(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-14
(54)【発明の名称】肝臓の糖新生を抑制するための苦味のないゴーヤ由来のトリテルペン組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7048 20060101AFI20220307BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20220307BHJP
A61K 36/42 20060101ALI20220307BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20220307BHJP
A23L 33/11 20160101ALI20220307BHJP
A61K 131/00 20060101ALN20220307BHJP
【FI】
A61K31/7048
A61P3/10
A61K36/42
A23L33/105
A23L33/11
A61K131:00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2020569762
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(85)【翻訳文提出日】2020-12-09
(86)【国際出願番号】 CN2019125045
(87)【国際公開番号】W WO2021103170
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】201911191519.1
(32)【優先日】2019-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520486133
【氏名又は名称】セリカルチュラル アンド アグリ-フード リサーチ インスティチュート クワントン アカデミー オブ アグリカルチュラル サイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100163544
【氏名又は名称】平田 緑
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【氏名又は名称】庄司 晃
(72)【発明者】
【氏名】デン,ユアンユアン
(72)【発明者】
【氏名】ジア,シューチャオ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ミンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,チェンシェン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,グアン
(72)【発明者】
【氏名】タン,シャオジュン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ピン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジアジア
(72)【発明者】
【氏名】リャオ,ナー
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チミン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,リーハン
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018MD53
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF06
4B018MF07
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA04
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA09
4C086NA14
4C086ZC35
4C088AB19
4C088AC04
4C088BA21
4C088CA03
4C088NA09
4C088NA14
4C088ZC35
(57)【要約】
