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特表2022-518116表面処理のためのガイド装置、システムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-14
(54)【発明の名称】表面処理のためのガイド装置、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 23/00 20060101AFI20220307BHJP
   B24B 23/02 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
B24B23/00 Z
B24B23/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021534316
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(85)【翻訳文提出日】2021-07-14
(86)【国際出願番号】 EP2020079834
(87)【国際公開番号】W WO2021129967
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】102019135777.2
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518361790
【氏名又は名称】フェスツール ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ ネヒト
(72)【発明者】
【氏名】ティモ バイエル
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ウーラー
(72)【発明者】
【氏名】エリック シュースラー
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド グリム
(72)【発明者】
【氏名】マニュエル バイヤール
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル ハイゲリン
【テーマコード(参考)】
3C158
【Fターム(参考)】
3C158AA04
3C158AA13
3C158AB09
3C158AC01
3C158AC03
3C158CB03
(57)【要約】
本発明は、ガイド装置100、ガイド装置および表面処理のための工具111を備えるシステム、ガイド装置を用いた表面処理のための方法、ガイド装置100を用いた工具111を後付する方法に関する。ガイド装置100は、少なくとも1つのガイド要素101と、1つの角度装置102と、ガイド装置を工具111に接続するための1つの接続具130とを備える。さらに、少なくとも1つのガイド要素101の平面180と、接続可能な工具111の作用面110との間の所定の角度を角度装置102によって設定する。ガイド装置100は、少なくとも1つの可撓性動作状態と1つの剛性動作状態との間で切り替え可能であることを特徴とする。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース(118)の表面処理用工具(111)のためのガイド装置(100)であって、
少なくとも1つのガイド要素(101)と、
1つの角度装置(102)と、
ガイド装置を工具(111)に接続するための1つの接続具(130)とを備え、
少なくとも1つのガイド要素(101)の平面(180)と、接続可能な工具(111)の作用面(110)との間の所定の角度を角度装置(102)によって設定することができ、
ガイド装置(100)は、少なくとも1つの可撓性動作状態と1つの剛性動作状態との間で切り替え可能である
ことを特徴とするガイド装置(100)。
【請求項2】
少なくとも剛性動作状態を設定するように設計された締め要素をさらに有する、請求項1に記載のガイド装置。
【請求項3】
接続具は、締め要素のための切り欠き(138)を有し、
締め要素は、角度装置(102)を貫通する接続要素(143)の一端に結合することができ、可撓性動作状態または剛性動作状態を設定するために、任意選択で遊びありまたは遊びなしで接続具の切り欠きに係合するように設計された回転可能な偏心体(121)を有する、請求項2に記載のガイド装置。
【請求項4】
可撓性動作状態を設定するための少なくとも1つの弾性要素をさらに有し、この要素は、ばね、減衰板、少なくとも1つの弾性部分を備えたボルト、または前記弾性要素の組み合わせを含む群から選択される、請求項1または2に記載のガイド装置。
【請求項5】
ガイド装置は、角度装置は、ねじ接続、クランプレバー、回転ノブ(113)、またはラッチ機構を含む群から選択される機械的操作要素を含む、角度を固定および解放するためのクランプシステムを有する、請求項1~4の何れか一項に記載のガイド装置。
【請求項6】
角度装置または接続具または角度装置と接続具との間の遷移領域上に、および/またはガイド面から離れた側のガイド要素上に配置された少なくとも1つのハンドル(103)をさらに有する、請求項1~5の何れか一項に記載のガイド装置。
【請求項7】
ハンドル(103)は、少なくとも1つの長手方向に変位可能な延長要素を有し、これを、接続具または角度装置の嵌合要素と係合させることができる、請求項6に記載のガイド装置。
【請求項8】
角度装置はレールシステムを備える、請求項1~7の何れか一項に記載のガイド装置。
【請求項9】
少なくとも1つの弧状レール上で特定の角度だけ変位させることができる要素が、クランプシステムを備えたハンドルとして形成される、請求項8に記載のガイド装置。
【請求項10】
クランプシステムのクランプ方向は、レールの摺動軌道に直交して配置され、角度装置(102)が係止位置にある場合に、ハンドル(103)の第1の接触面およびレールシステムの第2の接触面を摩擦によって固定することができる、請求項9に記載のガイド装置。
【請求項11】
ガイド要素は、少なくとも1つのローラー要素および/または少なくとも1つの弾性要素を備えた少なくとも1つのガイドプレート(115)を有する、請求項1~10の何れか一項に記載のガイド装置。
【請求項12】
ガイド要素(101)は、回転軸線(106)の周りで回転可能であるように、工具に面する側に取り付けられる、請求項1~11の何れか一項に記載のガイド装置。
【請求項13】
