(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-11
(54)【発明の名称】センサ付きの植え込み型接合支援器具並びに関連システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541298
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(85)【翻訳文提出日】2021-08-31
(86)【国際出願番号】 US2020013953
(87)【国際公開番号】W WO2020150526
(87)【国際公開日】2020-07-23
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520072187
【氏名又は名称】ハーフ ムーン メディカル インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】507020152
【氏名又は名称】メドトロニック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(72)【発明者】
【氏名】カペテイン アリー ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ファン ジェイムズ アイ
(72)【発明者】
【氏名】ギフォード ザ サード ハンソン エス
(72)【発明者】
【氏名】マクリーン マシュー
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナマーシー ガウラヴ
(72)【発明者】
【氏名】ジマーマン ニール
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC05
4C097DD10
4C097SB10
(57)【要約】
心臓弁を修復する接合支援器具並びに関連システム及び方法が本明細書において開示される。本技術の実施形態に従って構成された接合支援器具は、例えば、生まれつきの弁輪の近くに位置する心組織に圧接するよう構成された固定部材及び固定部材から遠ざかるよう延びる静止接合構造体を有するのが良い。接合構造体は、心収縮中に第1の生まれつきの尖と接合するよう構成された前側表面及び第2の生まれつきの尖の少なくとも一部分を変位させるよう構成された後側表面を有するのが良い。接合支援器具は、心機能と器具機能性のうちの少なくとも一方と関連したパラメータを検出するよう構成された少なくとも1つのセンサをさらに有するのが良い。センサは、左心房圧力及び/又は左心室圧力を検出するよう構成された圧力センサであるのが良い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
僧帽弁を修復する接合支援器具であって、前記接合支援器具は、
生まれつきの僧帽弁輪の近くに位置する心組織に圧接するよう構成された心房固定部材を有し、
前記心房固定部材から遠ざかるようかつ該心房固定部材から半径方向内方に延びる接合構造体を有し、前記接合構造体は、心収縮中に第1の生まれつきの尖と接合するよう構成された前側表面及び第2の生まれつきの尖の少なくとも一部分を変位するよう構成された後側表面を有し、前記接合構造体は、心周期中、実質的に静止状態であり、
前記接合支援器具の一部分に取り付けられかつ心機能及び器具機能性のうちの少なくとも1つと関連した1つ又は2つ以上のパラメータを検出するよう構成されているセンサを有する、接合支援器具。
【請求項2】
前記センサは、前記心房固定部材に結合されかつ心周期中、左心房圧力を検出するよう構成された第1の圧力センサであり、
前記接合支援器具は、前記接合構造体に結合されかつ心周期中、左心室圧力を検出するよう構成された第2の圧力センサをさらに有する、請求項1記載の接合支援器具。
【請求項3】
前記センサは、前記心房固定部材に結合されかつ心周期中、左心房圧力を検出するよう構成された第1の容量圧力センサであり、前記第1の容量圧力センサは、第1の共振周波数を持つ第1のLC回路を有し、
前記接合支援器具は、前記接合構造体に結合されかつ心周期中、左心室圧力を検出するよう構成された第2の容量圧力センサをさらに有し、前記第2の容量圧力センサは、前記第1の共振周波数とは実質的に異なる第2の共振周波数を持つ第2のLC回路を有し、
前記第1及び前記第2のLC回路は、互いに干渉することなく、外部装置によって同時にインターロゲートされるよう構成されている、請求項1記載の接合支援器具。
【請求項4】
前記固定部材は、ワイヤメッシュ構造体を含み、前記ワイヤメッシュ構造体の少なくとも一部分は、電気メッキされており、
前記センサは、前記固定部材の前記ワイヤメッシュ構造体に取り付けられた容量圧力センサから成り、前記ワイヤメッシュ構造体は、信号を外部装置から送受信するための前記容量圧力センサのアンテナを構成している、請求項1記載の接合支援器具。
【請求項5】
前記接合構造体は、複数のストラットから成り、前記ストラットの少なくとも一部分は、電気メッキされており、
前記センサは、前記接合構造体の前記ストラットに取り付けられた容量圧力センサから成り、前記ストラットは、信号を外部装置から送受信するための前記容量圧力センサのアンテナを構成している、請求項1記載の接合支援器具。
【請求項6】
前記固定部材は、心房縁部領域を有し、
前記センサは、前記心房縁部領域に取り付けられた容量圧力センサであり、前記容量圧力センサは、容量素子及び誘導素子を有し、前記誘導素子は、前記心房縁部領域に沿って延びかつ外部エネルギー源によって刺激されるよう構成されたコイルである、請求項1記載の接合支援器具。
【請求項7】
前記固定部材は、電気メッキメッシュ構造体を含み、
前記センサは、前記固定部材に取り付けられた容量圧力センサであり、前記容量圧力センサは、容量素子及び誘導素子を有し、前記電気メッキメッシュ構造体は、前記誘導素子を構成している、請求項1記載の接合支援器具。
【請求項8】
前記センサは、前記固定部材の前側表面に取り付けられた自蔵式圧力センサから成る、請求項1記載の接合支援器具。
【請求項9】
前記センサに作動的に結合された電力貯蔵素子をさらに有し、前記電力貯蔵素子は、前記電力貯蔵素子が測定値を検出して検出された測定値を内部装置に送信するのに十分なエネルギーを有するまでエネルギーを貯蔵するよう構成されている、請求項1記載の接合支援器具。
【請求項10】
前記センサは、前記接合構造体に結合されかつ心周期中、前記接合構造体の運動を検出するよう構成された加速度計から成る、請求項1記載の接合支援器具。
【請求項11】
前記接合構造体は、チャンバを構成する複数のストラットから成り、器具送達前に、前記センサは、前記チャンバ内に自由に位置決めされる、請求項1記載の接合支援器具。
【請求項12】
前記接合構造体の後側部分から延びる付属物をさらに有し、前記付属物は、前記接合構造体から遠ざかって外方に付勢されかつ左心室壁に接触するよう構成された可撓性フレームを含み、
前記センサは、前記付属物に取り付けられていて前記左心室壁の運動を検出する加速度計から成る、請求項1記載の接合支援器具。
【請求項13】
前記センサは、心臓壁運動を検出するよう構成された加速度計及びひずみ計のうちの少なくとも一方を含む、請求項1記載の接合支援器具。
【請求項14】
前記センサは、心周期中、音響信号を検出するよう構成されたマイクロホンから成る、請求項1記載の接合支援器具。
【請求項15】
前記センサは、前記接合構造体の心房に向いた表面に結合されかつ心周期全体にわたってフローパターンを測定するよう構成された少なくとも1つの流量センサを含む、請求項1記載の接合支援器具。
【請求項16】
心臓弁修復・監視システムであって、
弁修復器具を含み、前記弁修復器具は、
心収縮中に第1の生まれつきの尖と接合するよう構成された前側表面及び第2の生まれつきの尖の少なくとも一部分を変位するよう構成された後側表面を備えた接合構造体を有し、
前記接合構造体に結合されかつ前記接合構造体を生まれつきの心臓弁輪の近くに固定するよう構成された固定部材を有し、前記接合構造体は、心周期中、前記固定部材に対して実質的に静止状態であり、
