(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-11
(54)【発明の名称】水性媒質中、1,4-ソルビタンを調製する方法
(51)【国際特許分類】
C07D 307/20 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
C07D307/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541299
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(85)【翻訳文提出日】2021-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2020051059
(87)【国際公開番号】W WO2020148404
(87)【国際公開日】2020-07-23
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/071900
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521313854
【氏名又は名称】ロンザ・グワンジョウ・ファーマシューティカル・リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】502336151
【氏名又は名称】ロンザ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,ジエピン
(72)【発明者】
【氏名】パラディース,ゲザ
(72)【発明者】
【氏名】ワイラー,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】シェラー,ディーター
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ヤンリン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,シャオロン
(72)【発明者】
【氏名】ジアン,ウェイチュン
(72)【発明者】
【氏名】ジュウ,レタ
【テーマコード(参考)】
4C037
【Fターム(参考)】
4C037DA07
(57)【要約】
本発明は、水性媒質中、D-ソルビトールの脱水により1,4-ソルビタンを調製する方法であって、1当量の水を除去して環化を生じさせ、続いて、エタノールとイソプロパノールで処理する方法を開示するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つの連続したステップSTEP1、STEP2、およびSTEP3を用いて、1,4-ソルビタンを調製する方法であって、
STEP1において、D-ソルビトールが、p-トルエンスルホン酸およびテトラブチルアンモニウムブロミドの存在下、脱水反応DEHYDREAC中に脱水されて、STEP1が混合物MIX1を与え;
STEP2において、エタノールがMIX1と混合されて、STEP2が混合物MIX2を与え;
STEP3において、イソプロパノールがMIX2と混合されて、STEP3が混合物MIX3を与え;
D-ソルビトールが、D-ソルビトールと水との混合物の形態でSTEP1に使用される方法。
【請求項2】
TBABが、水とTBABとの混合物としてSTEP1に使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
STEP1が、3つのステップSTEP1A、STEP1B、およびSTEP1Cを含み;
STEP1Aにおいて、D-ソルビトールと水との混合物、TBAB、およびp-トルエンスルホン酸が投入されて、混合物MIXT1Aが得られ;
STEP1Bにおいて、水が、蒸留DIST1AにおいてMIX1Aから蒸留除去されて、混合物MIX1Bが得られ;
STEP1Cにおいて、MIX1Bが撹拌されて、MIX1が得られる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
STEP1Aにおいて、すべての水がMIX1Aから蒸留除去される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
STEP1Cにおいて、MIX1Bの撹拌が温度TEMP1Cで行われ;
TEMP1Cが、80℃から120℃である、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
有機溶媒が、DEHYDREACに存在しない、またはDEHYDREACに使用されない、請求項1から5のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項7】
