンバの第1の壁に近接し、複数次元音響定在波を生成するように駆動されるのに適している圧電材料を含む少なくとも1つの超音波トランスデューサと、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサの反対側のフローチャンバの第2の壁上のリフレクタと、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサとフローチャンバの第1の壁との間に配置された熱電発電機と、を備えている。
【0012】
音響泳動デバイスは、約25mL乃至約75mLの濃縮容量を有してもよい。音響泳動デバイスは、約40億乃至約400億細胞の細胞容量を有してもよい。様々なラインにより、音響泳動デバイスを、その音響泳動デバイスとの間で様々な物質を供給し又は受ける容器に接続することができる。
【0013】
これらと他の非限定的な特性について、以下でより具体的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下は、図面の簡単な説明である。図面の簡単な説明は、本明細書に開示された例示的な実施形態を説明するために提示されるのであり、それと同じことを限定するためではない。
【0015】
図1図1は、トランスデューサ及びリフレクタを使用して、粒子をトラップし、増強された重力沈降によって粒子を流体から分離するための音響定在波を生成する音響泳動プロセスの一例を図示している。
【0016】
図2図2は、音響泳動を使用する本開示に係る例示的な細胞濃縮及び洗浄プロセス(「ダイアフィルトレーション」)を図示している。
【0017】
図3図3は、音響泳動を使用する本開示に係る他の例示的な細胞濃縮及び洗浄プロセス(プッシュスルー)を図示している。
【0018】
図4図4は、左から右及び上から下に、(青色に染色された)第2の媒体混合物がデバイスに流入し、(赤色に染色された)第1の媒体を徐々に置き換える前に、音響泳動デバイスにトラップされている細胞の進行を示す6枚の写真を示している。
【0019】
図5図5は、音響泳動デバイスの性能を示すグラフである。x軸は経過時間(分)であり、0から40まで5の間隔で続いている。左側のy軸は、透過密度低減(%)であり、0から100まで10の間隔で続いている。右側のy軸は透過細胞密度(×10細胞/mL)であり、0.00から2.00まで0.20の間隔で続いている。一番上の実線は、透過低減密度(%)を表している。一番下の実線は透過細胞密度を表している。ページをほぼ水平に横切る中央の線は、参照目的のためのフィード細胞密度を表している。
【0020】
図6図6は、低細胞密度培養液での本開示に係る音響泳動プロセスのT細胞濃縮性能を示すグラフである。x軸は経過時間(分)であり、0から25まで5の間隔で続いている。左側のy軸は低減(%)であり、0から100まで10の間隔で続いている。右側のy軸は細胞密度(×10細胞/mL)であり、0.00から1.60まで0.20の間隔で続いている。上の実線は透過低減(%)を表している。下の実線は透過細胞密度を表している。破線は、参照目的のためのフィード細胞密度を表している。
【0021】
図7図7は、本開示に係る音響泳動プロセスの濃度及び流量率に対する密度低減率(PDR)の依存性を示すグラフである。x軸は時間(分)であり、0から40まで5の間隔で続いている。y軸は透過密度低減率(%)であり、0から100まで10の間隔で続いている。円状のデータポイントを有する線は、5×10細胞/mLの初期細胞濃度を有する混合物を表している。x字型のデータポイントを有する線は、3×10細胞/mLの初期細胞濃度を有する混合物を表している。三角形のデータポイントを有する線は、20mL/分の流量率で1×10細胞/mLの初期細胞濃度を有する混合物を表している。ひし形のデータポイントを有する線は、10mL/分の流量率で1×10細胞/mLの初期細胞濃度を有する混合物を表している。
【0022】
図8図8は、高細胞密度培養液での本開示に係る音響泳動プロセスのT細胞性能を示すグラフである。x軸は経過時間(分)であり、0から25まで5の間隔で続いている。左側のy軸は低減率(%)であり、0から100まで10の間隔で続いている。右側のy軸は細胞密度(×10細胞/mL)であり、0.00から3.00まで0.50の間隔で続いている。上の実線は透過密度低減(%)を表している。下の実線は透過細胞密度を表している。破線は、参照目的のためのフィード細胞密度を表している。
【0023】
図9A図9Aは、トランスデューサを冷却するための冷却ユニットを含む、本開示に係る例示的な音響泳動デバイスの斜視図である。
図9B図9Bは、図9Aのデバイスの分解図である。
【0024】
図10図10は、アクティブ冷却を行わない音響泳動デバイスの温度プロファイルを示すグラフである。x軸は経過時間(分)であり、0.00から20.00まで2.00の間隔で続いている。y軸は温度(°C)であり、17.00から33.00まで2.00の間隔で続いている。グラフの右側で一番下の線は、供給温度(°C)を表している。グラフの右側で一番上の線は、コア温度(°C)を表している。グラフの右側で中央の線は、透過温度(°C)を表している。
【0025】
図11図11は、トランスデューサのアクティブ冷却を伴う音響泳動デバイスの温度プロファイルを示すグラフである。x軸は経過時間(分)であり、0.00から20.00まで2.00の間隔で続いている。y軸は温度(°C)であり、17.00から33.00まで2.00の間隔で続いている。グラフの右側で一番下の線は、供給温度(°C)を表している。グラフの右側で一番上の線は、コア温度(°C)を表している。グラフの右側で中央の線は、透過温度(°C)を表している。
【0026】
図12A図12Aは、本開示に係るマイクロキャリア及び細胞を濃縮、洗浄及び/又は分離するためのプロセスを示している。図12Aの上部は、本開示に係る、バイオリアクタ血清に囲まれたマイクロキャリア及び細胞の複合体をバイオリアクタから受け取り、音響泳動デバイス内でマイクロキャリア/細胞の複合体を濃縮する第1のステップを表している。図12Aの下部は、バイオリアクタ血清を除去するために、細胞が付着した濃縮されたマイクロキャリアを洗浄する第2のステップを表している。
図12B図12Bは、本開示に係るマイクロキャリア及び細胞を濃縮、洗浄及び/又は分離するためのプロセスを示している。図12Bの上部は、マイクロキャリア及び細胞をトリプシン処理又は引き離し処理する第3のステップと、マイクロキャリアを細胞から分離する第4のステップとを表している。図12Bの下部は、必要に応じて使用することができる最終的な洗浄及び濃縮のステップを表している。
【0027】
図13図13は、音響泳動デバイスへの供給液中のT細胞が付着したマイクロキャリアの濃度(写真の上段)と、音響泳動デバイスから引き出された透過液中の分離されたマイクロキャリアとT細胞の濃度(写真の下段)とを示している。黒い円形のアイテムはマイクロキャリアを示し、より明るい領域はT細胞を示している。
【0028】
図14図14は、供給液中のT細胞が付着したマイクロキャリアの濃度及び透過液中の分離されたマイクロキャリア及びT細胞の濃度の顕微鏡画像を示している。
【0029】
図15図15は、本開示に係る例示的な音響泳動システムの概略図であり、システムを通る供給物質の流路を示している。
【0030】
図16図16は、図15の例示的な音響泳動システムの概略図であり、システムを通る供給物質の流路を示している。
【0031】
図17図17は、図15の例示的な音響泳動システムの概略図であり、システムの排水を示している。
【0032】
図18図18は、トライアルAの結果を示す2軸グラフである。左側のy軸は、透過液中の細胞の低減率であり、20%の間隔で0%から100%まで続いている。右側のy軸は、100万細胞/mLの単位の透過液の細胞密度であり、0.20の間隔で0から1.00まで続いている。x軸は分単位の経過時間であり、3分間隔で0分から33分まで続いている。点線は初期細胞密度を示しており、98万細胞/mLであった。
【0033】