本発明は、肝臓の糖新生を阻害するための苦味のないゴーヤ由来のトリテルペン組成物を開示し、その有効成分は主にCharantoside CとMomordicoside F1からなり、前記Charantoside CとMomordicoside F1の質量比は1:0.6~1.5である。また、肝臓の糖新生を阻害する効果を有する健康食品の調製における上記ゴーヤ由来のトリテルペン組成物の使用を開示する。本発明におけるトリテルペン組成物は、肝臓の糖新生を阻害することができ、かつ該組成物は明らかな苦味がなく、機能性成分として食品に添加して、風味がよく、受容性が高く、血糖を効果的に制御できる健康食品に発展させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肝臓の糖新生を抑制するための苦味のないゴーヤ由来のトリテルペン組成物であって、その有効成分は主にCharantoside CとMomordicoside F1からなり、前記Charantoside CとMomordicoside F1の質量比は1:0.6~1.5である、ことを特徴とする
肝臓の糖新生を抑制するための苦味のないゴーヤ由来のトリテルペン組成物。
【請求項2】
前記Charantoside C、Momordicoside F1および前記ゴーヤ由来のトリテルペン組成物はすべて非苦味物質である、ことを特徴とする
請求項1に記載の肝臓の糖新生を抑制するための苦味のないゴーヤ由来のトリテルペン組成物。
【請求項3】
肝臓の糖新生を阻害する効果を有する健康食品の調製における、請求項1または2のゴーヤ由来のトリテルペン組成物の使用。
【請求項4】
前記健康食品に含まれる前記ゴーヤ由来のトリテルペン組成物の添加質量パーセントは0.1~2%である、ことを特徴とする、
請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記Charantoside CとMomordicoside F1の調製方法は以下のとおりであり、
(1)ゴーヤを選び、前処理後にゴーヤ乾燥粉末を得た、
(2)ゴーヤ乾燥粉末に体積パーセントが70%のエタノールを加えた後、ゴーヤ由来のトリテルペン抽出物を得た、
(3)ゴーヤ由来のトリテルペン抽出物を石油エーテル、酢酸エチル、n-ブタノールの順に抽出し、濃縮して石油エーテル相、酢酸エチル相、n-ブタノール相を順に得た、
(4)n-ブタノール相をマクロポーラス樹脂で粗精製した後、水、体積パーセントが20%のエタノール-水と体積パーセントが80%のエタノール-水の順に溶出し、ここで、体積パーセントが80%のエタノール-水溶出部分は、トリテルペンが豊富な部分であった、
(5)クロロホルム/メタノールを溶出剤として使用し、順相シリカゲルカラムで体積パーセントが80%のエタノール-水溶出部分を分離して精製し、50:1の体積比のクロロホルム/メタノールと20:1の体積比のクロロホルム/メタノールで順番に溶出した、
(6)20:1の体積比のクロロホルム/メタノール溶出液を収集し、逆相カラムクロマトグラフィーを使用して、それぞれ体積パーセントが50%および体積パーセントが60%のメタノール-水の勾配溶出を採用した、
(7)体積パーセントが60%のメタノール-水の勾配溶出液を収集し、高速液体クロマトグラフィーによってさらに精製し、体積パーセントが80%のアセトニトリルで溶出して、ゴーヤ由来のトリテルペノイドであるCharantoside CとMomordicoside F1を得た、ことを特徴とする、
請求項3に記載の使用。
【請求項6】
ステップ(1)では、前記前処理は、洗浄、シード除去、スライス、乾燥、粉砕、およびふるい分けという処理を含む、ことを特徴とする、
請求項5に記載の使用。
【請求項7】
ステップ(3)では、ゴーヤ由来のトリテルペン抽出物と石油エーテル、酢酸エチル、n-ブタノールの抽出体積比はすべて1:3で、石油エーテル抽出が1回、酢酸エチル抽出が2回、n-ブタノール抽出が3回である、ことを特徴とする、
請求項5に記載の使用。
【請求項8】
ステップ(4)では、D101マクロポーラス樹脂を粗精製に使用する、ことを特徴とする、
請求項5に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品集約的処理の技術分野に属し、特に、肝臓の糖新生を抑制するための苦味のないゴーヤ由来のトリテルペン組成物およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴーヤ(Momordica charantia L.)は、熱帯-亜熱帯の特殊な薬用と食用特性を持つ野菜であり、苦くて冷たい性質があり、糖尿病や肥満などのエネルギー代謝の不均衡に関連する多くの疾患を予防および改善するために使用できる。トリテルペノイドは、ゴーヤがグルコースと脂質の代謝を調節するための重要な材料基盤であり、その最も重要な苦味物質でもある。多数のinvivoとinvitro実験により、ゴーヤ由来のトリテルペン抽出物が有意な血糖降下作用を有することが確認されたが、強い苦味は食品分野でのその使用を制限する。
