(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-11
(54)【発明の名称】ガラス製造装置および方法
(51)【国際特許分類】
C03B 13/18 20060101AFI20220304BHJP
C03B 13/04 20060101ALI20220304BHJP
C03B 17/06 20060101ALI20220304BHJP
B23K 26/402 20140101ALI20220304BHJP
【FI】
C03B13/18
C03B13/04
C03B17/06
B23K26/402
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541290
(86)(22)【出願日】2020-01-09
(85)【翻訳文提出日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 US2020012837
(87)【国際公開番号】W WO2020150064
(87)【国際公開日】2020-07-23
(32)【優先日】2019-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】フレドホルム,アラン マーク
(72)【発明者】
【氏名】ジャンソン,ロマン
(72)【発明者】
【氏名】ライアン,ニコラス スコット
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD18
4E168CB03
4E168CB07
4E168FC01
(57)【要約】
ガラス製造装置は、ロールの外周表面と交差するレーザ経路を規定するレーザ装置を備えることができる。いくつかの実施の形態において、ガラス製造装置のロールを洗浄する方法は、ロール上に形成された表面材料上の標的位置にレーザビームを照射する工程、およびロールの外周表面のある区域から表面材料の少なくとも一部をレーザビームで除去しながら、ロールと標的位置との間に相対運動を生じる工程を含み得る。いくつかの実施の形態において、ガラスリボンを製造する方法は、第1と第2の回転ロールの間に画成された間隙にガラス形成材料を通過させる工程、および第1のロールの外周表面のある区域から表面材料を第1のレーザビームで除去する工程を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス製造装置において、
第1の回転軸の周りに回転可能な第1のロール、
第2の回転軸の周りに回転可能な第2のロール、および
第1の標的位置で前記第1のロールの外周表面と交差する第1のレーザ経路を規定するレーザ装置、
を備えたガラス製造装置。
【請求項2】
前記第1のロールの外周表面は、約0.02マイクロメートルから約15マイクロメートルのRa表面粗さを有する、請求項1記載のガラス製造装置。
【請求項3】
前記第1のロールの外周表面上に表面材料が形成される、請求項1または2記載のガラス製造装置。
【請求項4】
前記レーザ装置が、第2の標的位置で前記第2のロールの外周表面と交差する第2のレーザ経路を含む、請求項1から3いずれか1項記載のガラス製造装置。
【請求項5】
前記レーザ装置が、前記第2の回転軸の方向に沿って前記第2の標的位置を動かすように構成されている、請求項4記載のガラス製造装置。
【請求項6】
前記第1のロールおよび前記第2のロールが、ガラス形成材料を、該ガラス形成材料のリボンの全幅に亘り所定の厚さにするように構成されている、請求項1から5いずれか1項記載のガラス製造装置。
【請求項7】
前記第1のロールと前記第2のロールとの間に画成された間隙中に溶融したガラス形成材料を供給するように位置付けられた溶融したガラス形成材料の供給源をさらに備える、請求項6記載のガラス製造装置。
【請求項8】
ガラス製造装置のロールを洗浄する方法であって、該ロールが、外周表面および該外周表面のある区域上に形成された表面材料を含み、
前記表面材料上の標的位置にレーザビームを照射する工程、および
前記ロールの外周表面の前記区域から前記表面材料の一部を前記レーザビームで除去しながら、該ロールと前記標的位置との間で相対運動を生じる工程、
を有してなる方法。
【請求項9】
前記ロールの外周表面の前記区域が、約0.02マイクロメートルから約15マイクロメートルのRa表面粗さを有する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記相対運動が、前記ロールの回転軸の周りに該ロールを回転させることを含む、請求項8または9記載の方法。
【請求項11】
前記相対運動が、前記ロールの回転軸の方向に沿って前記標的位置を動かすことをさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
ガラスリボンを製造する方法において、
第1の回転軸の周りに回転する第1のロールと、第2の回転軸の周りに回転する第2のロールとの間に画成された間隙にガラス形成材料を通過させる工程であって、該第1のロールの外周表面のある区域上に表面材料が形成される工程、
前記表面材料上の第1の標的位置に第1のレーザビームを照射する工程、および
前記間隙に追加のガラス形成材料を通過させつつ、前記第1のロールの外周表面の前記区域から前記表面材料を前記第1のレーザビームで除去する工程、
を有してなる方法。
【請求項13】
前記表面材料を除去する工程が、前記第1のロールの前記第1の回転軸の方向に沿って前記第1の標的位置を動かす工程をさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記第2のロールの外周表面のある区域上に表面材料が形成され、前記方法が、該第2のロールの外周表面の該区域上に形成された該表面材料上の第2の標的位置に第2のレーザビームを照射する工程、および前記間隙に前記追加のガラス形成材料を通過させつつ、該第2のロールの外周表面の該区域から該表面材料を該第2のレーザビームで除去する工程をさらに含む、請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
前記第2のロールの外周表面の前記区域から表面材料を除去する工程が、該第2のロールの前記第2の回転軸の方向に沿って前記第2の標的位置を動かす工程をさらに含む、請求項14記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2019年1月17日に出願された米国仮特許出願第62/793453号の米国法典第35編第119条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、広く、ガラス製造装置および方法に関し、より詳しくは、ガラス製造装置およびそのガラス製造装置のロールから表面材料を除去する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一対の回転ロールの間の間隙にガラス形成材料を通過させることによって、ガラスリボンを製造できることが公知である。そのリボンの製造中、表面材料がロールの外周表面上に形成することがある。例えば、その表面材料は、高温への暴露に起因する、ロールの表面上の金属酸化物層を含み得る。それに加え、またはそれに代えて、形成された表面材料は、ロールの表面上にガラス形成材料の堆積物(例えば、凝集または接着粒子)も含み得る。その表面材料は、時間の経過とともに蓄積し、最終的に、ロールの性能に著しく影響し得る。例えば、元の所定の表面粗さ、ロールの放射率または伝熱特性が変わり、それによって、ロールの伝熱特性が変わることがある。形成された表面材料によりロールの伝熱特性が変わると、一対のロールの間の間隙を通過するガラス形成材料に温度差が生じ、これにより、結果として得られるガラスリボンの性質に悪影響を及ぼし得る表面欠陥(例えば、表面亀裂または他の光学的表面欠陥)が生じ得る。
