IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リオ ハンコ,カルロス アルベルトの特許一覧

特表2022-518076ブレーキパイプのブリーディング用のレンチ付きブレーキライニング調整および較正ツール
<>
  • 特表-ブレーキパイプのブリーディング用のレンチ付きブレーキライニング調整および較正ツール 図1
  • 特表-ブレーキパイプのブリーディング用のレンチ付きブレーキライニング調整および較正ツール 図2
  • 特表-ブレーキパイプのブリーディング用のレンチ付きブレーキライニング調整および較正ツール 図3
  • 特表-ブレーキパイプのブリーディング用のレンチ付きブレーキライニング調整および較正ツール 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-14
(54)【発明の名称】ブレーキパイプのブリーディング用のレンチ付きブレーキライニング調整および較正ツール
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/00 20060101AFI20220307BHJP
   B25B 13/48 20060101ALI20220307BHJP
   B25F 1/00 20060101ALI20220307BHJP
   B60T 17/04 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
F16D65/00 E
B25B13/48 Z
B25F1/00
B60T17/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2020567121
(86)(22)【出願日】2018-11-12
(85)【翻訳文提出日】2020-11-26
(86)【国際出願番号】 PE2018000031
(87)【国際公開番号】W WO2020101510
(87)【国際公開日】2020-05-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520465116
【氏名又は名称】リオ ハンコ,カルロス アルベルト
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リオ ハンコ,カルロス アルベルト
【テーマコード(参考)】
3C064
3D049
3J058
【Fターム(参考)】
3C064AA20
3C064AC14
3C064AD03
3C064BA01
3C064BA12
3C064BB84
3D049BB36
3D049CC02
3D049HH45
3D049HH46
3D049KK19
3J058AA01
3J058AA41
3J058BA69
3J058BA70
3J058CD20
3J058FA01
(57)【要約】
本発明は、ブレーキパイプのブリーディング用のレンチを有するブレーキライニング較正および調整ツールに関し、複数のツールが1つに組み合わされており、第1のツールは調整用、第2のツールは測定および較正器具であり、第3のツールはツール内に結合された少なくとも1つのブレーキブリーディングレンチであり、これらが単一のツールを形成している。これにより、「ブレーキシステム」と呼ばれる特定のシステム向けの構成部品の調整や測定作業およびブレーキのブリーディング作業を促進することができる。本ツールは、種々の調整作業に最適なツールであることを念頭に、ブレーキライニングの摩耗の診断時における測定値の容易な読み取りや、破損部品の交換や汚損した液や使い古された液の交換時に必要なブレーキブリーディングの実施のために設計されている。本ツールは使いやすく、作業効率を高め、不都合な姿勢で使用することがないように設計されている。本ツールは、小型化であることや、上記の特定の作業には不向きな他のツールを使用する場合に比べてブレーキ調整に伴う所要時間を短縮することという観点で、汎用的なツールの機能を向上するための追加の取り付け部品を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキパイプのブリーディング用のレンチを有するブレーキライニング較正および調整ツールであって、ブレーキライニングを調整するためのくさび形の先端を有する形状調整アーム(1)と、前記調整アームから延伸するグリップハンドルである本体(2)と、前記ツール内に設けられた溝付き穴の形状である、ブレーキ液のブリーディングを行うための少なくとも1つのレンチ(3)と、前記ツールの一端に設けられたバーニヤスケール(4)と、を有することを特徴とするブレーキライニング較正および調整ツール。
【請求項2】