【0003】
トリテルペノイドは一般的に苦味があると考えられている。現在、ゴーヤから分離されたトリテルペノイドは150近くあるが、単一の化合物の苦味強度に関する研究報告はない。また、現在、血糖降下作用のあるゴーヤ由来のトリテルペノイドは約14種類あり、その血糖降下作用には、主に、AMPKシグナル伝達経路を活性化させ、GLUT4を刺激して細胞膜にグルコースを輸送し、α-グルコシダーゼの活性を阻害し、食後の血中グルコースレベルを制御することを含むが、肝臓の糖新生に対するトリテルペノイドの効果は不明である。
【0004】
2型糖尿病の病理学的特徴は、血中グルコース含有量が高すぎる、または/および末梢組織の糖利用率が低下していることである。血中の過剰なグルコース含有量は、肝臓のグルコース出力に由来する。糖尿病患者における肝臓の糖新生の発生率は90%にも達している。肝臓の糖新生を阻害することは、糖尿病に対する治療の重要な標的である。
【0005】
要約すると、ゴーヤ由来のトリテルペンの苦味強度はまだわかっておらず、そして肝臓の糖新生に対するその効果は不明である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、肝臓の糖新生に対する優れた阻害特性があり、明らかな苦味を有さないゴーヤ由来のトリテルペン組成物を提供することである。
本発明の目的はまた、肝臓の糖新生を阻害する効果を有する健康食品の調製における上記ゴーヤ由来のトリテルペン組成物の使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記第一目的は、以下の技術的解決策によって達成できる:
肝臓の糖新生を阻害するための苦味のないゴーヤ由来のトリテルペン組成物であって、その有効成分は主にCharantoside CとMomordicoside F1からなり、前記Charantoside CとMomordicoside F1の質量比は1:0.6~1.5である。
【0008】
本発明において、カフェインを標準にして、電子舌を使用してゴーヤから分離された一連のゴーヤ由来のトリテルペノイドを定量的に分析する。同時に、ラット初代肝細胞をモデルとして使用して、肝臓の糖新生に対するこの一連のトリテルペノイドの阻害活性を分析した。スクリーニングにより、Charantoside CとMomordicoside F1という2つの活性の強い苦味のないトリテルペノイドが得られた。これに基づいて、活性と苦味に対する分析と評価を組み合わせて、質量比が1:0.6~1.5のCharantoside CとMomordicoside F1は、活性を高めた配合比であった。該組成物は、肝臓の糖新生に対して有意な阻害効果があり、明らかな苦味はない。糖尿病患者のための健康食品の機能性成分として使用できる。
【0009】
ここで、Charantoside CとMomordicoside F1の化学構造式は次のとおりであり、
【化1】
【0010】
ここで、前記Charantoside C、Momordicoside F1および前記ゴーヤ由来のトリテルペン組成物の苦味強度は、電子舌(α-ASTREELiquidTaste Analyser,Alpha M.O.S., Toulouse, France)の検出閾値よりも低く、苦味のない物質である。
【0011】
具体的には、電子舌による上記の2つの化合物Charantoside C、Momordicoside F1に対する定量的分析により、その苦味強度は電子舌検出閾値(1×10-4g/mLカフェイン)よりも低く、カフェイン標準曲線の予測値はそれぞれ、1.50×10-6と3.39×10-10 g/mLカフェインであり(すなわち、1g/mLのCharantoside C、Momordicoside F1エタノール溶液の苦味強度はそれぞれ、1.50×10-6と3.39×10-10g/mLのカフェインエタノール溶液の苦味強度に相当する)、苦味のない化合物である。
【0012】