DEHYDREAC中のp-トルエンスルホン酸のモル当量が、D-ソルビトールのモル当量の0.2から1.6%である、請求項1から6のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項8】
DEHYDREAC中のテトラブチルアンモニウムブロミドのモル当量が、D-ソルビトールのモル当量の1から3%である、請求項1から7のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項9】
STEP2において混合されるエタノールの重量が、D-ソルビトールの重量の0.2倍から5倍である、請求項1から8のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項10】
STEP2において混合されるイソプロパノールの重量が、D-ソルビトールの重量の0.2倍から5倍である、請求項1から9のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項11】
STEP2が、60℃から90℃の温度TEMP2で行われる、請求項1から10のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項12】
MIX2が透明な溶液である、請求項1から11のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項13】
1,4-ソルビタンの種結晶がMIX2に加えられる、請求項1から12のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項14】
STEP3におけるイソプロパノールとMIX2との混合が、20℃から70℃の温度TEMP3-1で行われる、請求項1から13のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項15】
イソプロパノールとMIX2との混合後、STEP3が、-5℃から10℃の温度TEMP3-2でのMIX3の撹拌STIRR3を含む、請求項1から14のいずれか一項以上に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性媒質中、D-ソルビトールの脱水により1,4-ソルビタンを調製する方法であって、1当量の水を除去して環化を生じさせ、続いて、エタノールとイソプロパノールで処理する方法を開示するものである。
【背景技術】
【0002】
1,4-ソルビタンは、医薬品、例えばある種のプロスタグランジン類似体の製造や、医薬品、例えばポリソルベート80の製剤化に使用される賦形剤の製造に使用されている。
【0003】
S.Stolzberg,J.Am.Chem.Soc.,1946,68,919-921には,濃硫酸と水の存在下、約140℃で30分間、ソルビトール100gを脱水することにより、1,4-ソルビタンを調製する方法が開示されており、この方法は、最終ステップとしてイソプロパノールからの再結晶化ステップを有し、報告された収量は33g;計算されたモル収率は36.6%である。
【0004】
中国特許第CN101948451A号には、高純度の1,4-ソルビタンを調製する方法が開示されており、この方法は、ソルビトールを原料として、2回の脱水と3回の結晶化に通すことを特徴としている。2回目の脱水の後にはすでに、中和させるために反応混合物に塩基が加えられ、次いで反応混合物がろ過されて、2回目の脱水反応中に使用された酸触媒が除去され、活性炭を加えることにより脱色が行われるが、これには、活性炭を除去するために再びろ過が必要である。結晶化はメタノールを用いて行われ、各結晶化ステップの後には、ろ過が行われる。1,4-ソルビタンの含有量は、脱色後に73.7%、1回目の結晶化後に87%、2回目の結晶化後に94%、そして3回目の結晶化後に99.2%である。脱色後の収率は70%、3回の結晶化後の収率は19%であったので、全体としての収率は13%であった。
【0005】
医薬用途向け、または医薬用途における化合物のいかなる使用にも、定められた純度、そして通常は高純度も要求される。
【0006】
高収率、高純度で、イソソルビドまたはD-ソルビトールの含有量が少ない1,4-ソルビタンを調製する方法への要望が存在していたが、その方法は、可能な限り経済的であること、例えばろ過などのステップ数が少ない、または使用される異なる化学物質の数が少ないのが望ましく、またその方法は、「ワンポットで」行うのに適していることが望ましく、これは、1つの反応器のみが使用できることを意味している。
【0007】
意外なことに、高収率、高純度で、イソソルビドの含有量が少なく、D-ソルビトールの含有量が少ない方法が見いだされており、この方法は、経済的で、ろ過などのステップ数が少なく、使用する異なる化学物質の数も少ないものである。この方法は、1つの反応器で行うことができる。
【0008】
略語