矩形および長尺の調整アーム(1)が、厚さが約1mmであり長さが約10mmである寸法のくさび形の先端を有し、これにより前記先端がブレーキライニングの調整ねじに直接かつ正確に接触することができ、前記調整アームは、長さが30mmであり、幅が16mmであり、厚さが4mmであり、前記調整穴と前記調整ねじとの間の内部部品を損傷しない、ことを特徴とする請求項1に記載のブレーキパイプのブリーディング用のレンチを有することを特徴とする請求項1に記載のブレーキパイプのブリーディング用のレンチを有するブレーキライニング較正および調整ツール。
【請求項3】
小型の本体(2)が、矩形形状であり、前記本体の外側を覆う、ローレット加工が施された部分を有し、これによりブレーキの調整作業時に良好なグリップを提供することができることを特徴とする請求項1に記載のブレーキパイプのブリーディング用のレンチを有する較正および調整ツール。
【請求項4】
前記調整アーム(1)が、前記本体(2)に対して傾斜していることを特徴とする請求項1、2および3に記載のブレーキパイプのブリーディング用のレンチを有する較正および調整ツール。
【請求項5】
前記少なくとも1つのレンチ(3)の前記溝付き穴が、六角形であることを特徴とする請求項1に記載のブレーキパイプのブリーディング用のレンチを有する較正および調整ツール。
【請求項6】
2つのレンチをさらに有し、第1のレンチの直径が8mmであり、第2のレンチの直径が10mmであることを特徴とする請求項1および5に記載のブレーキパイプのブリーディング用のレンチを有する較正および調整ツール。
【請求項7】
バーニヤスケール(4)が、凹形形状であり、ブレーキライニングの凸形状と適合することを特徴とする請求項1に記載のブレーキパイプのブリーディング用のレンチを有する較正および調整ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手工具の技術分野に関し、ブレーキパイプのブリーディング用のレンチ付きブレーキライニング調整および較正ツールに関する。このツールは、ブレーキを調整するためのくさび形の端部と、ブレーキシューの状態を測定および診断するバーニヤスケールと、該ツール内に挿入されて車両内の油圧システムからのブレーキ液の全般的なブリーディングを支援するための溝付きクラウン(好ましくは六角形状)を備える少なくとも1つのレンチとを有する。
【背景技術】
【0002】
背景技術として、秘国特許第000932-2017/DIN号「バーニヤスケール付きリアブレーキライニング調整器」が含まれ、2つのツールを1つに組み合わせることが開示されている。第1のツールは調整に用いられ、第2のツールは測定器具である。これらのツールは互いに結合されて単一のツールを形成し、「リアブレーキシステム」と呼ばれる特定のシステムの部品の調整および測定の作業を促進することができる。しかしながら、上記技術では、ブレーキシステムの液体を排出するプラグ(ブレーキシステムのブリードねじ)を緩めて調整することができない。
【0003】
別の先行技術として、独国特許出願第DE102010037679A1号明細書に、互いに接続される湾曲六角構造と湾曲構造とを有し、それぞれの構造は脚部を有し、脚部がなす角度が75~100°である手工具が開示されている。この先行技術の目的は、フローティングキャリパーディスクレーキのねじの調整や組み立てを支援することである。しかしながら、この先行技術は、ブレーキシューを較正するバーニヤスケールも、ブレーキシューを調整するためのくさび形の端部を備えるアームも有していない。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、上記の課題の解決策として開発されたものである。これは、ブレーキパイプのブリーディング用のレンチ付きブレーキライニング調整および較正ツールであり、以下の構成要素を有する。
【0005】
1.調整アーム-ねじ調整器によってブレーキライニングを調整するものである。このアームの主な利点は、その寸法が種々の車両の調整穴のサイズに合わせて計算されている点および種々のサイズで試験が行われている点であり、そのサイズは好ましくは長さが25~35mm、幅が10~20mm、厚さが2~6mmで、くさび形の先端を有するものである(好ましくは、傾角が30°であり、先端は厚さが1mmであり長さが10mmである)。これらの寸法により、調整アームが調整ねじに届きやすくなり、ひいてはブレーキライニングを調整することが可能となる。
【0006】
2.本体-調整アームから延伸し、十分なグリップ部を提供するグリップハンドルである。また、ブレーキ調整時のてことしても役立ち、この作業の負荷を低減して容易にする。好ましくは矩形形状で、長さが76mm、幅が32mmであるため小型であり、このようにサイズが抑えられた本体は、作業空間が限られている作業に好適である。好ましくは、本体は、外側を覆う部分にローレット加工が施され、これによりツールのグリップ性能が向上し、作業者の手のけがを低減する人間工学的な特徴を備えている。
