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特表2022-518233光学顕微鏡の基準焦点面を識別するための印刷カバースリップ及びスライド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-14
(54)【発明の名称】光学顕微鏡の基準焦点面を識別するための印刷カバースリップ及びスライド
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/00 20060101AFI20220307BHJP
   G02B 21/34 20060101ALI20220307BHJP
   G02B 21/36 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
G02B21/00
G02B21/34
G02B21/36
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541587
(86)(22)【出願日】2020-01-17
(85)【翻訳文提出日】2021-08-06
(86)【国際出願番号】 US2020014167
(87)【国際公開番号】W WO2020150652
(87)【国際公開日】2020-07-23
(31)【優先権主張番号】62/810,850
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/794,487
(32)【優先日】2019-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521316349
【氏名又は名称】テックサイト・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】カフーン・ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】スウェンソン・シェーン
(72)【発明者】
【氏名】ラーソン・ベンジャミン・エス
【テーマコード(参考)】
2H052
【Fターム(参考)】
2H052AC04
2H052AC05
2H052AD09
2H052AE04
2H052AE05
2H052AE06
2H052AF14
2H052AF25
(57)【要約】
光学顕微鏡に関連する基準焦点面を識別するためのシステム、方法、及び装置。方法は、光学顕微鏡に関連して使用されるカバースリップ又はスライドの表面上に印刷された基準マーカを識別することを含む。この方法は、光学顕微鏡を基準マーカに合焦させて、基準マーカの焦点距離を計算することを含む。この方法は、基準マーカの焦点距離に基づいて、カバースリップ又はスライドの表面を規定する基準焦点面を計算することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
カバースリップの表面又はスライドの表面上に印刷された基準マーカを識別することと、
光学顕微鏡を前記基準マーカに合焦させて、前記基準マーカの焦点距離を計算することと、
前記基準マーカの前記焦点距離に基づいて、前記カバースリップの前記表面又は前記スライドの前記表面を規定する基準焦点面を計算することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記方法が、
前記カバースリップの前記表面上に印刷された前記基準マーカを識別することと、
前記カバースリップの前記表面を規定する前記基準焦点面を計算することと、を含むように、前記基準マーカが、前記カバースリップの前記表面上に印刷されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基準マーカが、前記光学顕微鏡の接眼レンズ又はカメラに対して前記カバースリップの底面上に印刷されており、前記底面が、試料と接触するようになっており、
前記カバースリップの前記表面を規定する前記基準焦点面が、前記カバースリップの前記底面を規定し、
前記カバースリップの前記底面を規定する前記基準焦点面が、前記光学顕微鏡の前記接眼レンズ又は前記カメラに対する前記試料の頂面を更に規定する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記光学顕微鏡で前記カバースリップを走査して、全体像走査を生成することと、
前記全体像走査に基づいて、前記カバースリップの前記表面上に印刷された複数の基準マーカを識別することと、
前記全体像走査に基づいて、前記カバースリップの前記表面上に印刷された基準マーカの量を計算することと、
前記全体像走査に基づいて、前記カバースリップ上に印刷された前記複数の基準マーカの各々の場所を識別することと、を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記カバースリップの前記表面を規定する前記基準焦点面を計算することが、
前記光学顕微鏡を、前記カバースリップ上に印刷された前記複数の基準マーカの各々に合焦させて、前記複数の基準マーカの各々に対する焦点距離を計算することと、
前記複数の基準マーカの各々に対する前記焦点距離を、前記複数の基準マーカの各々についての対応する場所と一致させることと、
前記複数の基準マーカの各々の前記対応する焦点距離及び場所に基づいて、前記基準焦点面を計算することと、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記基準焦点面を計算することが、
2つ以上の基準マーカ間の間隔に対する焦点距離を、前記2つ以上の基準マーカに対する焦点距離に基づいて内挿することと、
前記複数の基準マーカのうちの特定の基準マーカに対する前記焦点距離を外挿して、前記特定の基準マーカを包囲する領域に対する焦点距離を推定することと、を更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記基準焦点面を計算することが、
前記複数の基準マーカのうちの3つの基準マーカを識別することと、
前記3つの基準マーカの各々に対する焦点距離を識別することと、
前記全体像走査に対する前記3つの基準マーカの各々についての場所を識別することと、
前記3つの基準マーカの各々に対する前記焦点距離及び前記場所に少なくとも部分的に基づいて、前記3つの基準マーカによって規定される三角形に平面をフィッティングさせることと、を更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記基準焦点面を計算することが、
前記複数の基準マーカのうちの4つ以上の基準マーカを識別することと、
前記4つ以上の基準マーカの各々に対する焦点距離と、前記全体像走査に対する前記4つ以上の基準マーカの各々の場所と、に基づいて、前記4つ以上の基準マーカの各々についての(x,y,z)座標を識別することと、
前記4つ以上の基準マーカの各々の前記(x,y,z)座標によって規定されるポイントに湾曲した表面をフィッティングさせて、前記カバースリップの表面全体を近似する表面トポロジを生成することと、を更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記基準マーカが、前記光学顕微鏡の接眼レンズ又はカメラに対して前記カバースリップの底面上に印刷されており、前記底面が、試料と接触するようになっており、前記方法が、
1つ以上の基準マーカへの前記光学顕微鏡の前記合焦の結果に基づいて、前記試料までの予測される焦点距離を計算することと、
前記試料までの前記予測される焦点距離よりも大きい、及び/又は前記試料までの前記予測される焦点距離よりも小さい焦点距離の閾値範囲を試験することによって、前記試料への焦点を精緻化することと、を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記光学顕微鏡で前記カバースリップを走査して、全体像走査を生成することと、
前記全体像走査内の前記基準マーカを識別することと、
前記基準マーカまでの前記焦点距離に基づいて、前記基準マーカのz軸場所を計算することと、
前記全体像走査に対する前記基準マーカの場所に基づいて、前記基準マーカのx軸場所及びy軸場所を計算することと、を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記光学顕微鏡で撮像するための試料を、試料移送ツールを使用して前記試料をスライド上に置くことによって、調製することを更に含み、前記試料移送ツールが、
長尺部材と、
内部空間を規定する外側ループと、
前記外側ループに取り付けられ、かつ前記外側ループの前記内部空間内に配設された、1つ以上のスポークと、を含み、
前記1つ以上のスポークのうちの少なくとも1つのスポークと、前記外側ループの少なくとも一部分と、が、前記試料を捕捉するための試料捕捉ループを規定し、
前記長尺部材が、前記1つ以上のスポークに対してほぼ垂直である、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記カバースリップ上のキラルインジケータを識別することと、前記キラルインジケータに基づいて前記カバースリップの配向を判定することと、を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記基準マーカが、前記光学顕微鏡の接眼レンズ又はカメラに対して前記カバースリップの底面上に印刷されており、前記底面が、試料と接触するようになっており、前記方法が、前記光学顕微鏡を予測される粒子深さに合焦させることによって、前記試料内に対象の粒子を定位することを更に含み、前記予測される粒子深さが、前記粒子が前記カバースリップの前記底面に対して前記試料中に定位される、推定される深さである、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記光学顕微鏡を前記予測される粒子深さに合焦させることが、前記基準焦点面に基づいて、前記光学顕微鏡に対する前記予測される粒子深さを判定することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記光学顕微鏡と関連付けられたカメラによって捕捉された前記カバースリップの画像を受信することと、
前記画像を評価して、前記画像内に基準マーカが捕捉されているかどうかを判定することと、
前記画像内に基準マーカが見えないことに応答して、前記光学顕微鏡と関連付けられた前記カメラの視野を変更することと、
前記変更された視野を有する前記カメラによって捕捉された前記カバースリップの新たな画像を受信することと、
前記新たな画像を評価して、前記画像内に基準マーカが捕捉されているかどうかを判定することと、を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
前記画像及び/又は前記新たな画像内に基準マーカが捕捉されていることに応答して、
前記画像及び/又は前記新たな画像を評価して、前記捕捉された基準マーカの全体が、前記画像及び/若しくは前記新たな画像内に存在するか、又は前記捕捉された基準マーカの一部分が、前記画像及び/若しくは前記新たな画像内に存在するかを判定することと、
前記捕捉された基準マーカの一部分のみが前記画像及び/又は前記新たな画像内に存在することに応答して、前記捕捉された基準マーカの捕捉された縁部輪郭を識別することと、
全ての基準マーカを含む前記カバースリップの全体像画像に基づいて、前記捕捉された基準マーカの想定される縁部輪郭をメモリから取り出すことと、
前記捕捉された縁部輪郭を前記想定される縁部輪郭と比較して、前記捕捉された基準マーカの前記全体が前記光学顕微鏡の視野内に存在するように、前記光学顕微鏡のステージ又は対物レンズを移動させるのに必要な推定される方向及び距離を計算することと、を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記光学顕微鏡の前記ステージ及び/又は前記対物レンズを、前記推定される方向及び距離に従って移動させることと、
移動後の前記顕微鏡の前記ステージ及び/又は前記対物レンズについての(x,y)座標を判定することと、
前記ステージ及び/又は前記対物レンズの前記(x,y)座標に基づいて、前記捕捉された基準マーカの(x,y)座標をメモリに記憶することと、を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記画像及び/又は前記新たな画像内に基準マーカが捕捉されていることに応答して、
前記画像及び/又は前記新たな画像を評価して、前記捕捉された基準マーカによって前記視野の全体が覆われているかどうかを判定することと、
前記捕捉された基準マーカによって前記視野の一部分のみが覆われていることに応答して、前記捕捉された基準マーカの捕捉された縁部輪郭を識別することと、
全ての基準マーカを含む前記カバースリップの全体像画像に基づいて、前記捕捉された基準マーカの想定される縁部輪郭をメモリから取り出すことと、
前記捕捉された縁部輪郭を前記想定される縁部輪郭と比較して、前記光学顕微鏡の前記視野の前記全体が前記基準マーカによって覆われるように、前記光学顕微鏡のステージ又は対物レンズを移動させるのに必要な推定される方向及び距離を計算することと、を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記光学顕微鏡の前記ステージ及び/又は前記対物レンズを、前記推定される方向及び距離に従って移動させることと、
移動後の前記顕微鏡の前記ステージ及び/又は前記対物レンズについての(x,y)座標を判定することと、
前記ステージ及び/又は前記対物レンズの前記(x,y)座標に基づいて、前記捕捉された基準マーカの(x,y)座標をメモリに記憶することと、を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記カバースリップ上に印刷された全ての基準マーカを含む全体像画像に基づいて、前記カバースリップ上に印刷された第1の基準マーカの想定される縁部輪郭をメモリから取り出すことと、
前記光学顕微鏡で捕捉された画像に基づいて、前記第1の基準マーカの捕捉された縁部輪郭を識別することと、
前記第1の基準マーカの前記想定される縁部輪郭を、前記第1の基準マーカの前記捕捉された縁部輪郭と比較することと、
前記第1の基準マーカの前記想定される縁部輪郭が、許容誤差閾値内で前記第1の基準マーカの前記捕捉された縁部輪郭と一致するかどうかを判定することと、を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項21】
前記カバースリップの印刷領域を識別することと、
前記カバースリップの前記印刷領域に基づいて、前記カバースリップによって覆われた試料の走査領域を最適化することと、を更に含み、
前記走査領域が、走査時間、走査ファイルサイズ、又は試験感度のうちの1つ以上に基づいて最適化される、請求項2に記載の方法。
【請求項22】
前記方法が、
前記スライドの前記表面上に印刷された前記基準マーカを識別することと、
前記スライドの前記表面を規定する前記基準焦点面を計算することと、を含むように、前記基準マーカが、前記スライドの前記表面上に印刷されている、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記基準マーカが、前記光学顕微鏡の接眼レンズ又はカメラに対して前記スライドの頂面上に印刷されており、前記スライドの前記頂面が、試料と接触するようになっており、
前記スライドの前記表面を規定する前記基準焦点面が、前記スライドの前記頂面を規定し、
前記スライドの前記頂面を規定する前記基準焦点面が、前記光学顕微鏡の前記接眼レンズ又は前記カメラに対する前記試料の底面を更に規定する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記光学顕微鏡で前記スライドを走査して、全体像走査を生成することと、
前記全体像走査に基づいて、前記スライドの前記表面上に印刷された複数の基準マーカを識別することと、
前記全体像走査に基づいて、前記スライドの前記表面上に印刷された基準マーカの量を計算することと、
前記全体像走査に基づいて、前記スライド上に印刷された前記複数の基準マーカの各々の場所を識別することと、を更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記スライドの前記表面を規定する前記基準焦点面を計算することが、
前記光学顕微鏡を、前記スライド上に印刷された前記複数の基準マーカの各々に合焦させて、前記複数の基準マーカの各々に対する焦点距離を計算することと、
前記複数の基準マーカの各々に対する前記焦点距離を、前記複数の基準マーカの各々についての対応する場所と一致させることと、
前記複数の基準マーカの各々の前記対応する焦点距離及び場所に基づいて、前記基準焦点面を計算することと、を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記基準焦点面を計算することが、