equiv,eq 当量
イソソルビド 化学式(3)の化合物、MW 146,1g/mol、CAS登録番号 652-67-5
【化1】
1,4-ソルビタン 化学式(1)の化合物、MW 164,2g/mol、CAS登録番号 27299-12-3
【化2】
D-ソルビトール 化学式(2)の化合物、MW 182.2g/mol、CAS登録番号 50-70-4
【化3】
MW 分子量
TBAB テトラブチルアンモニウムブロミド
% パーセントは、特に記載がない場合、重量パーセント(wt%)である
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】中国特許第101948451号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】S.Stolzberg,J.Am.Chem.Soc.,1946,68,919-921
【発明の概要】
【0011】
本発明の対象は、3つの連続したステップSTEP1、STEP2、およびSTEP3を用いて、1,4-ソルビタンを調製する方法であり、
STEP1において、D-ソルビトールが、p-トルエンスルホン酸およびテトラブチルアンモニウムブロミドの存在下、脱水反応DEHYDREAC中に脱水されて、STEP1が混合物MIX1を与え;
STEP2において、エタノールがMIX1と混合されて、STEP2が混合物MIX2を与え;
STEP3において、イソプロパノールがMIX2と混合されて、STEP3が混合物MIX3を与え;
D-ソルビトールが、D-ソルビトールと水との混合物の形態でSTEP1に使用される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましくは、D-ソルビトールは、D-ソルビトールと水との混合物の形態で、STEP1に使用され投入される。
【0013】
STEP1に使用されるD-ソルビトールと水との混合物は、水中、D-ソルビトールの溶液または懸濁物とすることができる。
【0014】
好ましくは、D-ソルビトールは、D-ソルビトールと水との混合物としてSTEP1に使用され、D-ソルビトールの含有量は、20から80wt%の、より好ましくは40から80wt%の、さらに好ましくは60から80wt%の、特に65から75wt%の、具体的には70wt%のD-ソルビトールであり、wt%は、D-ソルビトールと水との混合物の全重量を基準とする。
【0015】
好ましくは、TBABは、TBABと水との混合物としてSTEP1に使用される。より好ましくは、TBABは、TBABと水との混合物としてSTEP1に使用され、そしてそのステップにおいて投入される。
【0016】
TBABと水との混合物は、水中、TBABの溶液または懸濁物とすることができる。
【0017】
より好ましくは、TBABは、TBABと水との混合物としてSTEP1に使用され、TBABの含有量は、20から80wt%の、さらに好ましくは40から80wt%の、特に60から80wt%の、さらには特に60から75wt%の、さらには特に60から70wt%の、具体的には65wt%のTBABであり、wt%は、TBABと水との混合物の全重量を基準とする。
【0018】
好ましくは、STEP1は、3つのステップSTEP1A、STEP1B、およびSTEP1Cを含む。
STEP1Aにおいて、D-ソルビトールと水との混合物、TBAB、およびp-トルエンスルホン酸が混合され、混合物MIXT1Aが得られ;
STEP1Bにおいて、水が、蒸留DIST1A中にMIX1Aから蒸留除去されて、混合物MIX1Bが得られ;
STEP1Cにおいて、MIX1Bが撹拌されて、MIX1が得られる。
【0019】
MIX1Aは、D-ソルビトール、TBAB、および水を含む。
【0020】
好ましくは、DIST1Aは、40℃から100℃の、より好ましくは50℃から90℃の、さらに好ましくは55℃から85℃の、具体的には60℃から80℃の温度TEMP1Aで行われる。
【0021】
好ましくは、DIST1Aは、減圧PRESS1Aで行われ;PRESS1Aは、DIST1AがTEMP1Aで行われるようにして調整される。
【0022】
好ましくは、STEP1Aにおいては、すべての水がMIX1Aから蒸留除去される。
【0023】
好ましくは、DIST1Aは、すべての水がMIX1Aから蒸留除去されるまで、そのような時間の間、行われる。
【0024】
好ましくは、STEP1Cにおいては、MIX1Bの撹拌が温度TEMP1Cで行われ;TEMP1Cは、80℃から120℃である。
【0025】
好ましくは、TEMP1Cは、90℃から110℃であり、より好ましくは100℃から110℃であり、具体的には105℃である。
【0026】
好ましくは、STEP1Cにおいては、MIX1Bの撹拌は、MIX1を与える時間TIME1Cの間、行われ、TIME1Cは、2から10時間である。
