IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ルフトハンザ・テッヒニク・アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

特表2022-518186到達困難な部品を検査するための方法および装置
<>
  • 特表-到達困難な部品を検査するための方法および装置 図1
  • 特表-到達困難な部品を検査するための方法および装置 図2
  • 特表-到達困難な部品を検査するための方法および装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-14
(54)【発明の名称】到達困難な部品を検査するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20220307BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20220307BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20220307BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20220307BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20220307BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20220307BHJP
   G06T 7/593 20170101ALI20220307BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20220307BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20220307BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20220307BHJP
   G06T 15/04 20110101ALI20220307BHJP
【FI】
G06T19/00 A
A61B1/00 522
A61B1/00 655
A61B1/045 610
G02B23/24 A
F01D25/00 V
F02C7/00 A
G06T7/593
G06T7/00 610C
G01N21/84 A
G06T7/70 Z
G06T15/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021540292
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(85)【翻訳文提出日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 EP2019084899
(87)【国際公開番号】W WO2020148036
(87)【国際公開日】2020-07-23
(31)【優先権主張番号】102019100820.4
(32)【優先日】2019-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503371373
【氏名又は名称】ルフトハンザ・テッヒニク・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】LUFTHANSA TECHNIK AG
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100218132
【弁理士】
【氏名又は名称】近田 暢朗
(72)【発明者】
【氏名】ペータース,ヤン オケ
(72)【発明者】
【氏名】ティース,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】シュップシュトゥール,トアステン
(72)【発明者】
【氏名】ネッダーマイヤー,ヴェルナー
(72)【発明者】
【氏名】ラシェ,スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ドマシュケ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ダマン,マイク
(72)【発明者】
【氏名】シューマン,マッテス
(72)【発明者】
【氏名】トゥッパッチ,イェンス-ペーター
(72)【発明者】
【氏名】バール,ゼンケ
【テーマコード(参考)】
2G051
2H040
4C161
5B050
5B080
5L096
【Fターム(参考)】
2G051AA82
2G051AB07
2G051AC17
2G051AC21
2H040AA02
2H040DA41
2H040FA01
2H040FA10
4C161AA29
4C161BB06
4C161CC06
4C161DD04
4C161GG13
4C161GG24
4C161HH51
4C161LL02
4C161WW04