質量比が1:0.6~1.5のCharantoside C、Momordicoside F1からなるゴーヤ由来のトリテルペン組成物の苦味強度も電子舌検出閾値より低く、1g/mL組成物の苦味強度に対するカフェイン標準曲線の予測値は3.40×10-8~5.67×10-6 g/mLカフェインであり、これも苦味のない物質である。
【0013】
したがって、本発明において、Charantoside C、Momordicoside F1およびこれら2つの組成物から調製されたゴーヤ由来のトリテルペン組成物は、苦味がない。
【0014】
本発明の上記第二目的は、肝臓の糖新生を阻害する特性を有する健康食品の調製における上記ゴーヤ由来のトリテルペン化合物の使用という技術的解決策によって達成できる。
【0015】
本発明の実施例における実験結果は、20μM濃度でのCharantoside C、Momordicoside F1の肝臓の糖新生に対する阻害活性はそれぞれ22.94%と38.34%であり、20μMでのベルベリン(糖尿病治療のための伝統的な中国の漢方薬であるオウレンの主成分)の阻害率が15.61%であり、肝臓の糖新生に対する阻害活性が有意であることを示した。
【0016】
Charantoside CとMomordicoside F1構造の違いおよび構造によって引き起こされる活性の違いの分析と予測によると、質量比が1:0.6~1.5のCharantoside CとMomordicoside F1で構成されるゴーヤ由来のトリテルペン組成物は、同じ投与量の単一の化合物よりも有意に高い肝臓の糖新生に対する阻害活性を有する。
【0017】
好ましくは、前記ゴーヤ由来のトリテルペン組成物は、健康食品に加える質量パーセントは0.1~2%である。
【0018】
本発明の好ましい実施形態として、Charantoside CとMomordicoside F1の調製方法は以下のとおりである:
(1)ゴーヤを選び、前処理後にゴーヤ乾燥粉末を得た。
(2)ゴーヤ乾燥粉末に体積パーセントが70%のエタノールを加えた後、ゴーヤ由来のトリテルペン抽出物を得た。
(3)ゴーヤ由来のトリテルペン抽出物を石油エーテル、酢酸エチル、n-ブタノールの順に抽出し、濃縮して石油エーテル相、酢酸エチル相、n-ブタノール相を順に得た。
(4)n-ブタノール相をマクロポーラス樹脂で粗精製した後、水、体積パーセントが20%のエタノール-水と体積パーセントが80%のエタノール-水の順に溶出し、ここで、体積パーセントが80%のエタノール-水溶出部分は、トリテルペンが豊富な部分であった。
(5)クロロホルム/メタノールを溶出液として使用し、順相シリカゲルカラムで体積パーセントが80%のエタノール-水溶出部分を分離して精製し、50:1の体積比のクロロホルム/メタノールと20:1の体積比のクロロホルム/メタノールで順に溶出した。
(6)20:1の体積比のクロロホルム/メタノール溶出液を収集し、逆相カラムクロマトグラフィーを使用して、それぞれ体積パーセントが50%および体積パーセントが60%のメタノール-水の勾配溶出を採用した。
(7)体積パーセントが60%のメタノール-水の勾配溶出液を収集し、高速液体クロマトグラフィーによってさらに精製し、体積パーセントが80%のアセトニトリルで溶出して、ゴーヤ由来のトリテルペノイドであるCharantoside CとMomordicoside F1を得た。
【0019】
上記Charantoside CとMomordicoside F1の調製方法において、
好ましくは、ステップ(1)では、前記前処理は、洗浄、シード除去、スライス、乾燥、粉砕、およびふるい分けという処理を含む。
好ましくは、ステップ(3)では、ゴーヤ由来のトリテルペン抽出物と石油エーテル、酢酸エチル、n-ブタノールの抽出体積比はすべて1:3で、石油エーテル抽出が1回、酢酸エチル抽出が2回、n-ブタノール抽出が3回である。
好ましくは、ステップ(4)では、D101マクロポーラス樹脂を粗精製に使用する。
【0020】
従来技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を有する:
(1)従来技術におけるゴーヤ由来のトリテルペン抽出物は、有意な血糖降下作用を有するが、肝臓の糖新生に対するその効果は不明であり、かつその苦味が強く、食品への使用が制限され、本発明は、前の段階で単離された19のゴーヤ由来のトリテルペン化合物から、肝臓の糖新生に対する阻害活性を有する2つの苦味のないトリテルペノイドをスクリーニングし、また、苦味が強く消費者の受容性が低いため、食品深加工の分野でのゴーヤ由来のトリテルペン抽出物の長期使用制限を打ち破り、その活性を高めた配合比を得た。
