(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-11
(54)【発明の名称】自動車用のイーサネットプラグインコネクタ、及び、イーサネットプラグインコネクタを備えたプラグインコネクタ装置
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6582 20110101AFI20220304BHJP
H01R 13/42 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
H01R13/6582
H01R13/42 H
H01R13/42 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021542462
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(85)【翻訳文提出日】2021-09-21
(86)【国際出願番号】 EP2019087054
(87)【国際公開番号】W WO2020151896
(87)【国際公開日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】102019200713.9
(32)【優先日】2019-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス クレーマー
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA09
5E021FA16
5E021FB07
5E021FB20
5E021FC21
5E021FC36
5E021GB02
5E021LA06
5E021LA10
5E021LA15
5E021LA21
5E087EE02
5E087EE07
5E087FF08
5E087FF13
5E087FF18
5E087GG14
5E087GG17
5E087HH01
5E087JJ08
5E087MM05
5E087QQ04
5E087RR03
5E087RR06
(57)【要約】
本発明は、差込方向(E)に沿って相手側プラグインコネクタ(100)と差込結合するための、自動車用のイーサネットプラグインコネクタ(1)に関する。イーサネットプラグインコネクタ(1)は、少なくとも2つのコンタクトチャンバ(3a、3b)を有するプラグインコネクタハウジング(2)と、シールド薄板(20)とを備える。各コンタクトチャンバ(3a、3b)内にコンタクト部材(4a、4b)が配置されていて、各コンタクト部材(4a、4b)内に相手側コンタクト部材(60a、60)を差込可能である。各コンタクト部材(4a、4b)において差込方向(E)に関してその後方の端部に、導体(30a、30b)が取り付けられている。コンタクト部材(4a、4b)に取り付けられた導体(30a、30b)は、差込方向(E)に関して後方の区間において1つのイーサネットケーブル(65)として統合されていて、シールド導体(62)によって取り囲まれており、シールド薄板(20)は、プラグインコネクタハウジング(2)の大部分を取り囲んでいる。シールド薄板(20)は接続手段(21)を有し、シールド薄板(20)は、接続手段(21)によってイーサネットケーブル(65)のシールド導体(62)に電気的に接続されている。差込方向(E)に関してシールド薄板(20)の前方の区間(23)に、シールド相手側コンタクト部材(61a、61b)を接触接続させるための少なくとも1つのコンタクトブレード(25a、25b)が配置されており、少なくとも1つのコンタクトブレード(25a、25b)は、少なくとも1つのコンタクトブレード(25a、25b)が、シールド薄板(20)の第1の壁部(27)とプラグインコネクタハウジング(2)との間に少なくとも部分的に配置されているように、シールド薄板(20)により取り囲まれた空間(24)内に折り曲げられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
差込方向(E)に沿って相手側プラグインコネクタと差込結合するための、自動車用のイーサネットプラグインコネクタであって、前記イーサネットプラグインコネクタ(1)は、
少なくとも2つのコンタクトチャンバ(3a、3b)を有するプラグインコネクタハウジング(2)と、
シールド薄板(20)と、
を備え、
各コンタクトチャンバ(3a、3b)内にコンタクト部材(4a、4b)が配置されていて、各コンタクト部材(4a、4b)内に相手側コンタクト部材(60a、60)を差込可能であり、
各コンタクト部材(4a、4b)において、前記差込方向(E)に関して前記コンタクト部材(4a、4b)の後方の端部に、導体(30a、30b)が取り付けられており、
前記コンタクト部材(4a、4b)に取り付けられた前記導体(30a、30b)は、前記差込方向(E)に関して後方の区間において1つのイーサネットケーブル(65)として統合されていて、シールド導体(62)によって取り囲まれており、
前記シールド薄板(20)は、前記プラグインコネクタハウジング(2)の大部分を取り囲んでおり、
前記シールド薄板(20)は、接続手段(21)を有し、前記シールド薄板(20)は、前記接続手段(21)によって前記イーサネットケーブル(65)の前記シールド導体(62)に電気的に接続されており、
前記差込方向(E)に関して前記シールド薄板(20)の前方の区間(23)に、シールド相手側コンタクト部材(61a、61b)を接触接続させるための少なくとも1つのコンタクトブレード(25a、25b)が配置されており、
前記少なくとも1つのコンタクトブレード(25a、25b)は、当該少なくとも1つのコンタクトブレード(25a、25b)が、前記シールド薄板(20)の第1の壁部(27)と前記プラグインコネクタハウジング(2)との間に少なくとも部分的に配置されているように、前記シールド薄板(20)により取り囲まれた空間(24)内に折り曲げられている、
自動車用のイーサネットプラグインコネクタ。
【請求項2】
