(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-11
(54)【発明の名称】電気機械式リニアドライブ
(51)【国際特許分類】
H02N 2/04 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
H02N2/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021542542
(86)(22)【出願日】2020-01-27
(85)【翻訳文提出日】2021-09-14
(86)【国際出願番号】 EP2020051856
(87)【国際公開番号】W WO2020152365
(87)【国際公開日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】102019200943.3
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505257752
【氏名又は名称】フィジック インストゥルメント(ピーアイ)ゲーエムベーハー アンド ツェーオー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘプナー,ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ボスカイ,ドミニク
【テーマコード(参考)】
5H681
【Fターム(参考)】
5H681AA19
5H681BB02
5H681BB13
5H681DD23
5H681DD55
5H681EE10
(57)【要約】
本発明は、電気機械式リニアドライブ(1)に関し、電気機械式リニアドライブ(1)は、ハウジング(2)と、電気機械式駆動ユニット(3)と、電気機械式駆動ユニット(3)に結合されたトランスミッション要素(4)と、トランスミッション要素(4)と摩擦接触している駆動対象要素(8)とを備え、トランスミッション要素(4)は、少なくとも2つの支持点(L1,L2)においてハウジング(2)に取り付けられている。駆動対象要素(8)へのアクセスしやすさの向上および駆動対象要素(8)の調整経路の延長を可能にするために、本発明は、駆動対象要素(8)が、全ての支持点(L1,L2)の外側の係合点(E)においてトランスミッション要素(4)と摩擦接触しており、支持点(L1,L2)間に位置するトランスミッション要素(4)の第1のセクション(A1)が、ハウジング(2)内に延在しており、および/または、全ての支持点(L1,L2)の外側に位置するトランスミッション要素(4)の第2のセクション(A2)が、ハウジング(2)から突き出ていることを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械式リニアドライブ(1)であって、
ハウジング(2)と、
電気機械式駆動ユニット(3)と、
前記電気機械式駆動ユニット(3)に結合されたトランスミッション要素(4)と、
前記トランスミッション要素(4)と摩擦接触している駆動対象要素(8)とを備え、前記トランスミッション要素(4)は、少なくとも2つの支持点(L1,L2)において前記ハウジング(2)に取り付けられており、
前記駆動対象要素(8)は、全ての支持点(L1,L2)の外側の係合点(E)において前記トランスミッション要素(4)と摩擦接触しており、前記支持点(L1,L2)間に位置する前記トランスミッション要素(4)の第1のセクション(A1)は、前記ハウジング(2)内に延在しており、および/または、全ての支持点(L1,L2)の外側に位置する前記トランスミッション要素(4)の第2のセクション(A2)は、前記ハウジング(2)から突き出ていることを特徴とする、電気機械式リニアドライブ(1)。
【請求項2】
前記電気機械式駆動ユニット(3)は、前記ハウジング(2)内に、好ましくは押し込み式の圧力嵌めの態様で配置され、前記トランスミッション要素(4)の前記支持点(L1,L2)のうちの1つを形成することを特徴とする、請求項1に記載の電気機械式リニアドライブ。
【請求項3】
前記電気機械式リニアドライブ(1)は、前記トランスミッション要素(4)の前記支持点(L1,L2)のうちの1つを形成する案内要素(7)を備え、前記案内要素(7)は、好ましくは軸方向に摺動可能であるように前記トランスミッション要素(4)を搭載しており、前記案内要素(7)は、好ましくはブッシングとして構成され、前記ブッシングを通って前記トランスミッション要素(4)が突き出ていることを特徴とする、請求項1または2に記載の電気機械式リニアドライブ。