5B050BA09
5B050BA13
5B050CA07
5B050DA04
5B050DA07
5B050DA10
5B050EA07
5B050EA12
5B050EA18
5B050EA19
5B050EA27
5B050EA28
5B050FA02
5B050GA08
5B080AA19
5B080BA02
5B080DA06
5B080FA02
5B080GA22
5L096AA09
5L096BA03
5L096CA05
5L096FA67
5L096FA69
5L096HA07
5L096MA03
(57)【要約】
本発明は、ガスタービン(1)、特に航空機エンジン、の到達困難な部品(9)を検査するための方法およい装置(10)に関する。方法は、a)視覚的な画像データおよび関連する3Dデータを検出するようにデザインされた少なくとも1つの画像検出ユニット(13)を内視鏡(11)の自由端(12)に有する可撓性の内視鏡(11)を、検査用の開口部から入れるステップと、b)視覚的な画像データおよび関連する3Dデータを少なくとも1つの画像検出ユニット(13)で検出するステップと、c)検出された3Dデータを検査対象の部品(9)の3Dモデル(20)と整列させて、部品(9)に対する画像検出ユニット(13)の関連する位置(A、B、C、D)を決定するステップと、d)画像検出ユニット(13)で検出された視覚的な画像データで、決定された画像検出ユニット(13)の相対的位置に従って3Dモデル(20)にテクスチャ付けするステップとを含む。装置(10)は、本発明に係る方法を実行するようにデザインされる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン(1)の1つまたは複数の到達困難な部品(9)を検査する方法であって、可撓性の内視鏡(11)を使用し、
前記内視鏡は、視覚的な画像情報および関連する3Dデータをキャプチャするように具現化され、前記内視鏡(11)の自由端(12)に配置された、少なくとも1つの画像キャプチャユニット(13)を含み、
前記方法は、
a)検査用開口部から前記内視鏡(11)を入れるステップと、
b)少なくとも1つの前記画像キャプチャユニット(13)によって、視覚的な画像情報と、関連する3Dデータとをキャプチャするステップと、
c)前記画像キャプチャユニット(13)の前記部品(9)に対する相対的なポーズ(A、B、C、D)を確認する目的で、キャプチャされた前記3Dデータを検査対象部品(9)の3Dモデル(20)と比較するステップと、
d)確認された前記画像キャプチャユニット(13)の前記相対的なポーズにしたがって、前記画像キャプチャユニット(13)によってキャプチャされた前記視覚的な画像情報で、前記3Dモデル(20)にテクスチャ付けするステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記内視鏡(11)の前記画像キャプチャユニット(13)の前記ポーズ(A、B、C、D)の変化後、ステップb)からステップd)が繰り返される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前にキャプチャされた視覚的画像情報に関連するポーズ(A、B、C、D)が、さらなる視覚的画像情報とともにその後キャプチャされた前記3Dデータと、前記検査対象部品(9)の3Dモデル(20)との比較の出発点として使用される、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記可撓性の内視鏡(11)は、前記画像キャプチャユニット(13)の近似的なポーズを確認することを可能とする手動または自動で制御可能な運動システムを有し、
前記近似的なポーズは、前記キャプチャされた3Dデータと、前記検査対象部品(9)の前記3Dモデル(20)との比較の出発点として使用される、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記内視鏡(11)の前記運動システムは、自動的に制御可能であり、前記画像キャプチャユニット(13)の少なくとも1つは、前記3Dモデル(20)内で得られた誘導線(21)に沿って自動的に誘導される、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記内視鏡(11)は、異なる視野角から前記視覚的な画像情報および前記3Dデータをキャプチャする少なくとも2つの前記画像キャプチャユニット(13)を含み、
異なる視野角からの画像情報および3Dデータは、好ましくは同時にキャプチャされ、前記キャプチャされた3Dデータと前記検査対象部品(9)の前記3Dモデル(20)との比較のために一緒に使用される、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記画像キャプチャユニット(13)のポーズ(A、B、C、D)が前記部品(9)に対して確認された後に偏差(21)を決定するために、前記キャプチャされた3Dデータが前記3Dモデル(20)と比較され、
