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特表2022-518145ペプチドライブラリーおよびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-14
(54)【発明の名称】ペプチドライブラリーおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/12 20060101AFI20220307BHJP
   C40B 40/10 20060101ALI20220307BHJP
   C40B 40/08 20060101ALI20220307BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20220307BHJP
   C40B 30/06 20060101ALI20220307BHJP
   C07K 14/74 20060101ALN20220307BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALN20220307BHJP
   C12P 21/02 20060101ALN20220307BHJP
   C12N 5/0781 20100101ALN20220307BHJP
   C07K 14/725 20060101ALN20220307BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20220307BHJP
【FI】
C12N15/12
C40B40/10 ZNA
C40B40/08
C12Q1/02
C40B30/06
C07K14/74
C12N5/0783
C12P21/02 C
C12N5/0781
C07K14/725
C07K16/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539142
(86)(22)【出願日】2020-01-03
(85)【翻訳文提出日】2021-08-31
(86)【国際出願番号】 US2020012236
(87)【国際公開番号】W WO2020142724
(87)【国際公開日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】62/788,678
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/791,601
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】521292951
【氏名又は名称】レパトワー イミューン メディシンズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】スウェイン, ジョアナ フェルサム
(72)【発明者】
【氏名】アフゼリウス, エレン ロヴィーサ ラースドッター
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン, ウィリアム マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マトランガ, クリスティアン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ロテム, アサフ
(72)【発明者】
【氏名】フー, ガン
【テーマコード(参考)】
4B063
4B064
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA05
4B063QA18
4B063QQ08
4B063QQ79
4B063QS33
4B063QX02
4B064AG31
4B064AG32
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE10
4B064CE12
4B064DA13
4B065AA91X
4B065AA93X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA46
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA15
4H045CA01
4H045DA86
4H045EA22
4H045FA70
4H045FA74
4H045GA22
4H045GA26
(57)【要約】
本開示は、ペプチドライブラリーおよびその使用に関する。本開示は、様々な多様性のペプチドライブラリーの例示的な実施形態を提供する。ペプチドライブラリーは、有望な診断または治療のための標的または薬剤を識別するためのさまざまなスクリーニングアッセイで使用することができる。ペプチドライブラリーは、例えば、疾患特異的、器官特異的、またはその他のコンパートメント特異的なペプチドのスクリーニングに、治療用途をもつペプチドのスクリーニングに、診断用途をもつペプチドのスクリーニングに、腫瘍標的化ペプチドのスクリーニングに、抗体エピトープまたは抗原のスクリーニングに、T細胞エピトープまたは抗原のスクリーニングに、抗菌ペプチドのスクリーニングに、またはそれらの任意の組合せに使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のペプチドを含むペプチドライブラリーであって、前記複数のペプチドが、1,000を超える、2,000を超える、5,000を超える、10,000を超える、10を超える、10を超える、10を超える、10を超える、または1010を超える一意のペプチドを含むペプチドライブラリー。
【請求項2】
前記複数のペプチドが複数の抗原を含む請求項1に記載のペプチドライブラリー。
【請求項3】
前記複数のペプチドが複数のpMHC多量体を含む請求項1または2に記載のペプチドライブラリー。
【請求項4】
前記複数のペプチドが複数のsc-pMHCを含む請求項1~3のいずれか一項に記載のペプチドライブラリー。
【請求項5】
前記複数のうちの1つのペプチドが1つのヌクレオチド配列に付加されている請求項1~4のいずれか一項に記載のペプチドライブラリー。
【請求項6】
前記ヌクレオチド配列が識別子である請求項5に記載のペプチドライブラリー。
【請求項7】
前記ヌクレオチド配列が前記ペプチドの前記ヌクレオチド配列をコードする請求項5または6に記載のペプチドライブラリー。
【請求項8】
前記ヌクレオチド配列が25ヌクレオチドから500ヌクレオチドの長さである請求項5~7のいずれか一項に記載のペプチドライブラリー。
【請求項9】
前記ヌクレオチド配列が80ヌクレオチドから120ヌクレオチドの長さである請求項5~8のいずれか一項に記載のペプチドライブラリー。
【請求項10】
前記pMHCの前記MHCが、MHC-Iである請求項3~9のいずれか一項に記載のペプチドライブラリー。
【請求項11】
前記pMHCの前記MHCが、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、またはHLA-Gである請求項3~10のいずれか一項に記載のペプチドライブラリー。
【請求項12】
前記pMHCの前記MHCが、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRA、またはHLA-DRB1である請求項3~11のいずれか一項に記載のペプチドライブラリー。
【請求項13】
T細胞の増殖が、請求項1~12のいずれか一項に記載の前記複数のペプチドのうちの1つのペプチドと、前記T細胞のTCRとの結合によって誘導される請求項1~12のいずれか一項に記載の前記複数のペプチドを含むペプチドサブセットライブラリー。
【請求項14】
T細胞の細胞毒性が、請求項1~12のいずれか一項に記載の複数のペプチドのうちの1つのペプチドと、T細胞のTCRとの結合によって誘導される請求項1~12のいずれか一項に記載の複数のペプチドを含むペプチドサブセットライブラリー。
【請求項15】
T細胞の抑制が、請求項1~12のいずれか一項に記載の前記複数のペプチドの1つのペプチドと、前記T細胞のTCRとの結合によって誘導される請求項1~12のいずれか一項に記載の前記複数のペプチドを含むペプチドサブセットライブラリー。
【請求項16】
T細胞による抑制が、請求項1~12のいずれか一項に記載の前記複数のペプチドのうちの1つのペプチドと、前記T細胞のTCRとの結合によって誘導される請求項1~12のいずれか一項に記載の前記複数のペプチドを含むペプチドサブセットライブラリー。
【請求項17】
T細胞のサイトカイン産生が、請求項1~12のいずれか一項に記載の前記複数のペプチドのうちの1つのペプチドと、前記T細胞のTCRとの結合によって誘導される請求項1~12のいずれか一項に記載の前記複数のペプチドを含むペプチドサブセットライブラリー。
【請求項18】
リンパ球-ペプチドペアを単離する方法であって、
(a)複数のリンパ球をペプチドライブラリーと接触させるステップであって、前記ペプチドライブラリーが1000を超える多様性を有するステップと;
(b)複数のコンパートメントを生成するステップであって、前記複数のうちの1つのコンパートメントが、(i)前記ペプチドライブラリーの1つのペプチドに結合した前記複数のリンパ球の1つのリンパ球、および(ii)捕捉支持体を含むステップとを含む方法。
【請求項19】
前記リンパ球が、T細胞、B細胞、またはNK細胞である請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ペプチドライブラリーが、2,000を超える、5,000を超える、10,000を超える、10を超える、10を超える、10を超える、10を超える、または1010を超える一意のペプチドの多様性を有する請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記複数のペプチドが複数の抗原を含む請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記複数のペプチドが複数のpMHC多量体を含む請求項18~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記複数のペプチドが複数のsc-pMHCを含む請求項18~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記複数のうちの1つのペプチドが1つのヌクレオチド配列に付加されている請求項18~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ヌクレオチド配列が識別子である請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ヌクレオチド配列が前記ペプチドの前記ヌクレオチド配列をコードする請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記ヌクレオチド配列が25ヌクレオチドから500ヌクレオチドの長さである請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記ヌクレオチド配列が80ヌクレオチドから120ヌクレオチドの長さである請求項24~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記pMHCの前記MHCがMHC-Iである請求項22~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記pMHCの前記MHCが、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、またはHLA-Gである請求項22~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記pMHCの前記MHCが、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRA、またはHLA-DRB1である請求項22~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
リンパ球-ペプチドペアを識別する方法であって、
(a)複数のリンパ球をペプチドのライブラリーに接触させるステップであって、前記ペプチドのライブラリーが1000を超える多様性を有するステップと;
(b)前記ペプチドのライブラリーの1つのペプチドに結合した前記複数のリンパ球の1つのリンパ球を単一のコンパートメントに区画化するステップであって、前記ペプチドが一意のペプチド識別子を含むステップと;
(c)前記区画化されたリンパ球に結合した各ペプチドについて、前記一意のペプチド識別子を決定するステップとを含む方法。
【請求項33】
前記リンパ球が、T細胞、B細胞、またはNK細胞である請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ペプチドライブラリーが、2,000を超える、5,000を超える、10,000を超える、10を超える、10を超える、10を超える、10を超える、または1010を超える一意のペプチドの多様性を有する請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
前記複数のペプチドが複数の抗原を含む請求項32~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記複数のペプチドが複数のpMHC多量体を含む請求項32~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記複数のペプチドが複数のsc-pMHCを含む請求項32~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記pMHCの前記MHCがMHC-Iである請求項36または37に記載の方法。
【請求項39】
前記pMHCの前記MHCが、HLA-A、HLA-B、またはHLA-Cである請求項36~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記pMHCの前記MHCが、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRA、またはHLA-DRB1である請求項36~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記リンパ球-ペプチドペアが、TCR-抗原ペアである、請求項32~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記コンパートメント化されたリンパ球上の受容体の同一性を決定するステップをさらに含む請求項32~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記同一性を決定する前記ステップが、TCR、BCR、または抗体の可変領域、超可変領域、または相補性決定領域(CDR)をシーケンシングするステップを含む請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記CDRが、TCRα鎖、TCRβ鎖、TCRγ鎖、TCRδ鎖、抗体重鎖、または抗体軽鎖のCDR1、CDR2、またはCDR3である請求項43に記載の方法。
【請求項45】
偏りのないペプチドライブラリーを使用する方法であって、前記方法が、複数のペプチドを含む前記偏りのないペプチドライブラリーにサンプルを接触させるステップを含み、前記複数のペプチドが、100を超える、1,000を超える、2,000を超える、5,000を超える、10,000を超える、10を超える、10を超える、10を超える、10を超える、または1010を超える一意のペプチドを含む、方法。
【請求項46】
前記偏りのないペプチドライブラリーが、生物のゲノムから生成される請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記偏りのないペプチドライブラリーが、生物のトランスクリプトームから生成される請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記偏りのないペプチドライブラリーが、生物のプロテオームから生成される請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記偏りのないペプチドライブラリーが、生物のペプチドまたはタンパク質から生成される請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記偏りのないペプチドライブラリーが、生物のエピトープから生成される請求項45に記載の方法。
【請求項51】
前記偏りのないペプチドライブラリーが、ゲノム間の差分配列から生成される請求項45に記載の方法。
【請求項52】
前記偏りのないペプチドライブラリーが、トランスクリプトーム間の差分配列から生成される請求項45に記載の方法。
【請求項53】
前記偏りのないペプチドライブラリーが、プロテオーム間の差分配列から生成される請求項45に記載の方法。
【請求項54】
前記差分配列が、罹患細胞と健常細胞との比較から得た配列を含む請求項51~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記差分配列が、癌性細胞と健常細胞との比較から得た配列を含む請求項51~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記偏りのないペプチドライブラリーが、ゲノム間の相同配列から生成される請求項45に記載の方法。
【請求項57】
前記偏りのないペプチドライブラリーが、トランスクリプトーム間の相同配列から生成される請求項45に記載の方法。
【請求項58】
前記偏りのないペプチドライブラリーが、プロテオーム間の相同配列から生成される請求項45に記載の方法。
【請求項59】
前記相同配列が、罹患細胞と健常細胞との比較から得た配列を含む請求項56~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記相同配列が、自己免疫に関与する細胞と健常細胞との比較から得た配列を含む請求項56~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記偏りのないペプチドライブラリーが、偏りのないpMHC多量体ライブラリーを含む請求項45に記載の方法。
【請求項62】
前記偏りのないペプチドライブラリーが、偏りのないsc-pMHCライブラリーを含む請求項45に記載の方法。
【請求項63】
前記偏りのないpMHC多量体ライブラリーの前記pMHC多量体の抗原に偏りがない請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記偏りのないsc-pMHCライブラリーの前記sc-pMHCの抗原に偏りがない請求項62に記載の方法。
【請求項65】
一意の識別子に付加されたpMHC多量体を含む組成物。
【請求項66】
前記pMHC多量体がsc-pMHCである請求項65に記載の組成物。
【請求項67】
前記一意の識別子が核酸である請求項65または請求項66に記載の組成物。
【請求項68】
前記一意の識別子が自己識別子である請求項65~67のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項69】
前記一意の識別子が自己識別子でない請求項65~67のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項70】
前記一意の識別子が25ヌクレオチドから120ヌクレオチドの長さである請求項65~69のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項71】
(a)sc-pMHCをコードする配列;および
(b)T細胞
を含むコンパートメント。
【請求項72】
(a)ヒドロゲルビーズ;および
(b)前記ヒドロゲルビーズに付加された核酸であって、前記核酸がペプチドをコードしている核酸
を含む組成物。
【請求項73】
前記ヒドロゲルビーズに付加された第2の核酸をさらに含み、前記第2の核酸が識別子を含む請求項72に記載の組成物。
【請求項74】
前記識別子が自己識別子である請求項73に記載の組成物。
【請求項75】
前記識別子が自己識別子でない請求項73に記載の組成物。
【請求項76】
前記ペプチドをさらに含み、前記ペプチドが前記ヒドロゲルビーズに結合している請求項72~75のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項77】
前記ペプチドをさらに含み、前記ペプチドが第3の核酸に付加され、前記第3の核酸が前記ヒドロゲルビーズに付加されている請求項73~75のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項78】
前記第3の核酸が前記識別子を含む請求項77に記載の組成物。
【請求項79】
前記ヒドロゲルビーズが、液滴に封入されている請求項72~78のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項80】
前記ペプチドが、sc-pMHCを含む請求項72~79のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項81】
前記sc-pMHCの前記MHCがMHC-Iである請求項80に記載の組成物。
【請求項82】
前記sc-pMHCの前記MHCが、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、またはHLA-Gである請求項80に記載の組成物。
【請求項83】
前記sc-pMHCの前記MHCが、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRA、またはHLA-DRB1である請求項80に記載の方法。
【請求項84】
識別子でタグ付けされたペプチドを生成する方法であって、
(a)捕捉支持体を提供するステップであって、前記捕捉支持体は、識別子を含む付加された核酸を含むステップと;
(b)ペプチドと前記核酸を付加させるステップと;
(c)前記核酸またはその一部を前記捕捉支持体から分離し、それにより前記識別子でタグ付けされたペプチドを放出するステップと
を含む方法。
【請求項85】
前記識別子が自己識別子である請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記識別子が自己識別子でない請求項84に記載の方法。
【請求項87】
前記ペプチドが抗原を含む請求項84~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記ペプチドがsc-pMHCを含む請求項84~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記sc-pMHCの前記MHCが、MHC-Iである請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記sc-pMHCの前記MHCが、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、またはHLA-Gである請求項88に記載の方法。
【請求項91】
前記sc-pMHCの前記MHCが、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRA、またはHLA-DRB1である請求項88に記載の方法。
【請求項92】
前記分離ステップが酵素消化を含む請求項84~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記捕捉支持体が、液滴に封入されている請求項84~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記核酸が、25ヌクレオチドから500ヌクレオチドの長さである請求項84~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記核酸が、80ヌクレオチドから120ヌクレオチドの長さである請求項84~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
請求項84~95のいずれか一項に記載の方法を介して、識別子でタグ付けされた複数のペプチドを生成するステップを含む、ペプチドライブラリーを生成する方法。
【請求項97】
識別子でタグ付けされたペプチドを生成する方法であって、
(a)捕捉支持体を提供するステップであって、前記捕捉支持体は、ペプチドをコードする第1の核酸と、識別子を含む第2の核酸を含むステップと;
(b)前記ペプチドを産生するステップと;
(c)前記ペプチドを前記第2の核酸に付加させ、それにより前記識別子でタグ付けされたペプチドを生成するステップと;
(d)前記第2の核酸またはその一部を前記捕捉支持体から分離し、それにより前記識別子でタグ付けされたペプチドを放出するステップと
を含む方法。
【請求項98】
前記識別子が自己識別子である請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記識別子が自己識別子でない請求項97に記載の方法。
【請求項100】