図19図19は、トライアルBの結果を示す2軸グラフである。左側のy軸は、透過液中の細胞の低減率であり、20%の間隔で0%から100%まで続いている。右側のy軸は、100万細胞/mLの単位の透過液の細胞密度であり、0.20の間隔で0から1.00まで続いている。x軸は分単位の経過時間であり、3分間隔で0分から33分まで続いている。点線は初期細胞密度を示しており、85万細胞/mLであった。
【0034】
図20図20は、トライアルCの結果を示す2軸グラフである。左側のy軸は、細胞の低減率であり、20%の間隔で0%から100%まで続いている。右側のy軸は、100万細胞/mLの単位の細胞密度であり、1.00の間隔で0から4.00まで続いている。x軸は分単位の経過時間であり、3分間隔で0分から30分まで続いている。点線は初期細胞密度を示しており、408万細胞/mLであった。
【0035】
図21図21は、濃縮洗浄プロセスにおける細胞の生存率を示すグラフである。
【0036】
図22図22は、パワーに対する細胞密度を示すグラフである。
【0037】
図23図23は、ファセットリフレクタを備えた低細胞密度用途のための濃縮洗浄デバイス及び平面リフレクタを備えた高細胞密度用途のための濃縮洗浄デバイスの側面断面図である。
【0038】
図24図24は、図23のデバイスの側面断面図であり、低細胞密度及び高細胞密度のアプリケーションでのデバイスの動作を示している。
【0039】
図25図25は、濃縮洗浄デバイスを用いたT細胞の処理を示す一連の写真である。
【0040】
図26図26は、経時的な廃棄物の生存細胞密度を示すグラフである。
【0041】
図27図27は、音響濃縮洗浄システムの図である。
【0042】
図28図28は、処理された数十億の細胞に対する生存細胞回収率の2軸バブルグラフである。y軸は、70%~100%の範囲の生存細胞回収率である。x軸は、0~30の範囲で処理される数十億の細胞である。凡例は、初期洗浄緩衝液を示しており、バブルグラフでは、x軸で約25億~約250億の範囲で表されている。凡例は、最適化された洗浄緩衝液も示しており、バブルグラフでは、x軸で約12.5億~約25億の範囲で表されている。
【0043】
図29A図29Aは、生存細胞密度のパラメータの表である。行はmL単位の液量を表し、列はmLあたり数百万個の細胞単位の生存細胞密度である。
図29B図29Bは、生存細胞密度のパラメータの表である。行はmL単位の液量を表し、列はmLあたり数百万個の細胞単位の生存細胞密度である。
図29C図29Cは、生存細胞密度のパラメータの表である。行はmL単位の液量を表し、列はmLあたり数百万個の細胞単位の生存細胞密度である。
図29D図29Dは、生存細胞密度のパラメータの表である。行はmL単位の液量を表し、列はmLあたり数百万個の細胞単位の生存細胞密度である。
図29E図29Eは、表の凡例を提供し、異なる条件での異なる領域の動作パラメータを示している。
【0044】
図30図30は、洗浄液量に対する濃度を示すグラフである。y軸は、現在の濃度と元の濃度の濃度比であり、範囲は-0.2~1.2である。x軸は洗浄液量の数で、範囲は0.0~6.0である。
【0045】
図31図31は、ヒト多能性幹細胞(hPSC)のための音響的な凝集体分離システムの図である。
【0046】
図32図32は、パワーに対するhPSC凝集体の保持のグラフである。y軸は凝集体保持率であり、範囲は75%~100%である。x軸はワット単位のパワーであり、範囲は0~35である。
【0047】
図33図33は、バイオリアクタ凝集体と単細胞の分離の棒グラフである。y軸は、凝集体と単細胞の間の分画の比率であり、範囲は0%~100%である。x軸はサイクル数であり、範囲は初期の量から2番目のサイクルまでである。
【0048】
図34図34は、T細胞の増殖及び生存率を示すサンプルのドットグラフ、及び、音響濃縮洗浄処理の前後のサンプルのT細胞の生存率とT細胞タイプの組成を示す棒グラフである。ドットグラフの左側のy軸は、細胞増殖の倍数であり、範囲は0~35である。ドットグラフの右側のy軸は生存の比率であり、範囲は50%~100%である。ドットグラフのx軸は、日単位の処理時間であり、0~12の範囲である。棒グラフのy軸は細胞の比率であり、範囲は0%~100%である。x軸成分は、音響濃縮洗浄処理の前後の生存細胞、総T細胞、CD4+T細胞、及びCD8+T細胞の数である。
【0049】
図35図35は、CD4及びCD8-T細胞の初期及び濃縮結果を示す一連のフローサイトメトリーグラフである。
【0050】
図36図36は、細胞治療製品を製造するためのエンドツーエンドのプロセスの図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本開示は、望ましい実施形態及びそこに含まれる実施例の以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解され得る。以下の明細書及び以下の特許請求の範囲では、以下の意味を持つように定義されるいくつかの用語が参照される。
【0052】
以下の説明では、わかりやすくするために特定の用語を使用しているが、これらの用語は、図面で説明するために選択した実施形態の特定の構造のみを指すことを意図しており、開示の範囲を定義又は制限することを意図していない。以下の図面及び以下の説明において、同様の数値指定は同様の機能のコンポーネントを指すことを理解されたい。さらに、図面は原寸に比例していないことを理解されたい。
【0053】
単数形の「a」、「an」、及び「the」には、文脈からそうでないことが明確に示されない限り、複数形の対象を含む。
【0054】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「備える(comprising)」という用語は、「構成される(consisting of)」の実施形態及び「本質的に構成される(consisting essentially of)」の実施形態を含んでもよい。「備える(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有している(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含む(contain(s))」という用語、及び本明細書で使用されるそれらの変形は、名付けられたコンポーネント/ステップの存在を必要とし、他のコンポーネント/ステップの存在を許容するものとして使用されるオープン形式の移行句、用語又は単語であることが意図されている。しかしながら、そのような説明は、列挙されたコンポーネント/ステップから「構成される(consisting of)」及び「本質的に構成される(consisting essentially of」ものとして、組成物(compositions)又はプロセスを説明するものとしても解釈されるべきであり、そのような解釈では、名付けられたコンポーネント/ステップと、そこから生じる可能性のある不純物のみの存在が可能となり、他のコンポーネント/ステップは除外される。
【0055】
数値には、同じ数の有効数字に換算したときに同じである数値、及び、数値を決定するために本出願に記載されているタイプの従来の測定技術の実験誤差未満で記載されている数値と異なる数値を例として含むと、理解されるべきである。
【0056】
本明細書に開示されるすべての範囲は、列挙された境界点(endpoint)を含み、独立して組み合わせることができる(例えば、「2グラムから10グラムまで」の範囲には、境界点の2グラム及び10グラムと、すべての中間値が含まれる)。
【0057】
「約(about)」や「実質的に(substantially)」などの1つ又は複数の用語によって修飾された値は、指定された正確な値に限定されない場合がある。近似を表す用語は、値を測定するための機器の精度に対応している場合がある。修飾子「約(about)」は、2つの境界値の絶対値によって定義される範囲を開示するものと見なす必要もある。例えば、「約2から約4まで」という表現は、「2から4まで」の範囲も開示している。
【0058】