前記偏差(21)は、前記キャプチャされた3Dデータに従った、テクスチャ(20)の変更、および/または前記3Dモデル(20)の調整として保存されることが好ましい、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
採用された前記画像キャプチャユニット(13)は、互いに実質的に平行に配置された記録軸を備え、間隔を空けて配置された画像キャプチャセンサ(14)を含み、
3Dデータは三角測量によって前記キャプチャされた画像情報から確認することができる、
請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
ガスタービン(1)の1つ又は複数の到達困難な部品(9)を検査する装置(10)であって、
内視鏡(11)の自由端(12)に、視覚的な画像情報および関連する3Dデータをキャプチャするように具現化された少なくとも1つの画像キャプチャユニット(13)を備えた可撓性の内視鏡(11)と、
前記画像キャプチャユニット(13)に接続され、検査対象部品(9)の3Dモデル(20)を記録するためのメモリを有するコンピュータユニット(17)と、を含み、
前記コンピュータユニット(17)は、請求項1~7のいずれか1つに記載の方法を実行するように具現化されている、装置。
【請求項10】
前記可撓性の内視鏡(11)が、手動または自動で制御可能な運動システムを有し、前記画像キャプチャユニット(13)の近似的なポーズは前記運動システムによって確認可能である、および/または前記運動システムは前記コンピュータユニット(17)によって制御可能である、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記画像キャプチャユニット(13)は、互いに実質的に平行に配置された記録軸を備え、間隔を空けて配置された画像キャプチャセンサ(14)を有し、
3Dデータは三角測量によって前記キャプチャされた画像情報から確認することができる、
請求項9または10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン、特に航空機エンジンの到達困難な部品を検査する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術では、ガスタービン、特にジェットエンジンなどの航空機エンジンを光学的に検査するための様々な方法が開示されており、ボアスコープ(borescope)や内視鏡(endoscope)を、完全に組み立てられたガスタービンの横方向の開口部から挿入して、ガスタービンの内部を光学的に検査することができるようになっている。
【0003】
例として、ガスタービンの燃焼室を検査する目的において、可撓性のある内視鏡を挿入し、燃焼室が完全に記録されるまで、すなわち、燃焼室の各領域について少なくとも1つの画像がキャプチャされるまで、常に画像をキャプチャしながら手動で移動させる。このように、頻繁に、柔軟な内視鏡は、燃焼室の内周全体に沿って導かれ、その後、ゆっくりと引き出される。これにより、燃焼室の全周を確かに診断することができるはずである。
【0004】
このようにして生成されたビデオ録画は、燃焼室の構造の状態(build state)を記録するために手動で分析される。損傷が大きい場合には、燃焼室の損傷をさらに詳細に分析するために、手動で静的な3Dキャプチャを行うことができる。しかし、この3Dキャプチャは非常に複雑で時間がかかるため、特殊な状況下でのみ実施される。
【0005】
その上、先行技術において生成されるビデオ録画は、内視鏡を手動で誘導するため、実質的に再現性がない。そのため、同じガスタービンの異なる時刻の2つのビデオ録画同士も、同じ種類の2つのガスタービンのビデオ録画同士も、直接比較することができない。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、ガスタービンの到達困難な部品を検査するための方法および装置を開発することであり、その際、従来技術から知られている欠点は発生しない、もしくは少なくとも発生の度合いが軽減される。
【0007】
この目的は、主請求項に記載された方法と、代替独立請求項9に記載された装置によって達成される。有利な開発が、従属請求項の主題である。
【0008】
したがって、本発明は、視覚的な画像情報および関連する3Dデータをキャプチャするように具現化され、内視鏡の自由端に配置された少なくとも1つの画像キャプチャユニットを含む制御可能な可撓性内視鏡を使用して、ガスタービンの1つまたは複数の到達困難な部品を検査する方法であって、以下のステップを含む方法に関する。
a)検査用開口部から内視鏡を入れるステップ。
b)画像キャプチャユニットによって視覚的な画像情報と3Dデータをキャプチャするステップ。
c)画像キャプチャユニットの部品に対する相対的ポーズ(pose)を確認する目的で、キャプチャされた3Dデータを検査対象部品の3Dモデルと比較するステップ。
d)確認された画像キャプチャユニットの相対的ポーズにしたがって、画像キャプチャユニットによってキャプチャされた視覚的な画像情報で、3Dモデルにテクスチャ付けするステップ。