【0004】
ガラス製造装置からロールを取り外し、そのロールをグリットブラストして、ロールから表面材料を除去し、ロールに新たな表面粗さを与えることが公知である。しかしながら、そのようなグリットブラストは、時々、ロールに損傷を与え、ロールの外層をわずかに除去し、それによって、ロールの外径を変えることもある。そのような欠点は、巻き付けられたリボンの厚さが厳しい許容範囲内にあることが望ましい精密圧延用途において許容され得ない。さらに、ガラス製造装置からロールを取り外すことは、リボンの形成を中断し、したがって、ある期間で形成できるリボンの量に影響し得る。
【発明の概要】
【0005】
以下は、詳細な説明に記載されるいくつかの実施の形態の基本的な理解を与えるための本開示の簡単な概要を提示する。
【0006】
いくつかの実施の形態において、ロールの外周表面から表面材料を除去するために、レーザビームを使用することができる。レーザビームを使用して、ロールの外周表面に損傷を与えずに、ロールの外周表面から表面材料を除去することができる。さらなる実施の形態において、そのレーザビームは、リボンの製造中にロールの外周表面から表面材料を除去し、それによって、ロールがリボンを形成している間にロールを洗浄できることによって、生産性を増すことができる。
【0007】
いくつかの実施の形態において、ガラス製造装置は、第1の回転軸の周りに回転可能な第1のロール、第2の回転軸の周りに回転可能な第2のロール、および第1の標的位置で第1のロールの外周表面と交差する第1のレーザ経路を規定するレーザ装置を備えることができる。
【0008】
いくつかの実施の形態において、第1のロールの外周表面は、約0.02マイクロメートルから約15マイクロメートルのRa表面粗さを有し得る。
【0009】
いくつかの実施の形態において、第1のロールの外周表面上に表面材料が形成され得る。
【0010】
いくつかの実施の形態において、レーザ装置は、第2の標的位置で第2のロールの外周表面と交差する第2のレーザ経路を含み得る。
【0011】
いくつかの実施の形態において、第2のロールの外周表面は、約0.02マイクロメートルから約15マイクロメートルのRa表面粗さを有し得る。
【0012】
いくつかの実施の形態において、第2のロールの外周表面上に表面材料が形成され得る。
【0013】
いくつかの実施の形態において、レーザ装置は、第2の回転軸の方向に沿って第2の標的位置を動かすように構成することができる。
【0014】
いくつかの実施の形態において、レーザ装置は、第1の回転軸の方向に沿って第1の標的位置を動かすように構成することができる。
【0015】
いくつかの実施の形態において、第1のロールおよび第2のロールは、材料を、ガラス形成材料のリボンの全幅に亘り所定の厚さにするように構成されることがある。
【0016】
いくつかの実施の形態において、ガラス製造装置は、第1のロールと第2のロールとの間に画成された間隙中に溶融したガラス形成材料を供給するように位置付けられた溶融したガラス形成材料の供給源をさらに備えることができる。
【0017】
いくつかの実施の形態において、ガラス製造装置のロールを洗浄する方法であって、そのロールが、外周表面およびその外周表面のある区域上に形成された表面材料を含み得る、方法が提供される。この方法は、その表面材料上の標的位置にレーザビームを照射する工程を含み得る。この方法は、ロールの外周表面のある区域から表面材料の一部をレーザビームで除去しながら、ロールと標的位置との間で相対運動を生じる工程をさらに含み得る。
【0018】
いくつかの実施の形態において、ロールの外周表面のその区域は、約0.02マイクロメートルから約15マイクロメートルのRa表面粗さを有し得る。
【0019】
いくつかの実施の形態において、相対運動は、ロールの回転軸の周りにロールを回転させることを含み得る。
【0020】
いくつかの実施の形態において、相対運動は、ロールの回転軸の方向に沿って標的位置を動かすことをさらに含み得る。
【0021】
いくつかの実施の形態において、標的位置は、ロールがロールの回転軸の周りに回転している間に、ロールの回転軸の方向に沿って移動し得る。
【0022】
いくつかの実施の形態において、レーザビームは、ロールの外周表面のその区域に損傷を与えない。
【0023】
いくつかの実施の形態において、ガラスリボンを製造する方法は、第1の回転軸の周りに回転する第1のロールと、第2の回転軸の周りに回転する第2のロールとの間に画成された間隙にガラス形成材料を通過させる工程を含み得る。第1のロールの外周表面のある区域上に表面材料が形成され得る。この方法は、表面材料上の第1の標的位置に第1のレーザビームを照射する工程をさらに含み得る。この方法は、その間隙に追加のガラス形成材料を通過させつつ、第1のロールの外周表面のその区域から表面材料を第1のレーザビームで除去する工程をさらに含み得る。
【0024】
いくつかの実施の形態において、表面材料を除去する工程は、第1のロールの第1の回転軸の方向に沿って第1の標的位置を動かす工程をさらに含み得る。
【0025】
いくつかの実施の形態において、第1のレーザビームは、第1のロールの外周表面のその区域に損傷を与えない。
【0026】
いくつかの実施の形態において、第1のロールの外周表面のその区域は、約0.02マイクロメートルから約15マイクロメートルのRa表面粗さを有する。
【0027】
いくつかの実施の形態において、第2のロールの外周表面のある区域上に表面材料が形成されることがある。前記方法は、第2のロールの外周表面のその区域上に形成された表面材料上の第2の標的位置に第2のレーザビームを照射する工程をさらに含み得る。その方法は、前記間隙に追加のガラス形成材料を通過させつつ、第2のロールの外周表面のその区域から表面材料を第2のレーザビームで除去する工程をさらに含み得る。
【0028】
いくつかの実施の形態において、第2のロールの外周表面のその区域から表面材料を除去する工程は、第2のロールの第2の回転軸の方向に沿って第2の標的位置を動かす工程をさらに含み得る。
【0029】
いくつかの実施の形態において、第2のレーザビームは、第2のロールの外周表面のその区域に損傷を与えない。
【0030】
いくつかの実施の形態において、第2のロールの外周表面のその区域は、約0.02マイクロメートルから約15マイクロメートルのRa表面粗さを有し得る。
【0031】
いくつかの実施の形態において、第1のロールおよび第2のロールは、ガラス形成材料を、前記間隙の下流に移動するガラス形成材料のリボンの幅に亘り所定の厚さにする。
【0032】
いくつかの実施の形態において、そのガラス形成材料は、間隙中に供給できる溶融したガラス形成材料を含む。