【0027】
好ましくは、TIME1Cは、4から8時間、より好ましくは5から7時間、具体的には6時間である。
【0028】
好ましくは、TIME1Cの間の撹拌は、減圧PRESS1C下で行われ;一実施形態では、PRESS1Cは、選択されたTEMP1Cで還流条件のもと撹拌されて撹拌が行われるように調整され、別の実施形態では、PRESS1Cは、40から100ミリバール、より好ましくは40から60ミリバール、具体的には50ミリバールである。
【0029】
好ましくは、TIME1Cの後、圧力は、窒素の挿入によってPRESS1Cから大気圧に戻される。
【0030】
好ましくは、STEP2、STEP3、およびSTEP4は、大気圧で行われる。
【0031】
好ましくは、p-トルエンスルホン酸は、p-トルエンスルホン酸一水和物の形態で使用され;したがって、p-トルエンスルホン酸に言及のあるいずれの実施形態においても、好ましい実施形態は、p-トルエンスルホン酸一水和物である。
【0032】
DEHYDREACは、STEP1Bにおいて、STEP1Cにおいて、またはその両方において行われ;
好ましくは、DEHYDREACは、STEP1Bにおいて行われるが、STEP1Cにまで及ぶものとすることもできる。
【0033】
好ましくは、いかなる有機溶媒も、より好ましくは水を除くいかなる溶媒も、DEHYDREAC中には存在しない、またはDEHYDREACに使用されない。
【0034】
好ましくは、いかなる有機溶媒も、より好ましくは水を除くいかなる溶媒も、STEP1においては存在しない、またはSTEP1に使用されない。
【0035】
好ましくは、DEHYDREAC中には、D-ソルビトール、p-トルエンスルホン酸、およびテトラブチルアンモニウムブロミドである3つの構成成分のみがDEHYDREACに使用され投入され、D-ソルビトールは、D-ソルビトールと水との混合物の形態で使用され投入され、より好ましくはTBABもまた、TBABと水との混合物の形態で使用され投入される。
【0036】
好ましくは、DEHYDREAC酸中のp-トルエンスルホン酸のモル当量は、D-ソルビトールのモル当量の、0.2から1.6%、より好ましくは0.4から1.4%、さらに好ましくは0.6から1.2%、特に0.6から1.0%、さらには特に0.8から1.0%、具体的には0.9%である。
【0037】
好ましくは、DEHYDREAC酸中のテトラブチルアンモニウムブロミドのモル当量は、D-ソルビトールのモル当量の、1から3%、より好ましくは1.2から2.5%、さらに好ましくは1.4から2%、特に1.6から1.8%、具体的には1.7%である。
【0038】
好ましくは、STEP2において混合されるエタノールの重量は、D-ソルビトールの重量の、0.2から5倍、より好ましくは0.2から2倍、さらに好ましくは0.2から1倍、特に0.2から0.8倍、さらには特に0.2から0.6倍、さらは特に0.3から0.5倍、具体的には0.4倍である。
【0039】
好ましくは、STEP2において混合されるイソプロパノールの重量は、D-ソルビトールの重量の、0.2から5倍、より好ましくは0.2から2倍、さらに好ましくは0.2から1倍、特に0.2から0.8倍、さらには特に0.2から0.6倍、さらには特に0.3から0.5倍、具体的には0.4倍である。
【0040】
好ましくは、STEP2は、60℃から90℃の、より好ましくは60℃から85℃の、さらに好ましくは65℃から80℃の、具体的には70℃から75℃の温度TEMP2で行われる。
【0041】
好ましくは、STEP1は、DEHYDREACの後、好ましくはSTEP1Cの後の冷却COOL1を含み、MIX1がTEMP1CからTEMP2まで冷却される。
【0042】
好ましくは、COOL1は、時間TIME1-2をかけて行われ、TIME1-2は、10分から10時間、より好ましくは15分から5時間、さらに好ましくは15分から2時間、特に20分から1.5時間、さらには特に30分から60分、具体的には45分である。
【0043】
STEP1がCOOL1を含み、SETP1CがPRESS1Cで行われた場合には、COOL1の前、間、または後に、圧力をPRESS1Cから大気圧に戻すことができる。
【0044】
好ましくは、エタノールとMIX1との混合後、STEP2が、時間TIME2-1の間のMIX2の撹拌STIRR2を含み、TIME2-1は、30分から10時間、より好ましくは1から8時間、さらに好ましくは1から6時間、特に1から4時間、さらには特に1.5から3時間、具体的には2時間である。
【0045】
好ましくは、STIRR2はTEMP2で行われる。
【0046】
好ましくは、MIX2には1,4-ソルビタンの種結晶が加えられ;
好ましくは、0.1から2wt%、より好ましくは0.2から1.5wt%、さらに好ましくは0.3から1wt%、特に0.4から0.7wt%、具体的には0.5wt%の1,4-ソルビタンの種結晶が加えられ、wt%はD-ソルビトールの重量を基準にしており;