心周期中、圧力を検出するよう構成された圧力センサを有し、
検出したデータをワイヤレスで受信するよう前記圧力センサにインターロゲートするよう構成された外部刺激・検出装置を含む、心臓弁修復・監視システム。
【請求項17】
前記外部刺激・検出装置は、前記圧力センサに電力供給するよう構成されている、請求項16記載の心臓弁修復・監視システム。
【請求項18】
前記圧力センサは、前記固定部材に結合されかつ心周期中、左心房圧力を検出するよう構成された第1の容量圧力センサであり、前記第1の容量圧力センサは、第1の共振周波数を持つ第1のLC回路を有し、
前記弁修復器具は、前記接合構造体に結合されかつ心周期中、左心室圧力を検出するよう構成された第2の容量圧力センサをさらに有し、前記第2の容量圧力センサは、前記第1の共振周波数とは実質的に異なる第2の共振周波数を持つ第2のLC回路を有し、
前記第1及び前記第2のLC回路は、互いに干渉することなく、外部装置によって同時にインターロゲートされるよう構成されている、請求項16記載の心臓弁修復・監視システム。
【請求項19】
前記第1の容量圧力センサは、第1の共振周波数を持つ第1のLC回路を有し、
前記第2の容量圧力センサは、前記第1の共振周波数とは実質的に異なる第2の共振周波数を持つ第2のLC回路を有し、
前記外部刺激・検出装置は、前記第1回路と前記第2のLC回路に同時にインターロゲートするよう構成されている、請求項18記載の心臓弁修復・監視システム。
【請求項20】
前記固定部材が配備された後に前記センサを前記固定器具まで送達するよう構成された送達システムをさらに含む、請求項16記載の心臓弁修復・監視システム。
【請求項21】
前記固定部材は、ワイヤメッシュ構造体を含み、
前記接合構造体は、複数のストラットから成り、
前記ワイヤメッシュ構造体及び前記複数のストラットのうちの少なくとも一方は、前記外部刺激・検出装置と通信する前記圧力センサ用のアンテナを構成している、請求項16記載の心臓弁修復・監視システム。
【請求項22】
前記接合構造体に結合されかつ心周期中、前記接合構造体の運動を検出するよう構成された加速度計をさらに有する、請求項16記載の接合支援器具。
【請求項23】
前記弁修復器具は、
前記接合構造体の後側部分から延びる付属物を有し、前記付属物は、前記接合構造体から遠ざかって外方に付勢されかつ心室壁に接触するよう構成され、
前記付属物に取り付けられていて心周期中、前記心室壁の運動を検出する加速度計を有する、請求項16記載の接合支援器具。
【請求項24】
生まれつきの僧帽弁を監視する方法であって、前記方法は、
僧帽弁修復器具の固定部材を心臓の左心房に配備して前記固定部材が前記左心房中の心組織に圧接するようにするステップと、
前記僧帽弁修復器具の接合構造体を配備して前記接合構造体が第1の生まれつきの尖を変位させるとともに心収縮期中、第2の生まれつきの尖に接合するようにするステップと、
外部装置を介して前記僧帽弁修復器具の圧力センサにインターロゲートして心周期中、圧力データを受け取るステップと、を含む、方法。
【請求項25】
前記固定部材の配備後、前記圧力センサを送達システムから前記固定部材まで延びる縫合糸に沿って摺動させるステップと、
前記圧力センサを前記配備された固定部材に結合するステップと、をさらに含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
心周期中、加速度計及び/又はひずみ計により左心室壁の運動を検出するステップをさらに含む、請求項24記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、一般に、弁修復器具に関する。特に、幾つかの実施形態は、センサを備えた植え込み型接合支援器具並びに関連システム及び方法に関する。
【0002】
〔関連出願の参照〕
本願は、2019年1月16日に出願された米国特許仮出願第62/793,273号の優先権及び権益主張出願であり、この米国特許仮出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
僧帽弁の適正な機能発揮に悪影響を及ぼす病態としては、例えば、僧帽弁逆流症、僧帽弁逸脱及び僧帽弁狭窄が挙げられる。僧帽弁逆流症は、僧帽弁の両尖がピーク収縮圧力で互いに接合してくっつくことがなく、その結果、左心室から左心房への血液の異常な漏れが生じる心臓の疾患である。僧帽弁尖の適正な閉鎖に悪影響を及ぼす場合のある幾つかの構造的要因が存在する。例えば、心臓疾患を患っている多くの患者は、心筋の拡張を生じており、その結果、僧帽弁輪が拡大している。僧帽弁輪の拡大により、弁尖が心収縮中に接合することが困難になる。腱索、乳頭筋を僧帽弁尖の下側に繋ぐ腱の伸展又は裂離もまた、僧帽弁輪の適正な閉鎖に悪影響を及ぼす場合がある。例えば、腱索の断裂により、弁尖が弁尖に加わる不適当な張力に起因して左心房中に逸脱する場合がある。異常な逆流もまた、乳頭筋の機能発揮が、例えば虚血に起因して損なわれた場合にも起こることがある。左心室が心収縮期中に収縮すると、罹患した乳頭筋は、適正な閉鎖を行うほど十分には収縮しない。
【0004】
僧帽弁の逸脱、又は僧帽弁尖が異常に上方に膨らんで左心房中に入ると、それにより、僧帽弁の不規則な挙動が生じ、また、僧帽弁の逆流症が結果として生じる場合がある。僧帽弁の健常な機能発揮もまた、僧帽弁狭窄又は僧帽弁口が狭くなることによって悪影響を受ける場合があり、それにより心拡張の際に左心室の充満インピーダンスが生じる。
【0005】
僧帽弁逆流症は、利尿薬及び/又は血管拡張薬を用いて左心房中に逆流する血液の量を減少させて治療される場合が多い。他の治療法、例えば外科的方式(開放方式及び血管内方式)もまた、僧帽弁の修復か置換かのいずれかのために用いられた。例えば、典型的な修復方式では、拡張した弁輪の複数部分のシンチング(締め)又は切除が行われた。
【0006】
弁輪のシンチングは、一般に弁輪又は周りの組織に固定されている環状又は周囲環状リングの植え込みによって達成されていた。他の修復手技としては、また、相互の部分付着部中への弁尖の縫合又はクリップ法が行われた。
【0007】
別法として、より侵襲的な手技としては、機械的な弁又は生物学的組織を僧帽弁に代えて心臓中に植え込む心臓弁それ自体まるごとの置換が行われた。これら侵襲的な手技は、従来、ラージオープン型開胸術(large open thoracotomy)により行われ、かくして、極めて有痛性であり、相当高い罹病率を呈し、そして長い回復期間を必要とする。
【0008】
しかしながら、多くの修復及び置換手技では、器具の耐久性又は弁形成リング又は置換弁の不適切な寸法の結果として、患者にとって追加の問題が生じる場合がある。さらに、修復手技の多くは、心臓外科医の技量に大きく依存し、この場合、下手に又は不正確に配置された縫合糸が手技の成功に悪影響を及ぼす場合がある。
【0009】
他の心臓弁と比較して、僧帽弁輪の幾つかの部分は、周りの組織からの相当な半径方向支持が限定されており、僧帽弁は、不規則で予測不能な形状を有する。例えば、僧帽弁の内壁は、僧帽弁輪を大動脈流出路の下方部分から隔てる薄い血管壁によって境界づけられているに過ぎない。その結果、僧帽弁輪に加わる相当大きな半径方向力により、大動脈路の下方部分の潰れが生じ、潜在的に致命的な結果をもたらす。左心室の腱索は、僧帽弁修復器具を配備する際に障害物となる場合が多い。左心室内に迷路のようにはりめぐらされた腱索は、僧帽弁の修復にあたって、配備カテーテルをナビゲートして位置決めするのを極めて困難にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
