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特表2022-518148治療薬としてのcGAS活性の阻害剤
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-14
(54)【発明の名称】治療薬としてのcGAS活性の阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 491/048 20060101AFI20220307BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20220307BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20220307BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220307BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220307BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20220307BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20220307BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20220307BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220307BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20220307BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220307BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
C07D491/048 CSP
A61P37/06
A61P27/02
A61P37/02
A61P17/00
A61P9/10
A61P1/18
A61P1/16
A61P1/04
A61P25/16
A61P43/00 111
A61K31/519
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539166
(86)(22)【出願日】2020-01-03
(85)【翻訳文提出日】2021-07-02
(86)【国際出願番号】 US2020012243
(87)【国際公開番号】W WO2020142729
(87)【国際公開日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】62/788,624
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521294302
【氏名又は名称】ベルブルック ラボズ,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】BELLBROOK LABS,LLC
【住所又は居所原語表記】Suite 230,5500 Nobel Drive,Madison,WI 53711,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ローリー,ロバート ジー.
(72)【発明者】
【氏名】クマール,ミーラー
(72)【発明者】
【氏名】ボクサー,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】マロニー,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ボイド,スーザン
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050AA07
4C050BB08
4C050CC16
4C050EE02
4C050FF02
4C050FF03
4C050FF04
4C050FF05
4C050GG04
4C050HH01
4C050HH04
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB22
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA33
4C086ZA40
4C086ZA66
4C086ZA75
4C086ZA89
4C086ZB05
4C086ZB08
4C086ZC20
(57)【要約】
本開示は、化合物、それらを含む医薬組成物、及び、I型インターフェロン(IFN)応答の不適切な活性化を治療または予防するための当該化合物及び組成物を、それらを必要とする対象において、使用する方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】
任意に、医薬として許容可能なその塩、N-オキシド、及び/または、溶媒和物、もしくは、水和物の形態である前記化合物であって、式中:
nは、整数0、1、2、3、または、4である;
とLは、それぞれ、独立して、結合、-C(O)-、-O-、-N(R)-、-S-、-S(O)1-2-、または、-OHで任意に置換したC-Cアルキルである;
は、水素、ハロゲン、-CN、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cアルキル、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cアルケニル、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cアルキニル、1つ以上R1Bで任意に置換したアリール、1つ以上のR1Bで任意に置換したヘテロアリール、1つ以上のR1Aで任意に置換したヘテロシクロアルキル、または、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cシクロアルキルから選択する;
は、1つ以上のR1Aで任意に置換した-C-Cアルキル-R、1つ以上のRで任意に置換したアリール、1つ以上のRで任意に置換したヘテロアリール、1つ以上のRで任意に置換したC-Cシクロアルキル、または、1つ以上のRで任意に置換したヘテロシクロアルキルから選択する、
は、-C(O)R1C、-C(O)OR1C、-C(O)NR1C1D、または、-S(O)0-2-R1Cである;
は、水素、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cアルキル、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cアルケニル、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cアルキニル、1つ以上のR1Bで任意に置換したアリール、1つ以上のR1Bで任意に置換したヘテロアリール、1つ以上のR1Aで任意に置換したヘテロシクロアルキル、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cシクロアルキル、-OR1C、-NR1C1D、-SR1C、-C(O)R1C、-C(O)OR1C、-C(O)NR1C1D、-C(O)NR1C1D、-S(O)1-2-R1C、または、-C(O)NR1D-S(O)1-2-R1C1Dである;
または、2つのRは、それらが結合する原子と共に互いに結合して、1つ以上のR1Aで任意に置換したヘテロシクロアルキル、または、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cシクロアルキルを形成する;及び
は、独立して、ハロゲン、-NO、-CN、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、-OH、C-Cアルコキシ、及び、C-Cハロアルコキシから選択する、
それぞれのRは、独立して、水素、または、C-Cアルキルである;
それぞれのR1Aは、独立して、オキソ、ハロゲン、-NO、-CN、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、-N、-NH、-NH(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)、-OH、C-Cアルコキシ、C-Cハロアルコキシ、-C(O)R1C、-C(O)OR1C、及び、-C(O)NR1C1Dからなる群から選択する;
それぞれのR1Bは、独立して、ハロゲン、-NO、-CN、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、-N、-NH、-NH(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)、-OH、C-Cアルコキシ、及び、C-Cハロアルコキシからなる群から選択する;
それぞれのR1Cは、独立して、水素、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cアルキル、1つ以上のR1Bで任意に置換したアリール(C-Cアルキル)、1つ以上のR1Aで任意に置換したヘテロアリール(C-Cアルキル)、1つ以上のR1Bで任意に置換したヘテロシクリル(C-Cアルキル)、1つ以上のR1Aで任意に置換したシクリル(C-Cアルキル)、及び、-S(O)-N(R)(R)からなる群から選択する;及び
それぞれのR1Dは、独立して、水素、または、C-Cアルキルである、前記化合物。
【請求項2】
が、結合、-C(O)-、-O-、または、-N(R)-である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、結合、-O-、または、-N(R)-である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、結合である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、-O-である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
を、水素、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cアルキル、1つ以上のR1Bで任意に置換したアリール、1つ以上のR1Bで任意に置換したヘテロアリール、1つ以上のR1Aで任意に置換したヘテロシクロアルキル、または、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cシクロアルキルから選択する、請求項1~5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
が、水素である、請求項1~5のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
が、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cアルキル、1つ以上のR1Bで任意に置換したアリール、1つ以上のR1Bで任意に置換したヘテロアリール、1つ以上のR1Aで任意に置換したヘテロシクロアルキル、または、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cシクロアルキルである、請求項1~5のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
が、1つ以上のR1Bで任意に置換したアリール、または、1つ以上のR1Bで任意に置換したヘテロアリールである、請求項1~5のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
が、水素である、請求項4に記載の化合物。
【請求項11】
が、水素、または、C-Cアルキルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項12】
が、-CNである、請求項4に記載の化合物。
【請求項13】
が、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cアルキル、1つ以上のR1Bで任意に置換したアリール、1つ以上のR1Bで任意に置換したヘテロアリール、1つ以上のR1Aで任意に置換したヘテロシクロアルキル、または、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cシクロアルキルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項14】
が、結合、-C(O)-、-O-、または-N(R)-である、請求項1~13のいずれかに記載の化合物。
【請求項15】
が、結合、または、-C(O)-である、請求項1~13のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
が、結合である、請求項1~13のいずれかに記載の化合物。
【請求項17】
が:
【化2】
であり、環Aは、4~8員のヘテロシクロアルキル環を表す、請求項15または16に記載の化合物。
【請求項18】
環Aが、ピロリジニル、アゼチジニル、または、ピペリジニルである、請求項1~16のいずれかに記載の化合物。
【請求項19】
が:
【化3】
の構造である、請求項1~16のいずれかに記載の化合物。
【請求項20】
が、構造:
【化4】
のS-エナンチオマーである、請求項1~16のいずれかに記載の化合物。
【請求項21】
が:
【化5】
の構造である、請求項1~16のいずれかに記載の化合物。
【請求項22】
が、構造:
【化6】
の2Sエナンチオマーである、請求項1~16のいずれかに記載の化合物。
【請求項23】
が、-C(O)OR1C、-C(O)NR1C1D、または、-S(O)0-2-R1Cである、請求項17~22のいずれかに記載の化合物。
【請求項24】
が、-C(O)OR1C(例えば、-C(O)OH)である、請求項17~22のいずれかに記載の化合物。
【請求項25】
が、-N(R)-である、請求項1~13のいずれかに記載の化合物。
【請求項26】
が、1つ以上のR1Aで任意に置換した ―C―Cアルキル-Rである、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
が、-C(O)OR1C、-C(O)NR1C1D、または、-S(O)0-2-R1Cである;または、Rが、-C(O)OR1C(例えば、-C(O)OH)である、請求項1~26のいずれかに記載の化合物。
【請求項28】
nが、0、1、または、2である;または、nが、0または1である、請求項1~27のいずれかに記載の化合物。
【請求項29】
を、独立して、ハロゲン、-CN、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、-OH、及び、C-Cアルコキシから選択する、請求項1~28のいずれかに記載の化合物。
【請求項30】
を、独立して、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、-OH、及び、C-Cアルコキシから選択する、請求項1~28のいずれかに記載の化合物。
【請求項31】
nが、0である、請求項1~27のいずれかに記載の化合物。
【請求項32】
(2-エチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-L-プロリン;
(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)グリシン;
(2-フェニルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-L-アラニン;
ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル-L-プロリン;
(2-フェニルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)グリシン;
1-(ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピペリジン-3-カルボン酸;
(2-エチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-L-プロリン;
(2-シクロプロピルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-L-プロリン;
(2-イソプロピルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-L-プロリン;
(2-シクロヘキシルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-L-プロリン;
(2-シクロブチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-L-プロリン;
(2-シクロペンチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-L-プロリン;
(2-フェニルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-L-プロリン;
N-(N、N-ジメチルスルファモイル)-1-(2-エチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボキサミド;
(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-L-プロリン;
N-(2-エチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-N-メチルグリシン;
N-(2-エチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-N-メチル-L-アラニン;
(2-(ピリジン-4-イル)ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-L-プロリン;