前記産生するステップが、インビトロでの転写および翻訳を含む請求項97~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記ペプチドが抗原を含む請求項97~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記ペプチドがsc-pMHCを含む請求項97~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記sc-pMHCの前記MHCが、MHC-Iである請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記sc-pMHCの前記MHCが、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、またはHLA-Gである請求項102に記載の方法。
【請求項105】
前記sc-pMHCの前記MHCが、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRA、またはHLA-DRB1である請求項102に記載の方法。
【請求項106】
前記分離ステップが酵素消化を含む請求項97~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記捕捉支持体が、液滴に封入されている請求項97~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記第2の核酸が、25ヌクレオチドから500ヌクレオチドの長さである請求項97~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記第2の核酸が、80ヌクレオチドから120ヌクレオチドの長さである請求項97~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
請求項97~109のいずれか一項に記載の方法を介して、識別子でタグ付けされた複数のペプチドを生成するステップを含む、ペプチドライブラリーを生成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、2019年1月4日付で出願された米国仮出願第62/788,678号、および2019年1月11日付で出願された米国仮出願第62/791,601号に基づく利益を主張し、その各々の内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
多様なペプチドライブラリーの作製および使用には、関連する多くの課題がある。
【0003】
参照による組み込み
本明細書で言及されているすべての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示された場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
要旨
本開示は、ペプチドライブラリーの組成物およびこれらのペプチドライブラリーの使用方法を提供する。
【0005】
本明細書では、一部の実施形態において、複数のペプチドを含むペプチドライブラリーであって、複数のペプチドが、1,000を超える、2,000を超える、5,000を超える、10,000を超える、10を超える、10を超える、10を超える、10を超える、または1010を超える一意のペプチドを含むペプチドライブラリーが開示される。
【0006】
本明細書では、一部の実施形態において、リンパ球-ペプチドペアを単離する方法であって、(a)複数のリンパ球をペプチドライブラリーと接触させるステップであって、前記ペプチドライブラリーが1000を超える多様性を有するステップと;(b)複数のコンパートメントを生成するステップであって、複数のコンパートメントが、(i)ペプチドライブラリーの1つのペプチドに結合した複数のリンパ球の1つのリンパ球、および(ii)捕捉支持体を含むステップとを含む方法が開示される。
【0007】
本明細書では、一部の実施形態において、リンパ球-ペプチドペアを識別する方法であって、(a)複数のリンパ球をペプチドのライブラリーに接触させるステップであって、ペプチドのライブラリーが1000を超える多様性を有するステップと;(b)ペプチドのライブラリーの1つのペプチドに結合した複数のリンパ球の1つのリンパ球を単一のコンパートメントに区画化するステップであって、ペプチドが一意のペプチド識別子を含むステップと;(c)区画化されたリンパ球に結合した各ペプチドについて、一意のペプチド識別子を決定するステップとを含む方法が開示される。
【0008】
本明細書では、一部の実施形態において、偏りのないペプチドライブラリーを使用する方法であって、複数のペプチドを含む偏りのないペプチドライブラリーにサンプルを接触させるステップを含み、複数のペプチドが、100を超える、1,000を超える、2,000を超える、5,000を超える、10,000を超える、10を超える、10を超える、10を超える、10を超える、または1010を超える一意のペプチドを含む方法が開示される。
【0009】
本明細書では、一部の実施形態において、一意の識別子に付加されたpMHC多量体を含む組成物が開示される。
【0010】
本明細書では、一部の実施形態において、(a)sc-pMHCをコードする配列;および(b)T細胞を含むコンパートメントが開示される。
【0011】
本開示の性質および利点をより完全に理解するために、添付の図面と併せて、次の詳細な説明を参照する必要がある。本開示は、本開示から逸脱することなく、様々な点で修正が可能である。したがって、これらの実施形態の図および説明は制限的ではない。
【0012】
特許または特許出願のファイルには、カラーで描かれた図面が少なくとも1つ含まれている。1つまたは複数のカラー図面を含むこの特許または特許出願公開の写しは、請求および必要な料金の納付によって、米国特許商標庁より提供される。本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の特徴および利点は、本発明の原理を利用する例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明、およびその添付図面を参照することにより、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、様々な多様性のペプチドライブラリーの例示的な実施形態を提供する。
【0014】
図2A図2Aは、ペプチド多様性を高めるための酵素的切断を示す。レーンのペア1-2、3-4、5-6、7-8および9-10は、それぞれ、切断部分のない鋳型、プロテアーゼを添加しなかった切断部分を含む鋳型、反応完了後にプロテアーゼを添加した切断部分を含む鋳型、反応中にプロテアーゼが存在していた切断部分を含む鋳型で行われた、無細胞タンパク質合成(CFPS)反応および鋳型のない反応を表す。ウエスタンブロット法を行って総タンパク質収量を決定した。
【0015】
図2B図2Bは、多量体と、切断部分を含むまたは含まない単量体の鋳型を含んでいたCFPS反応のサンプルを示す。サンプルをブロットし、抗FLAG HRP抗体で検出した。
【0016】
図2C図2Cは、CFPSによって生成されたペプチドが、タンパク質分解により切断されて認識可能な三次元構造に折り畳まれることを示す。CFPSタンパク質を、抗体によるコンフォメーション認識について試験した。この図は、プロテアーゼ切断ペプチドまたは非切断(fMet含有)ペプチドが、コンフォメーションエピトープ抗体によって認識されることにより、正しい折り畳みを示したかどうかを示す。
【0017】
図2D図2Dは、単鎖ペプチド-MHC(sc-pMHC)多量体と抗原特異的T細胞の結合を示す。多量体は、CFPSとプロテアーゼ切断によって生成された。T細胞を多量体とともにインキュベートした後、蛍光検出抗体で染色し、フローサイトメトリーで分析した。
【0018】
図3図3は、ペプチドバンドの上方シフトによって示される、1またはそれを超えるペプチド識別子で標識されたペプチドを示すブロットである。
【0019】
図4図4は、裸のCMVペプチド、ペプチド識別子で標識したCMVペプチド、または陰性対照と、CMVまたは非CMV特異的T細胞との相対的結合のフローサイトメトリー結果を示す。
【0020】
図5図5は、ペプチドをT細胞に結合させた後に検出されたペプチド識別子の相対量を示すqPCRの結果である。この量をハウスキーピング遺伝子に対して正規化した。
【0021】
図6図6は、本開示のライブラリー内の折り畳まれたペプチドの濃縮を示す。
【0022】
図7図7は、核酸識別子のシーケンシングに基づくライブラリーの多様性の検証を示す。
【0023】
図8図8は、本開示の組成物および方法を使用して生成されたシーケンシングデータの分析による、ペプチド(抗原)-受容体(TCR)ペアの識別を示す。
【0024】
図9A図9は、本開示の組成物および方法を使用して生成されたペプチド(抗原)-受容体(TCR)ペアデータの分析を示す。図9Aは、抗原特異的プロファイルを示すTCRによるクラスタリングを示す。図9Bは、TCR結合の収束を示すための、抗原によるtSNEクラスタリングを示す。図9Cは、多様なTCRの被験者間収束を示す。
図9B図9は、本開示の組成物および方法を使用して生成されたペプチド(抗原)-受容体(TCR)ペアデータの分析を示す。図9Aは、抗原特異的プロファイルを示すTCRによるクラスタリングを示す。図9Bは、TCR結合の収束を示すための、抗原によるtSNEクラスタリングを示す。図9Cは、多様なTCRの被験者間収束を示す。
図9C図9は、本開示の組成物および方法を使用して生成されたペプチド(抗原)-受容体(TCR)ペアデータの分析を示す。図9Aは、抗原特異的プロファイルを示すTCRによるクラスタリングを示す。図9Bは、TCR結合の収束を示すための、抗原によるtSNEクラスタリングを示す。図9Cは、多様なTCRの被験者間収束を示す。
【0025】
図10図10は、sc-pMHCとTCRの結合と、結合に対する抗原の変異の影響を示す。
【0026】
図11図11は、本明細書に記載される方法を使用して識別された目的の細胞の遺伝子発現に基づく例示的な免疫表現型検査を示す。
【0027】
図12図12は、本明細書に記載される方法を使用して識別された例示的な抗原に対するsc-pMHCと抗原特異的T細胞との特異的かつ用量依存的な結合を示す。
【0028】
図13図13は、本明細書に記載される方法を使用して識別された例示的な抗原の同族sc-pMHCに応答したT細胞の増殖およびサイトカイン産生を示す。
【0029】
図14A図14は、例示的なライブラリーのサイズを示す。図14Aは、例示的なビロームライブラリーのサイズを示す。図14Bは、例示的な癌ライブラリーのサイズを示す。
図14B図14は、例示的なライブラリーのサイズを示す。図14Aは、例示的なビロームライブラリーのサイズを示す。図14Bは、例示的な癌ライブラリーのサイズを示す。
【0030】
図15図15は、本開示のペプチドライブラリーの産生(例えば、実施例21~25による)の例示的な概要を示す。
【0031】
図16図16は、本開示の組成物および方法で使用され得る核酸構築物の模式図を提供する。構築物は、本開示のペプチド(例えば、sc-pMHC)と、識別子(例えば、ペプチドのコード配列の全部または一部に相当する自己識別子)をコードすることができる。フォワードプライマーとリバースプライマーの位置が示される(例えば、実施例21~23で使用され得るプライマー)。
【0032】
図17図17は、実施例22および23で概説されるように、全長抗原をコードする鋳型(図17A)および識別子(図17B)のヒドロゲル上でのPCR増幅を示す。
【0033】
図18-1】図18は、折り畳まれ、識別子でタグ付けされた本開示のsc-pMHCの生成を示す。図18Aは、実施例24で概説されるように、本開示のsc-pMHCが、インビトロで転写され、翻訳されたことを示す顕微鏡画像を提供する。図18Bは、実施例25で概説されるように、折り畳まれたsc-pMHC多量体の放出を示すELISAの結果を提供する。図18Cは、実施例25で概説されるように、sc-pMHCが識別子でタグ付けされていることを示すウエスタンブロットを提供する。
図18-2】図18は、折り畳まれ、識別子でタグ付けされた本開示のsc-pMHCの生成を示す。図18Aは、実施例24で概説されるように、本開示のsc-pMHCが、インビトロで転写され、翻訳されたことを示す顕微鏡画像を提供する。図18Bは、実施例25で概説されるように、折り畳まれたsc-pMHC多量体の放出を示すELISAの結果を提供する。図18Cは、実施例25で概説されるように、sc-pMHCが識別子でタグ付けされていることを示すウエスタンブロットを提供する。
【0034】
図19図19は、実施例26で概説されるように、本開示の方法によって産生されたsc-pMHCが同族T細胞に特異的に結合することを示すフローサイトメトリーアッセイの結果を提供する。
【0035】
図20図20は、実施例26で概説されるように、本開示の方法によって産生されたsc-pMHCが同族T細胞に特異的に結合することを示す単一細胞シーケンシングアッセイの結果を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
詳細な説明
定義
本明細書において、「識別子」という用語は、識別子に対応する同一性などの情報を提供するデータの読み取り可能な表現を指す。
【0037】
本明細書において、「多量体」という用語は、複数のユニットを指す。一部の実施形態では、多量体は、1またはそれを超える異なるユニットを含む。一部の実施形態では、多量体のユニットは同じである。一部の実施形態では、多量体のユニットは異なっている。一部の実施形態では、多量体は、同じユニットと異なるユニットの混合物を含む。
【0038】
本明細書において、「ペプチドライブラリー」という用語は、複数のペプチドを指す。一部の実施形態では、ライブラリーは、一意の配列を含む1またはそれを超えるペプチドを含む。一部の実施形態では、ライブラリー内の各ペプチドは、異なる配列を有する。一部の実施形態では、ライブラリーは、同じ配列および異なる配列を含むペプチドの混合物を含む。
【0039】
本明細書において、「偏りのない」という用語は、1またはそれを超える選択基準がないことを指す。
【0040】
本明細書において、「捕捉支持体」という用語は、相互作用表面を指す。一部の実施形態では、捕捉支持体は固体表面であり得る。一部の実施形態では、捕捉支持体はマトリックスを含み得る。一部の実施形態では、捕捉支持体はナノ粒子を含み得る。一部の実施形態では、捕捉支持体はビーズを含み得る。一部の実施形態では、捕捉支持体は磁気ビーズを含み得る。一部の実施形態では、捕捉支持体はヒドロゲルを含み得る。一部の実施形態では、捕捉支持体は、油中水型エマルジョン液滴の内面であり得る。一部の実施形態では、捕捉支持体は核酸分子を含み得る。一部の実施形態では、捕捉支持体はタンパク質を含み得る。一部の実施形態では、捕捉支持体は抗体またはその誘導体を含み得る。一部の実施形態では、捕捉支持体はゲルを含み得る。一部の実施形態では、捕捉支持体はポリマーを含み得る。一部の実施形態では、捕捉支持体は荷電され得る。一部の実施形態では、捕捉支持体は蛍光性であり得る、例えば、1または複数の蛍光色素で標識され得る。
【0041】
緒言
本開示は、ペプチドライブラリーを提供する。ペプチドライブラリーは、異なるアミノ酸配列をもつ複数のペプチドを含むことができる。ペプチドライブラリーは、有望な診断または治療のための標的または薬剤を識別するためのさまざまなスクリーニングアッセイで使用することができる。ペプチドライブラリーは、例えば、疾患特異的、器官特異的、またはその他のコンパートメント特異的なペプチドのスクリーニングに、治療用途をもつペプチドのスクリーニングに、診断用途をもつペプチドのスクリーニングに、腫瘍標的化ペプチドのスクリーニングに、抗体エピトープまたは抗原のスクリーニングに、T細胞エピトープまたは抗原のスクリーニングに、抗菌ペプチドのスクリーニングに、またはそれらの任意の組合せに使用することができる。そのため、適切な品質の多様なペプチドライブラリーには、多くの貴重な用途がある。
【0042】
ペプチドライブラリーは、抗原ライブラリーであり得る。抗原ライブラリーの用途の限定されない例には、免疫抗原に関連するアッセイ、治療、および診断における使用が含まれる。例えば、抗原ライブラリーは、抗体またはT細胞エピトープなどのタンパク質エピトープを識別するためのスクリーニングで使用することができる。抗体およびT細胞エピトープは、抗体、B細胞受容体(BCR)、およびT細胞受容体(TCR)が認識する特異的な配列であるため、適応免疫系の機能に大きな影響を与え得る。免疫系の多くのエフェクター機構は、抗体エピトープまたはT細胞エピトープによってトリガされ得るため、抗原ライブラリーは、限定されるものではないが、感染症、癌免疫療法、および自己免疫での用途を含む有望な用途を有する。抗体およびT細胞エピトープは、例えば、治療用または実験用の抗体または抗原結合フラグメントの製造、抗体またはT細胞エピトープを使用するワクチンの製造、および、例えば癌免疫療法のための既知の抗原特異性をもつT細胞の操作を含む、幅広い用途に適合させることができる。
【0043】
多様なペプチドライブラリーの作製および使用には、関連する多くの課題がある。可能なペプチド配列の数が莫大であるため、ライブラリー作製には課題が提示される可能性がある。9残基の長さ(9mer)のペプチドの場合、タンパク質で最も一般的に見出される20個のアミノ酸の可能な配列の組合せは20(約5.1×1011)通りである。目的の有望な抗原ペプチド源(例えば、病原体、癌細胞、組織)は、数百または数千のタンパク質を発現することができ、各タンパク質は複数の可能性のあるペプチド抗原を含む。
【0044】
ペプチドを生成するために多くの技術が開発されたが、多くには制限がある(例えば、ペプチド多様性を十分にカバーできない、高親和性の相互作用に偏っている、変性またはミスフォールドしたタンパク質を導くペプチド生成条件を使用するなど)。本開示は、例えば、本明細書に記載されるような有用な用途をもつ高多様性ペプチドライブラリーを含む、ペプチドライブラリーを提供する。例えば、偏りのないペプチドライブラリーを作製するための方法を含む、ペプチドライブラリーの作製の方法も提供される。
【0045】
ペプチドライブラリーの組成物
本開示は、例えば、さまざまな治療、診断、および研究用途で有用な高多様性ペプチドライブラリーを含む、ペプチドライブラリーを提供する。提供されるペプチドライブラリーは、例えば、疾患特異的、器官特異的、またはその他のコンパートメント特異的なペプチドのスクリーニングに、治療用途をもつペプチドのスクリーニングに、診断用途をもつペプチドのスクリーニングに、腫瘍標的化ペプチドのスクリーニングに、抗体エピトープまたは抗原のスクリーニングに、T細胞エピトープまたは抗原のスクリーニングに、抗菌ペプチドのスクリーニングに、またはそれらの任意の組合せに使用することができる。
【0046】
本開示のペプチドライブラリーは、偏りがないものでも偏りがあるものでもよく、任意の数のペプチドを含むことができる。様々な多様性のペプチドライブラリーの例示的な実施形態を図1に示し、以下に説明する。
【0047】
偏りのないペプチドライブラリー
本明細書に開示されるペプチドライブラリーは、例えば1またはそれを超える選択基準がない、偏りのないライブラリーであり得る。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、所与のサイズのペプチド、つまり標準的な20個のアミノ酸のいずれかを含む20個の可能なk-merペプチド、例えば、標準的な20個のアミノ酸のいずれかを含む20個の可能な9merペプチドのすべての可能なアミノ酸の組合せを含む。
【0048】
一部の実施形態では、ライブラリーは、例えば約2アミノ酸(2mer)から約20アミノ酸(20mer)までの範囲の長さ、または任意の適切な範囲の長さを有するペプチドを含む。一部の実施形態では、ライブラリーは、実質的に同じ長さ、例えば、2mer、3mer、4mer、5mer、6mer、7mer、8mer、9mer、10mer、11mer、12mer、13mer、14mer、15mer、16mer、17mer、18mer、19mer、20mer、またはそれよりも長い長さを有するペプチドを含む。
【0049】
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、特定の位置に拘束残基、例えば、HLA-A2にドッキングするための2位および9位に拘束残基を含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、非拘束残基のアミノ酸のすべての可能な組合せを含む。例えば、9mer配列の3位、4位、5位、6位、7位、および8位に20個の可能な6mer配列があり、1位、2位、および9位に拘束残基がある。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、拘束残基以外の、所与サイズのペプチド中のアミノ酸のすべての可能な組合せを含む。例えば、2位および9位が拘束されていて、1位、3位、4位、5位、6位、7位、および8位が変動する場合に20の可能な9mer配列を含む。
【0050】
拘束残基は、単一の残基に拘束されてもよいし、残基の任意のサブセットに拘束されてもよい(例えば、バリン、ロイシン、またはイソロイシンに拘束される)。一部の実施形態では、拘束残基は、アミノ酸のサブクラスのいずれか1つ、例えば、任意の疎水性アミノ酸、任意の親水性アミノ酸、任意の荷電アミノ酸、任意の塩基性アミノ酸、任意の酸性アミノ酸、任意の環状アミノ酸、任意の芳香族アミノ酸、任意の脂肪族アミノ酸、任意の極性アミノ酸、任意の非極性アミノ酸、またはそれらの任意の組合せであり得る。様々な残基は、すべての可能な残基から選択してもよいし、残基の任意のサブセットから選択してもよい。例えば、任意の疎水性アミノ酸、任意の親水性アミノ酸、任意の荷電アミノ酸、任意の塩基性アミノ酸、任意の酸性アミノ酸、任意の環状アミノ酸、任意の芳香族アミノ酸、任意の脂肪族アミノ酸、任意の極性アミノ酸、任意の非極性アミノ酸、またはそれらの任意の組合せ。
【0051】
いくつかの実施形態において、本開示のライブラリーは、任意のインシリコの作製方法によって作製することができるすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、ライブラリーは、あらゆる翻訳産物、例えば、エピトープ、抗原、タンパク質、またはプロテオーム由来のk-merペプチドを含み得る。一部の実施形態では、ライブラリーは、1またはそれを超えるゲノム、エクソーム、トランスクリプトーム、プロテオーム、ORFeome、またはそれらの任意の組合せからインシリコで得られたk-merペプチドを含む。
【0052】
一部の実施形態では、ライブラリーは、目的のポリヌクレオチド配列の転写および翻訳、例えば、6つのリーディングフレームすべてにおけるゲノムまたはメタゲノムの順方向鎖と逆方向鎖の両方の転写産物と翻訳産物のインシリコ作製によって生成されたすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、哺乳動物ゲノム、例えば、マウスゲノム、ヒトゲノム、患者ゲノム、自己免疫患者ゲノム、または癌ゲノムのインシリコ転写および翻訳に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、微生物ゲノム、例えば、細菌ゲノム、ウイルスゲノム、原生動物ゲノム、原生生物ゲノム、酵母ゲノム、古細菌ゲノム、またはバクテリオファージゲノムのインシリコ転写および翻訳に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、病原体ゲノム、例えば、細菌性病原体ゲノム、ウイルス性病原体ゲノム、真菌性病原体ゲノム、日和見病原体ゲノム、条件付き病原体ゲノム、または真核生物寄生体ゲノムのインシリコ転写および翻訳に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、植物ゲノムまたは真菌ゲノムに由来し得る。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、ゲノムのインシリコ転写および翻訳に由来し得るk-merペプチドを含み、ここで、ゲノムはインシリコ転写および翻訳中に改変され、例えば、インシリコで変異されて変異(例えば、置換、挿入、欠失)を含むk-merペプチドを作製する。
【0053】
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、目的のエクソーム、例えば、哺乳類エクソーム、ヒトエクソーム、マウスエクソーム、患者エクソーム、自己免疫患者エクソーム、癌エクソーム、ウイルスエクソーム、原生動物エクソーム、原生生物エクソーム、酵母エクソーム、病原体エクソーム、真核生物寄生虫エクソーム、植物エクソーム、または真菌エクソームのインシリコ翻訳に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、エクソームのインシリコ翻訳に由来するk-merペプチドを含み、ここで、エクソームはインシリコ翻訳中に改変され、例えば、インシリコで変異されて変異(例えば、置換、挿入、欠失)を含むk-merペプチドを作製する。
【0054】