現行の手技と関連した問題点が存在すると仮定して、機能障害の心臓弁を治療するための簡単で効果的なかつ侵襲性の低い器具及び方法が要望され続けている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示内容の多くの観点は、以下の図面を参照すると良好に理解できる。図面に記載されたコンポーネントは、必ずしも縮尺通りではなく、むしろ本開示内容の原理を明確に説明することに強調がおかれている。参照しやすくするため、本開示内容全体を通じて、同一の参照符号及び/又は文字は、同一又は類似のコンポーネント又は特徴を示すために用いられているが、同一の参照符号を用いることは、当該部分が同一であるとみなされるべきであるということを意味しているわけではない。確かに、本明細書において説明する多くの実施例では、符号が同一のコンポーネントは、構造及び/又は機能において別々である互いに異なる実施形態を指している。本明細書に設けられている見出しは、便宜上のものであるに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】本技術の幾つかの実施形態に従って構成された接合支援器具の平面図である。
【
図1B】本技術の幾つかの実施形態に従って心臓内に植え込まれた
図1Aの接合支援器具を含む僧帽弁修復・監視システムを示す図である。
【
図2A】本技術の幾つかの実施形態に従って構成された接合支援器具の平面図である。
【
図2B】本技術の幾つかの実施形態に係る
図2Aの接合支援器具を含む僧帽弁修復・監視システムの側面図である。
【
図2C】本技術の幾つかの実施形態に従って送達状態にある
図2Aの接合支援器具の平面図である。
【
図3A】本技術の幾つかの実施形態に従って構成された接合支援器具の平面図である。
【
図3B】本技術の幾つかの実施形態に従って構成された接合支援器具の側面図である。
【
図4A】本技術の幾つかの実施形態に従って心収縮期中、心臓内に植え込まれた状態で示されている接合支援器具の側面図である。
【
図4B】本技術の幾つかの実施形態に従って心拡張期中、心臓内に植え込まれた状態で示されている接合支援器具の側面図である。
【
図5A】本技術の幾つかの実施形態に係る植え込み型接合支援器具にセンサを送達する手順の段階を示す側面図である。
【
図5B】本技術の幾つかの実施形態に係る植え込み型接合支援器具にセンサを送達する手順の段階を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
センサを備えた植え込み型接合支援器具並びに関連システム及び方法が本明細書において開示される。幾つかの実施形態では、例えば、接合支援器具(「僧帽弁修復器具」とも言う)は、(a)生まれつきの尖に代わり、そして収縮期中、1つ又は2つ以上の互いに反対側に位置する生まれつきの尖と接合する接合構造体、及び(b)患者の介護を決め又は手引するために使用できる種々の生理学的及び/又は器具パラメータを監視する1つ又は2つ以上のセンサを有する。したがって、本技術は、「スマート」心臓弁修復器具とも称される場合がある。本技術の幾つかの実施形態の特定の細部について
図1A~
図5Bを参照して以下に説明する。実施形態のうちの多くを生まれつきの僧帽弁の修復のための植え込み器具、システム、及び方法と関連して以下において説明するが、本明細書において説明するこれら実施形態に加えて、他の用途及び他の実施形態は、本技術の範囲に含まれる。例えば、本技術は、三尖弁のような他の標的部位に使用できる。加うるに、本技術の他の幾つかの実施形態は、本明細書において説明する形態、コンポーネント、又は手技とは異なる形態、コンポーネント、又は手技を有することができ、図示の実施形態の特徴を互いに組み合わせることができる。したがって、当業者であれば、それに応じて、本技術が追加の要素を含む他の実施形態で実施でき又は本技術が
図1A~
図5Bに示されるとともにこれらの図を参照して以下に説明する特徴のうちの幾つかを備えていない他の実施形態で実施できることは理解されよう。
【0014】
本明細書において用いられる「遠位」及び「近位」という用語に関し、別段の指定がなければ、これらの用語は、オペレータ及び/又は血管系又は心臓内の場所に対する弁修復器具及び/又は関連送達器具の部分の相対位置を示すことができる。例えば、本明細書において説明する種々の弁修復器具を送達するとともに位置決めするのに適した送達カテーテルに関し、「近位」は、器具のオペレータ又は血管系への切開創の近くの位置を意味し、「遠位」は、器具のオペレータから遠くに位置し又は血管系に沿う切開創からさらに遠くに位置する位置(例えば、カテーテルの端)を意味する。心臓弁修復器具に関し、「近位」及び「遠位」という用語は、血流の方向に対する器具の諸部分の存在場所を意味する場合がある。例えば、「近位」は、血液がその典型的な非逆流経路中に、器具に向かって流れる上流側の位置又は場所(例えば、生まれつきの弁の入口領域)を意味し、「遠位」は、血液が器具から遠ざかって流れる下流側の位置又は場所(例えば、生まれつきの弁の流出領域)を意味する場合がある。
【0015】
概観
本技術は、弁輪の拡張又は生まれつきの尖の劣化によって生じる逆流の問題に取り組むために接合構造体(「バッフル」とも呼ばれる)を生まれつきの弁尖の一部分上に配置する僧帽弁逆流の治療器具を含む。接合構造体は、閉じられた生まれつきの尖によって占められる空間の少なくとも一部分を埋めるとともにその空間を越えて延びて周りの尖との接合関係を再び確立する。例えば、接合構造体は、後尖の中央部分(すなわち、後尖のP2)の前に延び、後尖を心室に向かって押し戻し、その結果、接合構造体が心収縮期中、前尖と接合するよう位置決めされる。接合構造体は、僧帽弁輪を包囲する心房の心組織に固着するよう構成された固定部材(「固着部材」又は「ブリム」とも呼ばれる)によって定位置に保持される。固定部材は、僧帽弁輪の真上に位置する左心房の壁に適合するよう形作られたかくちょう可能なニチノールメッシュ管(例えば、ステント)であるのが良い。種々の実施形態では、固定部材は、追加的に又は代替的に、副弁輪組織に圧接してこれに固着する部分を含むのが良い。幾つかの実施形態では、固定部材は、これを心房壁に当てて定位置に保持するためのクリート又は他の摩擦要素を有する。植え込み後のある期間(例えば、3日間、2週間、1か月間、2か月間)にわたり、固定部材又はその幾つかの部分は、組織の層で覆われた状態になり、この組織内方成長は、固定部材を心房壁に永続的にくっつける。この器具は、固定部材及び/又は接合構造体からインプラントのそれ以上の安定化が得られる副弁輪空間に至る個々の僧帽弁尖の背後の位置まで延びる1つ又は2つ以上のクリップをさらに有するのが良い。幾つかの実施形態では、例えば、この器具は、後尖のP2又は他の部分の下で副弁輪空間まで達してインプラントをさらに安定化するクリップを有する。接合支援器具を備えたインプラント器具のそれ以上の説明は、2018年7月24日に出願された国際出願PCT/US2018/043566号パンフレット及び2018年11月14日に出願された国際出願PCT/US2018/061126号パンフレットに記載されており、これら国際出願の各々を参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0016】
僧帽弁修復器具は、心機能、他の生理学的パラメータ、及び/又は器具機能性と関連したパラメータを検出して検出されたパラメータのリアルタイム監視(モニタリング)を提供する少なくとも1つのセンサ(「検出コンポーネント」とも言う)を有する。センサは、圧力センサ、加速度計、ひずみ計、音響センサ(例えば、マイクロホン)、流量センサ、温度センサ、及び/又は他形式の検出機構体を含むことができる。センサは、体外に位置する外部コンピューティング装置に検出された測定値をワイヤレスで送信する通信コンポーネント又は送信器、例えばアンテナに通信可能に結合されるのが良い。データは、外部コンピューティング装置及び/又はこれに通信可能に結合された装置から、ソフトウェア技術を介して表示されるとともに/あるいはさらに分析可能である(例えば、しきい値と比較可能であり、関連パラメータを定めるよう解釈可能である)。センサは、外部電力源を介して及び/又は器具又はセンサそれ自体に組み込まれたバッテリ又は容量素子により電力供給可能である。
【0017】