2つ以上の基準マーカ間の間隔に対する焦点距離を、前記2つ以上の基準マーカに対する焦点距離に基づいて内挿することと、
前記複数の基準マーカのうちの特定の基準マーカに対する前記焦点距離を外挿して、前記特定の基準マーカを包囲する領域に対する焦点距離を推定することと、を更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記基準焦点面を計算することが、
前記複数の基準マーカのうちの3つの基準マーカを識別することと、
前記3つの基準マーカの各々に対する焦点距離を識別することと、
前記全体像走査に対する前記3つの基準マーカの各々についての場所を識別することと、
前記3つの基準マーカの各々に対する前記焦点距離及び前記場所に少なくとも部分的に基づいて、前記3つの基準マーカによって規定される三角形に平面をフィッティングさせることと、を更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記基準焦点面を計算することが、
前記複数の基準マーカのうちの4つ以上の基準マーカを識別することと、
前記4つ以上の基準マーカの各々に対する焦点距離と、前記全体像走査に対する前記4つ以上の基準マーカの各々の場所と、に基づいて、前記4つ以上の基準マーカの各々についての(x,y,z)座標を識別することと、
前記4つ以上の基準マーカの各々の前記(x,y,z)座標によって規定されるポイントに湾曲した表面をフィッティングさせて、前記スライドの表面全体を近似する表面トポロジを生成することと、を更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記基準マーカが、前記光学顕微鏡の接眼レンズ又はカメラに対して前記スライドの頂面上に印刷されており、前記頂面が、試料と接触するようになっており、前記方法が、
1つ以上の基準マーカへの前記光学顕微鏡の前記合焦の結果に基づいて、前記試料までの予測される焦点距離を計算することと、
前記試料までの前記予測される焦点距離よりも大きい、及び/又は前記試料までの予測される焦点距離よりも小さい焦点距離の閾値範囲を試験することによって、前記試料への焦点を精緻化することと、を更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記光学顕微鏡で前記スライドを走査して、全体像走査を生成することと、
前記全体像走査内の前記基準マーカを識別することと、
前記基準マーカまでの前記焦点距離に基づいて、前記基準マーカのz軸場所を計算することと、
前記全体像走査に対する前記基準マーカの場所に基づいて、前記基準マーカのx軸場所及びy軸場所を計算することと、を更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記光学顕微鏡で撮像するための試料を、試料移送ツールを使用して前記試料を前記スライド上に置くことによって、調製することを更に含み、前記試料移送ツールが、
長尺部材と、
内部空間を規定する外側ループと、
前記外側ループに取り付けられ、かつ前記外側ループの前記内部空間内に配設された、1つ以上のスポークと、を含み、
前記1つ以上のスポークのうちの少なくとも1つのスポークと、前記外側ループの少なくとも一部分と、が、前記試料を捕捉するための試料捕捉ループを規定し、
前記長尺部材が、前記1つ以上のスポークに対してほぼ垂直である、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記スライド上のキラルインジケータを識別することと、前記キラルインジケータに基づいて前記スライドの配向を判定することと、を更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項33】
前記基準マーカが、前記光学顕微鏡の接眼レンズ又はカメラに対して前記スライドの頂面上に印刷されており、前記頂面が、試料と接触するようになっており、前記方法が、前記光学顕微鏡を予測される粒子高さに合焦させることによって、前記試料内に対象の粒子を定位することを更に含み、前記予測される粒子高さが、前記粒子が前記スライドの前記頂面に対して前記試料中に定位される、推定される垂直距離である、請求項22に記載の方法。
【請求項34】
前記光学顕微鏡を前記予測される粒子高さに合焦させることが、前記基準焦点面に基づいて、前記光学顕微鏡に対する前記予測される粒子高さを判定することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記光学顕微鏡と関連付けられたカメラによって捕捉された前記スライドの画像を受信することと、
前記画像を評価して、前記画像内に基準マーカが捕捉されているかどうかを判定することと、
前記画像内に基準マーカが見えないことに応答して、前記光学顕微鏡と関連付けられた前記カメラの視野を変更することと、
前記変更された視野を有する前記カメラによって捕捉された前記スライドの新たな画像を受信することと、
前記新たな画像を評価して、前記画像内に基準マーカが捕捉されているかどうかを判定することと、を更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項36】
前記画像及び/又は前記新たな画像内に基準マーカが捕捉されていることに応答して、
前記画像及び/又は前記新たな画像を評価して、前記捕捉された基準マーカの全体が、前記画像及び/若しくは前記新たな画像内に存在するか、又は前記捕捉された基準マーカの一部分が、前記画像及び/若しくは前記新たな画像内に存在するかを判定することと、
前記捕捉された基準マーカの一部分のみが前記画像及び/又は前記新たな画像内に存在することに応答して、前記捕捉された基準マーカの捕捉された縁部輪郭を識別することと、
全ての基準マーカを含む前記カバースリップの全体像画像に基づいて、前記捕捉された基準マーカの想定される縁部輪郭をメモリから取り出すことと、
前記捕捉された縁部輪郭を前記想定される縁部輪郭と比較して、前記捕捉された基準マーカの前記全体が前記光学顕微鏡の視野内に存在するように、前記光学顕微鏡のステージ又は対物レンズを移動させるのに必要な推定される方向及び距離を計算することと、を更に含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記光学顕微鏡の前記ステージ及び/又は前記対物レンズを、前記推定される方向及び距離に従って移動させることと、
移動後の前記顕微鏡の前記ステージ及び/又は前記対物レンズについての(x,y)座標を判定することと、
前記ステージ及び/又は前記対物レンズの前記(x,y)座標に基づいて、前記捕捉された基準マーカの(x,y)座標をメモリに記憶することと、を更に含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記画像及び/又は前記新たな画像内に基準マーカが捕捉されていることに応答して、
前記画像及び/又は前記新たな画像を評価して、前記捕捉された基準マーカによって前記視野の全体が覆われているかどうかを判定することと、
前記捕捉された基準マーカによって前記視野の一部分のみが覆われていることに応答して、前記捕捉された基準マーカの捕捉された縁部輪郭を識別することと、
全ての基準マーカを含む前記カバースリップの全体像画像に基づいて、前記捕捉された基準マーカの想定される縁部輪郭をメモリから取り出すことと、
前記捕捉された縁部輪郭を前記想定される縁部輪郭と比較して、前記光学顕微鏡の視野の前記全体が前記基準マーカによって覆われるように、前記光学顕微鏡のステージ又は対物レンズを移動させるのに必要な推定される方向及び距離を計算することと、を更に含む、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記光学顕微鏡の前記ステージ及び/又は前記対物レンズを、前記推定される方向及び距離に従って移動させることと、
移動後の前記顕微鏡の前記ステージ及び/又は前記対物レンズについての(x,y)座標を判定することと、
前記ステージ及び/又は前記対物レンズの前記(x,y)座標に基づいて、前記捕捉された基準マーカの(x,y)座標をメモリに記憶することと、を更に含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記スライド上に印刷された全ての基準マーカを含む全体像画像に基づいて、前記スライド上に印刷された第1の基準マーカの想定される縁部輪郭をメモリから取り出すことと、
前記光学顕微鏡で捕捉された画像に基づいて、前記第1の基準マーカの捕捉された縁部輪郭を識別することと、
前記第1の基準マーカの前記想定される縁部輪郭を、前記第1の基準マーカの前記捕捉された縁部輪郭と比較することと、
前記第1の基準マーカの前記想定される縁部輪郭が、許容誤差閾値内で前記第1の基準マーカの前記捕捉された縁部輪郭と一致するかどうかを判定することと、を更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項41】
前記スライドの印刷領域を識別することと、
前記スライドの前記印刷領域に基づいて、前記スライド上に配設された試料の走査領域を最適化することと、を更に含み、
前記走査領域が、走査時間、走査ファイルサイズ、又は試験感度のうちの1つ以上に基づいて最適化される、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学顕微鏡法に関し、特に、光学顕微鏡法で使用するための基準焦点面に関する。
【背景技術】
【0002】
光学顕微鏡法は、可視光及びレンズのシステムを使用して、画像又は小物体を拡大する。光学顕微鏡を使用して光学顕微鏡法を実行することができる。光学顕微鏡は、典型的には、物体を見るための接眼レンズ及び/又はカメラを含む。ユーザが接眼レンズを通して物体を見るとき、ユーザは、物体の異なる部分を見るときに、顕微鏡の焦点を手動で変更することができる。更に、オブジェクト分析がカメラと通信するコンピュータプログラムによって実行される場合、コンピュータプログラムは、物体の異なる部分を見るときに、顕微鏡の焦点を繰り返し変更してもよい。しかしながら、この、顕微鏡の焦点を繰り返し変更する必要性は、人間又はコンピュータプログラムによって実行されるときに、分析の誤差につながる可能性がある。
【0003】
光学顕微鏡は、一般的に、材料の試料を見るために使用される。試料は、細菌又は小生物などの有機物を含んでもよく、結晶構造又は他の材料などの無機物質を含んでもよい。試料が視野の光学被写界深度よりも厚い場合、ユーザ又はコンピュータプログラムは、顕微鏡の焦点深度を繰り返し調節して、試料の異なる領域を見る必要があり得る。いくつかの事例では、試料がスライド上に均一に分布することを確保しようと努めて、試料がスライドとカバースリップとの間に挟まれるように、カバースリップが、試料の上に置かれる。
【0004】
理想的には、光学顕微鏡法に使用されるカバースリップ及びスライドは、滑らかで平坦であり、均一な厚さを有する。しかしながら、カバースリップ及びスライドは、多くの場合、この理想からずれている。多くの場合、カバースリップ及びスライドは、湾曲曲率又は不均一な厚さを有する。いくつかの実装形態では、試料は、手又は他の不正確な手段によってスライド上に置かれ得る流体又は可鍛性媒体からなる。そのような実装形態では、カバースリップが試料の上に置かれると、スライドとカバースリップとの間に挟まれた試料の形状及び厚さは、試料全体にわたって変化し得るか、又は変動し得る。この変動は、スライド又はカバースリップの曲率、傾き、厚さの変動、又は表面欠陥によって引き起こされる可能性がある。変動により、試料の不均一な分布が引き起こされ、したがって、人又はコンピュータプログラムが試料の異なる部分を見る際に顕微鏡の焦点を繰り返し変更することが必要となる。
【0005】
以上に照らして、本明細書では、光学顕微鏡法の基準フレームのためのシステム、方法、及び装置が開示される。本明細書に開示される基準フレームは、スライド、カバースリップ、及び試料の変動を補償し、したがって、顕微鏡法撮像を改善する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示の非限定的かつ非網羅的な実装形態は、以下の図を参照して説明され、別段の指定がない限り、様々な図の全体を通して、同様の参照番号は同様の部分を指す。当業者であれば、様々な図面が例示目的のみのためであることを理解するであろう。本開示の性質、並びに本開示による他の実施形態は、以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲、及びいくつかの図面を参照することによって、より明確に理解され得る。
【0007】
図1】印刷カバースリップを使用してカバースリップの底面に基準焦点面を提供し、スライドスキャナがカバースリップの表面の下方の1つ以上の指定されたオフセットで試料を走査することができるようにすることの概念的な側面図を例示するものである。
【0008】
図2A】複数の基準マーカを含む印刷カバースリップの底面の鳥瞰図である。
【0009】
図2B】頂面から見た印刷カバースリップの鳥瞰図である。
【0010】
図3A】複数の基準マーカ及び焦点フレームを含む印刷カバースリップの底面の鳥観図である。
【0011】
図3B】頂面から見た印刷カバースリップの鳥瞰図である。
【0012】
図4】印刷スライドを使用してスライドの頂面に基準焦点面を提供し、スライドスキャナがスライドの表面の上方の1つ以上の指定されたオフセットで試料を走査することができるようにすることの概念的な側面図を例示するものである。
【0013】
図5】カバースリップ及び印刷スライドを使用してカバースリップの底面及びスライドの頂面に基準焦点面を提供し、スライドスキャナがカバースリップの表面の下方及び/又はスライドの表面の上方の1つ以上の指定されたオフセットで試料を走査することができるようにすることの概念的な側面図を例示するものである。
【0014】
図6】カバースリップ又はスライド上に印刷された基準マーカの一部分の、例示的な20倍率の高分解能画像である。
【0015】
図7】カバースリップ又はスライド上に印刷された基準マーカの一部分の、例示的な40倍率の高分解能画像である。
【0016】
図8】カバースリップ又はスライド上に印刷された基準マーカの一部分の、例示的な20倍率の高分解能画像である。
【0017】
図9】カバースリップ又はスライド上に印刷された基準マーカの一部分の、例示的な20倍率の高分解能画像である。
【0018】
図10A】基準マーカの予測される縁部を基準マーカの捕捉された縁部と比較するために、印刷カバースリップ及び/又は印刷スライドと併せて使用される自動スライドスキャナによって作成された、例示的な10倍率の高分解能画像である。
【0019】
図10B】本視野が基準マーカ内に全体的に内包されると判定するために印刷カバースリップ及び/又は印刷スライドと共に使用される自動スライドスキャナによって作成された、例示的な10倍率の高分解能画像である。
【0020】
図11A】試料移送ツールの実施形態の斜視側面図である。
【0021】
図11B】試料移送ツールの一実施形態の正面鳥瞰図である。
【0022】
図11C】試料移送ツールの一実施形態の正面側面図である。
【0023】
図12A】試料移送ツールの一実施形態の斜視側面図である。
【0024】
図12B】試料移送ツールの一実施形態の正面鳥瞰図である。
【0025】
図12C】試料移送ツールの一実施形態の正面側面図である。
【0026】
図13A】試料移送ツールの一実施形態の斜視側面図である。
【0027】
図13B】試料移送ツールの一実施形態の正面鳥瞰図である。
【0028】
図13C】試料移送ツールの一実施形態の正面側面図である。
【0029】
図14】光学顕微鏡を試料に合焦させるための方法の概略フローチャート図である。
【0030】
図15】光学顕微鏡を試料に合焦させるための方法の概略フローチャート図である。
【0031】
図16】光学顕微鏡を試料に合焦させるための方法の概略フローチャート図である。
【0032】
図17】光学顕微鏡を試料に合焦させるための方法の概略フローチャート図である。
【0033】
図18】光学顕微鏡を試料に合焦させるための方法の概略フローチャート図である。
【0034】
図19】複数の基準マーカに基づいて試料の基準焦点面を計算するための方法の概略フローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本明細書では、光学顕微鏡で見た試料の焦点を精緻化するための基準焦点面を判定するためのシステム、方法、及びデバイスが開示される。本開示のいくつかの実施形態は、光学顕微鏡によって撮像されている試料の基準焦点面を効率的に識別するための印刷カバースリップ及び印刷スライドを対象とする。基準フレームは、試料厚さの変動、並びにスライド及びカバースリップの曲率、厚さ、又は表面平滑度を補償する。
【0036】