本明細書で使用される用語の多くは相対的な用語であることに留意されたい。例えば、「上部(upper)」及び「下部(lower)」という用語は、位置において互いに相対的なものであり、例えば、上部のコンポーネントは所定の方向において下部のコンポーネントよりも高い位置にあるが、これらの用語は、デバイスが反転した場合に変更される可能性がある。「流入口」及び「流出口」という用語は、例えば、流体が流入口を通って構造物に流れ込み、流出口を通って構造物から流れ出すように、所定の構造物に関してそれらを流れる流体に対して相対的なものである。「上流」及び「下流」という用語は、例えば、下流のコンポーネントを流れる前に上流のコンポーネントを流れる流体のように、流体が様々なコンポーネントを通って流れる方向に関して相対的なものである。ループするものにおいては、第1のコンポーネントが第2のコンポーネントの上流側と下流側の両方であると説明され得ることに留意されたい。
【0059】
「水平」と「垂直」という用語は、例えば地面のレベルなどの絶対的な基準に対する相対的な方向を示すために使用される。上向き(upwards)」及び「下向き(downwards)」という用語もまた、絶対的な基準に対して相対的なものであり、上向きの流れは常に地球の重力に逆らう。
【0060】
本出願では、「同じ桁(order)の大きさ」について言及する。大きい方の数値を小さい方の数値で割った商が1以上10未満の値である場合、2つの数値は同じ桁の大きさになる。
【0061】
本開示の音響泳動技術は、音響定在波を使用して、一次流体又はホスト流体中の物質(粒子又は二次流体など)を濃縮、洗浄、及び/又は、分離する。特に、図1の左上の画像(A)に示すように、超音波トランスデューサTは、流体内に音響波を生成し、超音波トランスデューサの向かいに配置されたリフレクタRと相互作用して、音響定在波を生成する。リフレクタRが図1に示されているが、別のトランスデューサを使用して、音響エネルギを反射及び/又は生成して、音響定在波を形成してもよい。
【0062】
図1の右上の画像(B)に示すように、ホスト流体及びそのホスト流体に取り込まれた物質が音響定在波を通って上方に流れるとき、音響定在波は、物質(例えば、流体及び/又は粒子を含む二次相物質)をトラップ(維持又は保持)する。物質からの音響フィールドの散乱は、三次元の音響放射力をもたらし、それは三次元のトラッピングフィールドとして機能する。
【0063】
超音波定在波に関連して生成される三次元音響放射力は、本開示では、三次元定在波又は複数次元定在波と呼ばれる。粒子が波長に比べて小さい場合、音響放射力は、物質の粒子体積(半径の3乗など)に比例する。音響放射力は、周波数と音響コントラスト係数に比例する。音響放射力は、音響エネルギ(音圧振幅の2乗など)に比例する。調和励振の場合、力の正弦波の空間変化により、粒子は定在波内の安定した位置に移動する。粒子に加えられる音響放射力が、流体の抗力と浮力及び重力の複合効果よりも強い場合、図1の右上の画像(B)に示すように、粒子は音響定在波フィールド内にトラップすることができる。
【0064】
図1の左下の画像(C)に示すように、このトラップは、トラップされた粒子の合体、塊化(clumping)、強凝集(aggregating)、弱凝集(agglomerating)、及び/又はクラスタ化をもたらす。さらに、ビヤークネス(Bjerkness)力などの二次的な粒子間力は、粒子の弱凝集を助ける。
【0065】
粒子が合体、塊化、強凝集、弱凝集、及び/又は、クラスタ化をし続けると、粒子は、粒子クラスタにかかる重力が音響放射力に打ち勝つ特定のサイズに成長する可能性がある。そのようなサイズでは、粒子クラスタは、図1の右下の画像(D)に示されるように、音響定在波から落ちる可能性がある。
【0066】
望ましくは、超音波トランスデューサは、流体中に三次元又は複数次元の音響定在波を生成し、それが浮遊粒子に横方向の力を加えて軸方向の力を伴い、定在波の粒子のトラップ能力を高める。平面又は一次元の音響定在波は、軸方向又は波の伝播方向に音響力を提供してもよい。平面又は一次元の音響波発生における横方向の力は、軸方向の力よりも2桁小さくてもよい。複数次元音響定在波は、平面音響定在波よりも大幅に大きい横方向の力を提供してもよい。例えば、横方向の力は、複数次元音響定在波の軸方向の力と同じ規模の大きさであってもよい。
【0067】
本開示の音響定在波は、定在波の第1の媒体に懸濁された粒子(例えば、T細胞、B細胞、NK細胞などの治療用細胞)をトラップするために使用することができる。そして、第1の媒体を第2の媒体(例えば、生体適合性の洗浄液又は緩衝液)に置き換えることができる。言い換えれば、粒子のホスト流体を置き換えることができる。第1の媒体を第2の媒体に置き換える前に、図2に示すように、音響泳動を使用して、ダイアフィルトレーション・プロセスを実行することができる。
【0068】
図2において、例えば、1×10細胞/mL未満の低い細胞密度を有する初期混合物から始めて、音響泳動を使用して、初期混合物の体積を、例えば、20分の1から最大100分の1又はそれ以上までを例示として含む、少なくとも10分の1に減らすことができる。細胞濃度は、20倍から最大100倍以上又はそれ以上までを含む、少なくとも10倍まで増加させることができる。この初期低減プロセスは、第1の減量ステップ(A)である。次に、第2の媒体(例えば、生体適合性の洗浄液又は緩衝液)を導入して、ステップ(B)に示すように、第1の媒体を少なくとも部分的に置き換えることができる。次に、細胞と第2の媒体との新しい混合物を、音響泳動による減量ステップ(C)にかけることができる。この一連の操作は、「ダイアフィルトレーション」プロセスと呼ばれる。
【0069】
図3は、粒子/細胞が音響定在波にトラップされて音響泳動デバイスに保持される単一ステップのプッシュスルー・プロセスを示している。そして、第2の媒体(例えば、生体適合性の洗浄液又は緩衝液)を音響泳動デバイスに流して、第1の媒体を効果的に「洗い流す」。プッシュスルー・プロセスを使用すると、第1の媒体の90%以上(最大99%以上を含む)を粒子/細胞から除去できる。プッシュスルー・プロセスは、図2のダイアフィルトレーション・プロセスよりも少ない緩衝液及び少ない時間を使用する連続的なシングルユースプロセスとして使用することができる。プロセスの供給液量は500mL~3L、処理時間は60分未満、流入する供給密度は1mLあたり約100万細胞(1M/mL)未満から1mLあたり約4,000万細胞(40M/mL)までである。このプロセスは細胞の生存率に影響を与えず、最終濃縮液量は1M/mLで7mL未満、40M/mLで50mL未満である。1M/mLの開始濃度からの濃縮係数は15倍、例えば105mLから7mLであり、40M/mLの開始濃度からの濃縮係数は140倍、例えば7Lから50mLである。
【0070】
図4は、左から右及び上から下に、(青色に染色された)第2の媒体混合物がデバイスに流入し、(赤色に染色された)第1の媒体を徐々に置き換える前に、音響泳動デバイスにトラップされている細胞の進行を示す6枚の写真を示している。図4では、150mLの供給液量が、第2の媒体のための80mLのエレクトロポレーション媒体洗浄とともに使用された。濃縮物は10mL/分の流量率で抜き取った。これらの写真に見られるように、時間の経過とともに、第1の媒体が第2の媒体に置き換えられる。
【0071】
図5は、約1.5×10細胞/mLの供給細胞密度を有する混合物について、2.234MHzの固定周波数で動作する音響泳動デバイスの性能を示すグラフである。見てわかるように、デバイスは、約35分間で95%を超える透過密度低減率(PDR)を達成し、同じ時間で0.10×10細胞/mL未満の透過細胞密度を達成した。
【0072】
本開示の音響泳動デバイス及びシステムの圧電トランスデューサは、単一モノリシック圧電材料にすることもできるし、圧電材料のアレイから作成することもできる。圧電材料は、セラミック材料、結晶、又はPZT-8(チタン酸ジルコン酸鉛)などの多結晶である。
【0073】
音響泳動デバイスの濃縮効率を試験した。まず、1×10細胞/mLの細胞密度を有するT細胞懸濁液を使用した。約500~1000mLの供給液量を、10~15mL/分の流量率で使用した。結果は図6にグラフで示されている。このデバイスは、10分間のテストで、10倍から20倍までの間の濃縮係数、90%の細胞回収率、77%のウォッシュアウト効率(つまり、第2の媒体によって置き換えられた第1の媒体の液量)を示した。10°Cの温度上昇が観察された。