好ましくは、1,4-ソルビタンの種結晶は、STIRR2の後にMIX2に加えられる。
【0047】
好ましくは、MIX2は、透明な溶液であり;
より好ましくは、MIX2は、1,4-ソルビタンの種結晶を加える前には透明な溶液であり;
より好ましくは、STIRR2の後のMIX2は、透明な溶液であり;
さらに好ましくは、STIRR2後、MIX2に1,4-ソルビタンの種結晶を加える前のMIX2は、透明な溶液である。
【0048】
好ましくは、STEP3におけるイソプロパノールとMIX2との混合は、20℃から70℃の、より好ましくは30℃から60℃の、さらに好ましくは40℃から55℃の、具体的には45℃から50℃の温度TEMP3-1で行われる。
【0049】
好ましくは、エタノールとMIX1との混合の後、STEP2は、冷却COOL2を含み、MIX2がTEMP1CまたはTEMP2からTEMP3-1まで冷却される。
【0050】
好ましくは、COOL2は、STIRR2の後に行われる。
【0051】
より好ましくは、COOL2は、MIX2に1,4-ソルビタンの種結晶を加えた後に行われる。
【0052】
好ましくは、COOL2は、TEMP2からTEMP3-1まで行われる。
【0053】
好ましくは、STEP2は、STIRR2と、MIX2に1,4-ソルビタンの種結晶を加えることと、COOL2とを含み、COOL2は、MIX2に1,4-ソルビタンの種結晶を加えた後に行われる。
【0054】
好ましくは、COOL2は、時間TIME2-2をかけて行われ、TIME2-2は1から10時間、より好ましくは1から8時間、さらに好ましくは1から6時間、特に1から4時間、さらには特に1から3時間、具体的には2時間である。
【0055】
好ましくは、1,4-ソルビタンの種結晶は、STIRR2の後、COOL2の前にMIX2に加えられる。
【0056】
好ましくは、STEP2において使用されるエタノールの量は、MIX1とのエタノールの混合後に、エタノール中、1,4-ソルビタンの透明な溶液が、好ましくはTEMP2で得られるような量であり;
好ましくは、エタノールの量は、前記透明な溶液が、TEMP2でエタノール中、1,4-ソルビタンの透明な溶液であるような、そしてTEMP2を下回る温度、好ましくは例えばTEMP3-2、より好ましくは例えばTEMP3-1でエタノール中、1,4-ソルビタンの過飽和溶液であるような量であり;
より好ましくは、エタノールの量は、前記透明な溶液が、TEMP2でエタノール中、1,4-ソルビタンの過飽和溶液であるような量である。
【0057】
好ましくは、前記透明な溶液は、STIRR2の後に得られ;より好ましくは、STIRR2の後、且つMIX2に1,4-ソルビタンの種結晶を加える前に得られる。
【0058】
好ましくは、エタノールの量は、COOL2の間に結晶化が開始するような量であり;
より好ましくは、エタノールの量は、
●エタノールとMIX1との混合の後、エタノール中、1,4-ソルビタンの透明な溶液が、好ましくはTEMP2で得られるような;且つ
●結晶化がCOOL2の間に始まるような;
量であり、
さらに好ましくは、エタノールの量は、
●エタノールとMIX1との混合の後、エタノール中、1,4-ソルビタンの透明な溶液が、好ましくはTEMP2で得られるような;且つ
●前記透明な溶液が、TEMP2でエタノール中、1,4-ソルビタンの透明な溶液であるような、そしてTEMP2を下回る温度、好ましくは例えばTEMP3-2、より好ましくは例えばTEMP3-1でエタノール中、1,4-ソルビタンの過飽和溶液であるような;且つ
●結晶化がCOOL2の間に始まるような、
量である。
【0059】
好ましくは、COOL2後のMIX2は、懸濁物である。
【0060】
好ましくは、イソプロパノールとMIX2との混合後、STEP3は、-5℃から10℃の、より好ましくは-2.5℃から7.5℃の、さらに好ましくは-1℃から6℃の、具体的には0℃から5℃の温度TEMP3-2へのMIX3の冷却COOL3を含む。
【0061】
好ましくは、COOL3は、時間TIME3-1をかけて行われ、TIME3-1は、1から10時間、より好ましくは1から8時間、さらに好ましくは1から6時間、特に2から6時間、さらには特に2から4時間、具体的には3時間である。
【0062】
好ましくは、イソプロパノールとMIX2との混合の後、STEP3は、MIX3の撹拌STIRR3を含む。
【0063】
好ましくは、STIRR3はTEMP3-2で行われる。
【0064】
好ましくは、STIRR3は、時間TIME3-2の間行われ、TIME3-2は、1から12時間、より好ましくは1から10時間、さらに好ましくは1から8時間、特に2から6時間、さらには特に3から5時間、具体的には4時間である。
【0065】
