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特表2022-5180702重機能を有する紡糸+フィラメント繊維で製織されたテリー冷却タオル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-11
(54)【発明の名称】2重機能を有する紡糸+フィラメント繊維で製織されたテリー冷却タオル
(51)【国際特許分類】
   D03D 27/06 20060101AFI20220304BHJP
   D02G 3/36 20060101ALI20220304BHJP
   D03D 27/00 20060101ALI20220304BHJP
   D03D 15/47 20210101ALI20220304BHJP
   D03D 15/283 20210101ALI20220304BHJP
【FI】
D03D27/06
D02G3/36
D03D27/00 A
D03D27/00 D
D03D15/47
D03D15/283
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021543469
(86)(22)【出願日】2020-01-22
(85)【翻訳文提出日】2021-09-03
(86)【国際出願番号】 US2020014529
(87)【国際公開番号】W WO2020154353
(87)【国際公開日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】62/795,211
(32)【優先日】2019-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521328685
【氏名又は名称】ムプサ,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド チャド ローレンス
【テーマコード(参考)】
4L036
4L048
【Fターム(参考)】
4L036MA04
4L036MA05
4L036MA06
4L036MA09
4L036MA33
4L036MA35
4L036MA39
4L036RA24
4L036RA25
4L036UA25
4L048AA08
4L048AA13
4L048AA20
4L048AA24
4L048AA34
4L048AA37
4L048AB05
4L048AB07
4L048AB11
4L048AB17
4L048AB19
4L048BA23
4L048BA24
4L048CA00
4L048CA07
4L048DA01
(57)【要約】
本発明の実施形態は、吸収能力を示すように構成された第1の側と冷却能力を示すように構成された第2の側とを含むテリー織物を提供する。第1の側は、複数のパイル経糸を含む紡糸繊維ループを含むことができ、第2の側は、複数の緯糸および複数の地経糸を含むことができ、ここで複数の緯糸および複数の地経糸のうちの少なくとも1つは合成フィラメント糸を含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパイル経糸を含む紡糸繊維ループを含む第1の側と;
複数の緯糸および複数の地経糸を含む第2の側であって、前記複数の緯糸および前記複数の地経糸のうちの少なくとも1つが合成フィラメント糸を含んでいる、第2の側と;
を含むテリー織物。
【請求項2】
前記紡糸繊維ループが、綿および綿/合成フィラメント糸ブレンドのうちの一方を含んでいる、請求項1に記載の織物。
【請求項3】
前記綿がチーフバリューコットンである、請求項2に記載の織物。
【請求項4】
前記綿/合成フィラメント糸ブレンドが、綿/ポリエステルブレンド、綿/ナイロンブレンド、綿/ポリエステル/ナイロンブレンドのうちの1つである、請求項2に記載の織物。
【請求項5】
前記合成フィラメント糸が、ポリエステル、ナイロンおよびポリエステル/ナイロンブレンドのうちの1つである、請求項1に記載の織物。
【請求項6】
前記第1の側が1つのパイルループを含む、請求項1に記載の織物。
【請求項7】
さらに2つのパイルループを含む、請求項1に記載の織物。
【請求項8】