ガイド要素(101)またはガイドプレート(115)は、ワークピース表面に応じた所定の摺動特性を有する、取り外し可能に取り付け可能な摺動基部(116)、摺動構造、摺動織布、および/または摺動ニット布のための少なくとも1つのレセプタクルを有する、請求項1~12の何れか一項に記載のガイド装置。
【請求項14】
角度装置の第1の回転軸線は、処理されるワークピースの上縁部に配置される、請求項1~13の何れか一項に記載のガイド装置。
【請求項15】
ガイド装置は、可撓性動作モードにおいて、角度装置によって設定することができる角度の±10%の角度遊びを有する、請求項1~14の何れか一項に記載のガイド装置。
【請求項16】
ガイド装置は、可撓性動作モードにおける角度遊びの終了位置を減衰させるために、ストッパ(124)をさらに有する、請求項15に記載のガイド装置。
【請求項17】
請求項1~16の何れか一項に記載の工具用のガイド装置と、表面処理用工具とを備えるシステム。
【請求項18】
工具は、手持ち式または少なくとも部分的に自動的にガイドされる電気研削工具である、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
ガイドプレートをして形成されたガイド要素の少なくとも一部は、研削材料を変更するために、作用面から離れた位置に変位可能である、請求項17または18に記載のシステム。
【請求項20】
ワークピースの縁部表面の表面処理のための方法であって、
工具(111)に接続された、少なくとも1つのガイド要素(101)および1つの角度装置(102)を備えた工具(111)のガイド装置を提供するステップと、
角度装置(102)を用いて、少なくとも1つのガイド要素(101)の平面と工具(111)の作用面(110)との間の所定の角度を設定するステップと、
ガイド装置の少なくとも1つのガイド要素(101)を、少なくとも1つの縁部を有する、処理されるワークピース上に配置するステップと、
任意選択で、処理面に対する工具の作用面が可動である第1の可撓性動作状態を設定して、処理される縁部表面に柔軟に適合させるステップ、または、
少なくとも1つのガイド要素(101)の平面と接続された工具の作用面(110)との間の所定の角度が固定されている第2の剛性動作状態を設定するステップ
を含む方法。
【請求項21】
工具(111)を、少なくとも1つのガイド要素(101)および角度装置(102)を備えた工具のガイド装置に後付けするための方法であって、
少なくともガイド要素(101)および角度装置(102)を備えた工具(110)用のガイド装置を提供するステップと、
表面処理のために、接続具によって工具を工具のガイド装置に接続するステップ
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイド装置、表面処理のためのガイド装置および工具を備えるシステム、ガイド装置による表面処理方法、および工具をガイド装置に後付けする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面処理のための自動機械の使用は、先行技術から公知である。例えば、ベルトサンダーや偏心サンダー等の電動研削工具は、表面処理に広く使用されている。しかし、手持ち式の偏心サンダーや類似の機械を使用した縁部の表面処理では、研削工具が転倒しやすく、その結果、過研削等の望ましくない研削損傷が発生する可能性があるという問題がある。このような場合、試行錯誤された手研削が頻繁に使用される。
【0003】
研削ブロックを使用した手作業は、例えば、縁部の中間ラッカー研削等の複雑な処理工程において有利である。中間ラッカー研削は、最初のラッカー塗装の後に行われる研削である。これは、滑らかな表面をもたらすことを目的としている。研削パターンを可能な限り均一にし、研削耐性を低くすることによって、ラッカーの塗布量を減らし、研磨工程を短縮することも目的としている。この場合の表面は損傷してはならない。手作業での中間ラッカー研削は、固定式装置での処理と比較して安価な代替手段として知られている。しかし、手研削ブロックを使用した手作業の表面処理には、かなりの時間がかかり、自動研削機械よりも不均一または再現性のない研削パターンが生成されるという欠点がある。
【0004】
固定式のマシニングセンタでは、縁部の迅速かつ正確な処理が可能である。ただし、研削粒子が堆積し得るという問題があるため、マシニングセンタは微研削作業よりも粗研削に適している。さらに、投資コストが高いという不利益もある。マシニングセンタの公知のガイド装置は、移動式研削機と比較して広い設置スペースを必要とし、特に比較的小さなプレートの処理に適している。しかし、大きなプレートの場合、固定式装置の支持面が十分でないという問題がある。したがって、人がプレートを手動でガイドするか、ローラーブロックが固定式研削装置を通過する処理対象のプレートの動きを補助する必要がある。手動ガイドには、ワークピースの縁部の結果が不正確になるという欠点があるが、ローラーブロックは平らな面でしか使用できないという問題が依然として存在する。
【0005】
したがって、特に縁部研削およびラッカー塗装中の中間研削のような複雑な作業のために、研削および研磨工具用の可動式で小型に構築され、同時に正確に機能するガイド装置を提供する必要がある。この場合には、手動ガイドの利点と固定処理の利点を組み合わせることを目的とする。
【0006】
さらに、ガイド装置は次の要件を満たすことを目的とする。ガイド装置は、表面処理の高精度を保証すべきであり、処理する表面に応じて最適に設定可能とすべきである。特に、ガイド装置は、中間ラッカー研削のための固定接続を有さないことが望ましい。しかし、正確な形状を作成するには、固定接続が必要である。このことは、ガイド装置は固定動作モードと非固定動作モードの両方を指令すべきであることを意味する。同時に、ガイド装置は操作が簡単であるべきである。
【0007】
工具のガイド装置への接続は、取り外し可能であることが意図されており、接続具は、様々な工具がガイド装置に接続され得るように適応可能ともすべきである。動作中は、作業領域の視界をできるだけ制限すべきである。ガイド装置の設置スペースはできるだけ小さくすると同時に、工具を取り外すことができるようにすべきである。ガイド装置は、工具がガイド装置に接続された場合に、研削材料を変更できるように考案すべきである。
【発明の概要】
【0008】
本発明に基づいて、上記の問題は、剛性動作状態のみを提供する表面処理用の従来の工具の場合よりも、よく良く解決されることを意図している。
【0009】