前記少なくとも1つのコンタクトブレード(25a、25b)は、当該少なくとも1つのコンタクトブレード(25a、25b)と前記シールド薄板(20)の前記第1の壁部(27)との間において、前記相手側プラグインコネクタ(100)から前記イーサネットプラグインコネクタ(1)内に差込可能なシールド相手側コンタクト部材(61a、61b)が、前記少なくとも1つのコンタクトブレード(25a、25b)により電気的に接触接続されるように、前記シールド薄板(20)により取り囲まれた前記空間(24)内に折り曲げられている、
請求項1に記載のイーサネットプラグインコネクタ。
【請求項3】
前記少なくとも1つのコンタクトブレード(25a、25b)は、打ち出された接点(28a、28b)を有し、
前記シールド薄板(20)の前記第1の壁部(27)は、打ち出された他の接点(29a、29b)を有し、前記他の接点(29a、29b)は、前記差込方向(E)と交差する方向に見て、前記コンタクトブレード(25a、25b)の前記接点(28a、28b)に対向している、
請求項2に記載のイーサネットプラグインコネクタ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのコンタクトブレード(25a、25b)は、前記シールド薄板(20)と一体的に形成されており、
及び/又は、
前記シールド薄板(20)は、打ち抜き曲げ部材である、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のイーサネットプラグインコネクタ。
【請求項5】
前記導体(30a、30b)は、前記イーサネットケーブル(65)内において互いに撚り合わせられて延在している、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のイーサネットプラグインコネクタ。
【請求項6】
前記コンタクトチャンバ(3a、3b)は、それぞれ1つのコンタクトチャンバ凹部(5a、5b)を有し、
前記コンタクト部材(4a、4b)は、それぞれ1つのコンタクト部材係止突起(6a、6b)を有し、前記コンタクトチャンバ(3a、3b)内に差し込まれた前記コンタクト部材(4a、4b)は、前記コンタクト部材係止突起(6a、6b)によって、前記コンタクトチャンバ(3a、3b)内の前記コンタクトチャンバ凹部(5a、5b)に係止可能である、
又は、
前記コンタクトチャンバ(3a、3b)は、それぞれ1つのコンタクトチャンバ係止突起を有し、
前記コンタクト部材(4a、4b)は、それぞれ1つのコンタクト部材凹部を有し、前記コンタクトチャンバ(3a、3b)内に差し込まれた前記コンタクト部材(4a、4b)は、前記コンタクト部材凹部によって、前記コンタクトチャンバ(3a、3b)内の前記コンタクトチャンバ係止突起に係止可能である、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のイーサネットプラグインコネクタ。
【請求項7】
前記イーサネットプラグインコネクタ(1)は、標準インタフェース(101)の形態の相手側プラグインコネクタ(100)と差込結合されるように形成されており、前記標準インタフェースは、特にBOSCH-Microflexインタフェース(102)である、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のイーサネットプラグインコネクタ。
【請求項8】
少なくとも2つの相手側コンタクト部材(60a、60b)及び少なくとも1つのシールド相手側コンタクト部材(61a、61b)を備えた相手側プラグインコネクタ(100)と、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のイーサネットプラグインコネクタ(1)と,
を含むプラグインコネクタ装置であって、
前記イーサネットプラグインコネクタ(1)は、前記相手側プラグインコネクタ(100)と差込結合可能である、
プラグインコネクタ装置。
【請求項9】
前記少なくとも2つの相手側コンタクト部材(60a、60b)及び少なくとも1つのシールドコンタクト部材(61a、61b)は、同一に形成されている、
請求項8に記載のプラグインコネクタ装置。
【請求項10】
前記相手側プラグインコネクタ(100)は、標準インタフェース(101)の形態に形成されており、前記標準インタフェース(101)は、特にBOSCH-Microflexインタフェース(102)であり、前記インタフェース(102)は、特に2列型又は4列型に形成されている、
請求項8又は9に記載のプラグインコネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用のイーサネットプラグインコネクタ、及び、イーサネットプラグインコネクタを備えたプラグインコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術
従来技術から、例えば自動車用途のために、プラグインコネクタ装置を成すように相補的な相手側プラグインコネクタと差込結合可能な電気的なプラグインコネクタが公知である。
【0003】
センサ装備が益々増加し、自律走行に向かう途上において、増加し続ける情報量を処理する必要がある。このようなデータ量を処理する目的で、イーサネットインタフェース及びイーサネット回線を自動車分野において使用することが考えられる。これによって、特に、いわゆるイーサネットプロトコルを用いて十分に高いデータ伝送レートを実現することが望ましい。
【0004】
従来技術から、慣用のイーサネットプラグインコネクタ、いわゆるRJ45プラグが公知である。独国特許発明第102012111125号明細書には、かかるRJ45イーサネットプラグについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許発明第102012111125号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の開示