【0009】
さらに、本発明は、ガスタービンの1つ以上の到達困難な部品を検査するための装置に関連し、該装置は、内視鏡の自由端に、視覚的な画像情報および関連する3Dデータをキャプチャするように具現化された少なくとも1つの画像キャプチャユニットを備えた可撓性内視鏡と、画像キャプチャユニットに接続され、検査対象の部品の3Dモデルを記録するためのメモリを有するコンピュータユニットとを含み、コンピュータユニットは、本発明による方法を実行するように具現化されている。
【0010】
本発明による方法では、従来技術とは異なり、画像キャプチャユニットは、そのために設けられた検査用開口部から内視鏡が挿入された後、視覚的な画像情報だけでなく、関連する3Dデータもキャプチャする。3Dデータは、視覚的な画像情報の個々の点の画像キャプチャユニットからの距離を反映した相対的な位置データであり、したがって、3Dデータを視覚的な画像情報と結合すると、最終的に三次元画像が得られる。
【0011】
キャプチャされた3Dデータは、その後、検査対象の部品の3Dモデルと比較され、キャプチャされた部品に対する画像キャプチャユニットの相対的なポーズを確認する。例えば、3Dモデルは、検査対象の部品を構築するための基礎となったCADモデルであってもよい。この場合、「相対的なポーズ」とは、少なくとも、部品に対する画像キャプチャユニットの相対的な位置と方向を含む。所望のポーズを確認するために、原則としてポイントクラウド(point clouds)またはハイトマップ情報として利用可能な3Dデータを、例えばワイヤーフレームモデルなどの3Dモデルと比較する方法は、従来技術から周知である。
【0012】
次に、画像キャプチャユニットの相対的なポーズを把握した上で、視覚情報を用いて3Dモデルにテクスチャ付けをすることができる。そのプロセスにおいて、確認された画像キャプチャユニットのポーズから進んで視覚情報が仮想的に3Dモデル上に投影され、3Dモデルに採用されることになる。
【0013】
視覚的な画像情報と関連する3Dデータをキャプチャするステップ、キャプチャした3Dデータを3Dモデルと比較することで部品に対する画像キャプチャユニットの相対的なポーズを確認するステップ、および画像キャプチャユニットでキャプチャした視覚的な画像情報を用いて3Dモデルにテクスチャ付けをするステップは、画像キャプチャユニットのポーズが変化した後も繰り返されることが好ましい。画像キャプチャユニットのポーズが変化するということは、それによって記録される画像部分が変わるということでもある。前述のステップを適切な数だけ繰り返すことで、画像キャプチャユニットのポーズが適切に変化した場合に、3Dモデル全体に連続してテクスチャ付けをすることができる。キャプチャされた視覚的な画像情報が3Dモデルの既に利用可能なテクスチャと重複する場合、視覚的な画像情報のアイテム群は、例えばパノラマ写真で知られているように、既知の縫い合わせ(stitching)方法を使用して互いにリンクさせることができる。
【0014】
特に、原理的に軸対称の構成を持つガスタービンの内視鏡検査の場合、キャプチャされた3Dデータに対して固有のポーズが確認できず、その代わりに3Dモデルにおける画像キャプチャユニットの複数のポーズが3Dデータに対して疑問を呈する場合を排除することは原則としてできない。
【0015】
したがって、画像キャプチャユニットのポーズが変更された後に、新たな視覚的画像情報および3Dデータがキャプチャされ、前述のように処理される場合には、前にキャプチャされた視覚的画像情報に関連するポーズが、その後、さらなる視覚的画像情報とともにキャプチャされた3Dデータと検査対象の部品の3Dモデルとの比較の出発点として使用されることが好ましい。言い換えれば、先に確認したポーズの周辺を、キャプチャした3Dデータに基づいて、問題になる可能性のある画像キャプチャユニットの相対的なポーズをまず調べ、複数のポーズが問題になる可能性がある場合は、先のポーズに最も近いポーズが適用可能であると考えられるようにする。特に、視覚的な画像情報および3Dデータが、画像キャプチャユニットのポーズがわずかに変化した場合にキャプチャされるか、あるいは連続してキャプチャされないまでも、定期的に短い間隔でキャプチャされる場合には、画像キャプチャユニットのポーズを原則として確実に決定することができる。必要であれば、画像キャプチャユニットによる画像のキャプチャは、内視鏡を検査用開口部から挿入する際に既に開始することができ、画像キャプチャユニットの確認されたポーズの説明されたアップデートは、例えば、3Dモデル内に適宜格納され得る定義されたポイントで開始される。
【0016】