上記の問題は、独立請求項の特徴に従って、本発明によるガイド装置、システムおよび方法によって解決される。本発明の好ましくかつ有利な構成は、独立請求項に続く従属請求項から生じ、以下でより詳細に説明される。
【0010】
本発明の基本概念によれば、少なくとも2つの動作状態を提供することが意図されており、工具は、それぞれの動作状態または動作モードにおいて確実に固定または設定することができる。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、少なくとも1つのガイド要素と、1つの角度装置と、ガイド装置を工具に接続するための1つの接続具とを備え、少なくとも1つのガイド要素の平面または摺動面と、接続可能な工具の作用面との間の所定の角度は、角度装置によって設定することができ、少なくとも1つの可撓性動作状態と1つの剛性動作状態との間で切り替え可能である、ワークピースの表面処理用工具のためのガイド装置が提供される。
【0012】
このように、ガイド装置の硬度、弾性または剛性を変えることができる。例えば、可撓性動作状態を選択した場合、中間ラッカー研削に必要な柔軟性を提供することができる。角度装置の補助により、工具の確実な誘導が保証され、したがって、角度装置なしで処理される表面での工具の取り扱い中に当然に起こり得る横転または転倒を回避することができる。
【0013】
「剛性動作状態」という用語は、特に、工具を操作する人によって、作用面の方向に、したがって一般に処理されるワークピースの方向に、または研削面の方向に力が加えられた場合でさえ、所定の角度が固定されていることを意味するものと理解されるべきである。対照的に、可撓性動作状態は、少なくとも1つのガイド要素の平面、すなわち、摺動面、ガイド面、または支持面に対して、作用面の限定された可動性を保証する。
【0014】
「表面処理用工具」とは、特に、研削、中間ラッカー研削、研磨等のために提供される研削または研磨器具等の工具を意味するものと理解されるべきである。
【0015】
本発明のさらなる態様によれば、ワークピースの表面処理用工具のためのガイド装置は、剛性動作状態を設定するように設計された締め要素をさらに有する。
【0016】
締め要素を用いて、所定の角度を正確に設定できる。必要に応じて、剛性が高く弾力性の高いガイド装置が利用できるように、締め要素をガイド装置に取り付けたり、ガイド装置に配置したりすることができる。このように、角度装置によって予め決定された角度での正確な工具誘導は、処理される表面または縁部に対して高い押圧力がある場合でも行うことができる。
【0017】
本発明のさらなる態様によれば、接続具は、締め要素のための切り欠きを有し、締め要素は、角度装置を貫通する接続要素の一端に結合することができ、可撓性動作状態または剛性動作状態を設定するために、任意選択で遊びありまたは遊びなしで接続具の切り欠きに係合するように設計された回転可能な偏心体を有する。
【0018】
このように、剛性動作状態と可撓性動作状態の間で択一的に選択を行うことができ、したがって、処理工程に応じて、表面処理中に工具の最適な動作を保証することができる。剛性または硬質から軟質への切り替え、およびその逆の切り替えは、偏心体を使用して、例えばレバー等の適切な作動要素を使用して、手動で迅速に行うことができる。
【0019】
本発明のさらなる態様によれば、ガイド装置は、可撓性動作状態を設定するための少なくとも1つの弾性要素をさらに有し、この要素は、ばね、減衰板、少なくとも1つの弾性部分を備えたボルト、または前記弾性要素の組み合わせを含む群から選択される。
【0020】
このように、有利には、表面の特に穏やかで正確な微細処理を保証することができる。この所定の可撓性は、研削器具の特に敏感で正確な誘導を必要とする中間ラッカー研削等の作業ステップに有利に使用することができる。
【0021】
本発明のさらなる態様によれば、角度装置は、ねじ接続、クランプレバー、回転ノブ、またはラッチ機構を含む群から選択される機械的操作要素を含む、角度を固定および解放するためのクランプシステムを有する。
【0022】
このようにして、使用者は、広い角度範囲を安全に設定することができ、角度範囲は、好ましくは43°から92°の間である。
【0023】
本発明のさらなる態様によれば、前述の態様のいずれか1つによるガイド装置は、角度装置または接続具または角度装置と接続具との間の遷移領域上に、および/またはガイド面から離れた側のガイド要素上に配置された少なくとも1つのハンドルをさらに有する。
【0024】
ハンドルは、握り心地のよい部分として形成することができ、任意選択で、操作性を向上させるために人間工学に基づいた形状を有することができる。接続具のハンドルに加えて、より良い誘導のために、工具から離れたガイド要素の側面に第2のハンドルを配置することができる。
【0025】
本発明のさらなる態様によれば、ハンドルは、少なくとも1つの長手方向に変位可能な延長要素を有し、これを、接続具または角度装置の嵌合要素と係合させることができる。
【0026】
このように、操作者に応じてハンドル領域を適合させ、長くすることができる。
【0027】
本発明のさらなる態様によれば、角度装置はレールシステムを備える。
【0028】
レールシステムを使用することにより、希望の角度を簡単に調整できる。レールシステムを使用する利点の1つは、作業領域が明確に視認できることである。
【0029】
本発明のさらなる態様によれば、少なくとも1つの弧状レール上で特定の角度だけ変位させることができる要素が、クランプシステムを備えたハンドルとして形成される。
【0030】
有利には、設定される角度の目印をレールシステムに適用することができる。所定のまたは所望の角度は、クランプシステムによって固定または係止することができる。
【0031】
本発明のさらなる態様によれば、クランプシステムのクランプ方向は、レールの摺動軌道に直交して配置され、角度装置が係止位置にある場合に、ハンドルの第1の接触面およびレールシステムの第2の接触面を摩擦によって固定することができる。
【0032】
このように、安定した力の対を生成するために、クランプシステムのクランプ要素をレールシステムの軌道に対してクランプ締めすることができる。
【0033】
本発明のさらなる態様によれば、ガイド要素は、少なくとも1つのローラー要素および/または少なくとも1つの弾性要素を備えた少なくとも1つのガイドプレートを有する。
【0034】
本発明のさらなる態様によれば、ガイドプレートは、回転軸線の周りで回転可能であるように、工具に面する側に取り付けられる。
【0035】