(2)本発明におけるトリテルペン組成物は、肝臓の糖新生を阻害することができ、その効果はベルベリンよりも優れ、これは、肝臓の糖新生を阻害するゴーヤ由来のトリテルペン抽出物の主な有効成分であり、さらに、該組成物は明らかな苦味がなく、食品の機能性成分として添加することができ、より良い風味と高い受容性を備えた糖尿病患者のための特別な健康食品に発展することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、実施例4におけるゴーヤ由来のトリテルペン組成物が肝実質細胞のグルコース産生に及ぼす影響を示し、ここで、DMSO、ジメチルスルホキシド(0.4%); Metfoumin、メトホルミン(2mM); Berberineベルベリン(20μM); triterpenoid extracts、ゴーヤ由来のトリテルペン抽出物(50μg/mL); 組成物1、Charantoside CとMomordicoside F1=1:0.25(質量部、以下と同じ); 組成物3、Charantoside CとMomordicoside F1=1:1;組成物4、Charantoside CとMomordicoside F1=1:1.5;組成物5、Charantoside CとMomordicoside F1=1:4;組成物の最終濃度は20μMである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下は、特定の実施形態と併せて本発明をさらに説明するが、本発明によって主張される保護の範囲は、以下の実施形態に限定されない。
以下の実施例で使用されている原材料は、特に明記されない限り、すべて市販の製品である。
【実施例】
【0023】
実施例1
本実施例は、肝臓の糖新生を阻害するための苦味のないゴーヤ由来のトリテルペン組成物を提供し、その有効成分は主にCharantoside CとMomordicoside F1からなり、Charantoside CとMomordicoside F1の質量比は1:1.5であった。
【0024】
該組成物は、2.0%の質量パーセントで機能性経口液体に添加され、肝臓の糖新生を効果的に阻害し、食後の血中グルコース上昇を制御することができる。
【0025】
本実施例におけるCharantoside CとMomordicoside F1は、化学合成によって取得できるか、または以下の実施例4の方法で直接調製できる。
【0026】
実施例2
本実施例は、肝臓の糖新生を阻害するための苦味のないゴーヤ由来のトリテルペン組成物を提供し、その有効成分は主にCharantoside CとMomordicoside F1からなり、Charantoside CとMomordicoside F1の質量比は1:1であった。
【0027】
該組成物は、1.0%の質量パーセントで機能性経口液体に添加され、肝臓の糖新生を効果的に阻害し、食後の血中グルコース上昇を制御することができる。
【0028】
実施例3
本実施例は、肝臓の糖新生を阻害するための苦味のないゴーヤ由来のトリテルペン組成物を提供し、その有効成分は主にCharantoside CとMomordicoside F1からなり、Charantoside CとMomordicoside F1の質量比は1:0.6であった。
【0029】
該組成物は、0.1%の質量パーセントで機能性経口液体に添加され、肝臓の糖新生を効果的に阻害し、食後の血中グルコース上昇を制御することができる。
【0030】
実施例4
以下は、初代単離SDラット肝実質細胞をモデルとして使用し、メトホルミン(metformin)、ベルベリン(Berberine)、ゴーヤ由来のトリテルペノイド抽出物(triterpenoid extracts、以下のように調製される)を陽性対照として使用し、ゴーヤ由来のトリテルペノイドであるCharantoside CとMomordicoside F1、およびその異なる比率が肝臓の糖新生に及ぼす影響を評価し、本発明の有益な効果をさらに説明する。
【0031】
プロセスは次のとおりである:
1、試験材料
1.1 サンプルの調製