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、目的のトランスクリプトーム、例えば、哺乳類トランスクリプトーム、ヒトトランスクリプトーム、マウストランスクリプトーム、患者トランスクリプトーム、自己免疫患者トランスクリプトーム、癌トランスクリプトーム、微生物トランスクリプトーム、細菌トランスクリプトーム、ウイルストランスクリプトーム、原生動物トランスクリプトーム、原生生物トランスクリプトーム、酵母トランスクリプトーム、古細菌トランスクリプトーム、バクテリオファージトランスクリプトーム、病原体トランスクリプトーム、真核生物寄生虫トランスクリプトーム、植物トランスクリプトーム、真菌トランスクリプトーム、RNAシーケンシングに由来するトランスクリプトーム、マイクロバイオームトランスクリプトーム、またはメタゲノムRNAシーケンシングに由来するトランスクリプトームのインシリコ翻訳に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、トランスクリプトームのインシリコ翻訳に由来するk-merペプチドを含み、ここで、トランスクリプトームは、インシリコ翻訳中に改変され、例えば、インシリコで変異されて変異(例えば、置換、挿入、欠失)を含むk-merペプチドを作製する。
【0055】
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、目的のプロテオーム、例えば、哺乳類プロテオーム、ヒトプロテオーム、マウスプロテオーム、患者プロテオーム、自己免疫患者プロテオーム、癌プロテオーム、微生物プロテオーム、細菌プロテオーム、ウイルスプロテオーム、原生動物プロテオーム、原生生物プロテオーム、酵母プロテオーム、古細菌プロテオーム、バクテリオファージプロテオーム、病原体プロテオーム、真核生物寄生虫プロテオーム、植物プロテオームまたは真菌プロテオームに由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、プロテオームに由来するk-merペプチドを含み、ここで、k-merペプチドは、プロテオーム配列から修飾されている、例えば、変異(例えば、置換、挿入、欠失)を含むk-merペプチドである。
【0056】
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、目的のORFeome、例えば、哺乳類ORFeome、ヒトORFeome、マウスORFeome、患者ORFeome、自己免疫患者ORFeome、癌ORFeome、微生物ORFeome、細菌ORFeome、ウイルスORFeome、原生動物ORFeome、原生生物ORFeome、酵母ORFeome、古細菌ORFeome、バクテリオファージORFeome、病原体ORFeome、真核生物寄生虫ORFeome、植物ORFeomeまたは真菌ORFeome、次世代シーケンシングに由来するORFeome、マイクロバイオームORFeome、またはメタゲノムシーケンシングに由来するORFeomeのインシリコ翻訳に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、ORFeomeのインシリコ翻訳に由来するk-merペプチドを含み、ここで、ORFeomeは、インシリコ翻訳中に改変され、例えば、インシリコで変異されて変異(例えば、置換、挿入、欠失)を含むk-merペプチドを作製する。
【0057】
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、一群のゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、ORFeome、またはそれらの任意の組合せのインシリコ転写および翻訳または翻訳に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、一群のサンプル、例えば、患者集団から得た臨床サンプル、または病原体ゲノムの群由来のポリヌクレオチド配列のインシリコ転写および翻訳または翻訳に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、一群のウイルスゲノム、例えば、ヒトビロームのインシリコ転写および翻訳に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、一群のゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、ORFeome、またはそれらの任意の組合せのインシリコ転写および翻訳に由来し得るすべてのk-merペプチドを含み、ここで、ソース配列は、インシリコ翻訳中に改変され、例えば、インシリコで変異されて変異(例えば、置換、挿入、欠失)を含むk-merペプチドを作製する。
【0058】
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、差分ゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、ORFeome、またはそれらの任意の組合せに由来し得るすべてのk-merペプチドを含み、2またはそれを超えるゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、ORFeome、またはそれらの組合せが、差分配列(例えば、それらの間で異なる配列)である配列、例えば、ヌクレオチド配列、アミノ酸配列、ヌクレオチド存在量、またはタンパク質存在量が異なる配列を特定するために比較される。一部の実施形態では、ゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、またはORFeomeの差分配列は、目的の組織を比較することによって生成される。一部の実施形態では、ゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、またはORFeomeの差分配列は、目的の細胞(例えば、健常細胞と癌細胞)由来の配列を比較することによって生成される。一部の実施形態では、ゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、またはORFeomeの差分配列は、目的の生物の配列を比較することによって生成される。一部の実施形態では、ゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、またはORFeomeの差分配列は、目的の被験者(例えば、罹患した被験者と健康な被験者)を比較することによって生成され得る。一部の実施形態では、差分配列は、少なくとも100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、または1%異なっている。一部の実施形態では、差分配列は、1%~100%、5%~100%、10%~100%、15%~100%、20%~100%、25%~100%、30%~100%、40%~100%、50%~100%、60%~100%、70%~100%、80%~100%、90%~100%、95%~100%、30%~90%、40%~90%、50%~90%、60%~90%、70%~90%、80%~90%、または60%~80%異なっている。一部の実施形態では、差分配列は、比較した配列との間に少なくとも100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、または1%の違いがある。一部の実施形態では、差分配列は、比較した配列との間に1%~100%、5%~100%、10%~100%、15%~100%、20%~100%、25%~100%、30%~100%、40%~100%、50%~100%、60%~100%、70%~100%、80%~100%、90%~100%、95%~100%、30%~90%、40%~90%、50%~90%、60%~90%、70%~90%、80%~90%、または60%~80%の違いがある。
【0059】
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、ゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、ORFeome、またはそれらの任意の組合せの相同配列に由来し得るすべてのk-merペプチドを含み、ここで、2またはそれを超えるゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、ORFeome、またはそれらの組合せが、相同配列である(例えば、ある程度の相同性を共有する)配列、例えば、相同ヌクレオチド配列、相同アミノ酸配列、相同ヌクレオチド存在量、または相同タンパク質存在量を特定するために比較される。一部の実施形態では、ゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、またはORFeomeの相同配列は、目的の組織を比較することによって生成される。一部の実施形態では、ゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、またはORFeomeの相同配列は、目的の細胞(例えば、健常細胞と自己免疫細胞に関与する細胞(例えば、自己免疫を誘発する細胞または自己免疫中に標的となる細胞)由来の配列を比較することによって生成される。一部の実施形態では、ゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、またはORFeomeの相同配列は、目的の生物の配列を比較することによって生成される。一部の実施形態では、ゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、またはORFeomeの相同配列は、目的の被験者(例えば、罹患した被験者と健康な被験者)を比較することによって生成され得る。一部の実施形態では、相同配列は、少なくとも100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、または1%の相同性を有する。一部の実施形態では、相同配列は、1%~100%、5%~100%、10%~100%、15%~100%、20%~100%、25%~100%、30%~100%、40%~100%、50%~100%、60%~100%、70%~100%、80%~100%、90%~100%、95%~100%、30%~90%、40%~90%、50%~90%、60%~90%、70%~90%、80%~90%、または60%~80%の相同性を有する。
【0060】
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、目的の配列(例えば、上記のように識別された差分配列または相同配列)に対してある程度の相同性をコードするすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、2またはそれを超える目的の配列間の最も近い相同体を含む。
【0061】
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、目的のポリペプチド配列に由来し得るすべてのk-merペプチド、例えば、ウイルスタンパク質の完全なタンパク質配列を網羅するすべての可能な9merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、目的のポリペプチド配列から生成することができるk-merペプチドを含み、目的のポリペプチド配列は、例えば、インシリコ変異されて変異(例えば、置換、挿入、欠失)を含むk-merペプチドを生成するように改変される。
【0062】
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、目的の配列の変異に由来し得るすべてのk-merペプチド、例えば、抗原またはエピトープをコードするポリヌクレオチド配列の単一のヌクレオチド変異から生成され得るすべての9merペプチドを含む。例えば、本開示のライブラリーは、抗原またはエピトープをコードするポリヌクレオチド配列中の2、3、4、5、6、7、8、または9個のヌクレオチドの変異から生成され得るすべての9merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、アラニン置換、例えば、本明細書に記載されるいずれかの配列の任意の位置でのアラニン置換(例えば、タンパク質、一群のタンパク質、プロテオーム、インシリコ転写および翻訳されたゲノム)に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、選択されたアミノ酸残基が他のすべての天然アミノ酸で順次に置換される、位置走査ライブラリーを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、選択されたアミノ酸残基が一度に2つまたはそれを超える位置でその他のすべての天然アミノ酸で順次に置換される、コンビナトリアル位置走査ライブラリーを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、鋳型配列(例えば、インシリコ翻訳されたゲノム)由来の重複ペプチドを含む重複ペプチドライブラリーを含み、ここで、定められた長さの重複ペプチドは、定義された数の残基によって相殺されている。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、T細胞の末端切断型ペプチドライブラリーを含み、ここで、ライブラリーの各複製は、1つの末端にトランケーションを有するペプチド(例えば、名目上の11merのC末端トランケーションから誘導することができる8mer、9mer、10merおよび11mer)の等モル混合物を含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、カスタマイズされたペプチドの組を含み、カスタマイズされたペプチドの組はリストに記載されている。
【0063】
一部の実施形態では、本開示のゲノム、エクソーム、トランスクリプトーム、プロテオーム、またはORFeomeは、ウイルスのゲノム、エクソーム、トランスクリプトーム、プロテオーム、またはORFeomeである。ウイルスの限定されない例としては、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、アイチウイルス、オーストラリアコウモリリッサウイルス、BKポリオーマウイルス、バナナウイルス、バーマフォレストウイルス、ブニヤムウェラウイルス、ブニヤウイルスラクロス、ブニヤウイルスカンジキウサギ、オナガザルヘルペスウイルス、チャンディプラウイルス、チクングニアウイルス、コサウイルスA、牛痘ウイルス、コクサッキーウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、デングウイルス、ドーリウイルス、ジュグベウイルス、ドウベンハーゲウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、エボラウイルス、エコーウイルス、脳心筋炎ウイルス、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、ヨーロッパコウモリリッサウイルス、GBウイルスC/G型肝炎ウイルス、ハンタンウイルス、ヘンドラウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、デルタ肝炎ウイルス、馬痘ウイルス、ヒトアデノウイルス、ヒトアストロウイルス、ヒトコロナウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒト内在性レトロウイルス(HERV)、ヒトエンテロウイルス、ヒト疱疹ウイルス(例えば、HHV-1、HHV-2、HHV-6A、HHV-6B、HHV-7、HHV-8、ヒト免疫不全ウイルス(例えば、HIV-1、HIV-2)、ヒトパピローマウイルス(例えば、HPV-1、HPV-2、HPV-16、HPV-18、ヒトパラインフルエンザ、ヒトパルボウイルスB19、ヒトRSウイルス(RSV)、ヒトライノウイルス、ヒトSARSコロナウイルス、ヒトスプマレトロウイルス、ヒトTリンパ球向性ウイルス(HTLV、例えば、HTLV-1、HTLV-2、HTLV-3)、ヒトトロウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス、イスファハンウイルス、JCポリオーマウイルス、日本脳炎ウイルス、フニンアレナウイルス、KIポリオーマウイルス、クンジンウイルス、ラゴスコウモリウイルス、ビクトリア湖マールブルグウイルス、ランガットウイルス、ラッサ熱ウイルス、ローズデールウイルス、跳躍病ウイルス、リンパ性脈略髄膜炎ウイルス、マチュポウイルス、マヤロウイルス、MERSコロナウイルス、麻疹ウイルス、メンゴ脳心筋炎ウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルス、モコラウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、サル痘ウイルス、ムンプスウイルス、マレー渓谷脳炎ウイルス、ニューヨークウイルス、ニパウイルス、ノロウイルス、ノーウォークウイルス、オニョンニョンウイルス、オーフウイルス、オロポーチウイルス、ピチンデウイルス、ポリオウイルス、プンタトロフレボウイルス、プーマラウイルス、狂犬病ウイルス、リフトバレー熱ウイルス、ローザウイルスA、ロスリバーウイルス、ロタウイルス(例えば、ロタウイルスA、ロタウイルスB、ロタウイルスC、ロタウイルスX)、風疹ウイルス、サギヤマウイルス、サリウイルスA、サシチョウバエ熱(シチリア型)ウイルス、サッポロウイルス、セムリキ森林熱ウイルス、ソウルウイルス、サル泡沫状ウイルス、サルウイルス5型、シンドビスウイルス、サウサンプトンウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ダニ媒介ポワッサンウイルス、トルクテノウイルス、トスカーナウイルス、ウークニエミウイルス、ワクシニアウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、痘瘡ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、WUポリオーマウイルス、西ナイルウイルス、ヤバサル腫瘍ウイルス、ヤバ様疾患ウイルス、黄熱病ウイルス、およびジカウイルスが挙げられる。
【0064】
一部の実施形態では、本開示のゲノム、エクソーム、トランスクリプトーム、プロテオーム、またはORFeomeは、癌のゲノム、エクソーム、トランスクリプトーム、プロテオーム、またはORFeomeである。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、既知の癌ネオエピトープを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、既知の癌抗原タンパク質に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、上皮間葉転換に関与する遺伝子に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、癌に関係する遺伝子に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、変異性癌ドライバー遺伝子に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、癌原遺伝子、癌遺伝子、または腫瘍抑制遺伝子に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、癌原遺伝子、癌遺伝子、または腫瘍抑制遺伝子に由来し得るすべてのk-merペプチドを含み、ここで、k-merは、本明細書に記載される変異(例えば、アミノ酸置換、アラニン置換、位置走査、コンビナトリアル位置走査など)を含む。
【0065】
癌の限定されない例としては、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質癌腫、AIDS関連癌、AIDS関連リンパ腫、肛門癌、虫垂癌、星状細胞種、非定型奇形/ラブドイド腫瘍、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳腫瘍、乳癌、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、原発不明癌、心臓腫瘍、中枢神経系癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、脊索腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性新生物、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、乳管内上皮内癌、胚芽腫、子宮内膜癌、上皮癌、上衣腫、食道癌、感覚神経芽細胞腫、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞性腫瘍、性腺外胚細胞性腫瘍、眼癌、卵管癌、骨線維性組織球腫、胆嚢癌、胃癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛性疾患、ヘアリー細胞白血病、頭頸部癌、肝細胞癌、組織球増殖症、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼内黒色腫、膵島腫瘍、カポジ肉腫、腎臓(腎細胞)癌、ランゲルハンス細胞組織球症、咽頭癌、白血病、口唇癌および口腔癌、肝癌、肺癌(非小細胞および小細胞)、リンパ腫、男性の乳癌、骨悪性線維性組織球腫および骨肉腫、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、転移性癌、潜在性原発性正中線管癌を伴う転移性頸部扁平上皮癌、口腔癌、多発性内分泌腺腫症候群、多発性骨髄腫、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成性/骨髄増殖性新生物、鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、口腔癌、口唇癌および口腔癌、中咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、膵臓神経内分泌腫瘍、乳頭腫症、傍神経節腫、副鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍、胸膜肺芽腫、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、原発性腹膜癌、前立腺癌、直腸癌、再発癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫、セザリー症候群、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部組織肉腫、皮膚扁平上皮癌、潜在性原発性頸部扁平上皮癌、胃癌、T細胞リンパ腫、精巣癌、咽頭癌、胸腺腫および胸腺癌、甲状腺癌、移行細胞癌、尿管および腎盂癌、尿道癌、子宮癌、子宮肉腫、膣癌、血管内腫瘍、外陰癌、およびウィルムス腫瘍が挙げられる。
【0066】
一部の実施形態では、本開示のゲノム、エクソーム、トランスクリプトーム、プロテオーム、またはORFeomeは、炎症性または自己免疫原性のゲノム、エクソーム、トランスクリプトーム、プロテオーム、またはORFeomeである。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、既知の炎症性または自己免疫原性のネオエピトープまたは自己エピトープを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、既知の炎症性または自己免疫原性抗原タンパク質に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、炎症または自己免疫に関係する遺伝子に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、炎症または自己免疫に関連するドライバー遺伝子の変異に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。
【0067】