本発明のさらなる態様によれば、ガイド要素は、ワークピース表面に応じた所定の摺動特性を有する、取り外し可能に取り付け可能な摺動プレート、摺動構造、摺動織布、および/または摺動ニット布のための少なくとも1つのレセプタクルを有する。
【0036】
本発明のさらなる態様によれば、角度装置の第1の回転軸線は、処理されるワークピースの上縁部に配置される。
【0037】
本発明のさらなる態様によれば、ガイド装置は、可撓性動作モードにおいて、角度装置によって設定することができる角度の±10%、好ましくは±2%の角度遊びを有する。
【0038】
本発明のさらなる態様によれば、ガイド装置は、可撓性動作モードにおける角度遊びの終了位置を減衰させるために、好ましくは角度装置と接続具との間に配置されるストッパをさらに有する。
【0039】
このようにして、ストッパは、可撓性動作状態において、接続具に関する角度装置の旋回運動の終了位置の領域で減衰させることができる。この場合、ストッパは、角度装置の最大旋回運動を柔軟に減衰させ、したがって急停止を回避するために、弾性的に変形可能な減衰要素として形成されることが好ましい。減衰要素は、熱可塑性ポリウレタン、エラストマー、ばね、または他の減衰もしくは可撓性物質を含む群から選択することができる。
【0040】
本発明のさらなる態様によれば、前述の態様のいずれか1つに記載の工具用のガイド装置と、表面処理用工具とを備えるシステムが提供される。
【0041】
本発明によるシステムのさらなる態様によれば、工具は、手持ち式または少なくとも部分的に自動的にガイドされる電気研削工具である。
【0042】
この場合、電気研削工具は、例えば、オービタルサンダーまたは歯科用サンダーまたは偏心サンダーまたは振動マルチ工具とすることができる。
【0043】
本発明によるシステムのさらなる態様によれば、ガイド要素の少なくとも一部は、研削材料を変更するために、作用面から離れた位置に変位可能である。
【0044】
このように、研削材料またはサンドペーパーを変更できるようにするために、システム全体を分解する必要はない。したがって、これによって、そうでなければ、サンドペーパーを機械とガイド要素またはガイドプレートとの間の狭い隙間に通してガイドしなければならないという問題を解決する。
【0045】
本発明のさらなる態様によれば、以下のステップを含む、ワークピースの縁部表面の表面処理のための方法が提供される。
【0046】
工具に接続された、少なくとも1つのガイド要素および1つの角度装置を備えた工具のガイド装置を提供するステップと、角度装置を用いて、少なくとも1つのガイド要素の平面と工具の作用面との間の所定の角度を設定するステップと、ガイド装置の少なくとも1つのガイド要素を、少なくとも1つの縁部を有する、処理されるワークピース上に配置するステップと、任意選択で、処理面に対する工具の作用面が可動である第1の可撓性動作状態を設定して、処理される縁部表面に柔軟に適合させるか、または、少なくとも1つのガイド要素の平面と接続された工具の作用面との間の所定の角度が固定されている第2の剛性動作状態を設定するステップ。
【0047】
本発明のさらなる態様によれば、以下の方法ステップを含む、工具を、少なくとも1つのガイド要素および角度装置を備えた工具のガイド装置に後付けするための方法が提供される。
【0048】
少なくともガイド要素および角度装置を備えた工具用のガイド装置を提供するステップと、表面処理のために、接続具によって工具を工具のガイド装置に接続するステップ。
【0049】
機械の接続は、例えば衝撃保護材を介して行うことができる。機械と衝撃保護材の間の形状嵌合接続がすでに高度な剛性を持っている場合は、ねじ接続は絶対的に必要なものではない。しかし、ねじ接続等の追加の取り付け手段は、振動または衝撃によって引き起こされる衝撃保護材からの機械の解放を有利に防ぐことができ、操作中の接続装置への工具の確実な接続を保証することができる。
【0050】
本発明のさらなる特徴および利点は、示された例示的な実施形態に本発明を限定することなく、本発明によるガイド装置の有利な例示的実施形態を例として示す以下の図面を参照して明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1a】回転軸線の周りで回転可能であるように工具に面する側に取り付けられたガイド要素を備えた本発明によるガイド装置の例示的な実施形態の斜視図を示す。
図1b】ガイド装置の接続具におけるガイド要素の斜視詳細図を示す。
図2a】本発明によるガイド装置のさらなる例示的な実施形態の斜め上からの斜視図を示し、工具およびガイドプレートが一緒に取り付けられた状態、すなわち作業位置にある。
図2b図2aのガイド装置の正面図を示す。
図2c図2aの断面A-Aに沿った、すなわち、ガイド装置のハンドルの長手方向軸線に沿った断面図を示す。
図3】工具を外した、図2a~2cに示すガイド装置の斜視図を示す。
図4】工具を外した、図3に示すガイド装置の分解図を示す。
図5a】ガイド装置および工具の接続具の側面分解図を示す。
図5b】接続具の保持ブラケットおよび図5aの工具の分解斜視図を示す。
図6】接続具の上部保持ブラケットのさらなる例示的な実施形態の斜視図を示す。
図7】研削材料を変更するための解放状態におけるガイドプレートを備えたガイド装置のさらなる例示的な実施形態の斜視図を示す。
図8a図7のガイド装置の正面図を示す。
図8b図8aの断面B-Bに沿った断面図を示す。
図8c】クランプ要素を備えた回転ノブの斜視詳細図を示す。
図9】研削材を交換するための解放状態における工具およびガイド要素のガイドプレートを備えたガイド装置の側面図を示す。
図10a】工具を外した、ガイド装置の側面図を示す図である。
図10b】剛性または固定動作状態における図10aの断面E-Eに沿った断面図を示す。
図10c図10aの断面C-Cに沿った断面図を示す。
図11a】工具を外した、可撓性動作状態におけるガイド装置を示している。
図11b図11aの断面D-Dに沿った断面図を示す。
図12】固定された平坦な角度で工具を備えた剛性動作状態のガイド装置を示す。
図13】例として、さらなる角度設定で工具を備えた剛性動作状態のガイド装置を示す。
図14】ワークピースの縁部表面を表面処理するための本発明による方法を示す。
図15】工具を後付けする方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