本開示の実施形態は、基準マーカを使用して、光学顕微鏡によって撮像されている試料の基準焦点面を識別する。一実施形態では、基準マーカは、光学顕微鏡で使用するためのカバースリップ及び/又はスライド上に印刷されている。基準焦点面、又は基準焦点面から指定されたオフセットを開始ポイントとして使用して、試料の焦点面を更に精緻化することができる。一実施形態では、焦点は、特定の場所における試料の画像に基づいて、更に精緻化される。試料全体に対する画像の場所は、基準マーカに基づいて判定される。
【0037】
本開示の実施形態は、試料に合焦することが困難であるときの光学顕微鏡に適用される。この実装形態では、試料は、スライドとカバースリップとの間に挟まれる。スライド又はカバースリップのうちの1つ以上は、基準マーカを含むように印刷されている。試料は、光学顕微鏡で走査される。基準マーカを走査及び評価して、カバースリップの底面及び/又はスライドの頂面として規定される試料の基準焦点面を規定する。次いで、試料は、基準焦点面に対して固定されたオフセットで走査される。いくつかの事例では、試料自体に合焦するか、又は所与の基準場所からの試料の焦点を改善する方法を判定するための有意義な手段はない。そのような事例では、この例示的な実装形態は、試料の焦点を精緻化するのに、及び適切な焦点を達成するための時間を早めるのに、特に有用である。
【0038】
本開示の更なる実施形態は、空気品質試料を走査するための印刷カバースリップである。そのような実装形態では、試料は、透明ゲルの表面上に空中浮遊粒子を捕捉することによって、収集される。試料は、捕捉された微粒子層がカバースリップに非常に近いように、印刷カバースリップで染色及び被覆される。いくつかの事例では、捕捉された微粒子層は、0~10μmの範囲の染色液の層によってのみ分離される。本実施形態では、カバースリップの印刷領域は試料を包囲するが、試料自体とは重なり合わない。システムは、印刷カバースリップを通して試料を見、カバースリップ上に印刷された基準マーカに合焦する。基準マーカに合焦した後、試料の焦点位置が、内挿を使用して推定される。これらの推定値は、可変の染色層の深さ及び試料と印刷カバースリップとの不完全な平坦性に起因して、不完全であり得る。初期の推定値は、推定される焦点長さ付近の異なる焦点長さで局所的な焦点探索を実行することによって精緻化される。それによって、最適な焦点ポイントは、カバースリップの上又は試料の下のスライド表面上のデブリなどの高焦点測度の層を混乱させることによって混同されることとなることなく、識別される。この実装形態は、サンプリングされた空気が低微粒子計数を有するときに空気品質試料が疎であり得るため、空気品質試料の正しい焦点を迅速かつ正確に見出すのに特に有効である。
【0039】
本開示の実施形態によるシステム及び方法の詳細な説明を以下で提示する。いくつかの実施形態を説明するが、本開示はいずれの一実施形態に限定されず、その代わりに数多くの代替物、変更例及び均等物を包含することを理解されたい。加えて、本明細書に開示される実施形態の完全な理解を提示するために、多数の特定の詳細を、以下の説明において述べるが、いくつかの実施形態は、これらの詳細のいくつか又は全てなしに実施され得る。その上、明瞭さの目的で、本開示を不必要に不明瞭にすることを回避するために、関連した技術分野において知られている特定の技術項目を、詳細には説明していない。
【0040】
図1は、光学顕微鏡で撮像するためのスライド104とカバースリップ102との間に挟まれた試料106の概念的な側面図である。カバースリップ102は、試料106全体に分布した物体を見るための基準焦点面として機能する。典型的な光学顕微鏡分析では、試料106は、図1に示されるように、対象の粒子108を識別、分析、及び/又は定量化するために試料106が光学顕微鏡で視覚的に検査できるように処理される。カバースリップ102は、スライドスキャナがカバースリップ102の表面の下方の1つ以上の指定されたオフセットで試料106を走査し得るように、基準焦点表面を提供するためのマーキングを含む。
【0041】
カバースリップ102は、1つ以上の基準マーカ110a、110b、110c(本明細書で「110」と総称される)を含む。基準マーカ110は、カバースリップ上に印刷されている。一実施形態では、基準マーカ110は、接眼レンズ又はカメラに対してカバースリップ102の底面上にのみ印刷され、すなわち、試料106と接触する表面上に印刷されている。一実施形態では、基準マーカ110は、図2A図2Bに例示されるように、カバースリップ102の領域中にわたって印刷されている。基準マーカ110は、試料106及び/又は試料106内の粒子108に光学顕微鏡を正確かつ効率的に合焦させるプロセスを単純化する。基準マーカ110は、人又はコンピュータプログラムが基準マーカ110に最初に合焦することを可能にして、カバースリップ102の底面の場所を識別し、それによって、試料106の頂面の場所を識別する。
【0042】
一実施形態では、各基準マーカ110は、マクロカメラ画像及び/又は光学顕微鏡の接眼レンズを通して見たときに見えることとなる好適なサイズの形状である。更に、基準マーカ110が、画像ベースの合焦を容易にするために底部照明されたときに、内部の細粒度化されたコントラストを呈するように、各基準マーカ110が印刷され得る。そのような実施形態では、各基準マーカ110は、細粒度化された空間的に変化する透過率を有するパターン又はテクスチャから構成され得る。基準マーカ110は、ドットパターン、ハッシングパターン、平行線を有するパターン、ランダム化パターンなどを有し得る。
【0043】
一実施形態では、試料106は、カバースリップ102を上に有するスライド104上に配設される。試料106は、スライド104を通して光学顕微鏡(又は別のデバイス)によって、背後照明される。試料106は、カバースリップ102を通して光学顕微鏡(又は別のデバイス)によって、上部照明される。好適な走査システムは、カバースリップ102全体のマクロ画像を撮り、それによって、全ての基準マーカ110をマクロレベルのパターンで可視化し得る。次いで、試料106の一部分の40倍(又は他の好適な倍率)のビューが、カバースリップ102を通して撮られ得る。基準マーカ110の一部分が見える場合、例えば図2A図2Bに例示されるグリッドパターン基準マーカ上でのような、基準マーカ110のパターン上の遷移を確かめるために、ビューが合焦され得る。
【0044】
一実施形態では、カバースリップ102は、試料106に接触するカバースリップ102の下面の焦点面を規定する。このことは、遷移領域に合焦し、具体的には基準マーカ110のインク領域への空隙の縁部に合焦することによって、実現される。3つの基準マーカ110を可視化することができると、システムは、基準焦点面として機能するように、カバースリップ102の下面に対応するベース面を規定することができる。追加の基準マーカ110に合焦すると、規定されたベース面に使用されるモデルを、カバースリップ102の底面の形状を反映するように拡大することができる。ベース面を判定するための好適なソフトウェア及び数学的計算が使用されてもよく、機械学習又は自動スライド走査システムの機能の一部として統合されてもよいことが理解されよう。
【0045】
一実施形態では、試料106は、自動スライドスキャナを使用して可視化及び評価される。自動スライドスキャナは、1つ以上の規定された焦点面(「DFP」)に沿って走査するために、概ね垂直又はz軸に沿った可動域を使用して試料106を走査する。規定された焦点面は、カバースリップ102の下面に対応する規定されたベース面に対して概ね平行である。対象の粒子108が、予測される粒子深さ112(ベース焦点面からの深さとして規定される)内に存在する場合、予想される粒子深さ112バンド内の規定された平面が走査され得る。一実施例では、予測される粒子深さ112バンドは、ベース焦点面(カバースリップ102の下面として規定される)から3ミクロン~12ミクロンの深さである。走査は、3ミクロンの深さ、5ミクロンの深さ、7ミクロンの深さ、9ミクロンの深さ、11ミクロンの深さ、13ミクロンの深さ、及び15ミクロンの深さで、又は場合ごとに判定される任意の他の好適な範囲で、行われ得る。これらの値は例示に過ぎず、様々な用途のための対象の媒体及び粒子の特性に基づいて変動することを理解されたい。
【0046】
対象の粒子108が、スライド104付近の試料106の下端により近いバンド内に存在し得る他の実施形態では、基準マーカ110は、カバースリップ102の下面上に設置されるのではなく、スライド104の上面上に設置され得る。カバースリップ102上の基準マーカ110と同様に、これらの基準マーカ110は、スライド104上に直接印刷することによって、設置され得る。いくつかの実施形態では、スライド104上及びカバースリップ102上の両方で、相違する基準マーカ110が存在し得る。これにより、上側及び下側の両方の焦点面を使用する技術の使用、沈降特性又は浮揚特性のいずれか一方に基づく対象の粒子108の分析が、可能になる。
【0047】
カバースリップ102は、光学顕微鏡スライドと共に使用するのに好適なサイズ及び形状であり得る。一実施形態では、カバースリップ202は、約22mm×22mmのサイズを有する。一実施形態では、カバースリップ102は、約20mm×40mmのサイズを有する。カバースリップ202が、特定のマクロカメラ又は光学顕微鏡用などの特定の用途に合わせてカスタマイズされたサイズ及び形状を有し得ることを理解されたい。
【0048】
いくつかの実装形態では、試料106は、液体形態で調製される。1つの実施例では、試料は、動物から採取された排泄物試料などの糞便物質である。この実施例では、試料106は、糞便物質を試薬と混合し、かつ濾過して大きな汚染物質を除去し、かつ遠心分離を実行することによって、調製される。次いで、調製された試料106は、対象の粒子108の存在について検査され得る。この実施例では、動物は、寄生条件を有すると疑われ得、糞便物質は、卵、寄生虫、又はデブリなどの粒子108の存在を識別するために検査され得る。試料処理は、特有の重力特性又は類似の特性に起因して、寄生卵などの対象の粒子108を、試料106内の特定の高さに存在させる得る。いくつかの事例では、対象の粒子108が試料106内に存在することが想定される、既知の予測される粒子深さ112がある。例示的な実施形態では、卵は、試料106の上面の約3ミクロン~約12ミクロンの深さに存在し得る。カバースリップ102が曲率又は他の変動を有する場合、このことは、対象の粒子108の実際の深さを変動させ得る。そのような事例では、予測される粒子深さ112に対する自動標準焦点は、対象の粒子108を定位しない。この問題は、基準マーカ110に最初に合焦して、カバースリップ102の底面の場所を識別し、それによって、試料106の頂面の場所を識別することによって、克服される。基準マーカ110の識別された深さに基づいて、基準マーカ110の深さに基づいて判定された予測される粒子深さ112に合焦することによって、粒子108を識別することができる。
【0049】
本明細書で論じられるような粒子108は、粉塵、細胞、細胞群、繊維、物質の部分、生物、組織、生物学的物質、ミネラル、又は分類若しくは分析され得る任意の他の物品若しくは材料などの、任意の単位又は部分の物質を含む。粒子108の分類、検出、定量、又は同定は、特有の粒子又は物質の特有のタイプの粒子又は条件を識別することを含み得る。例えば、細胞は、特有の細胞型として識別されるだけでなく、異常、疾患、感染、又は癌に対応する条件などの特定の条件を有するか、又は表示し得る。
【0050】
図2A及び図2Bは、カバースリップ202の鳥瞰図を例示している。図2Aは、カバースリップ202の底面204の鳥瞰図を例示し、図2Bは、カバースリップ202の頂面208の鳥瞰図を例示している。カバースリップ202上のマーキングが、底面204又は頂面208のいずれか一方上に確認できるように、カバースリップ202は、ガラス又はプレキシガラスなどの透明材料で構成され得る。底面204は、光学顕微鏡のカメラ又は接眼レンズに対して下面を指す。底面204は、試料106と接触する表面である。
【0051】
カバースリップ202は、下面204上に印刷され、かつ頂面208を通してカバースリップを見るときに見える、複数の基準マーカ210を含む。図2A図2Bに例示される実施形態では、各基準マーカ210は、全体像マクロカメラ画像内で上部照明されたときに見えることとなる好適な直径の円である。加えて、各基準マーカ210は、細粒度化されたコントラストを呈して、底部照明し、かつ接眼レンズ又はカメラを使用して光学顕微鏡の対物レンズを通して見たときに、画像ベースの合焦を容易にする。一実施形態では、各基準マーカ210は、細粒度化された空間的に変動する透過率を有するパターン及び/又はテクスチャから構成されている。例示的な一実施形態では、各基準マーカ210は、およそ250μm~1.4mmの直径の範囲内の円である。基準マーカ210は、カバースリップ202の用途に応じて任意の好適なサイズ及び形状であり得ることを理解されたい。
【0052】
カバースリップ202は、底面204上に印刷されたキラルインジケータ212を更に含む。キラルインジケータ212は、語又は記号が正しい配向を有するようなキラルである。キラルインジケータ212のキラル性は、カバースリップ202を、正しい配向で、かつ正しい側を上向きにして配向させる際に、ユーザを誘導する。図2A図2Bに例示される実施例では、キラルインジケータ212は、「CHIRAL INDICATOR」という語であり、正確な配向を明確に有する。キラルインジケータ212を、カバースリップ202の上面208を通して見たときに正しい配向で見ることができるように、キラルインジケータ212は、カバースリップ202の底面204上に鏡像として印刷されている。これにより、底面202が試料106と接触するように、実施者がカバースリップ202を正確に配向することが、確保される。キラルインジケータ212のキラル性は、検討者又はコンピュータプログラムが、カバースリップがマクロ画像又は高倍率画像の検査によって正しい配向を有することを確認することを、更に可能にする。キラルインジケータ212が、図2A図2Bに例示されるようなテキストを含んでもよいし、キラルインジケータ212が、記号又は形状を含んでもよいことを理解されたい。キラルインジケータ212は、幾何学的形状、書かれたテキスト、一連の線、パターンなどであってもよい。
【0053】
一実施形態では、基準マーカ210は、背後照明されたときに、1.0μm/画素の分解能で500μm×500μmの視野内に、高コントラストの鮮明なエッジの空間的変動性を呈する。基準マーカ210は、視野の全体にわたる複数の暗光の遷移を、更に呈する。このことを達成するために、空間的変動は、200μm未満の、好ましくはより微細な構造又はテクスチャを有する、1μmもの微細な直径の、微細フィーチャサイズを有し得る。多周波数のテクスチャ及びパターンを使用して、単一周波数のパターン又は数周波数のパターンと比較して、干渉アーチファクトを最小化し得る。いくつかの実施形態では、このことは、インク中の顔料構造、印刷画像デザインにおける明示的な構造、又は微細スクリーン印刷を介した暗黙的な構造、及びインキング下で、達成され得る。このことはまた、エッチング、レーザ印刷、オフセット印刷、スタンピング、インクジェット、フォトリソグラフィ、3D印刷、又は任意の他の実行可能なマーキング機構によっても、達成され得る。微細なフィーチャ縁部に沿った明から暗への遷移のための理想的な距離は、1μm未満であり得る。基準マーカ210のテクスチャ及び/又は構造は、90度刻みでの回転、又は任意の度の回転に対して、統計的に不変であり得る。
【0054】
各カバースリップ202は、印刷側が対象の試料106の溶液と接触しながら浮遊することが、想定されるため、印刷された基準マーカ210は、この環境において安定な材料で形成されなければならない。下面上のスクリーン印刷が、好適であり得る。印刷は正確である必要はなく、微細な細部が統計的に一貫している限り、粗いフィーチャが空間的変動を許容することができることが理解されよう。実際には、安定した有色インクは、背後照明されたときに統計的に一貫した回転不変の高コントラストの細粒度化された構造を有するため、許容可能な結果を提示することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、スライド104上に、1つ以上の基準マーカ210及びキラルインジケータ212が印刷されている。スライド104は、カバースリップ202に加えて基準マーカ210を含み得る。いくつかの実施形態では、カバースリップ202上に任意の基準マーカ210を印刷する代わりに、スライド104が、基準マーカ210を含む。このことは、撮像される試料106のタイプ、及び/又は試料106内に呈され得る対象の粒子108に基づいて、判定され得る。例えば、所与の試料タイプ及び調製方法に対して粒子108の想定される場所がカバースリップ付近に定位される場合には、印刷カバースリップが最良である。あるいは、所与の試料タイプ及び調製方法に対して粒子108の想定される場所がスライド付近に定位される場合には、印刷スライドが最良である。更に、このことは、試料106が、スライド104を通した背後照明及び/又はカバースリップ102を通した上部照明を通して照明されるかどうかに基づいて、判定されてもよい。