本発明の基礎を成す認識とは、自動車分野においては構成部材(例えば、プラグインコネクタ及びインタフェース)の長寿命性に関して、並びに、短絡、接触不良又は信号伝送の遮断に対する安全性に関して、非常に高度な要求が存在する、ということである。このため、まさに自律走行においては、例えば、カメラ又はセンサなどからの安全関連情報を、接触不良に起因して処理することができないという事態を、絶対に回避しなければならない。このような安全性要求は、例えば、少なくとも10年又はそれどころか少なくとも15年といった耐用期間にわたり維持されなければならず、しかも、例えば、温度、湿度、気圧又はこれらに類するものなど、考えられるあらゆる外的気候要因に対して維持されなければならない。ただし、このような安全性要求は、例えば、砂利道の上、路面の窪みを通過して走行するとき、加速度又はヨーレートが高いときなど、考えられるあらゆる動作状態に対しても有効でなければならない。
【0007】
これと同時に、センサの個数及び種々の制御装置間のデータ交換のために、自動車に組み込むべきケーブル長は長くなる一方であり、従って、ケーブル数又はケーブル全長を低減することが望ましい。制御装置に接続しなければならない多数のプラグインコネクタがあることから、イーサネットプラグインコネクタの寸法を可能な限り小さく抑制することも望まれる。さらには、伝送すべき信号の誤りを最小限に抑制するためには又はそれどころかそのよう誤りを排除するためには、イーサネットプラグインコネクタから相手側プラグインコネクタへの移行部にも良好なシールディングが必要とされる。
【0008】
慣用のRJ45イーサネットプラグインコネクタでは、これらの安全性要求を十分な程度では満たすことができない、ということが判明した。RJ45プラグインコネクタは、相手側プラグインコネクタに対するその幾何学的形状の点において、さらには、RJ45プラグインコネクタの場合には、通常、導体に対しプラグインコネクタハウジングの圧接接続が用いられることからも、接触不良に対して、例えば、強い揺れの負荷に対して、十分には安定していない。しかも、このプラグインコネクタは、非常に幅広に構成されていて、8つの導体を含む非常に剛性のケーブルを必要とし、十分な程度にはシールディングもされていない。よって、RJ45イーサネットプラグインコネクタは、基本的に、自動車における使用には適していない。
【0009】
よって、耐用期間全体(少なくとも10年又はそれどころか少なくとも15年)にわたり気候条件及び動作中の負荷に耐え、しかも、プラグインコネクタ内においても、プラグインコネクタから相手側プラグインコネクタへの移行部においても、導体の接続に関してこのことに耐える、自動車用のイーサネットプラグインコネクタを提供する、ということが必要であり得る。これと同時に、その寸法をコンパクトにすることが望ましく、可能な限り少ない導体を用いて高いデータレートの伝送を可能にすることが望ましい。しかも、このプラグインコネクタによって、相手側プラグインコネクタへの移行部においても著しく良好なシールディングを提供することが望ましい。イーサネットプラグインコネクタが、取り扱いにあたりロバストであることも望ましく、そのようにすることにより、輸送時又は取り付け時に機能要素が損傷させられない、ということが保証される。さらに望ましいことは、自動車用のイーサネットケーブルコネクタを、標準インタフェースとして形成された相手側プラグインコネクタに差込可能であること、又は、そのような相手側プラグインコネクタと差込結合可能であることである。かかる標準インタフェースの一例は、例えば、BOSCH Microflex(登録商標)インタフェースである(「0.5mm標準化コンタクトピンを基礎とする小型化フレキシブルインタフェースファミリ」、これについての詳細は、出願時点においては、例えば、http://bosch-open-interfaces.de/de/home/から入手可能である)。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の利点
独立請求項に記載された本発明の保護対象によって、上述の要求を担保することができる。従属請求項には、本発明の有利な実施形態が記載されている。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、差込方向に沿って相手側プラグインコネクタと差込結合するための、自動車用のイーサネットプラグインコネクタが提案される。このイーサネットプラグインコネクタは、少なくとも2つのコンタクトチャンバを有するプラグインコネクタハウジングと、シールド薄板とを備える。各コンタクトチャンバ内に1つのコンタクト部材が配置されている。各コンタクト部材内に相手側コンタクト部材を差込可能であり、この場合、各コンタクト部材において差込方向に関してその後方の端部に、導体が取り付けられており、従って、例えば電気的及び機械的に接続されており、例えば圧着接続により接続されている。コンタクト部材に取り付けられた導体は、差込方向に関して後方の区間において1つのイーサネットケーブルとして統合されていて、シールド導体によって取り囲まれている。シールド薄板は、プラグインコネクタハウジングの大部分を取り囲んでいる。シールド薄板は接続手段を有し、これによって、シールド薄板が、イーサネットケーブルのシールド導体に電気的に接続されている。差込方向に関してシールド薄板の前方の区間に、シールド相手側コンタクト部材を接触接続させるための少なくとも1つのコンタクトブレードが配置されている。少なくとも1つのコンタクトブレードは、この少なくとも1つのコンタクトブレードが、シールド薄板の第1の壁部とプラグインコネクタハウジングとの間に少なくとも部分的に配置されているように、シールド薄板により取り囲まれた空間内に折り曲げられている。
【0012】
これによって、有利には、イーサネットプラグインコネクタがその延在方向全体にわたり、相手側プラグインコネクタとの接続個所を越えても、特に良好にシールディングされている、ということがもたらされる。
【0013】
有利には、少なくとも1つのコンタクトブレードが輸送時に損傷させられる、というリスクも低減される。その理由は、コンタクトブレードは、プラグインコネクタハウジング及びシールド薄板から外側輪郭を越えてごくわずかにしか突出していない又は全く突出していない、ということによる。これによって、イーサネットプラグインコネクタは、特にコンパクトにも構成されている。
【0014】