炎症性または自己免疫性の疾患または状態の限定されない例としては、急性散在性脳脊髄炎(ADEM);急性壊死性出血性白質脳炎;アジソン病;アジュバント誘発関節炎;無ガンマグロブリン血症;円形脱毛症;アミロイドーシス;強直性脊椎炎;抗GBM/抗TBM腎炎;抗リン脂質抗体症候群(APS);自己免疫性血管性浮腫;自己免疫性再生不良性貧血;自己免疫性自律神経障害;自己免疫性胃萎縮症;自己免疫性溶血性貧血;自己免疫性肝炎;自己免疫性高脂血症;自己免疫性免疫不全;自己免疫性内耳疾患(AIED);自己免疫性心筋炎;自己免疫性卵巣炎;自己免疫性膵炎;自己免疫性網膜症;自己免疫性血小板減少性紫斑病(ATP);自己免疫性甲状腺疾患;自己免疫性じんま疹;軸索型および神経型ニューロパチー;バロ病;ベーチェット病;水疱性類天疱瘡;心筋症;キャッスルマン病;セリアック病;シャーガス病;慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP);慢性再発性多発性骨髄炎(ostomyelitis)(CRMO);チャーグ・ストラウス症候群;瘢痕性類天疱瘡/良性粘膜類天疱瘡;クローン病;コーガン症候群;コラーゲン誘発関節炎;寒冷凝集素症;先天性心ブロック;コクサッキー心筋炎;CREST病;本態性混合型クリオグロブリン血症;脱髄性ニューロパチー;疱疹状皮膚炎;皮膚筋炎;デビック病(視神経脊髄炎);円板状ループス;ドレスラー症候群;子宮内膜症;好酸球性食道炎;好酸球性筋膜炎;結節性紅斑実験的アレルギー性脳脊髄炎;実験的自己免疫性脳脊髄炎;エヴァンス症候群;線維筋痛症;線維性肺胞炎;巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎);巨大細胞心筋炎;糸球体腎炎;グッドパスチャー症候群;多発血管炎性肉芽腫症(GPA)(以前はウェゲナー肉芽腫症と呼ばれていた);バセドウ病;ギラン・バレー症候群;橋本脳炎;橋本甲状腺炎;甲状腺炎;溶血性貧血;ヘノッホ・シェーンライン紫斑病;妊娠性ヘルペス;低ガンマグロブリン血症;特発性血小板減少性紫斑病(ITP);IgA腎症;IgG4関連硬化性疾患;免疫調節性リポタンパク質;封入体筋炎;間質性膀胱炎;炎症性腸疾患;若年性関節炎;若年性少関節炎;若年性糖尿病(1型糖尿病);若年性筋炎;川崎症候群;ランバート・イートン症候群;白血球破壊性血管炎;扁平苔癬;硬化性苔癬;木質性結膜炎;線状IgA病(LAD);ループス(SLE);ライム病、慢性;メニエール病;顕微鏡的多発血管炎;混合性結合組織病(MCTD);モーレン潰瘍;ムッハ・ハーベルマン病;多発性硬化症;重症筋無力症;筋炎;ナルコレプシー;視神経脊髄炎(デビック病);好中球減少症;非肥満糖尿病;眼部瘢痕性類天疱瘡;視神経炎;回帰性リウマチ;PANDAS(連鎖球菌に関連する小児自己免疫性神経精神障害);傍腫瘍性小脳変性症;発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH);パリー・ロンベルグ症候群;パーソネージ・ターナー症候群;毛様体扁平部炎(周辺部ぶどう膜炎);天疱瘡;尋常性天疱瘡;末梢神経障害;静脈周囲性脳脊髄炎;悪性貧血;POEMS症候群;結節性多発性動脈炎;I型、II型、およびIII型の多腺性自己免疫症候群;リウマチ性多発性筋痛;多発性筋炎;心筋梗塞後症候群;心膜切開後症候群;プロゲステロン皮膚炎;原発性胆汁性肝硬変;原発性硬化性胆管炎;乾癬;尋常性乾癬;乾癬性関節炎;特発性肺線維症;壊疽性膿皮症;赤芽球ろう;レイノー現象;反応性関節炎;反射性交感神経性ジストロフィー;ライター症候群;再発性多発性軟骨炎;下肢静止不能症候群;後腹膜線維症;リウマチ熱;関節リウマチ;サルコイドーシス;シュミット症候群;強膜炎;強皮症;硬化性胆管炎;硬化性唾液腺炎;シェーグレン症候群;精液精巣自己免疫;全身硬直症候群;亜急性細菌性心内膜炎(SBE);スザック症候群;交感性眼炎;全身性エリテマトーデス(SLE);全身性硬化症;高安動脈炎;側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎;血栓性血小板減少性紫斑病(TTP);トロサ・ハント症候群;横断性脊髄炎;1型糖尿病;潰瘍性大腸炎;未分化結合組織疾患(UCTD);ブドウ膜炎;血管炎;水疱性皮膚病;白斑;ウェゲナー肉芽腫症(現在は多発血管炎性肉芽腫症(GPA)と呼ばれている)が挙げられる。炎症性または自己免疫性の疾患または状態の限定されない例としては、慢性感染症、潜伏感染症、遅発性感染症、持続性ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症、マイコプラズマ感染症または寄生虫感染症などの感染症が挙げられる。
【0068】
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、例えば、アセチル化、アミド化、ビオチン化、脱アミド化、ファルネシル化、ホルミル化、ゲラニルゲラニル化、グルタチオン化、糖化、グリコシル化、水酸化、メチル化、モノ-ADP-リボシル化、ミリストイル化、N-アセチル化、N-グリコシル化、N-ミリストイル化、ニトロシル化、酸化、パルミトイル化、リン酸化、ポリ(ADP-リボシル)化、ステアロイル化、硫酸化、SUMO化、ユビキチン化、またはそれらの任意の組合せを含む、翻訳後修飾を有するペプチドを含み得る。一部の実施形態では、本開示のペプチドは、1またはそれを超えるセレノシステイン残基を含み得る。
【0069】
一部の実施形態では、本開示のライブラリー内のペプチドは、タンパク質-mRNA複合体の一部である。一部の実施形態では、本開示のライブラリー内のペプチドは、ピューロマイシン結合を含むタンパク質-mRNA複合体の一部である。一部の実施形態では、本開示のライブラリー内のペプチドは、タンパク質-mRNA-cDNA複合体の一部である。一部の実施形態では、本開示のライブラリー内のペプチドは、タンパク質-DNA複合体の一部である。一部の実施形態では、本開示のライブラリー内のペプチドは、ビオチン-ストレプトアビジン結合を含むタンパク質-DNA複合体の一部である。一部の実施形態では、本開示のライブラリー内のペプチドは、タンパク質-cDNA複合体の一部である。一部の実施形態では、本開示のライブラリー内のペプチドは、タンパク質-リボソーム-mRNA複合体の一部である。一部の実施形態では、本開示のライブラリー内のペプチドは、タンパク質-リボソーム-mRNA複合体の一部であり、ここで、mRNAは、停止コドンを欠くスペーサー配列を含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリー内のペプチドは、タンパク質-リボソーム-mRNA-cDNA(PRMC)複合体の一部である。
【0070】
一部の実施形態では、本開示のライブラリー内のペプチドは、アフィニティタグ精製によって(例えば、FLAGタグを用いて)精製される。一部の実施形態では、本開示のライブラリー内のペプチドは、HaloTag酵素配列を含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリー内のペプチドは、アビジンまたはストレプトアビジンを含む。
【0071】
一部の実施形態では、本開示のライブラリー内のペプチドは、別の分子に結合または融合され得る。一部の実施形態では、本開示のライブラリー内のペプチドは、さらなるポリペプチドに結合または融合され得る。一部の実施形態では、本開示のライブラリー内のペプチドは、ポリ核酸に結合または融合され得る。一部の実施形態では、本開示のライブラリー内のペプチドは、DNAに結合または融合され得る。一部の実施形態では、本開示のライブラリー内のペプチドは、RNAに結合または融合され得る。一部の実施形態では、本開示のライブラリー内のペプチドは、より長いスキャフォールド内に、例えば、より長いタンパク質配列またはタンパク質複合体の一部として存在することができる。
【0072】
本開示のライブラリーは、約100、500、1000、2000、5000、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015、1016、1017、1018、1019、1020、20、20、20、20、20、20、20、20、2010、2011、2012、2013、2014、2015、2016、2017、2018、2019、2020、2021、2022、2023、2024、2025、2026、2027、2028、2029、または2030個のペプチドまたは抗原を含み得る。
【0073】
本開示のライブラリーは、少なくとも約100、500、1000、2000、5000、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015、1016、1017、1018、1019、1020、20、20、20、20、20、20、20、20、2010、2011、2012、2013、2014、2015、2016、2017、2018、2019、2020、2021、2022、2023、2024、2025、2026、2027、2028、2029、または2030個よりも多くのペプチドまたは抗原を含み得る。
【0074】
本開示のライブラリーは、最大で約100、500、1000、2000、5000、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015、1016、1017、1018、1019、1020、20、20、20、20、20、20、20、20、2010、2011、2012、2013、2014、2015、2016、2017、2018、2019、2020、2021、2022、2023、2024、2025、2026、2027、2028、2029、または2030個のペプチドまたは抗原を含み得る。
【0075】
本開示のk-merは、1mer、2mer、3mer、4mer、5mer、6mer、7mer、8mer、9mer、10mer、11mer、12mer、13mer、14mer、15mer、16mer、17mer、18mer、19mer、20mer、21mer、22mer、23mer、24mer、25mer、26mer、27mer、28mer、29mer、30mer、31mer、32mer、33mer、34mer、35mer、36mer、37mer、38mer、39mer、40mer、41mer、42mer、43mer、44mer、45mer、46mer、47mer、48mer、49mer、または50merであり得る。
【0076】
本開示のライブラリーは、ペプチドあたり約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、275、300、350、400、450、500、600、700、800、900、または1000個の拘束残基をもつペプチドを含み得る。本開示のライブラリーは、ペプチドあたり約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、275、300、350、400、450、500、600、700、800、900、または1000個の可変残基をもつペプチドを含み得る。
【0077】
本開示のライブラリーは、ペプチドあたり少なくとも約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、275、300、350、400、450、500、600、700、800、900、または1000個よりも多くの拘束残基をもつペプチドを含み得る。本開示のライブラリーは、ペプチドあたり少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、275、300、350、400、450、500、600、700、800、900、または1000個よりも多くの可変残基をもつペプチドを含み得る。
【0078】
本開示のライブラリーは、ペプチドあたり最大で約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、275、300、350、400、450、500、600、700、800、900、または1000個の拘束残基をもつペプチドを含み得る。本開示のライブラリーは、ペプチドあたり最大で約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、275、300、350、400、450、500、600、700、800、900、または1000個の可変残基をもつペプチドを含み得る。
【0079】
ペプチドライブラリーサブセット
ペプチドライブラリーは、偏りのないライブラリーのサブセットであり得る。一部の実施形態では、アルゴリズムを使用して本開示のペプチドライブラリーのペプチドを選択することができる。例えば、アルゴリズムを使用して、MHC/HLA結合ポケットに折り畳まれたりドッキングしたりする可能性が最も高いペプチドを予測することができ、特定の閾値を超えるペプチドを選択してライブラリーに含めることができる。一部の実施形態では、本開示のライブラリーのためのペプチドの選択は、特定のHLA型に対して予測された結合親和性に基づいてペプチドに優先順位をつけることを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーのためのペプチドの選択は、集団、例えば、ヒト集団における有病率に基づいてHLA型または対立遺伝子に優先順位をつける。
【0080】
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、スクリーニングアッセイ、例えば、折り畳みに関する機能アッセイに基づいて選択されたペプチドを含む。アッセイは、本開示のペプチドの折り畳みが成功したかどうかを試験するために使用することができる。例えば、モノクローナル抗体をアッセイで使用してペプチドの折り畳みが成功したかどうかを決定することができ、例えば、BB7.2モノクローナル抗体の結合は、HLA-A2の折り畳みの成功を示すことができる。一部の実施形態では、正しく折り畳まれたペプチドを、ミスフォールドしたペプチドから分離し、正しく折り畳まれたペプチドとミスフォールドしたペプチドの配列を(例えば、本明細書に開示の識別子をシーケンシングすることによって)決定することができ、その後のライブラリーを、正しく折り畳まれたペプチドについて濃縮することができる(図6)。
【0081】
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、癌(例えば、結腸直腸癌または非小細胞肺癌)由来の既知の検出済みまたは予測済みのネオエピトープを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、特定の疾患または症状に関連するか、またはそれに富む配列を含む。
【0082】
抗原ライブラリー
本開示は、有望な診断または治療のための標的または薬剤を識別するためのさまざまなスクリーニングアッセイに有用なペプチドライブラリーを提供する。ペプチドライブラリーは、抗原ライブラリーであり得る。本開示には、T細胞エピトープを含むT細胞抗原をはじめとする免疫抗原に関連するアッセイに用途を有する抗原ライブラリーが含まれる。T細胞抗原およびエピトープは、T細胞受容体(TCR)が認識する特異的な配列であるため、適応免疫系の機能に大きな影響を与え得る。同族抗原のTCR認識は、例えば、病原体に対する免疫認識とエフェクター免疫応答、癌細胞に対する免疫認識とエフェクター免疫応答、および自己免疫応答(例えば、疾患をもたらす、自己組織に対する免疫応答)に重要であり得る。
【0083】
そのため、T細胞エピトープのスクリーニングのための抗原ライブラリーは、例えば、感染症、癌、および自己免疫疾患に関連する研究、診断、処置、および予防的手段において潜在的な有用性を有する。T細胞に認識される抗原性ペプチド配列の識別は、例えば、ワクチン開発(例えば、所与病原体に対する感染防御抗原の識別、または癌ワクチンで用いるネオ抗原の識別のため)、癌治療(例えば、ネオ抗原の識別を含むT細胞ベースの治療の標的を識別するため)、および自己免疫研究および処置(例えば、自己免疫抗原を識別するため)に極めて重要である。
【0084】
しかし、T細胞抗原およびエピトープに関連する用途のためのペプチドライブラリーの作製および使用に関する多くの課題がある。関連する可能性のあるペプチド配列の数が非常に多いため、ライブラリーの作製には課題がある9残基の長さ(9mer)のペプチドの場合、タンパク質で最も一般的に見出される20個のアミノ酸の可能な配列の組合せは20(約5.1×1011)通りである。以下に説明するように、T細胞に提示される一部のペプチドは9残基より長くなる可能性があるため、TCRによって認識される有望なペプチドの多様性は5.1x1011を超える可能性がある。さらに、目的の有望な抗原ペプチド源(例えば、病原体、癌細胞、組織)は、数千のタンパク質を発現することができ、各タンパク質は複数の可能性のあるペプチド抗原を含む。このような多様性のライブラリーを生成するために、効率的でハイスループットな方法が必要とされている。
【0085】
さらに、実験的または治療的状況で有用であるために十分な親和性の結合を開始するために、ペプチドをTCRに提示しなければならないという課題もある。インビボでは、TCRは、主要組織適合抗原複合体(MHC)分子によって提示されるペプチドを認識する。TCRに結合するためには、ペプチドライブラリーのペプチド抗原も、MHCの文脈で提示されなければならない。さらに、実験または治療の文脈で有用であるように十分な親和性の結合を達成するために、ペプチド-MHC(pMHC)複合体の多量体が必要とされる。pMHC多量体を生成する従来の方法は、スループットが低く、労働集約的であり、結果として得られるポリペプチドは、ミスフォールディングしやすく、ペプチド抗原のローディングが不十分になる傾向がある。
【0086】
本明細書では、多様なpMHC多量体のライブラリー、および、ハイスループット法を含むその作製のための方法が提供される。一部の実施形態では、pMHC多量体は、本明細書の他所に記載されるように、結合の簡便な検出および定量化を可能にする核酸識別子をさらに含む。
【0087】
pMHC多量体
ペプチドは、MHCの2つの一般的なクラスである、MHCクラスI(MHC-I)およびMHCクラスII(MHC-II)によってTCRに提示される。ヒトにおいて、MHCは、ヒト白血球抗原(HLA)とも呼ばれている。HLAをコードする遺伝子は異なる個体間で大きく変動し、異なるHLA遺伝子は、ペプチド結合および抗原提示に関して異なる特性をもつ可能性がある。ヒトには、HLA-A、HLA-B、およびHLA-Cとして公知の3つの主要なMHCクラスI遺伝子がある。これらの遺伝子から産生されるタンパク質は、ほとんどすべての細胞の表面に存在する。さらに、非従来型のクラスI遺伝子には、HLA-E、HLA-F、およびHLA-Gが含まれる。ヒトには6つの主要なMHCクラスII遺伝子:HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRA、およびHLA-DRB1がある。多くのMHC遺伝子には複数の対立遺伝子型があり、その各々が、βシートの上にある2つの逆平行αヘリックスによって生成される浅い抗原結合溝に複数のペプチドを提示することができる。MHC-Iによって提示されるペプチドは、閉じた溝の内側でN末端とC末端の両方が結合している拡張された立体構造で結合されることができ、そのサイズは制限される(例えば、8~10残基に)。MHC-IIによって提示されるペプチドも、拡張された立体構造で結合することができるが、溝が開いているため、より長くなる可能性がある(例えば、14~20残基)。
【0088】
pMHCを生成するために、サブユニットの発現のための構築物を生成することができる。例えば、MHC-I重鎖とベータ-2-ミクログロブリン(β2m)の発現のための構築物を生成することができる。重鎖の膜貫通ドメインは、精製を容易にするために遺伝的に削除し、ビオチン認識部位をC末端に追加することができる。重鎖、β2m、およびペプチドはそれぞれ発現され得る、例えば、大腸菌培養物において封入体として組換えによって発現されるか、または昆虫または哺乳動物細胞などの真核細胞において発現され得る。ビオチン認識部位は、例えば、BirA酵素を使用することによって、ビオチン化することができる。次に、重鎖、β2m、およびペプチドは、変性剤で処置され、pMHC単量体に再び折り畳まれ、サイズ排除クロマトグラフィーによって精製されることができる。ペプチドに正しく会合しないMHC分子は、不安定で、解離し、ミスフォールドされる可能性がある。同様の技法を用いて、ペプチド-MHC-II複合体(pMHC-II)を生成することができる。
【0089】
次に、MHC単量体を多量体化して、例えば、二量体、四量体、五量体、オクトマー(octomers)、ストレプタマー(streptamers)、またはデキストラマー(dextramers)、を形成することができる。二量体は、MHC分子の細胞外ドメインの遺伝子融合によって、例えば、第2のMHCに結合する免疫グロブリンスキャフォールドとの融合物として生成することができる。四量体は、例えば、ビオチン化されたC末端をもつMHC単量体に、ストレプトアビジンまたはアビジン「骨格」を付加することによって生成することができる。あるいは、ストレプトアビジンドメインは、MHC鎖へのC末端融合物として発現させて、四量体への自己組織化を促進することができる。MHC四量体およびオクトマー(octomers)も、MHC鎖のC末端の遊離システインに点変異を導入することによって生成することができ、これはヨードアセトアミドまたはマレイミド誘導体を含むビオチンを用いてアルキル化することができる。ストレプトアビジンコンジュゲートをオリゴマー化に使用することができる。1つのビオチンと2つのマレイミド部分を含む分岐ペプチド(DMGS)を使用することにより、この戦略はオクタマーのMHC複合体の調製を可能にする。MHC五量体は、自己組織化コイルドコイルドメインを介して5つのMHC単量体を複合体化することによって生成することができる。MHCデキストラマー(dextramers)は、複数のMHC複合体、例えば10個またはそれを超える複合体をデクスラン(dexran)ポリマー骨格に結合させることによって生成することができる。MHCストレプタマー(streptamers)は、MHC鎖のビオチン化C末端を、多量体化したstrep-TactinまたはStrep-tag骨格に結合することによって生成することができ、8~12個のMHC単量体を含む複合体となる。
【0090】
単鎖pMHC
MHC分子は、構築されたpMHCのサブユニットを含む単鎖ペプチド-MHCポリペプチド(sc-pMHC)として設計することができる。このようなsc-pMHCは、例えば、MHC結合溝へのペプチド抗原のローディングを平易にすることができる。また、このようなsc-pMHCは、例えば、結合溝を占める可能性のある他の汚染ペプチドと比較して、結合したペプチド抗原の効率的なローディングを促進することができる。sc-pMHC多量体は、抗原特異的T細胞への特異的かつ用量依存的な結合を示し得る(図12)。
【0091】
sc-pMHCは、MHC-Iに対応する抗原ペプチド、重鎖、および/またはベータ-2-ミクログロブリン(β2m)で構成され得る。MHC-Iのsc-pMHCは、抗原ペプチドと重鎖で構成され得る。MHC-Iのsc-pMHCは、抗原ペプチドとβ2mで構成され得る。MHC-Iのsc-pMHCは、抗原ペプチド、ベータ-2-ミクログロブリン(β2m)、および重鎖で構成され得る。一部の実施形態では、MHC-Iのsc-pMHCは、抗原ペプチドと、抗原ペプチドを重鎖に接続する柔軟なリンカーとを有する単一のポリペプチドで構成され得る。一部の実施形態では、MHC-Iのsc-pMHCは、β2mを抗原ペプチドまたは重鎖のいずれかに接続する別の柔軟なリンカーをさらに含むことができる。一部の実施形態では、MHC-Iのsc-pMHCは、抗原ペプチドと、抗原ペプチドをβ2mに接続する柔軟なリンカーとを有する単一のポリペプチドで構成され得る。一部の実施形態では、MHC-Iのsc-pMHCは、重鎖を抗原ペプチドまたはβ2mのいずれかに接続する別の柔軟なリンカーをさらに含むことができる。
【0092】
sc-pMHCは、MHC-IIに対応する抗原ペプチド、アルファ鎖および/またはベータ鎖を含み得る。MHC-IIのsc-pMHCは、抗原ペプチドとアルファ鎖で構成され得る。MHC-IIのsc-pMHCは、抗原ペプチドとベータ鎖で構成され得る。MHC-IIのsc-pMHCは、抗原ペプチド、アルファ鎖、およびベータ鎖で構成され得る。MHC-IIのsc-pMHCは、抗原ペプチドと、抗原ペプチドをベータ鎖に接続する柔軟なリンカーとを有する単一のポリペプチドで構成され得る。一部の実施形態では、MHC-IIのsc-pMHCは、アルファ鎖を抗原ペプチドまたはベータ鎖のいずれかに接続する別の柔軟なリンカーをさらに含むことができる。一部の実施形態では、MHC-IIのsc-pMHCは、抗原ペプチドと、抗原ペプチドをアルファ鎖に接続する柔軟なリンカーとを有する単一のポリペプチドで構成され得る。一部の実施形態では、MHC-IIのsc-pMHCは、ベータ鎖を抗原ペプチドまたはアルファ鎖のいずれかに接続する別の柔軟なリンカーをさらに含むことができる。
【0093】
sc-pMHCは、どのような順序でもよく、例えば、抗原ペプチドのN末端の多様性を高めるために単一のポリペプチドのC末端にペプチドがあってもよい。例えば、N末端の酵素的切断など、抗原性ペプチドがN末端にある場合、他の機構を採用して、N末端でさらに大きな多様性を生成してもよい。上記でMHC単量体について説明したように、sc-pMHC単量体は、例えば、二量体、四量体、五量体、オクトマー(octomers)、ストレプタマー(streptamers)、またはデキストラマー(dextramers)に多量体化することができる。
【0094】
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、複数のsc-pMHCを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、複数のsc-pMHCを含み、ここで、k-mer配列は、sc-pMHC抗原ペプチド部分内に局在している。
【0095】