【0056】
基準マーカ210がスライド104上に印刷される一実施形態では、スライド104は、図2A及び図2Bに例示されるカバースリップ202と同様の外観であり得る。1つの違いは、基準マーカ210が、カバースリップの底面上に印刷されているのとは対照的に、スライドの頂面上に印刷されていることである。更に、キラルインジケータ212は、スライドの頂面上に印刷されており、鏡像として印刷されてはいないが、代わりに、正しい、読み取り可能な形態で印刷されている。
【0057】
図3A及び図3Bは、図2A及び図2Bに例示されるカバースリップ202との類似点を有するカバースリップ302の実施形態を例示している。図3Aは、カバースリップ302の底面304の鳥瞰図であり、底面304は、顕微鏡のカメラ又は接眼レンズに対して規定され、試料106と接触することが意図されている。図3Bは、カバースリップ302の頂面308の鳥瞰図であり、頂面308は、顕微鏡のカメラ又は接眼レンズに対して規定され、試料106の反対方向に面することが意図されている。カバースリップ302は、複数の基準マーカ310及びキラルインジケータ312を含む。加えて、カバースリップ302は、試料306を定位する場所又は見るべき場所を規定するためにカバースリップ302上に印刷され得る、焦点フレーム314を含む。
【0058】
図3A図3Bに例示される実施形態では、10個の印刷された基準マーカ310がある。基準マーカ310は、任意の好適なサイズ又は形状であり得ることを理解されたい。図3A図3Bに例示される実施形態では、は、基準マーカ310は各々、マクロカメラ画像内で上部照明されたときに見えることとなるグリッドパターンを含む好適な直径の円である。加えて、基準マーカ310は、画像ベースの合焦を容易にするために底部照明されたときに、40倍の対物レンズに内部の細粒度化されたコントラストを呈する。
【0059】
カバースリップ302は、キラルインジケータ312を更に含む。この実施形態では、キラルインジケータ312は、底面304上に印刷された「LEFT」という語である。キラルインジケータ312は、キラルインジケータ312が、ユーザがカバースリップ302を正しく配向するのを支援するように、キラルである。LEFTという語は、図3Bに例示されるように、頂面308を通して見たときに、語を正しく読み取ることができるように、カバースリップ302の下面304上に鏡像として印刷されている。LEFTという語は、語が正しく読めるときに(図3Bのように、頂面308が上向きに向いている)、カバースリップ302が正しく配向されていることを示し、LEFTという語は、顕微鏡のカメラ又は接眼レンズを通して上方から見たときに、カバースリップ302の左側にある。
【0060】
カバースリップ302は、焦点フレーム314を更に含む。焦点フレームは、カバースリップ302の中央場所に定位されてもよいし、用途に応じて、カバースリップ上の他の何らかの好適な場所に定位されてもよい。焦点フレーム314は、撮像目的での境界ボックスとして機能する。描示されるように、焦点フレーム314は、試料306の上に位置決めするための線を含まない中央空間又は窓を有する形状を規定する、一連の平行線として形成され得る。描示される実施形態では、形状は、平行線と同一線である2つの平行な長辺、及びこれらの長辺に対して横方向である2つの短辺を有する矩形である。基準マーカ310に加えて、焦点フレーム314の線を使用して、焦点面を計算するために、試料306の周囲の焦点フレーム310内の任意の数の位置に、一連の焦点ポイントを作成することができる。焦点フレーム314は任意の好適な形状であってもよく、試料306を撮像する目的での境界ボックスとして作用するように平行であってもなくてもよい、線、ドット、又は他の情報から形成されてもよいことが理解されよう。
【0061】
図3A図3Bの実施形態と同様の実施形態のための1つの潜在的な使用法は、中に任意の粒子を捕捉した後に顕微鏡法によって検査できる試306ストリップを生成する、好適な材料のストリップの上に空気流を方向付けることによって作製された空気品質試料の検査である。1つの例示的な実施形態では、この試料306ストリップは、約1mm×約13mmの寸法を有し得る。包囲する焦点フレーム314は、約7.5mm×約19mmの寸法を有し、中央空間が、約5mm×約17mmの寸法を有し得る。これらの形状及び寸法は、例示に過ぎず、かつ異なるアッセイに対して特定の試料サイズが変動するように変動し得ることが理解されよう。例えば、他の標準的なサイズ及び形状の試料を生成する試験は、そのような試料から離間した好適なフレームを形成するためのサイズ及び形状を有する焦点フレーム314を有するカバースリップを利用し得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、スライド104上に、1つ以上の基準マーカ310及びキラルインジケータ312が印刷されている。スライド104は、カバースリップ302に加えて基準マーカ310を含み得る。いくつかの実施形態では、カバースリップ302上に任意の基準マーカ310を印刷する代わりに、スライド104が、基準マーカ310を含む。このことは、撮像される試料106のタイプ、及び/又は試料106内に呈され得る対象の粒子108に基づいて、判定され得る。例えば、所与の試料タイプ及び調製方法に対して粒子108の想定される場所がカバースリップ付近に定位される場合には、印刷カバースリップが最良である。あるいは、所与の試料タイプ及び調製方法に対して粒子108の想定される場所がスライド付近に定位される場合には、印刷スライドが最良である。更に、このことは、試料106が、スライド104を通した背後照明及び/又はカバースリップ302を通した上部照明を通して照明されるかどうかに基づいて、判定されてもよい。
【0063】
基準マーカ310がスライド104上に印刷される一実施形態では、スライド104は、図3A及び図3Bに例示されるカバースリップ302と同様の外観であり得る。1つの違いは、基準マーカ310が、カバースリップの底面上に印刷されているのとは対照的に、スライドの頂面上に印刷されていることである。更に、キラルインジケータ312は、スライドの頂面上に印刷されており、鏡像として印刷されてはいないが、代わりに、正しい、読み取り可能な形態で印刷されている。
【0064】
図4は、光学顕微鏡で撮像するためのスライド104とカバースリップ102との間に挟まれた試料106の概念的な側面図である。図4に例示される実施形態では、基準マーカ110は、図1に例示されるように、カバースリップ102の底面ではなく、スライド104の頂面上に印刷されている。スライド104は、スライド104上に印刷された基準マーカ110d、110e、110f(「110」と総称される)に少なくとも部分的に基づいて基準焦点面を判定することができるように、印刷されている。スライド104は、スライドスキャナがスライド104の表面の上方の1つ以上の指定されたオフセットで試料106を走査することができるように基準焦点面を提供するために、基準マーカ110を含む。
【0065】
図5は、光学顕微鏡で撮像するためのスライド104とカバースリップ102との間に挟まれた試料106の概念的な側面図である。図5に例示される実施形態では、基準マーカ110は、図1に例示されるようなカバースリップ102のみ、又は図4に例示されるようなスライド104のみではなく、カバースリップ102及びスライド104上に印刷されている。カバースリップ102及びスライド104は各々、カバースリップ102及びスライド104上に印刷された基準マーカ110a、110b、110c、110d、110e、110f(「110」と総称される)に少なくとも部分的に基づいて基準焦点面を判定することができるように、印刷されている。
【0066】
図1に関して論じられた走査技術がまた、いくつかの変更を伴って、図4及び図5に例示される代替的実施形態にも、適用される。基準マーカ110が、カバースリップ102の底面ではなくスライド104の頂面上に印刷されているとき、基準焦点面は、カバースリップ102ではなくスライド104に対して識別される。別の言い方をすれば、基準焦点面は、スライド104の頂面を識別したのであり、それによって、試料106の底面を識別する。このことは、基準焦点面がカバースリップ102の底面を識別し、それによって、図1に関連して論じられるように、試料106の頂面を識別するのとは、異なる。
【0067】
カバースリップ102又はスライド104上に印刷することにより、試料自体の外観を識別することが困難であっても、ユーザ又はコンピュータプログラムが試料106の場所を検出することが、可能になる。印刷カバースリップ102の場合、カバースリップ102は、試料106の上に置かれる。印刷スライド104の場合、試料106は、スライド104の印刷領域内で配向される。いずれの場合でも、走査領域は、全体像画像によってカバースリップ102又はスライド104の印刷領域を識別するために最適化される。適切な走査領域は、印刷領域に基づいて、その試料タイプに対して規定される。
【0068】
例えば、複数の基準マーカを有する湿潤糞便カバースリップは、全ての基準マーカを内包する20mm×20mmの境界ボックスを規定する。次いで、これを、22mm×22mmの全カバースリップ領域まで拡大するか、又は走査前により小さい領域まで低減することができる。このことを、走査時間と走査ファイルサイズと試験感度との間の所望のトレードオフに基づいて判定することができる。更に、例えば、空気品質印刷パターンは、図3A図3Bに例示されるような、試料領域を包囲する矩形ボックスを含む。矩形ボックスを使用して、その試料タイプの走査領域を規定することができる。
【0069】
一実施形態では、方法は、印刷カバースリップ102全体の全体像画像を捕捉することから始まる。代替的実施形態では、カバースリップ102ではなく、スライド104がインプリントされ、全体像画像は、印刷スライド全体を捕捉する。一実施形態では、スライド上に試料が配設され、試料上にカバースリップが配設され、全体像画像は、カバースリップ、試料、及びスライドの各々を捕捉する。全体像画像は、例えば、図2A図2Bのカバースリップ202上にインプリントされた18個(18)の基準マーカ210の各々を捕捉するであろう。更に、全体像画像は、例えば、10個(10)の基準マーカ、及び図3A図3Bのカバースリップ302上にインプリントされた焦点フレームを捕捉するであろう。全体像画像の内容は、印刷カバースリップ、試料、及び/又は印刷スライドの実装形態に依存するものとなることを理解されたい。
【0070】
この実施形態では、全体像画像が捕捉された後、基準焦点面が計算される。カバースリップ102がインプリントされる実施形態では、基準焦点面は、カバースリップ102の底面を規定する。スライド104がインプリントされる実施形態では、基準焦点面は、スライド104の頂面を規定する。いずれの実装形態でも、基準焦点面は、試料106と接触するカバースリップ102又はスライド104の表面を規定する。試料106は、カバースリップ102とスライド104との間に挟まれる。
【0071】
基準焦点面の計算を進めるために、光学顕微鏡を、基準マーカに合焦させる。基準マーカから対物レンズ、カメラ、レンズ、接眼レンズ、又は光学顕微鏡の他の関連構成要素までの焦点距離は、基準マーカへの合焦の結果に基づいて、計算される。焦点距離は、基準マーカから、対物レンズ、カメラレンズ、接眼レンズレンズ、画像センサなどの光学顕微鏡の関連構成要素までの距離である。焦点距離は、異なる実装形態に基づいて異なる距離を規定し得ることを理解されたい。カバースリップ102がインプリントされる実施形態では、基準マーカまでの焦点距離は、カバースリップ102の底面を規定し、試料106の頂面を更に規定する。スライド104がインプリントされる実施形態では、基準マーカまでの焦点距離は、スライド104の頂面を規定し、試料106の底面を更に規定する。
【0072】
各基準マーカについての(x,y,z)座標は、特定の基準マーカに対する焦点距離と、全体像画像に対する特定の基準マーカについての(x,y)座標と、に基づいて、判定される。特定の基準マーカの焦点距離は、その基準マーカについてのz軸座標を提示する。全体像画像内の特定の基準マーカの場所は、その基準マーカについての(x,y)座標を提示する。基準焦点面は、複数の基準マーカの各々の(x,y,z)座標に基づいて、計算される。
【0073】
一実施形態では、基準焦点面は、2つ以上の基準マーカ間の間隔に対する焦点距離を内挿することによって、計算される。一実施形態では、2つの隣接する基準マーカ間の、カバースリップ102及び/又はスライド104の表面曲率は、2つの隣接する基準マーカについてのz軸座標を内挿することによって計算される。
【0074】
一実施形態では、基準焦点面は、特定の基準マーカに対する焦点距離を外挿して、特定の基準マーカを包囲する領域に対する焦点距離を推定することによって、計算される。そのような実施形態では、特定の基準マーカを包囲する領域の、カバースリップ102及び/又はスライド104の表面曲率は、特定の基準マーカの(x,y,z)座標に基づいて、計算される。
【0075】
一実施形態では、基準焦点面は、3つの基準マーカを識別し、かつ3つの基準マーカ間の(x、y、z)距離を計算することによって、計算される。本実施形態では、3つの基準マーカの(x,y,z)座標によって規定される三角形に、平面がフィッティングされる。このプロセスは、カバースリップ102及び/又はスライド104の表面曲率及び寸法を規定する三角形メッシュを生成するために、3つの基準マーカの複数のセットに対して繰り返され得る。
【0076】
一実施形態では、基準焦点面は、4つ以上の基準マーカ、及び4つ以上の基準マーカの各々についての(x,y,z)座標を識別することによって、計算される。本実施形態では、カバースリップ102及び/又はスライド104の曲率は、4つ以上の基準マーカの座標によって規定される(x、y、z)ポイントにフィッティングされる。このことは、カバースリップ102及び/又はスライド104の表面全体を近似する表面トポロジの計算を進めるために、実行される。
【0077】
基準焦点面は、本明細書で論じられる実施形態のうちの1つ以上に基づいて計算され得ることを理解されたい。一実施形態では、基準焦点面は、内挿、外挿、三角形への平面のフィッティングに基づいて、更には複数の基準マーカの座標に基づいて曲率を推定することによって、計算される。
【0078】
図6図9は、図2A図2B及び図3A図3Bに例示される基準マーカなどの基準マーカの、20倍~40倍率の高分解能画像である。
【0079】
図6は、基準マーカ110の一部分の、20倍率の高分解能画像である。図6は、画像の上縁部上の丸みを帯びたプロファイル602によって示される基準マーカ110の頂面を描示している。外部縁部602は、焦点評価のための対照領域を提示し、また、基準の配向及び場所を判定するために使用され得る。基準の内部の印刷領域604は、背景又は試料が見える外部領域606と視覚的に区別される。内部空隙領域608は、最適な焦点がこの実施形態のインクテクスチャによって提示される細粒度化されたコントラストを利用して判定され得る、基準の内部領域が不透明から透明への遷移領域610を内包することを確保する。
【0080】
図7は、移行領域610及び外部縁部602の対照テクスチャに関する追加の詳細を提示する基準マーカ110の一部分の40倍率の高分解能画像である。
【0081】
図8は、基準マーカ110の一部分の、20倍率の高分解能画像である。図8は、画像の左側の丸みを帯びたプロファイル602によって示される基準マーカ110の左側を描示している。図8に示される画像は、焦点最適化に使用できる、テクスチャ遷移領域610内の細粒度化されたインクテクスチャの、比較的密な分布を含む。
【0082】
図9は、基準マーカ110の一部分の、20倍率の高分解能画像である。図9の細粒度化されたインクテクスチャは、図9が、基準マーカの好適なインク分布及び密度の範囲の下端を例示するように、大きな内部空隙領域608を有する図8のインクテクスチャよりも疎である。比較的大量の変動を許容することによって、カバースリップ102の印刷プロセスは、単純なままであり、コストを低減する。
【0083】
図10A及び図10Bは、本明細書で論じられるような印刷カバースリップ102と併せて使用される自動スライドスキャナによって作成された、例示的な画像を描示している。図10Aは、基準マーカ110の縁部を描示する画像であり、明部分は、カバースリップ102のクリアな部分を表し(基準マーカ110なしで)、暗部分は、基準マーカ110を表す。図10Bは、図2A図2B又は図3A図3Bに描示されるハッシング又はドットアレイなどの基準マーカ110の内部グリッドを描示する画像である。
【0084】