(S)-1-(2-エチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アゼチジン-2-カルボン酸;
(2-メトキシベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-L-プロリン;
4-メチル-1-(2-フェニルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
(2-シアノベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-L-プロリン;
4-メトキシ-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)グルタミン酸;
4-((1H-テトラゾール-5-イル)メチル)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
4-((1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
4-((4-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-4-(2-オキソ-2-(ピリジン-4-イルアミノ)エチル)ピロリジン-2-カルボン酸;
4-(2-メチル-2-(ピリジン-4-イル)プロパナミド)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
4-(2-((1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-2-オキソエチル)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
4-(2-(1H-ピラゾール-3-イル)アセトアミド)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
4-(2-(1H-ピラゾール-4-イル)アセトアミド)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
4-(2-(6-アミノピリジン-3-イル)アセトアミド)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-4-(2-(ピリジン-3-イル)アセトアミド)ピロリジン-2-カルボン酸;
4-(2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
4-(2-(1H-イミダゾール-2-イル)アセトアミド)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-4-(ピペリジン-3-イルアミノ)ピロリジン-2-カルボン酸;
1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-4-(ピリジン-4-イルアミノ)ピロリジン-2-カルボン酸;
1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-4-(ピリジン-3-イルアミノ)ピロリジン-2-カルボン酸;
4-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)アセトアミド)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-4-((4-フェニル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピロリジン-2-カルボン酸;
1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-4-(2-(5-メチルピリジン-3-イル)アセトアミド)ピロリジン-2-カルボン酸;
1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-4-ウレイドピロリジン-2-カルボン酸;
4-(アジリジン-2-カルボキサミド)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
4-(2-アミノ-2-オキソエチル)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-4-(2-オキソ-2-(ピリジン-2-イルアミノ)エチル)ピロリジン-2-カルボン酸;
4-(1H-イミダゾール-2-カルボキサミド)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-4-(2-(6-メチルピリジン-3-イル)アセトアミド)ピロリジン-2-カルボン酸;
4-(2-(2-アミノピリジン-3-イル)アセトアミド)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
4-(2-(2-カルバモイルピリジン-4-イル)アセトアミド)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
4-(2-(シクロペンチルアミノ)-2-オキソエチル)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-4-(2-オキソ-2-(フェニルアミノ)エチル)ピロリジン-2-カルボン酸;
4-((4-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
(1S、3S、5S)-2-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボン酸;
4-((1H-インダゾール-3-イル)アミノ)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
1-(7-フルオロ-2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-4-((4-フェニル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピロリジン-2-カルボン酸;
1-(7-フルオロ-2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-4-(2-メチル-2-(1H-ピラゾール-4-イル)プロパナミド)ピロリジン-2-カルボン酸;
4-(2-メチル-2-(1H-ピラゾール-4-イル)プロパナミド)-1-(2-(トリフルオロメチル)ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
4-((4-イソプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
4-(N-メチル-2-(ピリジン-4-イル)アセトアミド)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
4-(2-メチル-2-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)プロパナミド)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-4-(1-(ピリジン-4-イル)シクロプロパン-1-カルボキサミド)ピロリジン-2-カルボン酸;
1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-4-((4-(ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)ピロリジン-2-カルボン酸;
4-(メチル(4-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)アミノ)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
(4-((1H-テトラゾール-5-イル)メチル)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-イル)メタノール;
4-(2-メチル-2-(1H-ピラゾール-4-イル)プロパナミド)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-4-(2-(2-メチルピリジン-4-イル)アセトアミド)ピロリジン-2-カルボン酸;
1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アゼチジン-2-カルボン酸;
(7-フルオロ-2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-L-プロリン;
4-((1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
4-((1H-イミダゾール-4-イル)アミノ)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-4-(オキサゾール-2-イルアミノ)ピロリジン-2-カルボン酸;
1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-4-(1H-ピラゾール-3-カルボキサミド)ピロリジン-2-カルボン酸;
1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)-4-(1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)ピロリジン-2-カルボン酸;
4-(1H-イミダゾール-4-カルボキサミド)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸;
4-(2-(ジメチルアミノ)-2-オキソエチル)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸、
である請求項1に記載の化合物、あるいは、医薬として許容可能なその塩、N-オキシド、及び/または、溶媒和物、もしくは、水和物。
【請求項33】
前記化合物が、N-オキシドの形態である、請求項1~32のいずれかに記載の化合物。
【請求項34】
前記化合物が、医薬として許容可能な塩の形態である、請求項1~33のいずれかに記載の化合物。
【請求項35】
前記化合物が、主剤の形態である、請求項1~34のいずれかに記載の化合物。
【請求項36】
前記化合物が、溶媒和物または水和物の形態である、請求項1~35のいずれかに記載の化合物。
【請求項37】
前記化合物が、Mn2+の非存在下での活性化と比較して、Mn2+の存在下にて改善したcGAS活性化の阻害を示す(例えば、Mn2+の存在下では、Mn2+不含である以外は同一の条件下での化合物のIC50よりも、少なくとも5倍未満のIC50を示す)、請求項1~36のいずれかに記載の化合物。
【請求項38】
請求項1~37のいずれかに記載の化合物と、医薬として許容可能な担体、溶媒、アジュバント、または、希釈剤とを含む医薬組成物。
【請求項39】
それを必要とする対象でのI型インターフェロン(IFN)応答の不適切な活性化を治療または予防する方法であって、そのような治療を必要とする対象に対して、請求項1~37のいずれか1項に記載の1つ以上の化合物の有効量、または、請求項38に記載の医薬組成物の有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項40】
自己免疫障害を治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象に対して、請求項1~37のいずれか1項に記載の1つ以上の化合物の有効量、または、請求項38に記載の医薬組成物の有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項41】
前記自己免疫障害が、エカルディ・グティエール症候群、脳白質ジストロフィーを伴う網膜血管障害、エリテマトーデス、強皮症、シェーグレン症候群、加齢性黄斑変性症、膵炎、虚血、炎症性腸疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、または、パーキンソン病である、請求項40に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年1月4日に出願した、米国仮特許出願第62/788,624号の優先権の利益を主張するものであり、同出願の全内容を参照により本明細書で援用する。
【0002】
開示の分野
本開示は、化合物、それらを含む医薬組成物、及び、I型インターフェロン(IFN)応答の不適切な活性化を治療または予防するための当該化合物及び組成物を、それらを必要とする対象において、使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
サイクリックGMP-AMPシンターゼ(cGAS)(UniProtKB-Q8N884)は、最近になって発見された酵素であり、インターフェロン遺伝子(STING)受容体の刺激因子の活性化を介して、病原体に対する免疫応答を誘発するDNAセンサーとして機能する。2013年に発見されてからほどなく、自己DNAに起因するcGASの異常な活性化が、全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症、エカルディ・グティエール症候群(AGS)などの消耗性自己免疫疾患、及び、場合によっては致命的な自己免疫疾患の根幹に関わっていることが明らかになった。動物モデルでのノックアウト研究は、cGASの阻害が、治療的介入のための有望な手法であることを示している。加えて、最近の研究は、cGAS-STING経路が、腫瘍に対する自然免疫応答において重要な役割を果たしており、また、経路を刺激することが、がん免疫療法について臨床的試験が行われている有望な戦略である、ことを示している。
【0004】
AGS、または、その他のあらゆる単一遺伝子型I型インターフェロノパシーに対して特定の承認を受けた薬剤は無い。現在の治療選択肢は、静脈内免疫抑制剤または経口免疫抑制剤、及び、急性期での静脈内免疫グロブリンに限定されており、大抵の場合、フレアの制御は部分的なものでしかない。同様に、SLEは、市販の抗炎症薬、コルチコステロイド、それに、シクロホスファミドやメトトレキサートなどの免疫抑制薬で治療を行っているが、がんなどの重篤な副作用がある。SLEに関して承認を受けた唯一の標的療法は、B細胞活性化因子(BAFF)に対するモノクローナル抗体(mAb)であるBENLYSTA(ベリムマブ)である。BENLYSTAは、重度のフレアのリスクを軽減し、そして、ほとんどの患者に対して、低用量で免疫抑制剤を投与できるが、治癒的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、cGAS活性を効果的に阻害し、かつ、cGASの異常な活性化に起因する疾患を治療することができる化合物が、依然として待望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、cGAS活性の新規の阻害剤を提供する。したがって、本開示のある態様は、式(I)の化合物:
【化1】
任意に、医薬として許容可能なその塩、N-オキシド、及び/または、溶媒和物、または、水和物の形態である当該化合物を提供しており、式中:
nは、整数0、1、2、3、または、4である;
とLは、それぞれ、独立して、結合、-C(O)-、-O-、-N(R)-、-S-、-S(O)1-2-、または、-OHで任意に置換したC-Cアルキルである;
は、水素、ハロゲン、-CN、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cアルキル、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cアルケニル、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cアルキニル、1つ以上R1Bで任意に置換したアリール、1つ以上のR1Bで任意に置換したヘテロアリール、1つ以上のR1Aで任意に置換したヘテロシクロアルキル、または、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cシクロアルキルから選択する;
は、1つ以上のR1Aで任意に置換した-C-Cアルキル-R、1つ以上のRで任意に置換したアリール、1つ以上のRで任意に置換したヘテロアリール、1つ以上のRで任意に置換したC-Cシクロアルキル、または、1つ以上のRで任意に置換したヘテロシクロアルキルから選択する、
は、-C(O)R1C、-C(O)OR1C、-C(O)NR1C1D、または、-S(O)0-2-R1Cである;
は、水素、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cアルキル、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cアルケニル、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cアルキニル、1つ以上のR1Bで任意に置換したアリール、1つ以上のR1Bで任意に置換したヘテロアリール、1つ以上のR1Aで任意に置換したヘテロシクロアルキル、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cシクロアルキル、-OR1C、-NR1C1D、-SR1C、-C(O)R1C、-C(O)OR1C、-C(O)NR1C1D、-C(O)NR1C1D、-S(O)1-2-R1C、または、-C(O)NR1D-S(O)1-2-R1C1Dである;
または、2つのRは、それらが結合する原子と共に互いに結合して、1つ以上のR1Aで任意に置換したヘテロシクロアルキル、または、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cシクロアルキルを形成する;及び
は、独立して、ハロゲン、-NO、-CN、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、-OH、C-Cアルコキシ、及び、C-Cハロアルコキシから選択する、