僧帽弁修復器具は、植え込み時に、心房と心室の両方に位置する部分を有するので、僧帽弁修復器具は、心房と心室の両方の中に設けられていて、両方の場所と関連したパラメータ、例えば心房圧力及び心室圧力をリアルタイムで監視してワイヤレスで送信することができるセンサを有するのが良い。僧帽弁修復器具が心房領域内に(例えば、固定部材上に又は固定部材から延びる)圧力センサ(例えば、容量圧力マイクロセンサ)を有する場合、この器具は、左心房圧力(“LAP”)を検出することができる。LAPの監視は、うっ血性心不全(“CHF”)の圧力誘導型管理の潜在的可能性のために特に関心のあるものであると言って良い。僧帽弁疾患を患っている多くの患者は、CHFも呈しており、これは、心臓を損傷させ又は弱体化させる未治療の僧帽弁逆流又は他の病態、例えば、冠動脈疾患や心臓発作、高血圧、心筋症、不整脈、及び他の慢性疾患の結果である場合がある。例えばLAP及び/又は肺動脈圧力のようなパラメータをセンサデバイスによりリアルタイムで監視することにより、医師は、CHF患者を効果的に管理し、そして症状が現れる前に病態の悪化をキャッチすることができる。LAP監視はまた、これが僧帽弁逆流の消失に関連しているので(すなわち、逆流の増加によりLAPの増加が生じる)適正な器具機能を監視する手法を提供することができる。
【0018】
僧帽弁修復器具が心室領域内に(例えば、接合構造体上又は内に、クリップ上に又は内に)圧力センサを有する場合、この器具は、左心室圧力(“LVP”)を測定することができる。これは、左心室(“LV”)収縮性(すなわち、LV圧力の変化率又はLV dP/dt)を評価する手段となり、これは、心室機能の重要な指標である。センサデバイスがLVPを検出することができるので、ピーク収縮期動脈圧の正確な尺度もまた提供でき、しかもこのセンサデバイスの能力は、大動脈弁狭窄の指標としての役目を果たすことができる。
【0019】
僧帽弁修復器具が心房領域と心室領域の両方の中に圧力センサを有する場合、この器具は、LVと左心房(“LA”)との差圧を監視するよう構成されるのが良い。心拡張期中、差圧は、僧帽弁狭窄症の早期指標を提供することができ、これに対し、心収縮期中、差圧は、僧帽弁逆流の指標を提供することができる。これら2つの測定値(すなわち、LVP及びLAP)を心周期にわたって注意深く観察することにより、心出力の推定値もまた得られる。
【0020】
幾つかの実施形態では、僧帽弁修復器具は、追加の又は他のセンサを有することができる。例えば、この器具は、器具の動き及び/又は心筋壁の動きを監視することができる1つ又は2つ以上の加速度計及び/又は1つ又は2つ以上のひずみ計を有することができる。もう1つの実施例として、僧帽弁修復器具は、心臓中の音響信号を検出するマイクロホンを有することができ、これら音響信号を分析すると(例えば、遠隔装置のところでの機械学習により)心臓の弁及び室の機能に関する重要な情報を提供することができる。さらにもう1つの実施例として、僧帽弁修復器具は、心周期全体にわたって流れパターンを測定し、そして僧帽弁の逆流の改善度又は悪化度を検出するために結合構造体の心房に向いた側中に組み込まれた流量センサ(例えば、誘導的に電力供給される流量センサ)を有することができる。
【0021】
センサを備えた僧帽弁修復器具の選択された実施形態
図1Aは、本技術の幾つかの実施形態に従って構成された接合支援器具100(「僧帽弁修復器具100」又は「器具100」とも言う)の平面図であり、
図1Bは、本技術の幾つかの実施形態に従って心臓内に埋め込まれた
図1Aの器具100を含む僧帽弁修復・監視システム101(「システム101」)を示している。器具100は、器具100を生まれつきの僧帽弁輪の近くに位置する心組織に固着するよう構成された固定部材102(「心房固定部材102」とも言う)、反対側の上付きの尖に接合するよう構成された接合構造体104、及び心機能及び/又は器具100の機能性と関連した1つ又は2つ以上のパラメータ(例えば、圧力、加速度)を検出する少なくとも1つのセンサ(ここに第1のセンサ106a及び第2のセンサ106bとして示されていて、ひとまとめに「センサ106」と言う)を有する。
図1Bに示されているように、システム101は、センサ106に通信可能に結合された外部装置122をさらに含むのが良い。外部装置122は、技術士、患者、及び/又は患者の介護に携わる他の人が患者の心臓健康状態及び/又は器具性能を監視することができるようにセンサ106にインターロゲートするとともに/あるいはこれに電力供給することができる。
【0022】
固定部材102は、配備状態では長円形又は円形の形状を呈し、血液を通すことができる開放中央ルーメン110を備えた拡張可能なメッシュ構造体108(例えば、ステント)を含むのが良い。メッシュ構造体108は、ニチノール又は他の適当なステント材料で作られたステントであるのが良い。
図1Bに示されているように、固定部材102は、器具100を含む弁輪組織に固定するよう僧帽弁輪の真上に位置する左心房(LA)の壁に適合するよう形作られるのが良い。植え込み後(例えば、3日後、2週間後、1か月後、2か月後)、固定部材102又はその幾つかの部分は、組織の層で覆われるようになっており、この組織内方成長は、器具100を心房壁に永続的にくっつける。固定部材102は、固定具合を高めて組織内方成長を容易にするためにクリート又は他の摩擦要素をさらに有するのが良い。幾つかの実施形態では、固定部材102は、半円形又は生まれつきの弁の周囲に沿ってぐるりと完全には延びていない他の形状を有する。幾つかの実施形態では、固定部材102は、追加的に又は代替的に、副弁輪組織に圧接して副弁輪組織の固定を行う1つ又は2つ以上の部分を有するのが良い。
【0023】
接合構造体104は、全体として下流側の方向に(中央ルーメン110か固定部材102かのいずれかの長手方向軸線に沿って)固定部材102の一部分から遠ざかって延び、接合構造体104の少なくとも一部分は、固定部材102から中央ルーメン110中に半径方向内方に延びて生まれつきの尖の閉鎖位置に近似している。配備状態では、固定部材102に対する接合構造体104の位置は、少なくとも実質的に固定されている。かくして、生まれつきの弁を開閉するよう前後に動く生まれつきの尖とは異なり、接合構造体104は、心拡張期及び心収縮中、静止状態のままである。接合構造体104は、1つ又は2つ以上の生まれつきの尖の少なくとも一部分に接合する滑らかな無外傷性表面を備えた前側部分112、及び別の生まれつきの尖の少なくとも一部分を変位させ、オプションとして、これに係合するよう構成された後ろ側部分114を有するのが良い。
図1Bに示されているように、例えば、接合構造体104は、生まれつきの前尖PLの前で生まれつきの僧帽弁MVの開口部中に延びるのが良く、その結果、前側部分112は、反対側の前尖ALとの接合関係を再び確立するよう位置決めされる。接合構造体104は、フレーム状結合体(例えば、メッシュ構造体、レーザ切断ステントフレーム)を形成するストラット116及びストラット116の少なくとも一部分上に延びて前側部分112のところで接合する滑らかな適当な表面を提供する覆い118(例えば、ファブリック)を有するのが良い。覆い118もまた、後側部分114に沿ってかつ外側の側壁を形成する仕方で前側部分112と後側部分114との間でストラット116上に延びるのが良い。
【0024】
幾つかの実施形態では、器具100は、固定部材102から下流側の方向に延びるとともに/あるいは接合構造体104から接合構造体104によって変位された生まれつきの尖(例えば、後尖PL)の後ろの位置まで延びる1つ又は2つ以上のクリップ109をさらに有するのが良い。クリップ109は、生まれつきの尖をつかむとともに/あるいは器具100の副弁輪安定化のために副弁輪心組織に係合するのが良い。幾つかの実施形態では、例えば、器具100は、後尖PLの中央部分(すなわち、P2)の下で副弁輪空間に至るクリップを有する。
【0025】
器具100は、器具100が僧帽弁まで送達可能に減少断面状態まで圧縮される(例えば、圧着によって)第1の又は送達状態及び器具100が生まれつきの弁に係合可能な大きな断面を有している
図1A及び
図1Bに示された第2の又は配備状態を有する。幾つかの実施形態では、送達状態における器具100の断面寸法は、経中隔方式により血管内送達を容易にするよう20Fr(例えば、16~18Fr)未満である。