【0074】
次に、酵母混合物を使用して、密度低減率(PDR)の濃度及び流量率に対する依存性をテストした。結果は図7にグラフで示されている。ここに見られるように、より高い初期細胞濃度は一般により大きなPDRをもたらした。さらに、さまざまな流量率(20mL/min~10mL/min)は、PDRに影響を与えなかった。
【0075】
音響泳動デバイスの濃縮効率は、より高い細胞密度で再度テストされた。5×106細胞/mLの細胞密度を有するT細胞懸濁液を使用した。1000mLの供給液量を、10~15mL/分の流量率で使用した。結果は図8にグラフで示されている。このデバイスは、1時間にわたるテストで、10倍を超える濃縮係数、90%の細胞回収率、77%のウォッシュアウト効率を示した。10°Cの温度上昇が再び観察された。
【0076】
テスト中に、超音波トランスデューサのアクティブ冷却により、スループットと効率が向上し、パワーが増加することも発見された。そのため、トランスデューサのアクティブ冷却を行うための冷却ユニットが開発された。図9Aは、完全に組み立てられた状態の、冷却ユニットを含む音響泳動デバイス7000を示している。図9Bは、部分的に分解された図における様々なコンポーネントを備えたデバイス7000を示している。ここで図9Bを参照すると、デバイスは、フローチャンバ7010の反対側の壁に超音波トランスデューサ7020及びリフレクタ7050を有する。リフレクタ7050は、フローチャンバ7010の内部が見えるように、透明な材料で作ることができることに留意されたい。超音波トランスデューサは、フローチャンバの第1の壁の近くにある。リフレクタは、フローチャンバの第2の壁に近接しているか、又は、フローチャンバの第2の壁を構成することができる。冷却ユニット7060は、超音波トランスデューサ7020とフローチャンバ7010との間に配置されている。冷却ユニット7060は、超音波トランスデューサ7020に熱的に結合されている。この図では、冷却ユニットは熱電発電機の形態をしており、ゼーベック効果を利用して熱流束(つまり温度差)を電気エネルギに変換し、フローチャンバから熱を取り除く。言い換えれば、音響泳動デバイスを運転させている間、望ましくない廃熱から電気を生成することができる。
【0077】
フローチャンバの様々な流入口及び流出口(例えば、流体の入口、濃縮液の流出口、透過液の流出口、再循環の流出口、ブリード/ハーベストの流出口)は、ここには示されていないことに留意されたい。冷却ユニットは、超音波トランスデューサを冷却するために使用することができ、デバイスを連続的に運転して処理と再循環を長期間繰り返す場合(例えば、灌流)に特に有利である。
【0078】
あるいは、冷却ユニットを使用して、フローチャンバ7010を流れる流体を冷却することもできる。目的とする用途では、細胞培養液は室温(~20°C)付近、最大で約28°Cに維持する必要がある。これは、細胞がより高い温度を経験すると、それらの代謝率が増加するためである。但し、冷却ユニットがないと、細胞培養液の温度が34°Cまで上昇する可能性がある。
【0079】
これらのコンポーネントはモジュール式であり、互いに個別に変更又は切り替えることができる。従って、特定のコンポーネントに新しい修正又は変更が加えられた場合、システムの残りの部分は同じままで、そのコンポーネントを置き換えることができる。
【0080】
目標は、約1リットル(L)~約2Lの容量を有する培養バッグで約100万細胞/mLの密度から始め、このバッグを約25mL~約30mLの容量に濃縮してから、約1時間(又はそれ以下)以内に増殖媒体を洗浄又は交換することである。望ましくは、システムは、ガンマ線を照射されたときに安定している物質で作ることができる。
【0081】
トランスデューサに冷却ユニットを備えることの利点は、図10及び図11に見ることができる。図10は、アクティブ冷却がない場合(例えば、トランスデューサの冷却ユニットがない場合)の音響泳動デバイスの温度プロファイルをグラフで示している。図10に示すように、フィードとコア(例えば、トランスデューサ)との間の温度差は8.6°Cであった。図11は、アクティブ冷却を備えた場合(例えば、トランスデューサ用の冷却ユニットを備えた場合)の音響泳動デバイスの温度プロファイルをグラフで示している。図11に示すように、アクティブ冷却を使用することにより、フィードとコアとの間の温度差は6.1°Cに低下した。
【0082】
図12A及び図12Bは、マイクロキャリアを細胞から濃縮、洗浄、及び分離するための4つのステップ(オプションの第5のステップを伴う)のプロセスを示している。プロセスの第1のステップは、本明細書に記載されているような音響泳動デバイスにおいて、付着した細胞を有するマイクロキャリアを濃縮することを含む。マイクロキャリア及び付着細胞は、バイオリアクタから付着細胞を有するマイクロキャリアを受け取ることにより、音響泳動デバイスに導入することができる。バイオリアクタでは、マイクロキャリアと細胞は第1の媒体(例えば、バイオリアクタ内で細胞を生存可能に保つために使用される成長血清又は防腐剤)に懸濁される。第1の媒体に囲まれた細胞が付着したマイクロキャリアは、音響泳動デバイスで生成された音響定在波によって濃縮される。第2のステップでは、細胞が付着した濃縮マイクロキャリアを第2の媒体で洗浄して、第1の媒体(例えば、バイオリアクタ成長血清又は防腐剤)を除去する。次に、第3のステップは、酵素を含む第3の媒体を音響泳動デバイスに導入して、第2の媒体の酵素作用を介して細胞をマイクロキャリアから分離する。特定の実施形態では、トリプシンは、マイクロキャリアから細胞を酵素的に分離するために使用される酵素である。次に、複数次元音響定在波を使用して、細胞をマイクロキャリアから分離することができる。通常、この分離は、分離された細胞が第3の媒体を通過する間に、マイクロキャリアを複数次元音響定在波にトラップすることによって行われる。但し、必要に応じて、代わりに細胞をトラップすることもできる。最後に、分離された細胞は、必要に応じて、濃縮し、再度洗浄してもよい。
【0083】
マイクロキャリアは、複数次元音響定在波に集中してトラップ/保持された後、合体、塊化、強凝集、弱凝集、及び/又はクラスタ化して臨界サイズになり、その時点でマイクロキャリアは重力沈降の増強により音響定在波から落下する。マイクロキャリアは、音響定在波の下にある音響泳動デバイスのコレクタに落下して、フローチャンバから除去することができる。
【0084】
図13は、音響泳動デバイスにおけるSoloHillマイクロキャリア及びT細胞の存在を、4倍の倍率で示している。画像の一番上の段は、音響泳動前のフィード内のマイクロキャリアと細胞を示している。下の段の画像は、細胞が音響泳動によって分離された後の透過液中のマイクロキャリアと細胞を示している。音響泳動の適用によるマイクロキャリアの数の違いは、デバイス内でマイクロキャリアをトラップし、そこから細胞を分離するためにデバイスを使用することの実現可能性を証明している。この技術の実現可能性とその結果は、図14の画像によってさらに証明される。図14は、左から右へ、濃縮及び1回目、2回目及び3回目の洗浄の後の供給液中(画像の上段)及び透過液(画像の下段)中のマイクロキャリア及び細胞の顕微鏡画像を示している。
【0085】
音響泳動による濃縮、洗浄及び分離のプロセスのテストは、そのプロセスが細胞治療及びマイクロキャリアのアプリケーションに適切であることを示した。濃縮ステップ及び洗浄ステップは、99%を超える効率で実行され、例えばマイクロキャリアから細胞を分離する分離ステップは、98%を超える効率で実行された。
【0086】