図10A図10Bに描写される画像の捕捉を進めるために、自動スライドスキャナ対物レンズを、基準マーカ110上に定位して、基準マーカに合焦する前に基準の(x,y)座標を計算する。図10A図10Bでは、点線は、基準マーカ110の想定される縁部1002を表す。想定される縁部1002は、自動スライドスキャナなどのシステムによって計算される。想定される縁部1002は、印刷カバースリップ又は印刷スライド全体の全体像画像などの基準画像に基づいて、計算され得る。非破線は、図10A図10Bに例示される画像内に捕捉されるような基準マーカ110の、捕捉された縁部1004を表す。図10A図10Bに表される画像は、自動スライドスキャナ対物レンズ及びカメラを使用して捕捉されたズームアウト画像を表し得る。捕捉された縁部1002は、高倍率視野内に捕捉されるような基準マーカ110の明から暗への実際の遷移を表す。矢印は、基準マーカ110の中心に顕微鏡対物レンズを置くのに必要な相対位置移動を示す位置移動又はベクトル1006を表す。
【0085】
一実施形態では、試料106及びカバースリップ102のマクロ画像が捕捉された後、自動スライドスキャナ又は他のシステムが、基準マーカ110の想定される縁部1002を計算する。想定される縁部1002は、カバースリップ102上に印刷された少なくとも1つの基準マーカ110の予測されるサイズ及び形状を示す。一実施形態では、想定される縁部は、基準マーカ110の形状のシステムへの前の入力に基づいて、計算される。別の実施形態では、想定される縁部は、マクロ画像内の基準マーカ110の形状に基づいて、計算される。マクロ画像内の基準マーカ110の場所を使用して、基準マーカ110を自動スライドスキャナ対物レンズの高倍率視野内に持ち込むこととなる顕微鏡ステージ位置を予測する。システムは、顕微鏡ステージを基準マーカ110の予測される場所に移動させ、内向き又は外向きの螺旋運動などのサーチパターンで試料106を走査する。基準マーカ110の少なくとも一部分がビュー内にあるとき、システムは、基準マーカ110の捕捉された縁部1004を判定する。捕捉された縁部1004は、基準マーカ110内の明から暗への遷移の場所であると判定される。システムは、想定される縁部1002を捕捉された縁部1004と比較して、カバースリップ102のマクロ画像に対する捕捉された高倍率画像の場所を判定する。一実施形態では、カバースリップ102に対するマクロ画像の場所は、想定される縁部1002を、許容誤差閾値内で、捕捉された縁部1004に一致させることによって、判定される。
【0086】
図10Aに示されるように、想定される縁部1002(点線で表される)は、明から暗への遷移が起こると予測される、基準マーカ110の想定される縁部の周りで湾曲する。捕捉された縁部1004(非破線によって表される)は、明から暗への遷移が実際に生じる、基準マーカ110の縁部を辿ると評価される。
【0087】
いくつかの事例では、計算された焦点面の生成のためのポイントの所望の配置は、基準マーカ110の実際の縁部ではなく、基準マーカ110の「内部グリッド」である。基準マーカ110の内部グリッドは、図2A図2B及び図3A図3Bに例示されるように、基準マーカ110内にドット又はハッシングを含む。そのような事例では、システムは、高倍率画像における暗及び明の相対的な割合、及びカバースリップ102に対するマクロ画像の配置を利用して、基準マーカ110の中心に顕微鏡対物レンズを置くための相対位置移動又はベクトル1006を計算し得る。この相対位置移動又はベクトル1006は、図10Aの矢印によって表される。
【0088】
いくつかの事例では、捕捉された画像は、基準マーカ110の内部グリッドの描示を含む。このことは、図10Bに例示されている。図10Bに描示される明領域及び暗領域は、基準マーカ110内のハッシング又はドットアレイを表す。図10Bに示される画像は、その場所の画像に必要とされる位置移動又はベクトル1006を計算することによって、捕捉され得る。あるいは、図10Bに示される画像は、その場所を起動時に直接撮像することによって、捕捉されてもよい。
【0089】
一実施形態では、想定される縁部1002、計算された縁部1004、及び位置移動又はベクトル1006は、システムを最適化するための様々な目的に使用され得る。例えば、これらのパラメータのうちの1つ以上は、システム較正に、データ保持に、又はオペレータ制御に、使用され得る。より低分解能の画像の捕捉及び保持は、より速い計算及びデータ操作時間を可能にし得る。これにより、データストレージのコストが追加的に低下する。
【0090】
一実施形態では、高倍率画像が、光学顕微鏡と関連付けられたカメラによって捕捉される。高倍率画像は、基準マーカが画像内に捕捉されているかどうかを判定するために評価される。画像内に撮像された基準マーカがない場合には、光学顕微鏡のステージ又は対物レンズを移動させて、光学顕微鏡と関連付けられたカメラの視野を変化させる。光学顕微鏡のステージ又は対物レンズは、任意の好適な様式で、例えば、元の高倍率画像場所から外向きに移動する螺旋形状で移動され得る。ステージ又は対物レンズが移動された後、新たな高倍率画像が捕捉される。新たな高倍率画像は、基準マーカが画像内に捕捉されているかどうかを判定するために評価される。このプロセスは、基準マーカが高倍率画像内に捕捉されるまで、任意の回数繰り返され得る。
【0091】
基準マーカが高倍率画像内に捕捉されていると判定することに応答して、高倍率画像は、基準マーカの全体、又は基準マーカの一部分のみが、高倍率画像内に捕捉されているかどうかを判定するために、評価される。あるいは、基準マーカが光学顕微鏡カメラによって捕捉された高倍率視野よりも大きい場合、視野全体が基準マーカによって覆われているかどうか、又は視野の一部分のみが基準マーカを内包するかどうかを判定するために、画像が評価され得る。視野の一部分のみが基準マーカを内包すること、及び基準マーカの一部分のみが画像内に捕捉されていることに応答して、基準マーカの捕捉された縁部1004が、識別される。捕捉された縁部1004は、基準マーカの想定される縁部1002と比較される。想定される縁部1002は、印刷されたカバースリップ又はスライド全体を捕捉し、かつ高倍率画像内に捕捉された基準マーカを含む、全体像マクロ画像に基づいて、判定され得る。捕捉された縁部1004と想定される縁部1002とを比較して、想定されるエッジ1002が許容誤差閾値内で捕捉されたエッジ1004と一致するかどうかを判定する。
【0092】
図11A図13Cは、試料移送ツール1100、1200、1300の異なる実施形態の様々な図を例示している。図11A図12A、及び図13Aは、試料移送ツール1100、1200、1300の異なる実施形態の斜視図を例示している。図11B図12B、及び図13Bは、試料移送ツール1100、1200、1300の異なる実施形態の正面鳥瞰図を例示している。図11C図12C、及び図13Cは、試料移送ツール1100、1200、1300の異なる実施形態の正面側面図を例示している。
【0093】
図11A図11Cは、長尺部材1102が外側ループ1104内の中心に置かれている、試料移送ツール1100の実施形態を例示している。試料移送ツール1100は、液体試料に対して光学顕微鏡分析を実行するために、スライド104上に液体試料を置くのに使用できる。試料移送ツール1100は、円筒形試験管などの試験管内に格納された試料を捕捉するのに特に有用である。いくつかの事例では、試料106を試験管内で遠心分離して、溶媒又は他の溶液などの試料106の他の成分から対象の粒子108を分離する。いくつかの事例では、粒子108は、遠心分離後に試料106の最上部に定位される。そのような事例では、試料移送ツール1100は、試験管内の試料106の最上部に定位された粒子108を捕捉するのに特に有効である。
【0094】
試料移送ツール1100は、ハンドルとして機能する長尺部材1102を含む。長尺部材1102の一端において、試料移送ツール1100は、外側ループ1104を含み、1つ以上のスポーク1106が、外側ループ1104に取り付けられ、かつ外側ループ1104によって規定される内部空間内に定位されている。外側ループ1104と組み合わせられた1つ以上のスポーク1106は、試料捕捉ループ1108を規定するように機能する。試料捕捉ループ1108は、試料が表面張力の力によって捕捉される内部空間を規定する。
【0095】
試料捕捉ループ1108は、1つ以上のスポーク1106と外側ループ1104の一部分との組み合わせによって、規定される。図は、例示目的のみで試料捕捉ループ1108によって規定される内部空間を指し示すことに留意されたい。試料捕捉ループ1108の各々は、表面張力の力を使用して試料108を捕捉するか又は「ピックアップする」ように機能する。試料は、試料捕捉ループ1108を規定するスポーク1106及び外側ループ1104に付着することができ、試料は、試料捕捉ループ1108によって規定された空の内部空間中にわたって、表面張力の力によって「伸張する」ことができる。試料捕捉ループ1108は、図11A図11Cに示されるような半三角形形状であり得るか、又は試料捕捉ループ1108は、円形又は楕円形状、矩形状、いくつかの他の抽象的な形状などの、任意の好適な形状を規定し得る。
【0096】
外側ループ1104は、例示されるように円形であり得るか、又は外側ループ1104は、正方形、矩形、楕円形などの別の好適な形状であり得る。描示されるように、外側ループ1104及びスポーク1106は、長尺部材1102と概ね直交する平面内に形成され得る。外側ループ1104及びスポーク1106は、液体試料に挿入されたときに表面張力によって外側ループ1104及びスポーク1106の中に液体を保持するように、サイズ設定されている。描示される実施形態では、外側ループ1104内に4つのスポーク1106がある。外側ループ1104内に任意の数のスポーク1106があり得ることを理解されたい。あるいは、外側ループ1104内にスポーク1106がなくてもよく、外側ループ1104は、長尺部材1102に直接取り付けられてもよい。
【0097】
実施例の例示的な実装形態では、試料移送ツール1100は、動物性糞便物を含有する液体溶液を、光学顕微鏡による分析のためにスライド104に移送するのに使用される。糞便物試料は、得られた排泄物試料を好適な試薬と混合し、混合物を濾過し、試験管などの好適な容器内で遠心分離を実行することによって、調製され得る。例示的な実装形態では、糞便物内の対象の粒子108は、遠心分離後に溶液の最上部に定位される。したがって、試料のこの部分が対象の粒子108を含むため、試験管内に定位される試料のメニスカス又は最上部分のみを捕捉することが望ましい。試料移送ツール1100は、試料の液体部分に接触するための試験管への挿入に合わせて、サイズ設定され得る。次いで、液体は、表面張力によって試料移送ツール1100の複数の試料捕捉ループ1108内に保持される。次いで、試料移送ツール1100は、顕微鏡スライド104と接触するように置かれ得る。次いで、スライド104に接触している液体は、試料捕捉ループ1108から解放されて、スライド104上にプールを形成し得る。次いで、カバースリップ102が、プールの上に置かれて、分析のための配置された試料を形成し得る。試料移送ツール1100は、所望の分析のための好適な厚さを有するカバースリップ102の領域に対応するプールを作成するための、試験管への挿入に合わせて、かつ更には外側ループ1102に合わせて、サイズ設定され得る。
【0098】
外側ループ1104は、内部空間を規定する。外側ループ1104が円形状又は楕円形状である、図11A図13Cに例示されるような一実施形態では、外側ループ1104の内部空間は、円形状又は楕円形状を形成する。外側ループ1104は、あるいは、正方形状、矩形状、五角形状、六角形状、八角形状などであってもよい。1つ以上のスポーク1106は、外側ループ1104に取り付けられ、外側ループ1104によって規定される内部空間内に配設されている。一実施形態では、1つ以上のスポーク1106は、長尺部材1102に対して垂直であるか、又は長尺部材1102に対してほぼ垂直である。次に、外側ループ1104もまた、長尺部材1102に対して垂直であるか、又は長尺部材1102に対してほぼ垂直である。
【0099】
試料移送ツール1100は、ポリカーボネート、金属、木材などの剛性材料で構成され得る。試料移送ツール1100は、半剛性材料で構成されてもよい。
【0100】
1つ以上のスポーク1106と組み合わせられた外側ループ1104は、1つ以上の試料捕捉ループ1108を規定する。1つ以上の試料捕捉ループ1108の各々は、1つ以上のスポーク1106と共に、外側ループ1104によって規定される内部空間の全体を形作っている。試料捕捉ループ1108は、表面張力特性として液体を保持することのために規定される。試料捕捉ループ1108は、試料移送ツール1100が、液体試料をピックアップし、かつ試料捕捉ループ1108中にわたって液体を「伸張させる」ことを可能にする。試料捕捉ループ1108は、図11A図11B図12A図12B、及び図13A図13Bに例示されるように、外側ループ1104の壁及び1つ以上のスポーク1106によって規定される。
【0101】
図11A図11Cに例示される実施形態では、試料移送ツール1100は、4つのスポーク1106を含む。4つのスポーク1106は、外側ループ1104と共に、4つの別個の試料捕捉ループ1108をまとめて規定する。試料移送ツール1100は、任意の好適な数のスポーク1104を含んでもよく、したがって、任意の好適な数の試料捕捉ループ1108を含んでもよいことを理解されたい。
【0102】
一実施形態では、この数の試料捕捉ループ1308は、試料移送ツール1100の測定コンポーネントを提示する。いくつかの事例では、移送される試料のタイプ又はその試料の調製方法に応じて、多くの小さな試料捕捉ループ1108を有することが望ましい場合がある。試料捕捉ループ1108の各々は、試料内の対象の粒子108をピックアップするのに有効であり得る。したがって、試料を多数回移送するのではなく、多くの試料捕捉ループ1108を有する試料移送ツール1100を使用することが望ましい場合がある。いくつかの実装形態では、試料移送ツール1100は、ユーザが試験管から試料を1回だけスライドし、かつなおも、撮像される対象の例示的な数の粒子108を収集することを、可能にする。
【0103】
図12A図12Cは、試料移送ツール1200の実施形態を例示している。図11A図11Cに例示される実施形態と同様に、試料移送ツール1200は、長尺部材1202、外側ループ1204、1つ以上のスポーク1206、及び外側ループと1つ以上のスポーク1206との組み合わせによって規定される1つ以上の試料捕捉ループ1208を含む。図12A図12Cに例示される実施形態では、長尺部材1202は、外側ループ1204の中心からオフセットされ、図11A図11Cに示されるようにスポーク1206のうちの1つ以上ではなく、代わりに、外側ループ1204自体に取り付けられている。
【0104】
図13A図13Cは、試料移送ツール1300の実施形態を例示している。図11A図11C及び図12A図12Cに例示される実施形態と同様に、試料移送ツール1300は、長尺部材1302、外側ループ1304、1つ以上のスポーク1306、及び1つ以上の試料捕捉ループ1308を含む。1つ以上の試料捕捉ループ1308は、スポーク1306のうちの1つ以上、及び外側ループ1304の少なくとも一部分によって、規定される。試料捕捉ループ1308は、試料が捕捉され、表面張力の力を使用してピックアップされ得る、空の内部空間を規定する。
【0105】
図13A図13Cに例示される実施形態では、外側ループ1304は、リブ付け縁部又はギザギザ縁部を含む。外側ループ1304のリブ付けは、試料への追加の接触ポイントを提示するために有用であり得、したがって、試料が試料移送ツール1300によって捕捉される可能性を増加させるのに有用であり得る。外側ループ1304上のリブ付けは、特定の試料又は溶液に特に有用であり得る。更なる実施形態では、スポーク1304は、リブ付け縁部又はギザギザ縁部を追加的に含み得る。
【0106】
更に、試料移送ツール1300のこの実施形態では、外側ループ1304に取り付けられた8つのスポーク1306がある。8つのスポーク1306は、外側ループ1304と共に、8つの別個の試料捕捉ループ1308を規定する。外側ループ1304によって規定される内部空間内に任意の数のループ1306があり得ることを理解されたい。したがって、試料移送ツール1300は、任意の好適な数の試料捕捉ループ1308を含み得る。
【0107】
図14は、光学顕微鏡を使用して試料に合焦するための方法1400の概略フローチャート図である。方法1400は、光学顕微鏡を使用する人によって、及び/又は光学顕微鏡のカメラと通信するコンピュータプログラムによって、実行され得る。方法1400は、光学顕微鏡によって捕捉された画像を分析する機械学習アルゴリズムを動作させるコンピュータシステムによって、実行され得る。
【0108】
方法1400が、開始し、人又はコンピュータプログラムが、1402において、カバースリップの表面上に印刷された基準マーカを識別する。方法1400は、継続し、人又はコンピュータプログラムが、1404において、光学顕微鏡を基準マーカに合焦させて、基準マーカの焦点距離を計算する。方法1400は、継続し、人又はコンピュータプログラムが、1406において、基準マーカの焦点距離に少なくとも部分的に基づいて、カバースリップの表面を規定する基準焦点面を計算する。基準マーカの場所は、光学顕微鏡を基準マーカに合焦させた結果に基づいて、判定され得る。