【0007】
3.ブレーキブリーディング用の少なくとも1つのレンチ-好ましい態様では、本発明は、メインツールの本体内に均等に配置された六角形状の溝付き穴を有する2つのレンチを
有し、第1のレンチの穴と第2のレンチの穴との間隔は好ましくは7mmであり、メインツールの側端から溝付き穴までの間隔は好ましくは3.5mmであり、バーニヤスケールから溝付き穴までの距離は3mmであり、溝付き穴それぞれの機能が互いに干渉しない配置となっている。これらのレンチのサイズは、製造業者がプラグ(ブレーキ液システムのブリードねじ)の製造時に決定し、寸法としては、第1のレンチの直径は8mm、第2のレンチの直径は10mmなどが挙げられる。本体に取り付けられたこれら2つのレンチは、ツールが小型でサイズが小さいため、迅速なブレーキブリーディング作業の役立ち、限られた空間でも使用できることから、ブレーキブリーディング作業の効率化に資する。
【0008】
4.バーニヤスケール-ツールの端部に位置する、浅浮き彫りによるミリメートル単位のスケールである(好ましくは、5mmを測定でき、目盛りは1mm間隔で配置)。このバーニヤスケールは、ブレーキライニングの摩耗の特定に役立ち、この小型のスケールにより、作業技術者は、ブレーキシステムの作業時に正確かつ安全な測定を行うことができる。これにより、バーニヤスケールを用いて実際の値を特定することで、作業の完遂が実現する。
【0009】
以上が従来技術に対する向上点であり、以下の点に対する解決策が提供される。

・ブレーキのメンテナンス作業専用の部品として2つのツールが1つにまとめられていることで、主に複数のツールを使用する手間が省ける。本ツールにより、ブレーキの調整、ブレーキライニングの摩耗の測定および特定を行うと同時に、ブレーキ液システムのブリーディングを行うことができる。
・本ツールにより、作業のために取得すべきツールの種類が最小限に抑えられるため、コストを節約することができる。
・本ツールにより、他の代替のツールを使用する場合に比べて、ブレーキ調整にかかる時間を短縮することができる。
・本ツールにより、ブレーキ液システムのブリーディング作業の所要時間を短縮することができる。
・本ツールの製造に用いられる材料の硬度の観点から、作業負荷が高くなった場合でも破損や破断が生じないことが保証でき、本ツールの継続的な使用における信頼性を提供することができる。
・バーニヤスケールを用いた精度の高い測定が可能であり、ブレーキライニングにおいて正確な測定値を特定および取得できる。
・本ツールは使いやすく、軽量であり、人間工学に基づく構造であり、小型であるため、狭い空間にも届くことができる。
・本ツールは人間工学に基づく構造であるため、作業時に好適な姿勢を保ちやすい。
・本ツールに用いられる材料の観点から安全性も確保できる。
・本ツールは、さまざまなブランドやモデルのモータービークルに使用することができる。
・作業に伴う疲労が少なくすむ。
・本ツールは、リサイクル可能であり、製造の原材料の消費量を抑え、環境にも優しい。・本ツールは、リサイクル可能であるためコストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
発明の特徴の理解を促すことおよびその説明を容易にすることを目的として、本明細書に以下の通り一連の図面を付すが、発明の目的を例示するものであって限定するものではない。
【0011】
図1】本発明の等角図である。
図2】本発明の平面図である。
図3】本発明の正面図である。
図4】本発明の輪郭図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記の通り、本発明は以下の構成要素を有する。
【0013】
・第1の構成要素は「調整アーム(1)」であり、その寸法は好ましくは長さが30mm、幅が16mm、厚さが4mm、傾角が30°であり、長尺の構造を有する。調整アームがこれらの特徴を備えることで、調整アームがブレーキライニング用の調整ねじに届きやすくなり、ブレーキライニング用の調整ねじを回したり調整したりするときに、正しく調整されたことを示す(クリック)音がする点を踏まえると、作業の迅速化や安全性の向上がもたらされる。
【0014】
・第2の構成要素は「本体(2)」であり、本ツールの一部であり、ブレーキを調整するための支持を提供する。本体は小型で矩形形状を有し、その寸法は長さ76mm×幅32mmである。これらの好ましい寸法により、ブレーキを調整するための良好なグリップや強度が提供される。本体は、表面にローレット加工が施され、ツールと手との間で容易なグリップが実現し、手から抜け落ちないようにするとともに、握りやすさや人間工学に基づく構造により種々の怪我の回避に役立つ。別の好ましい形態では、本体の端部が湾曲しており、これにより握りやすさやグリップのしやすさが向上する。