ペプチド-MHC多量体またはpMHC多量体に特異的に結合する抗体を、蛍光標識と結合させて、例えば、フローサイトメトリーまたは顕微鏡を介して、ペプチド-MHC多量体に結合するT細胞を識別することができる。T細胞は、蛍光標識に基づいて、蛍光活性化セルソーティングによって選択することもできるただし、このアプローチの制限は、利用可能なさまざまな蛍光ラベルと検出器の数に関連しており、蛍光ベースの方法をハイスループット抗原ライブラリースクリーニングに使用するのには限界がある。
【0096】
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、他所で説明されているようにヌクレオチド識別子と結合したsc-pMHC多量体を含み、TCRへの抗原特異的結合の簡便な検出および定量化を可能にする。このようなライブラリーにより、例えば、所与抗原に特異的なT細胞の検出、所与サンプル中のT細胞の特異性の多重検出、特異性をもつTCR配列のマッチング(例えば、単一細胞シーケンシングを介する)、比較TCR親和性決定、所与TCRのコンセンサス特異性配列の決定、または目的の配列に対するT細胞の抗原応答性のマッピングが可能になる。
【0097】
リンカー
一部の実施形態では、本開示は、2つのポリペプチド配列またはドメインがリンカーによって結合されているポリペプチド配列を提供する。一部の実施形態では、本開示は、3つまたはそれを超えるポリペプチド配列またはドメインがリンカーによって結合されているポリペプチド配列を提供する。一部の実施形態では、本開示は、4つまたはそれを超えるポリペプチド配列またはドメインがリンカーによって結合されているポリペプチド配列を提供する。一部の実施形態では、本開示は、5つまたはそれを超えるポリペプチド配列またはドメインがリンカーによって結合されているポリペプチド配列を提供する。一部の実施形態では、本開示は、6つまたはそれを超えるポリペプチド配列またはドメインがリンカーによって結合されているポリペプチド配列を提供する。
【0098】
リンカーは、化学結合、例えば、1またはそれを超える共有結合または非共有結合であってよい。一部の実施形態では、リンカーは共有結合である。一部の実施形態では、リンカーは非共有結合である。一部の実施形態では、リンカーは、ペプチドリンカーである。そのようなリンカーは、2~30アミノ酸またはそれよりも長くてよい。一部の実施形態では、リンカーを使用して、例えば、ポリペプチド配列またはドメインを互いに離すことができる。一部の実施形態では、リンカーをドメイン間に配置して、例えば、二次構造および三次構造の分子の柔軟性を得ることができる。リンカーは、本明細書に記載される柔軟なリンカー、強固なリンカー、および/または切断可能なリンカーを含み得る。一部の実施形態では、リンカーには、柔軟性を提供するために、少なくとも1つのグリシン、アラニン、およびセリンアミノ酸が含まれる。一部の実施形態では、リンカーは、負に帯電したスルホン酸基、ポリエチレングリコール(PEG)基、またはピロリン酸ジエステル基などをはじめとする疎水性リンカーである。一部の実施形態では、リンカーは、ポリペプチド配列またはドメインを互いに選択的に解放するために切断可能であるが、早すぎる切断を防ぐよう十分に安定している。
【0099】
柔軟なペプチドリンカーは、主にGlyおよびSer残基のストレッチからなる配列を有し得る(「GS」リンカー)。柔軟なペプチドリンカーは、ある程度の動きまたは相互作用を必要とするドメインを結合するのに有用であり得、小さい、非極性(例えば、Gly)または極性(例えば、SerまたはThr)アミノ酸を含み得る。SerまたはThrの組み込みは、水分子と水素結合を形成することにより水溶液中のリンカーの安定性を促進することができ、それにより、リンカーとタンパク質部分との間の好ましくない相互作用を減少させることができる。柔軟なリンカーには、例えば、表1に記載される配列のいずれかの単一のコピーまたは反復が含まれ得る。
【表1】
【0100】
強固なリンカーは、ドメイン間に一定の距離を維持するのに有用であり得る。強固なリンカーは、ドメインの空間的分離が1またはそれを超える成分の安定性または生物活性を維持するために重要である場合にも有用であり得る。強固なリンカーは、αヘリックス構造またはPro-rich配列を有し得る。強固なリンカーは、例えば、配列(EAAAK)、A(EAAAK)A(XP)を含み得、nは任意の反復数(例えば、2~5)を表し、Xは任意のアミノ酸(例えば、Ala、Lys、またはGlu)を表す。
【0101】
切断可能なペプチドリンカーを使用して、ポリペプチド配列またはドメインの除去または解放を可能にすることができる。一部の実施形態では、リンカーは、還元試薬または酵素の存在などの特定の条件下で切断することができる。融合物のリンカーのインビボ切断はまた、特定の細胞または組織において、特定の条件下でインビボで発現するか、または特定の細胞コンパートメント内に拘束される、酵素またはプロテアーゼによって実施され得る。多くの酵素またはプロテアーゼの特異性は、拘束されたコンパートメントでのリンカーの切断をより遅くすることができる。例えば、切断可能なリンカーは、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)または別のプロテアーゼの切断配列を含むことができる。別の例には、2つのCys残基間のトロンビン感受性配列(例えば、PRS)が含まれる。CPRSCのインビトロでのトロンビン処置は、トロンビン感受性配列の切断をもたらすが、可逆的ジスルフィド結合は無傷のまま残っている。そのようなリンカーは公知であり、例えば、Chenら、2013.Fusion Protein Linkers:Property,Design and Functionality.Adv Drug Deliv Rev.65(10):1357-1369に記載されている。
【0102】
一部の実施形態では、リンカーは、ペプチド結合であり得る。例えば、ペプチド配列またはドメインのC末端は、ペプチド結合を介して別のペプチド配列またはドメインのN末端に融合させることができる。
【0103】
リンカーのさらなる例としては、負に帯電したスルホン酸基などの疎水性リンカー;ポリ(--CH2--)炭化水素鎖、例えばポリエチレングリコール(PEG)基、その不飽和変異体、そのヒドロキシル化変異体、そのアミド化変異体またはN含有変異体などの脂質;非炭素リンカー;炭水化物リンカー;ホスホジエステルリンカー、あるいは2またはそれを超えるポリペプチドを共有結合する能力のあるその他の分子が挙げられる。非共有結合リンカー、例えば、ビオチン-ストレプトアビジンリンカーも使用することができる。
【0104】
ペプチド識別子
本開示は、例えば、さまざまな治療および診断用スクリーニングで有用な高多様性ペプチドライブラリーを含む、ペプチドライブラリーを提供する。提供されるペプチドライブラリーは、例えば、疾患特異的または器官特異的なペプチドのスクリーニングに、治療用途をもつペプチドのスクリーニングに、診断用途をもつペプチドのスクリーニングに、腫瘍標的化ペプチドのスクリーニングに、抗体エピトープまたは抗原のスクリーニングに、T細胞エピトープまたは抗原のスクリーニングに、抗菌ペプチドのスクリーニングに、またはそれらの任意の組合せに使用することができる。
【0105】
ペプチドライブラリーを利用するアッセイは、個々のペプチドを検出および定量化するために必要な方法によって制限される可能性がある。核酸識別子を使用してライブラリー内の各ペプチドに一意の核酸配列をタグ付けすると、核酸ベースの方法、例えばPCR増幅またはDNAシーケンシングを使用して個々のペプチドの検出および定量化が可能になる。核酸識別子は、一意の核酸配列であり得る。一部の実施形態では、核酸識別子は、複数のペプチドが共通の実験条件でプールされている場合に、個々のペプチドの検出および定量化を可能にする。一部の実施形態では、核酸識別子は、ペプチドライブラリーのすべてのペプチドが共通の実験条件でプールされている場合に、個々のペプチドの検出および定量化を可能にする。一部の実施形態では、核酸識別子は、ある実験条件で核酸(例えば、DNA、mRNA、cDNA)にタグを付け、同じ実験条件に存在し、同じ核酸識別子を有するペプチドライブラリーのペプチドと照合するのに使用することができる。一部の実施形態では、核酸識別子は、ライブラリーの多様性の検証を可能にし、核酸識別子をDNAシーケンシングにかけ、観測された読み取りデータを予測されたライブラリー配列にマッピングして、ライブラリー内のペプチドの有無を識別する(図7)。一部の実施形態では、識別子はさらに、読み取りベースの定量化を正規化するために使用される。一部の実施形態では、識別子は、識別するペプチドをコードする核酸配列の全部または一部に対応する自己識別子である。一部の実施形態では、識別子は自己識別子ではない(例えば、識別子が識別するペプチドをコードする核酸配列を含んでいない)。
【0106】
識別子は、任意の核酸配列を有し得る。一部の実施形態では、識別子は、単鎖または二本鎖DNAポリヌクレオチドであり得る。一部の実施形態では、識別子は、RNAポリヌクレオチドであり得る。一部の実施形態では、識別子は、ハイブリッドDNAおよびRNAポリヌクレオチドであり得る。一部の実施形態では、識別子は、合成または化学的に修飾されたヌクレオチドまたはコンジュゲート(例えば、安定性を高めるため、またはペプチドへの結合を容易にするため)を含むことができる。
【0107】
核酸識別子は、共有結合または非共有結合によってペプチドに付加することができる。
【0108】
タンパク質またはペプチドは、インビトロ翻訳法によって識別子を付加して、タンパク質-mRNA複合体、タンパク質-mRNA-cDNA複合体、タンパク質-DNA複合体、タンパク質-cDNA複合体、タンパク質-リボソーム-mRNA複合体、またはタンパク質-リボソーム-mRNA-cDNA(PRMC)複合体を生成することができ、これらの複合体は、タンパク質のオープンリーディングフレーム(ORF)の5’末端に合成識別子を含むことができる。一部の実施形態では、mRNAディスプレイは、ピューロマイシンを含むmRNA鋳型、および精製された成分を含むインビトロ翻訳(IVT)系を使用して実行することができる。目的のタンパク質を有するmRNA-タンパク質複合体は、アフィニティタグ精製、例えばFLAGタグ精製によって濃縮することができる。一部の実施形態では、リボソームディスプレイは、停止コドンを欠くスペーサー配列を含むmRNA鋳型、および精製された成分を含むインビトロ翻訳(IVT)系を使用して実施することができる。目的のタンパク質を有するタンパク質-リボソーム-mRNA複合体は、アフィニティダグ精製、例えば、FLAGタグ精製によって濃縮することができる。一部の実施形態では、リボソームディスプレイは、鋳型としてのmRNA-cDNAハイブリッドと、精製された成分を含むインビトロ翻訳(IVT)系とを使用して実施することができる。目的のタンパク質を有するPRMC複合体は、アフィニティダグ精製、例えば、FLAGタグ精製によって濃縮することができる。一部の実施形態では、DNAディスプレイは、ビオチン化DNA鋳型と、精製された成分を含むインビトロ転写・翻訳系とを使用して実施することができる。タンパク質-DNA複合体は、ビオチン-ストレプトアビジン結合を介して形成することができ、タンパク質-DNA複合体は、アフィニティダグ精製、例えば、FLAGタグ精製によって濃縮することができる。一部の実施形態では、mRNAは、インビトロ転写・翻訳系の一部としてDNAから合成される。一部の実施形態では、cDNAは、ペプチドとmRNAを含む複合体の精製の前または後に、mRNAから逆転写される。
【0109】
識別子は、タンパク質またはペプチドに酵素的に付加することができる。例えば、HaloTag酵素配列を含む融合タンパク質を生成し、その酵素活性によって、融合タンパク質をHaloTagリガンド修飾二本鎖DNAに共有結合させることができる。
【0110】
識別子は、非共有相互作用を使用してタンパク質またはペプチドに付加することができる。例えば、ビオチン化ポリヌクレオチド識別子は、ペプチドと会合したアビジンまたはストレプトアビジンに結合することができる。アビジンまたはストレプトアビジンは、ペプチド配列の一部であってもよいし、他の方法、例えば、タンパク質多量体の構築に使用されるストレプトアビジン骨格でペプチド配列と会合していてもよい。
【0111】
一部の実施形態では、ライブラリー内のそれぞれの一意のペプチドに対して、一意の識別子が使用され得る。一部の実施形態では、識別子は、ペプチドライブラリー内の2またはそれを超えるペプチド間で共有され得る(例えば、これらのペプチドが同じ配列を含む場合など)。一部の実施形態では、識別子は、ライブラリーの複数またはすべてのペプチド間で共有される配列、およびライブラリー内のペプチドに固有の配列を含むことができる。一部の実施形態では、識別子は、ライブラリーの複数またはすべてのペプチド間で共有される1またはそれを超える配列、およびライブラリー内のペプチドに固有の1またはそれを超える他の配列部分を含むことができる。一部の実施形態では、識別子間で共有される配列は、識別子の増幅(例えば、適したプライマーを用いるPCR増幅)に使用することができる。一部の実施形態では、1つの識別子に固有であるか、または識別子のサブセット間で共有される配列は、qPCRを介した検出または定量化に使用することができる(例えば、TaqManプローブなどの加水分解プローブの配列)。一部の実施形態では、1つの識別子に固有であるか、または識別子のサブセット間で共有される配列は、シーケンシングを介した検出または定量化に使用することができる。
【0112】
一部の実施形態では、核酸識別子は、アミノ酸をコードする配列を含み得る。一部の実施形態では、2またはそれを超える核酸識別子は、同じアミノ酸をコードする異なる配列を含み得る(例えば、異なるコドンを使用する)。一部の実施形態では、核酸識別子に異なるコドンを利用することにより、さらなる情報を識別子に保存することができる。
【0113】
一部の実施形態では、識別子は、インシリコで生成された一意の配列を含むことができる。各識別子配列は、ライブラリー内の一意の配列を含むそのペプチドに割り当てることができ、識別子-ペプチドの割り当てはデータベースに保存することができる。一部の実施形態では、識別子は、それが識別するペプチドの全部または一部をコードするヌクレオチド配列を含み得る。一部の実施形態では、識別子は、オープンリーディングフレームをコードするヌクレオチド配列を含み得る。一部の実施形態では、識別子は、プロモーター配列を含むヌクレオチド配列を含み得る。一部の実施形態では、識別子は、DNA結合タンパク質、例えば、転写因子またはポリメラーゼ酵素の結合部位を含むヌクレオチド配列を含み得る。一部の実施形態では、識別子は、ヌクレアーゼ、例えば、制限酵素によって標的化される1またはそれを超える配列を含み得る。いくつかの実施形態では、識別子は、配列のインビトロ転写および翻訳に必要な少なくとも1つの配列要素を含むことができる。
【0114】
一部の実施形態では、識別子は、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子またはそのフラグメントをコードするヌクレオチド配列を含み得る。一部の実施形態では、識別子は、単鎖ペプチド-MHCポリペプチド(sc-pMHC)またはそのフラグメントをコードするヌクレオチド配列を含み得る。一部の実施形態では、識別子は、sc-pMHCの抗原ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み得る。
【0115】
一部の実施形態では、識別子は、タンパク質-mRNA複合体の一部であり得る。一部の実施形態では、識別子は、ピューロマイシン結合を含むタンパク質-mRNA複合体の一部であり得る。一部の実施形態では、識別子は、タンパク質-mRNA-cDNA複合体の一部であり得る。一部の実施形態では、識別子は、タンパク質-DNA複合体の一部であり得る。一部の実施形態では、識別子は、ビオチン-ストレプトアビジン結合を含むタンパク質-DNA複合体の一部であり得る。一部の実施形態では、識別子は、タンパク質-cDNA複合体の一部であり得る。一部の実施形態では、識別子は、タンパク質-リボソーム-mRNA複合体の一部であり得る。一部の実施形態では、識別子は、タンパク質-リボソーム-mRNA複合体の一部であり、ここで、mRNAは、停止コドンを欠くスペーサー配列を含む。一部の実施形態では、識別子は、mRNA-cDNAのハイブリッドの一部であり得る。一部の実施形態では、識別子は、PRMC複合体の一部であり得る。
【0116】
一部の実施形態では、識別子は、HaloTagリガンド、例えば、ビオチンまたは蛍光色素などの官能基に結合したクロロアルカンリンカーを含み得る。
【0117】
一部の実施形態では、識別子は、ビオチン化ヌクレオチド配列を含み得る。一部の実施形態では、識別子は、1つまたは複数のビオチン化プライマーを用いるPCR増幅によってビオチン化され得る。一部の実施形態では、識別子は、クレノウDNAポリメラーゼ酵素、ニックトランスレーション、またはT7、T3、およびSP6 RNAポリメラーゼを含む混合プライマー標識RNAポリメラーゼを使用して、ビオチン化標識、例えばビオチンdUTP標識を酵素的に組み込むことによってビオチン化され得る。一部の実施形態では、識別子は、光ビオチン化によってビオチン化することができる(例えば、光活性化可能なビオチンをサンプルに追加し、サンプルにUV光を照射することができる)。
【0118】
一部の実施形態では、識別子は、例えば、鋳型DNAのPCR増幅を介して、鋳型ポリヌクレオチドから生成することができる。一部の実施形態では、識別子は、例えば、化学合成、固相DNA合成、カラムベースのオリゴヌクレオチド合成、マイクロアレイベースのオリゴヌクレオチド合成、または他の合成方法を介して、新たに生成することができる。一部の実施形態では、鋳型ポリヌクレオチは、オープンリーディングフレームをコードするヌクレオチド配列を含み得る。一部の実施形態では、鋳型ポリヌクレオチドは、プロモーター配列を含むヌクレオチド配列を含み得る。一部の実施形態では、鋳型ポリヌクレオチドは、DNA結合タンパク質、例えば、転写因子またはポリメラーゼ酵素の結合部位を含むヌクレオチド配列を含み得る。一部の実施形態では、鋳型ポリヌクレオチドは、ヌクレアーゼ、例えば、制限酵素によって標的化される1またはそれを超える配列を含み得る。いくつかの実施形態では、鋳型ポリヌクレオチドは、配列のインビトロ転写および翻訳に必要なすべての配列要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、鋳型ポリヌクレオチドは、配列のインビトロ転写および翻訳に必要なすべての配列要素を含まない。一部の実施形態では、2またはそれを超える核酸識別子をコードする鋳型ポリヌクレオチドは、同じアミノ酸をコードする異なる配列を含み得る(例えば、異なるコドンを使用する)。一部の実施形態では、鋳型ポリヌクレオチドのコドン利用の違いは、ライブラリー内のペプチドのクラスまたはサブクラスを識別するために使用することができる。一部の実施形態では、核酸識別子に異なるコドンを利用することにより、さらなる情報を鋳型ポリヌクレオチドに保存することができる。
【0119】
本開示の識別子は、任意の長さであり得る。一部の実施形態では、識別子は、約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、またはそれを超えるヌクレオチド長であり得る。
【0120】
一部の実施形態では、識別子は、少なくとも約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480または500よりも長いヌクレオチド長であり得る。
【0121】
一部の実施形態では、識別子は、最大で約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、またはそれを超えるヌクレオチド長であり得る。
【0122】
一部の実施形態では、識別子は、長さが約4~500ヌクレオチドの範囲であり得る。一部の実施形態では、識別子は、長さが約25~500ヌクレオチドの範囲であり得る。一部の実施形態では、識別子は、長さが約27~300ヌクレオチドの範囲であり得る。一部の実施形態では、識別子は、長さが約27~120ヌクレオチドの範囲であり得る。一部の実施形態では、識別子は、長さが約50~120ヌクレオチドの範囲であり得る。一部の実施形態では、識別子は、長さが約80~120ヌクレオチドの範囲であり得る。一部の実施形態では、識別子は、長さが約40~50ヌクレオチドの範囲であり得る。一部の実施形態では、識別子は、長さが約5~15ヌクレオチドの範囲であり得る。一部の実施形態では、識別子は、長さが約6~10ヌクレオチドの範囲であり得る。
【0123】
合成方法
ペプチドライブラリーのペプチドは、ティーバッグ合成、デジタルフォトリソグラフィー、ピン合成、およびSPOT合成などの化学的方法を介して合成することができる。例えば、一連のペプチドは、アミノ酸の追加と側鎖保護基の切断を繰り返すサイクルによって、セルロース膜上にアミノ酸鎖が構築される、SPOT合成を介して生成することができる。
【0124】
ファージディスプレイ、細菌ディスプレイ、または酵母ディスプレイなどの生物学的ペプチドライブラリーは、単離された分子ではなく融合ペプチドを必要とする。生物学的ペプチドライブラリーは、多様性の制限および冗長性を受ける可能性がある。ファージまたは細菌成分の存在は、交絡効果、例えば、目的のペプチドではなく細菌成分へのアッセイ成分の結合、または細胞を含むアッセイでは、自然免疫機構を介した免疫の活性化につながる可能性がある。
【0125】
ペプチドは、組換えDNA技術を使用して発現させることができ、例えば、発現構築物を細菌細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞に導入して、細胞抽出物から組換えタンパク質を精製することができる。しかし、この方法で作製された組換えタンパク質は、可溶性の凝集体として不溶性に発現することが多く、タンパク質分解されることもあり、細胞抽出物で検出されないこともあり得る。
【0126】
ペプチドはインビトロでの転写および翻訳によって合成することができ、ここでの合成は、例えば、核酸鋳型、関連する構成要素(例えば、RNA、アミノ酸)、酵素(例えば、RNAポリメラーゼ、リボソーム)、および条件を提供することにより、無細胞の状況で転写および翻訳の生物学的原理を利用する。インビトロでの転写および翻訳には、無細胞タンパク質合成(CFPS)が含まれ得る。ペプチドは、例えばDNA構築物をRNAに転写することも、次にそのRNAをタンパク質に翻訳することもできるIVTT系を使用して合成することができる。一部の実施形態では、DNAまたはRNA構築物は、ピューロマイシンを含む。一部の実施形態では、DNAまたはRNA構築物は、停止コドンを欠くスペーサー配列を含む。
【0127】
一部の実施形態では、本開示の核酸は、例えば、化学合成、固相DNA合成、カラムベースのオリゴヌクレオチド合成、マイクロアレイベースのオリゴヌクレオチド合成、または他の合成方法を介して、新たに生成することができる。一部の実施形態では、本開示の核酸は、例えば、鋳型DNAのPCR増幅を介して、鋳型ポリヌクレオチドから生成することができる。
【0128】
ペプチドのN末端のメチオニン残基および切断可能な部分をコードするヌクレオチド配列は、DNA構築物またはRNA構築物にコードされ得る。切断可能な部分は、ペプチドの少なくとも1つのN末端アミノ酸残基が切断可能な部分の前または中にあるように位置している。一部の実施形態では、本方法は、ペプチドの1つのN末端アミノ酸残基が切断可能な部分の前または中にあるように位置している切断可能な部分をコードすることを含む。一部の実施形態では、この1つのN末端アミノ酸残基は、メチオニン残基である。切断可能な部分は、切断可能な部分に特異的であり、切断可能な部分をペプチドの残部から切断することもできる酵素、例えば、プロテアーゼを使用して切断することができる。
【0129】
本明細書に記載されるDNAまたはRNA構築物にコードされ得る切断可能な部分の例には、酵素によって切断される任意の切断可能な部分が含まれる。一部の実施形態では、切断可能な部分は、プロテアーゼによって切断され得る。切断部分は、切断部分に特異的な酵素を使用してペプチドから切断され得る。酵素は、例えば、Factor Xa、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ、AcTEV(商標)Protease、WELQut Protease、Genenase(商標)、低分子ユビキチン様修飾因子(SUMO)タンパク質、Ulp1 プロテアーゼ、またはエンテロキナーゼであり得る。Ulp1プロテアーゼは、アミノ酸配列ではなく、三次構造を認識することにより、特異的な方法で切断部分を切断することができる。エンテロキナーゼ(エンテロペプチダーゼ)も、候補ペプチドから切断部分を切断するために使用することができる。エンテロキナーゼは、次の切断部位でリジンの後に切断することができる:Asp-Asp-Asp-Asp-Lys(配列番号7)。エンテロキナーゼは、タンパク質の基質の配列および立体構造に応じて、他の塩基性残基で切断することもできる。
【0130】