前記合成フィラメント糸を被覆する少なくとも1つの他の合成フィラメント糸、
をさらに含む請求項1に記載の織物。
【請求項9】
前記少なくとも1つの他の合成フィラメント糸が、単一被覆式、二重被覆式、および空気ジェット被覆技術のうちの1つを介して前記合成フィラメント糸を被覆している、請求項8に記載の織物。
【請求項10】
前記合成フィラメント糸は、前記少なくとも1つの他の合成フィラメント糸が巻かれて、紡糸されて単糸を創出する、請求項8に記載の織物。
【請求項11】
前記紡糸繊維ループのパイル高さが0.5mm超である、請求項1に記載の織物。
【請求項12】
一平方メートルあたり少なくとも10,000累積ワットの熱流束と結び付けられる、請求項1に記載の織物。
【請求項13】
少なくとも10%の合成フィラメント糸で構成されている、請求項1に記載の織物。
【請求項14】
前記第1の側が、前記織物の重量の少なくとも4倍の液体を吸収するように構成されている、請求項1に記載の織物。
【請求項15】
前記複数のパイル経糸、前記複数の緯糸および前記複数の地経糸が、3ピックテリー組織に実装されている、請求項1に記載の織物。
【請求項16】
前記複数の地経糸が合成紡績糸を含む、請求項1に記載の織物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年1月22日出願の米国仮特許出願第62/795,211号の出願日の利益を主張し該出願全体を参照により組込むものである。
【0002】
本出願は、2重機能性多層テリー織物に関する。
【背景技術】
【0003】
テリー織物の名称は、繊維を創り出すのに使用される製織方法、すなわちテリー織りに由来する。テリー織物、例えばテリータオルは概して、織物のいずれかの側にカットされていないパイルループを含む経パイル織物に対応する。織物のいずれかの側のパイルループは、液体(例えば水)を吸収するために使用可能である。したがって、テリー織物は、余剰の水および/または汗を吸収する目的で入浴および/またはエクササイズ活動のために使用することができる。しかしながら、このような織物は概して100%綿で構成されていることから、気化冷却能力が低い。さらに、合成系織物は綿系織物に比べて気化冷却能力が改善されているものの、合成系織物は綿系織物ほど液体吸収効果が高くない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、以上で説明した欠陥の少なくともいくつかを克服できる解決法に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によると、本発明は、吸収能力を示すように構成された第1の側と冷却能力を示すように構成された第2の側を含むテリー織物に関する。一実施形態によると、第1の側は、複数のパイル経糸を含む紡糸繊維ループを含むことができ、第2の側は、複数の緯糸および複数の地経糸を含むことができ、ここで複数の緯糸および複数の地経糸のうちの少なくとも1つは合成フィラメント糸(および/または合成紡績糸)を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本発明の例示的実施形態に係る改良型テリー織物の断面図を示す。
図2図2は、本発明の例示的実施形態に係る1つのパイルループを伴う3ピック製織テリーを示す。
図3図3は、本発明の例示的実施形態に係る2つのパイルループを伴う3ピック製織テリーを示す。
図4A-4B】図4A-4Bは、本発明の例示的実施形態に係る合成フィラメント糸の断面図を示す。
図5A-5D】図5A-5Dは、本発明の例示的実施形態に係る被覆合成フィラメント糸を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の実施形態の記述は、本発明の異なる態様の特徴および教示を詳細に説明するために数字を参照指示する非限定的な代表的実施例を提供する。説明されている実施形態は、実施形態の記述に由来する他の実施形態と別個のまたはそれと組合せた形での実装が可能であるものとして認識されるべきである。実施形態の記述を精査した当業者であれば、本発明の異なる説明された態様を学習し理解することができるはずである。実施形態の記述は、具体的に網羅されてはいないものの実施形態の説明を読んだ当業者の知識の範囲内に入る他の実装が、本発明の利用分野と一貫性あるものとして理解されると考えられる程度にまで、本発明の理解を容易にするはずである。