【0033】
ここに開示された実施の形態の追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明に述べられており、一部には、その説明から当業者に明白となるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む、ここに記載された実施の形態を実施することによって、認識されるであろう。先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、ここに開示された実施の形態の性質および特性を理解するための概要または骨子を与える意図がある実施の形態を提示していることを理解すべきである。添付図面は、さらなる理解を与えるために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、本開示の様々な実施の形態を示しており、その記載とともに、その原理および作動を説明する。
【0034】
これらと他の特徴、実施の形態および利点は、添付図面を参照して、以下の詳細な説明を読んだときに、よりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本開示のいくつかの実施の形態によるガラス製造装置の概略図
【
図2】
図1の線2-2に沿ったガラス製造装置の概略図
【
図3】
図1のガラス製造装置のロールを洗浄する別の実施の形態の概略斜視図
【
図4】
図1のガラス製造装置のロールを洗浄する実施の形態の説明図
【発明を実施するための形態】
【0036】
ここで、例示の実施の形態が示されている添付図面を参照して、実施の形態を下記により詳しく説明する。できるときはいつでも、同じまたは同様の部分を称するために、図面に亘り同じ参照番号が使用される。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具体化されることがあり、ここに述べられた実施の形態に限定されると解釈するべきではない。
【0037】
図1は、ガラス製造装置101の実施の形態を示す。いくつかの実施の形態において、ガラス製造装置101は、一対以上のロール103a、103bを備えることがある。例えば、
図1は、二対のロール103a、103bを示しているが、さらなる実施の形態において、一対のロールまたは三対以上のロールが設けられてもよい。各対のロール103a、103bは、第1の回転軸107a、107bの周りに回転可能な第1のロール105a、105bおよび第2の回転軸111a、111bの周りに回転可能な第2のロール109a、109bを備えることができる。図から分かるように、第1のロール105a、105bの第1の回転軸107a、107bは、第2のロール109a、109bの第2の回転軸111a、111bと平行であり得るが、さらなる実施の形態において、非平行の配置を設けても差し支えない。
【0038】
さらに、図から分かるように、第一対のロール103aについて、第1のロール105aは、第2のロール109aと実質的に同一であり得る。さらに、第二対のロール103bについて、第1のロール105bは、第2のロール109bと実質的に同一であり得る。いくつかの実施の形態において、第一対のロール103aの第1のロール105aは、第二対のロール103bの第1のロール105bと実質的に同一であり得る。さらなる実施の形態において、第一対のロール103aの第2のロール109aは、第二対のロール103bの第2のロール109bと実質的に同一であり得る。いくつかの実施の形態において、対のロール103a、103bの第1のロール105a、105bは、第1の外周表面113a、113bを有する円柱、例えば、直円柱からなり得る。いくつかの実施の形態において、対のロール103a、103bの第2のロール109a、109bは、第2の外周表面115a、115bを有する円柱、例えば、直円柱からなり得る。いくつかの実施の形態において、ガラス形成材料と接触する、回転軸107a、107b、111a、111bの方向における対のロール103a、103bの外周表面113a、113b、115a、115bの長さは、約50mmから約2.5メートル(m)、約60mmから約1.6m並びにそれらの間の全ての範囲および/または部分的範囲であり得るが、さらなる実施の形態において、他の長さが設けられてもよい。
【0039】
いくつかの実施の形態において、第一対のロール103aの第1のロール105aおよび第2のロール109aは、同一の半径「R1」を有し得る。いくつかの実施の形態において、第二対のロール103bの第1のロール105bおよび第2のロール109bは、同一の半径「R2」を有し得る。図示された実施の形態において、半径「R1」は半径「R2」と実質的に同一であるが、さらなる実施の形態において、異なる半径が設けられてもよい。いくつかの実施の形態において、半径「R1」および/または半径「R2」は、約25ミリメートル(mm)から約250mm、約50mmから約225mm、約50mmから約150mmの範囲内、並びにそれらの間の全ての範囲内および/または部分的範囲内にあり得るが、さらなる実施の形態において、これらの範囲外の半径が設けられてもよい。
【0040】
さらに、第一対のロール103aについて示されるように、第1のロール105aの第1の回転軸107aは、第1のロール105aの半径「R1」、第2のロール109aの半径「R1」、および第一対のロール103aのロール105a、109aの間の間隙「G1」の合計からなり得る距離「D1」だけ、第2のロール109aの第2の回転軸111aから間隔が空けられ得る。さらなる実施の形態において、第二対のロール103bに関して示されるように、第1のロール105bの第1の回転軸107bは、第1のロール105bの半径「R2」、第2のロール109bの半径「R2」、および第二対のロール103bのロール105b、109bの間の間隙「G2」の合計からなり得る距離「D2」だけ、第2のロール109bの第2の回転軸111bから間隔が空けられ得る。いくつかの実施の形態において、間隙「G2」は、リボンの厚さを、第一対のロール103aの間隙「G1」と実質的に等しいであろう厚さ「T1」から第二対のロール103bの間隙「G2」と実質的に等しいであろう厚さ「T2」まで減少させられるように、間隙「G1」より小さくあり得る。いくつかの実施の形態において、間隙「G1」および/または「G2」は、約0.5ミリメートル(mm)から約6mm、約0.7mmから約6mm、約1mmから約6mm、約2mmから約6mm、約3mmから約6mm、並びにそれらの間の全ての範囲および/または部分的範囲であり得るが、さらなる実施の形態において、間隙「G1」、「G2」は、これらの範囲外の他のサイズを含むことがある。
【0041】
対のロール103a、103bのいずれのロール105a、105b、109a、109bも、様々な材料、例えば、金属またはセラミックから作られ得る。いくつかの実施の形態において、それらのロールは、鋼鉄(例えば、ステンレス鋼)、ニッケル基超合金、白金または貴金属もしくは他の材料タイプから製造することができる。いくつかの実施の形態において、複数の対の内の一対以上のロール103a、103bのロールの1つ以上は、流体で冷却されることがある。例えば、それらのロールは、気体(例えば、空気)または液体(例えば、水)で冷却されることがあるが、さらなる実施の形態において、ロールを必要に応じて冷却するために、他の流体が使用されることがある。