描写は図式的であり、必ずしも縮尺通りではない。さらに、それらはすべての詳細を示すのではなく、むしろ、本発明に必須な詳細の描写、および本発明の説明および説明を容易にするさらなる特徴の描写に部分的に制限されている。異なる図の同一の要素には、同一の参照符号が付けられている。以下の図の説明では、方向に関連してさまざまな空間または用語が特定されている。上、下、垂直、水平、または第1、第2、第3等の用語は、図をよりよく理解するために使用されるが、例示的な実施形態を特定の用語に限定しないことを指摘しておく。
【0053】
図1aは、本発明によるガイド装置100の第1の例示的な実施形態の斜視図を示す。ガイド装置は、衝撃保護材107またはプロテクターを有し、これは、好ましくは円周方向に形成され、一方では研削ディスク117を保護し、したがって工具の駆動を保護し、他方では表面または操作者を保護するのに役立つ。図1aに示す実施形態では、ガイドプレート115、およびガイド要素101は、工具111の衝撃保護材107に取り付けられている。この実施形態では、ガイドプレートが回転可能に取り付けられているので、ガイド要素101と衝撃保護材107との間の接点を角度デバイスとして使用することができる。換言すれば、ガイド装置100は、回転軸線106の周りで回転可能な、工具111に面する側に取り付けられたガイド要素101を有する。
【0054】
このように、回転軸線106は、実質的に衝撃保護材107の高さで、研削ディスク117の作用面の近くに配置することができる。研削ディスク117を備えた工具111は、表面処理用に設計されており、このように配置された回転軸線の位置により、特に、均一で正確な研削パターンで縁部を処理することができる。
【0055】
接続具130によって、工具111は、工具111がガイドプレートの平面に対して垂直に配置されるように、ガイド装置100に接続される。取り付けられた工具の重心位置が、ガイド装置が転倒するのを可能な限り防止する限り、工具111の水平または角度のある位置等の他の配置が考えられる。ガイド装置の取り扱いを改善するために、ハンドル上部103が設けられている。
【0056】
図示の実施形態では、接続具130は、一方ではハンドル103を保持するために使用され、他方では衝撃保護材107を保持するために使用される。また、ハンドル103は、人間工学的に手に適合させることができ、図示しないハンドルの他の設計とすることもできる。接続される工具に応じて、接続具130への有利な形状嵌合接続を、図1aとは異なるように構成することができる。
【0057】
図1bでは、ガイドプレートまたはガイド要素101が斜め下から詳細に示され、角度設定のための回転軸線が、参照符号106とともに破線として示されている。ガイド要素101は、下部域に走行基部116を有するガイドプレート115を有する。走行基部は、例えば、スエード等の軟質材料で作ることができる。走行基部は、異なる表面に応じて交換可能であり、軟質なだけでなく、硬質または耐摩耗性となるように形成することができる。
【0058】
図2aは、工具を取り付けた本発明によるガイド装置100のさらなる例示的な実施形態の斜め上からの斜視図を示す。この実施形態は、図1aのものとは別のハンドル形状を有する。ハンドル103またはハンドル上部は、接続具130のみならず、角度装置102にも接続されている。所望の角度を設定するために、ここではレールシステムと変位可能な角度保持器104が使用される。したがって、このガイド装置は、仮想の回転点または回転軸線を有する。
【0059】
レールシステムの構造は、以下の3つの部品群に分けられる。
第1の群101:
ガイドプレート110を有するガイド要素101。さらに、ガイド要素101は、ハンドル103に配置されたレール用のレセプタクルを有する。
第2の群120:
例えば図2cの断面A-Aに示されるように、ガイド要素の受容レールと係合させることができるレールおよび弧状ガイドトラック105を下部に有するハンドル領域103。
第3の群130:
接続具130は、ハンドルアセンブリ(第2の群)を工具111に接続する。
【0060】
図2bは、図2aのガイド装置の正面図を示す。この図では、特に工具111の研削ディスク117を見ることができる。さらに、図2bには、ハンドル103の中心軸線ならびにガイド要素101およびガイドプレート115の中心軸線に沿った断面A-Aが示されている。
【0061】
この断面A-Aを図2cに示す。図2cは、専用のハンドル領域119および研削ディスク117を備えた工具111を示す。衝撃保護材107は、研削ディスク117の近くに配置され、接続具130の一部である。接続具130は、ハンドルアセンブリ120を工具111に接続する。
【0062】
ガイドプレート115および摺動基部116を備えたガイド要素101は、レールシステムによってハンドルアセンブリ120に接続される。角度装置102は、変位可能な角度保持器104および弧状ガイドトラック105を有するレールシステムとして形成される。ハンドル上部103に挿入された回転ノブ113と、レールシステムをクランプ締めする対抗支承部137(図8cに完全に示す)とによって、所定の角度を確実に設定することができる。図示の例では、選択された角度は約90°である。
【0063】
図3は、工具を取り外した、図2a~図2cに示すガイド装置100の斜視図を示す。この図は、接続具130およびその部品または部品群101、120および130を示す。接続具130において、参照符号132は、工具(図示せず)の上部保持ブラケットを示し、一方、132は、衝撃保護材107を備えた下部保持ブラケットを示す。図示の変形例では、保持ブラケット131および132は、工具または工具ネックが形状嵌合で両側に受け入れられることができる溝またはリブを有する楕円形のレセプタクル127を形成する。受け入れられる工具の形状に応じて、レセプタクル127の形状、または1つ以上の溝および/または形状嵌合リブの形状を変更することができる。このようにして、工具または機械への堅固で安全な接続を行うことができる。工具を受け入れるために(工具接続を示す図2aを参照)、下部保持ブラケット132を上部保持ブラケット131から解放することができる。
【0064】
旋回軸受133の中心軸線は、ガイド装置のハンドルアセンブリ120が可撓性動作モードで旋回可能に取り付けられる旋回軸線を形成する。旋回軸線は、好ましくは、処理されるワークピースの中心面、およびガイド装置の重心を通る垂直に配置されたZ面の断面軸線の近くまたは断面軸線内にある。可撓性動作モードの角度遊びは、任意選択で、位置に応じて、クランプ要素121によって可能となるか、または可能とならないことができる。角度装置102は、回転ノブ113を使用して所定の角度に設定することができる。