好ましくは、STIRR3はCOOL3の後に行われる。
【0066】
より好ましくは、STIRR3はCOOL3の後に行われ、STIRR3はTEMP3-2の間、行われる。
【0067】
好ましくは、MIX3は懸濁物である。
【0068】
好ましくは、本方法はSTEP4を含み、STEP4はSTEP3の後に行われ、STEP4において1,4-ソルビタンがMIX3から単離される。
【0069】
STEP4におけるMIX3からの1,4-ソルビタンの単離は、当業者に公知のいずれかの手段、例えば、MIX3中のいずれかの液体の蒸発、ろ過、遠心分離、乾燥、またはそれらの組み合わせによって行うことができ、好ましくは、単離は、ろ過によって行われる。
【0070】
好ましくは、1,4-ソルビタンは、STEP4において、ろ過によってMIX3から単離されてプレスケーキが得られ、好ましくはその後、プレスケーキをイソプロパノールで洗浄し、好ましくはその後、洗浄されたプレスケーキを乾燥させ、好ましくは、乾燥は、30℃から70℃の温度、より好ましくは35℃から65℃の温度、さらに好ましくは40℃から60℃の温度、具体的には45℃から55℃の温度で行う。
【0071】
一実施形態では、
STEP1は、DEHYDREACおよびCOOL1を順次含み;
STEP2は、エタノールの混合後、STIRR2およびCOOL2を順次含み;
STEP3は、イソプロパノールの混合後、COOL3およびSTIRR3を順次含み;
好ましくは、
STEP1は、STEP1A、STEP1B、STEP1CおよびCOOL1を順次含み;
STEP2は、エタノールの混合後、STIRR2およびCOOL2を順次含み;
STEP3は、イソプロパノールの混合後、COOL3およびSTIRR3を順次含む。
より好ましくは、
STEP1は、STEP1A、STEP1B、STEP1C、およびCOOL1を順次含み;
STEP2は、エタノールの混合の後、STIRR2と、MIX2に1,4-ソルビタンの種結晶を加えることと、COOL2とを順次含み;
STEP3は、イソプロパノールの混合の後、COOL3およびSTIRR3を順次含む。
【0072】
好ましくは、STEP1、STEP2およびSTEP3は、同一反応器で順次行われる。
【実施例】
【0073】
材料
材料は、別途記載がない場合、以下の品質のものを使用した。
TsOH-H2O 99wt%
エタノール 99wt%
イソプロパノール 99wt%
【0074】
GC法
機器パラメータ
カラム DB-1 HT(30m×0.25mm×0.1μm) アジレント・テクノロジーズ(Agilent Technologies)、サンタクララ、米国
温度プログラム:
初期;時間 100℃;0分
レート1;ファイナル1;時間1 8℃/分;350℃;保持 10分
ランタイム 41.25分
平衡化時間 0.5分
モード 一定流量
キャリアガス H2
流量 1.5ml/分
スプリット比 10:1
入口温度 350℃
注入体積 1マイクロリットル
検出器温度 350℃
【0075】
試料の調製
試料ストック溶液
試料2gを、スクリューキャップボトル(25mL)中、ピリジン5mlと無水酢酸10mlに加え、撹拌下で120℃まで2時間、加熱する。
【0076】
試料溶液
試料ストック溶液0.5mlを、ジクロロメタン1mlの入ったオートサンプラー・バイアル(autosampler vial)に加えて混合する。
1,4-ソルビタンが約12.3分で検出される。
【0077】
実施例1
70wt%のD-ソルビトールを含む水溶液500gを反応器Aに投入し、次いでp-トルエンスルホン酸一水和物3.17gを投入し、次いで65wt%のTBABを含む水溶液16.52gを投入した。次いで、減圧下60から80℃で、真空度を徐々に上げることにより、水がすべて蒸留除去されるまで、水を蒸留除去した。この反応混合物を、50ミリバールの減圧下、105℃、300rpmで6時間、撹拌した。次いで、N2を1バールまで挿入して真空を破った。
【0078】
混合物を約45分かけて、70℃から75℃の温度に冷却した。141.61gのEtOHを投入した。混合物を70℃から75℃で2時間、撹拌した。透明な溶液が得られた。1,4-ソルビタンの種結晶1.58gを投入した。混合物を2時間以内に45℃から50℃の温度に冷却した。45℃から50℃の温度に冷却するこの時間の間に結晶化が始まった。141.44gのi-PrOHを投入した。混合物を3時間以内に0℃から5℃の温度に冷却した。混合物を0℃から5℃で4時間、撹拌した。混合物をろ過した。プレスケーキを141.44gのi-PrOHで洗浄した。このプレスケーキを真空下、45℃から55℃で20時間、乾燥させた。141.95gの1,4-ソルビタンが得られた。収率は45%であった。
【0079】
GC面積-%:
1,4-ソルビタン 97.9%
イソソルビド 0.09%
D-ソルビトール 0.10%
【国際調査報告】