図15図17は、自身のバルブを通る流体の流れを制御するソレノイドピンチバルブを備えた使い捨ての音響泳動デバイス2810を含む音響泳動システム/プロセス2800の他の例示的な実施形態を示している。図15の左側を起点として、このシステムは、供給タンク2820、洗浄タンク2830及び吸気口2805を備える。吸気口2805は、吸気バルブ2804を通って延びている。供給ライン2821は、供給タンク2820から延びている。吸気口と供給ライン2821は、Yコネクタによって、供給セレクタバルブ2801に通じる共通の供給ライン2811に一緒に結合されている。洗浄ライン2831は、洗浄タンク2830から延びており、供給セレクタバルブ2801にも通じている。供給セレクタバルブ2801は、一度に1つのラインのみを開くことを可能にする(バルブ2802、2803もこのように動作する)。洗浄ライン2831及び供給ライン2811は、供給セレクタバルブ2801の下流のYコネクタによって、入力ライン2812に一緒に結合されている。入力ライン2812は、ポンプ2806を通過して、供給セレクタバルブ2801の下流で音響泳動デバイス2810の上流にある流入セレクタバルブ2802に通じている。流入セレクタバルブ2802は、供給ポート2602又は洗浄/排出ポート2604のいずれかを介して音響泳動デバイス2810への供給又は洗浄の流入を選択的に制御する。供給ライン2813は、流入セレクタバルブ2802から供給ポート2602まで延びている。洗浄ライン2814は、流入セレクタバルブ2802から共通ライン2815に延びており、洗浄/排出ポート2604に通じている。
【0087】
図15の右側には、流出セレクタバルブ2803が、音響泳動デバイス2810の下流に配置され、そこからの流体の流出を制御する。廃棄ライン2816は、廃棄ポート2608から流出セレクタバルブ2803を通り、続いて廃棄タンク2850まで延びている。共通ライン2815は、ドレンライン2817に通じており、ドレンライン2817は、次に、流出セレクタバルブ2803を通過し、続いて濃縮タンク2840に通じている。これらのタンク2840、2850は、例えば、収集バッグであってもよい。それにより、流出セレクタ2803は、濃縮タンク及び廃棄タンクへの流体の流れを選択的に制御する。
【0088】
濃縮及び廃棄のラインの端部で収集バッグを使用すると、細胞及び細胞物質の濃縮、洗浄、及び/又は分離が起こり得る密閉された一次環境が有利に作成され、細胞/細胞培養/細胞物質が、有害な可能性のある侵入、病原体、又は外部の細胞の影響にさらされるのを防ぐのに役立つ。
【0089】
図15は、システムを通る供給物質の流路も示している。この例示的な実施形態では、供給セレクタバルブ2801は、供給タンク2820からの供給が流れるように、下部が開いた状態(及び上部が閉じた状態)に操作される。流入セレクタバルブ2802は、供給物質が供給ポート2602を介して音響泳動デバイス2810に入るように、上部が開いた状態(及び下部が閉じた状態)に操作される。また、流出セレクタバルブ2803も、供給物質の流体/第1の媒体が廃棄タンク2850に流れるように、上部が開いた状態(及び下部が閉じた状態)に操作される。本明細書で詳細に説明したように、供給物質(例えば、マイクロキャリア又は細胞)中のターゲット粒子は、複数次元音響定在波の作用によって音響泳動デバイス2810にトラップされる。
【0090】
図15に示すシステムは、ポリカーボネートとステンレス鋼で構成される音響要素を備えている。チューブは、細胞処理に滅菌溶着の供給バッグを使用できる1/8インチのPVC薄肉チューブである。使い捨てのパルスレスポンプヘッドNaoStedi2×2.5mLが使用される。チューブ、音響要素及びポンプは二重袋に入れられ、ガンマ線が照射される。このシステムは、プライミング、再循環、濃縮、媒体交換、洗浄、及び/又は収集を含むプロセスを可能にする。例示のシステムは、最大3Lの供給で動作し、総細胞容量は約40億細胞であり、最終的な濃縮液量は約6mL~約50mLであるが、他の実装例ではシステムのパラメータ範囲を大きくしたり小さくしたりできる。
【0091】
図16は、システムを通る洗浄物質の流路を示している。供給セレクタバルブ2801は、洗浄タンク2830から洗浄物質が流れるように、上部が開いた状態(及び下部が閉じた状態)に操作される。流入セレクタバルブ2802は、下部が開いた状態(及び上部が閉じた状態)に操作され、流出セレクタバルブ2803は、上部が開いた状態(及び下部が閉じた状態)に操作される。結果として、洗浄物質は、洗浄液の流入口として作動する洗浄/排出ポート2604を介して音響泳動デバイス2810に入る。閉じた状態の流出セレクタバルブ2803は、洗浄物質が濃縮タンク2840に入ることを防ぐことに注目されたい。次に、洗浄物質は、音響泳動デバイス2810を通過し、第1の媒体(例えば、バイオリアクタ血清又は防腐剤)を除去することができる。次に、洗浄物質は、廃棄ポート2608を介して流れ出て、廃棄タンク2850に流れる。ターゲット粒子は、音響泳動デバイス2810にトラップされたままである。
【0092】
図17は、システムの排出(例えば、ターゲット粒子の収集)を示している。吸気バルブ2804が開いている。供給セレクタバルブ2801は、下部が開いた状態(及び上部が閉じた状態)に操作され、流入セレクタバルブ2802は、上部が開いた状態(及び下部が閉じた状態)に操作されるため、空気は、供給ポート2602を介して音響泳動デバイス2810に入る。空気は、一般に、音響泳動デバイス2810からターゲット粒子のクラスタを取り除くのを助ける。流出セレクタバルブ2803は、下部が開いた状態(及び上部が閉じた状態)に操作される。ターゲット粒子は、洗浄/排出ポート2604から共通ライン2815を通って、ドレンライン2817を通り、続いて濃縮タンク2840に流れる。
【0093】
細胞培養液の濃縮と洗浄は、工業用の生物学的製品の製造に有益である。本開示のシステムは、より大きなボリュームを処理するために継続的に改善及びスケールアップすることができる。
【0094】
いくつかの例では、本開示の音響泳動デバイスは、約25mL~約75mLの範囲の濃縮液量を有してもよい。デバイスは、約40億~約400億の細胞、又は、約40億~約80億の細胞、又は、約200億~約400億の細胞、又は、約160億~約350億の細胞、の総細胞容量を有してもよい。音響泳動デバイスに出入りする流体は、約1億6000万細胞/mL~約6億7000万細胞/mL、又は、約1億6000万細胞/mL~約3億2000万細胞/mL、又は、約2億6000万細胞/mL~約5億3500万細胞/mL、又は、約3億500万細胞/mL~約6億7000万細胞/mL、又は、約50万細胞/mL~約500万細胞/mL、の細胞密度を有してもよい。
【0095】
以下の実施例は、本開示のデバイス及びプロセスを説明するために提供される。実施例は単に例示的なものであり、そこに記載されている物質、条件又はプロセスパラメータに開示を限定することを意図するものではない。
〔実施例〕
【0096】
ジャーカット(Jurkat)T細胞を濃縮する本開示の音響泳動システムの能力を試験した。ジャーカットT細胞の直径は11マイクロメートル(μm)から14μmである。音響泳動デバイスを使用し、ベックマン・コールターのVi-CELL Xをさまざまな試験条件で使用して細胞密度低減を測定した。
【0097】
第1のトライアルAでは、T細胞を濃縮し、透過液の細胞密度を測定した。点線は供給細胞密度を示している。望ましくは、透過液中の細胞密度は可能な限り低く、細胞が濃縮物中に保持されていることを示している。図18のグラフは、経時的なトライアルAの結果を示している。結果は、透過液中の細胞密度が0.0~20万細胞/mLと非常に低く、ほとんどの細胞が濃縮液中にあることを示している。結果は、80%から99%までの間の高い透過低減率も示している。
【0098】
第2のトライアルBでは、T細胞を濃縮し、透過液の細胞密度を測定した。点線は供給細胞密度を示している。図19は、経時的な結果を示している。結果は良好な性能を示しており、透過細胞密度は1分後に10万細胞/mL未満であり、2分後には95%以上の透過低減が見られる。
【0099】