【0008】
一実施形態によると、製織プロセス中に合成フィラメント糸(ポリエステルまたはナイロン系)を挿入することによって、綿系のテリー織物(例えばタオル)に対して気化冷却性能を追加することができる。テリー織物は概して、100%の綿またはチーフバリューコットン(CVC)(すなわち50%超の綿)で構成され、通常、一平方メートルあたり340~370グラム(gsm)の重量を有する。合成フィラメント糸が挿入された後、改良型テリー織物は、(例えば適度に温暖な気候条件下で)人の平均中核体温より華氏20度(摂氏11.1度)超低く、かつ湿潤活性化後10,000累積ワット超の冷却力だけ、平坦な非ループ側で人の皮膚を伝導的に冷却する能力を有しながら、織物のループ側で、織物の重量の4倍超の液体(例えば汗または水)を吸収することができる。一実施形態によると、改良型テリー織物は、それぞれ地糸、パイル糸および緯糸のうちの少なくとも1つに対応し得る合成および綿糸の組合せで構成され得る。
【0009】
一実施形態によると、改良型テリー織物の一方の側は、吸収能力を示すように構成されている。この側は、ループ側で0.5ミリメートルより大きい綿パイル高さを有する隆起ループを含むことができる。隆起ループは、所望される吸収量および重量に応じて、他の長さに改変され得る。さらに、テリー織物の他方の側は、冷却能力を示すように構成されている。この他方の側は、ユーザに冷却感を付与する目的で追加の気化冷却性能を提供するように構成された合成フィラメント糸を含み得る。
【0010】
一実施形態によると、改良型テリー織物のウェットピックアップ百分率(WPU%)は、織物の重量の400%(つまり4倍)超であり得る。さらに、改良型テリー織物は、10000w/m2(平方メートルあたりのワット数)超の累積冷却力を生成することができ、かつ織物の非ループ側で測定した場合に毎分の1つのピークにおける700w/m2超の最大間隔平方メートルあたりワット数(熱流束)出力を表示することができる。さらに一実施形態によると、改良型テリー織物は、10時間超の持続時間にわたり湿潤状態にあり続けることができる。
【0011】
さらに、合成フィラメント糸および紡績セルロースおよび/または合成糸の独特の組合せは、冷却特性(例えば最大間隔冷却力および接触冷感)ならびに水分の輸送および蒸発を追加するように構成されている。詳細には、水分の輸送および蒸発を補助するために、特別な修正された断面の合成フィラメント糸を組織に追加することができる。これらの糸は同様に、非ループ側上の材料のQ-max評点(瞬時接触冷感)を増大させるために、埋込み型冷却粒子技術(例えばジェイドまたはマイカ)を含有することもできる。さらに、パイ形断面を有するコンジュゲート糸(例えばポリエステルとナイロン)を紡糸繊維の代わりに追加することが可能である。
【0012】
一実施形態によると、以下のように冷却を活性化することができる。すなわち、望ましくない汗を吸収するために材料を使用した後、次に改良型テリー織物を湿らせ、絞り、弾いて、主に織物の非ループ側に冷却を提供する冷却用デバイスを創出することができる。さらに、微生物の増殖を阻害するために、テリー織物を抗菌化学物質で処理するかまたは特殊糸をそれに追加して、繰返しの使用および洗濯手入れの後も無臭にすることができる。しかしながら、冷却能力を付与する目的で、冷却用材料に化学物質は必要でない。さらに、改良型テリー織物は、機械により洗濯し乾燥することができる。さらに、改良型テリー織物は、材料の非ループ側に冷却糸(例えば合成フィラメント糸)を使用していることから、より低温の接触冷感(より高いQ-max)を有する。
【0013】