【請求項4】
前記案内要素(7)は、前記ハウジング(2)内に位置する部分と、前記ハウジング(2)の外側に位置する部分とを備えることを特徴とする、請求項3に記載の電気機械式リニアドライブ。
【請求項5】
前記電気機械式リニアドライブ(1)は、前記ハウジング(2)に対して、好ましくは前記ハウジング(2)の内面に対して前記電気機械式駆動ユニット(3)に予荷重をかけるように構成された予荷重装置(6)を備え、前記予荷重装置(6)は、好ましくは前記ハウジング(2)にねじ込まれることができ、特に好ましくはダイアフラムスプリングを備えることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の電気機械式リニアドライブ。
【請求項6】
前記電気機械式リニアドライブ(1)は、中間要素(5)を備え、前記中間要素(5)は、前記トランスミッション要素(4)にしっかりと接続されており、好ましくは前記予荷重装置(6)の予荷重力が前記中間要素(5)を介して前記電気機械式駆動ユニット(3)に加えられ得るように、少なくとも前記トランスミッション要素(4)と前記電気機械式駆動ユニット(3)との間のセクションに配置されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の電気機械式リニアドライブ。
【請求項7】
前記電気機械式駆動ユニット(3)は、圧電材料または電歪材料または磁歪材料でできていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の電気機械式リニアドライブ。
【請求項8】
前記電気機械式駆動ユニット(3)は、リング形状または中空円筒形状を有し、および/または、前記トランスミッション要素(4)は、好ましくは円形断面を有するロッド形状であるように形成され、前記中間要素(5)は、好ましくは前記電気機械式駆動ユニット(3)と同心であるように配置されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の電気機械式リニアドライブ。
【請求項9】
前記中間要素(5)は、押し込み式の物質嵌めの態様で前記トランスミッション要素(4)および/または前記電気機械式駆動ユニット(3)に接続されていることを特徴とする、請求項6に記載の電気機械式リニアドライブ。
【請求項10】
前記トランスミッション要素(4)は、前記案内要素(7)よりも硬質の材料から形成されており、前記トランスミッション要素(4)は、好ましくはセラミック材料でできており、前記案内要素(7)は、好ましくはプラスチック材料を含み、および/または、好ましくはプラスチック材料でできており、前記プラスチック材料は、滑りを向上させるおよび/または摩耗を減少させる添加剤を含むことを特徴とする、請求項3に記載の電気機械式リニアドライブ。
【請求項11】
前記トランスミッション要素(4)は、締まり嵌めによって前記案内要素(7)を通って突き出ていることを特徴とする、請求項10に記載の電気機械式リニアドライブ。
【請求項12】
前記トランスミッション要素(4)の前記第1のセクション(A1)は、前記トランスミッション要素(4)の前記第2のセクション(A2)よりも短いことを特徴とする、請求項1に記載の電気機械式リニアドライブ。
【請求項13】
前記電気機械式駆動ユニット(3)は、電圧を印加することによって変形運動を行うように励起可能であり、前記トランスミッション要素(4)は、前記電気機械式駆動ユニット(3)の前記変形運動を追従し、前記トランスミッション要素(4)の結果として生じる運動は、規定のスラスト力によって前記トランスミッション要素(4)の軸方向に沿って前記駆動対象要素(8)を移動させることができるように前記駆動対象要素(8)に伝達可能であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の電気機械式リニアドライブ。
【請求項14】
前記予荷重装置(6)によって前記電気機械式駆動ユニット(3)に加えられる予荷重力は、前記駆動対象要素(8)に作用する前記スラスト力の少なくとも10倍であることを特徴とする、請求項13に記載の電気機械式リニアドライブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に駆動対象要素の精密位置決めのための電気機械式リニアドライブに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特にリニアドライブに関し、このリニアドライブは、電気機械式駆動ユニットと、そこに結合されたトランスミッション要素と、スティックスリップ現象による電気機械式駆動ユニットの変形運動によってトランスミッション要素に沿って移動可能である駆動対象要素とを備える。