それぞれのRは、独立して、水素、または、C-Cアルキルである;
それぞれのR1Aは、独立して、オキソ、ハロゲン、-NO、-CN、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、-N、-NH、-NH(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)、-OH、C-Cアルコキシ、C-Cハロアルコキシ、-C(O)R1C、-C(O)OR1C、及び、-C(O)NR1C1Dからなる群から選択する;
それぞれのR1Bは、独立して、ハロゲン、-NO、-CN、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、-N、-NH、-NH(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)、-OH、C-Cアルコキシ、及び、C-Cハロアルコキシからなる群から選択する;
それぞれのR1Cは、独立して、水素、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cアルキル、1つ以上のR1Bで任意に置換したアリール(C-Cアルキル)、1つ以上のR1Aで任意に置換したヘテロアリール(C-Cアルキル)、1つ以上のR1Bで任意に置換したヘテロシクリル(C-Cアルキル)、及び1つ以上のR1Aで任意に置換したシクリル(C-Cアルキル)からなる群から選択する;及び
それぞれのR1Dは、独立して、水素、または、C-Cアルキルである。
【0007】
本開示の別の態様は、本開示の化合物の1つ以上(例えば、式(I)に関して先に説明した化合物)と、適切な担体、溶媒、アジュバント、または、希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0008】
また、本開示は、I型インターフェロン(IFN)応答の不適切な活性化を、それを必要とする対象において、治療または予防する方法を提供しており、上記した式(I)の化合物の1つ以上の有効量を、当該対象に対して投与することを含む。
【0009】
本明細書に開示した方法の実施形態では、I型IFN応答の不適切な活性化は、自己免疫障害(例えば、エカルディ・グティエール症候群(AGS)、脳白質ジストロフィーを伴う網膜血管障害(RVCL)、エリテマトーデス(SLE)、強皮症、または、シェーグレン症候群(SS))を含む。本開示のその他の態様は、本明細書の開示を考慮すれば、当業者に自明の事項である。
【0010】
本開示の別の態様は、自己免疫障害を治療する方法を提供しており、この方法は、そのような治療を必要とする対象に対して、本開示の1つ以上の化合物(例えば、式(I)に関して先に説明した化合物)の有効量、または、本開示の医薬組成物の有効量を投与することを含む。
【0011】
この態様の特定の実施形態では、自己免疫障害は、AGS、RVCL、SLE、強皮症、SS、加齢性黄斑変性症(AMD)、膵炎、虚血(例えば、虚血性傷害)、炎症性腸疾患(IBD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、または、パーキンソン病である。
【0012】
本発明のこれらの及びその他の特徴及び利点は、添付した特許請求の範囲に加えて、以下の詳細な説明によって、理解をさらに深めることができる。特許請求の範囲は、本明細書での記載によって定義されるものであり、本明細書に記載した特徴及び利点に関する特定の説明によるものではない、ことに留意されたい。
【0013】
添付した図面は、本開示の組成物と方法の理解を深めるために提供しており、そして、本明細書に取り入れることで、本明細書の一部を構成している。図面は、本開示の1つ以上の実施形態(複数可)を例示しており、説明と共に、本開示の原理及び動作を説明する役割を担っている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】細胞質DNAによるcGASの活性化が、I型インターフェロン(IFN-I)の誘導を介して、自然免疫応答の活性化を開始することを示す概略図である。
図2A】cGASアッセイの原理を示す概略図である:酵素的に生成したサイクリックGAMP(cGAMP)は、蛍光トレーサーを、mAbから移動させて、その分極を抑える。
図2B】精製6×HIS-cGAS(レーン1)、及び、cGAS-6×His(レーン2)のクーマシーブルー染色SDSゲル(上方)、及び、ウエスタンブロット(下方)の画像である。Z=0.62、Z’=0.7。
図2C】精製した全長ヒトcGASの検出を示すプロットである:cGAS酵素反応は、100μM ATP及びGTP、62.5nM 45bp ISD、60分の反応を含んでいた。
図2D】3,200個の化合物のスクリーニング結果を示すプロット(100K-化合物のスクリーニングの一部)である:(C)のような反応条件:cGASを、10nMで使用し、化合物は、20μMであった;60分の反応;ネガティブコントロールは、(cGAS活性化に必要な)dsDNAを欠いていた;Z=0.62、Z’=0.7。
図2E】HTSワークフローを示す概略図である:医薬化学/SARへ移行する上で望ましくない化合物を選別し、cGAS阻害剤を選択するために使用する一次スクリーニング、及び、フォローアップアッセイ(NSI-非化学量論的阻害、MOA-作用機序、SPR-表面プラズモン共鳴、TSA-サーマルシフトアッセイ)。
図2F】ヒトcGASの活性サイズに結合した(共結晶のX線構造から得た)化合物15の共結晶構造を示す画像である。
図3】cGASリード分子の開発の概略図である:生化学及び細胞SAR、構造モデリング、及び、ADME/PK試験が教示する医薬化学の反復ラウンドを使用して、滞留時間の長いアロステリック阻害剤に重点を置きながら、効力、選択性、及び、CNSの有効性を改善する。
図4】cGASに結合した化合物15(濃い灰色)を示す画像であり、Tyr436とArg376との相互作用、そして、Arg302とAsp227との間の距離を示している。
図5A】THP1デュアル細胞レポーターシステムを示す概略図:分泌したルシフェラーゼは、IRF3駆動性転写を報告する;分泌したアルカリホスファターゼは、両方とも、cGAS/STINGの下流で、NFκB駆動性転写について報告をする。THP-デュアルcGASノックアウト細胞は、非特異的効果を試験するために使用する。
図5B】化合物15によるLuc発現の阻害に関する用量反応のプロットである。
図5C】TBK1阻害剤、BX-795によるLuc発現の阻害に関する用量反応のプロットである。
図5D】化合物15によるSEAP発現の阻害に関する用量反応のプロットである。
図6A】開示の化合物のIFNβ発現の活性を例示している。
図6B】THP1デュアル細胞での化合物28のcGAS/STING駆動プロモーター由来のレポーター遺伝子の阻害を示している。
図6C】THP1デュアル細胞での化合物28のISG mRNA発現を例示している。200μMの濃度の化合物28を、24時間後に評価した。結果は、β-アクチンに対して正規化した。
図7】開示した幾つかの化合物について、細胞力価Glo ATPアッセイを使用した細胞傷害性評価を例示している。これらの細胞を、試験化合物で、24時間処理した。ポジティブコントロールとして、MnClを使用した。
【発明を実施するための形態】
【0015】
開示したプロセス及び材料を説明する前に、本明細書に記載する態様が、特定の実施形態に限定されるものではなく、したがって、当然のことながら、変更し得ることを理解されたい。本明細書で使用する用語は、特定の態様を説明することだけを目的としており、本明細書で特に定義していない限り、限定を意図するものではない、ことも理解されたい。
【0016】
当業者であれば、本開示を考慮して、本明細書に記載した方法及び組成物を、所望の要求を満足するように構成することができる。一般的に、開示した材料及び方法は、cGASの異常な活性化に関連する疾患または障害の治療において改善をもたらす。具体的には、本発明者らは、本開示の化合物がcGAS活性を阻害し、したがって、I型IFN応答の不適切な活性化を治療または予防できることを知見するに至った。本開示の化合物は、式(I)に関して一般的に定義をしており、そして、様々な亜属については、以下のように、本明細書で定義する。
【0017】
したがって、本開示のある態様は、式(I)の化合物:
【化2】

任意に、医薬として許容可能なその塩、N-オキシド、及び/または、溶媒和物、または、水和物の形態である当該化合物を提供しており、式中、n、L、L、R、R、及び、Rは上記した通りである。
【0018】
本開示のある実施形態は、本明細書に記載した式(I)の化合物を提供しており、式中、Lは、結合、-C(O)-、-O-、または、-N(R)-である。特定の実施形態では、式(I)の化合物は、Lが、結合、-O-、または、-N(R)-である。特定の実施形態では、式(I)の化合物は、Lが、結合である。特定の実施形態では、式(I)の化合物は、Lが、-O-である。
【0019】
本開示の別の実施形態は、本明細書に記載した式(I)の化合物を提供しており、Rを、水素、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cアルキル、1つ以上のR1Bで任意に置換したアリール、1つ以上のR1Bで任意に置換したヘテロアリール、1つ以上のR1Aで任意に置換したヘテロシクロアルキル、または、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cシクロアルキルから選択する。特定の実施形態では、式(I)の化合物は、Rが、水素である。特定の実施形態では、式(I)の化合物は、Rが、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cアルキル、1つ以上のR1Bで任意に置換したアリール、1つ以上のR1Bで任意に置換したヘテロアリール、1つ以上のR1Aで任意に置換したヘテロシクロアルキル、または、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cシクロアルキルである。特定の実施形態では、式(I)の化合物は、Rが、1つ以上のR1Bで任意に置換したアリール、または、1つ以上のR1Bで任意に置換したヘテロアリールである。
【0020】
特定の実施形態では、本明細書に記載した式(I)の化合物は、Lが結合であり、かつ、Rが水素である。
【0021】
特定の実施形態では、本明細書に記載した式(I)の化合物は、Lが結合であり、かつ、Rが-CNである。
【0022】
特定の実施形態では、本明細書に記載した式(I)の化合物は、Lが結合であり、かつ、Rが、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cアルキル、1つ以上のR1Bで任意に置換したアリール、1つ以上のR1Bで任意に置換したヘテロアリール、1つ以上のR1Aで任意に置換したヘテロシクロアルキル、または、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cシクロアルキルである。
【0023】
特定の実施形態では、本明細書に記載した式(I)の化合物は、Lが、-O-であり、かつ、Rが、水素またはC-Cアルキルである。
【0024】
本開示の別の実施形態は、本明細書に記載した式(I)の化合物を提供しており、Lは、結合、-C(O)-、-O-、または、-N(R)-である。特定の実施形態では、式(I)の化合物は、Lが、結合、または、-C(O)-である。特定の実施形態では、式(I)の化合物は、Lが、結合である。
【0025】
本開示のある実施形態は、本明細書に記載した式(I)の化合物を提供しており、Rは、1つ以上のRで任意に置換したヘテロシクロアルキルである。特定の実施形態では、式(I)の化合物は、Rが、2つのRで任意に置換したヘテロシクロアルキルである。特定の実施形態では、式(I)の化合物は、Rが、
【化3】
であり、環Aは、4~8員のヘテロシクロアルキル環を表す。特定の実施形態では、式(I)の化合物は、Lが結合であり、かつR2が:
【化4】
であり、環Aは、4~8員のヘテロシクロアルキル環を表す。特定の実施形態では、本明細書に記載した式(I)の化合物は、環Aが、ピロリジニル、アゼチジニル、または、ピペリジニルである。特定の実施形態では、本明細書に記載した式(I)の化合物は、環Aが、ピロリジニルである。
【0026】
例えば、特定の実施形態では、Rは、構造:
【化5】
のものである。特定のその他の実施形態では、Rは、構造:
【化6】
のS-エナンチオマーである。特定のその他の実施形態では、Rは、構造:

【化7】
のものである。特定のその他の実施形態では、Rは、構造
【化8】
の2S-エナンチオマーである。
【0027】
本開示の別の実施形態は、本明細書に記載した式(I)の化合物を提供しており、Rが、-C(O)OR1C、-C(O)NR1C1D、または、-S(O)0-2-R1Cである。特定の実施形態では、Rが、-C(O)OR1Cである。例えば、特定の実施形態では、Rが、-C(O)OHである。特定の実施形態では、Rを、2つのRで置換しており、Rの内の少なくとも1つは、-C(O)OR1C、-C(O)NR1C1D、または、-S(O)0-2-R1Cである。
【0028】
本開示のある実施形態は、本明細書に記載した式(I)の化合物を提供しており、Lは、-N(R)-である。特定の実施形態では、式(I)の化合物は、Lが-N(R)-であり、かつ、Rが、1つ以上のR1Aで任意に置換した-C-Cアルキル-Rである。
【0029】
本開示の別の実施形態は、本明細書に記載した式(I)の化合物を提供しており、Rが、-C(O)OR1C、-C(O)NR1C1D、または、-S(O)0-2-R1Cである。特定の実施形態では、式(I)の化合物は、Rが、-C(O)OR1Cである。例えば、特定の実施形態では、Rは、-C(O)OHである。
【0030】
本開示のある実施形態は、本明細書に記載した式(I)の化合物を提供しており、nは、0、1、または、2である。特定の実施形態では、式(I)の化合物は、nが、0または1である。特定の実施形態では、式(I)の化合物は、nが、0である。
【0031】
特定の実施形態では、本明細書に記載した式(I)の化合物は、Rを、独立して、ハロゲン、-CN、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、-OH、及び、C-Cアルコキシから独立して選択する。特定の実施形態では、Rを、独立して、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、-OH、及び、C-Cアルコキシから選択する。
【0032】
特定の実施形態では、本明細書で別途に記載した式(I)の化合物は、実施例3に記載した化合物の1つである。
【0033】
特定の実施形態では、開示は、Mn2+の存在下では、Mn2+不含である以外は同一の条件下での化合物のIC50よりも、少なくとも5倍小さいIC50を示すcGAS阻害剤化合物(例えば、上記した式(I)の化合物)も提供する。
【0034】
本開示のある実施形態では、本明細書で別途に開示した化合物(例えば、式(I)の化合物、または、実施例3に列挙した化合物)は、N-オキシドの形態である。
【0035】
本開示のある実施形態では、本明細書で別途に開示した化合物(例えば、式(I)の化合物、または、実施例3に列挙した化合物)は、医薬として許容可能な塩の形態である。当業者であれば、以下にさらに詳細に記載したように、医薬として許容可能な様々な塩を提供し得ることを理解する。当業者であれば、句「任意に、医薬として許容可能な、塩、または、N-オキシド、または、溶媒和物、または、水和物の形態で」が、医薬として許容可能なN-オキシドの塩の形態の化合物を含む、ことを理解する。しかし、上記した特定の実施形態では、化合物は、医薬として許容可能な塩の形態ではない。したがって、ある実施形態では、本明細書で別途に開示した化合物は、主剤の形態である。
【0036】
本開示のある実施形態では、本明細書で別途に開示した化合物(例えば、式(I)の化合物、または、実施例3に列挙した化合物)は、溶媒和物、または、水和物の形態である。当業者であれば、様々な溶媒和物、及び/または、水和物を形成し得ることを理解する。当業者であれば、「任意に、医薬として許容可能な塩、または、N-オキシド、または、溶媒和物、または、水和物の形態で」が、上記したような、主剤の溶媒和物、及び、水和物、医薬として許容可能な塩、及び、N-オキシドの形態の化合物を含む、ことを理解する。しかし、上記した特定の実施形態では、化合物は、溶媒和物または水和物の形態ではない。
【0037】
本開示のある実施形態では、本明細書で別途に開示した化合物(例えば、式(I)の化合物、または、実施例3に列挙した化合物)は、N-オキシドの形態である。しかし、上記した特定の実施形態では、化合物は、N-オキシドの形態ではない。
【0038】
治療への応用
本発明者らは、特定の実施形態では、本明細書に記載した化合物が、cGASを阻害できることを突き止めた。したがって、本開示のある態様は、それを必要とする対象でのI型インターフェロン(IFN)応答の不適切な活性化を治療または予防する方法を提供しており、当該方法は、当該対象に対して、本明細書に記載した1つ以上の化合物(例えば、式(I)の化合物、または、実施例3で提供した化合物)の有効量、または、本明細書に記載した本開示の医薬組成物の有効量を投与することを含む。本明細書に別途記載した方法の特定の実施形態では、I型IFNの不適切な活性化は、自己免疫障害を含む。特定のそのような実施形態では、自己免疫障害は、エカルディ・グティエール症候群、脳白質ジストロフィーを伴う網膜血管障害、エリテマトーデス、強皮症、または、シェーグレン症候群である。
【0039】
本開示は、自己免疫障害を治療する方法も提供する。そのような方法は、そのような治療を必要とする対象に対して、本明細書に記載した本開示の1つ以上の化合物の有効量、または、本明細書に記載した本開示の医薬組成物の有効量を投与することを含む。
【0040】
数多くの異なる自己免疫障害を、本開示の化合物、及び、組成物で治療することができる。本開示の方法での治療に特に適した自己免疫障害として、エカルディ・グティエール症候群、脳白質ジストロフィーを伴う網膜血管障害、エリテマトーデス、強皮症、及び、シェーグレン症候群があるが、これらに限定されない。