さらに有利であることは、イーサネットプラグインコネクタは、基本的に、正確に2つのコンタクトだけでも、従って、正確に2つの導体だけでも、十分に間に合うものであり、これらを介して、データが高いデータレートにより伝送される、ということである。かくして、イーサネットプラグインコネクタに接続されている(イーサネット)ケーブルを、著しくフレキシブルに、即ち、曲げ易く形成することができ、かつ、材料が節約される(よりわずかな導体しか必要とされないため、導体長が短くなる)。自明のとおり、例えば、4つの(コンタクト)チャンバ及び4つのコンタクト部材並びにこれらに接続された4つの導体を備えたイーサネットプラグインコネクタも可能である。奇数個が排除されるものではないが、好ましくは、偶数個のコンタクトチャンバ及びコンタクト部材が使用される。
【0015】
しかも、有利には、例えば、電気的に絶縁性のプラスチックにより形成されたプラグインコネクタハウジング及びそこに設けられたその(コンタクト)チャンバによって、さらには、その中に収容されたコンタクトによって、特に、ロバストで長寿命であり、かつ、保守し易い構造がもたらされている。なぜならば、コンタクトを、例えば圧着接続によって、特に確実に導体に固定することができるからである。コンタクトが損傷した場合には、それを容易に交換することができる。プラグインコネクタハウジングが損傷した場合には、それも容易に交換することができ、これは単に、コンタクトを(コンタクト)チャンバから取り出して、新たなプラグインコネクタハウジングに装着することによって行われる。
【0016】
プラグインコネクタハウジングは、好ましくは、その差込方向に関して前方の面に、収容すべきコンタクト部材各々のために1つの開口部を有し、この開口部を貫通して、例えばピンの形態の相手側コンタクト部材を、コンタクト部材内に差し込むことができる。
【0017】
コンタクトブレードの個数を、例えば、プラグインコネクタハウジング内のコンタクトチャンバの個数と一致させることができる。この場合、差込方向と交差する方向に見て、例えば、コンタクト部材のための各コンタクトチャンバの下に、コンタクトブレードを配置することができる。これによって、特に対称のコンパクトなプラグインコネクタの構造をもたらすことができる。コンタクト部材のために、2つよりも多くのコンタクトチャンバが設けられている場合、正確に1つのコンタクトブレード又は正確に2つのコンタクトブレードが、イーサネットプラグインコネクタ内に設けられているだけで十分であるとすることができる。少なくとも2つのコンタクトブレードを使用することによって、冗長性をもたらすことができ、このような冗長性によって、シールド接続が欠落したときであっても、それにもかかわらず相手側プラグインコネクタに対するシールディングが保証される。
【0018】
少なくとも1つのコンタクトブレードは、シールド相手側コンタクト部材を(電気的に)接触接続させるように形成されている。少なくとも1つのコンタクトブレードが、シールド薄板の第1の壁部とプラグインコネクタハウジングとの間に配置されていることによって、少なくとも1つのコンタクトブレードと第1の壁部との間に差し込まれたシールド相手側コンタクト部材を、少なくとも1つのコンタクトブレードによっても、第1の壁部によっても、電気的に接触接続させることができる。これによって、例えば、揺れの負荷が加わったときに又は熱の変化が生じたときに、特に確実で持続的な電気的接触接続がもたらされる。
【0019】
用語「イーサネットプラグインコネクタ」とは、本明細書においては、以下のことであると理解されたい。即ち、このプラグインコネクタは、データを伝送するように形成されており、少なくとも1GBit/s、特に好ましくは少なくとも5GBit/s、極めて特に好ましくは少なくとも10GBit/sのデータレートに適している、ということである。このことは、イーサネットデータ伝送を自動車において、例えば、自律走行のために、適用する際に満たされなければならない要求である。
【0020】
用語「自動車用の」とは、本明細書においては、以下のことであると理解されたい。即ち、イーサネットプラグインコネクタは、自動車において適用した場合に、総ての走行状況及び環境状況(例えば、-40℃乃至+80℃の温度範囲、激しく変動する気圧及び湿度値、路面の窪み、砂利道の上を走行したことによる加速度の作用など)のもとで、耐用期間全体(少なくとも10年又はそれどころか少なくとも15年)にわたり、信頼性があり、切断することなく短絡が発生しない相手側プラグインコネクタとの接続を実現するために適している、ということである。換言すれば、安全性関連の信号も伝送するために、自動車産業において一般的な要求を満たすために適しているように、プラグインコネクタが形成されていることが望ましい。
【0021】
シールド薄板の「前方の区間」とは、例えば、シールド薄板の長さの例えば最大35%、好ましくは最大25%を成す区間のことである、と解することができる。
【0022】
シールド薄板に設けられた接続手段を、例えば圧着ラグによって形成することができる。圧着ラグによって、シールド薄板を特に安価に製造することができ、さらに、イーサネットケーブルのシールド導体に、シールド薄板を特に簡単に持続的にかつ確実に取り付けることができる。接続手段を、差込方向に見てシールド薄板の後方の端部に設けることができる。なお、これとは異なる接続手段も可能であることに留意されたい。
【0023】
少なくとも1つのコンタクトブレードを、例えば、イーサネットプラグインコネクタの製造時に、最初はシールド薄板から(差込方向に沿って)前方に向かって一種のラグとして、例えば、シールド薄板の第1の壁部から、突出させることができる。次いで、これに続く製造ステップにおいて、コンタクトブレードを後方に向かって約180°、折り曲げることができ、このようにした場合に、コンタクトブレードは、その自由端において、差込方向とは逆方向に後方に向かって突出する。次いで、シールド薄板がプラグインコネクタハウジングに取り付けられると、そのとき、少なくとも1つのコンタクトブレードは、第1の壁部とプラグインコネクタハウジングとの間に位置するに至る。自明のとおり、コンタクトブレードを、最初は側方に(差込方向と交差する方向に)突出させ、その後、内側に折り畳むことも可能である。
【0024】
好ましくは、少なくとも1つのコンタクトブレードを、出来上がったイーサネットプラグインコネクタにおいて、その長さの70%を超えるまで、好ましくはその長さの90%を超えるまで、第1の壁部と、この第1の壁部に対向するプラグインコネクタハウジング壁部との間に配置させることができる。換言すれば、コンタクトブレードは、イーサネットプラグインコネクタの外側輪郭を越えては、ほんの少しだけしか突出せず、そのことによって、(例えば、引っ掛かって動かなくなることなどによる)輸送時の損傷が回避される。