したがって、改良型テリー織物の場合、単一の材料が、吸収と冷却の両方を提供することができ、例えば一方の側は汗を乾燥させるか水分を吸収するために液体/水分を吸収するように構成されており、その一方で、他方の側は伝導冷却を提供するように構成されている。例えば、上述の通り、一方の側(例えば非ループ冷却側)は、断面修正糸で構成され得かつ接触冷感を提供しながら水分を輸送し蒸発させるのを助ける埋込み粒子(例えばジェイドまたはマイカ)を含み得る主にポリエステルかナイロン糸のいずれかで構成され得る。反対の側(例えばループ吸収側)は、改良型テリー織物が水分を吸収し保持するのを可能にする主に綿糸で構成され得る。
【0014】
以上のことを考慮して、改良型テリー織物は、以下のメリットを提供することができる。すなわち、(i)吸収性および伝導冷却の2重機能、(ii)制御された状態調節を受けている実験室内で測定した場合に、湿潤状態で5分後に平均中核体温から30度の温度低下、およびちょうど2分後に平均皮膚温度から20度の温度低下、(iii)状態調節を受けた実験室環境内での10時間を超える冷却持続時間、(iv)市販されている既存の冷却織物よりも著しく高い、重量の4倍を超えるWPU%、および材料の冷却用非ループ側でのQ-max(接触冷感)の増大。
【0015】
図1は、本発明の例示的実施形態に係る改良型テリー織物の断面図を示す。一実施形態によると、改良型テリー織物100は、吸収側110と冷却側120を含むことができる。一実施形態によると、吸収側110は、複数のパイル経糸115を含む綿(または綿/合成ブレンド)などの紡糸繊維ループに対応し得る。さらに、冷却側120は、複数の緯糸125および複数の地経糸126を含む。一実施形態によると、複数の緯糸125は、合成フィラメント糸、例えばポリエステルまたはナイロン系の合成フィラメント糸で構成され得る。同様にして、複数の地経糸126も同様にポリエステルまたはナイロン系の合成フィラメント糸で構成され得る。一実施形態によると、テリー織物100が綿/ポリエステルブレンドである場合、このブレンドは、合計で少なくとも10%のポリエステルを含有していなければならない。さらに、テリー織物100が、綿/ナイロンブレンドである場合、このブレンドは合計で少なくとも10%のナイロンを含有していなければならない。さらに、テリー織物100が綿/ポリエステル/ナイロンブレンドである場合には、このブレンドは、合計で少なくとも10%のナイロンと10%のポリエステルを含有していなければならない。さらに、一実施形態によると、綿の代わりに、Rayon、Tenselなど由来のModal、Rayon、Bambooといった他の紡糸繊維を上述のブレンドの1つの中で使用することも可能である。さらに、綿の代りに綿と他の紡糸繊維の少なくとも1つのブレンドを使用することも可能であると思われる。さらに、一実施形態によると、テリー織物100は、160~700gsmの重量範囲を含むことができる。
【0016】
テリー織物100の冷却効果は、気化冷却の原理に従う。この原理は、水が液体から蒸気に変化するために熱の適用を受けなければならないということを詳しく述べている。ひとたび蒸発が発生すると、液体水からのこの熱は蒸発に起因して除去され、結果としてより低温の液体がもたらされる。テリー織物100がひとたび水で湿らされ、好ましくは絞って余剰の水が除去された時点で、水が貯えられている吸収側110から水の蒸発が発生する冷却側120への水分の移動を容易にし促進することを理由として、空気中で弾くことまたは旋回させるというのが推奨されるプロセスである。空気中での弾きまたは旋回は同様に、材料のより大きな表面積を空気および増大した空気流に曝露することによって、より急速に蒸発速度を増大させ材料温度を低下させる。より具体的には、テリー織物100は、蒸発プロセスを容易にし促進するデバイスとして機能する。
【0017】
冷却側120内の残留水の温度が蒸発を通してひとたび降下すると、水の内部では対流を通して、水と織物の間では伝導を通して、そして織物の内部では伝導を通して、熱交換が発生する。こうしてテリー織物100の温度は下がる。蒸発プロセスは、貯えられた水が使い切られるまで吸収側110から冷却側120まで水を逃がすことによってさらに継続する。蒸発速度は、テリー織物100の温度が下がるにつれて低下する。テリー織物100の温度は、環境から材料内への熱吸収速度と蒸発による放熱との間の平衡が達成される或る点まで、漸進的に下降する。
【0018】