【0041】
また、本明細書に記載した本開示の化合物及び組成物は、1つ以上の第2の治療薬と組み合わせて投与し得る。したがって、特定の実施形態では、この方法は、そのような治療を必要とする対象に対して、本明細書に記載した本開示の1つ以上の化合物(例えば、式(I)の化合物、または、実施例3で提供した化合物)の有効量、または、本明細書に記載した本開示の医薬組成物の有効量と、1つ以上の第2の治療薬を投与することを含む。
【0042】
本開示の化合物、及び、別の治療薬の使用を定義する際の「併用療法」は、混合薬の有益な効果を提供するレジメンにおいて、それぞれの作用物質の連続的な投与を含むことを意図しており(例えば、本明細書に記載した本開示の化合物及び組成物、ならびに、第2の治療薬を、連続して与える別個の組成物として製剤することができる)、これらの活性薬剤を固定比率で有する単一のカプセル、または、それぞれの薬剤が入った複数または個別のカプセルなどで、これらの作用物質を、実質的に同時に同時投与することを含む、ことも意図している。本開示は、投与の順序を限定しない:本開示の化合物及び組成物は、第2の治療薬の投与の前後に(すなわち、連続して)、または、一緒(すなわち、同時)に投与し得る。
【0043】
特定の実施形態では、第2の治療薬は、同治療薬の確立した最大阻害濃度の半分(IC50)未満の量で投与し得る。例えば、第2の治療薬は、阻害濃度(IC50)の1%未満、例えば、10%未満、または、25%未満、または、50%未満、または、75%未満、または、さらには、90%未満の量で投与し得る。
【0044】
医薬組成物
別の態様では、本開示は、式(I)に関して上記した化合物の1つ以上と、適切な担体、溶媒、アジュバント、または、希釈剤とを含む組成物を提供する。担体、溶媒、アジュバント、または、希釈剤の厳密な性質は、組成物の所望の使用によって定まるものであり、獣医学的使用に好適である、または、獣医学的使用が許容されている組成物から、ヒトへの使用に好適である、または、ヒトへの使用が許容されている組成物にまで及び得る。
【0045】
本開示の化合物は、例えば、経口、局所、非経口、吸入、または、噴霧によって、または、1つ以上の医薬として許容可能な担体、希釈剤、または、賦形剤を含む剤形で直腸に投与することができる。本明細書で使用する非経口という用語は、経皮的、皮下、血管内(例えば、静脈内)、筋肉内、または、髄腔内注射、または、注入技術などを含む。本開示の化合物を含む薬剤は、本明細書に記載したような、あらゆる適切な製剤及び剤形で提供することができる。
【0046】
医薬組成物は、本明細書で開示した化合物を使用して作り出すことができる。例えば、ある実施形態では、医薬組成物は、いずれか1つの構造式を参照して、上記したように、医薬として許容可能な担体、希釈剤、または、賦形剤と、化合物とを含む。
【0047】
本明細書で開示した医薬組成物では、本開示の1つ以上の化合物は、1つ以上の医薬として許容可能な担体、希釈剤、または、賦形剤、及び、必要に応じて、その他の活性成分と関連して存在し得る。本開示の化合物を含む医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ、ドロップ、水性または油性の懸濁液、分散性の粉末または顆粒、乳濁液、硬質または軟質のカプセル、または、シロップまたはエリキシル剤として、経口使用に適した形態とし得る。
【0048】
経口的用途を目的とした組成物は、医薬組成物の製造に適したあらゆる方法に従って調製することができ、そのような組成物は、医薬として申し分なく、かつ、口当たりの良好な製剤を提供するために、甘味料、香味料、着色剤、及び、防腐剤からなる群から選択する1つ以上の薬剤を含み得る。錠剤は、錠剤の製造に適した無毒の医薬として許容可能な賦形剤と混合した有効成分を含有している。これらの賦形剤を、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、または、リン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;造粒剤、及び、崩壊剤、例えば、コーンスターチ、または、アルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチンまたはアカシア、及び、潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、または、タルクとすることができる。錠剤を、コーティングしないままとすることができる、または、公知の技術で、コーティングすることができる。一部の事例では、そのようなコーティングは、胃腸管での崩壊及び吸収を遅延させ、それにより、長期間にわたって持続的な作用を提供する適切な技術で調製することができる。例えば、グリセリルモノステアレート、または、グリセリルジステアレートなどの時間遅延材料を使用することができる。
【0049】
また、経口的用途のための製剤は、有効成分を、不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、または、カオリンと混合しているハードゼラチンカプセルとして、または、有効成分を、水または油性媒体、例えば、ピーナッツ油、液体パラフィン、または、オリーブ油と混合しているソフトゼラチンカプセルとして提示することができる。経口的用途のための製剤は、トローチとして提示することもできる。
【0050】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合した活性物質を含有する。そのような賦形剤を、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム、及び、アカシアガム;天然に存在するホスファチドなどの分散剤または湿潤剤、例えば、レシチン、または、脂肪酸とのアルキレンオキシドの縮合産物、例えば、ポリオキシエチレンステアレート、または、長鎖脂肪族アルコールとのエチレンオキシドの縮合産物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、または、脂肪酸とヘキシトール無水物に由来する部分エステルとのエチレンオキシドの縮合産物、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなど、または、脂肪酸とヘキシトール無水物に由来する部分エステルとのエチレンオキシドの縮合産物、例えば、ポリエチレンソルビトールモノオレエートとすることができる。水性懸濁液は、1つ以上の防腐剤、例えば、エチル、または、n-プロピルp-ヒドロキシベンゾエート、1つ以上の着色剤、1つ以上の香味剤、及び、1つ以上の甘味剤、例えば、スクロース、または、サッカリンも含み得る。
【0051】
油性懸濁液は、活性成分を、植物油、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、または、ココナッツ油、または、液体パラフィンなどの鉱油に懸濁して製剤することができる。これらの油性懸濁液は、増粘剤、例えば、蜜ロウ、硬質パラフィン、または、セチルアルコールを含み得る。甘味料及び香味料を添加して、口当たりの良好な経口製剤を提供し得る。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤を添加して保存し得る。
【0052】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末及び顆粒は、分散剤または湿潤剤、懸濁剤、及び、1つ以上の防腐剤と混合した有効成分を提供する。適切な分散剤、または、湿潤剤、または、懸濁剤は、すでに上記にて例示している。さらなる賦形剤、例えば、甘味料、香味料、及び、着色剤もまた、存在させることができる。
【0053】
医薬組成物を、水中油型エマルジョンの形態とすることができる。油相を、植物油、または、鉱油、または、これらの混合物とすることができる。適切な乳化剤は、天然に存在するガム、例えば、アラビアガム、または、トラガカントガム、天然に存在するホスファチド、例えば、大豆、レシチン、及び、脂肪酸とヘキシトール無水物に由来するエステルまたは部分エステル、例えば、モノオレイン酸ソルビタン、及び、エチレンオキシドとの当該部分エステルの縮合産物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートとすることができる。乳濁液は、甘味料、及び、香味料を含むこともできる。
【0054】
一部の実施形態では、医薬として許容可能な担体、希釈剤、または、賦形剤は、水ではない。その他の実施形態では、水は、組成物の50%未満を構成する。一部の実施形態では、50%未満の水を含む組成物は、少なくとも1%、2%、3%、4%、または、5%の水を含む。その他の実施形態では、水分含有量は、組成物において、微量で存在する。
【0055】
一部の実施形態では、医薬として許容可能な担体、希釈剤、または、賦形剤は、アルコールではない。その他の実施形態では、アルコールは、組成物の50%未満を構成する。一部の実施形態では、50%未満のアルコールを含む組成物は、少なくとも1%、2%、3%、4%または5%のアルコールを含む。その他の実施形態では、アルコール含有量は、組成物において、微量で存在する。
【0056】
シロップ、及び、エリキシル剤は、甘味料、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、グコース、または、スクロースと共に製剤することができる。そのような製剤は、粘滑剤、防腐剤、香味料、及び、着色剤を含むこともできる。医薬組成物は、無菌の注射可能な水性または油性の懸濁液の形態とすることができる。この懸濁液は、上記した適切な分散剤または湿潤剤、及び、懸濁剤を使用して、公知の技術に従って製剤することができる。また、無菌の注射可能な調製物は、非毒性非経口を許容する希釈剤または溶媒での無菌の注射可能な溶液または懸濁液、例えば、1,3-ブタンジオールの溶液とすることができる。使用できる許容可能なビヒクル及び溶媒として、水、リンゲル液、及び、等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、無菌の固定油を、溶媒または懸濁媒体として使用することができる。この目的のために、合成モノグリセリド、または、ジグリセリドなどのあらゆる無菌性固定油を使用することができる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸は、注射剤の調製に用途がある。
【0057】
本開示の化合物は、例えば、薬物の直腸投与のために、坐剤の形態で投与することもできる。これらの組成物は、常温では固体であるが、直腸温度では液体であり、したがって、直腸で溶融して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と、化合物を混合して調製することができる。このような材料として、カカオバターやポリエチレングリコールがある。
【0058】
本開示の化合物は、無菌媒体で非経口的に投与することもできる。薬物は、ビヒクル及び使用する濃度に応じて、ビヒクルに懸濁または溶解することができる。有利には、局所麻酔薬、防腐剤、及び、緩衝剤などのアジュバントを、ビヒクルに溶解することができる。
【0059】
組成物は、有効成分の単位剤形で製剤することができる。用語「単位剤形」とは、ヒト対象、及び、その他の哺乳動物の単位投与量として適切な物理的に別個の単位のことを指しており、それぞれの単位は、適切な医薬賦形剤と関連して、所望の治療効果を生み出すように計算した所定量の活性物質を含む。
【0060】
活性化合物は、広範な投与量範囲にわたって有効とすることができ、一般的に、医薬として有効な量で投与する。しかしながら、実際に投与する化合物の量は、通常は、治療する状態、選択した投与経路、実際に投与する化合物、年齢、個々の患者の体重、反応、患者の症状の重症度などによって医師が決定する、ことを理解されたい。
【0061】
錠剤などの固体組成物を調製するために、主要な有効成分を、医薬賦形剤と混合して、本明細書に記載した化合物の均一な混合物を含む固体の予備製剤組成物を形成する。これらの予備製剤組成物が均質であれば、一般的に、有効成分は、組成物全体に均一に分散し、その結果、組成物は、有効性が同等である錠剤、ピル、カプセルなどの単位剤形に容易に細分できる。次いで、この固体予備製剤を、例えば、0.1~約500mgの本明細書に記載した化合物の有効成分を含む、上記したタイプの単位剤形に細分する。
【0062】
錠剤またはピルを、コーティングして、または、その他の方法で配合して、長期作用の利点をもたらす剤形を提供することができる。例えば、錠剤またはピルは、内部調剤、及び、外部調剤成分を含むことができ、後者は、前者を覆うエンベロープの形態である。2つの成分は、胃での崩壊に抵抗して、内部成分がそのまま十二指腸を通過する、または、放出を遅延させる上で役立つ腸溶性層で分離することができる。様々な材料を、そのような腸溶性層またはコーティングに使用することができ、そのような材料として、数多くのポリマー酸、及び、ポリマー酸と、シェラック、セチルアルコール、及び、酢酸セルロースなどの材料との混合物がある。
【0063】
患者に対して投与する化合物または組成物の量は、投与する実体、予防または治療などの投与の目的、患者の状態、投与方法などに応じて変化する。治療用途において、疾患、及び、その合併症の症状を治癒する、または、少なくとも部分的に阻止する上で十分な量でもってして、組成物を、すでに疾患に罹患している患者に対して投与することができる。有効量は、治療を行っている病状、ならびに、疾患の重症度、年齢、体重、患者の全身状態などの要因に応じて主治医が下した判断によって定まる。
【0064】
患者に投与する組成物は、上記した医薬組成物の形態とすることができる。これらの組成物は、従来の滅菌技術で滅菌することができ、または、滅菌濾過し得る。水溶液を、そのまま使用するために包装するか、または、凍結乾燥することができ、凍結乾燥した調製物を、投与前に滅菌水性担体と組み合わせる。化合物調製物のpHは、一般的には、3~11の間であり、より好ましくは、5~9であり、最も好ましくは、7~8である。前掲の賦形剤、担体、または、安定剤の幾つかを使用することで、医薬塩が形成される、ことを理解されたい。
【0065】
化合物の治療用量は、例えば、治療が行われる特定の用途、化合物の投与方法、患者の健康及び状態、及び、処方する医師の判断に従って変化する。医薬組成物での本明細書に記載した化合物の割合または濃度は、投与量、化学的特性(例えば、疎水性)、及び、投与経路を含む数多くの要因に応じて変化する。例えば、本明細書に記載した化合物は、非経口投与のために、約0.1~約10%w/vの化合物を含む生理学的緩衝水溶液で提供することができる。一部の一般的な用量範囲は、約1μg/kg/日~約1g/体重kg/日の範囲である。一部の実施形態では、用量範囲は、約0.01mg/kg/日~約100mg/体重kg/日である。投与量は、疾患または障害の種類及び進行の程度、特定の患者の全体的な健康状態、選択した化合物の相対的な生物学的有効性、賦形剤の処方内容、及び、その投与経路などの変数に応じて変化しやすい。有効量は、インビトロまたは動物モデル試験システムから得た用量反応曲線から推定することができる。
【0066】
本明細書に記載した化合物は、抗ウイルス剤、ワクチン、抗体、免疫増強剤、免疫抑制剤、抗炎症剤などのあらゆる医薬品を含むことができる1つ以上のさらなる有効成分と組み合わせて製剤することもできる。
【0067】
定義
本明細書で使用する以下の用語及び表現は、そこに示した意味を有する。
【0068】
本発明を説明する関係で(特に、以下の特許請求の範囲で)使用する用語「a」、「an」、「the」、及び、同様の指示対象は、本明細書で特に断りの無い限り、または、文脈から明らかに矛盾していない限り、単数形及び複数形の両方を含むものと解釈すべきである。本明細書での値の範囲に関する記載は、範囲内にある個々の値を個別に参照する簡便な方法として機能させることを目的としている。本明細書で特に断りの無い限り、個々の値は、本明細書に個別に記載しているかの如く組み込んでいる。本明細書では、範囲を、ある特定の値に関する「約」から、及び/または、別の特定の値に関する「約」まで、として表すことができる。範囲を表現する場合に、別の態様は、ある特定の値から、及び/または、その他の特定の値までを含む。同様に、値を近似値として表す場合、先行詞「約」を使用することで、特定の値が、別の態様を形成することが理解される。さらに、それぞれの範囲の終点は、その他の終点に関して、及び、その他の終点とは独立して、重要であることが理解される。
【0069】
本明細書に記載したすべての方法は、本明細書で特に断りの無い限り、または、文脈から明らかに矛盾していない限り、あらゆる適切な順序のステップで実行することができる。本明細書で提供するありとあらゆる事例、または、例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明の理解を容易ならしめることを意図するものであり、その他の方法で特許請求している本発明の範囲を限定するものではない。本明細書では、特許請求をしていない本発明の実施に不可欠な要素を示す文言はない、と解釈すべきである。
【0070】
文脈で特に断りが無い限り、発明の説明及び特許請求の範囲を通して、単語「含む(comprise)」、「含む(comprising)」は、排他的または網羅的な意味ではなく、包括的な意味で解釈すべきであり;すなわち、「含むが、これに限定されない(including,but not limited to)」という意味である。単数形または複数形を使用する単語は、それぞれ、複数形及び単数形も含む。さらに、単語「本明細書で(herein)」、「上記(above)」、「下記(below)」、及び、同様の意味の単語は、本出願で使用する場合、本出願の特定の部分を指すものではなく、本出願の全体を指すものである。
【0071】