【0065】
図4は、図3に示すガイド装置の分解図を示す。ガイド要素101の第1のアセンブリは、下側に、導入可能なガイドプレート115および摺動要素を有する。任意選択で、ローラー要素または弾性要素をこのガイドプレート115の下側に取り付けることができる。さらに、ガイドプレート115は、下側に、摺動基部116、摺動構造、摺動織布、摺動ニット布、および前記要素の組み合わせを含む群から選択される離脱可能および取り付け可能な要素のためのレセプタクルを有することができる。
【0066】
角度装置102のレールシステムは、ガイド要素101の上側の中央で、接続具に面する側に配置されている。このレールシステムは、変位可能な角度保持器104および弧状ガイドトラック105を有する。ガイドトラック105は、第2のアセンブリ120、すなわち、特に角度装置102のレール112に係合することができる。ハンドル領域は、角度装置102のレールシステムの上に配置され、ハンドル上部103およびハンドル下部123を有する。ハンドルアセンブリ120は、回転ノブ113およびレールシステムにガイドされる嵌合要素(図8cの参照符号137を参照)を使用して固定することができる。
【0067】
さらに、ハンドルアセンブリ120は、その下端に、レセプタクル126内の旋回軸受133を受け入れるように構成された保持装置125を有する。旋回軸受133および134の補助により、ハンドルアセンブリ120の保持装置125は、接続具130に接続可能である。クランプ要素121によって、ハンドルアセンブリ120の旋回可能性は、可撓性動作モードにおいて、接続具130に関して設定することができる。
【0068】
接続具130の第3のアセンブリは、前述のように、上部および下部の保持ブラケット131、132を有する。上部保持ブラケットは、旋回軸受133のためのレセプタクル135を有する。さらなる旋回軸受134用のレセプタクル(図示せず)も反対側に設けられる。ピン形状の保持要素141が、上部保持ブラケット131の後縁部に設けられる。このピン141は、減衰要素124を受け入れることができる。この減衰要素124は、ガイド装置100の可撓性動作モードにおいて角度遊びの終了位置を減衰させるためのストッパとして機能する。さらに、保持ブラケット131は、上側に、クランプ要素121のためのレセプタクル142を有する。
【0069】
図5aおよび図5bは、工具111を備えた非取り付け状態における第3のアセンブリまたは接続具130のみを示す。上部保持ブラケット131は、上側に細長い穴138を有する。可撓性動作モードでは、旋回軸線108の周りの角度遊びが可能になる。例えば、図11aは、偏心レバーの適切な位置によって角度遊びがどのようにして可能になるかを示している。
【0070】
図5aはさらに、図4に示す旋回軸受135のためのレセプタクル136を示す。
【0071】
下部保持ブラケット132は、工具の導入後、接続要素139によって上部保持ブラケット131に接続することができる。これらの接続要素139は、例えば、ねじ接続とすることができ、動作中に発生するような振動がある場合に確実な保持を保証する。
【0072】
図6は、接続具130の上部保持ブラケット131のさらなる例示的な実施形態の斜視図を示す。図示しない旋回軸受134および133用の両方のレセプタクル135、136は、この斜視図で見ることができる。さらに、減衰要素または減衰ストッパ124を受け入れるための保持要素141またはピンを見ることができる。さらに、可撓性動作モードにおける旋回可能性を可能にするかまたは制限する細長い穴138もここに描かれている。接続可能な工具の回転軸線または旋回軸線108は、レセプタクル135、136の中心を通過する破線108によって示される。
【0073】
図7は、ガイドプレート115を解放された状態のガイド装置のさらなる例示的な実施形態の斜視図を示す。この解放状態は、研削材の交換に適している。作動要素114または押しボタンの補助により、ガイドプレート115は、ガイド要素101の上部から、工具から離れる方向に変位させることができる。このように、工具111は、そのハンドルまたは研削材料117と一緒に接続具130から取り出される必要がなく、研削材料の交換中に時間を節約することができる。
【0074】
ガイドプレートの変位可能性のさらなる利点は、研削材料を変更するために角度装置を解放する必要がなく、角度保持器に対するハンドルアセンブリ120の設定位置を同一に保つことができる点である。換言すれば、研削材料の変更後も、以前の角度位置を依然として使用することができ、したがって、表面または縁部の正確な処理を行うことができる。
【0075】
図7に示される実施形態は、例えば、図4に示される例とは異なる幾何形状を有するクランプ要素121を示す。クランプ要素121および回転ノブ113の幾何形状のいくつかの変形例が可能である。回転ノブ113の代わりに、例えば、機械的操作要素を、所定の角度を固定および解放するためのクランプシステムとして、ねじ接続、クランプレバー、偏心クランプまたはラッチ機構を含む群から選択することができる。
【0076】
図8aは、ガイドプレートが解放された状態のガイド装置の正面図を示す。この図では、特に工具111の研削ディスク117を下部域に見ることができる。さらに、図8aには、ハンドルアセンブリ120の中心軸線ならびにガイド要素101およびガイドプレート115の中心軸線に沿った断面B-Bが示されている。
【0077】
図8bは、図8aに示される断面B-Bを示す。図8bに示されるガイドプレート115の位置は、ガイドプレート115の解放位置である。押しボタンまたは作動要素114が作動された後、ガイドプレート115を解放するための変位運動を矢印145の方向に実行することができる。ガイドプレート115の変位後、ガイドプレート115の工具側端部と研削材料117との間に、研削材料を交換するのに十分な空間が存在する。研削材料の除去は、矢印147で示される。
【0078】
接続具130は、機械と接続具130との間の形状嵌合接続が高度の剛性を有するように形成されている。これらの部品を射出成形法で問題なく製造できるように、部品の肉厚は、例えば4mmを超えるべきではない。同時に、肉厚は最終製品の剛性が保証されるように選択される。描かれている図面は縮尺通りではなく、必要な剛性要件を満たしている限り、他の肉厚とすることも考えられる。これは、ガイド装置の材料が、可撓性角度設定、したがって柔らかさが材料に依存しないように選択される場合に、有利である。