湿ったテリー織物100が人の皮膚の上にひとたび置かれると、テリー織物100からの冷却エネルギが伝導を通して伝達される。冷却エネルギの伝達が発生した後、冷却織物の温度は上昇して皮膚の温度と平衡化する。ひとたび平衡化が発生すると、再び温度を下げるため弾きまたは旋回方法によって、湿ったテリー織物100を容易に再活性化することができる。
【0019】
図2は、本発明の例示的実施形態に係る1つのパイルループを伴う3ピック製織テリーを示している。一実施形態によると、製織テリー200は、パイル経糸210、地経糸220および230、そして緯糸(すなわちピック)240、250および260を含む。一実施形態によると、正面側および背面側のパイル経糸210および第1および第2の地経糸220および230はそれぞれ、2/1畝織組織として知られるものを形成するために使用可能である。この織組織においては、1つのパイル経糸210が地経糸(例えば220または230)より1ピック前にある。例えば1:1の経糸順序においては、各地経糸にパイル経糸端部が後続し、一方2:2の経糸順序においては、2つの地経糸端部に2つのパイル経糸端部が後続する。一実施形態によると、図には、地経糸とパイル経糸の端部間の2:1の経糸順序が描かれている。別の実施形態によると、一方の側だけにパイル糸を使用する2:2の経糸組織も同様に可能である。
【0020】
下表1に示されているように、製織テリー200は多くの方法で構成され得、ここで「C」は、綿または再生セルロース紡糸繊維に対応し(ここで、繊維サイズは8Ne(英国式綿着手)~60Ne(英国式綿着手)の範囲内である))、「S」は合成フィラメント糸に対応し(ここでフィラメントサイズは10デニールから300デニールの範囲内である)、「CS」は、綿/合成繊維混紡繊維に対応し(ここで繊維サイズは8Ne~60Neの範囲内である)、「SS」は合成紡糸繊維に対応する(ここで繊維サイズは8Ne~60Neの範囲内である)。
【0021】
【表1】
【0022】
一実施形態によると、Sは、ポリエステル、ナイロンおよびポリエステル/ナイロンブレンドのうちの1つであり得る。同様にして、SSも、ポリエステル、ナイロンおよびポリエステル/ナイロンブレンドのうち1つであり得る。さらに、CSは、綿/ポリエステルブレンド、綿/ナイロンブレンド、綿/ポリエステル/ナイロンブレンド、綿/モーダルブレンド、綿/テンセルブレンド、綿/レーヨンブレンドおよび綿/ビスコースブレンドのうちの1つであり得る。一実施形態によると、製織テリー200用の糸の他の組合せも同様に含み入れることができる。例えば、パイル1はSSであり得、地1および2はSSであり得、第1、第2および第3のピックはSである。
【0023】
図3は、本発明の例示的実施形態に係る2つのパイルループを伴う3ピック製織テリーを示している。一実施形態によると、製織テリー300は、パイル経糸310および320、地経糸330および340および緯糸(すなわちピック)350、360および370を含む。一実施形態によると、図3中の織組織は、図3中ではパイル経糸端部が2つの別個の側、例えば表と裏の側に対し交互になっているという点を除いて、図2中の織組織と類似である。一実施形態によると、一方の側のパイル経糸端部のパイル高さは、他方の側のパイル経糸端部のパイル高さよりも大きい。詳細には、短い方のパイル経糸端部のパイル高さは、0.5mm未満であり得る。この点に関して、大きい方のパイル高さを有する側を吸収のために使用し、一方、(例えばパイル経糸端部についてより多くの気化冷却糸が追加されているため)短い方のパイル高さを有する側をより多くの気化冷却を提供するために使用することができる。
【0024】
下表2に示されているように、製織テリー200は多くの方法で構成可能である。
【0025】
【表2】
【0026】