【0015】
・第3の構成要素は少なくとも1つのブレーキブリーディング「レンチ(3)」である。本ツールは、好ましくはブレーキ液のブリーディングに用いられるボックスレンチとして機能する2つの六角形状の溝付き穴を有し、これによりブレーキシステム液(ブレーキ液DOT3やDOT4など)を排出するプラグ(ブレーキ液システムのブリードねじ)を緩めたり調整したりすることができる。これら2つの穴を備えるブレーキブリーディングレンチのサイズは、好ましくは8mm、10mmであり、ブレーキ液のブリーディング作業に役立つ。好ましい形態では、ブレーキブリーディングレンチは、リバーシブルラチェットタイプである。
【0016】
・最後に、本ツールの第4の構成要素は「バーニヤスケール(4)」である。バーニヤスケールは、浅浮き彫りによって刻まれた目盛りを有し、これによりブレーキライニングの摩耗を迅速かつ正確に読み取ることができる。この結果、ブレーキライニングの摩耗を正確に測定でき、診断の精度も高まる。好ましい形態では、本バーニヤスケールは、湾曲した端部を有しており、成形が容易であるとともに、湾曲形状を有するブレーキシューにも適合する。さらに好ましい形態では、湾曲した端部は、凹形であり、ブレーキライニングの凸形状と嵌め合うことができる。
【0017】
好ましい形態では、調整アーム(1)は、本体(2)に対して斜めに傾斜している。
【0018】
本ツールの好ましい製造材料は、ラミネート加工されたステンレス鋼であり、この材料は、耐久性が高く、長期使用に向き、軽量の材料であり、ツールの製造にも実用的である。このステンレス鋼は、その硬度や長期の耐久性だけでなく、ステンレスの組成の観点からも、酸化しにくいことで破傷風などの疾病の防止に資するため望ましいといえる。
【符号の説明】
【0019】
1 調整アーム
2 本体
3 ブレーキブリーディングレンチ
4 バーニヤスケール
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-11-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキパイプのブリーディング用のレンチを有するブレーキライニング較正および調整ツールであって、ブレーキライニングを調整するためのくさび形の先端を有する形状調整アーム(1)と、前記調整アームから延伸するグリップハンドルである本体(2)と、前記ツール内に設けられた溝付き穴の形状である、ブレーキ液のブリーディングを行うための少なくとも1つのレンチ(3)と、前記ツールの一端に設けられたバーニヤスケール(4)と、を有することを特徴とするブレーキライニング較正および調整ツール。
【請求項2】
矩形および長尺の調整アーム(1)が、厚さが約1mmであり長さが約10mmである寸法のくさび形の先端を有し、これにより前記先端がブレーキライニングの調整ねじに直接かつ正確に接触することができ、前記調整アームは、長さが30mmであり、幅が16mmであり、厚さが4mmであり、前記調整穴と前記調整ねじとの間の内部部品を損傷しない、ことを特徴とする請求項1に記載のブレーキパイプのブリーディング用のレンチを有することを特徴とする請求項1に記載のブレーキパイプのブリーディング用のレンチを有するブレーキライニング較正および調整ツール。
【請求項3】
小型の本体(2)が、矩形形状であり、前記本体の外側を覆う、ローレット加工が施された部分を有し、これによりブレーキの調整作業時に良好なグリップを提供することができることを特徴とする請求項1に記載のブレーキパイプのブリーディング用のレンチを有する較正および調整ツール。
【請求項4】
前記調整アーム(1)が、前記本体(2)に対して傾斜していることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のブレーキパイプのブリーディング用のレンチを有する較正および調整ツール。
【請求項5】
前記少なくとも1つのレンチ(3)の前記溝付き穴が、六角形であることを特徴とする請求項1に記載のブレーキパイプのブリーディング用のレンチを有する較正および調整ツール。
【請求項6】
2つのレンチをさらに有し、第1のレンチの直径が8mmであり、第2のレンチの直径が10mmであることを特徴とする請求項1または5に記載のブレーキパイプのブリーディング用のレンチを有する較正および調整ツール。
【請求項7】
バーニヤスケール(4)が、凹形形状であり、ブレーキライニングの凸形状と適合することを特徴とする請求項1に記載のブレーキパイプのブリーディング用のレンチを有する較正および調整ツール。
【国際調査報告】