新鮮なゴーヤを洗浄し、シードを除去し、スライスして、55℃で12時間乾燥させ、粉砕して80メッシュのふるいでふるい分けてゴーヤ乾燥粉末を得た。ゴーヤ乾燥粉末を、室温で材料対液体の比率が1:5に従って、70%のエタノールで2回抽出して、ゴーヤ由来のトリテルペン抽出物を得た。粗抽出物を濃縮した後、石油エーテル、酢酸エチル、n-ブタノールの順で抽出し(抽出体積比1:3、石油エーテル抽出1回、酢酸エチル抽出2回、n-ブタノール抽出3回)、その後、ロータリーエバポレーターで真空濃縮させ、石油エーテル相、酢酸エチル相、およびn-ブタノール相をそれぞれ得た。
【0032】
n-ブタノール相は、D101マクロポーラス樹脂によって粗精製され、水、20%のエタノール-水および80%のエタノール-水で溶出された。ここで、80%のエタノール-水溶出部分はトリテルペンが豊富な部分であり、順相シリカゲルカラムによってさらに分離および精製された。溶出剤としてクロロホルム/メタノールを使用し、クロロホルム/メタノール50:1とクロロホルム/メタノール20:1を順に使用した。クロロホルム/メタノール20:1の部分を収集し、逆相カラムクロマトグラフィーによって分離し、50%と60%のメタノール-水で勾配溶出した。60%のメタノール-水溶出液を収集し、分取用高速液体クロマトグラフィーでさらに精製し、80%のアセトニトリルで溶出し、複数の溶出ピークが得られた。
【0033】
化学構造をNMRなどの既存のスペクトル分析法で分析すると同時に、既存の文献と比較して、溶出ピークの2つがゴーヤ由来のトリテルペノイドであるCharantoside CとMomordicoside F1が確認された。上記のプロセスにおいて、抽出により得られたゴーヤ由来のトリテルペン抽出物を真空回転蒸発により濃縮して、細胞実験に使用されるトリテルペノイド抽出物を得た。
【0034】
1.2 実験細胞
その場灌流消化法を用いてSDラット肝臓を4型コラゲナーゼで消化し、肝細胞を分散させた後、49%のPercoll分離液に移して遠心分離させ、上澄みを捨てた後、細胞を0.2%のゼラチンでコーティングされた24ウェルプレートに挿入し、壁に6時間付着させた。無血清低糖培地で8時間飢餓状態にした後、上澄みを廃棄し、PBSバッファーで洗浄した後、反応溶液(2mMのピルビン酸ナトリウムと20mMの乳酸ナトリウムを含む無糖DMEM培地)を加え、サンプルテストを持つ。
【0035】
2、試験方法
トリテルペン化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解して10μMの母液を調製し、上記反応溶液で希釈した後、細胞培養ウェルに添加される最終濃度は20μMであり、DMSOの最終濃度は0.4%であった。陽性対照のトリテルペン抽出物は、DMSOで50mg/mLに調製され、テストの最終濃度は50μg/mLであり、溶液中のDMSOの最終濃度を0.4%に維持した。陰性対照は、同じ濃度のDMSO(0.4%)を含む反応溶液であった。陽性対照の塩酸メトホルミンは、超純水で250mMに調製され、テストの最終濃度は2mMであり、DMSOの最終濃度を0.4%に維持した。陽性対照のベルベリン(Berberine)は、超純水で40mMに調製され、テストの最終濃度は20μMであり、DMSOの最終濃度を0.4%に維持した。細胞反応液に試験物質を加え、6時間培養を続けた。次に、標準曲線法を使用して培養培地(すなわち反応溶液)の各ウェルのグルコース濃度を決定し、その後、培養培地を廃棄し、細胞をPBSで洗浄した後に250mMのNaOHで溶解し、タンパク質濃度をクーマシーブリリアントブルー法で測定した。吸収値を読取ることにより、標準曲線法を使用してすべてのサンプルウェルの培養液中のグルコース濃度と溶解後のタンパク質濃度を測定し、その比率を使用して該ウェル内の細胞の平均糖新生レベルを測定した。
【0036】
2.1 データ分析
LSD法を使用して違いを分析した。結果は平均±標準偏差として表され、p<0.05は差が有意であることを示した。
【0037】
2.2 実験結果
ゴーヤ由来のトリテルペノイドであるCharantoside CとMomordicoside F1、およびそれらの様々な比率が肝臓の糖新生に及ぼす影響を