第3のトライアルCでは、T細胞を濃縮して洗浄した。濃縮は最初の18分間行われ、その後、洗浄が行われた。図20は、経時的な結果を示している。点線は供給細胞密度を示している。縦の実線は、集中システムボリュームがいつ処理されたかを示している(合計3つのボリュームが処理された)。このグラフには、(透過液だけでなく)濃縮物と透過液に関するデータが含まれていることに注意されたい。濃縮から得られたすべての細胞は、洗浄を通して維持され、例えば、濃縮された細胞は、洗浄プロセスの追加によって失われなかった。下記の表1は、これら3つのトライアルに関する追加情報を示している。ジャーカットT細胞では90%を超える保持率と回復率が得られた。
【表1】
【0100】
濃縮された細胞を完全に洗浄するために使用された液体の量を追跡した。液体の量の追跡は、例えば、細胞培養液のトランスダクション又はトランスフェクションの前に細胞培養液からエレクトロポレーション緩衝液を除去するなどの用途で有用である。
【0101】
表2は、低生存細胞密度(「1LE」、1~5×10/mL(1~5E6mL-1))の音響濃縮洗浄(ACW)の液量低減に対する入力、出力、及びパフォーマンスの実験値を示している。図21は、1LE処理後のT細胞の最初の培養液の生存細胞密度(VCD)と生存率を示している。各1LE実験の細胞を、1×10/mL(1E6mL-1)、37°C、5%のCO2で2回、再播種(re-seed)し、24時間後にカウントした。
【表2】
【0102】
すべてのテストは仕様に従って実行され、1時間以内に5~7mLの濃縮液量が得られた。処理された液量は約1100mlで、細胞密度は1.8~2.5×10/ml(1.8~2.5E6ml-1)であった。処理された細胞の総数は19億~28億(1.9~2.8B)細胞の範囲であり、細胞生存率は99%を超えていた。濃縮後、収集した細胞濃縮液量は5.8~6.9mlで変化し、細胞密度は243~357×10/ml(243~357E6ml-1)であった。これは、細胞生存率の顕著な低下がなく、14億~21億(1.4~2.1B)の細胞の回収を表している。従って、生存細胞の回収率は73~84%であり、これは、160乃至187の液量低減係数、及び135乃至143の範囲の細胞密度濃縮係数を構成する。処理時間は約50分であった。
【0103】
表3は、高生存細胞密度(「1LH」、10~40×10/mL(10~40E6mL-1))のACWの液量低減に対する入力、出力及びパフォーマンスの実験値を示している。図22は、30mL/分の流量率で高細胞密度1LHの要素を使用した生存細胞回収率(VCR)に対するパワーの影響を示している。
【表3】
【0104】
処理された液量は約950mlで、生存細胞密度は31×10/ml(31E6ml-1)から39×10/ml(39E6ml-1)までで、細胞生存率が98%を超える290億~380億(29~38B)細胞の細胞数の範囲に対応する。細胞濃縮液量は平均49mlであった。処理時間は31~36分であった。
【0105】
5W(ワット)のテストでは、62%という低い細胞回収率が得られた。8Wに増やすと、パフォーマンスが目的の範囲(78~86%の細胞回収率)に向上したが、10Wに増やすと、細胞回収率(83%)は向上しなかった。明確な結論を出すには、各パワーレベルでさらに再現が必要であるが、これらの結果は、80%以上のVCRを有するには8Wを超えるパワーが必要であることを示唆している。液量低減係数は約19であり、細胞濃縮係数は12(5W)から17(8W)の範囲であった。1LH実験中に得られた最終細胞濃度の470~590×10/mL(470~590E6mL-1)は、浮遊細胞株のデッドエンド遠心分離プロセスのペレット濃度(200~600×10/mL(200~600E6mL-1))に匹敵する。
【0106】
図23は、2つの典型的な音響定在波フィールドと、低細胞濃度濃縮/洗浄用途(1LE)及び高細胞密度濃縮/洗浄用途(1LH)のプロセスフロー図を示している。各シナリオで、圧電トランスデューサは右側にあり、そのマルチモーダル変位パターンの1つで励振される。1LHの場合はフラット平面リフレクタが使用され、1LEの場合はファセットリフレクタが使用される。トランスデューサのマルチモードと組み合わされたフラット平面リフレクタは、複数次元定在波を設定し、強い横方向の振幅勾配を持つ3つの平行な定在波を生成する。音響放射力は、音圧振幅の勾配に比例する。従って、このセットアップには、細胞をトラップするのに十分なトラッピングポテンシャルがあるが、十分なサイズの細胞クラスタを生成して、これらの細胞クラスタの継続的な重力沈降をもたらす。これは、図24の右側に概略的に示されている。細胞のこの連続的な分離は、高細胞密度の細胞培養液の濃縮/洗浄単位の運転を実行する場合、例えば、細胞が音響定在波フィールドから除去される場合に有用である。一方、小細胞密度の細胞培養液の場合、処理される細胞の総数は、すべての細胞が音響定在波にトラップされて保持されるような数である。従って、目標は定在波フィールドのトラッピングポテンシャルを最大化することである。この目標は、ファセットリフレクタを使用することで達成できる。図25の左側の1LEを参照すると、これらのファセットは、音響波を反射及び散乱し、細胞がトラップされる場所で、より多くのより強力な音響放射ポテンシャル井戸を生成し、音響フィールドがアクティブである間、又は、音響フィールドがオフになるまで、安定しない小さなクラスタを形成する。
【0107】
低細胞濃度のための複数次元音響濃縮洗浄(ACW)が図23及び図24(左側のデバイス、1LE、1~5×10細胞/mL(1~5E6細胞mL-1)に示されており、高細胞濃度のための複数次元音響濃縮洗浄が同図(右側のデバイス、1LH、>10×10細胞/mL(10E6細胞mL-1))に示されている。設計の断面図は、1LE及び1LHのデバイスで確立された音響圧力フィールド、トランスデューサの変位プロファイル、及び細胞分離を実現するためのトラッピングとクラスタ形成の原理を表している。デバイスには、下部にコレクタドレインを備えている(図示せず)。
【0108】
濃縮/洗浄単位の運転の起動時に、再循環を使用して定在波の初期クラスタを生成する。例えば、クラスタの播種(seeding)を実行する。初期クラスタが形成されると、二次音響放射力によりトラップ効率が向上し、それによって、より大きなクラスタは、入ってくる細胞に引力を及ぼす。
【0109】
図25は、ACWデバイスにおけるT細胞濃縮プロセスの様々な段階:(a)音響フィールドにおけるT細胞のトラップ及びコレクタにおけるT細胞の沈降、(b)音響フィールドがオフにされた後のT細胞クラスタの沈降、(c)コレクタからのT細胞の最初の排出、(d)コレクタからのT細胞の排出の最終段階、の写真を示している。生存細胞回収率(VCR(%))は、供給に対する濃縮物に存在する生存細胞のバランスに従って計算される(下記の導出を参照)。これらの実験の焦点は濃度効率を実証することであったため、これらの試験では洗浄残留物は計算されなかった。
【数1】
【0110】
1LEの用途では、T細胞の最初の培養液と固定プロセスパラメータを使用して、3回(1LE-1、-2、-3として指定された実験)実行された。無菌環境で濃縮を行うために、音響要素が組み立てられ、二重袋に入れられ、ガンマ線が照射された。プロセスパラメータは、30mL/min(~2L/hr)の公称流量率と、チャンネルあたり2.24MHz/40Wの音響駆動条件であった。1LEシステムの効率は、音響定在波を生成した細胞の数によって向上するため、濃縮ステップの前に再循環期間が必要である。廃棄物を供給に再循環させることで、細胞がシステムに入り、音響によって保持され、最初の保持されていない細胞を廃棄物の流れに失うことなく、徐々に効率が向上する。ジャーカットT細胞を使用した以前のテストに基づいて、再循環モードの時間は15分に選択された。これは、この細胞密度範囲の供給に対して、システムがその時点で約80%効率的だからである。図26は、2×10/mL(2E6ml-1)のオーダーの初期細胞濃度での3回の1LE実験(30mL/分)の時間に対する廃棄VCD(×10/mL(E6ml-1))の関係を示し、3D音響定在波を取り込むための15分の再循環期間の有用性を示している(1LE-3などのより高い細胞密度で、同じ流量率の場合、音響定在波はより速く生成される)。
【0111】