【0042】
本開示のロールのいずれの外周表面に、様々な範囲の所定のRa表面粗さを設けても差し支えない。その所定のRa表面粗さは、ロールの全外周表面に設けられても、またはガラス形成材料と接触すると予測されるロールの外周表面の長さ「L」(例えば、
図4参照)に設けられても差し支えない。本開示に亘り、Ra表面粗さは、ロールの外周表面上の測定された微視的山と谷の平均粗さとして計算される。本開示に亘り、Ra表面粗さは、直径5マイクロメートルのプローブ先端、2.5ミリメートルのカットオフ上限、8マイクロメートルのカットオフ下限を有するスキッドレス式ミツトヨSJ-410粗さ表面形状測定装置を使用して測定される。さらに、本開示に亘るRa表面粗さは、ロール105a、105b、109a、109bの回転軸107a、107b、111a、111bの方向における外周表面113a、113b、115a、115bの長さに沿って測定された4つのRa表面粗さ測定値の平均Ra表面粗さと考えられる。
【0043】
いくつかの実施の形態において、対のロール103a、103bのいずれのロール105a、105b、109a、109bの外周表面113a、113b、115a、115bに、約0.02マイクロメートルから約15マイクロメートル、約0.02マイクロメートルから約10マイクロメートル、約0.02マイクロメートルから約5マイクロメートル、約0.1マイクロメートルから約3マイクロメートル、約0.2マイクロメートルから約3マイクロメートル、約0.3マイクロメートルから約2マイクロメートル、約0.4マイクロメートルから約2マイクロメートル、約0.5マイクロメートルから約2マイクロメートル、約1マイクロメートルから約2マイクロメートル、および/またはそれらの間の全ての範囲または部分的範囲のRa表面粗さが設けられても差し支えないが、さらなる実施の形態において、別のRa表面粗さが設けられることがある。ガラスリボンを製造する装置のいくつかの実施の形態において、ロールのRa表面粗さは、約0.02マイクロメートルから約2マイクロメートルであることがあるが、さらなる実施の形態において、他のRa表面粗さが設けられることがある。例えば、いくつかの実施の形態において、ロール105a、105b、109a、109bの外周表面113a、113b、115a、115bのRa表面粗さは、ガラスリボンに滑らかな主面を与えるために、約0.02マイクロメートルから約0.5マイクロメートルの範囲内にあり得る。さらなる実施の形態において、そのロールは、約1マイクロメートルから約1.5マイクロメートルのRa表面粗さを含むことがあり、ここで、ガラスリボンは、そのガラスリボンの主面をさらに仕上げるために、その後、さらに研削され、研磨されることがある。さらなる実施の形態において、いくつかの用途は、約5マイクロメートルから約15マイクロメートルのRa表面粗さを有するロールを使用することがあるが、さらなる実施の形態において、他のRa表面粗さ値が与えられることがある。いくつかの実施の形態において、10マイクロメートル以上のロールのRa表面粗さが、下流の加工を容易にするガラスリボンを製造するのに役立ち得る。
【0044】
リボンを製造する場合、ロールの元のRa表面粗さは、ロール上に形成される表面材料により、ガラス形成材料との接触から遮断されるであろう。その表面材料は、高温への暴露のために、ロールの表面上に形成された(例えば、酸化された)金属酸化物層を含み得る。それに加え、またはそれに代えて、表面材料は、ロールの外周表面上に形成された(例えば、堆積などされた)表面材料(例えば、凝縮または接着粒子)も含み得る。例えば、
図1に示されるように、ガラス形成材料が間隙「G1」、「G2」を通じて圧延された後、ロール105a、105b、109a、109bの外周表面113a、113b、115a、115b上に、表面材料117が形成されることがある。いくつかの実施の形態において、表面材料117は、ロール105a、105b、109a、109bの外周表面113a、113b、115a、115bのRa表面粗さより小さいRa表面粗さを有するコーティングをロール上に形成し得る。いくつかの実施の形態において、表面材料117は、ロール105a、105b、109a、109bの放射率を変え得る。いくつかの実施の形態において、表面材料117は、ロール105a、105b、109a、109bの伝熱特性を変え得る。その結果、例えば、ロール105a、105b、109a、109bの外周表面113a、113b、115a、115b上の表面材料117のコーティングとしての、時間の経過による表面材料117の蓄積が、ロール105a、105b、109a、109bの性能に著しく影響し得る。例えば、ロールの元の所定の表面粗さ、放射率または伝熱特性は、表面材料117のために変わり、それによって、ロール105a、105b、109a、109bの伝熱特性を変えることがある。形成された表面材料によりロールの伝熱特性が変わると、対のロールの間の間隙を通過するガラス形成材料に温度差が生じ、これにより、結果として得られるガラスリボンの性質に悪影響を及ぼし得る表面欠陥(例えば、表面亀裂または他の光学的表面欠陥)が生じ得る。したがって、ロール105a、105b、109a、109bの外周表面113a、113b、115a、115b上に形成される表面材料117が、外周表面113a、113b、115a、115b上に元々与えられた所定のRa表面粗さにより達成される恩恵を損ない得る。さらに、表面材料117は、間隙「G1」、「G2」のサイズを変え得、これにより、これらの間隙を通過するリボンの所望の厚さに悪影響が及ぼされることがある。
【0045】
図1~4に示された開示の実施の形態は、ロールから表面材料を除去するためのレーザ装置を与える。
図1は、第1のレーザ装置118aを含む第一対のロール103aおよび第2のレーザ装置118bを含む第二対のロール103bを示しているが、さらなる実施の形態において、1つのレーザ装置または3以上のレーザ装置が対のロール103a、103bに機能を果たすことがある。
【0046】
図から分かるように、第1のレーザ装置118aは、第1の標的位置121aで第一対のロール103aの第1のロール105aの外周表面113aと交差する第1のレーザ経路119aを規定することができる。第1のレーザ装置118aは、第2の標的位置121bで第一対のロール103aの第2のロール109aの外周表面115aと交差する第2のレーザ経路119bをさらに規定することができる。さらに図から分かるように、第2のレーザ装置118bは、第1の標的位置125aで第二対のロール103bの第1のロール105bの外周表面113bと交差する第2のレーザ経路123aを規定することができる。第2のレーザ装置118bは、第2の標的位置125bで第二対のロール103bの第2のロール109bの外周表面115bと交差する第2のレーザ経路123bをさらに規定することができる。
【0047】