【0026】
1つ又は2つ以上のセンサ106は、器具100の種々の部分に結合可能であり、この結合場所は、所望の検出されたパラメータ及びセンサの種類に基づいて選択されるのが良い。
図1A及び
図1Bに示された実施形態では、例えば、第1のセンサ106aは、植え込み後、第1のセンサ106aが左心房LA内に位置するよう固定部材102に結合され、第2のセンサ106bは、これが植え込み後に左心室LV内に位置決めされるよう接合構造体104に結合される。具体的に言えば、第1のセンサ106aは、固定部材102の前側部の心房冠領域120に取り付けられ(例えば、溶接され)、第2のセンサ106bは、接合構造体104のストラット116に取り付けられる(例えば、溶接される)。図示の実施形態では、器具100は、2つのセンサ106を有する。他の実施形態では、器具100は、単一のセンサ106又は3つ以上のセンサ106を有することができる。
【0027】
幾つかの実施形態では、センサ106は、圧力センサ、例えば容量圧力センサである。したがって、
図1A及び
図1Bに示されている構成例では、第1のセンサ106aは、心周期全体を通じてLAPを測定することができ、第2のセンサ106bは、LVPを測定することができる。外部読み取り装置122は、各センサ106と関連したアンテナにより個々のセンサ106への接続を確立することができる。例えば、固定部材102のステントフレーム及び接合構造体104のストラット116は、それぞれ、第1及び第2のセンサ106a,106bのためのアンテナを構成するよう電気メッキされるのが良い。これらのアンテナを用いると、外部読み取り装置122は、センサ106と通信して検出されたセンサデータを得ることができる。
【0028】
容量圧力センサ(例えば、容量微小電気機械システム(“MEMS”)圧力センサ)は、バッテリ又は電気部品を必要とせず、これら容量圧力センサは、器具100が16~20Frの直径になった送達状態内に配置される(例えば、圧着される)のに足るほど小型である。容量圧力センサは、誘導容量タンク(LCタンク)として機能し、したがって、固定誘導素子及び離隔距離が圧力につれて変化する可撓性プレートから成る容量素子を含む。その結果、かかるデバイスの共振周波数は、圧力につれて正確に変化する。遠隔圧力監視を行うかかる容量圧力センサ(例えば、米国ジョージア州アトランタ所在のアボット・ラボラトリーズ(Abbott Laboratories)製のカーディオMEMS(CardioMEMS))は、約15mm×2mm×3.5mmのフットプリントを有する。このサイズ又はこれよりも小型のセンサは、接合構造体104に嵌まり又は嵌まり込むとともに/あるいは心房固定部材102に嵌まることができる。幾つかの実施形態では、誘導素子を器具内のどこかの場所、例えば固定部材102周りに配置することによって容量圧力センサの寸法を減少させることができる。例えば、誘導素子(例えば、コイル)は、固定部材102の心房縁部領域120周りに延びるとともに/あるいは固定部材のステントフレームの心房先端部分124にとりつけられるのが良い。この形態は、刺激を与える外部場(例えば、磁界)への誘導素子の暴露具合を高めることが見込まれる。
【0029】
幾つかの実施形態では、誘導素子は、多数の低抵抗ワイヤ(例えば、金線材)を含むコイルを用いることによって性能が向上され又は最適化されるのが良い。この実施形態では、コイルは、固定部材102及び/又は接合構造体104のステント及びストラットがファラデー箱として作用するのを阻止するために外部電磁刺激場から隔離されるのが良い。例えば、所望の隔離は、誘導素子(例えば、コイル)を、例えば、固定部材102の頂(心房)縁部のところで(例えば、心房冠領域120に沿って)固定部材102の中間又は中央部分から離隔させることによって達成できる。この構成例では、誘導素子は、固定部材フレームからの干渉なしに外部エネルギー(例えば、外部磁界)にさらされるとともにこれによって刺激を受けるのが良い。
【0030】
また、容量センサ106の誘導素子は、固定部材102それ自体のステントによって構成されることが想定される。これは、メッシュ構造体108を電気メッキして(例えば、金メッキして)電気抵抗を減少させるとともに溶接性を増大させることによって達成できる。この実施形態では、メッシュ構造体108のステントは、幾つかの部分を互いに電気的に隔離するようその周囲のある個所のところに2つの端部(例えば、ステントフレームを切断することによって形成される)を有する。例えば、これら端部を互いに電気的に隔離したままにするのを容易にするためにこれら端部は、メッシュ構造体108が接合構造体104に取り付けられる後尖PLの中央領域に対応した場所に位置決めされるのが良い。切断縁部は、圧力センサの容量性部品に連結されるのが良い。
【0031】
外部装置122(「外部ワイヤレス読み取り装置122」や「外部刺激検出装置122」とも言う)は、センサ106にインターロゲートするよう外部アンテナを介してセンサ106と通信するのが良い。センサ106が上述のタンク回路(「LC回路」又は「共振回路」とも言う)を用いて圧力を検出する容量センサである場合、外部装置122は、タンク回路の共振周波数に近い周波数で振動外部磁界を介してタンク回路を刺激するのが良く、その結果生じるタンク回路共振周波数は、外部装置122により検出可能である。共振周波数は、回路のインダクタンス及びキャパシタンスによって決定されるので、検出された共振周波数を用いると、心臓内圧力(例えば、外部装置122及び/又は他のコンピューティングシステムにより処理される)を求めることができる。LC回路の共振周波数は、回路部品自体、例えば僧帽弁修復器具100上のこれらの特徴部及び心臓弁修復器具100それ自体の特徴のインダクタ、キャパシタ、相対位置の仕様に特有である。例えば、幾つかの実施形態では、LC回路の共振周波数は、100kHz~100MHzであるのが良く、小型のインダクタが大型インダクタよりも高い共振周波数を有する。2つ以上のタンク回路が用いられている(例えば、LAPを測定するための器具100の心房部分のところ及びLVPを測定するための器具100の心室部分のところで)場合、タンク回路は、両方の回路(及びかくして両方のセンサ106)に互いに干渉しないで外部装置122によって同時にインターロゲートすることができるようにする著しく異なる周波数で共振するよう設計されるのが良い。変形例として、2つ又は3つ以上の回路に順番に、すなわちインターロゲートしても良く、規定の間隔で(例えば、1~50ミリ秒毎に)回路を交互に実施する。
【0032】
幾つかの実施形態では、外部装置122はまた、センサ106に電力供給するよう用いられるのが良い。例えば、外部装置122は、高周波源を有するのが良く、かかる高周波は、植え込み型センサに10cmの深さで1メートルの距離からでも電力供給することができるよう示してある。他の実施形態では、別個の外部装置がセンサ106のためのエネルギー源を提供することができる。
【0033】
外部刺激・検出装置122は、患者の胸部に巻き付けられたベルト、ベスト、患者の皮膚又は衣服にくっつけられた取り外し可能なパッド、及び/又は僧帽弁修復器具100に十分に近いところに位置決めされてエネルギー(例えば、RF波、超音波)を送って植え込まれた器具100のセンサ106を刺激し、これにインターロゲートし、これを検出するとともに/あるいはこれにワイヤレスで電力供給することができる別の装置によって担持され又はその中に一体化されるのが良い。幾つかの実施形態では、外部刺激・検出装置122は、患者、意志、及び/又は患者の介護に携わる別の当事者によって使用できる別個の手持ち型装置であるのが良い。外部装置122は、センサデータを受け取るよう植え込まれた僧帽弁修復器具のセンサ106と通信するワイヤレス通信検出器(例えば、アンテナ)をさらに有するのが良い。このセンサデータを外部装置122上に局所的に記憶させるのが良くかつ/あるいは別個の装置(例えば、スマートホン、クラウドサービス、別のリモートシステム)に伝送されるのが良い。幾つかの実施形態では、検出器は、この器具とは別であってエネルギーを植え込まれたセンサに送る装置の一部であるのが良い。