【0079】
図8bに示される例示的な実施形態は、角度装置102を調整することなく、研削材料の変更が可能であることを示す。剛性角度設定は、回転ノブ113によって容易に設定可能である。クランプ機構の補助により回転させることで、手動で設定できる。ハンドル上部と角度装置102のレールシステムとの間のこのクランプ機構は、様々な変形例によって提供することができる。図8aに示される変形例では、偏心レバー212が、様々な動作モードのためのクランプ機構として設けられる。
【0080】
図8cは、レールシステムのクランプ機構、すなわち、図8bの回転ノブ113を斜視詳細図で示す。回転ノブ113は、ねじ付きロッド128および嵌合要素137に接続可能である。嵌合要素137は、クランプ要素または圧力ディスクとして機能し、回転ノブ113の回転運動を介して必要な張力を発生することができる。この場合、クランプ締めのために、圧力ディスクまたは嵌合要素137は、レールシステムの弧状ガイドトラックに押し付けられる。このようにして、角度保持器104をハンドルアセンブリ120に堅固に接続することができる。
【0081】
図9は、工具111およびガイドプレート115を備えたガイド装置の側面図を示す。図9は、研削材交換時の解放状態を示す。研削材料117は、交換するのに十分な空間を有する。以下の図、図10aおよび10bでは、図9に示されるガイド装置の詳細が、工具111を外して示されている。
【0082】
図10aは図9のガイド装置を示しており、一緒に取り付けられた状態、すなわち、ガイドプレート115が、図9で以前に示した解放位置よりも衝撃保護材107に対して顕著に近く配置されている状態である。図10aは、クランプ位置に配置され、したがって剛性動作状態を生成する偏心レバー121を示す。図10aは、図10bに示す断面E-Eを示す。
【0083】
図10bは、クランプねじ143を通して適用された断面E-Eである。クランプねじ143は、任意選択で、例えば、ばね148等の弾性ばね要素を有することができる。クランプねじ143および図示のばね要素148を用いて、システムをクランプ締めすることができ、すなわち、レールシステム120を接続具130に堅固に接続することができる。偏心レバー121は、接続具に関してハンドルアセンブリを確立するために、図10bに示される位置で使用される。次いで、嵌合要素144に対する偏心レバー121のクランプ締めが続く。図10bに示す偏心レバー121の位置において、偏心レバー121のクランプ面は、ガイド装置が剛性動作状態に位置するように、嵌合要素144の嵌合面に対して位置する。クランプ締めされた状態で生じる嵌合要素144とクランプ要素121との間の力の対は、ここでは矢印で図式的に示されている。
【0084】
図10cは、剛性動作状態における、図10aに示すガイド装置の断面C-Cを示す。図10cの下半分には、上部保持ブラケット132および下部保持ブラケット132を有する接続具130および衝撃保護材107が見られる。保持ブラケット131、132は、接続要素139によって一緒に保持される。これは、例えば、図示例のように、ねじにすることができる。
【0085】
断面C-Cは、工具の回転軸線108を示しており、工具の回転軸線は、ここでは一点鎖線で識別されている。この軸線は、それぞれのレセプタクル(135、136)によって受け入れられる旋回軸受133および134を中心で貫通する。しかし、回転軸線周りの回転性は、剛性動作状態では阻止される。剛性動作状態では、保持装置125は、接続具130のアセンブリに対して旋回可能ではない。これとは対照的に、次の図11aは可撓性動作状態を示す。
【0086】
図11aは、工具を外した、可撓性動作状態におけるガイド装置を示す。可撓性動作状態では、ガイドプレート115は、表面処理中に工具(ここには図示せず)の作用面に対して柔軟に反応することができる。可撓性は、回転軸線108で交差する太い破線として図11aに図式的に示される。
【0087】
可撓性動作状態において、ここに示す変形例では、偏心レバー121がガイドプレートの方向に傾斜する。この位置において、ハンドル120およびガイド要素101のアセンブリを、接続具130に対して旋回することができる。回転軸線108周りの旋回可能性は、それぞれ、中心軸線146に向かう向きに+1.5°および中心軸線から離れる向きに-1.5°である(矢印を参照)。偏心レバー121は、前記度数の動きまたは遊びを可能にする。あるいは、嵌合要素144から偏心レバー121のそれぞれの嵌合面151までに対応するより大きな間隔がある場合、±10°等のより大きな角度範囲を設定することができる。この間隔または遊び149は、それぞれ図11bの断面D-Dに詳細に示されている。
【0088】
図11bは、偏心レバー121’がガイドプレートの方向に動かされた場合の断面D-Dを示す。図示の例では、この偏心レバー位置121’の場合に可撓性動作状態が実現されている。本例示的実施形態では、偏心レバー121’のこの位置において、嵌合要素144との接触はない。換言すれば、偏心レバー121’の嵌合面151と嵌合要素144との間の遊び149が可能であり、したがって、可撓性動作状態が達成される。遊びの結果として、ガイドプレート115およびそこに取り付けられたハンドル120のアセンブリは、回転軸線108を中心に旋回することができる。以前の図に示されているように、旋回軸受133および134の周りの旋回が実現される。
【0089】
ガイドプレート115は、例えばスエードで作ることができる走行区間または摺動区間を有する。このようにして、敏感な表面を保護することができる。
【0090】
図12は、偏心レバー21がハンドル領域103の対応するレセプタクルに配置されている、剛性動作状態のガイド装置を示す。剛性動作状態において、規定の角度を確実に維持することが特に重要である。この場合、処理される縁部面とガイド面180との間の角度βは133°であることが望ましい。工具111の研削ディスク117の作用面または処理面は、ここでは一点鎖線110によって識別される。この角度の縁部が処理される場合、参照符号190で表す垂直線に対して43°の角度αを生成できる。
【0091】
これらの鈍角では、角度保持器104は、前記角度保持器104がハンドルアセンブリ120のレールシステム(参照符号102を参照)の外部によって覆われるように一緒に押し込まれているので、もはや見えない。
【0092】