【0003】
このタイプのドライブは、DE 10 2005 026 708 B4およびJP H 08149860から公知である。
【0004】
DE 10 2005 026 708 B4には、位置決め装置が開示されており、この位置決め装置では、ハウジング内に受けられてアクチュエータによって作動される平行移動軸に沿ってスティックスリップドライブによって構造ユニットが摺動可能である。そこでは、この平行移動軸は、完全にハウジング内に受けられており、回転および横方向ずれに対して平行移動軸またはアクチュエータを固定するためのフレクシャヒンジによってハウジングに結合されている。そこでは、接着接合によって平行移動軸の端面にしっかりと接続されなければならないフレクシャヒンジを使用することは、生産コストおよび設置作業に悪影響を及ぼす。
【0005】
JP H 08149860には、同様のドライブが開示されており、そのハウジングは、駆動対象要素の支持軸が配置される凹部と、電気機械式駆動ユニットが配置されるさらなる凹部とを備える。したがって、このハウジングは、その長手方向延長部および電気機械式駆動ユニット内に支持軸を完全に受けることを可能にする長さを有している。ハウジングの長手方向寸法が大きいことに加えて、駆動対象要素へのアクセスしやすさが制限されることも、この構成における取り囲んでいるハウジングのために不利である。取り囲んでいるハウジングのために駆動対象要素の調整移動距離も制限されることは、特に不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上記の先行技術に鑑みて、本発明の目的は、より簡略化されたコンパクトな構成であって、その結果、生産コストが低くかつ組み立て作業が少ないことを特徴とし、駆動対象要素への制限のないアクセスおよび駆動対象要素の調整移動距離の延長を可能にする電気機械式リニアドライブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に係る電気機械式リニアドライブによって満たされる。それは、ハウジングと、電気機械式駆動ユニットと、上記電気機械式駆動ユニットに結合されたトランスミッション要素と、上記トランスミッション要素と摩擦接触している駆動対象要素とを備え、上記トランスミッション要素は、少なくとも2つの支持点において上記ハウジングに取り付けられており、上記駆動対象要素は、全ての支持点の外側の係合点において上記トランスミッション要素と摩擦接触している。駆動対象要素がトランスミッション要素と係合している点が支持点の外側にあることにより、駆動対象要素へのアクセスしやすさが制限されないリニアドライブの単純かつコンパクトな構成を確実にすることができる。さらに、駆動対象要素の調整移動距離が、支持点間の距離に制限されない。
【0008】
また、本発明は、上記支持点間に位置する上記トランスミッション要素の第1のセクションが、上記ハウジング内に延在しており、および/または、全ての支持点の外側に位置する上記トランスミッション要素の第2のセクションが、上記ハウジングから突き出ていることを提供する。その結果、駆動対象要素の調整移動距離は、ハウジングの外側に配置され、それによって、それは、ハウジングの寸法に制限されない。
【0009】
好ましい実施形態は、従属請求項の目的である。
上記電気機械式駆動ユニットが、上記ハウジング内に、好ましくは押し込み式の圧力嵌めの態様で配置され、上記トランスミッション要素の上記支持点のうちの1つを形成することは、有用であろう。このようにして、ドライブおよびトランスミッション要素の取り付けに関する機能の組み合わせが電気機械式駆動ユニットにおいて得られる。
【0010】
上記電気機械式リニアドライブが、上記トランスミッション要素の上記支持点のうちの1つを形成する案内要素を備え、上記案内要素が、好ましくは軸方向に摺動可能であるように上記トランスミッション要素を搭載しており、上記案内要素が、好ましくはブッシングとして構成され、上記ブッシングを通って上記トランスミッション要素が突き出ていることは、有用であろう。この構成は、トランスミッション要素に滑り軸受を提供する。
【0011】