1LH ACWは、生存細胞の回収への影響を評価するために、異なるパワーで運転された。30mL/min(~2L/hr)の固定流量率を使用して、入力供給仕様で4つのテストを実行した。第1のテストは、5Wのパワーレベルで実行された。第2と第3のテストは8Wで実行され、第4のテストではパワーを10Wに増加した。第4のテストの廃棄物は、2段階のACW(つまり、直列の2つの音響要素)の動作をシミュレートするために、同じ要素を介して再処理された。より高い供給細胞密度では、トランスデューサのパワーが大幅に低減される。つまり、1LHの場合は5~10W、1LEの場合は40Wであるため、システムを冷却する必要がない。
【0112】
図27は、T細胞濃縮及び洗浄システム500での操作のプロセスフロー図を示している。濃縮及び洗浄操作の一般的な処理時間は、60~90分の範囲である。音響濃縮洗浄(ACW)装置510は、細胞生成物530及び洗浄緩衝液520の入力を有する。洗浄緩衝液520は、約300mLから約600mLまでの範囲の液量を有してもよい。細胞生成物530は、2Lの液量の400億個の細胞で構成されてもよい。ACWデバイス510は、生成物540及び廃棄物550の出力を有する。生成物540は、約5から約100mLの範囲の液量を有してもよい。廃棄物550は、浮遊細胞、細胞破片及び緩衝液から構成されてもよい。
【0113】
ACWデバイス510の運転は、図27に示すようなプロトコルで実施される。運転は、細胞生成物530をACWデバイス510の内部音響チャンバに流すことなどによって、ACWデバイス510がプライミングされることから始まる。細胞生成物530中の細胞物質は、プライミング段階中に音響チャンバ内に蓄積する傾向があり、ACWデバイス510がより高い効率で動作することを可能にする。ACWデバイス510の出力は、入力(図示せず)に再循環させることができる。従って、細胞が音響チャンバ内の音響波にトラップされ、トラップ効率が向上するにつれて、ACWデバイス510がプライミングされている間に細胞の内容物を失わないように、音響チャンバを通過する細胞を入力に戻すことができる。
【0114】
ACWデバイス510がプライミングされると、再循環経路が閉じられ、追加の細胞生成物530が音響チャンバに流される。細胞生成物530がプライミングされた音響チャンバに流入すると、追加の細胞が音響波にトラップされ、一方、媒体は音響チャンバから廃棄物550に流出する。
【0115】
すべての細胞が音響チャンバの音響波に集められると、洗浄緩衝液520が音響チャンバに流れ込み、これにより、音響チャンバ内の前の媒体が洗い流され、廃棄物550に送られる。その時点で、細胞は洗浄及び濃縮され、音響チャンバから取り出されて生成物540に提供され得る。
【0116】
図28は、処理された数十億の細胞に対する生存可能な細胞の回収率を示すバブルグラフである。処理された生存細胞の合計がx軸にプロットされ、対応する生存細胞の回収率がy軸にプロットされる。バブルグラフのバブルのサイズは、約0.75~約2Lの範囲の処理液量を表している。バブルグラフの結果は、処理時間が60~90分のジャーカットT細胞を使用した濃縮洗浄操作の結果である。1Lの媒体で10億個の細胞が処理され、92+/-3%の生存細胞回収率が得られ、出力液量は5~6mLであった。
【0117】
図29A、29B、29C、29D、29Eは、図27及び図28に示されるような音響濃縮洗浄操作のプロセスマップを示している。プロセスマップは、音響パワー、流量率、細胞収集サイクル数、細胞数、細胞濃度の操作パラメータをグラフ化したものである。図30は、洗浄緩衝液のチャンバ容量の関数として、透過液中の総タンパク質濃度の低減を示すグラフである。5つのチャンバ容量が細胞を通過した後、最終的な総タンパク質含有量は99%低減している。
【0118】
図31は、バイオリアクタ610内の細胞凝集体から単細胞を除去するためのACWデバイス500のアプリケーションを示している。ヒト多能性幹細胞(hPSCs)は、バイオリアクタ610内で凝集する可能性があり、このプロセスはやや非効率的かもしれない。このようなプロセスは、hPSC凝集体の成長及び分化並びに最終生成物の品質に影響を与える可能性のある単細胞の集団の生成につながる可能性がある。ACWデバイス500を使用して、バイオリアクタ内に細胞凝集体を保持しながら、そのような単細胞を除去することができる。このアプリケーションでは、凝集体と単細胞がACWデバイス500に提供され、ACWデバイス500の音響チャンバ内の音響定在波に大きな凝集体がトラップされる。より小さな単細胞は、音響波を通過し、音響チャンバを出て廃棄物620に送られる。より大きな凝集体は、音響波に集められ、バイオリアクタ610に戻すことができる。時間の経過とともに、凝集体が維持されながら単細胞がバイオリアクタ610から除去され、それにより、凝集体が濃縮され、バイオリアクタ610内の単細胞が枯渇する。
【0119】
図32は、hPSC保持率と音響パワーとの関係を示すグラフである。グラフでは、音響パワーは約5Wから約30Wの間で変化されている。グラフに示されているように、最大の凝集体保持率は30Wで発生した。保持された凝集体の検査は、それらの形態がACWデバイス500での処理中に変化しなかったことを示している。
【0120】
図33は、バイオリアクタ内の凝集体の集団からの単細胞の除去を示す棒グラフである。2LのバイオリアクタをACWデバイス500に接続し、30W及び毎分60mLで稼働させ、凝集体を5分ごとにバイオリアクタに戻した。棒グラフは、バイオリアクタの内容物がACWデバイス500を介して処理されたときに、バイオリアクタに保持される凝集体の割合が増加することを示している。保持された凝集体の検査は、音響処理後の初期形態が同じままであることを示した。総回収率は85%であった。
【0121】
図34は、音響濃縮洗浄処理の2つのグラフを示しており、1つは細胞増殖と処理時間との関係をグラフ化したものであり(左側)、もう1つは音響濃縮洗浄処理後のT細胞集団の変化をグラフ化したものである。音響濃縮洗浄デバイスで処理されたヒトCAR-T細胞の初期培養液は、通常の増殖速度(30時間の倍加時間)で増殖する。細胞の生存率は高レベルに維持され、灌流されたXuriバイオリアクタ培養液で30倍の増殖を実現できる(左のグラフ)。右のグラフは、音響濃縮洗浄デバイスで処理する前後におけるT細胞の生存率及び表現型のn=2ドナー比較を示している。音響濃縮洗浄デバイスによる処理の後、細胞表面マーカーの発現に有意な変化は観察されていない。
【0122】
図35は、典型的なT細胞表面マーカーを示す代表的なフローサイトメトリープロットを示しており、その発現は、音響濃縮洗浄処理後も変化しないままである。この処理により、90%の平均細胞回収率と99%のタンパク質洗浄が可能になり、入力液量は1~2L、出力液量は5~120mLになる。100~500M/mLの出力VCDは、1~40M/mLの入力VCDで得られる。生存率の低下は観察されず、T細胞の割合は変化せず、CD8/CD4の比率は変化しなかった。
【0123】
図36は、プロセスのいくつかのポイントで本開示の濃縮洗浄デバイスを使用するエンドツーエンドの細胞治療生産プロセスを示している。濃縮洗浄デバイスを使用して、元の血液製剤中の顆粒球、赤血球、血小板を減らすことができる。親和性細胞の選択に続いて、濃縮洗浄デバイスを使用して、得られたT細胞を収集及び洗浄することができる。T細胞の活性化に続いて、トランスダクション/トランスフェクションステップの前に、T細胞を再び濃縮及び洗浄することができる。濃縮洗浄デバイスは、トランスダクション/トランスフェクションステップの後、細胞増殖の前に使用してもよい。細胞増殖後、濃縮洗浄デバイスを使用して、増殖したCAR-T細胞を収集及び洗浄することができる。汚染細胞の除去又は所望細胞の選択を行う親和性細胞の選択ステップに続いて、別の濃縮洗浄プロセスを使用することができる。
【0124】