図13は、異なる角度が選択され、処理されるワークピース118が示されている、剛性動作状態におけるさらなる例示的な実施形態を示す。この場合、より小さな角度が設定されているので、角度保持器104を見ることができる。所望の角度γは88°であり、矢印で識別される。ワークピース118は、部分的にのみ描かれており、好ましくは、木材等の様々な材料で作ることができ、該当する場合、すでにラッカーのコーティングが施されたプレートである。処理面は一点鎖線で識別され、研削ディスクがワークピース118に作用する、工具111の作用面110を示す。処理中に蓄積する摩耗した粒子を収集するために、工具111は、有利には、一般に、吸引装置を有する。図示の工具111は、例えば、研削粒子収集容器用コネクタ150を示しており、研削中の処理を可能な限り少ない塵芥で可能にする。これは、特に細かい研削作業の場合に有利である。
【0093】
ここで選択された角度γ=88°は、回転ノブ113の適切な回転によって固定される。このようにして、所望の角度を信頼性のある方法で確実に設定することができる。偏心レバー121を反転することにより、剛性動作状態から可撓性動作状態へと簡単に切り替えることができる。柔軟または可撓性動作状態では、中間ラッカー研削等の方法を実行できる。
【0094】
図14は、ワークピース400の縁部表面の表面処理方法を示す。この方法は、以下のステップを含む。第1の方法ステップ401は、工具111に接続された、少なくとも1つのガイド要素および1つの角度デバイスを備えた、工具用ガイド装置の提供である。
【0095】
さらなる方法ステップは、角度装置による、少なくとも1つのガイド要素の平面と工具の作用平面との間の所定の角度の設定402である。
【0096】
さらなる方法ステップ403として、この方法は、ガイド装置の少なくとも1つのガイド要素を、少なくとも1つの縁部を有する、処理されるワークピース上に配置することを含む。方法ステップ403の描写された略図では、2つのハンドル(1つはガイド要素上にあり、1つは縁部の高さにある)がワークピースの上に設けられる。ガイド要素のハンドルを使用することにより、所定の位置に配置された後の吸引装置による工具111の転倒を防ぐことができる。
【0097】
操作者は、次の方法ステップにおいて、2つの異なる動作状態を選択できる。方法ステップ404において、操作者は、処理面に対する工具の作用面が、処理される縁部表面への柔軟な適応のために移動可能である、可撓性動作状態(404)を設定することができる。あるいは、操作者は、方法ステップ405で剛性動作状態を設定することができる。
【0098】
剛性動作状態において、少なくとも1つのガイド要素の平面と接続された工具の作用面との間の所定の角度が固定されている。このようにして、正確な作業を行うことができる。研削材料が使い果たされた場合、研削材料への容易なアクセスが提供されるようにガイドプレートが変位され、したがって研削材料を容易に交換することのできる、さらなる方法ステップ406を実行することができる。
【0099】
前記平面間に固定接続が存在する剛性動作状態とは対照的に、可撓性動作状態では、工具の幾何形状への柔軟な適合が可能である。この操作モードは、特に中間ラッカー研削に適している。中間ラッカー研削は、最初のラッカー塗装の後に行われる研削である。本発明によるガイド装置によって、非常に均一な研削パターンおよび正確に平滑化された表面および低い研削耐性を有利に提供することができる。可撓性動作状態において、有利には、下向きの最大振れ時に操作者による動きを減衰させる減衰要素を設けることができる。
【0100】
本発明のガイド装置により、±1.5°の比較的小さな角度の遊びを設定することができ、したがって、表面への意図しない損傷を回避することができる。非常に高品質の滑らかな表面を実現できる。
【0101】
さらに、本発明およびガイド装置は、工具をガイド装置に後付けするように設計されている。図15は、後付け方法500の方法ステップを図式的に示す。方法ステップ501において、後付け方法500は、最初にガイド装置を提供する。方法ステップ502は、工具をガイド装置に接続することを含む。この目的のために、ガイド装置は、好ましくは後付けされる工具を接続するために、適切なレセプタクルを有する接続具を備える。任意選択で、ねじ接続によって確実な保持を保証できる。接続後、接続された工具は、任意選択で、剛性動作状態(504)または可撓性動作状態(503)で実行することができる。
【符号の説明】
【0102】
100 ガイド装置
101 ガイド要素
102 角度装置
103 ハンドルまたはハンドル上部
104 変位可能な角度保持器
105 レールシステムの弧状ガイドトラック
106 角度設定の回転軸線
107 衝撃保護材
108 可撓性動作状態における工具の回転軸線
110 作用面/処理面
111 表面処理用工具
112 レールシステムとして形成された角度装置のレール
113 回転ノブ
114 作動要素または押しボタン
115 ガイドプレート
116 走行基部または摺動基部
117 研削ディスク
118 ワークピース
119 工具のハンドル
120 ハンドルアセンブリ
121 クランプ要素
123 下部ハンドル
124 減衰要素
125 旋回軸受用レセプタクル付き保持装置
126 旋回軸受用レセプタクル
127 工具のレセプタクル
128 ねじ棒
129 ハンドルの凹部
130 接続部
131 上部保持ブラケット
132 下部保持ブラケット
133 クランプエレメント側の旋回軸受
134 さらなる旋回軸受
135 旋回軸受用レセプタクル
136 反対側のレセプタクル
137 回転ノブ113の嵌合要素またはクランプ要素
138 細長い穴
139 保持ブラケット131と132の間の接続要素
141 ダンピングエレメント124またはストッパ用の保持エレメント
142 クランプ要素121のレセプタクル
143 接続要素またはクランプねじ
144 偏心レバーの嵌合要素
145 ガイドプレートを解放するための変位運動115
146 中心軸線
147 研削材料の変更
148 ばね要素
149 嵌合要素と偏心嵌合面の間の遊び
150 研削粒子収集容器用コネクタ
151 偏心レバーの嵌合面
180 ガイド要素101の平面または摺動プレート115の摺動面
190 垂直
α 垂直に対する鋭角
β 鈍角
γ 作用面110と摺動面180との間の角度
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図9
図10a
図10b
図10c
図11a
図11b
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】