図1は、第1のレーザ装置118aの第1のレーザ経路119aに沿って移動する第1のレーザビーム129aを生じるように設計された第1のレーザ発生器127aを備えた第1のレーザ装置118aを示す。図示された実施の形態において、第1のレーザ装置118aは、第1のレーザ装置118aの第2のレーザ経路119bに沿って移動する第2のレーザビーム129bを生じるように設計された第2のレーザ発生器127bをさらに備え得る。図示された実施の形態に示されるように、第2のレーザ装置118bは、第2のレーザ装置118bの第1のレーザ経路123aに沿って移動する第1のレーザビーム133aを生じるように設計された第1のレーザ発生器131aを備えることができる。図示された実施の形態において、第2のレーザ装置118bは、第2のレーザ装置118bの第2のレーザ経路123bに沿って移動する第2のレーザビーム133bを生じるように設計された第2のレーザ発生器131bをさらに備え得る。図示されていないが、各レーザ装置118a、118bは、代わりに、1つのレーザ発生器または3つ以上のレーザ発生器を備えても差し支えない。さらに、第1と第2のレーザ装置118a、118bのロールの全てに機能を果たすように、1つのレーザ装置が設けられることがある。例えば、図示されていないが、いくつかの実施の形態において、レーザ発生器の数を減らすために、鏡などの光学部品が使用されることがある。例えば、対応するレーザ経路119a、119b、123a、123bに沿って移動するように光学素子により方向付けることのできる多数のレーザビームを生じるために、または多数のレーザビームに1つのレーザビームを分割するために、1つのレーザ発生器が使用されることがある。レーザ発生器のタイプと出力は、ロール105a、105b、109a、109bの外周表面113a、113b、115a、115bに損傷を与えずに、表面材料117を除去するために、所望のスポットサイズと出力を有するレーザビームを生じるように設計することができる。
【0048】
レーザ装置118a、118bは、対のロール103a、103bの対応するロール105a、105b、109a、109bに対して標的位置121a、121b、125a、125bを動かすように構成することができる。例えば、
図2は、第1のレーザ装置118aの第2のレーザ発生器127b、第2のレーザ装置118bの第1のレーザ発生器131a、および/または第2のレーザ装置118bの第2のレーザ発生器131bについて、類似の構成を設けられるという了解の下で、第1のレーザ発生器127aを動かす第1のレーザ装置118aの例示の構成を示す。例えば、第1のレーザ装置118aは、第1のロール105aの第1の回転軸107aの方向205に沿って第1のレーザ発生器127aを動かすように構成することができる。本開示の実施の形態のいずれにおいても、作動装置が、レーザ発生器をロールに対して動かすことがある。図示された実施の形態において、第1のレーザ装置118aは、回転軸107aの方向205にあるレール203に沿って移動して、第1の標的位置121aを、第1の回転軸107aの方向205に沿って同様に動かすキャリッジ201を備えることができる。
図2は、1つのレーザ発生器127aを示しているが、いくつかの実施の形態において、各レーザ発生器が移動する距離を減少させて、外周表面の全長を効果的に処理するために、2つ以上のレーザ発生器が設けられることがある。
図3は、第1のレーザ装置118aの第1のレーザ発生器127aが第一対のロール103aの第1のロール105aに対して静止したままでいられる間に、光学素子(例えば、鏡301)を移動させる(例えば、回転させる)ことによって、第1の回転軸107aの方向205に沿って第一対のロール103aの第1のロール105aに対して標的位置121aを動かすように構成することができる、さらなる実施の形態を概略示している。
【0049】
図1に関して、本開示の方法は、多量の溶融したガラス形成材料137からガラスリボン135を製造する工程を含み得る。本出願の目的のために、ガラス形成材料は、ガラス物品(例えば、ガラスリボン)に冷却できる溶融したガラス形成材料を含み得る。ガラス形成材料は、ガラス形成材料のリボンが最終的な冷却形状(例えば、ガラスリボン)に移行する前に、粘性である状態に冷却されており、代わりの形状、厚さ、サイズにまだ成形できる溶融したガラス形成材料(例えば、ガラス形成材料のリボン)も含み得る。例えば、ガラス形成材料のリボンは、厚さの減少したガラス形成材料の圧延リボンにロール成形されることがある。このガラス形成材料の圧延リボンは、次に、ガラスリボンを形成するために冷却されることがある。
【0050】
図1に示されるように、いくつかの実施の形態において、多量の溶融したガラス形成材料137は、溶融したガラス形成材料137の供給源139により提供することができる。溶融したガラス形成材料137の供給源139は、第一対のロール103aのロール105a、109aの回転軸107a、111aの方向に沿って延在する細長い開口(例えば、スロット)を備えることがあるが、さらなる実施の形態において、円形開口または別の形状を有する開口が設けられることがある。図から分かるように、溶融したガラス形成材料137の供給源139は、第一対のロール103aの第1のロール105aと第2のロール109aとの間の間隙「G1」中に溶融したガラス形成材料137を供給するように位置付けることができる。1つ以上のモータ(例えば、
図2に示されたモータ207a、207b)が、第一対のロール103aの各ロール105a、109aを反対方向141a、141bに回転させることができ、ここで、間隙「G1」の上のある高さに位置付けられた外周表面113a、115aの部分が、間隙「G1」に向かって回転する。次に、ロール105a、109aは、間隙「G1」を通過するガラス形成材料を、リボンの全幅「W」に実質的に亘る対向主面145a、145bの間に第1の所定の厚さ「T1」を有するガラス形成材料143のリボン、またはそのガラス形成材料143のリボンの第1の外縁209aから第2の外縁209bまでのガラス形成材料143のサイズにする。
【0051】
それに加え、またはそれに代えて、ガラス製造装置101は、ガラス形成材料の先に形成されたリボンのサイズを変更できる第二対のロール103bを備えることができる。例えば、図から分かるように、第二対のロール103bは、第一対のロール103aの下流に位置付けることができる。第二対のロール103bの第1のロール105bおよび第2のロール109bは、次いで、互いに反対方向147a、147bに回転するようにモータ駆動されることがあり、ここで、間隙「G2」の上のある高さに位置付けられた外周表面113b、115bの部分が、間隙「G2」に向かって回転する。次に、ロール105b、109bは、ガラス形成材料143のリボンを、第1の厚さ「T1」より小さいであろう、リボンの幅に実質的に亘るリボンの対向主面の間の第2の所定の厚さ「T2」にする。
【0052】
対のロール103a、103bのロール105a、105b、109a、109bは、様々な回転速度で回転して、リボンを、方向149に所望の速度でロール成形することができる。いくつかの実施の形態において、ロール105a、105b、109a、109bは、約1回転数毎分(rpm)から約50rpm、約5rpmから約50rpm、約10rpmから約30rpm、並びにそれらの間の全ての範囲および/または部分的範囲の速度で、それぞれの回転軸107a、107b、111a、111bの周りを回転することができるが、さらなる実施の形態において、他の回転速度が与えられることがある。