さらに、上記案内要素が、上記ハウジング内に位置する部分と、上記ハウジングの外側に位置する部分とを備えることは、有用であろう。この分割は、案内要素のそれぞれの部分をそれらの特定の機能に合わせて個々にカスタマイズすることを可能にする。ハウジング内に位置する部分は、ハウジングへの優れた取り付けを可能にしなければならないのに対して、ハウジングの外側に位置する部分は、特にトランスミッション要素を案内するようにカスタマイズ可能である。
【0012】
上記電気機械式リニアドライブが、上記ハウジングに対して、好ましくは上記ハウジングの内面に対して上記電気機械式駆動ユニットに予荷重をかけるように構成された予荷重装置を備え、上記予荷重装置が、好ましくは上記ハウジングにねじ込まれることができ、特に好ましくはダイアフラムスプリングを備えることは、有用であろう。この構成においては、高い予荷重力を電気機械式駆動ユニットに最適に加えることができ、それによって、駆動ユニットの動作範囲を調整することができる。
【0013】
上記電気機械式リニアドライブが、中間要素を備え、上記中間要素が、上記トランスミッション要素にしっかりと接続されており、好ましくは上記予荷重装置の予荷重力が上記中間要素を介して上記電気機械式駆動ユニットに加えられ得るように、少なくとも上記トランスミッション要素と上記電気機械式駆動ユニットとの間のセクションに配置されることは、有用であることが分かるであろう。中間要素がアダプタの機能を呈するので、さまざまな直径または断面形状を有するトランスミッション要素を同一の駆動ユニットに結合することができる。
【0014】
上記電気機械式駆動ユニットが、圧電材料または電歪材料または磁歪材料でできていることは、有用であろう。
【0015】
上記電気機械式駆動ユニットが、リング形状または中空円筒形状を有し、および/または、上記トランスミッション要素が、好ましくは円形断面を有するロッド形状であるように形成され、上記中間要素が、好ましくは上記電気機械式駆動ユニットと同心であるように配置されることは、有利であることが分かるであろう。
【0016】
上記中間要素が、押し込み式の物質嵌めの態様で上記トランスミッション要素および/または上記電気機械式駆動ユニットに接続されていることは、有用であろう。トランスミッション要素と電気機械式駆動ユニットとの損失のない接続は、接着接合によって可能にされることができる。さらに、接着接続は、トランスミッション要素の径方向取り付けを実現する。
【0017】
上記トランスミッション要素が、上記案内要素よりも硬質の材料から形成されており、上記トランスミッション要素が、好ましくはセラミック材料でできており、上記案内要素が、好ましくはプラスチック材料を含み、および/または、好ましくはプラスチック材料でできており、上記プラスチック材料が、滑りを向上させるおよび/または摩耗を減少させる添加剤を含むことは、実用的であることが分かるであろう。
【0018】
また、上記トランスミッション要素が、締まり嵌めによって上記案内要素を通って突き出ていることも有用であることが分かるであろう。トランスミッション要素の遊びのない案内は、トランスミッション要素および案内要素の材料および直径の選択的選択によって可能にされることができる。
【0019】
上記トランスミッション要素の上記第1のセクションが、上記トランスミッション要素の上記第2のセクションよりも短いことは、有用であろう。その結果、駆動対象要素の長い調整経路をコンパクトなハウジングに提供することができる。
【0020】
上記電気機械式駆動ユニットが、電圧を印加することによって変形運動を行うように励起可能であり、上記トランスミッション要素が、上記電気機械式駆動ユニットの上記変形運動を追従し、上記トランスミッション要素の結果として生じる運動が、規定のスラスト力によって上記トランスミッション要素の軸方向に沿って上記駆動対象要素を移動させることができるように上記駆動対象要素に伝達可能であることは、有利であろう。
【0021】
上記予荷重装置によって上記電気機械式駆動ユニットに加えられる予荷重力が、上記駆動対象要素に作用する上記スラスト力の少なくとも10倍であることは、有用であろう。
【0022】
用語および定義
スティックスリップ現象は、互いに逆方向に動く固体物体の滑り付着を言い表しており、先行技術から公知である。スティックスリップ現象によるトランスミッション要素に沿った駆動対象要素の調整は、静摩擦により駆動対象要素がトランスミッション要素と係合する付着局面と、駆動対象要素がトランスミッション要素に対して動く滑り局面とを備える。