【0034】
情報を1つ又は2つ以上のセンサ106からいったん検出すると、データを外部装置122のところで局所的に処理するのが良くかつ/あるいは通信媒体(例えば、Wi-Fi、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth)など)を介して別個の装置(例えば、スマートホン、タブレット、バックエンド処理システム、クラウド、医師と連携した装置)に送信してさらに処理及び/又は通信を行うのが良い。生の又は処理済みデータを用いると、患者の心機能(例えば、LVP、LAP)及び/又は僧帽弁修復器具100の機能性(例えば、器具が期待された通りに動作しているかどうか)と関連した種々のパラメータを評価することができる。情報は、システム101に通信可能に結合された装置、例えば患者のスマートホン又はタブレット上で動作するアプリケーションにより患者に伝送されるのが良い。情報は、追加的に又は代替的に、患者を遠隔的に追跡するために医師及び/又は他の人に送られるのが良い。幾つかの実施形態では、システム101は、追跡されたデータを用い、それにより心機能、全体的な患者の健康状態、及び/又は器具機能性と関連した所定のしきいパラメータに基づいて患者(例えば、スマートホンを介して)及び/又は患者の介護に従事する他の人のための警報を開始することができる。
【0035】
種々の実施形態では、器具100は、上述の容量センサ106に加えて又はこれに代えて、他形式のセンサを有することができる。例えば、器具は、温度を検出する温度センサ126を有することができる。温度センサ126は、バッフル構造体104の外部又は内部、固定部材102の一部分、及び/又は僧帽弁修復器具100の別の部分に取り付けられるのが良い。温度センサ126は、温度及び/又は温度を求めるために使用できるデータを検出することができ、この情報は、植え込まれた僧帽弁修復器具100の周りの温度をリアルタイムで監視するために、外部装置122に(例えば、アンテナを介して)送られるのが良い。別の実施形態では、追加的に又は代替的に、心機能、他の生理学的パラメータ、及び/又は器具機能性と関連した他のパラメータを検出する他のセンサが器具100上に位置決めされ又はこの中に一体化されるのが良い。
【0036】
図2Aは、本技術の幾つかの実施形態に従って構成された接合支援器具200(「器具200」)の平面図であり、
図2Bは、本技術の幾つかの実施形態に係る
図2Aの器具200を含む僧帽弁修復・監視システム201(「システム201」)を示している。
図2Cは、本技術の幾つかの実施形態に従って送達状態にある
図2Aの器具200の平面図である。
図2A~
図2Cのシステム201及び器具200は、
図1A及び
図1Bを参照して上述したシステム101及び器具100の特徴と類似した種々の特徴を有するのが良い。例えば、器具200は、固定部材102、接合構造体104、及び心機能及び/又は器具機能性と関連した1つ又は2つ以上のパラメータを検出するよう構成された少なくとも1つのセンサ206を有する。しかしながら、
図2A~
図2Cに示された実施形態では、センサ206は、より複雑精巧な電子回路を備えた自蔵式センサである。例えば、センサ206は、容量素子と誘導素子の両方を組み込んだ自蔵式圧力センサであるのが良い。
【0037】
図示の実施形態に示されているように、自蔵式センサ206は、圧力(例えば,LAP)を監視するために縫合糸、接着剤、溶接、及び/又は他の結合機構により固定部材102の前側表面に取り付けられるのが良い。他の実施形態では、センサ206は、固定部材102の他の部分及び/又は器具200の他の部分(例えば、接合構造体104)に取り付けられるのが良い。センサマイクロチック及びアンテナは、長期間植え込み性を見込んで生体適合性材料で作られるのが良い。当業者には理解されるように、かかる自蔵式センサは、ほぼ15mm×2mm×3.5mmの寸法を有するのが良い。幾つかの実施形態では、固定部材102は、壁厚が0.25mm~0.5mmの6mm管から切断形成された拡張型ステントであるのが良い。
図2Cに示されているように、かかる寸法により、センサ206が配備状態(例えば、18Fr外径(6mm))に圧縮されたときに固定部材104の内部に嵌まり込むのに十分な内側断面積(例えば、5mm内径)の実現が可能である。これらの実施形態及び他の実施形態では、器具200は、器具200の種々の部分に結合された複数の自蔵式センサ206及び/又は1つ又は2つ以上の形式のセンサ(例えば、LC回路圧力センサ、ひずみ計、マイクロホン、流量センサ、温度センサ)を有するのが良い。
【0038】
図2Bを参照すると、システム201は、器具200に電力供給する素子及び検出されたデータを外部読み取り装置122に送るための伝送器をさらに含むのが良い。このシステム201の電力は、振動外部磁界によって刺激される誘導コイルに起因するのが良い。電力は、変形例として、外部超音波圧力波又は他の源に由来しても良い。この外部電力源は、外部読み取り装置122又は別個の外部装置に組み込まれるのが良い。幾つかの実施形態では、器具200は、外部電力源に加えて又はこれに代えて、電力貯蔵素子、例えばキャパシタ又はバッテリを有するのが良い。例えば、器具200は、これがある特定の期間、例えば1回又は2回以上の心拍の間、センサ206を介して測定したり関連のアンテナを介して送信したりするのに十分なエネルギーを有するまで電力を貯蔵するのが良い。幾つかの実施形態では、アンテナは、センサ106に組み込まれている。幾つかの実施形態では、固定部材102又は接合構造体104はそれ自体、外部読み取り装置122への信号の伝送具合を向上させるためのアンテナとしての役目を果たすことができる。
【0039】
幾つかの実施形態では、センサ206は、圧力監視のための1つ又は2つ以上の表面音響波(“SAW”)センサを含むことができる。SAWセンサは、生体内圧力測定値を検出する上で信頼性があるように示されている。加うるに、SAWセンサは、電力源を必要とせず、長期間安定性を示し、小型であり、そしてセンサの近くに位置決めされた外部装置とワイヤレスで通信することができる。さらに、SAWセンサは、圧力及び温度に対して独立して敏感であるよう構成されているのが良い。
【0040】
図3Aは、本技術の幾つかの実施形態に従って構成された接合支援器具300(「器具300」)の平面図であり、
図3Bは、本技術の幾つかの実施形態に係る
図3Aの器具300を含む僧帽弁修復・監視システム301(「システム301」)を示している。
図3A及び
図3Bのシステム301及び器具300は、
図1A~
図2Cを参照して上述したシステム101,201及び器具100,200の特徴と類似した種々の特徴を有するのが良い。例えば、器具300は、固定部材102、接合構造体104、及び少なくとも1つのセンサ306を有する。
図3A及び
図3Bに示された実施形態では、センサ306は、器具及び/又は心臓の動きを測定する加速度計を含む。加速度計306は、器具の動きを監視し、そして潜在的な器具の破損又は移動を予測するためにバッフル構造体104内に設けられるのが良い。例えば、加速度計306は、バッフル覆い118又はバッフルストラット116(すなわち、接合構造体104のフレーム)に固着されるとともに接合構造体104の本体内に接合構造体104の外方に向いた壁に沿ってかつ/あるいは接合構造体104の別の部分上に位置決めされるのが良い。幾つかの実施形態では、加速度計306は、接合構造体104の壁によって画定された内部コンパートメント内に自由に位置決めされても良い。この実施形態では、器具の植え込み後にコンパートメント内で生じる自然な凝血により、最終的には、自由浮遊性加速度計306が不動化して接合構造体104内の固定された位置を保つ。器具300に加わる心収縮期圧力付加に起因して心周期全体を通じて接合構造体104に生じる僅かな予測可能な量の動き(例えば、矢印Aによって示されている)が生じる。この動きが突然大きくなった場合、これは、器具の運動又は破断を示す場合がある。かくして、加速度計306は、器具破損前に早期の介入を見込んで、かかる運動を検出して潜在的な器具の異常の早期信号を提供することができる。