ペプチドをコードする構築物の翻訳後、N末端アミノ酸残基を切断して、多様性の高いペプチドライブラリー用のペプチドを生成することができる。一部の実施形態では、少なくとも1つのN末端アミノ酸残基が切断されて、ペプチドが生成される。一部の実施形態では、1またはそれを超えるN末端アミノ酸が切断され、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、140、150、160、170、180、190、200、250またはそれを超えるN末端アミノ酸残基が切断されてペプチドが生成される。N末端アミノ酸は、任意のアミノ酸残基であってよい。N末端のアミノ酸残基は、メチオニンアミノ酸残基であってよい。
【0131】
ペプチドライブラリーの作製方法および使用方法
本明細書に記載されるペプチドライブラリーは、様々なアッセイで使用することができる。
【0132】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるペプチドライブラリーは、細胞-ペプチドペアを単離するために使用することができる。一部の実施形態では、細胞-ペプチドペアを単離するための方法は、複数の細胞をペプチドライブラリーに接触させるステップであって、該ペプチドライブラリーが、10を超える、100を超える、500を超える、1000を超える、2,000を超える、5,000を超える、10,000を超える、10を超える、10を超える、10を超える、10を超える、または1010を超える一意のペプチドという多様性を有するステップ;および、複数のコンパートメントを生成するステップであって、複数のコンパートメントの中の1つのコンパートメントが、ペプチドライブラリーの1つのペプチドに結合した複数の細胞のうちの1つの細胞を含み、それにより細胞-ペプチドペアをコンパートメント内に単離するステップを含む。一部の実施形態では、ペプチドライブラリーは、新規標的の発見後に細胞-ペプチドペアを単離するためのペプチドライブラリーの評価に使用される。細胞-ペプチドペアは、受容体-リガンドペアであり得る。細胞-ペプチドペアは、TCR-抗原ペアであり得る。細胞-ペプチドペアは、BCR-抗原ペアであり得る。一部の実施形態では、細胞は、受容体を発現するようにトランスフェクトまたは形質導入され得る。一部の実施形態では、細胞は、TCRを発現するようにトランスフェクトまたは形質導入され得る。一部の実施形態では、細胞は、BCRを発現するようにトランスフェクトまたは形質導入され得る。一部の実施形態では、非リンパ球細胞は、TCRを発現するようにトランスフェクトまたは形質導入され得る。一部の実施形態では、非リンパ球細胞は、BCRを発現するようにトランスフェクトまたは形質導入され得る。一部の実施形態では、複数のペプチドのうちの1つのペプチドは、本明細書に記載されるような識別子を含む。コンパートメントは、別個の空間、例えば、ウェル、プレート、分割された境界、位相シフト、容器、小胞、細胞などであり得る。
【0133】
本明細書に記載される方法および組成物は、細胞-ペプチドペアを識別するために使用することができる。一部の実施形態では、細胞-ペプチドペアを識別する方法は、複数の細胞をペプチドのライブラリーに接触させるステップであって、ペプチドのライブラリーが10を超える、100を超える、500を超える、1000を超える、2,000を超える、5,000を超える、10,000を超える、10を超える、10を超える、10を超える、10を超える、または1010を超える一意のペプチドの多様性を有するステップ;ペプチドのライブラリーの1つのペプチドに結合した複数の細胞の1つの細胞を単一のコンパートメントに区画化するステップであって、ペプチドが一意のペプチド識別子を含むステップ;および、区画化された細胞に結合した各ペプチドの一意のペプチド識別子を決定するステップを含む。一部の実施形態では、ペプチドライブラリーは、新規標的の発見後に細胞-ペプチドペアを識別するためのペプチドライブラリーの評価に使用される。細胞-ペプチドペアは、受容体-リガンドペアであり得る。細胞-ペプチドペアは、TCR-抗原ペアであり得る。細胞-ペプチドペアは、BCR-抗原ペアであり得る。一部の実施形態では、細胞は、受容体を発現するようにトランスフェクトまたは形質導入され得る。一部の実施形態では、細胞は、TCRを発現するようにトランスフェクトまたは形質導入され得る。一部の実施形態では、細胞は、BCRを発現するようにトランスフェクトまたは形質導入され得る。一部の実施形態では、非リンパ球細胞は、TCRを発現するようにトランスフェクトまたは形質導入され得る。一部の実施形態では、非リンパ球細胞は、BCRを発現するようにトランスフェクトまたは形質導入され得る。一部の実施形態では、ペプチドライブラリーは、抗原ライブラリーである。複数のペプチドは、複数の抗原であり得る。複数のペプチドは、本明細書に記載される複数のpMHC多量体であり得る。複数のペプチドは、本明細書に記載される複数のsc-pMHCであり得る。一部の実施形態では、複数のペプチドのうちの1つのペプチドは、本明細書に記載されるような識別子を含む。
【0134】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるペプチドライブラリーは、リンパ球-ペプチドペアを単離するために使用することができる。一部の実施形態では、リンパ球-ペプチドペアを単離するための方法は、複数のリンパ球をペプチドライブラリーに接触させるステップであって、該ペプチドライブラリーが、10を超える、100を超える、500を超える、1000を超える、2,000を超える、5,000を超える、10,000を超える、10を超える、10を超える、10を超える、10を超える、または1010を超える一意のペプチドという多様性を有するステップ;および、複数のコンパートメントを生成するステップであって、複数のコンパートメントの中の1つのコンパートメントが、ペプチドライブラリーの1つのペプチドに結合した複数のリンパ球のうちの1つのリンパ球を含み、それによりリンパ球-ペプチドペアをコンパートメント内に単離するステップを含む。一部の実施形態では、ペプチドライブラリーは、新規標的の発見後にリンパ球-ペプチドペアを単離するためのペプチドライブラリーの評価に使用される。リンパ球は、T細胞、B細胞、またはNK細胞であり得る。一部の実施形態では、ペプチドライブラリーは、抗原ライブラリーである。複数のペプチドは、複数の抗原であり得る。複数のペプチドは、本明細書に記載される複数のpMHC多量体であり得る。複数のペプチドは、本明細書に記載される複数のsc-pMHCであり得る。リンパ球-ペプチドペアは、TCR-抗原ペアであり得る。リンパ球-ペプチドペアは、BCR-抗原ペアであり得る。一部の実施形態では、複数のペプチドのうちの1つのペプチドは、本明細書に記載されるような識別子を含む。コンパートメントは、別個の空間、例えば、ウェル、プレート、分割された境界、位相シフト、容器、小胞、細胞などであり得る。
【0135】
本明細書に記載される方法および組成物は、リンパ球-ペプチドペアを識別するために使用することができる。一部の実施形態では、リンパ球-ペプチドペアを識別する方法は、複数のリンパ球をペプチドのライブラリーに接触させるステップであって、ペプチドのライブラリーが10を超える、100を超える、500を超える、1000を超える、2,000を超える、5,000を超える、10,000を超える、10を超える、10を超える、10を超える、10を超える、または1010を超える一意のペプチドの多様性を有するステップ;ペプチドのライブラリーの1つのペプチドに結合した複数のリンパ球の1つのリンパ球を単一のコンパートメントに区画化するステップであって、ペプチドが一意のペプチド識別子を含むステップ;および、区画化されたリンパ球に結合した各ペプチドの一意のペプチド識別子を決定するステップを含む。一部の実施形態では、ペプチドライブラリーは、新規標的の発見後にリンパ球-ペプチドペアを識別するためのペプチドライブラリーの評価に使用される。リンパ球は、T細胞、B細胞、またはNK細胞であり得る。一部の実施形態では、ペプチドライブラリーは、抗原ライブラリーである。複数のペプチドは、複数の抗原であり得る。複数のペプチドは、本明細書に記載される複数のpMHC多量体であり得る。複数のペプチドは、本明細書に記載される複数のsc-pMHCであり得る。一部の実施形態では、複数のペプチドのうちの1つのペプチドは、本明細書に記載されるような識別子を含む。リンパ球-ペプチドペアは、TCR-抗原ペアであり得る。リンパ球-ペプチドペアは、BCR-抗原ペアであり得る。
【0136】
一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、1つの受容体、免疫受容体、TCR、BCR、または抗体に結合する複数のペプチド、リガンド、アゴニスト、アンタゴニスト、抗原、またはエピトープを識別するために使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、1つのペプチドに結合する複数の受容体、免疫受容体、TCR、BCR、または抗体を識別するために使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、複数のペプチド、リガンド、アゴニスト、アンタゴニスト、抗原、またはエピトープに結合する複数の受容体、免疫受容体、TCR、BCR、または抗体(例えば、病原体ライブラリー(図8)、癌ライブラリー、または自己免疫ライブラリーの複数の抗原に結合する複数のTCR)を識別するために使用され得る。
【0137】
一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、受容体-リガンド特異性を識別するために使用される。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、受容体-アゴニスト特異性を識別するために使用される。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、受容体-アンタゴニスト特異性を識別するために使用される。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、免疫受容体-抗原特異性(例えば、TCR-抗原特異性、BCR-抗原-特異性)を識別するために使用される。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、抗体-抗原-特異性を識別するために使用される。
【0138】
一部の実施形態では、本開示の受容体、免疫受容体、TCR、BCR、または抗体の同一性は、シーケンシング(例えば、TCR、BCR、または抗体の可変領域、超可変領域または相補性決定領域(CDR)のシーケンシング)によって決定される。一部の実施形態では、CDR1、CDR2、またはCDR3配列は、TCRα鎖、TCRβ鎖、TCRγ鎖、TCRδ鎖、抗体重鎖、または抗体軽鎖について識別される。
【0139】
一部の実施形態では、ペプチド、リガンド、アゴニスト、アンタゴニスト、抗原、またはエピトープの同一性は、シーケンシングによって(例えば、本明細書にされる識別子を使用して)決定される。
【0140】
一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、TCRに結合するペプチド、抗原、またはエピトープを識別するために使用される。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、識別されたペプチド、抗原、またはエピトープの変異がTCR結合にどのように影響するかを決定するために使用される(図10)。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、TCR結合親和性の増強または低下をもたらす、識別されたペプチド、抗原、またはエピトープの変異を識別するために使用される。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、TCR結合親和性を保持する、識別されたペプチド、抗原、またはエピトープの変異を識別するために使用される。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、TCR結合親和性の喪失をもたらす、識別されたペプチド、抗原、またはエピトープの変異を識別するために使用される。
【0141】
一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、本明細書に記載される方法を使用して識別された受容体、免疫受容体、TCR、BCR、または抗体の変異が、ペプチド、リガンド、アゴニスト、アンタゴニスト、抗原、またはエピトープの結合をどのように変化させるかを決定するために使用される。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、ペプチド、リガンド、アゴニスト、アンタゴニスト、抗原、またはエピトープに対する結合親和性の低下または増加をもたらす、識別された受容体、免疫受容体、TCR、BCR、または抗体の変異を識別するために使用される。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、ペプチド、リガンド、アゴニスト、アンタゴニスト、抗原、またはエピトープの結合を保持する、識別された受容体、免疫受容体、TCR、BCR、または抗体の変異を識別するために使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、ペプチド、リガンド、アゴニスト、アンタゴニスト、抗原、またはエピトープの結合の喪失をもたらす、識別された受容体、免疫受容体、TCR、BCR、または抗体の変異を識別するために使用され得る。
【0142】
一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、ペプチドライブラリーの所与ペプチド、抗原、またはエピトープに結合する多様なTCRの集団の中からTCRを識別するために使用され得る。次に、識別されたTCRを、異なる被験者由来のサンプルまたは同じ被験者由来の異なるサンプル(例えば、異なる組織由来のサンプル)から識別されたTCRと比較することができる。
【0143】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、複数の被験者由来のT細胞に実施される。一部の実施形態では、複数の被験者由来のデータの分析により、複数の被験者によって認識される抗原の識別が可能になる。一部の実施形態では、複数の被験者由来のデータの分析により、複数のTCRクローン型によって認識される抗原の識別が可能になる。一部の実施形態では、複数の被験者由来のデータの分析により、複数の患者、例えば、複数の癌患者、自己免疫症状を有する複数の患者、または病原体に対する防御免疫を有する複数の患者によって認識される抗原の識別が可能になる。一部の実施形態では、複数の被験者由来のデータの分析により、異なるHLA型または対立遺伝子を含む被験者で認識される抗原の識別が可能になる。一部の実施形態では、複数の被験者由来のデータの分析により、収束性の抗原結合を示す別個の超可変または相補性決定領域配列の識別が可能になる。
【0144】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、複数のライブラリーを使用して実施される。一部の実施形態では、複数のライブラリーからのデータの分析により、ライブラリー間で共有される反応性抗原、例えば、病原体の複数の株、複数の癌の種類、複数の癌患者、複数の自己免疫疾患、または複数の自己免疫症状に存在するTCR親和性を示す抗原の識別が可能になる。一部の実施形態では、複数のライブラリからのデータの分析により、ライブラリー間で異なる反応性抗原、例えば、病原体株、癌、症状、または患者のサブセットに存在する抗原の識別が可能になる。
【0145】
一部の実施形態では、本開示のペプチドライブラリーで調べた細胞を、遺伝子発現解析(例えば、RNA-seq、qPCR)にかける。一部の実施形態では、遺伝子発現解析は、本開示のライブラリーのペプチドに対して特異性を示す受容体を有すると識別された細胞に対して行われる(図11)。例えば、病原体ライブラリー、癌ライブラリー、または自己免疫ライブラリーの抗原に結合するTCRを発現することが決定された細胞が、遺伝子発現解析にかけられる。遺伝子発現解析は全体的であっても標的化されていてもよい。発現解析される遺伝子としては、限定されるものではないが、既知の機能を持つ遺伝子、免疫エフェクター分子(例えば、パーフォリン、グランザイム、サイトカイン、ケモカイン)、免疫チェックポイント分子、炎症促進性分子、抗炎症性分子、系列マーカー、インテグリン、セレクチン、リンパ球記憶マーカー、死受容体、カスパーゼ、細胞周期チェックポイント分子、酵素、ホスファターゼ、キナーゼ、リパーゼをコードする遺伝子、および代謝遺伝子が含まれる。一部の実施形態では、遺伝子発現解析は、ペプチドライブラリースクリーニングと同時に行われ得る。一部の実施形態では、遺伝子発現解析は、ペプチドライブラリースクリーニング結果の解析後に行われ得る。一部の実施形態では、遺伝子発現解析は、ペプチドライブラリースクリーニング結果の解析前に行われ得る。遺伝子発現解析により、本明細書に記載される方法を使用して生成されたペプチド-受容体のペアリングから目的のものと識別された細胞の免疫タイピングが可能になる。
【0146】
一部の実施形態では、ペプチドライブラリーは、機能的特性についてスクリーニングされ得る。例えば、複数のペプチドを含むペプチドライブラリーであって、該複数のペプチドが、10を超える、100を超える、500を超える、1,000を超える、2,000を超える、5,000を超える、10,000を超える、10を超える、10を超える、10を超える、10を超える、または1010を超える一意のペプチドを含むペプチドライブラリーを、機能的アッセイでスクリーニングすることができる。一部の実施形態では、ペプチドライブラリーは、最初の機能スクリーニング後の機能特性または追加の機能特性に関するペプチドライブラリー評価に使用される。例えば、ペプチドライブラリーをサンプルに接触させた後、機能特性の誘導について試験することができる。ペプチドライブラリーのサブセットは、機能特性を誘導するペプチドの能力に基づいて決定され得る。サンプルは、生体サンプルであり得る。サンプルは、細胞サンプルであり得る。サンプルは、T細胞サンプルであり得る。サンプルは、被験者由来であり得る。被験者は、哺乳動物であり得る。被験者は、ヒトであり得る。
【0147】
本明細書に記載される方法および組成物は、スクリーニングアッセイに使用することができる。例えば、ペプチドライブラリーは、T細胞サンプルと接触する、本明細書に記載の複数のpMHC多量体を含み得る。一部の実施形態では、ペプチドライブラリーは、T細胞サンプルと接触する、本明細書に記載の複数のsc-pMHCを含み得る。接触後、T細胞の増殖、T細胞の細胞毒性、T細胞の抑制、T細胞による抑制、またはT細胞のサイトカイン産生をペプチドライブラリーのpMHC多量体またはsc-pMHCについて求めることができる(図13)。次に、機能特性を誘導することができるpMHC多量体またはsc-pMHCを、ペプチドライブラリーサブセットにすることができる。例えば、ペプチドライブラリーサブセットは、TCRと結合するとT細胞の増殖を誘導するpMHC多量体またはsc-pMHC、TCRと結合すると細胞毒性を誘導するpMHC多量体またはsc-pMHC、TCRと結合するとT細胞抑制を誘導するpMHC多量体またはsc-pMHC、TCRと結合するとT細胞による抑制を誘導するpMHC多量体またはsc-pMHC、TCRと結合するとT細胞のサイトカイン産生を誘導するpMHC多量体またはsc-pMHC、またはそれらの任意の組合せを含み得る。増殖は、例えば、色素希釈アッセイ(例えば、CFSE希釈アッセイ)、またはDNA複製の定量化(例えば、BrdU取り込みアッセイ)によって求めることができる。細胞毒性は、例えば、死細胞による細胞内酵素(例えば、乳酸デヒドロゲナーゼ)の放出に基づくアッセイ、色素排除アッセイ(例えば、ヨウ化プロピジウム)、またはフローサイトメトリーまたはqPCRによる細胞溶解マーカー(例えば、グランザイム、CD107a)の発現によって求めることができる。サイトカイン産生は、例えば、ELISA、マルチプレックスイムノアッセイ、細胞内サイトカイン染色、ELISPOT、ウエスタンブロット、またはqPCRによって求めることができる。T細胞抑制は、例えば、T細胞クローンをエフェクター細胞および標的抗原と共培養し、増殖、細胞毒性、サイトカイン産生、活性化マーカーの発現などを測定することによって求めることができる。
【0148】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるペプチドライブラリーは、受容体-ペプチドペアを単離するために使用することができる。一部の実施形態では、受容体-ペプチドペアを単離するための方法は、複数の受容体をペプチドライブラリーに接触させるステップであって、該ペプチドライブラリーが、10を超える、100を超える、500を超える、1000を超える、2,000を超える、5,000を超える、10,000を超える、10を超える、10を超える、10を超える、10を超える、または1010を超える一意のペプチドという多様性を有するステップと;複数のコンパートメントを生成するステップであって、複数のコンパートメントの中の1つのコンパートメントが、ペプチドライブラリーの1つのペプチドに結合した複数の受容体のうちの1つの受容体を含み、それにより受容体-ペプチドペアをコンパートメント内に単離するステップとを含む。複数の受容体のうちの1つの受容体は、例えば、いくつか例を挙げると、TCR、BCR、受容体型チロシンキナーゼ(kinas)(RTK)、Gタンパク質共役受容体(GPCR)、リガンド依存性イオンチャネル、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体、または増殖因子受容体であり得る。一部の実施形態では、受容体は可溶性であり得る。一部の実施形態では、受容体は表面に結合することができる。一部の実施形態では、ペプチドライブラリーは、抗原ライブラリーである。複数のペプチドは、複数の抗原であり得る。複数のペプチドは、本明細書に記載される複数のpMHC多量体であり得る。複数のペプチドは、本明細書に記載される複数のsc-pMHCであり得る。受容体-ペプチドペアは、TCR-抗原ペアであり得る。受容体-ペプチドペアは、BCR-抗原ペアであり得る。一部の実施形態では、複数のペプチドのうちの1つのペプチドは、本明細書に記載されるような識別子を含む。コンパートメントは、別個の空間、例えば、ウェル、プレート、分割された境界、位相シフト、容器、小胞、細胞などであり得る。
【0149】
本明細書に記載される方法および組成物は、受容体-ペプチドペアを識別するために使用することができる。一部の実施形態では、受容体-ペプチドペアを識別する方法は、複数の受容体をペプチドのライブラリーに接触させるステップであって、ペプチドのライブラリーが10を超える、100を超える、500を超える、1000を超える、2,000を超える、5,000を超える、10,000を超える、10を超える、10を超える、10を超える、10を超える、または1010を超える一意のペプチドの多様性を有するステップと;ペプチドのライブラリーの1つのペプチドに結合した複数の受容体の1つの受容体を単一のコンパートメントに区画化するステップであって、ペプチドが一意のペプチド識別子を含むステップと;区画化された受容体に結合した各ペプチドの一意のペプチド識別子を決定するステップとを含む。複数の受容体のうちの1つの受容体は、例えば、いくつか例を挙げると、TCR、BCR、受容体型チロシンキナーゼ(kinas)(RTK)、Gタンパク質共役受容体(GPCR)、リガンド依存性イオンチャネル、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体、または増殖因子受容体であり得る。一部の実施形態では、受容体は可溶性であり得る。一部の実施形態では、受容体は表面に結合することができる。一部の実施形態では、ペプチドライブラリーは、抗原ライブラリーである。複数のペプチドは、複数の抗原であり得る。複数のペプチドは、本明細書に記載される複数のpMHC多量体であり得る。複数のペプチドは、本明細書に記載される複数のsc-pMHCであり得る。一部の実施形態では、複数のペプチドのうちの1つのペプチドは、本明細書に記載されるような識別子を含む。受容体-ペプチドペアは、TCR-抗原ペアであり得る。受容体-ペプチドペアは、BCR-抗原ペアであり得る。
【0150】
本開示は、例えば、ペプチドと細胞、ペプチドと受容体、ペプチドと免疫受容体、ペプチドとTCR、ペプチドとBCR、ペプチドと抗体、リガンドと細胞、リガンドと受容体、リガンドと免疫受容体、リガンドとTCR、リガンドとBCR、リガンドと抗体、アゴニストと細胞、アゴニストと受容体、アゴニストと免疫受容体、アゴニストとTCR、アゴニストとBCR、アゴニストと抗体、アンタゴニストと細胞、アンタゴニストと受容体、アンタゴニストと免疫受容体、アンタゴニストとTCR、アンタゴニストとBCR、アンタゴニストと抗体、抗原と細胞、抗原と受容体、抗原と免疫受容体、抗原とTCR、抗原とBCR、抗原と抗体、エピトープと細胞、エピトープと受容体、エピトープと免疫受容体、エピトープとTCR、エピトープとBCR、およびエピトープと抗体との間のペアリングを識別するための組成物と方法を提供する。ペアリングは、異なる被験者(横断的)、異なる時点での同じ被験者(長期的)、またはその両方で識別することができる。識別されたペプチド、受容体、またはペアリングは、例えば、健康、疾患、初期疾患、中期疾患、進行型疾患、進行性疾患、処置応答、寛解、防御免疫、自己免疫などに関連付けることができる。一部の実施形態では、ペプチドの欠如または受容体特異性の欠如は、例えば、健康、疾患、初期疾患、中期疾患、進行型疾患、進行性疾患、処置応答、寛解、防御免疫、自己免疫などに関連付けることができる。