【0053】
対のロール103a、103bのロール105a、105b、109a、109bは、約0.02マイクロメートルから約15マイクロメートル、約0.02マイクロメートルから約10マイクロメートル、約0.02マイクロメートルから約5マイクロメートル、約0.1マイクロメートルから約3マイクロメートル、約0.2マイクロメートルから3マイクロメートル、約0.3マイクロメートルから約2マイクロメートル、約0.4マイクロメートルから約2マイクロメートル、約0.5マイクロメートルから約2マイクロメートル、約1マイクロメートルから約2マイクロメートル、および/またはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲のRa表面粗さを有する外周表面を備えることができるが、さらなる実施の形態において、別のRa表面粗さが与えられることがある。しかしながら、
図1に概略示されるように、ロール105a、105b、109a、109bの外周表面113a、113b、115a、115bとの接触により、ロール105a、105b、109a、109bの外周表面113a、113b、115a、115bのある区域上に表面材料117が形成され得る。
【0054】
ロール105a、105b、109a、109bが回転し続け、追加のガラス形成材料を対のロール103a、103bの間隙「G1」、「G2」に通過させ続けている間、前記方法は、表面材料117の標的位置にレーザビームを照射する工程をさらに含むことができる。例えば、
図1に示されたように、第1のレーザ装置118aからの第1のレーザビーム129aは、第1のレーザ経路119aに沿って移動して、第一対のロール103aの第1のロール105aの第1の外周表面113a上に形成された表面材料117の標的位置151を照射するように向けられることがある。さらに図示されたように、第1のレーザ装置118aからの第2のレーザビーム129bは、第2のレーザ経路119bに沿って移動して、第一対のロール103aの第2のロール109aの第2の外周表面115a上に形成された表面材料117の標的位置151を照射するように向けられることがある。
【0055】
さらなる実施の形態において、第2のレーザ装置118bからの第1のレーザビーム133aは、第1のレーザ経路123aに沿って移動して、第二対のロール103bの第1のロール105bの第1の外周表面113b上に形成された表面材料117の標的位置151を照射するように向けられることがある。さらに図示されたように、第2のレーザ装置118bからの第2のレーザビーム133bは、第2のレーザ経路123bに沿って移動して、第二対のロール103bの第2のロール109bの第2の外周表面115b上に形成された表面材料117の標的位置151を照射するように向けられることがある。
【0056】
下記の記載が、第二対のロール103bの第1のロール105bおよび第2のロール109bなどのいずれのロールにも等しく適応できるという理解の下で、第一対のロール103aのロール105a、109aから表面材料を第1のレーザ装置118aにより除去する方法が記載されている。
【0057】
その方法は、第1のロール105aの第1の外周表面113a上に形成された表面材料117上の標的位置151に、第1のレーザビーム経路119aに沿って移動する第1のレーザビーム129aを照射する工程を含むことができる。同様に、この方法は、第2のロール109aの第2の外周表面115a上に形成された表面材料117上の標的位置151に、第2のレーザビーム経路119bに沿って移動する第2のレーザビーム129bを照射する工程を含むことができる。
図1に示されるように、レーザビーム129a、129bは、別々のレーザ発生器127a、127bにより与えることができるが、第一対のロール103aの第1のロール105aおよび第2のロール109aに関連する各レーザビームを発生させるために、1つの発生器を設けても差し支えない。いくつかの実施の形態において、レーザ発生器により生じるレーザビームは、第1のレーザビーム129aおよび第2のレーザビーム129bに分割することができる。分割されたレーザビーム129a、129bは、次に、光学素子(例えば、鏡)で表面材料117の表面上の所望の標的位置に向けることができる。
【0058】
第1のレーザビーム129aは、表面材料117が、第1のロール105aの第1の外周表面113a上の第1の標的位置121aの近傍にある第1のロール105aの第1の外周表面113aのある区域から除去されるまで、第1のロール105a上に形成された表面材料117上の第1の標的位置151を照射することができる。同様に、第2のレーザビーム129bは、表面材料117が、第2のロール109aの第2の外周表面115a上の第2の標的位置121bの近傍にある第2のロール109aの第2の外周表面115aのある区域から除去されるまで、第2のロール109a上に形成された表面材料117上の標的位置151を照射することができる。
【0059】
いくつかの実施の形態において、本開示に亘り、表面材料上の標的位置を照射することにより、その材料をアブレーションすることによって、ロールのその区域から表面材料を除去することができる。いくつかの実施の形態において、本開示に亘り、表面材料上の標的位置を照射することにより、加熱効果および/または音響効果によって、ロールのその区域から表面材料を除去することができる。
【0060】
ロール105a、109aの外周表面113a、113bの区域から表面材料117を除去することは、対応するロール105a、109aの回転軸107a、111aの方向205に沿って対応する標的位置151を動かす工程を含み得る。例えば、
図2に示されるように、キャリッジ201は、レーザ発生器127aと共に、レール203に沿って方向205に移動して、表面材料117上の標的位置151を動かすことができる。表面材料117上の標的位置151の動きは、第1の回転軸107aの周りの第1のロール105aの回転によっても生じ得る。図から分かるように、表面材料117上の標的位置151の動きは、第1の回転軸107aの方向205における標的位置151の動きおよび第1の回転軸107aの周りの第1のロール105aの回転の両方の結果であり得る。その結果、レーザビームが表面材料をアブレーションして、第1の外周表面113aの処理部分211(
図2参照)を再び露出させるときに、螺旋経路303(
図3参照)を提供することができる。第1の外周表面113aの全長が一旦処理されたら、第1のレーザ装置118aは、所定の期間に亘りレーザの施用を中止することがある。あるいは、レーザは、反対方向に再洗浄を行うように継続する、または元の位置に戻り、同じ方向205に再び処理を始めることがある。代わりの実施の形態において、第1のレーザビーム129aは、第1のロール105aの回転運動を最小にして、ビームで処理すべき第1の外周表面113aの長さを素早く移動することがある。次に、第1のレーザビーム129aは、第1のロール105aの回転運動をさらに最小にして、第1の外周表面113aの長さを反対方向に戻るように素早く移動することがある。そのような方法で、第1のレーザビーム129aは、ラスター走査して、第1の外周表面113aを処理することがあり、ここで、第1のレーザビーム129aは、第1のロール105aが第1の回転軸107aの周りを回転するときに、第1の回転軸107aの方向に第1の外周表面113aの全長を処理するように実質的に平行な走査経路で移動することができる。