【0041】
図4A及び
図4Bは、本技術の幾つかの実施形態に従って、それぞれ、心収縮期及び心拡張期中において心臓内に植え込まれた状態で示されている接合支援器具400(「器具400」)を含む僧帽弁修復・監視システム401(「システム401」)を示している。
図4A及び
図4Bのシステム401及び器具400は、
図1A~
図3Bを参照して上述したシステム101,201,301及び器具100,200,300の特徴と類似した種々の特徴を有するのが良い。例えば、器具400は、固定部材102、接合構造体104、及び少なくとも1つのセンサ406を有する。
図4A及び
図4Bに示された実施形態では、器具400は、接合構造体104又は後側クリップ109の後側から延びる付属物428をさらに有し、センサ406は、付属物428によって支持されている。センサ406は、LV壁の動きを検出するために使用できる加速度計であるのが良い。付属物428は、接合構造体104から外方に遠ざかって付勢されるよう形付けられた可撓性ループ又はフレーム構造体430(例えば、ニチノールループ又はステント構造体)を含むのが良く、その結果、付属物428は、LV壁に接触し又はこれに圧接して心周期全体を通じてLV壁と一緒に動くようになっている。ループ/フレーム構造体430は、迅速な組織内方成長を促進するためのファブリック覆い432、例えばPETを有するのが良い。加速度計406は、フレーム構造体430、覆い432に取り付けられるとともに/あるいは付属物428の本体内に位置決めされるのが良く、その結果、加速度計は、隣接の心室壁と共に動いてこれによって与えられる付属物の運動を検出するようになっている。心室壁の動きを用いると、心室機能の変化を評価することができる。幾つかの実施形態では、センサ406は、加速度計ではなくひずみ計であり、あるいは、器具400は、加速度計とひずみ計の両方を有する。ひずみ計は、心臓壁が力を付属物428に加えた時点を検出するようフレーム構造体430及び/又は付属物の他の部分に取り付けられるのが良い。センサ406は、高周波及び/又は提供される他の外部電力源(例えば、
図1Bの外部装置122)によってワイヤレスで電力供給されるのが良い。他の実施形態では、センサ406は、器具400それ自体に設けられた電力源を含むのが良く又はこれに結合されるのが良い。幾つかの実施形態では、器具400は、心組織の運動及び/又は器具の機能性を求めるために器具400の他の部分又は追加の部分に設けられた加速度計、ひずみ計を有するのが良い。
【0042】
図5A及び
図5Bは、本技術の幾つかの実施形態に係る、植え込まれた接合支援器具500(「器具500」)にセンサ506を送達する手技の諸段階を示す側面図である。
図5A及び
図5Bの器具500は、
図1A~
図4Bを参照して上述した器具100,200,300,400の特徴と類似した種々の特徴を有するのが良い。例えば、器具500は、固定部材102、接合構造体104、及び少なくとも1つのセンサ506を有する。上述したように、センサは、送達前に器具に取り付けられ又はこれと一体化されるのが良く、その結果、器具及びセンサは、ユニットとして一緒に僧帽弁の近くの標的部位に送達されるようになっている。しかしながら、
図5A及び
図5Bに示されているように、器具500の本体(例えば、固定部材102及び接合構造体104)及びセンサ506を順次送達することができる。例えば、送達システム536の小型カテーテル534(カテーテル534の遠位端部しか示されていない)中への器具500の詰め込みに対応するために、上述したセンサ部品のうちの任意のものを固定部材102及び接合構造体104が解剖学的構造内の定位置に既に位置した後に配備することができる。
図5Aに示されているように、例えば、固定部材102から送達システム536中に戻るように延びるライン538(例えば縫合糸)は、センサ506を摺動させ、そして器具500に対していったん正しく位置決めされると、定位置にロックさせる「レール」となることができる。
【0043】
上述した植え込み型器具は、経大腿方式及び/又は器具を心臓の室相互間の隔壁中に通す他の方式により送達可能である。植え込み型器具はまた、低侵襲外科的経心尖又は経心房方式により、あるいは開放手術配置方式により送達可能である。カテーテル用送達方式は、人工心臓弁及び/又は心臓修復器具を僧帽弁、大動脈弁、三尖弁、及び/又は心臓の他の部分の近くの標的部位に植え込む種々の送達システムに関する技術的思想を利用することができる。
【0044】
実施態様
本技術の幾つかの観点が以下の実施態様項に記載されている。
〔実施態様項1〕
僧帽弁を修復する接合支援器具であって、上記接合支援器具は、
生まれつきの僧帽弁輪の近くに位置する心組織に圧接するよう構成された心房固定部材を有し、
上記心房固定部材から遠ざかるようかつ該心房固定部材から半径方向内方に延びる接合構造体を有し、上記接合構造体は、心収縮中に第1の生まれつきの尖と接合するよう構成された前側表面及び第2の生まれつきの尖の少なくとも一部分を変位するよう構成された後側表面を有し、上記接合構造体は、心周期中、実質的に静止状態であり、
上記接合支援器具の一部分に取り付けられかつ心機能及び器具機能性のうちの少なくとも1つと関連した1つ又は2つ以上のパラメータを検出するよう構成されているセンサを有する、接合支援器具。
〔実施態様項2〕
上記センサは、上記心房固定部材に結合されかつ心周期中、左心房圧力を検出するよう構成された第1の圧力センサであり、
上記接合支援器具は、上記接合構造体に結合されかつ心周期中、左心室圧力を検出するよう構成された第2の圧力センサをさらに有する、実施態様項1記載の接合支援器具。
〔実施態様項3〕
上記センサは、上記心房固定部材に結合されかつ心周期中、左心房圧力を検出するよう構成された第1の容量圧力センサであり、上記第1の容量圧力センサは、第1の共振周波数を持つ第1のLC回路を有し、
上記接合支援器具は、上記接合構造体に結合されかつ心周期中、左心室圧力を検出するよう構成された第2の容量圧力センサをさらに有し、上記第2の容量圧力センサは、上記第1の共振周波数とは実質的に異なる第2の共振周波数を持つ第2のLC回路を有し、
上記第1及び上記第2のLC回路は、互いに干渉することなく、外部装置によって同時にインターロゲートされるよう構成されている、実施態様項1記載の接合支援器具。
〔実施態様項4〕
上記固定部材は、ワイヤメッシュ構造体を含み、上記ワイヤメッシュ構造体の少なくとも一部分は、電気メッキされており、
上記センサは、上記固定部材の上記ワイヤメッシュ構造体に取り付けられた容量圧力センサから成り、上記ワイヤメッシュ構造体は、信号を外部装置から送受信するための上記容量圧力センサのアンテナを構成している、実施態様項1~3のうちいずれか一に記載の接合支援器具。
〔実施態様項5〕
上記接合構造体は、複数のストラットから成り、上記ストラットの少なくとも一部分は、電気メッキされており、
上記センサは、上記接合構造体の上記ストラットに取り付けられた容量圧力センサから成り、上記ストラットは、信号を外部装置から送受信するための上記容量圧力センサのアンテナを構成している、実施態様項1~4のうちいずれか一に記載の接合支援器具。
〔実施態様項6〕
上記固定部材は、心房縁部領域を有し、
上記センサは、上記心房縁部領域に取り付けられた容量圧力センサであり、上記容量圧力センサは、容量素子及び誘導素子を有し、上記誘導素子は、上記心房縁部領域に沿って延びかつ外部エネルギー源によって刺激されるよう構成されたコイルである、実施態様項1~5のうちいずれか一に記載の接合支援器具。
〔実施態様項7〕
上記固定部材は、電気メッキメッシュ構造体を含み、
上記センサは、上記固定部材に取り付けられた容量圧力センサであり、上記容量圧力センサは、容量素子及び誘導素子を有し、上記電気メッキメッシュ構造体は、上記誘導素子を構成している、実施態様項1~6のうちいずれか一に記載の接合支援器具。
〔実施態様項8〕
上記センサは、上記固定部材の前側表面に取り付けられた自蔵式圧力センサから成る、実施態様項1~7のうちいずれか一に記載の接合支援器具。
〔実施態様項9〕