【0025】
シールド薄板は、プラグインコネクタハウジングをその外面において、例えばU字型に、即ち、周方向に(差込方向の周囲を巡る方向に見て)約270°、又は、例えば矩形に形成されたプラグインコネクタの3つの面で、取り囲んでいる。プラグインコネクタハウジングの周囲をリング状に取り囲むことも考えられ、これによって、取り囲みは、約360°、正確に360°、又は、それどころか360°よりも大きくなる。相手側プラグインコネクタの設計次第では、プラグインコネクタハウジングを、周方向において例えば2つ面だけしか取り囲まなくても十分であり、又は、少なくとも50%、即ち、180°よりも大きく取り囲むだけでも十分である。
【0026】
1つの発展形態によれば、以下のことが提案される。即ち、少なくとも1つのコンタクトブレードは、この少なくとも1つのコンタクトブレードとシールド薄板の第1の壁部との間において、相手側プラグインコネクタからイーサネットプラグインコネクタ内に差込可能なシールド相手側コンタクト部材が、少なくとも1つのコンタクトブレードにより電気的に接触接続されるように、シールド薄板により取り囲まれた空間内に折り曲げられている、ということが提案される。これによって、有利には、特に確実な2つの面における電気的及び機械的な接触接続がもたらされ、これによって、振動及び揺れの負荷が加わっても、シールディングの維持が保証される。
【0027】
1つの発展形態によれば、以下のことが提案される。即ち、少なくとも1つのコンタクトブレードが打ち出された接点を有し、ここで、シールド薄板の第1の壁部が打ち出された他の接点を有し、この他の接点が、差込方向(E)と交差する方向に見て、コンタクトブレードの接点に対向している、ということが提案される。これによって、有利には、電気的な接触接続が、規定された点において、特に確実に信頼性を伴ってもたらされる。
【0028】
1つの発展形態によって提案されることは、少なくとも1つのコンタクトブレードがシールド薄板と一体的に形成されている、ということである。これによって、有利には、シールド薄板を特に簡単に安価に製造することができ、さらに、付加的な接触抵抗を考慮しなくてよい。
【0029】
選択的に提案することができることは、シールド薄板は、打ち抜き曲げ部材である、ということである。これによって、有利には、特に簡単で安価な製造が保証される。
【0030】
1つの発展形態によって提案されることは、導体がイーサネットケーブル内において互いに撚り合わせられて延在している、ということである。これによって、有利には、外的妨害作用を均すことができる。例えば、それぞれ2つの導体において、位相を180°ずらして同一の信号を伝達することができる。180°位相をずらすことによって、外的妨害作用を付加的に均すことができる。
【0031】
1つの発展形態によれば、以下のことが提案される。即ち、コンタクトチャンバは、それぞれ1つのコンタクトチャンバ凹部を有し、コンタクト部材は、それぞれ1つのコンタクト部材係止突起を有し、このようにしてコンタクトチャンバ内に差し込まれたコンタクト部材は、コンタクト部材係止突起によって、コンタクトチャンバ内のコンタクトチャンバ凹部に係止可能である。これによって、プラグインコネクタハウジング内におけるコンタクト部材の取り付けが簡単になり、コンタクト部材が確実にプラグインコネクタハウジング内において保持される。
【0032】
選択的に以下のことを提案することができる。即ち、コンタクトチャンバは、それぞれ1つのコンタクトチャンバ係止突起を有し、コンタクト部材は、それぞれ1つのコンタクト部材凹部を有し、このようにしてコンタクトチャンバ内に差し込まれたコンタクト部材は、コンタクト部材凹部によって、コンタクトチャンバ内のコンタクトチャンバ係止突起に係止可能である。これによって、プラグインコネクタハウジング内におけるコンタクト部材の取り付けが簡単になり、コンタクト部材が確実にプラグインコネクタハウジング内において保持される。
【0033】
自明のとおり、プラグインコネクタハウジング内においてコンタクト部材を付加的に保護するために、さらに、他のロック部材、いわゆる二次ロック部材を設けることもできる。この部材を、例えば、差込方向と交差する方向に、プラグインコネクタハウジングを通して押し込み、コンタクト部材の凹部に後方から係合させることができ、これによって、コンタクト部材が差込方向とは逆方向に、即ち、コンタクトチャンバから出るように移動することが、もはや不可能になる。このケースにおいては、コンタクト部材係止突起又はコンタクトチャンバ係止突起は、一次ロック又は一次係止としての役割を果たし、これに加わる負荷が二次ロック部材によって機械的に軽減される。
【0034】
1つの発展形態によって提案されることは、イーサネットプラグインコネクタは、標準インタフェースの形態の相手側プラグインコネクタと差込結合されるように形成されている、ということである。標準インタフェースを、例えば、BOSCH-Microflexインタフェースとすることができる。これによって、有利には、特に簡単に交換可能であり、従って、安価に製造可能なイーサネットプラグインコネクタがもたらされる。
【0035】
BOSCH Microflexインタフェースは、例えば(コンタクト)ピンの形態の、例えば12本、16本、19本、26本、29本、36本、45本又は52本の相手側コンタクト部材を備えた2列型の相手側プラグインコネクタであるとされている。これらのピンは、例えば、0.5mm×0.4mmの矩形の断面を有する。両方の列の間に、例えば、1.5mmの間隔を設けることができる(ピン中心からピン中心まで)。列内において、例えば、1.8mmの間隔を設けることができる(ピン中心からピン中心まで)。さらに、例えば、例えば26本、32本、41本、52本、61本、72本、93本又は104本の相手側コンタクト部材を備えた4列型の設計も、考えることができる。
【0036】
自明のとおり、これとは異なる、特に高極即ち多極(10本よりも多い相手側コンタクト部材)の、標準インタフェースを使用することもできる。