【0061】
レーザビーム129a、129b、133a、133bは、外周表面113a、113b、115a、115bから表面材料117を除去しながら、対のロール103a、103bの外周表面113a、113b、115a、115bの区域に損傷を与えない。例えば、それらのレーザビームは、それらの外周表面の元のRa表面粗さを著しくは変えず、その外周表面を形成する材料の外層を除去しない。そうではなく、レーザパラメータ(例えば、スポットサイズ、ラスター速度、出力、スポットの重複など)は、外周表面を損傷(例えば、変更)せずに、表面材料を除去するように設計されることがある。それゆえ、レーザ処理は、ロールの半径を変えずに、ロールの所定のRa表面粗さ、放射率、および/または伝熱係数を回復させて、ロールのRa表面粗さおよび安定な伝熱率の持続した恩恵を与えつつ、ロール間の間隙「G1」、「G2」のサイズの厳しい公差も提供する。
【0062】
本開示のさらなる実施の形態において、ロール105a、105b、109a、109bをガラス製造装置101から取り外すことができ、次いで、取り外されたロールを洗浄することができる。例えば、上述したロール105a、105b、109a、109bの1つ以上をガラス製造装置101から取り外し、洗浄フレーム401(
図4参照)内に取り付けることがある。説明目的のために、
図4は、洗浄フレーム401内に取り付けられた第一対のロール103aの第1のロール105aを示しているが、他のロール105b、109a、109bのいずれも、洗浄フレーム401内に同様に取り付け、下記に述べるように洗浄することができる。取り付けられたロールは、上述したロールのいずれの特徴も含み得る。例えば、取り付けられたロールは、約0.02マイクロメートルから約15マイクロメートルのRa表面粗さを有する外周表面を含み得、表面材料117が、上述したように外周表面のある区域上に形成され得る。
【0063】
これから、洗浄フレーム401内に取り付けられた第1のロール105aを洗浄する方法を記載する。この方法は、表面材料117上の標的位置403にレーザビーム405を照射する工程を含み得る。この方法は、第1のロール105aの外周表面113aのその区域から表面材料117の一部をレーザビーム405で除去しながら、第1のロール105aと標的位置403との間の相対運動をさらに提供することができる。いくつかの実施の形態において、モータ(図示せず)が、第1のロール105aの回転軸107aの周りに第1のロール105aを回転させて、第1のロール105aと標的位置403との間の相対運動を与えることができる。さらなる実施の形態において、第1のロール105aが回転している間に、標的位置403は、第1の回転軸107aの方向205に沿って動かされることがある。いくつかの実施の形態において、レーザ発生器407は、レール411に沿って移動して、方向205に沿って標的位置403を動かすために、キャリッジ409上に取り付けられることがある。あるいは、
図3に示されるように、レーザ発生器が静止したままである間に、レーザビームを方向205に動かすように光学素子を作ることができる。例えば、鏡301または他の光学素子は、レーザ発生器が静止したままである間に、ビームを方向205に動かすように作ることができる。それゆえ、
図3に関して、表面材料117は、ロール105aが回転軸107aの周りに回転している間に、標的位置403が回転軸107aの方向205に動かされているときに、螺旋経路303に沿って除去されることがある。表面材料117が螺旋経路303に沿って除去されているので、第1のロール105aの第1の外周表面113a全体が、レーザビーム405が第1のロール105aの一端からロール105aの他端まで移動するときに処理されることがある。代わりの実施の形態において、ビームは、第1のロール105aの回転運動を最小にして、レーザビームで処理されるべき第1の外周表面113aの長さを素早く移動することがある。次に、レーザビームは、第1のロール105aの回転運動をさらに最小にして、第1の外周表面113aの長さを反対方向に戻るように素早く移動することがある。そのような方法で、そのレーザビームは、ラスター走査して、第1の外周表面113aを処理することがあり、ここで、レーザビームは、第1のロール105aが第1の回転軸107aの周りを回転するときに、第1の回転軸107aの方向に第1の外周表面113aの全長を処理するように実質的に平行な走査経路で移動することができる。
【0064】
図2および4を参照すると、レーザビームは、対のロール103a、103bの外周表面113a、113b、115a、115bの区域に損傷を与えない。例えば、それらのレーザビームは、外周表面113a、113b、115a、115bの元のRa表面粗さを変えず、外周表面113a、113b、115a、115bを形成する材料の外層を除去しない。そうではなく、レーザパラメータ(例えば、スポットサイズ、ラスター速度、出力、スポットの重複など)は、外周表面113a、113b、115a、115bを損傷せずに、表面材料を除去するように設計されることがある。それゆえ、レーザ処理は、ロールの半径を変えずに、ロールの所定のRa表面粗さ、放射率、および/または伝熱係数を回復させて、ロールのRa表面粗さおよび安定な伝熱率の持続した恩恵を与えつつ、ロール105a、105b、109a、109b間の間隙「G1」、「G2」のサイズの厳しい公差も提供する。
【0065】
本開示の実施の形態のいずれに、表面材料117のアブレーション中に生じるかもしれない微粒子を除去するための真空オリフィス153(例えば、
図1~2参照)を設けてもよい。例えば、導管155は、吸引力を提供して、レーザ洗浄過程からの破片を導管155中に引き込んで、遠隔位置にある廃棄物収集区域に送るオリフィス153を含むことがある。真空オリフィス153は、ガラス形成材料(例えば、溶融したガラス形成材料137)の近傍から微粒子を除去して、そうしなければ、結果として生じるガラスリボンまたはロールを汚染するかもしれない破片の導入を避けるのに役立ち得る。
【0066】
本開示の概念は、上述したサイジングロール以外のガラス製造装置のロールに施されてもよい。例えば、ロールは、溶融したガラス形成材料のリボンが成形装置の楔から引き出されるフュージョンダウンドロー過程におけるエッジロールを含むことがある。いくつかの実施の形態において、本開示の概念は、レーザからのエネルギーの著しい量を吸収しないが、レーザを表面材料に戻るように反射して、ロールの外周表面に損傷を与えずに、表面材料のアブレーションをさらに向上させるガラス形成材料から作られたロールに使用されることがある。
【0067】
様々な実施の形態を、その特定の説明のための具体例に関して詳しく記載してきたが、開示された特徴の数多くの改変および組合せが、以下の特許請求の範囲から逸脱せずに可能であるので、本開示は、それらに限定されると考えるべきではない。