図4A~4Bは、本発明の例示的実施形態に係る合成フィラメント糸の断面図を示す。例えば、図4Aは、独特の断面を有する合成フィラメント糸(例えばポリエステルおよび/またはナイロン)を描いている。一実施形態によると、独特の断面は、水分が迅速に移動し蒸発するように糸の中に溝路を創出する。こうして、図4A中の合成フィラメント糸は、テリー織物100の冷却側120により実装され得る。さらに、図4Bは、星型断面を有する合成フィラメント糸を描いている。この点に関して、星形断面は、より高い吸収性を提供し、したがって、水をより効率良く保持する。こうして、図4B中の合成フィラメント糸は、テリー織物100の吸収側110によって実装され得る。一実施形態によると、差別化された断面は、水分が織物の外側層まで移動し広がるのを助ける。さらに、合成フィラメント糸は同様に、吸収性マイクロデニール糸を含むこともできる。一実施形態によると、吸収性マイクロデニール糸は、1フィラメントあたり1デニール(dpf)未満であり得る。さらに、吸収性マイクロファイバ糸は、吸収特性を提供するために多数のフィラメント(例えば72のフィラメント)を使用することができる。さらに、別の実施形態によると、極度の吸収特性を提供するために、コンジュゲート2成分特殊断面糸を使用することができる。さらに、糸を分割することにより、より大きな表面積、ひいてはより多くのポケットを吸収性のために創出することができる。
【0027】
一実施形態によると、合成フィラメント糸は、綿糸の厚みの半分である厚みを含む。こうして、綿糸の厚みの平衡を保つために、合成フィラメント糸の1つではなく2つの端部を追加することができる。これは、主に合成紡績糸またはフィラメント糸を別の合成糸フィラメントで被覆することによって達成可能である。図5A~5Dは、本発明の例示的実施形態に係る被覆合成フィラメント糸を示している。例えば図5Aは、二重被覆合成フィラメント糸を示す。詳細には、図5Aは、別の合成フィラメント糸504により二重被覆式に被覆されている芯の、主に合成の紡績糸またはフィラメント糸502を含む被覆合成フィラメント糸500を描いている。図5Bは、単一被覆合成フィラメント糸を示す。この点に関して、図5Bは、別の合成フィラメント糸504により単一被覆式に被覆されている芯の、主に合成の紡績糸またはフィラメント糸502を描いている。さらに図5Cは、空気ジェット被覆合成フィラメント糸を示している。この点に関して、図5Bは、空気ジェット被覆技術を介して別の合成フィラメント糸504によって被覆されている芯の、主に合成の紡績糸またはフィラメント糸502を描いている。最後に、図5Dは、芯紡績合成フィラメント糸を示している。この点に関して、芯の主に合成の紡績糸またはフィラメント糸502は、他の合成フィラメント糸504が巻かれ、単糸500へと紡績される。下表3中のリストは、芯の合成フィラメント糸502と別の合成フィラメント糸504との考えられる組合せを説明している。
【0028】
【表3】
【0029】
一実施形態によると、合成フィラメント糸の厚みを増大させることによって、合成フィラメント糸の重量が綿の重量の平衡を保つのみならず、テリー織物全体の冷却強度も増大する。
【0030】
さらに、一実施形態によると、本発明は、3ピックテリー組織に関連して記述されてきたが、2、3、4、5さらにはそれ以上のピックのテリー組織で実装することも同様に可能である。この点に関して、本発明は、テリー組織を使用するあらゆる織物において実装可能である。
【0031】
以上の実施形態の説明においては、さまざまな特徴を、本開示の合理化を目的として単一の実施形態にまとめることが可能である。この開示方法は、クレームがその各々の中で明示的に列挙されているものよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されてはならない。むしろ、以下のクレームに反映されているように、発明力ある態様は、単一の前述の開示された実施形態の全特徴よりも少ない特徴の中にある。したがって、以下のクレームは、この実施形態の説明の中に組込まれ、各クレームは本発明の別個の実施形態として自立している。
【0032】
その上、当業者には、本開示の明細書および実践を考慮した上で、請求されている開示の範囲から逸脱することなくさまざまな修正および変更を加えることができるということが明白となるものである。したがって、明細書および実施例は、単に例示的なものとしてみなされることが意図されており、本開示の真の範囲は以下のクレームおよびその等価物によって示される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
【国際調査報告】