当業者であれば、本明細書で開示したそれぞれの実施形態が、記載をした特定の要素、ステップ、成分(ingredient)、または、成分(component)を含む、本質的にそれからなる、または、それらからなる、ことができることを理解する。本明細書で使用する移行用語「含む(comprise)」または「含む(comprises)」とは、不特定の要素、ステップ、成分(ingredient)、または、成分(component)を、たとえ大量であっても含むが、これらに限定されず、それらを含むことを可能にする、ことを意味している。移行句「からなる(consisting of)」は、特定していない要素、ステップ、成分(ingredient)、または、成分(component)を除外する。移行句「本質的にからなる(consisting essentially of)」は、実施形態の範囲を、特定の要素、ステップ、成分(ingredient)、または、成分(component)、及び、実施形態に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。
【0072】
特に断りの無い限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用する成分の量、分子量、反応条件などの特性を表すすべての数字は、すべての事例において、用語「約」によって修飾するものと理解すべきである。したがって、逆の指示が無い限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載した数値パラメーターは、本発明で得ることが必要な所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に限定する試みとしてではなく、それぞれの数値パラメーターは、少なくとも、報告した有効桁数に照らして、通常の丸め手法を適用して、解釈すべきである。
【0073】
本発明の広い範囲を示す数値範囲及びパラメーターが近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に示す数値は、可能な限り正確に報告している。しかしながら、数値は、本質的に、それぞれの試験測定で認められた標準偏差に起因する特定の誤差を含む。
【0074】
本明細書に開示した本発明の代替要素または実施形態のグループ化は、限定として解釈すべきではない。それぞれのグループメンバーは、個別に、または、グループのその他のメンバー、または、本明細書に記載したその他の要素とのあらゆる組み合わせで、参照する、及び、特許請求し得る。グループの1つ以上のメンバーを、便宜上、及び/または、特許性の理由でグループに含める、または、グループから除外することが考えられる。そのような包含や削除があれば、変更したグループを明細書が含むものとみなされ、それにより、添付した特許請求の範囲で使用されているすべてのマーカッシュグループに関する書面での説明が充足されたことになる。
【0075】
本発明の一部の実施形態を、本明細書に記載しており、そこには、本発明を実施するために本発明者らが知見した最良のモードが含まれている。当然のことながら、説明をしたこれらの実施形態の変形は、前掲の説明に接した当業者には自明の事項である。本発明者は、当業者が、そのような変形を適切に使用することを期待しており、また、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で本発明を実施することを意図している。したがって、本発明は、適用法が許可するように、本明細書に添付した特許請求の範囲に列挙した要旨のすべての修正及び同等物を含む。さらに、可能なすべてのその変形での上記した要素のあらゆる組み合わせは、本明細書で特に断りの無い限り、または、文脈から明らかに矛盾していない限り、本発明に含まれる。
【0076】
本明細書で使用する用語の前及び/または後に、一重ダッシュ「-」、または、二重ダッシュ「=」を記載して、指定した置換基と、その親部分との間の結合の結合次数を示し得る;一重ダッシュは、単結合を示しており、二重ダッシュは、二重結合、または、スピロ置換基の場合には単結合のペアを示す。一重ダッシュ、または、二重ダッシュが無い場合、置換基とその親部分との間に単結合を形成しているものと理解される;さらに、置換基は、ダッシュが別のものを示すとの断りが無い限り、「左から右」に読む、ことを意図している。例えば、アリールアルキル、アリールアルキル-、及び、-アルキルアリールは、同じ機能を示す。
【0077】
簡潔に説明すると、化学部分を、全体を通して、主に一価の化学部分(例えば、アルキル、アリールなど)として定義しており、そして、参照する。にもかかわらず、そのような用語は、適切であることが当業者に自明の構造的状況下で、対応する多価部分を伝達するためにも使用する。例えば、「アルキル」部分は、一価ラジカル(例えば、CH-CH-)を指すことができるが、一部の事例では、二価の連結部分を、「アルキル」とすることができ、その事例では、当業者は、アルキルが、二価のラジカル(例えば、-CH-CH-)であると理解し、このものは、用語「アルキレン」と等価である(同様に、二価部分が必要であり、かつ、「アリール」と記載されている状況では、当業者であれば、用語「アリール」が、対応する二価部分、アリーレンを指すものと理解する)。すべての原子は、結合形成のための通常の原子価数(すなわち、Sの酸化状態に応じて、炭素の場合は4、Nの場合は3、Oの場合は2、Sの場合は2、4、または、6である)を有する、と理解されている。現在開示されている化合物での窒素を、超原子価、例えば、N-オキシド、または、四置換アンモニウム塩とすることができる。状況次第では、部分を、例えば、-B-(A)として定義し、式中、aは、0または1である。このような事例では、aが0の場合、部分は、-Bであり、aが1の場合、部分は、-B-Aである。
【0078】
本明細書で使用する用語「アルキル」は、1~10個の炭素(すなわち、1と10を含む)、1~8個の炭素、1~6個の炭素、1~3個の炭素、または、1、2、3、4、5、または、6などのデザインした個数の炭素原子を有する飽和炭化水素を含む。アルキル基は、直鎖または分枝状であり、状況に応じて、一価ラジカル、または、二価ラジカル(すなわち、アルキレン基)とし得る。例えば、部分「-(C-Cアルキル)-O-」は、1~6個の炭素を有するアルキレン架橋を介した酸素の接続を意味しており、C-Cアルキルは、メチル、エチル、及び、プロピル部分を表す。「アルキル」の例として、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ-、sec-、及び、tert-ブチル、ペンチル、及び、ヘキシルがある。
【0079】
用語「アルコキシ」は、酸素架橋を介して親分子部分に結合した、示された個数の炭素原子のアルキル基を表す。「アルコキシ」の例として、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及び、イソプロポキシがある。
【0080】
本明細書で使用する用語「アルケニル」は、特に断りが無い限り、2~10個の(すなわち、2個と10個を含む)炭素、2~8個の炭素、2~6個の炭素、または、2、3、4、5、または、6個を含む不飽和炭化水素であり、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む。アルケニル基は、直鎖または分枝状であり、状況に応じて、一価ラジカル、または、二価ラジカル(すなわち、アルケニレン基)とし得る。例えば、部分「-(C-Cアルケニル)-O-」は、2~6個の炭素を有するアルケニレン架橋を介した酸素の接続を意味している。アルケニルの代表的な例として、エテニル、2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、3-ブテニル、4-ペンテニル、5-ヘキセニル、2-ヘプテニル、2-メチル-1-ヘプテニル、3-デセニル、及び、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエニルがあるが、これらに限定されない。
【0081】
本明細書で使用する用語「アルキニル」は、特に断りが無い限り、2~10個の(すなわち、2個と10個を含む)炭素、2~8個の炭素、2~6個の炭素、または、2、3、4、5、または、6個を含む不飽和炭化水素であり、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む。アルキニル基は、直鎖または分枝状であり、状況に応じて、一価ラジカル、または、二価ラジカル(すなわち、アルキニレン基)とし得る。例えば、部分「-(C-Cアルキニル)-O-」は、2~6個の炭素を有するアルキニレン架橋を介した酸素の接続を意味している。アルキニルの代表的な例として、アセチレニル、1-プロピニル、2-プロピニル、3-ブチニル、2-ペンチニル、及び、1-ブチニルがあるが、これらに限定されない。
【0082】
用語「アリール」は、その他の芳香族炭化水素環、または、非芳香族炭化水素、または、複素環に任意に融合する単一の環(例えば、フェニル)を有する芳香族環系を表す。「アリール」は、複数の縮合環を有しており、少なくとも1つが、炭素環式及び芳香族である環系(例えば、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、ナフチル)を含む。アリール基の例として、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インダニル、インデニル、ジヒドロナフチル、フルオレニル、テトラリニル、及び、6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[a]シクロヘプテニルがある。「アリール」は、非芳香族複素環、例えば、1H-2,3-ジヒドロベンゾフラニル、及び、テトラヒドロイソキノリニルに縮合した第1の炭素環式芳香環を有する環系も含む。本明細書のアリール基は、非置換である、または、「任意に置換した」と記載しておれば、特に断りの無い限り、1つ以上の置換可能な位置で、示された様々な基で置換し得る。
【0083】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素、及び、ヨウ素を示す。本明細書で断りのあるすべての実施形態の特定の実施形態では、用語「ハロゲン」または「ハロ」は、フッ素または塩素のことを指す。本明細書で断りのあるすべての実施形態の特定の実施形態では、用語「ハロゲン」または「ハロ」は、フッ素のことを指す。用語「フルオロアルキル」は、少なくとも1つのフッ素で置換している(すなわち、本明細書で断りがある)アルキル基のことを示す。「フルオロアルキル」は、ペルフルオロアルキル基など、複数のフッ素で置換したアルキル基を含む。フルオロアルキル基の例として、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロプ-2-イル、及び、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロプ-1-イルがある。
【0084】
用語「ヘテロアリール」とは、窒素、酸素、及び、硫黄から選択する少なくとも1つの芳香族ヘテロ原子を芳香環に含む芳香環系のことを指す。最も一般的には、ヘテロアリール基は、1、2、3、または、4個のヘテロ原子を有する。ヘテロアリールは、1つ以上の非芳香族環、例えば、シクロアルキル、または、ヘテロシクロアルキル環に融合し得るものであり、当該シクロアルキル、及び、ヘテロシクロアルキル環を、本明細書に記載している。本化合物のある実施形態では、ヘテロアリール基は、ヘテロアリール基芳香環の原子を介して、構造の残余の部分に結合している。別の実施形態では、ヘテロアリール基は、非芳香族環原子を介して、構造の残余の部分に結合している。ヘテロアリール基の例として、例えば、ピリジル、ピリミジニル、キノリニル、ベンゾチエニル、インドリル、インドリニル、ピリダジニル、ピラジニル、イソインドリル、イソキノリル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、オキサゾール、トリアゾリル、インドリジニル、インダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ベンゾ[1,4]オキサジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、イソクロマニル、クロマニル、イソインドリニル、イソベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ピリドピリジニル、プリニル、ベンゾジオキソリル、トリアジニル、プテリジニル、ベンゾチアゾリル、イミダゾピリジニル、イミダゾチアゾリル、ベンジソキサジニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、クロモニル、クロマノニル、ピリジニル-N-オキシド、イソインドィノニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾキサゾリノニル、ピロリル N-オキシド、ピリミジニル N-オキシド、ピリダジニル N-オキシド、ピラジニル N-オキシド、キノリニル N-オキシド、インドリル N-オキシド、インドリニル N-オキシド、イソキノリル N-オキシド、キナゾリニル N-オキシド、キノキサリニル N-オキシド、フタラジニル N-オキシド、イミダゾリル N-オキシド、イソキサゾリル N-オキシド、オキサゾリル N-オキシド、チアゾリル N-オキシド、インドリジニル N-オキシド、インダゾリル N-オキシド、ベンゾチアゾリル N-オキシド、ベンズイミダゾリル N-オキシド、ピロリル N-オキシド、オキサジアゾリル N-オキシド、チアジアゾリル N-オキシド、トリアゾリル N-オキシド、テトラゾリル N-オキシド、ベンゾチオピラニル S-オキシド、ベンゾチオピラニル S、S-ジオキシドがある。好ましいヘテロアリール基として、ピリジル、ピリミジル、キノリニル、インドリル、ピロリル、フラニル、チエニル、及び、イミダゾリル、ピラゾリル、インダゾリル、チアゾリル、及び、ベンゾチアゾリルがある。特定の実施形態では、それぞれのヘテロアリールを、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、イミダゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル-N-オキシド、ピロリル N-オキシド、ピリミジニル N-オキシド、ピリダジニル N-オキシド、ピラジニル N-オキシド、イミダゾリル N-オキシド、イソキサゾリル N-オキシド、オキサゾリル N-オキシド、チアゾリル N-オキシド、ピロリル N-オキシド、オキサジアゾリル N-オキシド、チアジアゾリル N-オキシド、トリアゾリル N-オキシド、及び、テトラゾリル N-オキシドから選択する。好ましいヘテロアリール基として、ピリジル、ピリミジル、キノリニル、インドリル、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、ピラゾリル、インダゾリル、チアゾリル、及び、ベンゾチアゾリルがある。本明細書のヘテロアリール基は、非置換である、または、「任意に置換した」と記載しておれば、特に断りの無い限り、1つ以上の置換可能な位置で、示された様々な基で置換し得る。
【0085】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、好ましくは、窒素、酸素、及び、硫黄から選択する少なくとも1つのヘテロ原子を含む非芳香族環または環系のことを指し、当該ヘテロ原子は、非芳香族環にある。ヘテロシクロアルキルは、1、2、3、または、4個のヘテロ原子を有し得る。ヘテロシクロアルキルは、飽和(すなわち、ヘテロシクロアルキル)、または、部分的に不飽和(すなわち、ヘテロシクロアルケニル)であり得る。ヘテロシクロアルキルは、3~8個の環状原子の単環式基、ならびに、それぞれの環が、3~8個の環状原子を含んでいる架橋及び縮合系などの二環式及び多環式環系を含む。ヘテロシクロアルキル環は、任意に、その他のヘテロシクロアルキル環、及び/または、非芳香族炭化水素環に融合する。特定の実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は、単一の環に3~7個のメンバーを有する。その他の実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は、単一の環に5または6個のメンバーを有する。一部の実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は、単一の環に3、4、5、6、または、7個のメンバーを有する。ヘテロシクロアルキル基の例として、例えば、アザビシクロ[2.2.2]オクチル(いずれの事例でも、「キヌクリジニル」、または、キヌクリジン誘導体)、アザビシクロ[3.2.1]オクチル、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリニル S-オキシド、チオモルホリニル S、S-ジオキシド、2-オキサゾリドニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペラジノニル、ピロリジニル、アゼパニル、アゼチジニル、ピロリニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル、イソインドリンジオニル、ホモピペリジニル、ホモモルホリニル、ホモチオモルホリニル、ホモチオモルホリニル S、S-ジオキシド、オキサゾリジノニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピロリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラニル、イミダゾリドニル、テトラヒドロチエニル S-オキシド、テトラヒドロチエニル S,S-ジオキシド、及び、ホモチオモルホリニル S-オキシドがある。特に望ましいヘテロシクロアルキル基として、モルホリニル、3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、アザビシクロ[2.2.2]オクチル、γ-ブチロラクトニル(すなわち、オキソ置換テトラヒドロフラン)、γ-ブトリオラクタミル(すなわち、オキソ置換ピロリジン)、ピロリジニル、ピペラジニル、アゼパニル、アゼチジニル、チオモルホリニル、チオモルホリニル S、S-ジオキシド、2-オキサゾリドニル、イミダゾリドニル、イソインドリンジオニル、ピペラジノニルがある。本明細書のヘテロシクロアルキル基は、非置換である、または、「任意に置換した」と記載しておれば、特に断りの無い限り、1つ以上の置換可能な位置で、示された様々な基で置換し得る。