【0109】
図15は、光学顕微鏡を使用して試料に合焦するための方法1500の概略フローチャート図である。方法1500は、光学顕微鏡を使用する人によって、及び/又は光学顕微鏡のカメラと通信するコンピュータプログラムによって、実行され得る。方法1500は、光学顕微鏡によって捕捉された画像を分析する機械学習アルゴリズムを動作させるコンピュータシステムによって、実行され得る。
【0110】
方法1500が、開始し、人又はコンピュータプログラムが、1502において、スライドの表面上に印刷された基準マーカを識別する。方法1500は、継続し、人又はコンピュータプログラムが、1504において、光学顕微鏡を基準マーカに合焦させて、基準マーカの焦点距離を計算する。方法1500は、継続し、人又はコンピュータプログラムが、1506において、基準マーカの焦点距離に少なくとも部分的に基づいて、スライドの表面を規定する基準焦点面を計算する。基準マーカの場所は、光学顕微鏡を基準マーカに合焦させた結果に基づいて、判定され得る。
【0111】
図16は、光学顕微鏡を使用して試料に合焦するための方法1600の概略フローチャート図である。方法1600は、光学顕微鏡を使用する人によって、及び/又は光学顕微鏡のカメラと通信するコンピュータプログラムによって、実行され得る。方法1600は、光学顕微鏡によって捕捉された画像を分析する機械学習アルゴリズムを動作させるコンピュータシステムによって、実行され得る。
【0112】
方法1600が、開始し、人又はコンピュータプログラムが、1602において、カバースリップ上に印刷された基準マーカを識別し、基準マーカは、光学顕微鏡の接眼レンズ又はカメラに対してカバースリップの底面上に印刷されている。方法1600は、継続し、人又はコンピュータプログラムが、1604において、光学顕微鏡を基準マーカに合焦させる。方法1600は、継続し、人又はコンピュータプログラムが、1606において、基準マーカの場所に基づいて、カバースリップの底面を規定する基準焦点面を計算する。基準マーカの場所は、光学顕微鏡を基準マーカに合焦させた結果に基づいて、判定され得る。
【0113】
図17は、光学顕微鏡を使用して試料に合焦するための方法1700の概略フローチャート図である。方法1700は、光学顕微鏡を使用する人によって、及び/又は光学顕微鏡のカメラと通信するコンピュータプログラムによって、実行され得る。方法1700は、光学顕微鏡によって捕捉された画像を分析する機械学習アルゴリズムを動作させるコンピュータシステムによって、実行され得る。
【0114】
方法1700が、開始し、人又はコンピュータプログラムが、1702において、スライド上に印刷された基準マーカを識別し、基準マーカは、光学顕微鏡の接眼レンズ又はカメラに対してスライドの頂面上に印刷されている。方法1700は、継続し、人又はコンピュータプログラムが、1704において、光学顕微鏡を基準マーカに合焦させる。方法1700は、継続し、人又はコンピュータプログラムが、1706において、基準マーカの場所に基づいて、スライドの頂面を規定する基準焦点面を計算する。基準マーカの場所は、光学顕微鏡を基準マーカに合焦させた結果に基づいて、判定され得る。
【0115】
図18は、光学顕微鏡を使用して試料に合焦するための方法1800の概略フローチャート図である。方法1800は、光学顕微鏡を使用する人によって、及び/又は光学顕微鏡のカメラと通信するコンピュータプログラムによって、実行され得る。方法1800は、光学顕微鏡によって捕捉された画像を分析する機械学習アルゴリズムを動作させるコンピュータシステムによって、実行され得る。
【0116】
方法1800が、開始し、人又はコンピュータプログラムが、1802において、カバースリップの表面又はスライドの表面上に印刷された基準マーカを識別する。人又はコンピュータプログラムが、1804において、光学顕微鏡を基準マーカに合焦させて、基準マーカの焦点距離を計算する。人又はコンピュータプログラムが、1806において、基準マーカの焦点距離に基づいて、カバースリップの表面又はスライドの表面のいずれか一方を規定する基準焦点面を計算する。
【0117】
図19は、カバースリップ又はスライド上に印刷された複数の基準マーカに基づいて、カバースリップ又はスライドに対する基準焦点面を規定するための方法1900の概略フローチャート図である。方法1900は、光学顕微鏡を使用する人によって、及び/又は光学顕微鏡のカメラと通信するコンピュータプログラムによって、実行され得る。方法1900は、光学顕微鏡によって捕捉された画像を分析する機械学習アルゴリズムを動作させるコンピュータシステムによって、実行され得る。
【0118】
方法1900が、開始し、ヒト又はコンピューティングシステムが、1902において、光学顕微鏡を、カバースリップ又はスライドの表面上に印刷された複数の基準マーカの各々に合焦させて、複数の基準マーカの各々に対する焦点距離を計算する。一実施形態では、光学顕微鏡は、複数の基準マーカの各々に、1つずつ独立して合焦する。方法1900は、継続し、人又はコンピュータシステムが、1904において、複数の基準マーカの各々に対する焦点距離を、複数の基準マーカの各々に対する対応する場所と一致させる。対応する場所は、カバースリップ又はスライド全体の全体像画像に基づいて、判定され得る。方法1900は、継続し、人又はコンピューティングシステムが、1906において、複数の基準マーカ1906の各々の対応する焦点距離及び場所に基づいて、カバースリップ又はスライドの基準焦点面を計算する。カバースリップ又はスライドに対する基準焦点面は、カバースリップとスライドとの間に挟まれた試料の表面を、更に規定する。
【実施例
【0119】
以下の実施例は、更なる実施形態に関連する。
【0120】
実施例1は、方法である。方法は、カバースリップの表面上に印刷された基準マーカを識別することと、光学顕微鏡を基準マーカに合焦させて、基準マーカの焦点距離を計算することと、を含む。方法は、基準マーカの焦点距離に基づいて、カバースリップの表面を規定する基準焦点面を計算することを含む。
【0121】
実施例2は、基準マーカが、光学顕微鏡の接眼レンズ又はカメラに対してカバースリップの底面上に印刷されており、底面が、試料と接触するようになっており、カバースリップの表面を規定する基準焦点面が、カバースリップの底面を規定し、カバースリップの底面を規定する基準焦点面が、光学顕微鏡の接眼レンズ又はカメラに対する試料の頂面を更に規定する、実施例1における方法である。
【0122】
実施例3は、光学顕微鏡でカバースリップを走査して、全体像走査を生成することと、全体像走査に基づいて、カバースリップの表面上に印刷された複数の基準マーカを識別することと、全体像走査に基づいて、カバースリップの表面上に印刷された基準マーカの量を計算することと、全体像走査に基づいて、カバースリップ上に印刷された複数の基準マーカの各々の場所を識別することと、を更に含む、実施例1又は2における方法である。
【0123】
実施例4は、カバースリップの表面を規定する基準焦点面を計算することが、光学顕微鏡を、カバースリップ上に印刷された複数の基準マーカの各々に合焦させて、複数の基準マーカの各々に対する焦点距離を計算することと、複数の基準マーカの各々に対する焦点距離を、複数の基準マーカの各々の対応する場所と一致させることと、複数の基準マーカの各々の対応する焦点距離及び場所に基づいて、基準焦点面を計算することと、を含む、実施例1から3のいずれかにおける方法である。
【0124】
実施例5は、基準焦点面を計算することが、2つ以上の基準マーカ間の間隔に対する焦点距離を、2つ以上の基準マーカに対する焦点距離に基づいて内挿することと、複数の基準マーカのうちの特定の基準マーカに対する焦点距離を外挿して、特定の基準マーカを包囲する領域に対する焦点距離を推定することと、を更に含む、実施例1から4のいずれかにおける方法である。
【0125】
実施例6は、基準焦点面を計算することが、複数の基準マーカのうちの3つの基準マーカを識別することと、3つの基準マーカの各々に対する焦点距離を識別することと、全体像走査に対する3つの基準マーカの各々に対する場所を識別することと、3つの基準マーカの各々に対する焦点距離及び場所に少なくとも部分的に基づいて、3つの基準マーカによって規定される三角形に平面をフィッティングさせることと、を更に含む、実施例1から5のいずれかにおける方法である。
【0126】
実施例7は、基準焦点面を計算することが、複数の基準マーカのうちの4つ以上の基準マーカを識別することと、4つ以上の基準マーカの各々対する焦点距離と、全体像走査に対する4つ以上の基準マーカの各々の場所と、に基づいて、4つ以上の基準マーカの各々についての(x、y、z)座標を識別することと、4つ以上の基準マーカの各々の(x,y,z)座標によって規定されるポイントに湾曲した表面をフィッティングさせて、カバースリップの表面全体を近似する表面トポロジを生成することと、を含む、実施例1から6のいずれかにおける方法である。
【0127】
実施例8は、基準マーカが、光学顕微鏡の接眼レンズ又はカメラに対してカバースリップの底面上に印刷されており、底面が、試料と接触するようになっており、方法が、1つ以上の基準マーカへの光学顕微鏡の合焦の結果に基づいて、試料までの予測される焦点距離を計算することと、試料までの予測される焦点距離よりも大きい、及び/又は試料までの予測される焦点距離よりも小さい焦点距離の閾値範囲を試験することによって、試料への焦点を精緻化することと、を更に含む、実施例1から7のいずれかにおける方法である。
【0128】
実施例9は、光学顕微鏡でカバースリップを走査して、全体像走査を生成することと、全体像走査内の基準マーカを識別することと、基準マーカまでの焦点距離に基づいて基準マーカのz軸場所を計算することと、全体像走査に対する基準マーカの場所に基づいて、基準マーカのx軸場所及びy軸場所を計算することと、を更に含む、実施例1から8のいずれかにおける方法である。
【0129】
実施例10は、試料移送ツールを使用してスライド上に試料を置くことによって、光学顕微鏡で撮像するための試料を調製することを更に含み、試料移送ツールが、長尺部材と、内部空間を規定する外側ループと、外側ループに取り付けられ、かつ外側ループの内部空間内に配設された1つ以上のスポークと、を含み、1つ以上のスポークのうちの少なくとも1つのスポーク、及び外側ループの少なくとも一部分が、試料を捕捉するための試料捕捉ループを規定し、長尺部材が、1つ以上のスポークに対してほぼ垂直である、実施例1から9のいずれかにおける方法である。
【0130】
実施例11は、カバースリップ上のキラルインジケータを識別することと、キラルインジケータに基づいてカバースリップの配向を判定することと、を更に含む、実施例1から10のいずれかにおける方法である。
【0131】
実施例12は、基準マーカが、光学顕微鏡の接眼レンズ又はカメラに対してカバースリップの底面上に印刷されており、底面が、試料と接触するようになっており、方法が、光学顕微鏡を予測される粒子深さに合焦させることによって、試料内に対象の粒子を定位することを更に含み、予測される粒子深さが、粒子がカバースリップの底面に対して試料中に定位される、推定される深さである、実施例1から11のいずれかにおける方法である。
【0132】
実施例13は、光学顕微鏡を予測される粒子深さに合焦させることが、基準焦点面に基づいて、光学顕微鏡に対する予測される粒子深さを判定することを含む、実施例1から12のいずれかにおける方法である。
【0133】
実施例14は、光学顕微鏡と関連付けられたカメラによって捕捉されたカバースリップの画像を受信することと、画像を評価して、画像内に基準マーカが捕捉されているかどうかを判定することと、画像内に基準マーカが見えないことに応答して、光学顕微鏡と関連付けられたカメラの視野を変更することと、変更された視野を有するカメラによって捕捉されたカバースリップの新たな画像を受信することと、新たな画像を評価して、画像内に基準マーカが捕捉されているかどうかを判定することと、を更に含む、実施例1から13のいずれかにおける方法である。
【0134】
実施例15は、画像及び/又は新たな画像内に基準マーカが撮像されていることに応答して、画像及び/又は新たな画像を評価して、捕捉された基準マーカの全体が、画像及び/若しくは新たな画像内に存在するか、又は捕捉された基準マーカの一部分が、画像及び/若しくは新たな画像内に存在するかを判定することと、捕捉された基準マーカの一部分のみが画像及び/又は新たな画像内に存在することに応答して、捕捉された基準マーカの捕捉された縁部輪郭を識別することと、全ての基準マーカを含むカバースリップの全体像画像に基づいて、捕捉された基準マーカの想定される縁部輪郭をメモリから取り出すことと、捕捉された縁部輪郭を想定される縁部輪郭と比較して、捕捉された基準マーカの全体が光学顕微鏡の視野内に存在するように、光学顕微鏡のステージ又は対物レンズを移動させるのに必要な推定される方向及び距離を計算することと、を更に含む、実施例1から14のいずれかにおける方法である。
【0135】
実施例16は、光学顕微鏡のステージ及び/又は対物レンズを、推定される方向及び距離に従って移動させることと、移動後の顕微鏡のステージ及び/又は対物レンズについての(x,y)座標を判定することと、ステージ及び/又は対物レンズの(x,y)座標に基づいて、捕捉された基準マーカの(x,y)座標をメモリに記憶することと、を更に含む、実施例1から15のいずれかにおける方法である。
【0136】
実施例17は、画像及び/又は新たな画像内に基準マーカが撮像されていることに応答して、画像及び/又は新たな画像を評価して、捕捉された基準マーカによって視野の全体が覆われているかどうかを判定することと、捕捉された基準マーカによって視野の一部分のみが覆われていることに応答して、捕捉された基準マーカの捕捉された縁部輪郭を識別することと、全ての基準マーカを含むカバースリップの全体像画像に基づいて、捕捉された基準マーカの想定される縁部輪郭をメモリから取り出すことと、光学顕微鏡の視野全体が基準マーカによって覆われるように、光学顕微鏡のステージ又は対物レンズを移動させるために必要な推定される方向及び距離を計算することと、を更に含む、実施例1から16のいずれかにおける方法である。
【0137】
実施例18は、光学顕微鏡のステージ及び/又は対物レンズを、推定される方向及び距離に従って移動させることと、移動後の顕微鏡のステージ及び/又は対物レンズについての(x,y)座標を判定することと、ステージ及び/又は対物レンズの(x,y)座標に基づいて、捕捉された基準マーカの(x,y)座標をメモリに記憶することと、を更に含む、実施例1から17のいずれかにおける方法である。
【0138】
実施例19は、カバースリップ上に印刷された全ての基準マーカを含む全体像画像に基づいて、カバースリップ上に印刷された第1の基準マーカの想定される縁部輪郭をメモリから取り出すことと、光学顕微鏡で捕捉された画像に基づいて、第1の基準マーカの捕捉された縁部輪郭を識別することと、第1の基準マーカの想定される縁部輪郭を第1の基準マーカの捕捉された縁部輪郭と比較することと、第1の基準マーカの想定される縁部輪郭が、許容誤差閾値内で第1の基準マーカの捕捉された縁部輪郭と一致するかどうかを判定することと、を更に含む、実施例1から18のいずれかにおける方法である。
【0139】
実施例20は、カバースリップの印刷領域を識別することと、カバースリップの印刷領域に基づいて、カバースリップによって被覆された試料の走査領域を最適化することと、を更に含み、走査領域が、走査時間、走査ファイルサイズ、又は試験感度のうちの1つ以上に基づいて最適化される、実施例1から19のいずれかにおける方法である。
【0140】
実施例21は、方法である。方法は、スライドの表面上に印刷された基準マーカを識別することと、光学顕微鏡を基準マーカに合焦させて、基準マーカの焦点距離を計算することと、を含む。方法は、基準マーカの焦点距離に基づいて、スライドの表面を規定する基準焦点面を計算することを含む。
【0141】
実施例22は、基準マーカが、光学顕微鏡の接眼レンズ又はカメラに対してスライドの頂面上に印刷されており、スライドの頂面が、試料と接触するようになっており、スライドの表面を規定する基準焦点面が、スライドの頂面を規定し、スライドの頂面を規定する基準焦点面が、光学顕微鏡の接眼レンズ又はカメラに対する試料の底面を更に規定する、実施例21における方法である。
【0142】
実施例23は、光学顕微鏡でスライドを走査して、全体像走査を生成することと、全体像走査に基づいて、スライドの表面上に印刷された複数の基準マーカを識別することと、全体像走査に基づいて、スライドの表面上に印刷された基準マーカの量を計算することと、全体像走査に基づいて、スライド上に印刷された複数の基準マーカの各々の場所を識別することと、を更に含む、実施例21又は22における方法である。