可撓性内視鏡は、自由端に配置された画像キャプチャユニットを検査用開口部を通して移動させるために、手動または自動で制御可能な運動システムを有してもよい。例として、運動システムは、内視鏡のガイドとしての柔軟なマニピュレータアームに従って構成することができ、前記マニピュレータアームは非常に高い自由度を有する。しかし、運動システムは、内視鏡の鎖状のガイドで構成することもでき、個々の鎖部材は、互いに相対的に移動(特にピボット旋回)することができる。例として、対応するガイドは、コイル状の金属管で作られたグースネックや、同様の方法で変形可能な構造体として具現化することもできる。内視鏡がその自由端に角度付けユニットを有し、それによって画像キャプチャユニットを備えた領域を内視鏡の長手方向の軸に対して角度付けすることができると、特に好ましい。運動システムの最終的な動きは、ガイド上に直接配置された小型のアクチュエータ要素、またはボーデンケーブル(Bowden cables)を用いて、既知の方法で達成することができる。内視鏡は、不用意な接触による航空機エンジンの損傷を避けるために、プラスチックでコーティングしてもよい。
【0017】
対応する手動または自動による制御可能な運動システムの場合、画像キャプチャユニットのポーズは、検査用開口部から進む運動システムの状態を考慮して決定することができる。原則として、ポーズはプロセスの中でおおよそしか把握できない、つまり、テクスチャリングの目的で画像キャプチャユニットの相対的なポーズとして直接使用するのに十分な精度ではない。しかし、このおおよそのポーズは、キャプチャされた3Dデータを検査対象の部品の3Dモデルと比較するための出発点として使用することができる。3Dデータから、3Dモデルにおける画像キャプチャユニットの複数のポーズが原理的に考えられ得る場合、画像キャプチャユニットのキャプチャされたおおよそのポーズから、3Dモデルに最も近いポーズを求めることができる。
【0018】
確認されるべき相対的なポーズの精度、あるいは確認された相対的なポーズの曖昧さの精度を高めるために、内視鏡は、異なる視野角から視覚的な画像情報および3Dデータをキャプチャする少なくとも2つの画像キャプチャユニットを含むことが好ましく、異なる視野角からの画像情報および3Dデータは、好ましくは同時にキャプチャされ、キャプチャされた3Dデータと検査対象の部品の3Dモデルとの比較のために一緒に使用される。ここで、「視野角」とは、例えば画像キャプチャユニットの領域における内視鏡の長手方向の軸や、この長手方向の軸からなる平面など、基準となる軸や平面に対する画像キャプチャユニットの記録錐体(recording cone)の角度を示す。この場合、視野角は、2つの画像キャプチャユニットが完全に同一の領域をキャプチャしないように選択されるべきであるが、2つの画像キャプチャユニットのキャプチャ領域のオーバーラップは可能であり、広範囲のオーバーラップでさえも可能である。1つより多い画像キャプチャユニットを設けることで、それぞれの画像キャプチャユニットの視野角が異なることが想定され、視覚的な画像情報や関連する3Dデータをキャプチャする際に、より広いキャプチャ領域をカバーすることができる。その結果、より多くの3Dデータが、3Dモデルとの比較に使用できる。さらに、3Dモデルのより多くの領域を、追加の画像キャプチャセンサの追加の視覚的画像情報によって1回のパスでテクスチャ付けすることができるため、視覚的画像情報および3Dデータをキャプチャする必要があり、部品またはその所望の領域を完全にキャプチャするために必要な画像キャプチャユニットのポーズの数、およびそれに関連する時間を削減することができるかもしれない。
【0019】
複数の画像キャプチャセンサを設け、画像キャプチャユニットの領域で内視鏡の軸のまわり全周にわたって視覚的な画像情報と3Dデータをキャプチャするように配置するように備えることができる。言い方を変えれば、360°録画できるように十分な数の画像キャプチャユニットを用意すべきである。3Dデータを用いて3Dモデルにおける画像キャプチャユニットの相対的なポーズを確認した後、偏差を判断する目的で、3Dデータを用いて3Dモデルとの比較をもう一回行うことが好ましい。3Dデータに基づいて画像キャプチャユニットのポーズを確認する場合、測定の誤差のために3Dモデルからの偏差が原理的に既に発生しており、それにもかかわらず画像キャプチャユニットのポーズを正確に決定できるように、前記偏差は重み付けされる。検査対象の部品の変形や同等の損傷も3Dデータに反映され、3Dモデルからの偏差を意味するが、損傷のない領域から十分な3Dデータが得られた場合には、適切な重み付けによって、画像キャプチャユニットのポーズを正確に決定することが阻止されない。3Dデータと3Dモデルの「2回目」の比較で確認された偏差は、検査された部品に起こりうる損傷に関する情報を提供できる。この偏差は、キャプチャされた3Dデータに合わせて、テクスチャの変更(例えば、着色など)、および/または3Dモデルの調整として保存されることが好ましい。その結果、決定された偏差は、テクスチャー化された3Dモデル上で容易に識別可能となる。
【0020】