【0023】
スラストという用語は、駆動対象要素に加えられ得る電気機械式駆動ユニットの使用可能な力を意味している。
【0024】
ブロッキング力という用語は、最大可能な電圧が印加された場合に、機械的および電気的に無負荷の状態と比較して駆動ユニットがいかなる変形も示さない、電気機械式駆動ユニットに作用する予荷重力を意味している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明に係るリニアドライブの概略図である。
【
図2】リニアドライブの本発明に係る実施形態の断面図である。
【
図4】リニアドライブの本発明に係るさらなる実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
好ましい実施形態の詳細な説明
図1は、本発明に係るリニアドライブの原理の概略図である。
【0027】
電気機械式駆動ユニット3に結合されたトランスミッション要素4は、2つの支持点L1およびL2において、予荷重装置6を用いて調整可能な案内要素7または中間要素5によってハウジング2に取り付けられている。駆動対象要素8は、点E(係合点)において、摩擦接触によってトランスミッション要素4と係合している。係合点Eは、支持点L1およびL2の外側に位置している。
【0028】
図2および
図3を参照して、本発明に係るリニアドライブの詳細な実施形態について以下で説明する。
【0029】
電気機械式リニアドライブ1は、ハウジング2を含んでおり、ハウジング2は、直径が急拡大した通路穴を備えている。通路穴の直径が急拡大することにより設けられるハウジング2の内面に対して電気機械式駆動ユニット3の端面が支持されるように、リング形状の電気機械式駆動ユニット3がハウジング2内に配置されている。そこでは、電気機械式駆動ユニット3の端面は、ハウジング2の内面に接着接合されている。好ましくはロッド形状であって円形断面を有するように形成されたトランスミッション要素4が電気機械式駆動ユニット3に結合されている。トランスミッション要素4は、トランスミッション要素4のセクションA1がハウジング2内に延在し、トランスミッション要素4のさらなる、好ましくはより大きなセクションA2がハウジング2から突き出るような軸方向の延長を有している(
図1を参照)。本実施形態において、リング形状の電気機械式駆動ユニット3の開口には中空円筒形の中間要素5が挿入されており、中間要素5の鍔は、電気機械式駆動要素3のさらなる端面に支持されている。好ましい実施形態において、中間要素5は、電気機械式駆動ユニットに接着接合されている。トランスミッション要素4は、トランスミッション要素4が中間要素5の開口を通って突き出るように、好ましい実施形態では中間要素5に接着接合されるように、配置されている。したがって、トランスミッション要素4は、電気機械式駆動ユニット3にしっかりと接続されている。
【0030】
電気機械式駆動ユニットは、一般に、適切な動作のために予荷重をかけられる。電気機械式駆動ユニット3の動作範囲は、この予荷重によって選択的に設定される。特に、電気機械式駆動ユニット3の変形運動のバランスは、このようにして調整可能である。この目的のために、実質的にはねじによって具体化される予荷重装置6がハウジング2の一端における通路穴に設けられている。この目的のために、通路穴の対応するセクションは、予荷重装置6をねじ込むことができるねじ山を備えている。好ましい実施形態において、予荷重装置6は、高い予荷重力を中間要素5の鍔を介して電気機械式駆動ユニット3に最適に加えることができる。予荷重力は、電気機械式駆動ユニット3のブロッキング力のおよそ1/3である。予荷重力の精密調整のために、予荷重装置6は、ねじと中間要素5の鍔との間に配置されたダイアフラムスプリングを備えている。このダイアフラムスプリングは、もっぱら電気機械式駆動ユニット3の軸方向予荷重のために設けられた、トランスミッション要素4の取り付けには寄与しない純粋な圧縮ばねである。
【0031】
ハウジング2の他方側の通路穴には、円筒形ブッシングの形態の案内要素7が挿入されている。そこでは、案内要素7は、ハウジング2内に位置する部分と、ハウジング2の外側に位置する部分とを備えている。案内要素7は、好ましくはハウジング2に接着接合されており、および/または、ハウジング2に押し込まれるかねじ込まれている。トランスミッション要素4は、案内要素7を通って突き出ている。そこでは、案内要素7によるトランスミッション要素4の遊びのない案内が、少なくとも案内要素7のセクションにおいて、好ましくはトランスミッション要素4がハウジング2から突き出ている案内要素7の端部セクションにおいて提供される。したがって、案内要素7は、第1の支持点L1として、軸方向に摺動可能であって軸方向に直交する方向に動かせないようにトランスミッション要素4をハウジング2上に支持する滑り軸受に対応する。ハウジング2内の第2の支持点L2は、トランスミッション要素4から予荷重装置6によってハウジング2内に固定された電気機械式駆動ユニット3への固定接続によって設けられている。