【0086】
用語「シクロアルキル」は、飽和(すなわち、シクロアルキル)、または、部分的に不飽和(すなわち、シクロアルケニル)であり得る非芳香族炭素環または環系を指す。シクロアルキル環は、その他のシクロアルキル環に対して、任意に融合する、または、その他の方法(例えば、架橋系)で結合する。開示した化合物に存在するシクロアルキル基の特定の例は、単一の環に5または6個のメンバーを有するなど、単一の環に3~7個のメンバーを有する。一部の実施形態では、シクロアルキル基は、単一の環に、3、4、5、6、または、7個のメンバーを有する。シクロアルキル基の例として、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロブチル、シクロプロピル、テトラヒドロナフチル、及び、ビシクロ[2.2.1]ヘプタンがある。本明細書のシクロアルキル基は、非置換である、または、「任意に置換した」と記載しておれば、特に断りの無い限り、1つ以上の置換可能な位置で、示された様々な基で置換し得る。
【0087】
用語「環系」は、単環、ならびに、融合及び/または架橋した多環を含む。
【0088】
用語「オキソ」は、二重結合した酸素を意味しており、=Oと表記することもあり、または、例えば、カルボニル「C(O)」を説明する際に、オキソ置換炭素を示すために使用し得る。
【0089】
本明細書で使用する句「1つ以上の」置換基は、上記した安定性と化学的実現性の条件を満足しておれば、利用可能な結合箇所の個数に基づいた、1~最大数の可能な置換基の個数と同等の置換基の個数のことを指す。特に断りの無い限り、任意に置換した基は、基のそれぞれの置換可能な位置に置換基を有し得るものであり、置換基の異同は問わない。本明細書で使用する用語「独立して選択する」は、単一の化合物での所与の変数の複数の選択肢に対して、同じまたは異なる値を選択し得ることを意味する。
【0090】
特定の基またはラジカルを修飾するために使用する用語「置換した」は、特定の基またはラジカルの1つ以上の水素原子が、特に断りの無い限り、以下に定義するものと同じまたは異なる置換基で、それぞれが、独立して、置き換えたことを意味する。
【0091】
本明細書で使用する句「医薬として許容可能な塩」は、医薬として許容可能な酸及び塩基付加塩と、溶媒和物の両方を指す。そのような医薬として許容可能な塩として、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸、スルフィン酸、ホルミン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硝酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、ヨウ化水素酸、酢酸などのアルカン酸、HOOC-(CH-COOH、式中、nは0~4である、などの酸の塩がある。非毒性の医薬塩基付加塩として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウムなどの塩基の塩がある。当業者であれば、多種多様な非毒性の医薬として許容可能な付加塩を認識する。
【0092】
本開示の特定の化合物が、互変異性型で存在し得ることは当業者に自明の事項であり、化合物のそのような互変異性型は、すべて本開示の範囲内にある。特に断りの無い限り、本明細書に示す構造は、構造のすべての立体化学的形態:つまり、それぞれの非対称中心のR及びS構造を含むことも意味する。したがって、本発明の化合物の単一の立体化学異性体、ならびに、エナンチオマー、及び、ジアステレオマー混合物は、本開示の範囲内にある。R及びSの両方の立体化学異性体、ならびに、それらのすべての混合物は、本開示の範囲内にある。
【0093】
医薬品化学の当業者は、開示した構造が、本発明の化合物の同位体濃縮形態を含むことを意図している、ことも理解する。本明細書で使用する「同位体」は、同じ原子番号でありながら、異なる質量数を有する原子を含む。当業者に公知の通り、水素などの特定の原子は、異なる同位体形態で発生する。例えば、水素には、プロチウム、重水素、トリチウムの3つの同位体形態がある。本発明の化合物を検討した当業者に自明なように、特定の化合物は、所与の位置で、その位置にある原子の特定の同位体で濃縮することができる。例えば、フッ素原子を有する化合物は、放射性フッ素同位体18Fが豊富な形態で合成することができる。同様に、化合物は、水素の重い同位体:重水素とトリチウムを豊富にする:同様に、13Cなどの放射性炭素同位体を豊富にすることができる。このような同位体変異化合物は、様々な代謝経路を使っており、そして、例えば、ユビキチン化経路と、その疾患における役割の研究に役立てることができる。当然のことながら、特定の実施形態では、化合物は、天然に存在する材料と実質的に同じ同位体特性を有している。
【0094】
本明細書で使用する用語「細胞」は、インビトロ、エクスビボ、または、インビボである細胞のことを指す、ことを意味する。一部の実施形態では、エクスビボ細胞は、哺乳動物などの生物から切除した組織試料の一部とすることができる。一部の実施形態では、インビトロ細胞は、細胞培養物での細胞とすることができる。一部の実施形態では、インビボ細胞は、哺乳動物などの生物に生息する細胞である。
【0095】
本明細書で使用する用語「個体」、「患者」、または「対象」は互換可能に使用するものであり、哺乳動物、好ましくは、マウス、ラット、その他の齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または、霊長類、そして、最も好ましくはヒトなどのあらゆる動物のことを指す。
【0096】
本明細書で使用する句「治療有効量」または「有効量」は、組織、系、動物、個体、または、ヒトにおいて、研究者、獣医師、医師、または、その他の臨床医が必要としている生物学的または医学的応答を誘発する活性化合物または薬剤の量のことを指す。
【0097】
特定の実施形態では、有効量を、
(i)疾患の進行を阻害する;
(ii)予防的使用、例えば、疾患、状態、または、障害の素因があるか、あるいは、リスクがあるものの、当該疾患の症状を未だ経験していない、または、示していない個体での疾患、状態、または、障害の発症を予防または制限する;
(iii)疾患を抑制する;例えば、疾患、状態、または、障害の病状または症状を経験している、または、呈している個体の疾患、状態、または、障害を阻害する;
(iv)対象とした疾患状態を改善する、例えば、疾患の重症度を下げるなど、疾患、状態、または、障害の病状または症状を経験している、または、呈している個体の疾患、状態、または、障害を改善すること(すなわち、病状、及び/または、症状を逆転、または、改善すること);または
(v)対象とした生物学的効果を引き出す、ことに適した量とすることができる。
【0098】
本明細書で使用する用語「治療」及び「治療する」は、(i)対象とした疾患状態、状態、または、障害(または、その症状)を改善すること、例えば、疾患の重症度、または、その症状を抑える、または、疾患の進行を阻害するなど、疾患、状態、または、障害の病状または症状を経験している、または、示している個体の疾患、状態、または、障害を改善すること(すなわち、病状、及び/または、症状を逆転、または、改善すること);または(ii)対象とした生物学的効果を誘発する(例えば、アポトーシスを誘導する、または、グルタチオン合成を阻害する)ことを意味する。
【0099】
調製の方法
開示した化合物の合成に有用な一般に公知の化学合成スキーム、及び、条件を提供する数多くの一般参考文献が使用可能である(例えば、Smith and March,March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions, Mechanisms, and Structure, Fifth Edition, Wiley-Interscience, 2001;または、Vogel,A Textbook of Practical Organic Chemistry, Including Qualitative Organic Analysis, Fourth Edition, New York:Longman, 1978を参照されたい)。
【0100】
本明細書に記載した化合物は、クロマトグラフィー手段、例えば、HPLC、分取薄層クロマトグラフィー、フラッシュカラムクロマトグラフィー、及び、イオン交換クロマトグラフィーなど、当該技術分野で公知の手段のいずれかで精製することができる。あらゆる好適な固定相を使用することができ、順相及び逆相に加えて、イオン樹脂を含む。最も一般的には、開示した化合物は、シリカゲル、及び/または、アルミナクロマトグラフィーで精製する。例えば、Introduction to Modern Liquid Chromatography, 2nd Edition,ed.L.R.Snyder and J.J.Kirkland,John Wiley and Sons,1979;及び、Thin Layer Chromatography,ed E.Stahl, Springer-Verlag, New York, 1969を参照されたい。
【0101】
対象とする化合物の調製のためのプロセスにおけるいずれかの間に、関与する分子のいずれかでの感受性基、または、反応性基を保護することが必要である、及び/または、望ましい場合がある。これは標準的な文献、例えば、J.F.W.McOmie, ”Protective Groups in Organic Chemistry”, Plenum Press, London and New York 1973、T.W.Greene and P.G.M.Wuts, ”Protective Groups in Organic Synthesis”, Third edition, Wiley, New York 1999, ”The Peptides”;Volume 3(editors:E.Gross and J.Meienhofer), Academic Press, London and New York 1981, “Methoden der organischen Chemie”, Houben-Weyl,4.sup.th edition,Vol.15/l, Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974、H.-D.Jakubke and H.Jescheit, ”Aminosauren, Peptide, Proteine”, Verlag Chemie, Weinheim, Deerfield Beach,and Basel 1982、及び/または、Jochen Lehmann, ”Chemie der Kohlenhydrate:Monosaccharide and Derivate”, Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974などに記載されている従来の保護基で達成し得る。保護基は、当該技術分野で公知の方法を使用して、好都合な後続の段階で除去し得る。
【0102】
本明細書に開示した化合物は、当業者に周知の手順を使用して作り出すことができる。例えば、構造式(I)の化合物は、実施例の一般的な手順、及び/または、類似の合成手順に従って調製することができる。当業者であれば、これらの実施例の反応の順序、及び、一般的な手順を、所望の標的分子に対して適合させることができる。当然のことながら、特定の状況において、当業者であれば、異なる試薬を使用して、1つ以上の個々のステップに影響を与える、または、特定の置換基を保護するバージョンを使用する。さらに、当業者であれば、本開示の化合物を完全に異なる経路を使用して合成できる、ことを認識する。
【実施例
【0103】
本開示の化合物及び方法を、以下の実施例でさらに例示するが、範囲または技術思想に関して、開示を、以下に記載した特定の手順、及び、化合物に限定するものとして解釈すべきではない。
【0104】
実施例1.ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン前駆体の調製
ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン前駆体、例えば、4-クロロ-2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジンを、本質的に、次の手順に従って調製した。
【化9】
【0105】
実施例2.ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン前駆体の官能基化
ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン前駆体を、本質的に、以下の手順に従って、式(I)の化合物に到達するように官能基化することができる。
【0106】
1) メチル(2S、4S)-4-アミノ-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボキシレートの調製
【化10】
【0107】
2)化合物29、31~34、36、40、42~44、及び、47~50の調製
まず、メチル(2S、4S)-4-アミノ-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボキシレートと、適切なカルボン酸前駆体とを、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾーロ[4,5-b]ピリジニウム 3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)と、N、N-ジイソプロピルエチルアミンとを含むジメチルホルムアミドの存在下で、室温で、所望のアミドが形成するまで反応させることで、メチル(2S、4S)-4-アミノ-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボキシレートから実施例3の表に提供した化合物29、31~34、36、40、42~44、及び、47~50を調製した。次に、この化合物を、室温で、NaOHを含む水/メタノールに供して、カルボン酸メチルを、所望のカルボン酸へと加水分解する。
【0108】
3)2-((3R、5S)-5-(メトキシカルボニル)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-3-イル)酢酸の調製
【化11】
【0109】
4)化合物28、30、35、45、及び、46の調製
まず、2-((3R、5S)-5-(メトキシカルボニル)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-3-イル)ピロリジン-3-イル)酢酸と、適切なアミン前駆体とを、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾール[4,5-b]ピリジニウム 3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)と、N、N-ジイソプロピルエチルアミンとを含むジメチルホルムアミドの存在下で、室温で、所望のアミドが形成するまで反応させることで、2-((3R、5S)-5-(メトキシカルボニル)-1-(2-メチルベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)ピロリジン-3-イル)ピロリジン-3-イル)酢酸から実施例3の表に提供した化合物28、30、35、45、及び、46を調製した。次に、この化合物を、室温で、NaOHを含む水/メタノールに供して、カルボン酸メチルを、所望のカルボン酸へと加水分解する。
【0110】
実施例3.化合物1~76
以下の化合物を、上記した手順、及び、当業者が熟知している手順に実質的に従って調製した:
【化12-1】
【化12-2】
【化12-3】
【化12-4】
【化12-5】
【化12-6】
【化12-7】
【化12-8】
【化12-9】
【化12-10】
【化12-11】
【化12-12】
【化12-13】
【化12-14】
【化12-15】
【化12-16】
【化12-17】
【化12-18】
【化12-19】
【化12-20】
【化12-21】
【化12-22】
【化12-23】
【化12-24】
【化12-25】
【化12-26】
【化12-27】
【化12-28】
【化12-29】
【化12-30】
【化12-31】
【化12-32】
【0111】
実施例4.cGAS阻害剤
本開示の一部の例示的な化合物を、cGAS(30nM)の阻害について試験した。それらの結果を表1に示しており、表中、「A」は100nM未満のIC50を示しており、「B」は、100nMを超えており、かつ、500nM未満であるIC50を示しており、「C」は、500nMを超えており、かつ、1μM未満であるIC50を示しており、「D」は、1μMを超えており、かつ、10μM未満であるIC50を示しており、そして、「E」は、10μMを超えているIC50を示している。
表1.
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0112】
実施例4.cGAS阻害剤の開発
外来核酸の検出は、微生物病原体に対する免疫応答における重要な防御の最前線である。しかしながら、自己核酸によるI型インターフェロン(IFN)の異常な誘導は、AGS、SLE、シェーグレン症候群などの壊滅的な自己免疫疾患を引き起こす(図1)。核酸駆動性I型IFN誘導の重要な分子トリガーは、サイトゾルDNAセンサー、すなわち、cGASによる独自の環状ジヌクレオチド、cGAMPの生成である。cGASアポ酵素は、酵素的に不活性である;非特異的dsDNAの結合は、ATP及びGTPからcGAMPの形成を触媒する活性なコンフォメーションへの移行を誘導する。cGAMPは、STING(インターフェロン遺伝子の刺激因子)受容体に結合して、I型IFNの誘導のシグナル伝達を開始する。したがって、cGAS酵素は、I型IFN応答の一次シグナルを感知し、そして、第2のメッセンジャーの形態で増幅する。動物モデルでのノックアウト研究は、cGASの阻害が、AGSなどの単一遺伝子型I型インターフェロノパシー、そして、ひいては、SLEなどの複雑な疾患への治療的介入での有望な手法である、ことを明確に示している。