【0151】
一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、防御免疫、非防御免疫、または自己免疫に関連する抗原特異的T細胞エフェクタークローンを識別するために使用される。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、アネルギー、消耗、免疫寛容誘発特性、自己免疫特性、炎症特性、または抗炎症性特性(例えば、Treg)を示す抗原特異的T細胞エフェクタークローンを識別するために使用される。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、特定のエフェクターまたはメモリー特性(例えば、ナイーブ、ターミナルエフェクター、エフェクターメモリー、セントラルメモリー、レジデントメモリー、T1、T2、T17、T9、T1、T2、T17、特定のサイトカインの産生)を示す抗原特異的T細胞エフェクタークローンを識別するために使用される。
【0152】
一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法を使用して識別されたTCR、BCR、または抗体は、治療的介入の一部として使用される。例えば、TCR配列、TCR可変領域配列、またはCDR配列は、同じ特異性のT細胞を生成するために、T細胞にトランスフェクトまたは形質導入される。T細胞は、拡大され、所望のエフェクター表現型(例えば、T1、T1、Treg)に極性化され、被験者に注入され得る。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法を使用して識別された複数のTCR、BCR、または抗体は、オリゴクローナル治療で使用される。
【0153】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法を使用して識別されたペプチド、リガンド、アゴニスト、アンタゴニスト、抗原、またはエピトープは、治療的介入の一部として使用される。一部の実施形態では、ペプチド、抗原、またはエピトープは、例えば、抗原提示細胞、人工抗原提示細胞、固定化されたペプチド、または可溶性ペプチドを使用して、エクスビボで細胞の集団を拡大するために使用される。一部の実施形態では、拡大された細胞は、患者に注入される。一部の実施形態では、末梢血リンパ球が拡大される。一部の実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)が拡大される。一部の実施形態では、T1細胞が拡大される。一部の実施形態では、細胞傷害性Tリンパ球が拡大される。一部の実施形態では、制御性T細胞が拡大される。
【0154】
一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、ワクチン、例えば、サブユニットワクチン、一連の防御抗原に対する適用範囲を誘発するワクチン、またはユニバーサルワクチンの開発に使用するための抗原を識別するために使用される。
【0155】
一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、医学的症状の診断に使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、臨床上の意思決定、例えば、処置の選択、予後因子の識別、処置応答もしくは疾患の進行の監視、または予防措置の実施を導くために使用される。
【0156】
本開示の組成物および方法は、捕捉支持体を含み得る。一部の実施形態では、本開示のペプチドまたは核酸は、捕捉支持体に可逆的または不可逆的に連結されている。一部の実施形態では、本開示のペプチドまたは核酸は、捕捉支持体に化学的に連結することができる。一部の実施形態では、本開示のペプチドまたは核酸は、捕捉支持体に共有結合的に連結することができる。一部の実施形態では、本開示のペプチドまたは核酸は、捕捉支持体に非共有結合的に連結することができる。一部の実施形態では、本開示のペプチドまたは核酸は、荷電相互作用、例えば、イオン結合によって捕捉支持体に連結することができる。一部の実施形態では、本開示のペプチドまたは核酸は、水素結合によって捕捉支持体に連結することができる。一部の実施形態では、本開示のペプチドまたは核酸は、極性結合によって捕捉支持体に連結することができる。一部の実施形態では、本開示のペプチドまたは核酸は、ビオチン-ストレプトアビジンもしくはビオチン-アビジン相互作用によって捕捉支持体に連結することができる。一部の実施形態では、本開示のペプチドまたは核酸は、例えば、化学的処置または酵素的処理を介して、捕捉支持体から条件付きで放出され得る。
【0157】
一部の実施形態では、捕捉支持体は固体表面であり得る。一部の実施形態では、捕捉支持体はマトリックスを含み得る。一部の実施形態では、捕捉支持体はナノ粒子を含み得る。一部の実施形態では、捕捉支持体はビーズを含み得る。一部の実施形態では、捕捉支持体は磁気ビーズを含み得る。一部の実施形態では、捕捉支持体はヒドロゲルを含み得る。一部の実施形態では、捕捉支持体は、油中水型エマルジョン液滴の内面であり得る。一部の実施形態では、捕捉支持体は核酸分子を含み得る。一部の実施形態では、捕捉支持体はタンパク質を含み得る。一部の実施形態では、捕捉支持体は抗体またはその誘導体を含み得る。一部の実施形態では、捕捉支持体はゲルを含み得る。一部の実施形態では、捕捉支持体はポリマーを含み得る。一部の実施形態では、捕捉支持体は荷電され得る。一部の実施形態では、捕捉支持体は蛍光性であり得る、例えば、1または複数の蛍光色素で標識され得る。
【0158】
一部の実施形態では、本開示のペプチドまたは核酸は、酵素消化によって捕捉支持体から切断することができる。一部の実施形態では、本開示のペプチドまたは核酸は、制限酵素消化によって捕捉支持体から切断することができる。一部の実施形態では、本開示のペプチドまたは核酸は、化学的処置または消化によって捕捉支持体から切断することができる。
【実施例
【0159】
以下の実施例は、本開示の一部の態様をさらに説明するために含められており、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。
【0160】
実施例1:偏りのない9merペプチドの設計
この実施例は、特定の長さのペプチドの完全な化学空間を含む9merペプチドライブラリーの識別を実証する。
【0161】
この実施例は、ペプチドライブラリーが目的の標的の知識によって制約されていた過去の試みからの脱却を示した。これらのライブラリーは、物理的な相互作用、標的/パートナーの特徴、生産上の制限、またはライブラリーの幅を偏らせるその他のパラメータの知識に基づいて設計された。したがって、ライブラリーは非常に偏った方法で提示されている。この実施例のライブラリーは、遺伝暗号によってコードされた20個のアミノ酸から可能なすべての9merペプチドを含むように設計された。
【0162】
ライブラリーは、20個の既知アミノ酸由来の9merのすべての配列の組み合わせ、例えば、5x10^11個の一意のペプチド配列を含むように設計された。
【0163】
実施例2:HLA-A2に偏った9merペプチドの化学空間の調査
この実施例は、主要組織適合遺伝子複合体タンパク質、例えば、HLA-A2との相互作用に特異的であった特定の長さの抗原の完全な化学空間を含む、9merペプチドライブラリーの識別を実証する。
【0164】
実施例1と同様に、このペプチドライブラリーは、目的の標的または相互作用する抗原の知識に制約されなかった。HLA-A2は、2位と9位にI、V、またはLを含み得る重要なアミノ酸を持つ、よく理解された結合モチーフを有する。このライブラリーは、明記された両方の位置にこれらの配列のいずれかを持つすべての9merペプチドを含むように設計された。このライブラリーは、9merの可変性を2位と9位で制限したため、結果として得られるライブラリーは、実施例1で説明した9merライブラリーのサブセットであった。
【0165】
ライブラリーは、2位と9位に制限のある20個の既知アミノ酸由来の9merのすべての配列の組合せを含むように設計された。合計1x10^10個の一意の9merペプチド配列が、HLA-A2限定と識別された。同様の制限は、他のMHC複合体に類似している。
【0166】
実施例3:ヒトビローム9merペプチドライブラリー
この実施例は、この特定の長さのヒトウイルス抗原の完全な化学空間を含む9merペプチドライブラリーの識別を実証する。
【0167】
ペプチドライブラリーに含めるために選択されたウイルスは、オンラインデータベースUniprotによって示される、精選された、ヒトを宿主とするウイルスプロテオームであり、Uniprotプロテオームのプログラム検索により識別された菌株の分類群識別子が追加されている。完全なプロテオームおよび部分的なプロテオームは、REST APIを使用してUniprotからプロテオーム識別子によってダウンロードされた。選択した菌株のプロテオームカバレッジは手動で検証された。その後、利用可能なオルトハンタウイルス由来のすべてのプロテオームと、非常に多様な分類群(HIVおよびインフルエンザ)の周囲のさらなる多様性を含めるために、ライブラリーはさらに拡大された。
【0168】
識別されたプロテオーム中の各タンパク質のあらゆる9merがこのライブラリーに含まれていた。このライブラリーは精選されたヒトウイルスプロテオームに由来する9merの可変性を制約したため、このライブラリーは、実施例1で説明した9merの偏りのないライブラリーのサブセットでもあった。
【0169】
追加のライブラリーは、実施例2に記載されているようなMHC複合体タンパク質の1つに制限された9merと識別された。3x10^6個のペプチドのうち合計1.5x10^5個の一意の9merペプチドが、HLA-A2限定と識別された。
【0170】
実施例4:サイトメガロウイルス9merペプチドライブラリー
この実施例は、サイトメガロウイルス(CMV)の完全なプロテオームをカバーする9merペプチドライブラリーの識別を実証する。
【0171】
このライブラリーは、CMVプロテオームの各タンパク質のあらゆる9merが含まれるように設計された。結果として得られるライブラリーには、7x10^4個の一意の9merペプチドが含まれた。このライブラリーはCMVに由来する9merの可変性を制約したため、このライブラリーは、実施例3で説明した9merヒトウイルスライブラリーのサブセットでもあった。
【0172】
追加のライブラリーは、実施例2に記載されているようなMHC複合体タンパク質の1つに制限された9merと識別された。7x10^4個のペプチドのうち合計4x10^3個の一意の9merペプチドが、HLA-A2限定と識別された。
【0173】
実施例5:サイトメガロウイルスpp65タンパク質9merペプチドライブラリー
この実施例は、サイトメガロウイルス(CMV)タンパク質、pp65の完全なタンパク質配列を含む9merペプチドライブラリーの識別を実証する。
【0174】
pp65タンパク質由来のあらゆる9-merがこのライブラリに含まれていた。結果として得られるライブラリーには、571個の一意の9merペプチドが含まれていた。これらの9merはpp65タンパク質に関連していたため、これも実施例4で説明した9merライブラリーのサブセットであった。
【0175】
追加のライブラリーは、実施例2に記載されているようなMHC複合体タンパク質の1つに制限された9merと識別された。571個のペプチドのうち合計26個の一意の9merペプチドが、HLA-A2限定と識別された。
【0176】
実施例6:9merペプチドライブラリーのエピトープ特異的位置走査変異
この実施例は、エピトープの完全な変異走査を含む9-merペプチドライブラリーの識別を実証する。
【0177】
HoppesらによりJ Immunol、2014、193に記載されるように、単一の変異を含む9merのライブラリーを、pp65タンパク質のNLVPMVATVエピトープ用に設計した。結果として得られるライブラリーには、172個の一意の9merペプチドが含まれていた。これらの9merは、NLVPMVATVベースの9merの全体にわたって位置変異を含んでいたため、これも実施例1に記載の9merライブラリーのサブセットであった。
【0178】
2つの変異を含む9merのライブラリーを、pp65タンパク質のNLVPMVATVエピトープ用に設計した。結果として得られるライブラリーには、13,168個の一意の9merペプチドが含まれていた。
【0179】
3つの変異を含む9merのライブラリーを、pp65タンパク質のNLVPMVATVエピトープ用に設計した。結果として得られるライブラリーには、589,324個の一意の9merペプチドが含まれていた。
【0180】
すべての変異を含む9merのライブラリーを、pp65タンパク質のNLVPMVATVエピトープ用に設計した。結果として得られるライブラリーには、5.12x1011個の一意の9merペプチドが含まれていた。
【0181】
実施例7:9merペプチドライブラリーの作製
前の実施例のいずれかに記載されるペプチドライブラリーは、当分野で公知の方法に従って生成されるか、あるいは商業的供給業者によって、または製造業者の指示に従ってペプチドシンセサイザーを使用して合成的に生成される。
【0182】
実施例8:ペプチドMHCライブラリーのインビトロ翻訳
この実施例は、タンパク質の無細胞合成(CFPS)を実証する。
【0183】
ペプチドライブラリーの無細胞タンパク質合成(CFPS)により、広範異の様々なペプチドの精製が可能になる。CFPSで高収率を得るには、翻訳された配列の最初のアミノ酸がN-ホルミルメチオニン(fMet)である細菌系を使用する必要がある。この残基は、正に帯電したアミノ末端(NH )の代わりに中性ホルミル基(HCO)を含むという点で、メチオニンとは異なる。各ペプチドライブラリー変異体にはfMetが含まれる。しかし、MHCクラスI分子のペプチド結合溝の構造は、任意の所与ペプチドの正に帯電したアミノ末端のみに特異的に収容するように設計されており、配列がfMetで開始されるペプチドに適切に適合しないであろう。両方のプロセスは関連しているので、ペプチドのローディングの失敗は、折り畳みに影響を及ぼし、誤って折り畳まれた機能しないMHCが生じることになる。細菌は内因性アミノペプチダーゼを利用してfMetを切断することができるが、配列中の2番目のアミノ酸の同一性によって、その除去は不完全であったり、なくなったりする可能性がある。例えば、メチオニンアミノペプチダーゼはfMetとアスパラギンの間で非効率的に切り取られる。その結果、この系のモデルペプチドであるCMV由来ペプチドは、最終的に、単鎖設計のfMet-NLVPMVATVとして生成される。つまり、分子全体が正しく折り畳まれず、同族のT細胞受容体に結合しないことになる。この結果は、粗細胞抽出物から作製された細菌のCFPS系でタンパク質が生成される場合に予想される。さらに、ライブラリーの状況では、単一の個別の鋳型は、fMetを含むペプチド、またはそれを含まないペプチド、あるいは、処理が単に非効率的である場合には、両方の混合物を生じることがあり得る。精製された成分のみで構成され、メチオニンアミノペプチダーゼを完全に欠く、再構成されたCFPS系では、すべてのライブラリー変異体はfMet残基で始まる。
【0184】
この問題を解決するために、酵素的切断ドメインおよびライブラリーポリペプチドをコードする遺伝子を含むように構築物を設計した。少なくとも最初のメチオニンアミノ酸を除去することにより、ペプチドの折り畳みとMHCタンパク質へのローディングが成功した。さらに、最初のメチオニンアミノ酸の除去により、ペプチドライブラリーの多様性の上限がさらに大きくなり、例えば、20(xはペプチドの長さ)となったが、この残基を含めると、ライブラリーの多様性は20(x-1)に制限される。
【0185】
この実施例では、ペプチドを無細胞条件下で合成した。すべてのCFPS成分を解凍し、氷上で混合した後、適切な温度に移して反応を開始させた。試薬を添加した:40%(V/V)PURExpress溶液A、30%(V/V)のPURExpress溶液B(E6800L、New England Biolabs、Inc.)、RNase阻害剤の0.8U/μl反応(10777019、ThermoFischer Scientific)、4%(V/V)の各ジスルフィドエンハンサー1および2(E6820L、New England Biolabs、Inc.)、PBS(Invitrogen)に希釈したプロテアーゼの0.004 U/μl反応、ヌクレアーゼフリー水と、所望のCFPS産物をコードする対応するプラスミドDNAの20ng/μl反応。4つの異なる温度のCFPSを試験した:20、25、30および37℃。示される各時点でサンプルを採取し、チューブを氷上に置き、EDTAを最終濃度が2mMになるように加えることにより反応を停止させた。
【0186】
図2Aは、ペプチド多様性を高めるための酵素的切断を実証する。レーンのペア1-2、3-4、5-6、7-8および9-10は、それぞれ、切断部分のない鋳型、プロテアーゼを添加しなかった切断部分を含む鋳型、反応完了後にプロテアーゼを添加した切断部分を含む鋳型、反応中にプロテアーゼが存在していた切断部分を含む鋳型で行われた、CFPS反応および鋳型のない反応を表す。奇数レーンのサンプルは、100mM DTTを添加した還元条件下でのゲル電気泳動用に調製された。室温で4時間後にチューブを氷上に置くことにより、すべての反応を終了させた。4U/反応のプロテアーゼを、サンプル3~8に添加した。レーン5-6にロードされた反応では、チューブを10mM EDTAと一緒に氷上に置いた後にプロテアーゼを添加し、その後、さらに3.5時間で室温にした後、再び氷上に置いた。
【0187】
ウエスタンブロット法を行って総タンパク質収量を決定した。各CFPSサンプルを、水、4xサンプルバッファーおよび1M DTTと混合し、95°Cで5分間煮沸した後、10%SDS-PAGEゲルにロードした。HRP-抗FLAG抗体を使用してサンプルをブロットした。
【0188】
図2Bは、多量体と、切断部分を含むまたは含まない単量体の鋳型を含んでいたCFPS反応のサンプルを示す。サンプルをブロットし、抗FLAG HRP抗体で検出した。チューブを室温で4時間後に氷上に置くことにより、すべての反応を終了させた。
【0189】
実施例9:インビトロで翻訳されたタンパク質の三次元構造の評価
この実施例は、CFPSタンパク質が認識可能な三次元構造に折り畳まれることを実証する。
【0190】
この実施例では、実施例8で生成されたCFPSタンパク質を、抗体によるコンフォメーション認識について試験した。誤って折り畳まれたかまたは折り畳まれなかったタンパク質は、抗体に認識されない。次の実施例は、酵素切断ドメインの切断後に、CFPSタンパク質が折り畳まれ、抗体によってコンフォメーション的に認識されたことを実証する。
【0191】
タンパク質発現はELISAによって測定した。プレートを、100mM重炭酸塩/炭酸塩コーティングバッファーで希釈した抗ストレプトアビジン抗体(410501、Biolegend)でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。次に、プレートを洗浄バッファー(0.05% tween-20を添加したPBS)でウェルを満たすことによって3回洗浄し、ブロッキングバッファー(2%(V/V)BSAを添加した洗浄バッファー)でウェルを満たすことによって室温で2時間ブロックした。次に、ウェルをブロッキングバッファー中の各CFPSタンパク質の段階希釈液で満たし、続いて室温で1時間インキュベートした。次に、プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、ブロッキングバッファーで希釈したタンパク質に特異的な0.15μg/ml西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗体とともに室温で1時間インキュベートした。
【0192】
さらに3回洗浄した後、3,3’、5,5’テトラメチルベンジジン基質を各ウェルに添加して発色させ、市販の停止液を添加して反応を停止した。プレートリーダーを使用して450nmでの吸光度を測定した。値は2回行った平均である。プレートを粘着性プラスチックで覆い、すべてのインキュベーション中に回転子で穏やかに攪拌した。各サンプルの濃度は、陽性対照タンパク質の標準曲線から補間された。
【0193】
図2Cは、CFPSによって生成されたペプチドが、タンパク質分解により切断されて認識可能な三次元構造に折り畳まれることを実証する。ELISAを使用して線状エピトープまたはコンフォメーションエピトープを検出し、正しく折り畳まれた割合を計算した。プロテアーゼを両方のCFPS反応に加えた。この図は、プロテアーゼ切断ペプチドまたは非切断(fMet含有)ペプチドが、コンフォメーションエピトープ抗体によって認識されることにより、正しい折り畳みを示したかどうかを示す。
【0194】
図2Dは、単鎖ペプチド-MHC(sc-pMHC)多量体と抗原特異的T細胞の結合を示す。多量体は、CFPSと酵素切断によって生成された。T細胞を多量体とともにインキュベートした後、蛍光検出抗体で染色し、フローサイトメトリーで分析した。FACS染色には、CMV濃縮T細胞(Donor 153、Astarte 3835FE18、カタログ番号1049)を使用した。96ウェル丸底マイクロタイタープレートのウェルにT細胞を充填し、細胞を氷冷FACSバッファー(D-PBS、2mM EDTAおよび2%(V/V)ウシ胎児血清)で1回洗浄し、4℃、300gで回転させ、上清を除去した。次に、関連するウェルをFc受容体ブロッキング溶液で穏やかに攪拌しながら4℃で30分間ブロックし、FACSバッファーで洗浄し、上清を除去した。FACSバッファーを、補償対照ウェル(compensation control wells)に加えた。
【0195】
次のステップでは、細胞を、20nMの陽性対照、または実施例8で示されたCFPS反応から得たサンプルの希釈液とともに4℃で30分間インキュベートした後、FACSバッファーで1回洗浄した。FACSバッファーで希釈した100nM検出抗体を各ウェルに添加し、プレートを4℃で30分間暗所でインキュベートした後、PBSで2回洗浄し、定着性の生存率色素(fixable viability dye)であるAPC-efluor780(1:8000希釈、50μl/ウェル)で室温で15分間染色した。次に、プレートをFACSバッファーで2回洗浄し、固定バッファーPBS、3.7%ホルムアルデヒド(V/V)、2%FBS(V/V)で固定した。最後に、サンプルを分析のためにFACSチューブに移した。
【0196】
実施例10:哺乳類細胞でのペプチドライブラリーの作製
ペプチドは、哺乳動物細胞において、実施例8に記載されるように無細胞タンパク質合成によるか、または実施例7のように合成によって生成された。
【0197】
哺乳類発現の場合、CMVペプチドをコードする構築物は、哺乳類発現ベクターにC末端のHisタグがある場合とない場合のC末端のFlagタグを使用して設計された。ペプチドは、製造業者の推奨に従い、Expi293FまたはExpiCHO-S細胞(Life Technologies)で一過性トランスフェクションによって発現させた。
【0198】
ペプチドは、細胞培養上清から抗Flagアフィニティークロマトグラフィー(Genscript)またはNiアフィニティークロマトグラフィーで精製した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、20mM HEPES、150mM NaCl、pH7.2で事前に平衡化した親水性の樹脂(GE Life Sciences)で実施した。
【0199】
あるいは、ペプチドは、23mMリン酸ナトリウム、500mM塩化ナトリウム、500mMイミダゾール、pH7.4のカラムバッファーを使用して、SEC精製を行わずに、Niアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。
【0200】
哺乳類細胞で生成されたペプチドは、280nmのUVで定量し、CFPSで生成されたペプチドはサンドイッチELISAで標準タンパク質と比較して定量した。
【0201】
実施例11:ライブラリーペプチドへのペプチド識別子の付加
この実施例は、ライブラリーペプチドをペプチド識別子で標識することを実証する。
【0202】
CMVペプチドは、実施例7のように合成によるか、実施例8に記載されるように無細胞タンパク質合成によるか、または実施例10に記載されるように哺乳類細胞で生成された。
【0203】
本明細書に記載されるように生成されたペプチドは、1またはそれを超えるペプチド識別子(例えば、DNA断片)で標識される。各ペプチド識別子は、商業的に合成される(Integrated DNA Technologies)か、またはPCR増幅された。標識は、50%v/v ペプチドと50%v/vペプチド識別子を混合することによって達成され、ウェスタンブロットでの上方シフトによって確認された。