内視鏡の運動システムが自動的に制御可能である場合、内視鏡の少なくとも1つの画像キャプチャユニットが、予め定義された誘導線に沿って自動的に誘導されることが好ましい。例えば、誘導線は、3Dモデルに含まれていてもよいし、3Dモデルに基づいて作成されてもよい。内視鏡の自動誘導が行われる場合、内視鏡またはそれに接続されたホルダーを検査用開口部に当てて、この領域に固定するだけで、内部での内視鏡の最終的な動きは、自動的にまたはコンピュータ制御の下で実行される。その際、画像キャプチャユニットは所定の誘導線に沿って移動する。内視鏡の手動操作と比較して、内視鏡のこのような自動誘導によって確かとされるのは、不必要な二重キャプチャが生じることなく、検査される部品のすべての所望の領域が1つの画像キャプチャユニットによって少なくとも1回キャプチャされることである。
【0021】
画像キャプチャユニットは、視覚的な画像情報をキャプチャするための画像センサと、3Dデータをキャプチャするための距離センサで構成することができる。対応するセンサは、従来技術から知られている。また、2つのセンサを、例えば、フォトニック・ミキサ・ディテクタ内で合体させることも可能である。
【0022】
視覚的な画像情報と3Dデータをキャプチャするために、画像キャプチャユニットは、互いに実質的に平行で、または互いに小さな角度を有して配置された記録軸を備え、間隔を空けて配置された画像キャプチャセンサを含むことが好ましく、3Dデータは三角測量によってそのキャプチャされた画像情報から確認することができる。対応する2つのキャプチャ画像から3Dデータを得るための様々な計算処理は、「コンピュータステレオビジョン」という言葉で知られている。
【0023】
3Dデータへの変換処理に適した視覚的な画像情報をキャプチャするために、画像キャプチャ装置は、必要な解像度で内視鏡に使用するために十分に小型のグローバルシャッタ付きグレースケールCMOSセンサを含んでもよい。カラー情報のためには、カラーCMOSセンサやカラーCCDセンサを追加することが可能で、ローリングシャッタで十分対応でき、このセンサは十分に小型とすることも可能である。
【0024】
本発明による方法で作成された検査対象部品のテクスチャ付き3Dモデルは、ディスプレイ装置上で所望に応じて視覚化し、評価することができる。さらに、本発明に従って生成された3Dモデルは、内視鏡検査の実際の実施から切り離されているので、異なる時間に生成された同じ部品の2つの3Dモデルを、直接、および任意に、自動化された方法で互いに比較することができる。同じ種類の異なる部品の3Dモデルについても同様である。生成された3Dモデルは、必要に応じて保存、評価、およびさらなる処理をすることができる。
【0025】
本発明による装置を説明するために、上記の説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明を好ましい実施形態に基づいて例示的に説明する。
【0027】
図1図1は、航空機エンジンの模式的断面図であり、本発明に係る装置がその中に挿入されている。
図2図2は、図1の部分拡大図である。
図3図3は、図1および図2の装置の機能を模式的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1および図2は、2スプールエンジン1の断面を模式的に示しており、ファン2および低圧コンプレッサ3は、第1シャフト4を介して低圧タービン5と共に回転するように接続され、高圧コンプレッサ6は、第2シャフト7を介して高圧タービン8と共に回転するように接続されている。燃焼室9は、高圧コンプレッサ6と高圧タービン8の間に配置されている。
【0029】
本発明による装置10は、燃焼室9を検査するために提供される。
【0030】
本装置10は、可撓性を有する内視鏡11を含み、その自由端12には2つの画像キャプチャユニット13が設けられている。各画像キャプチャユニット13は、それぞれ2つの画像キャプチャセンサ14を含む。画像キャプチャユニット14は、グローバルシャッタ付きのCMOSセンサである。それぞれの画像キャプチャユニット13の2つの画像キャプチャセンサ14の記録軸14’は、互いに平行に延びている。その結果、既知のコンピュータステレオビジョン法を用いて、同じ画像キャプチャユニット13の画像キャプチャセンサ14の同時に記録された画像情報から3Dデータを導き出すことができる。また、2つの画像キャプチャユニット13は、画像キャプチャユニット13がそれぞれ異なる視野角を有し、それぞれが異なる記録領域をカバーするように、内視鏡11の反対側に配置されている。
【0031】
可撓性内視鏡11は、可撓性内視鏡11が案内される制御可能なガイド15の形で、自動的に制御可能な運動システムを有する。ここで、ガイド15は、非常に多くの自由度を有する可撓性マニピュレータアームとして構成される。ガイド15の駆動装置と制御装置は、支持および駆動ユニット16に配置される。装置10は、支持および駆動ユニット16を用いて、検査用開口部の領域でエンジン1の外周側に固定される。ユニット16に組み込まれた駆動装置は、内視鏡11またはそのガイド15を検査用開口部にさらに挿入したり、引き出したりするように具現化されている。さらに、駆動装置は、ガイド15を利用可能なすべての自由度で制御することを可能にし、内視鏡11をガイド15に対して回転させることを可能にする。支持および駆動ユニット16によって、内視鏡11の自由端は、燃焼室9内の実質的にどこにでも配置および方向付けすることができ、ガイド15の制御または内視鏡11の制御から生じる検査用開口部に対する内視鏡11の自由端12の画像キャプチャユニット13の近似的なポーズが決まる。検査用開口部のポーズが燃焼室9に対してユニークである場合、これを利用して、燃焼室9に対する画像キャプチャユニット13のおおよそのポーズを確認することができる。