【0143】
実施例24は、スライドの表面を規定する基準焦点面を計算することが、光学顕微鏡を、スライド上に印刷された複数の基準マーカの各々に合焦させて、複数の基準マーカの各々に対する焦点距離を計算することと、複数の基準マーカの各々に対する焦点距離を、複数の基準マーカの各々の対応する場所と一致させることと、複数の基準マーカの各々の対応する焦点距離及び場所に基づいて、基準焦点面を計算することと、を含む、実施例21から23のいずれかにおける方法である。
【0144】
実施例25は、基準焦点面を計算することが、2つ以上の基準マーカ間の間隔に対する焦点距離を、2つ以上の基準マーカに対する焦点距離に基づいて内挿することと、複数の基準マーカのうちの特定の基準マーカに対する焦点距離を外挿して、特定の基準マーカを包囲する領域に対する焦点距離を推定することと、を更に含む、実施例21から24のいずれかにおける方法である。
【0145】
実施例26は、基準焦点面を計算することが、複数の基準マーカのうちの3つの基準マーカを識別することと、3つの基準マーカの各々に対する焦点距離を識別することと、全体像走査に対する3つの基準マーカの各々に対する場所を識別することと、3つの基準マーカの各々に対する焦点距離及び場所に少なくとも部分的に基づいて、3つの基準マーカによって規定される三角形に平面をフィッティングさせることと、を更に含む、実施例21から25のいずれかにおける方法である。
【0146】
実施例27は、基準焦点面を計算することが、複数の基準マーカのうちの4つ以上の基準マーカを識別することと、4つ以上の基準マーカの各々対する焦点距離と、全体像走査に対する4つ以上の基準マーカの各々の場所と、に基づいて、4つ以上の基準マーカの各々についての(x、y、z)座標を識別することと、4つ以上の基準マーカの各々の(x,y,z)座標によって規定されるポイントに湾曲した表面をフィッティングさせて、スライドの表面全体を近似する表面トポロジを生成することと、を含む、実施例21から26のいずれかにおける方法である。
【0147】
実施例28は、基準マーカが、光学顕微鏡の接眼レンズ又はカメラに対してスライドの頂面上に印刷されており、頂面が、試料と接触するようになっており、方法が、1つ以上の基準マーカへの光学顕微鏡の合焦の結果に基づいて、試料までの予測される焦点距離を計算することと、試料までの予測される焦点距離よりも大きい、及び/又は試料までの予測される焦点距離よりも小さい焦点距離の閾値範囲を試験することによって、試料への焦点を精緻化することと、を更に含む、実施例21から27のいずれかにおける方法である。
【0148】
実施例29は、光学顕微鏡でスライドを走査して、全体像走査を生成することと、全体像走査内の基準マーカを識別することと、基準マーカまでの焦点距離に基づいて基準マーカのz軸場所を計算することと、全体像走査に対する基準マーカの場所に基づいて、基準マーカのx軸場所及びy軸場所を計算することと、を更に含む、実施例21から28のいずれかにおける方法である。
【0149】
実施例30は、試料移送ツールを使用してスライド上に試料を置くことによって、光学顕微鏡で撮像するための試料を調製することを更に含み、試料移送ツールが、長尺部材と、内部空間を規定する外側ループと、外側ループに取り付けられ、かつ外側ループの内部空間内に配設された1つ以上のスポークと、を含み、1つ以上のスポークのうちの少なくとも1つのスポーク、及び外側ループの少なくとも一部分が、試料を捕捉するための試料捕捉ループを規定し、長尺部材が、1つ以上のスポークに対してほぼ垂直である、実施例21から29のいずれかにおける方法である。
【0150】
実施例31は、スライド上のキラルインジケータを識別することと、キラルインジケータに基づいてスライドの配向を判定することと、を更に含む、実施例21から30のいずれかにおける方法である。
【0151】
実施例32は、基準マーカが、光学顕微鏡の接眼レンズ又はカメラに対してスライドの頂面上に印刷されており、頂面が、試料と接触するようになっており、方法が、光学顕微鏡を予測される粒子高さに合焦させることによって、試料内に対象の粒子を定位することを更に含み、予測される粒子高さが、粒子がスライドの頂面に対して試料中に定位される、推定される垂直距離である、実施例21から31のいずれかにおける方法である。
【0152】
実施例33は、光学顕微鏡を予測される粒子深さに合焦させることが、基準焦点面に基づいて、光学顕微鏡に対する予測される粒子深さを判定することを含む、実施例21から32のいずれかにおける方法である。
【0153】
実施例34は、光学顕微鏡と関連付けられたカメラによって捕捉されたスライドの画像を受信することと、画像を評価して、画像内に基準マーカが捕捉されているかどうかを判定することと、画像内に基準マーカが見えないことに応答して、光学顕微鏡と関連付けられたカメラの視野を変更することと、変更された視野を有するカメラによって捕捉されたスライドの新たな画像を受信することと、新たな画像を評価して、画像内に基準マーカが捕捉されているかどうかを判定することと、を更に含む、実施例21から33のいずれかにおける方法である。
【0154】
実施例35は、画像及び/又は新たな画像内に基準マーカが撮像されていることに応答して、画像及び/又は新たな画像を評価して、捕捉された基準マーカの全体が、画像及び/若しくは新たな画像内に存在するか、又は捕捉された基準マーカの一部分が、画像及び/若しくは新たな画像内に存在するかを判定することと、捕捉された基準マーカの一部分のみが画像及び/又は新たな画像内に存在することに応答して、捕捉された基準マーカの捕捉された縁部輪郭を識別することと、全ての基準マーカを含むスライドの全体像画像に基づいて、捕捉された基準マーカの想定される縁部輪郭をメモリから取り出すことと、捕捉された縁部輪郭を想定される縁部輪郭と比較して、捕捉された基準マーカの全体が光学顕微鏡の視野内に存在するように、光学顕微鏡のステージ又は対物レンズを移動させるのに必要な推定される方向及び距離を計算することと、を更に含む、実施例21から34のいずれかにおける方法である。
【0155】
実施例36は、光学顕微鏡のステージ及び/又は対物レンズを、推定される方向及び距離に従って移動させることと、移動後の顕微鏡のステージ及び/又は対物レンズについての(x,y)座標を判定することと、ステージ及び/又は対物レンズの(x,y)座標に基づいて、捕捉された基準マーカの(x,y)座標をメモリに記憶することと、を更に含む、実施例21から35のいずれかにおける方法である。
【0156】
実施例37は、画像及び/又は新たな画像内に基準マーカが撮像されていることに応答して、画像及び/又は新たな画像を評価して、捕捉された基準マーカによって視野の全体が覆われているかどうかを判定することと、捕捉された基準マーカによって視野の一部分のみが覆われていることに応答して、捕捉された基準マーカの捕捉された縁部輪郭を識別することと、全ての基準マーカを含むスライドの全体像画像に基づいて、捕捉された基準マーカの想定される縁部輪郭をメモリから取り出すことと、光学顕微鏡の視野全体が基準マーカによって覆われるように、光学顕微鏡のステージ又は対物レンズを移動させるために必要な推定される方向及び距離を計算することと、を更に含む、実施例21から36のいずれかにおける方法である。
【0157】
実施例38は、光学顕微鏡のステージ及び/又は対物レンズを、推定された方向及び距離に従って移動させることと、移動後の顕微鏡のステージ及び/又は対物レンズについての(x,y)座標を判定することと、ステージ及び/又は対物レンズの(x,y)座標に基づいて、捕捉された基準マーカの(x,y)座標をメモリに記憶することと、を更に含む、実施例21から37のいずれかにおける方法である。
【0158】
実施例39は、スライド上に印刷された全ての基準マーカを含む全体像画像に基づいて、スライド上に印刷された第1の基準マーカの想定される縁部輪郭をメモリから取り出すことと、光学顕微鏡で捕捉された画像に基づいて、第1の基準マーカの捕捉された縁部輪郭を識別することと、第1の基準マーカの想定される縁部輪郭を第1の基準マーカの捕捉された縁部輪郭と比較することと、第1の基準マーカの想定される縁部輪郭が、許容誤差閾値内で第1の基準マーカの捕捉された縁部輪郭と一致するかどうかを判定することと、を更に含む、実施例21から38のいずれかにおける方法である。
【0159】
実施例40は、スライドの印刷領域を識別することと、スライドの印刷領域に基づいてスライド上に配設された試料の走査領域を最適化することと、を更に含み、走査領域が、走査時間、走査ファイルサイズ、又は試験感度のうちの1つ以上に基づいて最適化される、実施例21から39のいずれかにおける方法である。
【0160】
実施例41は、装置である。装置は、長尺部材と、内部空間を規定する外側ループと、を含む。装置は、外側ループに取り付けられ、かつ外側ループによって規定される内部空間内に配設された、1つ以上のスポークと、を含む。
【0161】
実施例42は、1つ以上のスポークのうちの少なくとも1つのスポークと、外側ループの少なくとも一部分と、が、試料捕捉ループを規定する、実施例41における装置である。試料捕捉ループは、液体試料が表面張力の力として捕捉され得る空の内部空間を規定する。
【0162】
実施例43は、長尺部材が、1つ以上のスポークに対してほぼ垂直である、実施例41又は42における装置である。
【0163】
実施例44は、1つ以上のスポークのうちの少なくとも1つが、長尺部材に取り付けられている、実施例41から43のいずれかにおける装置である。
【0164】
実施例45は、外側ループ又は1つ以上のスポークのうちの1つ以上が、リブ付けを含む、実施例41から44のいずれかにおける装置である。
【0165】
実施例46は、方法である。方法は、実施例41から45のいずれかの装置で試料をピックアップすることによって、光学顕微鏡で撮像するための試料を調製することを含む。
【0166】
実施例47は、試料をピックアップすることが、試験管内に配設された溶液の頂面を、実施例41から45のいずれかの装置の外側表面と接触させることを含む、実施例46における方法である。
【0167】
実施例48は、試料をピックアップすることが、試験管内に配設された試料のメニスカスを、実施例41から45のいずれかの装置の外側表面と接触させることを含む、実施例46又は47における方法である。
【0168】
実施例49は、スライド上の装置の外側ループをタップすることによって、光学顕微鏡で撮像するために、試料をスライドに移送することを更に含む、実施例46から48のいずれかにおける方法である。
【0169】
実施例50は、装置内の一定の数のスポークに基づいて、実施例41から45のいずれかにおける装置を選択することを更に含み、一定の数のスポークは、試料中の粒子の数、試料中の粒子のサイズ、試料中の粒子の予測される粒子深さなどのうちの1つ以上に基づいて選択される、実施例46から49のいずれかにおける方法である。
【0170】
本明細書を通した「実施例」への言及は、実施例に関連して説明する特定の機構、構造、又は特性が本開示の少なくとも一実施形態内に含まれていることを意味する。したがって、語句「実施例では」が本明細書を通して様々な場所で登場しても、必ずしも全て同じ実施形態を指しているわけではない。
【0171】
本明細書で使用するとき、複数の項目、構造要素、構成要素、及び/又は材料が、便宜上共通のリストで提示されている場合がある。しかしながら、これらのリストは、あたかもリストのそれぞれの要素が別個かつ独自の要素と個別に識別されるように解釈されたい。したがって、そのようなリストの個々の要素は、単にそれとは反対に表示なく共通のグループにおける提示に基づいて同じリストの任意の他の要素の事実上の等価物と解釈されたい。更に、本開示の様々な実施形態及び実施例が、様々な構成要素の代替物と共に本明細書で参照されている場合がある。了解事項として、そのような実施形態、実施例、及び代替物は、互いの事実上の均等物と解釈せず、本開示の別個かつ自律的な表現とみなされたい。
【0172】
上記は明瞭さを期すためにある程度詳細に説明したが、特定の変更及び修正がその原理から逸脱することなく行われ得ることが明らかであろう。本明細書で説明するプロセス及び装置を実装する多くの別な方法があることに注意されたい。したがって、本発明の実施形態は、例示的であって制限的ではないとみなされたい。
【0173】
当業者は、多くの変更が本開示の根本的な諸原理から逸脱することなく上記の実施形態の詳細に行われ得ることが認識するであろう。したがって、本開示の範囲は、存在する場合には特許請求の範囲によってのみ決定されたい。
【0174】
〔実施の態様〕
(1) 方法であって、
カバースリップの表面又はスライドの表面上に印刷された基準マーカを識別することと、
光学顕微鏡を前記基準マーカに合焦させて、前記基準マーカの焦点距離を計算することと、
前記基準マーカの前記焦点距離に基づいて、前記カバースリップの前記表面又は前記スライドの前記表面を規定する基準焦点面を計算することと、を含む、方法。
(2) 前記方法が、
前記カバースリップの前記表面上に印刷された前記基準マーカを識別することと、
前記カバースリップの前記表面を規定する前記基準焦点面を計算することと、を含むように、前記基準マーカが、前記カバースリップの前記表面上に印刷されている、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記基準マーカが、前記光学顕微鏡の接眼レンズ又はカメラに対して前記カバースリップの底面上に印刷されており、前記底面が、試料と接触するようになっており、
前記カバースリップの前記表面を規定する前記基準焦点面が、前記カバースリップの前記底面を規定し、
前記カバースリップの前記底面を規定する前記基準焦点面が、前記光学顕微鏡の前記接眼レンズ又は前記カメラに対する前記試料の頂面を更に規定する、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記光学顕微鏡で前記カバースリップを走査して、全体像走査を生成することと、
前記全体像走査に基づいて、前記カバースリップの前記表面上に印刷された複数の基準マーカを識別することと、
前記全体像走査に基づいて、前記カバースリップの前記表面上に印刷された基準マーカの量を計算することと、
前記全体像走査に基づいて、前記カバースリップ上に印刷された前記複数の基準マーカの各々の場所を識別することと、を更に含む、実施態様2に記載の方法。
(5) 前記カバースリップの前記表面を規定する前記基準焦点面を計算することが、
前記光学顕微鏡を、前記カバースリップ上に印刷された前記複数の基準マーカの各々に合焦させて、前記複数の基準マーカの各々に対する焦点距離を計算することと、
前記複数の基準マーカの各々に対する前記焦点距離を、前記複数の基準マーカの各々についての対応する場所と一致させることと、
前記複数の基準マーカの各々の前記対応する焦点距離及び場所に基づいて、前記基準焦点面を計算することと、を含む、実施態様4に記載の方法。
【0175】
(6) 前記基準焦点面を計算することが、
2つ以上の基準マーカ間の間隔に対する焦点距離を、前記2つ以上の基準マーカに対する焦点距離に基づいて内挿することと、
前記複数の基準マーカのうちの特定の基準マーカに対する前記焦点距離を外挿して、前記特定の基準マーカを包囲する領域に対する焦点距離を推定することと、を更に含む、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記基準焦点面を計算することが、
前記複数の基準マーカのうちの3つの基準マーカを識別することと、
前記3つの基準マーカの各々に対する焦点距離を識別することと、
前記全体像走査に対する前記3つの基準マーカの各々についての場所を識別することと、
前記3つの基準マーカの各々に対する前記焦点距離及び前記場所に少なくとも部分的に基づいて、前記3つの基準マーカによって規定される三角形に平面をフィッティングさせることと、を更に含む、実施態様5に記載の方法。
(8) 前記基準焦点面を計算することが、
前記複数の基準マーカのうちの4つ以上の基準マーカを識別することと、
前記4つ以上の基準マーカの各々に対する焦点距離と、前記全体像走査に対する前記4つ以上の基準マーカの各々の場所と、に基づいて、前記4つ以上の基準マーカの各々についての(x,y,z)座標を識別することと、
前記4つ以上の基準マーカの各々の前記(x,y,z)座標によって規定されるポイントに湾曲した表面をフィッティングさせて、前記カバースリップの表面全体を近似する表面トポロジを生成することと、を更に含む、実施態様5に記載の方法。
(9) 前記基準マーカが、前記光学顕微鏡の接眼レンズ又はカメラに対して前記カバースリップの底面上に印刷されており、前記底面が、試料と接触するようになっており、前記方法が、
1つ以上の基準マーカへの前記光学顕微鏡の前記合焦の結果に基づいて、前記試料までの予測される焦点距離を計算することと、
前記試料までの前記予測される焦点距離よりも大きい、及び/又は前記試料までの前記予測される焦点距離よりも小さい焦点距離の閾値範囲を試験することによって、前記試料への焦点を精緻化することと、を更に含む、実施態様2に記載の方法。