図1に示す。結果は、メトホルミンの肝臓の糖新生に対する阻害率が、通常の用量が2mMの場合に61.01%であることを発見した。20μMのベルベリンの阻害率は15.61%であった。50μg/mLの濃度でのトリテルペン抽出物の阻害率は54.22%であった。20μMのCharantoside CとMomordicoside F1の肝臓の糖新生に対する阻害活性はそれぞれ22.94%と38.34%であり、ベルベリンよりも高く、トリテルペン抽出物に近く(ゴーヤ由来のトリテルペン抽出物は、トリテルペン、タンパク質、多糖類などの多くの物質を含む混合物であり、物質間に相乗効果があり、抽出物の投与量が多いため、通常、抽出物の活性はモノマーよりも優れ、本出願の2つの化合物は単離されたモノマー化合物であり、それらの活性はトリテルペン抽出物に近く、これら2つの化合物がゴーヤ由来のトリテルペン抽出物の主な活性モノマーであることを示す)、したがって、ゴーヤ由来のトリテルペノイドであるCharantoside CとMomordicoside F1は、肝臓の糖新生に対する阻害活性が有意であり、かつ、肝臓の糖新生に対する阻害活性を発揮するゴーヤ由来のトリテルペン抽出物の主成分であると決定できる。
【0038】
Charantoside CとMomordicoside F1を様々な比率で配合すると、肝臓の糖新生活性大幅に増加した。ここで、組成物4の阻害率(Charantoside C:Momordicoside F1=1:1.5であるとき、阻害率は43.54%であった)は、同じ用量の単一化合物の阻害率よりも有意に高かった。
【0039】
実施例5
次に、電子舌(α-ASTREELiquidTaste Analyser,Alpha M.O.S.,Toulouse,France)を使用して、ゴーヤ由来のトリテルペノイドであるCharantoside CとMomordicoside F1、および異なる比率の組成物の苦味強度を検出し、本発明の有益な効果を以下のようにさらに説明する:
【0040】
1. 実験試料
1.1 サンプルの調製
1mgのCharantoside C、Momordicoside F1、およびそれらの様々な比率の組成物を量り、30mLの無水エタノールを加え、溶解後、テストのために電子舌専用ビーカー(25mL)にサンプルを入れた。無水エタノールサンプルはブランク対照とした。同時に、無水エタノールを用いて濃度の異なるカフェイン標準製品を調製し、濃度定量的カフェイン標準曲線から各サンプルの苦味を予測した。カフェイン濃度の定量的標準曲線の相関係数R2は0.9823であった。
【0041】
1.2 電子舌測定プロセス
処理したサンプルは、分析のために電子舌専用ビーカーに直接入れられ、各サンプルは、実験中に7回繰り返され、実験の分析条件は、サンプル量:25mL、サンプル収集時間:120秒、毎回の分析時間:180秒であった。
【0042】
1.3データ処理
Alpha softソフトウェアでデータ分析を行う。苦味強度の表現は、1g/mLのサンプルエタノール溶液の苦味強度がカフェインエタノール溶液の苦味強度(g/mL)に等しいと定義される。
【0043】
1.4 実験結果
化合物Charantoside CとMomordicoside F1は電子舌で定量的に分析され、それらの苦味強度は電子舌検出閾値よりも低く、カフェイン標準曲線の予測値はそれぞれ1.50×10-6と3.39×10-10g/mLカフェイン(すなわち、1g/mLのCharantoside CとMomordicoside F1エタノール溶液の苦味強度はそれぞれ1.50×10-6と3.39×10-10g/mLカフェインエタノール溶液に等しい)、苦味のない化合物である。
【0044】
実施例1のゴーヤ由来のトリテルペン組成物の苦味強度は、電子舌検出閾値よりも低く、1g/mLの組成物4の苦味強度予測値(カフェイン標準曲線予測値)は、1.22×10-8g/mLカフェインであり、苦味のない化合物である。
【0045】
実施例2のゴーヤ由来のトリテルペン組成物の苦味強度は、電子舌検出閾値よりも低く、1g/mLの組成物3の苦味強度予測値(カフェイン標準曲線予測値)は、7.51×10-7g/mLカフェインであり、苦味のない化合物である。
【0046】
実施例3のゴーヤ由来のトリテルペン組成物の苦味強度は、電子舌検出閾値よりも低く、1g/mLの組成物2の苦味強度予測値(カフェイン標準曲線予測値)は、5.24×10-6g/mLカフェインであり、苦味のない化合物である。
【0047】
上記実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の保護範囲を限定するものではない。当業者は、上記に開示された範囲に従って、本発明の目的を達成することができる。
【国際調査報告】