【0032】
内視鏡11の画像キャプチャユニット13と、支持および駆動ユニット16とは、コンピュータ17にデータ接続されている。コンピュータ17は、特に支持および駆動ユニット16を介して内視鏡11を制御し、その結果、特に画像キャプチャユニット13を動かすように具現化されている。加えて、画像キャプチャユニット13によってキャプチャされたデータを評価することができる。ここで、画像キャプチャユニット13は、それぞれの画像キャプチャセンサ14によって記録された視覚的な画像情報を、単にコンピュータ17に供給するだけでよく、コンピュータ17は、コンピュータのステレオビジョン法の助けによって、そこから3Dデータを確認する。しかし、画像キャプチャユニット13が適切な計算モジュールを含むことも可能であり、それによって3Dデータが確認されるので、2つの画像キャプチャセンサ14のうちの1つからの視覚的画像情報を、画像キャプチャユニット13自体で確認された3Dデータとともに、コンピュータ17に送信することのみが依然として必要である。
【0033】
次に、図1および図2の装置10の基本的な機能を、図3に基づいて説明する。ここでは、分かりやすくするために、意図的に簡略化した図を用いている。
【0034】
コンピュータ14には、検査対象部品(具体的には燃焼室9)の3Dモデル20が用意されており、分かりやすくするために1つのセクションのみが図示されている。初期状態では、3Dモデル20にはテクスチャがなく、それが破線で図示されている理由である。
【0035】
視覚的な画像データと3Dデータをとそれぞれのケースでキャプチャすべき4つのポーズA、B、C、Dが定義された誘導線21が、3Dモデル20の一部である。
【0036】
誘導線21は、コンピュータ14によって、支持および駆動ユニット16の助けを借りて内視鏡11を誘導するために使用される(図3の左上を参照)。視覚的な2D画像情報および3Dデータは、ポーズA、B、C、Dに到達したときに、画像キャプチャユニット13(図3では、そのうち記録錐体13’のみが示されている)によってそれぞれの場合にキャプチャされる。この過程で、3Dデータは、画像キャプチャユニット13の2つの画像キャプチャセンサ14からの視覚的な2D画像情報からコンピュータステレオビジョン法によって得られ(図2参照)、その結果、画像キャプチャユニット13からの視覚的な画像情報の個々の点の距離が反映される。
【0037】
2つの画像キャプチャユニット13からのデータは、視覚的な画像情報とそれに由来する3D情報が取り込まれた、それぞれ特定されたポーズA、B、C、D(図3左下参照)とともに、コンピュータ14によってさらに処理される。ポーズA、B、C、Dは、原則として、内視鏡11やそのガイド15が十分な信頼性をもって正確に得られないので、この過程におけるポーズは、実際のポーズではなく、近似的なポーズA’、B’、C’、D’に過ぎないと考えられる。
【0038】
近似的なポーズA’、B’、C’、D’から始めて、2つの画像キャプチャ装置13のキャプチャされた3Dデータがモデル20と比較され、2つの画像キャプチャ装置13の実際のポーズ、ひいては内視鏡11の自由端12の実際のポーズが確認される。キャプチャされた3Dデータを3Dモデル20と比較するための適切な方法は、従来技術から知られている。それぞれの近似的なポーズA’、B’、C’、D’から始めることによって、3Dデータを3Dモデル20と比較した後に、画像キャプチャ装置13の複数の可能なポーズから実際に適用可能なポーズが選択されることを保証することが可能である。
【0039】
このようにして確認された画像キャプチャユニット13の正確なポーズは、その後、それぞれ確認された画像キャプチャユニット13の実際のポーズから視覚的な2D画像データを3Dモデル20に仮想的に投影するために使用され、その結果、テクスチャ付きの3Dモデル20’が生成される。この過程で、既に存在するテクスチャ22と投影された2D画像データとの間に重なりが生じた場合には、テクスチャの継ぎ目のない移行を得るために、従来技術から知られている縫い合わせ方法を適用することが可能である。
【0040】
さらに、3Dモデル20’は、キャプチャされた3Dデータにおけるそこからの局所的な偏差23に基づいて調整することができ、その偏差は頻繁に損傷を示し、したがって、偏差23はテクスチャ付けされた3Dモデル20’においても見つかり得る。さらに、3Dモデル20’において偏差23をより容易に識別できるようにするために、テクスチャ20を対応する偏差23の領域で着色することができる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】