(10) 前記光学顕微鏡で前記カバースリップを走査して、全体像走査を生成することと、
前記全体像走査内の前記基準マーカを識別することと、
前記基準マーカまでの前記焦点距離に基づいて、前記基準マーカのz軸場所を計算することと、
前記全体像走査に対する前記基準マーカの場所に基づいて、前記基準マーカのx軸場所及びy軸場所を計算することと、を更に含む、実施態様2に記載の方法。
【0176】
(11) 前記光学顕微鏡で撮像するための試料を、試料移送ツールを使用して前記試料をスライド上に置くことによって、調製することを更に含み、前記試料移送ツールが、
長尺部材と、
内部空間を規定する外側ループと、
前記外側ループに取り付けられ、かつ前記外側ループの前記内部空間内に配設された、1つ以上のスポークと、を含み、
前記1つ以上のスポークのうちの少なくとも1つのスポークと、前記外側ループの少なくとも一部分と、が、前記試料を捕捉するための試料捕捉ループを規定し、
前記長尺部材が、前記1つ以上のスポークに対してほぼ垂直である、実施態様2に記載の方法。
(12) 前記カバースリップ上のキラルインジケータを識別することと、前記キラルインジケータに基づいて前記カバースリップの配向を判定することと、を更に含む、実施態様2に記載の方法。
(13) 前記基準マーカが、前記光学顕微鏡の接眼レンズ又はカメラに対して前記カバースリップの底面上に印刷されており、前記底面が、試料と接触するようになっており、前記方法が、前記光学顕微鏡を予測される粒子深さに合焦させることによって、前記試料内に対象の粒子を定位することを更に含み、前記予測される粒子深さが、前記粒子が前記カバースリップの前記底面に対して前記試料中に定位される、推定される深さである、実施態様2に記載の方法。
(14) 前記光学顕微鏡を前記予測される粒子深さに合焦させることが、前記基準焦点面に基づいて、前記光学顕微鏡に対する前記予測される粒子深さを判定することを含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記光学顕微鏡と関連付けられたカメラによって捕捉された前記カバースリップの画像を受信することと、
前記画像を評価して、前記画像内に基準マーカが捕捉されているかどうかを判定することと、
前記画像内に基準マーカが見えないことに応答して、前記光学顕微鏡と関連付けられた前記カメラの視野を変更することと、
前記変更された視野を有する前記カメラによって捕捉された前記カバースリップの新たな画像を受信することと、
前記新たな画像を評価して、前記画像内に基準マーカが捕捉されているかどうかを判定することと、を更に含む、実施態様2に記載の方法。
【0177】
(16) 前記画像及び/又は前記新たな画像内に基準マーカが捕捉されていることに応答して、
前記画像及び/又は前記新たな画像を評価して、前記捕捉された基準マーカの全体が、前記画像及び/若しくは前記新たな画像内に存在するか、又は前記捕捉された基準マーカの一部分が、前記画像及び/若しくは前記新たな画像内に存在するかを判定することと、
前記捕捉された基準マーカの一部分のみが前記画像及び/又は前記新たな画像内に存在することに応答して、前記捕捉された基準マーカの捕捉された縁部輪郭を識別することと、
全ての基準マーカを含む前記カバースリップの全体像画像に基づいて、前記捕捉された基準マーカの想定される縁部輪郭をメモリから取り出すことと、
前記捕捉された縁部輪郭を前記想定される縁部輪郭と比較して、前記捕捉された基準マーカの前記全体が前記光学顕微鏡の視野内に存在するように、前記光学顕微鏡のステージ又は対物レンズを移動させるのに必要な推定される方向及び距離を計算することと、を更に含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記光学顕微鏡の前記ステージ及び/又は前記対物レンズを、前記推定される方向及び距離に従って移動させることと、
移動後の前記顕微鏡の前記ステージ及び/又は前記対物レンズについての(x,y)座標を判定することと、
前記ステージ及び/又は前記対物レンズの前記(x,y)座標に基づいて、前記捕捉された基準マーカの(x,y)座標をメモリに記憶することと、を更に含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記画像及び/又は前記新たな画像内に基準マーカが捕捉されていることに応答して、
前記画像及び/又は前記新たな画像を評価して、前記捕捉された基準マーカによって前記視野の全体が覆われているかどうかを判定することと、
前記捕捉された基準マーカによって前記視野の一部分のみが覆われていることに応答して、前記捕捉された基準マーカの捕捉された縁部輪郭を識別することと、
全ての基準マーカを含む前記カバースリップの全体像画像に基づいて、前記捕捉された基準マーカの想定される縁部輪郭をメモリから取り出すことと、
前記捕捉された縁部輪郭を前記想定される縁部輪郭と比較して、前記光学顕微鏡の前記視野の前記全体が前記基準マーカによって覆われるように、前記光学顕微鏡のステージ又は対物レンズを移動させるのに必要な推定される方向及び距離を計算することと、を更に含む、実施態様15に記載の方法。
(19) 前記光学顕微鏡の前記ステージ及び/又は前記対物レンズを、前記推定される方向及び距離に従って移動させることと、
移動後の前記顕微鏡の前記ステージ及び/又は前記対物レンズについての(x,y)座標を判定することと、
前記ステージ及び/又は前記対物レンズの前記(x,y)座標に基づいて、前記捕捉された基準マーカの(x,y)座標をメモリに記憶することと、を更に含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記カバースリップ上に印刷された全ての基準マーカを含む全体像画像に基づいて、前記カバースリップ上に印刷された第1の基準マーカの想定される縁部輪郭をメモリから取り出すことと、
前記光学顕微鏡で捕捉された画像に基づいて、前記第1の基準マーカの捕捉された縁部輪郭を識別することと、
前記第1の基準マーカの前記想定される縁部輪郭を、前記第1の基準マーカの前記捕捉された縁部輪郭と比較することと、
前記第1の基準マーカの前記想定される縁部輪郭が、許容誤差閾値内で前記第1の基準マーカの前記捕捉された縁部輪郭と一致するかどうかを判定することと、を更に含む、実施態様2に記載の方法。
【0178】
(21) 前記カバースリップの印刷領域を識別することと、
前記カバースリップの前記印刷領域に基づいて、前記カバースリップによって覆われた試料の走査領域を最適化することと、を更に含み、
前記走査領域が、走査時間、走査ファイルサイズ、又は試験感度のうちの1つ以上に基づいて最適化される、実施態様2に記載の方法。
(22) 前記方法が、
前記スライドの前記表面上に印刷された前記基準マーカを識別することと、
前記スライドの前記表面を規定する前記基準焦点面を計算することと、を含むように、前記基準マーカが、前記スライドの前記表面上に印刷されている、実施態様1に記載の方法。
(23) 前記基準マーカが、前記光学顕微鏡の接眼レンズ又はカメラに対して前記スライドの頂面上に印刷されており、前記スライドの前記頂面が、試料と接触するようになっており、
前記スライドの前記表面を規定する前記基準焦点面が、前記スライドの前記頂面を規定し、
前記スライドの前記頂面を規定する前記基準焦点面が、前記光学顕微鏡の前記接眼レンズ又は前記カメラに対する前記試料の底面を更に規定する、実施態様22に記載の方法。
(24) 前記光学顕微鏡で前記スライドを走査して、全体像走査を生成することと、
前記全体像走査に基づいて、前記スライドの前記表面上に印刷された複数の基準マーカを識別することと、
前記全体像走査に基づいて、前記スライドの前記表面上に印刷された基準マーカの量を計算することと、
前記全体像走査に基づいて、前記スライド上に印刷された前記複数の基準マーカの各々の場所を識別することと、を更に含む、実施態様22に記載の方法。
(25) 前記スライドの前記表面を規定する前記基準焦点面を計算することが、
前記光学顕微鏡を、前記スライド上に印刷された前記複数の基準マーカの各々に合焦させて、前記複数の基準マーカの各々に対する焦点距離を計算することと、
前記複数の基準マーカの各々に対する前記焦点距離を、前記複数の基準マーカの各々についての対応する場所と一致させることと、
前記複数の基準マーカの各々の前記対応する焦点距離及び場所に基づいて、前記基準焦点面を計算することと、を含む、実施態様24に記載の方法。
【0179】
(26) 前記基準焦点面を計算することが、
2つ以上の基準マーカ間の間隔に対する焦点距離を、前記2つ以上の基準マーカに対する焦点距離に基づいて内挿することと、
前記複数の基準マーカのうちの特定の基準マーカに対する前記焦点距離を外挿して、前記特定の基準マーカを包囲する領域に対する焦点距離を推定することと、を更に含む、実施態様25に記載の方法。
(27) 前記基準焦点面を計算することが、
前記複数の基準マーカのうちの3つの基準マーカを識別することと、
前記3つの基準マーカの各々に対する焦点距離を識別することと、
前記全体像走査に対する前記3つの基準マーカの各々についての場所を識別することと、
前記3つの基準マーカの各々に対する前記焦点距離及び前記場所に少なくとも部分的に基づいて、前記3つの基準マーカによって規定される三角形に平面をフィッティングさせることと、を更に含む、実施態様25に記載の方法。
(28) 前記基準焦点面を計算することが、
前記複数の基準マーカのうちの4つ以上の基準マーカを識別することと、
前記4つ以上の基準マーカの各々に対する焦点距離と、前記全体像走査に対する前記4つ以上の基準マーカの各々の場所と、に基づいて、前記4つ以上の基準マーカの各々についての(x,y,z)座標を識別することと、
前記4つ以上の基準マーカの各々の前記(x,y,z)座標によって規定されるポイントに湾曲した表面をフィッティングさせて、前記スライドの表面全体を近似する表面トポロジを生成することと、を更に含む、実施態様25に記載の方法。
(29) 前記基準マーカが、前記光学顕微鏡の接眼レンズ又はカメラに対して前記スライドの頂面上に印刷されており、前記頂面が、試料と接触するようになっており、前記方法が、
1つ以上の基準マーカへの前記光学顕微鏡の前記合焦の結果に基づいて、前記試料までの予測される焦点距離を計算することと、
前記試料までの前記予測される焦点距離よりも大きい、及び/又は前記試料までの予測される焦点距離よりも小さい焦点距離の閾値範囲を試験することによって、前記試料への焦点を精緻化することと、を更に含む、実施態様22に記載の方法。
(30) 前記光学顕微鏡で前記スライドを走査して、全体像走査を生成することと、
前記全体像走査内の前記基準マーカを識別することと、
前記基準マーカまでの前記焦点距離に基づいて、前記基準マーカのz軸場所を計算することと、
前記全体像走査に対する前記基準マーカの場所に基づいて、前記基準マーカのx軸場所及びy軸場所を計算することと、を更に含む、実施態様22に記載の方法。
【0180】
(31) 前記光学顕微鏡で撮像するための試料を、試料移送ツールを使用して前記試料を前記スライド上に置くことによって、調製することを更に含み、前記試料移送ツールが、
長尺部材と、
内部空間を規定する外側ループと、
前記外側ループに取り付けられ、かつ前記外側ループの前記内部空間内に配設された、1つ以上のスポークと、を含み、
前記1つ以上のスポークのうちの少なくとも1つのスポークと、前記外側ループの少なくとも一部分と、が、前記試料を捕捉するための試料捕捉ループを規定し、
前記長尺部材が、前記1つ以上のスポークに対してほぼ垂直である、実施態様22に記載の方法。
(32) 前記スライド上のキラルインジケータを識別することと、前記キラルインジケータに基づいて前記スライドの配向を判定することと、を更に含む、実施態様22に記載の方法。
(33) 前記基準マーカが、前記光学顕微鏡の接眼レンズ又はカメラに対して前記スライドの頂面上に印刷されており、前記頂面が、試料と接触するようになっており、前記方法が、前記光学顕微鏡を予測される粒子高さに合焦させることによって、前記試料内に対象の粒子を定位することを更に含み、前記予測される粒子高さが、前記粒子が前記スライドの前記頂面に対して前記試料中に定位される、推定される垂直距離である、実施態様22に記載の方法。
(34) 前記光学顕微鏡を前記予測される粒子高さに合焦させることが、前記基準焦点面に基づいて、前記光学顕微鏡に対する前記予測される粒子高さを判定することを含む、実施態様33に記載の方法。
(35) 前記光学顕微鏡と関連付けられたカメラによって捕捉された前記スライドの画像を受信することと、
前記画像を評価して、前記画像内に基準マーカが捕捉されているかどうかを判定することと、
前記画像内に基準マーカが見えないことに応答して、前記光学顕微鏡と関連付けられた前記カメラの視野を変更することと、
前記変更された視野を有する前記カメラによって捕捉された前記スライドの新たな画像を受信することと、
前記新たな画像を評価して、前記画像内に基準マーカが捕捉されているかどうかを判定することと、を更に含む、実施態様22に記載の方法。
【0181】
(36) 前記画像及び/又は前記新たな画像内に基準マーカが捕捉されていることに応答して、
前記画像及び/又は前記新たな画像を評価して、前記捕捉された基準マーカの全体が、前記画像及び/若しくは前記新たな画像内に存在するか、又は前記捕捉された基準マーカの一部分が、前記画像及び/若しくは前記新たな画像内に存在するかを判定することと、
前記捕捉された基準マーカの一部分のみが前記画像及び/又は前記新たな画像内に存在することに応答して、前記捕捉された基準マーカの捕捉された縁部輪郭を識別することと、
全ての基準マーカを含む前記カバースリップの全体像画像に基づいて、前記捕捉された基準マーカの想定される縁部輪郭をメモリから取り出すことと、
前記捕捉された縁部輪郭を前記想定される縁部輪郭と比較して、前記捕捉された基準マーカの前記全体が前記光学顕微鏡の視野内に存在するように、前記光学顕微鏡のステージ又は対物レンズを移動させるのに必要な推定される方向及び距離を計算することと、を更に含む、実施態様35に記載の方法。
(37) 前記光学顕微鏡の前記ステージ及び/又は前記対物レンズを、前記推定される方向及び距離に従って移動させることと、
移動後の前記顕微鏡の前記ステージ及び/又は前記対物レンズについての(x,y)座標を判定することと、
前記ステージ及び/又は前記対物レンズの前記(x,y)座標に基づいて、前記捕捉された基準マーカの(x,y)座標をメモリに記憶することと、を更に含む、実施態様36に記載の方法。
(38) 前記画像及び/又は前記新たな画像内に基準マーカが捕捉されていることに応答して、
前記画像及び/又は前記新たな画像を評価して、前記捕捉された基準マーカによって前記視野の全体が覆われているかどうかを判定することと、
前記捕捉された基準マーカによって前記視野の一部分のみが覆われていることに応答して、前記捕捉された基準マーカの捕捉された縁部輪郭を識別することと、
全ての基準マーカを含む前記カバースリップの全体像画像に基づいて、前記捕捉された基準マーカの想定される縁部輪郭をメモリから取り出すことと、
前記捕捉された縁部輪郭を前記想定される縁部輪郭と比較して、前記光学顕微鏡の視野の前記全体が前記基準マーカによって覆われるように、前記光学顕微鏡のステージ又は対物レンズを移動させるのに必要な推定される方向及び距離を計算することと、を更に含む、実施態様35に記載の方法。
(39) 前記光学顕微鏡の前記ステージ及び/又は前記対物レンズを、前記推定される方向及び距離に従って移動させることと、
移動後の前記顕微鏡の前記ステージ及び/又は前記対物レンズについての(x,y)座標を判定することと、
前記ステージ及び/又は前記対物レンズの前記(x,y)座標に基づいて、前記捕捉された基準マーカの(x,y)座標をメモリに記憶することと、を更に含む、実施態様38に記載の方法。
(40) 前記スライド上に印刷された全ての基準マーカを含む全体像画像に基づいて、前記スライド上に印刷された第1の基準マーカの想定される縁部輪郭をメモリから取り出すことと、
前記光学顕微鏡で捕捉された画像に基づいて、前記第1の基準マーカの捕捉された縁部輪郭を識別することと、
前記第1の基準マーカの前記想定される縁部輪郭を、前記第1の基準マーカの前記捕捉された縁部輪郭と比較することと、
前記第1の基準マーカの前記想定される縁部輪郭が、許容誤差閾値内で前記第1の基準マーカの前記捕捉された縁部輪郭と一致するかどうかを判定することと、を更に含む、実施態様22に記載の方法。
【0182】
(41) 前記スライドの印刷領域を識別することと、
前記スライドの前記印刷領域に基づいて、前記スライド上に配設された試料の走査領域を最適化することと、を更に含み、
前記走査領域が、走査時間、走査ファイルサイズ、又は試験感度のうちの1つ以上に基づいて最適化される、実施態様22に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【国際調査報告】