【0113】
10万もの多様性ライブラリー由来の幾つかの新規cGAS阻害剤を、cGAS HTSアッセイを使用して(または、ハイスループットスクリーニングを書き出して)発見した。これらの阻害剤は、別個のメカニズムを介して機能する好ましい構造的、物理化学的、及び、ADME/PK特性を有する本開示の化合物を含んでいた。SAR駆動性医薬品化学を使用して、開示した化学種の効力を、ナノモル範囲にまで、10倍以上に増加させた。cGASに対する生物物理学的方法による結合を確認し、cGASとの複合体での本開示の化合物の高解像度結晶構造を得て、同じ化合物による細胞活性を実証した。また、本発明者らは、生理学的cGASエフェクター分子(Mn2+)が、開示した化学種の効力に大きく影響し、自己免疫病因に関してより特異的な効果を有し、かつ、抗菌免疫に関する影響がさらに小さなcGAS薬の開発に情報を与えることができる、ことを突き止めた。
【0114】
構造駆動性リガンド最適化を使用して、開示した化学種を、マウスAGSモデルに供して、SAR、構造モデル、及び、分子動力学シミュレーションを使用して、有効性を試験して、CNS薬に適した改善した効力、アロステリック効果、及び、ADMEプロファイルを有するcGAS阻害剤を集めたライブラリーを、デザイン及び合成した。構造駆動性リガンド最適化、及び、MOA分析を、ヒト及びマウスcGASを使用して、開示した化学種に対して行って、ヒトcGASでは、IC50≦50nM、そして、マウスcGASでは、IC50≦200nM、そして、オフターゲット(例えば、キナーゼ、GTPアーゼ、PDE、OAS)では、IC50≧500nMを示す化合物を提供した。
【0115】
標的の関与、cGAS-STING経路のブロック、及び、ヒト及びマウスの免疫細胞での治療効果は、自己免疫疾患経路に関するcGAS阻害剤の効果を評価するための生理学的に関連する細胞アッセイを開発、及び/または、最適化することによって、また、細胞内cGASの関与を実証して、次いで、開示した化学種に関するcGAS/STING依存性炎症反応をブロックすることによって、実証されている。このような実証として、マウス及びヒト細胞株でのCETSAによるcGAS標的の関与、及び、初代ヒト神経細胞及び免疫細胞でのI型IFN応答、及び、その他のAGS表現型のブロックがある。
【0116】
真核細胞のサイトゾルでのDNAの存在は、感染または細胞傷害の指標であり、I型インターフェロン(IFN)の誘導を受けて駆動する強力な免疫応答を誘発する(図1)。その他のDNAセンサーが、特定の種類の細胞で同定されているが、cGAS-cGAMP-STING経路は、細胞の種類やDNA配列に関係なく、DNAを介した免疫応答に不可欠なようである。二本鎖DNAは、配列に依存しない方法で、触媒的に不活性なcGASモノマーの特定の部位に結合する。DNA結合は、DNA:cGASが2:2の活性化した複合体の形成を誘導し、ATP及びGTP前駆体から独特の環状ヌクレオチドG(2’-5’)pA(3’-5’)p(cGAMP)の生成を招く。cGAMPは、STINGタンパク質に結合して、I型IFNの発現を誘導し、自己分泌及び傍分泌効果によって、T細胞及びB細胞の活性化と、抗体産生を引き起こす。
【0117】
cGAS/STING経路の不適切な活性化は、AGS、脳白質ジストロフィー(RVCL)を伴う網膜血管障害などの単一遺伝子型I型インターフェロノパシー、ならびに、SLE、強皮症、及び、シェーグレン症候群などの多因子遺伝病などの数多くの自己免疫疾患(表2)の病理に関係している。これらの疾患は、米国だけで何百万人もの人々に多大な苦痛と心労を与え、そして、寿命を縮めている。身体的衰弱と精神的障害をもたらす稀少な新生児脳症であるAGSは、幼児期での死亡率は25%であり、10代を超えて生存している患者はごく僅かである。遙かに一般的な疾患であるSLEは、通常、直接的に致命的ではないが、心血管疾患に起因する死亡率の増加が最も頻繁に認められている;患者の20%は、診断から15年以内に死亡する。そして、この疾患は、生活の質に大きな影響を与える;労働年齢の患者のわずか46%しか、就労していない。
【表2】
【0118】
マウスの研究では、cGASが、AGS、ひいては、SLEの標的になることが実証されている。AGS患者の90%は、細胞質DNA、特に、dsDNAエキソヌクレアーゼTrex1(23%)、または、RNase H2(53%)の蓄積を招く5つの異なるDNA修飾酵素の1つに変異を有しており、このものは、DNA:RNAハイブリッドからRNAを除去する。これらのヌクレアーゼをノックアウトする、及び/または、AGS変異の不活性化をノックインすると、マウスに致命的な自己免疫疾患が出現する。ヌクレアーゼ欠損マウスでのcGASまたはSTINGの遺伝子除去は、致死性を回避し、また、インターフェロン刺激遺伝子(ISG)誘導、自己抗体産生、及び、T細胞活性化などの主要な自己免疫表現型を排除する。cGASの除去を、死細胞からDNAを除去するリソソームエンドヌクレアーゼであるDNaseIIを欠いたマウスで行ったところ、同様の結果が得られた。
【0119】
RNAse H2、Trex1、及び、その他の核酸修飾酵素の機能を損なう変異も、SLEにおいて低頻度で発生しており、家族性凍瘡状エリテマトーデスを引き起こすTREX1 D18N変異を有するマウスでは、ループス様炎症性疾患を再現している。cGASは、特発性SLEの標的にすることもできる。最近の臨床研究では、SLE患者の約3分の1が、高レベルのcGAS mRNAを示しており、約15%が、末梢血単核細胞(PBMC)で検出可能なcGAMPを示した;重要なことに、cGAMP+患者は、cGAMPが増えていない患者と比較して、高い疾患活動性を示した。さらに、cGAS/STINGは、好中球細胞外トラップ(NET)の酸化ミトコンドリアDNA、ヒストンの複合体、DNA、及び、SLEやその他の自己免疫疾患の病因に寄与するプロテアーゼに応答してI型IFN誘導を駆動することができる。同様の結果が、SLE血清から単離したDNA含有膜小胞で認められた。
【0120】
AGS、または、その他のあらゆる単一遺伝子型I型インターフェロノパシーに対して特定の承認を受けた薬剤は無い。現在の治療選択肢は、静脈内免疫抑制剤または経口免疫抑制剤、及び、急性期での静脈内免疫グロブリンに限定されており、大抵の場合、フレアの制御は部分的なものでしかない。同様に、SLEは、市販の抗炎症薬、コルチコステロイド、それに、シクロホスファミドやメトトレキサートなどの免疫抑制薬で治療を行っているが、がんなどの重篤な副作用がある。SLEに関して承認を受けた唯一の標的療法は、B細胞活性化因子(BAFF)に対するmAbであるBenlystaであり、このものは、重度のフレアのリスクを軽減し、そして、ほとんどの患者に対して、低用量で免疫抑制剤を投与できるが、治癒的ではない。
【0121】
ヤヌスキナーゼ(JAK)と逆転写酵素阻害剤(RTI)は、AGSの臨床現場に届けられた最初の標的療法である。JAKは、I型IFN受容体であるIFNAR1から下流のシグナル伝達成分にシグナルを伝達して、ISG発現を誘導する。RTIの使用は、レトロトランスポゾンサイクリングが、細胞質DNAを生成し、Trexl欠損マウスでIFN応答を引き起こす、ことを示す研究に基づいている。I型IFN誘導を誘発する自己核酸;例えば、組換えヌクレアーゼの直接的及び間接的な標的化も、SLEについて研究が進められている。IFNαまたはIFNAR1をブロックするmAb、IFNAR1シグナル伝達をブロックする;例えば、JAK阻害剤、及び、I型IFNで活性化する標的細胞型;例えば、B細胞及びT細胞など、SLEの幾つかの治療法を、治験で研究を行っている。しかしながら、そのようなIFN標的療法は、非効率である。
【0122】
cGASは、AGS患者の90%で、I型IFN応答を引き起こすDNAセンサーであり、SLE患者の大半で同様の役割を果たす。I型IFN産生の起点をブロックすると、IFNAR/JAK/STAT経路の下流の標的に介入するよりも薬力学的に効率的である。cGASは、経路のシグナル増幅ステップであるので、cGASの阻害は、特定の核酸集団を標的とする薬剤よりも効果的である(cGASは、起源に関係なく、細胞質に到達するあらゆるDNAの一般的なセンサーである)。さらに、異常なI型IFN誘導は、自己DNAの複数の供給源が招くものであるが、その一部は、不明である。最後に、臨床開発過程にあるIFN標的薬の大半は生物製剤である;小分子cGAS阻害剤は比較的安価であり、良好なCNS曝露をもたらす。
【0123】
均一なcGAS酵素アッセイを、蛍光偏光(FP)、及び、時間分解Forster共鳴エネルギー移動(TR-FRET)の読み出しを使って開発した(図2A~2D)。cGASアッセイを使用して、完全長のヒトcGASで、100,000個の化合物をスクリーニングし(図2E)、本開示の新規化学種を特定し、その内の2つを、構造駆動性リードジェネレーション研究でさらに開発を進めた(以下の表3)。アッセイパフォーマンスは堅調であり、スクリーンのZ値とZ’値は、それぞれ、0.59と0.63であり;平均からの3つの標準偏差を超える分極値を有する化合物を、ヒットとみなした;10枚のプレート(3,200の化合物)での散布図を、図2Dに示す。
【表3】
【0124】
3つの濃度での該当物の確認、及び、視覚的に明らかな反応性、または、代謝的易罹病性を有する化合物の除去に続いて、確立したアッセイを使用して、非化学量論的阻害剤、凝集体、DNAインターカレーター、及び、酸化還元活性化合物を選別した(図2E)。次いで、改めて購入した粉末にて化合物を確認し、最も強力な代表物を再合成して、当初の該当物と同様のIC50を有することを認めた。100個を超える市販の類似体に基づいた当初のSARは、化合物が正真正銘の阻害剤である、というさらなる信頼性を提供し、そして、潜在的なスキャホールドホップと、修飾の許容性を示した。化合物1(すなわち、タイプAのもの)は、cGAS酵素アッセイでのIC50と、SPRで決定したK(それぞれ、1.26μM、2.4μM)との間に、良好な一致を認めた。本開示の化合物は、ATPと競合し、また、Mn2+が存在していると、効力が落ちる(上記の表3を参照されたい);Mn2+感受性の重要性を、以下に説明する。
【0125】
開示した化合物を、改善した効力と、その他の薬物様特性について試験した。本開示の化合物の1つである15の特定の特性を、以下に示す(上記の表3も参照されたい):
●酵素分析と生物物理学的結合研究(SPR、TSA)の両方、及び、生化学的IC50とKの一致によって決定したcGASに対する化学量論的結合(1:1);
●低分子量(<300Da)、化学的扱い易さ、リピンスキー違反無し、反応性基、PAINS、または、その他の構造的警告、及び、5を超えるCNS MPOスコア(0~6のスケールで、4を超えるスコアは、一般的に、CNS透過性を示す)が例示する非常に好ましい物理化学的特性などの特性;
●マウスとヒトの両方での代謝安定性、膜透過性、及び、(BBB透過性を低下させることができる)MDR-1を介したエクスポートの兆候の欠如などのインビトロADME/PK特性;
● キナーゼ、GTPアーゼ、ホスホジエステラーゼ、及び、cGAMPを代謝するヌクレオチダーゼなどのヌクレオチド利用酵素のパネルを使用した、200μMでの阻害活性の欠如を介して実証した選択性。
【0126】
加えて、ヒトcGASを有する複合体での化合物15の共結晶を調製して、高解像度のX線構造を得て(図2F)、化学種の構造最適化を促した。化合物15は、ヒト単球細胞株でのI型IFNのcGAS依存性阻害も示した(図5);これは、ヒトcGAS阻害剤による特有の細胞効果の最初の例であった。
【0127】
オルガネラから細胞質へのMnClの放出は、細胞とマウスの両方で、cGAS依存性抗ウイルス免疫応答の開始において重要な役割を果たすことができる:cGASに対するMn2+結合は、非常に低濃度のdsDNAの存在下で、cGAMPの産生を刺激し、さもなければ、それは、非刺激的である。したがって、cGASの薬理学的調節に関するMn2+の効果を試験した。公知のヒトcGAS阻害剤(抗マラリアキナクリン、及び、PF06928215)は、Mn2+が、生理学的濃度(200μM)で存在する場合、IC50が、100分の1にまで減少し、効力の大幅な低下が認められた。また、開示した化合物は、Mn2+に対して負の感受性を示し、IC50シフトは、異なる類似体で、4~10倍の範囲であった(上記の表3を参照されたい)。
【0128】
細胞及び組織試料でのcGAMPを検出することで、動物モデルのcGASを標的とするリード分子の作用をモニタリングして、最終的には、臨床研究での患者:例えば、cGAS阻害剤の候補として、PBMCに高レベルのcGAMPを有するAGS患者またはSLE患者の層別化とモニタリングを行うための簡便で直接的な方法を提供する。現在のところ、cGAMPは、時間を要するLC-MSプロトコルを使用して、細胞溶解物で検出している。したがって、バイオマーカーとしてcGAMPを使用すると、cGAMP阻害剤に反応する可能性がある患者を選択することができる。
【0129】
実施例5.効力、アロステリック効果、及び、CNS薬に適したADMEプロファイルが改善したcGAS阻害剤の構造をベースとしたデザイン
前臨床創薬のための非常に効率的なプラットフォーム(図3)を組み立てて、cGAS阻害剤の開発を行うものであり、このものは、強力なコンピューターモデリング手法とインビボPK研究(図3)を加えることで改善する。MOAとMn2+の感受性の差異が、治療の有用性に与える影響の有無、及び、どのような影響を与えるかを調査するために、化合物15を動物実験に移行させた。アロステリック薬は、純粋に競合する薬と比較して、滞留時間が長く、選択性が高い場合がよくあるので、コンピューター及びSARの取り組みは、アロステリック阻害剤の開発に偏っている。これらの特性は、用量を抑える、そして、投与頻度を減らすことを可能にして、全身の免疫系阻害による悪影響を防ぐ。さらに、dsDNAのcGASに対する結合は、プロテインキナーゼでの自己リン酸化による阻害ドメインの置換とは異なり、活性化ループのコンフォメーション変化を誘導する。したがって、BCR-ABLキナーゼを有するイマチニブと同様に、不活性なコンフォメーションに酵素を固定する阻害剤を開発することができた。特に、SPR研究と共結晶化の結果は、本開示の化合物が、不活性な単量体cGASに結合しており、親和性は10倍超も改善していた、ことを実証した。
【0130】
共結晶構造の決定:生物物理学的結合研究、及び、X線構造のためのcGAS/阻害剤共結晶の生成を行う。従前のcGAS結晶化の取り組みで得た知識と組み合わせたサーマルシフトアッセイ(TSA)を利用した探索実験を使用して、非構造化N末端ドメイン(aa 161~522)を欠いたヒトcGASとタイプA化学種の共結晶化の条件を最適化し、本開示の2つの化合物に関する2.14及び2.8A分解での回折パターンを得た。化合物15に由来する2.14Aパターンは、完全なデータセット(99.9%の累積)を示しており、初期モデルとして公開されている構造(PDBID:4O69)を使用して、分子置換で分析した。これらの結果は、化合物15が、ATPが最初に結合するドナーポケットに結合し、そして、通常はプリン部分で認められる保存されたTyr436とのパイスタッキング相互作用と、Arg376との静電結合によって安定化する、ことを実証した(図4)。特に、M298からP306へのループ(図4、青色)は、ヒトアポタンパク質、または、その他の公知のcGAS構造と比較して、共結晶構造において有意に翻訳が行われており、Arg302をピロリジン環の4.9Aに配置し、かつ、3つの触媒アミノ酸の1つであるAsp227を、ピロリジン環の6Aに配置する。これらの残基との相互作用を確立するためにピロリジンを伸長することは、リガンド最適化の重要な要素である。
【0131】
コンピューターによる方法:リガンド競合飽和(SILCS)方法論による部位同定を使用して、高親和性アロステリック阻害剤を作成するために利用可能なポケットに関するcGAS活性部位をプローブする。SILCSは、コンピューターによる官能基マッピングと、タンパク質標的の全原子の明確な水MDシミュレーションを組み合わせて、配座空間と化学空間を同時に探索する。結果として得られる「FragMaps」は、結晶構造の分析では認められなかった誘導性ポケットを明らかにすることができるので、アロステリック特性を有するリガンドのデザインを提供する。例えば、SILCS手法は、ERKキナーゼとヘムオキシゲナーゼとのアロステリック結合部位を特定する。加えて、この手法は、特に、Mcl-1/Bcl-xl、Bcl-6、β2-アドレナリン受容体、及び、mGluR5などの様々なタンパク質を標的とするリガンドのデザイン及び開発に有用である、ことを示している。
【0132】
生化学的及び生物物理学的分析:Mn2+感受性などの効力及びMOA研究を、cGAS酵素アッセイを使用して行う。ヒト及びマウスのcGASを使用して、基礎条件下(5mM MgCl、100μM ATP/GTP)、及び、生理学的レベルのMn(0.2mM)を加えた条件下でIC50値を決定するために、用量反応実験を使用する。リガンドの最適化を、ヒト酵素に対する効力で推進する;マウスcGASに対する効力は、有効性研究のための適切な疾患モデルの選択を通知する。ATP及びGTPとの競合を、基本的なIC50値を、飽和ATPまたはGTPの存在下での値と比較して評価を行い、その後、様々なATPまたはGTPレベルで速度対基質を測定して確認する。滞留時間が長くなるのは、アロステリックメカニズムによることが多く、また、細胞活性の改善とも相関するので、阻害剤の滞留時間(1/koff)を、化合物の優先順位の決定と、SARを推進するための重要なパラメーターとして使用する。非常に類似したADPアッセイを使用したキナーゼについて説明したように、cGAS酵素アッセイを、ジャンプ希釈法と共に使用して滞留時間(阻害剤の解離速度)を測定する。SPRやTSAなどの生物物理学的手法は、滞留時間の測定とk推定値のオーソロガス手法として使用する。