【0037】
本発明の第2の態様によれば、プラグインコネクタ装置が提案される。このプラグインコネクタ装置は、少なくとも2つの相手側コンタクト部材及び少なくとも1つのシールド相手側コンタクト部材を備えた相手側プラグインコネクタと、上述のようなイーサネットプラグインコネクタとを含む。この場合、イーサネットプラグインコネクタが相手側プラグインコネクタと差込結合可能である、ということが提案される。
【0038】
これによって、有利には、イーサネットケーブルから構成要素又はインタフェースへの移行部においても、以下のことが保証される。即ち、データ導体のシールディングを区間全体にわたり、インタフェース内部においても、保証することができ、これによって、データ信号の誤りが回避される。
【0039】
1つの発展形態によって提案されることは、少なくとも2つの相手側コンタクト部材と、少なくとも1つのシールド相手側コンタクト部材とは、同一に形成されている、ということである。これによって、相手側プラグインコネクタの特に簡単な製造が可能になる。しかも、このようにすれば、同一の相手側プラグインコネクタを種々の使用目的のために用いることができる。それというのも、他の適用事例において、例えばシールド相手側コンタクト部材が他の機能によって、例えば、それに接続された構成要素の給電のために、又は、データの伝送のために、用いられる可能性があるからである。
【0040】
ここで可能であることは、少なくとも2つの相手側コンタクト部材と、少なくとも1つのシールド相手側コンタクト部材とが、矩形の断面又はそれどころか正方形の断面を有する、ということである。
【0041】
1つの発展形態によれば、以下のことが提案される。即ち、相手側プラグインコネクタが標準インタフェースの形態で形成されており、そこで、この標準インタフェースは、特にBOSCH-Microflexインタフェースであり、このインタフェースは、特に2列型又は4列型により形成される、ということが提案される。これによって、有利には、特に簡単に交換可能であり、従って、安価に製造可能なプラグインコネクタ装置がもたらされる。
【0042】
添付の図面を参照することにより、例示的な実施形態の以下の説明から、当業者は、本発明のさらなる特徴及び利点を読み取ることができる。ただし、それらの実施形態は、本発明として限定的に解釈されるべきものではない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1a】イーサネットプラグインコネクタを示す斜視図である。
【
図1b】プラグインコネクタハウジングに取り付けられる前の、
図1aによるイーサネットプラグインコネクタのシールド薄板を示す斜視図である。
【
図2】
図1aによるイーサネットプラグインコネクタを含むイーサネットプラグインコネクタ装置を部分的にカットして示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1aには、差込方向Eに沿って相手側プラグインコネクタ100(
図2を参照)と差込結合するための、自動車用のイーサネットプラグインコネクタ1の斜視図が、例示的に示されている。このイーサネットプラグインコネクタ1は、2つのコンタクトチャンバ3a、3bを備えたプラグインコネクタハウジング2及びシールド薄板20を有する。各コンタクトチャンバ3a、3b内には、コンタクト部材4a、4bが配置されており、この場合、各コンタクト部材4a、4b内に相手側コンタクト部材60a、60を差込可能である。各コンタクト部材4a、4bには、差込方向Eに関してその後方の端部に導体30a、30bが取り付けられており、この場合、コンタクト部材4a、4bに取り付けられた2つの導体30a、30bは、差込方向Eに関して後方の区間において1つのイーサネットケーブル65として統合されており、そこで、例えばシールド編組として形成可能なシールド導体62によって取り囲まれている。導体30a、30bは、互いに撚り合わせられてイーサネットケーブル65内に延在しており、それによって、信号品質が改善される。
【0045】
シールド薄板20は、差込方向Eの周囲を巡る周方向Uに沿ってプラグインコネクタハウジング2の大部分を取り囲んでおり、
図1aの場合には、3つの面でU字型に取り囲んでいる。シールド薄板20は、圧着ラグの形態の接続手段21を有しており、この接続手段21によって、シールド薄板20がイーサネットケーブル65のシールド導体62に電気的に接続されている。ここでは一対の圧着ラグとして形成された他の接続手段22が、シールド薄板20の終端に配置されていて、これは、シールド薄板20をイーサネットケーブル65の絶縁体63に取り付けるために用いられる。選択的に又は付加的に、この他の接続手段を単芯シール70にも取り付けることができる(
図2を参照)。
【0046】
シールド薄板は、ここでは例えば4つのラグ40によって、図面においては、プラグインコネクタハウジング2の上面に取り付けられている。従って、最初にプラグインコネクタハウジング2が、シールド薄板により取り囲まれた空間24内に、即ち、U字型の中空空間内に配置され、ここで、4つのラグ40は、上方に向かって突出している(
図1bを参照)。次いで、プラグインコネクタハウジング周囲の4つのラグ40が内側に折り曲げられ、従って、これらのラグ40によってシールド薄板20が脱落防止されてプラグインコネクタハウジング2に固定される。
【0047】
コンタクトチャンバ3a、3bは、それぞれ1つのコンタクトチャンバ凹部5a、5bを有する。コンタクト部材4a、4bは、それぞれ1つのコンタクト部材係止突起6a、6bを有し(
図2も参照)、このようにしてコンタクトチャンバ3a、3b内に差し込まれたコンタクト部材4a、4bは、コンタクト部材係止突起6a、6bによって、コンタクトチャンバ3a、3b内のコンタクトチャンバ凹部5a、5bに係止される。基本的には、これとは異なる設計も考えられ(ここには図示せず)、それによれば、コンタクトチャンバ3a、3bがそれぞれ1つのコンタクトチャンバ係止突起を有し、その場合には、コンタクト部材4a、4bがそれぞれ1つのコンタクト部材凹部を有し、このようにしてコンタクトチャンバ3a、3b内に差し込まれたコンタクト部材4a、4bは、コンタクト部材凹部によって、コンタクトチャンバ3a、3b内のコンタクトチャンバ係止突起に係止可能である。