【0032】
上記の案内要素7におけるトランスミッション要素4の遊びのない案内は、特にトランスミッション要素4および案内要素7の材料および直径の選択によって実現される。この目的のために、トランスミッション要素4は、案内要素7よりも硬質の材料でできている。トランスミッション要素4は、好ましくはセラミック材料でできており、案内要素7は、プラスチック材料でできているか、または少なくともプラスチック材料を含んでいる。このプラスチック材料は、滑りを向上させるおよび/または摩耗を減少させる添加剤を含み得る。トランスミッション要素4の外径は、案内要素7の内径と比較して大きく、その結果、トランスミッション要素4と案内要素7との間には対応する締まり嵌めが行き渡っている。トランスミッション要素4および案内要素7は、好ましくは、トランスミッション要素4が案内要素7から突き出ている案内要素7の端部セクションに締まり嵌めが行き渡るように互いに適合されている。案内要素7のこの端部セクションは、ハウジング2の外側に位置する案内要素7の部分に配置されている。その結果、支持点L1は、ハウジング2の外側に位置している。記載されている材料および直径の選択により、トランスミッション要素4は、案内要素7の材料から独立して、遊びのない案内を提供する。案内要素7とトランスミッション要素4との間の摩擦力、すなわち案内要素4を貫通するようにトランスミッション要素4を押すために加える必要がある軸方向の力は、0.1スラスト<摩擦力<スラストの範囲内である。
【0033】
ハウジング2内に位置する案内要素7の部分は、限られた範囲でのみ規定の嵌合の形成に適している。なぜなら、たとえば押し込まれた案内要素7の場合、ハウジング2からの力は案内要素7のこの部分に作用するからである。
【0034】
さらに、案内要素7の上記の端部セクションによるトランスミッション要素4の案内により、支持点L1とL2との間の距離が大きくなり、それぞれのレバー長さに起因して、支持点L1およびL2に作用する力を低く保つことができる。好ましい実施形態において、支持点L1とL2との間の距離は、電気機械式駆動ユニット3の軸方向長さのおよそ2倍である。
【0035】
電圧を印加することによって、電気機械式駆動ユニット3は、直動変形運動に励起されることができ、この直動変形運動は、結合されたトランスミッション要素4に伝達される。ハウジング2から突き出るトランスミッション要素4の第2のセクションA2上の係合点Eにおいて摩擦接触している駆動対象要素8は、トランスミッション要素4の直動運動およびトランスミッション要素4の軸方向に沿った規定のスラストによる上記のスティックスリップ現象によって動かされる。駆動対象要素8は、電気機械式駆動ユニット3の選択的な電気的作動によってトランスミッション要素4に沿って精密に位置決めされることができる。
【0036】
予荷重装置6によって電気機械式駆動ユニット3に加えられる予荷重力は、一般に、駆動対象要素8に作用するスラスト力の20倍、少なくとも10倍である。
【0037】
図4は、リニアドライブのさらなる実施形態を示す図である。第1の実施形態との相違点は、実質的に、案内要素7が予荷重装置6に一体化されており、トランスミッション要素4が予荷重装置6を通って突き出ていることである。このようにして、電気機械式リニアドライブをさらにコンパクトに形成することができる。この実施形態では、支持点L1とL2との間の距離は、電気機械式駆動ユニット3の軸方向長さにおよそ対応する。
【符号の説明】
【0038】
参照符号の一覧
1 電気機械式リニアドライブ
2 ハウジング
3 電気機械式駆動ユニット
4 トランスミッション要素
5 中間要素
6 与荷重装置
7 案内要素
8 駆動対象要素
A1 トランスミッション要素の第1のセクション
A2 トランスミッション要素の第2のセクション
E 駆動対象要素とトランスミッション要素との係合点
L1 トランスミッション要素の第1の支持点
L2 トランスミッション要素の第2の支持点
【国際調査報告】