【0133】
選択性プロファイリング:キナーゼ(Abl1、PKA、TBK1-cGAS/STINGシグナルを変換する、図5Aを参照されたい)、GTPアーゼ(Rac1)、ホスホジエステラーゼ(PDE4A)、及び、cGAMPを分解するヌクレオチダーゼであるENPP1を含む、ヌクレオチド利用酵素のパネルを予備的に使用した。cGASアッセイを使用して、cGAS阻害剤を用いた用量反応測定を実施した。これらの酵素に加えて、阻害剤を、オリゴアデニル酸シンターゼ(OAS)のその他の3つのメンバー、短い2’-5’オリゴアデニル酸第2メッセンジャーの生成を介して自然免疫を活性化する核酸センサーで試験する。E.coliまたはbaculovirusに感染した昆虫細胞でのヒト及び/またはブタの酵素の発現及び精製の方法、ならびに、市販のピロリン酸キットを使用しており、吸光度をベースとした簡便なアッセイが開発されている。加えて、STINGのリガンドに関して化合物を試験する(cGAMPで刺激した細胞での化合物15の部分的活性の1つを裏付ける)ために、FPをベースとしたアッセイ(フルオロcGAMPトレーサーの競合的置換)が開発されている(図5)。
【0134】
ADME/PK:化合物を、Caco-2、及び、MDR1-MDCK透過性アッセイで試験をして、効果的なCNS送達の障害となることが多い、P糖タンパク質(P-gp)による腸管吸収、血液脳透過性、及び、流出の測定値を提供する。CNS薬は、高い受動的膜透過性(Papp>1×10-6cm/秒)と関連しており、また、排出比率(Papp(B-A)/Papp(A-B)<2.5)が小さい。代謝安定性を、マウスとヒトの肝臓ミクロソームを使用して、CYP依存性代謝に関してはNADPHと、そして、グルクロン酸抱合に関してはUDPGAとインキュべーションして試験する。化合物を、経口、静脈内、及び、腹腔内投与を使用して、マウスの薬物動態、及び、脳透過性について試験する。
【0135】
あるいは、または、本開示の1つ以上のさらなる化合物を用いたcGASの共結晶の生成に加えて、DNAとの二量体形態での遺伝子改変ヒト酵素の最近の構造など、活性化cGASの構造に基づいたコンピューターモデリングを利用し得る。
【0136】
実施例6.標的関与、cGAS-STING経路のブロッキング、及び、治療効果を実証するための細胞研究
ヒト単球細胞株でのIFN誘導:ヒト単球細胞株THP-1は、堅固なcGAS/STING依存性I型IFN応答を示し、経路の研究に広く利用されている。一般的に、細胞は、dsDNAのトランスフェクションによって刺激を受け、そして、遺伝子発現は、IFNβに関するELISA、レポーター遺伝子アッセイ、及び/または、STINGリン酸化などのcGAS/STING経路マーカーを使用して評価する。これらのアッセイを、cGAS/STINGの下流で作用するTBK1阻害剤であるBX-795をプローブとして使用して検証した;THP-1デュアル細胞(Invivogen,San Diego)を、ルーチンの化合物試験のためのレポーター細胞株として使用する(図5A)。これらのアッセイを、トランスフェクトしたDNAとcGAMPで応答を均等化し、そして、未分化細胞と、マクロファージに分化した細胞(ほとんど差異がない)と間の応答を比較するなどして最適化した。このプローブ化合物BX795は、cGASの下流での効果と一致して、DNAまたはcGAMPのいずれかで誘導したIRF3依存性Luc発現の用量依存的阻害を招いた(図5C)。BX-795は、TBK1に依存しないので、NFκB駆動性SEAP発現を阻害しなかった。試験は、化合物15が、IRF3(Luc)-と、NFκB駆動性転写の両方を、50~75%阻害することを実証した(図5B図5D)。重要なことに、cGASを欠いたcGAMP刺激細胞では本質的に阻害が無く、阻害剤が、意図した標的に作用していることを示している。特に、化合物15は、cGASが存在するcGAMP刺激細胞において、程度は低いものの、依然として阻害をしており、このことは、I型IFN産生の誘発に関するcGASのこれまでに特徴決定されていなかった機能を反映するものである。cGAS以外のパターン認識受容体を介して作用するダメージ関連分子パターン分子(DAMP)によるTHP-1デュアル細胞の刺激は、推定cGAS阻害剤の特異性を確認する別の方法を提供する。例えば、化合物15は、細菌のリポ多糖(LPS)で刺激したTHP1 cGAS KO細胞でのIRF3駆動性Luc発現に影響を及ぼすことはなく、TLR4受容体を介して作用し、cGASと同様にTBK1及びIRF3を介してシグナルを変換する、ことを実証した;BX-795は、予想した効力で阻害をした。cGAS依存性の細胞活性は、抗マラリア薬、キナクリンとヒドロキシクロロキン、それに、スラミンなど、報告されているその他のあらゆる小分子cGAS阻害剤では認められなかった。
【0137】
実施例7.開示の幾つかの化合物の細胞活性
式(I)の化合物の細胞活性を、様々なタイプのアッセイを使用して評価した。化合物28を、ISG mRNA発現に関する影響について試験した。
【0138】
図6Aは、化合物28及び53が、それぞれ、IFNβ発現、及び、IRF-3駆動性Luc発現について再現性のある阻害を示した、ことを例示している。加えて、化合物28は、DNA刺激細胞にも特異的であった。化合物28は、図6Bに例示したように、cGAS/STING駆動性プロモーター由来のレポーター遺伝子の発現も阻害した。図6Cは、THP1デュアル細胞での化合物28のISG mRNA発現を例示している。最後に、化合物28を、細胞傷害性についても試験を行い、そして、それらの結果を、図8に示す。
【0139】
まとめると、化合物28及び53は、ELISA及びレポーター遺伝子で測定したところ、THP-1細胞でのIFNβの発現を阻害する。例えば、化合物28は、cGAMPで刺激した細胞よりも、DNAで刺激した細胞に対して強力な阻害を示しており、このことは、cGASに対するある程度の特異性を示している。化合物28は、表4に示したように、RT-PCRで測定したところ、IRF-3(Quanti-Luc)、及び、NFKB(Quanti-Blue)レポーター遺伝子の発現と、インターフェロン感受性遺伝子(ISG)の発現も阻害する。
【表4】
【0140】
本発明の一部の実施形態を、本明細書に記載しており、そこには、本発明を実施するために本発明者らが知見した最良のモードが含まれている。当然のことながら、説明をしたこれらの実施形態の変形は、前掲の説明に接した当業者には自明の事項である。本発明者は、当業者が、そのような変形を適切に使用することを期待しており、また、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で本発明を実施することを意図している。したがって、本発明は、適用法が許可するように、本明細書に添付した特許請求の範囲に列挙した要旨のすべての修正及び同等物を含む。さらに、可能なすべてのその変形での上記した要素のあらゆる組み合わせは、本明細書で特に断りの無い限り、または、文脈から明らかに矛盾していない限り、本発明に含まれる。
【0141】
本開示の様々な例示的な実施形態として、以下に列挙した実施形態があり、これら実施形態を、技術的または論理的に矛盾しない、あらゆる個数の実施形態を、あらゆる組み合わせで併用することができるが、それらに限定されない。
【0142】
実施形態1は、式(I)の化合物:
【化13】

任意に、医薬として許容可能なその塩、N-オキシド、及び/または、溶媒和物、または、水和物の形態である当該化合物を提供しており、式中、n、L、L、R、R、及び、Rは上記した通りである。
【0143】
実施形態2は、Lが、結合、-C(O)-、-O-、または、-N(R)-である、実施形態1に記載の化合物を提供する。
【0144】
実施形態3は、Lが、結合、-O-、または、-N(R)-である、実施形態1に記載の化合物を提供する。
【0145】
実施形態4は、Lが、結合である、実施形態1に記載の化合物を提供する。
【0146】
実施形態5は、Lが、-O-である、実施形態1に記載の化合物を提供する。
【0147】
実施形態6は、Rを、水素、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cアルキル、1つ以上のR1Bで任意に置換したアリール、1つ以上のR1Bで任意に置換したヘテロアリール、1つ以上のR1Aで任意に置換したヘテロシクロアルキル、または、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cシクロアルキルから選択する、実施形態1~5のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0148】
実施形態7は、Rが、水素である、実施形態1~5のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0149】
実施形態8は、Rが、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cアルキル、1つ以上のR1Bで任意に置換したアリール、1つ以上のR1Bで任意に置換したヘテロアリール、1つ以上のR1Aで任意に置換したヘテロシクロアルキル、または、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cシクロアルキルである、実施形態1~5のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0150】
実施形態9は、Rが、1つ以上のR1Bで任意に置換したアリール、または、1つ以上のR1Bで任意に置換したヘテロアリールである、実施形態1~5のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0151】
実施形態10は、Rが、水素である、実施形態4に記載の化合物を提供する。
【0152】
実施形態11は、Rが、水素、または、C-Cアルキルである、実施形態5に記載の化合物を提供する。
【0153】
実施形態12は、Rが、-CNである、実施形態4に記載の化合物を提供する。
【0154】
実施形態13は、Rが、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cアルキル、1つ以上のR1Bで任意に置換したアリール、1つ以上のR1Bで任意に置換したヘテロアリール、1つ以上のR1Aで任意に置換したヘテロシクロアルキル、または、1つ以上のR1Aで任意に置換したC-Cシクロアルキルである、実施形態4に記載の化合物を提供する。
【0155】
実施形態14は、Lが、結合、-C(O)-、-O-、または-N(R)-である、実施形態1~13のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0156】
実施形態15は、Lが、結合、または、-C(O)-である、実施形態1~13のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0157】
実施形態16は、Lが、結合である、実施形態1~13のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0158】
実施形態17は、Rが:
【化14】
であり、環Aは、4~8員のヘテロシクロアルキル環を表す、実施形態15または16に記載の化合物を提供する。
【0159】
実施形態18は、環Aが、ピロリジニル、アゼチジニル、または、ピペリジニルである、実施形態1~16のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0160】
実施形態19は、Rが:
【化15】
の構造である、実施形態1~16のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0161】
実施形態20は、Rが、構造:
【化16】
のS-エナンチオマーである、実施形態1~16のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0162】
実施形態21は、Rが:
【化17】
の構造である、実施形態1~16のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0163】
実施形態22は、Rが、構造:
【化18】
の2Sエナンチオマーである、実施形態1~16のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0164】
実施形態23は、Rが、-C(O)OR1C、-C(O)NR1C1D、または、-S(O)0-2-R1Cである、実施形態17~22のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0165】
実施形態24は、Rが、-C(O)OR1C(例えば、-C(O)OH)である、実施形態17~22のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0166】
実施形態25は、Lが、-N(R)-である、実施形態1~13のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0167】
実施形態26は、Rが、1つ以上のR1Aで任意に置換した―C―Cアルキル-Rである、実施形態25に記載の化合物を提供する。
【0168】
実施形態27は、Rが、-C(O)OR1C、-C(O)NR1C1D、または、-S(O)0-2-R1Cである;または、Rが、-C(O)OR1C(例えば、-C(O)OH)である、実施形態1~26のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0169】
実施形態28は、nが、0、1、または、2である;または、nが、0または1である、実施形態1~27のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0170】
実施形態29は、Rを、独立して、ハロゲン、-CN、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、-OH、及び、C-Cアルコキシから選択する、実施形態1~28のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0171】
実施形態30は、Rを、独立して、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、-OH、及び、C-Cアルコキシから選択する、実施形態1~28のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0172】
実施形態31は、nが、0である、実施形態1~27のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0173】
実施形態32は、本明細書に記載した(例えば、実施例3に記載した)化合物のいずれか1つであるか、あるいは、医薬として許容可能なその塩、N-オキシド、及び/または、溶媒和物、もしくは、水和物である、実施形態1に記載の化合物を提供する。
【0174】
実施形態33は、前記化合物が、N-オキシドの形態である、実施形態1~32のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0175】
実施形態34は、前記化合物が、医薬として許容可能な塩の形態である、実施形態1~33のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0176】
実施形態35は、前記化合物が、主剤の形態である、実施形態1~34のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0177】
実施形態36は、前記化合物が、溶媒和物または水和物の形態である、実施形態1~35のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0178】
実施形態37は、前記化合物が、Mn2+の非存在下での活性化と比較して、Mn2+の存在下にて改善したcGAS活性化の阻害を示す(例えば、Mn2+の存在下では、Mn2+不含である以外は同一の条件下での化合物のIC50よりも、少なくとも5倍小さいIC50を示す)、実施形態1~36のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0179】
実施形態38は、実施形態1~37のいずれかに記載の化合物と、医薬として許容可能な担体、溶媒、アジュバント、または、希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0180】
実施形態39は、それを必要とする対象でのI型インターフェロン(IFN)応答の不適切な活性化を治療または予防する方法であって、そのような治療を必要とする対象に対して、実施形態1~37のいずれか1つに記載の1つ以上の化合物の有効量、または、実施形態38に記載の医薬組成物の有効量を投与することを含む前記方法を提供する。
【0181】
実施形態40は、自己免疫障害を治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象に対して、実施形態1~37のいずれか1つに記載の1つ以上の化合物の有効量、または、実施形態38に記載の医薬組成物の有効量を投与することを含む前記方法を提供する。
【0182】
実施形態41は、前記自己免疫障害が、エカルディ・グティエール症候群、脳白質ジストロフィーを伴う網膜血管障害、エリテマトーデス、強皮症、または、シェーグレン症候群である実施形態40に記載の方法を提供する。
【0183】
本明細書に記載した実施例及び実施形態は、例示のみを目的とするものであり、それらに照らして様々な修正または変更を当業者に対して示唆をしており、本出願の技術思想及び範囲、ならびに、添付した特許請求の範囲には、それらが含まれている、ことを理解されたい。本明細書で引用したすべての刊行物、特許、及び、特許出願は、すべての目的のために、参照により本明細書で援用する。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7
【国際調査報告】