【0068】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0069】
実施形態1
ガラス製造装置において、
第1の回転軸の周りに回転可能な第1のロール、
第2の回転軸の周りに回転可能な第2のロール、および
第1の標的位置で前記第1のロールの外周表面と交差する第1のレーザ経路を規定するレーザ装置、
を備えたガラス製造装置。
【0070】
実施形態2
前記第1のロールの外周表面は、約0.02マイクロメートルから約15マイクロメートルのRa表面粗さを有する、実施形態1に記載のガラス製造装置。
【0071】
実施形態3
前記第1のロールの外周表面上に表面材料が形成される、実施形態1または2に記載のガラス製造装置。
【0072】
実施形態4
前記レーザ装置が、第2の標的位置で前記第2のロールの外周表面と交差する第2のレーザ経路を含む、実施形態1から3のいずれか1つに記載のガラス製造装置。
【0073】
実施形態5
前記第2のロールの外周表面が、約0.02マイクロメートルから約15マイクロメートルのRa表面粗さを有する、実施形態4に記載のガラス製造装置。
【0074】
実施形態6
前記第2のロールの外周表面上に表面材料が形成される、実施形態4または5に記載のガラス製造装置。
【0075】
実施形態7
前記レーザ装置が、前記第2の回転軸の方向に沿って前記第2の標的位置を動かすように構成されている、実施形態4から6のいずれか1つに記載のガラス製造装置。
【0076】
実施形態8
前記レーザ装置が、前記第1の回転軸の方向に沿って前記第1の標的位置を動かすように構成されている、実施形態1から7のいずれか1つに記載のガラス製造装置。
【0077】
実施形態9
前記第1のロールおよび前記第2のロールが、ガラス形成材料を、該ガラス形成材料のリボンの全幅に亘り所定の厚さにするように構成されている、実施形態1から8のいずれか1つに記載のガラス製造装置。
【0078】
実施形態10
前記第1のロールと前記第2のロールとの間に画成された間隙中に溶融したガラス形成材料を供給するように位置付けられた溶融したガラス形成材料の供給源をさらに備える、実施形態9に記載のガラス製造装置。
【0079】
実施形態11
ガラス製造装置のロールを洗浄する方法であって、該ロールが、外周表面および該外周表面のある区域上に形成された表面材料を含み、
前記表面材料上の標的位置にレーザビームを照射する工程、および
前記ロールの外周表面の前記区域から前記表面材料の一部を前記レーザビームで除去しながら、該ロールと前記標的位置との間で相対運動を生じる工程、
を有してなる方法。
【0080】
実施形態12
前記ロールの外周表面の前記区域が、約0.02マイクロメートルから約15マイクロメートルのRa表面粗さを有する、実施形態11に記載の方法。
【0081】
実施形態13
前記相対運動が、前記ロールの回転軸の周りに該ロールを回転させることを含む、実施形態11または12に記載の方法。
【0082】
実施形態14
前記相対運動が、前記ロールの回転軸の方向に沿って前記標的位置を動かすことをさらに含む、実施形態13に記載の方法。
【0083】
実施形態15
前記標的位置が、前記ロールが該ロールの回転軸の周りに回転している間に、該ロールの回転軸の方向に沿って移動する、実施形態14に記載の方法。
【0084】
実施形態16
前記レーザビームが、前記ロールの外周表面の前記区域に損傷を与えない、実施形態11から15のいずれか1つに記載の方法。
【0085】
実施形態17
ガラスリボンを製造する方法において、
第1の回転軸の周りに回転する第1のロールと、第2の回転軸の周りに回転する第2のロールとの間に画成された間隙にガラス形成材料を通過させる工程であって、該第1のロールの外周表面のある区域上に表面材料が形成される工程、
前記表面材料上の第1の標的位置に第1のレーザビームを照射する工程、および
前記間隙に追加のガラス形成材料を通過させつつ、前記第1のロールの外周表面の前記区域から前記表面材料を前記第1のレーザビームで除去する工程、
を有してなる方法。
【0086】
実施形態18
前記表面材料を除去する工程が、前記第1のロールの前記第1の回転軸の方向に沿って前記第1の標的位置を動かす工程をさらに含む、実施形態17に記載の方法。
【0087】
実施形態19
前記第1のレーザビームが、前記第1のロールの外周表面の前記区域に損傷を与えない、実施形態17または18に記載の方法。
【0088】
実施形態20
前記第1のロールの外周表面の前記区域が、約0.02マイクロメートルから約15マイクロメートルのRa表面粗さを有する、実施形態17から19のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
実施形態21
前記第2のロールの外周表面のある区域上に表面材料が形成され、前記方法が、該第2のロールの外周表面の該区域上に形成された該表面材料上の第2の標的位置に第2のレーザビームを照射する工程、および前記間隙に前記追加のガラス形成材料を通過させつつ、該第2のロールの外周表面の該区域から該表面材料を該第2のレーザビームで除去する工程をさらに含む、実施形態17から20のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
実施形態22
前記第2のロールの外周表面の前記区域から表面材料を除去する工程が、該第2のロールの前記第2の回転軸の方向に沿って前記第2の標的位置を動かす工程をさらに含む、実施形態21に記載の方法。
【0091】
実施形態23
前記第2のレーザビームが、前記第2のロールの外周表面の前記区域に損傷を与えない、実施形態21または22に記載の方法。
【0092】
実施形態24
前記第2のロールの外周表面の前記区域が、約0.02マイクロメートルから約15マイクロメートルのRa表面粗さを有する、実施形態21から23のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
実施形態25
前記第1のロールおよび前記第2のロールが、ガラス形成材料を、前記間隙の下流に移動する該ガラス形成材料のリボンの幅に亘り所定の厚さにする、実施形態17から24のいずれか1つに記載の方法。
【0094】
実施形態26
前記ガラス形成材料が、前記間隙中に供給される溶融したガラス形成材料を含む、実施形態25に記載の方法。
【符号の説明】
【0095】
101 ガラス製造装置
103a、103b 対のロール
105a、105b 第1のロール
107a、107b 第1の回転軸
109a、109b 第2のロール
111a、111b 第2の回転軸
113a、113b、115a、115b 外周表面
117 表面材料
118a 第1のレーザ装置
118b 第2のレーザ装置
121a、125a 第1の標的位置
121b、125b 第2の標的位置
127a、131a 第1のレーザ発生器
127b、131b 第2のレーザ発生器
129a、129b、133a、133b、405 レーザビーム
135 ガラスリボン
137、143 ガラス形成材料
139 ガラス形成材料の供給源
145a、145b 対向主面
151、403 標的位置
153 真空オリフィス
155 導管
201、409 キャリッジ
301 鏡
401 洗浄フレーム
407 レーザ発生器
【国際調査報告】