【0048】
これに加えて、プラグインコネクタハウジング2は、プラグインコネクタハウジング二次ロック切欠き7を有し、シールド薄板20は、シールド薄板二次ロック切欠き26を有し、これらは互いに整列させられている。イーサネットプラグインコネクタ1が相手側プラグインコネクタ100と接続されているときに、差込方向Eと交差する方向に、この二次ロック切欠きに二次ロック部材を押し込むことができる。このようにすることにより、その後においては、イーサネットプラグインコネクタ1が、さらには、その中に配置されたコンタクト部材4a、4bも、差込方向Eとは逆方向に相手側プラグインコネクタ100から外れてしまうことが阻止される。
【0049】
シールド相手側コンタクト部材61a、61bを接触接続させるために、差込方向Eに関してシールド薄板20の前方の区間23に、本実施例の場合には2つのコンタクトブレード25a、25bが配置されている(
図1aにおいては、これらのうちコンタクトブレード25bのごくわずかな部分しか見分けられない)。
【0050】
図1bには、
図1aによるイーサネットプラグインコネクタのシールド薄板20がプラグインコネクタハウジング2に取り付けられる前のシールド薄板20を、部分的にカットして示す斜視図が示されている。この図においては、両方のコンタクトブレード25a、25bを、明確に見て取ることができる。両方のコンタクトブレード25a、25bは、少なくとも一方のコンタクトブレード25a、25bが、シールド薄板20の第1の壁部27とプラグインコネクタハウジング2との間に少なくとも部分的に配置されているように、シールド薄板20により取り囲まれた空間24内に折り曲げられている(
図1a及び
図2も参照)。
【0051】
両方のコンタクトブレード25a、25bは、これらのコンタクトブレード25a、25bのうちの一方とシールド薄板20の第1の壁部27との間において、相手側プラグインコネクタ100からイーサネットプラグインコネクタ1内に差し込まれたシールド相手側コンタクト部材61a、61bが、該当するコンタクトブレード25a、25bによって電気的に接触接続されるように、シールド薄板20により取り囲まれた空間24内に折り曲げられている。
【0052】
図1bにおいて明確に見て取ることができることは、少なくとも1つのコンタクトブレード25a、25bが、打ち出された接点28a、28bを有すること、及び、シールド薄板20の第1の壁部27も、打ち出された他の接点29a、29bを有し、この他の接点29a、29bが、差込方向Eと交差する方向に見て、コンタクトブレード25a、25bの接点28a、28bに対向している、ということである。かくして、コンタクトブレード25a、25bのうちの一方と第1の壁部27との間に押し込まれたシールド相手側コンタクト部材61a、61bは、規定された点において2つの面によって電気的に接触接続される。
【0053】
両方のコンタクトブレード25a、25bは、図示の実施例においては、シールド薄板20と一体化されて形成されている。シールド薄板20は、打ち抜き曲げ部材として形成されている。
【0054】
図2には、
図1aによるイーサネットプラグインコネクタ1を含むイーサネットプラグインコネクタ装置200が、部分的にカットされた斜視図により示されている。
【0055】
プラグインコネクタ装置200は、標準インタフェース101として形成された相手側プラグインコネクタ100、ここでは単に例示的に、4列型のBOSCH Microflexインタフェース102を含む。相手側プラグインコネクタ100は、それぞれ2つの相手側コンタクト部材60a、60b及び2つのシールド相手側コンタクト部材61a、61bを含み又は収容し又はそれらを有する。プラグインコネクタ装置200は、さらに、
図1aに示されているように、1つ又は複数のイーサネットプラグインコネクタ1を含む。複数のイーサネットプラグインコネクタ1が、相手側プラグインコネクタ100と差込結合されている。基本的に、単一のイーサネットプラグインコネクタ1のみを有する(ここには図示されていない)プラグインコネクタ装置200も考えられる。
【0056】
図2に描写されている図面の場合、見る側に配置されたイーサネットプラグインコネクタ1においては、シールド薄板20の形態をより分かり易くする目的で、プラグインコネクタハウジング2が意図的に描かれていない。プラグインコネクタハウジング2は、これが書き込まれている場合には、後方に向かって折り曲げられたコンタクトブレード25a、25bの上方に配置されていることになる。このことは、図平面内においてより後方に示されているイーサネットプラグインコネクタ1において見て取ることができる。
【0057】
相手側コンタクト部材60a、60b及びシールド相手側コンタクト部材61a、61bは、総て同一に形成されており、ここでは例示的に、断面が矩形のコンタクトピンとして形成されている。
【0058】
この実施例においては、イーサネットケーブル65が単芯ケーブルシール70によってリング状に取り囲まれており、これによって、湿気及び汚れがプラグインコネクタ装置200の内部に侵入することを回避しようというものである。
【0059】
コンタクト部材4a、4bは、薄板から成る打ち抜き曲げ部材として製造されている。導体30a、30bは、絶縁体32a、32bによって取り囲まれた導電性コア31a、31bを有する。コンタクト部材4a、4bはそれぞれ、絶縁体圧着によって絶縁体32a、32bに取り付けられており、導体圧着によって導電性コア31a、31bに導電接続されている。
【0060】
複数のイーサネットプラグインコネクタ1が相手側プラグインコネクタ100、101、102に差し込まれた後、(ここには図示されていない)二次ロック部材を、差込方向Eと交差する方向にプラグインコネクタハウジング二次ロック切欠き7を通して押し込むことによって、イーサネットプラグインコネクタ1のコンタクト部材4a、4b及びプラグインコネクタハウジング2を、脱落することなく相手側プラグインコネクタ100内に固定することができる。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