【0204】
図3は、1またはそれを超えるペプチド識別子を持つCMVペプチドのウエスタンブロットを示す。下の矢印は裸のペプチドを示す。中央の矢印は、1つのペプチド識別子を持つペプチドを示す。上の矢印は、2つのペプチド識別子を持つペプチドを示す。
【0205】
実施例12:HLA-A2 9merペプチドライブラリー
この実施例は、HLA-A2に特異的な抗原の長さに対して完全な化学空間を含む9merペプチドライブラリーを生成する能力を実証する。
【0206】
これは、物理的な相互作用を介して目的の特定の標的を識別し、その後、非常に偏った方法で提示してきた過去の試みからの脱却である。HLA-A2は、2位と9位にI、V、またはLを含み得る重要なアミノ酸を持つ、よく理解された結合モチーフを有する。この実施例のライブラリーは、明記された両方の位置にこれらの配列のいずれかを持つすべての9merペプチドを含むように設計されており、その結果として1x10^10個のペプチドが得られる。
【0207】
構築物は、酵素切断ドメインと、1x10^10個の一意の9merペプチドの1つをコードする遺伝子を含むように設計されている。
【0208】
ペプチドライブラリーは、実施例8に記載されているのと同様の方法に従って生成される。次に、ペプチドライブラリーをHLA-A2分子にロードして、ペプチド/MHC(pMHC)ライブラリーを生成する。
【0209】
得られたpMHCライブラリーをT細胞スクリーニングで使用して、抗原反応性T細胞を決定してもよい。例えば、Simonら、Cancer Immunol Res、2014、2(12):1230-1244を参照されたい。
【0210】
実施例13:ペプチドライブラリーの細胞への結合
この実施例は、細胞へ結合するペプチドの検出を実証する。
【0211】
ペプチド識別子で標識されたペプチドの機能を試験するために、ペプチド特異的(CMV)および非ペプチド特異的(HPV)T細胞が得られた(AstarteBiologics)。凍結したT細胞は製造業者のガイドラインに従って解凍した。細胞を20%v/vFcブロックと0.1mg/mlサケ精子で4℃で30分間ブロックした。次に、細胞をFACSバッファー(D-PBS、2mM EDTAおよび2%(V/V)FBS)中の10%V/Vペプチド識別子標識ペプチドとともに4℃で30分間インキュベートし、洗浄した。
【0212】
細胞をさらに2つの画分に分割し、フローサイトメトリーを使用してペプチド結合を検出し、qPCRによって識別子を検出した。タンパク質ベースの検出には、細胞を抗Flag抗体(Biolegend)2%v/vとともに4℃で30分間インキュベートし、洗浄した。最後に、細胞を固定バッファー(D-PBS、3.7%ホルムアルデヒド、2%FBS)で固定し、フローサイトメーターで分析した。
【0213】
図4は、裸のペプチド、ペプチド識別子で標識されたペプチド、またはペプチド特異的または非ペプチド特異的T細胞への陰性対照の相対的結合を示す。裸のペプチドおよびペプチド識別子で標識したペプチドは、非ペプチド特異的T細胞と比較して、ペプチド特異的T細胞への結合を示した。
【0214】
ペプチド識別子ベースの検出では、細胞溶解およびRNA安定化キット(Life Technologies Corporation)を使用して細胞を溶解し、製造業者のプロトコルに従ってqPCRマスターミックスを調製した。ハウスキーピング遺伝子に特異的なプライマー(例えば、Rpl13)を使用して、Ct値を内部対照に正規化した。相対値は、デルタ-デルタCt法を使用して、ペプチドを含まないT細胞に由来する値と比較した。
【0215】
図5は、ハウスキーピング遺伝子に正規化されたペプチド識別子で標識したペプチドの相対量を示す。ペプチド識別子標識ペプチドとともにインキュベートしたペプチド特異的T細胞は、ペプチド識別子標識ペプチドとともにインキュベートした非ペプチド特異的T細胞よりもはるかに多くのシグナルを示し、T細胞とペプチドの間の特異的相互作用を示している。その上、裸のペプチドは、ペプチド特異的および非ペプチド特異的T細胞の両方について検出可能なシグナルをほとんどまたはまったく持っていなかった。
実施例14:TCR抗原特異性プロファイルの識別
NLVPMVATVエピトープの完全な変異走査を含む9merライブラリーは、実施例6に記載されるように設計される。9merを含むsc-pMHCは、実施例8に記載されるように合成され、識別子は、実施例11に記載されるように付加される。ライブラリーは複数のT細胞とともにインキュベートされ、T細胞は単一細胞コンパートメントに分類される。T細胞が溶解され、識別子を含む溶解されたT細胞から核酸が生成される。これらの核酸はプールされ、配列決定される。読み取りデータ中の識別子により、ペプチド識別子を同じコンパートメントのT細胞配列と一致させることができる。TCR抗原特異性プロファイルは、コンパートメントからTCR配列(例えば、可変領域、超可変領域、またはCDRを識別し、同じコンパートメントからのペプチド識別子の読み取りデータを定量化することによって決定される(図9A)。識別されたTCR-抗原ペアの抗原におけるエピトープ変異は、TCR結合親和性の増加または減少をもたらすことが識別されている。
【0216】
実施例15:標的抗原に結合するTCRの識別
シーケンシングデータは、実施例14に記載されるように生成される。配列決定された各ペプチド識別子について、対応するTCR配列が識別される(例えば、可変領域、超可変領域、またはCDR)。ペプチドライブラリーのペプチドに対する結合親和性を示す複数のTCRが識別され、特定のTCRに対する結合親和性を示す複数のペプチドが識別される(図9B)。
【0217】
実施例16:多様なTCRの収束
実施例14および実施例15に記載の方法を使用して実験を行う。T細胞は、さまざまな被験者に由来する初代T細胞である。ペプチドライブラリーのペプチドに対して結合親和性を示す、異なる個体由来のTCRが識別されている(図9C)。
【0218】
実施例17:CMV抗原の発見とワクチン設計
この実施例は、特定の抗原およびT細胞受容体配列の発見、ならびにその後のワクチンおよび細胞治療の設計のための、本明細書に開示される組成物および方法の使用を実証する。
【0219】
造血幹細胞移植(HSCT)を受ける予定の被験者がこの研究に登録されている。HSCT後、0日目と30日目に採血を行う。T細胞は血液から単離され、培養される。培養されたT細胞は、本開示のsc-pMHCライブラリー(例えば、CMVゲノム、トランスクリプトーム、または位置走査を伴うプロテオームに由来するペプチドを含むライブラリー)とともにインキュベートされ、細胞は単一の細胞コンパートメントに分類される。
【0220】
T細胞が溶解され、識別子を含む溶解されたT細胞から核酸が生成される。これらの核酸はプールされ、配列決定される。読み取りデータ中の識別子により、ペプチド識別子を同じコンパートメントのT細胞配列と一致させることができる。TCR抗原特異性プロファイルは、コンパートメントからTCR配列(例えば、可変領域、超可変領域、またはCDRを識別し、同じコンパートメントからのペプチド識別子の読み取りデータを定量化することによって決定される。配列決定された各ペプチド識別子について、対応するTCR配列が識別される。ペプチドライブラリーの1またはそれを超えるペプチドに対する結合親和性を示す複数のTCRが識別され、1またはそれを超えるTCRに対する結合親和性を示す複数のペプチドが識別される。被験者はCMV血清陽性または血清陰性に分類され、CMV制御または再活性化に基づいてさらに分類される。被験者の結果を比較する。CMVの制御に関連するペプチドとTCR配列が識別され、CMVワクチンと細胞治療の設計に使用される。
【0221】
実施例18:チェックポイント阻害剤非応答者のためのワクチンおよびTCR細胞治療
この実施例は、チェックポイント阻害剤治療への応答に関連する特定の抗原およびTCR配列の発見、ならびにその後のワクチンおよび細胞治療の設計のための、本明細書に開示される組成物および方法の使用を実証する。
【0222】
非小細胞肺癌(NSCLC)または結腸直腸癌(CRC)のチェックポイント阻害剤治療を受ける予定の被験者がこの研究に登録されている。長期的な生検は、チェックポイント阻害剤の投与前、およびチェックポイント阻害剤が投与された後に被験者から得られ、治療効果が出るまでの時間が許容される。T細胞は生検から単離され、培養される。培養されたT細胞は、本開示のsc-pMHCライブラリー(例えば、NSCLC/CRCゲノム、トランスクリプトーム、またはプロテオームに由来するペプチドを含むライブラリー)とともにインキュベートされ、細胞は単一の細胞コンパートメントに分類される。
【0223】
T細胞が溶解され、識別子を含む溶解されたT細胞から核酸が生成される。これらの核酸はプールされ、配列決定される。読み取りデータ中の識別子により、ペプチド識別子を同じコンパートメントのT細胞配列と一致させることができる。TCR抗原特異性プロファイルは、コンパートメントからTCR配列(例えば、可変領域、超可変領域、またはCDRを識別し、同じコンパートメントからのペプチド識別子の読み取りデータを定量化することによって決定される。配列決定された各ペプチド識別子について、対応するTCR配列が識別される。ペプチドライブラリーの1またはそれを超えるペプチドに対する結合親和性を示す複数のTCRが識別され、1またはそれを超えるTCRに対する結合親和性を示す複数のペプチドが識別される。
【0224】
被験者は長期的に追跡され、アッセイは、チェックポイント阻害剤による処置を2またはそれを超えるサイクル中に生検で実施することができる。
【0225】
被験者は、チェックポイント阻害剤の応答者または非応答者に分類される。被験者の結果を比較する。チェックポイント阻害剤治療への応答の成功に関連するペプチドおよびTCR配列が識別される。識別されたペプチドおよびTCR配列は、チェックポイント阻害剤による処置の2回目以降のサイクルで、またはその後に登録された被験者で確認することができる。識別されたペプチドおよびTCR配列は、癌ワクチンおよび細胞治療を設計するために使用される。
【0226】
実施例19:ユニバーサルインフルエンザワクチン
この実施例は、インフルエンザ株に対する免疫応答に関連する特定の抗原およびTCR配列の発見、ならびにその後のユニバーサルインフルエンザワクチンをはじめとするワクチンの設計のための、本明細書に開示される組成物および方法の使用を実証する。
【0227】
被験者は、さまざまなインフルエンザ株のワクチン接種または感染を受けるために登録されている。被験者はインフルエンザに感染しているか、弱毒生インフルエンザ株でワクチン接種されているか、インフルエンザサブユニットワクチンでワクチン接種されている。
【0228】
長期的な血液サンプルは、7日目(感染/ワクチン接種前)、感染後/ワクチン接種後10日目、および感染/ワクチン接種後45日目に被験者から採取される。
【0229】
T細胞は血液サンプルから単離され、培養される。培養されたT細胞は、本開示のsc-pMHCライブラリー(例えば、インフルエンザゲノム、トランスクリプトーム、または位置走査を伴うプロテオームに由来するペプチドを含むライブラリー)とともにインキュベートされ、細胞は単一の細胞コンパートメントに分類される。
【0230】
T細胞が溶解され、識別子を含む溶解されたT細胞から核酸が生成される。これらの核酸はプールされ、配列決定される。読み取りデータ中の識別子により、ペプチド識別子を同じコンパートメントのT細胞配列と一致させることができる。TCR抗原特異性プロファイルは、コンパートメントからTCR配列(例えば、可変領域、超可変領域、またはCDRを識別し、同じコンパートメントからのペプチド識別子の読み取りデータを定量化することによって決定される。配列決定された各ペプチド識別子について、対応するTCR配列が識別される。ペプチドライブラリーの1またはそれを超えるペプチドに対する結合親和性を示す複数のTCRが識別され、1またはそれを超えるTCRに対する結合親和性を示す複数のペプチドが識別される。感染/ワクチン接種を受けたさまざまな被験者由来のペプチド-MHC収束の分析により、防御抗原の識別が可能になる。防御抗原は、ワクチンに連結されて、インフルエンザの複数の株からの幅広いまたは普遍的な防御を提供する。
【0231】
実施例20:糖尿病のTreg治療
この実施例は、自己免疫に関連する特定の抗原およびTCR配列の発見、ならびにその後の免疫原性細胞治療の設計のための、本明細書に開示される組成物および方法の使用を実証する。
【0232】
この研究の1つのアームは、ステージ0/1の1型糖尿病の被験者(および対応する健康な対照)から収集された死後の組織サンプルを利用する。組織サンプルには、β島、血液、脾臓、リンパ節、および骨髄が含まれる。この研究の2番目のアームでは、生きている被験者がステージ0/1の1型糖尿病(およびする対応する健康な対照)に登録される。血液サンプルは定期的に被験者から採取される。
【0233】
T細胞は血液および組織サンプルから単離され、培養される。培養されたT細胞は、本開示のsc-pMHCライブラリー(例えば、健康なまたは自己免疫性のヒト被験者のゲノム、トランスクリプトーム、またはプロテオームに由来するペプチドを含むライブラリー)とともにインキュベートされ、細胞は単一の細胞コンパートメントに分類される。
【0234】
T細胞が溶解され、識別子を含む溶解されたT細胞から核酸が生成される。これらの核酸はプールされ、配列決定される。読み取りデータ中の識別子により、ペプチド識別子を同じコンパートメントのT細胞配列と一致させることができる。TCR抗原特異性プロファイルは、コンパートメントからTCR配列(例えば、可変領域、超可変領域、またはCDRを識別し、同じコンパートメントからのペプチド識別子の読み取りデータを定量化することによって決定される。配列決定された各ペプチド識別子について、対応するTCR配列が識別される。ペプチドライブラリーの1またはそれを超えるペプチドに対する結合親和性を示す複数のTCRが識別され、1またはそれを超えるTCRに対する結合親和性を示す複数のペプチドが識別される。
【0235】
被験者の結果を比較する。1型糖尿病に関連するペプチドおよびTCR配列が識別される。識別されたペプチドおよびTCR配列は、寛容原性細胞治療、例えば、自己免疫抗原に特異的なTCRを発現する、エクスビボで拡大したオリゴクローナルTreg分極T細胞に使用される。
【0236】
実施例21:多孔性ヒドロゲルの作製
この実施例は、本開示の組成物および方法で使用され得る多孔性ヒドロゲルの製造を実証する。ヒドロゲルビーズは、アクリルアミド単量体ユニットとビス-アクリルアミド架橋剤ユニットを多様な相対濃度で、アクリル化された(acrydated)オリゴヌクレオチドプライマーの混合物とともに混合し、マイクロ流体ドロップメーカーを使用して液滴に封入し、架橋が完了するまで混合物をインキュベートすることによって作製された。この実施例では、前架橋された水性混合物には、0.75%のビス-アクリルアミド、3%のアクリルアミド、5μMの5’-アクリル化(acrydated)リバースプライマー#1、25μMの3’-キャップ(リン酸化)および5’-アクリル化(acrydated)リバースプライマー#2(図16)、0.5%過硫酸アンモニウムが、10%TEBST(Tris-EDTA緩衝生理食塩水とTween-20)中に含まれていた。プライマーは、ヒドロゲルからプライマーの一部を遊離をさせることができるように、酵素的切断のための配列、例えば制限酵素に標的とされる配列を含むように設計することができる。任意の適した制限酵素を使用することができる。この実施例では、リバースプライマー1にXhoI消化部位が含まれ、リバースプライマー2にFokI消化部位が含まれていた。水性混合物のすべての試薬を合し、撹拌した。混合物に1.5%TEMEDおよび1%の008-FluoroSurfactantを添加し、液滴に封入し、室温で1時間インキュベートした後、60℃のオーブンに移して一晩インキュベートすることによってヒドロゲルを形成した。ヒドロゲルビーズを20%1H,1H,2H,2H-パーフルオロ-1-オクタノール(PFO)で1回洗浄し、次にTEBSTで3回洗浄した後、低TE(1mM Tris-Cl pH7.5、0.1mM EDTA)で3回洗浄した。ヒドロゲルビーズは、使用するまでTEBST中で4℃で保存した。
【0237】
実施例22:完全長の抗原をコードする鋳型のヒドロゲルへのPCR(PCR1)
この実施例は、完全長の抗原をコードする鋳型のヒドロゲルへのPCRを実証する。単鎖多量体ペプチド-MHCをコードする線状DNA鋳型を、単一鋳型条件下でヒドロゲルビーズに滴下してPCR増幅し、各液滴は最大で単一のDNA鋳型を得た。実施例21で作製した1.4mLヒドロゲルビーズを、2mLの反応容量で以下のようなPCR成分と一緒に混合した:400μLのQ5反応緩衝液(New England Biolabs)、40μLの10mM dNTP、40μLの25μM正方向プライマー#1、40μLの1μMの非アクリル化(acrydated)リバースプライマー#1(図16)、40μLの0.1pg/ul線状DNA鋳型(または鋳型ミックス)、8μLの20% IGEPAL、および20μLのQ5 DNAポリメラーゼ(New England Biolabs)。混合物を液滴に封入し、35サイクルのPCRにかけた。等量の100%パーフルオロオクタノール(PFO)を添加して液滴を溶解した後、ヒドロゲルを10容量の低TEで5回洗浄した。ヒドロゲルビーズのアリコート(各10μL)を、リバースプライマー#1(この実施例では、XhoI)内を切断する制限酵素を用いて37℃で1時間消化し、1.2%アガロースゲルで泳動させて、ヒドロゲル上のアンプリコンの収量と質を定量化した。図17Aに示すように、全長の抗原をコードする鋳型をヒドロゲル(「ビーズ」)上でPCR増幅した。
【0238】
実施例23:識別子のPCR(PCR2)
この実施例は、実施例21および22で生成されたヒドロゲル上の識別子のPCR増幅を実証する。本明細書に開示される任意の適した識別子が使用され得る。この実施例では、識別するペプチドをコードする核酸配列の全部または一部に対応する自己識別子が使用された。PCR1の後に洗浄したヒドロゲルビーズをエビアルカリホスファターゼ(New England Biolabs)で消化させて、リバースプライマー#2の3’キャップを除去し、さらに10容量の低TEで5回洗浄した。300μLのヒドロゲルビーズを、以下のようにPCR成分と400μLの反応容量中で混合した:80μLのQ5反応緩衝液(New England Biolabs)、8μLの10mM dNTP、8μLの25uM 5’-ビオチン化フォワードプライマー#2、1.6μLの20% IGEPAL、および4μLのQ5 DNAポリメラーゼ(New England Biolabs)。混合物を液滴に封入し、20サイクルのPCRにかけた。等量の100%PFOを添加して液滴を溶解した後、ヒドロゲルビーズを10容量の低TEで5回洗浄した。ヒドロゲルビーズの少量のアリコートを、リバースプライマー#2(この実施例では、FokI)内を切断する制限酵素を用いて37℃で1時間消化させ、1.2%アガロースゲルで泳動させて、ヒドロゲル上の識別子アンプリコンの収量と質を定量化した。図17Bに示すように、識別子は水素上でPCR増幅された(「自己識別核酸」)。3つの別々のビーズプレップを分析した。1つはCMVペプチドに対応する鋳型、1つはHPVペプチド、1つは両方のペプチドをコードする鋳型の混合物(ミックス)を含む。PCR2によって生成された自己識別核酸断片は、約100bpに示される。
【0239】
実施例24:単鎖多量体ペプチド-MHCのインビトロ転写/翻訳(IVTT)
この実施例は、単鎖ペプチド-MHCが、例えば、実施例21および22で生成されたようなヒドロゲル上の抗原をコードするDNA鋳型を使用して、インビトロで転写および翻訳され得ることを実証する。120μLのヒドロゲルビーズを、120μLのPURExpress溶液A(New England Biolabs)、90μLのPURExpress溶液B(NEB)、6μLのRNAse OUT(Invitrogen)、各12μLのDisulfide Bond Enhancer #1および#2(NEB)、および12μLのUlp1プロテアーゼ(Invitrogen)を含む240μLのIVTTマスターミックスと一緒に液滴に封入した。液滴を振盪せずに22℃で20時間インキュベートした。D-ビオチンをIVTT反応に最終濃度500μMになるように添加した後、等量の100%PFOを添加して液滴を破壊した。ヒドロゲルビーズを、10容量のPBS+2% BSAで5回洗浄した。ヒドロゲルのアリコートを、Alexa-488標識抗β-2-ミクログロブリン(B2M)抗体(R&D Systems)のPBS+2%BSA中1:10希釈を用いて室温で1時間免疫蛍光染色を行い、その後、PBS+2%BSAで10倍洗浄を5回行い、共焦点顕微鏡(Imagexpress Micro,Molecular Devices、図18A)によってイメージングした。21%のビーズで染色が観察され、PCR1での単一鋳型条件が確認され、単鎖ペプチド-MHCの作製に成功した。
【0240】
実施例25:識別子でタグ付けされた単鎖多量体ペプチド-MHCのヒドロゲルからの放出および分析
この実施例は、折り畳まれた、識別子でタグ付けされた単鎖ペプチド-MHC(sc-pMHC)多量体のヒドロゲルからの放出を実証する。sc-pMHCを、実施例21、22、23、および24の方法を使用して作製した。sc-pMHC多量体は、DNA識別子を介してヒドロゲルに結合していた。DNAを介してヒドロゲルに結合したsc-pMHCは、任意の適したヌクレアーゼによる消化によってヒドロゲルから放出され得る。この実施例では、DNAをCutsmart Buffer(NEB)中のベンゾナーゼ(非特異的エンドヌクレアーゼ)またはFokI(制限酵素)で22℃で20時間インキュベートして消化した。消化によって放出されたタンパク質をELISAで検査して、収量と折り畳みを調べた。検出は、HRT標識抗B2M(Biolegend)または立体構造的に感受性の高い抗HLA抗体(Santa Cruz)のいずれかの1:1333希釈を用いて、HEK産生sc-pMHCを標準として行った。ELISAにより、高度に折り畳まれたsc-pMHC多量体の放出が確認された(図18B)。消化によって放出されたタンパク質は、3~8%Tris-Acetateゲルでの電気泳動、ニトロセルロースへのブロッティング、PBS+3%BSAでのブロッキング、および1μg/mLラット抗Flag(Biolegend)一次抗体と1:1000 Alexa647結合抗ラットIgG二次抗体(Invitrogen)による検出を使用して、ウエスタンブロットによっても試験された。ベンゾナーゼ放出sc-pMHCと比較して、またはインビトロ転写/翻訳上清からの上清と比較して、FokIに放出されたsc-pMHC多量体の移動が遅いことは、sc-pMHCの核酸識別子によるタグ付けの成功を実証する(図18C)。
【0241】
実施例26:ヒドロゲル/液滴に作製された単鎖多量体ペプチド-MHCの機能分析
この実施例は、本開示の方法によって生成されたsc-pMHCが同族のT細胞に特異的に結合することを実証している。実施例25に記載されるようにヒドロゲルから放出されたsc-pMHCは、フローサイトメトリーおよび単一細胞カプセル封入/シーケンシングによって、同族ペプチド拡大T細胞に特異的に結合することが確認された。
【0242】
フローについては、HPVペプチドまたはCMVペプチドのいずれかで拡大させた10個のドナーT細胞を、CMVペプチドをコードする鋳型から作製されたsc-pMHC多量体で、上記のようにバルク溶液または液滴に染色した。HEK細胞で作製された多量体CMVまたはHPV pMHCに対応する対照タンパク質も染色に使用した。すべてのpMHCをPBS+10%FBSで希釈し、二次として抗Flag-APC(Biolegend)を使用した。図19に示されるように、ヒドロゲル/液滴で作製されたCMV sc-pMHC多量体は、バルクまたはHEK細胞から作製されたものと同様に、CMV拡大T細胞の染色を示した。HPV拡大T細胞は、HEKで作製されたHPV pMHC多量体の染色に関して100%陽性に近かったにもかかわらず、液滴で作製されたCMV pMHC多量体はこれらの細胞では明らかに染色されず、特異性が確認された。
【0243】
単一細胞シーケンシングの場合、実施例21~25に記載される自己識別核酸識別子タグを含む液滴に作製されたCMV sc-pMHC多量体を、T7エキソヌクレアーゼ(NEB)で処置した。次に、CMV sc-pMHC多量体を、HEKで作製されたHPV pMHC多量体と混合し、個別の識別子で標識した。この抗原混合物を使用して、HPVおよびCMVで拡大したT細胞の混合物を染色し、その後、これらを単一細胞シーケンシングに供した。単一細胞シーケンシングは、ヒドロゲル/液滴で作製したCMV sc-pMHC多量体の優れた特異性を実証した。図20に示すように、液滴で生成されたCMV pMHCに対応するUMIは、HPVで拡大したT細胞ではなく、CMVペプチドで拡大したT細胞に関連している。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18-1】
図18-2】
図19
図20
【配列表】
2022518145000001.app
【国際調査報告】