上記センサに作動的に結合された電力貯蔵素子をさらに有し、上記電力貯蔵素子は、上記電力貯蔵素子が測定値を検出して検出された測定値を内部装置に送信するのに十分なエネルギーを有するまでエネルギーを貯蔵するよう構成されている、実施態様項1~8のうちいずれか一に記載の接合支援器具。
〔実施態様項10〕
上記センサは、上記接合構造体に結合されかつ心周期中、上記接合構造体の運動を検出するよう構成された加速度計から成る、実施態様項1~9のうちいずれか一に記載の接合支援器具。
〔実施態様項11〕
上記接合構造体は、チャンバを構成する複数のストラットから成り、器具送達前に、上記センサは、上記チャンバ内に自由に位置決めされる、実施態様項1~10のうちいずれか一に記載の接合支援器具。
〔実施態様項12〕
上記接合構造体の後側部分から延びる付属物をさらに有し、上記付属物は、上記接合構造体から遠ざかって外方に付勢されかつ左心室壁に接触するよう構成された可撓性フレームを含み、
上記センサは、上記付属物に取り付けられていて上記左心室壁の運動を検出する加速度計から成る、実施態様項1~11のうちいずれか一に記載の接合支援器具。
〔実施態様項13〕
上記センサは、心臓壁運動を検出するよう構成された加速度計及びひずみ計のうちの少なくとも一方を含む、実施態様項1~12のうちいずれか一に記載の接合支援器具。
〔実施態様項14〕
上記センサは、心周期中、音響信号を検出するよう構成されたマイクロホンから成る、実施態様項1~13のうちいずれか一に記載の接合支援器具。
〔実施態様項15〕
上記センサは、上記接合構造体の心房に向いた表面に結合されかつ心周期全体にわたってフローパターンを測定するよう構成された少なくとも1つの流量センサを含む、実施態様項1~14のうちいずれか一に記載の接合支援器具。
〔実施態様項16〕
心臓弁修復・監視システムであって、
弁修復器具を含み、上記弁修復器具は、
心収縮中に第1の生まれつきの尖と接合するよう構成された前側表面及び第2の生まれつきの尖の少なくとも一部分を変位するよう構成された後側表面を備えた接合構造体を有し、
上記接合構造体に結合されかつ上記接合構造体を生まれつきの心臓弁輪の近くに固定するよう構成された固定部材を有し、上記接合構造体は、心周期中、上記固定部材に対して実質的に静止状態であり、
心周期中、圧力を検出するよう構成された圧力センサを有し、
検出したデータをワイヤレスで受信するよう上記圧力センサにインターロゲートするよう構成された外部刺激・検出装置を含む、心臓弁修復・監視システム。
〔実施態様項17〕
上記外部刺激・検出装置は、上記圧力センサに電力供給するよう構成されている、実施態様項16記載の心臓弁修復・監視システム。
〔実施態様項18〕
上記圧力センサは、上記固定部材に結合されかつ心周期中、左心房圧力を検出するよう構成された第1の容量圧力センサであり、上記第1の容量圧力センサは、第1の共振周波数を持つ第1のLC回路を有し、
上記弁修復器具は、上記接合構造体に結合されかつ心周期中、左心室圧力を検出するよう構成された第2の容量圧力センサをさらに有し、上記第2の容量圧力センサは、上記第1の共振周波数とは実質的に異なる第2の共振周波数を持つ第2のLC回路を有し、
上記第1及び上記第2のLC回路は、互いに干渉することなく、外部装置によって同時にインターロゲートされるよう構成されている、実施態様項16又は17記載の心臓弁修復・監視システム。
〔実施態様項19〕
上記第1の容量圧力センサは、第1の共振周波数を持つ第1のLC回路を有し、
上記第2の容量圧力センサは、上記第1の共振周波数とは実質的に異なる第2の共振周波数を持つ第2のLC回路を有し、
上記外部刺激・検出装置は、上記第1回路と上記第2のLC回路に同時にインターロゲートするよう構成されている、実施態様項18記載の心臓弁修復・監視システム。
〔実施態様項20〕
上記固定部材が配備された後に上記センサを上記固定器具まで送達するよう構成された送達システムをさらに含む、実施態様項16~19のうちいずれか一に記載の心臓弁修復・監視システム。
〔実施態様項21〕
上記固定部材は、ワイヤメッシュ構造体を含み、
上記接合構造体は、複数のストラットから成り、
上記ワイヤメッシュ構造体及び上記複数のストラットのうちの少なくとも一方は、上記外部刺激・検出装置と通信する上記圧力センサ用のアンテナを構成している、実施態様項16~20のうちいずれか一に記載の心臓弁修復・監視システム。
〔実施態様項22〕
上記接合構造体に結合されかつ心周期中、上記接合構造体の運動を検出するよう構成された加速度計をさらに有する、実施態様項16~21のうちいずれか一に記載の接合支援器具。
〔実施態様項23〕
上記弁修復器具は、
上記接合構造体の後側部分から延びる付属物を有し、上記付属物は、上記接合構造体から遠ざかって外方に付勢されかつ心室壁に接触するよう構成され、
上記付属物に取り付けられていて心周期中、上記心室壁の運動を検出する加速度計を有する、実施態様項16~22のうちいずれか一に記載の接合支援器具。
〔実施態様項24〕
生まれつきの僧帽弁を監視する方法であって、上記方法は、
僧帽弁修復器具の固定部材を心臓の左心房に配備して上記固定部材が上記左心房中の心組織に圧接するようにするステップと、
上記僧帽弁修復器具の接合構造体を配備して上記接合構造体が第1の生まれつきの尖を変位させるとともに心収縮期中、第2の生まれつきの尖に接合するようにするステップと、
外部装置を介して上記僧帽弁修復器具の圧力センサにインターロゲートして心周期中、圧力データを受け取るステップと、を含む、方法。
〔実施態様項25〕
上記固定部材の配備後、上記圧力センサを送達システムから上記固定部材まで延びる縫合糸に沿って摺動させるステップと、
上記圧力センサを上記配備された固定部材に結合するステップと、をさらに含む、実施態様項24記載の方法。
〔実施態様項26〕
心周期中、加速度計及び/又はひずみ計により左心室壁の運動を検出するステップをさらに含む、実施態様項24又は25記載の方法。
【0045】
結論
本技術の実施形態の上述の説明は、網羅的ではなく、あるいは本技術を上記において開示した形態そのものに限定するものではない。本技術の特定の実施形態及び実施態様を例示目的で上述したが、当業者であれば理解されるように、種々の均等な改造が本技術の範囲内で可能である。例えば、ステップが所与の順序で提供されているが、変形実施形態は、ステップを異なる順序で実施することができる。本明細書において説明した種々の実施形態はまた、別の実施形態を提供するよう組み合わせ可能である。
【0046】
上記のことから、本技術の特定の実施形態が例示目的で本明細書において説明されているが、周知の構造及び機能は、本技術の実施形態の説明を不必要に不明瞭にするのを避けるために細部が示されておらず又は説明されていない。文脈上許容される場合、単数形又は複数形の用語は、それぞれ、複数形又は単数形の用語を含むことができる。
【0047】
さらに、用語「又は」が2つ又は3つ以上のアイテムのリストを参照して他のアイテムから排除される単一のアイテムのみを意味しているものと明示的に限定されていない限り、かかるリストにおける「又は」の使用は、(a)リスト中の任意の単一のアイテム、(b)リスト中のアイテムの全て、又は(c)リスト中のアイテムの任意の組み合わせを含むものと解されるべきである。加うるに、原文明細書において用いられている“comprising”(訳文では、「~を有する」としている場合が多い)は、少なくとも列記された特徴を含むものとして意味するよう明細書全体を通じて用いられており、したがって、任意の多数の同一の特徴及び/又は追加の種類の他の特徴があらかじめ排除されない。また、理解されるように、特定の実施形態を例示目的で本明細書において説明したが、本技術から逸脱することなく種々の改造を行うことができる。さらに、本技術のある特定の実施形態と関連した利点をこれらの実施例の関連で説明したが、他の実施形態もまた、かかる利点を奏することができ、必ずしも全ての実施形態が本技術の範囲に属するかかる利点を奏する必要はない。したがって、開示内容及び関連の技術は、本明細書において明示的に図示されておらず又は説明されていない他の実施形態を含むことができる。
【国際調査報告】