上記の方法、システム、及びデバイスは例である。様々な構成では、必要に応じて、いろいろな手順又はコンポーネントを省略、置換、又は追加してもよい。例えば、代替構成では、これらの方法は、記載されている順序とは異なる順序で実行してもよく、いろいろなステップを追加、省略、又は組み合わせてもよい。また、特定の構成に関して説明された機能は、他の様々な構成で組み合わせてもよい。構成の異なる態様及び要素は、同様の方法で組み合わせてもよい。また、技術は進化しているため、要素の多くは例であり、開示又はクレームの範囲を制限するものではない。
【0125】
構成例(実装を含む)を完全に理解できるように、具体的な詳細が説明に記載されている。ただし、構成はこれらの具体的な詳細なしで実行されてもよい。例えば、よく知られているプロセス、構造、及び手法は、構成が不明瞭になるのを避けるために、不必要な詳細なしで示されている。この説明は、構成例のみを提供し、特許請求の範囲、適用可能性、又は構成を制限するものではない。むしろ、構成の前述の説明は、説明された技法を実装するための説明を提供する。本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、要素の機能及び配置に様々な変更を加えることができる。
【0126】
また、構成は、フロー図又はブロック図として示されるプロセスとして説明されてもよい。それぞれが操作を順次プロセスとして説明してもよいが、操作の多くは並行して実行することも、同時に実行することもできる。また、操作の順序を変更してもよい。プロセスには、図に含まれていない追加のステージ又は機能が含まれてもよい。
【0127】
いくつかの例示的な構成を説明したが、本開示の精神から逸脱することなく、様々な修正、代替構造、及び同等物を使用してもよい。例えば、上記の要素は、より大きなシステムのコンポーネントであってもよく、他の構造又はプロセスが、本発明の適用よりも優先されるか、さもなければ修正されてもよい。また、上記の要素が考慮される前、最中、又は後に、多くの操作が行われてもよい。従って、上記の説明は、特許請求の範囲を拘束するものではない。
【0128】
値が第1の閾値を超える(又は、上回る)という記述は、その値が第1の閾値よりわずかに大きい第2の閾値を満たすか又は超えるという記述と同等であり、例えば、関連するシステムの分解能において第2の閾値が第1の閾値よりも1つ高い値であるという記述と同等である。値が第1の閾値よりも小さい(又は、その範囲内にある)という記述は、その値が第1の閾値よりわずかに小さい第2の閾値以下であるという記述と同等であり、例えば、関連するシステムの分解能において第2の閾値が第1の閾値より1つ低い値であるという記述と同等である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29A
図29B
図29C
図29D
図29E
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
【手続補正書】
【提出日】2021-09-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子を洗浄する方法であって、
第1の媒体と粒子との初期混合物の初期の粒子密度及び体積を取得することと、
前記初期混合物の前記初期の粒子密度及び体積に基づいて、音響泳動デバイスを使用する音響濃縮洗浄プロセスのパラメータを設定することと、
前記初期混合物を、圧電材料を含む少なくとも1つの超音波トランスデューサを含む前記音響泳動デバイスのチャンバに提供することと、
前記粒子の少なくとも一部が、音響波によって少なくとも部分的に生成された音響フィールド内に保持されるように、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサを駆動して前記チャンバ内に前記音響波を生成することと、
前記パラメータに従って前記音響泳動デバイスを運転することと、を含む方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、
生体適合性洗浄液又は緩衝液である第2の媒体を前記チャンバに供給すること、を更に含む方法。
【請求項3】
請求項1の方法において、
前記粒子は、細胞である方法。
【請求項4】
請求項1の方法において、
前記粒子は、マイクロキャリア/細胞複合体である方法。
【請求項5】
請求項1の方法において、
前記初期混合物は、約50万粒子/mLから約500万粒子/mLまでの密度を有する方法。
【請求項6】
請求項1の方法において、
前記初期混合物中の粒子を濃縮すること、を更に含む方法。
【請求項7】
請求項の方法において、
前記粒子を、前記初期混合物の体積の約25分の1から約50分の1までの濃縮容積に濃縮すること、を更に含む方法。
【請求項8】
請求項7の方法において、
前記初期混合物中の粒子を、前記初期混合物の粒子密度の約25倍から約50倍までの高く濃縮された粒子密度に濃縮すること、を更に含む方法。
【請求項9】
請求項1の方法において、
記チャンバの洗浄出力物の細胞密度は、約0.0細胞/mLから約50万細胞/mLまでである方法。
【請求項10】
請求項の方法において、
前記洗浄出力物は、濃縮プロセス及び洗浄プロセスからの洗浄出力物である方法。
【請求項11】
請求項1の方法において、
洗浄効果を決定するために前記チャンバ上で分光光度計プロセスを実施すること、を更に含む方法。
【請求項12】
細胞培養液から細胞を回収する方法であって、
第1の媒体と粒子との初期混合物の初期の粒子密度及び体積を取得することと、
前記初期混合物の前記初期の粒子密度及び体積に基づいて、音響泳動デバイスを使用する音響濃縮洗浄プロセスのパラメータを設定することと、
前記細胞培養液の初期混合物を、フローチャンバ内で複数次元音響波を生成するように駆動されるように構成された圧電材料を含む少なくとも1つの超音波トランスデューサを含む音響泳動デバイスのフローチャンバに供給することと、
前記フローチャンバ内で複数次元音響波を生成するために前記少なくとも1つの超音波トランスデューサを駆動することと、
前記細胞を濃縮させるために前記複数次元音響波によって少なくとも部分的に生成された音響フィールド内の前記初期混合物から前記細胞を保持することと、
前記パラメータに従って前記音響泳動デバイスを操作することと、を含む方法。
【請求項13】
請求項12の方法において、
前記濃縮された細胞の細胞密度が、前記初期混合物の細胞密度よりも約25倍から約50倍大きい方法。
【請求項14】
請求項12の方法において、
前記濃縮された細胞の体積が、前記初期混合物の体積の25分の1から約50分の1である方法。
【請求項15】
請求項12の方法において、
前記濃縮された細胞が約35分以内に得られる方法。
【請求項16】
請求項12の方法において、
前記フローチャンバの洗浄出力物の細胞密度が約0.0細胞/mLから約50万細胞/mLである、前記濃縮された細胞を洗浄すること、を更に含む方法。
【請求項17】
濃縮洗浄システムであって、
ポンプと、
複数のバルブと、
フローチャンバと、
前記フローチャンバに結合され、複数次元音響波を生成するように駆動されるように適合された圧電材料を含む少なくとも1つの超音波トランスデューサと、
前記ポンプ、前記複数のバルブ、及び前記少なくとも1つの超音波トランスデューサを制御するためのコントローラであり、音響パワー、流量率、細胞収集サイクル数、細胞数又は細胞濃縮の1つ以上を含むパラメータで構成可能なコントローラと、を含む濃縮洗浄システム。
【請求項18】
請求項17の濃縮洗浄システムであって、
前記フローチャンバは、約25mLから約75mLまでの体積を有する濃縮洗浄システム
【請求項19】
請求項18の濃縮洗浄システムであって、
前記フローチャンバは、約40億細胞から約400億細胞までの細胞容量を含むことができる、濃縮洗浄システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
音響泳動デバイスの濃縮効率は、より高い細胞密度で再度テストされた。5×10 細胞/mLの細胞密度を有するT細胞懸濁液を使用した。1000mLの供給液量を、10~15mL/分の流量率で使用した。結果は図8にグラフで示されている。このデバイスは、1時間にわたるテストで、10倍を超える濃縮係数、90%の細胞回収率、77%のウォッシュアウト効率を示した。10°Cの温度上昇が再び観察された。
【国際調査報告】