差込方向(E)に沿って相手側プラグインコネクタと差込結合するための、自動車用のイーサネットプラグインコネクタであって、前記イーサネットプラグインコネクタ(1)は、
少なくとも2つのコンタクトチャンバ(3a、3b)を有するプラグインコネクタハウジング(2)と、
シールド薄板(20)と、
を備え、
各コンタクトチャンバ(3a、3b)内にコンタクト部材(4a、4b)が配置されていて、各コンタクト部材(4a、4b)内に相手側コンタクト部材(60a、60)を差込可能であり、
各コンタクト部材(4a、4b)において、前記差込方向(E)に関して前記コンタクト部材(4a、4b)の後方の端部に、導体(30a、30b)が取り付けられており、
前記コンタクト部材(4a、4b)に取り付けられた前記導体(30a、30b)は、前記差込方向(E)に関して後方の区間において1つのイーサネットケーブル(65)として統合されていて、シールド導体(62)によって取り囲まれており、
前記シールド薄板(20)は、前記プラグインコネクタハウジング(2)
を部分的に取り囲んでおり、
前記シールド薄板(20)は、接続手段(21)を有し、前記シールド薄板(20)は、前記接続手段(21)によって前記イーサネットケーブル(65)の前記シールド導体(62)に電気的に接続されており、
前記差込方向(E)に関して前記シールド薄板(20)の前方の区間(23)に、シールド相手側コンタクト部材(61a、61b)を接触接続させるための少なくとも1つのコンタクトブレード(25a、25b)が配置されており、
前記少なくとも1つのコンタクトブレード(25a、25b)は、当該少なくとも1つのコンタクトブレード(25a、25b)が、前記シールド薄板(20)の第1の壁部(27)と前記プラグインコネクタハウジング(2)との間に少なくとも部分的に配置されているように、前記シールド薄板(20)により取り囲まれた空間(24)内に折り曲げられている、
自動車用のイーサネットプラグインコネクタ。
【請求項2】
前記少なくとも1つのコンタクトブレード(25a、25b)は、当該少なくとも1つのコンタクトブレード(25a、25b)と前記シールド薄板(20)の前記第1の壁部(27)との間において、前記相手側プラグインコネクタ(100)から前記イーサネットプラグインコネクタ(1)内に差込可能なシールド相手側コンタクト部材(61a、61b)が、前記少なくとも1つのコンタクトブレード(25a、25b)により電気的に接触接続されるように、前記シールド薄板(20)により取り囲まれた前記空間(24)内に折り曲げられている、
請求項1に記載のイーサネットプラグインコネクタ。
【請求項3】
前記少なくとも1つのコンタクトブレード(25a、25b)は、打ち出された接点(28a、28b)を有し、
前記シールド薄板(20)の前記第1の壁部(27)は、打ち出された他の接点(29a、29b)を有し、前記他の接点(29a、29b)は、前記差込方向(E)と交差する方向に見て、前記コンタクトブレード(25a、25b)の前記接点(28a、28b)に対向している、
請求項2に記載のイーサネットプラグインコネクタ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのコンタクトブレード(25a、25b)は、前記シールド薄板(20)と一体的に形成されており、
及び/又は、
前記シールド薄板(20)は、打ち抜き曲げ部材である、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のイーサネットプラグインコネクタ。
【請求項5】
前記導体(30a、30b)は、前記イーサネットケーブル(65)内において互いに撚り合わせられて延在している、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のイーサネットプラグインコネクタ。
【請求項6】
前記コンタクトチャンバ(3a、3b)は、それぞれ1つのコンタクトチャンバ凹部(5a、5b)を有し、
前記コンタクト部材(4a、4b)は、それぞれ1つのコンタクト部材係止突起(6a、6b)を有し、前記コンタクトチャンバ(3a、3b)内に差し込まれた前記コンタクト部材(4a、4b)は、前記コンタクト部材係止突起(6a、6b)によって、前記コンタクトチャンバ(3a、3b)内の前記コンタクトチャンバ凹部(5a、5b)に係止可能である、
又は、
前記コンタクトチャンバ(3a、3b)は、それぞれ1つのコンタクトチャンバ係止突起を有し、
前記コンタクト部材(4a、4b)は、それぞれ1つのコンタクト部材凹部を有し、前記コンタクトチャンバ(3a、3b)内に差し込まれた前記コンタクト部材(4a、4b)は、前記コンタクト部材凹部によって、前記コンタクトチャンバ(3a、3b)内の前記コンタクトチャンバ係止突起に係止可能である、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のイーサネットプラグインコネクタ。
【請求項7】
前記イーサネットプラグインコネクタ(1)は
、インタフェース(101)の形態の相手側プラグインコネクタ(100)と差込結合されるように形成されて
いる、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のイーサネットプラグインコネクタ。
【請求項8】
少なくとも2つの相手側コンタクト部材(60a、60b)及び少なくとも1つのシールド相手側コンタクト部材(61a、61b)を備えた相手側プラグインコネクタ(100)と、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のイーサネットプラグインコネクタ(1)と,
を含むプラグインコネクタ装置であって、
前記イーサネットプラグインコネクタ(1)は、前記相手側プラグインコネクタ(100)と差込結合可能である、
プラグインコネクタ装置。
【請求項9】
前記少なくとも2つの相手側コンタクト部材(60a、60b)及び少なくとも1つのシールド
相手側コンタクト部材(61a、61b)は、同一に形成されている、
請求項8に記載のプラグインコネクタ装置。
【請求項10】
前記相手側プラグインコネクタ(100)は
、インタフェース(101)の形態に形成され
ている、
請求項8又は9に記載のプラグインコネクタ装置。
【国際調査報告】